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この声をきみに＃02

1 (孝)目を つぶったまま｡ (奈緒)はい｡ まだです｡ はい｡ <結び目には 不思議な力が あるのかもしれない｡➡ かつて 僕と彼女が出会ったのも➡ 結び目の講義が きっかけだった> はい 目を開けて｡ この２つのｺｰﾄﾞの どちらの結び目が すぐ ほどけ➡ どちらが ほどけないか➡ 僕は 数式を使って 答える事ができる｡ えっ？ どっちも 同じに見えるんだけど…｡ ほどけるのは… こっち！ あれ？ 失敗…｡ あっ すご～い！ だろう？ え～！ 最近では たんぱく質にも 結び目がある事が分かってきて➡ ＤＮＡの組み換えの研究にも 応用されてるって｡ あっ じゃ ひょっとして… これも ほどける？ これは 難易度が高いですね｡ <ここから10年あまり｡➡ 子供も２人でき 多少 ｹﾝｶをしようとも➡ 僕らは ほどける事のない結び目で つながっていると➡ 勝手に思っていた｡➡ しかし…> (龍太郎)ねえ 離婚するの？ とにかく 理由が さっぱり分からない！ 彼女が出ていった理由が！ (京子)かわいそうな人｡ あなたは そうやって 一生 ひねた目で他人を見ながら➡ 一人きりの世界を 楽しめばいいんだわ｡ 何で こんな事になる!? 朗読教室？ (佐久良)｢灯火親｣と読みます｡ ｢生きているということ 今生きているということ➡ あなたと手をつなぐこと｣｡ ｢まっしろい くもの｣｡ ｢くじら｣｡ <あんなに泣いたのは➡ 子供の時以来だ> ♬～ (佐久良)今度の朗読ｶﾌｪﾗｲﾌﾞか｡ いいんじゃないですか？ はい｡ では こんなﾒﾆｭｰで｡ あと… 彼女 また来てるみたいです｡ そろそろ 声をかけてみましょうか｡ もう少し待ってあげた方が いいかもしれませんね｡ まあ こういうのは 本人の心のﾀｲﾐﾝｸﾞが肝心だから｡ はい｡ あっ ﾀｲﾐﾝｸﾞといえば➡ この間の ぽっかりの彼 失敗したなぁ｡ ぽっかり？ ああ…｡ あの時 誘ってみたら よかったなと思って｡ え～？ あの～ ちょっと…｡ ちょっと ちょっと…｡ (実鈴)私？ そうだ｡ さっきから 僕と対象物の➡ 直線上に立つのは やめてくれ｡ どうぞ｡ まったく…｡ あっ… いや… いいんだ｡ 別にいい｡ えっ？ いや いいんだ いいんだ いいんだ｡ …ていうか そう 僕が帰ろう｡ 僕が帰ろう｡ あっ あの…｡ いや でも…｡ えっと…｡ いや いいんだ いいんだ｡ こ こ… こんなの いい年した男がやる➡ 習い事じゃない｡ ああ…｡ ああ…｡ こんな所に 足を踏み入れたところで➡ 人生が変えられる訳じゃない｡ でも… でも でも どうしても気になる｡ ここに来たら ここで学べば こんな私でも 何か…➡ 何か 人生を 変えられるんじゃないかって｡ 新しい人生が 始まるんじゃないかって！ はっ？ きみは 何を言って…｡ 私もなんです！ 実は 私… 私も もしかしたら➡ 一歩 勇気を出して ここに入れば 何か変わるかもって…｡ 今日こそ… 今日こそ 自分を変えようって！ ♬～ なるほど…｡ 変わる訳がない｡ 安易な発想だ｡ 学生に多い｡ 入学さえすれば 卒業でき 就職でき➡ それなりに 人生のﾚｰﾙに乗れると 思い込んでいる｡ バカな｡ 楽観主義も大概にしろ！ だって まさか… ハッ まさか➡ こんな教室に通うぐらいで 明日のｽﾀｰにでも なるつもりか？ たかが朗読教室だぞ！ ﾊﾊｯ…｡ まあ そんな事いっても 人の事は言えない｡ まあ 実は…｡ 意思の弱い若者め｡ なぜです？ なぜ 彼を誘いたいと？ いや 彼 とっても いい顔で 朗読を聞いてたんだ｡ 言葉が 体に しみ込むみたいな 少年みたいな顔して｡ 彼には… いや 彼みたいな人にこそ➡ こういう場所が 必要なんじゃないかなってね｡ そうでしょうか｡ 私には そうは思えません｡ ああいう独り善がりな➡ 自分の事しか 考えられないような人➡ 今の時代 多いですけど そういう人に朗読は向きません｡ そうですか 向きませんか｡ あっ｡ ♬～ じゃあ 彼は もう ここには来ないと｡ 来ません｡ いつも冷静な京子先生が 彼には やけに厳しいなぁ｡ そんな事ないです｡ まあ 私には もう どちらでも かまいません｡ 二度と関わり合う事も ないでしょうし｡ しかし 人生のﾀｲﾐﾝｸﾞは 思いもかけない時に やってくる｡ えっ？ (ﾁｬｲﾑ) は～い｡ ♬～ 何か 忘れ物ですか？ いや 朗… 朗読を知りたいんだ｡ えっ？ 朗読を知りたいんだ｡ 何度も言わせるな｡ うそ…｡ どうも｡ いや～➡ そろそろ いらっしゃるころ じゃないかしらって➡ 今 京子先生が言ってたとこ だったんですよ｡ ねっ？➡ どうぞ｡ どうぞ！ まず 初めての方には 僕が ｶｳﾝｾﾘﾝｸﾞをしています｡ ｶｳﾝｾﾘﾝｸﾞ？ まるで ﾒﾝﾀﾙｸﾘﾆｯｸだ｡ はい｡ 知っておきたいんです｡ 穂波さんが ここに いらしたのは ただ朗読を楽しみたいのか➡ 朗読のｽｷﾙを上達させて 誰かに読んであげたいのか｡ いろんな本を知りたいとか➡ 声に出して 本を読んでみたいと 感じている人なら➡ もう 誰でも ｳｪﾙｶﾑです｡ なるほど｡ 僕は…｡ 知りたいんです｡ その… なんていうか…｡ [ 心の声 ] あの日の 自分の涙の訳を｡➡ …なんて 陳腐な歌謡曲みたいな事 こんなとこで言えるか｡➡ 余談だが 僕は 今まで➡ ｶﾙﾁｬｰｾﾝﾀｰのたぐいに 通った事がない｡➡ 興味も持った事がない｡ 部活は数学研究会だし➡ 妻に無理やり誘われたﾃﾆｽも ３回きり｡ [ 心の声 ] この人… いつまで 黙ってる気？ [ 心の声 ] そう あえて言えば 知恵の輪だ｡➡ 特に ﾎﾞﾀﾝの穴を使った知恵の輪 あれは最高だった｡➡ ﾎﾞﾀﾝのついたｼｬﾂを 知恵の輪の一部分と考える｡➡ つまり ﾄﾎﾟﾛｼﾞｰ的には ｼｬﾂ全体は穴３つの球面だが➡ ﾎﾞﾀﾝ穴５つを加えると 穴８つの球面になって…｡ [ 心の声 ] 何？ やだ… 何で 笑ってるの？ この人｡ [ 心の声 ] いや 知恵の輪は 今はいい｡➡ それにしても…｡ この人は さっきから➡ 一度も目をそらさない｡ 気が抜けない…｡ 失礼｡ え～っと 何の話でしたっけ？ えっ 何って… 何を考えてたんですか？ 今の間｡ うん なるほど｡ 穂波さんの事 大体 分かったような気がします｡ へっ？ よし｡ では 簡単に➡ 教室のｼｽﾃﾑを説明しましょう｡ 江崎くん｡ あっ はい！ へっ？ 分かったって…｡ 目的や経験に合わせて 初心者ｺｰｽ 経験者ｺｰｽに分かれています｡ また その中で ﾏﾝﾂｰﾏﾝﾚｯｽﾝか ｸﾞﾙｰﾌﾟﾚｯｽﾝかを選ぶ事ができます｡ どうでしょうか｡ 穂波さんは まずは➡ 佐久良先生のﾏﾝﾂｰﾏﾝﾚｯｽﾝを ご体験されてみては｡ へっ？ ああ… それでいい｡ 分かりました｡ では 曜日は…｡ いや せっかくなら➡ ｸﾞﾙｰﾌﾟﾚｯｽﾝは いかがです？ えっ？ 金曜の夜のｸﾞﾙｰﾌﾟ まだ余裕がありましたよね｡ 金曜の夜って 私の？ (佐久良)はい｡ あの… 先生 穂波さんは ｸﾞﾙｰﾌﾟﾚｯｽﾝには向いていません｡ どうして？ この間のﾋﾞｼﾞﾈｽ講座でも そうでした｡ 彼は…｡ そういう人ほど 本当は➡ ｸﾞﾙｰﾌﾟﾚｯｽﾝで学んだ方が 勉強になるんです｡ 先生だって よくご存じじゃないですか｡ それはそうですけど でも 彼は…｡ まあ まあ まあ まあ… ここは ひとつ頼みます｡ <ｻﾞｲﾌｪﾙﾄ曲面か？> 金曜は… ほら この間 いらっしゃった夜➡ 谷川俊太郎の詩を読んでいた ｸﾞﾙｰﾌﾟが 金曜のﾒﾝﾊﾞｰです｡ ああ… どんな人間がいたのか １人も覚えてない｡ えっ？ １人も？ ええ｡ あなた以外は｡ (佐久良)こちらは 江崎京子先生です｡ では まずは ｸﾞﾙｰﾌﾟﾚｯｽﾝを 体験してみて下さい｡ <僕は… ひょっとしたら とんでもない所に➡ 足を踏み入れてしまったの かもしれない> 持ち物は 本と 自分用の飲み物だけです｡ 本？ はい｡ お好きな本を➡ 声に出して読みたいと思う本を お持ちになって下さい｡ それでは 金曜日 お待ちしております｡ この１週間 あなたの声が忘れられなかった｡ あの… 本を読む あなたの声が…｡ それで 今日 ここまで来てしまった｡ なのに… なぜだろう？ 今日の あなたの声は ひどく不安定で ゆがんでいる｡ えっ… ゆがんでる？ そうだ｡ 尖度が鋭いというか➡ むしろ微分不可能というか とげとげしい｡ 響きに やわらかさも 余裕もなければ 矛盾すら見える｡ なぜ あの時は あんなに 心が震えたんだろう｡ やっぱり 僕の勘違いだったのか…｡ 今から 金曜日が 不安でたまらない｡ 何よ 勝手に！ そんなの こっちのｾﾘﾌ！ じゃなくて… さようなら｡ それでは 金曜日に｡ ♬～ 何なの あの人｡ 一瞬でも 褒められたと思った自分を➡ 蹴っ飛ばしたい気分｡ ねえ お父さん見て！ 今日ね 国語で お手紙の書き方 習ったよ｡ そうか｡ ところで 龍 お母さんの 携帯の番号 覚えてないか？ えっ？ 090とか 080で始まる 11桁の数字だ｡ 11？ 僕 算数 苦手｡ お前は 数学者の息子だ｡ そんなはずがない｡ 国語がいいな｡ 僕 お父さんに お手紙 書く｡ そんな事よりも 龍 お父さんは お母さんと一緒に話がしたい｡ 龍と また一緒に 暮らせるように…｡ (淳子)龍太郎！ 何やってるの もう！ 先 行きなさい｡ (舞花)行こう｡ 舞花 ちょっと待って… ちょっと…｡ お母さん｡ 孝さん もう やめて下さいよ｡ 度々 校門で待ち伏せされちゃ 学校だって迷惑ですよ｡ しかし 勝手に連れて いなくなったのは…｡ 分からないの？ 奈緒が どんな気持ちで うちを出たか！ 奈緒の言ってたとおりね｡ あなたは 人の心が分からないって｡ いいですか もう二度と 会いに来ないで下さいね！ ♬～ <声に出して読みたい本か…> ♬～ すいません｡ すいません｡ いや～ 大丈夫…｡ ♬～ ｢ふらんすへ行きたしと思えども ふらんすはあまりに遠し｣｡ 当然だろ｡ ♬～ [ 回想 ] (龍太郎)国語がいいな｡ 僕 お父さんに お手紙 書く｡ ♬～ バカか 俺は…｡ (正規)俺の教え子に 法律関係のヤツがいてさ｡ 法律関係？ ほんとか？ ああ｡ 法学部に転部して 弁護士になったんだ｡ 昨日 たまたま 飲み会に現れたから➡ 試しに お前の事 話してみたら まあ 離婚は➡ 避けられないとしても…｡ 離婚？ 僕は 離婚は するつもりはない｡ 別居を選択する時点で 女は ﾘｱﾙに離婚を考えております｡ …だそうです｡ ただ 今回の場合➡ お前には はっきりとした 落ち度がないとしたら➡ 子供に関しては ある程度 権利があるはずだと言ってた｡ ほんとか？ そう｡ 俺に任しとけ｡ その教え子に 話を通しといてやる｡ 頼む！ (由起夫)あぁ～！ あっ すいません お代わり下さ～い｡ こいつ ほんとに弁護士なのか？ 見た目は変わってるが 間違いない｡ もう ３年 やってるっす｡ そんな風貌で よく 弁護士が ３年も務まったな｡ だが 言っておくが 僕は寛容なﾀｲﾌﾟじゃない｡ ほんとに こんなヤツに 任せていいのか？ 相手に不足だって言いたいのか｡ こう見えて優秀だ｡ うわっ！ 奥さん かわいい！ これ 離婚すんの もったいないっすね｡ 多分な｡ (泰代)すいません 急な伝票整理を頼まれ…｡ あら？ (雄一)泰代さん こっち こっち｡ では 時間なので始めましょう｡ 今日は 体験の方も いらっしゃるので➡ まずは 改めて 自己紹介から してみましょうか｡ (邦夫)おっ いいですね｡ じゃあ まずは…｡ いや ちょっと待ってくれ｡ 結構です｡ 結構｡ いや 別に 僕は ただ その… 体験入学だ｡ 別に これを継続して通おうとは 思っていない｡ (喜巳子)あら そう？ でも…｡ 僕は 朗読が知りたいと思ったから 来ただけだ｡ こんな事を 生きがいにするつもりも➡ 趣味にするつもりもない｡ あなた方と 深く つきあっても 意味がない｡ (絵里)何それ 感じ悪っ｡ し～！ ああ… そう｡ 残念ねぇ｡ 趣味にすると楽しいのにねぇ｡ そうだよなぁ｡ 分かりました｡ では 結構です｡ 皆さん いつものように 準備運動から始めましょうか｡ (一同)はい｡ 準備運動？ そのまま 鼻から一気に吸って そのまま…｡ (一同)あ～！ やらないんですか？ 朗読の事が知りたいんでしょう？ あ～｡ 肩が前に来ないように｡ 背中を ぐっと寄せるｲﾒｰｼﾞで｡ はい｡ あ～！ 両肩に 力を入れすぎずに すとんと落として｡ あ～｡ そう 背筋まっすぐに｡ 頭のてっぺんを 糸で引っ張られているｲﾒｰｼﾞで➡ 声を出して｡ あ～！ はい いいですよ｡ では 皆さん もう一度｡ (一同)あ～！ ｢水馬赤いな ｱｲｳｴｵ｡ 浮藻に小蝦もおよいでる｣｡ ｢柿の木 栗の木 ｶｷｸｹｺ｡ 啄木鳥こつこつ 枯れけやき｣｡ (泰代)｢大角豆に酢をかけ ｻｼｽｾｿ｡ その魚浅瀬で刺しました｣｡ ｢立ちましょ喇叭で ﾀﾁﾂﾃﾄ｡ ﾄﾃﾄﾃﾀｯﾀと飛び立った｣｡ 穂波さんの番ですよ｡ どうぞ｡ な… な… 蛞蝓のろのろ…｡ 鼻から息を吸って 一気に読む！ ｢蛞蝓のろのろ ﾅﾆﾇﾈﾉ｣！ にゃ… にゃ… にゃんど ぬめって なにねばる｡ ｢鳩ﾎﾟｯﾎﾟほろほろ ﾊﾋﾌﾍﾎ｡ 日向のお部屋にゃ笛を吹く｣｡ ♬～ はぁ～！ ああ… なんて難易度だ！ いけすかねえヤツだと思ったけど 悪いヤツでもなさそうだな｡ そうよねぇ｡ あんな事 言ってたわりには➡ 一生懸命だったわよねぇ｡ 京子先生 いつにもまして ｽﾊﾟﾙﾀだったのに｡ えっ 私が？ そんな事ないですよ｡ 本当は好きなんじゃないかな 朗読｡ (絵里)はぁ～ 雄一くん 甘いなぁ｡➡ 一生懸命だろうが何だろうが 関係ないじゃない｡➡ どうせ すぐ やめる気なんだから｡ (雄一)そうですかねぇ｡ それでは 最後に➡ ｢ふたりは ともだち｣が いいと思う人｡ じゃあ 決定ね｡ はっ？ それを読むって？ はい｡ みんなで役割を分担して 読んでいきましょう｡ ちょっと待ってくれ｡ 童話を読むなんて 勘弁してくれ｡ 勘弁って言われても 今 多数決で 決まったばかりじゃないですか｡ いや 多数決は危険だ｡ １人１票で決めるのは➡ 必ずしも 個々の意思を 正確に反映しない｡ それなら 全員 順位付きのﾘｽﾄを提出し➡ ｼｭﾙﾂ方式で やり直すべきだ｡ 何をおっしゃっているんだか さっぱり分かりません｡ だから この本の中なら ｢羅生門｣か詩集｡ それに 僕が持ってきた本だって あるだろう｡ 残念ですが この数学書は 穂波さん以外 誰にも読めません｡ はい｡ でも 大の大人が➡ わざわざ 子供向けの童話なんて…｡ ここは あなただけの 教室ではありません！ みんなの教室なんです｡ これ以上 和を乱さないで｡ 和？ 和を乱す？ 和だって？ 聞き捨てならないな｡ 自分勝手な言動は慎んで下さいと お願いしているんです｡ だから 最初から ﾏﾝﾂｰﾏﾝに しとけって言ったのに…｡ 僕だって あの人と ﾏﾝﾂｰﾏﾝがよかったよ｡ それに 構造的に安定してない 女に習うのは 嫌だったんだ｡ 構造的に安定していない？ まあ まあ まあ まあ 落ち着いて｡ ２人とも落ち着いて｡ すみません ｸﾞﾙｰﾌﾟﾚｯｽﾝを勧めたのは僕だ｡ 僕が悪かった｡ でもね 穂波さん｡ 童話を 子供向けの 簡単明快なものだと➡ 思っているのなら それは間違いです｡ 実は 童話は 深い｡ 深い？ 試しに この童話 少しだけ聞いてみませんか？ この本 持ってきてくれたのは…｡ あっ 僕です｡ 京子先生に 童話をすすめられまして｡ では 福島さん お願いします｡ はい｡ ｢ふたりは ともだち｣｡ ｢おてがみ｡➡ がまくんは げんかんのまえに すわっていました｣｡ がまがえるが座る？ ハッ 童話お得意の擬人化か｡ 穂波さん 朗読を聞いてる時は➡ どんな意見や感想を持っても かまいません｡➡ ただ ひとつだけ 守らなければ ならない事があります｡ 朗読中は 朗読者以外は しゃべらない｡ では どうぞ｡ ｢がまくんは げんかんのまえに すわっていました｡➡ かえるくんが やってきて いいました｡➡ 『どうしたんだい がまがえるくん｡ きみ かなしそうだね』｡➡ 『うん そうなんだ』｡ がまくんが いいました｡➡ 『いま 一日のうちの かなしいときなんだ｡➡ つまり おてがみを まつじかんなんだ』｣｡ そうなると いつも ぼく➡ とても ふしあわせな きもちに なるんだよ｡ そりゃ どういうわけ？ ｢かえるくんが たずねました｣｡ だって ぼく おてがみ もらったことないんだもの｡ 一どもかい？ ああ｡ 一ども｡ だれも ぼくに おてがみなんて くれたことないんだ｡ まいにち ぼくの ゆうびんうけは からっぽさ｡ (邦夫)｢『てがみを まっているときが➡ かなしいのは そのためなのさ』｡➡ ふたりとも かなしいきぶんで➡ げんかんのまえに こしをおろしていました｡➡ すると かえるくんが いいました｣｡ ぼく もう いえに かえらなくっちゃ がまくん｡ しなくちゃいけないことが あるんだ｡ (邦夫)｢かえるくんは 大いそぎで いえへ かえりました｣｡ ♬～ (邦夫)｢えんぴつと かみを みつけました｡➡ かみに なにか かきました｡➡ ふうとうに こう かきました｡➡ 『がまかえるくんへ』➡ かえるくんは いえから とびだしました｡➡ しりあいの かたつむりに あいました｣｡ かたつむりくん おねがいだけど➡ このてがみを がまくんの いえに もっていって➡ ゆうびんうけに いれてきてくれないかい｡ (邦夫)｢『まかせてくれよ｡ すぐやるぜ』｣｡ 何で…｡ 何で…！ ｢それから かえるくんは がまくんの いえへ➡ もどりました｣｡ (ﾁｬｲﾑ) あっ 先生 私が出ます｡ 続けて下さい｡ はい｡ (邦夫)｢それから かえるくんは｣｡ (ﾁｬｲﾑ) あら しつこいわねぇ｡ 何かしら？ ええ おかしいわね｡ すみません｡ 一度 中断しましょう｡ (雄一)え～ 誰？ いいとこだったのに～｡ あの… 今の続き あの手紙の続きは 一体…｡ お願いします！ お願いします！ どうか…｡➡ お願いします！ ねえ お願いだから 顔をあげて｡ 私 声優になりたいんです！➡ でも… でも 親にも 友達にも なれるはずないって➡ 諦めろって言われて…｡ でも 私 やっぱり 諦めきれなくて…｡ あら そう｡ それで ここに…｡ とりあえず ここじゃなんだから 中に入って…｡ そんな事 今 どっちでもいい｡ あの手紙の続きは…｡ あっ あなた！➡ この人に 私 言われたんです！ ｢楽観主義も大概にしろ｡ 明日の ｽﾀｰにでもなるつもりか！｣って｡ 穂波さんに？ いつの間に…｡ いや 全然 覚えてない！ それで 私… ｢ああ 確かに そうかも｡➡ やるなら本気で勉強しなきゃ｣って そう思って…｡ 家出してきました！ 家出？ どうか… どうか 私に朗読を教えて下さい！ <がまと かえるの話は➡ この事件で うやむやに終わってしまった> <それにしても 謎だ｡ 一体 なぜ かえるくんは➡ 大事な手紙を かたつむりという➡ 時速わずか６ｍの生物に 託してしまったのだ？➡ うっかりにも程がある> <それとも そこに 何か 深い意味でもあるのか？➡ あのあと 手紙は…> 手紙は どうなった!? えっ？ て… 手紙…？ えっ？ あっ いや…｡ も… も… も… 文字列は どうなった？ 文字列…｡ も… 文字列は？ (女の子)ママ こっち こっち！ うん？ 何 何？ これ これ！ よかったね～｡ あっ かえるさん お話してるね｡ もしもし｡ (正規)やったぞ 穂波｡➡ 向こうの弁護士と 話がついたらしい｡➡ 嫁さんにも 子供にも 面会できるってさ｡ ほんとか？ うん｡ ♬～ ｢『王様は はだかんぼだ｡ なんにも着てないよ』｡➡ すると そこにいた みんなも言いました｡➡ 『王様は はだかだ はだかの王様だ』｣｡ ♬～ お父さん もう 学校 来なくなったよ｡ だから 安心して｡ 龍太郎の事だって 私が ちゃんと見とくから｡ ありがとう｡ でも 舞は そんな事 心配しなくていいの！ この この～！ お姉ちゃんぶっちゃって｡ 甘ったれのくせに｡ やめてってば！ 私 ほんと うれしいんだから｡ おばあちゃんち来てから お母さん ほんと優しいんだもん｡ そう？ うん｡ さっ もう寝なさい｡ 明日 漢字ﾃｽﾄでしょ｡ (舞花)は～い｡ ♬～ (泰代)あの若い女の子 あれから どうなったんです？ ここに １泊して 翌日 佐久良先生が➡ ご両親に お話に行ったそうです｡ でも まだ 反対されているそうで｡ でも 大変よね｡ 声優って 狭き門なんでしょう？ 僕の友達にも 働きながら もう何年も➡ 養成所 行ってる子いますよ｡ それにしても 最近 変な人ばっかり来るなぁ｡ あの口の悪い男の人とか｡ (笑い声) (ﾁｬｲﾑ) は～い｡ えっ… 何？ (喜巳子)あら やだ 来たわよ！ 来た！ ほんとだ！ こんばんは｡ 絵本は 買おうと思えば 買う事ができた｡ えっ？ うん？ うん…？ 何の話かしら？ がまくんだ｡ でも なぜか➡ 黙読では こう… ｲﾒｰｼﾞが違うように思えたんだ｡ がまくんのｲﾒｰｼﾞが…｡ はっ…？ どうかしましたか？ あの… もう一度 読んで頂けませんか？ あの絵本の続きを｡ ああ… いや いや これから教室だし 俺なんか…｡➡ ねえ 先生｡ いいですよ｡ (２人)えっ？ いいと思います｡ 福島さん もう一度 読んでもらえますか？ はい｡ そのかわり… 穂波さん➡ あなたも一緒に読んで下さい｡ えっ？ 僕が？ (邦夫)｢それから かえるくんは➡ がまくんの いえへ もどりました｡➡ がまくんは ﾍﾞｯﾄﾞで おひるねを していました｡➡ 『がまくん きみ おきてさ おてがみが くるのを➡ もうちょっと まってみたら いいとおもうな｣｡ い…｡ い…｡ ｢『いやだよ』｣｡ ｢『ぼく もう まっているの あきあきしたよ』｣｡ (邦夫)｢かえるくんは まどから ゆうびんうけを見ました｡➡ かたつむりは まだ やってきません｣｡ がまくん｡ ひょっとして だれかが きみに➡ てがみを くれるかもしれないだろう｡ そんなこと あるものかい｡ ぼくに てがみをくれる人なんて いるとは おもえないよ｡ ｢『いままで だれも➡ おてがみ くれなかったんだぜ｡➡ きょうだって おなじだろうよ』｣｡ かえるくん➡ どうして きみ ずっと まどのそとを見てるの｡ だって いま ぼく➡ てがみを まってるんだもの｡ でも きやしないよ｡ きっと くるよ｡ だって ぼくが きみに てがみ だしたんだもの｡ きみが？ てがみに なんて かいたの？ ぼくは こう かいたんだ｡ ｢しんあいなる がまがえるくん｡➡ ぼくは きみが ぼくの しんゆうであることを➡ うれしく おもっています｡➡ きみの しんゆう かえる｣｡ ああ｡ とても いい てがみだ｡ (邦夫)｢それから ふたりは げんかんに でて➡ てがみが くるのを まっていました｡➡ ふたりとも とても しあわせな きもちで➡ そこに すわっていました｣｡ (邦夫)｢四日たって かたつむりが➡ がまくんのいえに つきました｡➡ そして かえるくんからの てがみを➡ がまくんに わたしました｣｡ (邦夫)｢てがみをもらって がまくんは➡ とても よろこびました｣｡ ♬～ おしまい｡ (拍手) いいですね｡ とても よかったです｡ 福島さん 間の取り方も よかったですし➡ 声のﾄｰﾝも安定してきましたね｡ ほんとですか？ いや～ よかったな｡ 穂波さんも すごく よかったですよ｡ 穂波さんも よかったわよねぇ｡ うん｡ 気持ちが伝わったし それに やっぱり声がいい｡ いや… 現実には どこにも➡ こんな お人よしの 友達なんかいない｡ がまがえるのもとに 永遠に 手紙なんか届く訳がないだろう｡ そうかもしれませんね｡ 現実には こんな楽しい事 ちっとも ないかもしれません｡ でも ないと分かっていても➡ それでも 人は どこかに きっと こんな気持ちが➡ こんな温かな絆が あるんじゃないかって➡ 考えずにいられないんです｡ 願わずにいられないんです｡ 信じたいんです｡ 人生は そんなに悪くないって｡ ♬～ だから… 大人にこそ➡ こんな本が 必要なのかもしれません｡ ♬～ ねえ お父さん これ読んで｡ 手をつないで ｼﾞｬﾝﾌﾟして 空を飛ぶ｡ ハッ 重力無視にも程がある｡ (邦夫)おう！ さっきは どうも｡ なに 一人で たそがれてんだよ｡ あっ いや… かたつむりが歩いた 四日という長さについて➡ 考えてました｡ (笑い声) 面白い人だね｡ はい どうぞ｡ どうも｡ 穂波さん… だっけ？ はい｡ あっ お子さん おいくつなんですか？ お子さん？ いや いねえよ｡ あっ 女房ならいるけど｡ いや… 絵本を選んでたんで｡ おう… 女房に読んでやるんだよ｡ 今まで 藤沢周平とか 芥川とか➡ そのへん読んだの 送ってやってたんだけど➡ もっと気楽に聞けるのがいいって 言われちゃってさ｡ よ… よ… 読んで 送る？ おう 俺ぁ 船乗りなんだ｡ １回 出港したら ３か月は 船の上だ｡ 先月 ちょうど 帰ってきたところでさ｡ 船乗り…｡ おう！ 船乗りのｸﾆｰって呼んでくれ！ よろしく｡ え～ 私は 柏原喜巳子と言います｡ 地域のﾎﾞﾗﾝﾃｨｱで 朗読や読み聞かせをやっていて➡ もっと うまくなりたいと思って 入ったの｡ もう２年の古株です｡ 柏原さんに 古株なんて言われたら困るよ｡ 熊川絵里です｡ ＯＬやってます｡ はい 次｡ 河合雄一です｡ えっと ここに入って➡ まだ３か月なんですけど｡ まだ そんなもんだっけ？ ずっと昔から いる気がするわよ｡ ねえ？ 佐久良先生の かっこよさと 京子先生の美しさに ほれて➡ 朗読に ハマっちゃってます｡ またまた｡ じゃあ 磯崎さん｡ 磯崎泰代と言います｡ 私は… と言いたいところだけど➡ 名前以外のﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰを 言う気はありません｡ それより… どうぞ｡ えっ？ 自己紹介｡➡ まだ みんな あなたの事を知らないわ｡ ♬～ 穂波 孝…｡ 数学者です｡ ♬～ 何度も言うが 僕は離婚をする気はない｡ ＯＫ｡ どうにか 元どおりの家族に 戻りたいと思ってる｡ だから… 頼む｡ そういうふうに話が進むように…｡ (ﾉｯｸ) (北里)お待たせしました｡ ♬～ お座り下さい｡ お久しぶり｡ 久しぶりって…｡ か～わいいなぁ｡ (せきばらい) 舞花と龍太郎は どこだ？ 子供たちなら来ないわよ｡ 来ない？ さあ 早速 話を始めましょう｡ ♬～ 一人でいるべきよ 一生｡ あなたには 一生 人の気持ちなんか分かんない｡ お前には失望してばっかりだ｡ あんなに憎まれるなんて…｡ 怖くない！ 雨にも負けず 風にも負けず｡ 誰かに伝えたいと思う気持ち｡ それが大切なんです｡ ♬｢ありのままの言葉で あなたを愛したいの｣ ♬｢目を逸らせば幸せを 演じられるの？｣ ♬｢Ah ため息でごまかしても この胸は痛い｣ ♬｢うまく言えない感情を 持て余すほど｣ ♬｢Ah つよがり見透かすように 月が覗いてる｣ ♬｢心と言葉はいつも｣ ♬｢揺れて 離れて 絡んで 逃げて｣ ♬｢傷つけたのに 傷つく｣ ♬｢あなたのひと言だけで｣ ♬｢この一瞬も永遠になるのに｣ ♬｢聞きたいこと 聞けない｣ ♬｢愛してるなんて 先に言わせないで｣ ♬｢キスより あなたの声 聞かせて｣ ♬｢何を足しても引いても違った｣ ♬｢いいわけなんて いらないの今は｣ ♬｢'Cause I need your love｣ ♬｢愛してほしいって言うのは 虚しくて｣ ♬｢あなたへ言葉をただ探すの｣ ♬｢掛けちがってたｾﾘﾌじゃ｣ ♬｢この夜さえ 満たせないの｣ 世の中には 足元を輝かせる事に 勝負を懸ける人たちがいる｡ ﾊﾝﾁﾝｸﾞ帽に 蝶ﾈｸﾀｲ｡ 今や 珍しい光景となった 路上の靴磨き｡ 働く男たちが 多忙な合間を縫って 駆け込んでくる｡

３７歳で医者になった僕～研修医純情物語～＃10

1 （紺野祐太）佐伯先生にミスは なかったと　おっしゃるんですか？ （佐伯）やっかいな病気を しょい込んだ患者が→ 不運だったということだ。 僕とすずのことを…。 （森下）話したよ。　佐伯教授に。→ 彼女のことを盾に 君を黙らせるように提案もした。 （下田） 外来で佐伯教授が診断ミスして→ それに俺と新見先生が 気付かなくて→ 伊達さん死なせたってのが 事実っすよね？ （沢村瑞希）すずさんが ここで望んでた普通は→ 特別な普通なんです！ 自分とすずさんのことだけ 考えてください。 （下田） 渡したいものがあって来ました。 俺　医者　辞めます。 （森下） とりあえず　これは　俺が預かる。→ 戻ってくるチャンスも 残しといてやらないとな。→ 研修医の一時的な混乱は よくあることだ。 （新見悟）そういう感じじゃ ありませんでしたけど。 今日だって　来ないようにって 言われてたのに。 研修で脱落者が出ると→ 指導医の評価にも　つながるぞ 新見先生。 （中島） しかし　佐伯先生に報告は…。 必要なら　中島先生に任せる。 （森下）沢村先生　明日 葛城さんの心機能検査だから→ よろしく。 わかりました。 （森下）中島先生。 ≫（戸の開閉音） ♪♪～ ♪♪～ （回想　佐伯） ((君の婚約者も同じだ。)) ((状態は良くないねぇ。)) ((今からは他の病院を探すのも 心身共に　さぞ負担だろう。)) ((それは　脅しってことですか？)) ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （石浜）あぁ～あ→ まんまとやられちまったな 長谷川のやつ。→ なっ　俺の言ったとおりだろ？→ 学部長選が近いと スキャンダルが出てくるって。 （谷口） そんな　うれしそうに言われても。 ノーコメントです。 何だよ　そっけねぇ。 つうか 下田チャラ男　どうしたんだよ。→ 昨日から見ねぇけど　風邪か？ ばかは風邪ひかねぇっていうけど。 下田先生は　ちょっと。 昨日　辞めました。 ちょ…　沢村先生！ 辞めたって　何で？ スキャンダルに 首　突っ込んだんです。 ばかが！ ピンポーン！ピンポーン！ どうも。 （由美恵） わざわざ　ご足労いただいて。 いえ。 どうぞ。 失礼します。 ♪♪～ （由香）大丈夫ですか？ （すず） 今日は　もう これで検査　終わりですから→ ゆっくり休んでください。 ≫コンコン！（ノックの音） （佐和子）祐太さん。 お疲れさまです。 調子どう？ ♪♪～ 紺野先生　ちょっといいかな？ はい。 ♪♪～ ≫（戸の開閉音） えっ？ 森下先生　すずは？ ＮＹＨＡ分類でⅢ度…。 日常生活に 支障を来すレベルまで→ 心機能は低下してる。 そろそろ　持続透析への切り替えも 考えたほうがいいな。 もう　退院は無理なんですか？ ああ。　他の病院に移ることも。 この間も言ったが 今は余計なこと考えるな。 ((総合内科を　患者のための→ 本当の医療の場に 作り替えるつもりだ。)) ((総合内科を変えるために→ 伊達さんの件は目をつぶれ っていうんですか？)) ((そうだ。　それが今の君と すずさんのためでもある。)) ご忠告に従うべきだと？ そうだ。 僕は それが正しいことだと思えません。 それに　森下先生ご自身も 正しいと思ってるとも思えません。 だとしても　俺に従ってほしい。 紺野先生　俺は 医者として自分が向かってるのは→ 君と同じ場所だと思ってる。 ♪♪～ あぁ　紺野先生…→ 今日は　もう上がりですか？ ええ　まあ。 じゃあ 一緒に来てもらえませんか？ 僕　今日　下田君と 会う約束してるんですけど。 あぁ…　沢村先生は？ 仕事あるんで。 そうですか。 お願いします！ やっぱり良くないですよ→ このまま本当に 辞めてしまうなんて。 うん　でも…。 すず…。 ＤＶＤ？ 心配しなくていいよ。 ちゃんと　やっとくから。 うん。 ♪♪～ カチ（クリックの音） カチ カチ ♪♪～ ♪♪～ （下田）心配してくれんのは うれしいすけど→ 俺　もう　決めてるから。 今日も　伊達さんち行ってきて→ 裁判の手伝いするって 約束したしな。 （谷口）裁判って。 （下田）証言すんだよ。 あれは佐伯教授の医療ミスだって。 （直美）ちょっと　声　大きいわよ。 訴える方針っていうのは 固まってるんですか？ まだ弁護士さんと 相談してるらしいすけど。 やめたほうが いいんじゃない？ ほんとに病院 戻れなくなるわよ。 （下田） だから　戻る気ないですって。 けりついたら とりあえず　アルバイト探して→ これからのこと考えます。 （谷口）医者　続ける気ないの？ ねぇよ。 あんな頑張ってたのに？ 下田先生。 （下田）紺野先生は→ 応援してくれるんじゃ ないんすか？→ 自分も３７で医者に　なったんだし。 俺　かっこいいと思ってたんすよ。 上に　にらまれても→ 自分が正しいと思ってること やってる紺野先生　見てて。 俺も　やり直します。 まだ２４すから。 ♪♪～ ♪♪～ ((ＤＶＤ？)) ((心配しなくていいよ。 ちゃんと　やっとくから。)) ♪♪～ ♪♪～ ドックン　ドックン…（鼓動の音） ドックン　ドックン… （中島）明日は　いよいよ 医学部長選挙の日です。→ 投票権のない我々にできることは 祈ることだけですから→ 総合内科職員　一丸となって→ 佐伯先生の必勝を 祈願いたしましょう。 元気ないな　みんな。 小菅先生　例のものを。 （小菅）はい。 どうぞ。 スモールも。 （小菅）どうぞ。 （中島）ありがとう。 それじゃあ　最後に えいえい　おう！で…。 （直美）以上となりますので 本日も　よろしくお願いします。 （一同）よろしくお願いします。 はぁ～。 朝から　ため息ですか。 昨日　あまり寝れなくて。 寝癖　ついてますけど。 あっ…。 ちゃんとしてないと すずさんに笑われますよ。 すいません。 紺野先生。 はい。 今日の午後 すずさんのご両親と話すんだが…。 持続透析のこともですか。 ああ。 君は　どうする？ 同席します。 わかった。　じゃあ　後で。 ≫（戸の開閉音） （中島）患者も含め　皆→ 佐伯教授の勝利を 確信しております。 （佐伯）ははっ。　まっ　今となっては 勝負は見えてるがね。 （中島）あはははっ。　あっ　確か→ 長谷川派の先生方も何名か 佐伯教授の支持に回られたとか。 ふっふふっ。 利口だからね　あの連中も。 （中島）あぁ～。　佐伯教授の ご人徳のたまものです。→ あの～　ただ…→ 例の伊達さんの件なんですが。 あぁ… そのことは　もう済んでるよ。 はっ？ だからさ→ 利口な人間は話が早いんだよ。 ふふふふっ。 ♪♪～ どういうことっすか？ 裁判しないって。 今度のことは　示談にしました。 だから　何でなんすか？ 昨日まで　あんなに…。 ≪裁判になっても→ 長引く可能性が 高いんです。→ 先方から提示された示談金も 相応の額でしたから。 金の問題じゃないっすよ。 ご主人が…→ 伊達さんが亡くなったのに…。 （由美恵）ですから 裁判をしても　しなくても→ 主人は帰ってこないんです。 これ以上 事を大きくしたくありませんから。 はっきりさせたいって 思わないんすか？ このまま うやむやで終わらせたら…。 そう思うのは→ あなたが他人だからです 下田先生。 （由美恵）私は 主人を助けてほしかっただけです。 死んだ理由を→ 教えてほしかったわけじゃ ありませんから。 俺は…。 下田先生のお気持ちには 感謝しています。 でも　もし　本当に 主人を悼んでくださるんなら→ 病院に戻ってください。→ 今のお気持ちを 他の患者さんのために→ 役立てていただきたいんです。 それから…。 （由美恵） もし　お願いできるんなら→ これを佐伯先生に。 ♪♪～ ♪♪～ コンコン！ すず？ ≫（寛子）お疲れさまです。 葛城さんなら 散歩に行かれましたよ。 散歩？ ええ。　沢村先生と一緒に。 ♪♪～ ええ　まあ。 う～ん 嫌いなわけじゃないんですけど→ あんまり興味がないっていうか。 ずっと　勉強　勉強だったんで→ 花とか見ても あぁ　植物だなって感じなんです。 そうですかね。 えっ？ 夜の声？ すずさん？ べつに。 転院ですか？ あぁ…　そんなことありません。 紺野先生は…。 私に？ ((すずが沢村先生の分もって。)) ♪♪～ 普通ですよ。 それに…。 おいしかったから。 すごく　おいしかったです。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 医療ミスねぇ～。 （下田）はい。　こちらの雑誌で 取り上げてもらえればと思って。 （下田）この記事みたいに。 ≫でもさ それって証拠とかないでしょ？ （下田）それは　そうっすけど。 これは　まあ→ 下世話な受け方は　したけどさ。→ 医療ミスとか 硬いねただとさ→ ほら　何か　こう　もうちょっと こう　派手じゃないと。 派手？ ≪例えば→ ミス連発で ２～３人　殺しちゃうとかね。 ははははっ！そういう話だったらさ うちは　まあ…。 ふざけんじゃねぇよ。 わっ！ （下田）人の命　何だと思ってんだ。 ♪♪～ 何だよ　あいつ。 ♪♪～ （森下）持続透析に関する説明は 以上です。→ 何か　ご質問がありましたら 伺いますが。 （博昭）持続透析を始めたら ずっと続ける必要があるんですね。 はい。 祐太さん…。 これ以上　悪化すると その方法しかありません。 （博昭）私どものほうは結構です。→ 後は　すずと話を。 では　私も一緒に。 反対です。 ん？ 沢村先生？ 私は　反対です。 あの…。 すずさんは　転院を望んでいます。 （森下）何言ってんだ　沢村先生。 ご本人から聞きました。 もちろん→ 早く決めていただいたほうが いいとは思いますが→ 私は　転院も視野に入れて 検討すべきだと思います。 沢村先生！ ♪♪～ 何を考えてるんだ　君は。 すずさんの心機能は→ エジェクション・フラクションが ３０％以下になってる。 これが　どれだけ危険な状態か わからないのか？ 今の状態では　転院を 受け入れてくれる病院はない。 下手をしたら 搬送中に死ぬ可能性だってある。 たとえ　本人が希望したとしても→ 医者として最優先すべきは 患者の命だ。 今日中に反省文を提出しなさい。 君の意見は ご家族をただ混乱させただけだ。 医者なら 一時的な感情に流されるな。 ♪♪～ 沢村先生。 ふっ…。 医者を目指してから 反省文　書かされるの初めてです。 優秀でしたから　私。 今まで　ずっと。 知ってますよ。 知らないですよ。 知ってるなんて 軽々しく言わないでください。 今まで→ 患者さんの命を最優先するのが 当たり前だと思ってました。 医者として　当然のことだって。 でも…→ 今は　わからないんです。 紺野先生のせいで。 僕のせいですか。 そうですよ。 紺野先生と会わなかったら…→ 私は迷わなくて済んだのに。 ♪♪～ 私は　すずさんを助けたいと 思ってます。 でも　すずさんの気持ちを 無視して→ この病院で　ただ命をつなぐことが 正しいのか→ 今は　わかりません。 ♪♪～ ≫コンコン！ うん。 うん。 聞いた？　透析のこと。 そっか。 今は　あまり調子　良くないから。 ほんとは　つらいんだろ？ 手話だって。 だから…。 すず。 わからないよ。　けど…。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （直美）来なさい。　早く。 下田先生。 あっ…。 （直美）ロビーで　うろうろしてたから 捕獲したの。 ♪♪～ ≫（戸の開閉音） （谷口）おかえり　下田君。 （下田）おかえりじゃねぇよ。→ べつに戻ってきたわけじゃ ねぇんだから。 じゃあ　何で　いたのよ。 ちょっと　時間　空いたんで。 強がんのやめなよ　下田君。 ちっ　うるせぇなぁ。 紺野先生　この書類…。 あっ…。 戻ったんなら　白衣着ろ　研修医。 違うなら　部外者は出てけよ。 （谷口）新見先生。 これ　お願いします。 （下田）新見先生は 何とも思わないんすか。 担当の患者さんが死んだのに… 今までだって。 俺がどうとか　関係ないだろ。 伊達さんのことも。 お前が 医者　辞めようとしてんのは→ 責任が　どうとかじゃなくて ただ単純に怖いからだろ。 そうっすよ。 怖いに決まってるじゃないすか 他人の命　預かってんのに。 それは　当たり前のことだろ。 ♪♪～ ≫（戸の開閉音） （谷口）下田君。 ♪♪～ そっか。 やっぱ怖ぇんだな　新見先生も。 マジで怖ぇよ…。 このまま医者やってくの。 命の重さに押しつぶされたら→ 医者は続けられないでしょ。 僕も　そう思います。 （谷口）紺野先生。 けど　命の重みを忘れたら→ 医者を続ける意味がないと 思います。 紺野先生…。 だから　下田先生は戻るべきです。 ♪♪～ 伊達さんのこと 僕も一緒に戦いますから。 ♪♪～ ううっ…。 ううっ…。 はい　ハンカチ。 ううっ…。 （直美）もう　めそめそしないの 男のくせに。 （谷口）はははっ　下田君。 ふふっ。 （谷口）下田君。　はははっ。 はははっ。 （谷口）はははっ　らしくないな。 ははっ。　ねぇ。 ♪♪～ はぁ～。 （下田）おはようございます。 （瑞希・谷口）おはようございます。 あっ。 （下田）おはようございます。 今日から復帰するんだね。 はい。　ご迷惑おかけしました。 もう落ち着いたのかよ？ 落ち着く気は　ないっすよ。 医者なんで。 失礼します。 ♪♪～ おとなしくしててよ～ 医学部長選の当日なんだから。 （谷口）あっ　そうだ 下田君　昨日のハンカチ。 （下田）あぁ～　食べちゃった。 ははっ…　そんな。 ♪♪～ また泊まり込み。 （谷口）ちょっと　紺野先生。 ちょっと　起きてくださいよ。 紺野先生。 あぁ…　おはようございます。 （谷口）もう…　はぁ～。 よだれ　付いてますよ。 ♪♪～ ♪♪～ （進行役） では　投票をお願いします。 ♪♪～ ♪♪～ 転院？ はい。 患者である すず本人の希望ですから。 はぁ～ 冷静な判断とは思えないな。 受け入れ先は　どうする？ あの状態じゃ…。 帝都大学病院に打診します。 系列では　ありませんが…。 必要なら また　反省文　書きますから。 沢村先生。 主治医として　責任は持てない。 ≫（戸の開閉音） （高木）森下先生。 （森下）ああ。　どうした？ 実は　お話　したいことが…。 （森下）京誠会病院？ （高木）ええ。 佐伯先生の２期後輩の 塚原先生です。 （高木）((新薬の研究会の案内 こちらに置いておきますので。)) （塚原）((ああ。　いつも悪いね。)) ♪♪～ （森下）膵癌のステージⅣｂ っていうのは　間違いないんだな？ そのようです。 この話　他の人間には？ いえ。　まずは 森下先生にと思いまして。 わかった。　とりあえず　このことは 他には漏らさないでくれ。 はい。　今　投票中ですよね 医学部長選の。 ああ。　もう　決まってる頃だ。 ♪♪～ （江上）おめでとうございます。 （尾藤）圧勝でしたね。 （佐伯）ありがとう。 ♪♪～ ≫（戸の開閉音） 紺野先生。　転院のこと→ すずさんには　紺野先生のほうから 説明してください。 でも…。 私は転院の手続き　進めますから。 わかりました。 はぁ…　だから　寝癖。 コンコン！ うん。 おめでとうございます。　佐伯教授。 いや～　ありがとう。 君たちのサポートのおかげだよ。 （中島）いやいや もったいないお言葉です。→ よろしければ　早速　私が 祝勝会を企画いたしますので。 あぁ　そうだね。　はははっ。 ≫コンコン！ はい　どうぞ。 失礼します。 （佐伯）ん？→ あぁ　森下先生。 これから　忙しくなるよ。 そうですね。 佐伯教授　医学部長就任 おめでとうございます。 うん。 ♪♪～ うん。 具体的なことは　これからだけど。 いいよ。　そのかわり　すずには→ 体をゆっくり休めて 整えてもらわないと。 俺も　すずの言うとおりだと思う。 すずと一緒に 俺も正しい今を生きたいから。 だから　約束。 これからも一緒に　いられるように 早く元気になろう。 ♪♪～ 一緒に見れるように ＤＶＤも置いてあるから。 今日　払っとくよ。 じゃあ　お父さんとお母さんに 連絡してくるから。 ♪♪～ （すず）寝癖。 すず　今のって…。 今　声　出たよな？ うん…。 はっ…　ははっ…。 出た。　出たよ　声。 はぁ　はぁ…　ううっ…　ううっ…。 ♪♪「僕と花」 無理しなくていいよ。 少しずつ…　少しずつでいいから。 うん…。 ♪♪～ ううっ…。 はぁ～。 ♪♪～ ♪♪～ ≪（戸の開閉音） 沢村先生！ どうしたんですか？ 声　出せたんです。　すずが声を。 ほんとですか？ はい。 僕　ご両親に 連絡してきますから。 ♪♪～ ♪♪～ はい。　待ってます。 今から 心療内科の先生に伝えてきます。 はい。 失礼します。 すずさん？ すずさん？ ♪♪～ ３０３号室です。 すぐ来てください！ ピンポン　ピンポン…（ナースコール） すずさん？ すずさん。　すずさん！ すずさん？ すずさん！ すずさん？ （直美）森下先生　呼んで。 ≫はい。 （直美）永井さん　モニター準備して。 （寛子）わかりました。 （直美）それと　カートお願い。 はい。 どうしたんですか？ （直美）あっ　紺野君。 すずさんが…。 ♪♪～ すず…。 （すず）祐太さん。 目の前にある命を 助けようと思わない時点で→ 森下先生も 佐伯先生と変わらないと思います。 ３７で医者になる人間も いるんですから。 （ナレーション）＜　このドラマが 今日からオンデマンドで配信開始。＞ ＜詳しくは 番組ホームページまで。＞

Marvel パニッシャー.S01E12.JA

1 〝フランク･ キャッスル〞 氏名を フランク･キャッスル この供述は強要でなく 引き換えに 刑事免責を― 与えるものでも… あんたの保身に 付き合えと？ 答えて 何の取引も保証もない キャッスルさん 海兵隊の 武装偵察部隊に？ いた でも最後は別組織に？ ＣＩＡの極秘の 〝ケルベロス作戦〞に 参加した 目的は？ アフガニスタンの 重要な標的を― 拘束して尋問し 殺すこと 公式記録はなし 知ってるのに なぜ聞く？ 映像に残すの 作戦が違法だったからだ ヘロイン密輸で得た金で 作られた暗殺部隊だ 仕切ってたのは？ スクーノヴァ大佐 ベネット大佐 お宅のウォルフ 皆 死んだ 殺したの？ ベネットは違う 仲間に殺された 俺が仕向けたのかもな 仲間とは？ 首謀者だ ウィリアム･ ローリンズ ＣＩＡ秘密作戦の指揮官 全部 企んだ 他にも仲間が？ ああ 戦友だった ビリー･ルッソだ あんたも知ってたよな 心配ない レオ　もう安全だ ママとザックは？ 何とかする きっと大丈夫 本当に？ 任せろ 何があったの？ 死んだと思ってた お葬式もしたよ ああ 皆がパパを… 分かってる 家族を守ろうとしたんだ 今は理解できないよな 実際 守れなかったし でも挽回する いいね？ またいなくなるの？ ピートも 何かする気でしょ　やめて ママたちを助けに行く 行かなかったら？ 氏名を 待ってくれ　教科書通りの 聴取を受ける気はない 俺たちは同じ奴らを 捕まえたいと思ってる だが家族を守る方が 俺には優先だ 妻と息子を取り戻せたら 望みの物をやる 望みの物？ ローリンズがズバイルを 殺したことを示す映像 あんたがなくした映像だ 俺が殺される原因に 誰に？ その映像を フランクに見せて― ローリンズを特定させ 正義を果たしたいんだろ 正義なんてものはないのに 信じてない？ 信じてたよ あんたや司法が正義だとね だが違った 殉職者たちは 正義を信じてたわ 捕まえるには 汚い方法しかない そうは思わない 〝デビッド･ リーバーマン〞 〝デビッド･ リーバーマン〞 そう思うさ 〝デビッド･ リーバーマン〞 最後にはね 家族を取り戻す 力を貸してくれたら 必要な物を渡す 標的の１人はズバイル？ そうだった 何をしたの？ ローリンズの命令で 彼を見つけ出し― 家族から― 引きはがした 大勢に同じことをした 聞いて満足か？ 彼は拷問された ああ そして殺害？ 現場にいた？ そうだ ローリンズの指示？ ああ 全部 映像に残ってる 証拠は十分だ ルッソが引き金を？ いや 違う 俺だ あなたが殺したの？ そうだ 証拠は十分だと言ったろ NETFLIX オリジナルシリーズ Marvel パニッシャー 遅い いや もう来てる 俺たちを監視中だ なぜここで撃たない？ 多分 奴らは― ザックとサラを… 俺たちを殺す気はない パソコンの仕掛けが効いた 俺の時と同じだ 連中はビビってる まるで死刑宣告だ 余計なことは考えるな ただ心を静めろ やらなくていい サラとザックを放っておけん 何があっても 計画通りに進めるんだぞ 分かった あんたに… 言っておきたい こんな俺だが… この恩は忘れない 来たぞ ２人を見ても取り乱すな 行こう クソ 慌てるな 落ち着け いいな 計画通りに ザック ママ　パパだ！ パパだよ あれは ただの脅しだ ２人を傷つけない 単なる見せかけだ デビッド… 何だ？ 話は簡単だ お前たちは車に乗れ 従わないと 親子は火だるまだ 俺を撃たないってことは― パソコンの件で困ってるな お互いさまだろ さっさと済ませよう インチキなしだ 歩け 分かった 行け デビッド？ 落ち着け 冷静に パパ？ デビッド？ 歩き続けるんだ デビッド そのまま行け 大丈夫だ デビッド クソ 警察だ！ 車に乗せろ 急ぐんだ ダメだ！ 逃げろ 走れ！ リーバーマンも 来い 来るんだ 撤収だ 撃って あなた！ 車に乗って　早く！ クソ 伏せて！ 撤収しろ デビッド！ 嫌よ！ おかえり いい所だな 手下の死体で飾っといた 手下は まだいる 稼ぎたい奴がな お前の稼ぐ才能も 大したもんだ あの頃 何人も つるし上げたよな だが一度も こう思ったことはなかった “明日は我が身かも” だが今のお前は… 時間がないぞ　話は？ なぜマダニが？ さあな　俺とは無関係だ 無関係？ 俺が信じると？ どうでもいい 俺は知らん リーバーマンが 陰で仕組んだのかも 奴に聞け 俺がお前とローリンズの 逮捕を望むと？ ムショに？ あり得ん お前を殺す 死ぬのを見届ける まったく お前は あきれた奴だな 俺たちを― 殺せると まだ思ってるのか？ お前は勝てやしない 終わりだ どうやって死ぬか 決めさせてやる 約束は守ったぞ 女と子供は解放した 奴は？ パソコンの ログイン方法を教えろ リーバーマンは？ 残念だが お前の友達はもういない 殺したのか？ マダニたちがな ３発 撃ちこんだ お互い 残念だな だから こうやって お前に聞くことが― 避けられなくなった 俺の家族のことは？ 避けられなかった？ お前が― 妻を撃ったのか？ 俺の息子を？ 俺の娘を？ 教えよう 俺じゃない あの場にいなかった いたら お前は死んでた 嫌だと断ったんだ だが知ってた？ 知ってたんだよな ああ 知ってた 妻は… あれは想定外だった 過去に戻って 変えたいが無理だ フランク 俺を見ろ 見るんだ こんなこと望んでなかった お前を殺す 無理だ 殺せない ラクに死ぬか苦しむか 決めるだけだ ふざけるな 死ぬより悲惨なことはある 俺は死にたい そうか？ ああ お前も死にたいと思う時が 必ず来る 望み通り死なせてやるよ 分かった お前の勝ちだ ラクな死に方を選ぶ さあ 撃ってくれ どうした？ 無理か？ パソコンの件がある あの女の調子は？ どうだ？ ふざけるな 数字がゼロになったら？ いいことが起きる めでたいことが 死体袋が必要？ 念のためよ 本当に散々だ 家族は？ 何とか元気 死ぬのを見た割に？ あなたの案よ すぐ無事だと伝えた 家族に会わせてくれ 今すぐに！ 案内する 先に着替えたら？ やあ サイテー ろくでなし どういうこと？ 死ぬのを見たわ 死ぬのを見たのよ この目で！ １年も信じてた やめて どういうこと？ １年も死んだと思ってた 子供たちだって… もういい 分かった 本当に悪かったよ すまない　ごめん お前が大切なのは 洋服に車に女 いつもそれだけだ それが何を表すと？ 何だ？ 成功した自分さ 鏡を見ると― 勝者である自分が見える お前の場合は― 負け犬が見える 家族を失い― 信念も失った もうすぐ命も失う 俺は違う 違う？ 分かってない お前はすでに名誉を失った 汚い金をもらった瞬間 最低の人間になったんだ 昔を思い出す場所だ 皆 最後は口を割る パスワードを言え それで終わる 言わないと痛い目に遭うぞ やっとお出ましか 飼い犬のリードを 引っ張りに来たんだろ ビリー　吠えたらどうだ？ 芸をやればエサをくれるかも 嫌だとさ こいつを信じてるのか？ ベネットはどうだった？ ビリーと私は 相互利益の関係にある その関係が崩れたら？ また手袋かよ 前と同じやつか？ これは特別だ　お前専用だよ 何する気だ？ ヤワなパンチだな 全然 効かねえ 効かねえ 説明ならできる 何もかも ちゃんとね 考えがあってやった 全部に理由があって いろいろ重なって… それでアイデアが浮かんで 行動に移した なんていうか…　俺は… 状況に対処しようとしてきた 生きて― 家に帰りたくて 勝ちたかった 言い訳になるけど… すまなかった 地下で１年 バスローブで過ごした 確かに そんな見た目ね フランクはどこ？ あいつは望むとこに行った どういう意味？ バカなことをしにな 俺たちのために あいつを犠牲にした 彼は殺されるの？ 先にフランクが奴らを殺す 成功を願う 奴らは地獄に落ちて当然よ フランクの方が 今頃 死んでそうね 居場所が分からないから 何もできない そうよね？ これが車に 奴らが行く場所へ キャッスルが導く計画だった 一体どうして彼が 私をだましたのか説明して 発信器は偶然 落ちたのかも グル？ フランクは 他人とツルまないし― 社交的でもないだろ ウソがヘタね 欲しい物は手に入れたろ 全部ある　フランクの供述に ズバイルの映像 約束の半分は守った 言っとくが― あいつには借りがある 裏切れない そんなふうに 義理立てするけど― ズバイルを殺したのは 彼なのよ あれは殺人よ 彼も分かってるし 苦しんでる あれからずっと 生きる価値がないと 死を覚悟してる 残念だがね なら居場所を教えて “パスワード 網膜スキャン” ムダだぞ お前は負けた 任務は終わりだ お前は そこが 分かってないようだ 誰を守ってる？ マリアか？ 子供たち？ 皆 死んだ グンナーもリーバーマンも 誰も残ってない 死んだんだ お前のせいでな 分かるよ かなりデカい重荷だったよな 下ろす時だ お前は― 死んだように さまよう亡霊だ 見たくない 悲しくなる 白状しろ ラクに死なせる 兵士のごとく行け ダメだ　待ってくれ 待つんだ　マリア フランク フランク ビリー？ そうだ ここにいる 覚悟ができた 分かった お前がやれ 終わらせろ あいつに やらせないでくれ 約束する ビリー おい 聞け 約束する 本当だ よし 分かった 向こうへ 網膜スキャンとパスワード 俺の目と右手が必要だ お前がやってくれ 運べ どけ 何事だ？ 観念した デスクの下の銃は もうないぞ できた “認証完了” 終わりだ あっけなくて 少しがっかりしたよ お寝坊さん 何時？ 10時半よ マジか 寝不足だったのね 家だから 休んで ああ 子供たちは？ 遊んでる　パパとは後で 今が一番 難しい 心ここにあらずね 向こうが長くなるほど 家はどこ？ ここ？ それとも向こう？ ここだよ 君がいるここが家だ そうとは思えない ごめん いいんだ　聞いてくれ 今日は公園で メリーゴーラウンドに乗って 体に悪い物を食おう ええ 俺は… もう行かない ずっとここにいる 終わりだ 本当だよ 君といる 家にいるよ おいで プログラマーは すご腕よ システムに感心する 会いたいわ 死んだよ 口外すれば君もそうなる 消去は？ やってる “処理中断” 私は国を守ってきた クズのお前と違って偉大だ お前のせいで… 年金を取り上げられたか？ クソ お前ごときが 私を殺せるわけがない 許しを乞うさ 失血し… 弱っていく 恐怖を感じろ 肋骨がきっと折れてるぞ 息ができなくしてやる 苦しさに耐えられず 最後に声を絞り出して言う “頼む　助けてくれ” やめろ もういい 痕跡を消したら終わりだ その後 殺す 邪魔した奴を 簡単には死なせん 約束したんだ そんなこと知るか フランクが邪魔したと 言ったが― 何のことだ？ どうぞ フランクに約束した 何の話？ そのパソコンを貸してくれ あいつは だましたんじゃない 隠してただけだ パスワードを？ 俺に感謝するさ 彼は連中を殺すために 生きてる だからチャンスをやった 連中をハメたんだ あの場所に行くしかない ひどい どこなの？ 助けないと 録画を？ ああ　連中を殺せなかったら せめてあんたが証拠を― 握れるように 手遅れになる前に助けないと 頼む ダメだ　まだ死ぬな 死なせん　命乞いしろ こんなのムダだ ボスは私だぞ お前は道具だ　奴と同じさ 異常だ こうなったのは あんたが フランクを追ったせいだ 俺を泥沼に引き戻した 引っ張り上げてやったんだ 勘違いするなよ 頭を使うのが私 お前は手先だ 捜査官たちを 殺したのは誰だ？ 私はお前の除隊証明書も 送金記録も持ってる 犯罪者に見えないのは 私のお陰だ バカな下っ端め 見殺しにすべきだった だが助けた 確かに そうだな やめろ　タダじゃおかないぞ そいつから離れろ 逆らうなど許さん イカれてる 目の借りを返す 時間よ 選んで そんなこと… させないでくれ 帰ってきて しっかりしろ 目は開けといてくれよ アドレナリンだ　元気が出る いいぞ 復活したな 鼓動が強くなった 大した奴だ 血まみれね 何だ？ 全部 消去した 金をやって追い出せ 最後は私とお前の勝負だ 仕返しの時間だ 家に帰って 帰りましょう ほら ほら もう死んでる 心臓は動いててもな ここが家だ バカめ 思い出したか 死ね 最高だ　フランク いい仕事っぷりだ ビリー お前の顔が見たかった 何の話だ 気づいた時の… 何にだ？ 終わりだ お前は大事にしてきたものを すべて失う 俺の銃じゃない 痕跡はない 国土安全保障省だ！ 生意気なマネを 行って！ 散らばって　封鎖して ルッソは武装してる おい！ 俺を見ろ 息をしてる 彼を外へ 救急車を 病院はダメだ　警官がいる 正義は果たされた 恩を返せ フランク 俺はあんたを裏切った あんたを裏切って 皆を連れてきたんだ クソだろ クズって言えよ ろくでなしって 言えよ さあ 早く！ クソ野郎って言えよ 死ぬな 頼むよ 頼む マリア… よし いいぞ それでいいんだ ビビらせやがって 大丈夫だぞ 家だ 日本語字幕　岡田 多美江

刑事７人１st＃06

1 ♬～ (笑い声) あ～ いいね！ きれいだねえ｡ ♬～ (風鈴の音) ♬～ (高堂隼人)おう…！ 今日 仕事は？ (高堂愛理)えっ 水曜は 夜勤になったって言ったでしょ｡ (高堂)ああ そうか｡ じゃあ 遅れるなよ｡ (高堂)じゃあ いってきます｡ (高堂由美子)終わったら→ 連絡ちょうだい｡ (高堂)はい｡ (由美子･愛理)いってらっしゃい！ (高堂)はい｡ ♬～ (高堂)おはようございます｡ ♬～ (スタッフ)高堂さん 入ります｡ よろしくお願い致します｡ ♬～ (三輪友里)昨日は どうも｡ ♬～ ｢いくらだと思いますか？｣ ｢1500円｣ ｢1500円！ えっ 1500円の杏仁豆腐だったら…｣ (店員)ありがとうございました｡ (永沢圭太)今夜は 天樹さんの歓迎会なんだから→ 軽めにしておいたほうが いいんじゃないですか？ 食べたい時に 食べたいものを食べる｡ それが僕の生き方なんだよ｡ 生き方 問うてるわけじゃ ないんですよ｡ 大体 よくそんな寝不足で カツ丼なんか食えますね｡ 取り調べしてるとさ カツ丼食べたくならない？ ならないです まったく｡ ああ… 眠たい…｡ シャワー浴びたい…｡ ああ お肌ボロボロ…｡ (沙村康介)何 ごちゃごちゃ ごちゃごちゃ言ってるんだよ！ 今夜は ようやく 天樹の歓迎会なんだぞ｡ １人として欠ける事は許されねえ｡ なんで あんなに暑苦しいの？ なんか言ったか？ 係長！ そもそも 今頃になって歓迎会って 必要あります？ ある｡ まあ いいか 美味しいもの食べられるなら｡ (ガラスが割れる音) (愛理)お母さん ホットケーキ出来た？ お母さん!? (友里)｢高堂さんは 裁判官になった時に→ ご自分の決断を後悔された事は ないんですか？｣ (高堂)｢僕は引きずらないですね｣ ｢バーボンを一杯飲んで うちに帰る前には→ 仕事の事は全部忘れてますね｣ ｢すごいバーボンですね｣ このネタ 他の番組でも言ってましたよ｡ ウケるから何度も言うんだよ｡ ぬるい笑いだよな｡ で どんな店なんです？ おい 山下！ 山下～！ (山下 巧)あっ あっ ああ～！ この山下とした事が 三日三晩の徹夜で→ 幹事としての責務を すっかり忘れてました｡ えっ!? あ～！ 懲戒ものだ～！ おおげさな…｡ 山ちゃん！ そんな顔するなって｡ まだ大丈夫だよ！ また暑苦しい｡ ああ そうだね サム｡ あ～｡ あ～｡ 皆さんのお好みを お聞かせください｡ (片桐)俺は 酒と あぶったイカがあればいいぜ｡ 私は日本酒よりワイン希望｡ 俺 たんぱく質｡ 低脂肪 高たんぱくね｡ ああ｡ それ 料理じゃなくて 栄養素でしょ？ まあまあ ご安心を｡ この山下が 皆さんの 自己中心的な意見を集約し→ 最高の店をリサーチしますからね｡ うん！ よろしく｡ (山下)ええ！ 永沢くんは バツつけたの？ バツ？ なんですか？ それ｡ 最高裁判事は 選挙の時 国民審査するじゃん｡ ああ…｡ 誰にも バツつけなかったんじゃ ないですかね｡ 判事が どんな人かなんて わからないし｡ 高堂さんは 史上最年少で 最高裁判事になったんだよね｡ へえ…｡ 天樹さんは バツつけたんですか？ どっちだと思う？ どっちでもいいです｡ ｢また明日｡ さようなら｣ ｢また明日｣ (スタッフ)はい オッケーです！ お疲れさまでした！ (一同)お疲れさまでした！ どうもありがとうございました｡ (友里)高堂さん｡ お疲れさまです｡ あの また今度 いいですか？ ええ いつでも｡ ♬～ (高堂)お疲れさま｡ どうもありがとう｡ (田中優奈)お疲れさまです｡ (高堂)お疲れさまでした｡ 奥さんですか？ え？ ああ…｡ 本当 愛妻家ですね｡ まあね｡ フフ…｡ ♬～ (通知音) ♬～ それにしても遅えな あいつら｡ 何ゆえ腕立て伏せ？ え？ たんぱく質 摂取する前に→ 筋肉に負荷をかける必要が あるだろうがよ｡ そんな事も わかんねえのかよ｡ あ～！ トイレ行ってくるわ｡ 暑苦しい…｡ あ～ あ～！ うるさい！ (通知音) 飲み会 楽しみですよね｡ 言っておくけど 今日は僕の歓迎会で→ 永沢くんの歓迎会じゃないんだよ｡ わかってますよ｡ ♬～(鼻歌) あっ びっくりした！ 止まらん！ どうした？ ああ～！ (衝突音) あら？ ありゃ～｡ ちょっ ちょっ… 行こうか！ 放っておきましょうよ→ 自転車の事故ぐらい｡ やだ！ 子どもかよ もう！ (高堂)ああ…！ 大丈夫ですか？ (西沢淳一)うっ… あっ…｡ うっ…｡ (高堂)すいません！ 警察の者ですけど… たまたま 通りかかったものですから｡ ああ そうですか｡ お手数をおかけします｡ やっちゃいましたねえ｡ (高堂)すいません あの… 弁償させて頂きますので｡ いや でも これ…→ タイヤ替えれば 大丈夫じゃないかな｡ あれ？ 時計止まってますよ｡ あっ これね すぐ止まっちゃうんですよ｡ 腕時計は しない派ですか？ ええ 携帯で十分｡ 壊れないし｡ あの… 無駄話してないで そこの交番行きましょうか｡ ああ 行きましょう 行きましょう｡ ね！ (永沢)まあ というわけなんで あとは よろしくお願いします｡ (亀井)はい！ お任せください！ うわ… 元気だね｡ もうね 俺 敬礼する元気ないんだよ｡ ついてませんでしたね 高堂さん｡ あ… ブレーキが 利かなくなったもので｡ ついてなかったです｡ バーボン一杯飲んで→ 忘れちゃってください｡ さっき ワイドショー見ました｡ あっ そうですか｡ ああ 俺も見た事ありますよ｡ 彼ね 高堂さんの笑いがゆるいって 言ってましたよ｡ ゆるい？ ええ｡ あ… もう余計な事 言ってないで 僕ら 行きましょう！ 言ってたでしょ？ だって｡ じゃあ あと よろしく！ (永沢)言ってません！ (高堂)お手数かけました｡ お気をつけて！ どうも｡ じゃあ お二人は交番の中へ｡ 弁償は致します｡ 治療代も 十分出させて頂きますので→ この事は…｡ テレビの人ですもんね｡ いえ テレビではなく 法曹界の人間なんです｡ テレビの｢放送｣でしょ？ いや あの…｡ まあ まずは当事者同士で 話し合ってという事に→ なると思いますが…｡ (西沢)時間かかる？ そうですね 多少は｡ ああ…｡ ７時までに帰るって かみさんに連絡したのに→ 間に合わないな｡ 私も１時間で帰ると約束してます｡ 別々に話を伺うので… どちらからにします？ どうぞ｡ (亀井)じゃあ 奥へどうぞ｡ 高堂さんは ここでお待ちください｡ はい｡ はあ…｡ ふう…｡ (亀井)ケガがなかったのが 不幸中の幸いですね｡ ホントだよね｡ 女房 相手のほう心配してるよ｡ ひでえな｡ ハハハ｡ (通知音) フフ…｡ ♬～ はい これで終わりです｡ 交代しましょうか｡ はいよ｡ (亀井)あれ？ (西沢)いないね｡ ちょっと待って｡ 高堂さん！ あれ？ 交番の自転車がない｡ ♬～ (クラクション) (永沢)寄り道しちゃったから→ 渋滞になっちゃった じゃないですか｡ 仕事終わったんだし 急ぐ事ないよ｡ 天樹さんの歓迎会のために 12係で みんな待ってるんですよ｡ そういえばさ 永沢くんの時は 歓迎会やったの？ ないですよ｡ へえ…｡ フフフ…｡ えっ なんですか？ その…→ 僕が好かれてなくて 同情する的な…｡ (携帯電話) あっ｡ (携帯電話) もしもし｡ 高堂さんが いなくなってしまいました｡ え!? 交番の自転車も盗まれてます｡ 自転車盗んだ？ わかりました｡ ちょっと交番戻ってくれる？ ええ～？ バーボンひっかけに行ったんじゃ ないですかね｡ それはないね｡ 冗談ですよ｡ 不思議だなあ｡ 元最高裁判事が聴取の途中で 自転車盗んで逃げるかなあ…｡ ご苦労さま｡ (亀井)お疲れさまです｡ 高堂さん 何か用事あるって 言ってました？ (亀井)１時間で帰るって 約束してたみたいですけど→ 特に焦ってる様子は なかったですし…｡ １時間で帰宅するって 言ってたんですよね？ はい｡ 住所あります？ はい！ 自転車の防犯登録で調べました｡ ああ… 警視庁のほうが近いな｡ 沙村さんたちに応援頼もうか｡ ああ じゃあ 僕がかけます｡ いいですか？ いいよ｡ じゃあ 環様に電話しよっと｡ 様!? あのさ 寝不足なのに→ 歓迎会のために 待ってあげてるんでしょ？ これから 自転車事故に駆り出されるの→ ごめんなんだけど｡ とっとと帰ってきなさい｡ (舌打ち) はあ…｡ (不通話音) 環さんに怒られてしまいました｡ さっきさ 様って言ってなかった？ 言ってないです｡ 言ってたでしょ？ 言ってないです｡ 言ってたよね？ 気のせいです｡ 早く行きましょうよ｡ あれ？ 元最高裁判事？ でも ただの自転車事故だし 交通課の仕事ですよ｡ ああ 片桐だ｡ 状況を聞かせてくれ｡ 状況は とても不思議なんです｡ 事件性があるって事か？ 高堂さんの自転車は 最新モデルです｡ しかも よくメンテナンスされているので→ ブレーキの故障は不自然です｡ ブレーキの ワイヤの切れ方を見ると→ 工具で意図的に切断された 可能性が高い｡ 切断面の状態から 数時間以内に細工されています｡ わかった｡ すぐ高堂の家へ向かわせる｡ (片桐)高堂の家へ行ってくれ｡ はーい｡ 沙村 お前も行くか？ いや… 俺が出るほどの 事件じゃないでしょ｡ お前 声掛けられるの 待ってたじゃねえかよ！ いや 俺は別に｡ (山下)皆さん 今夜の店が決まりましたよ｡ あらゆるグルメサイトの情報を 集約し→ 12係にとって最高の店を 見つけました…｡ さっさと片付けましょう｡ (山下)あれ？ あっ ちょっ…｡ (片桐)山下｡ (山下)え？ 店 一回キャンセルしろ｡ あっ… 了解…｡ (永沢)えっ 歩いて行くんですか？ だって 渋滞中だよ？ こっちのほうが早いでしょ｡ マジかよ｡ 俺が高堂の家に行ってやる｡ ありがとうございます！ 天樹 なんで俺に電話してこない？ だって 永沢さんが→ 環様にかけたいって 言うもんですから｡ ちょっと！ 環様？ ｢僕の妄想によると 永沢さんは→ 年下の環さんに叱咤される事に 喜びを覚え…｣ 擬似的な主従関係を１人で 楽しんでいるものと思われます｡ 天樹さん！ くだらん！ リーダーは俺だ｡ 今度から俺にかけろ｡ わかったな？ ったく！ バカばっかりだ｡ ホント くだらない｡ あ？ なんかさあ 妙な胸騒ぎがするんだよね…｡ 僕らは他に行くべきところが あるのかも｡ え？ もしもし 山下さん？ ちょっと調べてほしい事が あるんだけど…｡ なんでしょう？ 高堂さんに恨みを持つ人間を リストアップ出来ますか？ 恨みを持つ？ そのような あいまいなキーワードで→ この山下検索エンジンを 稼働させるおつもりか？ 高堂さんが判事時代に関わった 事件関係者に絞ってください｡ (山下)｢判事が常に抱えている 平均的な裁判件数を ご存じか？｣ 全ての人間をリストアップすると 膨大な人数になりますが→ それでもよろしいか？ では 地裁の判決が→ 高堂さんが担当した 高裁判決で覆った例に→ 絞ってみてください｡ 可能ですか？ 可能ですかと？ この山下を侮っておられるのか？ 瞬殺で お調べしましょう｡ おい 高堂の家と 方向違うじゃねえか｡ 交番から逃げ出して→ おとなしく家に帰るって 考えられます？ 何かトラブったんでしょう｡ あてがあるのか？ 男がテンパるのは女性関係｡ 家庭とは正反対｡ ケッ… お前 幸せになれそうもねえな｡ 高堂は 女性キャスターと 噂があるんです｡ そこに週刊誌ありますよ｡ ♬～ へえ～ なるほどね｡ Ｇｏｔ ｉｔ？ サンキュー｡ 高堂さんが いなくなった？ あなたなら 居場所を ご存じじゃないかと思って｡ どうして？ かわいい顔｡ えっ？ (机を叩く音) (友里)ごめん 優奈｡ 怒らないの｡ (優奈)だって…｡ 私が高堂さんの 愛人じゃないかって→ 噂を聞いたんでしょ？ ええ｡ 密会してるって｡ フフ… 密会ね｡ 相談に乗ってもらってただけよ｡ ねえ？ (優奈)はい｡ なんの相談ですか？ 同性婚｡ 私と優奈ちゃんの｡ 高堂さんには→ 法律的なアドバイスを もらっていただけです｡ あの… 高堂さんは 浮気なんてしませんよ｡ 愛妻家で 仕事が終わると 必ず１時間で家に帰るんです｡ 奥さんも娘さんも 帰るまで夕食待ってる｡ あ…｡ (２人)ありがとうございました｡ 空振りだったな 環様｡ 行きましょう｡ あの… お幸せに｡ (山下)高堂は 戦後最年少で 最高裁判事になりましたが…｡ ｢その判決は革新的どころか 失点を恐れて保守的｣ ｢如才のなさで上り詰めた男と 言われています｣ 地裁での画期的な判決を何件か 高堂がひっくり返しています｡ 判決に不服を持つ事件の被害者に→ 帰宅時間の約束に こだわりを持つ人物はいるか→ 調べられますか？ 無知なお方だ｡ そのような情報は→ 裁判の陳述書でなければ 得られません｡ ｢すぐに調べられるとお思いか？｣ なんだ やっぱり無理か？ ご安心を｡ この山下 重大事件の陳述書を データベース化してあります｡ さすが｡ じゃあ １時間というキーワードで お願い出来ますか？ (亀井)１時間で帰るって 約束してたみたいですけど…｡ １時間ですね｡ ♬～ ビンゴ ビンゴ！ ｢該当する人物がいます｣ ８年前 自宅に侵入した男に 妻と娘を殺された→ 西沢淳一という男性です｡ (受信音) あの人じゃないですか｡ (山下)｢陳述書によると→ １時間で帰ると約束をしていた 西沢氏が…｣ 夕食の時間に遅れて帰宅すると…｡ (西沢)おーい カギ開いてたよ…｡ (山下)妻子が 強姦殺人されていた後だった｡ (山下)｢被疑者は すぐに逮捕｣ 成瀬博之という若い男ですが 厄介な問題が１つ｡ 成瀬は覚せい剤を使用していて 心神喪失状態｡ 判断能力がなかった｡ 刑法39条によって 罪に問えない｡ (山下)｢そのとおり｣ ｢ですが 地裁の判決では→ 成瀬は責任能力ありと 判断された｣ ｢西沢氏は 少しでも妻子の無念が 晴らせると思った事でしょう｣ それを高裁で 高堂さんが覆したんですね｡ (高堂)被告人には 責任能力がなかったと判断し→ 刑法39条に従って→ 無罪…｡ 無罪とする｡ (傍聴者たちのざわめき) (山下)高堂は 被害者感情を無視して→ 前例主義で 39条を適用したんでしょう｡ ちなみに判決の日付は 今日 ８月19日｡ (山下)｢どうですか？｣ でも それだけで高堂さんに 恨みの矛先が向くでしょうか？ そこですよ！ これは運命的な事件なんですよ！ 西沢が高堂を恨むには 理由があるんです｡ (山下)成瀬は 西沢妻子殺害事件の３年前に→ 別の強姦事件を起こしています｡ (山下)その裁判を担当したのも 高堂だった｡ (山下)基本的に 同じ被告人を 同じ裁判官が再度担当する事は→ まずありません｡ しかし なんの運命のいたずらか 高堂は二度にわたり→ 成瀬に無罪判決を言い渡した｡ (山下)一度目の判決で→ 高堂が成瀬の罪を問うていれば…｡ (チャイム) (西沢真菜)お父さんかな？ (西沢涼子)はーい｡ ♬～ 西沢さんの奥さんと娘さんが 殺される事はなかった｡ 西沢氏が そう考えても 不思議ではない｡ 西沢さんと成瀬のデータを 送ってください｡ 了解｡ 他に何かあれば この山下に ご用命を｡ 水田さんから連絡は？ まだですけど…｡ なんか イライラしてませんか？ そんな事ないよ｡ ったく 何やってんだろ？ やっぱ いらだってるよ｡ もしもし？ 高堂さんの家は どうでしたか？ すまん もうすぐ着くとこだ｡ ｢まだ着いてないんですか？｣ 環様が寄り道してな｡ 沙村さん リーダーなんでしょ？ しっかりしてくださいよ！ おお おお おお… わかった｡ なんか 天樹に怒られた｡ 僕は西沢淳一を追います｡ 成瀬を探してください！ 成瀬を… わかりました！ すいません！ 警視庁の者ですが 自転車 貸してください！ ちゃんと返すから！ いやいや ちょっと！ ちょっと…｡ ちきしょう… いい家に 住んでいやがるんだな おい｡ (チャイム) (チャイム) 留守か？ あっ｡ 開いてるぞ｡ ごめんくださーい｡ 普段 高堂の帰りを待ってるって 話からすると→ おかしくないですか？ 入るか？ いや 元判事の家に 令状なしで入るなんて…｡ 緊急事態だ｡ いや もう… あ～あ｡ ごめんくださいよ…｡ 沙村さん｡ あれ？ なんだ？ これ｡ ♬～ 一体 何が起きてるんだ？ もしもし｡ (新垣)成瀬くん 昨日までは 真面目に出勤してたのに→ 今朝 珍しく無断欠勤しましてね｡ (永沢)ああ そうですか｡ 連絡もつかなくて｡ ここなんですが…｡ ♬～ 成瀬もいません｡ 拉致の可能性あり｡ わかった｡ (風鈴の音) ♬～ (高堂)無罪…｡ 無罪…｡ 無罪とする｡ ♬～ 携帯で十分｡ 十分…｡ 壊れないし｡ ♬～ 繋がった｡ ♬～ 西沢さんは 昔 家族で暮らしていた団地→ 奥さんと お子さんが 殺された現場に向かっています｡ 西沢さんは事件後→ 現在のアパートに暮らしながらも→ かつての家の家賃を 払い続けていました｡ しかし 経済的に 限界がきていたのかと思われます｡ (片桐)追い詰められてたんだな｡ 西沢さんは 死のうとしています｡ 道連れに復讐か…｡ で 何をする気なんだ？ 西沢さんは 高堂さんに 同じ痛みを→ 与えようとしているのかも しれません｡ 全員 西沢が住んでた団地に向かえ！ 了解｡ ♬～ ♬～ (携帯電話) 由美子…！ 由美子か？ タイムアップです｡ 誰なんだ？ あなたは １時間で帰ると約束したのに→ 間に合わなかった｡ あ… なんで そんな事にこだわるんだ！ おい！ (不通話音) (不通話音) ｢留守番電話サービスに…｣ おい…！ うう… はあ はあ はあ…｡ はあ はあ はあ…｡ ♬～ 大丈夫ですか？ 大丈夫です｡ あ… あなた さっきの…｡ まさか…｡ 本当に忘れてやがるんだな｡ 来い｡ どこへ？ 帰るんだよ 家に｡ (片桐)西沢淳一は若い頃 だいぶ やんちゃをしていたらしい｡ 更生したきっかけは→ 亡くなった奥さんの 妊娠だったそうだ｡ 結婚して娘を持った西沢は 二度と悪さはしないと誓った｡ そして 人が変わったように 真面目に働いて→ 小さな運送会社を立ち上げた｡ (男性)これも よろしく｡ (西沢)わかりました！ また お願いします！ (男性)うん｡ お父さん お誕生日おめでとう！ わあ～ ありがとう！ イエーイ！ (片桐)だが 西沢がつかんだ ささやかな幸せは→ 成瀬の凶行によって壊された｡ 西沢は ｢あの日に戻れるなら 約束どおりに帰宅したい｣→ ｢２人を守れるなら 自分が死んでもいい｣…｡ (西沢)もう一度だけでいいから ２人に会いたい｡ もう一度だけでいいから ２人に会いたい…｡ ｢もう一度だけでいいから ２人に会いたい｣→ そう繰り返し繰り返し 繰り返し繰り返し述べている｡ ｢奴は死にもの狂いだ｣ 最悪の事態を止めろ！ (携帯電話を机に叩きつける音) ♬～ ♬～ あんたが野放しにした成瀬に 俺の家族は殺された｡ にもかかわらず あんたは 成瀬を裁かず 再び野放しにした｡ 私は 法律的な判断をしただけだ｡ そしてバーボンを飲んで 忘れたわけか？ お前がテレビで へらへら喋っているのを→ 俺が どんな気持ちで 見ていたと思う？ 違うんだ｡ それは あえて…→ 面白おかしく 言っただけなんだよ｡ 実際 俺の顔を 覚えていなかったろ？ 裁判で 俺は 懸命に あんたに訴えた｡ 大きな判決を下す プレッシャーから逃れるために→ 私は 関係者の顔や名前を→ 意識的に忘れようと 訓練をしてたんだ｡ だからなんだよ｡ じゃあ これから起こる事も忘れろ｡ ♬～ (西沢)ここで２人は殺されたんだ｡ あんたが野放しにした成瀬にな｡ ある場所に 成瀬と→ あんたの愛する 奥さん 娘さんを入れておいた｡ 成瀬には あんたが帰ると約束した 19時を過ぎたら→ ２人に暴行して殺せと 伝えておいた｡ 貴様…！ (スタンガンの音) (高堂)ううっ！ ♬～ (西沢)おい｡ 成瀬から連絡が来たよ｡ ２人…！ ２人は？ 写真は見ないほうがいい｡ (嗚咽) 成瀬の事は殺しておいた｡ 私も殺すのか？ 逆だ｡ あんたが俺を殺す｡ ♬～ 殺したいだろう？ 気持ちは痛いほどわかる｡ 俺が警察に捕まれば 復讐の機会は二度と来ない｡ 俺は１人しか殺していないし→ 家族を殺された過去から 情状酌量もあるだろう｡ (撃鉄を起こす音) 死刑にはならない｡ ♬～ (ドアを叩く音) 西沢さん！ (ドアを叩く音) 西沢さん！ ≪(消火器でドアを叩く音) 警察だ｡ 時間がないぞ｡ ≪(消火器でドアを叩く音) ≪(消火器でドアを叩く音) 今やらなきゃ→ お前は一生 家族の敵を取れなかった男として→ 生きていく事になる｡ ♬～ ≪(ドアが壊れる音) ≪西沢さん！ すいません…｡ ドア 壊しちゃいました｡ 来るな！ 高堂さん… 奥さんと娘さんは？ 成瀬が犯して殺したんだよな？ 高堂｡ 全ては俺の計画だ｡ 西沢さん…｡ あなたは… 成瀬を無罪にした→ 高堂さんのジャッジが 許せなかった｡ だから 高堂さんに→ 復讐というジャッジを 下させようとしてるんですね｡ そう｡ 今や この復讐の主役は 俺じゃなく 高堂だ｡ やれ 高堂！ 高堂さん…→ 銃を下ろしてください｡ やれーっ！ やめてください！ あっ お前に謝らないとな｡ ２人を誘拐する時に つい 力が入った｡ ハッ… 騒ぐもんだから→ １発ずつ殴って 鼻を潰しちまったよ｡ えらい不細工になってたけど まあ 死んじまったら関係ないか｡ ♬～ うわああーっ！ (銃声) それが お前の答えだ｡ ううっ…｡ (高堂の嗚咽) (ため息) (笑い声) どうだろうね｡ フフフ…｡ おっ 真菜の すごい大きくなった｡ (涼子)ホントだ｡ ♬～ 西沢さん!! ♬～ よし！ 大丈夫ですか？ おい 水田！ はい！ 大丈夫ですか？ 大丈夫ですか？ もう大丈夫ですからね！ ああ 沙村だ！ 生きてる！ 高堂さんの家族は無事だ！ ケガはないですか？ ♬～ おい！ おい…！ おい！ よし！ 成瀬も生きてます！ (山下)使用されたのは模造銃で 発弾する機能はありません｡ ただ 本物そっくりの銃声が出ます｡ 初めから 殺すつもりはなかったんですね｡ 復讐するなら なんで 成瀬を殺さなかったんだろうな｡ (片桐)亡くなった奥さんと娘に→ 二度と悪さはしないと 誓ったそうだからな｡ 自殺を決意した西沢が考えた ギリギリの復讐が→ 高堂に引き金を引かせる事 だったわけだ｡ (永沢)なんですかねえ このモヤモヤ｡ やりきれねえなあ｡ あれ？ 天樹くんは？ (片桐)西沢に ついていった｡ ♬～ ♬～ (堂本俊太郎)即死だ｡ 苦しむ間もなかったはずだ｡ 西沢さんの時計→ 奥さんからの プレゼントだったそうです｡ とっても大事にされていて→ 運送の仕事の時も 壊れないように→ こまめに外したり つけたり… していたそうです｡ 事件のあと→ 時計が故障しても 修理せずに→ ずっと 腕にはめ続けていました｡ 西沢も→ 時間が止まった男だったんだなあ｡ 西沢さん 自転車でぶつかった時 時計をしていませんでした｡ きっと 壊れるのが 嫌だったんでしょうねえ｡ ♬～ 帰ります｡ うん｡ これ… お願い出来ますか？ では｡ ♬～ 今夜はボンゴレ･ビアンコ なんだけどなあ…｡ まあ いいか｡ ♬～ ♬～ 犯人が自首した｡ 自首するまでの約２時間半→ 何をしていたんだ？ まだ そこにこだわってるのかよ｡ パティシエ界の神様って 言われてるの｡ ふざけるな この野郎！ (木島義男)なんで 罪を認めてくれないんだ｡ 前にも人を殺してるんです｡ 繋がった｡ 当番組は同時入力の為、誤字脱字 が発生する場合があります。 ≫こんばんは。 ≫早速、今日のコメンテーターを ご紹介いたします。 おなじみの政治学がご専門の 中島岳志先生です。 どうぞ、よろしくお願いします。

モブサイコ100.S01E02.JA

1 （鳥のさえずり） （モブ）いってきます あっ… うっ （律(りつ)）兄さん 早いね （モブ）あっ （律）筋肉痛 大丈夫？ （モブ）大丈夫だよ 律は生徒会のミーティング？ （律）うん 兄さんって なんで肉体改造部なんか 入ろうと思ったの？ （モブ）言っただろ 男の魅力を身につけたいって （律） 兄さんには 別の力があるじゃないか （モブ）えっ？ 超能力だよ ああ なんで もっと ふだんから使おうとしないの？ 使う機会がないから 兄さんには欲がないんだね あるよ でも 超能力 使っても 手に入らないし 超能力 使っても 手に入らないものって？ 筋肉 えっ？ それから… ツボミちゃん （ツボミ）あっ 律君 おはよう （モブ）あっ （ツボミ）あ〜？ 何か急に倒れたよね あの 大丈夫ですか？ （男）大丈夫じゃねえよ！ あっ す… すみません （男）なんでお前が謝んだよ？ （ツボミ）ああ〜 （郷田(ごうだ)） よ〜し！ 肉改(にくかい)〜！ （郷田たち） ファイッ オー！ ファイッ オー！ ファイッ オー！ ファイッ オー！ オオ〜！ （郷田）肉改〜！ （郷田）ファイッ （山村(やまむら)）オー！ （郷田）ファイッ （山村）オオ〜！ （志村(しむら)） 影山(かげやま)！ パワーだぞ パワー！ （モブ）男の魅力は 超能力にあらず 男の魅力は… 筋肉 あっ 影山！ おい 部長！ （山村）お〜い 大丈夫か？ マズい 貧血か えっ？ 貧血？ 起こしましょう！ せ〜の ゆっくり！ 大丈夫か？ 影山 （トメ）“新興宗教団体（笑）(カッコワライ)は” “設立されたばかりだが” “多くの信者を集めており” “教祖はどんな人間も” “たちどころに 笑顔にしてしまうという” これは 感じる 感じる （アラーム） きてる きてる 電波ってるわ〜！ 間違いない！ ああ〜 気になる〜！ ああ〜！ （郷田）お〜い！ 脳電部いるか？ あっ 郷田部長！ 部室を使わせていただき 誠にありがとうございます いや だから うちは 筋トレ道具を置ければいいんだ あっ？ その肩にあるのは？ ああ 影山が また倒れた 下ろすぞ はい ゆっくりな！ はい すまないが 見てやってくれるか？ 俺たちは トレーニングに戻るから〜！ （志村）しばらく ここで休んでろ （山村） 体が慣れたら きつくなくなるからな！ （郷田） よ〜し！ ゴーゴー ゴーゴー！ 山村！ 開けたら閉める！ （山村）筋肉で頭がいっぱいだ〜！ （トメ）チッ ったく はい あの 届かないんですけど ちょっと！ あんたには あれがあるじゃない （トメ）いや〜 モノホンだわ すっごいわ おいしい やっぱりあなた 脳感電波部に入るべきよ！ あっ 僕 肉体改造部に入ったんで あのね あんたは肉改部のお荷物なの み〜んな辞めてほしいって 思ってるの分からない？ 空気 読め！ 確かに 僕 空気 読めないんです でも 辞めません 筋肉がつくまでは 筋肉をつけても あんたはモテない ど… どどどっ どうして 僕がモテたいってこと 知ってるんですか？ そりゃあ 感じたのよ さすが脳感電波部 自分で言ってたろうが あの じゃあどうすれば？ モテるかって？ 簡単よ 女心を読むのよ！ でも 空気も読めない僕が 女心なんて読めるんですか？ 読めるわ テレパシーだったらね “マジ お尻 かゆい” 私の心を読むんじゃないわよ （鬼瓦(おにがわら)）おいおい どうした？ おら （山崎(やまざき)） 天牙(てんが)さん やっちゃってくださいよ おい どうした？ 立てよ おいおい… （鬼瓦）おい どうした？ （殴る音） （山崎）天牙さん！ おし！ （鬼瓦）おい 立てよ （山崎） おいおい こんなもんかよ？ 黒酢(くろず)中番長が泣くぜ？ 枝野(えだの)よ （枝野）さすが塩(しお)中 鬼の天牙 覚えてろよ！ そのうち泣くほど 酸っぱい目に遭わせてやっかんな！ （笑い声） あの“酸っぱい”じゃなくて “痛い”なんじゃ？ はあ？ 俺たちは黒酢中だから “酸っぱい”でいいんだよ！ ああ〜！ （ツボミ）痛っ！ （モブ）ツボミちゃん 最近さ 塩中と黒酢中の抗争が 膨張してるんだって あの それ“勃発”じゃ？ 何か拡大してんだから 膨張でもいいじゃない ツボミちゃんのためにも 間違いは訂正しないと すればいいってもんじゃ ないでしょ！ 空気 読んでよ！ 行こう （おやじ）あいよ ありがとう 今日は いつもに増して元気ないよ いろいろ悩みがあって まあ 誰にだってあるよ おじさんにもですか？ うん なかなかね いいタコが手に入らなくってね 知ってる？ タコの体の８割は筋肉でね だから すごいパワーが出るんだよ （モブ）そっか やっぱり大事なのは筋肉ですよね （おやじ）うん！ （井上）予約してた井上(いのうえ)ですけど 何か悪霊に 取りつかれてるみたいなんで 除霊してください （霊幻(れいげん)）ほほう 症状は どういったもので？ （井上）俺 モテないんです 生まれて このかた 彼女が出来たことないんです これ 絶対 悪霊のせいだなって ああ〜 それ 絶対 悪霊のせいですね 除霊しますので こちらの椅子にどうぞ まず 霊の宿りやすい 髪や眉をカットします 首や顔に指圧を加え リンパの流れを良くし むくみと霊を押し出します 最後に除霊用のワックスと 霊が嫌がる聖水をかけて 除霊完了です 明日から努力しないで 彼女も出来ます 除霊代 2800円になります （モブ）お釣りの200円です （井上）ありがとうございます ありがとうございました （モブ）ありがとうございました （霊幻） そんなことやっても お前 モテないぞ （モブ） じゃあ やっぱりテレパシーですかね テレパシー？ 遠くの誰かと交信したり 人の心の声を聞くってやつか？ なんで急に？ ふふ〜ん お前 心をのぞきたい相手がいるのか 女だな おやおや モブ君 分かりやすいね 筋トレの部活 始めたってのも それか！ ああ〜！ あ〜 すっ すいません！ わっ わざとじゃ… 分かってる あのとき 約束したもんな 人に向かって その力は使わないって （霊幻のため息） ああ〜 今月の売り上げ こんだけか もう やめるか いらっしゃいませ！ って ガキかよ （モブ）あっ あの “霊とか相談所”って 超能力の相談もできますか？ 超能力？ 僕 超能力者なんですけど はあ？ ガキが何 言ってんだ もう 帰れ 帰れ！ あっ！ （モブ）あっ… ごめんなさい つい 僕 自分の力が怖いんです 時々 うまくコントロール できないときがあるっていうか 制御できないときがあって ここの看板を見て もしかしたら お兄さんも同じかもって 見ようとすれば 霊とかも見えるし いいか 人にない能力を 持ってるからといって 俺たちが１人の人間であることに 変わりはない 顔がいい 勉強ができる 足が臭い それと 一緒で 超能力も特徴の１つにすぎない 自分の個性として受け入れて 前向きに生きていくしかないんだ だから そんな能力があっても ひけらかすな 人に向けるな つまり いいヤツになれ！ 以上 はい 約束します 能力をひけらかしたり 人に向けたりしません いいヤツになります （モブ） そっ それで女心を読むには？ お前 しんみり思い出してんのに 空気 読めよ！ 空気が読めないんじゃ 女心を読むのも 絶対… 無理だよな （亀田(かめだ)）もし？ ちょっと そこの少年 悩んでますね あなた 悩んでる だって 笑顔がないもの 別に悩んでないですけど （亀田）うんうんうん… 悩みを解決したいなら 私についてきてください いや 今から帰ろうかなと （亀田）あなたの悩みは 家庭？ う〜ん 勉強？ それとも… 恋の悩み？ なんで分かったんですか？ （亀田）じゃあ 行きましょう いや でも今から帰ろうかなと （亀田）モテますよ 行きます！ （律）兄さん！ （モブ）あっ 律 （律）どこに行くの？ ちょっと悩みを解決してもらいに 兄さん 行っちゃダメだよ！ （モブ）いいじゃん （律）兄さん！ ダメ （密裏(みつうら)）カッコワライ？ 興味深い （槌屋(つちや)）カッコワライね （桜威(さくらい)） そこの教祖が悪霊のたぐいか 能力者かもしれません （霧藤(むとう)） 俺のように洗脳能力を持つ者だと？ （誇山(こやま)）分かった 俺が様子を見に行ってくる （亀田）カッコワライはね 人類を救うために降臨された教祖 エクボ様が設立された 今 最もトレンディな教団なんです どうぞ （モブ）えっ？ （トメ）モブ君？ 知らなかった トメさんも モテたかったなんて （トメ）ち… 違(ちげ)えよ！ 私はここの教祖に興味があんの きっと電波な能力の持ち主で… （教団員たち） エクボ様！ エクボ様！ （教団員たち） エクボ様！ エクボ様！ （エクボ）ハッハッハッハッ みなさ〜ん！ 笑ってますか〜？ （教団員たちの笑い声） （エクボ）あったまってきたかな？ じゃあ そろそろ スマイルマスク 外しちゃおうか！ （教団員たちの笑い声） （エクボ）ハッハッハッ… みんな いい笑顔だ！ 何か 不気味な連中だね （トメ）電波だわ〜 ストップ！ （亀田）エクボ様 今日は新たに３人の仲間を 連れてまいりました フフフッ （エクボ）そうですか 布教活動が実を結んでいるようで 何よりです では ３人の導かれし不幸ちゃんたち 前へ！ （亀田）ほら ほら 前へ 前へ！ ハハハッ　ほら ほらね みんな 前へ ハハハッ おや？ ３人とも 見るからに不幸 原因は 一目瞭然 笑顔がない！ 笑いなさい いつでも 笑顔でいれば幸せになれる それがカッコワライの教えです そこの女の子 あなたの最近の不幸は何ですか？ えっ？ えっと 部員が私１人になり 廃部になりそうに それは つらい！ 笑えなくなるのも 無理はないでしょう でも 大丈夫！ 私の力を込めた このスマイルマスクをかぶって 矯正すれば また 笑えるようになりますよ〜 やめてよ！ もう （トメ）放してよ！ 放して！ （律）やめろ！ トメさん （トメ）やめろよ！ やめて！ いや〜！ （エクボ）ハッハッハッハッ！ （笑い声） はっ！ フフ… ハハハハッ （エクボ）どうですか？ みなさん 最高の笑顔じゃありませんか！ （トメ）あれ？ あれ？ おかしい 楽しくもないのに笑っちゃう アッハッハッハッ おめでとう！ 印象変わったよ！ （トメ）いや いや そんな うんと かわいくなったよ まぶしい笑顔だ！ 輝いて見えるわ 何？ この感覚 感じる 感じる めっちゃきてる みんなも 私も笑って 何だか すっごく幸せ （エクボ）ハッハッハッハッ！ じゃあ 次は君！ えっ？ やめろ！ 律！ ハハハハハッ！ 律！ （エクボ）はっ！ フフ… ハハハハッ どうしよう 笑いが止まらないよ 兄さん 律？ （エクボ）さあ 君も！ ハハハハハッ！ は〜っ！ （教団員たち）えっ？ えっ？ スマイルマスクが効かない？ あの もう帰ってもいいですか？ これ 笑顔とか幸せが テーマであって モテるかどうかとは 別ですよね （エクボ）ハハハッ 君！ せっかく みんないい感じで笑ってたのに ぶち壊しじゃないか いいかい？ 君が笑わないと収まらないんだよ 空気を読みなさい！ ハア ハア… 笑え！ 兄さん ♪〜 〜♪

ヴォルトロン.S01E02.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ ヴォルトロン 起(お)きて　ザルコンの攻撃(こうげき)よ 城(しろ)が破壊(はかい)される 今すぐヴォルトロンに！ 急(いそ)いで　時間がない もっと大げさにしないと アルーラ姫(ひめ)が死(し)んだ なんと頭がふっとんだ 頭が何か話そうとしてる 何ですか？ 最期(さいご)のお言葉(ことば)は？ コラン 何でしょう　姫(ひめ) 終(お)わりよ 無念(むねん)だ ヴォルトロンが 間に合っていれば 時間だ 本当の攻撃(こうげき)じゃないのか 何分かかったと思ってるの？ コラン？ 24度(ど) おっと 温度(おんど)計でした 時間がかかりすぎよ いつザルコンが攻(せ)めてくるか 見なさい 着替(きが)えてるのはシローだけ みんな ベイヤードは？ ランスはどこ？ おはよう　どうした？ 私(わたし)たちは城(しろ)の修復(しゅうふく)をしてたの それでテストを兼(か)ねて アラームを鳴らした あなたたちは落第(らくだい)ね いいかな 全然(ぜんぜん) 寝足(ねた)りないよ 月曜日は地球(ちきゅう) 気づけば宇宙(うちゅう)にいて 異星人(いせいじん)の悪党(あくとう)と戦(たたか)って ベトベトしたものを 変(へん)てこな城(しろ)で食べてる 今日は何曜日？ スピコリアンの暦(こよみ)だと 週の真(ま)ん中だ 何がなんだか… 私(わたし)たちの任務(にんむ)は重要(じゅうよう)なの １万年の間にあちこちから 救難信号(きゅうなんしんごう)が届(とど)いてる ザルコンが 全宇宙(ぜんうちゅう)を征服(せいふく)する日も近い 地球(ちきゅう)はここ 地球(ちきゅう)も今に攻撃(こうげき)される やばい そうよ すべての星を解放(かいほう)しなきゃ 出発(しゅっぱつ)の準備(じゅんび)ができるまで― ヴォルトロンに 合体できるよう訓練(くんれん)を 戦(たたか)いに備(そな)えて 姫(ひめ)の言うとおりだ 訓練(くんれん)を始(はじ)めよう 助(たす)けた捕虜(ほりょ)と話がしたい ダメだ　５番目くん 背(せ)の順(じゅん)で呼(よ)んだ 明日まで低温室(ていおんしつ)に入ってる そうよ ライオンに乗(の)って どうなってる？ おい ウソだろ 誰(だれ)か あいつを捜(さが)しにいく？ ごめんよ もう少し近くにしてほしいよ まずは 編隊(へんたい)を組んで 飛(と)んでみよう ライオンと仲間(なかま)と １つになるのよ ５頭が合体することで ヴォルトロンになる みんな やる気ないだろ これじゃダメだ 一度(いちど) 地上(ちじょう)に降(お)りよう イチから組み立てたら？ つまり？ 文字どおり 組み立ててみるんだ 上に乗(の)っかってさ 組体操(くみたいそう)みたいに？ ほかに考えが？ やってみよう ハンク 何してる 何が？ お前は脚(あし)だろ ええ？ 前回は俺(おれ)が頭だったはずだ “脚(あし)”って言ってたぞ 混乱(こんらん)してたからな 頭はシローだ 毎回？ 今回は俺(おれ)のやり方で 次(つぎ)は俺(おれ)が頭ね じゃあ 腕(うで)と脚(あし) 俺(おれ)は頭だ ライオンと１つになれ 合体できるよう念(ねん)じるんだ 集中(しゅうちゅう)だ　集中(しゅうちゅう)するんだ 集中(しゅうちゅう)してる？ 前は楽にできたのに 休もうか アドバイスがあるの 昨日(きのう)は 戦(たたか)ってる時に 合体できた ああ そうだ だな では― 城(しろ)の防御(ぼうぎょ)システムの テストをするわ 走れ 何するんだよ システムのテストも兼(か)ねた 合体の手助(てだす)けよ あなたたちを信(しん)じてる ゴー！ ヴォルトロン！ やってられるか　城(しろ)に帰る やめてくれ 手加減(てかげん)してよ ザルコンが手加減(てかげん)する？ 今 こっちに向(む)かってるかも 自動(じどう)ロックオン 早かったな　任務(にんむ)は完了(かんりょう)か？ いえ 月の表面(ひょうめん)が安定(あんてい)せず― 乗組員(のりくみいん)の命(いのち)が危険(きけん)でしたので だが生き残(のこ)った者(もの)は強くなる 弱さは病気(びょうき)だ 広がる前に 切り捨(す)てたほうがいい お前とドルイドたちの 計画は？ 今 仕上(しあ)げをしています 身(み)の毛もよだつ恐(おそ)ろしい モンスターをご覧(らん)にいれます ヴォルトロンなど― 我(われ)らのモンスターの 敵(てき)ではございません ５番コンデンサーの出力は？ まだ84パーセントです ついに合体できたのね いいや バリアが消(き)えたから帰った 何ですって 防火設備(ぼうかせつび)のテストのために 止めてしまいまして まだ休憩時間(きゅうけいじかん)じゃないぞ そうよ　訓練(くんれん)して 地球(ちきゅう)にはいつ帰れる？ 家族(かぞく)に会えるまで残(のこ)る ザルコンを倒(たお)さなければ 地球(ちきゅう)は滅(ほろ)びる 合体もできないのに どうやって？ 無理(むり)もない 昔(むかし)の騎士(きし)たちは 何百回も共(とも)に戦(たたか)った 耳のつながったサルみたいに そんなの無理(むり)だよ 昨日(きのう)は生存本能(せいぞんほんのう)が チームを１つにした だが今度(こんど)こそ― 自分たちの力で合体し ザルコンを倒(たお)さなくては 訓練(くんれん)デッキで特訓(とっくん)を そんなのあるの？ 待(ま)ちに待(ま)ったチャンスだよ チャンピオンに どう仕返(しかえ)しする？ マイクのテスト中 よく聞くんだ 自分の身(み)の安全(あんぜん)より 仲間(なかま)の安全(あんぜん)を優先(ゆうせん)しろ ドローンたちが攻撃(こうげき)する 自分以外(じぶんいがい)の仲間(なかま)を 敵(てき)から守(まも)るんだ どうなってる？ 何だこれ 準備(じゅんび)を 自分じゃなく チームメイトを守(まも)れ 集中(しゅうちゅう)するんだ キース どうだ？ 集中(しゅうちゅう)して俺(おれ)を守(まも)れ 俺(おれ)はバッチリだ お前こそ集中(しゅうちゅう)しろ お互(たが)いへの信頼(しんらい)が大切だ この迷路(めいろ)が 信頼(しんらい)を教えてくれる 自分からは壁(かべ)が見えない 壁(かべ)に触(ふ)れないよう 仲間(なかま)の指示(しじ)をよく聞け 俺(おれ)のペアは？ ２歩前に キースだけは 勘弁(かんべん)してほしかった 次(つぎ)は交代(こうたい)だからな 前に２歩 右に曲(ま)がり そっちの方向(ほうこう)に３歩だ わざとだな よく聞けよ 右って言ったろ “前に２歩”と その前に言った ２歩… 今すぐ交代(こうたい)だ ライオンと絆(きずな)が結(むす)べないと ヴォルトロンにはなれない 問題(もんだい)ない ブルーは俺(おれ)の最高(さいこう)の相棒(あいぼう)さ よし では問題(もんだい)は ないはずだ ではライオンで急降下(きゅうこうか)だ これは上級者向(じょうきゅうしゃむ)けの訓練(くんれん)だが 時間がないから やむを得(え)ない 訓練(くんれん)ヘルメットオン コラン 見えないよ ライオンの目を通して見ろ 地面(じめん)に衝突(しょうとつ)する直前に 上昇(じょうしょう)するんだ ライオンの気持(きも)ちを感(かん)じろ 怖(こわ)がってる まだか キース もちろんだ 俺(おれ)は加速(かそく)するとこだ そうか？ 地面(じめん)が近いぞ そうだな ビビってるだろ ビビってなんかない 勝(か)った 衝突(しょうとつ)したのか？ 分かってきた いいぞ シロー 騎士(きし)の訓練(くんれん)で大切なのは ただ１点に集中(しゅうちゅう)すること ヴォルトロンだ ほかのことは忘(わす)れろ ヴォルトロンになるたびに 必要(ひつよう)な技術(ぎじゅつ)だ リラックスして心を開(ひら)け 仲間(なかま)との間に秘密(ひみつ)や壁(かべ)はない 頭を空っぽにして 合体することだけ考えろ ヴォルトロンになるんだ 心を開(ひら)いて　その調子(ちょうし) 集中(しゅうちゅう)して　あと１体だ ピッジ 彼女(かのじょ)のことを思うな 違(ちが)う ハンク のぞくな 壁(かべ)はないはずだろ お互(たが)いの頭をのぞいていい 頭を空に よし もう少しだ ゴー！ ヴォルトロン！ いいぞ ピッジ もうやめた 頭をのぞかれるのは嫌(いや)だ うまくいきかけてたのに 僕(ぼく)… もう 疲(つか)れたんだ じゃあ少し休もう 頑張(がんば)ったから リラックスタイムだ なぜ訓練(くんれん)せず ゴロゴロしてるの？ 休憩(きゅうけい)ですよ 頑張(がんば)りすぎもよくない そんなこと言ってる場合？ グラディエーターと 戦(たたか)ってもらうわ 協力(きょうりょく)しないと グラディエーターは倒(たお)せない シロー 大丈夫(だいじょうぶ)か 今のはアルテアの 子供向(こどもむ)けの設定(せってい)よ そんなんじゃ ザルコンと戦(たたか)えない 集中力を鍛(きた)える食事(しょくじ)を 用意(ようい)した これを食べれば 何回でも合体できるぞ いいにおいだ　どうも 何しやがる 個人(こじん)プレーばかりで チームプレーができてない 今日の最後(さいご)の訓練(くんれん)だ 気でも違(ちが)ったのか 食べさせ合えばいいんだ サルみたいにな ごめん キモい！ グチャグチャにしたな お前のせいだ バカげてる 地球人(ちきゅうじん)は文句(もんく)ばかりね 勘弁(かんべん)してくれ 今日１日頑張(がんば)ったんだ 俺(おれ)たちは囚人(しゅうじん)じゃない つまりその… おもちゃにするな！ ランス ありがとう 姫(ひめ)にどなるな 姫(ひめ)だって？ 僕(ぼく)たちのお姫様(ひめさま)じゃない いくぞ ピッジ 燃(も)えてきた もうたくさん 分かってるの？ ついに力を合わせたわね 本当にそうだな 今はお前も憎(にく)くない 俺(おれ)と同じ考え？ ゴー！ ヴォルトロン！ いいぞ デザートが食べたかったけど いいか 準備(じゅんび)はいいか？ ラジャー いいぞ 了解(りょうかい) いつでも来い 行くぞ ほらできたでしょ 敵(てき)が必要(ひつよう)だったのね 古いことわざにもあります “美女(びじょ)が本気で頼(たの)めば 男は何でもする”ってね やったぜ 興奮(こうふん)して今夜は眠(ねむ)れないかも 俺(おれ)は枕(まくら)に頭がついたら すぐ眠(ねむ)れる みんな ヴォルトロンになってた時― 俺(おれ)たちは完全(かんぜん)に １つになってたな まるで兄弟だ 愛(あい)してるぜ ついに頭がイカれたか そうかもな 苦労(くろう)したから 寝(ね)ないのか？ すぐに 頑張(がんば)ったな よくやった これで騎士(きし)たちを滅(ほろ)ぼせる ヴォルトロンは我(われ)らのものだ 日本語字幕　赤木 真理子

とと姉ちゃん＃117

1 演技は？ …見てたよ｡ そんなん 当たり前やんか！ ｺｰﾋｰ いれるわ 俺…｡ いや ごまかさんと！ いやいや いやいや…｡ なあ？ ちょっと ほんまに！ あっ ﾀﾞﾝｽは どやった？ あれ ものすご しんどいよね｡ ああ よかった よかった｡ よかった？ ほんまに…？ (常子)試験をしましょう｡ ♬～ ｢あなたの暮し｣で 商品の試験をするの｡ (花山)このｱｲﾃﾞｱは すばらしい！ <石けんの商品試験は ６つの項目で比較します｡➡ まず 汚れの落ち具合を調べます> <一定量 汚れをつけた布を用意し その重さを量ります｡➡ そして 洗ったあとの重さを量り 前後の重さの差から➡ どれだけ 汚れが取れたかを 調べる方法です> せ～の…｡ (一同) いちに いちに いちに いちに…｡ 湯が１度ぬるい｡ やり直せ｡ (水田)え～？ つべこべ言わずに さっさとやれ！ はい！ では ここの回 やり直します｡ (一同)はい｡ きちんと やらないと➡ 正確な結果が得られないから そのつもりで頼むぞ！ (一同)はい！ <常子たちは 商品試験と並行して➡ 各家庭の台所の取材も 行っていました> (青葉)この前の おばちゃまだ！ あっ この間 傘で遊んでた…｡ うん 青葉｡ あっ そうだ 青葉ちゃんだ｡ ねえねえ 今日 お父さん いるよ｡ 本当？ うち来て うち来て｡ いいの？ いいよね？ お兄ちゃん｡ (大樹)うん｡ ありがとう｡ こっち こっち｡ (本木)こいつは さい先が ええで｡ (扇田)いや でも 親御さんに聞いてみない事には➡ まだ分かりませんよ｡ せやな｡ こっち｡ お父さん 呼んでくるね｡ 青葉も呼ぶの！ ﾌﾌﾌ…｡ 取材できると いいんですけどね｡ ええ｡ (大樹)早く！ お父さん｡ ≪はいはい はいはい｡ よいしょ｡ お休みの日に すみません｡ 私 ｢あなたの暮し｣という…｡ 星野さん？ ♬｢普段から｣ ♬｢ﾒｲｸしない 君が｣ ♬｢薄化粧した朝｣ ♬｢始まりと終わりの狭間で｣ ♬｢忘れぬ約束した｣ ♬｢花束を君に贈ろう｣ ♬｢愛しい人 愛しい人｣ ♬｢どんな言葉並べても｣ ♬｢真実には ならないから｣ ♬｢今日は贈ろう｣ ♬｢涙色の花束を君に｣ ♬｢涙色の花束を君に｣ ♬～ 星野さん？ 常子さん？ お知り合いですか？ あっ 以前…｡ 以前…？ ええ ご近所だったものですから｡ ええ…｡ (せきばらい) ご主人｡ (星野)はい｡ 実は 台所を見せてもらえまへんか？ 台所ですか？ はい｡ あの…｡ 私 あの… ｢あなたの暮し｣という雑誌を➡ 作っておりまして｡ ああ…｡ すごいな｡ いえ｡ あ… で… 台所の取材をさせて頂いて➡ 記事を書いているところなんです｡ それで うちのを… ですか？ ええ｡ お願いできませんか？ 汚いですが うちで よかったら｡ なあ？ ほんまでっか！ ありがとうございます｡ ありがとうございます｡ ありがとうございます｡ いえ｡ あ… では どうぞ｡ (本木)お邪魔します｡ (扇田)お邪魔します｡ (大樹)こっち こっち｡ (青葉)こっちだよ～｡ (大樹)こっち こっち｡ (本木) 分かりました｡ 分かりました｡ そっちだね｡ はいはい｡ (扇田) 本木さん 靴 靴！ 本木さん！ (星野)鍋やザルなどの調理器具は 上に並べています｡ なるほど｡ はい｡ 調味料なんかは？ 調味料は ここに➡ 並べて置いてますね｡ (扇田)便利ですね｡ ♬～ (扇田) 今日は 奥様は お出かけですか？ それが 先立たれまして｡ (扇田)失礼しました｡ いえ｡ (青葉)おばちゃま 今日も お洋服 きれいね｡ 本当？ ありがとう｡ うん｡ そのｽｶｰﾄ とっても きれい｡ ﾌﾌﾌ…｡ 常子さん｡ はい｡ まずは こっちから撮っときます｡ そう… そうですね｡ すみません｡ そうですね こっちから撮って➡ そのあと 引いて 全体を お願いします｡ 引いて 全体ですね｡ 分かりました｡ じゃあ まずは このｼｮｯﾄから｡ はい｡ それが終わったら 収納も｡ 収納ですね｡ はい 収納も端から… そうですね｡ (ｼｬｯﾀｰ音) ありがとうございました｡ 助かりました｡ そうですか｡ 何の変哲もない台所ですが➡ お役に立てたでしょうか？ はい｡ はい｡ (扇田) 常子さん バス来ちゃいますよ｡ はい｡ では 失礼します｡ (扇田)失礼します｡ (本木)失礼します｡ また今度 遊びに来てね｡ またね｡ またね｡ (青葉)お父さん だっこ｡ よいしょ｡ ♬～ (君子) 無理して食べなくていいのよ｡ 美子がいると思って 夕飯 作り過ぎちゃったの｡ ああ…｡ このところ➡ 毎日のように 南さんと ﾃﾞｰﾄなのね｡ かか｡ うん？ 今日 星野さんに お会いしました｡ 星野さん？ 星野さん!? 私も驚きました｡ 偶然 取材に伺ったお宅が 星野さんのおうちだったんです｡ 15年ぶりに お会いした 星野さんは➡ 少し痩せられたようにも 見えましたが お元気そうでした｡ ご結婚されて お子さんも２人いて｡ そう…｡ もしかしたら 戦争で… と思っていたので➡ 今 ああして 幸せそうな 星野さんを見る事ができて➡ ただただ ホッとしました｡ 星野さんも 今の常子を見て 驚かれたでしょうね｡ まさか 社長さんだなんて｡ どうですかね｡ うれしいんじゃないかしら｡ …だと いいですけれど｡ せっかく 取材させて頂いたんですから➡ いい記事にしないと｡ ♬～ これ ２番です｡ どう？ (松永)それが 全然｡ (木立)昨日から 石けんの匂いに 囲まれてますから➡ 鼻が きかなくなってしまって｡ 実は 私も…｡ (花山)やはりな｡ そんな事を言いだすだろうと 予想はしていた｡ (松永)だったら ほかの方法を…｡ ﾌﾌｯ｡ ≪(美子)こちらです｡ (２人)こんにちは｡ 綾さん！ 康恵さんも｡ (綾)お声がけ頂いて うれしいわ｡ (康恵) ああ｡ 大好きな｢あなたの暮し｣に 協力できるなんて➡ 光栄だよ｡ (松永)協力？ 我々と交代で 石けんの匂いを 嗅いでもらおうと思ってね｡ 今日は ２人とも よろしく頼むよ｡ よろしくお願い致します｡ お願いします｡ 本当にいいの？ 太一君は？ 太一は 母が面倒見てるから➡ 昼間 仕事がない日だったら 来られるわ｡➡ それに 引っ越したから ここまでも近いのよ｡ そう言って頂けて うれしいわ｡ このところ ｢あなたの暮し｣は 新鮮味がなくなってきてるからね｡ 商品試験なんて なかなか いい企画だと思うよ｡ 康恵さん 手厳しいですね｡ 当たり前だよ｡ 私は 創刊号からの つきあいだよ｡ 誰よりも厳しく 誰よりも愛情を持って➡ ｢あなたの暮し｣を 読んでるつもりさ｡ ありがとうございます｡ ありがとうございます｡ <石けんに含まれる 手荒れの原因になる成分は➡ 民間の検査機関に 分析を依頼しました> よろしくお願いします｡ よろしくお願いします｡ <およそ１か月かけて １社につき50個➡ 延べ300個の石けんの試験を 行いました> どの写真もいいから 迷いますね｡ ｴﾍﾍﾍ…｡ さすが！ ｱﾊﾊﾊﾊ｡ 記事の方は どうですか？ あの… 今 島倉と手分けして 書いてるんですけど➡ すいません 次号に間に合うかどうか…｡ 焦らなくていいわ｡ じっくりと時間をかけて➡ いい記事を 書いてくれた方がいいもの｡ (２人)はい｡ はい｡ どうしましょうかね 写真ね｡ 常子さん 石けんの試験結果が出た｡ 面白い結果が出たぞ｡ 汚れの落ち具合 香り 肌への刺激…｡ どれを取っても麗風堂の石けんが 一番 評価が低いんですね｡ (一同)えっ？ 麗風堂って 最大手じゃないの？ うちで使ってるのも これですよ｡ (松永)僕もです｡ で 評価が高いのは？ 高いのは…｡ この初音石鹸という会社のものだ｡ えっ 初音？ (扇田)そんな石けん 売ってるの➡ ほとんど 見た事ないですよ｡ 無名の会社のものが 一番 評価が高いなんて…｡ どうだ？ 面白い結果だろ？ (松永)これは 読者も驚きますね｡ では 本木さん どの会社のものか分かるように➡ 石けんの写真 撮って頂けますか？ はい 分かりました｡ (岸野)それは 困ります！ (水田)岸野さん？ 我が検査機関による検査を基に➡ ﾒｰｶｰ名を公表するのは どうか おやめ下さい！ それでは 試験結果を公表する意味がない！ そうですよ｡ 検査結果が分かっても➡ ﾒｰｶｰ名が分からなければ 読者は 商品を選べません｡ どうしても ﾒｰｶｰ名を 公表するというのであれば➡ この試験結果は 取り下げます｡ なぜ ﾒｰｶｰ名を公表したら あなたたちが困るんだ？ 中立な民間機関のはずだろ！ 麗風堂は うちが古くから➡ おつきあいさせて頂いている 会社です｡ その麗風堂の顔に 泥を塗る訳にはいかないんです｡ もともと 麗風堂の宣伝になると 思って お引き受けしたんです｡ それが こんな結果になってしまっては…｡ だったら どうしろと？ 手荒れ成分の数値等を 誌面で公表するならば➡ 社名を伏せ Ａ社 Ｂ社として頂きたいです｡➡ もし 発表するのであれば➡ うちの検査結果は 掲載しないで頂きたい！ 検査結果が出せなければ 実験の正当性が失われます｡ どちらを選ぶかは お任せするしかありません｡ ♬～ 関口知宏さんが➡ ｲﾀﾘｱを列車に乗って ぐるっと１周｡ １か月の旅を １日ごとに 日めくりで お伝えします｡ さあ どんな出会いと発見が➡ 待っているでしょうか｡ 今日は ﾀｰﾗﾝﾄから ﾌﾞﾘﾝﾃﾞｨｼに向かい➡ その後 ｲﾀﾘｱ半島の かかとの部分にあたる➡

刑事７人２nd＃08

1 ♬～ (伊吹俊也) 我々はどこから来たのか｡ 我々は何者か｡ 我々はどこへ行くのか｡ 我々は何者か｡ (伊吹)我々はどこへ行くのか｡ 我々はどこから来たのか｡ 我々は何者か｡ (男性)おい 大丈夫か？ (伊吹)俺は… 人を…→ 殺した｡ (パトカーのサイレン) お疲れさまです｡ 亡くなったのは伊吹俊也 29歳｡ 住所は この近くです｡ 目撃者の話によると→ 缶コーヒーを手に フラフラ歩いてきて→ 倒れたそうです｡ (天樹 悠)この缶コーヒー 鑑定 急いで｡ はい｡ それと 死に際に 妙な事を言っていたと｡ 妙な事？ ええ｡ ｢俺は人を殺した｣とか…｡ 人を殺した？ (五十嵐正治)お気をつけて｡ (刺す音) (柳 光太郎)うっ…！ (光太郎)ううっ…！ あっ… ああ…！ (カメラのシャッター音) (沙村康介)青山｡ (青山 新)被害者は柳光太郎さん｡ 柳ロイヤルリージェンシー ホテルグループの社長です｡ (水田 環) 柳ロイヤルって超一流よ｡ 国内外のＶＩＰ御用達の｡ 確か 何カ月か前に→ 前社長が急死したって ニュースで見た覚えがあるな｡ 財布が見当たりません｡ 腕時計もしてたみたいですが…｡ 金目当ての犯行か？ 所轄には 目撃者を探すよう指示する｡ 俺たちは被害者の周辺を当たろう｡ (環･青山)はい｡ どうした？ いえ…｡ (記者)来た 来た…！ 柳さん！ 柳副社長 この短期間に 相次いで→ 社長が亡くなっていますが どう思われますか？ また後継者問題が再燃しますね｡ 社長が亡くなった 今のお気持ちを｡ ♬～ ご家族は こちらで全員ですか？ (田沼孝雄)はい｡ 光太郎様の奥様の美幸様｡ 妹で 現副社長の 静香さんでございます｡ わたくしは この家で執事をしております→ 田沼と申します｡ 失礼ですが 確か お父様は先だって…｡ (静香)２カ月前に 心筋梗塞で急死しました｡ その後は 亡くなった 兄の光太郎さんが→ 社長を継がれたんですよね｡ (静香)ええ｡ 今後は 副社長である あなたが あとを？ 恐らく そうなるでしょうね｡ ビジネス上のトラブルとか→ 社長に恨みを持つ人物に 心当たりとかは…？ さあ…｡ ホテルの人間に聞いてみたら？ 奥様から見て 最近 変わった様子は？ 会社の事は よくわかりませんし→ それより わたくし これから どうすればいいのか…｡ 泣いてても仕方ないでしょ｡ 刑事さん 私 会社のほうが心配なので→ 失礼していいかしら？ (青山)もう少し よろしいでしょうか？ 失礼ですが 昨晩はどちらに？ 香港に｡ 出張で２日前から行ってました｡ 奥様は？ 家におりましたわ｡ 奥様も私も 確かに この家におりました｡ 光太郎さんは ゆうべ どうして 現場の遊歩道にいたか→ ご存じですか？ 五十嵐に聞けば わかるんじゃない？ 五十嵐さんというのは…？ 秘書兼運転手です｡ 田沼 案内してあげて｡ はい｡ では どうぞ こちらへ｡ お願いします｡ 失礼します｡ (ドアの開閉音) あの… 光太郎さんと妹の静香さん 仲悪かったんですか？ お兄さんが亡くなったにしては 淡々としてるし→ 兄嫁の美幸さんとも 妙な感じっていうか…｡ いずれ わかる事なので 申し上げますが→ 静香様は 先代と外の女性との間に 生まれたお子様でして…｡ つまり…｡ ええ…｡ その女性が亡くなり→ 静香様は ８歳の時に この家に引き取られました｡ 当時は 奥様もご存命でしたので→ 随分つらい思いを されたと思います｡ 社長自ら 遊歩道脇で車を降りたんですね？ (五十嵐)ええ｡ 運動不足とかで 家まで少し歩きたいと｡ じゃあ ゆうべは たまたま？ いえ ここ１カ月ほどは毎日…｡ 昨夜は何時に降ろしました？ えっと… 10時５分です｡ 声を聞いたり 怪しい人を見かけたりは？ いえ… すぐに車を出して 屋敷に帰りましたので｡ その日課 他に知ってる方は？ さあ… わかりません｡ 田沼さんは？ いえ 初耳でございます｡ ♬～ ホテルで 少し聞いて回ったんですが→ 殺された柳さん 相当 評判が悪いですね｡ 社長就任時に 強引な人事を敢行したらしく→ 恨んでる人も かなりいるみたいです｡ 強引な人事？ わかった｡ すぐにリストを送ってくれ｡ 了解｡ ♬～ (堂本俊太郎) 伊吹俊也さんの死因は→ クロレゾールによる中毒死｡ コーヒーと一緒に飲んだと 推測される｡ それと 左手首に自傷の痕があった｡ 比較的新しい傷で 深くはない｡ ただ 他にも 円形脱毛症や帯状疱疹の痕が→ いくつも見受けられる｡ 深い悩みや 強いストレスを 抱えていたのかもしれないな｡ 伊吹俊也さんの死因は→ クロレゾールによる中毒死と 聞きましたが｡ ええ｡ 缶コーヒーから→ 同じ成分の毒物が 検出されました｡ 彼は画家でしてね｡ 毒物も 油絵に使う溶液に 含まれている成分だそうで…｡ あっ 鞄の中からも 同じものが見つかっていますし→ 恐らく 自殺に間違いないでしょう｡ (ノック) 奥様がいらっしゃいました｡ (伊吹響子)実は 主人 １カ月前にも自殺を…｡ (響子)絵が描けないって ずっと悩んでて…｡ でも… 退院してからは 立ち直ったんですよ｡ 元気になったんです｡ 今日から 軽井沢に行く予定で…｡ 恩師の個展 楽しみにしてたのに…｡ このお金は旅行用ですか？ えっ？ どうして そんな大金…｡ ご主人 車は？ うちには 車はありませんし めったに…｡ 実は ご主人 亡くなる直前に→ 人を殺したと 言い残しているんです｡ 人を… 殺した｡ ご主人が 人を殺す事は あり得ますか？ まさか…｡ あんな繊細な人に 人を殺せるはずがありません｡ ♬～ すみません｡ (寺井信介)はい｡ 柳ロイヤルリージェンシーの 元専務 寺井さんですか？ はい｡ 柳光太郎社長が殺害された件で お聞きしたい事が｡ はい…｡ クーデター…｡ 専務だった あなたが 仕掛けたんですか？ ええ…｡ でも 事前に悟られて失敗し ご覧のような有り様です｡ つまり 光太郎さんが 社長になる事に反対だった｡ 先代には申し訳ないが 息子の光太郎は→ とても会社を継ぐような 器じゃない｡ ホテルマンとして 現場経験も ろくにせず→ 視察といっては 海外で豪遊するような男ですから｡ もしクーデターが成功していたら どなたが社長の席に？ 寺井さんですか？ まさか…｡ 我がホテルには 適任の人材がいたんです｡ 前社長の右腕と言っていいほど 絶大な信頼を得ていました｡ その人を社長にしようと？ でも 我々の計画のせいで 彼は→ 見せしめに 運転手にさせられたんです｡ もしかして… 五十嵐さんの事ですか？ ええ…｡ ♬～ ありがとう｡ (田沼)いってらっしゃいませ｡ ♬～ ♬～ 柳光太郎…｡ (青山)なんで天樹さんが これを？ 伊吹俊也という男の 足取りを追っていたところ→ ３日前の夜に 彼が これを 捨てている事がわかりました｡ 伊吹俊也？ 今 どこにいる？ 昨夜 死亡しました｡ その時 ｢俺は人を殺した｣と 言い残したそうです｡ 死因は？ クロレゾールによる中毒死｡ 飲んでいたコーヒーに 入っていました｡ 所轄は自殺と判断していますが 確証はありません｡ この男 何者なんです？ 画家だ｡ といっても収入はないようで→ 奥さんが働いて 生計を立てていたようだ｡ 伊吹俊也…｡ 過去に窃盗と強盗未遂の 前科があります｡ それと 柳さんの遺体を 堂本先生に見てもらえるよう→ 手配してもらえませんか？ 何か見逃している点が あるかもしれない｡ わかった｡ ♬～ ごめんなさい お待たせして｡ 社長に就任されたそうですね｡ (静香)ああ…｡ ええ 正式発表は まだだけどね｡ …で 今日は どんなご用件で？ ２カ月前 お父様が急死されたあと→ 社内でクーデター騒ぎが あったそうですね｡ ええ…｡ 他にも不当な人事異動に解雇…｡ 前社長で兄の光太郎さんを 恨んでいる人が→ たくさんいて驚きましたよ｡ 柳ロイヤルリージェンシーは 先代の柳隆一氏が→ ご友人とともに 創業されたそうですね｡ ええ｡ その方は 20年も前に もう亡くなっています｡ お名前は五十嵐大吾さん｡ 今 運転手をされている 五十嵐正治さんは→ 彼のご子息ですよね？ (静香)そうよ｡ おかしくないですか？ 同じ創業者の子でありながら 彼は経営に携わっていない｡ 本人が希望したって聞いてるけど｡ でも 彼は今 社長秘書という名の 運転手ですよね？ それは… 兄がやった事よ｡ 人望のある五十嵐を恐れて｡ まさか… 五十嵐を疑ってるの？ 何か彼に 変わった様子はないですか？ やめてよ｡ 五十嵐は 人を殺すような人間じゃないわ｡ では最後に この方 ご存じないでしょうか？ 伊吹俊也さんといいます｡ 知らないわ｡ ありがとうございます｡ 五十嵐さん あなた→ 前社長の右腕と呼ばれるほどの→ 優秀なホテルマン だったそうじゃないですか｡ 元専務の寺井さんから お聞きしました｡ 前社長の右腕と言っていいほど 絶大な信頼を得ていました｡ 彼は 見せしめに 運転手にさせられたんです｡ さぞかし悔しかったでしょう｡ いえ… これも大事な仕事です｡ ただの運転手だとは 思っていません｡ 社長自ら 私を選んでくれたのですから｡ 社長秘書…？ あなたの才能を見込んでの 大出世だ｡ まずは運転手として 十分に そのスキルを発揮してください｡ 五十嵐さん 彼は あなたを追い出すために→ こんな不当な人事を 行ったんじゃありませんか？ 社長の右腕とまで呼ばれ→ ホテルの歴史をつくってきた あなたにとって→ それは屈辱以外の 何ものでもなかったはずです｡ どう思われようと 刑事さんの勝手ですが→ 私は このホテルが好きなだけです｡ 全てはホテルのためです｡ ホテルのため？ 念のため お聞きしますが 伊吹俊也という男に心当たりは？ 伊吹？ この男です｡ いえ… 知りません｡ (青山)えっ… 今の話 もう少し 詳しく聞かせてもらえますか？ 確か 金曜日よ｡ 夜遅くに 奥さんの大きな声がして…｡ あの お話って…｡ 実は 柳光太郎さんという方が 殺害された事件で→ ご主人が関わっている可能性が 出てきたんです｡ 柳って 今 ニュースでやってる ホテルの…？ そうです｡ ご主人と 何か関係のある方ですか？ まさか！ そんな人 知るはずないじゃないですか｡ ですが 事件の日→ ご主人が 被害者の財布を捨てている姿が→ 防犯カメラに残っていたんです｡ えっ…？ 遺留品を もう一度 見せて頂けませんか？ …はい｡ ♬～ どうぞ｡ 拝見します｡ ♬～ ご主人は 他にも携帯をお持ちですか？ いいえ｡ うちには そんな余裕は…｡ (青山)失礼します｡ 奥さん ご主人の服を 見せて頂けませんか？ 服？ ４日前に着てた服です｡ 隣の方に話を聞いたんです｡ 血が付いてたとか｡ 出して頂けませんか？ ♬～ あの夜 主人が 珍しく遅く帰ってきて→ なんか いつもと様子が違ったんです｡ そしたら これに血が…｡ ちょっと 血が付いてるじゃない！ 怪我でもしたの？ (伊吹)大丈夫だよ｡ なんともないよ｡ ねえ こんな時間まで どこに行ってたの？ 心配しないで｡ なんでもないから｡ これ お借りします｡ あの…！ 本当に 主人が殺したんでしょうか？ 私 信じられないんです！ 確かに 贅沢は出来なかったけど ギリギリ生活は出来てたし→ お金の不満なんて一度も…｡ また何かわかりましたら ご報告します｡ (青山) 伊吹の服に付着していた血痕が→ 柳光太郎さんのものと 一致しました｡ それと伊吹の財布に入っていた １万円札からも→ 柳さんの指紋が検出されました｡ 伊吹が殺した可能性が 高くなった… って事か｡ しかし 今のところ→ 柳さんとの接点も 動機も見当たらない｡ 僕が確認した 防犯カメラの映像では→ 伊吹は 柳さんの財布を捨てたあと 誰かに電話をしています｡ しかし 伊吹の携帯に その時刻の通話履歴がなかった｡ つまり その もう一台は 誰かとの連絡用？ だとすれば 伊吹は 何者かに 殺人を依頼されたとも考えられる｡ 伊吹は ２人の関係がバレないよう→ 足のつかない携帯を渡されていた｡ そして 指示された日の夜→ あの遊歩道へ行き 柳さんを待っていた｡ (刺す音) うっ…！ ♬～ 金品を盗んだのは 物盗りの犯行に見せ→ 行きずりの犯行だと 我々警察に思わせるため｡ そして伊吹は 犯行が終わった事を連絡した｡ 全て終わりました｡ (青山)でも 人殺しですよ？ 伊吹が そんな簡単に 引き受けるでしょうか？ 伊吹には 過去に 強盗未遂のマエがある｡ 大金をちらつかせれば 動くかもしれない｡ もしかして五十嵐が…？ 例の運転手ですか？ 彼は 殺された柳から ひどいパワハラを受けてた｡ これまでの功績を全否定されて ホテルを追われようとしていたの｡ 殺意を抱いていたとしても 無理はない｡ 確かに 事件当夜のアリバイもないし→ 柳さんの行動を 完全に把握出来たのは→ 五十嵐だけだ｡ それと… これを見てください｡ ｢我々はどこから来たのか→ 我々は何者か→ 我々はどこへ行くのか｣ これって もしかして ゴーギャン？ ええ｡ ポール･ゴーギャン｡ 彼は このタイトルの絵画を残し→ その後 自殺を決意する｡ 伊吹も同じような心境にあった…｡ どういう事だ？ 伊吹は １カ月前に→ 自殺未遂を起こして 病院に入院しています｡ しかし 妻の響子の証言によると→ 伊吹は退院後→ 急に 前向きに気持ちを 切り替えていたようなんです｡ 恩師の個展 楽しみにしてたのに…｡ それが どういう事なのか…｡ とにかく接点は必ずある｡ それを見つける事だ｡ ♬～ (五十嵐)いい加減にしてください｡ あなた方の妄想には ついていけない｡ 私は 伊吹俊也なんて 知りませんって…！ あなたは１カ月前 株を処分して→ まとまった金額を 手にしていますよね｡ そのお金は どうされたんですか？ あなた方に言う義務は ないでしょう｡ では ３日前の… ８月28日の午後９時頃→ どこにいたか教えてください｡ その日が何か？ 伊吹俊也さんが 亡くなられた日です｡ その日は→ 静香さんが 会社で徹夜仕事がある という事だったので→ 私は帰りました｡ 一人暮らしなので 証明は出来ませんが…｡ その手帳 お借りしてもいいですか？ いいですけど…｡ ありがとうございます｡ ♬～ (看護師長)伊吹俊也さん…→ １カ月前 ７月26日に→ 手首を自傷し 救急で運ばれてきました｡ その時に 何か変わった事は？ ああ… そういえば→ 奥様が見舞いにいらした時に…｡ (響子)あなたには才能があるの｡ ずっと そう言ってるじゃない｡ もう 俺を自由にしてくれ｡ 描けないんだよ｡ 今のままじゃ 俺の人生 駄目になる｡ 勝手な事 言わないで｡ あなたが働かずに 絵を描いていられるのは→ 誰のおかげだと思ってるの？ あなたには 私が必要なのよ｡ 私から離れる事なんか 絶対に出来ない｡ ♬～ (携帯電話の振動音) ちょっと すいません｡ (携帯電話の振動音) もしもし｡ 五十嵐の運転日誌を 調べたんだけど→ １カ月前の７月26日の夜→ 車で豊洲第一病院に行ってる｡ わかりました｡ 五十嵐 この病院に来てました｡ すいません ７月26日の外来と入院患者→ 面会者のリストを 見せて頂けませんか？ (青山)五十嵐 五十嵐…｡ あっ！ (青山)今回の事件は→ 柳ロイヤルリージェンシーの社長 光太郎氏が→ 何者かに刺殺されたのが 始まりです｡ 柳光太郎を殺害したのは→ 遺留品から見て 伊吹俊也の可能性が高い｡ でも いくら調べても ２人に接点はなく→ 動機も見当たらない｡ (青山)そこで 動機のある者が金を使って→ 伊吹俊也に 殺人を依頼したと考えました｡ でも 違ったんです｡ 違った？ 堂本先生の見立てどおり→ 伊吹俊也は 慢性的にストレスを抱え→ 追い詰められていました｡ それは ただ単に 絵が描けないというだけではなく→ 妻の響子によるものでした｡ (青山) 一種のモラルハラスメント→ 精神的暴力です｡ 伊吹が望んでいたものは 金じゃなかった｡ 妻の響子さんから 自由になる事だったんです｡ だから思い余って自殺を図った｡ 死ぬ事でしか→ 響子から自由になる方法はないと 思ったんでしょう｡ でも そんな彼が自殺未遂を境に 急に明るく前向きになった｡ きっかけは 恐らく→ 病院で ある人物に 出会った事です｡ (青山)その人物は 柳光太郎さんに 強い殺意を抱いていた｡ そして伊吹は その人物から→ 妻から自由になれる もう１つの解決策を教わった｡ 妻の響子を殺す事です｡ つまり 今回の事件は→ 伊吹が 一方的に依頼されたのではなく→ 交換殺人だった｡ そう考えると→ 散らばっていたピースが はまり始める｡ その 病院で出会った人物 っていうのが… 五十嵐って事？ いいえ 違います｡ 交換殺人なら→ 自分は100パーセントのアリバイを 用意するはずです｡ 五十嵐には アリバイを証明する人間がいない｡ 100パーセントのアリバイ…｡ そして 一番 得をした人物…｡ ♬～ 柳静香…！ でも… 交換殺人は成立してないわよね？ そこが この犯人の特徴的なところです｡ 犯人は 何も知らない響子を殺すより→ 伊吹を殺したほうが メリットがあると考えた｡ この秘密を知る者が 完全にいなくなるからです｡ 交換殺人を利用した 完全犯罪…｡ ♬～ もう… なんなの？ 朝から いきなり｡ 今日は社長就任の記者会見で 忙しいんだけど｡ それは おめでとうございます｡ 本来なら手に入らなかった椅子だ｡ 別に私が望んだわけじゃないわ｡ そうでしょうか｡ あなたは 伊吹俊也に→ 兄の光太郎さんを殺してほしいと 頼んだんじゃありませんか？ だから そんな男は知らないって…｡ いいえ｡ あなたは１カ月前 伊吹と出会っています｡ 豊洲第一病院で｡ その日 あなたは 五十嵐さんの車で病院へ行き→ 検査入院したのは確認済みです｡ (青山)出ますかね？ 証拠｡ (青山)パスワード？ ローマ字で ＫＩＮＡＫＯでは ないでしょうか？ 静香様が幼い頃に飼われていた 犬の名前でございます｡ (青山)ＫＩＮＡＫＯ…｡ ♬～ (青山)天樹さん これ…｡ あの日 あなたは兄の光太郎さんと もめたそうですね｡ ケンカなんて日常茶飯事よ｡ でも あの日は→ いつもと違ったんじゃ ありませんか？ (光太郎)親父は死んだ｡ 金はやるから 家からも会社からも とっとと出ていけ｡ 冗談じゃないわ｡ 私だって立派な相続人よ｡ あんたなんかより よっぽど能力あるわ！ あっ！ ねえ!! あなたは病院へ行った｡ 同じ日 伊吹俊也は自殺未遂をして 病院に運ばれています｡ そして そのあと→ あなたは 伊吹俊也と 妻 響子の会話を→ 偶然 耳にした｡ (響子)勝手な事 言わないで｡ あなたが働かずに 絵を描いていられるのは→ 誰のおかげだと思ってるの？ ≫私から離れる事なんて 絶対に出来ない｡ あなたは その時 感じたんじゃないですか？ 伊吹の中にある 奥さんへの殺意を｡ そして 交換殺人を思いついた｡ 憶測で言わないで｡ じゃあ どうして 彼に声をかけたんです？ え…？ 病院の防犯カメラの映像に 残ってました｡ あなたが伊吹の病室に 入っていくところが｡ (携帯電話の着信音) 失礼｡ (携帯電話の着信音) はい 沙村｡ わかった｡ あなたの自宅から… 証拠が出ました｡ (田沼)まさか 静香様が犯人だったとは…｡ 天樹さん 行きましょう｡ では 我々は これで失礼します｡ あっ… 失礼致しました｡ 気になりましたもので｡ あっ… ありがとうございます｡ 失礼します｡ 押収した あなたのパソコンから→ 毒物購入の履歴が見つかりました｡ 伊吹俊也が飲んで死亡した毒物と 同じものです｡ えっ…？ ｢そんなに お兄さんが憎かったのか？｣ 馬鹿なくせに 長男だからって優遇されて…｡ 案の定 父が死んだら 私を追い出そうとした｡ 私はね ずっとずっと我慢してきたの｡ なのに 暴力までふるわれて 我慢出来るはずないじゃない！ それで伊吹俊也に 交換殺人を持ちかけたんですね？ あなたの奥さん 殺してあげる｡ ただし 条件がある｡ 条件？ 大丈夫｡ 死ぬ勇気があれば なんでも出来るわ｡ 自分の人生 取り戻しましょう？ (静香の声)死ぬ事しか 考えてなかった人間が→ たったひと言で変わるんだから…｡ 簡単すぎて怖いくらいだったわ｡ お兄さんが 帰宅途中 車から降りて歩く習慣は→ 前もって調べたの？ １人になるチャンスがないと 頼めないでしょ？ (刺す音) うっ…！ 全て終わりました｡ (静香)お疲れさま｡ ♬～ その伊吹を殺す事は 最初から考えてたのか？ そうよ｡ 彼を殺したほうが得だって｡ (伊吹)明日 妻は夜８時には 帰宅していると思います｡ 旅行 楽しんできてね｡ きっと いい絵が描けるわ｡ 私たちは もう二度と会わない｡ ♬～ さようなら｡ ♬～ 殺人と殺人教唆…｡ 罪は重いぞ｡ ｢はあ… 完璧に証拠隠滅したと 思ってたのに…｣ なんでよ｡ (携帯電話の着信音) はい｡ (堂本)｢俺だ｣ ｢柳光太郎さんの解剖が終わった｣ 柳光太郎さんの死因は 刺殺で間違いない｡ ただ １つだけ 気になる事があった｡ これは…｡ ♬～ (田沼)そうですか…｡ やはり 静香様が…｡ 実は 法医学の教授に→ 改めて 光太郎さんのご遺体を 解剖してもらったんです｡ それによると…｡ 柳さんは二度 刺されている｡ (青山)え!? 一度目の刺し傷は さほど深くはない｡ 致命傷ではなかった… という事ですか？ そうだ｡ 恐らく 柳さんは→ ナイフが刺さったまま 抵抗したんだろう｡ しかし犯人は さらに深くナイフを押し込んだ｡ 問題は その角度だ｡ 角度？ １番目の刺し傷は 強い力ではなく 骨に当たって止まった｡ その傷の角度から見て 刺したのは右利きだ｡ しかし さらに奥へ突き刺した傷は 角度が変わっていた｡ つまり…｡ 田沼さん あなたは左利きですよね？ 何を唐突に仰るかと思えば…｡ 確かに私は左利きですが 世の中には大勢おられますよ｡ しかし 静香さんの計画を 知っている人の中で考えたら→ あなた以外 左利きの人間はいません｡ だからといって→ そう決めつけて 話をされるのは…｡ 静香さんは 完璧に証拠を隠滅したそうです｡ 普通 毒物の購入記録なんて 真っ先に消しますよね？ でも 残ってたんです｡ 我々は まんまと それをつかまされました｡ 静香さんのパソコンを 改めて解析したところ→ 消したはずの購入データは→ ３日前の午前10時に 復元されていました｡ (青山)その時間 静香さん本人は→ 会社で新聞社のインタビューを 受けていました｡ 彼女以外 パソコンのパスワードを 知っているのは→ 幼い頃から ずっと見守ってきた あなた以外 考えられない｡ それから伊吹は→ まだ光太郎さんが 生きているうちに→ 財布を上着から抜き取っています｡ 傷口を見ても 光太郎さんは 激しく抵抗したはずです｡ しかし 遺体の衣服は 乱れていなかった｡ それは あなたが反射的に 直したからじゃありませんか？ 先ほど…→ 彼にしてくれたように｡ ♬～ 田沼… 助けてくれ…｡ うっ… 救急車…｡ ♬～ (刺す音) (光太郎)ううっ…！ ううっ…｡ ♬～ 今 光太郎さんの衣服を 科捜研が調べ直しています｡ 恐らく あなたが接触した痕跡が 検出されるでしょう｡ (ため息) 長年の習性というものは 恐ろしいものでございますね｡ 小さい頃から世話をしてきた ２人を なぜ…？ 旦那様は かねてより 後継者である お二人の事で→ お悩みでした｡ 光太郎様は なんの疑いもなく あとを継げるものと思い→ プライドだけは高く なんの努力もしない｡ 静香様は 優秀なのは認めますが それを鼻にかけ→ 常に 人を見下しているところがある｡ 旦那様は 世襲はしないと 決めておりました｡ でも その決断を 書面に残す前に…｡ 思いもかけぬ事でした｡ そして これ幸いと 光太郎様は 社長の座に就こうとした｡ 私は 彼に言ったんです｡ 光太郎様が 強引に 社長の座に就こうとすれば→ 必ず 反発する者が現れます｡ (光太郎)長年仕えてる お前まで 俺を馬鹿にするのか？ だったら見せてやるよ｡ 俺の力を｡ (田沼の声) 光太郎様は先手を打って→ 社内を粛清し 見せしめとして→ 五十嵐さんを秘書という名の 運転手にしました｡ ただの… 自分のプライドのために｡ 浅ましい！ そして あなたは 妹の静香さんの計画に気づき→ またとないチャンスだと思った｡ 静香さんが交換殺人であれ なんであれ→ 光太郎さんさえ殺してくれれば→ あとは折りを見て→ 彼女が犯人だという証拠を 警察に握らせればいい｡ (静香)大丈夫｡ あなたは 私の言うとおりにすれば｡ ３日後の夜 兄は遊歩道の脇で 車を降りるから…｡ 全ては旦那様のため…！ 旦那様のため…｡ 本当に そうであれば 計画を知った段階で→ 止めるはずです｡ (青山)あなたは ただ あの兄妹が憎かっただけだ｡ 長年支えてきた自分の忠誠心を 踏みにじった あの２人が｡ 違う！ 私は 本当に旦那様のために…！ (青山)たとえ 先代の意に反していたとしても→ 光太郎さんと静香さんは 血のつながった 実の子供です｡ 私は… ただ自分の仕事を 美しく全うしたかっただけだ｡ あんな身勝手な連中のために 私の40年のキャリアを…→ 汚されてたまるか！ 身勝手なのは お互いさまでしょう！ あなたが大切に守りたかったのは 先代の思いじゃない｡ 自己中心的で→ 愚かなプライドだ｡ ♬～ ♬～ ♬～ (山崎 晃)鋭利な刃物によって 大腿動脈を切られた事による→ 出血性ショック死｡ 購入された凶器の包丁は 全部で４本｡ (山下 巧)連続犯だとしたら…｡ 第４の被害者が出るかも｡ 僕には犯行は不可能だ｡ まさか…！ 当番組は同時入力の為、誤字脱字 が発生する場合があります。

孤独のグルメ６th＃02

1 ♬～ ♬～ はい… なんとか今日の11時までに 間に合わせたいんですよ｡ ああ そのｺｰﾋｰｶｯﾌﾟ 隣のと入れ替えましょう｡ こうですか？ そうですね｡ いちばん端っこのが ﾄﾞｲﾂ製で➡ あとは ﾌﾗﾝｽ製なんですよ｡ なるほど｡ 井之頭さん！ はい｡ この花は どっちの色のほうが いいですかね？ あ～ このｶｯﾌﾟの色味だと➡ 青のほうが いいかもしれませんね｡ はい ありがとうございます｡ はい じゃあ お待ちしております｡ ｶﾅちゃん 全然 ｾﾝｽない｡ この端の２つ 逆にして｡ この花も 青はありえないと思う｡ あ… でも 井之頭さんが こうしたほうがいいって｡ え？ あ… いや…｡ あ… ちょっと待ってね｡ あっ これ やっぱ逆だな これ｡ どこ製とか 全然 関係ない｡ 花も 赤にﾁｪﾝｼﾞ｡ ねっ ｱﾔちゃん｡ ﾊﾊﾊ！ ﾊﾊﾊﾊ！ おかしい｡ ﾊﾊ！ おかしいね 全然 おかしいんだもん｡ まいっちゃうよ｡ ＜時間や社会にとらわれず 幸福に空腹を満たすとき➡ つかの間 彼は自分勝手になり➡ 自由になる｡ 誰にも邪魔されず➡ 気を遣わず ものを食べるという 孤高の行為｡ この行為こそが➡ 現代人に 平等に与えられた➡ 最高の癒やしといえるのである＞ お花 ここにも｡ いいと思います｡ はい｡ 《早朝から やった甲斐あって なんとか形になってきたな》 あとは ｼｭｶﾞｰﾎﾟｯﾄとｽﾌﾟｰﾝですね｡ はい ようやく見えてきました｡ そうですね｡ 井之頭さん➡ 少し休憩しませんか？ ええ｡ ２人も｡ (２人)はい！ 私 自分の店で➡ 自分が かわいいと思うｶｯﾌﾟを 展示販売するのが➡ ずっと夢だったんです｡ お気に入りのｶｯﾌﾟで飲むと➡ おいしさが倍になるような 気がしませんか？ しますね｡ ですよね｡ でも 井之頭さんに お願いしてよかったです｡ 他の方だったら こうはいかなかったと思います｡ あ… いえ…｡ だって 急な無茶ぶりにも➡ 応えてくれるし 朝早くからにもかかわらず➡ こうして 準備まで 手伝ってくださって｡ 井之頭さんって ほんとに いい人ですよね｡ いい人って｡ 滝山さんが そう言ってました｡ すごく いい人だから 頼めば 何でもやってくれるよって｡ 滝山が？ はい｡ さくらさん ちょっといいですか？ はい｡ 滝山！ ｶﾅさん！ これ どうですか？ おっ いいじゃん！ かわいいと思って…｡ かわいい｡ 井之頭さんのおかげで 本当に助かりました｡ これで なんとか 今日のｲﾍﾞﾝﾄに間に合いそうです｡ お力になれて よかったです｡ 夢の第一歩 頑張ってください！ ありがとうございます！ それでは｡ 《うまくいくといいな…》 《あ～ 気持ちいい朝だ｡ ８時半か…｡ ４時起きだったからな…｡ ひと仕事 終わらせて…｡ 腹が… すっからかんだ！》 《店を探そう！》 《この時間に開いてる店… どこだ？ ﾓｰﾆﾝｸﾞのﾄｰｽﾄじゃ 物足りない｡ 米… ご飯 食べたい！ となると… 牛丼の店か…》 《えっ？ こんなところに… 市場？》 《市場なら 早朝からやってる食堂とか➡ あったりしないかな…》 おはようございます｡ ﾄﾗｯｸに お気をつけください｡ あっ はい…｡ ♬～ 《青果市場みたいだな…》 《ここで働く人たちが 行くような店 ないかな…》 《この建物… 怪しいな…》 ♬～ 《あった！ やっぱり あった！ やってる やってる！ うん この看板と のれんの感じ ｸﾞｯとくるじゃないか…｡ よ～し けさは市場飯だ》 ごちそうさんでした～｡ ありがとうございました～！ いらっしゃいませ～！ すぐに片づけますんで➡ こちら どうぞ｡ いらっしゃいませ～！ 《いかにも 市場の食堂…》 どうぞ｡ 《この人たちも みんな 今がまさに昼飯どき｡ ﾌｯ…》 お客さん あったかいお茶とお水 どっちがいいですか？ お水 お願いします｡ はい｡ (ﾊﾞｲﾌﾞ音) もしもし？ はいはい お疲れ｡ おぉ… おぉ…｡ はい どうぞ｡ あっちが 定番ﾒﾆｭｰで 黒板のが 今日のﾒﾆｭｰです｡ あっ はい｡ はい｡ ｷｬﾍﾞﾂがｹﾞﾀﾒで ｼﾞｬｶﾞｲﾓがﾀﾞﾘﾊﾝ｡ ごちそうさ～ん！ 《市場人しか わからない➡ 単語ばかり…》 ｹﾞﾀﾒで ｼﾞｬｶﾞｲﾓがﾀﾞﾘﾊﾝ｡ 《さて… ここで食うべきものは なんだ？ ｶﾂ丼に… へぇ 生姜焼は ﾊﾞﾗとﾛｰｽ両方あるのか｡ 珍しいな｡ 50円引き｡ 増しと引きがあるのか｡ おもしろい》 ありがとうございました｡ 《ｶﾚｰは月曜 まぐろは金曜｡ 今日は 何曜だっけ？ えっ… えっ 何 このｶﾚﾝﾀﾞｰの数》 野口さん お待ち｡ はい｡ お待たせしました｡ はい ﾁｬｰﾊﾝ大盛りです｡ 《黒板が 今日のﾒﾆｭｰ｡ おっ ｱｼﾞﾌﾗｲ｡ 塩さけ定食もいいな｡ なるほど こっちは副菜か｡ ん？ ﾄﾏﾄ酢漬？ ｱｼﾞﾌﾗｲにもひかれるけど 今の気分は 労働後の肉｡ ﾌﾟﾗｽ 小鉢の連打だな》 すみません｡ はい｡ お決まりですか？ 豚ﾊﾞﾗの生姜焼定食をください｡ はい｡ 豚ﾊﾞﾗ～｡ あいよっ！ それと え～ 納豆と たけのこの土佐煮➡ 明太子 あとﾄﾏﾄの酢漬もください｡ はい｡ 納豆 たけのこ 明太子 ﾄﾏﾄでいいですか？ はい｡ ご飯は 丼とお茶碗選べますけど｡ あ じゃあ丼で｡ 盛りは 普通でいいですか？ はい｡ はい かしこまりました！ おあと 納豆 たけのこ 明太子 ﾄﾏﾄ！ あいよ！ ごちそうさま｡ ありがとうございました｡ 置いとくよ｡ はいどうも～｡ いらっしゃ～い｡ いらっしゃいませ｡ うぃっす｡ うぃっす｡ 俺 ｱｼﾞﾌﾗｲで｡ いつもの作っといてあげようか？ お願いします｡ はい｡ じゃ ちょっと行ってきます｡ いってらっしゃ～い｡ 《忙しそうだな》 はいはい｡ お母さん 俺ね ﾁｬｰｼｭｰ麺｡ ﾁｬｰｼｭｰ麺｡ 昨日 俺 何食べたっけ？ え～ ﾒﾝﾁｶﾂｻﾗﾀﾞ｡ そうだった じゃ 今日は魚だな｡ ん｡ 塩さけ ご飯軽めで｡ はいよ！ 《軽め… ザ常連》 ｱｼﾞﾌﾗｲ ﾁｬｰｼｭｰ麺 さけ ご飯軽め！ 読まれますか？ 新聞｡ あぁ 大丈夫です｡ じゃ それちょうだい｡ どうぞ｡ 西山さんのﾁｬｰｼｭｰ １枚多めにね｡ あいよ｡ 《店員の動きがいい｡ 忙しいなかでも気配りがある｡ これは うまいものが期待できる》 ごちそうさまでした｡ ありがとうございました｡ お漬物どうぞ 選んでください｡ え？ ６種類あります｡ あぁ…｡ じゃ これを｡ はい｡ はい どうぞ｡ あ～ じゃこれ｡ 《いろんな組み合わせの 漬物を用意して➡ 客に選ばせるなんて すばらしいな｡ いちばん いいかげんに なりがちなところを》 お待たせしました～｡ お味噌汁は しじみのお味噌汁です｡ はい どうぞ｡ 《あららら…》 ごゆっくりどうぞ｡ 《いや～｡ 朝から すごいことになっちゃったな》 《いや～｡ 朝から すごいことになっちゃったな》 いただきます｡ 《おお～ 質実剛健｡ 空腹にずばっとこたえる この香りと生姜のﾊﾟﾝﾁ》 《やっぱり 豚ﾊﾞﾗ生姜焼定食は 定食界でも別格だな》 《このﾀﾚ｡ ご飯が進みすぎる》 《この時季 たけのこの文字を見ると➡ 条件反射的に頼んじまう》 《やっぱり うまい｡ 四季のある日本｡ 旬のある幸せ》 《う～ん｡ 漬物 ちゃんとうまい》 《ああ～ 味噌汁もいいじゃないか｡ ここ ほんとに誠実な店だ》 《おっと ちょっと出づらい》 《七味漬物 これも美味》 《ひと口ｻｲｽﾞで３切れ｡ この店の小鉢は➡ ちゃんと小鉢然とした量で 嬉しい》 《このｻｲｽﾞでこの破壊力｡ ご飯の劣勢は必至》 《その劣勢を しのいでくれるのが➡ このおろしってわけか》 《豚ﾊﾞﾗは 飯の巻き食いが できるのがいいんですよ》 《ほ～ら うまい》 《つけ合わせのｷｬﾍﾞﾂも この店では立派なごちそうだ》 はい お待ちどおさま｡ ごちそうさん｡ ありがとうございました｡ 《そこに唯一 海の滋味が➡ 定食に深みを与えている》 《これは初めて…》 《ほほ～ こうなるか 驚いた｡ めちゃくちゃ うまいじゃないか》 《玉ねぎもきいてる｡ この手があったかって感じ｡ さすがさすが 青果市場｡ 野菜がもれなくうまい》 田中さん いらっしゃい｡ 肉豆腐 茶碗八分目｡ はい 肉豆腐 茶碗八分目｡ 《細かいなぁ》 あ～ 腹減った｡ ん？ お疲れです｡ どうだった？ いやぁ しんどいっすね｡ お前 ちゃんとやれよ｡ はい｡ ﾔﾏちゃんとこは？ ｷｬﾍﾞﾂ 僕が発注かけたので もう大丈夫です｡ うまっ！ 《ﾌｯ いかにも 仕事の途中飯だ》 ♬～ 《最高だ》 《９時３分の市場食堂で 生姜焼定食の充実》 ﾀﾗﾓｻﾗﾀﾞ２つ｡ はい｡ ﾀﾗﾓ２つ｡ はいよ！ まだ足りないんですか？ 食うよ｡ あんたがいちばん食べないと いけないじゃないの｡ ちょっと左下がってるもん｡ 痛い 痛い 痛い！ 力あるからね｡ ♬～ 《うん うまい｡ 生姜焼のﾀﾚをつけたｷｬﾍﾞﾂ これは名もなき一つの料理だ》 ♬～ 《うまいという生命の実感》 ♬～ 《うん 食べながら考えてたんだ｡ 納豆食うﾀｲﾐﾝｸﾞ 大丈夫 この店には あの手がある》 すみません｡ はい｡ ご飯のおかわりください｡ はい｡ 茶碗 八分目で｡ はい｡ 茶碗八分目｡ ごちそうさまです｡ ああ ちょっと ｹﾞﾝちゃん これ｡ どうも ありがとうございます｡ 《ｹﾞﾝちゃん専用おにぎり》 しっかりやれよ！ 若いの｡ はい｡ 《頑張れ ｹﾞﾝちゃん》 女将 おにぎり 俺払うから｡ はい｡ 《ﾌｯ》 はい おまけね｡ あっ ありがとうございます｡ 《おかわりお新香 嬉しい》 よし｡ 《納豆は 混ぜれば混ぜただけ こたえてくれる》 《よ～し》 ♬～ 《白飯と相思相愛｡ 地味だが しっかり仕事する納豆は➡ 朝ご飯に欠かせない名脇役だ》 ♬～ 《最後は やっぱりこいつで…》 ♬～ 《町の食堂が 少なくなっている今➡ こんな定食を食べられる幸せ｡ 生姜焼きで ご飯をかっこめる喜び｡ 俺は今 生きている｡ これ以上 何を望む…》 ♬～ 《市場朝食 完食》 ♬～ あぁ… ごちそうさまでした｡ ありがとうございました～｡ すみません お会計お願いします｡ はい｡ 1, 450円になります｡ じゃあ 2, 000円から｡ はい 2, 000円から｡ おつりは 550円です｡ ありがとうございました｡ お客さん 初めてですよね｡ あ はい｡ よかったら また来てくださ～い｡ 後ろに市場のお休みの日も 書いてますんで｡ あ～ ありがとうございます｡ また お願いします｡ はい おいしかったです｡ ごちそうさまでした｡ (一同)ありがとうございました！ 《朝 しっかり飯を食うのは➡ 労働の基本だな｡ 体中に血が巡り ﾌｧｲﾄが湧いてくる｡ 今日は まだ始まったばかりだ｡ 一日しっかり働くぞ》 《あっ そうだ》 滝山 お前また 余計なことを…｡ (電話の切れる音) (電話の呼び出し音) (電話の切れる音) 《あの野郎…》 ＜原作者 久住昌之が 実際にお店訪問＞ ＜今回は 淀橋市場にある➡ 渋い佇まいのお店 伊勢家食堂｡ こちらのご家族の皆さんで➡ なんと 朝５時から 営業しているんです＞ ＜定番から 黒板の日替わりﾒﾆｭｰと➡ 気になる料理が盛りだくさん＞ ﾗｰﾒﾝ類が木 金 土｡ ｶﾚｰﾗｲｽが月曜日だけっていうの 珍しいですね｡ ｾﾘわさび正油和えとか➡ 冬瓜ごま和えっていうのも…｡ そうなんですか？ じゃ ﾁｬｰｼｭｰﾒﾝにしようか｡ ＜注文も終わったところで➡ おかみさんから 日替わり小鉢の ご提案がありましたが…＞ ＜ とりあえず 小鉢ふた品と 漬け物を選び➡ ﾗｰﾒﾝの前に腹ごしらえ と思いきや＞ ＜早速ですが ﾁｬｰｼｭｰﾒﾝの登場です｡ 曜日限定のﾗｰﾒﾝ 果たして…＞ (笑い声) うん｡ ＜ ということで おすすめの➡ 自家製ﾗｰ油を入れて いただきます＞ ＜先ほどの花わさびお浸しを 食べていると➡ なにやら 怪しい気配が＞ んっ？ (栓抜きの音) あ 途中で飲んでもおいしいや｡ (笑い声) ＜市場にお越しの際は➡ こちらの南門より お願いいたします｡ 詳しくは番組ﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞをﾁｪｯｸ＞

半沢直樹＃10

1 (渡真利)報告書 うまくできそう？ (半沢)あとは 近藤の持ってくる 田宮社長の証言が 加われば完璧だ で いつ提出すんだっけ？ 取締役会に議題としてあげる前に 明日 頭取に見せることになってる これで いよいよ 大和田と決着がつけられるな ああ よし！ にしても 近藤のやつ 遅くねえ？ 《≪(大和田)私は君を本行に戻すと 言っているんだよ》 《(近藤)本当にできるんですか？ そんなことが》 《できる 報告書を渡してくれたらね》 《もう一度 なってみないかね》 《銀行員に》 《よろしく…》 《お願いします》 ただいま (由紀子)お帰んなさい➡ どうしたの？ 珍しいじゃない そんな顔して帰ってくるなんて 聞いて驚くなよ 銀行に戻れることになった えッ ほんと？ ああ 本決まりだ でも 突然どうして？ まあ 色々とな じゃあ 出向は？ もちろん無しだ 洋弼 洋弼 パパがね… (留守番電話) (中野渡)もし これが事実なら➡ 銀行として 大和田常務を このままにしておくわけには いかなくなるな この添付書類というのは？ タミヤ電機社長 田宮基紀氏の証言です 京橋支店からタミヤ電機に 融資された3000万が 大和田常務の妻 棚橋貴子の経営する会社に どのような経緯で 資金転貸されたかが語られてます 要約いたしますと 田宮社長が大和田常務に 半強制的に 協力させられたという内容です 手違いで遅れておりますが 取締役会までには 必ず添付いたします 半沢 これだけのことをするからには もし負けたとき 失うものは大きいぞ 覚悟の上です 分かった この報告書は 確かに私が受理した ３日後の取締役会で議題にあげ 審議することを約束する お願いいたします 確実なんだな 間違いないな？ (川口)はい 今朝 確かに部長が 承認印を押してましたから (渡真利)半沢！ 今 人事の裏情報を聞いた まだ内示も出てないそうだが どうした？ 近藤が銀行に戻ってくる しかも広報部だ 一体 何がどうなってんだよ (野田)あいにく近藤部長は 本日 お休みをいただいてますが そうですか では携帯のほうに かけ直してみます はい 失礼します (留守番電話) 半沢です 近藤 いつもの場所で待ってる 何時まででも 待ってるからな (一同)イヤーッ… 待ってたぞ 近藤 半沢 俺は… 早く着替えてこい イヤーッ 面！ 面 面 面！ 面ッ！ 面 面 面！ 面 面ッ！ 面ッ！ 半沢 近藤 生きてくって 大変だな 時々 思うよ 何で銀行員なんかに なっちまったんだろうって ノルマはキツイし 同僚とする話は いつも金や人事のことばかりだ 転勤は つきもので そのたびに 家族には つらい思いをさせる 一つでも汚点を作れば すぐに出向だ お前みたいに なりたくもない病気になっても 周りのやつらから 謝罪の言葉の一つもない なった人間が悪いと 言わんばかりに 片道切符の島流しだ だが お前は自力で戻ってきた 広報部は お前の夢だったんだろう それを手に入れたんだ いいじゃないか それで 半沢 でも俺は そのために お前らを… お前らを裏切ったんだぞ 何でだろうなあ 裏切られた気がしない お前は タミヤ電機を立て直そうと 必死に頑張った その結果 田宮社長を説得して 証言を 手に入れることができたんだ だったら それをどう使うかは お前の自由だ お前は それを使って 銀行復帰を果たした それは お前の実力だよ 俺が お前でも 同じことをしたと思う 誰だって 生きていくには 金も 夢も必要だ お前は銀行員として 当然の選択をしただけだ 報告書のことも気にするな 元々 俺が一人でやるべきことに お前を 巻き込んじまったんだからな お前は何も悪くない よかったな 銀行に戻れて すまん ≪(近藤)すまん… (近藤の泣き声) ≪(渡真利)近藤を許すってことは お前が追い詰められるってことだ 田宮社長の証言がなければ あんな報告書 何の役にも立たない むしろ いたずらに大和田常務を 断罪してるだけに かえってよくない もう一度 田宮社長から 証言を取るわけにはいかないよな その場合 近藤が大和田と 取り引きした事実も明るみに出る 近藤を犠牲にすることになるのか クソッ➡ 大和田は そこまで計算してるのかよ➡ あの野郎 人の弱みに つけ込みやがって なあ おい 何かないのかよ 大和田の不正を決定的にする方法 もう一度 貝瀬に 例の内部告発を隠蔽した書類を 突きつけて 証言させるよう脅したらどうだ？ それか 羽根専務を 何とか こっちに抱き込んで… フッ… やってることは一緒だな 大和田と 結局 俺は 大和田と 同じ穴のムジナなのかもしれない 同じじゃない 大和田は 自分の保身のためなら 簡単に人を切り捨てる人間だ でも お前は いつだって まずは誰かのために動いてきた➡ 大阪の竹下社長 藤沢未樹➡ 伊勢島の湯浅社長 戸越さん それに近藤だって➡ お前に助けてもらった人間は たくさんいるんだぞ お前は大和田と違う 全然 違うよ 渡真利… だから 負けるわけにはいかないだろ 大和田だって 今は 身を守るのに必死だ 何か一つでも お前の粗を見つけて 強引に出向… (内藤)半沢！➡ 金融庁から 頭取宛てに書面が送られてきた 書面？ 先日の検査における お前の受け入れ態度に 問題があると指摘してきたそうだ 黒崎ですか 早速 岸川部長が 次の取締役会で お前の処分案を 議題にあげるらしい 随分と根回しがいいんですね これは お前を出向させるために 仕組まれたことかもしれん とにかく 何とか乗り切れ！ いいな 半沢 俺も できるかぎりのことをする ありがとうございます こういうの 何て言うか知ってる？ 絶体絶命 ただいま ≪(花)お帰り ちょ ちょ ちょっ… えッ？ 痛ッ 何だよ 花 いいの いいの 黙って ついて来て はい ジャジャーン 花ちゃんの手作りｼﾌｫﾝｹｰｷで～す 半沢次長 金融庁検査の長～い戦い お疲れさまでした これで 出向しなくて済むんでしょ？ 隆博の夏休み あと１週間あるから 海外は もう無理なんだけど 国内なら全然 行けるから どこにする？ これ 沖縄 ごめん まだ どうなるか分かんないんだ もしかすると 次の取締役会で 出向が決まるかもしれない 何で？ 伊勢島ホテルも救って 金融庁検査も乗り切ったんでしょ ごめん そういうことになってるんだよ どうしたんだよ これ？ この前 金沢 行ったときに 作らせてもらったの それも お義父さんのネジと一緒に 持ってて お守りの代わりに 黙って やられるつもりなんか ないんでしょ？ 大和田なんかに お義母さんから全部 聞いた ごめんな ずっと黙ってて ううん 色んな思いは あるかもしれないけど ここまでやってくれた直樹を 天国で お義父さん ものすごく誇りに思ってると思う 銀行を変えたいって 話してくれたけど 私 すごく感動したし 応援したいって思った 私… あなたを 一人の人として尊敬するわ 花… だからさ これで負けたら負けたで いいじゃん 直樹から見たら 銀行なんて こんなに大きいかもしれないけど 世間から見たら こんなもんよ 出向になれば 外から銀行 見れるわけだし 銀行を変えていくのに いい経験になるんじゃない？ 出向が怖くて 銀行員できるか！ そんな気持ちでさ 大和田に ブチ当たれ ≪(中野渡)そうか 決め手となる証言を失ったか 頭取は どう思われますか？ この報告書の内容について 黒だな➡ 恐らく ここに書かれていることは 事実だろう だが 証明できなければ これは ただの紙くずだ 銀行員にとって 最も必要なものは何だと思う？ 人を見る力だよ 金勘定は二の次だ 私は君という男を見て 伊勢島ホテルの全てを託した そして 生き延びることができた➡ 半沢 お前 大和田常務の何を見てる？ メガバンクの常務などという 肩書を外せば あの男も君と同じ 一銀行員であり 一人の弱い人間なのかもしれない そこを見落とすと 彼には勝てないんではないか？ もしかすると俺達は 大和田の銀行員としての顔しか 見ていなかったんじゃないか？ なぜ大和田は 迂回融資なんて 危ない手を使って 妻の会社に 3000万の資金を流したのか 確かに メガバンクの役員なら それくらいの金 自分で用意できたはずだよな だが そうはしなかった いや できなかったのかもしれない そうか… よし 俺の持ってる ネットワーク全てを使って 大和田を丸裸にしてやる 頼む ラフィットのほうは 近藤に調べてもらうから 近藤!? おま… つくづく思うよ お前 いいやつだよな お前も 近藤も 俺にとっては 一生大事な同期の友だ そっちは お前達に任せる 俺には 会って話を聞きたい人物が 一人いる よし じゃ 早速 近藤と連絡 取ってみるよ いや もう来てる えッ？ 何やってんだよ 近藤 早く来い あと24時間しかないぞ 作戦会議だ お帰り 近藤 お帰り ただいま あなたが最初に出した 120億の運用損失 あれは ただの事故だったんですか それとも… (羽根)いまさら そんなこと聞いて どうするの？ 大和田常務の不正を 報告する文書に あなたの証言を 付け加えたいと思っています 正義は我にありっていう顔ね 羽根さん 伊勢島が 二度と同じ問題を 起こさないためにも 大和田のような男には きちんと 責任を取ってもらわねばならない そのためには あなたの証言が必要です あの損失は 間違いなく事故よ でも それを… それを大和田常務が 利用した せいぜい気をつけるのね 大和田常務には (雷鳴) (クラクション) いやあ 申し訳ない 銀行に戻るなら 私の車に乗らないかね？ お心遣いは ありがたいですが 遠慮させていただきます 近藤君は 素直に乗ってくれたがねえ ではせめて ｸﾘｰﾆﾝｸﾞ代は私宛てに 請求書を回してくれたまえ 泥に濡れているのが 好きなら別だが あのときも こんな雨の日でしたね 25年前の金沢です あのときも あなたは そうやって 傘を差し 私の父は雨に濡れ 泥まみれで はいつくばってました 《(慎之助)融資 継続すると あんたが言ったんやないか》 《離してください》 《≪(慎之助)産業中央銀行さん それだけは助けてください➡》 《お願いします！》 あれから 随分と偉くなられて 昔のことなど 忘れてしまわれましたか？ 確かに 私は昔 金沢にいたこともあるが… はて 一向に 君のことは思い出せないなあ ただ 仕事の質にこだわって 経営破綻した 哀れなネジ工場のことは 何となく思い出したよ 自動化やコストカットを いくら勧めても 首を縦に振らない 立派な職人さんだったが 私の言うことさえ聞いていれば 自殺などしないでも 済んだのにねえ その職人は 銀行を信じて 土地を担保に入れたんです しかし 見捨てられ 全てを失いました 彼は… 私の父は 銀行に殺されたも同然だった 《(読経)》 《≪(融資課長)間一髪だったな➡》 《コマダ工業の業績悪化が 発覚したとき➡》 《それを半沢ネジに伝えず うまいこと言って➡》 《土地の担保を決めさせたのは さすがだな➡》 《あれで うちは 損失を出さずに済んだんだから》 《銀行員として 当たり前のことをしたまでです》 《銀行が潰れてしまうわけには いきませんからね》 《今度の査定 楽しみにしとけよ》 《ありがとうございます》 《何か 腹へりません？》 《飯食いに行くか》 《寿司でお願いします 課長のおごりで》 《≪(融資課長)まったく お前みたいなやつがいると➡》 《産業中央も まだまだ安泰だ》 君が どう言おうが 勝手だが いまさら 25年も前のことを あれこれ言われてもねえ 銀行に時効などありませんよ 覚えていようといるまいと あなたのしたことの責任は キッチリ取っていただく 人の善意は信じますが やられたら やり返す 倍返しだ それが私の 流儀なんでね お前の予想どおり 大和田は真っ赤っ赤だ➡ 近藤のほうは？ 今夜中には届くはずだ (小野寺)どうぞ おお サンキュー でも それはあくまで状況証拠だ 大和田を追い詰める 決定的な証拠を見つけないかぎり 金融庁からの改善要求を理由に お前が飛ばされるのは 時間の問題だ 分かってる しかし 黒崎のやつ セコイまねしてくれたもんだよ なあ 渡真利 前から気になってることがある 黒崎は 湯浅社長を辞めさせ➡ 羽根専務を 社長にするという大和田の提案を いとも簡単に了承した あれだけ銀行を嫌ってたやつが おかしいっていうんだろ？ ああ だがそれも 大和田常務と黒崎が つながっているなら うなずける となると 伊勢島の疎開資料の隠し場所を 黒崎にリークしたのも大和田？ それだけは 大和田がやったとは考えにくい だよな あんなヤバイ資料 金融庁のもとに公になったら➡ さすがに 大和田も ただじゃ済まない そんなリークを わざわざするとは思えない➡ じゃ どうやって黒崎は➡ 見取り図にも載ってない 機械室を突き止めたのか？ あの… そのことなんですけど ちょっと気になってることが 金融庁検査の前日に 融資部から 追加で疎開さしてくれって 資料が回ってきたんです その資料は… ≪(小野寺)はい 僕が 地下２階の機械室に運びました そのとき つけられた可能性もある 融資部の誰が持ってきたんだ？ 横山ってやつです まだ３年目の若いやつだ そいつが黒崎と 通じてるとは思えない 誰に頼まれたか 横山に聞いてみる (岸川)予定どおり 取締役会で➡ 半沢次長に対する処分を 決議することになりました➡ それを踏まえて 彼には早々に 出向を命じます ああ そう で 行き先は？ 東京セントラル証券が 受け入れてもいいと言ってます 東京セントラル… ああ 子会社のね あそこはいいねえ 小さいし 半沢君も すぐ打ち解けられるでしょう ただ 半沢も その取締役会で➡ 我々が不正を働いたなどという 報告書を議題にあげるようです (黒崎)あなたのご要望どおり 半沢次長への改善要求書 送ってあげたわよ そう 次の取締役会でね しっかり改めさせてね あの小生意気な態度を 横山に追加の疎開資料を 届けさせたのは お前だな？ (福山)さあ 小野寺 はい 横山が話してくれたよ これは お前が横山に渡した 追加の資料だ よく見てみろ 伊勢島ホテル 120億の損失に関する覚書 だが 調べてみたら こんな資料は存在しなかった お前が偽造したな？ ここには黙秘権なんかねえぞ！ 何なら お前が資料を偽造して 銀行を追い落とそうとしたと 公表したっていいんだ そうしたら お前は 東京中央 全行員を敵に回し 懲戒解雇 間違いなしだ 俺がやったって証拠はどこにある あるなら出してみろよ 証拠を 証拠を出せよ！ ありました 福山さんのタブレットの中に➡ 疎開資料を偽装したデータ お前 勝手に！ これで お前も終わりだな まッ 待て 俺はただ 上の命令で 上の命令？ 誰だ 言え！ 言えるわけないだろう これを行内にバラまくぞ 誰だ！ 大和田か？ 岸川か そうなんだな！ ≪(渡真利)岸川か だとすると 裏で指示したのは大和田だよな 何で自分の首 絞めるような 疎開資料のリークを？ 自分の身を守れるだけの取り引き 黒崎としてたのか？ 違う これは岸川の 大和田に対する裏切りだ あの最後の金融庁検査のとき 恐らく 大和田は 疎開先のことは知らなかった 《さあ 行きましょう➡》 《皆さんも ご一緒に》 《おい 岸川》 《どういうことだ！》 《私にも分かりません》 あの意味が今 やっと分かった いや だけど岸川は 黒崎より大和田についてたほうが はるかに得だよな もし 大和田が頭取になれば 岸川が専務当確だろう 何で裏切るようなまねすんだよ 黒崎に弱みを握られたか あるいは 何か特別な つながりがあるのか ≪(渡真利)岸川と黒崎が 内通してる証拠をつかめば そっから 大和田を切り崩すチャンスはある でも今日中に つかめなければ… 俺の生きる道はない (渡真利)黒崎と岸川の関係 何か つかめたか？ 出身地 住所 高校 大学 中学 全てにおいて 接点がない そうか なあ 半沢 最後に もう一度だけ… いい座り心地だね 思ったよりは 何かご用でしょうか 君とは色々あったわけだが 最後に もう一度だけ チャンスをあげようと思ってね チャンス？ 報告書 出すの 取り下げてみないか？ もちろん 私に非などないが 結果が分かっているのに審議して 時間を費やすのは非効率的だ いちいち弁明するのも 面倒なんだよ もしも報告書を取り下げた場合は 君への処分も 目をつぶろう いい話だと思いませんか？ お断りします まだ業務が残っております おどきください 残念ですね そうだ まだ 確証がないみたいだから 一つ いい方法を 教えてあげましょうか 簡単だよ ねッ 近藤君を切り捨てればいい 彼は私の取り引きに応じて 田宮社長の証言を握り潰したんだ それを もう一度 田宮社長に証言してもらえば 私も近藤君も おしまいだよ いいアイデアだろう？ (大和田が笑う) やれるもんなら やってみな 常務 うん？ 倍返しだと言った 昼間の言葉 撤回いたします やられたら やり返す あなたに対しては 100倍返しだ！ 覚えておいて いただこう ゼロを倍にしても 100倍にしても 答えはゼロです 半沢君 やはりダメでしたか ☎(来生)もう少し時間があれば どうにかなるんですが➡ いかんせん 相手が 金融庁の有名人だ 入り込むのに時間がかかる お手間をおかけして 申し訳ありませんでした いえいえ とにかく ギリギリまで探りますから ☎ありがとうございます では (携帯着信) もしもし どうした？ 花！ ビックリしたよ 急に来るから はい 手作り愛妻弁当 どうせ今夜も 夜中まで仕事なんでしょ？ サンキュー 花ちゃん 腹へって 気失いそうだったんだよ はい こっちがスパイノートね スパイノート？ 行きたくもない夫人会に潜入して 聞きたくもない話 散々 聞いてきたんだからね 感謝してよ でも何で？ 言ったじゃない 直樹のこと応援したいって 何か 大和田の弱みとか 聞き出せるかなと思ったんだけど 大した情報 聞けなかったな ごめんね いや 何かの役に立つことが ある… かもしれない ありがとう 大和田夫人は無愛想で無口だし 岸川夫人なら 何か知ってるかなと思って 聞き出そうとしたんだけど 何か今 すっごく悩んでて 娘さんの結婚のことで 結婚… 岸川部長の娘が？ 《(岸川の妻)今度 ハワイで 身内だけで結婚式するんだけど》 《ちょっと訳があって あんまり人には言ってないの》 訳ありって… こっそり私にだけ 教えてくれたんだけど 相手の人が金融庁の人なんだって 最悪よね 銀行の敵じゃない その金融庁の担当と 銀行役員の娘が結婚するのって 本当は よくないって 岸川夫人が心配してたけど そうなの？ ちょっと行ってくる えッ 行くって どこに？ ありがとう 花！ ≪(岸川)こんな時間に いきなり来るなんて失礼だろう 申し訳ございません 今夜中に お話ししておきたい 大事な用件がございまして 大事な用件？ 一つ 確認しておきたいことが 何が？ あなたの意思です この報告書には 目を通していただけましたか？ ああ 一応はね この内容を認めてくれるかどうか その確認です そういうことか 認めるわけないだろう そこに書いてあることは 事実無根だ 3000万の迂回融資だの 内部告発のもみ消しだの 根拠もなしに並べられて ハッキリ言って私も大和田常務も かなり 心外な思いをさせられているよ 岸川部長 あなたに銀行員の良心が 少しでも残っているのなら 自分のしてきたことを 後悔しているはずです 取締役会で この報告書を 認めると証言してください 銀行員としての自分を 取り戻すんです 事実でないことは認められんよ 大体な お前のほうこそ 金融庁から指摘された 問題次長のくせに 偉そうなこと言うな！ 悪いが もうじき来客があるんだ さっさと帰りたまえ 分かりました では最後に 祝辞を述べさせていただきます このたびは 娘さんのご結婚 おめでとうございます ですが あなたも父親として 複雑な心境なんじゃありませんか 何せ 相手は金融庁の… 何で そのことを 奥様は随分 心配してるようですよ 私の妻に 全てを打ち明け 相談してきたそうです 娘さんは本当に 彼のことを愛しているのか もしかすると あなたが 彼の権力ほしさに 政略結婚を させようとしてるんじゃないか 違う！ 結婚は向こうから 言ってきたことだ 黒崎さんは ああ見えても 実は… まさか やはり 娘さんの結婚相手は 黒崎だったんですね 私をハメたのか？ いいんですか？ 岸川部長 そういうことなら 今回の黒崎の行動は 大問題です 当行に 個人的な関係があることを隠して 金融庁検査に 検査官として赴任してきたんだ 上に知れたら ただじゃ済まない それは誤解なんだ ええ 誤解していました 私は ずっと 大和田常務が黒崎と 通じてると思っていた 直接の窓口は あなただったんですね あなたは 大和田常務にも 結婚の弱みを握られ 操り人形になるしかなかった 違いますか？ そんな状況に よほど嫌気が差したんでしょう あの金融庁検査で あなたは大和田を裏切った 疎開資料の隠し場所を 黒崎にリークしたんです 《おい 岸川》 《どういうことだ！》 《私にも分かりません》 上層部が皆 吹き飛べば じき 頭取も夢ではない そう黒崎に 吹き込まれでもしましたか？ 娘婿である黒崎を かわいがる気持ちは分かりますが 金融庁と内通し 当行に不利益をもたらそうとした この罪は重いですよ 岸川部長 娘さんは さぞ残念がるでしょうね せっかく金融庁のエリートと 結婚できるはずが 目前で水の泡だ ちょっと待ってくれ いいえ 待てません この件は マスコミにも流させてもらう そうなったら 一番の被害者は娘さんですね やめろ！ 全部 私が勝手にしたことだ 娘は銀行や金融庁のことは 何も知らない 関係ないんだ 関係ない娘さんを巻き込んだのは あなたと黒崎です 頼む 半沢君 どうか… どうか このことだけは 口外しないでもらいたい 頼む！ 娘の幸せを壊さないでやってくれ このとおりだ！ そこまで娘さんのことを思う 気持ちがあるのなら あなたはまだ まっとうな人間だ 何が正しいか 判断できるはずです もう誰も守ってはくれませんよ 銀行員として何をすべきか よ～く考えてください 岸川部長 驚いた まさか こんなところで あなたと会うなんて こちらこそ驚きましたよ あなたが結婚するなんて バレちゃったみたいね 何をたくらんでるんです？ 岸川を使って 今度は内側から 銀行を潰す気ですか？ それも悪くないわね でも ほ～んとに 好きになっちゃったものは しょうがないじゃない なんてね ほんと目障りな顔 次から次へと 私の邪魔ばかりして せめて結婚だけは 邪魔しないでちょうだい それは 岸川部長しだいです もし 岸川のパパが処分を受けて 銀行を 出されるようなことになったら それはそれで好都合かもね 遠慮なく行くわよ 金融庁検査 覚悟してなさい ≪(棚橋)あら 帰ってたの？ ああ (棚橋)ねえ また100万ほど 用立ててもらえる？ 来週 新作の買い付けでミラノなの お願いね 今日から こちらでお世話になる 近藤です 即戦力になれるよう 精いっぱい 頑張ります どうぞ よろしく 営業第二部 半沢直樹次長➡ 入りたまえ (中野渡)では 半沢次長 君の報告書について 説明をしなさい それでは ご説明いたします まずは先月 行われた 伊勢島ホテルへの 200億の融資について 京橋支店の 貝瀬支店長 古里課長代理は 伊勢島ホテルからの 内部告発によって 120億の損失が出ることを 知っておりました にもかかわらず それをもみ消し 何も知らなかったことにして 200億の融資を進めました その結果 当行が金融庁検査において 多大な苦難を強いられたのは 皆さんも ご存じと思いますが 貝瀬支店長は ｢上からの指示に 従っただけだ｣と申しております その指示をした人物は ここに記載したとおりです 大和田常務 あなたですね なぜ そんなふうに思うのか 到底 真実とは言い難いことです 大体 こんなことして 私に 何の得があるのかな あなたは 羽根専務の出した 120億もの損失を利用し 金融庁検査の混乱の責任を 取らせる形で 頭取の失脚を もくろんでいたのではないですか あらまあ らしくないねえ 半沢君 頭取の失脚？ 頭取に対して 第一 失礼だよ 根拠が まるでない というか その前にあるはずがない だって事実とは違うんだからね 私は やましいことは 何一つ していない では もう一つの件について お伺いします ５年前 タミヤ電機に融資された 3000万の件です この資金は すぐにﾀﾐﾔ電機から ﾗﾌｨｯﾄという会社に転貸されました 転貸資金も問題ですが もっと問題なのは このﾗﾌｨｯﾄが 大和田常務の 奥様の会社だということです (ざわつく役員達) これは明らかに あなたが 当時 京橋支店長だった 岸川部長に命じてやらせた 迂回融資なんじゃありませんか？ このような事態は コンプライアンス ならびに 金融機関役員としての信義則に 違反する事実であり 当行の社会的信用も 大きく毀損するものです 本件の対応について 取締役会の判断を 仰ぎたく存じます 大和田君 君の意見を聞こう ええ… 困りましたねえ さっきから次々と御託を並べて まったくの事実誤認としか 言いようがない 半沢次長 そうまで言うなら 君は当然 田宮社長にも確認したんだろうね どうなんだね？ 証言があってのことなんだろうね 残念ながら 田宮社長からの証言は 取れませんでした ああ それはそうだろう そんな事実はないんだから 半沢次長は そんな一方的な調査で 私が迂回融資をしたと 言うんですか？ ひどいなあ 皆さん どうも私には この報告書自体が 悪意をもって書かれた 事実が わい曲されたものに 思えてなりません 半沢次長 もしかして君 私に何か 恨みでもあるのかね？ 私が確認したところによりますと 実は 妻は 以前から田宮社長と知り合いで 融資の話も だいぶ前から 相談していたそうです 今回 我が行が タミヤ電機に融資した 時期とタイミングが 偶然 妻の会社へのそれと 一致していたために このような誤解を 招く結果となってしまいました 妻の話によれば タミヤ電機から お借りしている3000万は だいぶ長くなってしまったので 出資に切り替えてもらうか 一度 返済するつもりだと 話していました 不測の事態とはいえ このように 皆様に 余計なご心配を おかけしましたことを 深くお詫び申し上げます 本当に申し訳ございませんでした 私からの申し開きは 以上です 皆さん いかがかな 結論は出たな➡ 次は半沢次長に対する 改善要求を… お待ちください 妻が勝手にやったことだから 知りません？ 大和田常務 あなた いつから そんな政治家みたいな 見え透いた弁明を するようになったんですか？ そんな子供だましが 通用すると思ったら大間違いだ そもそも 返済するだの 出資に切り替えるだの そんな話は まるで現実味がありませんね 私じゃない 妻がそう言ってるんだ タミヤ電機は 資金繰りに苦しんでる 出資に切り替えるということは 3000万 ドブに捨てるようなものだ あなたの奥様の会社も 大赤字の中 どうやって 3000万を返済するのか 返済原資をお聞かせ願いたい 妻の会社に出資してくれる先が あると聞いてる どこの何という会社ですか それとも個人ですか？ 具体的に お答えください そんなことまでは知らんよ お聞きになっていないんですね では今 この場で 奥様に電話をして聞いてください (乾)失礼だろう！ 失礼ついでに言わせていただく 奥様を悪く言うつもりはないが 果たして経営者として ふさわしい 才覚の持ち主でしょうか 我々 銀行員にできるのは 金の流れを追うことぐらいです 私の仲間が あなたと奥様について 過去５年間の金の流れを 徹底的に洗い出してくれました ５年前 ラフィットの経営は困窮し 1000万ほどの借金を抱えました しかし その後も 経営再建のメドは立たず 借金は少しずつ 膨れ上がっていった そして あなたの奥様は マチ金に手を出した ≪マチ金!? いきなり昔話をしだしたと思えば 何を大げさな 急場をしのぐために そんなことも あったかもしれませんが それは全部 返済して 今は借金なんかないんだよ！ 白水銀行 東京中央信金 大同ローン トラスト金融 ドットマネー 複数の金融機関とマチ金から いわゆる 転がしで資金を調達し続けた結果 あなたが気づいたときには 奥様の抱える借金は １億を超えていた だから あなたは当面のやりくりのために 3000万の迂回融資を実行… こじつけだ それは！ あなたの個人口座も 全て調べさせていただきました 東京中央銀行 常務取締役ともあろう方の口座が 預金残高はマイナスです 今でも家には 抵当がベッタリとはり付いており 借金は まだ5000万以上… ゴチャゴチャ ゴチャゴチャと半沢 君のそういう態度が 金融庁から問題ありと 判断されたんじゃないのか！ この取締役会で 処分の対象を受けるべきは お前なんだよ 勘違いしてるんじゃない！ 伊勢島ホテルの検査を乗り切って 調子に乗るのもいいけれどもねえ 君の 君一人の その非常識のせいで 我が行全体のモラルが 疑われてるんだよ モラル… この銀行に まだﾓﾗﾙなんてものが 存在するんですか？ 私の言ってることと 大和田常務の言ってること どちらが正しくて どちらが間違ってるか 少し考えれば 誰にでも分かるはずです しかし 皆さんは これまで ずっと このテーブルの上で 黒だと思っているものを 詭弁で白に すり替え続けてきた その結果が 今の この東京中央銀行です 大和田常務 あなたは 私に おっしゃいましたね メガバンクは この国の経済を支えている 決して潰れてはならないと おっしゃるとおり 銀行は 決して潰れてはならない ですが私達は そのことに こだわるあまり いつの間にか 自分達のことしか考えない集団に なっているんじゃありませんか？ 弱い者を切り捨て 自分達の勝手な論理を 平気で人に押しつける 問題は先送りされ 誰一人 責任を取ろうとしない くだらない派閥意識で お互いに けん制し合い 部下は上司の顔色をうかがって 正しいと思うことを口にしない そんな銀行は もう 潰れているようなものです！ 世の中には 本当に銀行の力を必要としてる 人や企業が たくさんいます 彼らを裏切り続けるなら 私達は もう存在していないも 同然じゃないですか これ以上 自分達を ごまかし続けるのは やめましょう 黒は黒 白は白です そうは思いませんか？ 岸川部長 ≪(中野渡)岸川部長も この報告書の当事者だったな 君の意見も聞かせてもらおう はあ… はッ はい ≪(中野渡)この報告書について 何か言いたいことはあるかね 私は この報告書に書かれている 内容については… 遠慮はいらないよ 岸川部長 思ってることを 正直に言いなさい この報告書の内容は 何一つ 身に覚えは… 岸川さん どうなんですか 岸川部長 私は この報告書の内容を… 頭取 岸川部長は少し体調が… 今 岸川さんが 話してるんだ 黙って聞け！ 何だ その口のきき方は！ 私は常務だぞ 常務だ すみません 大和田常務 私は… おい やめろ 岸川 私は この報告書に書かれていることを 黙れ 岸川！ 認めます 私は ５年前 京橋支店におりましたときに タミヤ電機に 3000万の融資を実行いたしました しかし それは 大和田常務の奥様の会社を 救うための転貸資金であり 大和田常務が田宮社長にお願いし 話がまとまっていたことです 岸川！ 何 誤解してるんだ 私は そんなこと何も知らん 伊勢島ホテルの件については いかがですか？ それも 伊勢島ホテルからの 内部告発によって 私も大和田常務も 120億の損失が出ることを 知っていました ですが その事実を隠蔽して 200億の融資が 実行されるように仕向けました お前が勝手にやったことだろう！ いいえ！ 全部 大和田常務の指示に従って 私が実行いたしました 岸川！ うるさーいッ 俺だって こんなふうになりたくなかった こんなふうに… 頭取 皆さん 岸川部長が言ってることは ただのざれごとですから 何の証拠もない！ 迂回融資だなんて そんな私が… 見苦しいですよ 大和田常務 これは あなたがしてきたことの報いです 散々 利用してきた部下に裏切られた 今のお気持ちは いかがですか？ もう その辺でいいだろう 大和田常務 君には改めて➡ 処分を伝えることになると思う➡ いいね 異論のある者は？ では これで… まだ終わっておりません 大和田常務 私との約束 覚えてらっしゃいますよね はあ 約束？ 伊勢島の隠蔽を指示した人物が あなたなら 私に土下座をして 詫びていただくお約束でした 忘れたとは言わせませんよ さあ やってもらいましょうか 常務ともあろうお方が 約束を 破るつもりじゃないでしょうねえ 土下座などパフォーマンスだ いくらでもしてやる そう言っていたじゃありませんか さあ！ 半沢 もうその辺でいいだろう 部長 これは 私と大和田常務とのケジメです 止めないでください 土下座をしてください 仮にも 人の上に立つ人間なら 潔いところを見せていただきたい どうしました？ 部下に頭を下げるなんて 常務のプライドが許さない もし そう思っていらっしゃるのなら 大きな間違いだ あなたが謝るのは 私じゃありません これまで あなたが 雨の日に傘を取り上げ トカゲの尻尾として 切り捨ててきた 全ての人と 会社です 土下座をしてください 大和田常務… 半沢 そこまでだ いいえ ここで 終わらせるわけにはいきません 地べたをなめるようにして あなたにすがり けなされ さげすまれ それでも必死で 家族を 会社を 大切なものを守るために あなたに土下座をし続けた人達の 痛みを 怒りを 悔しさを あなたにも思い知っていただく 土下座してください やれーッ 大和田！ うわ～ッ ウオ～ッ ≪(秘書)大和田常務が お見えになりました 入れ わざわざすまないね 大和田君 いやあ お気遣いなく どこですか？ 北海道の科野林材ですか？ それとも 佐世保の 小宮山造船あたりですか… それでは 君に対する処分を言い渡す 大和田暁 本日付をもって 常務取締役職を解任し 取締役への降格を命じる 以上だ 下がりたまえ なぜですか うん？ 懲戒解雇になっても 文句の言えない男ですよ 今の私は それだけで 済ませて よろしいんですか 人の価値は 金では推し量れない 銀行員は金ではなく 人を見るべきだ そういうことだ 私は 銀行員としての君を 尊敬していたんだよ (近藤)降格!? (渡真利)そうだよ それだけかよ 出向は？ ないらしい 出向になった岸川部長一人が 詰め腹を切らされたってことか そう まさしくトカゲの尻尾 それにしても やるよね さすがは中野渡頭取だよ どういうことだ？ 大和田を出向させるのは簡単だ でも それだと 第二 第三の大和田が出てきて 結局 派閥争いは続く可能性がある 確かに だから頭取は 旧産業中央のトップである 大和田を取り込むことで その勢力の全てを 掌握したってことさ➡ これで大和田は 一生 中野渡頭取には逆らえない➡ あとは一気に 行内融和政策を進めるつもりだろ 黒を白にしたのは 頭取なんだよ ≪(近藤)本当に それでいいのか？ 半沢 本当に これでよかったのか？ 今日あたり出るんでしょ？ 内示 うん 副部長になったら ますます忙しくなっちゃうね どうかな その前に２～３日でいいから 休み取って 家族三人で 金沢 行かない？ 金沢？ ああ いいけど お義母さんにも たまには顔見せないと それに お義父さんにも 報告することあるでしょ そうだな じゃあ 決まり しっかり有給 ゲットしてこいよ 半沢副部長 ウッス う～ん！ あッ 直樹 よく頑張ったね うん 半沢 頭取が お呼びだ お～い！ すぐに頭取室へ行ってくれ はい ≪(渡真利)頭取 じきじきの 内示ともなれば➡ ｻﾌﾟﾗｲｽﾞ人事があってもおかしくない 何だよ サプライズって まさか 部長に昇格か？ これまでの半沢の功績を考えれば それも あり得るんじゃないか？➡ さかのぼれば 大阪西支店時代の５億の回収➡ 伊勢島ホテルの再建 金融庁検査の危機回避➡ 加えて 大和田の不正断罪 これだけ揃ってりゃ 二階級特進くらいあったって 不思議じゃない 今の半沢は 中野渡頭取の 懐刀みたいなもんだからな これで 次期取締役候補のラインに 乗ったのは間違いない 本当に あいつが頭取になる日が 来るかもしれないな なあ 営業第二部 半沢次長がいらっしゃいました (中野渡)入れ 半沢 今回は本当に よくやってくれた 頭取として礼を言わせてもらう いいえ ただし 最後のは ちょっとやりすぎだ 反省しろ はい 申し訳ございませんでした では 君に辞令を伝える ぜひとも 受理してもらいたい はい 半沢直樹次長 営業企画部 部長職として 東京セントラル証券への 出向を命じる！

孤独のグルメ４th＃03

1 《箱根も すっかり夏だ》 《ん？ いのしし 出るんだ》 《せっかくの箱根｡ 仕事終わったら ぶらっとするか》 《え ここ？ 駅から近っ》 《このくらいの広さなら…》 《ほぉ～》 気持いいね｡ うん｡ ねえ 疲れたもんね｡ 《足湯で飲む ｱｲｽｺｰﾋｰ｡ 足湯ｺｰﾋｰ｡ 箱根だなぁ》 ＜時間や社会にとらわれず 幸福に 空腹を満たすとき➡ つかの間 彼は➡ 自分勝手になり 自由になる｡ 誰にも邪魔されず 気を遣わず ものを食べるという➡ 孤高の行為｡ この行為こそが➡ 現代人に平等に与えられた➡ 最高の癒やしと➡ いえるのである＞ いらっしゃいませ｡ ｷﾞｬﾗﾘｰの下見をお願いしてました 井之頭と申しますが｡ はい 伺っております｡ 少々 お待ちいただけますか｡ 今 呼んできますから｡ すみません お手数かけます｡ 《ならやん｡ ちょいと そそる》 すみません お待たせしました｡ 井之頭さんですね？ はい｡ 《もみあげ もみさん》 よろしくお願いします｡ 《いや… この店風に言うと もみやん》 えっと… 展示物はなんでしたっけ？ 切り絵です｡ ほぉ 切り絵ですか｡ 私のｲｷﾞﾘｽの知人にｻﾐｭｴﾙ･ﾏｰｶｽ という男がいるんですが➡ その彼の作品です｡ それは楽しみですね｡ ひとつ お聞きしたいんですけども➡ ここで切り絵を展示したこと ありますか？ といいますと？ いや ｻﾐｭｴﾙは 一度も切り絵を 展示してない➡ ｷﾞｬﾗﾘｰを探してまして｡ なるほど｡ えっと 前にあったかな？ たぶんなかったと思うけどな｡ いや…｡ 《ｼﾝｷﾝｸﾞﾀｲﾑ》 あとでちょっと 事務所で確認してみます｡ お願いします｡ あと写真を撮らせていただいて よろしいですか｡ もちろん｡ ありがとうございます｡ (ｼｬｯﾀｰ音) で 確か 来年１月の ２週目でしたよね？ ええ｡ でしたら ｽｹｼﾞｭｰﾙ的には 大丈夫ですね｡ じゃあ 先ほどの件 ちょっと事務所で➡ 確認してまいりますんで 何か飲んで待っててください｡ 頼むよ｡ はい｡ 何になさいますか？ じゃあ ｺｰﾋｰください｡ はい｡ かしこまりました｡ あと すみません｡ もみやん…｡ じゃなくて あの ならやんのごまあんをください｡ はい｡ 《危ない 危ない》 お待たせしました｡ 《自分で餡を詰めるのか》 《左官屋さん気分だ｡ ようがす》 《いただきます》 《うん 自分で ひと手間かけたあとに➡ ちょうどいい甘さ》 《ならやん いけるでがす》 《ｺｰﾋｰのほろ苦さが ごまあんの甘みにおつでがす》 《これだったら ２ついけたな》 ごちそうさまでした｡ ごちそうさまでした｡ ありがとうございました｡ では 改めて 連絡させていただきます｡ よかったです｡ うちも切り絵は初めてなので 楽しみです｡ あっ 何か必要なものがあれば お知らせください｡ はい ありがとうございます｡ 遠いところ ご苦労さまでした｡ 失礼します｡ 《ん？ ﾉｽﾀﾙｼﾞｯｸ散策路》 どうかしましたか？ これ いただいてよろしいですか？ どうぞ どうぞ｡ せっかくですから そのへん歩いてみてください｡ はい｡ 失礼します｡ お疲れさまでした｡ 《ﾉｽﾀﾙｼﾞｯｸね》 《ふ～ん 線路沿いに 細い道があるんだ》 《道草こそ 旅の醍醐味だ》 《ﾉｽﾀﾙｼﾞｯｸって感じでもないが➡ ちょっといい ぶらり道だ》 《ﾉｽﾀﾙｼﾞｯｸというより➡ 獣道ｯｸな道になってきたぞ》 《真夏にｽｰﾂで歩くとこじゃない》 (物音) 《まさか いのしし》 《ようやく獣道ｯｸな散歩道から 抜け出したが➡ これから ﾉｽﾀﾙｼﾞｯｸな展開はあるのか？ ん？ 温泉幼稚園｡ 園庭に大露天風呂がある とか？》 《え～ 本当にこっちでいいのかな》 《ん？ え～》 失礼します｡ 《人ん家だろ ここ｡ 大丈夫か？》 《ここか》 はい もう終わり おしまい｡ 《もともとは 小学校だったんだ》 こんにちは｡ ああ こんにちは｡ こんにちは｡ こんにちは｡ 《あの おばあちゃん➡ 温小の卒業生かな ﾌｯ…》 《昔は この校庭にも➡ 子供たちの声が 溢れてたんだろうな》 《いかん ﾉｽﾀﾙｼﾞｯｸ気分に 浸った途端➡ 腹が… 減った》 《店を探そう》 《ここから いちばん近い店は どこだ？ ここか… ん？ そういえば さっき…》 《よし》 《あれ ここでいいんだっけ？》 《いかん 迷った》 《あっ ここだ こっちか》 《え～ こっち なんだよな？》 あった｡ 《う～ん いったい 何が食えるのか｡ ﾋﾝﾄすら ない｡ だが え～い 当たって砕けろ｡ ﾀﾞﾒだったら あとで➡ 温泉に飛び込んで 忘れればいい》 いらっしゃいませ｡ あっ｡ いらっしゃいませ｡ いらっしゃいませ｡ そちらの 真ん中のお席へどうぞ｡ あっ｡ 暑かったでしょ｡ はい どうぞ｡ ありがとうございます｡ 《さてと》 《やはり 居酒屋 おつまみﾒﾆｭｰだ》 ﾗﾝﾁは ｽﾃｰｷ丼と ｱﾜﾋﾞ丼の ２種類から 選べます｡ あ～ そうなんですか｡ 《ｽﾃｰｷに ｱﾜﾋﾞ》 ｽﾃｰｷは 足柄牛です｡ ｱﾜﾋﾞは 蒸し焼きにして 肝と和えてます｡ ほぉ～｡ 《まさかの展開｡ 陸の王様と 海の王様が お出ましとは➡ こいつは すごいことに なっちゃったぞ》 ｽﾃｰｷか ｱﾜﾋﾞ｡ 《うお～ん》 あっ すみません なんか 迷っちゃって｡ いいですよ ゆっくり お考えください｡ 今は 他に お客さんもいませんし｡ そうそう｡ すみません｡ 《これは ものすごい決断を 突きつけられてしまった｡ う～ん 極上肉で ｶﾞﾂﾝといくか➡ 肝和えｱﾜﾋﾞの 大ご馳走をとるか｡ いっそのこと 両方…》 《いやいや 両方くださいなんて 言えるわけない｡ よし｡ いや 待て｡ やっぱり よし！》 すみません｡ お決まりになりましたね？ はい｡ ｽﾃｰｷ丼をお願いします｡ はい かしこまりました｡ ご飯の量 男性には少なめですが 大盛りになさいますか？ ああ じゃあ 大盛りでお願いします｡ はい｡ あと ここに書いてあるのも 頼めるんですか？ はい｡ いいですよ｡ じゃあ｡ あっ 少し 考えていいですか？ いいですよ｡ はい｡ すみません｡ 《いや 焦るんじゃない｡ 俺は 大決断をしたばかりで 気が抜けているだけだ｡ 落ち着いて ﾒﾆｭｰと向かい合うんだ》 [TEL] はい いろり家でございます｡ はい ありがとうございます｡ 駐車場着きました？ でしたら➡ 坂を上がっていただくと 案内の看板が見えますので｡ そこに 店までの道が 書いてあります｡ はい お待ちしてます｡ 予約のお客様 やっぱり迷ってるみたい｡ ちょっと見てきてもらっていい？ はいはい｡ 《やっぱり みんな迷うんだ ﾌｯ｡ いやいや 笑ってる場合じゃない｡ 早く決めないと｡ ﾜｶｻｷﾞの南蛮漬け｡ 芦ノ湖で獲れたやつか｡ よし 腹は決まった》 すみません｡ はい｡ え～ 旬野菜のｺﾞﾏ和えと ﾜｶｻｷﾞの南蛮漬けをください｡ はい かしこまりました｡ 決まってよかったですね｡ えっ…｡ ｽﾃｰｷ丼の前にお出ししたほうが いいですよね？ はい｡ 少々 お待ちください｡ 《季節ものと ご当地もの ﾅｲｽﾁｮｲｽだ》 《ん？》 《これは… 知恵の輪》 《懐かしいなぁ》 《いい大人になっても やっぱりﾀﾞﾒか》 《ｸｯｿ！》 いらっしゃいませ｡ どうぞ｡ あちらの座敷席へどうぞ｡ ありがとうございます｡ お待たせいたしました｡ 南蛮漬けと ｺﾞﾏ和えになります｡ 旬野菜は ｵｸﾗとそら豆と ｱｽﾊﾟﾗになります｡ いただきます｡ 《ｺﾞﾏｿｰｽ ﾅｲｽ》 《ｺﾞﾏｿｰｽ 万能選手》 《さて… こっちは どうだ？》 《これは ｻｲｽﾞがﾅｲｽ》 《濃いめの味付け｡ だが 悪くない》 《よし 俺の胃袋に➡ 王様を お迎えする準備は整った｡ ﾌｯ…》 僕 お肉焼くのに ちょっと 時間かかるから➡ これ 知ってる？ うん｡ どうも すみません｡ ありがとうございます｡ できるか？ できる？ とれないな｡ そんな簡単には とれないな｡ 頑張って 頑張って｡ 《できるかな？ 知恵は 頑張れば 授かれるものではない｡ 少年よ 人生には 解答が出ないときもあるのだ》 おっ あれ！ とれた！ おお すごい｡ やった！ すごい｡ 《よかったね》 お待たせいたしました｡ ｽﾃｰｷ丼の ご飯大盛りです｡ こちらが ｽﾃｰｷｿｰｽで こちらが おろしﾎﾟﾝ酢です｡ お肉をつけて お召し上がりください｡ はい｡ ご飯には➡ ｽﾃｰｷｿｰｽが混ぜてあります｡ あの こっちのたまごは？ 温泉たまごは そのまま 召し上がってもいいですし｡ お客様によっては ご飯にかけて➡ 召し上がる方も いらっしゃいます｡ なるほど｡ こちら お下げしますね｡ ごゆっくり どうぞ｡ 《うん 期待を裏切らない➡ 貫録 品格 風貌だ》 いただきます｡ 《まずは…》 《お～っ｡ 俺の決断は 間違っていなかった｡ この噛み応え この充実感》 ♬～ 《お～っ｡ ﾎﾟﾝ酢も またよし｡ 王をたたえ 引き立てている》 《箸 れんげ｡ 箸 れんげ｡ 忙しいけど幸せ》 《ｽﾃｰｷという 狩猟民族の王様を➡ 丼飯にのっけてむかえる 農耕民族 日本人｡ やはり ご飯は この島国の食のご神体だ》 《そばづかえしている 味噌汁の働きもすばらしい》 はい お待たせしました｡ お待たせしました｡ 《お～っ》 はい 僕｡ はい お待たせしました｡ ｱﾜﾋﾞは 肝と和えてありますので➡ ご飯とよく混ぜて お召し上がりください…｡ 《くわ～ あのｱﾜﾋﾞ丼➡ 男のｽﾃｰｷ心さえ よろめかせる美貌だ》 《２人なら 両方食べられるわけか…》 《俺は １人の自由を謳歌しよう》 《おっ ﾜｻﾋﾞもいい｡ ｽﾃｰｷ丼 懐深し｡ うん》 《やっぱり 肉はいい｡ 体が燃えたぎる｡ 飯が それをあと押しする》 《よ～し 往路は終了｡ ここから復路｡ 第６区のｽﾀｰﾄです｡ よ～い… ﾄﾞﾝ！》 ♬～ 《うまさの箱根越えだ》 ♬～ 《うん… 温泉たまごも巻き込んで大爆走》 《うん》 《うん う～ん》 ♬～ あ～｡ 《越えた…｡ 目の前に富士山が見えるようだ》 ごちそうさまでした｡ 《お？ 気が利くね 小鳥ちゃん》 いらっしゃいませ！ いらっしゃいませ｡ すみません 迷っちゃいました｡ 迷われる方 多いんですよね｡ 電話しようかと ちょっと思いました｡ すみません わかりにくくて｡ どうぞ あちらのお座敷のほうへ｡ 《ふっ｡ ここは 箱根の秘密基地か》 ﾊｧ… ﾊｧ…｡ 《今度来たら ｱﾜﾋﾞ丼かな》 《さて…》 《腹ごなしに もう少し歩いてみるか》 《ﾁｪﾝﾊﾞﾚﾝの散歩道》 《ﾁｪﾝﾊﾞﾚﾝ…｡ いのしし 出ないよな》 ＜原作者 久住昌之が➡ 実際にお店訪問＞ ＜箱根登山鉄道 宮ノ下駅｡ 坂をおりるとすぐにNARAYA CAFE｡ その横の階段を上がると 線路沿いの山道があります｡ 進んでいくと 険しくなってきますが➡ 舗装された道路に出て 開けた場所にあるのが➡ 唯一の目印である看板｡ ということで やってきたのは 箱根の隠れ家 いろり家＞ あぁ いや ここは でもね わかりにくいですね｡ そうなんですよ もうだいぶわかりにくいので｡ あ～｡ 怖いですよね これ怖い怖い｡ はっははは｡ あれれれ～｡ 大丈夫ですよ｡ あれれれれ～｡ 大丈夫かな｡ ふふふ｡ ＜久住さん ｺﾞｰﾙﾃﾞﾝｺｰﾗのおともに 選んだのは湘南ﾄﾏﾄ＞ ちょっと いただいてみましょうかね｡ うん｡ ＜ｽﾃｰｷ丼が来るまで しばし癒やしの時間です＞ あ～ おいしいなぁ｡ いいなぁ｡ ふふふ｡ ＜毎日 数に限りがありますので ご注意を＞ これがね…｡ ＜ﾎﾟﾝ酢との相性 どうなんですか？＞ う～ん｡ よかった｡ おろしと ﾀﾚがかかった ご飯もぶつからないで➡ すごい合う｡ この焼き方もすごい いいですね｡ たまらんでしょ これ｡ もう本気食いだよ｡ ＜大女将と若女将の２人で➡ 営んでいるいろり家｡ 道がとても➡ 難しいですが なるべく電話せずに➡ 来ていただければ 幸いです＞

ヴァンパイア・ヘヴン＃08

1 ＜ あるところに 人間は誰も知らない➡ ｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱの世界がありました｡ 悪い伯爵から逃れるため 桜子と小町は人間界へ｡ お互いに惹かれ合いつつも すれ違い続ける 桜子と隼人の恋｡ そんななか 桜子は 隼人のｷﾞﾀｰを取り戻すため➡ ｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱの天敵 太陽が 燦々と照りつける真っ昼間に➡ 飛び出して いってしまったのです＞ (小町)治りが… 遅すぎる｡ (健太郎)え… なんで？ こっち来てから 一度も 血吸ってないから｡ (桜子)うぅ…｡ 血… 調達してくる｡ いや… ちょっと待って！ それって 人間を殺すってこと？ いらない…｡ 桜子！ 人間の血は… いらない｡ ﾊﾞｶ!? 痛むんでしょ？ 血飲めば すぐに…｡ いい｡ ｱｲﾂが人間だから？ 人間とｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱって すごく似てるのに…｡ 一緒に話したり 笑ったりできるのに｡ やっぱ 食べるのって おかしいよ｡ まだ… いたの？ (隼人)桜子は？ お前には関係ない！ 大丈夫なのかよ!? 誰のせいで 桜子が ああなったと思ってんだよ!? 悪かった｡ 私に謝っても意味ないし｡ っていうか さっさと あのﾊﾞｶ女のとこでも行けば？ 理沙とは話した｡ 俺 桜子のことが好きだって｡ あっ そう｡ で？ それ 私に言って どうすんの？ こんな所で ﾎﾞｰｯと突っ立って いつまでも ｸﾞｼﾞｸﾞｼﾞ ｸﾞｼﾞｸﾞｼﾞ ｸﾞｼﾞｸﾞｼﾞ…｡ ﾊﾞｶじゃないの！ だよな｡ 行ってくるわ とりあえず 顔見に｡ いや… 桜子には会えないよ｡ えっ？ まぁ でも… 声は聞けると思うけど｡ そっか｡ なんか お前に励まされてるな 俺｡ 別に…｡ ありがとうな｡ 励ましてなんかないし…｡ (呼び鈴) あ… 大丈夫だよ 僕が行くから｡ (隼人)桜子｡ 私 行きます｡ 隼人さん？ 桜子！ お前 体は？ 大丈夫です｡ どこがだよ…｡ あの… 心配してくれてるんですか？ 何 言ってんだよ!? 当たり前だろ｡ もう嫌われちゃったと 思ってたから｡ お前 ﾊﾞｶ？ うん？ 逆だろ｡ 悪かったな… 俺のせいで｡ いや… 隼人さんのせいじゃ…｡ ごめん｡ じゃあ また 遊園地 連れてってください｡ 元気になったら いつでも｡ ただし 夜な｡ はい｡ まだいたの？ さっきと逆だな｡ 会えたのかよ？ ﾄﾞｱ越しだけどな｡ あっ そう｡ また 様子 見にくるわ｡ 桜子のこと 頼むな｡ お前に頼まれる筋合いはない｡ でも 頼む｡ じゃあな｡ (瑞穂)理沙なら すぐ 次 できるって｡ (ちさと)そうだよ｡ ねぇ？ 性格もいいし 顔もいいし｡ ね｡ (理沙)じゃ なんで ﾌﾗれんの？ あっ！ 私 今日 親に➡ 早く帰ってこいって 言われてたんだ｡ えっ… あ… 私 今日 ｻｰｸﾙの飲み会だわ｡ じゃあね｡ じゃあね｡ なんで 私じゃﾀﾞﾒなの…｡ ﾌｱｰｯ…｡ (葵)どう？ ｽｯﾎﾟﾝのお味は｡ 初めての味でした｡ 大丈夫｡ 慣れると ｸｾになるから｡ ありがとうございます｡ (ﾄﾞｱの開閉音) こまちゃん｡ ねぇ これ｡ ｽｯﾎﾟﾝの血だって｡ そう… もうしばらく 眠ってたほうがいいよ｡ うん… そうだね｡ うわっ…｡ あっ… でも 葵さん｡ よく ｽｯﾎﾟﾝの血なんて 持ってますね｡ まぁ 私も桜子ちゃんと同じよ｡ 人間の血 吸いづらくなっちゃってさ｡ あぁ この人には こういう家族がいて➡ こんな毎日を送ってて… とか 考え始めると➡ ｶﾞﾌﾞｯといきにくいのよね｡ きっとさ 人間と触れ合うと➡ ｳﾁらが忘れてた感情みたいなのが よみがえってきちゃうの｡ 私は 人間なんかに 振り回されたくないけどね｡ 振り回されちゃって｡ (源十郎)あっ 入っちゃった｡ おぉ！ いいです｡ (藤兵衛)いいね｡ いいよ！ 何ですか!? その格好｡ 最近 ﾓﾃ期なの｡ (健太郎)あっ…｡ 速達で～す｡ おお ご苦労｡ 顔 描けよ！ ♬(ｷﾞﾀｰ) (隼人)桜子？ お前か｡ 悪かったな 桜子じゃなくて｡ どう？ 桜子は｡ だいぶ よくなった｡ そっか よかった｡ あっ… これ｡ ああ…｡ 何それ…｡ うん？ 桜子が必死で取り戻したのに｡ 余計なことしたって顔してる｡ いや そういうわけじゃ…｡ 桜子は ｱﾝﾀといないほうがいい｡ ｱﾝﾀといると… っていうか ｱﾝﾀと関わるとろくなことがない｡ 不幸になる｡ それ… 桜子も思ってるのか？ 今に そうなるよ｡ ならない｡ なる！ ならない 不幸になんかしない｡ 無理だって！ なんで お前にわかるの？ わかるよ｡ だって私たちは…｡ 何？ なんでもない｡ なんだよ それ｡ 言えよ！ 放せ！ お前ら 何隠してんだよ｡ 桜子…｡ 隼人さん…｡ こまちゃんも｡ どうかした？ あっ！ うっ…｡ こまちゃん!? ♬～ 何 これ…｡ ﾊﾊﾊ…｡ ﾊﾊﾊﾊ…｡ ｱｲﾂは？ 桜子… もう 体 大丈夫なのか？ 大丈夫です｡ あの…｡ これ お父さんから 貰ったやつなんですよね？ 大事なものだって 葵さんが｡ 昔の話｡ ｶﾞｷのころはさ それ買ってもらったとき➡ すげぇうれしくて…｡ いつか 絶対上手くなってやるって 一日中弾いてた｡ でも だんだん わかってきたんだよね｡ 俺 あの人に 嫌われてるんだなって｡ なんでですか？ ん？ 才能ないから｡ あの人は すごい天才で 俺は凡人だから｡ 何やっても全否定されて➡ 俺のせいかよ って腹たって｡ 悔しくて｡ いつか 絶対見返してやるんだって 思ってたけど➡ 全然 無理そうだしさ｡ お前のことが嫌いだって 言われたんですか？ 言われなくてもわかるよ｡ いえ それじゃわかんないです｡ わかるって｡ わかりませんよ｡ 私だって 隼人さんに 嫌われてるって思ってたし｡ いや それとこれとはさ…｡ 同じです｡ 相手が何を思っているかは➡ ちゃんと聞いてみないと わかんないんです｡ 私 それをこのたび学びました｡ 愛と憎しみは 表裏一体なんです｡ それ 意味わかって言ってる？ って 葵さんが言ってました｡ どれぐらい 会ってないんですか？ 10年くらいかな｡ じゃあ 話すことがいっぱいですね｡ だな｡ ♬(ｷﾞﾀｰ) あの ﾀﾞﾒ…｡ じゃない｡ 全然 ﾀﾞﾒじゃないです｡ そう｡ はい｡ ♬(ｷﾞﾀｰ) 話したいことあるなら言えよ｡ えっ？ 俺 なんでも聞くから｡ はい｡ ♬(ｷﾞﾀｰ) ちょっと…｡ 完全に出るﾀｲﾐﾝｸﾞ逃したわね｡ えっ もしかして 桜子ちゃんに失恋中？ 違いますよ｡ 私が もっと若かったらね｡ いくらでも 相手してあげるんだけど｡ いや～ いいです｡ なんでよ｡ っていうか もしかして 小町さん 隼人さんのこと…｡ ｼｯ｡ 複雑なのよ あの子 いろいろと｡ また俺から電話する｡ ん？ 母さんも｡ じゃあ｡ 帰るんですか？ ああ｡ 桜子さん 元気になってよかったですね｡ じゃあな｡ はい｡ あっ びっくりした｡ っていうか 小町さん どこ行ってたんですか？ 店 めっちゃ忙しいんですけど｡ 小町さん？ 私 なんか疲れた｡ えっ？ ｲﾗｲﾗするのも➡ 桜子に当たるのも 全部疲れた｡ 小町さん…｡ ｱｲﾂが死ねば 全部うまくいく｡ えっ？ そう思うよね？ いや それはどうなんですかね｡ 小町さん！ 桜子さん！ ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ どいて｡ ﾀﾞﾒ｡ 放せ！ ﾀﾞﾒ｡ 桜子｡ ♬～ ＜ この日 桜子は 決して知られたくなかった➡ 最大の秘密を 最愛の人に 知られることとなったのです＞

ナルコス.S03E04.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ 事実に着想を得た創作であり 人物 場所 事件等は 架空のものです 〈みんな よく聞け〉 〈携帯を預けてもらう〉 〈ポケベルと無線も〉 そんな必要がある？ ああ　残念だがね 〈渡してくれ〉 君の部下の１人が カルテルに雇われてるとか 何か証拠でも？ まだ言えない 動きを知られたら 逮捕できない 念のためだ 〈ご協力 どうも〉 〈３時間は連絡が取れない〉 〈俺と部下が先に行く〉 〈標的は？〉 〈この時のために 今まで訓練を〉 俺たちは顧問として協力する 手柄は君たちに 〈みんな 聞いたな〉 〈気を引き締めていけ〉 〈いいか？〉 〈了解！〉 〈行くぞ〉 大物でなけりゃ ボゴタから来たりしない 部下の安全 それだけが心配だ マズいことになったら 決断を下す いいな？ 潜入捜査の前に うちの子供がくれた ジャマイカ人に襲われた時も 助かった 幸運のお守りだ 〈一体 何をする気だ？〉 〈カルテルの幹部を逮捕する〉 ナルコス 〈10番通りを埋め尽くした 群衆が拍手で迎えます〉 〈次期コロンビア大統領―〉 〈エルネスト･サンペール･ ピサノ〉 ヒルベルトを 称える気はないが― これだけは認める 彼の管理は完璧 〈まだ朝なのに〉 〈俺は夜明けと共に勃(た)つ〉 〈こんなに大きくなって〉 彼には３人の妻がいた しかも同時にだ 商売と同じく管理は完璧 〝ＮＹ証券取引所〞 〝ＮＹ証券取引所〞 予定は分刻みだ 第３夫人は月曜と火曜 〈あなた〉 〈買い物は？〉 〈最高よ　見て〉 第２夫人とは― 水曜と木曜に楽しむ 第１夫人とは 金曜と土曜を過ごす 〈パスからゴール！〉 〈ふざけるな ディフェンダー〉 〈この給料泥棒め〉 日曜はサッカー観戦 妻たちが呼ばれて― 全員集合だ 〈どうも〉 ３人は仲がよかった 完璧な管理のおかげで 平和が保たれた 敵より味方が多かった 〈ビジネスの拡大を 支援します〉 彼を守ってくれる存在 〈巨万の富を稼げる〉 “幕引き”にも彼らしい演出を 屋根の上で撃たれたり― ハメられたり 追い出されたりしない どんな時も 完璧な管理能力で― 常に正しい決断をしてきた 10億ドルの帝国を築き上げ― 町の警官を支配する男 刑務所から堂々と 釈放されようとする男 彼を逮捕したい？ それには― 常識外れでイカれた頭と 度胸が必要だ そして運の良さもだ 〈カルデロンと俺 第１班はここからだ〉 〈第２班はここ〉 〈ファイストルとヴァン･ネス プールは裏から〉 〈さあ 始めよう〉 よし 〈もし標的を殺したら 俺がそいつを殺す〉 〈失敗を繰り返すな〉 〈必ず生け捕りにしろ〉 〈行け〉 誰も住んでない そんなバカな “昨夜 パチョがいた”と 〈君の意見は？〉 〈隠れてる可能性もある 徹底的に捜そう〉 〈よし〉 徹底的に捜すぞ 〈いいか　家の中を しらみ潰しに捜せ〉 〈パルミラで誰かの豪邸を 捜索してます〉 〈気づかれないように そこを離れろ〉 はい　ボス 〈ホルヘ〉 〈ボス〉 〈大事な仕事を〉 〈ナベガンテが 家の前で待ってる〉 〈了解です　ボス〉 〈でも作戦の監視は？〉 〈コルドバに―〉 〈任せればいい〉 〈ホルヘ〉 〈頼んだぞ〉 〈分かりました〉 〈最も優秀な部下に任せた〉 〈約束を守る人ね〉 〈フアレス〉 〈天国に近く 神から遠い〉 〈感動的だな〉 〈さすが世界第８位の名所だ〉 〈皮肉はよせ〉 〈北米自由貿易協定の おかげで―〉 〈エルパソにすぐ行ける〉 〈２年で200万のトラックが 国境を越えた〉 〈ほとんどが俺たちの車だ〉 〈検問で調べる割合は？〉 〈なんと10％以下だ〉 〈人手不足なのさ〉 〈水門を開けたはいいが 止める手立てがない〉 〈稼げるのは知ってる〉 〈俺が言いたいのは―〉 〈最高の機会を 逃しかけてるってことさ〉 〈後悔するぞ〉 〈吸うか？〉 〈アマド〉 〈パートナーを裏切れと？〉 〈裏切るわけじゃない〉 〈彼らの引退後に―〉 〈新しい仕事をやろうと 言ってるだけだ〉 〈君が送ったブツを 俺が運んで―〉 〈２年後には ここを麻薬大国にする〉 〈考えてくれ〉 〈長くは待てない〉 〈半年後のブツを 確保する必要がある〉 〈できれば 君から〉 いいか 〈もう一度 捜そう〉 分かった 始めるぞ 〈30秒後に〉 〈おい〉 〈そこに車を停めるな〉 〈頭にくる〉 〈また故障しやがった〉 〈停めるな〉 〈ケーブルが要る〉 〈早くどけろ〉 〈ダイアナ妃みたい〉 〈ヒルベルト〉 〈誰か来たわよ〉 〈ドアを開けるから ちょっと待ってちょうだい〉 〈見て〉 〈ヒルベルト〉 〈警察だ〉 〈早く下がれ〉 〈早く下がれ〉 〈何なの？〉 〈座れ〉 〈早く座れ〉 〈出ていって〉 〈逃げたぞ〉 〈立て！〉 〈おい　こっちを見ろ〉 〈行くぞ〉 〈座ってくれ〉 〈ヒルベルトは留守よ〉 〈誰かに連絡を？〉 〈いいえ〉 〈そうか〉 〈ロドリゲスさん この令状に基づき―〉 〈国家警察は ご主人を逮捕する〉 〈協力してもらえますか？〉 〈大丈夫か？〉 〈ええ〉 〈ここは快適よ〉 〈あとは家を壊すしかない〉 ああ そうだな　捜索は打ち切りだ 〈ムダ足だったな〉 〈手強い奴らさ〉 部下に報告書を書かせろ 他に何か？ 空港へ送って もちろん 〈俺が１人で話をつける〉 〈難しい交渉だ〉 〈悲しみに沈む遺族は 侮辱されたと感じる〉 〈あんたは変わってる〉 〈どこがだ？〉 〈どうかしてる〉 〈銃も持たずに〉 〈普通は持たない〉 〈だが あんたは 一般人じゃない〉 〈だから不思議なんだ〉 〈絶対に銃を持たないなんて〉 〈なぜだと思う？〉 〈さあな〉 〈恐れてるんだろ〉 〈銃を持ったら 自分が何をするのか〉 〈本当は人殺しだと 気づくのが怖いのさ〉 〈ペドロ　家の中へ〉 〈サラサールさん〉 〈どうか落ち着いて〉 〈俺はホルヘ･サルセド 大事な話がある〉 〈今すぐ帰って あのアバズレに伝えな〉 〈孫を返してほしいなら 自分で来いと〉 〈提案が不満なら―〉 〈俺はカリに戻って 伝言を伝える〉 〈丸腰で話しに来た〉 〈アバズレ女を 奪うために―〉 〈あんたのボスは 息子を殺した〉 〈その忘れ形見まで 奪うつもりかい？〉 〈ご存じのとおり―〉 〈彼女は母親だ〉 〈ボスは彼女を守ってる〉 〈守ってる？〉 〈物は言いようだね〉 〈お孫さんも守る〉 〈預けてくれれば―〉 〈いつでも会わせると 約束します〉 〈約束するって？ ご親切に〉 〈そんなバカな話があるか〉 〈ここにいれば いつでも会えるのに〉 〈あの女は裏切り者さ〉 〈サラサールさん〉 〈同意してください〉 〈次に来る人間は 頼みもせずに―〉 〈力ずくで奪う〉 〈息子たちの意見を 聞いてみれば？〉 できれば友人の家に寄りたい ここを右に いい所だ 友人は金持ちだな ああ 運のいい男さ 〈これは？〉 友人は鶏肉が好きで 〈マルティネス大佐〉 〈大尉〉 〈どんな状況だと？〉 〈分かってる〉 〈チャンスをやる〉 〈正しいことをしろ 作戦を邪魔するな〉 〈出し抜いた気か？〉 〈カリは俺の地元だ ボゴタとは違う〉 〈あんたは一線を越えた〉 〈かもな〉 〈奴はここに〉 〈監視しろ〉 お守りの絵は？ 〈俺は丸腰だ〉 〈お前の頭をミゲルに送る〉 〈来いよ〉 〈さっさと来るんだ〉 〈デュバン〉 〈車をここへ〉 〈おいで　ペドロ〉 〈ママの所へ〉 〈いい子だ〉 〈騒いだら殺す〉 〈少しでも動いたら 撃ち殺すぞ〉 〈俺が先に乗る〉 〈動くな〉 〈ペドロを奪った もう十分だろ？〉 〈やめろ〉 〈母さん〉 〈待て〉 〈チクショー！〉 クソッ 〈銃を下ろせ〉 〈銃を下ろせ〉 〈撃つな〉 〈抵抗はしない〉 〈行くぞ〉 〈待て！　止まるんだ〉 〈大尉が逃亡を〉 急がないとマズい ああ 〈電話はあるか？〉 〈奴らはヒルベルトを拘束して 空軍基地へ〉 〈この町から出すな 全員に知らせろ〉 〈いいな？〉 〈さっさと来い〉 〈道路で襲撃されるぞ〉 〈武器の用意を〉 〈はい〉 〈ドン･ミゲル〉 〈大変です〉 〈何だ？〉 〈ドン･ヒルベルトが 逮捕された〉 〈自宅で〉 〈標的のトラックが 通過しました〉 〈市場で包囲しろ〉 〈あそこだ　急げ！〉 〈次の角で奪還しろ〉 〈待て！　発砲するな〉 〈運転手〉 〈手を見せろ〉 〈運転手〉 〈手を見せろ〉 〈もっとだ〉 〈さっさと車を降りろ〉 〈後ろを開けろ〉 〈鍵を取るぞ〉 〈早くしろ〉 〈開けろ〉 ああ　分かったよ 〈アメリカ人どもが おとりのトラックを〉 〈空軍基地で捕まえろ〉 〈俺が警備する〉 〈クソ野郎どもに ナメられてたまるか〉 〈もう一度 ホルヘに連絡を〉 〈叔父さん　ニコラスだ〉 〈入れ〉 〈ニコラス〉 〈叔父さん〉 〈本当か？〉 〈ああ〉 〈逮捕されたのか〉 〈家で待ってろ　ニコラス〉 〈何かあったら知らせる〉 〈親父を助けたい〉 〈いいか〉 〈兄貴はお前を 巻き込みたくない〉 〈カリから移送させない〉 〈されるかも〉 〈弁護士になったのは こういう時のためだ〉 〈一番早い飛行機で ボゴタへ飛ぶ〉 〈移送させない〉 クソッ 待ってろ なぜ停車を？ 警官が飛行機の周りに いい警官ですか？ いや 違う 〈マルティネス大佐〉 〈来ないでください〉 〈逃亡犯の逮捕と移送を 妨害する気か〉 〈刑務所送りになるぞ〉 〈今日 君たちが 何をするかによって―〉 〈どんな人間として 生きるかが決まる〉 〈警官だろ？〉 〈それでいい〉 大詰めだな 〈マズい〉 〈どうした？〉 〈遅かったな〉 〈圏外だった〉 〈逮捕された〉 〈誰が？〉 〈ヒルベルトが逮捕された〉 〈無線の盗聴を〉 〈標的を言わなかった〉 〈昨夜 テープを確認した〉 〈いいか〉 〈奴らはボスを拘束してる〉 〈手を打たないと〉 〈早く戻れ〉 〈子供だぞ〉 〈写真撮影は５秒だけ〉 〈おめでとう〉 〈今のうちに喜んでおけ〉 〈勝ち目のない相手に ケンカを売ってる〉 〈笑えよ　ヒルベルト テレビに出るぞ〉 〈ロドリゲスさん〉 〈麻薬密輸共謀と不当利得の 容疑について反論は？〉 〈以上だ〉 〈市民にコメントを〉 〈ロドリゲスさん〉 自首を茶番だと思う者には― ヒルベルト逮捕は希望の光 暴力を避ける唯一の道だと 思う者には― 悪夢の始まりだった 新たな戦いの火ぶたが切られた どちらの側にとっても 確かなのは― 彼の逮捕が 予想外だったことだ 特に本人には お手柄ですね 待ってください 一緒に乾杯を 先に始めろ 大使 よくやった 大したものだ 情報のおかげです 今までの努力がムダに カリ幹部の手錠姿を 人々は見たがってる 明日の１面を飾ります コロンビア側は違う 見るがいい 着替えろ 〈ペドロ〉 〈ママ〉 〈お腹すいた？〉 〈ううん〉 〈可愛いな〉 〈父親似だ〉 〈ママが絵本を〉 〈やっと戻ったか〉 〈麻薬取締局(ＤＥＡ)が 情報を握ってる〉 〈どこの家にいても 危険かもしれません〉 〈今はここにいる〉 〈話し合いを〉 〈当然のことだ〉 〈警察は逮捕状に従って…〉 〈待ってください〉 〈警察ではない〉 〈アメリカのＤＥＡが 計画した作戦です〉 〈だが 国家警察が 逮捕して―〉 〈ボゴタに移送した〉 〈そして家宅捜索もだ〉 〈警察が戦争を始めた？〉 〈私は検事総長として カルテルの幹部と―〉 〈平和的解決を目指してる〉 〈ヒルベルト逮捕により―〉 〈交渉も新たな局面を 迎えることになる〉 〈コロンビアの サンペール大統領です〉 〈遅れて申し訳ない〉 〈何とかして嵐を静めようと〉 〈カリ幹部が勾留されたと 国防大臣に聞いた〉 〈お言葉ですが…〉 〈何だ？　ミゲル〉 〈何ヵ月も自首について 交渉してきました〉 〈ロドリゲス氏を 釈放すべきです〉 〈ここは法治国家だ〉 〈取引はしない〉 〈世界最大の犯罪組織に 屈すれば―〉 〈国民の信頼を永遠に失う〉 〈他の国民と同じ法的手続きで 裁くべきだ〉 〈成り行きを見守ろう〉 〈今のところ―〉 〈逮捕は有効だ〉 〈以上だ〉 チクショー “君のせいで台無しだ” 〈言ったはずだ〉 〈お前は関わるな〉 〈落ち着いて〉 〈面会できるのは 弁護士の俺だけだ〉 〈それに息子の顔を見れば 安心するだろ〉 〈デカいグラスで ウィスキーをあおりたい〉 〈どう思う？〉 〈逮捕状が古い〉 〈無効か？〉 〈弱い〉 〈明日は１時から 薬局委員会の昼食会だ〉 〈朝８時には ここを出る〉 〈裁判が始まるまで ここにいる〉 〈共謀罪の容疑で このボゴタで勾留される〉 〈あり得ない〉 〈これは何かの間違いだ〉 〈ＤＥＡの捜査官が 出すぎたマネを〉 〈そうだとしたら 釈放されてるはずだ〉 〈これが現実だ〉 〈どれだけ金を使ったと 思ってる？〉 〈早く釈放させるべきだ〉 〈なぜクソ野郎どもに 裏をかかれた？〉 〈カルデロンめ〉 〈八つ裂きにしてやる〉 〈奴の家族もガキも〉 〈よせ　ダビド〉 〈この責任は全員にある〉 〈コルドバ〉 〈気づいた時には…〉 〈気づいた時には マルティネス大佐が―〉 〈兄貴の家に入って 30分たってた〉 〈ボス〉 〈ＤＥＡの件は 俺に任されてた〉 〈待て〉 〈コルドバは 兄貴の警備責任者だ〉 〈はい　ボス〉 〈現場にいるべきだった〉 〈お前の手下も いるべきだった〉 〈門番は偽物のトラックに ダマされた〉 〈一体 何が起きてる？〉 〈こう思わざるを得ない〉 〈俺たちは危険に さらされてる〉 〈お前の家族も〉 〈俺の家族も〉 〈俺たち全員が〉 〈検事総長と国防大臣 感謝します〉 今日 勝利への第一歩を 踏み出しました 共同作戦の成功に 恐れをなして― 他の幹部は潜伏 コロンビア警察の 支援のもとに― 約束します あとの３人も逮捕する 質問は？ あれが精一杯のねぎらいか これでいい 賢い選択だ 部下は捜査に専念できる よく言うよ 食うか？ 席を移る まったく よく食えるな 〈どうぞ　大佐〉 〈ありがとう〉 １杯 飲もう 今夜は― 勝利を祝う 明日から また戦いに戻る 私は違う 〈何だって？〉 君の部下が カリで押収した書類は？ 見てもいない バルガスは見た “カルテルに買収された 警官のリストに―” “ある名前があった”と 私だ 不当逮捕を主張する気か？ そのとおりだ 奴らに手を出すなという警告だ 〈私は銃とバッジを返した〉 〈幸運を〉 〈大佐〉 〈すまない〉 〈ああいう男を逮捕できるなら 命も捧げる〉 〈君は正しかった〉 〈孤独な戦いが始まる〉 気をつけろ 〈父さんの警備の件だ〉 〈俺を責任者に〉 〈これからは俺が守る〉 〈今は現状を維持する〉 〈兄貴が戻るまで 仕切らないと〉 〈戻らなかったら？〉 〈兄貴が逮捕された〉 〈まさか〉 〈完璧に管理してるかと〉 〈そう思ってた〉 〈どうする？〉 〈お前はそこにいろ 俺たちで何とか手を打つ〉 〈パチョ〉 〈頼むぞ〉 〈我慢の時だ〉 〈もう少し そこにいろ〉 〈取引に集中してくれ〉 〈今まで以上に 商売の成功が重要な時だ〉 〈分かった〉 〈盗み聞きを？〉 スペイン語は話せない 話せるだろ？ まあ いい よい１日を どうも　ボス 最高ですね フラドのテープを 違法捜査です 呼び方を変えては？ 全部 渡せ “カリ･カルテル” 日本語字幕　原田 りえ

ホテル・コンシェルジュ＃02

1 (泉)いらっしゃいませ (紺野)ご予約のお名前を… (牧原)いらっしゃいませ (本城)いらっしゃいませ (塔子)いらっしゃいませ (鈴木)ここ フロント？ いえ コンシェルジュデスクです (鈴木)コンシェルジュ？ お客様のご要望やご質問を お受けする窓口でございます ああ ｲﾝﾌｫﾒｰｼｮﾝってこと 館内施設の説明は もちろんですが 観光 交通機関や お店のご案内 各種チケットの手配なども 承ります ≪(珠久里)ホテルの よろず相談所みたいなものです (鈴木) 何でもタダでやってくれるわけ？ はい 可能なかぎり 対応させていただきます ご案内いたします こちらへどうぞ ≪(成沢)スキッパー？ (鷲尾)この一ヵ月 都内の高級ホテルで 100万円単位のｽｷｯﾊﾟｰ被害が 数件報告されておりまして (美穂子)スターフォートホテルの 被害額は125万8000円 ホテルグランブリッジは143万円 いずれも スイートルームに宿泊し 高額な飲食と買い物を繰り返す➡ 同一犯による可能性が 高いようなのですが こちらをご覧ください➡ 悪質なｽｷｯﾊﾟｰ達が このｻｲﾄで会話をしてますが➡ 問題なのは この｢ＧＯＤ｣と名乗る 人物の今日の書き込みです ｢今回のターゲットは 海の見えるホテル“Ｆ"｣ 都内で海の見える｢Ｆ｣のつく ホテルはありません (成沢)このホテルＦというのは… ウチのホテルのことか (美穂子)フォルモント おそらく 今このホテルに スキッパーがいる 可能性があるということです ご予約の鈴木亮治様です チェックイン お願いします ≪(鷲尾)宿泊費や飲食代を 支払わずにスキップ つまり逃げてしまうのが スキッパーですから 未精算でﾁｪｯｸｱｳﾄされるまでは 確定することはできないんです じゃあﾁｪｯｸｱｳﾄの時刻がすぎて 現場を押さえるまでは ただ黙って見てるしかない ということか 過度にお客様を 疑うわけにもいきませんし チェックインの際 現金払いのお客様には デポジットを頂くことを さらに徹底させましょう そうですね ｽｷｯﾊﾟｰのような たちの悪い人を 寄せつけないということが このホテルの信用を高めますので 頼むよ 片桐君が来てくれた今こそ フォルモントが 一流ホテルとして➡ さらに飛躍するチャンスだからね お帰りなさいませ 菅野様 (友美)ただいま 教えてもらった和菓子フェアに 行ってきたの 楽しかった～ ありがとう こんなに買っちゃったのよ 本城さんも 一つどう？ いえ お気遣いなく そんな遠慮しないで これ おだんご ありがとうございます あら？ わ～ たまげた うちの死んだお父ちゃんに よう似とう あなた 新人さん？ はい 新人の珠久里と申します よろしくお願いいたします こちらこそ 菅野様 ご出身は 博多でらっしゃいますか？ やだ 分かっちゃった？ ここでは東京弁で 話してるつもりなんだけど ビックリしたから つい 僕 博多が大好きなんですよね あら～ やだもう 声まで よう似とう そんなに似てますか？ もう そっくりよ そうだ 部屋に写真があるから 見てちょうだい よろしいんですか？ もちろんよ お荷物 お持ちします ありがとう ≪(鈴木)はあ？ 何だよそれ!? 何で宿泊料より高い金 先に出さなきゃいけないんだよ こういうとこは後払いだろ？ ただ 現金でのお支払いを ご希望のお客様には ﾁｪｯｸｲﾝの際に ﾃﾞﾎﾟｼﾞｯﾄといいまして お預かり金をお願いしております ｸﾚｼﾞｯﾄｶｰﾄﾞお持ちだったら… カード なくしちゃったとこなんだよ 全てのお客様に お願いしていますが 現金の際はご宿泊代金の150％を デポジットとして 一旦 お預かりさせていただき ﾁｪｯｸｱｳﾄ時にご精算を 要するに 俺が踏み倒すんじゃ ないかって疑ってんだろ？ このホテルは 客を泥棒扱いするのか!? 申し訳ございません ご案内させていただきますので 鈴木様 お部屋へご案内いたします たく ムダな時間とらせやがって 大変申し訳ございませんでした ごゆっくり おすごしくださいませ 似てるな 今の鈴木様 30代後半～40代男性 身長170センチに グレーのジャケットにパナマ帽 はい 合ってます (美穂子)そのお客様は？ 今 チェックインされました 初めてのお客様？ カード払い？ いえ デポジットは頂いてるわね？ それが… ノット エレガント 今 ﾁｪｯｸｲﾝされた ﾚｲﾝﾎﾞｰｽｲｰﾄの鈴木様 要注意です スキッパーの可能性があります おっせーなあ 申し訳ございません (井坂)すみません それ 重いですよね (二階堂)いえ ご心配なく ようこそ ホテルフォルモントへ (亜里砂)はい 分かりました ﾚｲﾝﾎﾞｰｽｲｰﾄの鈴木様 要注意で ｽｷｯﾊﾟｰの可能性があるそうです ≪(珠久里)失礼いたします ありがとう ただいま 申し訳ございません 菅野様 お帰りに間に合わなくて いいの 私が早く帰ってきちゃったから (和代)すぐ済ませますので (友美)平気平気 慌てないでね あッ そうだ あなた達 あんみつと おだんごと どっちがいいかしら？ お気持ちだけで結構ですので いいから いいから じゃあほら おだんご ありがとうございます この前 頂いた梅干しも すごくおいしかったです (友美)よかった 前に漬けたのがね 今ちょうど食べ頃なの➡ また持ってってね 熱中症予防にもなるから (和代)ありがとうございます (珠久里)何だか落ち着くな まるで菅野様のご自宅に 遊びに来てるみたいです でしょう？ 居心地がいいから もう一ヵ月も延泊しちゃったの ここはね 客室係さんも フロントの皆さんも みーんな笑顔が気持ちいいしね あッ こちらがご主人様ですか？ そうそう そんなに… 似てますかね？ 似てるわよ➡ 特に笑ったときの顔なんか 双子みたい ねえ うちの人 珠久里さんに似てるわよね えっと… 頬骨が似ています そうよねえ ほら やっぱり高垣さん 見る目があるわ 光栄です 笑ってみて はあ… そっくりだわ それでは ごゆっくり おすごしくださいませ ああちょっと コンシェルジュのお姉ちゃんに 伝言頼むわ (美咲)｢サービスはまあまあ スタッフの顔面偏差値は高め｣？ うん？ 腹立ちますね ≪(奈央)｢部屋は清潔 タオルやシーツ類も清潔｣➡ 褒められてますね～ ｢清掃も行き届いてる｣ ちゃんと見てくれてますね 何 喜んじゃってるのよ いた 天野ッ お食事はフレンチで６時半から お一人様なんで カップルの隣のテーブルはＮＧ 牧原 一回落ち着こうか 誰からのご依頼？ レインボースイートの鈴木様 (安藤)えッ… 鈴木さんってスキッパーの？ これ書いてる人ってこと？ 安藤さん いつの間に？ でもまだ鈴木様は 疑いがあるってだけなので 早く言わないと忘れちゃう ごめん お願い お料理は月替わりﾒﾆｭｰの ﾌﾟﾚﾐｱﾑｺｰｽでﾗﾑはお嫌い 一番高いコースじゃない お食事の前に ｽﾊﾟのｼﾞｪｯﾄﾊﾞｽを貸し切りで ｼｬﾝﾊﾟﾝとﾌﾙｰﾂをお部屋に 以上 了解 そんな豪遊 一生に一度ぐらい やってみたいわよね ﾊﾃﾞに豪遊するのが ｽｷｯﾊﾟｰの特徴らしいですからね あんた よく知ってるわね でも怪しさでいったら 1214号室の 川島様も かなりですよ ルームサービス頼みすぎなんで 1326号室の岡島様も怪しいかも お部屋づけで お買い物しすぎです それ下着やハンカチまで クリーニングに出す人ですよ そんなにスキッパーの候補が いるんですか!? ノット エレガント お客様の噂話をするなんて 言語道断 恥を知りなさい すみませんでした すいませんでした 天野さん コンシェルジュとしての 自覚を持ちましょう はい… (ウエーター) お待たせいたしました あんた なんばしよっと!? 子供の頃 教わらんかった？ ご飯食べるときは 作ってくれた人 に感謝して食べないけんよって えッ？ 作ってくれた人に失礼たい 菅野様 テラス席が空きましたので よろしければ あちらでお話ししませんか？ あら いいの？ ≪(珠久里)ええ ぜひ (ウエートレス) お待たせいたしました ああ ちょっと 90年のペトリュスって ある？ (富永)すごいな もう100万 超えてるだろ はい うちの人 私に輪をかけて田舎者で 洋食が苦手だったの そんなお父ちゃんに合わせて ここのシェフが特別に 作ってくれたオムレツを➡ すっかり気に入っちゃって お二人で よくご旅行されてたんですか？ 全然 新婚旅行も行ってなかったし ２年前 ここへ来たのが 最初で最後の旅行 記念の旅行に こちらを 選んでいただけたんですか それがね 駅ビルの抽選で 当たっちゃったの はッ？ 東京２泊３日のペア旅行 ホントはね ２等の掃除機狙いだったんだけど それは素晴らしい幸運です 初めての東京だわ こんなしゃれたホテルだわでね 気恥ずかしくて嫌だっていうのを 無理やり連れてきて でも来たら結構 楽しそうにしてて お気に召していただけたんですね また来たいなんてね 珍しいこと言ってたくらいよ (珠久里)そうでしたか… でもね その半年後に コロッと あの世にいっちゃったんだけどね 菅野様 本日のオムレツは いかがでしたか 富永さん 今日も最高よ ありがとうございます お父ちゃんにも 食べさしてあげたいわ お休みなさいませ ビックリした すみません あの… 菅野様のことで 少しお話が えッ？ このスキッパーが鈴木様だったら 許せない だって こっちはお客様だと思って 一生懸命やってるのに 騙されてたら やってらんないよ そうだった ホテルマンは お客様を 過度に疑ってはいけない でもなあ～ えッ？ でも厳しいっていうか怖いよ 西崎さん 顔がニヤニヤしてて気持ち悪い (岩橋)鈴木様の宿泊代 ご飲食代と合わせて 現在175万8000円の料金が 発生してます だからといって 決めつけるわけにはいきません➡ チェックアウト時刻 11時以降に 未精算で ホテルを出たことが 明確な場合にのみ スキッパーと判断して 呼び止めてください ただし その判断は 慎重にお願いします それから万が一 呼び止めたときに 逃亡を図るようなことがあれば 110番通報をお願いします (一同)はい ハブアナイスデイ センキューベリーマッチ バーイ あの すいません はい 鈴木様です 挙動不審ですね 牧原 さりげなくお声がけしろ はい おはようございます 鈴木様 どちらへお出かけでしょうか？ えッ？ いいだろ別に まずい 逃げた 天野 待てッ 鈴木様！ ママー！ ママ？ (鈴木の母)亮ちゃん お待たせ もう～ 遅いッ ごめん ごめん 鈴木様 このたびは誠に 申し訳ございませんでした 本当に申し訳ございませんでした 息子が高級ホテルに泊まりたいと 言うから勧めたのに まさか犯罪者と疑われるなんて 今後も こちらに伺うかどうかは 考えさせてもらうわ 誠に 申し訳ございませんでした 二度と このようなことが起きぬよう 努めさせていただきますので 今後ともホテルフォルモントを どうぞよろしくお願いいたします (電話のベル) はい コンシェルジュデスクで ございます お持ちいたしました ああ それは口実 入って 入って 失礼いたします わざわざ あなたに 持ってきてなんて頼まないわよ あの… これ 食べて ほら 座って座って 前あげたとき 言ってたでしょ 梅干し食べるとパワーが出る 陸上やってた頃から そうだったって いいのよ 若いうちは失敗しても 新陳代謝がいいんだから 年をとるとね 傷口がふさがらなかったり 顔についた枕の跡が 消えなかったり 色々あるけどね ありがとうございます じゃあ… お言葉に甘えて いただきます どうぞ どうぞ すっぱいッ おいしいッ じゃあ これ プレゼント えッ いいんですか？ もちろんよ まだあるから ありがとうございます [TEL]本城だ 天野 お前 今どこにいる？ 菅野様のお部屋です 今すぐ1109号室行けるか？ はい 行ってらっしゃい お泊まりの井坂様 ﾁｪｯｸｱｳﾄの時刻を１時間すぎても まだﾌﾛﾝﾄに下りてらっしゃらない [TEL]電話にもノックにも応答がない それって スキッパーは 井坂様だったってことですか？ その可能性はある デポジットを 頂いてないそうだからな 《今 手持ちがこれしかなくて》 《荷物置いたら すぐ おろしに行ってきますので》 (綾乃)鈴木様に気を取られて 忘れてました 申し訳ありません 総支配人の許可は取ってある ﾏｽﾀｰｷｰを持ってる客室係と合流し 入室しろ 了解です ７回チャイムを鳴らしましたが お返事がありません 1109号室 入室します もぬけの殻ですね… あの～ 何してるんですか？ 井坂様… 大変 失礼いたしました 失礼いたしました いえ ﾁｪｯｸｱｳﾄの時間を勘違いした 私が悪いんです とんでもございません 私 ﾃﾞﾎﾟｼﾞｯﾄのことすっかり忘れてて 今 ＡＴＭで… 恐れ入ります 誤解させるようなことをして 申し訳ないです とんでもございません 失礼いたしました もう よしてください ところで 一つお願いがありまして 何でしょう？ 実は出張が延びちゃいまして お部屋が空いてれば あと２泊させていただければと… もちろん ご用意させていただきます よかった～ 井坂様 よろしければ お部屋をｱｯﾌﾟｸﾞﾚｰﾄﾞさせて いただきたいのですが 料金はもちろん 通常のままで結構ですので えッ？ いいんですか！ ありがとうございます わあ～ 広いなあ ああッ ああ～ 景色も素晴らしい～ ありがとうございます 荷物はそこへ かしこまりました では室内の設備のご説明を… いえ 大丈夫です さようでございますか では井坂様 ごゆっくりおすごしくださいませ <シナリオどおりに進行中> <部屋からの眺めは絶景> <さて 何を食べ散らかしますかね> (ため息) ごめん… 失敗に失敗を 重ねちゃったからさ ありがとう 二度あることは 三度あるっていうし そうだよね 落ちてる場合じゃないよね うーん すっぱいッ よし！ ありがとうございました ありがとうございます あッ すいませーん 井坂様 お願いが どうなさいましたか？ ご接待されるのは 大学病院のお医者様 ３名様ですね はい 食通で 舌が肥えてる方達なので 何をごちそうしたかで 商談が うまくいくかが決まると言われて 特別感のあるお食事が ご希望ということですよね 料理やワインの味もですが 店の雰囲気も 味わったことがない ような感じってないですかね？ では当ﾎﾃﾙのｷｯﾁﾝつきのﾀﾞｲﾆﾝｸﾞﾙｰﾑで ﾌﾙｺｰｽはいかがでしょうか？ そんなのがあるんですか？ はい 高級感のあるﾌﾟﾗｲﾍﾞｰﾄな空間で お好きな食材 調理法で 目の前で シェフが調理させていただきます すごいじゃないですか ぜひそれで お願いします ありがとうございます レアな肉や魚 高級食材を バンバン使ってください シャンパンやワインも それに合わせて最高級のものを あの… お値段のほうも 心配ご無用です これは社運のかかった 接待ですから そんなの今から間に合わないぞ お客様の大事な取り引きが 成功するか失敗するか 富永シェフのお料理次第なんです 脅しか？ お願いします！ あッ (丹後)うわ天野だ 丹後さん 何で逃げるんですか！ だって やな予感しかしないだろ！ そんな 人を疫病神みたいに… 今回は そんな大変じゃないですから やっぱ無理な頼みじゃん ﾀﾞｲﾆﾝｸﾞﾙｰﾑのお花を… (池上)いつなの？ 今夜です… ええ～ お帰りなさいませ 菅野様 ただいま 失礼します 大丈夫よ 軽いから いえ お持ちします いいわねえ 何だか息子に いたわられてるみたいで まあ うちには子供はいなかったし 実際いたとしても あなたみたいに 優しくしてくれないだろうけど いえ そんなことは… でも帰ってきたときに｢お帰り｣と 言ってくれる人がいるっていいわ 恐縮です もうすっかり まるで我が家みたいな気分よ そう言っていただけると 私も嬉しいです ありがとうございます ここまでしていただけるなんて 感動です ご成功 お祈りしています あッ お土産の確認するの忘れてた ≪(井坂)今日はレアな食材と 高級ワイン用意するからさ 俺のおごりだって マジだって 当たり前だろ… ということで お待ちしておりますので はい はい～ スキッパーは 井坂様じゃないでしょうか？ 私… 軽はずみな判断を してしまったのかもしれません 接待のお話も嘘だとしたら このまま進めてしまっても いいんでしょうか？ 井坂様にﾃﾞﾎﾟｼﾞｯﾄは頂いてますけど このままお食事をされると 合計金額が お預かりした金額を 120万円超えてしまいます デポジットを払って安心させて それをはるかに超える金額を 使って 逃亡するつもりなんじゃ 100％の確証がないかぎり 井坂様は お客様だ ですが 嘘をついている犯罪者かも しれない人をお客様だなんて 私には… 自信がありません 演技をしろ それがプロの仕事だ かんぱーい！ じゃんじゃん食っちゃって ≪(鷲尾)天野君 井坂様の件 本城君から報告がありました 何かあったら すぐに対応できる 態勢を整えましょう はい… どうしました？ らしくない顔ですね あの… ≪(鷲尾)はい 総支配人は どうして 私をコンシェルジュにして くださったんでしょうか？ プライドです 君はﾎﾃﾙﾏﾝとしてのﾌﾟﾗｲﾄﾞを ぶれずに持っている そう感じたからです 天野君 君ならできる ≪(井坂)あーん うんッ おいしいね！ 俺も 俺も お客様 もうワインなくなりますけど もちろん もう１本頼んじゃおうぜ いいねえ！ 飲んじゃおう 飲んじゃおう！ ≪飲もうぜ 飲もうぜ まだまだガンガンいっちゃおう ああ 天野さん 皆さん 喜んでくださってるよ ありがとう 井坂様 少し よろしいでしょうか 一度 ご精算をお願いします はあ？ 頂いている追加のご注文が 120万円を超えておりますので まとめてﾁｪｯｸｱｳﾄのときに払います ですが タバコ吸ってきます 井坂様 (物音) あれ？ 大丈夫ですか？ おい やばいだろ これ 誰か 誰か来てくれ！ 誰か！ 井坂様 どうかされたんですか？ 人が倒れてます 菅野様！ 菅野様ッ 菅野様 聞こえますか？ 《≪(亜里砂) 菅野様のことで少し お話が》 《菅野様 体調が お悪いんじゃないでしょうか？》 《このお薬を 飲まれていたみたいで》 《(珠久里)何の薬なんですか？》 《抗がん剤です》 《祖母が がんの末期だった頃に 同じ薬を飲んでいました➡》 《時々 お顔の色が悪いのは 気になっていたんですけれども》 (二階堂)大丈夫かな 菅野様… あんま具合悪そうには 見えなかったのに 俺 あの人見てるとさ 田舎のおふくろ思い出すんだよな ≪(牧原)ああ～ 分かります (電話のベル) 珠久里さんだ はい ええ そうですか 分かりました お疲れさまです とりあえずは 落ち着いてるみたいだ ≪よかった… (富永)おい天野 ちょっと来い 最悪だぞッ 今日の客 井坂様ですね すみません 作らせるだけ作らせといて 残しまくりだ 金払えば何やったっていいと 思ってんだろうけどさ すみませんでしたッ あの 井坂様 ありがとうございました 菅野様を助けてくださって いや あの人 どうなったんですか？ とりあえず 落ち着かれているそうです ああ… そう はい 何だよ いえ 俺のこと スキッパーだと思ってるんだろ？ はい 思っています (珠久里)菅野様は この数日がヤマだそうです (紺野)えッ… 半年前に末期がんで 余命宣告されたそうです 全然気がつきませんでした… (牧原)信じられません 部屋の外へ出るときは お化粧して 気を張ってたんでしょうね 弱ってる姿は 人に見せたくなかったんじゃ ないですかね このホテルを選んだ理由は オムレツだそうです 《死ぬ前に…》 《うちの人と食べた あのオムレツを食べたくなって》 《フォルモントへ行こうって 思ったの》 《最初は １泊か２泊ぐらいのつもりでね》 《なら いっそのこと》 《住んでるアパート引き払って》 《持ってるお金 全部使って》 《フォルモントに 死ぬまで置いてもらおうかって》 《そういうご事情だったんですか》 《ええ…》 《だってね 珠久里さん》 《寂しいのよ 独りって》 《うちには子供がいなかったし》 《友達っていってもね》 《でも それで思い切ってよかった》 《フォルモントにいた一ヵ月 楽しかったもの》 《ご満足いただけていますか？》 《ええ》 《オムレツは おいしいし》 《ホテルの皆さんが いつも笑顔で気持ちいい》 《ありがとうございます》 《結構 苦労もしてきたし》 《贅沢なんて してこなかったけど》 《こんな終わり方ができるなら》 《地道に頑張ってきて よかった》 《そんなふうに思えるなんて 幸せ者よね》 《でも… 欲を言うと》 《フォルモントで 最期が迎えたかった》 《いつものように》 《ホテルの皆さんの 笑顔に囲まれてね》 言ってくださればよかったのに… そうだよなあ そしたら もっと できることがあったかも あらゆるお客様にとって ホテルは 旅先の我が家であるべきだ そう言われています 菅野様は このホテルを 我が家みたいだと おっしゃってくださいました もし菅野様のご病気を 知っていたら みんなが特別扱いをして そう言っていただけなかったん じゃないでしょうか そうですね 私達のｻｰﾋﾞｽは間違っていなかった と 僕も思います 菅野様に もう一度 ﾌｫﾙﾓﾝﾄへ戻ってきていただくこと はできないんでしょうか？ お医者様と お話ししましたが 動かすのは危険だと でも このままお別れだなんて… あッ 病室を我が家にして 差し上げることはできますよね？ (ノック) 失礼します どうしました？ 総支配人 許可していただきたいことが あります (小松)菅野様 お帰りなさいませ お帰りなさいませ ここは？ 菅野様のお部屋です お帰りなさいませ あなた達… お待たせいたしました 当ホテル 特製オムレツでございます 富永さん… 失礼いたします (富永)失礼いたします 失礼いたします どうぞ ありがとう おいしか～ ありがとうございます そうか 分かった 素晴らしいお客様でした 変わってないわね 利益より情を優先する でも よかったんじゃないかしら 今回は よしッ 浅草… 浅草がここで 小松さん タクシー一台 お願いします チェックアウトでございますか？ そうしたいところだけど… 払う金がない 今から警察に行きます 自首します あの… どうしてですか？ あの人 亡くなっちゃったんだってな はい 俺 こないだレストランで 怒られたんだよ 《あんた なんばしよっと？》 《ご飯食べるときは 作ってくれた 人に感謝して食べないけんよ》 (井坂) それが何か… 効いちゃってさ ｢なんばしよっと｣ なんて 久々に言われたから 井坂様も 博多のご出身なんですか？ 死んだ母親にも よく怒られたの 思い出したっていうか… 母親の遺言のような 気がしちゃってさ 親不孝してて 死に目にも あえなかったせいかな じゃあ… 井坂様 またのお越しを お待ちしております いらっしゃいませ

真田丸＃43

1 ♬～ ♬～ (信政)てやっ！ てや～！ (三十郎)もっと大きく！ (茂誠)よろしく頼んだぞ｡ (茂誠)さあ｡ (信吉)すまん｡ ここは どの辺りだ？ 柏原に近き辺りかと｡ まだ戦も始まっていないのに なぜ こんなに急ぐのだろう｡ 大御所様が 京で お待ちだからでしょう｡ (三十郎)信吉様も こっちで一緒になさりませぬか？ 兄上！ どうか 私には構わず｡ 汗をかくと 気持ちようございますぞ！ 放っておこう｡ 将軍様 お見回りでござる｡ (正信)これは これは… ﾊﾊﾊﾊ！ 精が出ますな！ 剣術の稽古は 毎日 欠かさないようにしております！ (秀忠)天下安寧のため しっかり働いてくれ｡ かしこまりました！ (正信)この向こうが 本多忠朝の陣でございますよ｡ 真田左衛門佐が…｡ 大坂城に入ったそうな｡ (茂誠)なんと…｡ (信之)信吉たちを追って 京へ お上り頂きたい｡ (松)私が!? 源次郎が大坂方へつきました｡ まあ！ 息子たちと源次郎が争うなど あってはならぬ事｡ 源次郎だって 甥っ子たち相手に 本気にはならないんじゃない？ 手加減してくれるんじゃ ないかしら｡ 私が心配しているのは そこなのです｡ 敵陣に身内がいれば 源次郎の目が曇る｡ 源次郎の好きに させてやりたいのです｡ あれは 14年間 この時を待っていたのです｡ 敵陣に真田の旗を見れば 源次郎の決意が鈍る｡ 兄上と三十郎に➡ ｢どんな事をしても 戦場には出るな｣と お伝え下さい｡ ｢徳川への忠義の証しとして➡ あえて 一番前に陣を敷くなど 愚かな事は考えるな｣と｡ 書き留めて｡ 忘れそう｡ 稲の耳に入れば えらい事になります｡ 姉上だけが頼りなのです｡ 書き留めます！ ♬～ (正純)秀忠様のご軍勢は 守山へ入ったとの事でございます｡ (家康)早いな｡ (正純)此度は 大御所様に叱られぬよう➡ 必死なのでございましょう｡ (家康)いつまで 関ヶ原を引きずっておるのだ｡ (正純) 片桐殿を連れ参りましたが➡ お会いになりますか？ 通せ｡ はっ｡ ♬～ 片桐殿｡ (家康)お会いしとうござった｡ (且元)私の力不足ゆえ このような ありさまとなってしまい➡ 己のふがいなさを 責めるばかりでござる｡ そなたに罪はない｡➡ 悔やむ事など 何もありませんぞ｡ (家康)それにしても➡ ここまで 豊臣に尽くした者を すげなく追放するとは➡ 大坂の者どもは 何を考えておるのか｡ 片桐殿 これからは わしの下で働いてくれ｡ そなたのような家臣が 欲しかった｡ ありがたき事ではござるが…｡ もちろん 今も 豊臣に 忠節を誓うというのであれば➡ 無理強いはせん｡ 豊臣との縁は 既に切れ申した｡ では…｡ 私のような者で お役に立てる事があれば｡ 正純 聞いたか？ 片桐殿が徳川についてくれるぞ｡ 喜ばしき限りでござる！ (家康) 早速だが 一つ 聞かせてほしい｡ 豊臣は このところ➡ 盛んに 兵糧を かき集めておったようだが➡ そなたの目から見て どうじゃ？ 今の大坂城に 10万の兵を 養うだけの兵糧があるか？➡ 城は どれぐらい もつ？ もちろん 豊臣に 義理立てしたいのであれば➡ 答えんでもよい｡ (家康)いかがかな？➡ 片桐殿｡ (家康)よう分かった｡➡ さすがは 忠臣 片桐東市正！ あっぱれじゃ！ ﾊﾊﾊ…｡ 牢人たちの数は…｡ (且元)当初の見積もりを はるかに上回っております…｡ 今の兵糧では➡ とても 10万は賄いきれませぬ…｡ もって…｡ 半年…｡ (家康)よくぞ 教えてくれた！ ♬～ (茶々)お前たちは もうよい｡ 下がりなさい｡ (家臣たち)はっ｡ お入りなさい｡ 閉めて｡ ここに入るのは あの日以来｡ 太閤殿下が 私に 見せようとしなかったものたち｡ 皆 もうすぐ 出番ですよ｡ 勝てますか？ (信繁)申し上げたはずです｡ 私は そのために来たと｡ 頼もしいこと｡ これより 軍議がございます｡ そこで 秀頼様に 必勝の策を 献ずるつもりでいます｡ この城さえあれば 我らは負けませんね？ もちろんです｡ ただ 私の献ずる策は 籠城を取りませぬ｡ もっとよき手が｡ 秀頼殿が危ない目に遭う事は ありませんか？ もちろんです｡ ♬～ ずっと待っていました｡ 私の愛した人たちは 皆➡ この世に未練を残して 死にました｡ 父上も母上も兄上も 柴田の父も｡ 捨も｡ 太閤殿下は？ ｢私の愛した人たち｣と言いました｡ 私は どうなっても構いません｡ 秀頼を死なせないで｡ 命に代えても｡ ♬～ これより 軍議の支度がございますゆえ｡ ♬～ (大蔵[外:1E3E86471108B07367CC8A2EE651BA7D]局)牢人たちは どれほどに増えましたか？ (治長)既に 10万を超える勢いでございます｡ (大蔵[外:1E3E86471108B07367CC8A2EE651BA7D]局) まだまだ増えそうですか？ (治長)あとは 兵糧との兼ね合いが心配です｡ (大蔵[外:1E3E86471108B07367CC8A2EE651BA7D]局)そのようなものは どうにでもなります｡ 戦というものは 時の勢いを味方につけた方が勝ち｡ 我が兄が 桶狭間において➡ 今川義元の大軍を破った時を 思い出します｡ (大蔵[外:1E3E86471108B07367CC8A2EE651BA7D]局)されど 治長｡➡ くれぐれも あの者たちに 好きにさせてはなりませぬぞ｡ 持ち上げるのは構いませぬが 舵を取るのは あくまでも我ら｡ 本日の軍議が肝要ぞ｡ (治長)かしこまりました｡ 少し借りるぞ｡ 軍議に備えて 考えをまとめておこうと思ってな｡ (内記)策は決まりましたか？ かつて 父上の立てた策を 目下の形勢に合わせて練り直した｡ (内記)楽しみですなあ！ 籠城戦は 亡き殿も得意中の得意で ございましたからな！ (治長)先月の23日 家康が京に入り申した｡➡ 一方 秀忠率いる５万の本軍が 江戸を出立｡➡ 徳川傘下の東国の大名たちも➡ 続々と こちらへ 向かっているところでござる｡➡ 敵方は 少なく見積もっても およそ20万｡ 相手にとって 不足なし！ 天下の豪傑 後藤又兵衛殿から 頼もしいお言葉が出ましたぞ｡ さて その徳川勢を どう迎え討つか｡ 木村長門守｡ ここは 戦の定石どおり 籠城でまいろうと思います｡➡ 倍以上の敵に 野原で 真っ向から ぶつかっても➡ 勝ち目はございませぬ｡➡ 城に籠もって戦うのが 一番と考えます｡ 五人衆 ご異存ございませぬか？ 承知｡ 承知｡ 承知｡ 承知｡ 不承知にございます｡ そもそも 籠城とは 援軍が来るまでの時を稼ぐもの｡ 此度の戦に 援軍はおりませぬ｡ (秀頼)では 左衛門佐は どうすればよいと思うのか？ ここは 討って出るべきでしょう｡ 討って出る…｡ ばかな｡ 正面から ぶつかって 勝てる訳がない｡ 正面から ぶつかるとは 申してはおらぬ｡ 討って出ると言うたではないか！ まあまあ ご両人｡ 我らは味方同士｡ 敵は 徳川でございますぞ｡ ご無礼致しました｡ (治長)大坂城は➡ 太閤殿下が お造りになられた 難攻不落の城｡ あえて そこから出て戦う意味が 分かりませぬ｡ 戦を 城から なるべく離し➡ 大坂 京 伏見 大津 上方全てを戦場とする事で➡ 徳川を分断 敵の力を削いでいきます｡ (有楽斎)話としては面白いが…｡ (治長) 京の町に攻め入ると申されるか？ 京には 家康がいます｡ (治長)由緒ある神社仏閣を 左衛門佐殿は灰にするおつもりか｡ 勝つためでござる｡ 籠城でよいのではないか｡ では 一体 いつまで 城に籠もられるおつもりですか？ (治長)この城ならば ２年でも ３年でも 籠もる事はでき申す｡ それだけの兵糧が ここにはありますか？ ござる｡ その先は？ そうこうするうちに 家康が死ぬ｡ それを待つ｡ (又兵衛)こうしよう｡ まず 城の四方を 俺とお前➡ それと あんたらで それぞれ固め➡ 向かってくる敵を蹴散らす｡ どうだ？ なるほど 妙案でござるな｡ 殿 ご裁断を｡ そういう事ならば 私は 引き下がらせて頂こう｡ お待ちを！ 考え抜いた策を ろくに吟味もせずに➡ 退けられたのでは やる気も起きませぬ｡ 九度山に帰る事に致す｡ 御免｡ (秀頼)修理！ (治長)左衛門佐殿！ 源次郎様も やりますな｡ ｢父上なら どうするか｣と考えた｡ よう覚えておきなされ｡ はったりは 真田の家風でござるぞ｡ (大助)はったり…｡ はったりではない｡ これは 立派な策だ｡ じきに 誰かが迎えに来る｡ (足音) (小声で)案の定でございます｡ (足音) 木村長門守にござる｡ 左衛門佐殿 軍議に 戻っては頂けませぬか？ 秀頼公が お待ちです｡➡ もう少し詳しく聞きたいと 仰せでございます｡ あなたは どう思われた？ 私の策について｡ 私は…｡ 籠城こそが 唯一の道と思っております｡ 倍以上の敵を迎え討つ時は➡ 籠城が最もふさわしいというのが 定石でございます｡ その定石を 敵も知っている｡ だからこそ 裏をかく意味があるのでは？ それは…｡ ♬～ 今 家康は 京にいます｡ (碁石を置く音) これ以上の好機がありましょうか｡ まずは 伏見城を攻略し➡ そこを出城として 二条城へ攻め込みます｡ そして 秀忠が到着する前に 家康の首を取る｡ 同時に 別の軍勢が大津を占拠し 近江を我が物とします｡ 更に 瀬田と宇治の橋を落とします｡ これによって 徳川本軍の行く手を塞ぐ｡ ここまで来れば 徳川についていた 豊臣恩顧の大名たちの中にも➡ 我らに味方する者が出てくる｡ 更に 伊達や上杉と示し合わせ 秀忠勢を背後から襲わせる｡ 負ける気が致しません｡ 伊達や上杉が 味方をしてくれるか？ 家康の首さえ取れば 必ず｡ (有楽斎) いやはや これは お見事！➡ さすがは 戦上手の真田殿じゃ｡ 方々 いかがでござろう｡ 後藤殿｡ 一つの策であるな｡ しかし ここは やはり 籠城だ｡ 訳を伺いたい｡ 話が大きすぎて ついていけない！ 説明が足りぬのならば いくらでも お話し致す｡ ほかの方々は？ 長宗我部殿｡ 籠城が よろしいかと｡ (治長)明石殿｡ 右に同じ｡ やはり 籠城のようですな｡ (勝永)待った！ 俺は 左衛門佐の策に乗る｡ (又兵衛)おい！ (勝永)話が大きすぎて…｡ 俺は そこが 気に入った！ ♬～ いかがなされます？ もう少し 話し合うてみたい｡ ♬～ しばし 休憩としませぬか？ ♬～ 籠城か 討って出るか｡ どちらも もっともな気がしてきた｡ 最後に お決めになられるのは 殿でございます｡ ♬～ ありがとうございました｡ (勝永)正直 言って➡ 俺は 籠城だろうが何だろうが 全く こだわらん｡ では…｡ あんたは 何のために ここへやって来た？ 私ですか？ 俺は 己の力を試してみたかった｡ それだけだ｡ 今の俺の腕が 戦場で どれだけ通じるか｡ それを見極める｡ だから ここに来た！ あんたに乗ったのは 恩を売るためだ｡ 京に攻め込むと言ったな｡ その役目 俺にやらせろ！ 家康の首は 俺が取る！ いいでしょう｡ それにしても…｡ 後藤殿は なぜ 籠城に こだわるのか｡ (勝永)あいつは あんたの意見に 従うのが嫌なだけだ｡ では あちらの２人は？ よう知らぬ｡ 私には分からないのです｡ あなたは 戦上手で知られた 宇喜多秀家様のご家老｡ 籠城が 決して得策ではない事は 重々 分かっておられるはず｡ 私は 切支丹です｡ 存じ上げています｡ この国に 信徒を増やすのが 私の願いです｡ それが どう関わってくるのでしょう？ 軍議が始まる前に言われたのです｡ 此度の戦は 籠城と決まっているゆえ➡ 左衛門佐殿が ほかの策を出しても 決して乗るなと｡ さすれば 今後 切支丹の布教に関して➡ 便宜を図ると｡ 誰に？ 大野修理殿に｡ そういう事でしたか｡ 私には 豊臣につくいわれはない｡ 私が大坂へ来た訳は ただ一つ｡ 徳川が 切支丹禁教令を出したからです｡ 私には それが全て｡ お気持ちは分かりました｡ 長宗我部殿｡ あなたも やはり 修理殿に言われたのですか？ あの男は わしに約束した｡ 籠城に同意すれば 願いをかなえると｡ あなたの願いは？ 長宗我部の家を再興する事じゃ｡ 多くの家臣の思いが わしの肩に かかっておる｡ 結局 豊臣のやつら➡ 俺たち牢人たちを 頼りにしているくせに➡ 俺たちに牛耳られるのを 恐れているんだ｡ そのようです｡ 何としても あんたの策を潰す腹だ｡ しかし 分からぬのは➡ 修理殿が なぜ 私の策をご存じだったのか｡ ♬～ お二人が どのようないわれで ここに来られたか➡ それは 関わりありません｡ 大事なのは 豊臣が負けてしまえば➡ あなた方の望みは潰えるという事｡ 切支丹の布教も 長宗我部家の再興も➡ 戦に勝たねば 全てが夢となるのです｡ まずは 勝つ事｡ 籠城では それは かないませぬ｡ この世に 決して落ちぬ城などない｡ 城は 大きければ大きいほど どこかに 綻びが生じる｡ この戦に勝つためには 城から出るほかありませぬ｡ 城から出るなど もっての外｡ (治長)京の家康を攻めるなら 今しかありません｡ (大蔵[外:1E3E86471108B07367CC8A2EE651BA7D]局) 言うたではないですか｡➡ あの者たちの 思いどおりにさせてはなりませぬ｡ 長門守に気張ってもらうしか ありませんな｡ (大蔵[外:1E3E86471108B07367CC8A2EE651BA7D]局)頼みましたよ 重成｡ (茶々)次は これを食べましょう｡ はい｡ さて 初は 茶々のすぐ下の妹である｡ 若狭の大名 京極高次のもとに嫁ぎ➡ 夫の死後は 常高院と名を改め 茶々のよき相談相手となっている｡ 今 この城に 牢人たちが 10万人いるのですよ｡ 10万人も？ 真田左衛門佐も 戻ってきてくれましたし｡ 姉上の元気なお声を聞いて 安心致しました｡ この戦 必ず 勝ちます｡ 我ら２人も 左衛門佐殿の策に 乗る事に致した｡ (全登) ここは城を出て 戦うのが得策！ 左衛門佐殿 それでは お尋ね致す｡ どうぞ｡ (重成)貴殿は 城を出て 伏見 京 大津へと兵を進め➡ 敵を分断させると仰せられた｡ そのとおりです｡ (重成)敵を分断させるという事は すなわち➡ 味方も分断されるという事｡ さよう｡ まとまりのない牢人たちが 最も力を発揮するのは➡ この大坂城で 一丸となって➡ 敵と ぶつかる時では ないでしょうか｡ そうかもしれません｡ よくぞ言うた！ しかし だから 籠城というのは いささか気が早すぎはしませんか｡ 確かに 大坂城は 最強の砦｡ されど 今の我らには➡ 最強の砦であると同時に 最後の砦でもある｡ 我らには ここしかないのです｡ ここが落ちれば 豊臣家は滅びます｡ ならば 籠城は 最後の策に取っておき➡ まずは 外に討って出るべきです｡ 籠城は そのあとでもできます｡ 木村殿｡ 定石どおりに考えていては 戦は勝てませぬぞ｡ ♬～ 今の言葉…｡ 腑に落ちました｡ (治長)長門守！ (重成)籠城は 最後の一手に 取っておきましょう｡➡ それまでは 少しでも 敵の力を 奪う事を考えるべきです｡➡ まずは 秀忠の軍勢が来る前に 京へ攻め入りましょう！ 不承知！ いつまで つまらん意地を張る？ うるさい｡ あんたも 修理殿に何か言われたのか？ ばか言え｡ でしょうね｡ あなたは 初めから 私の策には乗らないと➡ 修理殿は踏んでおられた｡ 事のついでに教えてくれ｡ あんたは 何のために ここへ来たんだ？ 何の関わりがある？ 分かるような気がします｡ 死に場所を求めにやって来た｡ 違いますか？ (勝永)死に場所？ 黒田家を飛び出したあと 後藤殿は どこにも仕官ができなかった｡ 黒田の殿が 手を回したからです｡ 武士らしく生きる事が できなくなった あなたは➡ あとは 武士らしく死ぬしかない｡ 俺は 天下の後藤又兵衛だ｡ 天下一の城を枕に 討ち死にするしかねえと思った｡➡ 俺の死に場所は ここしかねえ｡ 籠城だ！ 誰が何と言おうとな！ (又兵衛)何だよ？ 私は 勝つために ここへやって来た｡ 死にたがっている者に 用はありません｡ はあ？ 勝つ気がないなら この城を出ていってもらおう｡ (又兵衛)本気で 勝とうとしてるのか｡ もちろん｡ お前は 大まぬけだ｡➡ 勝てる訳がなかろう｡➡ 俺たちは 日の本中を敵に回してる！➡ 口には出さねえが みんな 思ってる事だろ！ そうだろ みんな！ 我らは 別々の思いを持って ここに集まってきました｡ しかし 一つだけ 通じ合っている事があります｡ 皆 それぞれ 望みを持っている｡ 生きる望みを｡ だからこそ 我らは強い｡ 私は本当に 負ける気がしないのです｡ 我らは 決して負けない｡ ここに 死に場所はない｡ 死にたいのなら 徳川につくべきだ｡ その言葉 忘れねえぞ｡ ♬～ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ 実はな 俺も 籠城は まだ早いと思ってたんだ｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ よく言うのう｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ (牢人たちの笑い声) さて なかなか よいものを拝見致した｡ では この辺で お開きに致しませぬか｡ ♬～ では…｡ 初めから申し上げておる｡ 籠城以外にはない！ しかし それでは 話し合うた意味がございませぬ｡ 意味は あった｡ それぞれの思い 胸にしみましたぞ｡ ふざけるな…｡ おぬしらは しょせん 金で雇われた牢人たちじゃ｡➡ 身の程をわきまえよ｡ 本音が出たな｡ 我らの指図に従い 敵と戦っておればいいのだ｡ (治長)有楽様…｡ 今の言葉は 聞き捨てなりませぬ｡ 何だと？ ここにいるのは 豊臣を守るために 集った者たちでございます｡ 我らにとっては あくまでも 客人｡ 非礼は許されません｡ 誰に向かって 言うておる｡ 決めるのは 右大臣 秀頼公でございます！➡ あなたではござらん！ (治長)殿 ご裁断を｡ (秀頼)決めた｡ 籠城はせぬ！ 討って出よう！ ♬～ この事 大蔵[外:1E3E86471108B07367CC8A2EE651BA7D]に お伝えする｡ 好きになされませ｡ ♬～ では これより 左衛門佐殿の策に沿って➡ 急ぎ 陣立てを 決めてまいりたいと存ずる｡ (大蔵[外:1E3E86471108B07367CC8A2EE651BA7D]局)どうなりましたか？ 息子殿に 聞きなされ…｡ ♬～ (又兵衛)前途多難だな｡ 多難でない戦など ありませぬ｡ (又兵衛)ﾊﾊﾊﾊﾊ！ (勝永)分からぬのは 豊臣の連中は➡ 不利と分かっていて なぜ あそこまで籠城にこだわる？ におうな｡ では 御免｡ あんたは なぜ ここに来た？ 私…｡ まだ 聞いてなかったぜ｡ 実は…｡ 私にも よく分からないのです｡ (秀頼) 皆 頼もしき もののふたちです｡ 母上 この戦 必ず 勝ちます｡ …で どうなったのですか？ むろん 真田の策を採りました｡ (茶々)籠城は？ (秀頼)致しませぬ｡➡ 毛利勝永率いる２万の兵が 明日 京へ攻め込みます｡ なりませぬ｡ 母上…｡ (茶々) その者が裏切らぬと言えますか？ しかし…｡ 牢人たちの中で信じられるのは 真田だけ｡ ほかは 金目当てで 集まってきた者たちです｡ 城にとどめ 目を光らせておかねば➡ 何をしでかすか 分かったものではありませんよ｡➡ この城にいれば 徳川は手出しできません｡ 籠城です｡ それしかありません｡➡ よいですね？ (治長)面目次第もござらん｡➡ 秀頼公のお気持ちは 籠城で固まりました｡ しかし…｡ (治長)お上様のひと言で ひっくり返ってしまいました｡➡ 我らには どうする事もできませぬ｡ ♬～ そういう事ならば しかたありませんな｡ そうと決まったからには すぐに 次の策を考えましょう｡ お願い致す｡ ♬～ ここに 出城を築く｡ 真田… また 真田か！ 許しません｡ 真田が裏切ったら どうするのじゃ！ 作り直しじゃ！ あ～！ 牢人たちの力を借りねば 我らの負けでござる！ 父上も 生きておられれば 同じお考えのはず｡ 籠城で勝つには これしかない！ <兵庫県姫路市にある南山田城は➡ 大坂五人衆の一人 後藤又兵衛ゆかりの城です> <村人を困らせる大蛇を➡ 又兵衛が退治した逸話が 伝えられています> <お隣の加西市にも➡ 又兵衛ゆかりの場所が 残されています｡➡ 後藤家の菩提寺 多聞寺> <又兵衛の子どもが 建立した寺院です> <数々の戦で 武功をあげた 槍の又兵衛｡➡ しかし それが仇となり➡ 主君 黒田長政の不興を買い➡ 仕官の道を閉ざされました> <大坂城に入城を果たした 又兵衛> <信繁同様 又兵衛の武勇は➡ 徳川との大戦で もう一度 花開く事となるのです> (雙星彦馬)もう半年になります｡ そろそろ 会わせてくださいますように｡ (雁二郎)｢西洋武器或問｣が 盗まれまして｡ (静山)同じくして 飯炊き女のお里が 姿を消した｡ <松浦静山から盗み取った本を➡ 織江は 川村に渡すのを ためらった｡➡

はつ恋＃06

1 （三島）＜本当は 君に伝えたい言葉が→ たくさん　あった＞ ♪♪～ ＜でも…　何か言おうとすると→ 頭の中で　言葉が 粉々に壊れてしまう…＞ ♪♪～ （ノック） （緑）はい。 失礼します。　どうぞ。 幸絵さん。 （幸絵）お願い。　彼を元に戻して。 日本に連れて帰ってきて→ この　ひと月 何軒も何軒も　病院　回った。→ ねえ…　この人　もう治んないの？ ずっと　こうなの？ 幸絵さん。　とりあえず 検査させて下さい。 ♪♪～ 次は　話す事の検査です。 物の名前を言って下さい。 ♪♪～ これは　何ですか？ ♪♪～ これは　何ですか？ こうやって弾きますよね？ ありがとうございました。 ♪♪～ 幸絵さん。　どうぞ　中に。 ♪♪～ どうだった？　ねえ…。 もしかして　あなたになら ひと言ぐらい→ しゃべってくれるんじゃ ないかなんて→ 最後の望みをかけて 連れて来たんだけど→ そんな訳ないか…。 あの～　とりあえず さっぱりしましょうか。 お父さん　何　突っ立って 見てるの？ 早く　散髪してあげて。 （勝）あっ　分かった。 ♪♪～ （桃子）私　今月　まだ　１件も 契約　取れてないんですよ。 （潤）そういう時こそ　前向きにね。 所長？ うん？ 悪いけど　先　戻ってて。 所長！　どうしたんですか？ こんにちは。 あっ　潤ちゃん。 三島先生！　パリに　お帰りに なったんじゃないんですか？ 潤ちゃん　あとで話すから。 （幸絵）緑さんの　ご主人ですか？ こらちは？ 三島先生の…。 元妻の蛯名です。 東京で　セレクトショップ　やってます。 村上です。 （幸絵）お願いが　あるんです。 はい？ 奥さんに　三島のリハビリを して頂きたいんです。 リハビリ？ 幸絵さん。 あなたは　三島の事 一番よく分かってると思うから。 緑さん　お願い。　お願いします！ （健太）パパ　お休みなさ～い。 お休みなさい。 ママ　お休みなさい。 お休み～。 潤ちゃん。 うん？ 私ね　三島先生のリハビリ… お引き受けしようと思うんだ。 だけど…。 うん？　だけど　何？ 三島先生の事で　潤ちゃんに 話してない事が　あるの。 ああ…　いい　いい。 それ以上　言わなくていい。 何となく　俺　分かってたから。 初恋の人なんでしょ？ 潤ちゃん。 うん？ 今まで…　ウソついてて ごめんなさい。 いいよ　いいよ。　昔の話だもん。 それにさ うちの家族にとってはさ→ 三島先生は　緑の命を 救ってくれた恩人なんだし。 そんな人が　ああいう事に なってしまって→ そりゃあ　ショックだよな。 だから　やってあげてよ。 それ　当然だよ。　なっ？ リハビリは　やっぱり 緑が最適だと　俺も思う。 ありがとう。 言ってくれて　ありがとう。 入れてくるね。 ああ　ありがとう。 ♪♪～ 頂きます。 潤ちゃん　おみそ汁　お代わりは？ お願い。　はい。 ♪♪～ リハビリって 今日からだっけ？ うん。 何？ ママの手術をして下さった先生が 失語症に　なっちゃったの。 スーパードクターが しゃべれなくなっちゃったの？ そう。 失語症の人は　言葉の分からない 外国に来たのと同じなんでしょ？ 三島先生はね　みんなが言う言葉は 大体　分かるの。 「鼻」っていう言葉を聞いたら ここの事だって分かるんだけど→ 自分から言おうとすると どうしても→ 「鼻」っていう言葉が 出てこないの。 ふ～ん。 ここは　鼻　ここは　目 ここは　口って→ ママが教えてあげるんだ。 何だか　お母さんみたいだね。 さあ　食べちゃおう。 おいしい？ （健太）うん　おいしい。 改めまして 自己紹介させて頂きます。 言語聴覚士の…　村上　緑です。 よろしく　お願い致します。 では　まず　声を出す練習から 始めましょう。 私の口元を　よく見て下さい。 あ～。 あまり 無理なさらないで下さいね。 では　次は 書く練習をしましょうか。 はい　どうぞ。 失礼します。 では　お名前　書いてみましょうか。 はい。 （ノック） はい。 あ～　広瀬。　見てないで入ったら？ （広瀬）じゃ…　ちょっとだけ お邪魔します。 差し入れ　持ってきたんだ。 三島の好きな　から揚げ弁当。 ありがとう。 これが　あの三島なの…？ ちょっと！ ちょっと　ちょっと…。 えっ？ あのね　失語症には さまざまなタイプが　あって→ 三島くんは 言葉が出てこないだけで→ 記憶が無い訳じゃないの。 広瀬の事だって ちゃんと分かってるのよ。 まだ　混乱は　するけどね。 えっ？　じゃあ→ 俺が　前に話した話も 全部　覚えてるの？ もう一回　やり直し。 （ノック） はい　どうぞ。 おう　三島。 思ったより元気そうじゃないか。 １年前に　俺が あんな事　言ったから→ 自分は　ここに　いちゃ いけないなんて思ってんだろ。 もう　あんなの　いいからな。 この町に　いていいんだぞ。 ゆっくり治せ。 ほら！　から揚げ弁当でも食べて 元気　出せ。　なっ？ じゃ　俺　店あるから もう行くわ。 うん。 頑張れよ！ ありがとう　広瀬。 （広瀬）おう。 ♪♪～ （中山）言葉…→ 駄目？ ♪♪～ 俺も…　１年前は 全然　駄目だったよ。 ムラマツさん　こんにちは。 （中山）先生…　あれ？ ♪♪～ いい先生。 美人だし。 でも…　怒ると　怖いよ～。 カ…。 好き？ 行く？ ♪♪「ああ　果てしない 夢を追いつづけ」 何やってるんですか　２人とも！ 黙って　いなくなっちゃ 駄目じゃないですか！ カラオケ…　リハビリに…　いいでしょ。 まあ　そうですけどね。 じゃあ　せっかくだから 歌いましょうか。 先生　お医者様だから 分かりますよね。 音楽は　右の脳だから大丈夫。 きっと歌えますよ。 医者？ ♪♪「ああ～」 さん　はい！ あ…。 あっ！　出た！ もう一回！　もう一回！ ♪♪「ああ～」 さん　はい！ あ…　あ～。 やった！　声　出ましたね！ 中山さん　やりましたね～。 頂きます。 ああ…　そういえば　今日 三島の様子　見てきたんだけどさ→ あれじゃ　緑も大変だな～。 ねえ　広瀬さん。 俺に　気遣わなくて いいですから。 えっ？ 緑から聞きました。 つきあってたんでしょ？ そうか…　もう聞いたんだ。 で…　潤ちゃんは？ はい？ いや　まあ　そりゃ気になりますよ 少しはね。 でも　初恋は　初恋ですよ。 高校の時の話でしょ。 そんな昔の事　俺も あれこれ言うの　嫌ですよ。 それに　まあ　三島先生を あのまま東京に帰しちゃったら→ 多分　緑は　一生 その事を引きずると思うし→ かえって　気持ちが残ると 思うんですよね。 俺　その方が耐えられないですよ。 まあ…　いいや。 じゃ　から揚げを。 これ　好きなんですよね。 ♪♪～ 緑さんは　三島と 同級生だったんでしょ？ ええ。 ほんとの事　言うと 緑さんに頼むの　悔しかったんだ。 私にとっても　彼は　初恋の人なの。 彼　私の名前ぐらい 呼んでくれるようになるかな？ もちろんです。　リハビリを続ければ。 もう　メスは握れないよね…。 ♪♪～ 夫婦だったころ　よく思ったの。 彼が　天才外科医なんかじゃなくて ただの男だったら→ 私の事　もっと 愛してくれるのにって。 その望みが　かなったのかな…。 ♪♪～ 元どおりとまでは言えなくても→ かなり良くなる方は たくさん　いらっしゃいます。 今は　話す事や　書く事に 障害が　ありますが→ 理解面は　良好ですし 知性も保たれています。 ♪♪～ 宿題　頑張ったぞ。 ああ　ほんと？ どうぞ　幸絵さん。 ああ　どうも。 なあ　三島くん。 ここから　リハビリ 通ったらどうだろう？ えっ？ あんたも　東京に 仕事が　あるんだし→ ずっと　付きっきりって訳に いかないでしょう。 でも　ご迷惑じゃ…。 いや　私は　どうせ１人だし。 まあ　大した事は　できないけど 緑の命を救ってくれた　大恩人だ。 なっ？　ここには　古い知り合いが いっぱい　いるし。 三島くん　どうだい？ （広瀬）こんにちは～。 （ゆり子）こんにちは。 いらっしゃい。 （広瀬）お～　みんな来てたの。 うちの人と　失語症について 調べたんだけど　古いアルバム見て→ いろいろ話したりするのが いいんですって。　ねっ？ ありがとう。 三島　これ　分かるか？ 懐かしいだろ。 これ　分かる？　担任の　ポンポコだよ。 こ…　れ…。 何て？ これは誰か　知りたがってる。 こ…　れ…　は？ あ～。 ケロ！　薬屋の　ケロだよ　これは。 こ…　れ…　は？ あ～！ （広瀬）ノリちゃん。 ノリちゃん。 ナカタノリコ。　手芸部だったよね？ そう　そう　そう。 （広瀬）よく　立ち読み行ったぞ ２人で。 （笑い声） チョップ！ 痛い　痛い　痛い　痛い。 これは　俺だよ　俺だよ。 そして　これ　三島だよ。　緑。 （広瀬）野球部のシュンも　いるし フジワラも　いるし。 ♪♪～ あ～　ありがとう。 ♪♪～ ＜「蛯名幸絵様。　本日の リハビリの様子を報告します。→ 『これは？』という言葉を 言えるようになりました」＞ ♪♪～ これは？ トンボ。 これは？ 飛行機。 これは？ 海。 東都医大の教授が？　それで？ 分かった。　ありがとう。 大丈夫かな？ どうした？ 三島先生ね　教授に 大学病院に連れて行かれたって。 そりゃ　元の職場だから 刺激になるんじゃないの？ まだ早いと思う。 失語症の患者さんはね→ 見た目は　前と変わらないけど 会話に　ついていけないし→ 嫌な事も　嫌だって言えないのよ。 それ　患者さんとして 心配してるんだよな？ えっ？ いや…　やけに熱心だからさ。 ごちそうさま。　健太。 （健太）は～い！ 行くよ。 行ってきま～す。 行ってらっしゃい。 じゃあ　行ってきます。 うん　行ってらっしゃい。 （ドアが閉まる音） （蛯名）こうやって 月に１度ぐらいは→ 復帰のために顔を出してくれ。 外科医として復帰するのは 時間が　かかるとしても→ ゆくゆくは　指導者として→ 君の最先端のスキルを 後輩たちに教えてほしい。 （助手）蛯名先生！ 病院長が　至急　話が　あると。 分かった。 この先で　後輩たちが　君のオペの 映像を見て　勉強してるから→ 行っててくれ。 あとで　顔　出すから。 （高野）これが　三島くんのＣＴか。 （菅原）彼が　パリの病院で 手術して帰国した時→ 念のため　うちの脳外科で 検査したんです。 脳動静脈奇形からの 脳出血だったよね。 （菅原）優位半球が　これだけ やられてるんだから→ かなり危なかったですよ。 （高野）蛯名先生は この期に及んで→ 彼を復帰させようと してるらしいが→ これを見る限り　ありえないな。 （菅原）外科医は　ハードだから お互い　気を付けましょう。 ♪♪～ 三島先生！ お帰りなさい。　幸絵さんが 心配してらっしゃいましたよ。 あっ　もしもし。　今　無事に 電車　降りてらっしゃいました。 そう。　こんな事も あるかと思って→ ＧＰＳ付きの携帯 持たせておいて　よかったわ。 今から　父の所に送りますので ご心配なく。　それでは。 一人で電車に乗って 帰ってこられるなんて→ すごいじゃないですか。 切符売り場で　岳南駅って 書いたんですか？ 分かった。　じゃあ 地図　指さしたんですか？ これは…？ これは　ピアノ。 これは？ これは　鍵盤。 ♪♪～ もう…　何やってんの？ 　回想　 三島くん。 ♪♪～ 　回想　 「ＳＴＡＹ　ＧＯＬＤ」。　「ＳＴＡＹ　ＧＯＬＤ」！ これは？ これは　人。 これは？ これは　言語聴覚士の　村上。 ♪♪～ これは？ ♪♪～ これは？ ♪♪～ さあ　行きましょう。 みんな心配しますから。 ド…　リ…。 ♪♪～ ド…　リ。 ♪♪～ よく　「ドリ」なんて 出てきましたね～。 この調子で　みんなの名前 言えるように頑張って下さいね。 幸絵さん　広瀬。 さあ　行きましょう。 ♪♪～ 公民館に　入っていったんですよ。 あっ　そう。 ２人きりでですよ。 所長。　残業なんか してる場合じゃないですよ。 あのさ　何で　酒井さんはさ→ そこまで　うちの夫婦の事に 首　突っ込むの？ 心配だからです。 ありがたいけど 心配してもらう筋合いは無いよ。 どうして 分かってくれないんですか？ うん？ 私…　所長の事が好きです！ えっ！？ （ドアが開く音） （アケミ）あ～　所長　まだ　いた。 （妙子）所長。 ちょっと　聞いて下さいよ。 ヤマビコ生命に　お客さん 横取りされたんです！ えっ　そうなんですか？ ああ…　そうですか。 増田電工さんですよ。 あそこは　長年　浮気しないで→ うちとしか 取り引きしなかったのに。 悔しい！ 落ち着いて。 お茶でも入れます。 何　笑ってんのよ？ 笑ってないです。　お疲れさまです。 お茶　入れます。 冷たいのね。 冷たいの？ 私　温かいの。 温かいやつ。　分かりました。 （勝）今日は　もう　宿題 やらなくていいのか？ もう　東京の医大なんか 行かないで→ 好きなだけ　ここに いりゃいいじゃないか。 俺もな　近頃　物忘れが　ひどくて→ 何でも　「あれ」　「これ」　「それ」 全部　済ましちゃうんだよ。 あ～　ありがとう。　はい。 （勝）似た者同士だな。 [TEL] はい。 [TEL]あっ　もしもし？ あの～　今日さ…。 うん。 今日…。 今日…　まだまだ かかりそうだからさ→ 先に寝てていいよ。 [TEL]大変だね。 うん…　大丈夫。　うん。　じゃあ。 （勝）緑は…　気が強いだろ。 涙　流した事なんか めったにない。 泣いたのは　母親が死んだ時と…→ あと１回っきりかな。 （勝）あの時は情けなかったなぁ…。 俺が　男手一つで育ててきたから→ あんな目に遭ったのかなぁ…。 （勝）俺は…　何にも言えなかった。 いや～　昔な　緑は→ ろくでもない男に 引っ掛かっちまってな。 はぁ～。 どうした？　三島くん。 （勝）まさか…。 お…　お前だったのか！？ 赤ん坊の父親は！ ♪♪～ お前だったのか～！ ♪♪～ 三島くん！ 大事な話が… ちゃんと聞いてほしいの。 ♪♪～ 緑は　俺の妻だ！　分かるか！ 一緒に…　いたい…。 （勝）お前は　もう あいつとは関わるな。 私　潤ちゃんの事　大好きだよ！ ママ～！ （幸絵）ずっと終わらない恋って あるのかしら？ ♪♪「『さよなら』なんて言わない」 ♪♪「恋は　終わらない　ずっと」 ♪♪「あなたのいない 時間だけが」 ♪♪「心を連れ去っても」 ♪♪「もしも　あの時 あの場所で」 ♪♪「眩しい笑顔に 出会わずにいたら」 ♪♪「きっと こんな　儚い願い」 ♪♪「知らずに いられたかな」 ♪♪「恋しくて 切なくなる」 ♪♪「あなたを 忘れられなくて」 ♪♪「もう一度 あの日の二人」 ♪♪「戻れたら　ねえ 何を伝えるだろう」 女の幸せ。 （一同）「ドラクロワ」。 ＜人生を変えた　ドラマチックな苦労話＞ ＜あなたの結婚式ビデオ　作ります！＞

医龍～Team_Medical_Dragon～３rd＃05

1 （龍太郎）医者は　患者を救う。 そのことが　全てだ。 （加藤）これが　チームドラゴン。 （黒木）チームか。 （荒瀬）あの男は　患者を見てない。 あいつが見てるのは　闇だ。 （黒木）バチスタや ノーウッドも　そうだ。→ 必ず　そこには 前立ちや　助手がいた。→ だが　彼らの名前が 知られることは　ない。 （野口）コングラチュレーション！ ミス　鬼頭！ （木原）お前の　おかげらしいぞ。 ＩＭＡ　取れたの。 （黒木）素晴らしい医者だ。　君は。 よく頑張ってきたな。 （伊集院）ううっ…。 ♪♪～ （加藤）どういうつもり？ 言ったでしょ。 ＩＭＡの認可が　取れたのは あなたの　おかげよ。 学長も　わたしたちの主張を 認めざるを得なくなった。→ これから　どんどん　世界的 難手術を成功させていく。→ そんなときに　どうして…。 （伊集院）朝田先生が　ですよね？ もちろん　朝田が　中心となるけど。 ハァー。 だから　僕に手伝えと？ 手伝えって…。 同じチームでしょ？ いいように使われるのは もう　ごめんです。 何　言ってるの？ 早速　あした デービッド手術を　やる。→ その後　心臓移植待機の 患者も来る…。 お世話になりました。 伊集院君！ ♪♪～ （野口）李　強忠。 元中国衛生部　部長。→ 日本でいう　厚労省　元大臣。→ 明真の　メディカル　ツーリズム 第１号に　ふさわしい人物です。 （鬼頭）人間ドックと 心臓ドックを　受けるのね？ （野口）ええ。　１０年前に 狭心症を患ってますから。 日本での滞在は　１週間？ （野口）最後の　３日は　京都旅行を 組み込んであります。→ 世界最高水準の　人間ドックを受け日本を観光して　帰る。→ 中国に戻ったら　多くの実力者に→ 明真の　メディカル　ツーリズムの 素晴らしさを→ 喧伝してくれるでしょう。 今後　一気に　中国人富裕層の 来院を　見込めるわけね？ ただ　李　強忠は　こわもてで 知られた権力者でして。 ささいなことで　逆鱗に触れて 飛ばされた部下は　数知れず。 彼の笑顔を見た者は いないと　いわれています。 厄介な相手ね。 ≪（ノック） （鬼頭）はい。 （加藤）失礼します。 うちの　伊集院の件なんですが。 （鬼頭）伊集院？　ああ。 循環器内科に　レンタルする話？→ 野口先生からの　依頼よ。 外科にとっても　貴重な存在です。 （野口）伊集院先生　本人の→ 希望なんですよ。　黒木先生の下で カテーテルを学びたいという。 （鬼頭）ねえ。→ あなたのところの研修医 中国語が　得意だそうね。→ 野口先生のフォローに 付けなさい。→ 手柴。 （手柴）はい。 ああ　そうだ。　加藤ちゃん。 今度　僕→ １４階の　空いてた副理事長室に 引っ越すことになってね。→ 今の　加藤ちゃんの部屋の 真上に当たるそうだ。 まあ　せいぜい…。 足音には　気を付けるから。 よろしくね。 ♪♪～ あなたの目的は　何？ （黒木）目的？ わたしのチームを　つぶす気？ 医者の世界に チームなんてものは　ない。 チームが　なければ オペは　できないわ。 気付いたんだよ。　伊集院は。 （黒木）そのチームは　朝田と 君たちだけのチームだとね。 （木原）うわぁ。　忙しい。 忙しい！ （冬実）また　ミスでも やらかしたんですか？ （木原）何でだよ。 やって来るだろ　ＶＩＰが。 日本でいうと 厚労省の　元大臣だよ。 その人が　明真を気に入れば→ 多くの　中国人患者の 来院が見込める　実力者だよ。→ 万全の態勢で　お迎えしなくちゃ。 （冬実）で　何を？ 決まってんだろ。 ものすごく大事な…　雑用だ。 （冬実）あっ！ （木原）えっ　汚れ？　どこ？　どこ？ 大変ですよ　こっち。 伊集院先生　いなくなって。 （冬実）その分　わたしに 雑用　回ってきて。 （伊集院）そう。 （冬実）でも　ちょっと 見直しました　先生のこと。 案外　賢いんだなって。 だって　胸部心臓外科にいたって オペは　ほとんどないし→ たまに来る　オペは 朝田先生に　全部　取られちゃうし。 だったら　外科医になるより カテーテル　練習した方が→ 将来のために　なりますもんね。 まあ。 （冬実）ただの　まじめなだけの 人かと　思ってたら→ ちゃっかり 黒木先生に　気に入られて。 うまく　やりましたよ　伊集院先生。 （加藤）今後　予定しているオペにも差し支える。 何とか　伊集院君を 説得してくれない？ （龍太郎）無駄だ。　本人が カテーテルを　習いたがってる。 でも…。 血管内治療について→ カテーテルで　経験を積むことは 悪いことじゃない。 明らかに　黒木の策略よ。 フゥー。 俺たちは　医者だ。 どこに行くかは　本人の自由だ。 （藤吉）デービッド手術は 伊集院なしでも　大丈夫なのか？ 大丈夫だ。 やつが　チームから抜けても いいのか？ あくまで　本人の意思だ。 チームに　無理やり参加させても 意味がない。 お前も　あしたから　１週間 常陽大だろ？ 俺が抜けても　加藤がいる。 誰かが抜けても　機能する。 それが　真のチームだ。 そっちの研究の方は？ 心筋の幹細胞を 取り出すまでには　成功した。 ただ　それを培養する方法が まだ見つからない。 それが　見つからないかぎり 実用化は　できない。 そうか。 何とか　１日でも早く 移植に代わる　治療法を確立して→ 一人でも多くの　患者を 救いたいところなんだがな。 ああ。 オペの後　会ってくれ。 例の患者か？ ああ。 予定より早く 入院することになった。 １３歳の　拡張型心筋症だ。 （佳恵）明真には　世界的な技術の 先生が　いるそうよ。→ きっと　徹の心臓も 治してくれるわ。 （徹）どうかな？ （佳恵）えっ？ （徹）誰が診ても　一緒だよ。 （佳恵）徹。 ♪♪～ 伊集院。 止めても　無駄ですよ。 僕は　将来を考えて カテに　来たんです。 朝田先生は　いいですよ。 天才ですから。 学長に　盾突いたって 評価は　揺るがない。 でも　僕は　そうじゃない。 先生には 僕の気持ちは　分かりませんよ。 ♪♪～ ♪♪～ （野口）なるほど。　分かった。 じゃあ　よろしくね。 準備は　万端です。 人間ドックは 購入したばかりのＰＥＴ→ 高速ヘリカルＣＴなど 最先端の検査機器。 さすがの　李　強忠も きっと　満足するはずです。 （鬼頭）分かってるでしょうけど 彼に　気に入られなければ→ ＩＭＡ取得の意味は　なくなる。 バリーとも　親友になった わたしですから→ きっと　李　強忠とも。 （鬼頭）バリー？ バラク・オバマの愛称ですよ。 （鬼頭）ハッ。　なら この李も　お手のものね。 しっかりね。 （佳恵）大丈夫よ　今度こそ。 天才っていわれてる　先生だもの。 待ってくれてるわよ。 徹を　助けようって。 ♪♪～ ♪♪～ （鬼頭）ウエルカム　トゥ　明真。 ニーハオ。 （野口）わが　明真が誇る 最新の機器で→ 李先生の体を 見させていただきます。 （冬実の中国語） ♪♪～ これより　デービッド手術を行う。 メス。 （響）はい。 （園田）鑷子。　ガーゼ。 （響）はい。 電メス。 （響）はい。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 自己弁を　人工血管に　縫着する。 ４－０。 （響）はい。 （園田）あっ。 もう　いい。 （園田）えっ？ 糸フォローは　いいから 視野の展開を頼む。 （園田）ああ…。　すいません。 （響）ハァー。 ♪♪～ ♪♪～ オペ　終了。 （看護師）こちらになります。 （佳恵）ありがとうございます。 はい　到着。→ 明るい。　いい部屋じゃない。 大丈夫？ （徹）うん。 （佳恵）片付けちゃうね。 （藤吉）真鍋　徹君　１３歳。→ 重度の　拡張型心筋症で 発作性　心房細動も　併発してる。 （加藤）胸水が　貯留していて ＢＮＰの数値も　高い。→ 母一人　子一人の生活。→ お母さんは　海外での心臓移植を 希望していたけど…。 （藤吉）徹君の病状では 日本を離れての移植に→ 不安を感じ　断念した。 今回の法改正に　望みを懸けてる。 どう？ 左室機能が　低下し過ぎていて→ 切っても リスクの割に　効果がない。 手が出せない。 そうだな。 （藤吉）利尿剤と　βブロッカーで 安定させ→ 移植ドナーが　現れるまで 待つしかないってことか？ ああ。 万が一っていうことも あるかと思って→ あなたに　見てもらったけど。 （藤吉）何とかしたいがなぁ。 （野口）素晴らしい数値ですね。 とても　７０歳には　見えない。 （中国語の会話） 「まだ　６９だ」と。 （野口）あっ。　これは　失礼。 （徹）中国からの偉い人か…。 すごい医者の数。 さあ。　先生んとこへ　行こうか。 ねっ。 ♪♪～ （加藤）徹君の 拡張型心筋症を　根治するには→ 心臓移植が　必要です。→ ご存じのように 臓器移植法が　改正され→ 日本でも　１５歳未満の心臓移植に 対する道が　開けました。→ まだ　現段階では 小児から小児の　心臓移植は→ 日本では　例がありません。 しかし　希望はあります。 （佳恵）あのう　こちらの大学で 再生医療ですか。 その研究を　されてるって 聞いたんですけど。 徹の治療に　何か 生かせないんでしょうか？ （加藤）こちらの 藤吉先生が　行っている→ 心筋幹細胞の研究ですね。→ 将来的には　拡張型心筋症に対する有効な治療法と　なり得るため→ 研究を進めています。 いつ　できるんですか？　それ。 １日も早く 実現したいと　思ってます。 それ　できるまで 僕　生きてますか？ ♪♪～ ♪♪～ あの車椅子の子　心臓ですか？ 顔色　あんまり　良くなかったけど。 （荒瀬）気になるのか？ （荒瀬）重度の　拡張型心筋症。 さすがの朝田でも　手が出せない。 本人は　知ってるんですか？ 自分の病状。 ああ。　つらいだろうな。 （佳恵）あっ　いけない。 ポーチ　忘れてきちゃった。→ 取ってくるね。 ♪♪～ （徹）先生。 （徹）先生。 僕　助からないんですよね？ 隠さなくても　いいですよ。 分かってますから。 ただ　だったら　だったで→ やっとかなきゃ いけないことも　あるんで。 助かりませんよね。 ああ。 フッ。　やっぱり。 医者が　どんな治療を施そうと 助けられない患者は　いる。 僕みたいにね。 そうだ。 お前のような 病気と闘おうともしない　患者だ。 本人に　闘おうという 意志がなければ→ どんなに　医者が 助けようとしても　助けられない。 医者が　できるのは→ 立ち上がろうとする患者に 手を　差し伸べることだけだ。 ♪♪～ 立ち上がるのは　患者自身だ。 ♪♪～ ♪♪～ （相田）ワイヤ　出ました。 ♪♪～ ♪♪～ （野口）人間ドックの結果 消化器検査にも　異常なし。→ 今のところ　至って　健康ですよ。→ 李先生の生まれ故郷 雲南省料理でございます。→ 病院では　食べ慣れた食事が よろしいかと　思いまして。 （中国語） （冬実）笑顔こそ　ありませんが→ 心なしか　李さん 機嫌が良かったような。 夫婦と一緒でね　胃袋を つかむのが　大切なんだよ。→ あしたは　心臓ドックだね。 よろしく　頼むよ。 （野口）おや。 １週間　常陽大じゃなかったの？ あしたからだ。 お気を付けて。 早い　お帰りを。 でないと　医局　なくなるかも。 さよなら。　さよなら。　さよなら。 （佳恵）じゃあ　午後　また来るね。 ねえ。 （佳恵）うん？ ＤＶＤ　持ってきてよ。 （佳恵）えっ？ 『すべらない話』 家に　あったよね？ ちょっと　笑いたい気分なんだ　今。 徹…。 後で　久しぶりに 歩いてみようかな。 うん。 （徹）フッ。 ♪♪～ （木原）うわぁ。　忙しい　忙しい。 学会　出んのも　大変だな。　おい。 （冬実）学会　行って 何やるんですか？ （木原）決まってんだろ。 ものすごく大事な…　雑用だ。 どんな　お湯かな。　楽しみ。 ハハハ…。→ よーし。　じゃ　いってきます。 アハハ！→ ハッ。　いってきます。 サマリー　いつまで　かかってるの。早くしなさい。 通訳に駆り出されて 大変なんですよ　わたしも。 （加藤）人手が　足りないんだから 仕方ないでしょ。 こんな　こき使われるほど 給料　もらってません。 （加藤）嫌なら　ほかに行きなさい。 とめないわ。 ほかに行けりゃ とっくに　行ってますよ。→ ここしか 採ってもらえなかったんです。 何で　そんなに　頑張るんですか？ かりかり　かりかり　頑張って。→ なのに　学長には　にらまれ 部下には　去られて。 （冬実）何か　加藤先生　見てると→ 出世したって　こうなるのかって 思って　痛々しいですよ。 回診　行ってきます。 ♪♪～ あっ…。 （技師）まずいです。 これは　早急に　治療が必要です。→ 大動脈が　かなり 右に左に　蛇行してますよ。 何で　くねくね　しちゃうのよ。 （野口）李先生。 やはり　大動脈の一部が→ ちょっと 太くなっているようです。→ すぐに　治療が必要です。 （冬実）「厄介だな。 手術になると…」 「この後の　京都旅行の スケジュールに　差し支える」と。 ご安心ください。 わが　明真が誇る→ 世界一の　カテーテル　インターベンショニスト 黒木なら　すぐに治せます。 「本当に　そんな治療が 可能なのかね」と。 （鬼頭）失敗は 絶対に　許されないわよ。 分かってるわね。 はい。 （黒木）メディカル　ツーリズムで 来ている→ 李　元中国衛生部　部長に 大動脈瘤が　見つかった。→ ステント　グラフト　内挿術でいく。 伊集院　一緒に来い。 はい。 （鬼頭）朝田先生。 常陽大のオペも　よろしくね。→ 児島教授の たっての願いだから。→ 場合によっては　今後　何カ月か 常陽大に行ってもらうことになる。 それは　俺が決める。 頼んだわよ。 ♪♪～ （黒木）ステント　グラフトを 病変部に送る。 次に　ノブを外して デプロイする。 《医者が　できるのは→ 立ち上がろうとする患者に 手を　差し伸べることだけだ》 《立ち上がるのは　患者自身だ》 ♪♪～ ♪♪～ 大丈夫です。 絶対　成功させます。 頼んだよ。　黒ちゃん。 （野口）加藤ちゃん。→ 新たな　移植待機の子供を 入院させたって？ （加藤）お忙しいのに そういう情報だけは早いんですね。 僕　人一倍　鼓膜が大きいから。 メディカル　ツーリズム　第１号の 患者さん→ 心臓ドックで 大動脈瘤が　見つかったとか？ カテーテル 無事　済むと　いいですね。 失礼します。 （野口）その子供は　助かるのかな？ （加藤）何を言ってるんです？ （野口）ドナーが現れて その子が　移植を受けられる保証→ どこに　あるの？ それでも　その子を 受け入れたのは　学長に対する→ パフォーマンスのためだけでしょ。（加藤）バカな！ 患者さんを　道具に使うのは→ もう　やめた方がいいよ。 加藤ちゃん。 （野口）だって　肝心の朝田先生も 常陽大にレンタルされるんでしょ。 （加藤）それは １週間だけの話です。 （野口）いや。 もし　先方も　気に入れば→ このまま　ずっと 行ってもらうつもりだよ。　学長は。 バカバカしい。　そんな話は…。 （野口）朝田ちゃんも　まんざらでもないみたいだったけど。 何を言ってるんですか。 （野口）気の毒だねぇ。→ 外科の存続のためだけに 利用される　患者さんは。→ まして　そんな子供を…。 （加藤）いいかげんにしてください。 ♪♪～ ♪♪～ （野口）《その子供は 助かるのかな？》 （野口）《気の毒だねぇ》→ 《外科の存続のためだけに 利用される　患者さんは》 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ そんなぁ。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ≪（ドアの開く音） ♪♪～ （黒木）これより 胸部大動脈瘤に対する→ ステント　グラフト　内挿術を行う。 （相田・伊集院）はい。 （黒木）１８ゲージ。 ♪♪～ （佳恵）こんにちは。 （看護師）こんにちは。 いっぱい　持ってきたよ。 ♪♪～ （黒木）ステント　グラフト。 （伊集院）はい。 （相田）ワイヤ　出ました。 ♪♪～ ♪♪～ 下行大動脈　病変部に到着。 デプロイする。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （徹）フッ。 ♪♪～ ♪♪～ いくぞ。 （相田・伊集院）はい。 ♪♪～ （悲鳴） よし。　胸部大動脈瘤 ステント　グラフト　内挿術　終了だ。 （黒木）無事　終わりましたよ。 あっ。　Ｆｉｎｉｓｈｅｄ． Ｉｔ’ｓ　ＯＫ． （李）シェイシェイ。 （黒木）シェイシェイ。 （野口）李　強忠が　笑った。 （鬼頭）素晴らしい。 李先生には予定どおり　京都旅行に行っていただきましょう。 おめでとうございます　学長。→ これで　明真も 忙しくなるでしょう。 そうね。　やったわ。 徹君が？ （佳恵）ええ。 どこにも　いないんです。 分かりました。　僕も捜します。 （佳恵）お願いします。 （藤吉）はい。 （医師）分かりますか？ （看護師たち）ストレッチャー　着きました。 （医師）アンビュー！ （看護師）はい。 （医師）足の出血　圧迫して！ （医師）脈　弱い。　ショック状態です。 （医師）いくぞ！　１・２・３。 いくぞ！　急いで！ （看護師）ストレッチャー　通ります。 （看護師）ストレッチャー　通ります。 （医局員）見てないですね。 （藤吉）そうですか。 （医師）急ぐぞ！　呼吸　循環　意識の全てが　最重症だ。 （医師）着いたら　すぐに　挿管して。 レベルⅠ。 （看護師）ストレッチャー　通ります。 （医師）急いで！ （事務員）屋上から　中庭に 飛び降りだって。 飛び降り？ おい！ 誰か　飛び降りたって　ホントか？ （冬実）ええ。　ここを　よろよろ 上っていく患者さんを　見たんで→ その子じゃないかと。 （藤吉）その子？ 男の子か？ ルービックキューブを持った。 そうです　そうです。 持ってました。 （看護師）こっち　お願いします。 （医師）切り返すぞ。→ モニター準備　いいな？ （医師）バイタル　すぐ　とって。 （医師）移すぞ。 （一同）はい。　１・２・３。 （医師）挿管するぞ。 （看護師）服　切ります。 （看護師）ライン　とります。 （医師）エコー。 （看護師）モニター　つきました。 （医師）すぐ　心外に　コンサルして。（宇野）はい。 おい！　容体は？→ 彼の主治医だ。 拡張型心筋症で　入院してた。 （宇野）とにかく　僧帽弁と 三尖弁が　損傷してます。 僧帽弁と　三尖弁だと？ そんなの　朝田じゃなきゃ無理だ。 （宇野）それが　今 加藤教授しか　いなくて。→ 教授　今　オペ中なんです。 でも　逆流の程度が　ひどく→ 急性心不全状態で。　大至急 心外に処置してもらわないと。 分かった。　俺が行く。 ≪（倒れる音） （藤吉）真鍋さん。→ おい！　加藤先生を頼む！ （宇野）はい！ （加藤）８－０。 （響）はい。 [ﾏｲｸ]加藤先生。 [ﾏｲｸ]（加藤）聞いた。→ こっちも　冠動脈を　吻合中で→ この状態のまま 離れることは　できない。 [ﾏｲｸ]（宇野）いや。　しかし…。 （荒瀬）朝田が　常陽大に行ってる。 [ﾏｲｸ]連絡してみます。 （加藤）後から　すぐに行く。→ それまで　循環器内科に コンサル　お願いして。 [ﾏｲｸ]分かりました。 （医師）今日のオペ　明真の 朝田先生が　入るらしいよ。 （医師）マジで？ じゃあ　指導してもらえんのかな？ （医師）さあ。　取りあえず 見学するらしいけど。 [ｲﾝﾀｰﾎﾝ] はい。 おい。　手術　始めるってよ。→ いくぞ。 （医師）はい。 （看護師）ガーゼ　下さい。 （看護師）はい。 （看護師）サチュレーション 急激に下がってます。 （医師）呼吸音　確認。 血ガス　取れ！ （看護師）ＰＶＣ　出てます。 （医師）まだか？　心外は。→ すぐに　心停止するぞ！ （宇野）黒木先生！→ 急性心不全で　早急な処置が 必要なんです。　循環器内科に→ コンサル　お願いしたいんですが。 （黒木）コンサル？ （宇野）どうやら　拡張型心筋症の 患者さんらしいんです。 あの子か。 （宇野）誰か　お願いします。→ 加藤先生も　オペが終わりしだい 来るそうです。→ 今　常陽大に行ってる　朝田先生にも連絡してるんですが→ つながらないんですよ。 （黒木）行ってこい　伊集院。 しっかり　コンサルしてくるんだ。 循環器内科としてな。 分かりました。 （鬼頭）李　強忠も 大変　満足のようね。 これで　中国からの患者 激増　間違いなし。　ねっ。 （野口）なーに。 バリー攻略よりは　楽でしたよ。 （鬼頭）それで　引っ越しは済んだ？ （野口）お気遣い ありがとうございます。→ まあ　相棒のアロワナも おりますんで。→ あの水槽も　結構　大変でしてね。 これからですよ。 （野口）１４階は さぞ　景色も　違うでしょうね。 （鬼頭）ここは　１５階。 ここへは　いつ　引っ越すの？ ここ？　そんな。　恐れ多い。 （鬼頭）１４階より　もっと上の方が あなたには　似合ってるわ。 （野口）いやいや。　そんな。 （鬼頭）１４階。　いいえ。 １５階より　もっと上。→ あなた　マーボー豆腐 好きだったわね？ （鬼頭）中国　上海行きのチケット。 すぐ　飛びなさい。→ 上海の　静安中央病院の 病院長として。 中国と　あなたとのパイプを より太く　してきて。 世界に飛ぶのよ。 おかげさまで　メディカル　ツーリズムも 軌道に乗り　次の段階。→ こっちは　心配いらないわ。 （警察官）ここに　上がってきた？ （冬実）ええ。→ あの階段は ここにしか　来ませんから。 （警察官）なるほど。 ♪♪～ ♪♪～ （看護師）血圧　６０を切ってます。 （医師）もう　間に合わん。 （心電計の警告音） （医師）先生　お願いします。 （伊集院）はい。 えっ？ ♪♪～ （すすり泣く声） （心電計の警告音） 朝田…　先生。 ♪♪～ ♪♪～ （心電計の警告音） ♪♪～

ホワイト・ラボ～警視庁特別科学捜査班～＃02

1 ≪(岸部)少しは慣れたか？➡ ホワイト･ラボの班長さんよ (奥貫)ああ もう邪魔だ 出ろ！ (岸部)ホント 変わったやつらだな (神山)第一発見者は？ 建設業者だ ここは洗剤工場の 空き地なんだが 新しい倉庫を 建てる予定だったらしい (淡島)やっぱり手伝いますよ 入るな えッ？ 人間に存在する骨の数は？ 206本 まだ82本しか拾えてない (岸部)白骨化してるってことは 死後３年は経過してそうだな (一ノ瀬)３年とは限りませんよ 何だ お前か 例えば １週間 人間が たった１週間で骨になると？ はい 何だ その含み笑いは おい 一ノ瀬！ 大丈夫か？ 班長さんよ [ﾃﾚﾋﾞ](本田)ああ 班長さん そっちの… [ﾃﾚﾋﾞ]今は忙しいんで あとで (岸部)３年だ いくぞ 社長 さぞ驚いたでしょう 工場の空き地から 白骨死体が出るなんて そりゃもう 聞いた瞬間➡ 腰が抜けましたよ そうは見えませんけどね いや ホントですよ ところで 何か 分かりました？ そうですねえ (奥貫)99… 死体の周りからは靴の一部以外➡ 身元が分かるものは 何一つ見つかりません 別の場所に捨てられたか 犯人が持ち去ったのか ただ土の中から こんなものが ｢re…｣ この紙とｲﾝｸ お前んとこの ﾃﾞｰﾀﾍﾞｰｽで調べられるか？ 了解です (ドアが開く) 一ノ瀬 お前か 鍵を持ってったのは？ えッ 迷惑なんだよ！ あッ これ借りていいですか？ 何すんだよ 一ノ瀬 おい 何してんだ？ うわッ 触ったらヤケドします 化学熱傷っていいます おかげで実証できました 何 笑ってんだよ 人のボールペンでよ おい おい 一ノ瀬！ 社長の小坂だが 何か隠してるな [ﾃﾚﾋﾞ]質問に答えるたびに 唇が引きつる ≪(山根)確かに [ﾃﾚﾋﾞ]この かすかな表情の変化は [ﾃﾚﾋﾞ]恐怖を感じている証しだ (山根) 小坂を容疑者リストに入れます あなたの会社には現在 行方不明の社員がいるとか 廃棄物管理係だった 相沢実さん 31歳 間違いないですか？ ええ １週間前から突然 来なくなった… 最近 相沢さんと もめていたそうですね ヤダな ただ仕事の話をしてた… どんな話を？ それは ちょっと (受信音) [ﾃﾚﾋﾞ]あッ 班長 分かりました [ﾃﾚﾋﾞ]あの死体は やはり薬品を [ﾃﾚﾋﾞ]かけられて白骨化したんです どういうこと？ [ﾃﾚﾋﾞ]現場の土から硫酸 [ﾃﾚﾋﾞ]炭酸ﾅﾄﾘｳﾑ 重ｸﾛﾑ酸ｿｰﾀﾞ液が [ﾃﾚﾋﾞ]検出されました [ﾃﾚﾋﾞ]全部 薬品倉庫に あったものばかりです し 知りませんよ [ﾃﾚﾋﾞ]それと あの土地ですが 土壌汚染されてます 工場から出る汚染水や廃棄物質が あそこに投棄されてます それもあり 遺体の白骨化が急速に進んだ 理論上では１週間で可能ですね 了解 説明していただけますね 分かりました 《これ以上 廃棄物質を 捨て続けるのは危険です》 《バレたら 工場は終わりですよ》 《俺を脅す気か？》 《違いますよ》 《僕は この会社のこと思って…》 《相沢》 ≪(小坂)相沢は金を 受け取りませんでした その日は それで話が終わって 次の日から来なくなりました 薬品に詳しいあなたなら 死体を溶かすことも可能ですね 何 言いだすんですか しかも 彼が来なくなってすぐに 彼の社員寮の部屋をﾘﾌｫｰﾑした 次の入居者の… DNA鑑定から逃れるためじゃ？ 私は相沢を殺してない！ だったら アリバイでも 何でも調べてくださいよ 私 この１週間 工場視察のために ベトナムに行ってたんです ホントです！ (受信音) [ﾃﾚﾋﾞ]本田です 小坂のアリバイですが 裏が取れました [ﾃﾚﾋﾞ]隠していたのは 土壌汚染だけで [ﾃﾚﾋﾞ]その件は所轄が 動いてます 了解 もう一度 他の社員に… 骨の数は？ 127個 少ないですね しかも 頭の部分は下顎の骨だけ 残して あとは溶けてる➡ 歯を調べりゃ何か出んだろ 骨盤は男ですね この大腿骨だと 身長は およそ170～175センチ➡ 相沢の特徴と一致してる これ 何？ それは DNAを抽出してるんです 被害者特定のために けど 寮の部屋は既にﾘﾌｫｰﾑされて 相沢のDNAは全く残ってなかった 照合する方法は他にもありますよ ≪(奥貫)次に遺留品だ➡ 靴のサイズは27センチ➡ 靴底の模様は ﾃﾞｰﾀﾍﾞｰｽと一致しなかった 海外のものかもな➡ かかとには 現場には あるはずのない砂が付着していた 別の場所で殺された可能性が… それと ごく僅かな金属が見つかった 付着している成分はｼﾞﾌﾞﾁﾙﾋﾄﾞﾛｷｼﾄﾙｴﾝ オキシベンゾン 赤色202号 オキシベンゾン 赤色… 何で？ なるほど 何？ あとトコフェロールと だから何？ 口紅だ 真っ赤っ赤の 相沢はオネエ 人は意外な趣味 持ってるから 班長も たまには お化粧ぐらい した方がいいんじゃ？ してるけど？ してるけど？ 毎日 し… してるけど？ 相沢が死ぬまでの 動向を追ってます 割り出せたの？ はい 本田さんが➡ 新宿方面を当たってます ただ消えてるんです １週間前から 車も相沢本人も どこにも写ってない 高速道路やカードを使った形跡も この１週間はありません 引き続き 調べて 了解 私は 相沢の母親に会ってくる こんなに小さくなっちゃって 大変でしたね <凶悪犯罪の阻止> <事件の早期解決> <冤罪の防止> <それらを目的に設立された それは…> 最近 息子さんとは お会いに なりましたか？ 私が再婚して ここへ引っ越してきたのが 10年前ですから その間 一度も会ってません ここへは来づらいんでしょうね あの子 ボーナスが出ると お金を いつも私に送ってくれたんです 優しいんです そうですか でも 私は お金でなく あの子の顔が見たいんです 刑事さん 殺されたのは ホントに あの子なんですか？➡ 殺されたなんて そんなこと 絶対に… どうか 一日も早く 実に会わせてください 私 生きて 会えるのを ずっと待ってます ねえ お願いします 自然の砂じゃないな 何か分かった？ スーパーインポーズ法で 顎の骨と 相沢の写真 重ねてみたんですが うまく合わないんですよね 骨っていっても 溶かされてますからね これは何？ 粒度指数？ AFS 46.12 SiO２ 85.36 Fe２O３は？ 1.84だ ちゃんと分かるように説明して 靴に付着していた砂は人工的に 作られたｽﾎﾟｰﾂ用の砂だった➡ 例えば 筋ﾄﾚ用の砂袋やｺﾞﾙﾌのﾊﾞﾝｶｰ 相沢は ｽﾎﾟｰﾂｵﾈｴなんですかね ≪(奥貫)それと歯の治療痕から 日本では使われてない ｾﾗﾌﾞﾘｯﾄという新素材が見つかった 主にｱﾒﾘｶで使われてる ｱﾒﾘｶ？ おッ ８時 じゃあ 僕 お先に失礼します 僕のパソコン そのままに… はいはい 僕 残って やることあるので お疲れさまでした ああ… お疲れさん じゃあ お先 (終了音) できたな もう少し待っててくださいね ごめんね いつも遅くまで (邦夫)ううん 今日も子供達は ママの話題でゲラゲラ笑ってた そうなの？ ちょっと自慢みたい ママが 科学捜査班の班長さんってこと 結構 大変なの 科学とか苦手だし でも 夢がかなって 出世したんだから 頑張ってよ 班長さん はいッ (受信音) うん (一ノ瀬が笑う) 何か飼ってます？ 飼ってない ああ なるほど 雑菌嫌い 死んだら悲しい 人って死んだら どこに行くんですかね らしくないな 非科学的質問だ 脳外科医のｴﾍﾞﾝ･ｱﾚｷｻﾝﾀﾞｰ博士が 死後の世界があると言ってました 自分が昏睡状態に陥った時に 死後の世界を見たと 脳内麻薬による幻覚症状にすぎん そうかもしれません でも もし死後の世界があるとすれば 彼は何を叫んでるんでしょうか それを聞くのが俺達の仕事だ 早く人に戻してあげましょう (受信音) あッ 誰かが 相沢のカードを使ったようです 場所は… アルファベットのＳのついた [ﾃﾚﾋﾞ]黒のニット帽を着用してます 了解 黒いニット帽 アルファベットのＳ (受信音) すいません 今 街の防犯カメラで追跡してる 了解です どこだ どこだ？ いた 東新宿駅 すえひろ通りを ☎曲がりました 10分かかる 逃走経路から近道を割り出して はい ごめん あとお願い 了解 (真実)ママ ちょっと行ってくるね ☎(山根)マル被は本田さんの先 ☎500メートル以内にいます 了解 いたぞ ちょっといいですか？ な… 逃げても無駄ですよ さっき お金おろしてましたね それが どうした あなたのカードですか？ 俺のだよ イテテ 何… 相沢さん 下の名前は？ 持ち主 殺して 手に入れたな？ はッ？ 何だよ それ 頼まれただけですよ えッ あいつ 殺人犯なの？ マジかよ そっか それでか おかしいなとは思ったんだよ だけど 行ったら２万… 分かった そこまで案内しろ 状況は？ 本田さんが マル被を確保しましたが まだ裏がありそうです ありがとう おい 行ってきたぞ [ﾃﾚﾋﾞ]相沢さん… どういうことですか？ どうして あなたは 突然 姿を消したんですか お母さん あなたに会いたいと 泣いていたそうです すいませんでした！ 人を車で はねました 《あッ 大丈夫ですか？》 《大丈夫ですか！》 《もうすぐ 病院ですから》 ≪(相沢)それで怖くなって 車内で死なれて 困り果てたあなたは 工場の空き地に死体を埋めた そして 土の上から薬品をかけた ≪(相沢)そうです 車は どうした？ そのあと すぐ 整備工場で廃車にしました 被害者の所持品は？ コンビニのゴミ箱に捨てました 被害者の身元 確かめなかったのか 知るのが怖くて 結局 白骨死体は誰なんですかね 顔は もうすぐできますよ えッ？ (終了音) できた 被害者の骨のDNAから｢Stranger Visions｣で復元したんです それを この３Ｄプリンターで 再現しました 噛んだガムや 煙草の吸い殻からでもできます 約60パーセント 60パーセント？ いとこぐらいの相似性ですね いとこに似てると 言われたことない ゲノム解析で 顔の特徴は網羅してます 60パーセントは 低い数字じゃありません (受信音) [ﾃﾚﾋﾞ]はい 相沢の車両を発見しました 供述どおり 事故を起こしてますね [ﾃﾚﾋﾞ]了解 おい まさか 相沢が犯人だったとはな これで一件落着 被害者は身元不明でも送検できる あとは所轄に任せろ 事件は これだけじゃないんだよ 少しは組織のことも考えろ なあ 班長さんよ あッ お帰りなさい どうしたんですか？ ｢あとは所轄に任せろ｣だってさ 岸部 まだ 終われません 彼の声 聞かないと きっと 言いたいことがあると思います では ひき逃げ現場に行ってきます うわッ！ 何だ これ？ コラ すいません この人 知りませんか？ ひーくん 淳之介 行くよ 何あれ？ ねえ あの… 気持ち悪ッ 淳之介 (砂の音) (宏輝)ボール 返してよ ねッ あのさ あのさ この人 見たことない？ うわッ！ 何だよ それ 知らないよ 気持ち悪い あッ そう ヘタクソだな 貸してみ おッ (｢夕焼け小焼け｣のチャイム) よし うん？ 帰んないのか うん おうちの人 心配してんじゃないか？ あッ この子が宏輝くんですね あッ そうそう (受信音) [ﾃﾚﾋﾞ]その 島村宏輝くん [ﾃﾚﾋﾞ]母親と 二人暮らしだ 母親の名は島村理恵子 ５年前に離婚して 女手一つで育ててる [ﾃﾚﾋﾞ]朝から晩まで働き通しで [ﾃﾚﾋﾞ]その間 宏輝くんは ずっと一人だ 何だ このピエロ (山根)ピエロが初めて来たのが ３週間前ですね で ８日前から姿を現してません おい 一ノ瀬が 現場から見つけた血痕から 被害者が ガンに侵されてることが分かった それと 現場に落ちてた砂が➡ 被害者の靴に付着していたものと 一致した この砂 ジャグリングのボールにも 使われてます 被害者はピエロかもしれません 確かに遺留品の口紅が ピエロなら説明がつく➡ このﾋﾟｴﾛは一体 誰なんでしょうね ちょっと 巻き戻して ≪(山根)はい もう一回 口元 拡大できる？ はい どうした？ [ﾃﾚﾋﾞ]例の紙切れですが [ﾃﾚﾋﾞ]素材とﾌｫﾝﾄの特徴からすると 何かのﾁｹｯﾄみたいです [ﾃﾚﾋﾞ]ｲﾝｸの種類と 文字ﾌｫﾝﾄのﾃﾞｰﾀを送ります [ﾃﾚﾋﾞ]何て書いてあったんでしょうね あとは こっちで調べる re… re [ﾃﾚﾋﾞ]痛いッ [ﾃﾚﾋﾞ]痛いッ 痛いッ 何すか 今の？ 坂本竜馬の声です マジっすか？ [ﾃﾚﾋﾞ]もしもし もしもし… それは？ 土方歳三 ふ～ん [ﾃﾚﾋﾞ]危ない… これがベートーベン ていうか こんな時に何やってんのよ 彼らの声は写真やﾃﾞｽﾏｽｸから声帯と 骨格を予測して作ったものです 今回は 被害者の下顎の骨が残ってたので ほぼ正確な 声帯の模型を作れました で 次に 声のもととなる 頭蓋骨の共鳴周波数を探ります 音響学では とっさに出た声が その人本来の声だと さっきの ｢痛い｣｢もしもし｣｢危ない｣とか？ その三つの声がスタンダード おっす この間より うまくなったな 全然 まだ見せられないよ 友達に？ ううん じゃあ お母さんか 少し休憩しようよ ほら いらない 信用できない いい心がけだ ねえ 恐竜好き？ うん じゃあ 今日は特別に ﾃｨﾗﾉｻｳﾙｽの声を聞かせてあげよう [ﾃﾚﾋﾞ](ティラノサウルスの声) おお～ 他に好きな恐竜いる？ う～ん パラサウロロフス [ﾃﾚﾋﾞ](パラサウロロフスの声) うわッ 想像してたのと違う えッ でしょ じゃあね この人は？ [ﾃﾚﾋﾞ]もしもし [ﾃﾚﾋﾞ]痛いッ [ﾃﾚﾋﾞ]危ない！ 知ってる？ もう一回 [ﾃﾚﾋﾞ]危ない！ もしかして ピエロのこと 知ってんの？ うん だったら ピエロに言っといてよ 何て？ ｢何で来ないの｣って 指切りしたのに 仲良しだったんだ あいつ 超すごいんだ 話したことあんの？ ううん ピエロは しゃべらないから ああ そっか でも 一回だけ 《ああ 危ない！》 それしか聞いたことない そのボールは ピエロに もらったの？ うん 友情の証し 何で 来なくなったのかな 俺 何かしたかな ≪(理恵子)宏輝！ (理恵子)ここにいたの？ うちの子に何か用ですか？ 人を捜してるんです ちょっと これ聞いてください [ﾃﾚﾋﾞ]もしもし [ﾃﾚﾋﾞ]痛いッ [ﾃﾚﾋﾞ]危ない！ どうですか？ さあ… 宏輝くんはピエロの声だって ﾋﾟｴﾛ？ 公園でｼﾞｬｸﾞﾘﾝｸﾞを習ってたそうです バカ 言うなよ！ あッ 宏輝！ ああ すいません ちょっと 宏輝 待ちなさい！ [ﾃﾚﾋﾞ]どうですか？ [ﾃﾚﾋﾞ]さあ… (山根)結局 母親は何も しゃべりませんでしたね 公園近くの病院を調べたら アメリカでの診断書を持って 痛み止めをもらいにきた ガン患者が一人いた 石田隆宏 末期の肝臓ガンだ パスポート情報が出ました 石田は５年前に渡米し➡ ３週間前に帰国 でも➡ その後の消息は不明➡ パスポートの写真 再現した顔と似てますね (奥貫)おい 見つけたぞ 何？ 遺留品の紙切れ ｲﾍﾞﾝﾄのﾁｹｯﾄだった ｢revoir｣ 下北沢にあるカフェの店名だ➡ ４月13日 大道芸人と➡ マジシャンのイベントがあった これは そのﾁｹｯﾄだ ﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞにｲﾍﾞﾝﾄの告知が 写真の中にピエロがいますね 芸名はＩＴ 本名は石田隆宏 こんにちは 石田隆宏さん ≪(山根)でも 何でピエロの姿で あの公園に行ったんでしょうね その理由だけど 驚かないでくださいよ いらっしゃいませ 警視庁特別科学捜査班の 神山と申します 少し お時間いただいても よろしいでしょうか あの 警察が何の用でしょうか？ この方を ご存じですね？ 知りません 石田隆宏さん 先日 交通事故で亡くなりました えッ？ 石田さんは 宏輝くんの父親ですね 答えたくないようでしたら それでも構いません ただ どうしても お伝えしたくて 実は… 聞きたくありません！ あの人は 昔っから 自分の夢ばっかり追いかけて 私達を捨てたんです➡ 私達にとっては とうの昔に死んだも同じです 石田さんがピエロの格好で 宏輝くんに会っていたのは ご存じですよね 本当なら 父親だと 名乗り出たかったのでは ないでしょうか でも 石田さんは そうしなかった なぜなら 二度も あなた達に 別れを 告げなければならないからです どういう意味ですか？ 石田さんは 末期ガンを患っていました いつ死んでも おかしくない状態だったそうです だからこそ 素顔を隠して ピエロの姿で現れた ♬～ 宏輝くん なぜピエロから ジャグリングを 習っていたんでしょうね あなたに 笑ってほしかったから 優しい息子さんですね (理恵子) 宏輝が会ってたピエロはね➡ あなたのお父さんなの➡ でもね➡ 死んじゃったの (理恵子)宏輝に会いたくてね➡ お父さん 会いに来てくれたんだよ ２＋３は？ ほら 宏輝 ２＋３ ほら 簡単だろ よし 宏輝 じゃ これは？ ４に何を足すと ５になる？ おお～ できるじゃねえか うん？ 算数は 人生と同じなんだよ ちょっと分からないか 自分で式を作っていって 自分だけの 答えを出す じゃあね よし これが お母さん 宏輝 友達いるな？ じゃあ ＋１ で 先生が… 一人一人 大切な宝物なんだ そして お父さんだ お父さんは もういない ほら いいか？ ＋１ これから 色んな人と出会う 色んな人と 別れなきゃいけないこともある それでも諦めずに 大きな答えを出すために頑張るか それとも 諦めて ここで やめるか これからは 宏輝が 自分で決めなきゃいけないんだぞ お父さん 死んじゃったんだ じゃあ これからは 僕が お母さんを守るね お母さん 見て ジャーン！ すごい ありがとう (宏輝)帰ろう うん ありがとうございました じゃあね 《ピエロ バイバイ》 まだ苦手だけど 科学って 人の思いまで立証するのね 科学は 希望であるべきなんです よかったな 帰る所が見つかって (山根)｢revoir｣ ｢再会｣か あッ 岸部さん 何だ お前か ああ これ 何だよ 忙しいんだよ ありがとうございました ありがとうございました？ 何 笑ってんだよ 父親… (口笛) おお～ ただいま ちょっと見して う～ん ☎(晃)｢聡士｣ ｢アメリカの大学はどうだ？｣ ☎｢ちゃんと 勉強についていけてるか？｣ ☎｢あらゆる可能性を信じて 頑張るんだぞ｣

まれ＃075

1 (希)珍しいね これ｡ (圭太)ほうやろ｡ ほれは蒔地っちゅうて…｡ 一応 入れとくけ｡ っしゃあ！ 何やいね｡ ♬～ (大悟)汁わんが面白いな｡ 乾燥も防げるし 香りも閉じ込められる｡ 自分も 最初は どうかと思いましたけど➡ 何ちゅうても輪島塗の汁わんは…｡ ﾌｫｰｸも輪島…｡ ﾌｫｰｸも輪島塗を使います｡ ちょっこし値段や高なるけど➡ 金属やと傷つくし 口触りや やさしいさけ｡ ほかの料理は どうするんだ？ ほかは箸で食べさせます｡ ｲﾀﾘｱﾝも ﾌﾚﾝﾁも｡ よし じゃあ こっちも 箸で食べさせるｹｰｷを一つ出す｡ 矢野｡ (陶子)はい！ ｱﾚﾝｼﾞしてみろ｡ はい！ ほんなら もうじき うちの漆職人や合流するさけ➡ ｺﾝﾋﾞ組んでもろて｡ ほかにもいるの？ ｲｹﾒﾝ漆職人｡ はい！ ♬｢さあ翔け出そうよ､｣ ♬｢今すぐに｣ ♬｢未来が今は遠くても｣ ♬｢ひとりぼっちのままで｣ ♬｢泣く夜が続いても｣ ♬｢本当のわたしへ｣ ♬｢風が強く冷たいほど｣ ♬｢教えてくれる｣ ♬｢出会うべき人のことを｣ ♬｢どうか希望の地図を｣ ♬｢そっと開いてみてね｣ ♬｢あたたかい未来たちが｣ ♬｢僕らを待っているよ｣ ♬～ という訳で 浅井と亜美は 蓋つきの汁わんに合うｹｰｷ｡ 大悟と京子が 全てのｹｰｷをｺｰﾃﾞｨﾈｰﾄ｡ (京子) あら～ 光栄やわいね｡ ﾌﾌﾌ｡ 希は圭太の蒔地に合うｹｰｷ｡ 何 露骨に ﾃﾝｼｮﾝ下がっとるがいえ｡ もっと華やかな お皿や よかったがい｡ あん!? 陶子と井田は…｡ 何で こんな おっさんなのよ｡ 箸で食べやすいｹｰｷを ｱﾚﾝｼﾞする事になりました｡ (井田)すんません｡ 期限は展示会最終日までの10日間｡ (徹)だから 後追いにはなるんだけど➡ ｸﾞﾙﾒｻｲﾄは 絶対 始めといた方がいいよ｡ ﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞなんて 今や素人でも いいもん作るんだからさ➡ 代行業務だけじゃ 絶対 先細りだって｡ 徹さん お客さんですけど｡ (文)どうも お忙しいところ｡ 見学できますけ？ いや… 知らない人だな｡ 帰ってもらって｡ 徹！ やっぱいいや｡ ちょっと話すわ｡ ちょっと やってて｡ どうしたの？➡ 危ないよ こういう所 来たら｡ 迷子？ できる訳ないでしょうがよ 観光客が➡ 塩田 見せてくれってのとは 訳が違うんだから｡ お前や本当に働いとるか この目で確かめただけや｡ 働いてますよ 朝早～くから 夜遅～くまで｡ うん 働いとるわいね あんたは ずうと｡ 目の付けどころも悪ねえ｡ いや むしろ いいわいね｡ 何よ 急に｡ ほやがに なして いぃつも失敗ばあかしやってん｡ 結局 悪口かよ｡ (文)素朴な疑問や｡ 何や原因で成功できんげ｡ 真面目な話していいの？ 真面目な話だけしとれま｡ ひょっとしたら… 成功する気が なかったのかもしれないね 俺｡ あん？ 事業ってのは 続けるのが 一番難しい訳じゃない｡ なのにさ でっかい夢とか言って➡ ｱｲﾃﾞｱを考えてる時が 一番楽しくて➡ ちょっと形になってくると もう次の事がしたくなってさ｡ そうやって 次から次へと➡ 夢を消費してったんだよね｡ そんな事を 一人になって考えてさ｡ やっぱり 藍子に甘えてたのかな｡ つまりは 結局 藍子のせいやったと｡ いや 違うよ！ 話聞いてた？ 何なの その悪意のある まとめ方は｡ ほんなら 弥太郎さんとこ 見に行くさけ｡ ごっつぉさん｡ ちょっと 藍子に言わないでよ そんな事！ 絶対 分かんねえだろ 行き方！ (藍子)あっ もしもし？ どうも 希の母でございます｡ 急に押しかけてしもうて 本当に すみません｡ ☎(輪子)全然｡ こちらこそ➡ 展示会に 押しかけ参加しちゃって｡ ねえ 今度 藍子さんも来てよ｡ 興味あるし どんな人か｡ ☎(藍子)ええ？ だって あの旦那さんと 希ちゃんの家族でしょ｡ 面白いよね あの２人｡ 私は普通ですよ｡ いや 普通じゃないよ 期間限定の離婚なんて｡ あ～ そこですか｡ 怖くない？ できないよ 普通｡ 私なんて➡ 心より体をｷｰﾌﾟしてないと 不安になる駄目女だからさ➡ ないなあ そんな勇気｡ 私もないですよ 勇気なんか｡ 確かなものがないと 不安で しょうがない｡ 臆病な女なんですよ｡ じゃあ また｡ はい 失礼します｡ ん？ 引き出し？ (あくび) どのｹｰｷや合うかねえ｡ お前 何や ほの態度｡ もっと やる気 出せま｡ 人や大事に直した皿｡ ほやけど 何か もの足りんげもん｡ あん!? せっかくの輪島塗やがに｡ もっと蒔絵とか沈金とか➡ 輪島塗らしい皿の方や やりがいや…｡ もういい お前には任さん｡ ほやけど 輪島塗っちゅうたら➡ 鏡みてえに ﾂﾙｯﾂﾙで➡ きれいな模様や入っとるがや 普通やって思とったわいね｡ ほういうがばっかしじゃねえ っちゅう事をちゃ伝えてえさけ➡ 俺や直して持ってきてんわい｡ あん？ これは 蒔地っちゅう技法で 作られとる器ねん｡ 蒔地？ 下地に使う地の粉をっちゃ➡ 表面に近いとこで もういっぺん使うとるさけ➡ 硬なって丈夫やし 傷も つきにくいげ｡ へえ～｡ 職人の中には➡ 蒔地は 下地を見せとる 未完成品やっちゅうて➡ 嫌う者もおるげ｡ ほんでも 実用的やし➡ 値段も安いし 輪島塗の間口をちゃ 広げるﾁｬﾝｽやさけ➡ 親方に頼んで 持ってこさしてもろうてんわいえ｡ ほうやったんけ…｡ まあ… どうせ もの足りん器やけどな｡ ごめんて｡ これは 俺やさか｡ 何け 急に ﾎﾟｴﾑみてえに｡ 実用的やけど 地味で面白ねえ｡ つまらん器や｡ もしかして… 一子に言われたんけ？ やっぱし｡ 楽しくねえって｡ あ～｡ 否定せんがかいえ｡ あっ ごめん｡ もういいわい｡ 圭太は つまらん男じゃねえわいね｡ やめてくれま ほういう慰めは｡ 丈夫で ふだん使いに いいっちゅう事は➡ 堅実やっちゅう事やろ｡ 世の中で一番のｾｰﾙｽﾎﾟｲﾝﾄやがいね｡ ますます つまらん男になっとるがいえ｡ ほんなら言うけど➡ 圭太の取り柄は 漆だけや｡ しょうがないわいね 漆バカねんさけ｡ 高校ん時から 漆漆漆漆 言うとって…｡ なしてん？ 思いついた… この器に合うｹｰｷ！ これ ﾌｨｴﾙﾃっちゅうｹｰｷねん｡ ﾌｨｴﾙﾃ？ 高校の時 うちや ﾛｰﾙｹｰｷ甲子園で ﾎﾞﾛｸｿ言われたあと➡ 話してくれたやろ｡ ｢漆は うそをつく｣｡ ああ｡ ｢上から きれいに塗ってしもえば パッと見は分からん｡ だませる｣｡ ｢だませるさか 余計 だましたら駄目や｡➡ ほれが輪島塗や｣って聞いて➡ 何か 俺 すげえなあって｡ かっこいいなあって｡ 何か ここんとこや カ～なって｡ このｹｰｷ ｷｬﾗﾒﾙをちゃ使うげんけど➡ もし焦げたり 砂糖や溶け切らんでも➡ 混ぜたら色は元に戻るげん｡ パッと見は分からん｡ ほんでも 味は絶対に戻らんさけ➡ 分かる人には分かるげんて｡ 輪島塗に似とるやろ｡ ﾌｨｴﾙﾃって ﾌﾗﾝｽ語で ｢ﾌﾟﾗｲﾄﾞ｣っちゅう意味ねん｡ ﾌﾟﾗｲﾄﾞ？ ｹｰｷも輪島塗も➡ だませるさか だましたら駄目ねんね｡ ほれや 職人のﾌﾟﾗｲﾄﾞやもんね｡ まあ 圭太は ほりゃあ漆の事ばあかしで➡ つまらんっちゃ つまらんけど➡ ほんなふうに 自分の仕事にﾌﾟﾗｲﾄﾞ持っとる男は➡ つまらん男じゃねえわいね｡ 圭太の輪島塗には ﾌﾟﾗｲﾄﾞや詰まっとるさけ｡ ほやさけ… このｹｰｷや 一番 似合うげ｡ ん？ や～け？ こういうが｡ なんも｡ 好きや｡ (大輔)あっ いたいた｡ (大輔)ただいま｡ あっ…｡ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 井ノ原⇒６月２４日水曜日の 「あさイチ」です。 有働⇒いいな、朝ドラのヒロイン だから。 困っちゃうね。 あのタイミングで 帰ってくるとはね。

アグリー・デリシャス 極上の食物語.S01E02.JA

1 なんか きれいだ ロマンチックな照明だな 誰が来る？ ゴールド氏 他には？ 他には？ シェフ デイブ･チャン シェフ デイブ･チャン シェフ デイブ･チャン グスタボ シェフ デイブ･チャン シェフ デイブ･チャン 知り合い？ シェフ デイブ･チャン シェフ デイブ･チャン 初対面だ 初対面だ 彼は面白いぞ コラムを読んでた コラムを読んでた フードライター ピーター･ミーハン フードライター ピーター･ミーハン フードライター ピーター･ミーハン 今夜は みんなで タコスめぐりをするぞ 今夜は みんなで タコスめぐりをするぞ 君はケサディーヤの方が 好きとか 周りの皆ほど 好きじゃないってだけ タコスを食べるなら 北京ダックの方がいい なぜ いつもどちらか選ぶ？ 二者択一の世界だ 君はね そういうこと NETFLIX オリジナルドキュメンタリー ロサンゼルス タコスより ブリトーやトルタの方がいい タコスより ブリトーやトルタの方がいい ニューヨークに うまいタコスがないだけ タコスの 一口ごとや１秒ごとの タコスの 一口ごとや１秒ごとの ロサンゼルス･タイムズ 料理評論家 ジョナサン･ゴールド おいしさは 他とは比較にならない その通り 最強だよ 食べ物の屋台が 並んでる時― どういう店に 行ってみようと思う？ 知らないメニューが ある店を選ぶべきだ 知らないメニューが ある店を選ぶべきだ 「タコスＵＳＡ」著者 グスタボ･ アレヤーノ 知らないメニューが ある店を選ぶべきだ 理解できない単語があれば 本場の料理ってこと サルサがレッドと グリーンだけでもダメ チレストリアドスも 何？ 焦げ目をつけたトウガラシさ いい店は無料で出してる 商売の秘訣 店を見極めるなら― その場でトルティーヤを 作ってるかだ たぶん屋台全体の 80％くらいは― 市販のを使ってる ひどいもんだ じゃあいい店は 知らない単語のメニュー… いいね そしてサルサのよさと 自家製のトルティーヤ 袋入りのトルティーヤは 避けるべきだ 本場の味なら ここのタコスだ ハリスコ州の とある町のエビのタコス ハリスコ州の とある町のエビのタコス 〝マリスコス･ ハリスコ〞 〝マリスコス･ ハリスコ〞 〝マリスコス･ ハリスコ〞 素晴らしい料理さ “タコス･デ･カマロン”が おすすめ ああ　あれは最高だ １人ずつ注文しようか 僕はエビのタコスを 名前がある 〝Ｊ･ゴールドの おすすめ１０１店〞 〝Ｊ･ゴールドの おすすめ１０１店〞 間違いない 〝Ｊ･ゴールドの おすすめ１０１店〞 どうも ハードシェルなんだ アメリカで主流のものとは かなり違う カリフォルニア南部では ここの海鮮タコスが一番 エビギョーザっぽい エビギョーザっぽい エビギョーザ エビギョーザ エビギョーザ どんな料理も アジア版を見つけ出す どんな料理も アジア版を見つけ出す 焼いた香ばしさに サルサとアボカドが利いてる これは おいしい 認める？ ああ　もう１つ頼みたい だがタコスっぽくない なぜ？ 初めてなだけ だって僕には まるで広東料理の点心だ 中国文化が混ざって… 確かにメキシコは 中国からの移民も多い 征服の20年後くらいからだ 中国料理っぽい じゃあ次へ？ 行こう おいしかった それに発見もある メキシコ料理も いろいろだ 知らなくて当然 トウモロコシの申し子 コペンハーゲン 店名は 〝サンチェスの娘〞 イハ･デ･サンチェス シェフ ロシオ･サンチェス イハ･デ･サンチェス シェフ ロシオ･サンチェス イハ･デ･サンチェス シェフ ロシオ･サンチェス 私のことよ 私のことよ 両親はメキシコ人で アメリカに移住した 私のためにね 今は私も別の国にいて 移民みたい 何年か住んでみて 自分のルーツを見つめ直し 体にしみ込んだ味を 表現したくなった メキシコ料理の印象を 底上げしたい ヨーロッパでの印象を 変えたい 私が適任だわ メキシコ料理の 素晴らしさを伝えたい おいしいタコスとかね トルティーヤを作るのも― 簡単なことじゃないし 時間がかかる 自分を見つめ直して 成長したんじゃない？ 前は一生懸命すぎるところが あった 世界一の タコス料理人になれそう？ そうなりたいけど― 自分で宣言することじゃない でも思いは… 遠慮しながら話すのは 似合わない 心の中では “世界一になってやる”って コペンハーゲンで タコスなんてと言う奴に 見せつけてやるんだろ これで伸ばしていく メキシコに戻った？ 幼い頃 行ったきりで ノーマで働き始めて再訪した レネに同行して？ ノーマ シェフ レネ･レゼピ ノーマ シェフ レネ･レゼピ ノーマ シェフ レネ･レゼピ ええ ノーマ シェフ レネ･レゼピ ノーマ シェフ レネ･レゼピ レネ･レゼピは 世界屈指のシェフだ レネ･レゼピは 世界屈指のシェフだ メキシコが好きで 何度も訪ねてる 東京で 期間限定店を経験し― メキシコでなら ノーマを表現できると考えた メキシコには 高度に発展した食文化がある スパイスの辛さもいい 神聖な料理に手を加える？ アイデアを取り入れるだけだ どういうことなのか 分かりやすい料理はある？ トウモロコシ粉の生地を 発酵させたら最高だった それこそノーマの考え方との 融合だと思った メキシコ料理の基本であり 欠かせないのが― トルティーヤ生地だ メキシコではタコスを？ ロシオは出す気だろう 彼女も一緒に料理する 〝イハ･ デ･サンチェス〞 〝イハ･ デ･サンチェス〞 僕の店の厨房(ちゅうぼう)で ５年もやってた 僕の店の厨房(ちゅうぼう)で ５年もやってた その知識と彼女の人生が 反映され 最高のものになる メキシコで料理なんてどう？ どうって？ 疎外感とか 韓国では僕をキョッポと呼ぶ 韓国以外で 生まれた人のことさ 君も何か言われる？ 当然 言われると思う 歴史を尊重してないと 侮辱と取られてしまう すごく 難しい作業になるだろうね 尊重しながら 新たな挑戦をするんだ その経験を店にも反映したい 店の料理もよくなるはず すごいな これが名物？ いいえ これをしのぐ料理がある？ カルニタスが人気ね それも食べよう 伝統的なものじゃない これは？ 魚の皮よ グーズベリーのサルサを 使ってる これか ここでは魚の皮が好まれる やっぱりか どういう意味？ そのデンマークなまりは やめてくれ 何のこと？ この国に魂を売ったみたいだ そんなことない さらば ノーマ どこへ行くんだっけ？ メキシコへ 元気がないな メキシコへ！ 俺はラジオ番組に出ている メキシコのラジオ番組さ タコスの歴史 タコスの歴史 トウモロコシは メキシコで9000年前に誕生 トウモロコシは メキシコで9000年前に誕生 それから7000年後 アルカリ性溶液で処理し― それを挽(ひ)いて トウモロコシ粉を作った これで栄養価が高まるのだ 征服の頃には アステカの人々は― トルティーヤや タコスを食べていた しかしスペイン人によって 小麦粉のトルティーヤが普及 その数百年後 米墨戦争が終わり― 労働者の胃袋を満たすべく タコス店が乱立した メキシコシティ タコスを食べれば 素晴らしい料理なのは分かる メキシコを 訪ねたことがなくても― トルティーヤの種類が 多いのも分かる 具やトッピングも多様だ タコスは安くて早いだけの 料理じゃない もちろん そういう側面が あるのは事実だが― 世界一の店を 目指せるはずの料理だ メキシコ人のシェフは― ミシュランの星獲得店 マクシモ･ビストロ ミシュランの星獲得店 マクシモ･ビストロ 自国の豊かさに 気づかない 自国の豊かさに 気づかない 食文化の豊かさでは 唯一無二の存在だ メキシコシティに来て 驚いたんだ メキシコシティに来て 驚いたんだ マクシモ･ビストロ エドゥアルド･ ラロ･ガルシア マクシモ･ビストロ エドゥアルド･ ラロ･ガルシア マクシモ･ビストロ エドゥアルド･ ラロ･ガルシア メキシコ人は 知識が豊富なんだ メキシコ人は 知識が豊富なんだ おいしいものに関してね 高い水準を求められる 私はアメリカで育った 他のアメリカ人同様に 愛国心だってある 27年も住んだんだ 生まれは？ いや　生まれはメキシコだ だが故郷へ 戻る運命だったんだろう たくさんの食材に遭遇したよ “居場所はメキシコだ”と 言われてる気がした メキシコシティの市場は 世界で一番広い メキシコシティの市場は 世界で一番広い セントラル･ デ･アバストス セントラル･ デ･アバストス セントラル･ デ･アバストス セントラル･デ･ アバストスには― セントラル･デ･ アバストスには― 独自の 警察や輸送網がある 全てが集まる？ メキシコ全土や世界からね 中国への輸出も この市場を通ってからだ イギリスもアメリカも― 全て ここから出てる 市場が好きなんだ メニューを考える時の きっかけをくれる これはグアナバナ 好きな果物だ メキシコ産の物も 市場も大好きだ アイデアを与えてくれる そこから取って 何と言うか― 圧倒される 〈３個 ください〉 アメリカでも料理人を？ ああ メキシコに来て 食材の違いで驚いたことは？ メキシコに来た時― 一年中 新鮮な食材が 手に入ることに驚いた 気候も様々で… 気候も文化も様々だ メキシコに来て数年間は… どう調理するか悩んだ？ ライムを買おう 世界の音楽 さっきのは うまかった 久々に出会った うまさだ 僕が中国とかアジアっぽいと 言った件だけど… あり得なくない 理解できるよ あり得る？ メキシコに来ると 誰もが自国の文化を感じる ドイツやチェコや ポーランドからビールが― レバノンからは 今から食べるケバブが来た メキシコの街メリダの 市場に行くと― 外皮の赤いエダムチーズが 並んでる オランダと貿易してた 様々な食文化が持ち込まれ メキシコ料理が発展した だから息が長い “当店オリジナル アラブ風タコス” これは どういうこと？ これがプエブラ州の タコス･アラベだ 中東のサンドイッチみたいに 串刺し肉をはさむ 生地はピタのようだが アラブパンと呼ばれる ピタより薄くて レバノン移民から伝わった 1920年代 プエブラに 移り住んだ人々だ そんな歴史 初耳だ 知らないってワクワクする どんな料理だ？ おいしそうだ たまらない この肉の うまさは何？ 下味がついてる ケバブに似てる すごく面白い 同じタコスでも全然違う どんな中国料理に似てる？ うるさい レバノンが出てくるとはね アル･パストールの原型だ まだまだ 知らない料理ばかりだ 国によっては 食文化について何も知らない メキシコもそうだ 大抵のアメリカ人は メキシコと言えば― 先住民かスペイン系だと これだけ多様な文化が 流入してるとは思ってない プエブラ プエブラ バグダッド オーナー ドン･アンドレス･ ガレアナ＆ アンドレス･ガレアナ “バグダッド” これが私の母親 お母さん こっちは父親だ 〈これが いとこたちだ〉 〈私の祖父母が プエブラに来たのが―〉 〈1928年だった〉 〈第１次世界大戦の難民だ〉 〈オスマン帝国により 300万人が殺された〉 〈アッシリア人と アルメニア人が犠牲に〉 〈皆 自国を追われ 移民として別の国へ〉 どうして プエブラでタコス店を？ 〈ギリシャ人が 肉を串刺し 回転させながら焼いてた〉 〈彼らは ラム肉を使ってたが―〉 〈我々は豚肉で始めた〉 〈中東のサンドイッチを メキシコ風にしたんだ〉 〈父親がプエブラで アラブパンを作り始めた〉 〈父親がプエブラで アラブパンを作り始めた〉 アラブパン職人 ハビエル･エルー 〈タコス･アラベは このパンが名前の由来だ〉 〈ある日 彼のいとこが 店に立ち寄って言ったんだ〉 〈“このパンに お前の肉を はさんで売れ”って〉 〈そしたらご婦人が “タコス･アラベね”と〉 〈それで ２家族が結びついた〉 〈パンとタコスの融合さ〉 〈そして新しい料理が 生まれたんだ〉 今もプエブラに来る移民が 新たな料理を生み― 文化が融合することはある？ 〈いろんな国から 様々な食文化が持ち込まれ〉 〈立派に 商売が成り立ってる〉 その量で 今夜には完売する？ 〈これで６～７時には 売り切れてしまう〉 どうかな？ 素晴らしい タコスみたいだけど 全く別物だ タコスは食文化を 融合させるには最適な料理だ 北京ダックと言えば 何か決まってるが― タコスは無限の広がりがある 何かを包んで食べるって どの国にもありそうだ 人種や文化に関係なく… 包んで食べる料理の 起源は何だと思う？ やっぱりサム？ 歴史は知らないが 韓国料理だろうね アジアのメキシコか ああ ロサンゼルス シェフ／ フードトラック先駆者 ロイ･チョイ シェフ／ フードトラック先駆者 ロイ･チョイ このトラック１台で コギを始めた このトラック１台で コギを始めた 僕が運転して まだ従業員は４人だけ この先 どうなるか 全く分からず運転してた 店を始めた時は 金融危機の2008年 店で食べたら値が張るものを 提供したかった 店なら50ドルの焼き肉を 屋台なら２ドルで売れる 食べてみると― 韓国料理でも メキシコ料理でもない とにかく おいしい 独自の料理になってる ツイッターで 宣伝をしていたね そんなに前じゃないのに ひと昔前みたい ＳＮＳを使ったり 屋台っていう形態を取ったり 新たなアメリカ文化だけど ロサンゼルスらしい それでも外国人扱いなのが 実は心地いい だって実際に移民だし いまだに屋台で料理してる 今は彼らの方が 僕より店の味を分かってる マリア･エレナは 店に来て８年半だ もちろんレシピはあるが 彼女たちの工夫で向上してる 自由や 自分の感情を 表現して― 移民や地域の声を 反映できるのが屋台？ なぜタコスにしたの？ 嫌われない 愛の受け渡しなのさ 真夜中にタコスを お客さんに差し出す それまで蔑称で呼ばれてた 中国人も― メキシコ人でも 人々を隔てるものが 取り払われるんだ メキシコ人や ヒスパニック系の人々も― おいしいと 敬意を表してくれる 韓国人は ビジネスをマネようとする 多いでしょ ああ　でもおいしいからだ 何料理か分類せず ロサンゼルスのものになった 韓国料理とメキシコ料理には 共通点も多い コギのメニューは やはり屋台ならではだ チカーノと呼ばれる メキシコ系アメリカ人が多く 文化の歴史も 100年ほどにもなる 車を流したり グラフィティを描いたり タトゥーやギャングなど 韓国文化も含め 唯一無二のものだ イタリア系アメリカ人の 文化だって同じ その場所じゃないと 生まれないものがある トゥルム トゥルム テストキッチンの前には カリブ海 キッチンの裏には ジャングルが広がってる 店は そんな場所にある これから創作を 始めるところだ 現地で料理すると違う？ 食材が違う 品質もいいし新鮮 これはマメイの種 一般的な食材だ これはマメイの種 一般的な食材だ マメイ マメイ マメイ スターフルーツは 味がしない スターフルーツは 味がしない こっちのは違う？ ほら 食べてみて ほら 食べてみて カランボラ （スターフルーツ） カランボラ （スターフルーツ） カランボラ （スターフルーツ） 驚くよ 驚くよ 初めての食材もあって いつも通りにはいかない これはアノナ まるでプリンだ カスタードっぽい まるでプリンだ カスタードっぽい アノナ デンマークで赤いのは ビーツくらいだ 難しい挑戦だわ コペンハーゲンでは メキシコ人で― メキシコではアメリカ人？ それが私の人生 でもメキシコ人として育った だから自分に近い料理を作る 今までと違うことに 挑戦してみたい 今までと違うことに 挑戦してみたい シナモン シナモン シナモン こんな食感は初めてだ こんな食感は初めてだ 発芽してるココナツだって 今は 考えすぎはよくない 試食して記憶する作業だ すごい 巨大ジャガイモ チーズみたいだ 食べる前に 塩水に１分漬けるらしい 食べた時の酸味や えぐみがなくなるって 塩水とは驚いた メキシコで仕事をすると 父親に言ったら― 応援できないって 移民である 父親にとっては― “アメリカに住めたのに なぜ戻るんだ”と でも私は食文化を学びたい 何かつかみたい トゥルムのノーマへは？ いい評判しか聞かないが 私のノーマは ここだ 別物だぞ 確かにコンセプトは全く違う そんなに高い料理を メキシコ料理と呼べるのかな 高級料理店に求めるのは― アイデアの組み合わせで 料理の再現じゃない レゼピは敬意を持って 料理を作ってるだろうし― メキシコ料理を 彼が認めたのは大きい だが一流シェフでも 料理自体は変えられない ヤシュナ ヤシュナ ヤシュナでは何をする？ 料理を生み出すうえで 大切なことは― こういう場所で 伝統料理を学ぶこと ここの人たちは おいしい食べ方を知ってる ロサリア･ チャイ･チュック ロサリア･ チャイ･チュック 〈どうも〉 ロサリア･ チャイ･チュック ロサリア･ チャイ･チュック 〈失礼〉 ロサリア･ チャイ･チュック ロサリア･ チャイ･チュック 〈自家栽培なら新鮮ね〉 〈自家栽培なら新鮮ね〉 〈そうなの〉 全て コチニータ･ピビルに使う コチニータ･ピビル コチニータ･ピビル ノーマが 名店になったのは― 現地の食材を使うからだ 苦いハーブだって おいしく仕上げてしまう 〈いい？〉 〈どうぞ〉 〈料理に使う時に―〉 〈取るのね〉 これは？ これが種 この種を使って赤くする？ 〈色づけに？〉 〈ええ〉 メイクにも使う 〈口紅？〉 いい色になった？ 〈いい色よ〉 よくなった？ 健康的よ ああ　頬の色がね すり潰すの 素敵でしょ ああ　だって… 全て自分で育て 必要な時に収穫する 〈休んで〉 あなたの番 いいの？ ベニノキの種で ペーストを作ってる 水とニンニクとタマネギも 〈食べるなら働かないと〉 男が やることなの？ 食べるなら働いて 上手ね 本当か怪しい 話を聞いて 味見もできるなんて最高 アイデアを出し合えて 料理人には夢のよう メキシコ料理は調理に 時間がかかると思われてない タコスやモーレだって 何も考えずに食べる人が多い だから手間をかけても なかなか報われない 誰がために鐘は鳴る ハードシェルのタコスが 不評なのは解せない 特にメキシコ人に けなされる “ハードシェルなんて邪道” ってね 白人(ガバチョ)しか 食べないとか言われる 何？ ガバチョ 覚えておこう 今はグリンゴなんて言わない 使うのは白人だけ 次は？ タコベルさ 本気で？ ああ タコベルなんて残飯みたいだ ピザハットが 一緒にあるかな？ ＫＦＣが一緒にある 悪夢だ いらっしゃいませ ご注文は？ 帰ろうよ 種類が多すぎる ＲＰＧを始めて まだレベル２みたいな気分 エルフか ああ タコスを２つと クランチラップスプリームを メニューが変わったな どうも 変更されてる 君はタコベル派？ 嫌いなの このタコスは シェルに風味がない 牛肉と称してる肉が 全てをダメにしてる チップスで食べた方がいい ああ ３人の音楽評論家が バンドを酷評してるみたい ここはサンバーナーディーノ サンバーナーディーノ サンバーナーディーノ アメリカでの メキシコ料理発祥の地 アメリカでの メキシコ料理発祥の地 アメリカでの メキシコ料理発祥の地 「タコスＵＳＡ」著者 グスタボ･ アレヤーノ 「タコスＵＳＡ」著者 グスタボ･ アレヤーノ 「タコスＵＳＡ」著者 グスタボ･ アレヤーノ あれはミトラ･カフェ 老舗のメキシコ料理店だ あれはミトラ･カフェ 老舗のメキシコ料理店だ 創業は80年前の1937年 タコスもビリアも トウガラシのスープも最高 ありがとう 向かいにあったのが タコベル創業者Ｇ･ベルの店 記念碑はないが 本を書いたから知ってる ベルはタコスの大量生産を 思い立った ハンバーガー店を やってたが― 近くに 後のマクドナルドがあった だったらと タコスに目をつけた だが白人の彼は 作り方も知らない そこで仕事終わりに ミトラ･カフェに寄り― どう再現しようかと 研究していた タコスの魂を奪ったんだ “入国禁止令の復活はナシ” ここのタコスは絶品だ ハードシェルに― ここのタコスは絶品だ ハードシェルに― ミトラ･カフェ ３代目オーナー マイケル･モンターニョ ミトラ･カフェ ３代目オーナー マイケル･モンターニョ ミトラ･カフェ ３代目オーナー マイケル･モンターニョ 大量のチェダーチーズと レタスとトマト 大量のチェダーチーズと レタスとトマト それに肉が入ってるが― 本場と違うと言う人もいる 偽物だと言われたら 何と答える？ 私の祖母が ハリスコ州から来て― 地元で作ってたものを アメリカに来ても作ってた だが材料は 手に入るもので代用した 牛ひき肉とチェダーチーズと トマトとレタス それで おいしく仕上げた メキシコ料理は どこでも受け入れられやすい 祖母は創業当時から アメリカ料理も出そうとした Ｔボーンステーキもある 祖先の遺産でもある タコスのレシピを― グレン･ベルに 奪われたことへは？ 我々は後悔や恨みなんて 少しもない アメリカの食文化を 変えた自負がある サルサやトルティーヤの 人気が出るのは― アメリカらしい 移民の受け入れ方だ 文化だけじゃなく 個人の嗜好を受け入れるから いいところは吸収され 一般化する デルタコやタコベルの タコスの最大の問題点は― 作った人や生み出した文化と 無縁になってることだ タコベルやデルタコは― メキシコ料理への玄関口に なってると思うんだ 今はメキシコ料理店も増え 入り口も広がってる 白人至上主義者までが― デルタコのブリトーを 食べる姿をネットに上げてた 白人至上主義者が メキシコ料理好きになり― 当たり前のように食べたら 勝ちだ トルティーヤ作り？ ええ 全て手作業よ 彼らはトウモロコシが主食 朝食から夕食まで いつでも食べる この作業や収穫など― 彼らにとっては 生活の一部なの 失敗しそうだ 大丈夫 やり直したい 見られてるわよ それは？ 教えてよ 仲間外れだ 勝ちたいから仕方ない 勝ちたいなら 助けを得ないと 分厚かったな 破れた 上手だな 期間限定の店で このトルティーヤを出す？ ええ　彼女たちに すごく刺激を受けた 食べたり 話をしたりしてから― 働いてくれないかと頼んだ 皆 プロジェクトの一員よ 国境はない フィラデルフィア 街の南部と言えば？ 人のよさやスポーツ施設 あとはチーズステーキサンド それだけじゃない アメリカ屈指の名店がある 誰の情報？ ボナペティ誌よ 〝ラム肉のＢＢＱ〞 サウス･フィリー･ バルバコア ベン･ミラー サウス･フィリー･ バルバコア ベン･ミラー 楽しみだ クリスティーナは バルバコアを― クリスティーナは バルバコアを― 共同経営者 クリスティーナ･ マルティネス クリスティーナは バルバコアを― ６歳の時から 作り続けてるんだ バルバコアは メキシコ全土にある？ 〈私のはカプルウアクの バルバコア〉 〈伝統的な家庭料理よ〉 〈この料理は 私から この街への贈り物〉 〈こういう料理が なかったからね〉 ラムと豚肉のタコスを 店内で？ ああ これを食べて育った 家庭的な店だよ 移民の人たちの 知り合いも増えた この店のおかげね この店に国境なんて関係ない 妻は当時のアパートで バルバコアを売り始めた 週末に売っては 皆に宣伝してたら― 客がどんどん増えて 屋台に場所を移して売った それも手狭に 今の店も拡張予定なんだ 隣のビルへ？ さあ どうかな 苦しいのは 生活の安定が 保障されないこと 妻の問題がある “「書類のない移民」が 営む名店” “飲食業界 移民問題と闘う” 〝トランプ政権の波紋〞 〝トランプ政権の波紋〞 妻は娘の学費のため 砂漠を歩き越境した 妻は娘の学費のため 砂漠を歩き越境した そのおかげで 娘は看護師になった だが会いに帰れない メキシコに10年住まないと 永住権が認められない 滞在が認められないまま まともな権利も与えられず 労働環境もよくならない あなたが 移民になった方法は― 普通ならテレビや新聞で 目にする内容だ でも現実だ 〈私は越境し 移民になるために―〉 〈砂漠を歩くと決めた〉 〈砂漠には毒ヘビがいて 気温変化も激しい〉 〈命を懸けて 乗り越えるためには―〉 〈心の強さが必要になる〉 〈でも家族の人生を 変えるためなら―〉 〈どんな困難も 乗り越えられる〉 〝イスラム教徒を 支持します〞 〝店内は聖域 誰でも入店可能です〞 〝店内は聖域 誰でも入店可能です〞 見て見ぬふりする人は 共犯だと思う 見て見ぬふりする人は 共犯だと思う 見て見ぬふりする人は 共犯だと思う 〝移民のいない日〞 〝移民のいない日〞 〝移民のいない日〞 飲食業界に 非合法の移民は多い 飲食業界に 非合法の移民は多い 皆が声を上げれば変化を生み 改革につながるかも 世論に訴えられるから 〈公表は恐れてない〉 〈何かを変えるためには 必要だから〉 税金は納めてる？ ああ 雇用も生んでる？ ああ　それに地域に 店を開放したりもする 〈私たちは しっかり働き 悪いこともしてない〉 〈国に有益なはず〉 法を変えないと 国外追放になってしまう 食に何かを変える力があるか 僕には疑問が残る どこまで世間は 食にこだわってるのかって 一歩ずつでも 進むしかないと思って… 何年もかかる ああ 人々が恐れず本来の姿で 暮らしていける世間にしたい 妻も あなたも 多様性を武器にしてる 夢をつかむには必要なことだ 実現には努力しないとね タコスと同じ ああ　一歩ずつね 僕の父親も 皿洗いから始めた 食器を下げたりね 何年も雑用ばかり 英語を話さずにできる仕事が 他にない だから ずっと親近感があったし― 人生をよくしたいという人に 共感できる メキシコシティ ミシュランの星獲得店 マクシモ･ビストロ メキシコに戻った理由は？ ２度の強制送還だ ２度？ ああ　最初の 強制送還の時は― メキシコに留まろうとしたが 父親がガンになった 私以外の家族は アメリカの市民権を得てる 母親は父親が大変だから アメリカに戻れと だから意を決して 越境をすることにした そこで捕まってたら 確実に刑務所行きだった それから７年 アメリカに住み― 次は有名になりすぎて 強制送還された 新聞や雑誌に載ったから 捕らえに来たんだ 家族も息子も置き去りさ そんな時― 世界的シェフ プホル エンリケ･オルベラ 世界的シェフ プホル エンリケ･オルベラ エンリケが 店に呼んでくれた 世界的シェフ プホル エンリケ･オルベラ 世界的シェフ プホル エンリケ･オルベラ ３年間 料理長として勤めた 世界的シェフ プホル エンリケ･オルベラ 世界的シェフ プホル エンリケ･オルベラ その後 妻と店を開いたんだ その後 妻と店を開いたんだ それから５年 今や従業員120名 ドバイにも店ができる アメリカに戻れる？ いや　もう二度と戻れない 生涯 渡航禁止だ 私のような人が多い 皆 従う 不法入国者の人たちは― 社会に知られたくないと 閉じこもる だが彼らだって 成功者になっていいんだ だから私は公にしてる 人生のスパイス タコスは 料理ってだけじゃない 文化や歴史や 移民問題にもつながるし― 抗議や政治の手段にもなる だが何も考えず食べるから なかなか知ってもらえない 今後 変わる？ そう願う 昔より食の背景や歴史を 学ぼうって姿勢を感じる？ そういう風潮は感じられる スポーツや音楽のように 食について話す おいしい店とか うまさの秘密が話題になる そうやって食の文化レベルが 高まるんだと思う メキシコシティ ＮＹタイムズ紙時代 チーズバーガーが― ファストフードから 高級店で出るほどに出世した だけどチーズバーガーだ だけどチーズバーガーだ 〝プホル〞 〝プホル〞 世界の名店20 プホル 世界の名店20 プホル 料理が変遷を遂げるには 文化への理解力が必要になる 料理が変遷を遂げるには 文化への理解力が必要になる エンリケのような シェフになると― エンリケのような シェフになると― プホル オーナーシェフ エンリケ･オルベラ プホル オーナーシェフ エンリケ･オルベラ プホル オーナーシェフ エンリケ･オルベラ タコスの可能性を 広げる役割が出てくる タコスの可能性を 広げる役割が出てくる これまでと同じタコスを 洗練された雰囲気で出し― “高級店でワインと共に 楽しんだらいいさ”と ここ数年 考えてきたことなんだ 日本で感銘を受けたのが 寿司の提供方法だ 米と魚に感動すら覚える それをタコスでやりたかった 食材は常に４種 こだわりのトルティーヤ 炭火で焼いたメイン具材 そしてハーブとサルサ “おまかせ”しかない タコス店で“おまかせ”？ ああ　翻訳しようがない まずはソフトシェルに― バターを塗って トウガラシパウダーをかける ハーブも？ 庭のハーブだ 基本は皆同じ 驚くだろ すごい　あと12個食べたい カリフラワーを 鶏の脂で揚げたものだ 揚げた鶏皮と タマネギを載せる それにサルサマチャを サルサをたっぷりが おすすめだ メキシコ料理を 追究してるが― 生粋のメキシコ料理は少ない 様々な影響を受けてるからね 他の文化に寛容なのが メキシコ料理なのかも 昔ながらのやり方か すごい　これを見て 熱い？ とてもいい経験をした 現地の味っていうのは― 現地の材料でできるんだ 同じ料理を シカゴやロスでも食べた 高級感があり おいしい店もあった だが ここに座って 現地で食べると違う 材料に囲まれて食べるんだ 素晴らしい 最高よ すごい ああ　驚いた ここで食べると― 意義やつながりや 正しさを感じる この場所で 食べられてよかった ３ヵ月後 “ノーマ” あそこを使うから こっちに置くわね ありがとう 初めてメキシコで 料理する機会に恵まれた すごく刺激を受けてる 様々な食材や味の レパートリーが増えた すごくいい経験になってる トロピカル風味の チリサルサよ ショウガとココナツ油入り とても辛くて― 今いる場所との相性もいい 次に使うのは卵黄サルサ とても辛いの 卵黄にハバネロを少し加えた ソフトシェルクラブの タコス ロサンゼルス なぜメキシコ文化は 寛容なんだ？ 他国の発想や食を 受け入れてきた 新しいことが怖くない 誰もがアメリカは 人種のるつぼだと言う だが排他的な部分もある メキシコは皆が大好きさ いつかメキシコに住みたい 何？ ちょっと考え始めてる どんな変化が？ 自分に合ってる メキシコの物が 周囲にあると心地いい メキシコに行けば 全てが合うってことだわ そう思える場所なら 自信が持てる 絶対やってやるってね それが うれしいの 乾杯！ 皆の成功に！ ありがとう メキシコに！ デイブ 子供たちがボコボコにするぞ 似てるだろ？ 頭のサイズは合ってる 耐えてる 不死身だ 死なないぞ 日本語字幕　廉田 牧子

八重の桜＃19

1 (内蔵助)白河街道 二本松街道の見聞録➡ よぐ書いである｡ (川崎)はっ｡ (萱野)背炙山に反射炉を造る案 よくぞ思いついた｡ だげんじょ すぐには取りかかれん｡➡ 会津は 都で 金を使い過ぎた｡ 我らも苦しい｡ 分かんべ｡ (岩倉)慶喜を殺せとの詔書や｡➡ 守護職 松平容保と 所司代を討つ勅旨も➡ 同し時に出る｡ 薩摩の西郷たちは 岩倉と手を組み➡ 幕府打倒に動き出した｡ (容保)容堂様が 何の建議でござりまするか？ (慶喜)政権を返上せよと 進言してまいった｡ わしは この策を受けようと思う｡ 大政を奉還する｡ 一方 慶喜は 大政を奉還する事で 討幕派の攻撃をかわし➡ 徳川家の生き残りを 図ろうとしていた｡ (田中)大政奉還だと!? (覚馬)既に 建議は 済ませたそうにごぜえます！ (田中)政権を返上するどは➡ 徳川の世が終わるっつう事では ねえのが!? (秋月)土佐藩の後藤は 公方様が これを受け入れるはずと➡ 申しておりやす！ (佐川)ばかな！ (林)何かの企みに違えねえ｡ 口車に乗せられては なんねえど！ (覚馬)ただ 後藤の申す事も 筋は通っておりやした｡ (内藤)なれど！ (修理)殿が お城よりお戻りです｡ (一同)殿！ (容保)土佐の者が 訪ねてきたそうじゃな｡ はっ！ 大政奉還などという妄言を 建白したと申しておりました｡ 公方様も さぞ お怒りの事にごぜえましょう｡ いや｡ 将軍家は 土佐藩の建白を入れ➡ 政権を お返し申し上げる ご所存だ｡ (大蔵)なぜ そのような事を…｡ 幕府は… 徳川家のお立場は なじょなるのですか!? (容保)諸侯のお一人となられる｡ おそれながら 公方様は➡ たぶらかされておいでに ごぜえます｡ 天下を覆す暴挙！ おとどめせぬのは かえって 不忠にござる！ 殿！ (容保)騒いではならぬ！ これは 天下万民のため 将軍家が下された ご英断だ｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ (八重)脇を しっかり締めて｡ 筒先が動がねえように｡ (悌次郎)はい｡ (銃声) また当たった！ よし！ 次は 俺の番だ｡ うん｡ やっぱし 鉄砲は面白えな｡ ああ｡ 学問より ずっと面白え！ 的撃ちは 遊びではねえ！ 鉄砲は 命のやり取りをする道具だ｡ 形だけ まねても 胆が出来てねえと➡ 使いこなす事はできねえ｡ (２人)はい｡ 次は 伏せて やってみなんしょ｡ (２人)はい｡ 悌次郎さん その髪 邪魔だべ｡ 切ってあげやしょう｡ 髪切ったら 鉄砲の腕が上がんべか？ 動きやすくなれば 腕も上がんべ｡ んだら 俺も お願いします｡ (髪を切る音) (佐久)何してる!?➡ おめえは まあ 全く なんつう事を！ 男の子の髪を 勝手に切っては なんねえ！ すまねえなし｡ あんな頭になって 悌次郎さんが 人に笑われたら なじょする！ つい 三郎といるような気になって…｡ 悪い事した｡ そもそも あの子たちに教えて いいのがし？ ２人とも 銃を撃つには まだ早え｡ 二本松では もっと小さい子も 稽古してた｡ 何かあった時に 銃の心得がある方が➡ 己の身を守れるものと思いやす｡ なあ 八重｡ はい｡ 会津で 何が起こるっつうんだ｡ それは…｡ (慶喜)｢臣慶喜 謹みて｣…｡ 慶喜は参内し 大政奉還を奏上した｡ 薩摩と長州は 討幕の大義を 失ったかに見えたが…｡ (西郷)慶喜討伐の勅は 既に頂いておりもす｡ 偽勅や｡ それを公にしては わしらの首が…｡ 偽勅でん構いもはん｡ 何？ それがし この勅をば頂いて 薩摩に戻り➡ 出陣の手はずをとりもす｡ 何を言うのや！ こいで 薩摩は 挙兵討幕に 一丸となりもんそ｡ 勅の役目は そいで十分｡ やり抜かんなならん勝負ごわんで｡ (大久保)岩倉様も お覚悟を｡ よし！ 薩摩が兵を出せば 慶喜も 身動きがとれんやろ｡ その間に こちらの根回しを進めるか｡ 王政復古や！ 朝廷のもとに 天下が まとまるのでございますな｡ いや そんなもんやない｡ 日本を 神武創業の始めに戻す｡ 2,500年も遡れば たかが300年の徳川など➡ 一息に吹き飛ぶわ！ 皇国を 一旦 更地にして 一から作り直すのや！ はい｡ 朝廷より 諸藩に 藩主上洛の命が下る｡ 今後の政のやり方は➡ 諸侯会議の場で決める事となった｡ 大名たちが集まるまで➡ 薩摩が おとなしくしているとは 思えませぬ｡ 幕府方も 爆発寸前にごぜえます｡ 双方ぶつかれば 戦となるやもしれませんぞ｡ まことに これが➡ 国を一つにまとめる ご英断でごぜえましょうか！ わしも 危なき事と思う｡ 殿…｡ だが 既に 大政は奉還された｡ もはや 是非を取り沙汰する時ではない｡ 国元に 使いを送る｡ 万一には 家老１人を国元に残し➡ 全藩挙げて 上洛できるよう 備えさせよ！ (田中)それは 挙藩出陣という事に ごぜえますか!? ♬～ 大政奉還？ それは なじょな事ですか？ (権八)ご公儀が 天下を 朝廷に お返ししたっつう事だ｡ んだら これまでは お借りしていたんだべか？ 朝廷から 諸政を委任されていた という事です｡ 将軍様が お辞めになんなら➡ 会津は 誰に お仕えすんのがし？ うむ…｡ なじょなるんだ？ (権八)うまく治まって 太平の世となっか➡ 天下分け目の大戦となっか｡ んだげんじょ 何も騒ぐ事はねえ｡ 我らは 会津藩士として ご下命に従うだけだ｡ はい｡ (うら)はい｡ 千恵殿にも 苦労をかける｡ 本宅との行き来は 骨が折れんべ｡ (千恵)いいえ｡ ここは 静かで よい気晴らしにごぜえます｡ (頼母)屋敷には 姑だの 小姑だの 我が娘だの➡ やかましいのが いっぺえ いっからな｡ (千恵)また そった事を｡ (笑い声) 都の様子 お聞き及びか？ はい｡ 公方様が 政権を返上されだと 聞き及んでおります｡ それにつき 殿より 親書が参った｡ 殿は 何と？ 都で一戦ある時には➡ 藩を挙げて出陣できるよう 備えよとの ご下命だ｡ いや 挙藩出陣など… とても とても！ 長州と組んで 薩摩は意気盛ん｡ このままでは あるいはという事も…｡ 薩摩と戦うおつもりか？ 殿は｡ 向ごうから仕掛けてくんだ｡ むざむざ討だれる訳には いかねえべ｡ いや…➡ 戦わずに済む道もある｡➡ 都に 長州が戻ってくる前に 全軍 会津に引き揚げればいい｡ なあ 内蔵助殿➡ 我が藩主 松平容保様に 京都守護職を命じたのは➡ 幕府だ｡➡ その幕府が 政権を返上した今➡ 京都守護職のお役目も 消えんのが 道理ではねえべか｡➡ 一日も… いや 一刻も早く 全員 会津に帰ってくればいい｡ 薩摩も長州も ここまでは追ってこねえ｡ (内蔵助) それが 正しい道かもしれん｡ …が 頼母殿｡ え？ 都では その正論が通らぬ｡ ♬～ 今 どごまで見えてんだ？ 日によって 見えたり 見えなかったり…｡ のう 覚馬｡ にしゃ わしの宿所に移ってこねえか｡ 洋学所の住まいは 広沢に預げて こっちで 寝起ぎしろ｡ その不自由な目で➡ 物騒な都の通りを行き来するのは 危なっかしい｡ わしのそばに おれ｡ せめで 都が落ち着ぐまで｡ 林様…｡ 年のせいか 近頃 １人暮らしが わびしくて かなわねえ｡ まことは 見目よき おなごでも そばに置きてえとこだが｡ (笑い声) お心遣い ありがとうごぜえます｡ んだげんじょ いぐらかでも見えてるうちは➡ 洋学所は休めねえ｡➡ この目では 銃は撃てねえ｡ んだげんじょ 教える事なら まだできる｡ いぐらかは 会津のお役に立てます｡ んだら しかたねえ｡ わしは 当分 わび住まいを続けっか｡ (笑い声) 時折 お相手に参じます｡ 焦るなよ 覚馬｡ できる事は まだまだある｡ にしゃ わしが見込んだ男だ｡ はい｡ ♬～ 尚之助様｡ それ 反射炉ですか？ (川崎)実は 今日 萱野様から 呼び出しがありました｡ ご家老様から…？ 背炙山の反射炉の事 いま一度 詳しく聞かせよと仰せでした｡➡ 都から 何か ご指示があったらしく➡ ご重役方は 切迫したご様子でした｡ 何があったんだべ…｡ (隊士)腰抜け｡ そら どげんな意味か!? 幕府の飼い犬も じきに 元の野良犬に戻っとじゃろ｡ 何!? (覚馬)おい よせ！ おい！ 待でというのが 分からんのか！ (隊士)下がれ！ (斎藤)待て！ (斎藤)刀を納めろ｡ (永倉) 薩摩の方々も お引き下さい｡ 納めんか！ ♬～ こん次は 戦場じゃ！ わいの面は 覚えたど｡ (永倉)帰るぞ！ おい｡ 小競り合いは 抑えでくれ｡ 市中警固が新選組の役目だぞ｡ 承知している｡ だが 抑えきれるかな｡ 何!? 政権返上で 皆 激している｡ これまで我らが浴びてきた血は 何のためだったのかと｡ 武家の棟梁など 当てにならぬものだな｡ (浪人１)あやつ 会津だな｡ (浪人２)いつまで のさばる気だ！ (野沢)先生！➡ 先生に お客さんですよ｡ 客？ どこの ご家中だ？ (明石)さあ 赤い鹿の子が よう似合うてます｡ (２人の笑い声) お待たせした｡ 誰も いねえのか？ (時栄)お帰りやす｡ 山本様ですか？ ああ｡ そごで 何してる？ お帰りを待ってる間に お掃除を｡ おめえ 誰だ？ 小田時栄どす｡ 大垣屋さんの親方から 申しつかってまいりました｡ 大垣屋が 何の用だ？ 身の回りのお世話をするようにと｡ そんな話 俺は聞いてねえぞ｡ ｢先に話したら お断りにならはる｡➡ 押しかけてしまえ｣と 言われましたのや｡ 目の事 聞いてんのか｡ へえ｡ 人の手を借りずとも 身を処す術は 心得ている｡ ここはいい｡ 帰りなさい｡ 子どもの使いや あらしまへん｡ 何もせんでは 帰れしまへん｡ 頑固な娘だな｡ ♬～ こごには 若い者もいる｡ おなごの手は 要らぬ｡ うちがやります｡ ♬～ (浪人１)ここが 会津の学問所か｡ (浪人２)ほう～ 妙な所だな｡ 誰だ!? ほら 落とし物だ｡ 目病みか｡ ﾌﾌﾌﾌ｡ にしゃら 何の用だ!? いつまで 都にいるつもりだ｡ 慶喜は 政権を放り出したぞ｡ 今に 会津も お払い箱だ｡ ﾊｯﾊｯﾊ！ 何!? こんな学問所もな もう 要らぬという事よ｡ 何すんだ！ おっと｡ ﾊｯﾊｯﾊｯﾊ！ 見えるのか？ 刀が！ ほら ほら！ ﾊｯﾊｯﾊ！ (時栄)やめよし！ 近づいたら 撃ちます｡ (浪人１)ﾊﾊｯ 脅しだ｡ おなごに 撃てるものか！ おい！ １発や２発 外しても 構わねえぞ｡➡ 弾は ６発入ってっかんな｡ 一発も外しまへん！ (覚馬)右の男を撃で｡➡ もう一人は➡ 俺が斬る｡ はい！ ♬～ 行くぞ！ ばかどもが！ (へたり込む音) 大丈夫か？ へえ…｡ にし 鉄砲の心得はあんのか？ ただ 夢中で…｡ いい度胸だな｡ おい よがったな 気付かれなくて｡ え？ 弾は 一発も入ってねえんだ｡ ﾊｯﾊｯﾊｯﾊ！ 家は どこだ？ 毎日 通えるのか？ へえ｡ んだら 明日から頼む｡ へえ！ そのころ 討幕の密勅によって 薩摩は 動き出していた｡ こいより 薩摩兵3,000と共に 海路をば 大坂に入りもす｡ (木戸)我らも追って出帆し 西宮に向かいます｡ 徳川を たたき潰すんじゃ｡ ご主君同士の会談も済み➡ 薩長の出兵同盟は こいで 名実ともに調いもした｡ 気がかりは 土佐の動きよのう｡ 我らが動けば 乾 退助らが立ち上がりもんそ｡ いずれは 土佐も こちらの陣営に加わっじゃろ｡ 一方 土佐では…｡ (退助)何やと！ 龍馬と中岡が…｡ (藩士)15日の夜 河原町の近江屋で 襲われたがです！ どういて…｡ これでも 土佐は➡ 奮起せんがか！ あ～！ (竹子)やあ！ やっ！ えい！ えい！ やあ！ (黒河内)勝負あり！➡ それまで！ (ユキ)どっちが勝った？ (雪)相打ちに見えだ｡ (黒河内)八重殿の勝ち！ (歓声) 参りました｡ 近頃 稽古に来る人が増えだな｡ こった時は おなごでも 何かせずには いられねえもの｡ 都は なじょなったべ？ あね様 兄様から 便りは？ 忙しいのか 近頃さっぱり｡ 旦那様からも 便りがなくて｡ 八重様｡ 今日は やられました｡ お見事でした｡ いいえ｡ やっと 一本取っただけだべした｡ 私の精進が足りませんでした｡ これよりまた 修行を重ねます｡ 竹子様！ はい｡ 一度 家の角場に来らんしょ｡ 鉄砲撃って お目にかけやす｡ 鉄砲にも 会津の魂が籠もる事を 竹子様に 見で頂ぎてえのです｡ 薩摩は 藩主警固の名目で➡ 御所の北面にある相国寺に 3,000の兵を進めた｡ それから 間もなく…｡ 上様 朝議の刻限にござります｡ そろそろ お支度を｡ 余は はやりの感冒にかかった｡ 朝議は 欠席する｡ 守護職に 急ぎ使いを送り ｢病になれ 参内するな｣と伝えよ｡ はっ！ うかうかと 御所に出向いては➡ 薩摩の者に捕らわれるやもしれぬ｡ (田中)参内するなとは なじょな訳にごぜえますか｡ 御所北面の相国寺に 薩摩がいる｡ 我らが動けば 向こうも動き出すかもしれぬ｡ (修理)なれど ご欠席の場で 長州の事を話し合われでは➡ 取り返しのつかぬ事になるのでは｡ 今は 将軍家のご判断に 従うほか あるまい｡ その日 深夜にまで及んだ朝議で➡ 長州藩主親子らの復権が決まった｡ その翌朝｡ 薩摩が 御所に？ 御所で 何が起ぎてんだ!? (広沢)蛤御門の守備兵は お下知があり次第➡ 打って出ると申しております｡ (容保)ならぬ！➡ 直ちに 兵を引き 門を明け渡すように伝えよ｡ なれど！ 御所での戦は ならぬ！ (覚馬)これは！ ４年前の８月 我らが 長州を追っ払った時と➡ そっくり同じだ｡ 閉ざされた門の内では➡ 長い謹慎を解かれた岩倉具視が➡ 王政復古の宣言書を手に 参内していた｡ (中山)｢王政復古 国威挽回の｣…｡ 王政復古の宣言が読み上げられ➡ 摂政関白と幕府を廃絶➡ 政は 総裁 議定 参与の ３職で行う事が発表された｡ ♬～ なじょなりやした？ 薩摩の島津公 土佐の容堂公が 参内されたが➡ 中の様子は 分がんねえ！ (佐川)薩摩や土佐が 召し出されているのに➡ 何故 将軍家や殿が 退けられているのだ！ おのれ！ 事と次第によっては…！ 御所では 新政府の初めての会議が 開かれていた｡ (容堂)何で 慶喜公を ここに呼ばん！➡ 進んで 政権を返上したがは➡ 朝廷への忠心の表れでは ないかえ！ 慶喜の心底には なおも疑わしいとこがあり➡ 長年の失政の罪も重い｡➡ 慶喜に誠意があるなら 官位を辞し➡ 領地は 朝廷に返上すべきやと存じます｡ 領地返納？ 何を愚かな！ 朝議の場から外し 断罪するがは 陰険至極！ それに これは 帝が 幼うておわすがを ええ事に➡ 政権を我がものにする 企みではないかえ!? 不敬やろう！ この度の挙は ことごとく 帝のご叡慮にござりますぞ｡ (春嶽)待たれよ｡ 容堂公のお言葉は 失言なれど➡ それがしも 徳川への過酷な処遇は 不適当と存ずる｡ (大山) 徳川の処分 決まりもしたか？ 容堂公が 徳川処分反対を唱えて 引きもはん｡ そんたあいかん｡ あにさあ どげんしもんそか？ 岩倉さあに 伝えっくいやい｡ 何も難しか事はなか｡ 短刀一本あれば 片のつく事じゃなかか｡ 阻む者は 刺し殺してでも 進むという西郷の気迫は➡ 容堂を押さえ込んだ｡ 慶喜の官位一等を下げ➡ 領地の半分の２百万石を 召し上げる事が決まった｡ ♬～ 徳川の治政は 一日にして覆ったのである｡ お待ち下せえ！ どけ！ 殿に 挙兵のお許しを頂くのだ！ 薩摩の暴挙 許せん！ 林様！ 長州兵も 都に向がっている！ 今 騒いじゃなんねえ！ どけというのが 分がらんのか！ どけ！ どけ～！ どけ！ どかぬか！ 朝議を欠席すべきではなかったか｡ 上様｡ いや まだ手はある｡ ここから どう巻き返すかだ｡ 御所に攻め込んでは なりませぬ！ おめおめと引き下がっては 会津の名折れだ！ 長州が御所に入った！ 続々と進軍してくるぞ！ やはり 長州が！ おのれ…｡ 別撰組！ 戦の支度！ (一同)オ～ッ！ ご一同！ ご宗家は 兵を率いで 大坂城へ向かわれます｡ 殿も お供する事となりました｡ 何!? 都から逃げるおつもりか!? 殿を道連れにはさせんぞ！ 佐川様 しばらく！ 臆したか 覚馬！➡ どけ！ ♬～ 戦が始まろうとしていた｡ (銃声) (西郷)260年の眠りから この国を揺り起こすには➡ 血も流さんなならん｡ (容保)薩摩の挑発に乗っては なりませぬ！ (慶喜)薩摩を討たねば この怒りは わしに向かってくる｡ 竹子様と私 使う道具は違うげんじょ➡ 思いは 一つですね｡ (勝)西郷という化け物に 火を付けちまったのは➡ 俺の失策だ！ 戦を止めに行ぐ！ むちゃどす！ その目ぇで！ (覚馬)やめろ…｡ この戦の行き着く先は 地獄だぞ！ <京都市 二条城｡➡ 徳川慶喜は ここで 十五代将軍に就任し➡ 幕府勢力の盛り返しに 着手しました｡➡ それに危機感を抱いたのが 薩長です｡➡ 慶喜抹殺の密勅を朝廷に求めます> <｢幕賊の暴を助けた罪は 軽からず➡ 速やかに 誅戮を加うべし｣と➡ 容保までも抹殺するよう 指示が下されました> <会津藩士 山川大蔵が書いた記録には➡ ｢嗚呼 わが公は 公武一和のため 尽力してきたのに｣と➡ 不条理な仕打ちへの 悔しさが 記されています｡➡ しかし 慶喜が ここ二条城で 大政奉還を表明したため➡ 密勅は意味を失い 薩長の思惑は覆されました｡➡ 徳川幕府終焉の舞台となった 二条城｡➡ 幕府に忠誠を誓う 会津藩の運命も➡ ここから 大きく変わっていったのです> (雙星彦馬)どうして 御前が あんな内密な事を➡ お前に ああも おおっぴらに さらされるのだ？ (静山)異国への渡航の禁を 破るとなれば 戦覚悟よ｡ 軍船ですか？ (織江)桜田屋敷に 見張られてるんだね？ 私も｡ <織江は 母 雅江に➡ 彦馬を殺すべきだと言われて 愕然とした｡➡

火の粉＃04

1 (池本)武内は あなた方 家族を 次の ターゲットにしてる｡ (俊郎)そんなに 隠したいか？ 流産してたこと｡ (琴音)でも 武内さん いい人だよ｡ (稲川)虐待の事実は 本当に ないんでしょうか？ (雪見)あり得ません！ (武内)ママと おじさん｡ どっちが好き？ (まどか)おじさん｡ (武内)うれしいな｡ (池本)いいんですか？ 大切な ご家族が 不幸な目に 遭っても｡ 分かりました｡ 出ていきます｡ ♬～ (武内)《事件のあった日➡ 私は 背後から 誰かに 襲われたんです》➡ 《背中を 何度も 何度も 刺されて》 (関)《犯人の顔は 見たんですか？》 (武内)《いえ》➡ 《ストッキングで 顔を 隠していたので》 (池本)《あり得ない｡ 全部 でたらめだ！》 (勲)《静粛に｡ 静粛に！》 (池本)《自分でも やったっつってたじゃ ねえか》➡ 《放せよ！ あん!?》➡ 《いまさら そんな話が 通用すると 思ってんのか!?》 (警備員)《静かにしなさい！》 (勲)《退廷を 命じます》 (警備員)《静かにしなさい！ 暴れるな！》 (池本)《死刑だ！ 放せ！》➡ 《そんなやつ 死刑にしろ！》 (警備員)《こっちへ 来るんだ！》 (池本)《おい！ 死刑だ！》 (武内)おいしくなれ｡ おいしくなれ｡ おいしくなれ｡ (琴音)うちは 全然 平気｡ いつも 陸と 二人っきりだし➡ 陸も 喜ぶと思うから｡ ありがとう｡ でも どうして 聞いてこないの？ (琴音)えっ？ 私が 家出した理由｡ (琴音)まあ バツイチの 経験値ってやつ？ 夫婦なんて いっても しょせん 他人だしさ｡ しかも 雪見は あっちの親と 同居でしょ？➡ それで 問題ないって方が おかしいし➡ 逃げ出したくなるときも あるよ｡ いい機会だし 羽 伸ばしちゃいな｡ うん｡ あっ｡ あれから 武内さんとは どうなってるの？ 武内さん？ ほら…｡ 小説とか 借りたり 仲良くしてたみたいだから｡ 別に どうもしないけど｡ 何で？ ううん｡ (武内)さあ どうぞ どうぞ｡ (俊郎)お邪魔します｡ おおー｡ (尋恵)すみません｡ お邪魔しま…｡ うわぁ｡ すごいね｡ (俊郎)すげえ｡ (勲)こいつは 見事だ｡ (武内)ようこそ｡ わが家へ｡ (まどか)おいしい｡ (尋恵)おいしいねぇ｡ (俊郎)マジ 半端ないっすよ｡ 武内さん｡ 店 開けます｡ いえいえ｡ 一度 皆さんを ちゃんと➡ 招待したかったので 少し 力が入っちゃいました｡ (尋恵)武内さんって ホントに 何でも できるんですね｡ ねえ？ (勲)ああ｡ そうだな｡ あれ？ まどかちゃん｡ 今日は ママは？ (まどか)ママなら おうち 出てったよ｡ えっ？ (勲)雪見さんの お母さんが➡ 体調を 崩したらしくてね｡ (勲)それで しばらく 実家に｡ そうですか｡ それは 心配ですね｡ (俊郎)いや｡ それにしても いかした部屋ですよね？➡ この家具の センスもねえ？ (尋恵)うん｡ ただ 好きで 集めてるだけなので｡ (尋恵)こんな すてきな家に 一人なんて…｡➡ 誰か いい人 いないんですか？ 余計な おせっかいだろ｡ 思いますよ｡ そういう人が いてくれたらって｡ (俊郎)えーっ？ だったら 俺 紹介しますよ｡ 知り合いに 結構 いるんですよ｡ 相手 探してる 女の子｡ それは 遠慮しておきます｡ 実は ちょっと 気になる方がいて｡ (俊郎)えっ!? (尋恵)誰？ 誰ですか？ それは まだ ちょっと｡ まだ どうなるか 全然 分からないので｡ (尋恵)どんな人なんですか？ とても 優しくて 明るい方です｡ 共通の趣味もあって 一緒に いると 気が楽なんです｡ (俊郎)えっ？ じゃあ もう デートとか したんですか？ まだ そこまでは｡ (尋恵)もう｡ 駄目じゃないですか 武内さん｡ (尋恵)デートに 誘うのは 男の人の役目ですよ？ そうですか？ 相手の方だって➡ 誘われるの 待ってますって｡ そうですかね？ 考えておきます｡ あっ｡ 先生｡ ビール お代わりは？ いや もう｡ あまり 長居するわけにも いきませんから｡ お口に 合いませんでしたか？ いや｡ とんでもない｡ (尋恵)せっかく 作っていただいたんだから➡ もうちょっと 頂きましょう｡ (俊郎)うん｡ じゃあ ビール 頂こうかな？ はい｡ (一同)まどかちゃん 笑ってよ｡ こうやってる？ みんなで…｡ (シャッター音) (杏子)ことしは 上半期の恋愛運が 好調みたいですよ？ えっ!? ホントですか？ すごい タイムリーなんですけど➡ 実は 昨日 デートに 誘われちゃって｡ (杏子)そうなんですか｡ (琴音)で あのう｡ そのとき➡ プレゼント もらったんですけど｡ これって 脈ありですかね？ (杏子)かもしれませんね｡ (琴音)えーっ｡ 尋恵さんの アドバイスの おかげで➡ 初めて 一緒に 食事をすることが できました｡ (尋恵)わっ｡ よかった｡ で 感触は？ それは まだ 何とも言えませんが…｡ あらためて 私にとって➡ 特別な存在で あることが 分かりました｡ だから この関係を 大切に していきたいと 思ってます｡ あなたは その方のことを どう 思ってるんですか？ 私には もったいないぐらいの人で｡ 食事を ごちそうになった上に➡ こんな プレゼントまで もらっちゃって｡ 経済力の ある方なんですね｡ (琴音)そこ ポイント 高いです｡ でも まあ それだけじゃなくて｡ 息子の 陸のことも 歓迎してくれてて｡ ずっと 一人で 陸を育てるのが➡ 当たり前の 生活だったんですけど➡ ああいう人が そばに いてくれたらなって➡ ちょっと 正直 考えちゃいました｡ その方と 出会うために 今が あったのかも しれませんね｡ (琴音)何か すいません｡ 私の のろけ話みたいに なっちゃって｡ ねえ｡ 誰の話 してるの？ (琴音)あっ｡ この人ね➡ ここ何日か うちに 来てくれてる お客さんで➡ 占い師の勉強 してるんだって｡ そうじゃなくて｡ 琴音のこと｡ ああ｡ 武内さん｡ ちょっと 最近 進展があってね｡ えっ？ よかったら あなたも いかがです？ (琴音)うん｡ いえ｡ 私は…｡ (琴音)えっ？ いいじゃん いいじゃん｡➡ 見てもらいなよ｡ せっかくだから｡ (杏子)梶間 雪見さん｡ 今 あなたは 苦しいときですね｡ えっ？ (杏子)長年かけて 積み上げてきたものが➡ 崩れかねない 周期に さしかかっています｡➡ でも 安心してください｡➡ あなたの力に なってくれる人が 現れます｡ あるいは すでに そばに いるはずです｡➡ 心当たり ありませんか？ あなたね 真面目過ぎるみたいですよ？ 強がらずに その人に頼れば きっと 運気が 回復していきます｡ (池本)あなた｡ 武内を 邪険に扱うような 態度を➡ 取ったんですよね？ はい｡ (池本)だからですよ｡ 武内は 邪魔者の あなたが➡ 家に いられなくなるように しむけたんだ｡ あの人が 引っ越してくるまでは 平和だったんです｡ それなのに…｡ あのころに 戻りたい｡ 戻れますよ｡➡ あなたの実家の 日記が 盗まれた件と 地蔵の件｡➡ こっちの方で 調べてみます｡➡ 武内が やったって 証拠が つかめれば➡ あなたの誤解は 解けるし あいつを 警察に 突き出せる｡ どうして そこまで？ 一事不再理って 知ってます？ 一事不再理？ 同じ罪では 二度 裁かれないという➡ 刑事訴訟法上の 原則です｡ 武内が 無罪になってしまった以上➡ ３年前の事件では あいつを 裁くことはできない｡ でも あいつが 今も 犯罪に 手を染めているんだと したら…｡ その罪でなら あいつを 裁くことができる｡ 池本さん｡ そのために…｡ とにかく 妹たちの無念を 晴らしたいんです｡ それに これは あなた方 家族を 守るためでもある｡ あなたに 何があったのか➡ もう一度 詳しく 教えてください｡ はい｡ [TEL](バイブレーターの音) [TEL](バイブレーターの音) ちょっと すいません｡ [TEL](バイブレーターの音) もしもし｡ [TEL]ああ｡ 私だ｡ お父さん｡ [TEL]その後 どうしてるかな？ いや｡ 私も 少し 言い過ぎた｡ それで 心配になって｡ 許してくれるんですか？ 許すも何も ない｡ ただ 少し➡ 冷静になって 考えてみるのも…｡ 雪見さんが 一生懸命 俊郎や まどかのために➡ 努力していたのは 分かってる｡ ただ 君は 頑張り過ぎるところが あるから｡ [TEL]それで 余計な 擦れ違いが 生まれたんだろう｡ そう 言っていただけるだけで 私は もう｡ それで 一つだけ 確認しておきたいんだが｡ あの男が 近づいてきたりは していないだろうね？ あの男？ 池本だよ｡ いえ｡ いやぁ｡ どうも しつこそうな男なんで 心配だったんだ｡ もし 近づいてきたら 話を聞いたり しないようにね｡ はい｡ 俊郎たちのことは 私が 説得するから｡ 君が うちに 戻ってこれるようにね｡ えっ？ [TEL]だから 安心しなさい｡ はい｡ 分かりました｡ (池本)誰です？ 友人からです｡ (池本)じゃあ さっきの話の続きを｡ すみません｡ 池本さんの お気持ちは よく 分かりますが➡ これは 私の問題ですので もう 結構です｡ (池本)えっ？ いや｡ ちょっと｡ 話してくれるって 言ったじゃないですか｡ 失礼します｡ [TEL](呼び出し音) 俺だ｡ そっちでも 動いてくれ｡ ♬～ (尋恵)熱いから 気を付けてね｡ (俊郎)ああ｡ ありがとう｡ 雪見さん｡ そろそろ うちに 戻してあげたら どうだ？ いきなり 何 言うの？ (俊郎)そうだよ｡ もし また まどかに 暴力 振るったら どうすんだ？ ずっと このまま 追い出したままで いるつもりか？ (俊郎)さあ？ 雪見さんと 離婚する気なのか？ 離婚って｡ ≪まどかに 母親が いなくなっても いいのか？ ≪そこまで 具体的なことは 考えていないんだろう？ (俊郎)それは…｡ いいか？ これは 夫婦だけの問題じゃない｡ まどかだって まだ 小さいんだし 母親が 必要だろう｡ もう一度 雪見さんと 話し合ってみたら どうだ？ 家に 戻ってきなさい｡ えっ？ 俊郎も 母さんも もう一度 冷静に 話がしたいと 言ってる｡ 本当ですか？ ああ｡ ありがとうございます｡ 私たちは 家族なんだから｡ まあ お互いに 非を認めて 謝り合えば➡ きっと 理解し合えるはずだ｡ 君も じゅうぶん 反省しただろうしね｡ 反省？ うん｡ 待ってください｡ 何で 私が 謝らなければ いけないんですか？ えっ？ 言いましたよね？ 虐待も 浮気も 誤解だって｡ おい｡ 謝ったら 私が悪いって 認めたことになるじゃないですか｡ 本はといえば 君が まいた 種だろう？ やっぱり そう 思ってたんですね｡ いや｡ 私が 言いたいのはだね…｡ お父さんは ２人に 何て 言ったんですか？ 虐待も 浮気も 私が したと 思ってるんですか？ 真実は ともかく 今は 何より➡ 君が 家に戻ってくるのを 考えるべきだろう｡ 元 裁判官とは 思えない言葉ですね｡ 私が 君のために どれだけ 腐心したと 思ってるんだ？ とにかく 私は 謝るつもりは ありません｡ ハァ｡ あっ｡ 場所を変えよう｡ 話を そらさないでください｡ ずっと 聞きたかったことが あるんですけど➡ 聞いても いいですか？ 何だ？ ホントのところ どう 思って➡ 武内さんに 無罪の判決を 下したんですか？ 確実に シロだと思って 無罪にしたんですか？ それとも グレーだけど➡ 立証できないから 無罪にしたんですか？ 無罪は 無罪だ｡ シロも グレーもない｡ でも 武内さんは 一度 犯行を 自白したんですよね？ 警察の 取り調べというのは➡ 時として とても 過酷なものになる｡ やってない罪を 認めてしまった方が➡ 楽だと 思えるくらいにね｡ 武内さんの件も 典型的な 冤罪のパターンだったんだよ｡ 武内さんって ホントに 偶然 引っ越してきたんですかね？ 武内さんが 介護を始めて すぐ おばあちゃんが 亡くなったのって➡ 偶然ですか？ 何が言いたい？ お父さん｡ 意識的に 武内さんと 距離を 置いていませんか？ ホントは 何となく 怪しいと 思ってるんじゃないですか？ バカを言うな｡ 距離を 置いていたように 見えるのは➡ 元 判事と 被告人として➡ お互いに 距離を置いて 接する 必要が あったからであって➡ それ以上でも 以下でもない｡ 武内さんのこと まったく 疑ってないんですか？ 当たり前だ｡ そんなことより 自分の心配をしたら どうなんだ？ 君が 態度を 改めないかぎり 家には 戻れないんだぞ｡ 戻ります｡ そのために 身の潔白を 証明するつもりです｡ (琴音)杏子さん｡ また 食事に 誘われちゃいました｡ (杏子)よかったですね｡ (琴音)やっぱり 占いって➡ 当たるんですかね？ (杏子)雪見さんは？ 何か 進展 ありました？ 私は やっぱり 占いは 信じません｡ 力になってくれる人なんて いませんでした｡ それは➡ あなたが 気付いてないだけじゃ ないんですか？ 一人で強がらずに もっと 周りを よく 見た方が いいですよ｡ [TEL] (杏子)出た方が いいんじゃないですか？➡ 幸運の知らせかも しれませんよ｡ [TEL] (池本)君の無実を 証明できるかも しれない｡ えっ？ 例の 地蔵の件｡ 都内の石材店を 片っ端から 調べて➡ 発注されてたところを 突き止めた｡ 武内だ｡ あいつが 注文してたんだ｡ 本当に？ 間違いない｡ 発注を受けて 石材店が造った 地蔵と➡ 君が見た 地蔵は まったく 同じものだ｡ 武内も ここまで 調べるとは 思ってなかったんだろう｡ じゃあ これで？ やつの 化けの皮が 剥がせる｡ (琴音)ホントに いいんですか？ 頂いちゃって｡ どうせ 置き場所に 困ってたし➡ 陸君が 喜んでくれるんだったら ぜひ｡ (琴音)よかったね｡ お礼は？ (陸)ありがとう｡ どういたしまして｡ (琴音)よしよしよし｡ どうぞ｡ (琴音)あっ｡ すいません｡ (琴音)すいません｡ 陸｡ お手洗い お借りしても いいですか？➡ 武内さん｡ はい｡ (琴音)あのう｡ お手洗い お借りしても？ ええ｡ もちろん｡ (琴音)すいません｡ (琴音)武内さんって 占いとか 信じる方ですか？ 占いですか？ (琴音)はい｡ あんまり 考えたこと ありませんが｡ それが？ (琴音)最近 うちの店に よく来てる お客さんが➡ 占いの勉強してて｡ 私 見てもらったんですけど➡ すっごい 当たってたんですよ｡ 占い？ はい｡ 雪見も 見てもらったら 当たってたらしくて➡ もう すっごい 喜んでました｡ 雪見さんに 何かあったんですか？ (琴音)さあ｡ ☎ はい｡ 俊郎？ 雪見｡ (尋恵)雪見さん？ (俊郎)何？ 話し合いたいことが あります｡ 家に行っても いいですか？ 母さん｡ 僕が やったことの 何が 罪だと いうんでしょうか？ 雪見さんが 家族に隠していた 真実を さらけ出し➡ 梶間家の人々に 光を与えた｡ 日記も 地蔵も そのための手段に すぎません｡ なのに 彼女は 池本さんと 共に➡ どうやら 僕を 陥れようとしてる｡ 僕は 逃げも隠れも しません｡ 正々堂々 戦います｡ (俊郎)上がれよ｡ お父さんは？ (尋恵)急な仕事で 遅くなるから 先に ３人で 話しててって｡ 待って｡ 紹介したい人が いるの｡ ≪(ドアの開く音) 初めまして｡ 池本 亨と いいます｡ あっ｡ ビール お代わり 下さい｡ (従業員)すいません｡ もう 閉店の時間なんで｡ ああ｡ そうですか｡ あなた方は 武内 真伍の 本性を知らない｡➡ あいつが 異常なまでに 親切なのは➡ 自分の 居心地のいい場所を つくるためです｡➡ もし 自分にとって 邪魔な人間が いたら➡ どんな手段を 使ってでも 排除する｡ それだけじゃない｡ 武内が 気に入った相手でさえも➡ 自分の行為を むげに するようになれば➡ 重大な裏切りだと 判断して 逆上する 危険がある｡➡ そういう人間です｡ ２年前の判決は 間違っていたんです｡ あなた いったい 何を？ 裁判の話が したいなら 俺らじゃなくて➡ 親父に聞かせたい 話なんじゃないの？ 本当は 聞いてほしかったんだけど｡ (俊郎)池本さんでしたっけ？ あなたの立場には 同情しますよ｡ でも 俺たち 家族は➡ 親父の判決が 正しかったと 思ってますから｡ (尋恵)一度 出た判決を➡ いまさら あれこれ 言われても 力には なれません｡ (池本)力に なってほしいんじゃない｡➡ 私は 警告しに来たんです｡ (尋恵)警告？ 私が 家を 出るようになったのは 全て 武内が 仕組んだことなの｡ 武内って｡ うちの お墓に➡ 妙な地蔵が 置いてあったよね？ あれは 武内が やったことなの｡ うちの実家から 日記を 盗まれたのも…｡ 何で 武内さんが そんなことする 必要があるんだよ？ 自分の 居心地のいい環境を つくるためです｡ 俊郎の 前の会社の社長 失踪したでしょ？ あれも 武内が仕組んだことなの｡ (尋恵)雪見さん｡ 満喜子伯母さんが 音信不通に なったのだって➡ おばあちゃんが 亡くなったのだって 全部 武内が｡ もう いいかげんにして｡ 全部 偏見よ｡ そうやって いろんな人から 色眼鏡で 見られて➡ 武内さんが どれだけ 苦しんできたか➡ あなたも 知ってるでしょ？ 今日のところは お引き取りください｡➡ もう 帰ってください｡ (池本)いいえ｡ (俊郎)ちょっと待ってよ｡➡ こんな 言われるだけ 言われて 終わりなんて 納得 いかねえよ｡ (尋恵)もう｡ ほっときなさい｡ 俊郎｡ だいたい 本人の いないとこで 話すなんて 欠席裁判だろ｡ 本人 入れて 話そうよ｡ そんな!? 分かりました｡ こっちも 覚悟は できてます｡ お久しぶりです｡ 池本さん｡ ここまでの経緯は 俊郎さんから 伺いました｡ 結論から 申し上げますと 的場家の事件に関しては➡ 水掛け論にしか ならないと 思うし➡ 梶間家の皆さんに 迷惑を掛けても 申し訳ないので➡ この場では 勘弁してもらえないですか？ 梶間家の皆さんに 迷惑を掛けてるのは あんただろ｡ あんたが 彼女を あの家から 追い出したんだ｡ 困りましたね｡ こんな 突拍子もない話｡ 素直に認めたら どうなんだ？ 落ち着いてください｡ はい｡ 偶然とはいえ➡ 思い当たる節が ないわけでは ありません｡ 私が まどかちゃんに 手作りｼﾞｭｰｽを 飲ませたせいで➡ 母親である 雪見さんの役目を 奪った形に なってしまった｡ そのことで 雪見さんに ストレスを 与えてしまった｡ そのことについては 認めます｡ お前｡ それだけじゃないだろ｡ そのジュースに 何 入れた？ えっ？ まどかちゃんが 最近 寝付かなくなったのは➡ 興奮剤みたいなものを お前が 入れたからだろ？ 興奮剤｡ うちの実家から 日記を盗んで➡ まどかが 虐待されてるって 児童相談所に 通報したの➡ あなたですよね？ まさか｡ あり得ませんよ｡ (池本)証拠は あるのかよ？ あるわけないでしょ｡ やってないんですから｡ そういう あなた方こそ 証拠は あるんですか？ 証拠のない 言い掛かりに対して 私が 証拠を示して➡ 潔白を 証明する必要が あるんですか？ (俊郎)ないですよ｡ 一言 違うって 言えばいいだけだ｡ 梶間家で 起きた事件は 全部➡ お前が ここに引っ越してきてから 起こったことだろ！ 冷静になってください｡ 冷静ですよ！➡ お前は 梶間家の おばあさんを 殺したんだ｡ (池本)いったい 何人 殺せば 気が済むんだよ？ 池本さん｡ 私にも 我慢の限界が ありますよ｡ (俊郎)そうだ｡ 今のは 明らかに 名誉毀損だ｡➡ 武内さん｡ 訴えよう｡ (池本)ああ｡ 構わないよ｡➡ 法廷で はっきりさせよう｡ そんなことは しません｡ こんな人を 相手にしても 仕方ない｡ (尋恵)何度も 言いますけど 武内さんは 裁判で 無罪だと➡ 認められてるんですよ｡ ただ あなたが➡ 偏見に とらわれてるだけ なんじゃないですか｡ 違う｡ あの事件は こいつの罪を 立証できなかっただけだ｡ 私も そう 思います｡ (俊郎)雪見！ 今 私たち家族に 同じことが 起きようとしてる｡ ３年前の 的場家と 同じことが｡ 私は 大切な家族を守る｡ どんなことが あっても 絶対に 阻止します｡ (俊郎)お前 いいかげんにしろよ！ 私たちは 戦ってるの！ まどかに もしものことが あったら 絶対に許さない｡ まどかを 守るためなら 刺し違えてでも 戦う｡ ♬～ そうじゃないんだ｡ 雪見さん｡ いいかげん 真実に 気付いてくれよ｡ あなたの周りで おかしなことが 起きてる｡ もし そう 感じるなら➡ それは 私が 引っ越してきたからじゃない｡ 彼が あなたの周りを うろつき始めたからですよ｡ お前 ふざけんなよ！ (俊郎)黙っててください｡ 何が 言いたいんですか？ 本当は こんなこと 言いたくなかった｡ 他人の罪を 告発するような まねは したくない｡ どんなに 証拠が あるようでも➡ 冤罪の可能性は 絶対に あるからです｡ 私は 実際に 冤罪の被害を 受けた身として➡ そのことを 痛切に感じました｡ でも このままでは また 私は➡ やってもいない罪で 疑われて ぬれぎぬを 着せられてしまう｡ だから 私も 戦わなきゃいけない｡ 池本さん｡ あなた➡ 石材店で 地蔵を 注文したのが 私だったと 確認したそうですね？ ああ｡ そうだよ｡ 私の方でも 確認しました｡ 確かに 注文者が いたようです｡ 武内 真伍と 名乗る➡ 私ではない 誰かが｡ お前｡ まだ そんなこと…｡ ですので 注文した人間の連絡先を 教えてもらいました｡ 携帯の 電話番号です｡ ♬～ [TEL](バイブレーターの音) [TEL](バイブレーターの音) 出てもらえますか？ [TEL](バイブレーターの音) 地蔵を 注文したのは…｡ [TEL]地蔵を 注文したのは…｡ あなたじゃないですか？ [TEL]あなたじゃないですか？ 池本さん？ (池本)違う｡➡ これは 何かの間違いだ！ 身元を偽るのは あなたの 常とう手段でしょ｡ 私が 引っ越してくる前 あなたは 新聞記者を装って➡ 私の家の 隣近所に 根も葉もない噂を 吹き込んで➡ 私を 孤立させようとしました｡ そうやって 私に 精神的苦痛を 与えるよう 仕組んだ｡ それだけじゃない｡ 私の家の 窓ガラスが 何度も割られて 不法侵入された｡ だから 私は 番犬を飼ったんです｡ あの犬が 初めて かみついたのが 池本さんでした｡ 今でも 私の家には 何度も何度も 手紙が 届いています｡ ｢俺を殺したのは お前だ｡ 素直に 認めろ｣ ３年前に 亡くなった 的場 洋輔さんからの 手紙です｡ 何だったら お見せしてもいい｡ [TEL](メールの着信音) どういうことですか？ 池本さん｡ どうしたらいいか 分からなかったんだ｡ そんな方法が 正しいなんて 思ってなかった｡ 俺は ただ 必死で…｡ 雪見さん｡ 池本さんと お話しして 何も 気付きませんでしたか？ この方は 妄想に とらわれてるんですよ｡ 私が 的場一家を殺害した 犯人じゃないと 困るからです｡ あなたなんじゃ ないですか？ 的場一家を 殺害したのは｡ ちょうど 事件があった ３年前｡ あなたの母親が 重い病に倒れて➡ 多額の 遺産相続の話が 持ち上がっていた｡ そんなときに 妹の 久美子さんと その家族が 殺されて➡ 遺産は 全て あなたが 相続した｡ 違う｡ こいつの 言い掛かりだ｡ でも あなたは 自分の犯した 罪の意識に さいなまれた｡ 魂の救いを 求めていた｡ だから あなたは➡ 自分自身を 救うために 決めたんです｡ 無実の罪を 着せられていた 私を➡ 心から 真犯人だと 信じることに しようと｡ ふざけるな！ よりによって この俺に 罪を かぶせる気か！ 私だって こんなことは 言いたくない｡ ただ あなたが 私を 陥れようとするなら➡ 私は 私の説で 自分を 守らないといけない｡ 少なくとも あなたの説よりは 真実に近い 自信があります｡ あの事件のとき…｡ 犯行現場から 物音を聞いたという あなたの奥さんの 証言から➡ 私は 取り調べで 犯人に 襲われた時間を➡ 夕方 ５時45分ごろから ５時30分ごろに 訂正しました｡ 証言者が いるなら➡ 間違いないだろうと 思ったからです｡ でも 私が 時間を 訂正したことで｡ 私が 奥さんの証言を 信じてしまったことで➡ あなたの アリバイが 成立してしまったんです｡ 今でも 克明に 覚えています｡ 事件当日｡ あなたは ５時まで 仕事だった｡ 定時で 職場を出て どんなに 急いでも➡ 的場家には ５時30分には 間に合わない｡ でも 奥さんの証言さえ なければ｡ 私が 犯行時刻を ５時45分だと 言い続けていれば➡ あなたでも ぎりぎり 間に合う時間だったんです｡ (池本)証拠もないのに でたらめ 言うな！ 証拠なら あります｡ [TEL](操作音) 琴音さん｡ 連れてきてもらえますか？ 琴音？ あなた 占いの…｡ (琴音)違うの｡ 雪見｡ 彼女は 池本 杏子｡ 池本さんの 奥さんです｡ 琴音さんから 占いの話を聞いて➡ もしやと思って 後を つけてもらったんです｡ 協力してやるって 言ったのに お前が 無視したからだ｡ えっ？ (琴音)雪見が こいつのこと 頼るように➡ でたらめな占い してたんだよね？ 雪見のこと 利用しようと してたんでしょ？ 私を だましてたんですか？ (池本)いや｡ 違う｡ そうじゃない｡ どうして そんなこと したんですか？ 私を 有罪にしないと 困るからです｡ そうしないと あなた方 ２人で 仕組んだ犯行が➡ 明るみに 出てしまうから｡ 違う｡ やったのは あんたでしょ｡ ほら｡ こうやって 幾つも 妄想 つくりあげて➡ 私を 無理やり 追い詰めようとしていた｡ 嫌がらせをして 世間から 孤立させようと していた｡ 私が 梶間家と 親しくしているのを 知ると➡ また 新たな妄想を 膨らませて それを 邪魔しようとした｡ 真面目で 人を信じやすい 雪見さんを 仲間に引き入れて➡ この家と 私の間に 力ずくで 亀裂を入れようとした｡ そうでしょう？ (池本)だから 違うだろ！ 尋恵さん｡ (尋恵)はい｡ おばあちゃんが 亡くなったのは➡ 不慮の事故以外の 何物でも ありません｡ 俊郎さん｡ (俊郎)はい｡ 前の会社の社長が 失踪したのは➡ 自分が 告発されることを 恐れたからです｡ ええ｡ 雪見さん｡ まどかちゃんの様子が 変になったのは➡ 私の 手作りジュースのせいじゃない｡ 残念ながら あなたが 母親として 情緒不安定だったことが➡ 最大の原因だったと 思います｡ 児童相談所の 通報と 元 恋人に 送られたメール｡ それから 地蔵の件は➡ 全て 池本さんが 仕組んだことです｡ そんな…｡ (尋恵)信じられない｡ いいかげんにしろ！ 妄想してるのは お前の方だろ｡ (俊郎)やめろ！ この！ この野郎！ (杏子)何すんのよ！ (池本)杏子！ 俊郎さん｡ 危険です｡ 離れて｡ (池本)これは 裁判だ｡ 本当に 有罪なのは 誰か？ (池本)その判断を あなたたちは 試されている｡ 意味が分からない｡ (俊郎)母さん｡ 警察！ (尋恵)えっ!? (俊郎)早く！ (尋恵)ちょっと待って｡ (俊郎)待て！ 放っておきましょう｡ いや｡ でも あいつらが 犯人かもしれないんですよ｡ この場かぎりの話に してください｡ 全て 私の 一推論に すぎませんから｡ (琴音)怖かった｡ 琴音さん｡ ごめんなさい｡ こんなことに 巻き込んでしまって｡ (琴音)いえ｡ (俊郎)お前…｡ 本当に バカだな｡➡ あんな連中に だまされて 親父の判決 否定して➡ 冤罪の 武内さんのこと 色眼鏡で見て➡ 家族に 波風 立てて｡ ホント 最低だぞ｡ お前は 俺たち家族に ケンカ 売ってきたんだぞ｡ 分かってんのか？ そのこと｡ ≪(まどか)パパ どこ？➡ ママ どこ？ (俊郎)まどか!? (泣き声) まどか！ (雪見･俊郎)まどか｡ まどか…｡ (まどか)ママ｡ 約束 破って ごめんなさい｡ まどか…｡ (まどか)だから いなくならないで｡➡ まどか｡ ママの言うこと 聞くから｡ 違うの｡ まどかは 何にも 悪くないの｡ ごめんね｡ ごめんね まどか｡ ♬～ (俊郎)寝かせたよ｡ 雪見さん｡ 武内さんに 謝りなさい｡ 謝りなさい！ いいんです｡ よかったですね｡ ご家族の疑いが 晴れて｡ えっ？ 雪見さんは 池本に だまされていたんです｡ あなたは 被害者だった｡ だから おうちに 戻してあげてくれませんか？ (俊郎)すいません｡ このことは うちの家族の問題なんで｡ そんなこと 言わないでください｡ 皆さん｡ 家族じゃないですか｡ 私は 裁判を終えてから ずっと 一人で 過ごしてきました｡ 一人で 生きていくことが どれほど つらいことか➡ 身に染みて 感じてきました｡ そして 今 こうして 支えてくれる人がいて➡ 支え合って 生きていけることの 幸せを 感じています｡ 武内さん｡ 雪見さんにも そういう人が 必要です｡ こういうときだからこそ➡ 守ってあげるべきなんじゃ ないですか？ それが 家族です｡ お願いします｡ (尋恵)ちょっと 武内さん｡ やめてください｡ (俊郎)分かりました｡ 分かりましたから｡ 取りあえず 戻ってこいよ｡ 今後のことは 少しずつ 話してこう｡ よかった｡ よかった｡ 私 武内さんを疑って ひどいことしたのに どうして？ 雪見さんは 梶間家の 大切な家族の 一員ですから｡ 武内さん｡ 本当に｡ 本当に 申し訳ございませんでした｡ やめてください｡ 誤解が解けて 何よりです｡ ハァ｡ ≪お父さん｡ はっ!? こんな時間まで お仕事だったんですか？ ああ｡ ちょっと ばたばたしててね｡ 疲れたんで 休ませてもらうよ｡ どうして おうちに いてくださらなかったんですか？ ああ｡ 母さんから 聞いた｡ 武内さんには 頭が 上がらないな｡ これからも 仲良くしていこう｡ おやすみ｡ おやすみなさい｡ 母さん｡ 僕は 正々堂々 戦い そして 勝ちました｡ 僕に対する 誤解も 晴れたようです｡ 雪見さんは このまま 追い出しておこうかとも➡ 考えましたが まどかちゃんには➡ 母親という存在が 必要だったようです｡ 他に 適当な代わりが いるわけでは ないので➡ 雪見さんには 戻ってもらうことに しました｡ 害虫が 寄ってくることは もう ないだろうし➡ 心配は いらないでしょう｡ あらためて 雪見さんを 歓迎したいと 思います｡ 僕たちの家族に｡ (杏子)もしもし｡ 警察ですか？ (杏子)助けてください｡➡ いないんです｡ 主人が どこにも｡ あの男です｡ 主人は 武内に 殺されたのよ｡ ♬～

６４＃05

1 ｢傘をたたむ市場｣と言われている 有名な観光ｽﾎﾟｯﾄなんです｡ 現地の人のﾊﾞｲﾀﾘﾃｨｰに びっくりでした｡ [ 回想 ] ☎ はい 雨宮漬物店です｡ はい｡ どうぞ｡ ≪社長？ ｻﾄｳさんという方から 電話ありました｡ ☎ (御倉)広報官に話があります｡ (三上)何だ？ 報道協定の締結を要請して下さい｡ 誘拐事件が発生しました｡ ☎娘を預かっている｡➡ 生きて返してほしければ 明日の昼までに➡ 現金2,000万円を用意しろ｡ (秋川)特捜本部は 14年前の翔子ちゃん事件との➡ 関連について どう考えていますか？ (落合)え？ 脅迫電話の文言が そっくりでしょう｡ ２つの事件に 関連があると見ているのか➡ ないと見ているのか どっちです？ 指揮車 出動｡ ☎ 自宅に入電！ 入電 入電！ 逆探要請！ もしもし？ 三上だ｡ 目崎の家に ３度目の脅迫電話が入った｡ 着信番号 目崎歌澄の携帯です！ え～ 今 新しい情報が入りました｡ ☎金は用意できたか？ 被害者の自宅に ３回目の脅迫電話が入電｡ はい｡ できました｡ 用意してあります｡ (無線)｢今すぐ 金と携帯を持って 家を出ろ｣｡ (落合)ﾍﾘｳﾑ声で 内容は ｢金と携帯を持って家を出ろ｣｡ ♬～ (無線)｢11時50分までに 葵町の喫茶あおいに持ってこい｣｡ ☎ 我々も あおいに向かう｡ 了解！ ♬～ [ 回想 ] 追１から本部｡ 現在 県道１号線を 葵町方向に進行中｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢新しい元号は 『平成』であります｣｡ (松岡)昭和64年は 終わってない｡ 必ず ホシを引きずり戻す！ はい！ 至急 至急！ 追１から指揮車！ マル父 Ｕﾀｰﾝしました！ 指揮車 了解｡ ﾛｸﾖﾝのﾙｰﾄから外れたぞ｡ 娘は助けて下さい｡ お願いします！ 歌澄を返して下さい！ 歌澄… 歌澄を… お願いします！ (無線･目崎)｢お願いします！ お願いします！ お願いします！｣｡ (笑い声) [ 回想 ] (雨宮)翔子を助けて下さい！ お願いします！➡ 翔子を助けて下さい！ お願いします！➡ 翔子を助けて下さい！ お願いします！ 助けて下さい！➡ お願いします！ お願いします！ お願いします！➡ 翔子～！ (水に落ちる音) ♬～ (無線･目崎)｢このまま 環状線に入ればいいんですね？｣｡ (無線)｢そうだ｡ さっきの３丁目交差点を左折だ｣｡ こちら指揮車｡ 現在 通話中の…｡ 待て！ 待て！ 発信場所 さっきと同じです｡ 湯浅ｱﾝﾃﾅ基地局｡ ｴﾘｱは玄武市 湯浅町 および 旭町周辺｡ ホシは移動していない…｡ 県道の全アオは解除｡ 旭町は 大型店舗が立ち並ぶ 街道沿いの町だ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]左折したか？ 環状線に入ったか？ (無線)｢マル害車両 今 片山町３丁目交差点を左折｣｡ 曲がりました！ このまま まっすぐでいいんですか？ どこへ行けばいいんですか！ (無線)｢追１から 指揮車｡ マル父 環状線を北上中｡➡ 500ﾒｰﾄﾙで国道とｸﾛｽします｣｡ 指揮車 了解｡➡ 右左折 どちらにも即応できる ﾎﾟｼﾞｼｮﾝをとれ｡ (無線)｢追１ 了解｣｡ (無線)｢国道はまだか？｣｡ (目崎)もうすぐです｡ まっすぐですか？ 曲がるんですか？ [ｽﾋﾟｰｶ]右折だ｡ やはり ﾛｸﾖﾝのﾙｰﾄをなぞる気だ｡ ♬～ 曲がりました！ どうすればいいんです？ このまま走ればいいんですか？ [ｽﾋﾟｰｶ]この辺りには詳しいか？ いえ｡ この辺りは全然…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]直進しろ｡ 追って指示する｡ (無線･目崎) ｢行き先を教えて下さい！｣｡ (無線) ｢飛ばせ｡ あまり時間はないぞ｣｡ はい｡ 追１から 指揮車！ マル父 また速度を上げました！ 80… 85…｡ 飛ばし過ぎだ！ (無線)｢90…｣｡ 歌澄を返して下さい！ 何でもしますから！ 娘は返して下さい！ (無線)｢生きて返してほしいなら 指示に従え｡➡ 従わなければ 娘を殺すぞ｣｡ ﾍﾘｳﾑが切れたんだ！ (無線) ｢鬼頭 今だ｡ ｽﾋﾟｰﾄﾞを落とさせろ！ ただし 頭は上げるな！｣｡ 了解！ 科捜研に声を分析させろ！ はい！ ホシの声を聞きましたね｡ (無線)｢こちら 科捜研｡ 至急 音声分析にかけます｡➡ 結果が出次第 報告します｣｡ うう…｡ [ｽﾋﾟｰｶ] マル父の携帯に入電！ 来たか！ 番号 目崎歌澄の携帯！ (無線･男)｢そのまま… 直進しろ｣｡ 声を変えたぞ｡ 喉を潰してるのか？ (無線･男)｢石田町の… 交差点から… １ｷﾛ…｡➡ １ｷﾛ先の… 左手にある… 純喫茶ﾁｪﾘｰに行け｣｡ 純喫茶ﾁｪﾘｰ｡ ﾛｸﾖﾝでは ４番目の場所だ！ [ 回想 ] 追１から 本部｡ 間もなく喫茶ﾁｪﾘｰに到着｡ ☎ あ あ あ… 雨宮です｡ (無線･目崎) ｢信号を過ぎて １ｷﾛ先ですね？➡ 純喫茶ﾁｪﾘｰですね？ 見つけます！｣｡ [ｽﾋﾟｰｶ](男)急げ！ 生きた娘に会いたければ…➡ 飛ばせ！ [ｽﾋﾟｰｶ](目崎の叫び声) (無線)｢追１より 本部｡ マル父 更にｽﾋﾟｰﾄﾞを上げました｡➡ かなり危険な状態です｣｡ あっ 玄武署より入電！ 目崎歌澄を保護！ 目崎歌澄を玄武市内で保護！ 詳細が入りました！ 保護ではなく 補導です！➡ 目崎歌澄は 玄武市旭町の ﾃﾞｨｽｶｳﾝﾄｽﾄｱ｢ｽﾄﾗｲｸ｣にて➡ 化粧品数点を万引き｡ 君 名前は？ 君｡ 聞こえない もうちょい 大きい声で｡ 目崎歌澄｡ 旭町西 小島から本部｡ 同店の通報により 旭町西交番の巡査長が補導！➡ 事情聴取の結果 目崎歌澄と判明した！➡ ｢携帯電話は 昨日の未明に 無くした｡ 恐らく盗まれた｡➡ ﾗｲﾌﾞﾊｳｽのｼｬｯﾀｰの前で 眠り込み 目が覚めたら無くなっていた｣｡➡ そう供述しています！ ホシが携帯を盗んだというのか？ ホシが 娘を人質にとったふりを していただけなのか｡ どこにかけるんだ？ 報道協定を解除します！ それは お前が決める事か？ 事件は終わりました｡ 終わってない｡ ホシは 目崎歌澄を 人質にとっていません｡ (松岡)ホシは 目崎歌澄を尾行し 見張ってたんだ｡ 家に帰らない娘の その不在を人質とした｡ 一緒に交番 行こう｡ 分かったよ｡ 早く！ 行ってらっしゃ～い！ いつもの所にいるよ！ は～い｡ (松岡)ホシは 万引きするところも 見ているはずだ｡ それで急に 身代金の 受け渡し時間が前倒しになった｡ それならホシは 補導された事も 知ってるっていうんですか？ それなのに どうして ホシは中止しないんですか？ これは ホシにとって初めから 外道だからだ｡ 外道…？ 行くところまで 行く気だ｡ (無線) ｢マル父 石田町交差点を通過｡➡ 間もなく ﾁｪﾘｰに到着します｣｡ 参事官！ どうして ホシを パクらないんですか！ ﾃﾞｨｽｶｳﾝﾄｽﾄｱの近くに 捜査員を送り込んだんですか！ 三上さん！ お前ら！ もう 娘がやられる 心配はないんだぞ！ (目崎)着きました｡ 純喫茶ﾁｪﾘｰですよね？ どうすればいいんですか？ 中に入るんですか？ [ｽﾋﾟｰｶ](男)発進しろ｡ (目崎)え？ [ｽﾋﾟｰｶ](男)すぐ発進しろ｡ 娘が… 死ぬ｡ 峰岸！ 鬼頭に電話しろ！ 娘は無事だと父親に教えてやれ！ 早く この地獄から出してやれ！ ♬～ どこに行けばいいんです？ まっすぐ ３ｷﾛ進め｡ (無線･目崎)｢まっすぐ？ まっすぐでいいんですか？｣｡ [ 回想 ] (ｸﾗｸｼｮﾝ) (男)まっすぐ行くと 川沿いに➡ ｶｯﾄｻﾛﾝ愛々という美容院がある｡ (無線･男)｢10分以内に来なければ 娘が死ぬ｣｡ そんな！ お願いします！ 三上さん！ 三上 邪魔をするな！ 追１から 指揮車｡ マル父 指示なく右折しました！➡ 錯乱しています！ 教えてやれよ！ 分からないのか！ 娘がいない時間が どれだけ長いか！ １分１秒が どれだけ長いか！ 救えない自分を 責め続けているんだ！ そんな事も分からないのか！ 三上さん！ (松岡)これは 狂言誘拐の捜査ではない｡ この車は 今 ﾛｸﾖﾝの捜査指揮を執っている｡ え？ 14年前に言ったはずだ｡ ｢昭和64年は終わってない｡➡ 必ず ホシを引きずり戻す｣と｡ 追１から 指揮車｡ マル父 間もなく到着します！ (無線)｢指揮車 了解｡ 本部より 各移動｡➡ マル父を決して見逃すな！ つぶさに注意せよ！｣｡ (無線)｢了解｣｡ (無線)｢了解｣｡ (無線)｢了解｣｡ (ｸﾗｸｼｮﾝ) 着きました！ 今 着きました！ どうすればいいんです？ [ｽﾋﾟｰｶ](男)ｽｰﾂｹｰｽを降ろせ｡ 分かりました｡ (無線)｢マル父 ｽｰﾂｹｰｽを降ろしてます！｣｡ ここで…｡ 目崎も 同じように思ったはずだ｡ ﾛｸﾖﾝをなぞるなら 純喫茶ﾁｪﾘｰの次は ｶｯﾄｻﾛﾝ愛々｡➡ そして そこから北上し 山に向かうはずだと｡➡ 目崎は知ってたんだ｡➡ 錯乱して 十字路を右折した訳ではない｡➡ その方が 早く ｶｯﾄｻﾛﾝに着くと知っていた｡➡ だから 今度のホシは わざと直進を指示した｡➡ 目崎を はめたんだ｡ ハッ！ ♬～ どうすればいいんです？ [ｽﾋﾟｰｶ](男)店の前に橋がある｡ 橋？ ああ！ 見えます！ そこに 持っていけばいいんですか？ [ｽﾋﾟｰｶ](男)渡れ！ 早く 急げ！ 吉川 状況を知らせよ｡ マル父は ｽｰﾂｹｰｽを持って 店の前の橋を渡っています｡ どいて～！ どいて～！ 渡りました！ 橋を渡りました！ どうすればいいんです？ [ｽﾋﾟｰｶ](男)土手を下りろ｡➡ ﾄﾞﾗﾑ缶があるだろ｡ (無線･目崎)｢ああ はい｡ あります！ ありました！｣｡ (無線)｢マル父 ｽｰﾂｹｰｽを 河川敷に投げ落としました！➡ 土手に下りていきます！ 河川敷ですが➡ 古ﾀｲﾔとか 電化製品とかの廃品が 雑然と置かれています｣｡ (目崎)どうすればいいんですか？ [ｽﾋﾟｰｶ](男)ｽｰﾂｹｰｽから金を出して 中に入れろ｡ ここにですか？ ﾄﾞﾗﾑ缶の中でいいんですか？ [ｽﾋﾟｰｶ](男)早くやれ｡ 質問している時間はないぞ｡ (松岡)ホシはもう 声を変えるのもやめたな｡ (無線･目崎) ｢歌澄は返してくれるんですね？｣｡ この声に… 聞き覚えはないか？ (無線･男)｢早くやれ！｣｡ (無線･目崎)｢入れました！ 金 入れました！➡ 全部 ﾄﾞﾗﾑ缶に入れました！｣｡ (無線･男)｢足元を見ろ｣｡ (無線･目崎)｢え？｣｡ (無線･男)｢一斗缶があるだろ｣｡ 幸田…｡ 幸田一樹！ [ｽﾋﾟｰｶ](目崎)はい｡ ありますが…｡ (幸田)中に 油とﾏｯﾁが入ってる｡ それで 火をつけろ｡ [ｽﾋﾟｰｶ](目崎)お金を燃やすんですか？ やれ｡ (無線･目崎)｢そんな事をして…➡ 歌澄は どうなるんですか？｣｡ 本当に返してくれるんですか？ 死なせたいのか？ (無線･目崎)｢いえ… やります｡ やります｡➡ 燃やしますから！｣｡ ♬～ 燃やしますから…｡ ♬～ うう～！ ♬～ (無線)｢マル父 火をつけました！ 炎があがってます！｣｡ 間もなく 現場 到着｡ ちゃんとやりました！ 歌澄は どこですか！ 歌澄を返して下さい！ どこにいるんですか！ お願いします！ 助けて下さい！ ｶﾒﾗを切り替えろ！ 了解！ (無線･目崎) ｢歌澄を返して下さい！｣｡ (目崎) どこにいるんですか！ 歌澄～｡➡ 歌澄… お願いします～！ [ｽﾋﾟｰｶ](目崎)助けて下さい！➡ 歌澄を助けて下さい！ 歌澄～！ 缶の下だ｡ ≪(ｻｲﾚﾝ) ♬～ (泣き叫ぶ声) (泣き声) (泣き叫ぶ声) (電話を切る音) (泣き叫ぶ声) [ｽﾋﾟｰｶ] マル父の携帯に入電！ 相手番号 マル母の携帯｡ ﾓﾆﾀｰに切り替えます｡ [ｽﾋﾟｰｶ] [ｽﾋﾟｰｶ]もしもし あなた？ やっとつながった！➡ あのね みーちゃん 無事だったの｡➡ 本当なのよ！ 誘拐なんて されてなかったの！➡ もしもし？ あなた 聞こえてる？➡ どうしたの？ [ｽﾋﾟｰｶ]もしもし？ あなた？ ♬～ 吉川 何が見える？ (無線･吉川)｢マル父 紙を見たまま動きません｣｡ 紙？ ｽﾞｰﾑしろ！ 了解！ 何をやってんだ？ 破いてる｡ ちぎってるぞ｡ ♬～ あっ 食いやがった！ 紙を食ったんだ こいつ！ 見ろ 半分だけだ！ 半分だけ ちぎって食ったんだ！ くそ～！ 目崎を確保だ！ はい！ (松岡)目崎正人を確保しろ！ (無線)｢了解｣｡ (無線)｢了解｣｡ 吉川！ (無線)｢本部より各局｡ 目崎を確保！➡ 繰り返す｡ 目崎を確保！｣｡ 確保！ 確保！ (無線)｢本部より 各移動｡➡ 見物人の中に 不審者がいないか注視しろ｡➡ 見物人の中から 不審者の発見に努めよ｡➡ 繰り返す｡ 見物人の中から 不審者の発見に努めよ｣｡ 目崎さん 先ほどの紙を…｡ お預かりします｡ 早く歩いて！ ♬～ [ｽﾋﾟｰｶ]目崎歌澄を 無事 保護した｡ (諏訪)えっ？ 直ちに 報道協定を解除しろ｡ はい｡ 報道協定を解除｡ え～ ただいまをもって 申し入れに基づき➡ 報道協定は解除とさせて 頂きたいと思います｡ (井沢) 保護された場所はどこですか？ ええっと…➡ 玄武市内のﾃﾞｨｽｶｳﾝﾄｽﾄｱです｡ ｽﾄﾗｲｸというお店です｡ え～ 事件の概要は まだ解明されておりません｡ え～ 情報の扱いには 十分お気を付け下さい！ ♬～ [ 回想 ] (雨宮)翔子… 翔子～！ 翔子！ 翔子！ 翔子～！ ♬～ [ 回想 ] (雨宮)翔子～！ (雨宮)翔子～！ ♬～ ただいま｡ (美那子)お帰りなさい｡ お前も行ってくれたんだってな｡ ご苦労さまでした｡ (ため息) どこにいた？ え？ 松岡参事官から聞いてない？ ｢特命だから お前から聞け｣と 言われた｡ 私は あの空き地に行きました｡ 身代金を燃やした空き地か？ やじ馬の中に混じって…｡ ｢そこに ある男の人がいるかどうか➡ 調べてほしい｣って言われて｡ [ 回想 ] (目崎)歌澄を返して下さい！➡ どこにいるんですか！ 14年前にね➡ 一度 それも ほんの短い間 見ただけだったけど➡ すぐに 雨宮さんだって分かった｡ [ 回想 ] (泣き叫ぶ声) ねえ｡ 雨宮さんが 今度の誘拐事件の犯人なの？ 実行犯は 幸田一樹だ｡ 幸田…？ ﾛｸﾖﾝの自宅班にいた 元刑事だ｡ ああ…｡ しかし 雨宮さんが 首謀者である事は間違いない｡ 参事官は そう確信していた｡ [ 回想 ] 発端は お前がもたらした情報だ｡ え？ 無言電話だ｡ ん？ 無言電話？ 俺が 無言電話の事を 参事官の奥さんに話した事からだ｡ [ 回想 ] しばらく前に 電話がありました｡ 無言電話でしたけど｡ 無言電話…？ いつごろ？ ひとつきほど前です｡ ひとつき前…？ 村串みずきにも 無言電話があった話をしたろ｡ [ 回想 ] (村串)うちにもあったのよ 無言電話｡ え!? ３週間ぐらい前だったかな｡ 昼間に私が出たら すぐに切れて➡ 夜 旦那が帰ったら またあって 今度は旦那が出てね➡ ｢うちには警察関係者が いるんだぞ｣とか言ってたら➡ 切れたのよ｡ ｲﾀｽﾞﾗだっていうのか…？ 美雲さんの実家にも 無言電話があったんだって｡ ひとつきぐらい前に｡ 美雲って うちの美雲か？ 参事官の実家にも 無言電話があったそうだ｡ うちよりも前にだ｡ 警察官は 電話帳に番号を載せないだろ｡ うちも今は載せていないが➡ おやじが生きていた14年前までは ここの番号を載せていたんだ｡ 分からないか？ ｢ﾏﾂｵｶ ﾐｶﾐ ﾐｸﾓ ﾑﾗｸｼ｣｡ マ… ミ…｡ あっ！ マミ… これって ｱｲｳｴｵ順？ ｱｲｳｴｵ順に 誰かが無言電話をかけてた…｡ 今度の被害者である 目崎の家にも➡ 10日前に無言電話があった｡ 14年前 雨宮さんは ｢もう一度 犯人の声を聞けば➡ 絶対に分かる｣と言っていた｡ [ 回想 ] ☎ (漆原)日吉！ どうした!? もしもし？ 雨宮です！ もしもし？ はい｡ 雨宮です｡ もしもし？ 雨宮です｡ はい…｡ (小声で)もしもし？ ｻﾄｳさん！ ｻﾄｳさん！ あ あ あ… 雨宮です｡ えっ… 直売所 野菜…｡ 翔子を助けて下さい！ お願いします！ じゃあ 雨宮さんが…➡ 無言電話かけてたの？ [ 回想 ] ≪ねえ パパ｡ 早く帰ろう｡ 昭和63年当時の 電話帳をめくって…➡ アから順番に 番号を押し続ける｡ 気の遠くなる話だ｡ [ 回想 ] ☎(呼び出し音) いつから始めたのかは分からない｡ 奥さんを亡くしたあとか… それ以前か…｡ [ 回想 ] ☎(呼び出し音) 雨宮さんにとって 犯人の声を探す事が➡ 生きる希望だったんだろ…｡ [ 回想 ] ☎(呼び出し音) 俺たち警察が とり逃がした犯人の声を…｡ 私も… 雨宮さんの無言を聞いたのね｡ ああ｡ 俺もだ｡ [ 回想 ] (電話のﾎﾞﾀﾝを押す音) ☎(呼び出し音) ☎ …あゆみか？ あゆみ｡ あゆみなんだろ？ どこにいる？ あゆみ 帰ってこい｡ 何も心配するな｡ 今すぐ帰ってこい｡ 帰ってきてくれ！ あゆみ！ あゆみ！ (電話を切る音) ♬～ 雨宮さんは その事を…➡ 俺の声と 三上という名を 覚えていてくれたんだ｡ [ 回想 ] 警察庁長官が お宅を訪ねたとなれば➡ 新聞は 大きく記事にしてくれます｡ ﾃﾚﾋﾞも ﾆｭｰｽで流し 多くの人が また➡ この事件を目にします｡ 新たな情報が 寄せられる可能性があるんです｡ ♬～ (すすり泣き) 申し訳ございません！ 出直してまいります！ [ｽﾋﾟｰｶ](雨宮)大丈夫ですか？➡ あなたは 大丈夫ですか？ 悪い事ばかりじゃありませんよ｡ きっと いい事だってあります｡ ♬～ 雨宮さん… ついに その声 聞いたのね｡ [ 回想 ] (電話のﾎﾞﾀﾝを押す音) ☎(呼び出し音) ☎(目崎)はい もしもし？ もしもし？➡ 目崎ですが｡ もしもし？➡ 歌澄か？ おい！ 歌澄なんだろ｡➡ もしもし？ もしも～し？➡ もしも～し？ もしも～し？ ハッ！ ♬～ 目崎…｡ 目崎…｡ ♬～ ああ… ああ…｡ ♬～ (すすり泣き) (目崎の泣き叫ぶ声) 雨宮さん じ～っと こう 空 見上げてた｡ 誰かに こう 何か報告するみたいに➡ じ～っと空 見上げてた｡ いい事は… あったのね…｡ 分からない｡ 何がいい事なのかも｡ おなか… すいたでしょ？ ああ｡ ちょっと待ってて｡ うん｡ うん！ うまい！ おいしい？ おい｡ ん？ 大丈夫か？ 何が？ 無言電話は あゆみからじゃなかったんだ｡ そうね｡ でも 俺は あゆみが元気だと信じてる｡ あゆみはね 生きるために 出ていったんだと思うの｡ 私 そう思う｡ きっと どこかにいるんだと思うの｡ ああなってほしいとか こうなってほしいとか望まずに➡ ありのままの あの子を 受け入れてくれる人が…｡ あゆみにとって 本当に必要なのはね➡ 私たちじゃない ほかの誰かなのかもしれない｡ ここじゃなかった…｡ 私たちじゃなかった…｡ それだけの事｡ ♬～ 俺には お前しかいない｡ そういう誰かは… お前しかいないんだ｡ 俺と結婚した事… 後悔しないでくれ｡ やだ｡ よかった｡ え？ だって あなたの方が 後悔してると思ったから｡ ばか言え｡ (すすり泣き) (すすり泣き) (すすり泣き) あなた｡ 会いたい｡ あゆみに会いたい…｡ (すすり泣き) 言っちゃ駄目｡ すまん…｡ 大丈夫… 大丈夫だから｡ (すすり泣き) ねえ｡ 食べ終わったら 少し横になったら？ 疲れてるのよ｡ ほら｡ (すすり泣き) ♬～ すまん…｡ ♬～ はい 松岡です｡ [ｽﾋﾟｰｶ]もしもし？ 三上です｡ どこから電話してんだ？ [ｽﾋﾟｰｶ]たまたま通りかかった 公衆電話です｡ 目崎は どうです？ 何かしゃべりましたか？ ☎(松岡)｢早く犯人を 捕まえてほしい｣と言ってる｡ 手ごわいですね｡ ☎(松岡)ハッ…｡ まあ そのうち弱くなる｡ 目崎は 外車ｾｰﾙｽをしていた頃 暴力団とのﾄﾗﾌﾞﾙで➡ 1,600万の借金を抱え込んだが 返済してる｡ それが動機ですか？ ☎(松岡)うむ…｡ あいつが 半分だけ握っていた紙には➡ ｢娘は小さな棺に入っている｣と 書かれてあった｡➡ 目崎は 自分の娘の事だと 思ったんだろうが➡ 小さな棺というのは 雨宮翔子ちゃんの事だ｡ それも追及するんですね｡ ☎(松岡)やつも 人の親だ｡➡ ﾏｽｺﾐには 何も言うなよ｡ 分かっています｡ 人間 言える事と 言えない事がある｡ 目崎が逮捕されれば 妻と娘は 犯人の家族になる｡ だから 実名は言えない…｡ そういう事でしたか｡ 参事官｡ 雨宮さんと 幸田は 生きてるでしょうか？ ☎(松岡)生きてる｡➡ 命懸けで事を起こした人間は➡ 結果を見るまでは 死んだりしない｡➡ 目崎を落とせば 必ず出頭してくる｡ しかし 参事官｡ たとえ ﾛｸﾖﾝを挙げても 捜査一課は祝福されません｡ (松岡)幸田メモの中身か？ そうです｡ ☎(松岡)気に病むな｡ 俺たちは 狩りの事だけ考えていればいい｡ 楽だろう デカは｡ 三上｡ また一緒にやるか？ その時が来たら お供させて頂きます｡ ☎(松岡)ああ｡ ♬～ 参事官 見えました｡ ♬～ ﾊﾊﾊｯ！ こっち｡ 先生 見て 見て｡ 見て 見て 見て｡ 何 かぶってんの？ やっぱり お前が騒動師だったのか｡ (二渡)騒動師？ 祭りを盛り上げるために わざと騒ぎを起こす道化だ｡ お前は 刑事部を脅すと見せかけ その危機感をあおった｡ 記者ｸﾗﾌﾞが 会見をﾎﾞｲｺｯﾄすると 知ってからは➡ わざと俺の目の前をちらついて 俺を挑発した｡ 半分 刑事の皮をかぶった俺に ﾎﾞｲｺｯﾄを中止させないためにだ｡ お前は 本当は 県警の 刑事部長ﾎﾟｽﾄを守りたかった｡ ついでに うちから ﾛｸﾖﾝの膿も 出してしまいたかったか？ (二渡)ﾏｽｺﾐ対策っていうのは そうやって物語を作る事なのか？ とぼけるなら とぼけるでいい｡ 最後まで聞け｡ ｢確かに 誤算はあった｣と 言ったな？ ｢結果ｵｰﾗｲだ｣とも｡ よく覚えてるな｡ 結果的に 今回の事件が➡ お前の願いを かなえてくれた｡ 犯罪が 刑事部を救ったって事か？ 皮肉も いいところだな｡ 本当の皮肉は これから始まるんだ｡ 二渡｡ 借りを返せ｡ お前に 借りなどない｡ 借りがないなら 貸しでいい｡ (ため息) 何をしろというんだ？ 俺を広報室から異動させるな｡ 参事官が会見に臨む時 広報官としてお供したいんだ｡ ♬～ 協定が解除されても 警察が 事件の全貌を明らかにするのは➡ 義務じゃないんですか？ 何の騒ぎだ？ 広報官｡ 目崎一家が どこにもいないんですよ｡ 目崎正人は まだ警察の監視下に あるんですか？ その妻と娘まで隠すのは なぜですか？ 警察が隠してる訳じゃない｡ 家族が ﾏｽｺﾐ被害を 恐れてるだけだろ｡ 雨宮さんもいないんですよ｡ 雨宮…？ (秋川) それは 何か関連があるんですか？ 知らん！ 何の話？ (秋川)中央署に➡ 雨宮漬物の従業員だった女性が 呼ばれたそうなんですけどね？ ほう？ 従業員？ (秋川)今更 また耳実験でも してるんですかね？ 分かりました｡ それじゃ こっちで 徹底的に調べます｡ 楽しみにしてて下さい｡ ちょっ ちょっ ちょっ 待って 待って 待って！➡ 教えなさいよ 秋川！ 秋川！ みんなに話しておく事がある｡ 刑事部が… 14年間 そんな隠蔽を…｡ 恐らく… というか確実に…➡ 目崎逮捕を機に ﾏｽｺﾐとの関係は死ぬ｡ 一度死んだ関係を どうやって再構築していくか➡ おのおので考えてもらいたい｡ 分かりました｡ (蔵前)私は それでも…➡ 雨宮さんには 無事に 出頭してほしいと思います｡ それは 警察の人間として 当然の事だ｡ (美雲) 私は ﾏｽｺﾐとの関係が死んで➡ たとえ 背中を向けられてしまっても➡ 諦めずに 背中でもいいから➡ ﾉｯｸし続ける事が 大切だと思います｡ たゆまずにです｡ たゆまずにか…｡ それは 広報の人間として 当然の事だ｡ ♬～ よし｡ 蔵前｡ はい｡ ♬～ ☎ (諏訪)おっ 秋川ちゃん｡ 広報ですよ！ どうした？ ハッ！ ああ やだ｡ びっくりした｡ おはよう｡ おはよう｡ 何か ずっと手入れしてなかったら➡ お花 全部 枯れちゃって｡ だけどね… 見て 見て｡ ほら｡ おお！ ﾌﾌﾌｯ｡ 何て花だ？ ｸﾘｽﾏｽﾛｰｽﾞ｡ ふ～ん｡ あゆみと一緒に植えたんだ｡ ♬～ 何年も咲かなかったのに➡ ず～っと生きててくれたんだね｡ 本当だな｡ つぼみだ｡ ﾌﾌﾌﾌ｡ ♬～ ねえ｡ このお花咲くの楽しみだね｡ もっと植えたらどうだ？ ほら 仲間を｡ 仲間？ うん｡ 買いに行こう｡ 望月のところに行けばいい｡ ≪おはようございます｡ ≪おい！ 朝早くから悪いな｡ あんまり時間がなくてな｡ (望月)分かってるよ｡ 新聞ぐらい読むからな｡ ご無沙汰してます｡ いらっしゃい｡ こっちですよ｡ はい どうぞ｡ きれい！ [ｽﾋﾟｰｶ] ああ… わあ きれい！ こっち こっち｡ 足元 気を付けて｡ はい｡ はい 三上です｡ 分かりました｡ ♬～ ☎ はい 三上です｡ もしもし？ もしもし？ ♬～ もしもし？ ＞＞１１時になりました。 ニュースをお伝えします。 厳しい経済状況が続くロシアでは､ 新車の販売台数が大幅に落ち込ん でいます。 極東のウラジオストクでは、 日本車などの新車をＰＲする展示 会が開かれました。

ストロベリー・ナイト＃08

1 （國奥）右半身だけが　死後硬直が 解けるのが　やけに早い。 （玲子）じゃあ　誰かが 死亡推定時刻を→ ごまかすために 細工したってこと？ （菊田）自分の気配を消して 消えた女→ 他殺の線が濃くなってきましたね。 必ず女が何かを知ってると思う。 春川　美津代　どこ行ったの？ 一緒に住んでいた 春川　美津代には知られたくない。 （菊田）だから　ここを使って こっそり受け取ってた。 （葉山）これって この前　射殺された→ 神部　剛敬じゃないですか？ （菊田）そして　ここには　けさ 遺体で発見された　鷹見　幸彦。 （湯田）けど　どうして　岸谷が 射殺された２人の組長の写真を？ 私は大きな間違いを していたのかもしれない。 ♪♪～ すいません　突然。 （林）君の突然には慣れてるよ。 そう言っていただけると 頼みやすいです。 （林）何かな？ はい。 これなんですが。 現場資料の鬼と言われる→ 林さんなら　見覚えのある顔も あるんじゃないかと思って。 （林）鬼は　やめてくれないかなあ。 （林）うちに帰れば かみさんの尻に敷かれてる。 （林）うん　うん　うん→ なるほど。 ご存じなんですか？ （林）君が持ち込むもの あれだね。→ 何だか　いつも厄介だね。 厄介な人たちですか　やっぱり。 （林）この男は　これ。→ 大和会系　暴力団 白楼会の若頭だった　岩倉　孝信。 ３年前に射殺されてる。 ホシは　まだ挙がってない。 えっ？ （林）そして　この女は。 （林）はい。　大和会系の傘下で→ イベントの企画なんかを 手掛けていた会社の女社長→ 中谷　優子。　これも殺されてる。 射殺ですか？ うん。→ そして　この男は。 取ります。 （林）ああ。 はい。 （林）木村　純一。 大和会とは関係ないが→ シャブの売人をしていた。 これも射殺。　４年前だ。→ で　これと　これは→ 先日　殺された　大和会系 神部組組長　神部　剛敬と→ 親和会系　鷹見組組長　鷹見　幸彦。 はい。 （林）その他は　今すぐには ちょっと分からないけど→ 根気よく　調べていけば きっと　みんな…。 殺されてる。 （林）たぶんね。→ そして　この「たぶん」は 限りなく１００％に近いと思うよ。 ありがとうございました。 大変　参考になりました。 （林）どうする？ この６枚についても→ 調べておくか？ お願いします。 （林）じゃ　ちょっと待ってて。 向こうでパソコンに読み込んじゃう。 はい。 １１人→ みんな殺されていたとして それに…。 《１７歳のときには　傷害致死罪》→ 《２９歳のときには 殺人罪で１１年の懲役》 １７歳と２９歳のときに１人ずつ→ 全部で　１３人→ １３　１３。 《全部で１３個》 あの木片も　全部で１３。 はっ！ （林）あっ おい　おい　おい　おい　おい　おい。 何だよ。 「待ってて」って言ったじゃん。 今泉係長。　少し お時間いただけないでしょうか？ （今泉）分かったのか？　アパートの例の遺体　自殺か　他殺か。 それ以上のネタをつかみました。 （今泉）んっ？ 神部と鷹見を殺したホシが 分かっただと？ それだけじゃありません。 過去５年間で未解決になってる→ ９件の射殺事件のホシも 分かりました。 何？ これを見てください。 これは　先日　田端のアパートで 遺体で発見された→ 岸谷という男が　民間の私書箱に 隠し持っていたもので→ この１１人は 全員　射殺されています。 おそらく。 おそらくじゃ　まずいだろう。 今　特設現場資料室の　林警部補に 確認をしてもらってます。 これだけの人間を全部→ その　岸谷って男が 殺したってのか？ 岸谷は大和会系の殺し屋です。 確信はあります。 岸谷のアパートから 彫刻刀で削った木片が１３個→ 見つかっています。　これです。 （今泉）う～ん これが何だって言うんだ？ 岸谷は１７歳のときに１人 ２９歳のときに１人→ 人をあやめて　刑に服しています。 この１１人に　その２人を足せば　１３。 （今泉）だから？ 岸谷は→ 自分が殺した人間の数だけ 木片を削っていた。 （今泉）何のために？ 何のって　記念とか。 あのなあ　姫川。 私の班も射殺事件の帳場に→ 入れてください。　お願いします。 （日下）まさか　やらせるつもりじゃないでしょうね　今泉係長。 （今泉）おお　日下。 姫川。　毎度のことだが→ お前　よく　そこまで　ぺらぺらと 絵空事を並べられるな。 絵空事って何でしょう。 しかも　立ち聞きですか？ お前の話には　確証がない。 つまり　判断する材料が 足りないということだ。 第一　その　岸谷という男は なぜ　死んだんだ？ 他殺なのか？　自殺なのか？ 他殺だと思ってましたけど 今は自殺だと。 じゃ　その根拠は？ 明確な根拠はありません。 根拠もなしに 他殺から自殺に変えたのか。→ そもそも　どうして 遺体の右半身と左半身で→ 死後硬直の解けるのが違うんだ。 ちょっと→ 何で　そんなことまで知ってんのよ。どうなんだ　姫川。　答えは？ （日下）それとも　そのことは さして重要ではないと→ 判断したのか？→ じゃ　その判断は どこから導き出した。 重要じゃないなんて 言ってませんけど。 （日下）そうか ただ調べてないだけか。→ そんなことも調べないで 何が確信だ。→ 確信と確証とは大きく違う。 お前の勘に頼った とんちんかんな確信は→ 捜査を混乱させるだけだ。 日下。 まあ　確かに。 姫川。 ネタを推理で　つなぎ合わせるな。 もう少し　間を埋めてから 報告しろ。　分かったな。 分かりました。 失礼します。 （今泉）しかし→ お互いに　もう少し 歩み寄れないもんかねえ。 お前たち　同じ十係だろう。 私の方は　じゅうぶん 歩み寄ってるつもりです。 失礼します。 （ため息） （湯田）どうでした？ （湯田）えっ。 なめてんじゃないわよ。 （葉山）玉砕みたいですね。 あ～。 （ため息） あ～。 主任。 あん？ 持ってないわよね。 吸わないもんね　菊田。 買ってきます。 いいよ。 いい。 部下に　たばこ　買いに行かせるって何か最低っぽい。 そんなことありません。 あの　事件が起きると 捜査しますよね。 それで　普通は 逮捕ってことになるんですけど。 でも　あの　刑事ドラマって そうじゃないんすよね。 ドラマ？ ええ。→ 捜査をすると その捜査は壁に　ぶつかったり→ 暗礁に乗り上げたり→ あれ？　現実でもそうか。 あっ　まあ　とにかくですね→ にっちもさっちも　いかなくなって葛藤して→ でも　そのうち みんなで知恵を絞って→ 小さな打開策を見つけて それで　やっと逮捕。 よくできた刑事ドラマは だいたい　そうなってるんです。 子供のころ 好きで　よく見てました。 菊田。 はい。 もしかして　それって 私をフォローしようとしてんの？ 行くわよ。 （菊田）はい。 ♪♪～ とにかく　春川　美津代の身柄を 全力で確保すること。 そうすれば 事件の全貌が見えてくる。 もう一度 ノリはアパート周辺から。 保さんと康平は 美津代が働いていた→ スナック「楓」からの 足取りを探って。 （３人）はい。 （石倉）分かりました。 あんな　きな臭い写真を 隠してた場所に→ どうして　岸谷は この写真を入れてたんですかね。 救いだったんじゃないのかな。 救い？ 彼女　心から笑ってる。 彼女の　この笑顔が 岸谷の救いだったんだと思う。 じゃあ　この写真は岸谷が。 間違いない。 これは岸谷が撮った写真。 （ため息） だけど→ どこなんだろう　ここ。 この島。 （今泉）網代？ 伊豆にある　網代です。 （今泉）そこに 春川　美津代がいるってのか？ 後ろに小さく写ってるのが 網代から見た→ 初島であることが分かりました。 （今泉）お前　これだけの理由か。 確証はありませんが→ 確信はあります。 懲りてないな。 行かせてください。 （今泉）お前の勘を→ 信じろってのか？ お願いします。 （ため息） ふと　頭に浮かんだことが→ 案外　重要なことを 引き出すことだってある。 俺も　その「ふと」ってやつに ずいぶん　助けられた。 係長。 静岡県警には 俺の方から連絡　入れとく。 手ぶらでは戻るなよ。 ありがとうございます。 ≪（井岡）あの　お話　いいすか？ 何だ。 （井岡）日下主任は　その→ 何で　玲子ちゃん…→ 姫川主任に んな　目くじらを立てはるんすか？ そら　まあ　ねえ おんなじ　十係の主任同士→ ライバルなん　分かりますよ。 ありがと。　捜査スタイルも 情報と勘　全然　違いますしね。 ちゅうたかてね　んな 親の敵みたいに　何でですの？ （日下）俺は 目くじらなんか立ててない。 立ててますやん。 そば湯　いいすか？ デカに勘は必要不可欠だ。 それぐらいの気持ちは 俺にだってある。→ ただ　それで絞り込むのは 危険が付きまとう。→ 俺は　そう言ってるだけだ。 正直　言うとな 姫川の　そういうところが怖い。 いつか　取り返しのつかない失敗 するんじゃないかと→ 見ていて　ひやひやする。 ２人の関係の方が ひやひやですわ。 俺が　姫川に持ってる感情は それだけだ。 別に嫌ってるつもりはない。 ホンマですか？ そば湯。 （井岡）あっ　はい。 （日下）だが　あいつは違う。 あいつは明らかに俺を嫌ってる。 その理由が分からん。 判断するにも材料がない。 何か やらかしたん　ちゃいますの？ 自分でも　気　付かんうちに 姫川主任に嫌われるようなこと。 何かって　何だ。 （井岡）んっ？　何か例えば　その→ 無理やり　近づいていく　こう ストーカー的なセクハラ。 ない。 ここだ。 （井岡）五十嵐興業？ あっ　やくざ屋さん。 （暴力団員）何やってんだ　この野郎てめえ　こら。 （若頭）あんた　どこの組の者だ。 組長さん　いらっしゃいますか？ 少し　お話　伺いたいんですけど。 （井岡）うわ　この人も意外と強引。 この場所ね　写真を撮ったの。 （菊田）ええ。 あとは主任の勘　信じます。 私　いいのよね　くじ運。 「これだ」って思って選んだら だいたい　当たっちゃう。 商店街の福引なんか。 そうなんすか？ 何？ いや　ほら　あの→ 人間の　つきの数って決まってる っていうじゃないっすか。 あんまり無駄打ちしない方が。 ネガティブよね 菊田って　そういうとこ。 だから　パチンコでも 負けっ放しなんじゃない？ あのですね…。 ほら　行くわよ　早く。 はい。 この女性を→ 見掛けたことありませんか？ ４年くらい前に　この辺りに 住んでたこともあるんです。 すいません。　警察の者ですが。 （男性）いや ちょっと分かんないですね。 （男性）見たことねえな。 そうですか。 ありがとうございました。 ありがとうございました。 この女性を見掛けたこと ありませんか？　４年ほど前…。 ありがとうございました。 （菊田）ありがとうございました。 そうですか。 ありがとうございました。 （菊田）ありがとうございました。 （菊田の　ため息） 菊田。 はい。 ため息の数だけ→ 手掛かりは逃げてく。 すいません。 春川　美津代は　いる 必ず　私の前に現れる→ 必ず。 はい。 （翼）ありがとう。 ねえ　僕。 この女の人　見たことないかな？ （翼）知ってるよ　僕　この人。 知ってるの？ （翼）うん。 （女将）あっ　それ終わったら お膳の支度　手伝って。 （美津代）はい。 ≪恐れ入ります。 春川　美津代さん　ですよね。 [TEL] はい　葉山です。 主任が？ （石倉）ああ。 春川　美津代を確保した。 西ヶ原署に向かってる。 部屋で男の人が死んでいると 通報なさったのは　春川さん→ あなたということで よろしいのでしょうか？ （美津代）はい。 では　なぜ警官が→ 到着するのを お待ちにならなかったんですか？ あなたは　遺体で発見された男性と暮らしていた。 村田　一夫　いえ→ 本名は　岸谷　清次。 あなたは　岸谷と暮らしていた という形跡を消して　部屋を出た。 どうしてですか？ （ため息） では　質問を変えます。 あなたは　岸谷に前科があることをご存じでしたか？ ご存じでしたよね。 １７歳のときの傷害致死 ２９歳のときの殺人罪。 それ以後の罪については ご存じありませんでしたか？ 具体的に言います。 岸谷がプロの殺し屋だったことを あなたは知っていましたか？ 私が　殺したんです。 誰を殺したんですか？ 岸谷です。 （美津代）私が→ 私が岸谷を…。 （美津代）岸谷　清次を→ 殺したんです。 あの日　岸谷とあなたに 何があったんですか？ 春川さん。 殺したと　おっしゃった以上→ 警察は　このまま あなたを帰すわけにはいきません。 おっしゃってください　全て。 （湯田）どうでしたか？ （葉山）だんまりですか。 認めるには認めた。 自分が岸谷を殺したって。 でもね　それ以外 彼女　何も　しゃべらない。 （ため息） 私には彼女がホントのこと 言ってるとは思えないのよ。 それじゃ　主任は　やはり 春川　美津代の犯行じゃないと？ （ため息） 何があったの　あの日。 どうして　遺体の右半身と左半身で死後硬直の解けるのが違うのよ。 （ため息） 冷たいもの。 （國奥）《何か冷たいものでね 右半身だけを長時間→ 冷やしたことで 体温を下げるのを早めた》 春川　美津代は なぜ　そんなこと　したんだろう。 ≪（井岡）玲子ちゃん。 （ため息） また。 （井岡）何　たそがれてるんすか？ 別に。 （井岡）ひょっとして　ホテルの 一人暮らしが　さみしいとか？ はあ？ （井岡）ハハ　んなね→ 言うてくれたら 僕　飛んで行きますのに。→ あっ　いっそのこと　あれですね→ この近所にマンション借りて 一緒に住みますか。 借りたとしても あんたには絶対　教えない。 （井岡）ホンマに借ります？ （ため息） あのね　考え事してるの。 消えてくれる？ 相変わらず　冷たいことを。 フフフフフ。　あっ→ そりゃそうと　やりましたよ。 日下主任。 んっ？ 小さなことから　こつこつと。 僕ね 初めて目の当たりにしました。 日下が何か　つかんだの？ えらいもんを。 いや　つながっとったんですよ→ 敵対する 神部組の組長と鷹見組の組長が。 えっ？ いや　ご存じのとおりね→ 神部組は大和会系でしょ。 その大和会の大納会で→ 神部組の組長 幹部になられへんかったんす。 どうやら内輪で 神部を蹴落とそうとする→ 算段があったみたいです。 そこで 神部は大和会に見切りをつけて→ 親和会系の鷹見組と手を組んだ。→ そうやって 自分を蹴落とした人間に→ 復讐する計画を立てたんです。 ところが その計画が大和会に漏れた。 鷹見も神部も殺された。 （井岡）そうなんですよ。 大和会の抱えるプロの殺し屋にね。 せやからね　今 向こうの帳場は大騒ぎなんですよ。 事件の核心が 最大級の指定広域暴力団→ 大和会の本丸でしたからね。 その情報を日下が？ （井岡）ええ。　僕と一緒にいた おかげなんですけどね。 ちょ　ちょっと。 アハ。 小さなことから　こつこつと。 ウフフ。　僕も実践してみました。 あのね。 アハハ。　まあ　しかし→ なんぼ何でもね こんな近かったら→ ちょっと照れますね　ヘヘ。 あっ　すいません。 んっ？ 離れないで。 えっ？ このままでいて。 嘘でしょ？ いて。 やっと僕の思いが届きましたか。 いや　そうなんすよ。 人間というのはね→ 肌と肌のぬくもり。 これが大事なんです。→ いや　うれしいな。→ 玲子ちゃん…。 そっか！ そういうことか。 そういうことなんですよ。 ほな　部屋は広めの １ＤＫでいいですか。 逆だ。 逆？　んっ？ えっ？　どういうこと？ ビンゴ！ 逆だったのよ。 逆？ 國奥先生にも確認した。 冷たいものが 右半身を冷やしたんじゃなくて→ 何か温かいものが 長時間　左半身に乗っていても→ 死後硬直の解ける時間は違うって。 ♪♪～ ♪♪～ ありがとう。 昨日は眠れましたか？ （美津代）はい。 そうですか。　それはよかったです。 亡くなった　岸谷は→ 右半身と左半身で　死後硬直の 解ける時間が違っていました。 私には ずっと　そのことが不思議でした。 犯人が 死亡推定時刻をごまかすために→ 細工をしたんじゃないかと 思ったりもしました。 でも→ その訳が　やっと分かったんです。 春川さん。　それは→ あなたが　一晩中 岸谷の隣で添い寝をしていたから。 あなたは　昨日　殺したと おっしゃっていましたが→ 岸谷は間違いなく自殺です。 菊田。 はい。 ♪♪～ ♪♪～ あなたが 彼についての全てを　その胸に→ 一生しまっておこうとするのは 理解できます。 でも　それは あなたが思ってる以上に→ とても苦しいことだと 私は思います。 岸谷は何をしたのか なぜ死んだのか→ われわれは　おそらく それをつかんでいます。 でも私は→ それを あなたの口から聞きたいんです。 警官としてではなく→ 女として。 岸谷と出会ったのは…。 ６年ほど前です。 大阪でした。 私が　３１か２で。 あの人が３８。 出所して　すぐのころです。 （岸谷）《あっ　あの 店長さん　いらっしゃいますか》 《店長》 （岸谷）《すいません》 （美津代）寡黙な人でした。 でも　たまに笑うと→ 何か子供みたいで　かわいくて。 間もなくして→ 私たちは　難波の アパートで暮らし始めました。 だけど　半年ぐらいしたら→ 急に　岸谷が…。 （美津代）《何？　どうしたのよ》 《ねえ》 《すぐに大阪を出るんだ》 （美津代）何だか よく分からなかったけど→ あの人の様子が ただごとじゃなかったので。 一緒について行きました。 それからは→ 各地を転々として…。 岐阜　長野　静岡。 でも　どこに行っても…。 誰かが　あの人を 追っ掛けてくるようでした。 誰が追っ掛けてくるか 私には分からなかったけど→ とにかく 何かが　追っ掛けてくるんです。 大和会ですね。 （ため息） （美津代）私には。 東京に戻ったのは ３カ月前のことです。 ♪♪～ ♪♪～ 《どうすんの？　そんなの》 （美津代）幸せでした。 （美津代）でも→ ここでも幸せは続かなかった。 しばらくすると。 《美津代　おい　帰ってるのか？》 （うめき声） （高井）《久しぶりだな　岸谷》 《動くな》 《動くと　この女を殺す》 《もう　俺のことは ほっといてくれないか》 （小田）《そうはいかないよ》 《その女が どうなってもいいのか》 《逃げて》 《私のことは　いいから　逃げて》 《美津代》 《聞き分けのいい女じゃねえか》 《たっぷり 楽しませてもらおうか》 （高井）《どうするんだ？　岸谷》 《分かった》 《引き受ける》 （美津代）それからの　岸谷は…。 （美津代）今までより→ 明るくなったっていうか→ 何か吹っ切れたような感じでした。 でも…。 １０日ほど前に　突然→ 岸谷は 別れようって言いだしたんです。 「俺と一緒にいると お前は不幸になる」って。 （岸谷）《出てけ！》 （美津代）《やだ　嫌　やだ》 《出てけって言ってるんだ》 （美津代）《開けてよ。 ねえ　開けて。　ねえ　開けてよ》 《ねえ　開けて》 その翌日 神部組の組長は射殺された。 （神部の　うめき声） あの日。 ≪（ドアの開く音） （美津代）《おかえり》 （美津代）岸谷からは 火薬のような臭いがしました。 《消えねえ　まだ消えねえ》 （美津代）それで分かりました。 （美津代）あの人が 何をさせられてきたのかを。 《消えねえんだ》→ 《消えねえ　消えねえ》 （美津代）《やめて》 （美津代）《やめて》 （岸谷）《消えねえんだよ！》 岸谷が　匂いのする木で→ 彫刻を作りだしたのは 翌日のことです。 ≪（木片を削る音） （岸谷）《地蔵には見えねえよな》 《下手だよな》 《ごめんな　ごめんな》 （美津代）私には　その音が…。 （美津代）あの人の心を 削っていくように聞こえました。 岸谷から スナックに連絡があったのは…。 [TEL] （美津代）次の日のことです。 《ちょっと　ごめんなさい》 [TEL] 《もしもし》 （岸谷）《終わりにしよう》 《美津代　ありがとうな》 《待って》 《もしもし　もしもし》 （美津代）私は…。 （美津代）岸谷が死ぬつもりだと 直感しました。 （美津代）だけど…。 （美津代）間に合わなかった。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （美津代）不思議と 悲しくありませんでした。 これで　この人は 楽になったんだって思ったら。 ほっとしたっていうか。 それで　添い寝を。 この人といられる 最後の夜だと思って。 ♪♪～ でも　通報されたのに→ どうして　ご自分の形跡を消して 部屋を出たんですか？ （美津代）通報したのは このまま彼が→ 誰にも見つからなかったら かわいそうだと思ったからです。 （美津代）エアコンは→ 腐敗が少しでも 遅くなるんじゃないかと思って。 部屋を出たのは？ どうして？ あなた。 妊娠してるんですね。 部屋を出たのは→ おなかの子供のためですか。 父親が…。 殺し屋だったことを…。 もし　この子が知ったら。 （美津代）消してあげたかった。 苦しみ続けた　岸谷のためにも。→ でも　結局 助けてあげられなかった。 ♪♪～ 岸谷は　この写真を 大切に保管していました。 彼にとっても→ あなたは　掛け替えのない 大切な人だったんだと思います。 暗い闇の中の たった一つの救いだったと。 （泣き声） （泣き声） いいわよ。 （美津代の泣き声） ♪♪～ （日下）不起訴になった。→ 岸谷が死亡してしまった以上→ 彼が過去に　どんな罪を 犯してようと　全ては不起訴。→ これ以上ない　闇から闇への話だ。 （ため息） むなしいですね。 岸谷に 殺害の指示を出した大和会まで→ たどり着けないなんて。 （日下）相手は 日本最大の広域指定暴力団だ。→ 一筋縄ではいかんさ。 でも。 （ため息） いつかきっと。 （日下）それは俺の仕事だ。 お前の仕事じゃない。 当てずっぽうでも 当たれば文句ないだろうという→ お前の捜査を　俺は認めないぞ。 私も→ いつまでも重箱の隅を ねちねち　突っつくような→ めんどくさい　あなたの捜査→ 大嫌いです。 失礼します。 ♪♪～ ♪♪～ 今度はライターですか。 ああ　ついてないのかな。 このごろ　たばことライターが 揃ったことない。 つき　こんなところで 使ってほしくないですけど→ よかったら。 んっ？ パチンコです。 やっと勝ったんだ。 気の利く部下を持つと楽だ。 ありがとうございます。 さっき 科捜研から連絡ありました。 例の木片のことで。 そう。 あの木片→ シキミっていう木だそうです。 シキミ？ ええ。→ モクレン科の常緑樹です。 語源には 「悪いしき実」と書いて「悪しき実」 その「あ」がなくなって　シキミに なったという説があるそうです。 シキミの実は 猛毒を持ってるから→ そういうネーミングに なったんだろうって。 岸谷は そのことを知ってたんですかね。 ♪♪～ 悪しき実。 ♪♪～

あさが来た＃032

1 ♬～ <夏美の電話は➡ 一度も 鳴らなかったのでございます> (忠興)また お前の事やから➡ いらん口出しして お家の皆さんを 困らせてるんと違うか？ (あさ)へぇ…｡ <あさの父 忠興は 新政府に尽くした功績を買われ➡ 今や日本経済の中心を担う 実業家となっておりました> (正吉)ああ どうも｡ いや～ いやいやいや➡ お忙しい中 よう来てくれはりましたな｡ …で こちらには お仕事で？ いや まあ 商用もあったんですが➡ じきに 東京に本居を移してしもたら➡ なかなか気軽にお目にかかる事も でけへん思て 寄せて頂きました｡ (よの)それは わざわざ おおきに｡ もうええ｡ …で お前は 近頃は どないしてるんや？ あっ うちだすか？ うちは 石炭採る山 買うために➡ 九州へ行きたい思てますのや｡ はぁ？ 九州!? 炭坑いうて 石炭を掘り出す商いが あるんやそうだす｡ せや｡ お父はんから見て 石炭て どない思いはります？ なぁ あさ｡ へぇ｡ お前が九州へ行ってしもたら➡ 誰が新次郎さんのお世話を するんや？ ああ… それは…｡ 旦那さんのお世話もせんと 余計な事ばっかり考えて➡ 相変わらずの このアホ娘が！ ｷｬｯ！ 堪忍！ 待ちなはれ！ おいどを出せ おいどを！ おいど!? こら あさ！➡ 反省せい！ (たたく音と悲鳴) (新次郎)痛い！ (忠興)反省せい お前は！ そんな たたいたら痛いがな｡ ♬｢朝の空を見上げて｣ ♬｢今日という一日が｣ ♬｢笑顔でいられるように｣ ♬｢そっと お願いした｣ ♬｢時には雨も降って｣ ♬｢涙も溢れるけど｣ ♬｢思い通りにならない日は｣ ♬｢明日 頑張ろう｣ ♬｢ずっと見てる夢は｣ ♬｢私が もう一人いて｣ ♬｢やりたいこと 好きなように｣ ♬｢自由にできる夢｣ ♬｢人生は紙飛行機｣ ♬｢願い乗せて飛んで行くよ｣ ♬｢風の中を力の限り｣ ♬｢さあ 心のままに｣ あ～ ｲﾀﾀﾀﾀ｡ (うめ)そやけど 懐かしい お姿でしたなぁ｡ あないに たたく事あれへんのに！ うち もう大人やで｡ あさちゃん｡ おいどは ご無事だすか？ あ～ら 行ってしまいはった｡ (笑い声) あんな娘で ほんまに申し訳ございません｡ なんの なんの｡ いやいや 私なぁ➡ あささんが ここへ嫁に来てくれて ほんまに よかったと➡ 思てますのやで｡ ほんまですか？ まさか…｡ いやいや｡ 今井さんと よう似て えらい度胸と商才のある➡ お嬢さんだっせ｡ ほう…｡ (正吉) 今の時代の流れというものは➡ 両替商なんて そんな商い自体が➡ もう成り行かんように なってきてますのや｡ そんな中で この店を変えようと してくれてはるのが➡ あささんだす｡ ﾊｯﾊｯﾊ｡ あさが？ はいはい｡➡ いや 私もなぁ… 今井さんほどの年の頃やったら➡ もうちょっと 柔軟やったんだすけどなぁ｡ 年取ってしもたら もう頭が固うなってしもて➡ もう さっぱりだすわ｡ ええ｡ その上 この跡継ぎの榮三郎は まだ幼い｡ 後見人の新次郎は ええ年して… 何や こう➡ しっかり育ってますなぁ という訳にもいかんような➡ ありさまでございましてなぁ｡ 私の若い時と➡ よう何か似とるような気が しますんやけど…｡ いや その新次郎でさえもがだっせ 何か あささんのおかげで➡ 少～しずつ変わってきてるような そんな気がしますのや｡ あの あささんのね どんな事があっても➡ ｢うわ！ びっくりぽんや｣言うて ほうと受け止めはる➡ あの柔らかい力こそが この今の加野屋には➡ もう絶対に 欠かせん事だすのやなぁ｡ (笑い声) 皆が 加野屋はんのように 思てくれてる訳ではございません｡ ほんま おおきに！ いやいやいや…｡ ええ所に嫁がせて頂きました｡ そんな… 何をおっしゃいます｡ こっちこそ ええお嬢さんを頂いて おおきに！ ♬～ (はつ)よいしょ｡ あっ…！ (栄達)気ぃ付けてや｡ へぇ すんまへん｡ 足手まといになってしもて｡ 足手まといやなんて…｡ あんたにはなぁ 末の望みが懸かってますのやで｡ あんたのおかげで 今の生活にも 張りが出来ましたんや｡ どないな時であれ そのおなかの中の子は➡ 大事な山王寺屋の跡取り｡ 私が ちゃんと育てますよってな｡ おおきに お父様｡ ああ それからな これからは➡ お父ちゃんで ええわ｡ お父ちゃん…？ うん｡ おふゆさんもなぁ 旦那様やのうて お父ちゃんで ええな？ (ふゆ)へぇ｡ ほな そうさしてもらいます｡ ああ｡ おおきに お父ちゃん｡ うん｡ おはつ様 生き生きしておられますなぁ｡ ほんまに 会うていかはれへんのだすか？ ああ｡ ♬～ (栄達)ああ…｡ ♬～ うちと お姉ちゃん➡ おんなじように 大阪に嫁いできたのに➡ まるで生き方が 違てしもたなぁ思て｡ 山王寺屋のお母様に 言われたんだす｡ お家 潰れたのが 自分やのうて➡ お姉ちゃんで よかった 思てんのやろて｡ せやけど… 何が幸せかなんて 分かれへん｡ 何や 大人びた事言うて｡ これでも もうちょっとは 大人だす｡ (笑い声) もう うめ！ 笑わんといて｡ 炭坑は 日本の国力を増す 意義のある事業や｡ 京都でも 鉄道会社設立の動きがある｡ これからの石炭産業の発展は 間違いないやろう｡ やっぱり｡ けど 難しいなぁ｡ 炭坑には 手に負えん 荒くれ者も多いらしい｡ よっぽど しっかりした男が 棟りょうにならん事には…｡ うちに でけしまへんやろか？ その棟りょういうの｡ おあさ様！ 旦那様は｢しっかりした男｣と➡ 言わはりましたんだっせ｡ あ… 堪忍｡ 誰が考えても 女には無理や思うやろ｡➡ いっぺん 立ち止まって ほんまに できるか➡ よう考えてみぃ｡ それでも できる思うんやったら➡ 助けはせんが 勝手に頑張れ｡ え？ お前にとって お家を守るいうんは そういう事なんやろ｡ おおきに お父はん｡ <忠興の言葉は あさにとって➡ 何よりの 応援の言葉となりました｡➡ そのころ 東京では…> (大久保)大阪にある 面白かもんちゅとは➡ おなごじゃっどがな？ さようでごわす！ …と言えば かっこよかとこ じゃっどん➡ まあ そいだけではごわはん｡ では 達者でな｡ 官と民 立場は変わっても➡ おいは おはんがする事を ず～っと見続けちょで｡ <そして 年も明けて➡ 両替屋が 時代に取り残される 商いとなる中➡ 今日も あさは お家のため 炭坑へ行く事を考えていました> ああ… 何と言うても 先立つもんは お金やなぁ｡ あ～ お金お金お金… お金お金…｡ (亀助)今日も また お金の心配してはりますなぁ｡ (よの)なんと色気のない事｡ 何 見てはるんだすか？ うちが持ってきた 婚礼道具の目録や｡ え～ たんすが21さお 長持ちが７つに➡ 唐柩 厨子棚 琴…➡ みんな売ったら なんぼくらいになるやろか？ はい？ これ 売ったお金と 持参金➡ いつか 炭坑を買ういう事になったら➡ すぐ払えるように 用意しておきますのや｡ 何を言うてはりますのや！ これらは みんな➡ 今井の旦那様と奥様が 長い年月かけて➡ お支度してくれはった ものだすがな！➡ 普通の娘さんやったら 一生に いっぺん 買うてもらえるか➡ どうかっていう品物やのに｡ もったいない！ ♬～(琴) お父はん お母はん…➡ 堪忍！ よっしゃ｡ 聞いてましたんか？ ♬～ 何で あっこまで できんねやろなぁ…｡ (美和)珍し事｡ 今夜は もう二人っきりだす｡ ん？ ああ ほんまやなぁ｡ どないだす？ もうお酒は これくらいにして…｡ まあ 冷たい お手やこと｡ ♬～

あまちゃん＃146

1 (吉田)来た～！ (歓声) (春子)<地元系ｱｲﾄﾞﾙ GMT5が 北三陸に やって来ました> (大吉)じぇじぇじぇじぇじぇ…！ (アキ) やっぱり 現役ｱｲﾄﾞﾙは違うなあ｡ (歓声) ♬～(ﾃｰﾏ音楽) (しおり)お～！ (小野寺)おもしぇなあ！ こっちも お店なんですか？ (吉田)ええ｡ ﾎﾝﾄは ｽﾅｯｸ営業の時間だけ➡ 開放するんですけどね｡ いや～ それにしても 皆さん わざわざ 遠いところ｡ (河島)ﾁｬﾘﾃｨｰｺﾝｻｰﾄで 東北を ﾂｱｰ中なんです｡ 昨日は宮古で 今日は移動日なんで｡ (磯野)何か まだ信じられません！ こんな田舎に天野以外のｱｲﾄﾞﾙが…｡ (菅原)ＧＭＴが やって来た｡ じぇじぇじぇだな｡ ところで 天野｡ あっ 流された｡ 紹介してよ 例の相方｡ 相方？ 潮騒のﾒﾓﾘｰｽﾞの なまってない方ね！ (真奈)かわいか方やなかと？ ああ ユイちゃん？ (ユイ)何？ …かわいい！ こちら ｵﾌｨｽﾊｰﾄﾌﾙの ちっちゃい方の河島さん｡ うん｡ まあ あの… 大きい方は いないんだけど｡ どうも か… 河島です｡ あっ 水口さんの？ (河島) そうそう あいつ 俺の後輩｡➡ ﾌﾌﾌｯ 今 いくつ？ 買い物 行ってくるね｡ ああ 買い物 行くんだ｡ あっ うん｡ ごめん｡ ﾎﾝﾄ お人形さんのごと かわいかね｡ (ﾍﾞﾛﾆｶ) 素材の違いは 否めないよネ｡ 否めない｡ でも 何か 影があるね｡ そこが いいんだよ｡ ごめん｡ 多分 人見知りしてんだ｡ しゃべってみたら 意外と おもしれえし｡ そのｷﾞｬｯﾌﾟが また たまんねえんだ｡ たまんねえ！ ところで おなかすいてない？ ウニ丼 ちょうど 人数分あんだけど｡ (一同)やった～！ その前に 差し支えなかったら 例のやつ見たいな｡ 例のやつ？ はい～｡ あの～➡ ｢ずんだ ずんだ｣っていう…｡ 自己紹介は さすがに差し支えありますね｡ ちょっと 今日は ﾌﾟﾗｲﾍﾞｰﾄなんで｡ やっぺし 河島さん｡ アキちゃんの地元だし｡ そうだよな ﾁｬﾘﾃｨｰﾂｱｰですからね｡ ﾊﾊｯ 言ってみるもんだ！ (ﾋﾛｼ)ｳｪﾌﾞ用に 動画撮ってもいいですか？ 動画 動画は…｡ 駄目ですよね｡ は～い！ 海はないけど 夢はある！ 埼玉在住 ＧＭＴの元気印 入間しおり 19歳で～す！ しおり～ん！ (４人)しおり～ん！ 宮城と言えば？ (５人)♬｢ずんだ ずんだー！｣ おいしい お米と？ (５人)♬｢ずんだ ずんだー！｣ わたすの名前は？ (５人)小野寺ちゃーん！ え？ 呼んだ？ (５人)♬｢呼んだ 呼んだ～｣➡ いぇーい！ 福岡県…！ 佐賀だろ～！ ｽﾄｰﾌﾞさん 真奈ちゃん推しですか？ 佐賀県出身の遠藤真奈です！ がばいよ～ がばいよ～！ (５人)大丈夫？ ﾊｲｻｰｲ！ 沖縄出身 喜屋武ｴﾚﾝ！ ｺﾞｰﾔｰ！ ﾁｬﾝﾌﾟﾙｰ！ そこは返さなくていいんです｡ 毎回 ｱﾄﾞﾘﾌﾞなんで｡ ﾌﾞﾗｼﾞﾙと山梨なんだけど➡ 何カ？ ﾍﾞﾛﾆｶです｡ (拍手) (しおり)５人合わせて 地元系ｱｲﾄﾞﾙ せ～の！ (５人)GMT5！ (拍手と歓声) (今野)あらららら 何だか➡ 有名なｱｲﾄﾞﾙ来てるって 聞いたんだけど！ 残念｡ 今 自己紹介 終わったとこだ｡ あら～…｡ (弥生)え～!? もう一回 お願い できませんか？ あの これ 復興祈願の靴下 ﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄすっから｡ (かつ枝)あ～ いた いた！ あっ かつ枝さん｡ かつ枝さん！ おめえたちの好きなＧＭＴだど！ (鈴)かつ枝さん 琴が好きなのＡＫＢだけど…｡ うるせえ！ 残念｡ 今 自己紹介 終わったとこ｡ ほれ そこ なんとか お願いします！ (琴の泣き声) このとおり！ これ 結構 消耗するんですよ｡ 大ﾌｧﾝなんです～！ (河島)大ﾌｧﾝの顔じゃないでしょ｡ や… やります｡ ﾁｬﾘﾃｨｰ ﾁｬﾘﾃｨｰ！ 宮城と言えば？ (弥生)お米！ (一同)♬｢ずんだ ずんだー！｣ <そのころ 東京でも➡ あるﾁｬﾘﾃｨｰの企画が 進行していました> (荒巻)番組の企画なんですけどね そんなのが｡ 何 何…｡ ｢著名人 総勢80名による ﾁｬﾘﾃｨｰｿﾝｸﾞ｡➡ 楽曲は 森山直太朗さんの『さくら』｣｡ 無理 無理 無理！ お断りします｡ (荒巻)でも ﾁｬﾘﾃｨｰでしょ｡ 断りづらいなあ｡ 歌わせんの？ まさか｡ …ですよね｡ え？ 本人は ｵﾌｧｰがあった事 知ってんの？ 家内に…｡ (せきばらい) 鈴鹿さんには見せていません｡ というのも 最近 家内… は➡ 歌に 興味を示しておりまして｡ え!? 口の堅い ﾎﾞｲｽﾄﾚｰﾅｰを紹介しろと｡ あなたが あんな事 言うから｡ [ 回想 ] 音痴様々です！ (鈴鹿)ひどい！ 私のせい!? やだ 怖い！ …ってか 無理！ 絶対無理音感の 持ち主なんだから！ 分かってます｡ 誰よりも分かってます｡ でもね 歌うの 歌詞➡ ｢さくら さくら｣の １行だけなんですよ｡ そうなんだ｡ はい｡ ただし➡ 前を歌うのが 森 公美子｡ 後ろが ｾﾘｰﾇ･ﾃﾞｨｵﾝ｡ ｢(交渉中)｣なんですけど｡ ｳﾌﾌｯ！ 無理！ 音痴が際立つ！ (喜屋武)喜屋武で～す！ ﾐﾐｶﾞｰ！ ﾁﾗｶﾞｰ！ ﾍﾞﾛﾆｶですけど 何カ？ (拍手) じぇじぇ！ (拍手と歓声) 岩手県北三陸で 海女さん やってます！ 潜水士の資格も持ってます！ 海女ちゃんこと 天野アキです！ (拍手と歓声) じゃあ ５人… ６人合わせて 地元系ｱｲﾄﾞﾙ せ～の！ (６人)GMT6！ (拍手と歓声) (安部)さあ まめぶ出来たよ！ (しおり)懐かしいね！ お前ら それ食ったら移動するぞ！ え～!? (河島)食ったら移動な｡ まだ よかろうもん｡ 相変わらず忙しいのか？ まあね この夏は ずっと ﾁｬﾘﾃｨｰ｡ アキは？ 海女さん やってないの？ うん 今年は ウニが 津波に流されちまって…｡ (しおり)そっか 大変だね｡ お話し中 すいません｡➡ 追加で ご注文頂いて よろしいですか？ あ… お構いねぐ｡ いやいや そうじゃなくて｡ いつまでも貸し切りにしてたら 商売になりませんから｡ (ﾄﾞｱﾍﾞﾙ) お～ 種市 遅いじゃん！ 待った 待った！ (種市)おめえら ﾎﾝﾄに来たのか｡ 種市… 男前になったね 種市！ えっ 何!? 何で そんなに親しいの？ 劇場裏のおすし屋さんで しょっちゅう会いよったから｡ あっ そう あっ そう… 教え子 教え子だし｡ どうなの どうなの？ 順調？ すいません！ ご注文 ご注文！ じゃあ… ｺｰﾗ ５！ (舌打ち) 今は 海中の がれき撤去やってる｡ 今日で袖が浜の作業は 終わりました｡ お盆過ぎにとは いきませんけど 20日ごろには潜れます｡ やった 安部ちゃん！ 20日には潜れるど！ 違うんだよ！ アキと どうなの？ まだ つきあいようとやろ？ ﾁｭｰしたとやろ？ (ｸﾞﾗｽを置く音) ユイちゃん…｡ ｶﾗｵｹありますけど 歌います？ (河島)いやいや いやいや… 今日は ちょっと オフなんで｡ ｢地元に帰ろう｣聴きたいですね｡ こら こら いくら何でも失礼だべ！ んだよ！ ププ… ﾌﾟﾗｲﾍﾞｰﾄですもんね～｡ 別に｡ いいんですか!?➡ じゃあ じゃあ… お願いします！ 記録用ですよね｡ はい 記録用です｡ 記録用ですよね｡ 記録用です｡ ♬～(｢地元に帰ろう｣) ♬～ はい！ (一同)まめぶ～！ 久しぶりに会えて うれしかった｡ かわいか方にも よろしく｡ いや うちら 危なかったからね！ あの子が上京したら 間違いなく ｾﾝﾀｰ！ そうか… そうだよな｡ (河島)お前ら 運がよかったと 思わなきゃな｡ 頑張ってけろ 応援してっから｡ アキちゃんもね｡ (しおり)またな！➡ じゃあね またな｡ ﾊﾞｲﾊﾞ～ｲ｡ (勉)えっ ＧＭＴが来たの!? (夏)勉さん 知ってんのか？ そりゃ もう 作業中 ず～っと聴いてますよ！ ちょっと言ってよ！ ねえ！ ここ？ ここさ座ったの？ あっ まだ温けえ！ そこは ﾏﾈｰｼﾞｬｰの河島さんです｡ ﾊﾊﾊﾊｯ！ (水口)河島さん来てたんだ｡ んだ！ ユイちゃん見たら あがっちゃって➡ 名刺渡すのが精いっぱいだった｡ (水口)へえ～ すごいじゃん｡ …別に｡ …っていうかさ あのﾚﾍﾞﾙで ﾃﾚﾋﾞとか出れるんだね｡ え？ (ユイ)あの小野寺って子も➡ 思ってたより 普通っていうか 何か 若くて かわいいだけ？ ﾘｰﾀﾞｰ 性格悪そうだし 沖縄の子は ｷｬﾗだけだし…｡ (水口)ﾍﾞﾛﾆｶは？ あれは ねらい過ぎ｡ あの枠は 今 ﾄﾘﾝﾄﾞﾙがいるから 厳しいっしょ｡ <腹黒ユイちゃん 久々に復活です> ずばぬけて かわいい子もいないし➡ ずばぬけて 歌がうまい子もいないし➡ ｱｲﾄﾞﾙとしては 限りなく Ｃに近い Ｂ級？ ♬｢地元に帰ろう｣っていうか➡ お前らが ♬｢田舎に帰れ｣って感じ｡ <毒舌のｱｸｾﾙ全開 ﾌﾙｽﾛｯﾄﾙです> ちょっと待ってけろ 一応 みんな おらの友達で…｡ 友達？ あ～ そうだよね ごめん ごめん｡ いや でもさ 友達だからって いきなり押しかけてきて➡ 大騒ぎして 素人ﾚﾍﾞﾙの歌 聞かされて➡ 興味ない人間にとっては この上なく 迷惑だし➡ ﾘｰﾀﾞｰ 性格最悪だし！ アキちゃん ＧＭＴだったら 余裕で ｾﾝﾀｰ取れるよ｡ じゃあ ユイちゃんだったら？ 私は…➡ 私は いいよ｡ もう そういうの｡ (ユイ)でもさ あんなんで ｱｲﾄﾞﾙとかいって➡ ﾁﾔﾎﾔされるんだったら➡ 潮騒のﾒﾓﾘｰｽﾞの方が よっぽど 可能性あると思うな｡ じゃあ やろうよ！ えっ？ やんないけど｡➡ やんないよ お店あるし｡ でもさ…｡ 何だよ さっきから！ ｢でもさ！ でもさ！｣って やりたいの？ やりたくないの？ やりたいよ！ やんないよ… やりたいよ！ でも やんないよ！ やりなよ｡ やんない｡ やればいいのに｡ やんないよ｡ やれよ！ やるよ！ やった～！ (笑い声) マジで？ (ﾋﾛｼ)え？ えっ 何？ (ﾋﾛｼ)｢潮騒のﾒﾓﾘｰｽﾞ現象｣？ 何これ｡ 再結成から お座敷列車までのｽﾄｰﾘｰを➡ まとめたの｡ 読んどいて｡ やる気満々じゃん！ もう失敗は許されないからね！ 前回の反省を踏まえて➡ しっかり戦略練らないと 水口さん｡ はい｡ ｢わんこﾁｬﾝﾈﾙ｣の池田Ｄに 連絡しといて｡ あと お兄ちゃん 観光協会のﾎｰﾑﾍﾟｰｼﾞで➡ 再結成の情報 流して｡ はい｡ ごめん！ 私 嘘ついてた｡ 全然 諦めきれてないし 全然 吹っ切れてないし！ 物分かりいいふりしてたけど 無理｡ 何か ＧＭＴの歌 聴いてたら ｲﾗｲﾗしちゃって｡ あっ もちろん 私に｡ 何か同い年なのに 何やってんの 私って｡ いつも面倒くさくて ごめんね｡ お帰り｡ え？ 面倒くさい ユイちゃん お帰り｡ ｱﾊﾊｯ ただいま｡ ﾌﾌﾌｯ｡ (笑い声) 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒９月１７日火曜日の 「あさイチ」です。 きましたね。 こんな日が来ることを 夢見ておりました。 あのユイちゃんからしたらこない かと思っていました。

美男ですね＃02

1 （美子）私が お兄ちゃんの身代わり！？ 〈私は今日　初めて この目で天使を見ました〉 （安藤）続いて 新メンバー　桜庭美男！ （勇気）おまえが新入りか カワイイ顔してんな （柊）女の子みたいだ （ＲＩＮＡ）早く ここでですか？ ≪（ＲＩＮＡ）こっち　こっち （廉）女？ 俺は　おまえのことを 絶対に認めねえからな [ｽﾋﾟｰｶ]よし　これなら絶対 女だとはバレないわ おまえ 女なんだろ？ こんな大嘘ついて 人をだましてまで 有名になりたいか あり得ねえ おまえは　人間のクズだ！ 廉さん　待ってください 話だけでも聞いてください！ 廉さん　行かないでください 何だ？ お願いですから！ 離せ！ おまえとは　もう関わりたくない！ 見ちゃいけないもん見た？ この画像は　社長に渡しておく もう終わりだな 《（馬淵）歌を歌って有名になれば 母親が会いに来てくれる》 《そう信じて　美男は 頑張ってきたんだ　君のために》 待て　コラッ どうすれば消せるの？ ふざけやがって　返せ！ 手を離せ！ 嫌です！ これを消したからって　おまえが 女であることには変わりねえんだ その事実まで 消せるわけじゃねえだろ！ そう…　ですよね あッ… おまえ… 絶対　無理… でも　どうやって… よし あッ あッ あッ 落ちんなよ はい　大丈夫です 何とか… 廉さ～ん　携帯無事でした！ 早く持ってこい！ えッ？ ウオーッ！ 助けて！ お…　落ちる～ そのまま待ってろ！ 今　はしご探してくるから！ 廉さ～ん 情けない声出すな　助けてやるから 少しだけ待ってろ！ でも　もう手が痛くて… 限界です… もう… もう…　ダメ 美男　来い　飛び降りろ！ そんな　無理です 俺が… 俺が絶対に受け止めてやる！ 来い！ はい… いつまで　そうしてるつもりだ？ えッ？ 重い！ すいません！ おまえに会ってから ろくでもねえことばっかだ この疫病神！ トラブル女　事故宅配便！ すみません 嘘ついたことは　謝ります ただ　私は… 有名になれば どこかにいる母が 会いに来てくれるかもって 母とは… 小さい頃　別れたきり 会ってなくて それがどうしたんだよ いえ　あの… 俺は　おまえを認めない おまえがついた嘘は最低だ！ わかってます 明日 必ず　安藤社長に話します おまえが話さなきゃ 俺が言うからな はい どうしたの？ 大丈夫か？ 《離せ　おまえとは もう関わりたくない！》 《廉さん　行かないで！》 《これ以上　おまえといたら俺は…》 《自分を抑えられない！》 《廉さ～ん！》 男同士だぞ 違う　まさか　そんなはずない！ 廉　二人だけで出歩くのは危ないぞ 好きで出歩いてたわけじゃねえよ あいつが… いやあ　もうバレちゃったか 思ったより早かったね ダハハハッ どうしよう 仕方ないです 明日　安藤社長に話します 早まるな　おい！ 落ち着け！ いいか？　物事には 段取りってもんがあんだよ おまえが　いきなり話したら あの社長　何するかわかんねえぞ おまえが思ってるより ずっと怖いんだから そうなんですか？ そして俺は 深い海の底に沈められて お魚さんの餌になって… とにかく明日 俺から社長に　うまく話すから おまえは普通に仕事行け　普通に いいな？ はい 《お母さん！》 《次は　いつ会えるの？》 やってあげる　手貸して すいません 元気ないな　どうした？ 僕　失敗ばっかりで 皆さんに迷惑かけて 情けないです 何年前かな まだ　全然売れてなかった頃 お金なくてさ いろいろバイトしてたんだ ヒーローショーのバイトって あるでしょ？ マスクかぶるから 恥ずかしくないし やってみようって思ってさ はい　どうぞ ありがとうございました ところが行ってみたら　手違いで お姫様の役しか残ってなくて えッ？ しょうがないから　やったんだ ほら これ　柊さんですか？ 女装なんてすることは もうないだろうと思って 記念に撮っといた へえ 俺だって　恥ずかしいことや失敗も いっぱいあるよ だから　落ち込むことなんてない この写真を見せたのは 美男が初めてなんだ もう秘密を知った仲だし これからは困ったことがあったら 何でも言えよ ありがとうございます マジかよ まさか　柊さんも 美男に気があるのか？ イテッ 勇気さん　大丈夫ですか？ 《勇気さん》 《僕が優しく 手当てしてあげますよ》 大丈夫だから 来るな　俺に構うな 頼むから　ほっといてくれ！ 《おまえ　女なんだろ？》 《もう終わりだな》 今夜で　もう… お別れか 《≪（美男）お兄ちゃんが絶体 お母さんに会わせてやるから》 《≪（馬淵）歌を歌って有名になれば 母親が会いに来てくれる→》 《そう信じて　美男は 頑張ってきたんだ　君のために》 お兄ちゃん お母さんに会うために せっかく頑張ってきたのに 私… 「Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬ」に いられなくなっちゃった ごめんね 　　　　　　　　　　　　　　　 （美咲）ええ～　美男が 廉を殴ったんだって　超ムカツク （七海）Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬは３人でいいのよ （亜弓）美男なんか　いらない！ （シゲ子）冗談じゃないんだって 関係者っつってんでしょ！ はいはい　親戚とかいう人 多いんですよね ちょっと失礼ね 帰った　帰った いいね　手つけてごらん そうそう いいね　ＮＡＮＡちゃん 笑顔最高 （ＮＡＮＡ）ありがとうございます ≪（カメラマン）はい→ 最後に　もっと笑顔で お願いしま～す　せ～の　はい！ 休憩入ります やった　お昼ご飯だい おお～　すげえ！→ 今日の差し入れ　超豪華じゃん 廉さん　食べないの？→ お刺身だよ 俺を殺す気か？ エビアレルギーですよね すいませんでした 何だよ　機嫌悪いな 柊さ～ん あっちもかよ 馬淵さん… 連絡こないな （沢木）今日だけで　３０社以上の 取材申し込みがきてます オッケー　オッケー 美男の初ライブも迫ってるからな 馬淵　聞いてんのかよ はい　すいません おまえ　顔色が異常に悪いな 大丈夫か？ ああ…　若干 どうきがしております どうき？　どうしたんだ み…　美男のことなんですが 美男が　どうした？ 実は… ≪（安藤）ああ？ 美男は… おッ　おん… はあ？ おん… おん… あのカメラマン　イケメンぶって 口説いてんじゃねえよ 顔も才能も　やっすいくせに 口の悪い妖精だな 廉！ …さん　いらっしゃったんですか？ 気づかなくて　ごめんなさい まだ　妖精ごっこしてんのか 夢を売るのが仕事だから あなたも エンジェルなんかじゃないでしょ 私たち　気が合いそうね ≪（トオル）お待たせ～→ あッ　廉様だ！ ＮＡＮＡのメイクのトオルです 覚えてますか？ ああ～　ドドスコ… うるさい！ スコ ≪（ＮＡＮＡ）桂木廉 絶対　振り向かせてやる で　社長に言ったの？ バシッと言ってやったよ 「おん」まではな 「な」までいかなかったけど そんなこったろうと思った 無理だ　絶対無理！ 廉にバレたんだから どっちにしたって終わりよ ヤダ　ヤダヤダ！ 俺の命がかかってんだぞ じゃあ　どうすんのよ　ねえ 今まで世話になったな いい夢を見させてもらったよ あばよ！ 馬淵さん いや　あの…　別に俺 逃げようなんて　これっぽっちも これ　美男のファンから 預かったんですけど えッ？　どうも 美男　リハ始めるぞ そいつはいい　もっと大事な用件が あるらしいからな えッ？ ごめんなさい 廉　どういうことだ あいつは Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬには必要ない 美男　社長なら外出中だけど そうですか 廉に　バレたんだって？ ごめんね 私も　うかつだった いいえ ＲＩＮＡさんは悪くないです 馬淵さん おまえに渡してほしいって 警備員が預かったそうだ お父さん！ 青い服を着た 中年女性が持ってきたらしい もしかして　お母さんが？ かもな お母さん！ あッ　美男だ！ ちょっと Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬの邪魔しないでよ すみません　通してください！ 何やってんだ　あいつ あッ　待ちなさいよ！ お母さん… お母さん！ あれ Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬの美男じゃない？ （騒ぎだす通行人たち） サインください！ すいません　ごめんなさい 通してください　すいません （大きな喚声） 廉さん！ 車に乗れ お母さんが来たかもしれない まだ近くに… いいから乗れ！ 廉さんに この気持ちは　わからない！ わかるかよ わかろうとも思わねえよ！ 母ちゃん　母ちゃん うるせえんだよ！ これ以上　騒ぎを起こして バンドに迷惑をかけるな （カメラのシャッターを切る音） （橋本）アーッ　撮ったり おッ　廉　ちょうどよかった 捜してたんだ 美男が　社長に 大事な話があるそうだ えッ？ ほら　話せよ 　　　　　　　　　　　　　　　 ほら　話せよ 悪いな美男　明日にしてくれるか これから会食があるんだよ 廉　ユーも行くぞ なんで俺が？ これからリハーサルが… いいから　いいから　いいから 廉　水沢麗子さんだ （麗子）初めまして 水沢麗子です ≪（柊）美男 ちょっと　いいかな その曲のアレンジを ぜひ　廉に頼みたいそうだ 私も大好きだった歌だよ 光栄だなあ お願いできるかしら？ お断りします （むせる安藤） ジーザス！　おい　廉 安藤社長　とりあえず お食事しながら話しません？ そうですね うん　うまい いただきなさい （スプーンを落とす） ≪（安藤）どうした？ エビが入ってる （安藤）そっか… すいません　廉は エビアレルギーなんです あッ　気になさらないでください→ 知らなくて当然ですから 《どうして食べないの？》 《そういう意固地なとこが 父親そっくりね》 《（せきこむ廉）》 《廉？》 《廉！》 うわあ　すっごい　ごちそう！ 美男　廉と何があったか 知らないけど 気にしなくていいよ おまえは Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬのメンバーだ 柊さんは　どうしてそんなに 優しくしてくれるんですか？ 俺は… 俺たちは仲間だ　当然だろ？ さあ　食べよう はい いただきます あッ… ほんとに　そそっかしいやつだな すいません　ちょっと洗ってきます 廉さん！？ なんで　おまえがいるんだよ どうしたんですか？ 何でもない もしかして エビを食べたんですか？ おまえでも知ってんのにな 廉さん！ （携帯着信） 柊さん　ごめんなさい 廉さんと偶然会って 具合が悪そうなんです 心配なので… そっか わかった 廉さん　お水です おまえ 母親に　会いに来てほしいから 歌うって言ったよな はい 無駄だよ おまえは捨てられたんだよ おまえのことなんか とっくに忘れてる そんなことない… そうなんだよ　思い続けたって みじめなだけだ！ さっさと諦めろ 嫌です！ ずっと　ずっと お母さんに会いたかったんです 私は… お母さんの顔すら覚えてません 寂しくて いつも星を見て それが　お母さんだって思ってた でも… 絶対に　いつか手が届く 会えるはずだって 信じて生きてきたんです お母さんも　きっと そう思ってくれてるって だから… だから　やっぱり… 会えるまで諦めたくありません！ 廉さん　お願いです 私を Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬに置いてください バンドの役に立てるように 一生懸命　頑張りますから これは 大切にしている 母の形見の指輪です これを預けますから どうか　私を信じてください 本気で　いつか母親に会えると 思ってんのか？ 思ってます 心から願えば 夢は叶うって信じてますから そうか だったら　試してみようぜ 心から願えば ほんとに夢が叶うかどうか ひどい！ 大事な指輪だって言ったのに！ 心から願えば　叶うんだろ？ だったら あの指輪　見つけてみろよ！ そしたら　認めてやる わかりました 絶対　見つけます！ 　　　　　　　　　　　　　　　 廉と美男　不仲説の決定的証拠！ どうですかッ （出口）よくぞ撮ったぞ 橋本っちゃんよ→ これで売り上げ倍増は 間違いなしだぞ （馬場）カワイイ上に　トラブルメーカーって 最高っすね 美男さまさまだな　乾杯！ 諦めない 絶対に だよな あいつ… 美男！ 美男！ おい　しっかりしろ！ 廉さん… すみません　また迷惑かけて 指輪　捜さなきゃ 美男　もうやめろ！ 諦めません！ 指輪なら… 俺が… 廉さん　見つけてくれたんですね！ えッ？ ありがとうございます！ ほんとに　ほんとに ありがとうございます いや　あの… やっぱり　心から願えば… 諦めずに頑張れば 夢は叶うんです！ 約束ですよね？ 見つかったら　Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬに 残ってもいいって ああ （せきばらいをする） 俺は　おまえの秘密を黙ってると 約束しただけだ 初ライブが成功するまでは メンバーとして認めないからな はい　頑張ります！ まったく　ビチョ濡れだよ こんな汚い場所に… オエッ あッ　カワイイ！ 何だ？ 頭の上に　ほら カ… カエ… 廉さん　大丈夫ですか！？ 廉さん　しっかりしてください 大丈夫ですか！？ イエーイ！　不仲説も払拭されて これで一件落着だな　馬淵 イエーイ！ 橋本っちゃんはさ いつも詰めが甘いんだよな 廉さん　おかえりなさい 体　大丈夫？ ただの貧血だよ よかったな　大したことなくて おう おかえりなさい 怪しい なんで美男と公園にいたんだ？ しかも柊さんは　なんであんなに 熱い視線を美男に送るんだ？ もう　訳わかんないよ！ ♪♪～視線そらしても ♪♪～背をむけてみても ♪♪～消えないよ その笑顔浮かんで… ♪♪～ほんとは… 美男　また遅れてんぞ！ 落ち着いて ドラムの音をよく聞いて はい　すみません まあ　頑張れよ ラストのサビ　新しくしたから じゃあ　裏で… 絶対遅れんなよ　わかったな？ はい 一回やってみて 完璧？ うん やった～　勇気さんありがとう！ なんで？ なんで俺　ドキドキしてんの？ おい勇気　男だっつーの 廉さん　あの… いろいろ教えてくれて ありがとうございました まだ早い 明日の初ライブ 成功させてから言え はい　頑張ります 届くといいな 母親に はい でも お母さんのためだけじゃなくて Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬのためにも 絶対　成功させます 美男　顔こわばってんぞ リラックス　リラックス あれだけ練習したんだ　大丈夫だよ おまえは むしろ緊張してたほうがいい また　何しでかすか わからないからな さあ　最終リハだ 気合い入れてこうぜ！→ 柊　２曲目だけどな　ギターソロ もうワンコーラス… おい美男　ちょっといいか？ はい 例の青い服を着た女性が 事務所に来たらしいんだ でも　おまえは これから大事なライブだ 俺が会いに行くから 話せたら連絡する わかりました よろしくお願いします ≪（スタッフ）最終リハ　以上です 本番３０分後になります→ よろしくお願いしま～す ちょっと来い 携帯　よこせ えッ？ これから大事な初ライブなんだぞ もっと集中しろ すみません 実は　この間の青い服の女性が 事務所に来たみたいで 今　馬淵さんが会ってるんです 話をしたら 連絡くれることになってて そうか だとしても　携帯は俺に渡せ 初ライブは絶対に成功させるって 約束したはずだ 母親のためにも Ａ．Ｎ．ＪＥＬＬのためにも そうですよね　すみませんでした 終わるまで 廉さんが預かっててください 頑張ります ♪♪～いつか二人　傷ついて ♪♪～泣いたとしても ♪♪～愛は ♪♪～愛は ♪♪～ひとつ ♪♪～ひとつ ♪♪～ふたりでいればいい ♪♪～ほんとは気づいてた ♪♪～こんなに愛してた ♪♪～眠れない夜は ♪♪～ぜんぶ君のせいだよ ♪♪～今まで迷ってた ♪♪～それでも想ってた ♪♪～変わらない誓い ♪♪～伝えたい　Ｓｏ　ｉｔ’ｓ　ｏｎｌｙ　ｙｏｕ ♪♪～愛してる （歓声） （美男コール） ♪♪～ ≪（スタッフ）お疲れさまでした お疲れさまでした おお～　美男　ワンダフル！ 実にエキサイティングだった ありがとうございます 廉さん… 柊さん　すみません 携帯貸してもらえませんか？ ああ　いいよ ありがとうございます （携帯着信） 馬淵からだ 美男です　どうでしたか？ さっき　メール打ったんだけど 見てないか？ はい　廉さんに携帯預けてしまって そうか それがさ… あの人　おまえの母親じゃなくて 叔母さんだったんだよ えッ… そうなんですか でも　何か母のこと 知りませんでしたか？ 居所とか 残念だけど… おまえのお母さんは… 亡くなったそうだ 美男 美男！ 《絶対に　いつか手が届く》 《会えるはずだって》 《信じて生きてきたんです》 《諦めずに頑張れば 夢は叶うんです！》 （号泣している美男） 廉さん… お母さんが… お母さんが… わかった もう　何も言わなくていい

テラスハウス Boys & Girls in the City.S01E05.JA

1 （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）こんばんは （一同）こんばんは （YOU）テラスハウスは 見ず知らずの男女６人が 共同生活する様子を ただただ 記録したものです 用意したのはステキなおウチと ステキな車だけです 台本は一切ございません （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）はい 本日は歩君が （YOU）はい 子供の事情で 残念ながらお休みでございます （徳井）子供の事情ね （馬場園）子供の事情 そうか （山里）新聞に“天才子役”って 出てましたね これからの未来の銀幕とかを 背負ってく… （馬場園）えー！ （山里）すごい人で （山里）それ読んだあとだから 俺 今日 会ったら 緊張しちゃうとこだったんですよ よかったな （馬場園）よかったね １回 ワンクッション置けたんで よかったです （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）さて 前回は 慎君とみのりちゃんが 焼き肉デートしましたね （馬場園） あー しましたね （山里） ここ すごいんですよね ガッツガツですよね しかしながら そこに対して ちょっと 敵対心というんですか？ 美月ちゃん バリスタが （YOU）バリスタが （山里）仕掛け始めましたよね （徳井）そうやんな （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ） でも そもそも 慎君が 美月ちゃんに 謝ったからですよね あの誕生日の時に （YOU）ねっ “僕もいろいろあったのに 野球のことで” “言えなかったから ごめんね” っていう （徳井）ふん ふん… （慎）美月に そう… 何か 俺も責めちゃったじゃないけど 何か そういう感じに しちゃってたからさ 俺も あのタイミングで 言わなきゃいけなかったことだけどさ （美月）いや でも 来てくれただけで ありがとうございます （慎）いやいや… （慎）申し訳ない （美月）いえいえ （美月）おやすみ （慎）おやすみ （美月）ああー！ 気にかけてくれてたことが ちょっと うれしいかな うれしいなって思ったの 三角で… ねっ （徳井）三角ですね （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）そして 雄基君と悠里子ちゃんが 日本酒デート あー 悠里子の 待ち合わせヘパリーゼがありましたね あれね！ （馬場園）ああ ヘパリーゼ あれはズルいよ “これ”っていうね （山里）そうです そうです！ （YOU） そのまま ＣＭになりそうな （悠里子） すごい話し合って別れたのね （悠里子）ごめん 何か雄基に 話せちゃうんだよね （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）あの２人は また飲みに行く 約束してますからね （YOU）してましたね （徳井）あそこは今 だいぶ 固いんでは… （YOU）固いのでは 何か 鼻につくんだけどな 何でなんですかね （徳井）いろいろありましたからね タップ先生は 男子部屋でね ちょっと雄基君が 達也君に “ちょっと気使っちゃった”みたいな （YOU） “ごめんな”なんて言ったら “そういうのやめてよ”みたいな （達也）俺が ちょっと 悠里子ちゃんに対して いいなって思ってるからって 気使ってとかは… （雄基）気使いはしねえけど いや 義理悪いとかも マジでいらないよ （徳井）これ 極端に言うと 三角が２つみたいなことに なってるんすね きれいに 史上初じゃないですか？ ダブル三角関係は （YOU）そうです （山里）本当だ ハズレなしっていう （山里）うわっ すげー！ （美月）プール付き合ってよ （雄基）プールね 美月の水着ね そういう意味じゃないんだけど （雄基）美月の水着姿を見ないとね 水着 何種類も 持ってきてるっていう… （美月）“言ったわりには 入ってねえじゃん” （雄基）ウワサは入ってますよ （美月）あるよ 超あるよ いやあ 全然 向こう１週間 晴れなしだね （美月）あっ コーヒーいれよう （雄基）うん いれよう （美月）あなたが お酒 飲んでる時に コーヒーを飲もう おかえりー！ 何タオル？ それ （慎）巨人タオル 長野 （美月）長野か いいね （雄基）どっち勝った？ （慎）ヤクルト （慎）負けた （雄基）うわー （達也）ただいまー！ （美月）おかえり （美月）すごい ナイスタイミング （雄基）帰ってくるね コーヒー飲む人いない？ （達也）コーヒー飲みたい （美月）よし じゃあ増やす （雄基）また寝れなくなって テンション上がんのやめてよ （達也）大丈夫 寝ないから 今 誰いんの？ （美月）みのり あと （美月）ねえ また怖いの 借りてきたらしい 私は だから もう見ない ホラー怖いからさ 一緒にいれないけどさ 今度 一緒に 映画 行こうよ 何の？ （慎）すごい誘い方 （雄基）すごいね 俺 夏休みだよ 今度 （美月）そうだよね 夏休みだもんね （慎）秋休みっぽいね ２日でしょ？ ２日の日でしょ？ （雄基）えっ ２人で行くの？ （達也）そう ２人で （美月）ウソ？ いいよ （慎）あれ？ あれ？ （達也）何それ （美月）何？ 何？ あれー？ いいな （口ずさむ声） （達也）いいね サンキュー これ甘い？ （美月）まだ （美月）自分で入れて ちょっと待って 持ってくるから セルフ 砂糖 入れて （慎） 俺 明日 練習試合なんだよね ちょっと… 寝ようかな 長くなりそうだから （美月）おやすみ （雄基）もうウッチーに任すわ （達也）行っちゃう？ （雄基）ちょっと 下で しっぽりしてる （雄基）行ってきます （美月）あいよ ２日 どこ行く？ （達也）２日？ ２日 夜から暇なの？ 午前中は空いてる？ （美月）休めるよ… 休める （達也）午前中 映画 行こうよ （美月）いいよ 計画立てて じゃあ 私がやる？ （達也）２日 計画立てて （美月）マジ？ 分かった　考えとく （達也）考えといて 何か俺が楽しめそうなこと 全部 考えてよ 普通 逆じゃない？ いやいや そこはね （美月）私ね （達也）考えてくださいよ （美月）プロデュースするわ みのりちゃんと話してる？ （美月）だから みのりが 全く話せてないんだよ 話したほうがいいよ だってさ みのりちゃん あそこで寝てるけどさ ベッドが硬いって言うけどさ 絶対 何かそこで 問題があるんだと思うんだよ そうかな？ （達也）そこの女の子の中で 大体 ４人で 男子トークしてるからね 下で そっか そんな空気 出てんのかな？ （達也）ん？ いや… そんな空気になってんのかなって なってると思うよ 俺は すでに そっか （美月）ズバッ！ 熱くない？ ちょっと （美月）もうちょっと 増やそーっと （美月）いやあ いいね どこのリゾートに 来ちゃったのかな 初日 ２日目？ 一緒に入ったの （みのり） ２日目 入ったっけ？ （美月）３人で入んなかったっけ？ （みのり）入ってない あっ 入ってみただけか （みのり）そう そう そう はるか昔のことのようだ （美月）落ちた？ （みのり）マツゲ残ってる （美月）何で私 風呂に みのりを呼び出したかというとね 呼び出されたの？ （美月）そう 呼び出されたの みのりが いつも リビングで寝てるのは 何か… 絶対 女子に問題がある みたいな え？ ごめん 全然そんなことないよ （美月）本当？ 入りにくい空気にしてる… （みのり）ウッチーが言ってたの？ （美月）そう 何で ウッチー そう思ったんだろう？ （美月）分かんない （みのり）私 そんな話 したかな？ “みのりちゃん ちょっと言ってたよ”みたいな… 何だろうな？ まこっちゃんも 最近 下で寝てる （美月）あっ そうなんだ （みのり）そう 野球 早いからね （みのり）ちゃんとやるっていうか （みのり）しないとって言ってたから （美月）うん うん まこっちゃん すごいさ いろいろ誘われるんだけどさ 何か 何考えて 誘ってんだろうと思う というのは？ 分かんない わりと連絡 取ってんのね ずっと （美月）うん うん うん 好きでしょ これは好きでしょ 何か違うと思う （美月）違うの？ 分かんない ただ仲良いだけかも えー？ もう 分かんない 何なんでしょう “第一印象で誰がいい？” みたいな時にさ みんな まこっちゃんって 言ったじゃん？ それが続いて のびてるのか どうなのかなって 好きな方向に行ってるのか… えっ 何か スーッ… （美月）平行線なんだ？ 第一印象のまま？ 第一印象のままかな うん へえー そうだよね （達也）いただきます リゾットやね うまい？ （達也）おいしい （みのり）う～！ ウッチー 俺 そろそろ 髪 切りたいんだけど あっ 来てよ ウッチーの夏休み前に 行きたいな 俺 夏休み前 もうね… （慎）埋まってる？ （達也）土 日 月しかない 月曜かな 来るなら 坊主じゃないの？ （達也）えっ 坊主にすんの？ しない しない 短くはするけど ちょっと月曜 聞いてみるわ （慎）うん 何日だっけ？ 遊ぶ日 全員 来れる？ （達也）２日は来れるよ 俺 午前中 美月ちゃんと どっか行くから （慎）あっ そうなの？ （みのり）おデート “考えて 俺のために”って 言っといたから えっ 何？ 何？ （達也）おおー 来たね （達也）いいタイミング （悠里子）それ何？ 何丼？ みのり何丼？ みのりのリゾット丼 （悠里子）リゾット丼？ （美月）ただいま （みのり･悠里子）おかえり ただいま （美月）卵 えっ コンビニの？ そう 大好き （悠里子）めっちゃおいしいよね おいしいよね 悠里子ちゃん ３日か４日 空いてる？ （悠里子）３日 空いてる ３日の… 学校 終わったら空いてる じゃあ ３日の日 どっか行く？ 夕方 うーん 僕が じゃあ 計画を あっ 本当？ （美月）あれ？ 何でウッチー （慎）悠里子の時は自分で… （達也）いやいや 違うよ 違うよ… （悠里子）何？ 何？ （達也） 別に そういうわけじゃないよ 人によって やっぱ コミュニケーションの仕方を 変えていかなきゃいけないと 思ってるから そうだね （達也）そうよね みのりちゃんとも行くからね （美月）みのりの場合は？ 私は… （達也）話し合いだね （みのり）うん （達也）話し合いの結果 一緒にプランを立てる感じ？ （達也）そうそう プラン練った （悠里子）みんな違うんだ？ （達也）違う 寝ようかな （慎）俺 寝るわ 下 行く？ （慎）おやすみ （美月）おやすみ １人１人さ 全員とデートする （悠里子）全員とデート いいね 面白いじゃん （悠里子）面白いね 超ファックじゃん あいつ すげえな あいつ （馬場園）すげえな 新しい （徳井）仕掛けてきましたね （山里）まあ 確かに… 新しいぞ これ 刺激が欲しいとは 言ってたけど いきなり胃にきちゃうよ この辛さは バカバカ！ はえーな どうなんすか？ 女の人 あんなん言われて イヤです （馬場園）何か あの “俺と行きたいでしょ？” みたいなスタンス （山里）だから 今まで人生で ずっと そうだったんでしょうね 自分と知り合う女は みんな 自分とデートすることが うれしいっていう 人生を歩んできてるんでしょうね しかも その全員と “じゃあ 美月ちゃんは 美月ちゃん考えて” “あなたは俺が考える” “あなたは２人で話し合おう” っていう ちゃんと３パターン違いますよ っていうのを全員に 透明性は すごいあるよね （山里）いやいや！ いやいや… 透明性？ でも 相手が“うん”って 言っちゃってるんで （山里）何で？ “うん”って 言わせんのは顔なのかな？ だとしたら この国は終わってるよ 国？ （YOU）国？ （徳井）急に国の話に （徳井）いや 意外とね 何でもオープンにしていく人って 女子から意外と この ハマると怒られへんっていう パターンあるからな （山里）へえー （徳井）俺の友達も すごいヤツおるもん （山里）どんな感じですか？ （徳井）誕生日会に いろいろ関係のあった 女子たちが 一堂に会すみたいなの… ヤツいるもん “こいつは すげえな”みたいな （馬場園）すげえな でも もう 結構オープンやから 全然もう 丸く収まってんのよね （山里）ああー （馬場園）へえー （徳井） “どうやったら この人は” “こんな大国を築けるんだろう” みたいな （山里）すげー！ （徳井）そういうタイプかもしれんよ （山里）うーわ！ クソったれー！ はい　どうぞ こちらへ オイーッス よっ （達也）さあさあ… （慎）さあ さあ さあ どうしましょうか （慎）どうしますか？ （達也）伸びきった… （慎）伸びきった （達也）どうする？ 本当に ちょっと上 残してって感じかな （達也）それは絶対 言うね （慎）え？ （達也）“上 残して”って 絶対 言うんだね 先 シャンプーしようか そしたら （慎）洗いますか （達也）いいの？ いっちゃって （慎）いいよ いっちゃって 怒んないでよ 怒んないでしょ だって これをさ 切ったことによってさ あとで帰った時のさ （慎）評価があるからね あるでしょ？ （慎）うん っていう話 朝したよ （達也）特に女性陣 うん 何 笑って… 俺 マジで緊張するわ 本当に 俺 でも明日から 夏休みだからさ そうじゃん デートざんまいだよ 悠里子とは どこ行くの？ （達也）一応ね えーと 江ノ島水族館 ナイトアクアリウム へえー （達也）みのりちゃんとはね 大っきい所に行く 何？ 大っきいって （達也）三原山 山 登んの？ （達也）山 登る １日だね しかも多分 （慎）マジで？ フェリーで 伊豆大島のほうかな へえー （達也）行くってなって （慎）大丈夫そう？ （達也）大丈夫そう よし みのりちゃんウケが どうかだね （慎）そこ？ （達也）そこでしょ？ 一番は （慎）そうだね （雄基）慎の髪 見たいな 早く どうする？ 坊主になってたら 変な髪形だったら ウッチーを責めるよね 逆に何も突っ込まないって いうのは？ （みのり）髪について （雄基）ああ いいね みのりの意見 聞きたいんでしょ？ あいつは多分 （みのり）何で？ （雄基）俺の感想なんて どうでもいいんだよ あいつは （みのり） 何て言われたら うれしい？ “似合う”？ オイッスー （雄基）帰ってきた 帰ってきた おかえり （雄基）何？ 野球帰り？ （慎）野球帰りじゃないよ （雄基）ああ そっかそっか （慎）美容院 帰り （みのり）病院？ （雄基）あっ 何？ （慎）美容院 ウッチーの 病院って腕？ （慎）美容院！ ウッチーに 切ってもらってきた （雄基）ウッチーに切ってもらったの？ （慎）そうだよ そうだよ！ あっ 切ってるね （慎）遅くね？ （みのり）えっ どこ切ったの？ （慎）え？ （みのり）どこ切ったの？ だいぶ 切ったよ （雄基）えっ どこを？ （みのり）どこ？ （慎）後ろとか切ってっからね ちょっと暑いね 感想 言ってよ 感想 言って 似合ってるよ （慎）本当に？ なら よかった ウッチーうまかったよ でも緊張してた 緊張してた？ （慎）緊張してた “１発目は男でよかった”って 言ってたよ そうだろうね 結構 切ったよね？ （慎）結構 切ったよ （雄基）すごい いいよ 今日 ちょっと 化粧 違くない？ いつもと 唇の色で 全然 違うよね？ 印象 化粧なんて分かんねえもんな さすがに分かるでしょ （雄基）それは分かるけど 突っ込まれてないけどね 今日 そんなの俺 言わないよ いちいち そういうのが うれしいんじゃないの？ 女の子って （みのり）そうだよ （慎）でしょ？ どうします？ このあと どっか行く？ 何か外で食うならね 魚とか 家であんまやんないの 食いたいな いいの思いついた 何？ 魚 釣ってから すぐ食えるやつ知らない？ あっ それ楽しそう えっ 釣った魚 食べれるの？ ほら （雄基）どこ？ （みのり）本当だ （雄基）行っちゃお 行っちゃお 釣るよ 釣るよ 何狙いでいく？ まず （慎）確かにね （みのり）アジが食べたい （雄基）アジだよね （慎）アジ ヒラメ？ じゃあ こっちじゃない？ （みのり）伊勢エビって釣るの？ （雄基）俺 でも 伊勢エビ サザエも食いたいな （慎）アジどれ？ （雄基） アジ あの白っぽい… （みのり）これだ （慎）アジ担 （慎）アジ担 （みのり）よけてるよ こいつの前に ほらほら… エサ （みのり）これ釣れなくない？ （慎）ちょっと… （雄基）きた！ （みのり）えっ きた？ （店員） はい おめでとうございます ありがとうございます ありがとうございます （店員）お料理どうしましょう？ （慎）お刺身と握りにしない？ （雄基）握り？ いいよ うん （店員）握りで （みのり）あっ きた！ （雄基）わっ うわー！ （店員） おめでとうございます 待って 待って… （慎）何？ （雄基）何？ 何これ？ （みのり）アジ （雄基）これアジ？ イェイ！ （雄基）やった すごい （雄基）これ何すか？ （店員）こちら イサキというお魚 （みのり）全然 アジじゃない （慎）ナイス イサキ （雄基）ナイス イサキ （店員）お待たせいたしました 先ほど釣っていただいた タイのお造りとおすしになります （慎）ヤバいね （みのり）ヤバーい （慎）ヤバいよね ハンパない　うまそう （みのり）これヤバい うまい （雄基）うまい おいしい あっ 時価 分かる？ 時価 まだ分かんねえんだ （みのり）分かんない？ （雄基）伊勢エビ 時価って書いてあったよ え？ （雄基）その日によってみたいな （雄基）仕入れ値によって みたいな 時価　覚えた今日 （雄基）よっしゃー 何か面白い話ないの？ 最近 ぶっ込むね （雄基） さっき みのりがいない時に “どうなの？”って聞いたけどね “どうなの？”って？ どう思ってんの？ （みのり）“どう思ってんの？” そんなんじゃなかったっけ？ （慎）ズバッときたね どう思ってんの？ （慎）マジで？ （雄基）“どう思ってんの？”は すごいね まだ そういう… 好きとか そういう感じはないけど もうちょっと 仲良くしたいなとかはあるよ ちょっとシンプルにね 普通 （雄基）普通 普通？ （みのり）え？ ３分の１の１人みたいなさ 普通 （慎）いや そん… （雄基）あれ？ 普通だな （みのりの笑い声） 普通か （みのり）普通でしょ （雄基）普通だよね みんなに言えるじゃん （慎）もうちょい欲しかった？ うん （慎）“うん”じゃない… （雄基）もうちょい欲しいでしょ 新情報なかったね 別に いいと思ってるよ （雄基）いいと思う？ （慎）うん “いいと思ってる”って？ （慎）みんな ３人 一緒みたいな考えじゃないよ （雄基）ああ そんなことないでしょ？ （雄基）え？ 何が？ （みのり）ん？ （雄基･慎）どういうこと？ どういうこと？ 何で俺を経由して 会話すんだよ 違う 違うよ　こっち… 今 こっちに言ったから！ （雄基）俺 どういう係なの？ 今 今 こうだよ こうだよ （雄基）ああ こう！ （雄基）こうね （慎）何を聞いたの？ （雄基）俺が？ （雄基）俺は別に そうだね… （雄基）ないね （慎）何が？ “ない”って 俺 悠里子ちゃん 気になってるからね （みのり）こうでしょ？ （雄基）うん （みのり）私 ここでしょ？ （雄基）何でや （雄基）そんなことないけど （みのり）誰からも女の子として 見てもらえてないんだけど どういうこと？ 俺 見てんじゃん （みのり）見てないじゃん 見てるよ （雄基）伝わってないんだよ （慎）伝わってないのか 悠里子と どっか行くんだっけ？ （雄基）え？ （慎）今後 うん 水族館 水族館 行くの？ （雄基）うん （雄基）あっ 言ってないっけ？ （慎）いつ？ ９月の… 本番 終わったあと もう１人 水族館 行く人いるでしょ？ （みのり）もう１人？ （雄基）誰？ ウッチー （雄基）誰と？ （みのり）水族館 行くの？ ウッチー 悠里子と 水族館 行くって言ってたよ ウッソ！ （慎）言っていいのかな？ えっ そんな 水族館 好きなの？ 雄基君のほうが先でしょ？ （慎）違う違う… あとあと！ えっ あとなの？ だって３日に… 違う違う 約束したのは先でしょ？ 分かんない （みのり）かぶせてきたの？ ウッチーは （慎）水族館をチョイスしたのは ウッチーっぽいよ （雄基）へえー 絶対 かぶせてきてんじゃん えっ それさ 断んなかったのかな？ 悠里子も じゃあ… “雄基とウッチー 比べようかな？”みたいな それは ないっしょ （雄基）何か この気持ち何なんだろう… 何？ 28歳 モヤモヤしてますよ （みのり）いいね 楽しいね （慎）いいじゃん うわー ちょっと面白いね ごちゃごちゃし始めましたね （徳井）ほんまやな （YOU）し始めましたよ 雄基と悠里子が 水族館にデートに行くっていうのを 知ってるけど その悠里子と雄基の前に 水族館に もうデートに 誘ってるんですよね （YOU）でも それは 知らなかったんじゃなくて？ （馬場園）たまたまじゃなくて？ （山里）じゃあ たまたまだとしたら 悠里子が オーケー出すっていうのは なかなか この子は… （YOU）でもまだ 水族館にとは 言ってないから 言ってないんでしたっけ （山里）あー なるほど （YOU）だから 今 誰も悪くないんです （徳井）そうか じゃあ 悠里子ちゃんがびっくりするんや “えっ あんたも？”って なるわけですね “今日も？”って 言っちゃうんですよ だから でも あんな何か いろいろ仕掛けてくる人だから サラッと そんなこと言いそうじゃない？ “いや 知ってたよ”みたいな “先に どっちが水族館で” “悠里子 楽しませるか” みたいなこと 言いそうですね （山里）言いそうでしょ？ 何か こいつ 圧倒的な敗北感を与えたい 何だろう？ 圧倒的な 誰か ものすごい腕のいい カリスマ美容師 入ってこないかな？ もう１人 でも まこっちゃんのヘアスタイル すごい好評やってん “腕もあんのかい”っていう 残念ながらありますね （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）あるんですね うまいんですね シャンプー係で テレビ用に切ってるシーン 撮ってるだけかと思ったら ちゃんと切れんのかい （YOU）ちゃんと切れますね まこっちゃんと みのりちゃんは いいですね （徳井）いいですね （馬場園）いい感じ あの飯のシーン よかったですね 恋って ああやって 生まれてくるんですね お互いのこと好きな気持ちが 高ぶって “ん？ ん？” っていうね （山里）聞こえてんだろ？って かわいい （徳井）あれ よかったな （山里）で その２人の感じの いいほうに持ってってる自分に 突如 襲ってくる悲劇ね “えっ あれ？ 水族館？” “俺の水族館が” “俺の水族館が”って そんな… 桃鉄じゃないんだから ドロドロになるスピード めっちゃ速くないですか？ （馬場園）そうね （YOU）楽しい （山里）やっぱ18週って ゴールが決まってるからだ （YOU）うん　やっぱこう 決めてやったほうが オモロイんだな 前回で学んだね （山里）そうですね 何も言わないと 何もしねえからな （悠里子）ハァー 美月 どこ行くんだっけ？ （美月）いつ？ （悠里子）決めた？ ああー えっとね… 何だっけ？ スポッチャ スポッチャ？ いいね （美月）いやね でもね 悠里には まだ言わないけどね ウッチー考えてたよ あっ 本当？ （美月）うん 考えてた？ （美月）ステキな感じだった 本当に？ （美月）デートっぽくて （美月）“いい！ いい！”って感じ 本当に？ 今日 慎 どうだったの？ どう？ 逆に いや よかったよ よかったよ すごい （達也）俺もう ビクビクしながら切ったよ 正直 美容室で話したんでしょ？ （達也）話したよ ウッチーウイークの話 したでしょ？ ウッチーウイーク？ （雄基）明日から始まる そう もう今から 始まってるね （雄基）今からか もしかして 水族館とか行かない？ 行くよ （雄基）俺も行く 誰と？ （雄基）悠里子ちゃんと かぶってる？ （雄基）そうなんだ それさ 慎から さっき聞いてさ いつ行くの？ （雄基）俺ね 来週かな 俺 ３日だよ （雄基）だよね 早いよね 俺のほうが早い？ 俺の勝ちになる それ （達也）俺の勝ちだよね？ （雄基）勝ちなのかは分かんないけど じゃあ ズラそうか？ 俺 もう 決めちゃったんでしょ？ そうそう 何かこの前 飯 行って その時に何か 会話の中で水族館… そしたら俺 変えるよ どっちでもいいんだけどね 何か かぶっちゃうのさ… そうね かわいそうだから どこ？ ちなみに 俺 スカイツリーの中の 行こうかなと （達也）ああー 江ノ水 （雄基）水族館 違くてさ これ 何対決になってくるか 分かんないよ そうね どうなの？ みのり 何が？ まこっちゃん （みのり）何？ でもね 今日ね ３人で ご飯 食べてて 何か すごいナチュラルに そういう話になったけど 何て？ （美月）まこっちゃん何つった？ “好きとか そういうんじゃないけど” みたいな （悠里子）向こうが言ったの？ （美月）ウソだね （美月）だって うちらから見たら 完全に好きだもんね まこっちゃんは みのりのこと （悠里子）うん 本当に？ 何か絶対ないと思うんだけど 本当？ （悠里子）まこっちゃんも 焦ってないんじゃない？ まだ （美月）まあ そうだよね まあ みのりは そのままでいいんじゃない？ まだ そんな みのりが “好き好き”ってなってなくて 求めてないんだったら 別に その… 好かれてる分には よくない？ うーん （美月） でも かわいい顔してるじゃん ちょっと うれしそうだよね みのり （みのり）誰からも 女の子として… いいや！ （悠里子）いやいや… （みのり）それで さっき ご飯 食べてる時ね 話 してたの （美月）ふーん まこっちゃんが “俺は見てるけどね”とか 言ってきて そこは正直に言うんだね （美月）ねえ はっきり言わないと 分かんないもん （美月）いい いい！ もっと はっきり言わせればいい みのりは 別に何か “楽しいし 好意はあるよ” ってことは きっと伝わってるし まあ まこっちゃん次第だな なっ （美月）うん （美月）なっ （みのり）なっ （いびき）

野武士のグルメ.S01E07.JA

1 （ナレーション） 戦乱の時代― おのが腕ひとつで 世を渡り歩く漢(おとこ)がいた― 野武士である― この男は現代の野武士…― ではない （香住(かすみ)）おい （静子(しずこ)）ん？ （香住） 再検査の必要ありだって― どうしよう （静子）あら どこ？― ああ 本当 へぇーっ （香住）何だよ― 随分 他人事だな （静子）早期発見 早期治療すれば 大丈夫だって― それに 再検査しても 案外 問題なかったってことが 多いらしいわよ （香住）そのあと― すぐに受けた 再検査の結果が― きょう… 出る― 最悪のときのことも考えて おかなきゃいけないのか― 遺書 遺産相続― そういうのって 弁護士に頼むんだよな― 嫌だ！ 死にたくない― まだ60だぞ （看護師）香住さん― 香住 武(たけし)さん （香住）はい （香住）来た！ （香住）来た！ （看護師） 香住さん どうぞ （看護師） 香住さん どうぞ （ナレーション） 定年退職し― サラリーマン という肩書きも― 会社の後ろ盾もなくなった １人の男― 香住 武 60歳― この物語は どこにでもいる還暦男が― 野武士の力を借りて― 自由に食事を おう歌する グルメファンタジーである ♪～ ハァ～ッ ハハハハハ… （携帯電話の振動音） （静子）あらっ もしもし 大丈夫だった 問題なし！ あ～ よかったじゃない （香住）せっかくだから 久しぶりに外食でもしないか あ ごめーん これからヨガ仲間の お誕生日会なの ああ そうなんだ じゃあ しようがないな 調子に乗って飲みすぎないでよ うん 分かった じゃあね （香住）そうは言っても― 医者のお墨付きを もらったんだ― きょうは飲むぞ！ ♪～ （香住）さすがに こんな昼間から― やってる飲み屋はないか― おっ！― ここ 開いてるぞ― 随分 年季の入った店だな― お～！ にぎわってる にぎわってる― よし ここにしよう （おかみ）おかえりなさい― こちらへどうぞ （香住）すぐさま “ただいま”と返せない俺… （男性１）また週刊誌に すっぱ抜かれてたな （女性）何？ （男性１）大臣の献金疑惑 （女性）ああ！ あれ もう ほんと嫌になっちゃうわよね （老人）氷！ （おかみ） はい ちょっと待ってね （老人）ああ （おかみ）はい どうぞ （男性２）ほい （男性３）ナンコツとタン ちょうだい はい （香住）久しぶりだな こういう昔ながらの大衆居酒屋 はい 何にします？ えー… 生ビールを 大？ 中？ 大で （おかみ）はい ♪～ （おかみ）はい 生大(なまだい) （香住）どうも （香住）再検査になってから 気がかりで― ずっと 酒を我慢してたんだ （ビールを飲む音） あ～っ！ （香住）たまらん！ やっぱり これだよ これ うん （香住）この店では― 豆腐の煮込みのことを “重(かさ)ネ”っていうのか すみません あの“重ネ”っていうのを お願いします （おかみ）あ はい ♪～ （香住）豆腐の煮込みに― もつ煮込みを 重ねるってことか― ネギじゃなくてタマネギ― しかも あんなに！ （おかみ）はい 重ネ （香住）すみません （香住）いいなぁ これぞ酒場料理！ （香住）体に悪そうな 濃い味付け― でも それが うまいんだよな― 煮込みの薬味にタマネギって ありだな ああ～っ フッフッフッ… 何か いいことありました？ （香住）え？ 今 笑ってましたよ ああ いや… 実はきょう 健康診断の結果を 病院に聞きに行ったんですけど 異常なしって言われたんです！ （おかみ） あら よかったわねぇ それで祝杯を挙げに来たんです ああ じゃ きょうぐらい 存分に飲んでくださいな （香住）はい 健康第一だよねぇ （香住）はい 本当にそう思います どうも ああ おあいそ！ （おかみ）あ… 何？ きょうは早いわね だって大雨になるって 天気予報で言ってたろ （おかみ） はぁ あ… ってことは― あれができるじゃない （香住）あれって？ （老人） 俺は御免だよ じゃあ！ （おかみ）はい ありがとうございました じゃあ ごゆっくり （香住）はい どうも （おかみ）おかえりなさい （後輩）ただいま （先輩）ただいま （おかみ）はい おかえり （香住）常連は違うな （先輩）生中(なまちゅう)２つ （おかみ）はい おかわり 何にしますか？ （香住）あっ じゃあ… 日本酒とマグロのブツを はい ♪～ （おかみ）はい マグロブツ （香住）あ どうも （香住）いい色してるな― 見るからに うまそうだ （香住）う～ん （グラスを置く音） （後輩）てか 先輩 （先輩）ん？ 課長はなんで俺に関東建設を 任せてくれないんすか？ それは 課長なりに 考えがあってのことだろう いやいや 俺もう３年目っすよ いや本当に （先輩） お前は できるとは思う （後輩）いや できます （香住）俺も昔は 似たようなこと言ってたな （香住）あ～っ うう…― いや 先輩 納得できないですよ （先輩） 香住の気持ちも分かるけど― 課長にも いろいろ 考えがあるんだろう （香住）え？ あ？ 考えって何ですか？ 俺は平田(ひらた)さんより 絶対 売り上げ あげられますからね！ （先輩） そうとは言い切れないだろ 平田だってな この間 一緒に営業回ったんだけど めちゃくちゃ頑張ってたぞ あんなに頼りになると 思わなかったよな やっぱり 納得できないですよ！― 俺 明日 部長に直談判してきますから！ 座れ 熱くなるなよ （香住）大丈夫です 分かりました― すみません すみません 大丈夫です （先輩） すみません ごめんなさい （香住）いや 先輩― 俺だって 早く実績残したいんですよ 分かってるって ええ？ 俺だって 会社のためなんですよ これは （先輩）分かってるよ お前が頑張ってるのは （先輩）分かってるよ お前が頑張ってるのは 会社のために 頑張って言ってるんですよ 会社のために 頑張って言ってるんですよ 全然 聞いてくれない っていうか… （香住）20代のころって― 仕事への情熱と― 根拠のない自信が あったよな― それがいつしか… 責任が大きくなるにつれ― ずるさと妥協を覚えていく― あのころが一番よかったのかな （先輩と後輩の会話） （雷鳴） ♪～ （おかみ）はい から揚げ （香住）ありがとうございます （香住）やっぱり 揚げ物は やめられん― 胃もたれなんか くそくらえだ （男性４）いやー… （おかみ）おかえりなさい― あっ あっ こちらにどうぞ （男性４）おかえりなさいって 家じゃないんだからさ― 芋焼酎の水割り （おかみ）あ はい （男性４）はぁ～っ （おかみ）はい どうぞ （男性４）はい～ 何だ これ！ 薄いなぁ （香住）けっこう 酔ってるみたいだな メニューも ろくなもんがないし ねぇ から揚げ おいしい？ ええ おいしいですよ （男性４）あ そう 俺も同じの はい 大体こういう大衆酒場って 嫌いなんだよな 雨が降ってきたからさ しかたなく入ってきたけどさ 普段だったら絶対入らないよな こんなボロい店 （香住） 嫌なら 来なきゃいいだろ だから 俺ら若い世代に 仕事を任せてもらわないと もう会社が どんどん古くなっちゃって… （先輩） 確かに それはあるよな （後輩）だから それを言ってるんですよ！ さっきから 黙って聞いてりゃ― 何 青臭いこと 言ってんだよ― 管理職の人間はな― 会社のリスクを 第一に考えるんだよ― 口だけ達者な 若いやつより― 実績のある者に 仕事を与える― そんな当たり前のことが 分からんのか！― だから ダメなんだよ 最近のやつらは だから ダメなんだよ 最近のやつらは （香住）なんて 無粋な男なんだ― だから ダメなんだよ 最近のやつらは ひと言 言ってやりたい― ひと言 言ってやりたい― おいおい 若いの お前いくつだ ええ？ おいおい 若いの お前いくつだ ええ？ （後輩）25です… （男性４）割といってるね― でも 俺が 出しゃばるのもな… 顔は かわいい顔 しちゃってるのに （雷鳴） うわ～っ （男性４）そのような 浅はかな考えが通用すると― 本気で思うておるのか？― うぬらのような うつけ者がおるから― 苦労が一向に絶えぬわ― うぬら そのことを 何と心得ておる…― うわーっ！ 冷たっ！ 貴様！ どういうことだ （野武士）ん？ 酔うておったから さましてやったんじゃ 何だと！ 説教はのう！ しらふのときに するもんじゃ 小者に限って 酒の力を借りたがるわ この無礼者！― 貴様のような 浪人の分際で…― そりゃあ！ …たったっ― ききき… 貴様 たたき斬ってやるど！ んんんんんん～… むんっ！ （戸が閉まる音） これからは 誰に遠慮することなく 飲んで語らえ （２人）はい！ 酒は楽しく飲まんと のう おかみ そうだねぇ― あとはツケをためずに きっちり払う ゴホッ こりゃあ一本とられたのう （一同の笑い声） （香住）ハッ （男性４）お前らのような ゆとり世代はよ （男性４）お前らのような ゆとり世代はよ 会社にとって… （香住）あの… やめませんか （男性４）ええ？ お酒は 楽しく飲んだほうが いいと思うんですけど （男性３） おい 雨漏りしてるぞ！ （女性）ええ？ （男性３）ほらほら （香住）わ！ 本当だ！ （男性３）ほら （女性）あっ こっちもよ （男性１）本当だ ハハハハ （客たちの笑い声） （男性２）おい ママ いつもの はいよ！ フフッ え？ いつものって？ （おかみ）よいしょ （女性）ああ 来た来た来た （おかみ）うん はい― じゃあ こっち４人で はい― ねえ マルちゃんとさ ２人でこれね― お客さんたちも よかったら はい （香住）そっか あれって これのことだったのか はい せーの！ ♪～ （おかみ）いいじゃない これでもう 一件落着ね （男性１）何が一件落着だよ （女性）おかしいわね （一同の笑い声） さっきは 申し訳ありませんでした いや とんでもないです （男性４）酔っていたとはいえ 大人気なかったです― 出過ぎたこと言って すまなかったな いえ 実は私 今年 定年退職しましてね えっ あっ 僕も一緒です （男性４）え！ 本当に？ そうですか なんか彼ら見てたら サラリーマン時代に 戻ったような気がして つい口を挟んでしまいました （２人の笑い声） じゃあ 相当 口うるさい上司だったんですね （男性４）嫌な上司 ナンバーワンでした （一同の笑い声） あ～っ― 何か ボロい大衆酒場も 悪くないな うまい！ （客たちの笑い声） （おかみ） ありがとうございます （香住）忘れられない祝杯だな おう おう （野武士）ハハハ… うわ～っ… しみるのう… うわ～っ… しみるのう… （男性４）あ ママさん 僕の鶏のから揚げは？― ああ 雨降ってるから できないんだ アハハ… （香住） じゃあ よかったら― 僕の ちょっと ぬれちゃってますけど どうぞ ぬれてるのは やだよ～ （おかみ）ねー やだ～ （客たちの笑い声） （香住）アッハッハッハ お店の中で 傘差しながら飲むなんて そんな経験初めてだよ！ ハハハハ… 楽しかったな～ アハハハ アーハハ もう１杯 もう１杯 はいはい （香住の笑い声） あれ？ ずーっと健康で いてもらわなくっちゃね ありがとうございます 今度ね 静子も 雨漏りのするお店 連れてってあげるよ ハハハハ どしゃぶりの日にね （香住）いいね～ アッハハハハ いただきます （静子）どうぞ はぁ～ うまい！ うまいよ～っ しみるしみる 体にくーっと しみるねぇ ハハハハハ… お～っ ねえ それ雨降っててさ お尻とか ぬれちゃわないの？ （香住）いや それがね 大丈夫なんだよ― それは不思議なもんだね… ♪～ ♪君が壁を 　　　白く塗っている ♪ぼくは外を見ている ♪陽が沈みかけてるよ ♪ウィスキーが 　　　　飲みたいな… ♪ぼくは何も 　　　何も出来ないよ ♪ただ君を 　　　見つめているだけ ♪ぼくは何も 　　　何も出来ないな ♪ただ君を 　　　見つめているだけ ♪ぼくは何も 　　　何も出来ないよ ♪ただ君を噛みたい 　　　　　　だけなんだ ♪ぼくは何も 　　　何も出来ないな ♪ただ君を 　　　見つめているだけ

Girlboss ガールボス.S01E06.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ これは実話を― 緩く描いた物語である 緩く描いた物語である どう？ 緩く描いた物語である 緩く描いた物語である いいわ いいわ ええ 痛くない？ 大丈夫よ そっちは？ ああ　最高だよ よかった お金を どけたら もっと落ち着ける ダメ 余裕ができたんだから 映画みたいにしたい ブラをしてるけど― お金には菌がたくさん… お札のリンカーンが見てる 持続力が高まるわ 別に普通でいいよ 汗を拭く 少しね いいわ よし 位置の調整を ランダムなの すごい曲だな 名曲でしょ もう無理 腕が限界だ 筋肉がついた すごい　ムキムキね ガールボス 〝開始 30ドル〞 〝入札 ゼロ〞 何か？ ガニーサックスの ドレスに入札がないの カントリー風だから？ 今 流行してるのよ カウガールとか 農婦風とかね ガニーサックスだって 私が先駆者になる そうか スティーブ･ジョブズも 先読みで存在を確立した 流行を先取りしようと― 女たちが奪い合うはず 僕は数か月のツアーに 出発する ごめん 取りつかれてた でも― 約束する 健康保険に入り次第― ヘルニアを治して 飛んでいくわ 本当の私をベッドで見せる ５分 上に乗って終了？ クレイジーな女でしょ？ バックは？ ダメ　屈辱だわ なぜ？ 雌犬の気分よ 僕も犬になる 人と雌犬のセックスじゃ… これが恋人との最後の会話か レゲエ音楽は好き？ 話をそらそうと？ あまりにヘタすぎる いいからレゲエは？ 暑い日とか 船上で聴いたりする？ つい口を滑らせたが― “カノジョ”と呼ぶことで ツアー中 浮気せずに済む “カジュ”な関係がいい カジュアルよ 言葉も略しちゃうくらい 緩くいきたいの 気楽な関係がいい キスで話を止める 残念ね　キス中でも話せる そんなことじゃ… 平気よ 私には何も効かない ほら　まだ話せるわ やった！ ライオネル　保険に入れた おめでとう！ その歯を治せるね バーイ “美術大学” ちょっといいか？ 何でしょう？ カバンが放置されてる はい どう思う？ 展示品か 国家安全を脅かす物か？ おかしな時代です 用心すべきだ 愛国者なら報告を この国を愛してる 大ニュースよ ついに「お母さん交換 家族改造計画」を見たか？ 絶対 見ない これが届いたのよ 保険に入れたから辞める そんな簡単に？ そこまで ひどい女じゃないわ 週末まで働く 明日で終わりだ そうよ　私の人生が始まる でもヘルニアは？ ３か月間は保険が使えるから 治す猶予はあるの でも世界一 退屈な仕事で 魂を死なせてられない 国立公園の受付よりマシだ 服を売らず ここで脳をマヒさせてたら― 人生を浪費しちゃう 自分の情熱に従って飛び出す 振り返らないわ 君は正しい 僕は真の自分を隠し 否定してた ゲイの告白かな？ ３歳で公表済みだ 芸術家としての話です バスキアは僕の歳で 路上に住み 壁に絵を描いた 先生に指導を仰ぐため 学校を訪れたりしてない 僕も ここから飛び出す 私のマネね ＩＤの期限も切れてる 飛び立つ時だ ひどい写真だ ソフィア 何？ ありがとう ３回 ランチをおごる 少し心配ね　でも放っておく まだ？ 入札して 入札しろと言ってるの 入札は 終了間際に 込み合うから平気 でも１人 欲しいの そしたら 自然と奪い合いが始まる 200年前に天然痘で 死んだ女でも頼んで アニー ガニーサックスは絶対キテる 私は外さない “どちらの手に？”以外はね やろう はずれよ ウソ 見えてる もうイヤ 経営学では… 言いたいのは― “巨大な負債を抱えると 困るぞ”？ 巨額だ たまにはチップを払え 何が流行するかは 消費者側が発信する 私は店側の発信によって “チキンフライ”が好きに バーガーキングが― 消費者の意見を基に 生んだ品だ だから国民にウケた この国って最高 商売に生かせる 知識かもしれないけど 私のは違う 商売じゃなく情熱なの だが実例を参考にするのは 肝要じゃ？ その言葉を使うことに 私は何と？ “好きにしろ” 目先のことしか考えない 多くの会社が― 客のニーズをつかめず潰れた シュウイン社とか 名前が変だからよ 95％の会社は ５年以内に倒産してるんだ なかなか いい数字ね 私は残りの５％に入る 分かった　ソフィア だが先読みゲームはやめろ “商売じゃない情熱”も しぼんでいくハメになるぞ “終了　落札者なし 再出品を” “健康保険証” トイレに紙がなかった 才能ある人だけが使えるの その罵声が聞けなくなるな 誰の？ 最終日だから 記念にと思ってね 俺が教えた中で 最高の部下だよ リック　うれしい でも事実なら異常よ 巨人が普通サイズのケーキを 食べるつもりで食べて いいわね 伝えたいことがあるんだが 口下手だから手紙にしたよ 電気料金の封筒を再利用した エコだろ？ 考えたんだけど 辞めないことにしたの 続けるわ 互いのために しまっとく ほぼ俺のためだ なぜ急に心変わりを？ 昨日君は この仕事のことを けなしまくってた 今は動かない方が 賢明だと思った “保険に入ったら 手術を受ける”と言ってた “彼とヤりまくる”って ヘルニア手術の統計を 知ってる？ ゴシップ誌に載ってた？ ５％の確率で患者が死ぬ 少ないじゃない ダメよ きっと私は その５％に入る なぜ学校に残るの？ 雇われの身は自制力がつくし リックは何でも許す 彼ってセクシーね タマがすごそう 趣味のために働くのが “自由”よ あんたの“情熱”は趣味？ ゴミをあさらず 冷蔵庫から食料を出せる コンビニのコーヒーでなく― スタバが飲みたい やっぱり おいしいもの そうだ　決めた 他のは飲まない スターバックスだけ アメリカンドリームね 豆乳キャラメルマキアート 通っていい いい作品を 頑張って 〝入札 ゼロ〞 グランデサイズ 豆乳… “キャラメルマキアート” “カントリー好きは 急いで！” “落札者なし” “開始 15ドル” “落札者なし” 豆乳キャラメルマキアート 〝開始 10ドル〞 〝落札者なし〞 豆乳キャラメルマキアート？ ええ 〝開始 ７．５ドル〞 〝５ドル〞 “終了” “再出品を” “落札者なし” こんな服なんて… クソ！ ひどいゴミばっかり！ 吐き気がする！ 変なセーター！ 何なのよ！ あんた 終わってる クズ 最低 残念ね 最悪な人間よ 自分は だませない 才能なし 負け犬よ 何 考えてたの！ ヘルニアが破裂した 〝救急センター〞 〝救急センター〞 大丈夫だからね 〝救急センター〞 ヤバいわね　私は死ぬの？ まだ若いし やることがある あの部分を そるわね やあ あら すてきな青ひげさん 緊急事態だわ こちらの者が麻酔を どうも ゆっくり深呼吸を 目覚めたら無理はしないで 多くの患者は 頭が混乱状態になって― 暴言を吐いたりもする 私は平気 しっかりしてるもの イケてる医者の前で恥は… よお　ビッチども ソフィアの生還だぜ セクシーな先生ね 話さなきゃ 変なことは言わないわ 頭は さえてる ヤワな患者と違うの 感心させてやれ ボンジュール！ セクシーね 愛してる モジャ眉はどこ？ ヘルニアは完全に治療したよ すぐ帰れる 緊急連絡先に電話した 私のパパ 何 言ってるの？ もう１度 私のパパ！ 声が大きくなっただけね もう黙るわ どうぞ 入って やっと来たわね いい感じにやってるのよ 本当だな 靴は履いたままでいい ベビーキャロット食べる？ たくさんあるの ニンジン界の救世主よ 見た途端 欲しくなる 私は経営オタクより賢いの また悲しい目をしてる 私を見る時は いつもそう 心配ないわ　パパ 大丈夫よ 今の生活に満足してる もう休みなさい ほら　足を よし ほら 靴を脱がすからな ウソでしょ なぜ銀行にいないの？ 敷いてヤッたからね お金って笑える 男の顔が載ってる 色付きの紙よ 眠たい いろんな所へ引っ越したよな ここへ来る前だ 友達作りに苦労してた 子供なんてクソ そうか １つ覚えてる 公園に行った時のことだ インディアナ州だった お前は７～８歳か？ 近所の子が 鬼ごっこをしてて― お前も入ろうとしたが 拒否された 普通の子なら― 泣いてただろう でも違った 子供たちが遊んでる中― お前は赤いヒモを拾ったんだ それを引いて― そこら中を走り始めた 子供らは変な奴だと見ていて 私も心配したよ だが お前は続けたんだ “凧(たこ)につながってる”と 彼らに言った “特別な凧よ” “花火を放ち―” “尾は虹色なの”とね 子供たちは― 一人残らず 皆 自分に引かせてと頼んだ たくましかったな こう思った “ソフィアは―” “何でもできる娘になる” 知らぬ間に お前は― 自分を諦めた 私も同じか 目覚めたわね おはよう すごく心配したわ 優しいのね 来てくれた すぐ来たわ パパもいたけど仕事へ 年を重ねて よりセクシーになってた 私も色仕掛けしたの “娘をよろしく”と 言う彼に― “任せて”と “大学へ行けと説得を”と 言われて― “もちろんよ”ってね もう諦めた パパとヤッていいわ 急に萎えた どこへ行くの？ 寝てなきゃダメよ アニー　私は死にかけた 向こう側を見て １つ分かったの 学校の仕事を辞めるわ 事業がある それがいい ドレスが売れなくても くじけない そうだ！ メモを ペンがない “シェーンに電話する”と 覚えてて “忙しくなるから 合流できない”と伝える 電話で“合流不可”ね やっぱ後にする タフでいいと思ったけど すごく痛む １つだけ　どっちに薬が？ こっち 両方に あんたって最高 当てた ソフィア　心配したよ アレはもらった？ 取ったヘルニア？ くれなかった 一応 聞いてみた もし もらってたら― 病院にキツく言わなきゃ 話があるの 分かってる そうだ… 手紙を取り返し ２人の関係に水を差した 許されざる歳の差を 乗り越えられるなら― 不滅の愛だ 年齢の半分に ７つ加えた歳など ただの… 辞めるわ 本気なの 職場恋愛は しない主義だから？ 悪いけど そうじゃない ごめん そうか 老いぼれにしては 話が早く済んだ そうだ 贈り物よ エコでしょ？ まだ開けないで ああ じゃあね 分かった とても深い作品だ すごい 〝最後にして 最高の上司よ〞 ソフィア･アモルーソ著 「＃GIRLBOSS」に基づく 日本語字幕　安井 理江

ひよっこ＃036

1 ケガをした人の手当てをしに 山へ向かった優作さんの行方が➡ 分からなくなってしまいます｡➡ 吹雪は やむ事もなく 捜索は 一旦 打ち切られます｡➡ 居ても立ってもいられない私は➡ 優作さんの姿を捜し求めて 吹雪の中をさまよいます> 優作さ～ん！ ♬｢Pon pon pon…｣ ♬｢愛の言葉をリル｣ ♬｢ｼｬｲなﾊｰﾄがﾄﾞｷﾄﾞｷ｣ ♬｢あの日観てた “ｻｳﾝﾄﾞ･ｵﾌﾞ･ﾐｭｰｼﾞｯｸ”｣ ♬｢瞼閉じれば蘇る｣ ♬｢幼い頃の大事な 宝物だけは｣ ♬｢ずっと この胸に 抱きしめて来たのさ… Ah ah｣ ♬｢夜の酒場で Lonely｣ ♬｢あの娘 今頃どうしてる？｣ ♬｢さなぎは今､ 蝶になって｣ ♬｢きっと誰かの腕の中｣ ♬｢肩寄せ合い 声合わせて｣ ♬｢希望に燃える 恋の歌｣ ♬～ (みね子)<お父さん…｡➡ みね子は 今 赤坂に来ています> ♬～ あ… あった～｡ <この道を お父さんも お母さんも 歩いたんですよね｡➡ そう思うと 何だか 不思議な気持ちになります｡➡ ちょっと うれしいです｡➡ そして お父さん このﾌﾞﾗｳｽはね➡ お母ちゃんが つくってくれたものなんですよ｡➡ すごいですよね｡➡ どんな高級品より すてきだって 愛子さんは言ってくれたし➡ 私は 鼻高々でありました｡ はい> ♬～ (ドアが開く音) お疲れぇ！ (秀俊)お疲れさまです｡ (元治)ういっす｡ ういっす｡ ♬～ あ…｡ (元治)どうした？ いえ 別に｡ ｢いえ 別に｣って｡ かたいんだよ お前は いちいち｡ あのな そういうつまんないやつが 作る料理は うまくならないよ｡ 遊び心っていうかさぁ この心の大きさっていうの？ そういうのがないと 料理人はダメ｡ 手を抜くやつは 一流にはなれない って ｼｪﾌが言ってました｡ だろ？ 俺の言ったとおりだろ？ は？ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ はぁ～ 疲れた 疲れた｡ おう お疲れ！ お疲れさまです！ 疲れた 疲れた｡ 疲れるよね｡ 炒飯ばっかり 立て続けに来やがってさ｡ いっぺんに来りゃ もっと楽なのにさ｡ あるよね そういうの｡ 今あげたと思ったら➡ 同じの入んだよね｡ そうなんだよ｡ あっ ゲンちゃん 三丁目にな 新しいｷｬﾊﾞﾚｰが出来るらしいぞ｡➡ 今夜辺り 行ってみっか？ 行く行く行く！ な？ ｵｰﾌﾟﾝの時は女の子に力入れて そろえてっから➡ 絶対 行くべきだよ！ (元治)なるほどね～！ おい ヒデ！ 行きません｡ (五郎)かたいねえ ヒデちゃんは｡ いいねえ 男の人はさ そういう 場所があって 羨ましいよ｡ いや それがさ ちょうど 女の子の面接だったんだろうな｡➡ いい女が入ってくの 見えたんだよ｡➡ あれ 絶対 売れっ子になるね 間違いないよ｡ あっ そう｡ (五郎)何てやつだろうな あれは いい女…｡ 炒飯！ またかよ｡ 違うもん 注文取ってこいよ｡ お前の愛想が 足んないんじゃねえのか？ は？ 料理人の腕が 大したことないからじゃないの！ 何だと？ せめてな 五目炒飯ぐらい 取ってこいよ｡ あっ！ 厳密には うちのは 五目じゃなくて 三目だけどな｡ だと思った！ (笑い声) ほら さっさと 炒飯！ あっ それから…｡ ｷｬﾊﾞﾚｰに行く金 どうしたのよ？ な… 何の話だよ…｡ あっ ちょっと！ あっ 痛っ！ ちょっと…｡ いたたた！ 炒飯！ 分かった！ どうすんの？ どうすんの？ 今日！ ないよ｡ どうすんの!? 残念でしたぁ｡ 何 その顔…｡ (高子)ｱﾊﾊﾊﾊ！ 残念だったね｡ ♬～ あ…｡ あの…｡ すずふり亭って お店は えっと…｡ ん？ うちだけど｡ 本当ですかぁ？ うん｡ いがったぁ！ あっ あの…｡ あの 私 谷田部みね子っていいます｡ 谷田部って…｡ あの 茨城の？ あっ はい そうです！ あぁ 茨城のね｡ はいはい はいはい｡ あの ご挨拶に伺ったんですが えっと…｡ あっ こっから？ いやいや！ ヒデ 表に ご案内｡ はい｡ ヒデ｡ すみません お仕事中｡ (秀俊)どうぞ｡ はい｡ お父さん 見つかった？ いえ まだ…｡ 見つかるといいね｡ ありがとうございます｡ あっ ここ｡ すてきですねえ！ うん 味も最高だよ｡ いつか ｶﾂｻﾝﾄﾞ 頂いたんですけど➡ もう びっくりするくらい おいしかったです！ あっ どうぞ｡ はい｡ (ﾄﾞｱﾍﾞﾙ) (秀俊)鈴子さん お客さんです｡ 谷田部さん 茨城の｡ (鈴子)あっ！ まぁまぁ！ 省ちゃん ほら 早く！ 初めまして 谷田部みね子と申します｡ ようこそ！ お母さんから お手紙 頂いてたのよ｡ どう？ 東京慣れた？ 仕事は どう？ 東京は まだ分がんないんですけど 仕事は楽しいです｡ そう｡ (省吾)いつ来てくれるのかなって 楽しみにしてたんだよね｡ 本当ですか？ うん そうだよ｡ 伺うの 遅ぐなってしまって 申し訳ありません｡ あっ あの 母が送ってくれたんですけど➡ これ 茨城の かんぴょう おいしいので どうぞ｡ そんな気ぃ遣わなくても…｡ いえ そんな｡ いいのに もう｡ はい！ (省吾)いや これ うれしいな｡ ヒデ のり巻き 作るか？ 賄い｡ はい！ (省吾)ありがとう｡ はい｡ さっ 座って｡ ね？ はい｡ どうぞ｡ ありがとうございます｡ 失礼します｡ ♬～ あの… え～っと…｡ 父は まだ見っかんないです｡ そう…｡ 父と母が お世話になりました｡ 本当に ありがとうございました｡ ﾄﾗﾝｼﾞｽﾀﾗｼﾞｵの工場だって？ 仕事 きつい？ まぁ 私 不器用なんで 最初は ちょっと苦労したけど➡ みんな いい人たちだし➡ 寮の仲間も みんな いい子たちで とっても仲がいいんですよ｡ 毎日 楽しいです｡ 毎日 修学旅行みてえで｡ ｴﾍﾍ！ そう そりゃ よかった｡ はい｡ さっきも 電気屋さんがあって…｡ ﾀﾆｼ電気｡ あっ そうだね｡ そごの店先に うぢの工場で つくってるﾄﾗﾝｼﾞｽﾀﾗｼﾞｵが売ってて｡ [ 回想 ] いらっしゃい｡ え～！ ｢わっ すげえな！｣って 思ってしまって➡ 何か 誇らしいっていうか うれしくなってしまいました｡ まぁ 私なんか こう 部品差してるだげなんですけどね｡ でも その差すやつが ちゃんと やれてなかったら➡ 鳴らないんだろ？ ﾗｼﾞｵ｡ はい そうなんです｡ 責任重大だよな｡ はい！ 楽しい？ 仕事は？ 楽しいです｡ じいちゃんに言われたんです 東京 行ぐ前に｡ ｢みね子は 働ぐの好きか？｣って｡ で 私が｢好きだよ｣つったら ｢だったら 大丈夫だ｡➡ 働ぐのが好きなら 生きていげる｣って｡ へぇ｡ すてきなじいちゃんだね｡ はい｡ あ…｡ えっ？ あの 今 お店って 休み時間ですよね｡ うん｡ そっか ﾚｽﾄﾗﾝは そういう仕組みになってんのがぁ｡ そうかぁ…｡ ん？ あっ 何がいい？➡ 何でも作ってやるよ｡ うん 何でも言ってごらん｡ いえ あの 違うんです｡ あの 初めてもらったお給料で➡ こちらに来て 自分のお給料で 食べんだって決めてで…｡ 楽しみにしてたんです｡ そっか｡ 特別に みね子ちゃんのために➡ 店 開けよう｡ えっ！ みね子の毎月の生活費は 1, 000円です｡ ちなみに すずふり亭一番のｵｽｽﾒは➡ 特製ﾄﾞﾋﾞｿｰｽを たっぷり使った 500円のﾋﾞｰﾌｼﾁｭｰ｡ 実が食べたのは 220円のﾊﾔｼﾗｲｽです｡ ♬～ あの ﾗｲｽって…｡ ごはんだけですよね？ ﾍﾍﾍﾍ！ そうだよ｡ そうですよね｡ 値段 気にしないでもさ｡ いいから｡ そうだね｡ 水は ただ｡ あ…｡ (２人)ｱﾊﾊﾊﾊ！ (小声で)予算 いくら？ (小声で) 50円くらいしか使えなくて…｡ 分かった｡ じゃ…｡➡ いいと思う｡ あっ じゃ これにします！ ３番さん ﾋﾞｰｺﾛﾜﾝです！ はいよ！ ﾋﾞｰｺﾛﾜﾝ！ (元治)ﾋﾞｰｺﾛﾜﾝ！ (秀俊)ﾋﾞｰｺﾛﾜﾝ！ ♬～ 庶民のお総菜として 広く 人気を博していたｺﾛｯｹですが➡ すずふり亭のｺﾛｯｹは ｼﾞｬｶﾞｲﾓを使わず➡ 煮込んだ牛肉を ﾎﾜｲﾄｿｰｽで包み➡ ｶﾗｯと揚げた ぜいたくなｺﾛｯｹでした｡ ♬～ (元治)ヒデ ｶﾞﾛﾆ！ はい！➡ お願いします｡ (元治)お願いします｡ (省吾)はい｡ そして 自慢のﾄﾞﾋﾞｿｰｽをかけて 完成です｡ はい ﾋﾞｰｺﾛ あがった｡ (秀俊)はい｡ はい ﾋﾞｰｺﾛ あがりました！ (高子)は～い｡ ♬～ はい どうぞ｡ いただきます｡ わ～！ 何だ これ！ うんめえな！ (笑い声) そっか｡ おいしいよね｡ 自分で働いて稼いだお金で 食べるもんはさ｡ はい！ 私 決めました！ お給料のたんびに 一つずつ 注文しに来ます！ そして 最後は この店で一番高い ﾋﾞｰﾌｼﾁｭｰ いつか頼みます！ おう！ お待ちしております｡ (笑い声) 頑張れ みね子！ はい！ (笑い声) <お父さん…｡➡ 私も 一人前の労働者に なれた気がしました｡➡ その晩は ﾋﾞｰﾌｼﾁｭｰの夢を見ました> このｿｰｽ おいしいですね！ おいしいでしょ？ <どんなもんかは知りません> 澄子！ 来週の｢ひよっこ｣は➡ 乙女寮に暮らす みね子たちに 大騒動が巻き起こる｡ (一同)向島電機のｽﾀｰ！ (時子) ｢武具馬具 武具馬具 三武具馬具｣｡ (三男)女優 諦めろ｡ で 俺の嫁さんになれ！ (豊子)人間って そったに簡単なものでね｡ ♬｢椰子の実ひとつ｣ 一体 どうなる？ みね子！ 宮﨑香蓮さんが東京をぶら～り｡ ここは楽器の街 御茶ノ水｡ 世界の名器 うん億円はするといわれる➡ ｽﾄﾗﾃﾞｨﾊﾞﾘｳｽの音色は どっち？

熱海の捜査官＃08

1 （北島紗英）あなただったのね…。 （平坂歩）なんの話？ バスを消したのは。 知らないなあ…。 動かないで！ （携帯電話） （銃声） （占部日美子の声） 守ってくれるから→ いつも身に着けておきなさい。 ありがとう…。 ねえ！　こんな事をしても なんにもならないわ！ 頭のいい　あなたなら わかるでしょ？ 風宮巧さん。 残念だけど… これが　あなたの本名です！ （欠片を踏む音） （銃声） ♪♪～（ラジオの音楽） ♪♪～ （携帯電話） ♪♪～ （銃声） 星崎さん　来るのが遅いわよ。 （星崎剣三）ふざけるなよ！！ いくら上司だからって 勝手な事すんじゃねえぞ！ 君に　何かあったら どうするんだよ！？ 君を　素子さんと同じ目に 遭わせたくないんだよ！ ごめん…。 （拾坂修武）はい。　お願いしますよ。 はい…。　ええ。 外傷性ショックで 被疑者は意識不明です。 （拾坂）とりあえず 総合病院の方に搬送します。 いえ　まだ３人は 見つかっておりません。 （桂東光子）いつまで喋ってんだよ。 （拾坂）大事な話なんだよ。 （光子）早く！ （ざわめき） （犬塚発見）分杭ビルですね。 （光子）アタチューだ。 どう？ 全然　反応ありませんね。 何か　平坂は 言ってませんでしたか？ 暗示めいたもの？ ええ。　平坂の性格からして→ 何か　あなたに 言い残したと思うんですけど。 いや…。 最後の会話で 今までと違った事は？ そうねえ…。 あっ　サティ！ サティの事を少し話してた。 君とのお別れには サティの曲がふさわしい。 えっ　スーパーの？ （３人の笑い声） エリック・サティ　作曲家の。 ああ　そっちですか…。 （ドアの開く音） ニャーだ！ え？ ネコのニャー。 （光子）おっ　おっ！ 署長　向こう！ 嫌われてるんですよ。 ん？ ここは？ あっ　いや…。 キャー！ どうしたの？ これ…！ やっぱり　あの老人は 平坂にコントロールされてた…。 マインドコントロール？ 古い言い方をすると そうなります。 古くて悪かったわね。 シャッ！ ♪♪～ （日美子）ねえ　あなた→ 大切なものを 取り戻したでしょう？ 記憶　戻ってるわよね？ （東雲麻衣）はい。 消えた３人が　どこにいるか 知ってるんでしょ？ 星崎さんに言わなくていいの？ うん。　多分　大丈夫。 記憶が戻ってるなら 一番大切な事を教えて。 いい？ これ　最重要証拠だからね。 北島さん 俺　言ってやってんですよ。 あ　電話中か…。 だから　ネコザムライは→ ネコザムライだって 言ってるでしょ！ はい　よろしく。 （犬塚）ちょっと→ ラジオつけても　いいですか？ 大丈夫よ。 ♪♪～（ラジオの音楽） いや…　桂東さん それは　おかしいですって！ （光子）そんな事ないわよ！ やっぱり　ダリル・ミラーは→ ミッキー・ロークと 対戦すべきじゃなかったのよ。 ちょっと　シー。 何？ シーッ！ ♪♪～（ピアノ） サティだ。 ここ？ 頼れる助っ人ですね。 まあね。 どう？ 何もないですね…。 ねえ　あの電源ケーブルは なんのために？ ケーブルは地下に入ってました。 床は？ なるほど…。 ここ？ 手伝います。 私から行くわ。 でも…。 この場合　体が小さい方が 先に行くべきでしょ？ その方がバックアップしやすい。 わかりました。 何？　それ。 スプレーグローブです。 普通の手袋より 素手に近いんです。 貸してー。 ダメ。 ケチ！ 行くわよ。 どうした？ （２人）シーッ！ うわっ！ ♪♪～（ピアノ） ♪♪～ これって…。 そう　失われた３人。 ♪♪～ 椹木みこ…。 ええ　間違いないでしょう。 生きてるのよね？ 生きてます。 ♪♪～ 他の２人も生存してる。 平坂…　いや　風宮巧の日記です。 これは…！ 行方不明の３人です。 椹木みこ　月代美波　萌黄泉。 これで…　事件も解決か！ 「仮に」ですよ。 （甘利雅彦）マスコミの対応は 追って指示するから。 亀岡！　落ち着け！ ああ　いつでも呼び出してくれ！ （朱印　頭）朗報でしょ？ バスで行方不明になってた３人が 発見された。 そりゃ何よりです。 わかってるな？ なんです？ これから　この町は大騒ぎになる。 その隙に　今までの膿を 全部　出し切ってしまえ。 ああ　そうですか。 私も膿に入ってますかね？ ああ　入ってるよ。 ちょっと待て！ これさ　あんたの仕業だろう。 はい。　…あー！ 相変わらず大きな事が出来ないな あんた。 ほんとですよ。 （ため息） 了解！　それじゃ 病院に向かいます。 だから　それは言えないって 言ってんでしょ！ （犬塚）容態が安定し次第→ どこかの病院に 搬送される予定です。 いや　行く先に関しては トップシークレットで…。 （拾坂）平坂の搬送用のヘリが 病院に向かうそうです。 どうします？ とりあえず病院に。 （拾坂）すみません！　すみません 道をあけてください！ あけてください！ （拾坂）危ないですから　道を…！ 「４月９日　３人を眠らせたあと 東雲麻衣と話をする」 「以前　研究室で会った私の事は あまり覚えていないようだ」 「彼女に臨死体験の事を聞くと→ 私の予想を遥かに超える答えが 返ってきた」 「私には　それを証明することが 現時点では出来ない」 「いずれにしろ　私は→ 死を知りえる体験をした３人を 誘拐し　バスを隠した」 「今後　何をどう進めるのか 今は　まだ見当がついていない」 「とにかく　研究者として→ 踏み込んではならないところに 来ているのは確かだ」 「私は　過去に犯した過ちを 許されようとして→ 再び罪を犯している」 素子さん…　風宮が過去を消して 徳永研究室に潜り込んだ理由は→ これだったんですね。 で　気になるのは このあとなんです。 「もし　東雲の言っている事が 本当なら→ 私は　すでに死んでいる事になる」 素子さん これって　どう思います？ すみません。　あ…。 どうかした？ 署長と北島さんが 病院に向かうそうです。 了解。 すみません　素子さん。 ちょっと出なきゃいけないんで…。 ええ…　はい またあとで　かけ直します。 （樫村茂）星崎さん。 風宮巧は　どちらの病院に 搬送されるんですか？ それは　お教え出来ません。 ああ…　失礼しました。 余計な事に 首を突っ込んでますね。 そうですね。 ≪（ヘリコプターのプロペラ音） （プロペラ音） シーッ！ （走水　弥生）まもなく 搬送準備が始まります。 わかりました。 ねえ…。 あなた　何を見たの？ 一体　何を伝えたかったの？ 私に　何をしてほしかったの？ いつか…→ 教えてくれますよね？ 向こうのフォロー　よろしく！ （犬塚）はい！ （光子）準備　出来てます！ はい！ お別れは済みましたか？ え？ いえ　なんでもありません。 やっちゃったよ！ いや～…。 おかしいですよ。 遅いですよね。 二度寝しちゃいましたよ。 それは　二度見。 やんなくていいでしょ→ そんな事。 （相模徳三郎）やんなくていいよね。 え～　何　食べてるんですか？ 見てわかるでしょ　ラーメン。 朝から？ 意外と　いけるのよ。 （光子）食べる？ いや　いいですよ。 ♪♪～「朝からラーメン」 ♪♪～「食べるぜ　ハイウェイ」 勘弁してくださいよ。 （敷島澪）皆さんも　すでに ニュースなどでご存じのように→ 椹木さん　月代さん そして　萌黄さんが→ 救出されたそうです。 （安堵の声と拍手） （甘利レミー）馬鹿馬鹿しい。 （味澤宙夫）よかったじゃない。 なんだ　お前！ うわっ！ （澪）そこ　何やってんの。 （レミー）ポルターガイスト現象。 （生徒たちの笑い声） やかましい！ 今年は　入学式の都合で 少し短い春休みですが→ くれぐれも事故のないように。 （記者たちの騒ぎ声） （犬塚）おはようございます！ （坂善正道）事件解決だそうだな。 ええ　まあ　とりあえず。 （坂善）おめでとう。 （拾坂）ありがとうございます。 うわっ　すごいですね。 （光子）あ～　参ったよ…。 どうした？ ああ　おはようございます。 いや　すごい報道陣で…。 （坂善）星崎！ 風宮巧の日記　どう思う？ いや　それは…。 北島は？ 私も　まだ…。 遅い！　犯人逮捕だからって→ ラッコみたいに のん気にしてるんじゃない！ 署長　犬塚君　借りてもいいかな。 もちろんです。 じゃあ　早速 遺留品の分析だ　犬塚君！ はい！　こちらに置いてあります。 こんなん…　ねえ。 こうやって…。 （四十万新也）３人とも 帰ってきて　よかったな。 （麻衣）そう…。 うん。 えっ？　そうでもないの？ そんな事ない。 ただ…。 ただ？ ごめん　言い間違えただけ。 また　あいつら戻ってきたらさ 俺のヌードでも描く？ 四十万君…　あなたたちとは もう一緒にいられない。 どうしてだよ？ 我々は　どこから来たのか 我々は　何者か→ 我々は　どこへ行くのか…。 四十万君…。 東雲…　君がいなくなる事は ずっと前から　わかってたんだ。 最初に　この絵の前に ２人で立った時から…。 さよなら。 ♪♪～ （鮫島猛）いや～　組長 そりゃないでしょ。 平坂が あんな事になってしまった以上→ 俺たちが後を継ぐのが 筋なんだよ。 じゃあ　我々は自然保護団体に？ そうだよ！ おかしいでしょう！ 君の　その髪形よりは おかしくないよ。 えっ！　またダメ！？ だから→ 最初のやつが一番なんだって。 いや　いいんですよ。 問題は　俺たちが なぜ　地球を救う事に？ 急にだもの！ もともと　あの自然保護団体は→ 市長の肝いりで 作ってたやつなんだよ。 他の自然保護団体が 余計な事しないようにさ。 結局　誰かが 引き継ぐ必要があるんだよ。 いや！　でも組長 そのトレーナーは変ですよ！ 大漁だね。 あ…。 イシダイって こんなに釣れるもんなの？ いや　こんな事 あんまりないですよ。 あ～　そういう事か。 だいたい　わかったよ。 えっ？ 市長の娘のレミーを使って→ この堤防の 工事発注をさせたのは　君だね？ いや　今さら　その事で 君を追及する気はないよ。 まあ　なんでそんな事をしたのか 理由は知りたいけど。 釣りです。　ここに堤防が出来れば ポイントまで行かないですむ。 いずれにしろ 君のいたずらのおかげで→ バスは発見された。 僕が余計な事をするから…。 いや。　君が堤防工事を 仕組まなくても　仕組んでも→ バスは見つかった。　すべての事は どんな道筋を通っても→ 同じ結果になると　僕は思う。 変な事　聞いていいですか？ 何？ 星崎さんは　大切な人を 失った事がありますか？ ある。　何度も失ってる。 そうですか。 僕も　大切な人をなくしそうです。 なくす事も必要だよ。 そうなんですか？ なくす事で　その人が どれだけ大切だったのか　わかる。 そういうもんだ。 えっ？ あ～！ いや　ありえない　ありえない！ ありえた　ありえた！ ちょっと！ ♪♪～ なんで走るんですか？ 怖くてさ。 まずいでしょ。 天然記念物なのに。 誰にも言うなよ。 じゃあ　許してくれますか？ 何を？ 星崎さんを殴った事。 あ～　あれか。 明らかに　君だよね。 すいませんでした。 まったく許せない。 ものすっごい痛かったし。 じゃあ　言いますよ。 星崎さんが　天然記念物の 人引きを殺した～って。 だけど　それじゃ…。 絶対に言うなよ！ 言いませんよ。 なんか信用ならないんだよ　君は。 そんな事ないですよ。 あれ？　星崎さんって タバコ吸いましたっけ？ ああ　年に１本だけね。 またぁ。 あれ？ （蛇川方庵） 見せたいものがあるんだけど。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ うわぁっ！ ビックリした！ こっちですよ。 北島さん 妙な声　出してましたよ。 あっ…。 あれ？　聞いてないし。 星崎さん　星崎さん？ ≫（麻衣）いませんよ。 ごめんね。 星崎さんは　出かけました。 どこに？ 北島さんなら　ご存じですよね？ あっ　夜食に サンマとかどうですか？ ごめんなさい。 あれ…。 （時計の音） （犬塚）あれ　どうしたんです？ こんな時間に。 星崎さんは？ 来てない？ 来るんですか？ 来る予定はないんだけど。 じゃあ　来ませんよ。 そうよね。 来るかもしれないんですか？ いや。 だったら来ませんよ。 だよね。 ♪♪～ ♪♪～ （チャイム） ♪♪～ こんばんは。 （日美子の声）「星崎さん 一足先に行ってます…」 「あとは　２が何を意味するのか？ それを確かめるだけね」 「健闘を祈ります」 事件は まだ解決してないって事ですか。 星崎さん！ どうしたんですか？ どうしたんですか　じゃないわよ！ 心配したんだから！ ずっと捜してたんだから！ （泣き声） 何？　どうしたんですか？ 事件が終わったら あなたが消えちゃう→ 急に　そんな気がして…。 いや　大丈夫ですよ。 （泣き声） それに 事件はまだ終わってませんよ。 今度は　仕事じゃなくて 泊まりに来てくださいよ。 ぜひ　そうしたいです。 ああ…　お待たせしました。 やっぱり　ないですよ。 誰かに盗まれた？ 東雲君かな？ まさか。 どうしました？ イエスノーランプがなくて。 いや　私は知りませんよ。 そんな…　盗ったりしませんよ。 いやだなぁ 僕は意外と正直な男ですよ。 何も言ってないのに。 あっ。　そうですよね。 痛いっ！ じゃあ… 本当にお世話になりました。 また　ぜひ。 はい。 あっ　忘れるところでしたよ。 どうしました？ はい　これ。 私の顔のせんべい。 昨日　徹夜で作ったんですよ。 僕の事　忘れないでね。 ええ。 忘れられないと思います。 絶対に。 色々　お世話になりました。 こちらこそ。 何かと不行き届きで 申し訳ない。 いえ　拾坂署長 あなたはダメではありません。 優秀な警察官です。 いやぁ　そう言われると…。 犬塚君　ありがとう。 こちらこそ　勉強になりました。 事件解決の手掛かりは あなたが見つけたのよ。 星崎さんが言ったとおり→ 犬塚の過去が 事件解決に結びついた。 何それ？ 電気屋のバイトです。 今度は　広域捜査官として 会うかもしれないね。 頑張ります！ 桂東さん ありがとうございました。 桂東さん　勝負はお預けですね。 星崎さんなぁ　マヌケだから。 でも　楽しかったです！ 僕も。 熱っ！　熱っ！　熱っ！　熱っ！ 熱っ！　熱っ！　熱っ！　熱っ！ ビリッときた！ テシテシテシ…　気づけよ　星崎。 私は気づいてましたよ。 敬礼したの　変だし。 そうですよね。 かかってこい！ いつでも相手してやるから！ 絶対　すぐに来ますよ！ いや　本当に　お二人のおかげで 事件が解決しました。 ♪♪～ （雅彦）そう これから入学式だ。 いや　だからさ ３人は来ないだろう。 意識不明のままなんだから。 とにかく　マスコミは近づけるな。 私の映画の事 誰か気にしてるかしら？ まあ　色々あったけど→ とりあえず　事件が解決しそうで よかったわよね。 本当に解決したんですかね？ どういう意味？ ２が　何を示すのか わからないままですし。 それは　風宮の回復を 待ってからになると思いますけど。 うーん　というか…。 ♪♪～ （澪）あ　星崎さん。 どうも。 このたびは 本当にありがとうございました。 （阿久根淑子）入学式には ３人は戻ってくる…→ 噂は本当になりました。 お二人のおかげです。 いえ。　私たちは職務ですから。 あ…　東雲さんは？ いや。 ご一緒じゃないんですね？ 今日は　私が起きた時には もう　出たあとだったんで→ てっきり学校の方に…。 まだ来ておりませんわ。 そんな…。 ♪♪～ （宇喜多幸光）このたびは ありがとうございました！ 色々　お世話になりまして。 あっ　倉田さん！ ♪♪～ ねえ　東雲さん見なかった？ いや　今日は見てない。 どうかしたの？ いえ　ありがとう。 四十万君！ あ…。 東雲君は？ 見てません。 どこに行ったか知らないか？ わかりません。 ただ　僕には さよならって言ってました。 あ…　そうか！　そういう事か！ ♪♪～ （椹木みこ）そういえばさ 向こうはどうだった？ （萌黄泉）楽しかったよ。 でも　ちょっと怖かった。 月代は？ （月代美波）寒かった。 でも　すごくきれいだった。 ♪♪～ 素子さん　そういう事ですよ！ ２は　平坂の他に 共犯者がいる事も示してるんです。 …ええ　そのとおりです。 東雲君です。 彼女が事件の共犯者なんです。 脳外科手術で 記憶を消すなんてありえない。 そうです。 あっ　またあとで電話します。 いた？ いや　それより→ 僕は大変な事を忘れてました。 何？ 東雲君ですよ。　彼女が この事件の共犯者なんです。 そう考えると すべての疑問が解ける。 ああ～　そういう事か。 やっとわかりましたよ。 北島さんは　引き続き学校を…。 ちょっと　どこに行くのよ！？ 東雲君に会えるところです。 私を…　置いていかないで。 ♪♪～ ♪♪～ 星崎さんは　今　どこにいるか わかってますか？ まあ　恐らく。 ♪♪～ 今　ラインを越えました。 ♪♪～ 〈大告知。　もう終わってしまった 『熱海の捜査官』…〉 〈さらに　ＤＶＤも発売決定〉 〈知りたがりのあなたは 番組ホームページで〉

花子とアン＃024

1 (蓮子)ﾌﾞﾗｯｸﾊﾞｰﾝ校長｡ 安東はなさんに お酒を飲ませたのは 私です｡ どうぞ 私を退学させて下さい｡ (はな)蓮子さん…｡ ♬｢これから はじまる｣ ♬｢あなたの 物語｣ ♬｢ずっと長く 道は続くよ｣ ♬｢虹色の雨 降り注げば｣ ♬｢空は 高鳴る｣ ♬｢眩しい笑顔の奥に｣ ♬｢悲しい音がする｣ ♬｢寄りそって 今があって｣ ♬｢こんなにも 愛おしい｣ ♬｢手を繋げば 温かいこと｣ ♬｢嫌いになれば 一人になってくこと｣ ♬｢ひとつひとつが あなたになる｣ ♬｢道は 続くよ｣ (英語) (富山) ｢あなたは 校則を破った上に➡ 何も知らない級友を 巻き添えにしたんです｣｡ (茂木) 以前 あなたに事情を聞いた時➡ ｢はなさんが勝手に飲んだ｣と 嘘をつきましたね｡ 今日 本当の事を言いに来たのは なぜですか？ (通訳する富山) (英語) ｢答えなさい｣｡ 別に 理由など ございません｡ いずれにせよ 私は もう退学になるんですから➡ もういいじゃないですか｡ 蓮子さん｡ もう我慢できません｡ あなた 何なんですか その態度は！ ﾌﾞﾗｯｸﾊﾞｰﾝ校長…｡ ２人とも 退学には なさらないって！ ありがとうございます！ 何ですって？ ｢蓮子さんが伯爵家のご令嬢だから 退学を免れたのか｣と｡ ﾌﾞﾗｯｸﾊﾞｰﾝ校長は ｢断じて違う｣と おっしゃっています｡ (英語) ｢神様は どんなに罪深い人間でも 悔い改めれば お許し下さる｣と➡ おっしゃっています｡ (英語) ｢そして 彼女のような生徒を救うのが➡ 修和女学校の使命だからです｣｡ (英語) ｢ただし…｣｡ (英語) ｢ここにいたければ 条件があります｣｡ (英語) ｢集団生活のﾙｰﾙは 守れますか｣｡ (英語) ｢今日から 誰も あなたの事を特別扱いしません｡➡ 自分の事は 全て 自分ですること｣｡ (英語) ｢真摯な気持ちで勉学に励むこと｣｡ (英語) ｢食事は みんなと一緒に 食堂でとること｣｡ (英語) ｢これまでの習慣を全て捨てて➡ 新しい自分に 生まれ変わるのです｣｡ I'm trusting you. ﾌﾞﾗｯｸﾊﾞｰﾝ校長は 信じています｡ (英語) ｢あなたは きっと変わる事ができる｣｡ ♬～ はなさんの通訳は どうでしたか？ 完璧からは 程遠いですが➡ まあ 意味は つかめていたんでは ないでしょうか｡ そうですか｡ 蓮子さん！ ありがとう！ 私 今朝は すっかり諦めていたんです｡ 学校に残れるなんて 夢みたいです！ 本当に ありがとう！ 正直 驚きました｡ あなた 英語だけは 大したものね｡ ああ… さっきは 夢中だったんです｡ 校長先生の言葉を ひと言も漏らさずに➡ ちゃんと お伝えしなくてはと｡ 十分 伝わりました｡ そうですか｡ でも はなさん｡ 何か 勘違いなさってるようね｡ えっ？ 私は あなたに お礼を言われるような事は➡ 何もしておりません｡ 本当に退学になりたかったんです｡ は…？ うちの者たちは 私を やっかい払いするために➡ ここの寄宿舎に入れたんです｡ あの人たちの思いどおりになって たまるかと➡ つまり 復讐してやろうと 思ったんです｡ あなたのためなんかじゃ ありません｡ あっ 待って下さい｡ ♬～ (醍醐)はなさん！ ご心配をおかけしました｡ また 皆さんと一緒に 学べる事になりました！ 本当？ よかった～！ ﾎﾝﾄに よかったわ！ (畠山)でも よく退学にならずに 済みましたね｡ 蓮子さんのおかげなんです｡ 葉山蓮子様？ ええ｡ 校長室に来て 何もかも お話しして下さったんです｡ あの方とは あまり関わらない方が よろしくってよ｡ 彼女は 葉山伯爵家のご令嬢で 一度嫁いだけれど➡ もめ事を起こして 離縁されたんですって…｡ (綾小路)葉山様は この学校に たどりつくまでに➡ いろいろとあったみたいですよ｡ いろいろ？ 離婚して自暴自棄になって➡ 夜な夜な 芸術家の男たちを はべらせて遊び歩いていたとか➡ 浴びるように お酒を飲んでいたとか➡ もう 耳を覆いたくなるような うわさばかりです｡➡ 清らかな うちの校風には なじむのは難しいでしょう｡ あっ 先にいらして｡ 蓮子さん｡ お食事の時間です｡ 食堂で待ってますから｡ (茂木)ｲｴｽ･ｷﾘｽﾄの御名によって ｱｰﾒﾝ｡ (一同)ｱｰﾒﾝ｡ さあ 頂きましょう｡ (一同)頂きます｡ [ 回想 ] 私は あなたより ８つも年上なんです｡ それが どうしたんですか？ あなたは いつも 周りの人に守られて➡ 何も傷ついた事ないんでしょう｡ 私は 16の時…｡ はなさん どうかなさったの？ あっ いえ…｡ いらっしゃらないわね｡ (戸が開く音) 珍しい方がいらしたわ｡ 一度も 食堂に いらっしゃらなかったのに➡ どういう風の吹き回しかしら｡ はなさん｡ 蓮子さん！ 私の隣 空いてますから どうぞ｡ (白鳥)茂木先生 私が｡ ありがとう｡ 何ですって？ ｢ありがとう｣？➡ 目上の私に向かって その言葉遣いは 何ですか！ ｢ありがとうございます｣と 言い直しなさい！ ちょっと あなた！ 何なさってるんですか？➡ 聞いてるんですか？ いつも いつも そのような態度をとって…｡ 白鳥さん｡ お席に戻りましょう｡ あなたも そうですよ｡➡ お世話係なんだから しっかりして下さい！ 白鳥さん｡ 頂きましょう｡ はい…｡ 生まれも育ちも まるで違う２人が➡ この先 生涯の腹心の友になろうとは➡ まだ 神様しか ご存じありませんでした｡ ♬～ ♬～(ﾗｯﾊﾟ) そのころ 甲府の町では…｡ (武)てっ！ 何百人いるでえ｡ (徳丸)武｡ これで がとう景気がよくならあ｡ 甲府連隊 万歳！ 万歳！ 甲府に軍隊がやって来た事で➡ 人々の運命は 大きく変わっていくのでした｡ ご機嫌よう｡ さようなら｡ ＞＞おはようございます。 週刊ニュース深読みです。 きょうから大型連休がスタートで すね。 ＞＞その大型連休については、後 ほど改めて。まずはきょう未明に 入ってきたこちらのニュースから

ザット '70s ショー.S01E11.JA

1 ウィスコンシン州 ポイントプレイス 1976年12月８日 午後３時18分 ポイントプレイス高校 “ボーアの原子理論”は これを読むといい 悪いな　助かるよ 実験で僕と組むのはイヤか？ イヤじゃないけど よく 爆発させるから 何やってんだよ 乗るんだ ウソだろ 君の車？ ボンボンか そうだよ 乗っても… いいよ 実験で組めてうれしいよ ドライブする？ マジ？　行く！ やめろ 冗談だよ レッド　初の給料だぞ ボブ　雇ってくれて 感謝してる コミッション料は残念だな まだ何も売ってない あと一歩でリッチになれるぞ 現実は厳しいな だが 今日は売れる！ いらっしゃいませ 冷蔵庫を買いに どんなのをお探しで？ わからないわ どんな機能をお探しで？ えーと　冷たくなる機能 そうですね… 週に何立法センチ 消費しますか？ わからないわ 色はハーベストゴールドね 間違いです 色を考えるのは最後です 欲しい物を考えてから 来てください 今日この店で 買おうとしたのが間違いね お世話様 仲間とつるんでる いつものストリートで いつもと同じように そう 先週と同じ 楽しみといえば おしゃべりくらい ハロー ウィスコンシン！ 〝アメリカの酪農地 ウィスコンシン １９７６年〞 エリックはどこだ？ 心配だな 何かあったら？ 何もないさ 事故に遭ってたら？ ラッシー ティミーは無事だ 学校の死体安置所を見よう そんなのないぞ 俺たちの税金は？ 何で 俺より 成績が上なんだ？ 心配だよ 論理的に考えよう 俺たちは友達だ 車の故障か何かだろ もう遅いし 歩き始めた方がいい 俺は歩かない 何のためのエリックだ “ハブ” バディ･モーガンよ 中１の時大好きだった 彼は“火の車”に 乗ってるんだ エリックよ 寝返ったわね それって最低じゃない バディは金持ち集団 これは人気者集団 大麻とヒップホップ集団 いい？ 金持ちは大麻集団に 入れるけど 貧乏の人気者は 入れない ラリー･モーズレイは？ 難しくしないで みんな バディだ やあ いや 初めてだ フェズです どうも あの車だと やりたい放題だろ？ 家に帰ろう ねえ　レッド 営業は工場の仕事とは違うわ 慣れるまでの辛抱よ 対人スキルを 発揮するべきだわ 対人スキルなんてない そんなこと言わないの ほら できるわ 笑えばいいの 一番大事なスキルよ さあ やってみて 早く わかった そのままよ やっと島から脱出だ どうしろって？ 脱出してるんじゃない ココナツラジオがあれば 大丈夫 ギリガン 何とかしてくれ ギリガン 何とかしてくれ おお　ジリガン 遅かったな お前こそどうしたんだよ 心配したんだ 歩いて帰ってきたんだぞ 電話ぐらいできただろ？ 外は超寒いんだぞ 叔父のブーツは小さいし シャギー　スクービー お客様よ バディ･モーガンか 知ってるよ すまない　 エリックを送ったんだ 俺のイスだ ごめん そろそろ帰らないと 君の車は学校だろ？ ああ そうだよ 送ろうか？ ああ　頼む ２人とも 悪かったよ 運転する？ やった！ 後ろに乗せて 見たか？ また置き去りだ 派閥越えってわかる？ 難関を突破した エリックの邪魔しないで 関係ないね　 俺はもう歩きたくない 帰るわよ 了解 バディのどこが嫌いなの？ クソ食らえだ 金も車も家族もあって チヤホヤされるヤツが 大嫌いなんだ それは大げさじゃない？ いいか ドナ 卒業後 ヤツは 有名大学に行く 俺は 同じ靴を履き ここにいる でも友達がいる ずっと友達よ ありがとう 同情したの ひざの手をどけて ごめん 動かして 私は 親切な営業マンです よろしく アンペア数はわかりますか？ 考えて 待ってください　 ボブ！ こんにちは 店主のボブです ミキサーを見てましたね？ あなたに合うのは― この中間です でも これを使う所を 想像してみて どう？ これですね ではレジへどうぞ すばらしい一日を 10番の方 どうぞ 今行きます！ 10番！　早く来てください ホットドックを取りに来て わかったよ 席まで持ってきてくれても いいだろ？ 戦争に行った俺に 持ってこいって？ 歩けるだろ？ 足を失ったなんて 言ってない どうしたの？ エリックは？ さあ　知らないわ またバディだ トランザム狙いだよ あなたたちは 車と地下室狙いね ガキの頃からの 付き合いだ 昔からのね そうだ ツリーハウスと ゴーカートは？ お前 買わないなら 出てってくれ 結婚式の予約があるし そんなの　ないだろ “結婚式”？ “買わないなら出てけ”の 間違いだ ああ　出てくよ 行くぞ 俺はちゃんと買った じゃあな いらっしゃい　ご注文は？ 僕の親友の話を 　　　してあげよう 彼は何があっても 　　僕を好きでいてくれる 僕の親友の話をしてあげよう 彼は いつだって 　　　かわいい友達 僕の楽しい親友の話を 　　　　　　してあげよう 友達から友達へ 　　そして 父から子へと だって彼は僕の親友 だって彼は僕の親友 面白かったな 洗車場で働くのも 楽しそうだ どうする？ どうするか しまった 何？ 別に 電話しなきゃ ドナか ドナは君の彼女？ どうかな… どうだろ 混乱するのはしょうがない 時々 思うことがあるんだ 一緒に映画を見る時とか すごく緊張するんだ だから 演技をする 別人になる そうか おい！　何するんだよ！ 何が？ 君って　君はゲイなのか？ 違う　ゲイじゃない 違う？ 今 キスしただろ ああ　ゲイさ 送ってくれる？ ジョニーは男ですが 外見や体格は 彼にとって重要です ジョニーとジェイニーは ゲイであることが 認められるか不安です 僕は違う そうだな 本当？ てっきり… 何でそう思う？ いつも一緒だし 友達だからさ ハイドとは長年友達だけど 口説かない 彼は最低な男だからね それが理由じゃない 僕がゲイじゃからさ そうか 悪かったよ いいよっていうか… 忘れよう ラジオ聞く？ やめろって 俺はダメだ　辞めるよ 今はダメよ 何で？ いずれ ボブがクビにするわ 冗談よ　レッド そうだ 演技しましょう 何だと？ 私が客で あなたが営業マンね そのあとは？ さあ じゃあ― やるわよ ステキなミキサー バカみたいだ レッド！ 刃はステンレスだから 氷も砕ける バーに置くといい それに ワット数が高いから 倍の金額で産業モデルに する必要がない 何年も使ってるけど 知らなかったわ 知らなかったのか？ 買う前に 誰もが 調べるわけじゃない バカなんだよ だから あなたが 教えてあげるの この仕事は 天職よ 私がわかるのは 色だけよ お前もか あとで後悔するわよ マットレスも欲しいんだけど マットレスは売ってない… エリックがいればな 私がいるでしょ 違うんだよ 君に話せないことも エリックには話せる 例えば？ 例えば… 君のムカつく行動とか マイケル！ ほら 話せないだろ あらエリック… 何だよ 久しぶりだからだよ また歩いて帰ってきたとか？ そのことだけじゃない 俺はない あるだろ？ ない バディは？ バディは… バディは… 忙しい そうよね 彼は人気者だもの それにゲイだし ゲイじゃないわ！ バカなこと言うな ゲイなら 俺に来る 来るだろ じゃあね エリック ガキは帰った ゲイか？ 僕が言うのは… ゲイだ あり得ない仮説が 現実のものとなるのは 100年に１度くらいだ 例えば バディに口説かれるとか ゲイはゲイを口説くの エリックは魅力的だ もうしないと思う もう？ いや 初めてかも 入るよ いいかい　ドナ もしエリックが ヤツを選んだら 俺がいるよ 速さを変えられるし ステンレスなので 一生もちます 付属品もついてます あとは色を決めるだけです 白にするわ 完ぺきです ありがとう これまでで最高の 営業マンよ それは 光栄です 少し お待ちください やったぜ おめでとう　言っただろ？ “今日は売れる”って ミキサーを売ったのは 誰でしょう？ 待てよ　バディ 化学のノートは？ そうだった 僕と組みたくないなら 言ってくれ　 いや そうじゃないよ 友達だろ いいの？ ああ ちょっと聞きたいんだけど 何で　えっと　何で… 僕？ よくわからないけど たぶんドナと同じだよ 賢くて 繊細で― カッコイイ そうか でも僕は賢くない ノートはコピーだ それに イヤなヤツにもなる かわいい！ まあ そうかもな 〝アメリカの酪農地 ウィスコンシン １９７６年〞

空飛ぶ広報室＃11

1 (リカ)ここから ここまで パンでどうですか？ (坂手)ここは そうだな お願いします (大津)煎餅屋だから 地味でも➡ 主力商品を 中心に置くべきっす (珠輝) かわいくてｷｬｯﾁｰな方が真ん中です あのお嬢ちゃん 次から一人で大丈夫かよ 任せることで 生まれる責任感もあるかなと おいしそうに煎餅が見えないと… ほら！ 店先でもめない やるなら陰で すんません はい あッ すみません すぐに始めますので うわッ べっぴんさんだな はい？ ウチの息子の嫁に来ない？ 彼氏いるに決まってるでしょ 聞いてみなきゃ分かんないだろ 彼氏はいません ほら～ ホントに？ 仕事が恋人ですから [ﾃﾚﾋﾞ](藤枝)２年ぶりに… [ﾃﾚﾋﾞ]航空自衛隊の ｱｸﾛﾊﾞｯﾄ飛行ﾁｰﾑ･ﾌﾞﾙｰｲﾝﾊﾟﾙｽが [ﾃﾚﾋﾞ]昨日 故郷の松島基地に帰還し [ﾃﾚﾋﾞ]記念式典が行われました [ﾃﾚﾋﾞ]２年前の 東日本大震災の日 ﾌﾞﾙｰｲﾝﾊﾟﾙｽは [ﾃﾚﾋﾞ]九州新幹線開通記念ｲﾍﾞﾝﾄのため 福岡を訪れており [ﾃﾚﾋﾞ]被害を受けませんでした [ﾃﾚﾋﾞ]以降 福岡県芦屋基地に拠点を 移し 訓練を行っていましたが [ﾃﾚﾋﾞ]松島基地の復旧工事が 進んだことを受け 帰還 [ﾃﾚﾋﾞ]当日は あいにくの雪で 展示飛行は中止となりました 飛べなかったんですね うん あれから２年か 東京は それ以前と変わんねえな 大津君の郡山の実家 どうなった？ 建て替えは終わったんすけど 借金てんこ盛りっす 大変だね いや 俺なんて全然っすよ 地元の友達 失業したやつ たくさんいるんで こっちで俺だけ平和に 暮らしてんのが何か悪いみたいで お前 生きててごめんなさい みたいに言ってんじゃねえよ おお～ とったど～！ お疲れさまでした お疲れさまです (阿久津)稲葉 見たか ブルーインパルスの 帰還のニュース はい 一瞬でしたね お前 松島基地へ取材に行かないか これ 知ってるだろ 地元にとって➡ ブルーインパルスは復興の象徴 せっかく帰還がかなったんだ これを機に ｢空自の側から 語られる震災の記憶｣ そんな特集があっても いいんじゃないか はい でも… うん？ それを取材するのが 私でいいんでしょうか 今のお前なら 公正な目で取材できるはずだ 周りも何も言わんだろ この２年 お前は それだけの仕事をしてきた 《ご挨拶に 今から広報室に伺います》 《(空井)困ります 来ないで》 《今 松島なんで》 《はッ？》 《今日 来られちゃったら 僕が稲葉さんに会えないでしょ》 《だから 明日来てください》 おい これ大至急 ｢どうか そのまま無事でいてください｣ (阿久津)集合 ちょっと聞いてくれ このまま緊急報道を続ける 帝都ｲﾌﾞﾆﾝｸﾞのｽﾀｯﾌは このまま待機 稲葉と大屋 報道局のﾌｫﾛｰ行って➡ 仕事 続けろ [ﾃﾚﾋﾞ]引き続き 東北地方を中心とした 地震に関するﾆｭｰｽをお伝えします 珠輝 これ お願い ｢空井さん こちらは この３日間｣ ｢報道局と連携して｣ ｢情報収集と 放送にあたっています｣ ｢この状況に｣ ｢ただ ぼうぜんとするばかりです｣ [ﾃﾚﾋﾞ]被災地に派遣する… ｢現地で任務に｣ ｢あたっている皆さんを思うと｣ ｢勇気づけられます｣ ｢私達には 報道することしかできません｣ ｢空井さん｣ ｢５日ぶりに帰宅できました｣ ｢空井さんは その後 大丈夫ですか？｣ ｢空幕広報室も ほとんどの人が｣ ｢東北へ派遣されたようで｣ ｢様子を聞くこともできません｣ ｢空井さん｣ ｢テレビの映像を見るのが｣ ｢つらいという視聴者からの電話が たくさん入っています｣ ｢情報を伝えることの 難しさを感じています｣ [ﾃﾚﾋﾞ]宮城県航空自衛隊 松島基地では [ﾃﾚﾋﾞ]Ｆ-２戦闘機の他 全28機が水没 [ﾃﾚﾋﾞ]被害総額は2000億円を超えると いう大きな被害が出てます [ﾃﾚﾋﾞ](ｹﾞｽﾄ)しかし 津波が来るまで 30分以上はあったわけで [ﾃﾚﾋﾞ]どうして その間に １機も飛ばせなかったのか [ﾃﾚﾋﾞ]政府は今日の持ち回り閣議で [ﾃﾚﾋﾞ]３月11日に起きた 地震による震災の [ﾃﾚﾋﾞ]決定し 発表しました [ﾃﾚﾋﾞ]合わせて 2011年度予算の一部の執行を… (ﾊﾞｲﾌﾞﾚｰﾀｰ着信) ｢稲葉さん｣ ｢ずっと メールできなくて ごめんなさい｣ ｢水が引いてからの松島基地は…｣ ｢フル稼働しています｣ ｢終わりは まるで見えませんが｣ ｢弱音を吐く奴はいません｣ ｢災害派遣は勝利なき戦いである｣ ｢その言葉の意味を｣ ｢今 噛みしめています｣ ｢空井さん｣ ｢街角グルメの取材を｣ ｢再開しました｣ ｢今 こんなことを していていいのか｣ ｢もっと他に 伝えるべきことが あるんじゃないのか｣ ｢そればかり考えてしまいます｣ [ﾃﾚﾋﾞ]防衛大臣は震災から [ﾃﾚﾋﾞ]２ヵ月となる今週 [ﾃﾚﾋﾞ]自衛隊の派遣態勢を… ｢空井さん｣ ｢ご存じとは思いますが｣ ｢震災で遅れていた 片山さんの異動が決まりました｣ ｢空井さんは お元気でしょうか｣ ｢お体には お気をつけて｣ [ﾃﾚﾋﾞ](藤枝)今日で東日本大震災の 発生から… [ﾃﾚﾋﾞ]防衛省の発表によると ｢空井さん｣ ｢あの日から ３ヵ月がたちましたね｣ ｢色々なことがありすぎて｣ ｢あの日 電話で｣ ｢また明日って約束したのが｣ ｢遠い昔のことみたいです｣ ｢僕は 松島基地に 異動することになりました｣ ｢自分から 志願しました｣ ｢今まで ありがとうございました｣ ｢もう 連絡しません｣ ｢稲葉さん｣ ｢どうか｣ ｢幸せになってください｣ (比嘉)稲葉さん １年ぶりですね すっかり変わっちゃいましたね そうですね あの頃いた人は もう誰も 電話で 比嘉さんが出てホッとしました 相変わらず やってますか？ ガツガツ 最近は小出しで いただきます どうぞ 松島基地の取材 でしたよね はい ブルーインパルスの帰還と その前段として 基地での震災当時の状況を 取材したいと思ってます ぜひとも お願いします あの 松島基地の広報には まだ… ええ いますよ 空井二尉 今は一尉ですけど そうですか いますか いますね 正直 他の人に変わっててくれれば と思ったんですけど うう… あッ すいません 空井一尉が担当だと 取材してくれませんか？ いえ 取材はします ただ 私が行くか 他のディレクターが行くか それだけのことです そうですか うん 決めた やっぱ断るわ 公私混同～ 公私混同だから行かないの つまり まだ 忘れられてないってことか➡ 空は見上げりゃ どこにでもあるもんなあ やめたやめた 松島には行かない 空も見ない それでおしまい 空見ないの かなり難しいぞ 見ないのだ！ ビール お代わり (マスター)はい (携帯着信) はい ☎(柚木)稲葉ッ？ ☎助… けて ☎うま… ☎うま… 馬？ ☎生まれる～！ ダメ ストップ！ えッ？ (柚木)よッ おかしいと思った 何で入間にいるはずの妊婦が こんな所で倒れるの ｼﾞｭｰｽ飲みに来たの 赤ちゃん 今 何ヵ月ですか？ ７ヵ月 腹ん中で暴れまくり 座ってください だますんじゃなく 普通に呼んで 鷺坂さんじゃあるまいし 詐欺師･鷺坂 リスペクトです ﾘｽﾍﾟｸﾂは要らないと思います ﾋﾞｰﾙ２つ (片山)おっす 稲ぴょん (槙)お久しぶり おッ 藤枝さん！ あれ 片山さん オシャレしてます？ 別に 何で一人で来るかな 電車 何分 乗ったの 何かあったらどうすんの 大丈夫だって 風紀委員の次は 過保護なママみたい ママとパパ お似合い 槙さんは今どちらに？ 十条の補給本部です 俺はね 芦屋の総務班長 福岡県の ﾌﾞﾙｰｲﾝﾊﾟﾙｽがいたとこだ 藤枝 出張で こっちに？ 別に！ 撮影です 婚活の写真の バラすな 婚活？ はい ドーン ドドーン！ ああ 交際相手募集の 来月 載るんです 片山三佐 いや 別にね 焦ってるとかじゃないんだよ 合コンで うまくいかないとか お見合いﾊﾟｰﾃｨｰで連敗とかじゃない うまくいかないんだ 連敗なんだ 黙れ デリカシーのない女ども でも片山さん カッコイイからな いっぱい応募 来るんじゃ… そう思う？ ただ問題は その先ですよね どうすればいい？ (柚木)恋愛相談は よそでやれ うるせえ メアド教えてよ 比嘉 稲葉さん はい こちらから こんなことを お願いできる 立場じゃないんですけど 松島基地の取材 稲葉さん 行ってもらえませんか 別に空自びいきの取材を してくれと言ってるんじゃないよ そこは稲葉が思ったように 公正な目で見てくれればいい でも 私達は 稲葉に行ってほしいの 稲葉に 見てきてほしいの あの日の 松島を 自分も同じ気持ちです 稲ぴょんなら 自衛官のこと ヒーロー扱いしないと思うし ありのままを伝えてくれる ずっと 我々を見ててくれた 稲葉さんだから お願いしたいんです (柚木)ねえ 稲葉 行ってくれないかな？ はい よし 空井に会ったらさ もう 殴るなり蹴るなり ﾌﾗｲﾝｸﾞｸﾛｽﾁｮｯﾌﾟなり してやればいい 乱暴すぎんだろ 空井にクロスチョップ！ やんないです やらない お久しぶりです お久しぶりです このたびは 取材 ありがとうございます いえ よろしくお願いします では 行きましょう お疲れさまです あの時のまま 残してるんですね はい 忘れちゃいけないんです 僕達は決して 聞かせてもらえますか あの日の松島を はい あの日は 雪が降ってて 下は 辺り一面 見渡す限り 真っ黒な水でした 目の前では 見る見るうちに Ｆ-２やＴ-４が流されて ただ… ただ見ていることしか できませんでした 津波が来たのは 警報から30分以上たってから でも その間 １機の機体も 飛び立たせることができないまま 28機全てが使用不能に陥った どうして そんなことになったんですか 聞かれると思ってました 滑走路は全長2700メートル 地震の影響がないか 全てを確認するには 時間がかかります ここにいたのが 実戦部隊のアラート機なら ５分で離陸できるんで 何とか なったかもしれないですけど あるのは教育隊ですよね はい あの日は雪で 訓練も中止が決定していたので 飛行前点検も何も 行われていませんでした その状態から飛ばすには 通常30分近くかかる 津波警報が出てすぐ 整備員もパイロットも 飛ばすべく走りました でも 全員退避の命令が出ました 間に合わないという 基地司令の判断です 飛行機も 隊員も失うくらいなら 隊員だけでも 戻れと 退避の前に せめて 少しでも水が入らぬよう 扉を閉めようと ここ もう直ってるんですけど 地震の直後 レールが ゆがんじゃって 扉が閉まらなくて どうやっても 悔しかったです 何も できなかった あの高台 ３メートル かさ上げしています その上に仮設の ブルーのハンガーを造りました 松島に帰還してからずっと 避難訓練を繰り返してます 避難訓練 はい 飛ぶ準備ができていない状態でも いかに早く エプロンから あそこまで退避できるか もう二度と １機も無駄にしないために (島崎) こいつらも流されていたら➡ ブルーインパルスは 二度と復活できませんでした 新しく機体を用意することは？ (島崎)新規調達となると 莫大な予算がかかる この先 何十年も 復活できなかったと思います➡ こいつらが残ったことには きっと意味がある だから できることは 何でもやりたいと思ってます ホントは 色んなプラン考えてたんですよね 戻ってくる時に仙台駅上空を フライパス …て 実現しませんでしたけど 帰還の日もな 地元の人達に向けてバーンと ｢帰ってきたぞ～！｣って 飛ぶつもりだったんですが 雪の予報で 大事をとって前日に ひっそり戻ることになっちゃって 展示飛行も中止になりましたしね ああ あらためて 開催できないんですか？ 年間の展示飛行の回数は 決まってるんです 俺達が飛ぶことで 地元の人達を少しでも 元気づけることができたら そう思ったんだけどな (神谷)あん時は 頭ベタベタになって束になってね (須田)体中 膜張ってるみたいで 自分が臭すぎて 最後にはマヒしてた ２週間 お風呂も入れず 家にも帰れず？ はい 雪が降るくらい 寒かったんですけど 廊下にダンボールひいて雑魚寝 お二人は主に どんな仕事を？ 最初は隊内の食事や水の配分 全国から支援物資が届くように なってからは その管理や仕分けを 当時 困ったことは？ やっぱり 女子的な生活必需品の不足？ そうですね おむつとか生理用品とか 支援物資の中には なかったんですか？ あったけど 支援物資は 被災者に届けるものですから 隊員は 受け取らないようにしてました あなた達自身も被災者なのに？ でも そういう女子アイテムを 各基地の女の人達が 差し入れしてくれたんですよ 支援物資は 受け取れないだろうからって 嬉しかったね あれは うん (山本)すいません 地元の集まりに顔出してまして ご挨拶が遅れました 渉外室長の山本です 帝都テレビの稲葉と申します お願いします お願いします 空井が 市ヶ谷で お世話になったそうで いえ 私こそ 空井さんと 空幕広報室の皆さんには たくさんのことを教わりました この松島基地でも ぜひ何か持ち帰ってください 何でも書いてＯＫ バンバン好きなだけ 書きまくっちゃって あの テレビの取材です テレビ？ そうでした まあ どうぞどうぞ こちらへ あの 鷺坂室長とは違った意味で濃くて はい 久々に勇猛果敢･支離滅裂を 実感しました (山本)写真は さほど残ってません 広報の隊員もみんな 災害救助に必死でした 自分も 空幕広報の人間だったのに 写真を撮るより 他にもっと できることがあるんじゃないかと 思ってしまって あまりに被害が大きすぎました 活動範囲の線引きでも 悩まされました ｢線引き｣というと？ 例えば 被害に遭ったお宅の がれきの撤去や泥かきも 本来 してはならない えッ？ 自衛官は救助活動以外で 私有地に入ることを 禁じられているんです 石ころ一つ拾えない 非常時なのに？ しかし 私達にとっても なじみの町です 泥をかぶったままの家々を前に 手を こまねいてることはできなかった では これは… 地元の了解を得てから 基地司令からの命令が 下されました ｢基地から流された 流出物を捜索せよ｣ 無理やりの名目です でも 他に方法がなかった 問題になったら 基地司令のクビが飛ぶ それでも そういう命令を出してくださった この件については 報道対応に気を使いました 取材に来た記者の方達に 事情を説明して もし 問題になったら この活動を 打ち切らざるをえないと でも 各社とも 好意的な報道をしてくれました おかげで 活動を続けることができた 隊員達は よく頑張ってくれました つらい光景も たくさん見たと思います 隊員の中には 自分の家族が 行方不明のままの者もいました それでも みんな 少し休むと すぐにまた 出て行こうとするんです 打ちのめされてるだろうに それでも… すいません 皆さん 同じですね 震災から１年たった頃 比嘉さんに会ったんです その時 少しだけ話を聞いたんですけど 《任務の合間は 避難所の子供達と遊んでました》 《キッズ受けはね いいんですよ》 《分かります》 《子供達 昼間は忘れてても》 《夜になると怖いみたいで》 《何とかね 笑わせたいと思いましてね》 《あらゆる顔芸を駆使しましてね》 《結果 顔面ゴムおじさんとして 人気を博しました》 《行けてよかったです》 《少しでも役に…》 《立てて…》 《もっと》 《何か》 《もっと》 《できたのかもしれませんけど》 《すいません》 テレビの映像を見ているだけで 不安定になった視聴者が 大勢いました 実際に 現場にあたっていた隊員の人達が 何も感じないわけないですよね 現場では 何も考えないよう スイッチを切って 動けるんですけど 基地に帰… 基地に帰って こう ふとした瞬間に あれ 何でですかね 止まらなくなることがあります 情けないですね 私は 空井さんの泣き顔なら たくさん見てるんで 今さらです ひどいなあ あそこのお風呂 地震でボイラーが壊れたのを 新品に交換して 被災者の皆さんに開放したんです こんな時に 風呂なんか直してる場合かって 意見もあったんですけど １万6000人の人に使ってもらって すごく すごく喜んでもらえました あッ あと あっちの体育館 全国から集まった自衛官1000人 こう ギュウギュウに枕並べて こう おしくらまんじゅうみたいに… ごめんなさい 私… 何にも伝えられてません いいんです 何か できることがあるって 楽なんです 有事において 果たすべき義務がある それだけでも 心のよりどころになります だから 気にしなくていいんです 稲葉さんが 泣くようなことじゃないんです 余計 泣けるんで やめてください 僕が 稲葉さんにできることは 他に もう ないんです ありがとうございました 明日は お昼前に 坂手さん達と車で基地に入るんで はい じゃあ はい (鷺坂)稲ぴょん 稲ぴょ～ん！ 鷺坂さん！ 昨日から ちょうど石巻に来てて ｢稲ぴょんが そちらに向かいました！｣ 比嘉から連絡もらったもんだから ずっと東京と東北の行き来を？ そう 各地の小学校や 仮設住宅を訪問して 避難訓練のレクチャーしたり 他にも色々と 鷺坂さん達ＯＢも 震災直後から東北に？ 隊員達の代わりに 彼らの家族の 捜索にあたってました まあ 少しでも安心して 任務に励めるように 空井 元気にしてた？ 元気でしたよ そう 帰しちゃってよかったのか？ お前の彼女 いや か 彼女なんかじゃ でも ２年前のあの日 お前が真っ先に 自分の無事を知らせた相手って あの子だろ 私 ずっと この２年間 空井さんからのメールの意味を ｢幸せになってください｣っていう 言葉の意味を ずっと考えてたんです でも 今日 よく分かりました 稲葉さんには 稲葉さんの人生があります その人生を一緒に歩む相手は 僕じゃない方がいいんです 空井さんは たくさんのもの 抱えてて 抱えきれないくらいで でも きっと 私には抱えてほしくなくて あの人は ただでさえ一生懸命で いつも自分から 険しい道を 選んでしまう人だから 自分が どんなにつらくても あの人は 私には笑っていてほしい そう思ってるんです だから これでいいんです 別々の道で もう決めてるんです 空井さんは だから 私も 自分の人生を歩こうと思います まだ こんなに 東松島市だけで 100年分のがれきが出ました でも 急ピッチで処理が進んでます 毎日 地元の人達が 分別にあたってます こんばんは (三上)あら サギちゃん 来てたの 昨日からね おッ めんこいの連れてる 俺の娘 みたいなもん どうも カワイイ おのくん？ ここ 小野の仮設住宅で 生まれたから｢おのくん｣ 手作りだから いっぱいは作れないけど 口コミで じわじわ人気が出て 今では予約待ち 全国から 買いに来る人が大勢いるの すごい いつから作られてるんですか？ ちょうど１年前 ｢めんどくしぇ｣ってなって めんどくしぇ？ 復興復興 言っても 全然 進まねえし いつ仮設から出られるかも 分かんねえし 悲しむのも疲れた ただ待ってるのも めんどくしぇし オラ達で できることをやっぺしねえ んだんだ 今じゃ｢めんどくしぇ｣が 私らの復興の合言葉 それと皆様の 心意気 サギちゃん いいこと言うね (渡辺)ねえ どうぞ すいません 東京からですか？ はい 申し遅れました 私 帝都テレビの稲葉と申します ﾌﾞﾙｰｲﾝﾊﾟﾙｽ 帰ってきたでしょ その取材 ブルーインパルスの 帰ってきていがったねえ うるせなあ んだんだ うるせなあ えッ？ あれから ずーっと 空が静かだったからね 止まってた日常が 戻ってきたみてえで嬉しなあ 展示飛行 中止で残念だったねえ 子供達も楽しみにしてたのに ブルーの隊員の方達も 残念がってました 稲ぴょん 明日は？ 明日はカメラマンの方達も来て 飛行訓練を… 鷺坂さん！ お願いしま～す お願いします 帝都テレビです お願いしま～す お願いしま～す ≪(坂手)何してんだ あれ？ 選挙活動？ はッ？ (山本)遅いなあ 帝都ﾃﾚﾋﾞの稲葉さんから連絡は？ いえ (電話が鳴り) はい 広報班です ☎空ぴょ～ん 空ぴょん？ 空ぴょんに稲ぴょんから伝言 あッ ｢今日のブルーの飛行訓練は｣ ｢基地の外から撮影するので｣ ｢そちらには 伺いません｣とのことです えッ 外からですか？ ☎空井 外に出てごらん えッ？ どうぞ どうぞ こちらに どうぞ 室長 室長 あの これ… うん ゆうべ 稲ぴょんがさ 《鷺坂さん！》 《飛行訓練って 基地の外からでも見えますよね》 《みんなに知らせて 見てもらえば》 《訓練は訓練だからな》 《外に知らせるってのは…》 《じゃあ 例えば 誰かが勝手に告知する分には？》 《問題》 《ないかも しれないかも》 集まったもんだなあ 稲ぴょん 朝から色んな所で配ってたみたい (歓声が上がる) お帰り～ ≪すご～い ≪うわ～ お帰り～ ≪待ってた～ ≪お帰りなさ～い ≪すごい ≪カッコイイな 稲ぴょん お前に会わないで 帰るつもりだよ 詐欺師･鷺坂としては 仮病を使って電話してでも 稲ぴょん 呼び戻して 何とかしてやりたかったけど お前ら二人とも さんざん苦しんだから でも 何にも思いつかなくて 詐欺師としては お手上げだ 空井大祐！ 稲葉リカ！ あの日から 時計の針が 止まってしまった人が たくさんいる でも それでも 前に進もうとしている人達が… 前に進もうとしている人達が たくさんいる 勝手な願いだが 俺は お前達に 諦めてほしくない！ (歓声が上がる) ≪(大津)痛ッ 稲葉 コケんなよ！ [ｽﾋﾟｰｶ](島崎)手 振ってる [ｽﾋﾟｰｶ](隊員)ああ 俺達 戻ってきたんだな 稲葉リカさん！ じ 自分… 僕はッ 稲葉さんのこと 幸せにできるかどうか 分からないけど… 私の幸せは 私が決めます はいッ (バイブレーター着信) ウィー ぬはッ おお～ イエス！ よっしゃ～ッ ≪(阿久津)サギちゃん？ 集合 既成事実 作っとかないと また何かあったら困るからな はい 気持ちよくなりまちたね～ よし はい ドーン！ まんますぎない？ アンタの｢航子｣だって 似たようなもんでしょうが 航子ちゃんの方がいいでちゅよね ヤダよね～ えッ いいんですか？ はい ホントに？ カメラ カメラを隠してあって ｢ドッキリです｣ みたいなことじゃ？ いいえ (藤枝) おっしゃ プロポーズ成功したか 俺も純愛に生きてみよっかな (ともみ)無理でしょ だよね つか ともみん 最近どうよ？ マンション買っちゃった １ＬＤＫ 一緒に住んでやろっか ﾍﾟｯﾄとしてなら 今日な 嫁と子供 いねえんだよ 終わったら飲み行こうぜ 用事あるんで 用事ある… 何ッ！ いいじゃないっすか お待た～ 今晩 何食べる？ う～ん 焼きトンかな それいい どこの行くの？ 焼きトン… すいません 内局に出した書類が １枚 抜けてました！ そういうこともねえ ありますよねえ はいッ 頂きました やっべッ 子供の名前？ 自分達で考えなさいよ ゆっくり悩める時間があるのは 平和の醍醐味なんだから たっぷり味わいなさい サギのおっちゃん 今 忙しいんだ 早く じゃあね お待たせ お待たせ でっかいフライ いくからな (子供達)え～ッ 無理～！ 無理かどうかは走ってみなくちゃ 分からない いくぞ バック バック！ ナイスキャッチ！ バックホーム！ (島崎)空自を題材にしたドラマ？ はい もし もしですよ 実現すれば ﾌﾞﾙｰｲﾝﾊﾟﾙｽにも協力してほしいって 実現しないだろ 意志あるところに 道は拓けます！ 新婚は言うことが違うね それは関係ないでしょ 肌身離さず 写真持って お前 ちょっと見せろよ ウィー いや～ カワイイですよね ウチの リカぴょん お前 何言ってんだ 先方には 11時に行くと 言ってありますので どうした？ 北の方から悪寒が 旦那か 虫の知らせか？ いえ たぶん また しょうもないことしてるんだと はッ もう いいのか 嫁さん 東京に置きっぱなしで 離れてて寂しくないのか 空は 空は 空は つながってます 11月29日に発売される ドン！

信長のシェフ１st＃08

1 (ケン)〈戦国時代に タイムスリップした俺は→ いつの間にやら 信長のシェフになっていた〉 〈平成の記憶の中の女 瑤子も この時代にいる事を俺は知る〉 (夏)瑤子に会いたいんだろ？ 〈信長の天下統一を阻む動きは 激しさを増し…〉 (織田信長)三好党を討つ｡ 〈ついに 最大の敵 石山本願寺の顕如が蜂起した〉 (顕如)仏敵は… 織田信長なるぞ｡ おのれ… 顕如!! 〈そんな中 俺は 近江宇佐山城へ→ 決死の覚悟の 森可成を止めるため→ 急いでいた〉 ケン…｡ ケン…｡ 賢一郎…｡ 瑤子…｡ ケン… イチロウ…？ それが… 俺の本当の名前…？ え…？ 瑤子… さん｡ 記憶のとおりだ…｡ 美味しい｡ 記憶…？ 教えてくれ｡ 瑤子さん！ 俺は… 俺は一体 何者で→ なんで こんな時代に来る事に…!? ちょっと待って｡ あなた 一体…｡ どうしたっていうの？ 賢一郎｡ 俺は…｡ ケンは 平成ってとこにいた時の事 ほとんど覚えてないんだ｡ えっ…？ あんたも 平成から来たんだろ？ 本当なの？ 賢一郎｡ 私の事も 思い出せないっていうの？ いや…｡ この時代に来てから 君の姿ばかり思い浮かんで…｡ でも どれも断片的な記憶で 肝心な事は何も…｡ だから 教えてほしいんだ 瑤子さん｡ 君は 俺のなんなんだ？ ♬～ (顕如)私に嘘をつき 裏切ったら→ 再び 山の中へ捨てますよ｡ (瑤子)はい…｡ 嘘など申しません｡ 教えてくれ… 瑤子さん｡ ≪(僧兵)何者だ!? この山に出入りする者は 何人たりとも生かしてはおけん！ ちょっと待って…！ ケン！ ♬～ あなたは…！ こっちへ｡ (僧兵)待てーっ！ ♬～ 〈1570年〉 〈三好党との 野田･福島城の戦いは→ 顕如率いる 石山本願寺の蜂起により→ 信長軍有利の戦況は一変〉 〈そして 森可成のいる宇佐山城は→ 顕如の要請を受けた 比叡山延暦寺の僧兵たちに→ 包囲されつつあった…〉 (森 可成)延暦寺の僧兵が!? この城を 取り囲んでおります！ 恐らく 使者は誰ひとり→ お館様の元へ たどり着いておりません！ なんという事だ！ 浅井･朝倉の進軍を 伝えられぬ！ このままでは お館様は 三好党 石山本願寺と→ 浅井･朝倉軍の挟み撃ちに…！ お館様!! 石山本願寺軍 石山より出て→ 淀川へ進軍致しました！ 迎え討て！ 望みどおり 石山本願寺も 叩き潰してくれるわ！ (家来)はっ！ (顕如)信長とは→ 長い戦に なるでしょうね…｡ その後 瑤子の行方は？ それが いまだに…｡ ええい！ くそっ！ どこ行った!? なんだ？ 今の奴は…｡ 多分 比叡山… 延暦寺の僧兵…｡ 僧兵？ 石山本願寺も参戦したんだと思う｡ 石山本願寺…｡ ≪(僧兵)いたぞ！ こっちだ！ 見つかった！ 待って｡ 森可成の使者だ！ ああっ…！ お館様に…！ ううっ！ ううっ…！ (僧兵)よいか!? 浅井･朝倉軍が着くまでは→ 森可成の使者を 織田本陣に 向かわせてはならぬぞ！ (僧兵たち)おおっ！ (僧兵)使者はまだいるぞ！ 今しがた 怪しい者どもを見た｡ (僧兵)それが顕如様のところの 女人だったような…｡ (僧兵)とにかく 見つけ出せ！ (僧兵たち)おおっ！ どうする？ これじゃ いずれ見つかっちまう…！ 早く可成さんに この状況を伝えないと…｡ 私が行くわ｡ え？ 私なら大丈夫｡ その隙に逃げて｡ 出来るわけないだろ？ それに 君はまだ 俺の質問に何も…｡ またの機会に教える｡ あてになるかよ そんなもん！ 教えてやれよ｡ ♬～ なんだよ｡ あなたは知りたいの？ 平成での 私と賢一郎の関係｡ さようなら 賢一郎｡ 私は大丈夫｡ 瑤子さん！ ≫(僧兵)いたぞ！ おっ！ あなた様は 顕如様の…！ (僧兵)石山本願寺まで お連れ致しまする｡ さあ こちらへ｡ ♬～ ケン！ まだ あの女の事考えてんのか？ 可成さんと お館さまのお命が 危ないっていうのに…｡ 歴史上 信長様は まだ死なないよ｡ 可成さんだって…｡ いや 知らない…！ え？ 思い込んでた…｡ 本能寺の変まで→ 大切な人たちは 死なないんだと…｡ でも 俺は歴史上 森可成が いつ死ぬのか知らない｡ ケン…｡ 可成さん…！ (可成)僧兵の討っ手と→ 次の使者の支度を急げ！ はっ！ フンッ！ 夏殿…｡ (可成)見事じゃ｡ ありがとうございます｡ 信長様からは→ 可成さんに 戦勝祝いの宴の用意を しておくよう伝えろと…｡ (可成)そうか｡ お館様が…｡ でも その長い穂先…｡ (可成)なんじゃ？ 可成さんは…→ 死ぬつもりなんじゃないですか？ 長い穂先は→ その決意の表れじゃ ないんですか？ ご報告！ 敵は浅井･朝倉 比叡山の僧兵の他→ 一向宗の一揆勢が加わり 膨れ上がっております！ その数 ３万はくだらぬかと…！ 我ら３千に対して… 敵は３万だと!? 10倍…!? いかがなされますか？ 森様！ 石山本願寺の蜂起で お館様は摂津に釘付け…｡ このまま浅井･朝倉を行かせれば… 織田軍は全滅する！ よって…→ 打って出る！ (２人)はっ！ え…？ 坂本の街道を封鎖し 浅井･朝倉を食い止める！ なんとしても お館様に使者を送る！ 我らが盾となり お館様を守るのじゃ!! (２人)はっ！ じ… 自殺行為だ！ ケン！ なんと申した？ あっ いや… 別に 戦わなくても…｡ 例えば 籠城とか…｡ 籠城すれば 敵は数千の兵を残し…→ 本隊は お館様の背後を取る｡ じゃあ えっと…→ 取り囲んでる僧兵の目を盗んで こっそり逃げて→ 信長様の応援に…｡ このまま浅井･朝倉を→ お館様の元に 連れて行けと言うのか？ いや でも…｡ ケン… もうよせ…｡ 信長様は 可成さんに 死んでもらいたくないはずです！ 黙れ！ ケン… おぬしは何者だ？ 俺は…｡ 料理人が 軍議に嘴を挟むものではない！ では 料理を作らせてください｡ 好きにせい｡ 農民からもらった茄子しかないぞ｡ 十分です｡ ｢信長様は｣とは言ったけど→ 可成さんに死んでほしくないのは 俺なんだ｡ わかってる｡ 織田家の幹部と料理人…｡ 身分違いもいいとこだけど→ でも俺は 可成さんを… 友達だと思ってる｡ 俺だってそうだよ｡ 俺たちの思いを届けよう｡ この料理で｡ いざ 参らん！ 戦国のキュイジーヌ！ ♬～ 夏さん これ すり潰して｡ わかった｡ ♬～ (可成)戦に苦しめられるのは 弱い者ばかりだ｡ 可成さんって 優しいんですね｡ 次は？ 実を外して｡ ♬～ (可成)いや 素晴らしい！ 好みのものを食べたいだけ取る｡ 誠に斬新な手法だ！ ♬～ これは捨てるんだろ？ だめ｡ それも使う｡ ♬～ どうか この者に→ 説得の機会を 与えてくださらんか！ 夏さん 焼き茄子見て！ うん！ やめて！ ああっ！ (顕如)私のそばにいる限りな｡ 答えなさい！ おや…？ 見知らぬ女が現れた…｡ おっしゃっている意味が…｡ お前は一体 誰だ!? たった一晩で→ 見た事もない女の顔に なってしまった…！ 教えてくれ 瑤子｡ お前を… こんな妖艶な顔にした男は誰だ？ おっしゃっている意味が わかりません｡ 誰かと聞いておる!! そんな者はおりません！ 私は あなた様のもの…！ ふう～ああ～っ!! お前が いかに案じようと→ 信長と共にある限り その男の命は長くはない｡ あまりに性急に膨れ上がった 信長の力…｡ それを よしとせぬ者は多いのです｡ だから私は その者たちに 呼びかけました…｡ ｢包囲せよ｡ 狙うは信長の首一つ｣と｡ ♬～ まずは 信長の片腕をもいでおこう｡ ♬～ 顕如様｡ ♬～ 瑤子さん｡ 君は 俺のなんなんだ？ 賢一郎…｡ 茄子のキャビア風 半熟卵のせ｡ 茄子と梅干しの冷たいス－プ｡ 茄子のパスタ ミートソース風 芥子風味です｡ (可成)茄子だけで これだけの料理を…｡ 相変わらずの腕前だな｡ ありがとうございます｡ なんと清涼な…｡ 食欲なぞなかったが→ 梅干しの酸い味と 茄子の甘みが 食欲をかきたてる｡ まるで 脂の多い魚の すり身のような舌触り…｡ とても茄子とは思えん｡ これが茄子の皮か…｡ 茄子の皮に→ 茄子を肉に見立てた汁が かけてあります｡ よくぞ ここまで 茄子を使いきったものだ｡ いいえ｡ まだあります｡ 茄子のヘタの黒焼きです｡ これは薬として 虫歯や口内炎に効果があります｡ ヘタまでも…｡ これで… 茄子の全てです｡ 茄子には茄子の命がある｡ 何ひとつ 無駄に出来るものはない か…｡ それは当然 人の命だって…｡ ケンよ｡ これと同じ料理を 明日 皆に振舞ってやってくれ｡ はい｡ ♬～ こんなうまいもの 初めて食べた！ ああ！ うまい！ ♬～ よいか！ これは お館様の料理頭が作ったもの｡ つまり→ この中には お館様の ご意思が込められておる｡ 雑兵ひとりとっても→ 無駄な命はないと おっしゃっておられる！ この茄子が 我らの血肉となるように…｡ 我らの命も… お館様の中で生き続けるのだ！ え…？ いや… 違います！ 力の限り 浅井･朝倉を 食い止めるのだーっ!! (雄叫び) 皆… すまぬ｡ 可成さん！ そこまで→ みんなを道連れにするのを 悔やんでいるのに…｡ それでも…→ 死なないでほしいとは 言わせてくれないんですか？ (楓)淀川での戦いは 我が軍の優勢に終わり→ 石山本願寺は 籠城の構えかと…｡ フン…｡ かと言って すぐに引き下がるとは思えんな｡ (義昭)《顕如め！ 何をもたもたしておるか！》 《さっさと 信長を叩き潰さんかい！》 時に 宇佐山城の可成からは 使いは来たか？ (楓)いえ｡ まだ…｡ 妙だな｡ あれほど生真面目な男が 連絡一つもよこさぬとは…｡ 楓｡ 可成の元へ行け｡ 父上…｡ (蝉の鳴き声) 可成｡ はっ｡ この豆をくれてやろう｡ フッ｡ それだけで 大船一艘分の値じゃ｡ 大船… 一艘分でございますか？ ハハハハハ！ たかが豆ごときに くだらぬ世の中よのう｡ じゃが… くだらなくも面白き世の中じゃ｡ まさに…｡ 今はまだ 食い方もわからぬ豆じゃが→ いずれ海を渡り 産地に行けばわかるだろう｡ その時が来たら… 可成 たらふく食いに行こう！ 世界へ｡ お供致します！ いざ… 参らん！ 一兵たりとも生かして通すな！ (雄叫び) 〈森可成 信長軍本陣への 敵の進軍を防ぐため→ ３千の軍勢で出陣し 街道を封鎖〉 〈これに対するは→ 浅井･朝倉軍 一向一揆勢 比叡山延暦寺僧兵…〉 〈総勢３万の大軍勢〉 〈可成にとって 捨て身の大戦であった〉 お前に何が出来るんだよ！ ケン｡ 敵の中には 幼い子供のいる兵士もいる…｡ 年老いた親のいる者だっている…｡ お前に そういう人たちが斬れるのか!? そんな覚悟もない お前が 可成さんの元へ行ったって…！ 確かに俺は 何も出来ない｡ でも ここで じっと待ってられるほど…→ 俺は強くない｡ 待てよ！ だったら俺も行く！ え…？ お前と同じだ｡ 俺だって…→ ここでお前と別れて 逃げられるほど… 強くない！ 夏さん…｡ (兵士たちの叫び声) フンッ！ うっ…！ 押せーっ！ 押し返せーっ!! 戦は数ではない！ 気だーっ!! この道は天下に続く道だ！ 死にたい者だけ参るがよい!! ♬～ 《死ぬな…！ 可成さん！》 《可成さん！》 ♬～ 引くなーっ！ 己が名を この地に刻むのだーっ!! ♬～ あっ！ 夏さん！ 大丈夫だ… 急ごう｡ ♬～ ううっ！ ♬～ 通さん！ 通さんぞー！ ♬～ おおー！ ≫(家臣)森様ー！ ああっ！ 貴様！ (敵兵)ああー！ しっかりせい｡ うっ！ ♬～ (信長の声)可成…｡ ♬～ 敵将を取ったぞー！ 取ったぞー！ おりゃー！ ♬～ うりゃー！ んんっ…！ この道は通さぬ！ この化け物めが！ (敵兵)だあー！ おりゃー！ ううっ！ うおー！ うっ…｡ 《お館様…》 (信長の声)こんなところで 犬死にしてどうする｡ 可成 しっかりついて来い！ 《私の夢は あなたそのものにございました》 《ただお進みください…》 《あなたの思い描く 天下のために…》 お主に世界を見せてやろう｡ ♬～ うわあー！ 《後ろを振り返らず あなたの望むままに…》 ♬～ あっ…｡ 可成さん…｡ 痛っ！ 申し訳ございません｡ (雷鳴) 可成さん｡ 可成さん！ 首を取れー！ わあっ！ わあっ｡ ああっ！ ぬしらなぞに 森様の首を渡してなるものか！ 楓さん…｡ ケン 夏！ 早く森様を城へ！ はい！ ♬～ 可成さん しっかり！ 神様… 歴史なんてどうでもいい｡ 可成さんを助けてください｡ くそっ！ そんなに流れないでくれ…｡ ♬～ 森様！ 森様！ 戸板をお願いします｡ 早く！ ケン… 可成さんが…｡ 胴丸の中に…｡ ♬～ これは… コーヒー豆？ いや… カカオか｡ お館様から頂いたものだ｡ いつか… 食べてみたいと思っていた…｡ ケン！ 料理をしてくれぬか｡ 可成さん…｡ 作ります！ 必ず作りますから 待っててください｡ (カカオ豆をすり潰す音) 何を作るつもりだ ケン？ わからない…｡ わからない？ 乾燥したカカオ豆… 食材としては悪くない｡ でもこれじゃあ とても苦くて 食べれたもんじゃない｡ じゃあ どうすんだよ？ なんとも…｡ 芳しい…｡ これが世界の香りか…｡ 可成 たらふく食いに行こう！ 世界へ｡ お館様…｡ お館様がなんですか？ 可成さん｡ 可成さん！ そうだ｡ 信長様が 砂糖を 仕入れてくださると言ってた｡ この豆に砂糖を加えれば チョコレートが出来る｡ 可成さん チョコレートは 甘くて美味しくて→ 疲労回復の効果もあるんです｡ 食べたら きっと元気になりますよ！ ケンが言うなら間違いないな｡ 可成さん… 岐阜に戻ったら 一緒に食べましょう｡ 夏殿は… 優しく 強い女子だ｡ ♬～ おぬしら… 必ず添い遂げよ｡ 可成さん… もうそんな 無理に喋っては…｡ ケン… お館様を頼む｡ 何言ってるんですか 可成さん｡ 岐阜で チョコレートを… 可成さん！ 可成さん！ (泣き声) ♬～ なんでだよ…｡ ♬～ 浅井と朝倉が!? はい｡ その進軍を防ぐべく 森様方は出陣したものの→ 力及ばず壊滅状態に…｡ して 可成は!? 森様は その戦にて…→ 討ち死になされました｡ ただ今 浅井･朝倉軍は 京へ兵を進めております｡ ここでの本陣を解く！ 京へ向かう！ 撤収！ (一同)おおー！ 蘭丸！ おぬしは宇佐山城に行け！ はい｡ 《こりゃいかん 早速 浅井･朝倉に伝えねば！》 ♬～ (顕如)森可成が死に 今や織田信長も四面楚歌｡ フフフフ…｡ ♬～ 同じ平成から来たとはいえ…→ どうやらケンとやらには 未来が見えぬようですねぇ…｡ 信長の命同様… ケンとやらも長くはないか…｡ さあ… 次はどう出る？ 信長！ 〈信長は 京へ移動〉 〈ところが 将軍･義昭の密告により→ 浅井･朝倉軍は 比叡山に上がった〉 〈かくして信長は→ 浅井･朝倉 石山本願寺→ 三好党 比叡山延暦寺に囲まれ→ 戦局は再び 膠着状態となった〉 (蘭丸)なぜだ!? なぜ父上が！ おぬしは何をしていた！ 蘭丸さん…｡ なぜだ… なぜだ…｡ すみません… 俺にもっと力があれば…｡ 違う！ 父上は 天寿を全うされたんだ｡ ご自身の志を持って…｡ ♬～ まだ あんな小さいのに… 強いな｡ それに比べて… 俺はなんて無力なんだ｡ ケンは無力なんかじゃないよ｡ 可成さんの… 望みをかなえる事さえも…｡ ♬～ 無力なんかじゃない…｡ だって… うまいものを いっぱい作れるじゃないか｡ うまいものを食べると 元気になれる｡ 俺はいつも ケンに元気をもらってる｡ だから… これからも いっぱいうまいもの作ってくれ｡ ♬～ 〈京から近江に入った信長は 宇佐山城に急いだ〉 可成を連れて参れ｡ は…？ 連れて参れ！ はあっ！ ≫(足音) おぬしは無事だったか｡ はい…｡ なんじゃ その料理は｡ ツグミのロワイヤル風｡ 可成さんが 最期に望まれた料理です｡ 可成は食えたのか？ 間に合いませんでした…｡ そうか…｡ このソース… いえ 汁には…｡ この豆を使っています｡ そ… その豆は？ この豆をくれてやろう｡ 大船… 一艘分でございますか？ あやつが その豆を… 望んだのか？ はい｡ ケン｡ その ツグミのなんとか… ２人分用意せい｡ わしと… 可成の分だ｡ わかりました｡ ♬～ 奇天烈な味よの…｡ ロワイヤル風とは フランスという国の→ 国王のために考えられた 古典料理です｡ 国王のため？ ロワイヤルとは 国王 王家という意味ですから｡ ♬～ 可成さんが 最期に この豆を…→ 世界の果ての味を望んだのは→ そこへ導いてくれる王の姿を→ 望んだからじゃないかと 思ったんです｡ ♬～ 大うつけよの… 可成！ 死ぬのなら この味を知ってから死ね！ ♬～ まだじゃ｡ まだまだ先じゃ！ 可成！ ♬～ 総軍をあげて 比叡山を包囲！ 浅井･朝倉を殲滅する！ 〈こうして 信長軍と浅井･朝倉軍は→ 比叡山付近で持久戦に突入し→ その間 石山本願寺は 門徒たちに一揆を起こさせた〉 (顕如)それは…？ パート･ド･フリュイでございます｡ ひと口 頂きましょうか｡ いいえ｡ 大変に美味しい｡ ありがとうございます｡ (木下藤吉郎秀吉)主君の一大事に 馳せ参じるのは 家臣の務め！ この木下藤吉郎秀吉 一揆勢を蹴散らし→ ただ… ただ今 駆けつけました！ それで？ はっ！ 私めに妙案がございます｡ 比叡山の浅井･朝倉方を 兵糧攻めにしてはいかがかと？ もしくは 石山本願寺の隙をつき→ 再び三好党を 殲滅するという…｡ でなければ… あるいはですなぁ…｡ (ため息) まだまだじゃな 猿｡ 少し 考え事をしておる｡ おぬしは 庭の枯れ葉でも はいておれ｡ はい…｡ ♬～ 〈悪化の一途をたどる 事態を打開すべく→ ここで信長は 大きな一手に打って出る〉 あの… お呼びですか？ おぬし しばらく ここに控えておれ｡ まもなくここへ 将軍がやって来る｡ 将軍が？ こんな山奥に呼びつけおって｡ 余を誰だと思っておるのじゃ｡ ♬～ なんじゃ！ 余は将軍じゃぞ！ あっ…｡ お館様｡ 信長が土下座｡ 《なんじゃ 気味の悪い…》 将軍殿のお力で 朝廷･帝から 勅命を引き出して頂きたい｡ (義昭)余に 石山本願寺との和議を まとめてほしいとな？ 御意｡ ホホホ… そうか そうか｡ この局面を迎え ようやく己の分を知ったと…｡ そういう事じゃな？ 信長｡ うん… 取り計らうに やぶさかではない｡ もちろん それぞれの条件のすり合わせは→ 余に一任すると…｡ いや…｡ 御前試合で決めたい｡ 御前試合!? さよう｡ 帝に勝敗を決めて頂き→ 負けた者が勝った者の 定めた条件をのむというのは→ いかがかと｡ 相変わらず常人には 想像もつかぬ事を考えるお方だ｡ 面白い｡ 何で勝負する？ 弓か 剣か？ それとも相撲か？ 料理で｡ りょ… 料理｡ 帝… 天皇の前で 石山本願寺と料理対決？ って事は…→ 相手は瑤子さん…!? 俺は あの場所に戻ります｡ 負けた時に この信長がおぬしを斬る！ (義昭)いでよ 料理人！ (明智光秀)わしの企みの 邪魔になる｡ 平成に帰れ｡ 己の道は 己で切り開くのじゃ！ 全ては お前次第じゃ！

伝七捕物帳１st＃05

1 (お俊)お父っつぁん！ <伝七の女房 お俊の父親 米次は➡ お俊が16の時 誤って人を殺めた罪で➡ 島送りに処せられた> <そして 去年 伝七と お俊は➡ 米次が島で死んだという知らせを 耳にした｡➡ しかし…> (米次)ひっ！ 松蔵！ (松蔵) お前が やらなきゃ いつか…➡ 俺が やってた｡ 松蔵…｡ <米次は生きて 江戸にいた> ♬～ 蔵の金を そっくり持っていかれたんだね？ 大坂での 商いの売り上げが➡ 昨日届いたところでございます｡ は～｡ (早瀬)その夜のうちに押し込みか｡ あっ 読めたぞ！ 金が届く事を 知っている者の仕業だ｡ 金だけではないのでございます｡➡ 親の代から買い集めた 骨とうまで…➡ 洗いざらい 持っていかれました｡ (番頭)押し入れの中のものまで 次々と…｡ (文治)勝手知ったる何とやらか｡ 親分｡ 賊は 家内の様子を➡ よ～く知っていたようですぜ｡ うん｡ (勘太)中に 手引きしている者が いるんじゃねえですか｡ う～ん… 二十日前に 亀岡屋に押し入った賊と➡ そっくり 手口が同じだなぁ｡ へえ 一月前に襲われた上総屋も その前の大島屋もです｡ …て事は 同じ一味が 立て続けに大店を…？ 見事なもんだ｡ うむ… 全くなぁ｡ ばか者！ 盗っ人に 好き放題やられて➡ 感心してる場合か！ ったく！ 怪しいやつを見てねえか しらみっつぶしに➡ 聞いて回るからな｡ (２人)へい｡ おおっ！ (お玉)あ 親分さん すいません！ 失礼致しました｡ いやいや 大丈夫だよ｡ ﾍﾍｯ｡ (お滝)お玉！ 水は むやみに➡ まき散らすものではありません！ はい…｡ お召し物は ぬれませんでしたか？ へいへい｡ あれ？ 打ち水は 場を清めるものと 教えましたよ｡ もっと丁寧に おやんなさい｡ へい｡ おっかねえ おばさんだなぁ｡ ああ｡ あの… お滝さんじゃ…？ あ…｡ やっぱり お滝さんだ！ この面に 見覚えはありやせんか？ 伝七さん？ へい！ おやじは お店に出入りの鳶で あっしは ガキの時分には➡ よく 弁当を届けに お邪魔した事がありやす｡ 親分の知り合いですか？ 今は お上の御用を務めておりやす｡ そうですか｡ ご立派になられましたね｡ ﾊﾊｯ とんでもねえ！ ああ… 実は➡ ゆんべ 平野屋に盗っ人が入りやした｡ 何か怪しい物音なんぞ 聞いてねえか➡ 聞いて回っておりやすが…｡ いえ 私は何も…｡ あ さいですか｡ 何か思い出しましたら➡ 自身番に届けて下さいやし｡ 町方も 物騒になったもんですね｡ へえ…｡ (藤助)丸高屋のお滝さんといやあ 昔は評判の小町娘で➡ おかぼれしてる若え連中が たくさん いたんだぜ｡ ﾌﾌﾌﾌﾌ…｡ あ 親分も その一人だったなぁ｡ な… 何言ってんだよ もう｡ ﾍﾍﾍ 図星らしいや｡ 図星って 何が？ (せきこみ) おかみさん お産の帰りですかい？ そうだけど…｡ どうかしたの？ え… いや… 別に 何でもねえよ｡ な～に ちょいと 昔 ほれていた娘も 今じゃ➡ おっかねえ年増だから おかみさんが案ずる事は…｡ …ほれていた？ ♬～ お滝さんって人 30年も奥勤めを？ うん 新発田５万石➡ 溝口様の江戸屋敷だ｡ 滝川って お名前を頂戴して➡ 奥方様のおそば近くに 仕えていたんだとさ｡ へえ～｡ 屋敷を下がったら➡ さぞ いいところに嫁ぐだろうなと 言われていたっけが➡ 奥方様が亡くなるまで 勤め上げて➡ とうとう 行かず後家になっちまったな｡ (小春)あら お大名のお屋敷で 出世したのなら➡ ご立派じゃない｡ あ～ 私も 一度でいいから➡ 御殿に上がってみたいなぁ｡ 何言ってんだよ！ 早いとこ もらい手 見つけねえと ますます 行き遅れるぞ｡ 看板娘がいなくなったら こんな店 すぐに潰れちまうよ！ 誰が看板娘だ｡ あん！ 俺は何なんだ？ ん？ いい男が身近にいるんだがなぁ｡➡ あ～あ｡ [ 回想 ] ♬～(琴) ♬～ いてっ！ いててててて…｡ 伝七 来い｡ いててててて…｡ あっ いててててて…！ ちょいと 伝さん！ いてててて…！ あ こうしちゃいられねえんだよ｡ おい 行くぜ！ (２人)へい！ ありがとよ｡ こら らち明かねえな｡ こっからは手分けして捜そう｡ (２人)へい！ 頼んだぜ｡ <平野屋の事件から数日➡ 伝七たちは 近隣の聞き込みを続けたが➡ 賊の手がかりは 一向に つかめなかった> (２人)親分！ おう どうだい？ こっちは 駄目でした｡ (万次郎)はいはい はい｡ (万次郎)大丈夫 大丈夫 大丈夫｡ 大丈夫｡ (あくび) (お滝)仙之助殿｡ はい｡ 東念寺に行ってまいります｡ おっ母様の月命日ですから｡ 行ってらっしゃい｡ お早いお帰りを｡ この日は どうでしょう？ 三月先だけど 天赦日ですよ｡ 万次郎の婚礼の日取りを 相談していたんです｡ ﾌﾌﾌﾌ｡ 嫁を取るのも結構ですが その前に➡ 跡取りとしての覚悟を しっかり仕込んで下さい｡ 荷揚げを あくびしながら眺めていては➡ 奉公人たちに示しがつきません｡ (せきばらい) 相すいません｡ 後で よ～く叱っておきます｡ (あくび) (万次郎) あ 伯母さん お出かけですか？ じゃ 私も ちょいと…｡ こら！ くれぐれも 丸高屋の名を辱めぬように｡ どっちが主か 分かりゃしませんねぇ｡ おい！ 姉さんは 何でも 自分が 正しいんでしょうよ｡ せんだっても 床の間の軸を掛け替えて｡ 嫌みったらしいったら ありゃしない！ (米次)らう～ すげ替え～｡ (お滝)丸高屋は 上下の別も けじめもなくなり➡ たがが外れたようです｡ 仙之助も 奉公人たちも 私を軽んじて➡ 言う事を聞きません｡ あ～ 情けない｡ (清瞭)いかがなされました？ 悩みがあるように お見受け致しますが…｡ (子どもたちが遊ぶ声) (戸をたたく音) ≪は～い どちら様？ 平野屋のおかみさん｡ お俊さん…｡ 住職は 半年ほど前から 本山に修行に出まして➡ 私が留守を預かっております｡ よろしくお願い申し上げます｡ お滝様は 長らく➡ お屋敷の奥勤めをなされていたと 伺っておりますが…｡ はい｡ お武家様と比べれば 町方の暮らしは➡ さぞ 気の緩んだものに 見えるでしょうな｡ え？ なれど それを不満に思うのは➡ あなたの心に おごりがあるからです｡ あ… 何を仰せです｡ 私は 決して そのような…｡ いいえ｡ あなたは武家奉公を 誇りに思うあまり➡ 町方の者を見下し 今の暮らしに 不満を抱いておいでなのですよ｡ 無礼でございましょう！ こちらへ｡ ♬～ あの蓮も 濁った池などではなく➡ 清流に根を下ろしたかったのかも しれません｡ つらい時は 寺においでなさい｡ 御仏が導いて下さいます｡ …はい｡ (ため息) う～ん…｡ どうしたんだい？ 渋い顔して｡ ああ 平野屋の一件 一向に 手がかりが つかめねえ｡ そう…｡ 中を知るやつが手引きしたに 違えねえんだがなぁ｡ 奉公人は皆 身元が確かな古株ばかりだ｡ 平野屋さん 商いは大丈夫なんですか？ いや… 諸方に支払う金の工面が つかねえらしい｡ 親戚一同 集まって 店を畳む相談をしとるとさ｡ (ため息) 悪い事は重なるもんだねぇ｡ 重なる？ 何のこったい？ それは…｡ ああ そういや➡ あれから 会ったのかい？ ん？ 丸高屋のお滝さんさ｡ え？ 今でも 大層 美人なんだってね｡ 誰が そんな事…｡ あ～ また 勘太の野郎か うん…｡ やっぱり 伝さん ほれてたんだろう！ いや～ 向こうは 大店のお嬢さんだぜ｡ 職人のせがれ風情に… 高根の花だよ｡ 高根の花ほど 手に入れたくなる って言うからね｡ 30年も前の話だよ｡ もう 今更 やきもちなんて みっともねえや｡ だって 伝さん 変に ごまかすからさぁ！ (戸をたたく音) ≪(男)お俊さん いるかい？ 車坂町のお静さんが産気づいた！ 遅くに悪いが すぐに来てくんねえ！ はい 今 行きますよ！ お俊！ これ 持っていきねえ｡ 夜道に気を付けて｡ しっかり やるんだぜ｡ あいよ｡ お待たせしました｡ お願えします｡ お俊…｡ あいにく 何も…｡ そうかい…｡ ああ 立派に ご供養なされて｡ 拙僧 感服致しました｡ 御仏のご加護がありますよう｡ 今日は 先代の十三年忌法要で➡ 奥が取り込んでおりまして｡ ほ～う｡ きれいな坊さんだな｡ 東念寺の清瞭様でございますよ｡ まるで 役者みてえですね｡ (お梶)しかつめ顔で うちにいられると➡ 気が詰まりますから｡ (仙之助)そういう事を お言いでないよ｡➡ ここよりほかに 頼るところのない人なんだから｡ どこかに 後妻の口でもないんですか？ あの年で あの気性だよ｡ もらい手があるものかね｡ (お梶)そうそう｡ 東念寺の清瞭様 いい男でしょ｡➡ 姉さん 年忌法要の相談だなんて 言ってるけど➡ 案外 清瞭様が目当てなんじゃ…｡ 悔しい…｡ 法要の話は また 日を改めて｡ お心が静まりますよう➡ 今日は 般若湯を差し上げましょう｡ (雨の音) お屋敷に上がると決まった時➡ 親は 大層 喜びました 自慢の娘だと｡ 奥方様にお仕えすると 決まった時には➡ 立派な打ち掛けを あつらえてくれて…｡ だから 家の者は 私を 誇りに思ってくれてるとばかり｡ やっかい者と 思われていたなんて…｡ (ため息) あんな家 いっそ 出てしまいたい｡ 出家して 共に諸国を巡りますか？ え？ お滝様 まずは よろいを脱いでごらんなさい｡ よろい…？ あなたは 心に よろいをまとっておいでだ｡ 身構えていては 人と打ち解けられず➡ 寂しさは募るばかりです｡ そうかもしれません｡ でも どうにもできないのです｡ 30年かけて身につけた➡ 習い性ですもの｡ よろいを脱げば 身も心も軽くなりますよ｡ 私が 手伝ってさしあげましょう｡ ♬～ (三次)もし お滝様！➡ お忘れでございますよ｡ 世話をかけました｡ また 蒸してきやがったぜ｡ おやじ すげ替えてくれ｡ へい｡ お頭 次の獲物は 丸高屋で決まりですね｡ 三次か｡ ほらよ｡ 家内の様子は聞き出した｡ 有り金は もちろん➡ 金になる品も そっくり頂くぜ｡ さすが 吉祥天の清吉だ｡ 取り澄ました女も➡ 頭にかかっちゃ ｲﾁｺﾛですね｡ な～に➡ 堅そうに見える女ほど 落ちる時は早えのさ｡ 檀家の女をたらし込んで いい思いをした上に➡ 押し込む先では｢濡れ手で粟｣｡ お頭 いい商売だねえ｡ 坊主と密通していると知られちゃ 向こうも 身の破滅だから➡ ここで起きた事を 外で話される気遣いもねえ｡ ｢知らぬが仏｣とは このこった｡ しかし… あの女➡ 思ってたよりも うぶだったな｡ え？ いや… 何でもねえ｡ (早瀬) まだ手がかりは つかめんのか!? 申し訳ありやせん｡ カッ｡ こうしてる間に もし また 押し込みに入られたら…｡ このわしが 責めを負うのかのう｡ 旦那…｡ 伝七！ へい！ お前の その腰の十手は こけおどしか!? こ… このままでは わしも お前も お奉行に顔向けできんぞ！ へい！ 黒門町の伝七 この十手に懸けて➡ 必ず 盗っ人どもを お縄に致しやす｡ うむ｡ ｢十手に懸けて｣なんて 言っちまって 大丈夫かな｡ また 盗みに入られたら 十手を お返しする事にもなりかねねえぜ｡ すまねえ｡ ちゃんと前向いて歩け！ すまねえな｡ けが ねえかい？ へい｡ おめえさん 前に 菊乃屋で会ったよな｡ あ ちょうどいいや｡ たばこが切れてんだ｡ 片づけてるところへ すまねえが 一玉くれねえか｡ へい｡ はいよ｡ あ 旦那 こりゃ多すぎる｡ 取っといてくんねえ｡ そのかわり 頼みがあるんだ｡ え？ とっつぁん この辺を➡ 回ってるんだろ？ へえ｡ 何か妙な事を見聞きしたら➡ 知らしてほしいんだよ｡ 大島屋 上総屋 亀岡屋 平野屋と➡ 立て続けに押し込みがあったんだ｡ その手がかりを捜してるんだ｡ 亀岡屋 平野屋…｡ おう｡ 何かあったら➡ 菊乃屋に言づけてくんねえ｡ へい｡ 頼んだぜ｡ 誰が岡っ引きなんぞに…｡ [ 回想 ] お俊！ これ 持っていきねえ｡ 夜道に気を付けて｡ しっかり やるんだぜ｡ あいよ｡ お俊…｡ やっこ やっこ～え～ 水～！ 羅宇屋のとっつぁんが来た？ (藤助)ええ つい今し方｡ 親分に言づけを頼まれました｡ おお｡ この先に 東念寺という寺が ありましょう｡ おお｡ そこの寺男の腕に ２本の墨が 入ってるって言うんですよ｡ ふ～ん…｡ 島帰りが寺男ってぇのは➡ ちと妙ですね｡ まあ 島帰りだからといって➡ 疑う訳にはいかねえがな｡ その寺には➡ 平野屋のおかみが ちょくちょく来ていた｡ その前は 亀岡屋の娘を よく見かけたって言うんですよ｡ 勘太 文治｡ 盗っ人に入られた店の➡ 菩提寺を残らず調べてくれ｡ へい｡ がってんでぃ！ 実は もう一つ 気になる事を言ってました｡ 近頃は 年増が通ってきている｡ 名前は お滝だと…｡ お滝さんが？ ああ｡ なあ お俊｡ この前 平野屋には 悪い事が重なるって言ってたよな｡ …さあ そんな事 言ったっけ｡ おう｡ 盗っ人に入られたのが １つ目の不運だろ？ もう一つは何でえ？ なあ 知ってる事があるんなら 話してくれよ｡ 伝さんのお役目には 関わりのない事ですから｡ どんな事でも 盗っ人を見つけ出す➡ 手がかりに なるかもしれねえんだよ｡ 俺に隠すって事は それなりに訳があるんだろうが➡ 平野屋を襲った盗っ人たちが また 押し込みを働いたら➡ 俺は 遠山様に 申し訳が立たねえや｡ 十手をお返し申し上げなきゃ ならねえんだよ｡ え？ なあ お俊 教えてくれ｡ 赤子が…➡ お喜代さんのおなかには 赤ん坊がいるの｡ うん…｡ けど… 平野屋の旦那の子じゃないんだ｡ うん…？ お喜代さん 思い詰めて 上の子を取り上げた➡ 私のところに駆け込んできて…｡ [ 回想 ] どうか お願い致します！ お喜代さん…｡ お願い致します！ 子おろしの医者に 連れていってほしいと｡ 子おろしは 下手したら命取りだ｡ それに 生まれてくる子に罪はないだろ｡ だから 私 言ったんだ｡ [ 回想 ] 産んで下さい｡ (泣き声) でも どうしても 育てるのが つらい時は➡ 死産だと偽って 私が引き取りますから｡ 聞きにくい事を もう一つ聞くぜ｡ お喜代さん 腹の子の父親は➡ 坊主だと言ってなかったかい？ 決して悪いようにはしねえ｡ 俺を信じてくれ｡ そう言ってた｡ そうか…｡ 打ち明けてくれて ありがとよ｡ (ため息) 私… 口外しないって約束したのに｡ すまなかったなぁ｡ お喜代さんの事は➡ 俺が必ず守るから｡ ≪(文治)親分！ おう｡ (ため息) 押し込みに遭った家は どこも 東念寺の檀家でした｡ あの寺と盗っ人一味が つながってるんですかね｡ ああ 間違えねえな｡ そいじゃ 今から踏み込んで…｡ 待て｡ 寺は寺社奉行のご支配だ｡ 俺たちに手は出せねえ｡ そうでした…｡ ｸｿｯ！ 東念寺の坊主 いつぞや 店先で会った色男ですね｡ ああ｡ もしや 色仕掛けで➡ 女たちを引き込みに…｡ おう｡ めったな事 言うな｡ …へい｡ お滝さん｡ 伝七さん｡ 何か 御用ですか？ 東念寺に行くのは よした方が ようございます｡ あ… 菩提寺に参って 何がいけないのです？ あの清瞭という若え坊主 ありゃ 素性が知れません｡ 悪い噂も 耳に入っておりやす｡ どうか あの寺には しばらく 近づかないでおくんなせえ｡ 指図は無用です｡ 御用聞きなど やっていると➡ 御仏に仕えるお方まで 疑うようになるのですね｡ 人を疑うなど 卑しい事です｡ お役目で言ってんじゃ ございません｡ 俺は お滝さんに きれいでいてもらいてえ｡ どいて下さい！ そなたに何が分かるのです｡ 帰ります｡ (遠山) 賊に入られた大店ってぇのは➡ 皆 同じ寺の檀家って訳か｡ へい｡ 清瞭という坊主が 檀家の女たちに近づいて➡ 家内の様子を探っていると あっしは にらんでおりやす｡ けどよ…｡ へい｡ 相手が寺じゃ 踏み込む訳にはいけねえよ｡ この一件 寺社奉行に預けるか｡ そこをなんとか あっしらの方で➡ 片をつける事は できねえもんでしょうかねぇ｡ 何もかも明るみに出ちゃ 困る者もいるって事か｡ …へい｡ 伝七｡ へい｡ 悪党一味は 必ずまた 大店を襲うはずだ｡ その場で取り押さえて縄ぁかけろ｡ 盗っ人の本性をさらしてる時なら 遠慮はいらねえ｡ 狙われる店の 目星 つけてんだろうな｡ …へい｡ (物音) ♬～ くせ者！ 何をしておる！ 静かにしろ｡ おとなしくしてりゃ 命は取らねえ｡ 縛り上げろ｡ (一同)へい｡ やっ！ あにぃ 起きねえな｡ 見張り番が居眠りして どうすんだい｡ しまった つい…｡ ついって…｡ (物音) シッ｡ 何だ？ 今の音は｡ いや！ この女 手ごわいぞ｡ はっ！ はっ！ (戸をたたく音) 開けておくんなせえ！ 黒門町の伝七でございます！ お頭 御用聞きだ｡ (舌打ち) 手が回ったか｡ 丸高屋さん どうしたんです！ 蹴破って 中に入るぜ！ うっ！ 早く…｡ え…？ 裏から出て 掘り割りを艀で行けば 大川に出られます｡ 逃げて 早く！ うっ！ おめえら 引き揚げるぜ｡ へい！ ♬～ 坊主に化けて人をだまし➡ 市中を荒らす盗っ人ども！ この紫房の十手は だまされねえ！ 覚悟しやがれ！ 何を！ 盗っ人どもをひっくくれ！ (２人)がってんでえ！ ♬～ 神妙にしやがれ！ お滝さん…｡ ♬～ (早瀬)東念寺の僧 清瞭こと➡ 吉祥天の清吉！ <遠山の計らいで 吉祥天一味の詮議は➡ 内々に進められた> (早瀬) 檀家の家の様子を探り出し➡ 押し込みを働いていた事に 相違ないな？ へい 相違ございやせん｡ うむ｡ しかしまあ➡ よくも坊主になりおおせたものだ｡ わっちゃあ ガキの頃に親に死なれ➡ 15で悪い仲間に入るまでは 寺小姓をしておりましたのさ｡ 経を読むぐれえは 訳ありやせん｡ ふ～ん｡ 野狐の三次が白状したぞ｡ お前は 檀家の女たちをたぶらかし➡ 寝物語に 家の内情を 聞き出していたんだろ？ フン｡ 女なんてのは たあいもねえや｡ ちっと 粉かけりゃ どんな女も…｡ [ 回想 ] 逃げて… 早く！ ♬～ いや 女には手をつけちゃいねえ｡ (早瀬)偽りを申すな！ 白状せぬと 石を抱かせるぞ！ わっちは盗っ人だが 東念寺の清瞭は坊主です｡ 女と交わっちゃならねえという 戒律だけは守ったんですよ｡ その方 東念寺の僧 清瞭が➡ 吉祥天の清吉という➡ 盗っ人という事を 知っておったか？ …いいえ｡ 存じませんでした｡ 家に忍び込む 手引きをしたか？ いいえ｡ 押し入った折 そなたが➡ 裏口から逃げるよう指図したと 一味の者が申し立てておるが…｡ お待ち下さいやし｡ お滝さん｡ 盗っ人たちに脅されて それで 逃げ道を教えたんだね｡ …いいえ｡ 脅されてなどいません｡ 私が指図したんです｡ 何言うんでぇ｡ あの男を逃がしたくて…｡ お役人様｡ 私は罪人でございます｡ 清瞭様と私は…｡ 吉祥天の清吉から聞いた｡ 丸高屋の様子を聞き出すために➡ そなたと 幾度か言葉を交わしたとな｡ 言葉…？ いいえ 言葉だけではございませぬ｡➡ なればこそ 私は…｡ [ 回想 ] 佃の渡しで待ってるぜ｡ (お滝)私は あの男を逃がして 後を追うつもりでございました｡ 生まれて初めて…➡ 恋しい と思った男の後を…｡ もう言っちゃいけねえ！ お役人様｡ 私は あの人と…｡ これにて 吟味を終える｡ <吉祥天の清吉は 死罪と決まった｡➡ だが 檀家の女たちとの 関わりについては➡ 最後まで 一切 口を割らなかった> それにしても 羅宇屋のとっつぁんが➡ 寺の話をしてくんなかったら 今頃は どうなっていた事か｡ 助けられたなぁ あのとっつぁんにゃぁ｡ <それから しばらくして…> 伝さん…｡ お滝さん！ やっぱり… 江戸を離れるんですね｡ 伝七さんには 世話をかけました｡ いや とんでもねえ｡ 一人で旅立たせるような事に なっちまって…｡ いいえ… よかったんです これで｡ あんな事があって はたから見れば➡ さぞ哀れな女に 見えるでしょうけれど➡ 私は あの人と出会って かりそめでも縁を結び➡ やっと 一人の女に 戻れた気がしているんです｡ 西国三十三か所を巡って 清瞭さんの供養ができたら➡ また きっと 江戸に戻ってきておくんなせえ｡ ♬～ 行っちまいやしたねぇ｡ 残念ですね 親分｡ せっかく 30年ぶりに会ったってぇのに｡ あにぃ！ あ～｡ フッ いい女だものね 凜としていてさ｡ ﾌﾌﾌｯ さすが 伝さん！ 女を見る目に 昔から狂いはないね｡ 今もな｡ (笑い声) あ～ 今日も 暑くなりそうだ｡ ひとつ 締めようか！ はい｡ (文治 勘太)へい！ ヨ～ッ！ (一同)ﾖﾖﾖｲ ﾖﾖﾖｲ ﾖﾖﾖｲﾖｲ！ めでてえなぁ｡ ♬｢たとえ 待ちくたびれ｣ ♬｢あきらめたとしても｣ ♬｢でもね 人はどこまででも｣ ♬｢やり直せるはずさ｣ ♬｢見上げた夜空に 黄金の花が咲く｣ ♬｢遠く川面 揺らす音がして｣ ♬｢どうしてもどうしても 追いかけてしまうよ｣ ♬｢もう一度だけ も一度だけ｣ ♬｢君に見せたかったんだ｣ ♬｢こんなにも美しいこの世界｣ ♬｢だってそうさ 君はがんばったんだ｣ ♬｢逃げなかった強さを｣ ♬｢僕は知ってるよ｣

バンザイ! キング・ジュリアン.S02E04.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ パーティー！ だれが王様(おうさま)？ 　　キング･ジュリアン！ だれが王様(おうさま)？ 　　キング･ジュリアン！ 楽しくやろう だれとパーティー？ 　　キング･ジュリアン！ だれが王様(おうさま)？ 　　キング･ジュリアン！ 夜は終(お)わらない これがジュリアン･スタイル だれが王様(おうさま)？ バンザイ！ キング･ジュリアン よせ　やめろ たのむから 思いとどまってくれ 休みを取(と)るだけです お前が行ったら どうなると？ わたしの助言(じょげん)なしで キングがご決断(けつだん)を そうだ！　なんと恐(おそ)ろしい これまでも ご決断(けつだん)を下してきたはず なぜパニックに？ それは… なぜ ぼくの体に タラを？ フォッサと 交渉(こうしょう)するためさ フォッサは魚を食わん その変装(へんそう)なら ゆっくり交渉(こうしょう)できるはず なるほど どうだ？　ウィリー 友達(ともだち)になれたか 王国がきれいですね ゴミはどこへ？ なくなったよ モートにすべてのゴミを 集(あつ)めさせ― 島(しま)の反対側(はんたいがわ)の くさい山に捨(す)てさせた くさい山って火山ですか？ そこ どいて！ わたしに相棒(あいぼう)をつけると 聞きましたが この王国の 守(まも)りを固(かた)めるため― 犯罪(はんざい)を捜査(そうさ)する仲間(なかま)を ティモに作らせた 見ろ “ザ･メガヤモリ バージョン２”だ 仲(なか)よくなったようだな マズい決断(けつだん)でしたね きっと決断(けつだん)するパワーが なくなったんだ だから行ってはならん！ たのむよ 残(のこ)って 腹(はら)をなでてくれ 心配(しんぱい)して つかれた わたしたちの望(のぞ)みを 同時に かなえられます 早く言うべきでしたが この王国には― ある器(うつわ)があるんです それは知恵(ちえ)で 満(み)たされた器(うつわ)です わしの パーティー用の船みたいな？ いえ　便器(べんき)じゃありません かつて王座(おうざ)にいた すべての王の― 知恵(ちえ)が集(あつ)められた器(うつわ)です すべての王の知恵(ちえ)が？ つまり… 12人分？　たくさんだな 幸運(こううん)にも― その器(うつわ)は この部屋(へや)に 保管(ほかん)されているんです えーと 確(たし)か… そこよ！ パイナップルか？ 王冠(おうかん)に見えませんか？ キングと同様(どうよう) 果汁(かじゅう)たっぷりで いいかおり 確(たし)かに この器(うつわ)があれば― キングと国のためになる 正しい決断(けつだん)を下せます 休みを取(と)りたくて 適当(てきとう)なことを言ってるんだろ わたしは その… ウソだよ わしが死(し)んでも知恵(ちえ)は 生き続(つづ)ける　当然(とうぜん)のことだ 祖先(そせん)の知恵(ちえ)を生かして 最高(さいこう)の王になるぞ 返(かえ)せ ぼくのフォッサ･ボールだ！ 祖先(そせん)の知恵(ちえ)を使(つか)って 問題(もんだい)を解決(かいけつ)してやろう 何だ？ もめごとアドバイザー よし　解決(かいけつ)するぞ さあ 家でおとなしく グダグダしてろ 礼(れい)は いらん 妻(つま)のドロシーが フォッサにさらわれた どうすれば？ 待(ま)ってろ 何だ？　恋愛(れんあい)アドバイザー よし かつてのキングが言ってる “森には多くの キツネザルがいる” “メスは妻(つま)だけじゃないぞ” テッド フォッサに食われたかと 別(べつ)の部屋(へや)にいただけ 生きてるわ そう？　まあいいけど キング　すみません この石 外すべきだと 思いますか？ おもしろい問題(もんだい)だ アホ対策(たいさく)アドバイザーに 相談(そうだん)する やってみろ アドバイスをどうも 礼(れい)は いらん キング　こんな夜中に 何の用ですか わたしの力が必要(ひつよう)な 危機(きき)ですか？ どうか危機(きき)にあると 言ってください ちがう 今日の午後 重要(じゅうよう)な アイデアがひらめいたんだ 食卓(しょくたく)にウンコしない方法(ほうほう)？ 確(たし)かに それも大事(だいじ)で つらい時の助(たす)けに なってくれるだろうがな 新しいアドバイザーを 紹介(しょうかい)する ベッドにもどります その前にこのパイナップルを 守(まも)ると誓(ちか)え わしを守(まも)ると誓(ちか)ったようにな わたしは うでききの護衛(ごえい)よ フルーツなんて守(まも)りたくない そう言うな 数日もすれば飽(あ)きて忘(わす)れるさ ベッドにもどりたいなら 言う通りに じゃあ その代(か)わり 火炎放射器(かえんほうしゃき)をちょうだい まったく キング･ジュリアン あなたとそれをお守(まも)りします 今からフルーツ用の 警備体制(けいびたいせい)に入ります …あればね すばらしい 知恵(ちえ)のパイナップルを 民(たみ)にも紹介(しょうかい)しよう 何年にもわたって わしは 王らしい決断(けつだん)を下すため― 何年にもわたって わしは 王らしい決断(けつだん)を下すため― 〝キング･ジュリアン〞 何年にもわたって わしは 王らしい決断(けつだん)を下すため― たよるべき知恵(ちえ)を 探(さが)してきた たまに王冠(おうかん)を どこに置(お)いたかも探(さが)した ジョークさ 王冠(おうかん)はわしの頭にある モーリス キングがジョークを言ったら どうするんだ？ バナナを投(な)げられなくて よかったですね 前言を撤回(てっかい)します ともかく ここに宣言(せんげん)する 知恵(ちえ)を探(さが)す旅(たび)は終(お)わった 新しいアドバイザーに拍手(はくしゅ)を “パインちゃん”だ 感心(かんしん)した声は？ 練習(れんしゅう)したんだろ？ みんな 言うんだ 練習(れんしゅう)じゃなく本番だぞ 喜(よろこ)べ　ついに 最高(さいこう)のパートナーを見つけた パートナー？ わしらは腹心(ふくしん)の友だ！ 腹心(ふくしん)の友？ 腹心(ふくしん)の友だ 天国にいる気分だ オレはジュリアンに 愛(あい)されてる 想像(そうぞう)もできんだろう モート 鼻(はな)はないけど キングのにおいがする なんて いいかおりだ ボクが知らないとでも？ いつも かいでるさ みんながオレに拍手(はくしゅ)してる てれちまうな お前は経験(けいけん)ないだろ 口のきき方を教えてやる 無礼(ぶれい)なヤツめ！ モーリス！ 大丈夫(だいじょうぶ) ボクもキングに愛(あい)されてる いいことだけ 考えよう みんな わしらを愛(あい)してるぞ すばらしい 前は きらいだったが 何だ？　わしの陰(かげ)にかくれろ キング　すみません 新しい警備体制(けいびたいせい)を しいてました それのためのね どんな感(かん)じだ？ 完(かん)ぺきです これを見過(みす)ごす者(もの)はいません これを見過(みす)ごす者(もの)はいません 〝パイナップルどろぼう 引き返(かえ)せ〞 〝パイナップルどろぼう 引き返(かえ)せ〞 〝パイナップルどろぼう 引き返(かえ)せ〞 やりすぎでは？ キングと腹心(ふくしん)の友の 安全(あんぜん)のためです そうだな 彼(かれ)に何かあったら困(こま)る ええ　お任(まか)せを わしが いびきをかいたら 横向(よこむ)きにしてくれ パインちゃん パインちゃん おはよう ゆうべ わしに抱(だ)きつこうと… だれか！　助(たす)けてくれ 何です？ パインちゃんが消(き)えた そんな まさか 誘拐(ゆうかい)なんて ありえません ただのフルーツを わたしが解決(かいけつ)しますから 必(かなら)ず見つけろ 探(さが)しものは わたしの専門(せんもん)です どろぼうがだれだか 知らないけど わたしに備(そな)わった能力(のうりょく)で― 恐(おそ)ろしい思いを させてやる だれと話してる？ いえ　ちょっと調子(ちょうし)に 乗(の)っただけです ご心配(しんぱい)なく パイナップルは取(と)りもどす きっと 何かのまちがいで パイナップルは無事(ぶじ)ですよ お前をどうしてやろうか もう いい気にはさせないぞ ベッドは調(しら)べましたが 果汁(かじゅう)がついてただけです 果汁(かじゅう)？ パインちゃんがケガを 早く見つけてくれ パインちゃんが ジュースにされちまう 大丈夫(だいじょうぶ)です 手がかりがありました この張(は)り紙にね どろぼうの足跡(あしあと)です 小さい足跡(あしあと)だ　まさか… まちがいなく 犯人(はんにん)は子どもです 子ども全員(ぜんいん)をいためつけても パイナップルを取(と)り返(かえ)す １人にしてくれ つらくて泣(な)かずにいられない いくわよ おい　クローバー？ また頭の中で あぶない刑事(デカ)ごっこか？ いえ　そんな… ちゃんと探(さが)すわよ チラシでも配(くば)るのか？ そうよ やっとキングに近づけたのに お前がすべて奪(うば)った ひけつは何だ？ なぜキングに好(す)かれる？ 笑(わら)うな！　質問(しつもん)に答えろ ハロー パイナップルどろぼうの 捜査(そうさ)よ パイナップルどろぼうの 捜査(そうさ)よ 〝どろぼうの足跡(あしあと)〞 クローバーを消(け)さなきゃ 今のうちに！ でも 彼女(かのじょ)は友達(ともだち)だ 王国のみんなを始末(しまつ)してやれ だれの声？ ボクらしか いないのに モート　大丈夫(だいじょうぶ)？ ボク… 証拠(しょうこ)となる足をかくすんだ あら やだ 気分が悪(わる)くなる チラシ配(くば)りを たのみたかったんだけど… ここに 置(お)いていくわね 何だ　チラシ配(くば)りか もちろん手伝(てつだ)うよ ありがとう キングのためよ 落(お)ちこんでるから 本当？ ひどくね あんなパイナップルでも 失(うしな)うと つらいみたい キング　食べてください 食欲(しょくよく)がわかないんだ すごく寒(さむ)い 真夏(まなつ)ですよ 心が寒(さむ)い おいしいですよ １つだけでも食べて このフルーツを？ パインちゃんの親(しん)せきかも しれないんだぞ いつからそんな悪魔(あくま)に なってしまったんだ モーリスは？ 見てない ウソです どろぼう用のワナか？ キングが ダイエット中だから― つまみ食いに出ないように 作れって 太った王が いい支配者(しはいしゃ)になれるか？ ゆうべはワナは 何ともなかった モーリス　チラシを どろぼうが ふんだのに 作動(さどう)しなかった きっと どろぼうは かなり軽(かる)いヤツだ そして パイナップルが 大事(だいじ)だと知ってる者(もの)よ 足が小さくて体重(たいじゅう)が軽(かる)く フルーツに しっとするヤツって？ これじゃダメだ わしの心を明るくする できそこないが必要(ひつよう)だ モートは？ モートだ！ なぜボクはキングを 傷(きず)つけるようなことを？ キングを愛(あい)してるのに お前が悪(わる)いんだ 今すぐ つぶしてやる！ ムリだよ キングが選(えら)んだ相手(あいて)だ ボクこそ 消(き)えるべきなんだ 見つかっちゃった キングが知ったら 許(ゆる)してくれない パインちゃん　無事(ぶじ)か あいつに何をされた？ パイナップルの葉(は)ね 後ろにも どうすればいいの？ そうだ みんながもどる前に 返(かえ)してこよう それがいい なぜ 思いつかなかった？ 能(のう)なしだからさ だからジュリアンは お前よりオレを選(えら)ぶ 脳(のう)みそが つまってて 果汁(かじゅう)たっぷりだもん ボクも果汁(かじゅう)たっぷりだよ キングだって きっとボクを… フォッサ　腹(はら)ペコ フォッサ　ランチタイム ちょっと待(ま)ってて ボク 用があるんだ このおしりの肉は 待(ま)つ価値(かち)があるよ 大変(たいへん)だ！ こっちみたい もっと急(いそ)げないのか なら歩いてください 小さいころ お馬さんごっこをしたろ いいえ 角砂糖(かくざとう)をあげたじゃないか 本物(ほんもの)の馬にでしょ お前だったさ 山のほうよ 近道を知ってる ボーッとするな　早く行け パイナップルを放(はな)せ そうすればクローバーも 痛(いた)い罰(ばつ)は与(あた)えない 昔(むかし)ながらの 本気の罰(ばつ)にする どんなの？ さあね ごめんなさい 返(かえ)そうとしたら フォッサにおそわれたの フォッサに？ ウソさ 本当だ マズい場所(ばしょ)でつかまりました 下は地雷(じらい)だらけです 〝チョー マズい場所(ばしょ)〞 聞こえるか 神(かみ)がわしとパインちゃんを 助(たす)けに来た わたしは？ 欲(よく)を出すな 神(かみ)にも限界(げんかい)がある さあ たのむぞ 見たか　やっぱり神(かみ)は… 足～！ 支(ささ)え切れないわ わたしもだ ボクも… 足～ パイナップルを放(はな)せば 引き上げられます 落(お)ちたらバラバラになります イヤだ！　祖先(そせん)を 粗末(そまつ)にするなんて いいかげんにしてください それはただのフルーツです わたしの命(いのち)をかけてもいい 誓(ちか)います 指切(ゆびき)りもするか？ 決断(けつだん)するのに パイナップルは いりません どんな答えも キングの中にあります そうよ　キングは 何をすべきか分かってる ああ　どうすべきか 分かってる わしがパイナップルの 身代(みが)わりになるぞ え？ ダメ！ ここは？ どこだ 死(し)んだのか？ それは お前しだいだ 今が死(し)ぬ時か？ 分からない もどったら正しい決断(けつだん)が 下せると思うか？ 決断(けつだん)に オレの知恵(ちえ)が 必要(ひつよう)なのか？ 質問(しつもん)に 質問(しつもん)で返(かえ)されるとムカつく 知恵(ちえ)がついたな だから ここへ来られた お前が自分で決断(けつだん)した結果(けっか)だ ここに残(のこ)ったとして 死(し)はどんな感(かん)じだ？ おどれる？ 日曜だけ　ビンゴの後にな ダンスが週１だって？ なんて つまらん世界(せかい)なんだ こんな場所(ばしょ)はゴメンだ それが決断(けつだん)か？ ああ　ケツにかけてもいい わしは帰る やっと帰った 聞こえてるぞ 安(やす)らかな顔だね 遺体(いたい)は もらうよ キング　ご無事(ぶじ)で？ ああ　モーリス わしは生きることを選(えら)んだ 日曜だけじゃなく 毎日 おどると決断(けつだん)した キング　大好(だいす)き 前みたいな関係(かんけい)にもどれる？ もちろんだ モート ありがとう　ボク幸(しあわ)せ！ 今後はパイナップルから 目をはなしません 決断(けつだん)できるキングが もっといいことを思いついた 本当にいいの？ もう決(き)めたんだ モート パインちゃんは くさりかけてるしな うまい知恵(ちえ)の味(あじ)がする 日本語字幕　小森 亜貴子

べっぴんさん＃141

1 僕はね 平和主義者やけど これは 闘わなあかんと思うんや｡ 断固 闘うべきや｡ えっ えっ ちょっと待って下さい｡ 何と闘うんですか？ ＧＨＱや｡ (古門)銀座への 総合店出店の件なんだがね➡ KADOSHOが 全額 資金を提供しましょう｡ (すみれ)KADOSHOから 資金提供の申し出を受けたんです｡ 栄輔さんの事もあって まあ 正直 悩んでます｡ (紀夫)銀座への出店について➡ みんなの意見を 聞きたいと思ってます｡ (君枝)今 諦めるいう事は 一生 諦めるいう事やから…｡ (良子)うん 集大成いうか…➡ 思い描いていた夢を かなえたい いうか…｡ 私たちは やっぱり…｡ (健太郎)あの…｡ ♬～ ♬｢『雨上がりの空に 七色の虹が架かる』｣ ♬｢って そんなに単純じゃない｣ ♬｢この夢想家でも それくらい理解ってる｣ ♬｢たとえば 100万回のうち たった一度ある奇跡｣ ♬｢下を向いてばかりいたら 見逃してしまうだろう｣ ♬｢さぁ 空に架かる虹を今日も信じ｣ ♬｢歩き続けよう｣ ♬｢優しすぎる嘘で涙を拭いたら｣ ♬｢虹は もうそこにある｣ ♬｢きっと 虹は もうここにある｣ やりたい気持ちは分かります｡ 夢やったのも分かります｡ けど 銀行が 無理やと言うてるんです｡ それは 残念ながら 今の ｷｱﾘｽという会社の身の丈には➡ 合うてないという事です｡➡ それを 古門さんの力で なんとかしよういうのは…｡ 僕は ｷｱﾘｽらしくないと思います｡ 背伸びせずに 地に足つけて 自分たちらしく➡ やっていこういうのが ｷｱﾘｽなんやないですか？ ♬～ (ﾉｯｸ) (ドアが開く音) (西城)お待たせ致しました｡ (古門)ああ どうも どうも｡ お忙しいところ➡ 恐れ入ります｡ (古門)ああ いや いや いや｡➡ さあ さあ どうぞ お座り下さい｡ 資金提供の件ですが…｡ (古門)うん｡ お断りさせて頂きたいと思います｡ ご厚意には 心より感謝致します｡ しかし どんなご厚意だとしても➡ 自分たち以外の力で 事を進めるのは➡ やはり 違うのではないか という事になりました｡➡ 我々は 銀座に総合店を持つ計画を 諦めます｡ (古門)ほう～｡ 本当に それで いいんですか？➡ 日本は敗北した｡ 今度は 取り戻す番だ｡ 負けたからこそ その事をバネに➡ 世界に 勝ちに行こうじゃないですか｡➡ 突き抜けてやろうじゃ ないですか！ 私たちは ｷｱﾘｽは…｡ 過去の悔しさをバネにしたいとは 思っていません｡ 君は 戦争を知らない若者とは 違うだろう｡➡ 生きてきた時代は 我々と一緒じゃないか｡ あの 焼け野原になって 何もかも 無くなってしまった神戸を➡ 忘れた訳じゃないでしょう？ 覚えています｡ あの時の悲しい思い…｡ それをバネに 歯を食いしばって➡ 必死に 過去を乗り越えようとする 生き方もあるんやと思います｡ でも 私は…➡ 前を見て生きていきたい｡ 勇気を持って 愛情を胸に➡ 信頼する仲間たちと 希望に向かって…｡ 孫が生まれて あの子の成長が楽しみで➡ 数十年後の姿も見たい｡ いつまでも ずっと見ていたいと 心から思います｡ でも… それは できません｡ 生まれたら いつかは死ぬ｡ それは 順番やから…｡ 私たちは ｷｱﾘｽという一本の木の種を➡ 植えたんやと思います｡ 大きく育ち 花咲く瞬間を見たい｡ 古門さんのお話を頂いて そんな夢に 心が躍りました｡ でも 見る事が大事なんやない｡ いつか 花開く日を信じて➡ 目の前の木の ゆっくりとした成長を➡ 見守る事も大事なんやと 改めて気付いたんです｡ だから… いいんです｡ 今 私たちの夢を➡ 私たちが かなえなくても｡ 出発点は同じでも 考え方 そこから歩む道➡ 全て違う｡➡ 私と君たちとは 全く違う！ だが それはそれで…➡ すてきな生き方だ｡ ありがとうございました｡ ♬～ (麻田)誰かて 最初から うまくいきませんわ｡➡ 自分かて そうです｡ そやけど➡ 想いをこめたら 伝わるんです｡➡ 誰が どんな想いをこめて作るのか｡ それが 一番 大事なんです｡ ♬～ (紀夫)一番 自分らしく いられる場所で➡ 輝く すみれを 僕と さくらに見せてくれ｡ この店を いつまでも 育てて 守って 残していこう｡ ♬～ (さくら)それが ｷｱﾘｽの 基本やないのかなと思いました｡ 自分たちらしく やっていこういうのが➡ ｷｱﾘｽなんやないですか？ 僕たちが 必ず 皆さんの夢をかなえます｡ 見守ってて下さい｡ (良子)おはよう｡ おはよう｡ (明美)おはよう｡ (良子 すみれ)おはよう｡ (明美)話って何？ 何？ 何か… 何かな…｡ そろそろやないかなぁって 思うてるの｡ うちも おんなじ事 思うてた｡ あ… 明美さんも？ 私も｡ 私も｡ そろそろ 次の人生に進む頃やない？ みんな おんなじ思いやったのね｡ (紀夫)それは… ｷｱﾘｽを引退するいう意味か？ そう｡ そうか｡ 実はなぁ 僕も 同じ事を考えてたんや｡ あ… 紀夫さんも？ ああ｡ いつまでも 僕がおったら 下が詰まるんやないかなって…｡ まあ 何よりも もう 任せられるんやないかな➡ っていうのは一番や｡ うん｡ (紀夫)細かいところは まだ 口を挟みたくなるけど➡ 大事なところは 引き継がれてるんやないやろか｡ 私も そう思います｡ (紀夫)うん…｡ (紀夫)何年になるかなぁ？ 何年やろ…｡ 関口知宏さんが列車に乗って ｲｷﾞﾘｽを巡る20日間の旅｡ 今日は その17日目｡ さあ どんな出会いと発見が➡ 待っているのでしょうか｡

忠臣蔵の恋～四十八人目の忠臣～＃05

1 新たな町の門出を祝いました。 (十郎左衛門)何もかも無になった｡ <元禄14年3月14日｡➡ 浅野内匠頭は 江戸城松の廊下で➡ 吉良上野介に斬りかかった｡➡ 浅野家は お家断絶｡➡ 浅野内匠頭は 即日 切腹を申し渡される> ♬～ (きよ)十郎左様… お願いです｡ 死なないで下さい｡ 死んでは… なりませぬ｡ (阿久利)貸せ｡ よいから 貸すのじゃ！ ♬～ (つま)おきよ殿！➡ 滝岡様より お達しがあるそうでございます｡ ♬～ (滝岡)本日夕刻 田村右京大夫様お屋敷にて➡ お殿様ご切腹と なられましたにより➡ 奥方様は ご落飾あそばされました｡➡ 奥方様は 今宵のうちに➡ お里方 赤坂今井のお屋敷に お移りとなります｡ 奥方様が お屋敷を出られた後は 皆々 勝手次第｡ おのおの 荷物をまとめて おいとまするように｡ ほんに 長きにわたり お勤め ご苦労であった｡ (さわ) 滝岡様｡ 私どもは 何時までに➡ お屋敷を出ればよいので ございましょうか｡ (しま)滝岡様｡ 奥方様は？ (すめ)せめて 一目 奥方様に…｡ (せつ)滝岡様…｡ 奥方様は お居間におられる｡ おのおの 支度を済ませた後 おいとま乞いを申し上げるがよい｡ おきよ殿｡ (滝岡)きよと つまは こちらへ｡ 奥方様がお呼びじゃ｡ ≪(滝岡)失礼つかまつります｡ きよと つまを 連れてまいりました｡ (阿久利)入れ｡ 面を上げよ｡ 滝岡｡ 既に聞き及びと思うが➡ お殿様のお亡骸は 泉岳寺へ移され ご埋葬の儀となった｡ 奥方様のお参りは はばかられるゆえ➡ 成瀬が代参致す｡ ついては きよ そなたに 成瀬の供をしてもらいたい｡ かしこまりました｡ 奥方様に成り代わり 心して ご供養致しまする｡ いまひとつ そなたらに頼みがある｡ つまには この先も わらわのそばに いてもらいたい｡ はっ｡ そして きよには…➡ きよには わらわの耳になってもらいたい｡ 耳…？ このままでは… 終わらせぬ｡ <奥方様の胸の中に➡ 何かが 燃えたぎっているようでした> かしこまりました｡ ありがたきお言葉 謹んで お受け致しまする｡ <その日の深夜 落飾した阿久利は➡ ひっそりと人目を忍ぶように 浅野家上屋敷を出➡ 実家である 赤坂今井の 三次浅野家へ帰った｡➡ その後 俗名を捨て 瑶泉院と改めたのである> ♬～ (成瀬)たった一日のうちに 何もかもが変わってしまった｡ まるで 遠い日の出来事のようじゃ｡ [ 心の声 ] 十郎左様？ 仙桂尼様｡ きよ｡ 仙桂尼様…｡ 児小姓が 明け方 門外で 追い腹を切ったのじゃ｡ まだ 年端も行かぬ 子どもだというのに➡ 痛ましいこと｡ (仙桂尼)浅野のご家臣は ご墓前においでじゃ｡ 既に お殿様のご葬儀は 済まされた｡ え？ さ 早う そなたらも｡ ♬～ 昨夜半 ここに着くと➡ ご近習が 追い腹を切ろうとされていた｡ (成瀬)追い腹を…｡ (仙桂尼)殉死は ご法度｡ お殿様の汚名の上塗りをする おつもりかと 申し上げた｡ ようやく思いとどまり➡ されど 殿に殉ずる意を込め➡ あのように 髻を…｡ (足音) おじ様｡ きよ｡ ♬～ <お殿様は 冷光院となられ➡ この土の下に…｡➡ そして 奥方様は その墓参さえ許されず…> (不破)殿～！➡ 殿～！ (堀内)不破 お前は 一体 どこに！ 殿～！ (田中)不破！ 今更 何を｡ (中村)浅野家を出て 浪人となったお前が 近づくな！➡ 殿のお墓の前であるぞ！ (條右衛門)不破殿！ やめろ 善左衛門！ やめぬか 数右衛門！ 今更 家臣も何もあるか！ 殿は亡くなられ お家はお取り潰し｡ お前たちは皆 俺と同じ 浪々の身｡ 浅野のお家は もう ないのだ！ 拙者とて 殿に仕えた身は同じ｡ 墓参りぐらい 許せ｡ 殿～！ (泣き声) ご一同様 本堂へ｡ 昨夜から 寝もやらず ご遺骸と過ごし➡ さぞ お疲れの事で ございましょう｡➡ 少し お休み下さいませ｡➡ 食事も用意致しましたゆえ｡ (堀内)不破｡ 行くぞ｡ ここは お任せあれ｡ ここは お任せあれ！ 数右衛門｡ 何故… 何故 殿だけが このような目に…｡ 吉良は どうなっておるのだ｡ いまだ 切腹のうわささえ聞かぬ｡ 殿だけが このようなお沙汰を受け 吉良は おとがめなしか｡ おかしいではないか！ 吉良は 生きているのではないのか｡ 吉良様の生死は いまだ 誰にも分からぬ｡ ご公儀が 騒ぎを恐れ 事を伏せてるかのようだ｡ ご公儀が｡ おとがめなしとは 理不尽至極｡ けんか両成敗のおきてに背く｡ その事は お前に言われずとも 承知しておる！ 数右衛門｡ 我らは 赤穂へ行く｡ (不破)え？ 数日すれば 早駕籠も 赤穂へ着くはず｡ その時 赤穂は どう出るか｡ 我らは ご家老 大石内蔵助様に 無念をぶちまけ➡ 方策を練るつもりだ｡ 方策？ 吉良様が生きているならば➡ 仇討ちも辞さぬ｡ 仇討ち…｡ 今は ただ… 殿の汚名をすすぐ事｡ それだけが 我らにできる事｡ 故に 髻を切り 殿のご墓前で誓ったのだ｡ 必ず 殿のご無念 晴らすと｡ 十郎左｡ それは… まことでございますか？ (條右衛門)きよ殿｡ 私も お力になりとうございます｡ きよ！ (善左衛門)お前 何を｡ 私は 奥方様の耳となります｡ 耳？ 謹慎の身となられた奥方様に➡ 皆様のご様子を お知らせするお役目に｡ ですから 礒貝様方のお力に｡ きよ殿 それはならぬ｡ そなたが 奥方様を思う心は 分からぬではない｡ だが 我らには関わるな｡ 私は もはや この命 ないものと思うておる｡ きよ殿が関わるような事ではない｡ されど 十郎左様…｡ 今の話 聞かぬ事にする｡ よいから去れ！ (仙桂尼)きよ｡ 何をしているのじゃ｡ 仙桂尼様｡ <その日➡ 内匠頭の弟であり 養嫡子でもある浅野大学長広へ➡ 閉門の処分が下った｡➡ 大学は 木挽町の屋敷で 謹慎の身となった> <夜になり にわかに 泉岳寺に慌ただしさが増した｡➡ 浅野家上屋敷の 後始末を済ませた家臣たちが➡ 次々と 墓参に押しかけたのだ> ど… どういう事じゃ｡ わしは 殿が幼少のみぎりより お仕えしてきた身｡ いや 殿ばかりではない｡ 先代 先々代と 浅野家３代にわたり➡ お仕えしてきたのじゃ｡ それを…｡ 殿に 一目お会いする事もかなわず ご埋葬など…｡ 片岡殿！ そなたらだけが 格別と考えるのであれば➡ それは 傲慢にすぎるぞ！ (安兵衛)義父上 おやめ下され｡ お前は 黙っておれ｡ (前原)そうだ 勝手がすぎますぞ！ (家臣たち)そうだ そうだ！ (片岡)お言葉ながら➡ 拙者は 勝手をしたとは 思っておりませぬ｡ 何を～！ ご隠居様！ ご隠居様は 昨夜の殿のお姿を ご存じないから➡ そのような事が言えるのだ｡ だからといって 勝手に ご埋葬などしてよいというのか！ そなたらだけ 髻を切って 殿に忠義を尽くしたつもりか！ (田中)お言葉がすぎますぞ！ いいがかりでござる｡ ご隠居殿 これは 和尚殿のご配慮でもあったのです｡ どうか お分かり下さいませ｡ は… 半日も待てぬのか｡ わしらが どのような思いで 屋敷の後始末をしてきたか➡ お主らには 分からぬのか！ 殿の… 殿のご葬儀であるぞ｡ 仮にも 赤穂５万石の大名であるぞ｡ (前原)俺も納得がいかぬ｡ 何もかも 納得がいかぬ！ 堀部殿 どこへ行くのだ｡ 安兵衛｡ いま一度 殿にお別れを｡ 義父上｡ 今 ここで 我らが いさかいを起こして➡ 何になります｡ 殿を… 浅野家を思う気持ちは 同じはず｡➡ 無念とて 皆…｡ ふん！ 新参者が 分かったような口を｡ 誰だ 今 声を上げたのは｡ 誰だ！ ♬～ 條右衛門｡ 言いたい者には 言わせておけばいい｡ 全ては やっかみだ｡ 堀部家へ婿に入り 殿に重用された そなたへの｡ 分かっておる｡ 條右衛門…｡ 浅野家は 私の初めての仕官先だ｡ 新発田から そなたを頼り 江戸に出➡ 長きにわたり 浪人を続けてきた私を➡ 初めて迎え入れてくれたのが 殿｡ いや 殿のためなら 骨をうずめてもよいと思ったのだ｡ それゆえ 浅野家家臣となった｡ ああ｡ 殿への思いは 誰にも負けぬ｡ ああ そうだ｡ 浅野家３代につかえてきた 義父上にも 報いねばならぬ｡ そうだ｡ そのとおりだ｡ 條右衛門｡ 俺は 必ず 殿のご無念を晴らす｡ 殿の… 無念を｡ 晴らせ その思い｡ 俺には 晴らしたくても つかえる殿がおらぬ｡ <その夜 堀部様は 夜を徹し➡ おじ様と共に 墓守をしたのです｡➡ そして 私は 仙桂尼様と共に 宿坊へ泊まる事となりました> 耳となれ｡ そう おっしゃったのか 奥方様は｡ はい｡ そなたは この後も 奥方様に おつかえするつもりなのじゃな｡ そう思うております｡ 阿久利様は 武家に生まれ 武家に育ったお方｡ その奥方様が お殿様の恥辱を➡ このまま済ますとは思えませぬ｡ ４歳から過ごしたお屋敷を 一夜にして奪われ➡ 最愛の殿は 理不尽にも ご切腹｡ 奥方様のお気持ちを思うと➡ 胸が 締めつけられる｡ きよ｡ はい｡ 奥方様が望まれ そなたも そうありたいと願うのであれば➡ これより 奥方様の耳となるがよい｡ 仙桂尼様｡ だが きよ｡ そなたが 踏み入ろうとしている世界は➡ これまでとは全く違う所｡ 耳となるという事は➡ 奥方様に 一生をかけて 忠義を尽くすという事｡ なまはんかな事ではありませぬぞ｡ 承知しております｡ きよ｡ 男たちは皆 事の大きさに我を失い➡ 怒りに任せて 何をしでかすか分からぬ｡ されど 一時の情に流され 命を落とす事ほど➡ 愚かな事はない｡ 一番の大事は 浅野家を守り抜く事｡ 我ら女にも 必ず できる事はあるはず｡ その事だけは 忘れるでない｡ しかと 承りました｡ 月が…｡ ♬～ この世の戯れ事とは無縁の…➡ 美しい光じゃ｡ お殿様は もう あちらの世界に いってしまわれたのか｡ ♬～ <私は 明け渡しとなった 浅野家上屋敷を出て➡ 父の住む浅草の林昌軒へ 戻りました> [ 心の声 ] 母様｡ きよは 父様のもとに戻りました｡➡ けれど もう 以前のきよではありませぬ｡➡ どうか きよを… 浅野家の皆々様を➡ 奥方様を 仙桂尼様を➡ 十郎左様を お守り下さい｡ 兄様｡ きよ｡ 十郎左が 赤穂へ出立するそうだ｡ え？ 片岡様たちと 大石様に じか談判すると｡ ♬～ 十郎左様｡ きよ殿｡ 赤穂へ たたれると 兄から｡ ああ｡ 十郎左様｡ 私は これより先も 奥方様にお仕え致します｡ きよ殿｡ 十郎左様をお慕いする心も 変わりませぬ｡ その事を お伝えしとうございました｡ 必ず 帰ってきて下さい｡ 必ず｡ そればかりは分からぬ｡ ただ きよ殿が この江戸にいる事 その事は胸に｡ ♬～ 十郎左様｡ <この先 私たちの行く末が どうなるのか｡➡ 誰も何も分からぬまま> <けれど 私は この時 心に誓ったのです｡➡ 何があろうとも 十郎左様と 運命を共にする事を>

ハガネの女２nd＃04

1 （テレビの音）「ラッキーアイテムは 濃いめのお茶」 「１０位は　うお座 体の疲れがたまってパンク状態に」 「こまめに休む事を 心がけましょう」 「ラッキーアイテムはヨーグルト」 「１１位は　かに座 アタフタしてミスを連発する日」 「落ち着いて行動して」 「ラッキーアイテムは 好きな人の写真」 （芳賀）〈塩田先生が オランダに留学して以来→ 私の女子力は落ちっぱなしだ〉 （テレビの音）「やったー！」 「ラッキーな人は おとめ座のあなた」 ファンデ　割れちゃってる…。 〈彼氏が　そばにいないと…〉 （テレビの音）「ラッキーアイテムは ダイヤの指輪」 「残念…　アンラッキーな人は さそり座のあなた」 「ドンマイです！」 「他人の恋に振り回され 大変な一日になるでしょう」 〈彼氏が　そばにいないと…〉 （テレビの声）「ラッキーアイテムは 大きな手袋」 ダメだ…　朝ご飯　作る気しないや。 ≫（上級生）お願い！ 一生のお願いだから。 ねっ？　一緒に写真撮ろう。 １枚ぐらい　いいでしょ？ １枚だけ。　一生のお願いだから。 （中山さくら）あれ　松谷じゃん。 （長田美穂）相変わらず　派手～！ （坂本京子）ねえ なんか困ってるみたいだよ。 （浅野夏希）いいよ。 愛河小の奴なんて　ほっときな。 そうだよ。　行こう　行こう。 それよりさ…。 駿ちゃん　助けてあげて。 （駿）えー…。 １枚だけでいいから　ほら。 （松谷莉奈）やめてください！ こっち向いてよ。 （駿）先輩…。 あ？ あ？　なんだ　お前。 そいつ 嫌がってるじゃないですか。 フッ！　４年生のくせに 調子乗ってんじゃねえよ！ なんだよ！ この野郎！ うわー…！ てめえ　覚えてろよ！ ちょっと待ってよ！ ありがとう　助けてくれて。 礼なら　京子に言ってやって。 （駿）行こうぜ。 うん　行こう　行こう。 （京子）駿ちゃん　ありがとう。 （京子）怖くなかった？ （チャイム） 水嶋先生　１時間目の算数→ 授業の遅れがちな子 サポートして。 （水嶋恭平）了解しました。 俺　便所行ってから教室入ります。 （藤間真理子）うわ～ 化けの皮が　はがれた途端に→ 見事に豹変したって感じね。 しかし　野村校長も 何考えてんだろうな？ （野村敏之の声） 教員免許を取ったという事は→ 彼にも　それなりの志が→ あったんじゃないかと 思いましてね。 まあ　しばらく様子見よう。 （３人）うお～！ （駿）俺らは無理だよ。 （明石翔太）亮介も　こっち来いよ！ おはよう。 （足立雪）莉奈　莉奈　莉奈！ 見たよ　『ＪＳ☆Ｓｈｉｎｅ』の今月号！ （雪）超かわいいじゃん！ やだ！　みんなの前でやめてよ！ （鈴木花音）莉奈って スタイルもいいし→ 何着ても似合うよね。 ありがとう。 （佐藤ひかり） ほんと　お人形さんみたい。 かわいい！ （翔太）おっ！ 松谷が　一番かわいいじゃん。 松谷さんって ほんとかわいいよね。 （３人）えー！？ だって　あの子 勉強全然ダメじゃん。 （美穂）まっ　トータル的には 京子の方が上だって！ 何を言ってんの！ そっか　京子は 駿がいれば　いいもんねー！ シーッ！ あ…　京子　赤くなってる。 （京子）ちょっと！　美穂も。 （チャイム） （美穂・さくら・夏希）赤い　赤い…！ ちょっと！ はい　授業始めるよ　席ついて。 ♪♪～ 教科書７０ページ。 今日は…。 （桑沢健吾）えーっと… あっ　今　戻ってきました。 芳賀先生 松谷莉奈のお母さんからです。 あ　そう。 もしもし　担任の芳賀です。 え？　また早退ですか？ 新学期が始まって　これで　もう ４度目になるんじゃないです…。 プーップーッて…　切れちゃった。 また雑誌か何かの撮影か？ 来週　テレビの収録で 伊豆まで行くって。 松谷莉奈の母親 筋金入りのステージママだからな。 入学当時から 芸能活動を優先させてるんだ。 去年は運動会も欠席でしたしね。 え！？　ほんと？ どうした？ いや　そういう学校行事ってさ→ 子どもにとって特別でしょ？ 寂しくないのかなって思って。 （真理子）甘いわね　芳賀先生。 子役ってね　ちょっと気を抜いて 休んだ途端に→ すぐに追い抜かれてしまう。 そういうものなの。 やけに詳しいですね　藤間先生。 私も子役やってたから。 写真見る？ え？　これ　藤間先生？ すごい美少女じゃないですか。 あっ　これ　別の子。 私は　こっち。 （桑沢・先崎）ああ…。 （莉奈）坂本さん。 何？ 坂本さんって いつも渡部君と一緒にいるけど→ もしかして　付き合ってるの？ まさか！　駿ちゃんとは ただの幼なじみで。 よかった！ じゃあ　いいよね？ …何が？ 私…　好きになっちゃったの。 渡部君の事。 え…？ 坂本さん　応援してくれるよね？ 私の事。 うん…。 ありがとう！ 私たち　仲良くなれそうだね。 いただきます！ （一同）いただきます！ ♪♪～ 渡部君…。 ん？ これ　あげる。 いや　いいよ　別に。 遠慮しないで。 私　全然お腹すいてないから。 松谷！ 大丈夫？ ≫莉奈！ ≫莉奈ちゃん！ 莉奈ちゃん！　莉奈ちゃん！ 莉奈ちゃん　しっかりして！ 莉奈ちゃん！ ♪♪～ ♪♪～ （水川真紀）うん…　軽い貧血ね。 ２～３日前から ちゃんと食事とってないみたい。 莉奈ちゃん どっかさ　具合でも悪かったの？ 撮影で着る服が合わなくなって→ ダイエットしないと 仕事なくなっちゃうから。 体壊して モデルの仕事出来なくなったら→ 元も子もないでしょ？ 先生ね　今日の放課後 お母さんと会って話す。 勉強の進み具合の事も 相談したいし。 いいよね？ （児童たち）さようなら。 さようなら。 何やってるんですか？　校長先生。 シーッ！ （京子）違う。 ここは掛け算やってから足すの。 （駿）全然わかんねえ。 京子の写させて。 ダメ！　宿題ぐらい 自分の力でやんなさい。 これ以上　成績下がったら→ ボクシング やめさせられるんでしょ？ 松谷さんってさ 華があって　かわいいよね。 スタイルもいいし。 そうか？ 駿ちゃん 今朝　いいとこ見せたし→ 仲良くなる チャンスなんじゃない？ 興味ねえよ　あんな女。 でも　いいなぁ。 こんなかわいい服 たくさん着れて。 お前　モデルとかやりたいの？ そういうわけじゃないけど。 一度でいいから　こういうの 着てみたいなって思って。 この前ね 昔のアルバム見てたらさ→ 私　いつも同じ服着てて…。 ちょっと恥ずかしかった。 続きやろう。 うん…。 あの…　私たち 何やってんでしょうか？ いや～　なんか 甘酸っぱいですねぇ　あの２人。 彼女　いつも　ああやって 彼の面倒見てあげてるみたいです。 いいですね～ 私も　そういう人欲しいなぁ。 校長…　独身だったんですか？ いえ…　かみさんも娘もいますよ。 炊事　洗濯　掃除 全部　私がやらされてますけどね。 ご苦労さまです…。 （カメラマン）はい　撮るよー！ はい　いいね。 じゃ　ポーズを変えて　もう１枚！ あっ　いいですねぇ。 じゃあ　もう１枚でーす。 （松谷真知子） お話は　よくわかりました。 でも　芳賀先生のご要望を 丸のみするわけにはいきません。 はあ？ 確かに　莉奈は 学校の勉強も遅れ気味です。 食事制限もしていて かわいそうだと思います。 でも　あの子には 生まれ持っての美貌があります。 その美貌を生かしてやるのも→ 親の務めのひとつだと 思っています。 もちろん　莉奈も→ この世界で活躍出来る事を 望んでいます。 そのためには　多少の犠牲や我慢も 仕方ないんじゃないでしょうか？ いや　しかしですね…。 確かに　私は　人から見たら 厳しい母親かもしれません。 でも…　誰よりも！　誰よりも 莉奈の幸せを願っているんです。 そうなってほしいと 思っているんです。 ≪はい　じゃあ　休憩！ （モデルたち）はーい。 （真知子）莉奈　お疲れさま。 何か飲む？ ううん　いらない。 莉奈ちゃん　この仕事楽しい？ え…？　もちろんです！ この仕事を続けるためなら どんな事も我慢するの？ はい。　これは 私が望んで　やってる事ですから。 莉奈　偉い！　いい子。 あの母親じゃ 何言っても無駄ですよ。 え？ 娘の幸せのためなんて詭弁で→ あの母親は　自己満足のために 子どもの尻叩いてるんですよ。 ねえ　なんで　そう思うの？ なんでって…。 （真壁友喜）あ　水嶋先生。 ちょっと！ ねえ　２人とも　何やってんの？ 見りゃ　わかるでしょ？ おやつ食べてんの。 へえ　美味しそう！ 先生も買っちゃおう！ 芳賀先生！ 水嶋先生も一緒に食べます。 うわ～　懐かしいなぁ！ （京子）おばあちゃん！ ちょっと　おばあちゃん！ 店番は　私がやるから 奥で休んでて。 （坂本千代）ああ　そう？ そうかい？　悪いねぇ。 休んでて。 悪いわねぇ　無理させちゃって。 いらっしゃいませ！ 京子ちゃん…。 芳賀先生！ あの　ここ　京子ちゃんちだった？ ああ…　はい。　おばあちゃんと ２人で暮らしてます。 あっ　これ…。 （２人）じゃあね　お姉ちゃん。 ありがとうございました！ お前　あっち行けよ。 水嶋先生と仲良くします。 京子ちゃんさ 店番手伝うなんて偉いね。 おばあちゃん 昨日から食欲なくて…。 ちょっと心配なんです。 そう…。 夏希ちゃん　取らないでください！ それ　最後の１本なんです！ 夏希ちゃん　取らないでください！ 夏希ちゃんさ そんな　夕飯前に→ お菓子いっぱい食べちゃって 大丈夫？ 今日は　夕飯抜くからいい！ お父さんと　お父さんの彼女と ３人で外食する予定なんだって。 余計な事　言わないでよ！ もしかしてさ その人の事　苦手？ 苦手じゃない。　嫌いなだけ！ うーわ　はっきり言うな…。 だって　超うざいんだもん。 私の母親になりたいだとか→ 思い上がってるよ。 まだ１８のくせに。 え…？　１８ってさ もしかして高校生？ 中退して　今　洋食屋で 修業してるんだってさ。 洋食屋…。 えー？　洋食屋！？ 何？ ううん　別に。 （真知子）ちょっと待ってください。 運転手さん どうして　こう狭い道ばかり→ 通るんでしょうね？ （真知子）はい… あっ　ごめんなさい。　はい。 そうなんですよ。 どうしたらいいですかね？ （車のクラクション） （店員）こちらなんかは いかがでしょうか？ （真知子）まあ　かわいい！ （店員）いかがですか？ （真知子）うわ　きれい。　かわいい。 （店員）かわいいですよね。 （真知子）ねえ　莉奈！ こっち来て。 あっ…　はい。 うわ～　よく似合ってる。 さすが　莉奈。 お母さんはさ　なれなかったけど→ あなたには　一流のモデルになる 資質があるの。 その夢をかなえるためだったら お母さん　なんでもする。 あなたは　私の全てだから…。 かわいい！　お人形さんみたい。 （真知子）ねえ！ （真知子）ねえ　他のも見せて。 （店員）はい。 （店員）でしたら　今の新作で こちらも　おすすめです。 （真知子）かわいい！ （店員）かわいいですよね。 お母さん。 何？ スタジオに宿題忘れてきちゃった。 あっ　先　おうち戻ってて。 私　一人で帰るから。 あっ　ちょっと待って　莉奈！ ♪♪～ ♪♪～ （富樫）はい　オッケー！ 駿！ ガード甘いんだ　ガードが！ 勝てねえぞ　それじゃ　お前。 どうした？　お嬢ちゃん。 誰か待ってるの？ あっ　いえ…。 松谷じゃん。　なんで？ あの… 私　ボクシングやりたいんです！ ここで練習させてください！ （富樫）はあ？　悪いけど うちは女性お断りしてるんだ。 それに　小学生には無理だよ。 でも　渡部君は…。 駿は　俺の甥っ子だし 特別に許可してるんだよ。 お願いします！ 絶対に皆さんの邪魔はしません！ そう言われてもなぁ…。 お金なら払います！ ボクシングやってみたいんです！ お願いします！ 参ったなぁ…。 ♪♪～ 調子に乗って叩くからだよ。 （駿）でも驚いた。 松谷　うまいよ。　初めてなのに。 ありがとう。 なんか　気持ちよかったし→ 明日も頑張ろうっと。 明日って… まさか続けるつもり？ だって　ボクシングって スカッとするんだもん。 渡部君　私のコーチしてね。 ♪♪～ それから…→ クラスの人たちには ジムに通いだした事→ 絶対　言わないで。 どうして？ お母さんに知られると困るから。 ねっ　お願い！ ほんとに…　お願い！ ♪♪～ （西堀マナ）あ～！ ねえ　マナ 今日の食事会　どうだったの？ 彼氏の娘さん 一緒だったんでしょ？ お腹いっぱいだからって 彼女だけドタキャン。 ねえ　その子さ 名前なんていったっけ？ 夏希ちゃん？ どうしたの？ ん？　やっぱり　マナ 無理なんじゃないかな？ その子も　マナと同じぐらい 気が強くて頑固そうだし→ 簡単に折れると思えないんだよね。 よし　もっと気合入れて アプローチしよう。 私　どっかで 彼女に遠慮してたんだよね。 これからは もう少し強引に攻めてみる。 そういうつもりで 言ったわけじゃないんだけど。 （携帯電話） もしもし？ （京子）「先生！？」 おばあちゃんが…　助けて！ 先生！ 京子ちゃん？ ♪♪～ （京子）先生…。 おばあちゃん　風邪が悪化して 肺炎になってたみたい。 ２～３日　安静にしてれば 退院出来るって。 よかった…。 あっ　あのさ　京子ちゃん おばあちゃん退院するまで→ 先生んち来ない？ え？　でも迷惑じゃ…。 全然！　だって その方が心細くないでしょ？ じゃあ　おばあちゃんに そう伝えてきて。 はい。 うん。 （京子）おばあちゃん。 （駿）先生！ どうしたの？ さっき　京子からメールもらって→ おばあちゃんの着替え 持ってきた。 優しいんだね。 あいつは？ ああ　今　病室。 先生　京子の事 ありがとうございました。 これ　先生の彼氏？ ん？　今ね　海外に留学中。 ふーん。　かっこいい人だね。 かっこいいでしょ？ でもさ　遠距離恋愛っていうのも 時々　つらくなるのよね。 京子ちゃんが　うらやましい。 渡部君みたいな子が そばにいてくれてさ。 でも　いつまでも　そうとは 限らないし。 どうして？ 私　松谷さんに言われたんです。 駿ちゃんの事が好きだって。 え！？ 応援してくれって。 で　京子ちゃんさ なんて答えたの？ 応援…　するって。 なんで　そんな事　言っちゃうの？ だってさ　京子ちゃん→ 渡部君の事 好きだったんじゃなかったっけ？ ♪♪～ 自分の気持ちにさ…→ 嘘なんかついたって いい事なんかないよ。 あとで後悔するだけ。 でも…　あの２人は お似合いだと思うし。 そう？　先生は　十分 あなたも魅力的だと思うよ。 京子ちゃんの持ってる 優しさも　奥ゆかしさも。 先生は　大好きだよ！ （さくら）ハガネんちに泊まった！？ おばあちゃんが退院するまでは いていいって。 （さくら・夏希）えーっ。 （夏希）それって→ 私らの事 手懐けるためなんじゃないの？ （京子）そんな事ないよ。 芳賀先生→ 本気で私の事 心配してくれたんだから。 （一同）うっそー？ 京子　騙されちゃダメだよ。 私　昨日　見ちゃった。 何を？ はい　正解。 意味深長。　意味は 「内容が奥深くて含みのある事」。 はい　次。 どうしたの？ あいつに渡して。 隣の奴に渡して。 はい　正解。 単刀直入。 夏希ちゃんから。 意味は　「問題の核心につく事」。 はい　じゃあ　次。 ♪♪～ はい　正解。 興味津々。 意味は 「興味がわいて尽きない事」。 じゃあ　次。 あんた 京子の彼氏　横取りする気？ （夏希）ちょっとかわいいからって 調子に乗るな！ はぁ！？ ２人は　ただの幼なじみでしょ。 坂本さんだって 私にそう言いましたけど。 意味は　「くじけずに立ち上がって 努力する事」。 はい　じゃあ　次。 （夏希） 京子　ほんとにそう言ったの？ あの…　私…。 （莉奈）坂本さん　もしかして あれ嘘だったの？ 私の事　騙してたの？ ちょっと…　何？ 急にどうしたの？ 言っとくけど　中身のない 人形みたいなあんたを→ 駿は絶対 好きになったりしない！ 私は… 私は人形なんかじゃない！ 私の事　何も知らないくせに 利いた風な口きくな！ 何これ？ （雪）もしかして　恋愛バトル？ マジかよ？ ≫やれやれ！　松谷！ ≫水河なんかに負けるな！ ≫そうだ！ （児童たちの松谷コール） ちょっと　静かにして！ ほら　授業中でしょ！ 席ついて　ほら。 （莉奈の泣き声） （莉奈）どうして 私の事　いじめるの？ （莉奈） 私　何も悪い事してないのに。 夏希　お前いい加減にしろよ！ はぁ！？ えーっ！ （美穂）なんで こんな女の事かばうの？ だから　それは…。 クラスの人たちには→ ジムに通いだした事 絶対　言わないで。 （さくら）松谷の事　好きなの？ （夏希）なんで一緒に帰ったの？ お前らには　関係ねえだろ。 （夏希）はぁ！？ ≪だから　よかったな　莉奈。 ヒューヒュー！ （児童たちの結婚コール） （チャイム） ♪♪～ 京子ちゃんが　ふられました。 ≫友！ 余計な事　言うな！ 痛いです。 ≫京子ちゃんが　ふられました！ 京子ちゃんさ…→ 今日の事なんだけど 渡部君はきっと…。 駿ちゃん　誰と付き合おうが 駿ちゃんの勝手だし。 身の回りで起こった面白い事 感動した事など→ 知ってもらいたい出来事を 話題にしてスピーチしましょう。 ちょっと　松谷さん。 何やってんの？ ああ…　はい　すいません。 時　場所　人物などを思い浮かべ…。 （莉奈）ねえ　渡部君→ なんで　あんな痛い目にあってまで ボクシング続けてるの？ 親に　やめろとか言われない？ （駿）毎日　言われてる。 でも　俺…　ボクシング好きだし。 親に　なんて言われても 絶対やめない。 すごいなあ　渡部君。 自分の気持ち　ちゃんと言えて。 松谷も　言やあいいじゃん。 親に文句ぐらい。 無理だよ。 絶対　無理。 なんで？ （真知子）莉奈に 補習授業を義務付けてるって→ どういう事なんですか？ これから お芝居の練習なんですけど。 あの…　ちょっと待ってください。 補習授業って　なんの話ですか？ さっき 莉奈から電話があったんです。 「今週　勉強の遅れてる子は→ 放課後に補習授業をしてる」って。 え？ 莉奈はどこですか？ 連れてきてください！ いや　あの　連れてきて…。 早く！ （駿）ほら　始めるぞ。 よし。 力　もうちょっと抑えて。 抑えろって。 ストップ。 ストップ。 ストップ！ どうしたんだよ？　松谷。 松谷！ （富樫）おい　大丈夫か？ おい？ どうした？ 莉奈ちゃん　どうしたの？ （莉奈）先生！ 莉奈！ （莉奈）お母さん。 （富樫）ちょっと 練習中に立ちくらみしちゃって。 （真知子）あなたって子は 嘘までついて！ （真知子）私が　あなたのために どれだけのお金と時間を→ 注ぎ込んでると思ってるの？ ごめんなさい。　ごめんなさい。 （真知子）なんで ボクシングなんかしたの？ 理由を言いなさい！ 俺のせいです。 俺が無理やり誘って…。 松谷　クラスで 一番かわいかったし。 だから　松谷は悪くない。 悪いのは俺です。 莉奈は　トップモデルになるのよ。 （真知子）顔や体に傷がついたら どう責任取るつもり？ どう責任取るのよ！ ちょっと　松谷さん！ このままじゃ済まさない！ （真知子）あなたも　あなたも あなたも…　みんな！ どいて！ （富樫）なんじゃ　ありゃあ。 渡部君 どうして　あんな事言ったの？ あなたが大事に思ってるのは…。 ちゃんと説明して。 松谷　お母さんの事 怖がってたんだ。 （莉奈）私ね　本当は→ チャラチャラした服 好きじゃないの。 モデルとか　そういうのも嫌なの。 でも お母さんは　一切認めてくれない。 自分の若い頃の夢を 私に押し付けて…。 思いどおりにならないと 泣きながら怒って…。 でも　お母さん 私しか生き甲斐ないから。 じゃあ　このジムに入ったのは…。 あいつ　ボクシングしてる時は いつも生き生きしてたし。 ♪♪～ （駿）ほんとは好きなんだよ 体　動かすの。 今日…　今日　上川先生は？ まだ　相談室にいると思うけど。 ちょっと…。 ほんと　ありがとう。 早く！ （水嶋）力が男みたい…。 なんか　すっごい剣幕でしたね。 （真理子）ねえ。 （野村）あの…　理科室の鍵を お借り出来ます？ （野村）ちょっと 遊ばせてもらおうかなと思って。 遊ぶ？ あった　あった！ いやね　あの… 私　大好きなんですよ　化学の実験。 全然違う種類の物質を 混ぜ合わせると→ 思わぬ化学反応　起こすでしょ？ じゃあ。 え？　じゃあ　水嶋先生を 芳賀先生に張り付けたのって→ そのためだったんですね？ （野村）ふっ…　なんの話です？ おとぼけも　お得意で。 さすがです！ （拍手） はははは。 （上川俊一） 恐らく　その母親っていうのは→ 大人になる過程で 何か大きな挫折を味わっている。 （上川）その挫折を埋めるべく→ 子どもにそういう事を 強要している。 子どもは その事に気づいてるんですか？ （上川） いや　大抵はわかっていない。 （上川）夢を託された子どもは→ 過保護に育てられている事が多い。 （上川）壁にぶつかると すぐに挫折するようになる。 （上川）そして　うまくいかない事は 全部　他人のせいにしている。 （上川）攻撃的になる…。 じゃあ　どうすればいいんですか？ うーん… 不満を吐き出させてやって→ 子どもを解放してやるしか ないだろうな。 （女性）無理だって。 （男性）スケジュール　組み直しますよ。 （男性）お願いしますよ。 （女性）無理　どうやって組み直す？ 莉奈ちゃん。 ちょっと　付き合ってくれる？ 帰りの時間遅れると またお母さん　心配するから。 その事なら　大丈夫。 え？ 先生ね むしゃくしゃする事があったり→ 考えが まとまらなかったりする時に→ 竹刀振るの。 莉奈ちゃんが　きっと ボクシングやるのと　同じ理由。 だからさ…　やろうよ。 先生とボクシング。 ♪♪～ 早く！ （真知子）莉奈…。 どういうつもりなんですか？ もう少し… もう少しだけ待ってみませんか？ 何を待つの？ ほら　思いっきり来い！ ほら　早く！ ほら　早く。 ♪♪～ 何？　その程度なの？ 渡部君　先生がっかりだな。 ダンス踊ってんじゃないんだよ。 ほら　どうした？ あなたの 本当にやりたい事って　何？ 大っ嫌いな事は何？ どんな自分が好き？ どんな自分が嫌い？ 大きくなって　なりたいものは？ はい　はい　はい　はい。 言いたい事があるなら はっきり言えば？ やめてよ　先生。 バッカみたい。 やっぱりお人形さんね。 人形だから　本気で殴れないんだ。 中身の詰まってない 空っぽの人形だから！ 私は…　私は…。 私は人形なんかじゃない！ モデルなんか　やりたくない。 かわいい服なんか嫌い！ お母さんも嫌い！ （莉奈） 給食を　お腹いっぱい食べたい。 （莉奈）チョコやケーキだって 食べたい！ （莉奈）なんで　私だけ 我慢しなきゃいけないの？ （莉奈）なんで　私だけ やりたくもない事を→ やんなきゃいけないの？ あれが　娘さんの心の叫びです。 私は… あの子の将来を考えて…。 （水嶋）将来？ それを見てるのは　あなたでしょ？ あの子じゃなくて。 （上川）親と子は違う人間です。 無理やり 言う事を聞かせようとすれば→ ひびだって入るし それが広がっていけば→ 崩れる事もある。 （上川）あの子は　その寸前ですよ。 （水嶋）もう自由に してやってくださいよ。 （水嶋）子どもはね…。 私は…。 親の見栄や…。 私は…。 夢のために生きてるわけじゃない。 （莉奈）お母さんの人形じゃない！ ♪♪～ ああっ！ （莉奈）先生　大丈夫？ ごめんなさい。 （うめき声） 大丈夫…。 血が出てる。 え…　鼻血？ ああ…　いやぁ　当たっちゃったよ。 占いもパンチも。 ねえ　莉奈→ あなたが戦わなきゃいけない敵は→ ほんとは　ここにいるんじゃない？ ≫（サイレン） 莉奈の人生は　莉奈のもんだよ。 戦ってきな。 （莉奈）お母さんなんか　嫌い。 大っ嫌い！　大っ嫌い！ 大っ嫌い！　大っ嫌い！ お母さんだって…。 莉奈…。 人形なんて思ってない。 思ってないよ！ （真知子）思ってないって！ ♪♪～ ♪♪～ もう一度　冷静に莉奈の話を 聞いてあげてください。 子どもにとって 一番　信頼出来る大人は→ やっぱり　親だと思うんで。 ♪♪～ ありがとね　駿。 なんで？　礼なんか…。 だって→ 莉奈に　一歩踏み出す勇気 与えたのは　駿だもん。 我が道を突き進む駿を見て→ 莉奈は　自分も変わりたいって 思ったんじゃないかな？ あ…　私 駿を家まで送ってきます。 ２人とも 遅くまで付き合ってくれて→ ありがとう。　失礼します。 行こう！ 駿　ラーメンおごってあげる。 （水嶋）失敗した時の事とか 考えてないんですかね？　あの人。 （上川）ああ。　彼女の頭の中には→ 今　目の前にいる 子どもの事しかないんだよ。 どう？　君もぶつけてみたら？ 母親に　自分の気持ち。 なんすか？　それ。 診療行為。 ♪♪～ 京子ちゃん。 今日の放課後　空いてる？ え？ ♪♪～ （莉奈）駿君。 見て！ 京子ちゃん　かわいいでしょ？ （カメラマン）お！ いいね　いいね　いいね　２人とも。 新しいモデルさん？ （芳賀の声）駿　莉奈に ボクシング教える代わりに→ お願いしたそうです。 京子ちゃんに　モデルの仕事 体験させてやってほしいって。 照れ屋だけど　男だねぇ！ （水嶋）っていうか…→ 松谷　モデル やめたがってたんじゃ…？ 彼女は　ちゃんと自分の気持ち お母さんに言えるようになった。 それさえ解決出来れば→ お母さんとの夢とも 折り合えるんじゃないかな？ 人形じゃなく　一人の人間として。 （野村）って事は　結局→ 松谷莉奈は 告白しなかったんですか？ まあ… お互い思いやってる２人を見て→ 付け入る隙はないって 諦めたんじゃないんですかね？ 甘いな　芳賀稲子。 は？ （京子）どう？　かわいいでしょ？ 駿君。 （水嶋）今時の子が そんな純粋なわけないでしょ？ （水嶋）松谷　きっと 虎視眈々と狙ってますよ→ 渡部の事。 え？　そうなの？ その歳になると→ やっぱ　女としての感性 枯れてくるんすかね？ その歳って… 私　まだ３６なんだけど。 四捨五入したら４０でしょ？ するなよ！　四捨五入。 はい　出来ましたよ。 わたくし特製の スペシャルドリンクがね。 （野村）さあ　さあ。 〈その時　私はまだ 気づいていなかった〉 ♪♪～ 〈これまでの自分のやり方を 根底から揺るがす教育者と…〉 （吐き出す声） えーっ？　またまた　２人とも。 （野村）そんなわけないでしょ？ そんなわけが。 うまい！ 〈戦わなければならない事に〉 強烈なパンチ　食らっちゃった。 （古田修一）東大や→ 有名私立大学の合格者を 多数輩出している私塾です。 （鷹村大介）集中！ 個性というものが→ あると思うんです。 エリートを作ってるんです。 （古田翼）芳賀先生のやり方じゃ 僕は成長出来ないから。 やっぱり　あなたの考えには １ミリも共感出来ません。 ハガネ先生のバッグと…。 ホイッスル。

もやしもん＃08

1 （オリゼー）かもすぞ～！　ヤッホー。 （アナウンス） 農志会より　お知らせです。→ ことしは ダイズが　豊作でしたので→ 収穫祭で　利用可能な出店者は→ 申し出てください。 （アナウンス）繰り返します。　ことしはダイズが豊作でしたので→ 収穫祭で　利用可能な出店者は 申し出てください。 （アナウンス） 農志会より　お知らせです。→ ことしはダイズが 豊作でしたので…。 （沢木）収穫祭？ （樹）うちも出すよ。　屋台。 へ？ （樹）大豊作だ。　山田錦…　ああ…。 あー　あー！　危ない　危ない！ （長谷川）先生　大丈夫ですか！？ （長谷川）ほら！　代わって！ はい！ （樹）３６０ｋｇ…。 うわっ。 しっかり。 《長谷川さん。 ありがとうございます》 《色々　教えてください》 《ごめんね。　沢木》 どーした　直保？ （オリゼー）何　照れてんだよー。 うっせえな　お前ら。 ヒューヒュー！ これ　どこに運ぶんですか？ 向こう！ 秋なのに　春だねぇ。 ウフフフ…。 ・～ （菌たち）大収穫だー！ （樹）というわけで　わが発酵蔵も→ 収穫祭に向かって 盛り上がっていこうと思うんで→ まっ　よろしく。 （一同）はい。 （長谷川）発酵蔵で造った 発酵食品ならびに→ 酒類を販売しようと思うんで しっかり働くように。 （一同）はーい。 （美里）ってことは　堂々と酒造って金もうけできるってことやな。 （川浜）そりゃいい！ 日本酒造るぞ　日本酒！ （長谷川）収穫祭まで あと１週間しかないのに→ 間に合うわけないでしょ。 それに　出店の売り上げの全てを→ 今後の発酵蔵の 運営資金に充てるから。 （美里）うええ…。 （川浜）そういうことか。 （及川）でも何か 屋台出したり　物売ったり→ 文化祭みたいで　楽しそう！ （武藤）お祭りだからね 収穫祭は。→ ライブがあったり。 ミスコンがあったり。→ 毎年　盛り上がってるよ！ へぇ～　楽しそうですね。 （川浜）うっせえな…。 （クリソゲヌム）子供かって～の。 （オリゼー）ヘタレ直保～。 うっせえな！！ 誰に言ってんだ　お前。 （美里）先輩なめてんのかこの野郎。 先輩！ うっせえな！ では　詳細は また　あらためて　知らせます。 今日のところは　解散。 （武藤・及川）はーい。 （ニガー）遥隊長のために 頑張るぞ～。 いよいよ出番だな。 （ニガー）かもすぞ～。 （長谷川）ほら。　授業でしょ。 さっさと行く！ はい！ （及川）長谷川さん 何だか　張り切ってたね。 ホントに始めるんだ　発酵蔵。 うん。 樹先生の悲願らしいからな。 （美里・川浜）ヒヒヒヒ…！ 沢木！ （美里）ちょい待ち！ 戻れ～。 （美里・川浜）ヒヒヒヒ…！ ちと手伝ってほしいことが あるんや。 何　悪い話じゃない。 思いっ切り　悪い顔してますよ。 何？　何？ （川浜）悪いな　女人禁制なんだ。 （美里・川浜）ヒー　ヒヒヒヒ…。 悪い予感がするな。 うわ～！ 悪い顔。 あの…　まさか　また 野菜泥棒とか→ しょうもないことを たくらんでるんじゃ…。 人聞きの悪いこと言うなや。 これも生活のためや。 見つかったら　せっかくの もうけ話が　水の泡だ！ やっぱ　しょうもないことか…。 （美里）川浜　これか？ （川浜）ああ　間違いない。 何ですか？　これ。 マゲイという リュウゼツランの一種だ。 これでプルケを造って　収穫祭で ひともうけしようと思ってな。 プルケ？ オーラ　アミーゴ！ プルケとは　メキシコや中央アメリカで 造られる　伝統的な酒で→ マゲイという植物の汁を 発酵させて造りまーす。 かもすぞ～！ ちょっと独特の風味が 癖になるかも！ （菌たち）サルー！ （オリゼー）サルー。　ヤッホー。 （学生）収穫祭まで　頑張ります。 授業も出ないで 美里さんたちと何やってたの？ うーん　まあ 収穫祭の準備みたいな…。 へえ　先輩たちも　意外と真面目に 取り組んでるんだね。 うん…　まあね…。 （オリゼー）直保　泥棒してた。 よしっ！ （どよめき） 蛍。 目立つよねー　やっぱ。 （蛍）おはよ。 おはよう。 頑張るね　僕も。 （及川）頑張るって　何を？ 実は　正式に発酵蔵の お手伝いをすることになって。 長谷川さんに言われたんだ。 《学生してられるうちに やりたいこと　やっとかないと→ 後で　後悔するわよ》 （蛍）…だって。 結城君は　やりたいこと→ じゅうぶん やってるように見えるけど…。 うん…。 まあね。 だけど　この格好は　あくまで→ これまでの自分という殻を破る 一つの手段でしかないから。 一つじゃねえだろ…。 わたしは　てっきり→ 沢木君のことが好きだから 女の子になったのかと思ってた。 はっきり言うよね　及川さんて。 否定しろよ。 とにかく頑張ろうね　発酵蔵。 無視かあ？ あっ　そうそうそう 長谷川さんが→ 授業終わったら研究室に来てだって。じゃあ。　おいしかった…。 どうすんの？　結城君のこと。 え？　どうするも何も…。 わたしは反対しないよ。 そりゃまだ　抵抗はあるけど…。 でも　菌が見えるって言ってる 沢木君より→ 男同士の恋愛の方が まだ信じられるし。 （オリゼー）直保の相手を してくれるなんて　いい子だぞ。 （オリゼーたち）男でも！　男でも！ （長谷川）それじゃ　わが発酵蔵の 出店計画を発表します。 収穫祭までの１週間 このメニューをスタンバイして。 がっつり売り上げを 立てるつもりなんで→ 各自　しっかり働くように。 （４人）はーい！ そこの　バカ２人。 （川浜）バカ言うな　バカ！ プルケとやらは　ホントに 任せていいんでしょうね？ 任せとけ。　原価は安いわ 簡単に造れる　酒だわで→ ばっちり　売り上げに 貢献してみせる！ しっかり頼んだわよ。 わたしも頑張るから。 （美里・川浜）おう。 （長谷川）それじゃあ　女子は→ わたしについてきて！ 味噌とか　しょうゆとか→ 今あるものを 売り物用に仕上げないと。 よーし　遥隊長に続けー！ （及川・蛍・沢木）はーい！ 長谷川に頼まれたぞ…。 あした　雪でも 降らなけりゃいいがな。 みんな　問題ないわね？ 隊長！　味噌なんですが ５００ｇ　幾らで売りましょうか？ そうね　いくら無農薬の スペシャルな味噌とはいえ→ スーパーより高くちゃ意味ないし。１００円てとこかしら。 了解であります！ 隊長　ヨーグルトのパッケージ こんなのにしてみました。 いいじゃない。　完ぺき。 （及川）光栄であります！ 納豆を　わらで包んでみました。 （長谷川）いい感じ！ そっちは　どう？ 今　全速で　かもしてま～す。 デブとヒゲの首尾は？ 問題ない。 （美里）ちゃんとやっとる。 （長谷川）よろしい。 先生　順調です。 うん。　実にいいチームワークだ。 ホッホッホ…。 （及川）長谷川さんも あんなふうに笑うんですね。 あー　ああ見えて　なかなか カワイイ人だよ　隊長は。 （美里）俺は　悪魔の顔も 知ってるけどな。 （川浜）まあ　でも　確かに→ 長谷川さんがすげえのは認めるよ。発酵に関する知識も　完ぺきだし→ 何より　あの人がいると こんな俺らでも　まとまるもんな。 （オリゼー）おお　われわれを 調べまくってるぞー。 （クリソゲヌム）ふん　新参者が。 遥に一番愛されてるのは　俺らだ。 （Ｃ・トリコイデス）何を言う！ 遥が大切にしてるのは　僕たちだ！ （クリソゲヌム）何をー！　もっかい 言ってみろ！　てか　表出ろ！ （Ｃ・トリコイデス）何言ってんの。 出られないよ。 （Ｃ・トリコイデス）僕たちだー！　遥ー！ （クリソゲヌム）俺らだー！　遥ー！ （樹）さっきは いい顔をしていたね。　うん。 え？ みんなも そう思ったんじゃないのかなぁ。 何の話ですか？ いやあ　とってもいい顔をして 笑っていた。 あんなに生意気だった　女の子が→ あんなふうに笑えるように なるなんてね…　ホッホッホ…。 （樹）《長谷川　遥ちゃんだね。 どうして食べないの？》→ 《君のお父さんの パーティーだろ？》 （長谷川）《いらない。 おいしくないんだもん》 《うーん？》 《ここのホテルが　まずいんじゃ ほかの世界では→ 君の口に合う飯は　ないねぇ。 フフフ…》 《ほかの世界なんて　知らない》 《ん？》 《わたしは　かごの鳥なの》　 《一生　かごから 出ることないから》 《でも　おなかは　すくだろう。 少しは食べないと》 《おかしいな… 気味悪くないの？》 《何がだい？》 《わたしは　かごの鳥だ なんて言う子供→ 普通　大人は気味悪がるのに》 《アハハハ》 《あいにく僕の方が　大人に 気味悪がられるのは　得意なんだ》 （樹）《ハッハッハッ…》 （樹）発酵蔵　楽しみだねぇ。 （長谷川）そうですね。 あ…。 （樹）お父上かな。 誕生日が近いんで プレゼントのことだと思います。 あ　そうだ　長谷川君。→ 買い出しついでに　イタリアのチャパタパン 買ってきてもらおうかな。 みんなも頑張ってくれてるし。 あしたの試食会に　ワインを１本 開けようと思ってね。 分かりました。 （樹）頼んだよ。 （オリゼー）＜今　熱い攻防が 繰り広げられています！＞ ＜人間の肌に取りつこうとする 雑菌たちの悪玉菌軍＞ ＜対するは　表皮常在菌たちの 善玉菌軍が→ 鉄壁の防御を張っています＞ ＜まさに人間の肌は 難攻不落の　とりでなのです＞ （Ｃ・ジフテ）いかん　退却だっ！ くそ～　わが方　総崩れではないか。 （Ａ・レータス）おかしいなー。　遥 ゆうべは　しこたま飲んでたから→ 肌荒れしてて　もっと…。 （オリゼー）こちら現場です。→ 彼らは　長谷川　遥の肌に 取りつきたい　わきが菌など→ 悪玉菌軍の猛者たち！→ まあ　善玉菌とか 悪玉菌なんて言い方→ 人間が勝手に付けたもんなので 関係ありませんけどね。 （Ｃ・ジフテ）われわれは あきらめん。　あきらめんぞぉー！ あー　すみません！ 大将の　わきが菌さん。 （Ｃ・ジフテ）その名で呼ぶな。 Ｃ・ジフテロイドと呼べ。 じゃあ　Ｃ・ジフテロイドさん。 この子に取りつくのは 無理じゃないっすかー？ （オリゼー）春に水虫にかかって以来 お肌のケアは　完ぺきですし。 （Ｃ・ジフテ）ふん。 それでも　われわれは→ 遥に取りつくんだー！ 遥　マイ　ラーブ！ （雑菌たち）マイ　ラーブ！ （Ｃ・ジフテ）遥は今　人生の岐路に 立たされ　悩んでるんだ！→ われわれが 力になってやらないと！ （オリゼー）ええ…　って言っても わきが菌でしょ。→ 力になったら　においません？ （Ｃ・ジフテ）うるさい　うるさーい。 遥のわきがは　いいにおいなんだ！（オリゼー）えー！？ （雑菌たち）退避！　退避！ （オリゼー）以上　現場でした。 （Ｃ・ジフテ）うわあ～。 はい。 （長谷川の父） 遥　誕生日おめでとう。 （長谷川の父）約束どおり 今日の夜→ 大学へ迎えの車を出すから 荷物を　まとめておきなさい。 あの　そのことなんですが→ やっぱり　収穫祭まで 待ってもらえないでしょうか。 約束だったはずだろう！→ くだらん　お遊びは ２４歳の誕生日までと。 だいたい　今のまま 大学に残ったところで→ お前に　何ができるというんだ？ 樹教授のような 権威になれるわけでもないだろう。 教授には わたしから　連絡を入れておく。 待ってください！ 先生には　自分から伝えます。 もう子供じゃありませんから。 （及川）これなら　売れそうですね。 長谷川さん　遅いですね。 （武藤）ん～。　ちゃんと時間 連絡しといたんだけどなー。 イタリアのチャパタパンが 見つからないのかな？ チャパタパン？ うん。　試食会で頑張ってくれた みんなと→ 収穫祭の前祝いに ワインを開けようってね。 ・～ （長谷川）何？　これ。 ・～ ホントにバカなんだから。 ・（足音） （蛍）こんにちは。 （長谷川）あら…。 そろそろ　試食会の時間なんじゃ？ そうね。 あなたこそ　行かなくていいの？ ちょっと　日本酒が気になって。 さすが　酒蔵の跡取り息子。 あっ　娘か。 小さな蔵ですけど 父たちの　自慢の日本酒なんです。 だからかな　僕も負けないように 頑張りたいなって。 迷惑じゃなければ 教えてほしいんだけど→ どうして突然 女の子になってみたりしたわけ？ （蛍）何ていうか 僕も生まれる前は→ アメリカ大統領にも ローマ教皇にも→ 何にだって　なれる可能性が あったんじゃないかなって。 （長谷川）え？ （蛍）その中から　僕が選んだのは 結城酒蔵の一人息子で…。 （長谷川）人生とは　選択で→ 選択とは ほかの可能性を捨てること。 でも　それって 選択をするたびに→ 自分の限界を決めてるって ことですよね。 それで　ゴスロリに？ 何か　もったいないなって 思っちゃったんです。 自分の可能性に挑戦しないまま 酒蔵の跡継ぎになるのは。 だから　一度ぐらい 別の自分になろうって。 極端ね。 かもしれません。 でも　これぐらいしないと 変われそうもなかったんで。 そっか。 ちなみに　どのくらいかかるの？ 日本酒が出来上がるまで。 （蛍）あと ２～３カ月ぐらいですかね。 （長谷川）そうか…。 わたしも飲みたかったな。 （蛍）え？ 飲兵衛とか　新人とか デブとか　ヒゲとか　ヘタレとか…。 そんなのしかいない　ゼミだけど→ なかなかのもんよね うちの発酵蔵も。 （蛍）はい。 酒造り あきらめずに頑張りなさい。 あなたは かごの中の鳥じゃないんだから。 飲めません！ 長谷川さん　発酵蔵にいたんだ？ うん。　でも 何か様子が　変だったかも…。 えー！？　えー！？　どんなふうに？ また　悪魔になってたんと 違うやろな？ えっ！？　えっ！？ いえ…。 かごの中の鳥が　どうとかって。 かごの中の鳥？ チャパタパン 今日は　無理かもしれないね。 俺　長谷川さん　呼んできます。 せっかく　準備終えたし→ やっぱ 隊長に食べてもらわないと。 （武藤）うん　うん。 （美里）そやな。　まずい言うて→ やり直しさせられんのも かなわんしな。 つうか　もう　あしただぞ　収穫祭。 うん。 （樹）間に合うか　間に合わないかは長谷川君しだいだね…。 えっ？ 今日は　長谷川　遥君 ２４歳の誕生日だ。 記念すべき日だね。 （武藤）ハハ　そうなんだ。 彼女　かねてより お父上との約束で→ ２４歳になったら　大学を辞めて→ ハァー。 いいなずけと結婚するって。 （一同）えっ！？ ・～ 長谷川さん！ 長谷川さん！ どうした？　直保。 何かあったか？　顔　真っ青だぞー。 え？ あっ　水虫菌だ。 お前ら　長谷川さん　どこ行ったか 分かるか？ （白癬菌）行っちゃったー。 （白癬菌）遥～。 （白癬菌たち）遥～　遥～。 カムバック。　遥～。 何でだよ　長谷川さん。 （男性）お嬢さま ご結婚おめでとうございます。 （大道寺）本当に よろしいのですか？ もともと　決まってたことだもの。 大学　辞めるなんて　そんな…。 ・～

フランケンシュタインの恋＃04

1 (津軽継実) もし このキノコが あなたの心だとしたら➡ あなたは➡ 人間に恋をしてもいいと思います｡ 人間と➡ 一緒に生きてもいいと思います｡ その心が あなたには あると思います｡ だから➡ いろいろ問題は あると思いますが…｡ 一緒に➡ 生きてみませんか？ 私と一緒に➡ 人間の世界で生きて行きましょう｡ ♬～ ♬～ (保育士) 手上げてね はい！ は～い！ (稲庭聖哉の声) 研さんは？ 部屋にいないけど｡ (稲庭恵治郎) 出掛けたぞ｡ 今朝 津軽のねえちゃんが 迎えに来て｡ 津軽さんが？ 津軽さんと 人間の世界で 生きるって決めたってよ｡ 人間について教わるんだとよ どういう意味だ？ どうして俺に知らせないんだよ！ しょうがねえだろ！ 野暮はできねえよ｡ は？ 家族だからってな 俺は お前の味方してやれねえぞ？ 男だったら 押す時は押す 引く時は引く｡ そのへん わきまえないと… 価値が下がるってもんだ ハハ｡ 何 勝手に勘違いしてんだよ｡ あ 寂しかったら 美琴に付き合ってもらえよ｡ (美琴) 何 勝手に こっちに振ってんだよ｡ 室園さんは 俺と付き合ったって 退屈だよ｡ いや そんなことは…｡ ないってよ？ いちいち うるせぇんだ おめぇは｡ 気にしなくていいよ｡ だけど あの女は 研が好きなんだろ？ 好きとか嫌いとかの 問題じゃないんだよ 研さんは｡ 日曜日の公園には たくさんの いろんな人達がいます｡ (怪物) みんな 何をしているんですか？ 特に何もしてません 楽しんでるんです｡ 楽しんでる？ あれは家族｡ あちらは恋人 あそこにいるのは友達同士｡ それぞれの楽しみ方を してるんです｡ こうやって歩くことを 散歩といいます｡ 散歩？ はい｡ 散歩 楽しいです｡ フフ…｡ あっ… あれも楽しんでますか？ もちろん楽しんでます あれも散歩です｡ 犬も楽しんでるんですか？ 楽しんでると思います｡ フフ…｡ あ… あれも楽しんでますか？ 指をさしてはいけません｡ はい｡ 楽しんでると思います｡ あれは何をしているんですか？ 抱擁です｡ 抱擁？ 恋をしている人は ああやって➡ 互いを抱き締め合うんです｡ しないとダメですか？ 無理にしなくていいんです 行きましょう？ ここは駅です！ ここでも散歩をするんですか？ 散歩というより遠出？ 遠くに行く人達です 電車に乗ります｡ 電車？ 電車 乗りたいです！ 目的地を決めてから 乗ってください｡ 目的地？ 行きたい所です｡ それを決めないで乗ると 家出になります｡ 家出？ 冗談です｡ 冗談？ 笑うところです｡ ヘヘへ…｡ 何 あの人～！ やめなさい！ ウソです ウソです ウソです！ 私の冗談は 面白くないんです 笑うのをやめてください｡ はい｡ はい｡ あぁ～！ あ…！ ハハ…！ ここはショッピングセンターです｡ ここでも散歩をするんですか？ 散歩じゃなくて買い物です｡ 買い物？ 何か欲しい物があったら 言ってくださいね｡ 深志さんは働いて お給料を頂いてるので➡ 自分で買うことができます｡ わっ わっ…！ フフ… もし持ってなかったら➡ 私が貸しますので 言ってくださいね｡ あ…｡ う～ん…｡ ♬～ うん｡ やっぱり こっちが しっくり来ますね｡ はい｡ 津軽さんの欲しい物は何ですか？ ん？ (ガチャガチャを回す音) あぁ～！ ベニテングタケ！ これが 津軽さんが欲しい物ですか？ そうですよ もう一回！ (ガチャガチャを回す音) 出た！ 今度はドクツルタケ！ もう一回！ そんなに欲しいんですか？ エリンギ！ あ～ 幼菌 出るかなぁ～｡ ここは私と稲庭先輩が通う 大学です｡ 深志さんも 来たことがありますね？ はい キノコの勉強をする所です｡ はい そうですね｡ それだけじゃないですけど｡ 自転車｡ 自転車です｡ はい｡ 子供の頃 一度 ここに来たことがあるんです｡ 子供の頃？ (継実の声) 母に連れられて｡ (継実の声) 母が亡くなる 一年前のことでした｡ (津軽花澄) 継実も お地蔵さんに 手を合わせなさい｡ 母は 同じ病気の私を心配して➡ このお地蔵さんに 拝みに来たんだと思います｡ どうして ここに来たのかは 分かりませんでした｡ なぜ 大学に お地蔵さんがあるのかも｡ ただ その母との 記憶があったから➡ 私は この大学に入ろうって 思ったんです｡ すみません 訳の分からない 話をしてしまって｡ 分からなくてもいいです｡ 津軽さんの話を聞くのは 楽しいです｡ ラジオみたいに 面白くないでしょ？ ラジオよりも面白いです｡ 話が面白いって言われたのは 初めてです｡ 冗談は面白くないです｡ そこは こだわらないでください｡ 津軽さんの悩みを もっと聞きたいです｡ 悩み？ あっ 天草｡ フフっ ホントにラジオの影響を 受けてるんですね｡ 私の母方のご先祖様達は この辺りに住んでいたそうです｡ 分かります 先祖代々｡ そう｡ １２０年前の ご先祖様達も この辺りにいたそうです｡ １２０年前｡ あなたは ホントに １２０年前からいるんですか？ 森にいました｡ 一年は３６５日だと 父から教わりました｡ 父が死んでからも数えていたので 間違いありません｡ 今年は１２０年目です｡ あなたは ウソがつけない人だから➡ 信じられなくても 信じてしまいます｡ 信じて大丈夫です｡ 少し うらやましいです｡ 母と来た時 この木には花が咲いてたんです｡ (継実の声) 大学に入ってからは いつ来ても➡ この木には花が咲いていることは ないんです｡ すっかり枯れてしまったのか｡ だから… ここに来るたびに 思うんです｡ 私も もうすぐ枯れるんだって｡ ｟ブランチ病という 難病なんです｠ ｟いつ 頭の血管が破れても➡ ふさがってもおかしくない 病気なんです｠ ｟私の母も３０歳で発病して ３４歳で死にました｠ ｟私は子供の頃からです｠ ｟いつ死んでも おかしくないんです｠ もう帰りましょっか｡ ♬～ それじゃあ これで また｡ はい｡ ≪津軽さん≫ どこ行ってたの？ ちょっと散歩に｡ あとは よろしくお願いします｡ 何か元気ないな 津軽さん｡ 津軽さんは悩んでいます｡ 何を？ 稲庭先輩 お願いがあります｡ そこを開いて｡ 投稿する時は ここをクリック｡ (クリック音) そう｡ どうして そんなに 天草って人が好きなの？ 天草は僕と一緒です｡ 天草も いろんなことに悩んで➡ いろんなことを 知りたいと思っています｡ それは仕事だからね｡ 仕事だから？ そこは説明が難しいけど…｡ (牛久) 天草さん！ (天草) あぁ 牛ちゃん 俺 クビじゃなかったの？ (牛久) クビには なりません｡ 十勝さんが許してくれたわけ？ (牛久) 十勝さんじゃ ありません リスナーが天草さんに付いた➡ …ということです｡ ん？ (天草) 本当に このたびは ご迷惑をお掛けしました｡ (十勝) まぁ… お互い➡ 番組を盛り上げようと思って やったことやし｡ 俺も大人げなかったっちゅうか｡ ｟自分を怪物だと思ってる奴は➡ 人間に恋をしては いけないんですか？｠ ｟俺 そういう奴に言いたいわ！ 人を殺すかもしれんねやったら➡ 家から一歩も出るな！ 人と会うな！｠ ｟その前に お前が死ね！｠ ｟俺は 怪物こそ 人間に恋をすべきだと思います｠ でも まぁ… 俺が言うた通り➡ お前らしい言葉が聞けた っちゅうのは➡ まぁ うれしかった｡ ありがとうございます！ (湯河原) 確かに面白かったなぁ 久々にネットでも話題になったし｡ これからも あの路線で 行ったらどうだ？ あの路線？ 素人相手に 街頭で 突撃ｲﾝﾀﾋﾞｭｰするだけじゃなくて➡ 有名人にぶつかって 天草が討論ふっ掛けんだよ｡ (ﾘﾘｴ) 私は納得がいきませ～ん｡ 天草さんのしたことは ずるいと思いま～す｡ えっ ずるい？ もう ええやんか｡ だって天草さんは初めから 十勝さんをはめて➡ 暴言を引き出そうとした だけじゃないですか｡ そんなことしてないですよ｡ あの悩み相談だって 天草さんが つくったものなんでしょ？ え？ フランケンシュタインなんて ホントはいないんでしょう？ 天草さんがつくり上げた 架空の悩みでしょ｡ そうなのか？ いや 違いますって！ 投稿者は ちゃんといますよ！ 証拠はあるんですか？ ねぇ！ そうやね 証拠見せろ！ まぁ 落ち着こうよ｡ 新しいメールが来てます｡ え？ フランケンシュタインさんから｡ お礼のメールです それに 新しい悩み事も書いてあります｡ こんなの 天草さんが出す意味 ないですよね？ ホント？ 牛ちゃん｡ ええ これです｡ フランケンシュタインが➡ ｢恋をすることができました｣ って書いてます！ ≪津軽さん！≫ あっ こんにちは｡ どうしたの？ ここ２～３日 顔見なかったけど｡ すいません 少し体調崩して 大学を休んでたんです｡ 大丈夫？ はい 大丈夫です｡ もしかして 日曜日に何かあった？ ん？ いや 研さんが心配してたから｡ 深志さんが？ 津軽さんを 怒らせたんじゃないかって｡ 全然そんなんじゃないです｡ ただ➡ たまに気力をなくすんです｡ 生きる気力みたいな｡ 深志さんに悪いことをしました｡ じゃあ 研さんのせいじゃ ないんだね？ はい 深志さんはどうしてますか？ 普通にしてるよ｡ 会いたいです｡ 深志さんに謝らないと… 工務店にいますか？ 一緒に行こうか｡ はい｡ (車の走行音) ≪よし≫ ≪曲がります≫ ≪下ろします≫ ≪はい≫ ≪手 離します≫ ≪はい≫ (恵治郎) お～い みんな！ お茶にしようぜ｡ ≪はい≫ (瑠以) 今日のおやつは 私の手作りチュロスよ～｡ (宍喰) チュロス!? (米子) チュロス チュロス！ チュロスって何？ (飯塚) 知らないんすか？ あいつは どんだけモテたいんだよ｡ (米子) ありがとうございます｡ フフフ…｡ あんたもか｡ え？ 男の気 引きたいなら ちゃんとケジメつけろよ｡ あっ そうだ｡ この間は ごめんなさい｡ 津軽さんに また会えて うれしいです｡ 会えますよ いつだって｡ (ﾗｼﾞｵ)♪～ 進化論 (ﾗｼﾞｵ)♪～ 悩み事なら天草 (ﾗｼﾞｵ)♪～ 天草に訊け は～い 天草純平です｡ 今日は フランケンシュタインさん １２０歳から➡ また メールをもらいました｡ また？ また読まれた…｡ (ﾗｼﾞｵ:天草) ｢先日は 『人を殺すかもしれない怪物は➡ 人間に恋をしては いけないのでしょうか？』➡ …という悩みに答えてくださって ありがとうございます｡ おかげで僕は 恋をすることができました｣｡ (ﾗｼﾞｵ:天草) おぉ… 早いな～｡ (ﾗｼﾞｵ) ｢だけど その人は 治らない病気で悩んでいます｡ 大事な人の命を守るには どうすればいいのでしょうか？｣｡ (ﾗｼﾞｵ) 重いな～｡ 怪物は 運命の出会いを 果たしてしまったようです｡ そこで今日は➡ 『運命は自分で変えられる』 という本の著者であり➡ 国立富嶽大学の生命科学博士 鶴丸十四文教授に➡ この相談を直接 ぶつけてみたいと思いま～す！ えっ ウソでしょ!? 先生？ (ﾗｼﾞｵ:ﾉｯｸ) (ﾗｼﾞｵ:天草) 鶴丸先生 お邪魔して よろしいでしょうか？ (ﾗｼﾞｵ:鶴丸) はい どうぞ｡ 早速なんですが 恋人が 治らない病気にかかっていて➡ その人の命を守るためには どうすればいいか➡ …という相談なんですが これに答えていただけますか？ (鶴丸) それなら その人の 遺伝子に働き掛けることです｡ お～ 遺伝子に？ そうです｡ 遺伝子は 生命の設計図 生命の暗号とも呼ばれてる｡ ただ単に 親からの遺伝を 伝えるだけではないのです｡ 我々の体内にある臓器を動かし➡ 栄養を吸収して それを エネルギーに変えているのも➡ 全て遺伝子です｡ その遺伝子の働きの多くは➡ まだまだ 人の体の中で 眠っているわけです｡ 病気を治す鍵も➡ 恐らく その遺伝子が 握っていることでしょう｡ 先生 時間がないので手短に｡ 時間がないのは その相談者ではないのか？ そんな大事なことを 手短に言えるか！ (ﾗｼﾞｵ:天草) すいません つまりは どういうことでしょうか？ 相手を喜ばせることです 楽しませることです｡ (ﾗｼﾞｵ:鶴丸) そうやって相手を もっともっと長く生きたい➡ …と思うように その力を引き出すことです➡ 何よりも 相手に生きてほしいと 強く願うことです｡ (ﾗｼﾞｵ:天草) でも願えば叶うなんて 宗教の世界じゃないですか｡ (ﾗｼﾞｵ:鶴丸) 恋をすることは 願うことではないのか？ (ﾗｼﾞｵ) どうすれば 相手が笑顔になるのか➡ どうすれば相手が喜ぶのか➡ それを願う力が恋ではないか！ (ﾗｼﾞｵ) それが遺伝子の力 すなわち 生命力を引き出すんです｡ (ﾗｼﾞｵ) だから恋をしなさい｡ (ﾗｼﾞｵ) いまだ 科学的に 説明できない奇跡は起こり得る｡ 残念ながら恋の力も まだ科学的には説明できない｡ しかし 恋の力は➡ 相手の遺伝子を 変えることだってできる！ つまり 恋は 遺伝子の革命ということですか？ 手短に言えば そういうことです｡ なるほど フランケンシュタインさん➡ 相手を喜ばせて 笑顔にしてください｡ そう願う心から 革命を起こしてください｡ それでは また明日 ３時のおやつの お悩みは？ (ﾗｼﾞｵ)♪～ 天草に訊け はい ＯＫです｡ 先生 ありがとうございました｡ ﾎﾝﾄに心に響くｽﾃｷなお言葉で｡ お疲れさまでした｡ その悩み相談 ホントに来たもんだろうね？ はい え… 何で先生が そんなことを疑うんですか？ いや｡ ヤラセではありません｡ 本当に リスナーから届いたものです｡ そう｡ ラジオに聞いてくれたんですね｡ 僕は… 津軽さんが好きです｡ 津軽さんに恋をしています｡ 津軽さんも僕に恋をしてください｡ 津軽さんを喜ばせます｡ 津軽さんを笑顔にします｡ そしたら津軽さんは 長く生きられます｡ もっと一緒に散歩をしましょう｡ 一緒に楽しみましょう｡ もっと一緒に願いましょう｡ 勝手なこと言わないでください｡ あなたがどう思っても 仕方がないことです｡ 恋は 何かのために することではありません｡ 恋はできません｡ 恋人には なれません｡ ごめんなさい｡ 研さん｡ 大丈夫？ そんな気にすることないよ｡ (瑠以) 救いは この世には女なんて➡ いくらでもいるってことよ もっと周り見てみて｡ 黙ってろ 孤独な男に 他の女は救いになんねえ｡ (宍喰) 研 耐えろよ｡ (米子) 俺達がいます！ (飯塚) 一緒に汗かいて 働きましょう！ 休憩中に失恋してんじゃねえよ バカ｡ 稲庭先輩…｡ これは 何でしょう？ この気持ちは…｡ 科学的には証明できない気持ちだ｡ ガキかよ あいつは｡ まぁ そっとしといてやれ｡ (飯塚:宍喰) はい｡ う… うっ｡ うぅ… ふぅ…｡ うわっ…｡ うっ ハァ…｡ ハァ ハァ… うっ｡ ハァ ハァ…｡ うっ ふぅ ふぅ…｡ (ﾗｼﾞｵ:ﾘﾘｴ) ねぇねぇ…｡ (ﾗｼﾞｵ:十勝) はいはい？ (ﾗｼﾞｵ:ﾘﾘｴ) 今の ﾌﾗﾝｹﾝｼｭﾀｲﾝさん って 実在すんのかしら？ (ﾗｼﾞｵ:十勝) な… 何を言い出すんや 君は｡ (ﾘﾘｴ) だって いるわけないじゃ ないですか １２０歳なんて｡ 天草さんがつくった ファンタジーじゃないんですか？ ファンタジー？ リリエちゃん やめなさいよ｡ もしそうなら 立派なヤラセですよね？ 何 勝手なこと言ってんだ あの女｡ そうですよね？ うん もし そうなら そら大問題ですよ！ リスナーだましてることに なりますからね！ まぁ でも そんなことは➡ 天草君も分かってるんじゃ ないでしょうかね？ 検証してみます？ どうやって？ (ﾗｼﾞｵ:ﾘﾘｴ) もしいたら 私達に連絡してください｡ (ﾗｼﾞｵ) フランケンシュタインさん 天草さんのためにも➡ お願いしま～す！ ふざけんなよ！ ホントにあるといいなぁ 連絡｡ (牛久) え？ (ﾗｼﾞｵ:十勝) ということで フランケンシュタインさん➡ ご連絡 お待ちしております！ 大丈夫？ はい 大丈夫です｡ やっぱり 先生は➡ 分かってて お引き受けになったんですか？ 相談内容は 事前に聞いていたからね｡ 天草という名前にも 聞き覚えがあった｡ 彼の好きなラジオだと分かった｡ じゃあ どうして あんなこと おっしゃったんですか？ ｢あんなこと｣って？ 彼に｢恋をしろ｣とか｡ (鶴丸) 恋の相手は君か｡ そうかと思った｡ だったら…｡ 彼に恋をされては迷惑か？ 恋なんて できるわけないじゃないですか｡ 私達は彼を どう扱っていいかも 分からないんですよ？ 彼の体を どう扱うかは 別問題だよ｡ 彼の体がどうあれ 彼の心は 人間そのものだ｡ そうではないか？ 彼が心で思うことを 我々は規制することはできない｡ 彼の体ごと この世から➡ 抹殺でもしない限りはね｡ そんな…｡ 何も 君に 恋をしろとは言っていない｡ しかし 彼の存在を認める以上➡ その心を ぞんざいに 扱うこともできまい｡ 先生｡ ん？ これ 甘過ぎます｡ ん？ (宍喰) まぁ飲め 研！ 飲んで忘れるのが一番だ｡ (飯塚) いや よく そう言いますけどね➡ 飲めば飲むほど 忘れられない もんですよね 失恋って｡ 飯塚君 あんたは そもそも 未成年でしょうが｡ いや おふくろが それで 苦労してるの見てるんすよ｡ 大人の女は 男 酒 タバコ 甘いもの 宗教の順に➡ 溺れやすいからね！ 女をまとめんじゃねえよ｡ (宍喰) 大人の男はな 忘れるために飲むんじゃ ねえ｡ 忘れてもいいと自分に 言い聞かせるために飲むんだよ｡ つまりは意地だ｡ そうだ！ 何が意地だよ その意地が 未練になって狂気に変わんだろ｡ まず 意地を捨てて 負けを認めろっつうの｡ 僕は津軽さんに会いたいです｡ おぉ～ 研さん！ うわ～！ 酔って来たな 酔って来た こっから意地だぞ｡ 津軽さんに喜んでもらうには どうすればいいですか？ 感謝だよ 研｡ 俺も かみさんと よくケンカするけどな➡ 最後は感謝するのが一番だ｡ その人が いてくれることに｡ 感謝…？ 別れた男に感謝されてもだけどね｡ たとえ こっちの望みが 叶わなくても➡ 感謝をしていれば 相手は喜んでくれる｡ どうやって感謝するんですか？ 何か記念品をプレゼントする！ キモ｡ バカ！ 物は よせ！ 感謝はメールで伝えろ｡ すぐ消しやすいからね｡ 何もするな！ 何もしないで 相手の願いが 叶うように陰でひたすら願ってろ｡ 相手の迷惑にならないように➡ 相手の人生を応援するのが 感謝ってもんだろう｡ (飯塚) 意外にも実感こもってますね｡ よし！ 今日はな 研を励ますって意味でも…｡ (鶴丸)｟恋をすることは 願うことではないのか？｠ ｟どうすれば 相手が笑顔になるのか➡ どうすれば相手が喜ぶのか➡ それを願う力が恋ではないか！｠ 研さん まだ戻らないの？ 心配すんな みんながついてるよ｡ 別に心配はしてないよ｡ 津軽さんって病気なのか？ え？ まさか長く生きられねえとか？ そんなことないよ｡ 難しい病気なんだけど➡ 治らないと 決まったわけじゃ ない｡ お前 かあちゃんが死んだこと こだわってんのか？ は？ かあちゃんの分も 津軽さん 助けたいんじゃねえか？ 親父はいいな｡ 女にモテてか？ ハハハ…！ 単純で｡ ついて行けないよ｡ ♪～ 今も聞こえる あのおふくろの声 いいぞ！ 上げま～す！ (宍喰) 研！ 行くぞ～！ はい｡ 研さん！ (美琴) おい！ おい 大丈夫か？ (宍喰:美琴) 研！ (宍喰) 救急車！ (美琴) しっかりしろ 研！ (宍喰) 研！ (着信音) はい もしも～し｡ え!? (輪島) どこか痛いとこ ありますか？ (輪島) おかしいな… ここは？ わっ…｡ ここ｡ その傷は？ ホントに そんな高い所から 落ちたんですか？ ３階の屋上 ７～８ｍあったらしいですよ｡ すり傷も打撲も ないようですけど…｡ まぁ 念のためﾚﾝﾄｹﾞﾝとＣＴを｡ (津軽晴果) はい｡ あっ 稲庭先輩！ 教授も！ 今 連絡しようと 思ってたところです｡ 彼は どうした？ 元気です｡ えっ？ かなり高い所から落ちたんですが 全く問題ないんですよ｡ (晴果) えっ 継実？ お姉ちゃん！ あっ 先生 姉です｡ えっ？ あぁ…｡ 大学の鶴丸先生｡ (晴果) 妹が いつも お世話になっております｡ おねえさんも元気になって よかったですね｡ 命の恩人です｡ どういうこと？ あっ いや 別に何でも…｡ 失礼します｡ あぁ どうした？ みんなそろって｡ どうやら大丈夫だってよ｡ こちら あいつのお身内の方？ あぁ…｡ 大学でお世話になってる 鶴丸教授です｡ あぁ！ せがれが いつも ご面倒 掛けております｡ あぁ ｢大工は棟梁｣！ ｢調べをごろうじろ｣って落語！ (恵治郎:鶴丸) ハハハ…！ 今夜は入院したほうが いいそうです｡ ここで寝ます｡ すぐに帰ると かえって みんなが心配するからね｡ (鶴丸) それじゃあ 私はこれで｡ ありがとうございました｡ 一体 どうして落ちたんですか？ 分かりません｡ 何かを見たような…｡ 何か？ お地蔵さん｡ お地蔵さんって あの？ うん…｡ (ノック) 深志さん お熱 測ってくださいね｡ は～い！ あぁ…！ 継実と どういう関係なの？ お友達 稲庭先輩の所で働いてる人｡ うちの職人さんです｡ ねぇ 私も どっかで 会ったことあるかな この人と｡ え？ 深志 研さんと｡ どこで？ いや分かんないけど…｡ どっかで見たことあるような…｡ ｟あぁ～‼ キャ～！ キャ～！ ちょっと…！｠ あ 泥棒！ 泥棒じゃ ない！ じゃ 何？ やっぱり あんたが連れ込んでたの？ そういう関係？ 違うけど…｡ 継実…｡ (測定終了音) あ 熱｡ あっ あっ…｡ 普通の人と変わらないみたいです｡ そうだね｡ 教授 研さんの体は なぜ 無事なんでしょうか？ 恐らく細胞の再生力が 人の何倍 いや…➡ 人間を超えて高いのだろう｡ これは 津軽さんが手に入れた 深志研太郎博士の研究記録だ｡ えっ!? 深志研太郎って➡ 研さんの父だといわれる博士？ そうです｡ これによれば 博士は 永遠の命を与える菌を発見し➡ それを彼の体の中に 注入したとされている｡ 博士は その菌を使って➡ 他の細胞が再生することを 突き止めた｡ それは恐らく 菌が及ぼしたのではなく➡ その菌の中にあったＤＮＡ すなわち➡ 菌の遺伝子が及ぼしたのだ｡ 遺伝子が？ 菌の遺伝子が彼の遺伝子を 変えたにすぎない｡ それによって彼の細胞は再生した｡ そして 彼の体に 特別な能力を与えた｡ 博士が永遠の命を与える菌だと 言わざるを得なかったのは➡ 遺伝子やＤＮＡといった概念が まだなかったからだろう｡ 電子顕微鏡もなかった 時代だからね｡ 研さんの細胞は 決して死なないんですか？ 少なくとも１２０年は 経過したということだろう｡ もし そうだとしたら➡ 好きな人も みんな死んでしまって➡ それでも生き続けるだなんて➡ つらいでしょうね｡ けど それは正真正銘の 怪物だということだよ｡ そうでしょうか？ 長く生きることができない 私の体と➡ 長く生きることしかできない あの人の体は➡ どこが どう違うというんですか？ 教えてください｡ ♬～ ♬～ (ノック) (戸が開く音) 深志 研さん 検温です｡ (晴果) 失礼します｡ (晴果) 何これ!? えっ？ あっ…！ あなたは誰ですか？ 僕は… 深志 研です｡ 気味悪い…！ 妹に近づかないで！ 妹は体が弱いんです！ あなたが そばにいたら 継実は きっと死んでしまいます！ 私は妹を守る義務があるんです！ 継実に近づかないで‼ 継実に何もしないで！ ハァ ハァ…｡ ♬～ ハァ ハァ…｡ (ドアが開く音) ハァ ハァ…！ これ 私に生えてたのと 同じものじゃないの？ あの人 何か おかしいよ｡ 私が倒れた時ね 気を失う前に➡ あの人に何かされたような 気がしたの｡ お姉ちゃん｡ 深志さんは何も悪くないんだよ｡ いつも そのことで悩んでるの｡ ずっと体のことで｡ 継実…｡ 私と同じなんだよ｡ 継実！ ハァ ハァ…｡ ハァ ハァ ハァ…｡ ｟何かを見たような…｠ ｟何か？｠ ｟お地蔵さん｠ ♬～ ♬～ ≪深志さん≫ 津軽さん｡ 僕は人間に 触ってはいけないんです｡ 人間を殺してしまうかもしれない｡ だから 津軽さんには触れない｡ 何もできない｡ 抱擁もできないんです｡ だけど 僕は➡ 津軽さんに恋をしています｡ それは いけませんか？ 津軽さんと一緒にいては いけませんか？ 私には分からないんです｡ 恋をするということが｡ 人を好きになるということです｡ 一緒にいたいと思うことです｡ それだけじゃないと思います｡ それだけじゃ ない？ 相手のことだけを考えたりとか➡ 相手が これから生きて行くために 自分には何ができるかとか➡ そういうことを考えるのも 恋だと思うんです｡ だけど 私には自信がないんです｡ 恋なんて 目に見えないじゃないですか｡ どんな顕微鏡でも見えない｡ そういうことに➡ 頭を使って 振り回されたくないんです｡ 自分の人生が短いことを➡ 悲しいとも思いたくないんです｡ 私が恋をしても 仕方がないんです！ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (キノコが生える音) ハァ ハァ…｡ ハァ ハァ ハァ…｡ ハァ ハァ…｡ 津軽さんがいることに➡ 感謝しています｡ 津軽さんに喜んでもらえるように｡ 津軽さんが笑顔で もっと もっと生きられるように｡ 僕が願います｡ 津軽さんを枯らしません｡ 僕が➡ 革命を起こします｡ はい｡ ♬～ ♬～ フフっ｡ (牛久) 天草さん お連れしました｡ 富嶽大学の院生で 鶴丸教授の研究室の➡ 稲庭さんです｡ はじめまして｡ はじめまして 天草純平です｡ あの フランケンシュタインさんの 知り合いだとか｡ はい フランケンシュタインなら 家にいます｡ フフフ…｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (拍手) (浜田) これは 松本さん どういうことですか？ (松本) これは 今回 ちょっと 挑戦…｡ (笑い) 止まらんでええ｡ (方正) どうしたんですか？ 見られてるぞ 田中 見られてるぞ｡ (田中) どうしたんですか？ 何か…｡ (笑い) (田中) 元気ないことないですよ｡ いつもどおりですよ｡

孤独のグルメ４th＃07

1 《これが 春日通り… かな？》 《鳥越 鳥越… ってことは➡ 左に出て 清洲橋通りを行くのか》 《ん？ あそこを抜けて行っても 行けるよな》 《ほう…》 《ん？ 風鈴》 (風鈴の音) 《ばあちゃん家にあったな》 いらっしゃいませ｡ 金魚ってのは ｶﾈを運んでくる魚で➡ 縁起物ですから 人気がありましてね｡ ああ そうなんですか｡ 《日本ものが好きな ｱﾗﾝとｼﾞｪﾆﾌｧｰに送ってやろうか》 (風鈴の音) いい音でしょ｡ ええ｡ 《う～ん 日本の夏… だね》 ＜時間や社会にとらわれず 幸福に 空腹を満たすとき➡ つかの間 彼は➡ 自分勝手になり 自由になる｡ 誰にも邪魔されず 気を遣わず ものを食べるという➡ 孤高の行為｡ この行為こそが➡ 現代人に平等に与えられた➡ 最高の癒やしと➡ いえるのである＞ ♬～ 《この 穏やかな喧騒｡ 生き生きした商店街は 歩いているだけで➡ 元気がもらえる》 《大仏…》 《えっ そうなの？ 一番古いのは 金沢の片町商店街｡ 老舗の歴史はよく聞くけど➡ 商店街の古さなんて 考えたこともなかった》 ♬～ 《さっき渡ったのが 清洲橋通りだから》 [TEL] はい 井之頭です｡ ああ どうも｡ はい｡ 鳥越神社 はい｡ 蔵前橋通り沿い はいはい｡ わかりました わかると思います｡ はい はい｡ では失礼いたします｡ はい どうも｡ 《蔵前橋通りってどっちだ？》 《まだ 来てないみたいだな｡ そんなに焦ることもなかったか》 《ならば》 ♬～ あの 井之頭さんですか？ ちょっといいですか？ すみません｡ すみません｡ いえ｡ はいはい｡ すみませんでした｡ 突然 待ち合わせ場所 変えちゃって｡ いえいえ｡ 実家に行ってた ｶﾐさんが➡ 急に帰ってきちゃって｡ ﾊﾞﾚたら こんなになっちゃうんで｡ で ご依頼いただいたのが こちらです｡ やった！ ｽﾐｽ＆ｳｪｯｿﾝ➡ ﾓﾃﾞﾙ29 『ﾀﾞｰﾃｨﾊﾘｰ』ﾓﾃﾞﾙ！ Go ahead make my day！ Oh shit！ なんてね｡ いや～ でも 滝山ちゃんが言うとおり➡ 井之頭さんは仕事が早いですね｡ いえいえ｡ 滝山とは長いんですか？ 滝山ちゃん 毎年ここのお祭りに 神輿担ぎに来てくれるんですよ｡ 滝山が？ 今年は 終わっちゃったんですけどね｡ 来年は 井之頭さんもどうです？ 神輿？ いや～ とても とても｡ 大丈夫ですよ｡ 滝山ちゃんだって 担いでるんですから｡ それに 神輿は見るもんじゃなくて 担ぐもんですから｡ あぁ なるほど｡ あっ それじゃあ そろそろ戻らないと やばいんで｡ あ… ありがとうございました｡ あぁ すみません｡ はい｡ あそこの佐竹商店街って 日本で２番目に古いんですよね？ そうそう｡ 一番は片町商店街です 金沢の｡ ですよね｡ 寄ってきませんでした？ 書いてあったでしょ？ えぇ… いや すごいですよね｡ あぁ まあね｡ じゃあ ここで｡ どうも｡ 《にわか知識で 知ったかぶり 沈没》 《ｺﾞﾑ跳び… 打ち水…｡ いいなぁ》 《ここは？》 《おかず横丁》 《ｸﾞっとくるﾈｰﾐﾝｸﾞ》 ありがとうございました｡ ありがとうございます｡ 《ｸﾞｰな漬け物 ｹﾞｯﾄ》 《こっちは？》 いらっしゃいませ｡ あっ かぼちゃの煮物ください｡ はい｡ 《明日の朝は かぼちゃと漬け物で 炊きたての飯を食おう｡ ﾌｩ～ 最高｡ 想像したら 腹が… 減った》 《明日の朝飯よりも 今 食うべき飯だ｡ このへん きっといい店がある》 《ｽﾊﾟｹﾞｯﾃｨに… たいのｶﾌﾞﾄ焼｡ ﾒｶﾞは余計だけど えびﾌﾗｲも悪くない｡ こんな喫茶店飯も たまにはいいかも｡ あれ？》 《でもまあ 喫茶店で食おうが 居酒屋で食おうが➡ えびﾌﾗｲは えびﾌﾗｲだ｡ 下戸 ﾋﾞﾋﾞるなかれ》 いらっしゃいませ！ 《３名様 すでに ご宴会中》 いらっしゃいませ｡ お一人ですか？ はい｡ どうぞ こちらの席に｡ よかったら 後ろのﾊﾝｶﾞｰ お使いください｡ あっ はい｡ あ これ 荷物もいいですか？ どうぞ｡ 《主 猫好き》 お飲み物は どうしますか？ あ～ ｳｰﾛﾝ茶お願いします｡ はい｡ 《厚切ﾍﾞｰｺﾝ あぶりやきに➡ 京のおつけ物》 どうぞ｡ あっ はい｡ 《初心貫き えびﾌﾗｲでいくかな｡ うわっ》 《切り分けて出すんだ｡ ｲﾀﾘｱﾝｽﾀｲﾙか》 [TEL] はい｡ まめぞでございます｡ はい｡ 《生ﾊﾑに いぶりがっこに ﾌﾞﾙｰﾏｳﾝﾃﾝが共存している｡ でたらめに近いほど ｶｵｽな店》 はい｡ ７時に４名様ですね？ はい｡ お取りしておきます｡ はい｡ ありがとうございます｡ 《これは 気をつけないと 注文がとっちらかっちまうぞ》 いらっしゃいませ｡ いらっしゃいませ｡ ７時に赤松さん ４名だって｡ あっ はい｡ 《とりの唐揚げに ﾌｨｯｼｭ＆ﾁｯﾌﾟ｡ 干しﾎﾀﾙｲｶ… 干しﾎﾀﾙｲｶ？》 《名物かつｻﾝﾄﾞに 名物もずく雑炊｡ もずく？ 名物２つが全然 方向違い》 はい これﾃｰﾌﾞﾙに｡ あっ はい｡ お待たせしました｡ 刺身のもりあわせと 蒸しｷﾞｮ-ｻﾞです｡ 《刺身にｷﾞｮ-ｻﾞ》 生 おかわりください｡ あっ 僕 ﾚﾓﾝｻﾜｰ｡ 私 日本酒 のみくらべｾｯﾄ｡ はい｡ 少々 お待ちくださいね｡ 温かいうちに食べよう｡ 《本当に えびﾌﾗｲでいいのか？》 《ｻﾗﾀﾞも４種類あるし》 《うわぁ ﾊﾟｽﾀも｡ なんだろう この店｡ 中心が見えない》 《このにぎす干も気になるが➡ いや 今日は 居酒屋系に引っ張られず➡ あの生ﾊﾑを ｶﾝﾃﾗにして ｲﾀﾘｱﾝの道を進んでみよう》 《う～ん｡ うん｡ うん！》 すみません｡ お決まりですか？ はい｡ え～ 明太ｸﾘｰﾑﾊﾟｽﾀと…｡ はい｡ 生ﾊﾑ｡ 生ﾊﾑは 一人前とﾊｰﾌがありますが｡ ﾊｰﾌ？ といっても お一人様だったら 十分な量ですけどね｡ じゃあ ﾊｰﾌで｡ はい｡ それと➡ せんちゃんｻﾗﾀﾞっていうのは どういうｻﾗﾀﾞなんですか？ ｷｬﾍﾞﾂの千切りに ﾊﾟﾙﾒｻﾞﾝﾁｰｽﾞが 振りかけてありまして➡ そこに ｼｰｻﾞｰﾄﾞﾚｯｼﾝｸﾞをかけるんです｡ あ… ｷｬﾍﾞﾂの千切りで せんちゃん？ ええ｡ 《ﾅﾒとんのか》 じゃあ それもください｡ かしこまりました｡ 以上で よろしいですか？ はい｡ 少々 お待ちくださいね｡ お願いします｡ はい｡ はい｡ 《念を押されると ちょっと不安になる…》 [TEL] はい もしもし｡ 井之頭です｡ あ どうも どうも どうも｡ 先ほどは失礼いたしました｡ あ～ すみません｡ 店の中にいたものですから…｡ はいはい 大丈夫です｡ すみませんね｡ 実はまた お願いしたいものが 出てきちゃって｡ はい はい｡ ﾍﾞﾚｯﾀのＭ９ですね｡ はい はい｡ ここの かつｻﾝﾄﾞ おいしいよね｡ おいしいよね｡ 私もね お昼に よく買って帰るよ｡ やっぱり｡ おいしいよね｡ おいしいよね｡ 《そうなんだ｡ かつｻﾝﾄﾞ うまいんだ》 [TEL]もしもし？ 聞いてます？ 井之頭さん｡ もしも～し！ もしも～し！ 《ほぉ～》 お待たせしました｡ どうぞ｡ 《控えめに のっかってる ｵﾆｵﾝｽﾗｲｽが いじらしい》 《確かにかかってるな ﾊﾟﾙﾒｻﾞﾝ》 いただきます｡ 《あっ ﾊﾟﾙﾒｻﾞﾝが ちゃんといきてる》 《よい よい｡ せんちゃん よい》 お待たせしました 生ﾊﾑです｡ 《う～ん うん！》 《これは せんちゃんとの相性も いいに違いない》 《ほ～ら ﾊﾞｯﾁｼ》 お待たせしました ﾊﾟｽﾀです｡ どうぞ｡ 《ｸﾘｰﾑたっぷりだな》 《うん 明太ｸﾘｰﾑ正解》 《ﾊﾟｽﾀうまい｡ ｿｰｽに負けてない》 いらっしゃいませ｡ どうも｡ いらっしゃい｡ 今日は？ え～と ﾋﾞｰﾙと 厚切りﾍﾞｰｺﾝのあぶりやきと➡ 明太子の粕漬けと あっ あと にぎす干で｡ はい｡ 《ふ～ん やっぱ にぎす干 外せないか》 すみません｡ はい｡ 僕も にぎす干もらえますか｡ はい｡ 《いかん すてきなｶﾌｪﾗﾝﾁに➡ のんべえの手先を 乱入させてしまった》 《見た目は ｼｼｬﾓっぽいけど｡ ほほぉ こうきたか にぎす干》 うん うんうん｡ 《深海魚だけに深い味わい｡ これは これでありだ》 《しかし ﾊﾟｽﾀとの連携はｷﾞｸｼｬｸ》 《俺は いい指揮官には なれそうにない｡ しかし 男は一度 決めた注文を 後悔すべからず｡ 進撃あるのみだ》 《ﾊﾟｽﾀがあって ｻﾗﾀﾞがあって➡ 生ﾊﾑも深海魚も同居する｡ ｷﾞｮｰｻﾞもあれば えびﾌﾗｲだって食える｡ この店 まさに ひとりおかず横丁｡ 下町の商店街の食卓 そのものじゃないか》 あ～ ごちそうさ…｡ ⦅ここのかつｻﾝﾄﾞおいしいよね｡ あっ おいしいよね｡ 私もね よくお昼に買って帰る⦆ あっ すみません｡ はい｡ あのかつｻﾝﾄﾞを 持ち帰りにしてもらうことって➡ できますか？ ええ お近くですか？ いや 近くではないんですけど｡ あっ そうですか｡ いえ 作りたてがおいしいんで｡ では ６切れあるんですが➡ １つ ここで食べてみてください｡ 残りはお包みしますので｡ わかりました｡ お待たせしました かつｻﾝﾄﾞです｡ でかいですね｡ うちのちょっと大きいんですよ｡ 《うわっ うま 何これ｡ これは 確かに出来立てが命かも》 ♬～ いかがですか？ ﾌｯ… すっごくおいしいです｡ 何かｿｰｽが全然違うような感じが｡ ええ 特注で｡ そこに置いてあるのがそうです｡ ♬～ 《うわっ 甘みが全然違う》 ♬～ 《いや～ これは…》 《今まで積み上げてきた 俺のかつｻﾝﾄﾞ経験に➡ 今まったく新しい１ﾍﾟｰｼﾞが 開かれた》 《あっ これだけ 包んでもらうってのもな…》 すみません｡ はい｡ あっ じゃあ 残りお包みしますね｡ いや 全部食べちゃいそうな 勢いなんで 大丈夫です｡ あっ それは それは…｡ ありがとうございます｡ ありがとうございます｡ (笑い声) いやいやいや…｡ (笑い声) いや～ やっぱり体が大きいとね｡ ﾊﾊｯ｡ ね すごいね ﾌﾌﾌｯ…｡ 《世の中には まだまだ➡ 驚くべき店が潜んでいる｡ ごちそうさまでした》 《煮物に 漬物か｡ もう １品くらい➡ 何か 買ってくか》 ＜原作者 久住昌之が➡ 実際に お店訪問…＞ ＜商店街 おかず横丁の一角にある➡ 居酒屋まめぞ＞ これは 迷いますね｡ ＜ ご主人が おいしいと思ったものは➡ 何でも作ってしまうので 本当にﾒﾆｭｰが豊富｡ 見かねた奥さんが…＞ ﾊﾟｽﾀもあるんですね｡ 今日は…｡ ＜ ということで 奥さんの提案する➡ 飲み物に合わせた ｵｰﾀﾞｰが こちら｡ さて その飲み物は というと＞ はあ～｡ 岐阜の井戸水…｡ ちょっと いただいてみますね｡ うわ～ おいしい｡ これは まずい｡ ＜ まず出てきたのは＞ お待たせしました 干ほたるｲｶです｡ 干ほたるｲｶ こういうのがね 井戸水には ﾋﾟｯﾀﾘなんだよ｡ うん これは たまりませんね これ おいしい｡ 肝が溶けてるところが おいしいんですよね｡ あ～ そうなんだ 井戸水飲みには もう ﾌﾌﾌ｡ ＜ たまらないですよね｡ さて 続いては＞ はい お待たせいたしました 明太子の粕漬けでございます｡ 粕漬け｡ はい｡ へ～｡ 先ほど飲んでいただいた➡ 日本酒の酒粕で漬けました｡ へ～！ 俺 ちょっと 初めて 明太子の粕漬け ねぇ｡ ＜初体験 明太子の粕漬け いかが？＞ お～ おいしいですね｡ ほんと 確かに ﾏｲﾙﾄﾞになるっていうか｡ あっ これ ご飯も食べたくなる味ですね｡ ＜ と言いつつ 口に入れるのは 井戸水＞ これは おいしい｡ ＜ｱｼﾞﾌﾗｲは まめぞ特製ｿｰｽで いただきます＞ なんかこれ おいしそうな感じ 見た目 ﾋﾞﾝﾋﾞﾝですよ これ｡ ちょっと｡ うん！ おいしい｡ 軽い すごい軽い｡ ＜ ということで 奥さんが＞ うっ｡ ﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞｯﾄﾞ なんだ これは！ なんか この➡ 専用… ｱｼﾞﾌﾗｲ専用飲み物 来たようなんで｡ あっ 合いますね これ ﾍﾍﾍ｡ うん また 新たにおいしい｡ これね どうしたことでしょうね これ｡ う～ん これがあると ｱｼﾞﾌﾗｲが➡ どんどん おいしくなるっていうね｡ あ～！ これは たまりませんね｡ ＜CMのあとは 久住さんが大好きな ｿｰﾒﾝと井戸水が＞ ＜ こちらが まめぞ名物➡ これがあるっていうのは もう 心強いですよね｡ 最後に これでしめるっていう｡ あっ ほんとだ 極細ですね これね｡ ＜久住さん 大好きなそうめん いっちゃってください＞ う～ん 最高ですね｡ ありがとうございます｡ う～ん｡ ＜箸の勢いが 止まりません＞ う～ん ﾌﾌﾌ｡ おいしいですね ﾌﾌﾌﾌﾌ｡ う～ん｡ (笑い声) ＜五郎さんの食べた かつｻﾝﾄﾞは➡ 持ち帰りもできますよ 皆さんも ぜひ＞

南くんの恋人～my little lover.S01E01.JA

1 （南(みなみ) 登美子(とみこ)） でね 一寸法師は― おじいさんが作ってくれた 針の刀を腰にさして― おばあさんが用意してくれた お椀のお舟に乗って― 都へ向かったんだよ （堀切(ほりきり)ちよみ）うわあ （南 瞬一(しゅんいち)） ちっちゃいのに すげえ そうだよ 体は小さいけどねえ とっても勇敢なんだ 見てみたいなあ （登美子）ああ そう言えば この辺にも― “一寸姫伝説”っていうのが あるんだよ （ちよみ･瞬一）一寸姫？ 本当に？ 本当にいるの？ さあ どうかしらねえ （ちよみ）一寸姫さん！ （瞬一）一寸姫さん！― どこにいるんですか― どこ？ （ちよみ）一寸姫さん （瞬一）一寸姫さん どこ？ （ちよみ）こっちかな （瞬一）いたらいいね 一寸姫 絶対いるよ 例えば こういう草の影とか… （瞬一）おっ！ カエルだ― 違った こっちだ 一寸姫さん― どこかな きゃあ！ ああ ぬれちゃった ああ… あっ！ （一寸姫）ウフフフ え？ どうしたの？ 大丈夫？ 一寸姫！ え？ 一寸姫 本当にいた 私 今見ちゃった！ ほら あそこ （ちよみ）あっちからも流れてた （瞬一） こっちからはドンドンドンって （ちよみ）でもあっちは… 僕 ちよみ大好きだよ 私も！ 私も南くん 大好き じゃあさ ずっと一緒にいよっか え？ うん 一緒にいよう 約束 （２人）♪指きりげんまん 　　ウソついたら針千本 飲ます ♪指切った 南くん 見て うわあ！― すっげえ！ （ちよみ）うう… はぁ… 寝ちゃってたんだ 朝か なんで今さら あんな夢… よし！ もちっと頑張るか （ちよみ）子供の頃の記憶なんて 当てにならない― 本当の記憶と空想が ごっちゃになっていて― 自分でも何が本当だったのか よく分からない― 一寸姫は本当にいたのかな？― あの きれいな虹は 幻だったの？― そして南くんと交わした あの約束は？ ♪～ おはよう おはよう （堀切譲二(じょうじ)）おう （堀切譲二(じょうじ)）おう （堀切譲二(じょうじ)）おう （堀切律子(りつこ)） もうちょっと 何 ちよみ （堀切律子(りつこ)） もうちょっと 何 ちよみ 新年度から遅刻よ （ちよみ）今日は 野菜ジュースだけでいいや そうか 今日から新年度か 今頃はさあ ライラックが見頃なんだよな ライラックの花言葉はさあ… 何 ゆうべ遅かったの？ （堀切明日香(あすか)） どうせパソコンとかで ダンスの動画 見てたんでしょ はあ？ 違うって ちゃんと勉強してんのか？ まあ 勉強と言えば… かな？ もうちゃんとしてよね 今日から高校３年よ 受験なのよ はい はい 明日香 あなたもよ 今日から中学３年なんだからね ったくもう あなたたち２人 本当 ズボラなとこ お父さんそっくりだって 自覚してよね はいはい 分かってます ごちそうさま ちょっと！ あなたもちゃんと言ってよ ズボラですから （戸が開く音） （南 笑子(えみこ)）あっ ああ…― あっ ちよみちゃん！ これ 瞬一に 渡してもらってもいいかな？ え？ あの子 お弁当 忘れて行っちゃって ごめんね これ あ… はい （瞬一）あっ！ 弁当 はっ ごめんなさい あっ これ おばさんから！ 私… じゃあ （ちよみ）やだ！ 何？ 今の無し！ 無しだってば！ （御木本(みきもと)あみ）ちよみ？ ちょっと ちよみったら え？ あっ！ 何？ （高木(たかぎ) 陸(りく)）どうした 堀切氏 ぼ～っとして あっ ううん 何でもない っていうか 今年もあみと一緒で心強いよ 一緒の科目とったじゃん 私はね 陸と一緒なのが心強いな また宿題 見せてね お願いします！ 何 俺ってそれだけ？ （２人）そんなことないって 心こもってないな （陸）野村(のむら)さんも一緒なんだ えっ？ フェロモン？ “フェロモン”？ ああ 野村さんね （あみ）私 嫌なんだよね フェロモン見て 男子の目がハートになるの見んの （男子生徒）おい 見ろよ （男子生徒） わっ めっちゃかわいい― （男子生徒） わっ めっちゃかわいい― （男子生徒）すげえ かわいい （男子生徒）すげえ かわいい （男子生徒）すげえ かわいい うわあ やべえよな うわあ やべえよな フェロモンと同じクラスかよ むちゃくちゃラッキーじゃん！ クソ！ 付き合いたいぜ （男子生徒） やっべえ とろけそう！ 僕は違うからね （大野(おおの)）南くん― 南くん では 男子の学級委員は 南くんにお願いしたいと思います 南くん よろしくお願いしますね （女子生徒） やだ！ 南くんがやるんだったら 私 立候補しちゃおうかな （女子生徒） ウソ？ 私も南くんと一緒に 学級委員やりたいよ 相変わらずモテモテですな お宅の隣人 はっ あんな無愛想な奴… （大野） じゃあ 続いて女子ね― 野村さん― 堀切さん― いや… なんで私が？ 成績だって良くないし ほら 去年の文化祭の時さあ クレープ屋やってます いかがですか？ あっ クレープやってます！ どうですか？ だってウチのクラス 全然 売れなくて でも体育祭の時もさ （ちよみたち） 頑張れ！ ファイト！ だってあれは ウチのクラスが全然… 縁の下を全力で支える人っていう イメージができたんだろうね （大野）じゃあ これが最後ね 堀切さん ウソ！ （大野）よし！ じゃあ 女子の学級委員は 堀切さんでお願いしたいんだけど… え！ いや でも… やりなよ （ちよみ）はあ？ （大野） お願いできるかな 堀切さん？ （ちよみ）え！ あの いや でもそんな… （野村さより）あの先生！ （大野）何 野村さん？ あの 私… 学級委員 改めて立候補したいんですけど いや でも今 堀切さんが… 堀切さん 学級委員やりたい？ あ… 私は… 別に （さより）私は やりたいです 学級委員！ （瞬一）先生！ いいんじゃないですか？ やりたい人がやった方が そうね じゃあ 堀切さんも 気乗りしないみたいだし― 立候補した野村さんに お願いしようかな いいかな？ 堀切さん― 堀切さん？ はい 大丈夫です （大野） じゃあ 女子の学級委員は 野村さんに お願いしたいと思います 拍手 よろしくね 南くん よろしく （ダンス音楽） （女子生徒）ねねね あのさ もう少しで大会じゃん だから振り付けを見直したくて ２人にも協力してほしいの え？ え？ オッケー 任せて！ オッケー 任せて！ オッケー 任せて！ 本当に？― 本当に？― 本当に？― やろやろ あのね 私やりたいのがね― すごいカッコいい感じのやつ やりたくて― イエーイ！ （あみ）はあ 疲れたあ！ 大会の振り付けかあ 楽しみだね― どんな振り付けにしようかなあ （ちよみ）あのさ… （あみ）うん？ お疲れさま （ちよみ）あっ！ 陸 珍しい 今日 手芸部 こんな時間までやってたんだ え？ ああ うん まあ… どうしたの 堀切氏？ （ちよみ）うん 実はさ… え？ ウソ！ これ ちよみの憧れの ダンスチームじゃん すごい！ 私も受けたい でしょでしょ 会場は東京？ え～！ 東京かあ それは無理だな 受験生だし 第一 親が… そうなんだよ しかも合格したら ずっと 東京にいることになっちゃうし ずっと東京？ え？ 受かったらどうすんの 高校 辞めるの？ つうか親が許さないでしょ？ そうなんだけど… えっ まさか本気？ ちょっとだけ あ～ ちよみ？ この話は また今度じっくりしよ うん 私 今日ちょっと 寄らなきゃいけない所があってさ えっ あっ そうなんだ 陸 ちよみと一緒に 帰ってってくれる？ おお おお うん （あみ）じゃあ また明日！ え？ あっ ちょっと！ 堀切氏はさ 恋愛とか興味ないの？ うーん ないわけじゃないけど そういうの信じてないかな 信じてないねえ ああ じゃあ 誰かをいいなって 思ったこととかないの？ 小さい頃は あったかもしれないけど もう忘れちゃったよ フフフ そっか うん あ～… 俺 最近さあ ネット小説っていうか オンラインノベルで ちょっと気になるの見つけてさ オンラインノベル？ （陸）うん ありがと 家まで送ってくれて （陸）いえいえ あの さっき言ってた― 月兎(つきうさぎ)ミカエラの 「青いフェアリー」― 本当に面白いよ― 俺はすごく好きで… うん 好きだ！ そうなんだ じゃあ 読んでみよっかな （陸）え？ ああ… 読んでみて うん じゃあ 堀切氏！ うん？ あの… さ 何？ 何？ あっ 何でもない （ちよみ）何？ 何？ 何だよお （陸）いや 明日話すよ あっ そっか （陸）うん バイバイ （陸）バイバイ イヒ 陸 読んでくれてたんだ ブフフフ よし （キーボードを打つ音） （ちよみ）“妖精は 恋をすると魔力を失う”― “そして笑顔も失う”― “あっという間に年をとり やがて”― “二度と起き上がることのない 永い眠りに就く”― “しかし もしその恋をした相手も”― “自分に 恋をしてくれたなら”― “妖精は魔力を失った引き換えに 人間になる”― “人間は年をとるが…” （チャイム） 月兎ミカエラさん あ！ シッ 先生！ 大丈夫 大丈夫 誰にも言ってないって 絶対ですよ 別にいいと思うんだけどなあ 好きなことやってるだけなんだし 絶対ダメです もう恥ずかしくて 学校 通えなくなっちゃいます 今じゃ オンラインノベルの世界では ちょっとした有名人だもんね いやいや まぐれですって なんか ここにたまったものを わ～っと書いたら たまたま… じゃあ それってきっと 堀切さんの心の中に見える 心象風景ってやつなのね いや いや そんな大それたもんじゃ （ちよみ） えっ 何？ どうしたの まずは… これ 堀切氏に え？ 私 誕生日とかじゃないよ うん 知ってる これ この前 渡そうと思ったんだけど なんか渡せなくて… え？ 何だろう― はっ― かわいい！ え？ これ自分で作ったの？ うん すご～い！― 月とウサギ？ え？ これってもしかして… 俺 月兎ミカエラのファンだから あ… うん だから… 堀切氏に受け取ってほしい 気づいてたんだ ごめん 実は… じゃあ 昨日は気づいてて… 昨日はなんか あれ以上 言えなくて なんだ 気づいてたんだ そっかあ （あみ）何 もごもご しゃべってんのかな？ ほら もっとサクっと！ 改めて言う 俺… 大好きなんだ 月兎ミカエラが ありがと 大好きなんだ 堀切氏 堀切ちよみが！ よし！ え？ 堀切氏が今 いろいろ悩んでて 今それどころじゃないってのは 分かってる でも… それでも まずは気持ち伝えないと エントリーしないと 始まらないなって だから返事は急がない 陸 （陸）他に好きな奴が いるんだったら諦める でも そうじゃないんだったら 俺は手を挙げ続けるから ずっと いい奴だよなあ うん 話も合うし 優しいし 何よりこの私の良さに 気づいたってところで 見る目もあるわけだし うん （遠雷） （雨音） やだ！ あっ 雨！ 傘持ってこなかった ♪～ （さより）南くん 医学部 目指してるんでしょ？ （息切れ） （はなをすする音） なんで？ なんで涙が出てくるの （泣き声） （瞬一）僕 ちよみ大好きだよ 私も！ 私… 南くんのことが好きだったんだ ずっと （ちよみの泣き声） ♪～ （譲二）東京だと？ どういうこと？ ちよみ 私の憧れの“ＳＯＬＯ(ソロ)”っていう ダンスチームが ワークショップやるの いや だからって何も受験生の今 行かなくたっていいでしょ 来年だってあるでしょ 今 行きたいの 今じゃなきゃダメなの！ ダメだ ダメだ お前みたいな世間知らずが １人で東京だなんて 父さん絶対 反対だぞ お母さんも反対よ ダンスなんてね 大学 行ってからにして ダンスなんてって… 言っとくけど私 大学なんて行くつもりないよ！ （２人）は？ （ちよみ） 私 受験なんてしない！ やりたいことが はっきりしてるもん！ 大学なんて行っても 時間の無駄だもん！ （律子）何言ってるの！― せっかく そこそこいい高校 入ったっていうのに 大学 行かないでどうするの そうだ 母さんの言うとおりだぞ あとで後悔したって もう遅いんだぞ 何よ！ こんな時ばっかり ２人で結託して お母さんだって 親の言うことなんて 聞いてこなかったでしょ 何言ってるの ちよみ！ 私がデキちゃって 仕方なく結婚したんでしょ！ あっ！ （律子）お父さん！ （譲二）ちよみ！ まだ話 終わってないぞ！ （譲二）ちよみ！ まだ話 終わってないぞ！ （ドアが閉まる音） （雷鳴） （雷鳴） （堺沢(さかいざわ)）おお！ （堺沢(さかいざわ)）おお！ どんどん雷 近づいてきたなあ あれ？― ちよみちゃん？ （携帯メールの通知音） こんな状況で買い物 頼むんだ “買ってきて”って字 違うし あ？ （ため息） どうしたの？ ♪～ ねえ 南くん 医学部 目指してるんでしょ？ ああ 差し出がましいようだけど 学費どうするの？ お母さん お独りなんだよね？ ウチのお父さんに頼んでみたら？ きっと いい方法見つかるよ （ちよみ）南くん！ （瞬一）はぁ 何だよ― 何なんだよ 用がないなら行くぞ （ちよみ）なんで無視するの？ はあ？ なんで無視するのって 聞いてんの！ 別に無視なんかしてねえよ してるじゃん！ 野村さんには そんな顔しないくせに― 今までずっと一緒に 野村さんといたんだ― 付き合うの？ 野村さんと？ 何言ってんだよ お前には関係ないだろ そうだよね 私 関係ないよね ごめん いきなり はぁ… 何なんだよ だいたいお前 人の 行くとこ行くとこに現れんなよ はあ？ 私が？ （瞬一）さっきもいたろ 俺と野村が歩いてた時 あれは別にそんなんじゃ…― あれは別にそんなんじゃ…― （瞬一）まあ 別にどうでもいいけど （瞬一）まあ 別にどうでもいいけど 今だってちょっと親と ケンカして出てきただけだし ケンカ？ （ちよみ） 進学しないって言ったら― お父さんもお母さんも 怒っちゃったの！ 進学しないのか？ やりたいことあるから なのに こっちの言い分 聞きもしないで “大学 大学”って いい気なもんだな え？ ハッ 甘ったれて いい気なもんだよ なんで？ なんでそんなこと言うの？ ひどいよ！ 昔はあんなに仲良かったのに どうして！ はぁ… 決まってんだろ お前のことが嫌いになったんだよ ♪～ （雷鳴） （ちよみ）あっ！― ちょっと！― 待って― 待って！― ちょっと待って― ちょっと！― 待って！ （ちよみの息切れ） （ちよみ）あっ ここは… （雷鳴） うわ！ 全然 帰って来ないじゃないか 電話も通じないし！ おかしいわねえ あのメールで帰って来やすく なったと思ったんだけどね （譲二）よし 捜しに行くぞ いやいや ひどい雨よ いやいや ひどい雨よ （譲二）ひどい雨だから 行くんだろう （譲二）ひどい雨だから 行くんだろう うるさいなあ ２人とも （玄関のチャイム） （玄関のチャイム） おお ちよみだ！ ちよみ！― おお ちよみだ！ ちよみ！― おお 堺沢ちゃん！ ちよみちゃん 帰ってきた？ いや なんで？ ああ やっぱり いや 今 岬公園の近くで ちよみちゃん見かけてさ この人 殴ったんです ＤＶです あっ 違うだろ お前！ それで泣いてたんだ ダメだよ 逮捕しちゃうよ もうお願いします （譲二）だから そんなんじゃないでしょ！― 何言ってんだよ お前ら！ いいから案内して （譲二） ジャンパー ジャンパー！ （堺沢）おお… あ～ はいはい （明日香）お父さん 靴！ （明日香）お父さん 靴！ おお！ そうそうそう おお！ そうそうそう （律子）はい （堺沢）はい こっちこっち！ （律子）気をつけてね （雷鳴） （雷鳴） （ちよみ）うわあ！― うー 全然やまない― あっ ああ！ ちょっと待って つかない！ え？ ♪～ （瞬一）待って （南 昇(のぼる)）瞬一 （瞬一）待って 待って 瞬一！ ごめんな バッカヤロー！ （すすり泣き） 瞬一 入ろう ♪～ （ちよみ）いってきま～す （戸が開く音） （ちよみ）おはよう 決まってんだろ お前のことが嫌いになったんだよ どうしてこんな風に なっちゃったんだろ― 昔はあんなに仲が良かったのに （はなをすする音） もう一度 あの頃に戻りたい もう一度 小さくなりたい 南くん！ （雷鳴） （雷鳴） （ちよみ）なんで？ なんでそんなこと言うの？ ひどいよ！ 昔はあんなに仲良かったのに どうして！ ん… う～ん― へっ？ え？ え？ なんで？ え？ 私が一寸姫になっちゃった？ ウフフフ ハッ ハ… ハ… ウソだ― ウソだ～！ ♪～ どこだ ちよみ （ちよみ）ここだよ ここ 南くん！ （佐野元太郎(がんたろう)）ちよみちゃん 行方不明なんだって？ ここだけの話 おじさんは 駆け落ちじゃないかなあって （瞬一･ちよみ）え！ 誘拐強姦殺人事件って 思われちゃうよ （町内会の人々） ちよみちゃん！ ちよみちゃん！ （堺沢）実に怪しい人間が１人 この中にいる！ （ちよみ）このお風呂 私にジャストサイズだよ

S～最後の警官～＃02

1 <現在 日本の警察には> <Ｓと呼ばれる 特殊部隊が二つ存在する> <一つは 特殊部隊･SAT> <もう一つは 特殊班捜査係･SIT> <Ｓの任務は 通常の警察官では対応できない> <テロ事案の解決や> <誘拐 立てこもりなど> <特殊な刑事事件の捜査だ> (一號)おい 何やってんだよ 仲間 見殺しにする気かよ (銃対小隊長) おい 止まれ アヒル！ (蘇我)基地局 アヒルが一人 銃対員の盾に [TEL](中丸)落ち着け ムチャだ もつわけがない 死なせねえ 俺の目の前じゃ… ぜってえ誰も死なせねえ！ うわ～！ [TEL](中丸) ｵﾍﾟﾚｰｼｮﾝﾌﾟﾗﾝは指示どおり➡ 突入開始だ➡ [TEL]ＧＯ！ <その任務の性質上 警察組織の中で唯一 Ｓには> <犯人の命を奪ってでも 国家の治安を守ること> <制圧が許されている> [ﾃﾚﾋﾞ](霧山)2020年 東京ｵﾘﾝﾋﾟｯｸを前に この日本の治安は [ﾃﾚﾋﾞ]世界から問われています [ﾃﾚﾋﾞ]今こそ その特殊部隊の存在を [ﾃﾚﾋﾞ]見直すべきじゃないかと 私は思います (天城)そこで あなた方の出番です (香椎)まだﾁｰﾑは完成してませんよ 何より 要となる突一がまだ… この間のＳＡＴみたいに 犯人を殺すとか 俺には絶対無理なんで それは 18年前の事件の経験からか？ あんなヤツ 生かして何になる あいつが悔い改めるなんて あり得ないんだぞ！ それでも死なせたくないんだよ 犯人が死んだら 残されたもんは どこにも怒りや憎しみを ぶつけられねえんだから どけ！ うわ～ッ 俺のつくるチームは 犯人を決して殺さない つまり お前の信念と力が 最大限に発揮できるってことだ お前の手で この国の みんなの命を守ってみないか 《(棟方)お前の その手はたぶん➡》 《守るための手なんだ➡》 《大事なものを…》 《(棟方)守るための》 守る？ 俺の手で… <そんな中 警察庁に新設された 第三のＳ> <特殊急襲捜査班･ＮＰＳ> [TEL]ＧＯ！ <ＳＡＴの機動力と ＳＩＴの捜査力を併せ持つ> <少数精鋭部隊> <その最終目標は 犯人を生きたまま捕らえ> <制圧ではなく 確保すること> 警察庁特殊部隊･ＮＰＳです 皆さんを守るために参上しました <誰も死なせない> <それが 彼らＮＰＳの信念だ> (古橋)納得いかねえ 何がっすか 古橋さん 俺らの扱いだよ 何で本部が サッチョウの地下なわけ？ (梶尾)正式に動く前の 仮設本部だと思ってたのに まんま この部屋でしたね (速田)予算には限りがあるからな まずは装備を整えるのが先だ でも実は俺 結構 気に入ってんすよね ここ 何か秘密基地みたいで 小学生か おめえは またガラクタ増えてるしよ あッ だから ガラクタじゃありませんって ｢ポリスメン｣の魅力は 説明したじゃないですか つうか これ見てくださいよ 超泣けますから ｢ポリスメン｣ 第23話 痴漢冤罪怪人･オサワリン ふう～ あ～ッ うっせえ バカ さっさと片づけろって ひっでえな ほれ ちょ ちょ… あ～ッ (静江)そういう古橋さんこそ これ さっさと片づけてください (絵美)迷惑ですよ 筋トレバカは はあ？ おいおい 誰が筋トレバカだ コラ あと梶尾さん ポインター こっちの部屋に入れないで 仕事中に寄ってきて よだれまみれ にされるんですよ 主に脚を それは絵美ちゃんのこと 気に入ってるからですよ 犬は 喜んだり興奮すると よだれが たくさん出ます 何か セクハラされた気分 うん？ 梶尾さんが言うと 何かねえ 何でですか はあ～ やっぱり最高だな ﾌﾞﾙﾏﾝのﾋﾟｰﾍﾞﾘｰは …ったく 何なんだよ このチーム 突一 バカだし メンバー 変わり者ばっかりだし 婦警は ババアと小娘だし 犬は歩き回ってるし 突一 バカだし 何で俺だけ ２回言うんすか 《それでも俺は 死なせたくないんだよ！》 《犯人が死んだら》 《残されたもんは どこにも怒りや 憎しみをぶつけられねえから》 《死んだら》 《痛みは伝わらねえんだから》 (若者Ａの口笛) ≪(Ｂ)よいしょ (Ｂ)おい セッティング終わったぞ (Ａ)ＯＫ➡ じゃあ最終プレゼン 始めよっか ｢(Ａ)あとさ トカレフ？｣ ｢…も もらっちゃった｣ (Ｂ)何これ マジモン？ てか どういう人なの？ (Ａ)さあ まッ 別にいいじゃん➡ 俺も詳しく知らないし ≪(Ｂ)おお すっげえ アハハハッ (Ｃ)ハハハハ… (Ｄ)ふわ～ッ (Ｅ)おお ハハハ… (ＡとＢの笑い声) (Ａ)ほ～ら 超ご機嫌っしょ このアイテム➡ これ使って みんなで遊んじゃおうよ！ ≪(天城)NPSには期待してるんです うちの上層部も 今後は 活躍していただく機会も 増えるでしょうからね それは ＳＡＴと 協力体制の下でですか？ いや むしろＮＰＳが 先頭に立つことになるでしょうね ＳＡＴと違って 皆さんには 捜査権があるんですから 中丸隊長は そのことを？ それは 事が起きてからお話ししますよ どうぞ選んでください あッ じゃあチョコを いい選択ですねえ 確保を信条とするＮＰＳは 今の時代に即した特殊部隊です 制圧部隊であるＳＡＴよりも 重視していきたいというのが 私と 例の先生の本音でして どうぞ (バイブレーター着信) 何か気合い入んねえっすね ここんとこ事件もないし おめえ ホントバカ 俺らが出る事件が そうそう起きてたまっかよ そりゃ分かってますけど 何ていうか特殊部隊って もっと ﾋﾟｼｯとしてるｲﾒｰｼﾞあったっつうか そんなピシッとした部隊じゃ 入隊できませんよ 一號君は はあ？ 梶尾さん ひっでえ ピシッとするのは必要なときだけ それより緩んでるときこそ 守秘義務を徹底しろよ 神御蔵 それはもちろんっすよ 特殊部隊の機密保持は 一般の警察官より厳格だ 特に我々ＮＰＳは 新設の部隊だからな 家族や友人に うっかり口を滑らせました なんてことになるな… でも ぶっちゃけ苦手なんすよね 隠し事とかすんの (速田)だろうな はっきり言って ものすごく不安だ ああ いや ちょっと そんなｽﾄﾚｰﾄな言い方しなくても じゃあ そこんとこ 抜き打ちテストしよっか 一號君 君が外で 仕事のこと ベラベラしゃべってねえかどうか ついでに ﾁｰﾑの結束にもつながるﾐｯｼｮﾝです 何すか それ イッテ (ゆづる)合コン？ いや ホント頼む 実はさ 先輩から どうしても ｾｯﾃｨﾝｸﾞしろって言われちまってさ ３対３で ゆづるの職場の人と 合コン？ どうしてもお願いします ねッ お願い うん まあ 別にいいけど マジで？ 一號の職場の人 興味あるしね 異動になって どんな仕事してるか 話してくれなくなったからさ いや だって 内勤なんて 大して面白い仕事ねえしさ ふ～ん まあいいけど (秋)あら ナイスタイミング 久しぶりね 神御蔵一號 うん？ 覚えてないわけ？ 私のこと➡ さっき 香椎ちゃんにも連絡とったのに 何するんすか いきなり なかなかいい鍛え方してるわね やめてください 変なことするの ああ 彼の幼なじみだっけ？ あなたも なかなかいい… 何するんですか 何これ どういう状況？ あちゃ～ 遅かったか ダメですってば うん うん うん うまい やっぱ日本のものが一番だわ ≪(花)一號の上司ねえ➡ そういえばさ 前に来たことがあったわ 男の人のほうはでしょ あの女の人 何？ 横川秋っていえば ｻｯﾁｮｳの上役で 知らない者はいない有名人だ 迷宮入り寸前の事件を 科学捜査で次々に解決してく 凄腕のｼｰｸﾚｯﾄﾊﾝﾀｰだからな あとは かなりの変わり者ってとこも それは お互いさまでしょ ｱﾒﾘｶ長期出張から帰国して早々 何で一號に会いに来たんだよ？ どうしてもね 確かめたいことがあって お母さん 生卵 一つもらえます？ 生卵ね はい かしこまりました ゆづるちゃん どうぞ どうも はい 手出して いや でも… ほら 動かさないで そのまま ああッ ちょっと何するんすか いいから じっとしてて なッ？ 変わりもんだろ？ 変化ないわね そりゃそうでしょ 何なんすか これ そろそろ説明しろよ 香椎ちゃんにも 言ってなかったっけ？ 実はね (携帯が鳴り)ちょっとすまん もしもし ☎速田です ☎今 ｻｯﾁｮｳに入電が 何かあったか？ (消防士)慌てないで 急いで急いで ☎(速田)３分ほど前 都内で爆発が発生しました 爆発!? 爆発？ 何すか それ！ あッ… [ﾃﾚﾋﾞ](ﾘﾎﾟｰﾀｰ)爆発が起こった 品川区の現場上空の映像です [ﾃﾚﾋﾞ]ご覧のとおり 建物の６階部分が大きく破損 [ﾃﾚﾋﾞ]ただ 爆発が発生したのが 営業時間外だったため [ﾃﾚﾋﾞ]今のところ 死傷者などは確認されていません これ 現場でﾎﾟｲﾝﾀｰが発見した 携帯電話の破片です ≪(古橋)爆発は遠隔操作… か 人為的な爆発 つまり テロの可能性があるってことだ テロ!? 爆破の規模からして 爆弾の種類は恐らく Ｃ－４ ﾌﾟﾗｽﾁｯｸ爆弾の可能性が考えられる まもなく科警研からも 正式な見解が出るでしょう あと ちょっと 気になりますよね 人のいない時間帯に 爆発させたこと どういうことっすか 一號 お前 ときの声って知ってるか？ えッ？ 戦場なんかでやる エイエイオーってやつだ タイミングは 戦いが始まる前か 終わったあとの２回 このデパート爆破が 戦いの合図だと？ 勘だよ 当たってほしくはないけどな いずれにせよ 犯人の狙いは 他にある可能性が高い 全員いつでも出られるよう 本部で待機だ (一同)はい まさかな えッ 昨日 結局 あれから帰ってないってこと？ そう お店 飛び出てって それっきり メールもしたけど返事もないし➡ 何だか忙しいみたいね (ゆづる)ふ～ん そうなんだ ちょっと えッ？ 一號の野郎 この捜査に行ってんのかね？ [ﾃﾚﾋﾞ]遠隔操作による 爆発が起こった可能性も… 内勤だからデスクワークが ほとんどだって聞いてるけど [ﾃﾚﾋﾞ]目撃情報も まだ出ていないということで… こちらなんですが ただいま… どうも ありがとうございます (Ａ)皆さ～ん 本日は急きょ 閉店で～す (Ｄ)閉店で～す ≪(中丸)銀行強盗？ ☎(天城)ええ 13分前に 都内の銀行が襲撃されました➡ それも警視庁の オペレーションセンターに マル被からの堂々の犯行声明です 文言は こうです 今 日本中央銀行 新橋支店にいます➡ もちろん お金を奪うためで～す (Ｂ)早く鍵開けろ 開ける ≪(Ａ)仕事が終わるまで 警察は おとなしくしていてください でないと 昨夜と同じ爆発が 真っ昼間に 東京のあちこちで起こります 以上 ≪(天城)いや～ アハハハハ… 随分 礼儀正しい脅しですね やってることは えげつないんですが それに 手際もなかなかだ シャッターを下ろし 籠城しつつ作業中ですか ☎…のようですね そういうわけで 長官は ＳＡＴの出動を要請してます 分かりました では ただちに あッ あッ ああっと 本題は ここからなんですよ 中丸隊長 納得できません それじゃ 我々はまた リベロの立場じゃないですか (上野)二度も新設部隊の 指揮下なんて承服できませんよ (嵐)中丸隊長 自分も同意見です 我々は 命がけの訓練に耐え 警察内ですら身分を隠し 数々の難事件に対応してきました それは この国を守るため ＳＡＴが 日本警察の最後の砦だと 自負してきたからこそです！ (山中)お願いします 上に意見 具申してください お前らの気持ちは よく分かってる だが 今回の指揮は 捜査権を持つ ＮＰＳの香椎に委ねる 隊長… これは 俺の命令だ ＮＰＳが到着しました お疲れさまです ＮＰＳの神御蔵です (上野)何だ てめえ うわ～ すっげえにらんでっぞ おい 一號君 空気読まないと 仕事だ ピシッとしろ ウスッ 作戦会議は 現本で行いたいと思います ただちに出動 よろしいでしょうか？ 今回 俺達は お前の手足だ 指示どおり動く ご協力 感謝します (中丸)だが しくじったときは 早急に こちらのやり方 通させてもらうぞ 分かりました やあ ツルツルの床 滑りやすい➡ カーブ からの ダ～ッシュ➡ よいしょ イッちゃん 警察の連中 どんな手でくるかな さあね まあ どんな手で来たって大丈夫だけど ホントに？ ちゃ～んと 攻略法も用意してあるしね [TEL]警視庁から各局 新橋ＰＳ管内 [TEL]日本中央銀行 新橋支店 襲撃事件につき全体配備を発令 [TEL]以後 本事案を優先とし 通話規制をする [TEL]なおマル被は 重火器を所持 [TEL]よって各員 装備資器材を完全装着せよ 構造は鉄骨造 一部 鉄筋鉄骨コンクリート造 １階行内の監視カメラは 全部で７台 通信が途絶える前の 行内の映像です➡ 目視できるマル被の人数は ５名➡ 襲撃を目撃した 通行人の証言と一致します➡ 人質は 約25名 その人数なら １階フロアでまとめて監視だな 古橋 首尾は？ 現場付近 配備まもなく完了します ＳＡＴも所定の位置 待機中です 悠長だな お前ら ああ？ 我々なら 今ある情報だけで十分だ マル被と人質が この程度の数なら 突入して 即座に勝負を決められる マル被は 都内に複数の爆弾を仕掛けたと しくじったら 東京中… しくじりなどない！ マル被が抵抗する前に制圧する それが我々 特殊部隊の役目だ それに 爆弾はハッタリ デコイの可能性もあるのでは？ デコイかどうかは 今さら問題外です 現実に爆発が起こった以上 爆弾は あるものとして対応しなければ ならば なおのこと即座に突入すべきだ モタモタしてれば 行内にいる人質など 比較にならん数の犠牲者が出る 東京都民が人質になってんだ 何言ってんすか それじゃ 銀行の中の人質は 見殺しにしろと？ 我々SATなら 犠牲を最小限に抑え マル被を制圧できると言ってる 最小限か 申し訳ないが 私は犠牲を一人も出したくはない 爆弾の在りかを吐かせるためにも マル被は必ず確保です ≪(速田)どうした 神御蔵 いや 今 何か 音がしなかったっすか？ 音？ ボーン [TEL]警視庁から各局 [TEL]赤坂ＰＳ管内のビルで 爆発事案発生 [TEL]死傷者等は現在確認中も [TEL]日本中央銀行 新橋支店 襲撃事件の関連性が考えられる [TEL]現在 警戒中の者は不審物の 発見に留意 発見時は速報せよ ☎(天城)もしもし 香椎隊長 ☎いや～ まいりましたよ ☎つい先ほど 赤坂のビルがやられました ☎こそこそ動いていた 我々への報復 いや お仕置きですかね？ 被害は？ 幸い 死者が出たという 報告はありませんが あまり いい流れじゃありませんね (Ｅ) 今頃 警察は大騒ぎなんじゃね？ (Ａ)まあね おとなしくしてるわけ 絶対ないんだから (Ｅ)確かに いい薬になったっしょ？ (人質達の悲鳴) (犯人達の笑い声) クソッ 落ち着け 神御蔵 (中丸) 香椎 今すぐ俺に指揮権を渡せ 言ったはずです マル被は必ず確保する… その前に また爆発したらどうする もはや 一刻の猶予もない状況なんだぞ ちょっと… 大局的にみて 縛りは完璧 完全に積み状態のマル被を いつまで放置しておくつもりだ？ マル被には まだ我々が 把握してない作戦があるはず 何!? 昨夜のﾃﾞﾊﾟｰﾄ爆弾のﾃﾞﾓﾝｽﾄﾚｰｼｮﾝも 警察への犯行声明も 何らかの 意図があっての行動でしょう 今 飛び込めば 出し抜かれる可能性がありますよ なら どうする このまま指くわえて 放置する気か？ いえ 今から巣穴をのぞかせます えッ？ [TEL]ＮＰＳ およびＳＡＴに通達 [TEL]ＮＰＳ 突一が特命実施 [TEL]他隊員は 行内外の動きや音に注意 [TEL]別命の際には 即行動に移れる 準備をして現状待機 以上 あくまで偵察だからな ムチャすんじゃねえぞ 一號 分かってます 気負うな お前の後ろには俺達がいる 周囲にはＳＡＴも 控えてるからな ＮＰＳに任された事件っすよ 命張ってでも 俺達の力で とっ捕まえないと 一號 お前 携帯は？ えッ？ ああ… あのバッグの中っすけど あ… 電源入れてみろ あッ 誰からだ？ お袋と ゆづるからです もしかして合コンの返事？ そうみたいです あッ ３対３でＯＫだって その合コン 俺も参加する えッ？ (バイブレーター着信) ｢悪い!! 本っ当ごめん!!!｣ ｢うちの上司も 参加したいって言い出して｣… あのね バカ 大丈夫そうですけど よし これで 死ぬわけにはいかなくなったな 隊長… これが俺達のやり方だ そう何でも しょい込もうとするなよ ウッス よし 行くぞ [TEL](中丸) 狙撃03 待機位置から離脱し [TEL]本部に来い 了解 香椎 潜入には うちからも一人出させてもらおう 指揮権は こちらに… ≪(中丸)保険のためだ これ以上 お前達の失敗を 指をくわえて待つわけにはいかん そんな言い方… 分かりました 潜入は一號と そちらの蘇我と一緒に 早くしろ 時間が惜しい ああ？ 俺が先～ なあ 臭えよな ここ ＳＡＴってさ 臭いのとか平気なの？ 黙ってろ はい ああ もうクソッ ほら 止まるな 進め イッテ 押すなよ もう よし おおッ よし 行くぞ おい待て お前 銃はどうした？ 潜入すんのに必要ねえだろ いざというとき どうする気だ？ 撃てないのか？ 撃たねえんだよ 勝手にヘマをするのはいい だが 邪魔はするな クソ この野郎 よし (Ｃ)イッちゃん 金庫の金 全部集めたぞ 了解 でも時間かかりすぎだよ 何か大して 盛り上がりもなかったね もっとド派手にやれるかと 思ってたのに 突一 どうした 今の音は何だ？ 大丈夫です マル被が発砲した弾が すぐそばに当たりました でも こちらの存在には 気づかれてません ≪(Ａ)ド派手なのは これからだって つうか そろそろ教えてよ 逃げる方法 分かった分かった ﾖﾝ君さ ｸﾞﾗｳﾝﾄﾞ･ｾﾞﾛって知ってる？ ｸﾞﾗｳﾝﾄﾞ･ｾﾞﾛ？ ≪(Ａ)爆心地って意味なんだけど ﾆｭｰﾖｰｸの同時多発ﾃﾛのとき ぶっ潰れた建物あったじゃん あの跡地 今はそう呼んでるんだ それが？ だから あれ見て思いついたわけ すっげえ いい方法 いい方法？ グラウンド･ゼロ？ ｸﾞﾗｳﾝﾄﾞ･ｾﾞﾛ 確かにそう言ったのか？ [TEL]はい どういう意味でしょうか？ [TEL]03より基地局 どうした？ ≪(Ｅ)暴れんな 押さえてろよ 暴れんな おい ブス ブス おらおらおら マル被が女性行員を一人 連れて行こうとしています [TEL]逃走する際の人質か？ 恐らく おい ニーヤン こいつ どうする？ ゲームが簡単すぎて 物足りないから 逃げる前に ちょっと遊んでこうと思って 遊ぶって？ ウィリアムテルごっこ [TEL]03 どうした？ うひゃひゃひゃ… サンちゃん やんなよ (Ｄ)やんなよ 射撃の練習 練習 自信ねえよ (Ｄ)え～ッ？ 動かないでね 下手に動くと 弾当たって痛いからさ ≪(Ｄ)準備完了 (Ｂ)いこうか サンちゃん ほら やれって いや できねえよ 分かってる お前の好みの女だろ [TEL]03 応答しろ 現在の位置は？ 地下です マル被が遊びで人質を撃とうと 早く 早くやれっつってんだよ やれ！ 分かったよ！ (女性の泣き声) [TEL]動くな 03 すぐ外で陽動をかける (女性の泣き声) 子供のオモチャじゃねえんだぞ これは 突一が動きました 神御蔵ッ 勝手なマネを 速田 ＳＡＴ突入班と合流 指示を待ってくれ はい あの大バカ野郎 グラウンド･ゼロ… ヤバイ これ どうすんの？ どうすんの？ 来んな 待て コラッ 動くな！ ほら立て 行け ほら立て 大丈夫か？ ああ いや トカレフ対応の防弾でよかったよ もう逃げられんぞ おとなしく 両手を広げて床に伏せろ (Ａ)いやいや まだ終わってねえし [TEL]全捜査員 銀行を囲む三つのビル ５階以下を消毒せよ 大至急だ どういうことだ 香椎 爆弾が仕掛けられた本命は ここです マル被の狙いは 粉じんです Ｃ－４爆弾で 銀行周辺のビルを爆破して 粉じんによる視界不良と 混乱に乗じて 脱出するつもりです こいつを操作すれば この銀行 周辺にある爆弾が次々爆発する 人質は 銀行の中だけじゃないんだよ やってみろ 指を動かす前に お前の眉間を撃ち抜く 邪魔だ どけ おい！ どかねえよ [TEL]Ｆ班Ｂブロック １階 捜索完了 異常なし [TEL]Ｃ班Ｂブロック１階 捜索完了 異常なし ２階へ移動します [TEL]Ａ班Ａﾌﾞﾛｯｸ１階 発見 ただちにＸ班をお願いします (ほえる) おいおい 仲間割れなんかしてたら こっちは勝手に進めちゃうよ いいの？ じゃあいっちゃうよ 不審物 設置しました 隊長の読みどおりです 東側のビル からＣ－４爆弾を発見しました は～い 一つ目 あれ？ もうやめとけよ 無駄なことを はあ？ この周辺ビルのＣ－４は 全て解除した へえ～ やるねえ 警察も 日本の警察 ナメんじゃねえぞ 切り札は ちゃ～んと残しておかないとさ てめえッ まあ 逃げきれるんだったら それでもよかったんだけどさ 捕まったら だるい人生 待ってんだろうし だったら ここで全部終わり って感じでいいんじゃね？ おい どけ どけ 神御蔵！ だから どかねえっつってんだろ 貴様 いい加減にしろよ！ 俺は… 誰も死なせねえ 何？ 何言ってんの？ お前 何でだ はい？ 何で… 何のために こんなことするんだよ ハハハ… 別に ていうか ノリでやっちゃおうかな みたいな感じでさ ていうか ぶっちゃけ 社会が悪いんで～す 腐れ公務員さん➡ 大学出たって 就職先 ろくなのないし➡ くだらねえ会社の社畜とか マジ勘弁だしさ 分かんだろ？ 俺らの抱えてる えっと あれだ 閉塞感ってやつ？ そんなことのために 人を殺すのかよ もし 人を殺したら その人の周りの人間が どんだけ苦しい思いして 生きていくか お前… 考えたことねえのか！ 無駄だ そんなヤツに何を言っても そうだよ 無駄 ていうか 面倒くさいこと考えたくねえし もういいっしょ みんなで仲良く ここで死ねば 死ぬなんて 簡単に言うんじゃねえよ！ お前は生きて… 罪を償うんだ 嫌で～す バイバ～イ (銃声) 神御蔵 確保！ はい 確保～！ [TEL](速田)マル被 全て確保しました 人質も全員無事です 了解 よっしゃ お疲れさまです 一號には俺から説教しとくんで ああ 頼むよ 終わったみたいですね 秋 珍しいな 例のＮＰＳの 突一に会いに来たんです 覚えてますか？ 半年前の新宿での発砲事件➡ あのとき負傷した銃対員のことで ちょっと面白い報告があって 面白い報告？ 傷口の塞がり方が 普通じゃなかったんです 圧迫止血をやるだけじゃ 説明が できないぐらい早かったって それが何だ 人を守る手の 持ち主なのかな～って 早く ほら 離せっつってんだよ お前 ああッ 面白い研究対象でしょ？ 何だ おめえ 潜入中に勝手に飛び出しやがって 帰ったら反省文と 腕立て300回だ え～ッ ｢え～ッ｣じゃねえよ おめえ [TEL]ﾏﾙ被検挙につき 現時点をもって [TEL]全体配備を解除する [TEL]なお被疑者は５名 人質も全員保護 [TEL]死傷者はなし 以上 隊長… 撤収だ え～ッ ｢え～ッ｣じゃねえよ ホントバカ イテ～ッ 一號君 お疲れ お疲れさまで～す イッタ～ まだまだ色々ありそうね イタ～ もう イッテ… ポインター お疲れ まあまあ… ドンマイ うッ (梶尾)ジャーン ジャーン➡ ジャーン ジャーン➡ 見てください この子 かわいいでちょ？ 僕が育てた ﾎﾟｲﾝﾀｰ号っていうんですけど (麻美)ホントだ かわいい (千里)ねッ まだまだありますから 見てください ほら 梶尾 いい加減にしとけよ みんな引いてっぺよ それよりさ 俺のさ このさ 鍛え上げられた… (美香)ｳｰﾛﾝﾊｲください すいません ウーロンハイ 人数少ない上に このメンツ どういうこと？ すまん 急に一人来れなくなって そういうことじゃないでしょ 怒んな ほら ≪(天城)犯行に使われた爆弾は Ｃ－４だったと聞きましたが 日本の大学生が 簡単に手に 入れられる代物ではありません (天城) マル被はどうやって それを？ 闇サイトで 個人的にやりとりをしていた Ｍと名乗る人物から送られたと Ｍ？ この名前 実は半年前にも一度… おっと 続きはあとにしましょう 皆さん お待ちかねですので ≪大臣は ああやって おっしゃってましたけど… すごいメンバーですね ≪(天城)政界 官界 財界の そうそうたる顔ぶれでしょう？➡ 皆さん 日本警察の改革を推し進める 霧山塾の同胞です 霧山塾… もちろん ここでのことは くれぐれも内密に 先生 (霧山)うん？ 香椎隊長がお見えになりました ああ ＮＰＳの隊長の香椎です はい やあ どうも よく来てくれましたね さあさあ どうぞ どうぞ お疲れです ≪(梶尾)今度 やりにきてください かわいいんだ これ じゃあ ここら辺で 今日はお開きってことで えッ？ 何だよ 一號 夜は これからだっぺよ 今から僕とポインターの 出会いを話すんです でも私達 明日も仕事なんで ≪(梶尾)またまた またまた いらっしゃいませ (古橋)ちょっと それないでしょう おお 蘇我 何だ いきなり こんなとこ来て 失礼します ちょっと顔貸せ えッ？ えッ 俺？ 神御蔵さんの同僚の方ですよね？ お待ちしてました ４対４なので どうぞどうぞ どうぞどうぞ 蘇我 ほら 蘇我 上がれって 蘇我ちん ≪(古橋)飛び入り参加かよ？ 蘇我ちん そんな怖い顔しない ほら 蘇我ちん 座って はい おしぼりどうぞ いいから 座れ ホントに大丈夫なの？ さあ～ ｢さあ～｣じゃないでしょ 棟方ゆづるさん ですか？ そうですけど お前 何で ゆづるのこと… 本日はありがとうございました じゃあまた はい はいどうも じゃあ香椎隊長 また ふう～ マスコミの件 何とか了解 得られましたね うむ 色々 探りたかった ようだけどもね 切れ者ですからね (天城)油断してると シッポに噛みついてきます それくらいが ちょうどいいんじゃないかね 釣りをするときと同じだよ➡ 餌は 生きのいいほうがいい ああもう古橋さん (千里)２軒目 行きましょうよ 自分はもう (美香)あと１軒だけ (麻美)行きましょうよ 大丈夫です 俺達は朝まで ガッツリ付き合っちゃいますから 今日は ありがとうございました ちょっと走んないで 美香ちゃん ああ ちょっと 美香ちゃん 何でよ 今日は この辺で お疲れさまでした ちょっと～ 何か悪かったな 流れで参加させちまって ああ 俺に話 あんだよな？ 場所変えるか？ いや ここでいい 改めて一言 お前に言いたくて来た 俺は お前を 絶対に認めない はあ～ 蘇我ちん 18年前 ただ… ただ事件に 巻き込まれただけのお前は 本当に 家族を殺された人間の痛みも 犯罪者に 対する憎しみも分かってない 神御蔵 お前のきれいごとじゃ この国も 大切な人間を守ることもできない 一號 何か あの人 すっごく悲しそう あいつ…

サムライ・ハイスクール＃09

1 （望月小太郎）　＜ある時は 誰よりもヘタレな受験生＞ ＜またある時は　正義のために戦う めっぽう強いサムライ＞ ＜この　魔訶不思議　奇妙奇天烈→ 超あり得ねえ状況に 振り回されて来た俺だけど→ とうとう 真実を知る時がやって来た＞ ようやく話す時がまいったな この日を待っておったぞ。 お前に聞きたいことが 山ほどあるんだ！ あの刀はな おもちゃじゃないんだよ。 持ってるだけで犯罪なんだよ 望月は　どこ行ったんだ！ いえ!! （中村　剛）　知りません！ 知らねえわけねぇだろ！ 逃がしたのは　おめぇなんだよ。 僕は　知りません！ （刑事の声）　かばっても 君のために　ならないんだぞ。 それとも　脅されてるのか？ かばってません。 脅されてもいません！ 僕は　信じてるだけです！ 何で逃げたんだよ。 俺は　この刀を岩永の親父に 返そうとしてたんだぞ。 逃げたりしたら 余計に疑われるだろ。 甘い奴じゃ。 は？ ハメられたのが　まだ分からぬか。 あやつは　おぬしを 罪人にするために→ あえて この太刀を持たせたのじゃ。 （サムライ望月の声） 恐らく　息子の過ちを　おぬしに なすりつけようとしたのであろう。 だ　だからって 逃げてどうすんだよ？ 決まっておる　あやつの偽りを この手で暴く。 そんな…　無理だよ 認めるわけないじゃん。 ならば　成敗いたす！ せ　せ…　成敗？ わが殿の太刀と ここで巡り合うたのも縁じゃ。 ちょ　ちょ…　やめろよ！ ケッ　意気地のない奴じゃ。 え？ この三月あまり　おぬしの生きざま とくと見せてもろうたが…→ あきれ果てたぞ。 勉学に励むで　なし 何かに打ち込むでも　なし。 流れのままに　ただ 流されてるだけではないか。 そんな…。 生きることは　常に 真剣に立ち向かうことじゃ！ おぬしは　生きておらぬ。 偉そうにいうなよ　じゃあ　何で→ 流されてるだけの俺に 乗り移ったんだよ？ 聞きたいか？ 当たり前だろ！ お前は 俺の体を乗っ取ったんだぞ。 どんだけ びっくりしたと思ってんだよ！ （物音） （永沢あい） 先生　まさか学校に…。 その意気じゃ　男は愚弄されたら 怒らねばならぬ。 上から目線は　もういいよ ってか答えろよ！ 何で　４００年もの後の 俺の所に現れたんだよ？ ３９４年じゃ。 細け。 わしにとっては　一日たりとも 忘れることのできぬ→ 長く重い日々じゃった。 何でだよ　お前…　ってか　おぬし→ 俺と違って 勇敢に戦って　勇敢に死んで→ 思い残すことなんて なかったんじゃないの？ 「十七の　散る命火を　誇るべし 残る夜月よ　清らかに照れ」？ わしの辞世の句じゃ。 辞世の句？ 死に際して残す言葉じゃ。 戦に赴く前の夜に　したためた。 やるべきこと ちゃんとやったから→ 誇りある１７年の人生だった… みたいな意味？ おぬしにしては　よう読み取った！ 「おぬしにしては」？ しかし この句の通りには　行かなかった。 最後の戦　たちまち敵に囲まれ 何もできぬまま…。 殿のために　敵をけ散らし 誇り高く散りたかった。 故に　３９４年を経た今→ 同じ名を持ち　わしが死んだのと 同じ年になった→ おぬしの体を借りにまいった。 誇りを取り戻すためにの。 誇り？ おかしいか？ いや　おかしくないけど…→ 誇りなんて どうやって取り戻すのかなって。 だって　目に見えないっしょ。 あるのか　ないのか 分かんないっていうか…。 ある！ 義を通せば　誇りは取り戻せる！ いきなり「義を通す」って いわれても　俺達　今の人間には…。 ≪小太郎！≫ （サヤカ）　望月君！　いるのね？ 小太郎！　開けて！ ≪小太郎！≫ 待て！ 待てないよ　隠れれば隠れるほど ヤバイ状況になるんだから。 こういう時は　早く手を上げて 出て行かないと…。 えぇ　ちょ　ちょっと！ 貸せよ　何するつもりだよ。 望月君　何してるの？ 小太郎？ （平野）　望月が中にいるんですか？ （サヤカ）　恐らく…。 望月君　城所だ！　開けなさい！ 開けろ！　みんな捜してたんだぞ！ （新田）　おい！ 人騒がせもいいかげんにしろ！ （恭子）　どきなさい！ どいて　下がって下がって。 望月君！ （サヤカ）　望月君 それ　こっちに　よこしなさい。 （恭子）　事情は聴くわよ。 （城所）　望月　あの　それを…。 来るでない！ わしは　逃げも隠れもせぬ 誠の戦をするだけじゃ。 立ち去れ！ （恭子） ほら　立ち去って　立ち去って！ 《どうしよう　「誠の戦」って何？》 《こいつ　今までになく本気だよ 早く止めなきゃ→ とんでもないことが 起こりそうな気がする！》 ♪♪～ （望月信二）　申し訳ありません！ （望月圭子）　申し訳ありません。 あと２時間もすればね 生徒が登校して来ます。 （城所）それまでには　何としてでも 引きずり出さなければ…。 小太郎！　何してるの！ 出て来なさい！ （圭子）　≪小太郎！ いいかげんにしなさいよ！≫ こういう時はね むやみに怒鳴ってもダメなんだよ。 おかあさん落ち着いて　すいません おかあさん持っててもらって…。 小太郎　おとうさんだ おとうさんだぞ。 無事でよかった。 （信二）　≪何があったのかは 分からんが→ 先生方も心配してるぞ≫ （信二）　≪中村君は　お前のために まだ警察にいるぞ≫ （信二）　≪一刻も早く刀を返して 事情を説明しなければ→ 大変なことになるぞ≫ ご迷惑をおかけいたしたことは 謝り申す。 しかし　わしは 訳あって　こうしておる。 どんな訳があろうとも→ こんな騒ぎを起こしたら ダメだろ　お前。 ≪わしは　己のことのみを 考えておるのではない≫ じゃあ　どないせぇっちゅうんじゃ おい！　小太郎！ 岩永浩三殿をお呼びくだされ。 （信二）　何だって？ わしは この刀を盗んでなどおらぬ。 本人に　いま一度　そのことを告げ 真実をただしたい。 何いってんだ？　ねぇ そんなことできるわけないだろ。 ≪身に覚えのない 疑いを掛けられれば→ 自ら晴らさんとするのは 当たり前のことじゃ≫ （秀美） いいかげんにしなよ　望月君。 みんなを困らせといて ふざけた言葉　使って！ あと１０秒のうちに 出て来なさい！　１０。 ９。 （新田）　８…。 いや　ちょっと待ってください 私に行かせてもらえませんか？ どこへ行くと　おっしゃるんです？ 岩永さんのお宅です　こちらへ 来てくれるように頼んでみます。 おとうさんまで 何　言い出すんですか。 相手は普通の人ではありません 現役の国会議員なんですから。 関係ありません　同じ親です。 しかしですね…。 分かりました おとうさん　お願いいたします。 正気ですか？　望月は　刀を持って 立てこもってるんですよ。 そんな所へ来いなんて…。 岩永君を退学にした件は 私に責任がございます。 もし　そのことを恨んで→ 今回の事件が 起こっているのだとすれば→ 私　話をしなければなりません。 おとうさん　お願いできますか？ はい。 小太郎！　待ってろよ　お前！ （望月優奈）　お兄ちゃんは？ まだ　教室から出て来ないの。 どうして…　お兄ちゃんが バカなのは知ってたけど→ ここまで信じらんないバカだと 思わなかった。 小太郎は　バカじゃ　ないよ。 でも　このままじゃ ただのバカにされちゃうよ。 ねぇ　ちょっと手伝ってくれる？ やってみる価値は　あると思うの。 （岩永浩三）　≪学校へ来い？≫ 小太郎が… 息子がお待ちしています。 （浩三）　何を言い出すかと思えば どうかしてますよ。 学校も学校だ　見つかったんなら すぐに警察に電話すべきでしょう。 あ　あの　小太郎は… 息子は　警察に捕まるのがイヤで→ 学校に 隠れてるのではありません。 あなたに会って　自分で真実を 確かめたいといっています。 ばかばかしい　ひとのものを 盗んでおいて何が真実ですか。 息子は　盗んでないと 申しております。 じゃあ　なぜ うちの刀を持ってるんです？ それは…。 それは…。 あなたと息子さんが ご存じなんではありませんか？ 我々が仕組んだとでも？ いえ…。 確かに　仁は　間違いを起こして 退学になりました。 しかしね　今は反省して 普通に暮らしていますよ。 後ろ指をさされるようなことは ありません。 なら　それを学校に来て 話していただけませんか？ しつこい人だな。 私が　のこのこ行くわけ ないでしょう！　帰りなさい。 お願いします！ よし。 よいしょ。 ウッソ　危ないよ。 平気　すぐ下の階だから ほんの２ｍ。 でも　その下　１０ｍ…　即死だよ？ 前に　遅刻しそうになった小太郎が こっから入って来たことあるから。 ゆっくりね！　ゆっくり。 大丈夫。 永沢さん。 え？ お兄ちゃんのこと　好きなの？ こんな時に聞かないでよ。 死んだら聞けないでしょ イエス　オア　ノー？ アハっ　死なないよ。 （ノック） （ノック） 鍵　開けて。 そなたは…。 おはよう。 ありがとう。 そなたは 忍びの心得でもあるのか？ そんなことより　小太郎 早く　出ようよ。 この状況　相当マズイよ。 おなごが　しゃしゃり出る 場ではない　控えよ！ やるっきゃないか。 何じゃと？ （せき払い） そのほうこそ　控えよ。 よいか？　これは わらわの本意では　ないぞ。 《うわ！　何だよ　いきなり！》 戻って　小太郎　戻れ戻れ…！ 《そっか俺を戻そうと…　あれ？》 そなた　そんなに わしのことを好いておるのか？ え？　まんま？　元に戻んないの？ 今は戦の最中じゃ。 控えよ。 分かった…。 《お～わ～！　やめて！ ホントの俺の時にしてよ！》 《恥ずかしながら 望月小太郎　１７歳→ これが　ファーストキスなんだよ～！》 永沢…。 小太郎だよね？ ああ。 はぁ…　よかった。 もう１回いうけど　私は　好きで したんじゃないんだからね。 いつもの小太郎に 戻すためにしたんだから。 分かってるよ　そんなこと。 （サヤカ）　≪望月君　どうしたの？≫ 早く。 は？ 戻ったんなら　早く行こうよ。 ホント　ヤバイって 逮捕されちゃうよ。 ＜俺は思った すごく不思議だけど→ サムライ殿が 必死でやろうとしたことを→ 簡単に諦めていいのかって＞ どうしたのよ？　立てこもったのは 小太郎の意思じゃないんでしょ？ 別人格の意思なんでしょ？　ほら。 俺　待ちたい。 親父が　岩永のお父さん 連れて来るのを。 来るわけないじゃない。 早くしないと 中村が　かわいそうだよ。 中村…。 小太郎が　この刀を返さない限り→ 中村は共犯だって思われて 釈放されないんだよ。 正直に話さないと帰れないぞ。 帰りたくないのか～。 おかあさんの見舞いにも 行かなきゃいけないんだろ？ 望月は何をした？ ちゃんと話したら 帰してあげるよ。 お断りします。 望月君が　間違ったこと するはず　ありません。 （サヤカ） ≪望月君？　誰と喋ってるの？≫ （城所）　≪望月！≫ 小太郎。 あいつなら…　分かってくれる！ えっ？ ちょっと小太郎　何すんの？ 永沢　悪い　付き合ってくれ！ おぉ～！ どけ！ 望月君？ 永沢　どうして？ どけ！ どけ　どけい！ （平野）　あ～　望月！ （新田）　望月！ 近寄るでない！ あ～…。 すまん！ 小太郎!? ＜サムライ殿に　なりきったら 何か力が　わいて来た＞ お兄ちゃん！ 悪い！ 頑張れ～！ どうすんの？ ありがとう。 「ありがとう」って…。 え…。 小太郎？ （浩三）　私は　仕事に出かけます。 これ以上とどまってると→ 警備の者が 不法侵入で通報しますよ。 頭を下げたら　相手が動くと 思ったら　大間違いですよ。 まぁ　我々も票を求めて ひたすら頭を下げますがね。 なぁ。 ハハ…。 お願いします 学校へ来てください。 学校へ行くのは　私ではない 警察です。 電話をしておきました。 間もなく　あなたの息子さんは 逮捕されるでしょう。 小太郎は 間違ったことはしていません。 望月さん　あなた　ご職業は？ これだけ　厚顔無恥な方が どんな仕事をしているのか→ お聞きしたいと思いましてね。 職業は…　ありません。 営業職に就いておりましたが １か月前にリストラされました。 現在　失業中です。 フッ　なるほど。 しかし　職を失って初めて→ 私は　息子と腹を割って 話すことができました。 だから　今…。 息子を信じることができます。 （ひみこ）　何だよ　暑苦しいな。 俺　突っ走っていいのかと思って。 どこへ　つっぱらかりたいの？ こいつの持ち主の所へ。 俺をハメた奴の所へ！ 行って　どうすんだよ。 ぎ　ぎ…。 ギロチン？　銀行？ ギャル男？　ギヤマンの鐘。 大丈夫。 義を通す！ 洗脳されてね？ 「ヤベェ　サムライに乗り移られて 困る」っつってたじゃん。 え…。 メチメタ　「追っ払ってくれ」って 泣き入ってたくせに。 そうなんだけど 無視できないっていうか→ あいつの　いってること 正しいって…。 じゃ　行けばよくね？ 何　迷ってんの？ もし　途中で　あいつが 出て来たりしちゃったら…。 だって　サムライに　刀　持たせたら 相手を斬っちゃうかもしれないし。 刀は そんなに安いもんじゃ　ない！ 本物の武士はね　斬る価値のある 相手しか斬らないの。 そんなんも知んねえで　サムライ殿の 代わりしようとか　なくね？ 最後のページ。 あ～…。 ((わしの辞世の句じゃ)) ((義を通せば 誇りは取り戻せる！)) あんたの義の通し方って 何なの？ 武士はね　いざ戦場に立ったら→ 自分の　やり方で戦うんだよ。 ＜俺にとっての　義の通し方…＞ 本懐　お遂げくださいませ。 （本山）　あいつ　どこ消えやがった。 おい！　待て！ やっと見つけたぞ！ 一緒に　署に来てもらう。 すいません→ 今から俺　義を通しに 行かなきゃならないんです。 義を通す？ そうか　そいつは通さねえとな よし　行って来い！ いやいやいや　行くの警察だろ！ 待て　おら！　痛って！ ＜そう…　俺が義を通すのは ここなんだ＞ お引き取りください ここは　学校です。 ここには　もう　望月はおりません。 困りますね　どうしてすぐに 通報しなかったんですか？ 学校内に　警察権力を 入れるつもりはございませんので。 （百合香） あの　コタ　何かしたんですか？ 教室に入りなさい。 （池山）　教えてよ！ 小太郎は　俺達のクラスなんだよ。 （和沙）　岩永君家の日本刀　盗んで 人　斬ったってホント？ バカなこと　いわないの。 小太郎が　そんなことするはず…。 （上田）　知ってるよ だから　気になんだろ。 （泉）　でも　逃げたんやろ？ （関原）　一体　何でだよ？ ≪教えてくれよ≫ 望月小太郎なら　ここにいます！ 小太郎。 君は　なぜ 望月のことを逃がしたんだ？ 望月君が　逃げるわけじゃないって 分かったからです。 「逃げるわけじゃ　ない」って 逃げてるでしょうが　実際に。 刀を持ってさぁ。 でも　それは 誰かを傷つけるためとか→ 誰かを 脅すためとかじゃありません。 何で　君に　そんなことが 分かるんだっつうの。 友達だからです。 どっちの望月君も→ ずっと 誰にも相手にされなかった僕に→ 初めてできた友達です。 １８年間　待っただけあった→ 最高の友達です。 さぁ　刀を渡しなさい！ 待ってください　ここは学校です！ 校内で手出しすることは 許しません！ 確保!! 待ってください！ あ　あ　あ…！ 下がって　下がって！ ５分だけ待ってください みんなに話があるんです！ 望月君…。 みんな　先生　ごめん！ こんな大事な時期に こんな騒ぎを起こしちゃって…。 でも　俺は　この刀を盗んでない！ だから これから警察に行くつもりだ。 そんで　疑いが晴れるまで→ 何日も待って ちゃんと話すつもりだ！ とりあえず　謝っちゃったほうが 早いってのは分かってる。 前の俺だったら　そうした。 けど　今回は それじゃダメなんだよ。 最後まで戦いたいんだ。 けど　俺が頑張っちゃうことで→ みんなや学校に 迷惑をかけちゃうかもしれない。 だから　先に　みんなに 謝りたかったんだ。 みんな…→ 本当に　ごめんなさい。 小太郎…。 俺　友達ができて→ そいつは　偉そうで　頑固で→ おまけに　１７歳で 死んじゃったんだけど…。 そいつに　いわれたんだ。 「お前は　生きてるのに 生きてない」って。 すっげぇ　腹が立ったけど→ ホントいうと　グサっと来たんだ。 だって　そいつに会うまでの俺は→ いつも笑って ごまかしてたから…。 「どうせ　どうせ」って 自分のこと見限ってたから。 今　俺の中には そいつに教えてもらったことが→ いっぱいあるんだ。 戦わない限り 絶対に勝てないってこと。 最後まで　諦めちゃダメってこと。 間違ってるって思ったら ちゃんと　「違う」っていうこと。 自分がイケてないのを ひとのせいにするなってこと。 生まれて来たんだったら→ とにかく　必死で 生きてみろってこと。 だから　俺は　戦うよ。 戦わしてください！ ありがとう 最後まで聞いてくれて。 みんな　ありがとう。 いってきます。 望月小太郎です　お願いします。 （岩永　仁）　待って！ 岩永…。 違う…。 俺が… 刀を望月の家の前に置きました。 退学になったのが悔しくて→ ハメようとしたんだ！ 俺が悪いんだ！ 小太郎！ （百合香）　コタ！ 小太郎！ ＜俺は　遠い世界に吸い込まれる ように眠りに落ちた＞ あぁ～～～!! え？ どこだよ？　ここ。 （サムライ望月）　何じゃ　そのザマは。 サムライ殿。 相変わらず弱い奴よ。 ごめん　おぬしの思い 果たせなかった。 いや　あれで　よい。 おぬしは　立派に戦うてくれた。 俺が？ さらばじゃ　望月小太郎殿。 え？　行っちゃうの？ 最初は　あまりの　ふがいなさに あきれて→ 何とか　おぬしをたたき直そうと 思うたが　その必要はなかった。 ようやく分かったのじゃ。 今の世にも　さまざまな戦がある。 そして　おぬしの心の中にも 立派な「剣」がある。 それは…→ おぬしが持つ 優しさ　思いやりじゃ。 心の中に　その剣を持ち続け→ これからも　立ち向かうがよい。 おぬしのような 子孫がおるということは→ わしが　あの日　戦で死んだのも ムダではなかったのかもしれん。 安心いたした！ うぅっ！ ちょっと待って　子孫って→ 俺は　おぬしの ひいひいひい孫とかってこと？ ああ　わしが死んだ時 いいなずけの腹におった子が→ おぬしの １８代前の先祖にあたるのじゃ。 えぇ… 俺と同い年で子供がいたの？ わしの時代には 珍しきことではない。 戦の前に　契りを交わしたのじゃ。 すっげぇ。 おぬしも そのくらいの甲斐性は持て。 おなごは　よきものぞ。 そんな…　俺は　まだ…。 え？ あれ？　サムライ！ サムライ!? サムライってば！ えぇ～～～!! ハッ！ ＜あれ？　ここは　どこ？＞ ＜ウソ！　逆に　俺が 戦国時代に来ちゃったの!?＞ （真田）　≪小太郎≫ （真田） そなた　辞世の句は書いたか？ え…？ いかがした？ ＜マズイ！ なりきらないと殺されるかも＞ い…　いえ　まだでございます。 戦では　命を落とすやもしれん。 １７歳とはいえ→ 戦に出陣する以上 一人前の男じゃ。 辞世の句を残しておくがよい。 ハッ！ よい月じゃな　小太郎。 ＜確かにキレイ… これが戦国時代の月か＞ 小太郎様。 ご用意いたしました。 ＜誰これ！ もしかして　いいなずけ？＞ サンキュ…　じゃなくて　すまぬ。 ひとつ　お話がございます。 はい。 あ…　何じゃ？ ここに　小太郎様の やや子がおります。 どのようなことになっても 立派にお育てします。 本懐…　お遂げくださいませ。 ＜この翌日　サムライ殿は 死んじゃったわけで…＞ ＜このコ どんなに泣いたんだろう＞ ＜ヤベ　涙が出て来ちゃった＞ （圭子の声）　小太郎…。 （信二）　うぉっ！ あ…　小太郎…。 あれ？ よかった～。 俺…。 散々　暴れ回って　倒れたんだよ。 中村…　中村は!? 厳重注意で釈放だそうだ 岩永君が自主したからな。 お前も 覚悟しといたほうがいいぞ。 おとうさん　許してあげて。 え？　どうしたの？　優しいじゃん。 受験で　そんなに苦しんでるなんて 知らなかった。 おかあさん プレッシャーかけ過ぎて→ 反省してる！ 強い　強い…。 お母さん…。 ＜俺は　親父の言った通り→ 警察で　本当に 厳しく厳しく注意を受けた＞ あ…。 バカ。 殿　よくぞ　ご無事で　ヘヘ…。 あ…　アハハ…！ ＜俺は　サムライとの出来事を ２人に話した＞ 確か　ここに…。 あれ？ ないね。 おかしいな ここに書いたはずなのに…。 「十七の　散る命火を　誇るべし」。 「残る夜月よ　清らかに照れ」。 この　「夜月よ」って→ 何かを 象徴してるような気がする。 うん。 一番大切な人のこととか…。 うん。 ＜そして　俺の体には→ 二度とサムライは現れなかった＞ こんちは！ え？　あれ？ 歴史文庫じゃ　ない！ いらっしゃいませ。 あの　すいません！ はい？ ここ　こないだまで→ 『東雲歴史文庫』 っていう図書館でしたよね？ ここは １０年前からカフェですけど。 ＜夢だったの？＞ ＜それとも　母さんのいうように→ 受験のストレスが 生み出した妄想？＞ ＜そんなはずないよね サムライ殿！＞ そんな…。 鉛筆よし！　消しゴムよし！ 受験票…。 危ないよ～。 遅れるよ　センターなんだから 早く行って注意事項　読まないと。 うるせぇ　分かってるよ。 ん！ 頭悪い分　これでカバーして。 優奈…。 定期持った？　筆記用具は？ ティッシュは？ 小学生じゃないんだから。 小学生以下だから心配なんでしょ。 うるさいな　もう。 おかあさん　俺の定期は？ まだ買ってないでしょ。 いってきま～す！ 浪人は　イヤだからね！ 今日から初出社だっけ。 しばらく研修期間ですけどね。 あ…　おはようございます。 え？ 頑張って。 おぬしもな！ うん！ （本山）　あいつらの 受験の必勝祈願ですか？ 当然です。 いつも生徒のことばっかりだけど 子供　好き？ え？　まぁ…。 そっか。 それじゃあ 俺の子　つくってみないか？ ２人　３人… じゃあ　いっそ５人ぐらい！ それは　お断りします。 一刀両断… サムライかよ　ホントに。 タァ！ うわっ！ なぜだろう　気持いい！ ＜織田信長が殺されたのは 何寺？＞ ＜あれだよな… ヤッベェ　最悪　ど忘れだ＞ （サムライ望月の声）　≪たわけ！ そんなことも知らぬのか！≫ （サムライ望月の声） ≪信長公が命を落とされたのは 本能寺じゃ！≫ そうだった！ ＜やっぱり　サムライ殿は 幻じゃ　ない！＞ ＜いつも　いる　そばにいるんだ＞ ＜サムライ殿 ちょっと　俺　頑張ってみっから→ 見ててくれよな！ あ…　ご覧くだされ候＞ 誰と話してたんですか？ 自分自身です。 何じゃ？　こりゃ。 （人形：ひみこの声）　痛いって！ もっと優しくしろっつうの！ 抽選で１０名様に プレゼントいたします！ 詳しくは　番組公式ホームページを ご覧ください。 ドラマの裏側に密着した メイキング映像などが満載です！ 見たい！ 見たい！

アシガール＃07

1 これは 乱世を生きる 一人の足軽の物語である｡ その者は ただひたすら 戦国の荒れ野を駆け巡り➡ いとしい人を守り続けた｡ だが その者には秘密があった｡ その足軽とは 平成生まれの女子高生だったのだ｡ (千吉)逃げろ｡ 取締り方が お前を捕らえに来るぞ｡ (遠吉)お前に 若君かどわかしの 疑いがかかっておるのじゃ｡ (美香子)感染症ね｡ (覚)じゃあ 唯は たった一人で 戦国時代に置き去り？ (唯)<若君が帰るまで 絶対生き延びてやる！> っしゃ～！ <ここは若君と初めてのﾃﾞｰﾄで来た 思い出の場所> うわ～｡ 甘い！ 私 ここで死ぬのかな｡ <だったら最後に もう一度だけ呼ばせて> 若君様～！ (信茂)若君～！ 誰!? (信茂)お前は！ むじなか｡ じい！ 何やってんすか？ 申すまでもない｡ 若君のお姿が消えて 既に10日余り｡ もはや望みは尽きた｡ 若君の後を追うのみ｡ ここで!? うん｡ ここはのう わしが 幼き若君を 初めてお馬にお乗せし➡ お連れした場所｡ 若君お気に入りの場所じゃ｡ お気に入りの？ 私も｡ そうか｡ では そういう事で いざ！ いや 死んじゃ駄目ですよ！ こら こら！ 返せ！ 若君は帰ってきます！ 次の満月には必ず！ 満月!? 若君は 絶対生きてる！ 誰よりも じいが それを 信じなくて どうするんですか！ (信近)城から追われている足軽を 屋敷内にかくまいたい!? 何を考えておいでなのです!? 父上は！ あのね この者は 皆が諦めておる 若君のご無事を➡ 一人信じておるのだ｡ 小僧のざれ言を信じるとは｡ 満月の夜に 若君がお帰りになる!? 本当だもん｡ ざれ言でも構わん｡ 父上！ どのみち わしは➡ 若君に事あらば しわ腹かっ切って 後を追う覚悟じゃ｡ ならば半月 夢を見て何が悪い！ わしは 若君の帰りを待つ｡ 話になりませんな！ 小平太！ (小平太)はっ｡ お前までもが この小僧のたわ言を 信ずるというのか!? いえ｡ なれど ７つの時より➡ 幼き若君に お仕えしてまいりました｡ 今更 ほかの主君を 持つ気にはなれませぬ｡ 小平太…｡ 分かります！ 私もです！ 初めて会った時から 若君様以外 考えられないんです！ 信じましょう！ みんなで信じて 若君を待ちましょう！ ええい もう お前は一体 何なのだ！ ああ ﾊﾟﾜﾊﾗ…｡ よさぬか！ バカ者｡ やもめの当主が 小僧相手に｡ えっ？ みっともない！ 小平太パパって 独身なの？ ３年前に 小平太の母親を亡くしての｡ やもめは関わりないでしょうが！ 見苦しゅうございます 父上！ 離せ 小平太！ 父上！ なかなか見える見える むじなが おなごに見えるぞ｡ 元から女子だっちゅうねん｡ どうじゃ？ これなら 誰にも分かるまいて｡ 満月までの間ですぞ｡ よろしいですな？ はいよ｡ (トヨ)見習いは洗い場からじゃ｡ 心して働くのじゃぞ ふく｡ しゃっ！ <とりあえず 食う寝る所はｹﾞｯﾄです> (阿湖) かめ どこじゃ？ どこにおる？ (成之)どなたじゃ？ 申し訳ありませぬ｡ 慣れぬ城で迷うておりまする｡ もしや 松丸より参られたという…｡ はい 阿湖にございます｡ それは｡ とうに 国元へ戻られたと思うたが｡ あなた様は？ 成之と申す｡ 忠清様の兄上様｡ ご無礼を致しました｡ お気になさらず｡ しかし 参られるや 許嫁が行方知れずとは…｡ 花など めでておりますゆえ 何も苦しゅうはございませぬ｡ この花は咲きませぬ｡ えっ？ 根が水に溺れたのです｡ 水を与え過ぎたまま 強い風にさらすと そうなります｡ 穏やかな日の下に戻してやれば あるいは…｡ 親元にお戻りなされ｡ 風を知らぬ愛らしい姫には それが似合いじゃ｡ よっ｡ これも｡ はい｡ う～｡ あ～ もう！ 朝から ず～っと洗ってばっか｡ 足軽の方が ずっと楽！ ふく お館様がお呼びじゃ｡ へ？ いま一度 尋ねる｡ 若君の行方に 心当たりはないと申すのだな｡ はい｡ ならば なぜ お前は あの夜 吉田城におったのじゃ？ お前の姿を 家来の幾人もが見ておる｡ それは… えっと… 聞いちゃって｡ 聞いた？ 何を？ (如古坊)では今宵 吉田城にて忠清を…｡ それは まことか!? すぐ確かめようと 走ったんですけど➡ 殴られて気ぃ失っちゃって｡ 目が覚めて 吉田城へ行ったら 若君様は襲われてて｡ こっちに戻ったら 如小坊は消えてました｡ なぜ 今まで黙っておったのじゃ！ だって うかつにしゃべって 誰かに命を狙われたら怖かったし｡ それに…｡ 成之様にまで疑いがかかってはと｡ まあ そのような｡ 如古坊は 成之様に 命じられた様子はなかったか？ それは分かりません｡ 分からぬ？ 違うとは言わぬのだな｡ 心当たりがあるのか？ 例えば…➡ 成之様が 平素と違うそぶりを 見せられたというような｡ 如古坊が どうかしたか？ (信近)遠慮はいらぬ 申してみよ｡ ありません｡ よいか｡ 今 城では 皆がお前を捜しておる｡ 捕まったら ただではすまぬ｡ 今 申した事は 誰にも漏らさず➡ このまま おとなしゅうしておるのじゃ｡ どのような事があろうとも 決して表に出るのではないぞ｡ <兄上さんに遠慮なんてした訳じゃ ないけどさ｡➡ でも…> 兄上は 幼き頃から寺に預けられ➡ 城の中だけで育った私より さまざまな事を知っておられる｡ (ため息) <あんな顔 見ちゃったら いい加減な事 言えないよ> お渡りと伺い 急ぎ山より 戻りましてございます｡ (忠高) ふと思い立ち 立ち寄ったまで｡ 苦しゅうない｡ 若君様をお捜し致しておりました｡ そうか｡ ぬしと こうして向き合うのは ぬしが城に入って以来となる｡ はっ｡ 城での暮らしはいかがじゃ？ 若君様のおかげで 心地よう｡ 花を… 立てておるそうじゃのう｡ ほかには 何もできませぬ｡ 幼き頃より 体が弱かったゆえ｡ ほう 体が｡ 病でも得てか？ 毒を 盛られました｡ 毒｡ 誰に？ さあ？ 何分 幼き頃の事ゆえ｡ それ以来 身も弱り 静かに暮らしてまいりました｡ 荒事は この身に合いませぬ｡ 若君様に 一刻も早う➡ お戻り頂きたい ゆえんにございます｡ そうか｡ いや 邪魔をしたのう｡ なるほど｡ う… あ！ よ～し 今日も ｶﾞﾝｶﾞﾝ洗っていくぞ！ ﾊﾊｯ 朝から元気がよいのう｡ <なんてったって 今夜は満月！ 若君様が戻ってくる日なのだ> ≪(騒がしい声) 何やら 表が騒がしいのう｡ 表を！ 女が役人に引かれておる！ 女？ それ 私やりましょうか？ 手配書の… 唯之助とかいう 足軽の母じゃそうな｡ 母親から 居所を 聞き出そうというのかのう｡ いたわしい｡ どんな折檻をされる事やら｡ ならぬ！ お館様の仰せじゃ！ ここから出てはならぬ！ おふくろ様！ (吉乃)唯之助の居所ならば 私は存じませぬ｡ また 先ほど 唯之助を 高山の間者と申されましたが➡ それも 何かの間違いでございましょう｡ (宇部)何だと？ 唯之助は 百姓のせがれなれど➡ 若君様のお役に立たんと 一命を賭して戦に出ました者｡ 若君に害なす企てに加担するなど 断じてありえませぬ｡ ぬ～…｡ (千吉)だよな｡ 唯之助は 若君のお馬の くつわを取り➡ 敵陣を突っ切って 助けたんだもんな｡ (伊四郎)たわけだが 若君様を 裏切るなんぞはせんやつじゃ｡ どうか いま一度 お調べのほどを｡ ええい！ 我らのお役目にまで 口を出すとは➡ 女といえども容赦はせん！ ひっ捕らえ！ (一同)はっ！ おやめ下さい！ 唯之助｡ 申し訳ございませぬ！ 止めようとしましたが どうにも足の速いやつで｡ ごめんなさい おふくろ様 私のせいで｡ たわけ！ おふくろ様…｡ せっかく逃げおおせていたものを のこのこ出てくるとは｡ そのような事をして 私が喜ぶとでもお思いか｡ いいえ｡ きっと叱られるだろうな って思いました｡ 思ったけど 黙って 隠れてるなんてできないです！ だって おふくろ様がいなかったら➡ 私… 私…｡ たわけ 人前で泣くのではない｡ ごめんなさい｡ ごめんなさい！ 唯之助｡ それでお前 今まで どこにおった？ それは あちらこちら いろいろと｡ あの… おふくろ様は どうなるのですか？ それは…｡ 案ずるな｡ 我が屋敷に留め置く｡ は… 天野様が？ 大切な証人じゃ｡ お願いします！ お前は牢じゃ｡ 明朝 皆の前で詮議を致す｡ 牢？ 明朝…｡ <今夜には 若君様が 吉田城に帰ってくるはず> あ…｡ 唯之助！ 大丈夫 おふくろ様！ 一晩の辛抱です｡ 唯之助 必ず戻ってまいります！ 早う 行かぬか！ あ うわ…｡ 入れ！ うわ ｲﾃｯ…｡ ああ 寒っ！ 一晩の辛抱｡ しゃ～｡ (小平太) なぜ 唯之助の母まで 我が家で 引き取る事になったのです？ それは まあ 何と言うか 成り行きじゃ｡ なるほど｡ 美しいおなごじゃ｡ そういう事ではござりませぬ！ 唯之助を かくまっていた事は 知れずに済みそうなのですね？ あとは お調べで 唯之助が如古坊の事を話し➡ 高山とつながる者らを 一掃できればよいのだが｡ なれば いよいよ 満月の夜に 若君のお帰りを待つばかりか｡ まだ そのようなざれ言を｡ <若君 戻ってくるよね？ 今度こそ> (尊)<姉の事を心配しながらも➡ 若君は 病から回復していました> ≪(尊)若君｡ 本 読んでたんですか？ あっ 日本史の教科書｡ (忠清)我らの名は どこにもない｡ 父上も じいも 小平太も 兄上も｡ だが 我らも確かに 生きておったのだ｡ この書物に載っている者と 同じように➡ 食らい 戦い 笑い 嘆き…｡ 何か用であったか？ ああ そうだ｡ 今日 出かけたでしょう？ 城跡へ参った｡ やっぱり｡ 門の外に 女子高生が群がってます｡ なぜじゃ？ 若君についてきたんですよ｡ なんと奇態な｡ 興味ないんですか？ 女の子に｡ そんな事はない｡ じゃあ 僕に若君の好み 言ってみて下さいよ｡ 僕が あの中から探してみますから｡ 好み…｡ 手足は 棒きれのごとく｡ 手足が棒…｡ 目と口が よう動き｡ 目と口が よく動く｡ 肌は浅黒く むじなのような…｡ ん？ まさか… お姉ちゃん？ わしは 唯ほど好もしいおなごに 会うた事がない｡ ええ～!? お前は 唯にそっくりじゃ｡ 姉上様！ 戦国の苦労が 報われるかもしれませ～ん！ (覚)お～い！ 晩ごはんだぞ｡ (美香子)最後のごはんよ｡ みんなで食べよう｡ じゃあ お元気で｡ 父上 母上 尊｡ このふたつき お世話になりもうした｡ このご恩は 忠清 生涯忘れませぬ｡ これ ﾚﾝｺﾝの挟み揚げ 戦国のみんなで食べて｡ おお かたじけない｡ これ ｱｰﾓﾝﾄﾞﾁｮｺﾚｰﾄ 唯も好きなの｡ 種の入った甘味でござるな｡ これは わしも好物じゃ｡ これ 実は もう燃料が少なくて あと２回しか使えないんです｡ 若君が戻って あと１回｡ １度…｡ では 唯は？ 次に こっちに戻ってきたら もう二度と 戦国には戻れません｡ 二度と…｡ だったら 戻らないって言うな あいつ｡ うん 言う｡ って どうしよう？ ご案じめさるな｡ 唯は わしが必ず 父上と母上のもとへお返し致す｡ では これにて｡ お体に気を付けて｡ 高山なんかに負けるんじゃないぞ｡ ♬～ 若君！ 教科書に 載ってないかもしれないけど➡ 僕 若君の事 忘れないから！ 若君や きっと大勢の人たちが➡ 同じように生きてたんだなって 覚えてるから！ 若君様！ (有山)あれから はや30日｡ 若君の行方は ようとして知れず｡ ななな… 何じゃ!? へっ？ へっ？ 気のせいか｡ わ～！ 若君様！ 今まで どこに…｡ その… 奇態ななりは 一体？ 話は後じゃ｡ 急ぎ 黒羽城へ戻る｡ 早う着物を 馬を｡ はい！ あやややや… それが あの～｡ 若君様は？ 若君様は 戻られましたか？ 何を寝ぼけておる｡ 若君がおられるはずがなかろう｡ 戻ってない｡ <何で？ 吉田城に着いたなら➡ 歩いてでも とっくに 黒羽城に着いてるはず｡➡ まさか…> 本当に死んじゃったの？ 飯を食うたら お調べじゃ｡ どうした？ 何じゃ？ そのぐんなりした小童は｡ お馬番足軽の 唯之助にございまする｡ この者が 高山の間者だと？ ただのひょうげた小僧ではないか｡ しかも 病を得ているのではないか？ はっ どうやら 牢で風邪をひき込み➡ 熱で もうろうとしておるようです｡ おい 起きろ｡ ああ～ もうよい｡ 帰せ｡ そのような小童が 忠清の命を 狙うとは とても思えぬ｡ 父上｡ この者の姿に 惑わされてはなりませぬ｡ この者が確かに吉田城で➡ 若君様の寝所に忍び込むのを 見た者がいるのです｡ 何だと？ 幾人もが見ております｡ ううむ｡ お待ち下され｡ それは 拙者が聞いた話と違いまする｡ (忠高)どう違うのじゃ？ この者は 若君を襲うたくらみを耳にし➡ そのお命を救うべく 吉田城へと走ったと｡ これは 面妖な｡ そのような話 どこから耳にされた？ この者は つい昨日まで 山を逃げていたはずだが｡ それは…｡ それに たくらみと申されたが➡ いつ どこで 誰が そのように たくらんだのか｡ それが つまびらかになっても 構わぬのでございますか？ これは心外な｡ 私が なぜ 困らねばならぬのだ｡ では この者の口から聞いても よろしゅうございますか？ しかるべく｡ ただし！ この者が まことを言うとは思えませぬ｡ この者は 己の姿を偽り➡ 若君様に 近づこうとした者にございます｡ 己の姿を偽る？ どういう意味じゃ？ ただいま ご覧に入れましょう｡ 唯之助の着物を剥ぎ取れ｡ はっ？ よいから 着物を脱がせろ｡ はっ｡ ≪殿！ (いななき) 若君様が！ 若君様が！ 若君様… ご無事で｡ 忠清｡ まさか…｡ 唯…｡ 唯之助！ これは…｡ なんとした事だ？ はっ｡ 高山と内通し 若君のお命を 狙ったとの疑いで捕らえまして…｡ たわけ！ 唯之助の働きで わしは こうして生きておるのじゃ！ ご心配をおかけして 申し訳ございません｡ 実は あの夜 ひそかに吉田城を出て➡ さる隠れ屋にて 矢傷を癒やしておりました｡ なぜ 知らせぬ｡ 私を狙った者が何者か分からず 近くにおっては 再び危ういかと｡ 若君様！ (信茂)若君！ 若君が生きて戻られたと！ あ… あ～｡ 唯 まさか このような目に 遭うていようとは｡ やだ 髪べたべたなのに｡ すまぬ｡ 許せ｡ <これって夢？ 若君の腕の中にいる気がする> こらこら どけ！ 若君じゃ～！ <じじいの腕の中に いる気もする｡➡ やっぱ夢か> あっ！ おや 目を覚ましたようじゃのう｡ ここは どこ？ 天野様のお屋敷の離れ座敷じゃ｡ 座敷？ 何で？ えっ？ おふくろ様は なぜここに？ 若君様のご差配じゃ｡ 静かな所で静養させよと｡ 若君様の｡ じゃあ 若君様は 本当に生きてたって事ですね｡ おお｡ お城は そのお祝いで沸き立っておる｡ よかった｡ よかった｡ 先日の大雨で吉田橋が流され➡ 若君は 馬で う回して 黒羽城へ戻られたのです｡ ああ だから遅かったのか｡ お前の世話は私がします｡ よう辛抱したの｡ おふくろ様｡ (三之助)唯之助｡ (孫四郎)唯之助｡ 三之助 孫四郎｡ 子らも共にと こちらにお呼び下されたのじゃ｡ それも若君様が？ それは こちらのお館様がの｡ 小平太パパが？ いいとこあるじゃん｡ さあ 腹が減っておりましょう｡ 卵とネギのかゆじゃ｡ 卵とネギのかゆ？ 皆で頂きましょう｡ はい！ こたびは 若君のため命を張り よう努めた｡ 若君の近習として 天野小平太 改めて礼を申す｡ はっ｡ それで あの 若君は？ 若君は お命を狙われた事もあり しばらくは 殿のおそばじゃ｡ ご他出はできぬ｡ 会えないの？ これをお前に預かった｡ お前も養生せよとの仰せじゃ｡ (尊)｢姉上さま｣｡ 姉上さまだって｡ ｢きっと無事でいることと 信じています｡➡ 若君は手術のあと 感染症で戦国に 帰ることができませんでした｣｡ そうだったんだ｡ ｢面白い話は たくさんあるけど 会ったときにまた｡➡ 見たいだろうと思って こっそり 撮った写真を入れておきます｣｡ 若君が 私のﾍﾞｯﾄﾞで漫画読んどる！ ずるい｡ 私も こんなん生で見たいよ～！ はあ…｡ あっ｡ よいしょ｡ ｢それから｡ 言いにくいんだけど➡ 実は ﾀｲﾑﾏｼﾝの燃料が あとわずかです｡➡ 詳しくは若君から聞いて下さい｣｡ 燃料がない｡ 若君から聞けって…｡ うん 若君に聞こう！ もう待てない 私から会いに行く｡ しゃっ！ あ…｡ あ… あ～！ あっ えっ あ…｡ シッ！ 声が大きい｡ 寝たふりをして出てまいった｡ なかなか一人にはなれぬのでな｡ お前のおかげで 一命を取り留める事ができた｡ 礼を申す｡ 本当に… 本当に若君ですよね？ よかった｡ 本当に 若君様だ｡ 父上も母上も尊も 皆 親身に世話をしてくれた｡ それと…｡ あっ ｱｰﾓﾝﾄﾞﾁｮｺﾚｰﾄ｡ んっ 甘～い！ これを返しておく｡ ﾀｲﾑﾏｼﾝ｡ これって あと何回使えるんですか？ 燃料が少ないって 尊が｡ あと１度｡ …と申したら どうする？ 行ったっきり ここには帰れないって事ですか？ そうじゃ｡ だったら 家に帰るのは諦めます｡ ここで生きていくという事か？ はい！ そうか｡ 若君様？ そろそろ帰る｡ 唯｡ それは あと２度使える｡ ２度｡ 家では皆 お前を案じておる｡ 次の満月では必ず帰れ｡ そして…➡ 戻ってまいれ｡ 若君｡ はい！ 帰って➡ また来ます！ うむ｡ っしゃ～！ ♬～ ♬～

ラブ.S03E03.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ 私はミッキーよ こんにちは 今は恋愛も仕事も楽しくて 順調だけど― 欲求に負けて 台無しにしそうで怖い 自己破壊行動に 慣れすぎて― 再発したとしても 気づかないかも すべてが順調だなんて おかしいと思ってしまうの だから また失敗するのを 待ってるような気分よ 今は順調だ 一緒にいて幸せだし 彼女は仕事も充実してる でも僕は 彼女が混乱した人だから― 好きになったのかも 彼女も混乱してなきゃ 僕なんかと付き合う？ 興味深い質問だ そんな決断を迫られた時は ５年後を想像する どんな決断をすれば 未来の自分が喜ぶか 私は そうやって考えるんだ 君も自分を好きになって 構わないんだよ 不安になると 深呼吸して10まで数えて― 幸せになる権利があると 無理やり思い込む いつか 心からそう思えるように― 今日を大事に生きるの それが今の私にできること 自分はマカロニチーズだと 思う時があるんだ 最初の何口かはいいけど 半分ほど食べると… もう十分かなと思う 最後はうんざりして “二度と食べたくない” 僕も そう思われてるかも 飽きられたくない 宇宙の法則を教えよう 宇宙は君たちを刺激して― より高いレベルに 押し上げてくれるんだ だから宇宙に 毒づくのではなく― “宇宙よ ありがとう”と 感謝してみてはどうかな では続きは この後で 腕に ひっかき傷がある 闇の者になる前に殺して 殺せるわけないでしょ そうしないと 私が みんなを殺す 彼女 セリフの半分を 間違えてる 演技も下手 抗血清を探す時間はある 場所の見当はつく　行こう よし カット 冗談じゃないわ やり直し やり直しだ 二日酔いにはキツいな ＭＴＶのパーティー？ 友達が来たから 遅くまで遊んでたの どうでもいいわよ 主役なのに なぜ私は出ないの？ そうだね　残念だ 映画が当たり フィギュアになるかも 君をどんどん出すべきだよね 友達は私のシーンだけ見る 僕の友達も 髪形がダサいせい？ それはないよ 僕が事情を聞いてくる 大丈夫　心配しないで グルテンなんて存在しないよ ５年前まで グルテンを知らなかった 同感よ でも現実に皆が恐れてる グルテンフリーの 食品がないと― 一部の女優が働かないの 運搬業者は ドーナツをくれって 連中は大事だ うまくやって 失礼 ちょっと聞きたいことが あるんだけど… アーリヤを出さない理由は？ 彼女は出番がなくて 動揺してるんだ 彼女のエージェントなの？ 教師だ なぜ教師が聞くの？ 彼女と話したら戸惑ってて… どんどん出番が 少なくなってるって 分かった　教えてやるわ 彼女が心配だから 出番を少なくしてるの それを聞いて安心したよ 彼女はストレスが たまってるんだ 他の子役との競争や 映画のプレッシャーもある それより… 親の離婚も 私の心配は違うの 彼女のせいで出費がかさむ いつも遅刻するし 先週は５時間つぶれた 集中できず セリフを言えなかったからよ 子供なのに苦労してるんだ 自分の子供時代は？ 私は週３万ドルも 稼いでなかった 僕も でしょ？ バイトしてた 私は卵巣嚢腫(のうしゅ)を 摘出した時でも― 決して弱音を吐かなかった 俺は突然 息子がいると知らされ― 13歳の祝い金を出した だが休みも取ってない 仕事だからな 彼女の役を殺すかも 手を焼いてるもの ザンダーを先に殺そう 言葉遣いが悪い いい考えね 早まらないで 僕からアーリヤに話すから 彼女とは いい関係だから 説得できる 彼女は お前の物マネで 笑いを取ってる 僕も見たよ 違うな そう思い込んでるお前の マネだよ 見た？ リュックの ええ　それなら見た 彼女の 今シーズン最高の演技 親しいと からかいたくなるから… いや 悪意があって笑えたよ 自分の仕事に専念して 了解　お任せを フレッド 決めるわよ ええ えぐり出すのは心臓か― 腎臓か 腎臓で 腎臓ね 私の本の出版イベントを ステラに宣伝してほしい 最初の１週間が勝負だ そこで売れなきゃ 書店から消える ステラがツイッターとかで 宣伝してくれると助かる 自分でやれば？ 荒らされたから ツイッターは やめたんだ 攻撃的なメッセージが 大量に来た ユダヤ人だと言ってないのに 反ユダヤ主義のコメントが ステラはツイッターで 宣伝はしない 私が やるわ ありがたいが 君では効果がない フォロワーは せいぜい50人だろ ステラは20万人ぐらいか？ 50万人近いけど… 50万人だって？ そんなに… 私は50人以上よ 彼女に強要はできないわ 本を気に入れば 宣伝するかもね 私は頼んでるんだよ それよりミッキーの協力を 感謝したら？ 出版イベントの生配信を 手伝ってくれる 職務外でね これで失礼するよ 感情と精神を整えて ファンに会う準備をするんだ このラジオ局を支えた 何千人もの私のファンとね なぜ私が？ 彼の扱い方を心得てるでしょ 私は限界 献辞の相手を見た？ ネルソン･マンデラと― 共和党の上院議員よ アフリカ系と共和党員に 売り込むとは ランチだね 調子は どんなもんよ 普通にしてるのに 誰もそばに来ない そんなことないよ 僕がいるじゃないか 台本は？ あまり よくない キスシーンがあるの キスシーンか それで相手は… ジェイクよ 新しく加わった俳優よ 知ってる 彼が相手よ そうか キスの経験は？ ５人と付き合ったのよ じゃあ 緊張してないんだね？ 私だって この仕事は長いわ 緊張してるなら話を聞くよ セリフの練習をするわ じゃあね セリフの練習か　頑張って 〝ラスト書店〞 〝ラスト書店〞 裏口から入らないと もみくちゃにされるよ 裏口から入らないと もみくちゃにされるよ 何人 来ると思う？ ネットでの宣伝効果は 計り知れない とりあえず緊急避難口を 確認しよう 消防署長を呼ぶ？ いい考えだ それは？ 何なの？ メイクさ　テカリ防止だ 何だ？ 美は女だけのものか？ さあね よろしく チクショー これが問題だ テカリを消すと 今度は毛が薄く見える まったく “ドクター･ グレッグ･コルター” どうも ドクター･グレッグと 来ました 電話で話した人？ トッド　どうも 参加者は 何人ぐらいの見込みなの？ これで全部だ これで？ 中止する？ とんでもない 中止なんかしない もう準備できてるんだ これじゃ彼が ショックを受ける ２人しか来なかった時も 楽しめた 近隣を回って 人を集めたらどう？ 僕は店を空けられない お金を払って通行人を誘う？ それはダメだ 他は？ ガラガラなのに意味ある？ ２人の時の倍はいる イスを少なくする？ それなら できる その方がいい ケルシー･グラマーの時も うまくいった ホームレスの支援活動よ 表彰式で言うジョークを 書いて 報酬は？ チャリティー行事よ パレスチナ人に寄付して 私も金欠なの ジョークの１つを分けてよ 気が進まない ホームレスは聞かない ちょっと話せる？ いいわよ　娘の調子は？ 順調だけど― キスシーンがあるから 緊張してるみたい 力になれないかな 母親からのアドバイスとか それは無理よ 14歳で変わり者だし 私と話をしないの だから干渉せずに 乗り越えさせる アーリヤが大丈夫か 知りたかった あの子なら心配ないし… 電話だわ どうぞ あら ジェン あなたの娘が 心配だっただけだよ グルテンフリーかい？ これは普通のパンだ グルテンが入ってる エゼキエルパンは？ エゼキエル… パン？ 白と茶色しかない そこから選べ ベリーはオーガニック？ オーガニックなんて 宣伝だけ いいよ　ニンジンにする アメでも食え それ 嫌いなんだ やあ どうも ミスターＣ その呼び方 カッコいいな ちょっと頼みがあるんだ 今日のシーンで アーリヤが心配してる もし よければ― 彼女と一緒に 練習してくれないかな 打ち解けてないだろ？ そうなんだ ドラマと音楽で忙しくてね 自己管理にも 週10時間 費やす 10時間は すごいね 頼めるかな？ 彼女と練習する よかった 見てよ 1000キロワットの笑顔 ありがと 時々 小児性愛者みたいだぞ 僕も言ってる最中に思ったよ 口元を観察してるのか “笑顔”だなんて まだ子供だから気をつけろ 忠告 ありがとう 言いにくいけど 人が あまり来てない 大体の人数は？ 収容人数が４人の球場なら 満員になる ふざけるな ４人しか来てないのか？ “１人の心に 届けばいい”って… １人でいいわけないだろ 私は行かないぞ 君の責任だから何とかしろ 私の責任？ ステラとの時間を短くすれば 宣伝できた 中止して帰りましょ ＬＡには何百万人もいる 40人ぐらい集められるだろ 30分で40人も集めろって？ やるしかない 満員にしろ ミッキー！ やってやるわ よし　満員にしてくれ どうも よかったら中に入って… 約束があるの 断られるのは聞きたくない 向こうで やってくれ 何とかするわよ “近くの断酒会” 私がいないせいで ９人 死んだ 理由を知りたい？ 時間がないのよ ９人を失っても 君を守りたかった 何ですって？ 君なしでは生きられない その後 キスするんだね バッチリだな 相手が僕で悪いね あなたは素晴らしくて 才能がある すごく上手だし… 新キャストの中で一番よ ありがたいけど 競争じゃないからね 多少は競争よ 音楽をやってるのよね？ なぜ それを？ デカいキーボードがある どこに行く時も 持っていくんだ 僕の曲を聴く時間はある？ 未発表なんだ 愛する人たちに 利用されるという内容だ 私の人生みたい 初めて人に聴かせる 聴かせて 曲のタイトルは… 待ってくれ “僕は 君だけのものじゃない” 君だけのものじゃない このビート いいだろ？ 持ってるものは 　　自力で手に入れた それを分けてやる 君にね 僕と過ごすなら いいかい ここでコーラスが入る 僕らは どういう関係？ 僕らは どういう関係？ 君も一緒に歌ってくれ 大丈夫だよ いくぞ いい曲ね すごく独創的で 新しい感じよ ありがとう 誰が協力したの？ Ｊ･ビーバーの裏方の友達 Ｊ･ビーバーに近い人なんて すごいじゃない 彼との仕事は興奮したよ それって すごい ありがとう 予告用の写真を撮ろう 投稿する ギャングスタの サインをしよう “何だと？” 投稿しないで 君がいなくなってから 投稿するよ お願い　やめて それ いい ダメよ これは いいだろ ひどい顔 ちょっといいかしら ここの集会は どう？ 終わったばかりだ ここのは参加したことない ちょっと 頼みたいことがあるの 友達が困ってるのよ なぜ？ 実は その… この男性を知ってる？ ラジオで聴いてるわよ 本当？ 心理カウンセラーで 出版イベントをやる でも参加者が少なくて 来てくれたら すごく ありがたいのよね それは 今すぐ？ 20分後よ 一服した後でいい 別に行ってもいいよ 用事はないしね 「ウィッチタ」の アーリヤ･ホプキンズ ミュージシャンのゲストは ブラインド･メロン ガス ネタが古いわよ 笑顔になってる 彼とはうまくいった？ ええ　私たちの写真を 投稿するって そっか　すごいじゃん まあね 彼は僕の写真を 一度も投稿してない ちょっと傷つく それが撮ったやつ？ 〝ライブ〞 〝ライブ〞 自力で手に入れた 自力で手に入れた 誰が撮ってる？ 自分で撮ってるんじゃない？ 誰の声なの？ ブルックリン？ 彼女じゃないと思う 誰が撮ってる？ 母親かも まさか！ 彼の母親だよ やあ アーリヤ 最新のカットは 実に印象的だ 今シーズンは脚本がよくて 君は謙虚だな そんな 謙虚な子だ 「ウィッチタ」の アーリヤ･ホプキンズだよ 撮影に遅れそうなの アーリヤに手を振って 歌って 僕らは どういう関係？ 君だけのものじゃない “相談してきたフランは 電話口で―” “泣きじゃくりながら 感謝してた” “私は答えた” “自分に感謝しろ” “君が頑張ったんだ 私は道を示しただけ” “３年後に―” “彼女と夫は子を授かり グレッグと名付けたと” “理由は聞かなかった” 感動的でした 質疑応答の時間です どうぞ 食べ物はあるか？ いいえ 質問があるわ お名前は？ あなたの本に登場した フランよ ああ 君か 会えて うれしいよ フラン どんな質問かな？ ウソなのは私の話だけ？ おい ガス 捜したぞ 知らないのか？ アーリヤが閉じこもって 妙な投稿をしてる マジ？ インスタで 悲しそうな顔を投稿してる 完全に理性を失ってる これはマズいぞ 深刻だ これは大変だな こんな投稿はなかった 別アカウントだ 承認されたの？ 承認されてない？ 興味ないから 見てないだけだ 俺には暇がないんだ 彼女を何とかしろ 分かったよ　行こう 降りろ　乗せない これで行けば早い ドーナツを取りに行く 分かった　取りに行け 早く行けよ 私の人生の話を変えてる 本に書かれてるのは 全部 ウソ 待って 赤ん坊の話もウソ 確かに２ヵ所ほど 変更を入れたかもしれない 夫と復縁したって？ 明確で簡潔にするために 調整を加え― 価値あるページを作ったんだ 教育用のツールだからね あんたは偽者 ドクターとは呼ばない だが呼んでくれると ありがたい それが私の長年の芸名なんだ 私の人生を 勝手に書き換えたわね 私は子連れ離婚し 元夫は他の女とヤってる ご主人は性的に不満だった だから性の探求をすべきだと 助言した 彼は満足してた 私のお陰でね 夜の生活は うまくいってたのよ 満足してたらタイに行って 娼婦を買うわけないだろ 帰らないで ここにいてちょうだい 配信中か？ しまった これを聴いている皆さん イカれた女性がいたので 追い出しました 彼女を助けるために 我々は模索中です 適切な助けがあれば回復する 他に質問は？ 聞きたいことが 本の話はしたくない ここにいる誰もが 望んでないと思うね そうか 今 君は何に傷ついてる？ 大丈夫だ 話してみろ アーリヤ 君の気持ちは分かるよ ウソよ 分かるさ 失恋の痛みも― 自分に気のない相手に キスする気持ちもね キスなんかしたことない まさか　彼氏がいたんだろ？ あれはウソよ 友達もいないのに 男の子は 私の収入を知ってビビる つらいよね なぜ こんな目に遭うの？ 僕の恥ずかしい体験を 聞きたい？ 初めてのキスは― 「トゥルーマン･ショー」を 見た後だった 僕が あまりに 泣いたから― 彼女がキスしてくれた バカじゃない？ だから次の日 フラれた 悲しい映画じゃないでしょ トゥルーマンの苦境に泣けた カメラに囲まれて 30年も気づかないのが悪い 思うに 彼の苦境は― テレビのセットで 生きてきたことだ 君は共感できるだろ 嫌いな奴相手に キスシーンを撮るのは無理 正直言って 最悪な状況だよね 本当に イヤな気分だろうけど― 君にできることがある その悲しみや 怒りのすべてを― 演技に生かすんだ 形にするんだよ どうやって？ 自分を信じるのよ あなたなら できる やめてよ とどのつまりは― 私は収録ブースに座る 孤独なクソ野郎だ 日がな一日 ラジオで 自尊心を吐き出してるだけ “私の言うことを聞け”と 君の彼氏は冗舌だな 彼氏じゃないわよ 信頼し合ってる 同僚なの　これは仕事 フリーなら俺と どう？ 彼氏はいるの 当然だよね 助言しよう 何だ？ 自分自身に正直になることだ 心の底からね 本にウソを書いてしまった 真実や私自身では 物足りないと思ったからだ 視力が 少し回復した子の話も？ 死んだ なんてことだ 相談者の その後が 気になって連絡すると 彼らの人生は― 決まって ひどくなってる 相談前よりね 吐き出すんだ 感情の吐露だ そこに癒やしがある いい感じね もし人に アドバイスするのを― 完全に やめた場合を 想像してみろ どうなる？ やめろとか言うなよ 俺は相談するために来た ドクター･グレッグ 質問がある 見ず知らずの人に顔面を 殴られないとイケないんだ これって変かな もう この辺で オフィスに戻る時間だわ 行くわよ 皆さんの参加と 癒やしの時間に感謝します 位置確認 よし 位置に就いてくれ 用意 アクション 君の助けが必要だ 地獄の口を塞がないと 襲われるのに なぜ帰らせたの？ 君を守るためだ そのために９人が死んだ 理由を知りたい？ 時間がないのよ ９人を失っても 君を守りたかった 何ですって？ 君なしでは生きられない 私は あなたなしでも 生きられるわ これでいい？ ええ 忘れてた　カット カット 冗談じゃない すごく恥ずかしい 私も人前で 取り乱したことがある ラジオで流れたんだ 聴取率が低くて 幸いだったわね 大勢は聴いてない 楽しんでるだろ？ 私がヘコむのを見て 楽しめるのは 少し人間味が 見えてきたからよ この本 買ったわよ 感謝する 局の経費よ 読んでどうする？ さあね カフェインでハイになって 朗読会とか 楽しそうだ そりゃそうよ 眠くなってきた 分かった いらっしゃい 元気？ バーティとランディは 食事と映画に出かけた 何の映画？ 違うでしょ ああ そうだよね この部屋でヤる？ 全部の部屋でヤる すごいよね バーティの部屋でヤった 縄張りに踏み込む ２匹のオオカミだ 俺たちの縄張りだ 彼女にはバレない そこが最高だ 彼女は気づかない どうかしてる 今日のアーリヤは？ よかったよ 閉じこもった時は みんなを慌てさせたけど… 僕と２人で話した後― 本番では すごい演技を見せた 本当？ すごかったよ Ｊ･チャステイン並みに うまかった 女優の貫禄 チャステインは好きよ 最高だよね トレーラーに行った時― アーリヤは 腹を立て悲しんでた だから僕は それを演技に生かせと言った 監督みたいに あんたは才能があるからね 自分の映画を撮るべきよ 僕が書いた脚本で？ そうよ 貯金もあるし 協力する友達もいる それを利用して 実現させるの それなら できるかも 私だって プロデューサーになれた 言ったもん勝ちだよね 僕は監督だ　映画を撮れる 監督よ 勃(た)ってきた？ もうイった なら もう１回 日本語字幕　香月 縁

時をかける少女＃01

1 (セミの鳴き声) (芳山未羽) ＜夏って➡ 嫌い＞ ＜昔は割と好きだったけど➡ 中学上がった頃から 苦手になった＞ ＜汗かくとか面倒じゃん！＞ ＜いっそ 裸で学校通いたい＞ すげぇ！ (ｿﾞｰｲ) 来た～！ ＜あっ やっぱ裸はダメ＞ ＜毛の処理がね 大変だもん＞ ＜腕 脇 背中 アンドモア＞ ＜…って 理由それかい的な？＞ ＜見られるの心配しろや的な？＞ ＜空を飛ぶとか 人の心が読み取れるとか➡ 超能力って信じないけど➡ もし あるなら 私は➡ 瞬間むだ毛処理能力が欲しい＞ 危ねっ！ いや ウソでしょ？ ＜バカみたい？ でも➡ スプーン曲げよりは絶対 役立つ＞ ♬～ 何？ これ｡ (敦美) 多分 リュウグウノツカイ｡ ＜気付けば高３＞ ＜もう おばさん＞ ＜友達も親も先生も 受験受験って 分かってるよ＞ ＜そのうちやります！ 今は他に やんなきゃいけないことが…＞ ＜ない！＞ ＜え～ つまんない！ 高校最後の夏なのに＞ (ｿﾞｰｲ) 薬をなくした？ 帰れないってことですか？ まだ可能性はゼロじゃ ない… ちょっと｡ あり得ないし あり得ない！ ＜決めた 今年の夏は死ぬ気で楽しむ＞ ＜…って あれ？ 静かだと思ったら いない＞ ＜どこに行ったの？＞ ＜もう 私を置いて消えるのやめてよ＞ ＜意地悪＞ (深町奈緒子) 何してるんですか？ ひとん家で｡ ♬～ ＜ねぇ ホント どこに行ったの？＞ ＜遠くへ行かないで＞ ＜寂しい 苦しい やめて 待って＞ ＜また会えるよね？＞ ＜ヤダ 怖い お願い！＞ ＜戻って来て＞ ≪誰？ 誰かいるの？≫ 何だろう？ このにおい｡ ♬～ ♬～ ♬～ (はさみで髪を切る音) 美容院より床屋さんだな 私｡ たまんないもん お顔そり｡ 女のコだって ひげ生えるんだよ｡ 産毛みたいなやつ｡ 確認しなくていいよ｡ うわっ！ えっ 何!? もしかして 吾朗ちゃん➡ 私のこと…｡ これでも？ (浅倉吾朗) フフフ…｡ ウソだ！ 絶対ウソだ～！ あっ！ ハァ ハァ…｡ あ… 痛っ！ 何？ この髪形｡ (芳山那帆) 昨日 美容院でカットしたんでしょ？ やめときなって止めたのに｡ うぅ… 似合ってな～い｡ [TV] 今日は７月７日 七夕です｡ [TV] 皆さんも短冊に 願いを書いてみては…｡ こんな髪形じゃ 学校行けない｡ (芳山香織) え？ かわいいじゃないの ヘルメットみたいで｡ ヘルメットは 普通ダサいの！ [TV](ｷｬｽﾀｰ) ﾘｭｳｸﾞｳﾉﾂｶｲが見つかった 静岡県の藤浦海岸です｡ (芳山恭司) あっ 藤浦海岸って すぐそこか｡ あれ？ 未羽と同じ 東高のコじゃないのか？ すごいな 全国ニュースに出るなんて｡ (那帆) ごちそうさま｡ いってきま～す｡ (香織) は～い いってらっしゃい｡ 冷凍庫のアイス 私のだから｡ 食べたら 針千本のますから｡ ほら未羽 早くしないと学校遅れる｡ だから 休むって｡ えっ！ ホントに!? せっかく 幼稚園から皆勤賞なのに？ 健康体なことに 首を絞められるなんて｡ フッ！ いただきます｡ お母さ～ん！ 私のカメラどこ？ え？ もう知らないわよ｡ え～｡ どこだ？ あっ！ あるじゃ～ん！ 行ってやるよ！ ≪おはよう≫ ≪おはよう≫ ≪おはよう≫ ≪おはよう≫ よっ｡ お～｡ えっ？ いいじゃん その髪形｡ 似合ってるよ！ ウソでも ありがとう！ いや ホントだって でも 父さん悲しむよ｡ ついに未羽が うちの床屋で 髪 切んなくなったって知ったら｡ もう美容院は こりごり｡ また お世話になるよ バーバー浅倉！ あっ そう 行くぞ｡ あ～！ 先 行ってて｡ え？ ちょいと ガソリン入れて来ま～す｡ ガソリン？ (退店のチャイム) (赤木) それ 僕のため？ マッシュが好きだって話したから｡ まさか｡ あっ｡ (来店のチャイム) ハァ… ハァ～ ハァ ハァ…｡ ねぇ 未羽のガソリンってさ…｡ 今日はハイオク入りました～！ ハイオク？ 何それ ハイオクって何？ あと５分｡ あと５分？ ねぇ ああいう男がいいの？ そう！ ああいうイケメンが好き！ あんなんでいいの？ うん！ あっ 吾朗ちゃん｡ あっ あぁ…｡ 吾朗ちゃん 何やってんの！ あっ！ あ… すいません｡ ごめん 後でクラス行くわ｡ この花 落としました｡ 許してあげてください 僕から 叱っておきますんで｡ すいません｡ すいません｡ ほら 行くぞ｡ 何で怒られてんの？ ちょっ… ぶつかった…｡ ぶつかって吾朗ちゃんを呼んだ…｡ (おじょう) え？ 変じゃないよ どういうこと？ (えりちん) 何かね 丸いの マッシュ…｡ あ～ おはよう おはよう おはよう｡ いいじゃん髪形 めっちゃ似合う！ ありがとう｡ (女子生徒) 結構 切ったね すごい似合う｡ (深町翔平) はい おはよう｡ おはよう｡ 笑うなよ もう！ おっ 髪 切ってんじゃん｡ おは… おはよう｡ こけしみたいだね｡ フフフ…｡ こけし!? はぁ!? さすが翔平は面白い はい｡ イェ～イ｡ 翔平には どうせ バカにされるって思ってたよ｡ ちょっと 行ったよね｡ (矢野) この問題のコツは➡ 分母の差の逆数を掛けること｡ ３と１の差は２ だから １/２を掛ける｡ これが 部分分数に 分解するポイントです｡ いいね？ では これを踏まえて類題｡ 誰にやってもらおうかな｡ 芳山未羽！ (ホイッスル) (矢野) 水着もいいけど 数学しような｡ 教科書は？ ノートぐらい持って来てるだろ？ これしか持って来てなくて…｡ あら ロマンチック｡ …って バカ野郎！ 学校に何しに来てんだよ！ すいません｡ 芳山未羽｡ あっ あ… はい｡ (生徒達) ハハハ…！ 何だ そのﾀﾞｲｲﾝｸﾞﾒｯｾｰｼﾞは｡ あ…｡ この問題は解けないって意味かと｡ 特別課題を出してほしい に読めるけど？ (生徒達) ハハハ…！ い い… 嫌です｡ 私はね 本気で別れようって言ったの｡ でも 結局チュ～だよね｡ えっ 何でチュ～になるの？ それから塾まで２時間半｡ 唇 はれちゃって｡ (おじょう) 大人だな えりちん！ 私も彼氏 欲しい｡ おじょうに彼氏ができるのは 私が嫌｡ 未羽は？ ん？ 今年も浅倉君達と 七夕祭り行くの？ う～ん｡ 多分ね｡ 毎年恒例だから｡ 浅倉君は浴衣？ 抱き締められたいな｡ こう むぎゅって｡ あぁ カッコいい｡ 何で女子高生は 恋バナが好きなのかねぇ｡ ヤダヤダ｡ あれ？ ｺﾝﾋﾞﾆの大学生カッコいい って言ってなかったっけ？ おっ？ いや… いや それは…➡ 恋とかじゃないから｡ あの… ガソリン的な？ いや 違うよ？ あっ… あ～！ うわ～！ あぁ…｡ おめでとう 芳山君に拍手｡ はい～｡ ≪バラバラ…≫ ごめんなさい｡ 何か今日は運が悪いよ｡ うわ～！ ビックリした えっ？ ハハハ…！ (ﾋﾟｱﾉ)♪～ ごみ出して来る｡ はい｡ 椅子 下ろしといて｡ 了解｡ (女子生徒) ≪踊って！ ちょっとでいいから≫ かわいい！ (女子生徒) 写真 写真 写真！ はい せ～の｡ (何かが割れる音) 誰？ 誰かいるの？ ♬～ ♬～ 何だろう？ このにおい｡ あっ｡ (陽子) こうガツンと来る男って ホント いないのよね｡ じゃあ 矢野先生は？ (陽子) 矢野先生？ 声デカいし➡ 小洒落たシャツが 鼻につくっていうか…｡ これ 内緒ね｡ はい｡ (陽子) あっ 具合どう？ ２人とも心配して待ってたのよ｡ 心配して？ 恋バナしてたくせに｡ 何で理科の準備室で 昼寝してたんだ？ 昼寝じゃ ない！ 割れた試験管から 甘い香りがして➡ 何だろうと思って吸い込んだら めまいがして｡ 割れた試験管なんてあった？ いや なかったです｡ えっ？ ただ 未羽が倒れてた｡ えっ!? フラスコとかビーカーとか➡ もう わ～って割れて 大変だったでしょ？ 誰かが実験してたの｡ それを私が ひっくり返して…｡ だから なかった｡ なぁ 翔平？ えっ？ いや 何もなかったよ 全く｡ ほら｡ えっ？ ていうか 未羽 ホントに大丈夫か？ どっか 体に異変とかない？ ん？ あ…｡ ん？ どうした？ あ… あっ…｡ 何？ おなか すいた｡ ふざけんなよ｡ 最悪 帰ろう！ へへっ｡ まぁ 結論としては貧血と腹ぺこで 幻覚見たんだろうって｡ もう ひどいんですよ ２人｡ 今年 受験だし 頭大丈夫か？とか 検査しといたら？とか言うんです｡ (松下由梨) もう受験生か こないだ入学だと思ってたのに｡ (三浦) 光陰矢のごとし うちの圭太が もう小３だからな｡ ねぇ｡ あ～ 進路希望 書かなきゃ｡ 何て書こう｡ (三浦) 吾朗ちゃん 床屋継ぐんだろ？ でも親は大学行けって言ってます｡ 自分の夢を目指せばいい 自分の人生なんだから｡ 文系なのに 医学部合格圏ですよ｡ (三浦) へぇ～ 医者になんなさい はさみよりメスのほうが儲かる｡ ちょっと～！ 言ってること違うじゃん｡ あれ？ 翔平の進路希望って 聞いたことあったっけ？ そういえば ない｡ 研究者だよ 薬学の｡ へぇ～ そんな夢あったんだ｡ 夢じゃ ない ただ遺伝子が それに適してんの｡ ただ遺伝子が それに適してるだって ウケる！ 何これ！ カッコいいね～｡ (三浦) で 未羽ちゃんの遺伝子は 何に適してんの？ えっ？ 何？ (三浦) ハハハ…！ ん？ 突然 舟の上に 男と女が現れた？ 冗談は よしこちゃん｡ (松下圭太) ホントだってば！ 昨日だよ｡ 何で覚えてないの？ 写真部は続いてる？ 何撮ればいいか分かんないし➡ 友達がスマホで撮った 写真のほうが お洒落だし｡ 私 センスない 嫌になる｡ あっ｡ このコ知ってる？ うちの高校の｡ 大西敦美だろ？ ネットアイドルやってて➡ 今回の一件でネットは 超盛り上がってるらしいよ｡ 何て？ ｢竜宮から使いを送られた 奇跡のアイドル｣｡ 打ち上がった深海魚 見つけただけじゃん｡ 枕ことばがいるんだよ 今のアイドルは｡ ２組のヤツらは手のひら返して 仲良くしだしたらしいよ｡ 有名人になった途端ね｡ 私も有名人になりた～い！ 少し前なら未羽はかわいいし アイドルとして売れたかもね｡ お～！ でも 今のご時世かわいいだけじゃ 難しいです はい！ お疲れっした｡ お疲れさまでした｡ (三浦) 未羽ちゃんは生まれて来る 時代を間違えたんだね｡ ハハハ…｡ 間違えた？ ただいま｡ (由梨) おかえり｡ (三浦) はい おかえり｡ (圭太) あ… あっ…｡ 脳みそ食べないで！ 何だ？ 圭太 どうかしたのか？ (由梨) さぁ｡ (３人) ジャンケン ポン！ っしゃ～ パ イ ナ ツ プ ル｡ 今年で最後かな？ 一緒に祭り行けんの｡ 何で？ だって 来年 俺達が この町にいるとは限らないし｡ そっか｡ あっ｡ おじょうが ｢浴衣の浅倉君に 抱き締められた～い｣だって｡ 一緒に行ってあげたら？ うぇ～い｡ (３人) ジャンケン ポン！ あ～！ っしゃ！ チ ヨ コ レ イ ト｡ そうしようかな｡ 未羽と行くと たこ焼きのたこ 食わされるし｡ 毎年つらいから｡ 今年は たこ焼き 食べませ～ん｡ (３人) ジャンケン ポン！ イエ～ス！ パ イ ナ ツ プ ル～！ ル～！ ル～！ ル～！ ムカつく マジで｡ 一度も勝てないなんて 理論上おかしい｡ 本気でジャンケンしたよ｡ 未羽 ジュース ごっつぁんっす｡ いただきま～す！ クソ…｡ おっ｡ (女性) 龍君 お待たせ｡ おっ｡ (赤木) んっ｡ (女性) はい｡ ガソリン 彼女おるんかい｡ しかも ロングだし｡ カァ～！ ムカつく！ あ～ 腹立つ！ あ～！ っていうか背中かゆい かいて｡ あぁ｡ 未羽ってさ…｡ はい？ デリカシーないよな｡ フッ｡ 吾朗ちゃんだからね｡ 女らしくしてくれよ｡ そういうこと言うと炎上するよ｡ じゃ！ (３人) バイバイビ～｡ ♬～ ♬～ ♬～ う～ん｡ ♬～ どれも いつもと同じ｡ 何撮ればいいんだろう？ (ｽﾋﾟｰｶｰ)♪～ あぁ｡ (ｽﾋﾟｰｶｰ)♪～ (ｽﾋﾟｰｶｰ)♪～ 違うね｡ (ｽﾋﾟｰｶｰ)♪～ 上手 上手 はい こっち｡ (カメラのシャッター音) はぁ… はぁ～ あぁ…｡ (カメラのシャッター音) えっ カメ!? えっ どうしてカメが？ おっ？ (カメラのシャッター音) ちょっと ほい｡ あっ… 危ない！ 危ない！ えっ？ ＜何か今日は運が悪い＞ ＜あ～ 死ぬんだ 私＞ んにょ｡ (ｽﾋﾟｰｶｰ)♪～ あっ あれ？ はぁ～ あぁ…｡ あっ｡ 危ない！ えっ!? 何で!? えっ？ えっ？ 私 死んだよね!? えっ まさか… あっ あっ 幽霊？ あ～ おばあちゃん！ 私のこと 見えますか？ ようやく私にも 向こうの お迎えが来たかい？ え～？ えっ？ 私 死に神なの？ どういうこと？ あっ…｡ 未羽｡ えっ？ あっ！ 翔平！ いや ちょちょちょ…｡ 大丈夫 大丈夫 落ち着いて… 一回 落ち着いて説明して｡ 落ち着いて説明して…｡ 私 もう死んでるの？ 死に神？ 幽霊？ ヤバい！ 死んでない… 生きてるから！ 同じ時間が繰り返された｡ 勘違いだろ｡ だけど カメ！ 気付いたらカメを 持ってるなんて あり得る？ そのパターンね｡ そのパターンね｡ だから カメラとカメを➡ うっかり間違えちゃったの パターンです｡ そっか 似てるもんね｡ …って 全然違う！ あっ｡ 漫画で読んだんだけど タイムリープってやつかも｡ まさか… まさか 『浦島太郎』じゃないんだ…｡ あっ それだ！ このカメに そういう力があるんだ｡ えっ？ フッ！ ん～！ みは… 未羽？ クッ｡ 未羽？ もう１回｡ ハァ…｡ 未羽？ ハァ… うぅ…！ 未羽さん？ ｢危ない人だ｣って 思われたくないでしょ？ だから 時間を飛んだって話は➡ ひとには しないほうがいい｡ ん～！ 分かった？ 分かりましたか？ 分かりません｡ ≪フッ≫ う～ん…｡ 何してんの？ 秘密｡ 時間を飛べるなんて言っても バカにして信じてくれないから➡ 絶対に秘密｡ フゥ～｡ (那帆) お母さん！ お姉ちゃんが バカになっちゃった！ 何で こんな髪形にしたんだろう？ ん？ うわ～‼ あっ！ んにょ！ うっ｡ あっ！ えっ？ は～い かわいくしてあげるからね｡ イヤ… あっ｡ イヤ～！ あれ？ 何？ 今の｡ (那帆) お姉ちゃん どうした…｡ うわ あっ ゴキブリ ゴキブリ‼ 今 それどころじゃないから｡ (那帆) ≪ねぇ お父さん ゴキブリ！ ねぇ 早く ゴキブリ…！≫ カメじゃ ない はぁ…｡ 私…｡ 時間を飛んだ？ んにょ！ あっ…｡ は～い かわいくしてあげるからね｡ あっ やめて！ うわっ！ やった！ 変な髪形にされずに済んだ！ はぁ～｡ 飛べる！ 私 時間を飛べる～！ うわ～お！ 危ねっ！ [TV] 今日は７月７日 七夕です｡ [TV] 皆さんも 短冊に願いを 書いてみては いかがでしょうか｡ 見て～ ほら いいでしょ いいでしょ…？ 美容院代あげたのに 切らずに帰って来たじゃないの｡ だからよ｡ いただきます｡ [TV](ﾘﾎﾟｰﾀｰ) 発見者の大西さん｡ [TV] 見つけた当時の様子を 教えていただけますか？ (来店のチャイム) 彼女いるくせに 髪形 何でもいいくせに！ (レジカウンターをたたく音) あっ｡ (退店のチャイム) あ… おなか痛い｡ １と３の差は２ だから １/２を掛ける｡ これが 部分分数に 分解するポイントです｡ いいね？ え～ では これを踏まえて類題➡ 誰に やってもらおうかな｡ はい！ 雪でも降るんじゃないか？ なぁ｡ (生徒達) ハハハ…｡ フン 予習して来たんで｡ やるじゃないか｡ お～｡ アハハ… イェ～イ｡ (拍手) イェ～イ！ ≪すご～い よく取れた≫ (えりちん) うわ～…！ ビックリした えっ？ もう 何これ！ (おじょう) あ～！ もうヤダ！ めっちゃ濡れてる｡ 水～！ 水！ ちょちょちょ…！ 待って待って そこはダメ！ 使っちゃダメ｡ 何？ 壊れてるから｡ こっち｡ (未羽:翔平:吾朗) ジャンケン ポン！ マジで？ 何で？ チ ヨ コ レ イ ト！ ゴール！ イェ～イ！ ちょっと待って｡ フゥ～！ 一度も負けないなんて 理論上おかしい｡ 本気でジャンケンしたからね｡ あっ 負けたほうが ジュースおごりな｡ 約束守れよ｡ 絶対勝つわ｡ (２人) ジャンケン ポン！ あいこでしょ！ ハッハ～！ (自転車のベル) (はさみで髪を切る音) この音｡ (はさみで髪を切る音) このリズム｡ (はさみで髪を切る音) 安心して眠くなる｡ (浅倉 努) 昔は よく寝てた｡ 吾朗が頭 支えて 散髪してた頃が 懐かしいよ｡ 未羽が来てくれるうちが うちの店も華かもな｡ 女のお客さんなんて ほとんど来なくなったし｡ 男のお客だって 若いコ 来なくなったよ｡ そっか｡ どう？ 気に入ってくれた？ はっ？ いや まぁ｡ (浅倉) フフっ｡ 俺だってシャレオツに ナウくできんだよ ハハハ…｡ シャレオツにナウいっていうのが 古いんだよ お父さん｡ (浅倉) ハハハ…！ (浅倉 唯) おとうさん 昔はハンサムだったのよ｡ お前だって 昔は べっぴんさんだったよ｡ (唯) エヘヘ…｡ フフフ…｡ 時間って残酷だよね｡ (浅倉) お前も うちの家系だよ｡ (唯) あんたも うちの家系だよ｡ (はさみで髪を切る音) フッ｡ (遠雷) おっ｡ (香織) あら 停電？ ちょっと 未羽｡ ん？ 懐中電灯 持って来て｡ え～？ あっ…！ (香織) あぁ ありがとう｡ うぅ～…｡ (香織) 何やってんの もう…｡ イヒヒヒ…｡ (消防車のサイレン) (香織) あっ 何だろう？ (香織) 何か鳴ってるよ｡ 何だ 何だ？ (消防車のサイレン) (香織) 気を付けて｡ (那帆) お母さん 火事｡ (香織) 火事？ どこどこどこ？ ほら あそこ｡ (香織) あれ 全然届かない｡ (那帆) 煙出てるじゃん｡ (香織) あっ ホントだ｡ 吾朗ちゃん家のほうだ｡ 吾朗ちゃんって 浅倉さん家？ あっ 行かなきゃ！ (香織) ちょっと 未羽！ 未羽｡ あ～ 吾朗ちゃん 無事で よかった｡ 変電所で ぼや騒ぎだって｡ 翔平 翔平！ お～ 大丈夫？ 火は もう消えたって｡ マジか よかった｡ (消防車のサイレン) 小さな きっかけで注目されて すごいよな｡ でも もともと輝く才能は あったんだろうな｡ うん｡ 輝く才能か｡ あっ｡ それなら私にも ある｡ えっ？ ヘヘ ヘヘっ｡ 何？ 今の｡ 私にも ある～！ (ｽﾀｯﾌ) ５秒前➡ ４･３･２…｡ [TV] こちらは 幻の深海魚といわれる➡ リュウグウノツカイが見つかった 静岡県の藤浦海岸です｡ [TV] 発見者の芳山さん 見つけた当時の様子を➡ 教えていただけますか？ [TV] リュウグウノツカイは 昔から…｡ すごいな 全国放送だぞ｡ フフフ…｡ [TV](ﾘﾎﾟｰﾀｰ) 幻の深海魚と呼ばれる ﾘｭｳｸﾞｳﾉﾂｶｲは 銀色の体に…｡ 何 たくらんでんだ？ 有名人になろうと思って アイドル的な？ あのね 今のご時世 顔が…｡ いくら かわいくても アイドルにはなれない｡ 分かってますよ｡ よく自分で言えるよな｡ ホントだよ｡ だから 大予言アイドルになる｡ は～い｡ 世界を驚かすのだ！ ちゃんと撮って もっと こう…｡ はいはい… 撮ってる撮ってる…｡ 今夜８時１０分 バーバー浅倉近くの変電所で➡ ぼや騒ぎが起きて 藤浦町が停電になります｡ おい 不謹慎なこと言うなよ｡ ホントなんだもん あっ➡ すぐに火は消されるので ご安心ください｡ それならいいけど｡ うん はい スタッフ紹介｡ 将来の夢は カリスマ床屋の吾朗ちゃんと➡ じゃん 水玉パジャマを 愛用している翔平君｡ そうなの？ いや 持ってねえよ 水玉ﾊﾟｼﾞｬﾏ…｡ いや 見たもん 私｡ 見たって どういうこと？ ねぇ➡ こんなのネットに上げたら 笑われるよ｡ それは どうかな？ それでは皆さん お楽しみに｡ 来た来た来た…｡ (消防車のサイレン) もう１台来た もう１台来た｡ (消防車のサイレン) (消防車のサイレン) ねぇ！ ねぇ ねぇ！ 予言的中！ えっ？ 水玉 水玉…｡ おっ 来た｡ 水玉のパジャマじゃん！ いや 違うんだよ これは あの…➡ お母さんが今日 買って来ちゃって 断り切れなくて 着て来た…｡ 当たった…？ へっへっへっ…｡ お～！ すご～い！ ハッハッ！ ヒヒヒ…｡ フフっ｡ 日本の女子高生による奇跡の 予言動画が話題を呼んでいます｡ 初めて配信された動画は 静岡県で 同日 午後８時頃に発生した➡ 藤浦中央変電所での ぼや騒ぎを予言しました｡ [TV] どの予言内容も 発生時刻 地名 詳細も全て➡ 正確に的中されていました｡ [TV] 同日午後９時から未明にかけて ウィスコンシン州で起きた➡ ｼﾞｭﾆｱﾊｲｽｸｰﾙ立てこもり事件の 容疑者➡ 南アイルランド系の男が 逮捕されました｡ [TV] 奇跡の大予言アイドル 未羽の予言動画は…｡ 私 超有名人じゃん！ 人生 楽しくなって来た～！ もう やめたら？ もっと やれってこと？ ああいうコの努力がさ 俺は報われてほしいよ｡ 私は努力してないみたいな 言い方ね｡ してる？ 見せないタイプ｡ 未羽もボート部 辞めるまでは 努力家だったのに｡ 腰 痛めたんだから 仕方ないじゃん｡ せっかく写真部 入り直したのに やる気にならない？ ん～…｡ 本気で有名人になりたいの？ やりたいことが分からなくて➡ ただ やけになって 楽しもうとしてるみたい｡ 吾朗ちゃんに何が分かるの？ ♬～ (男子生徒) おっ 芳山だ！ (女子生徒) キャ～！ 超かわいい！ アハハ…！ 頑張ってください 応援してます！ 明日の七夕祭り どうすんだよ？ 一緒に行くだろ？ 多分 無理じゃない？ 私のファンが集まっちゃう｡ (女子生徒) 未羽先輩 吾朗先輩！ こんにちは｡ こんにちは｡ 未羽先輩 新人戦 私がバウやります！ 未羽魂 引き継ぎます！ (女子生徒) 頑張ります！ あぁ… 頑張ってね｡ (女子生徒) ありがとうございます！ よかったら試合 応援しに来てください！ あのコは間違いなく タイムリープしてます｡ だから どうしろっつうんだよ｡ 見守るしかないだろ｡ 逆ギレ？ 誰のせいですか？ 世界が大混乱に 陥りかねないんですよ｡ じきに薬の効果はなくなるよ｡ (那帆) うちのクラスでも お姉ちゃん すごい有名だよ｡ やっと私のこと尊敬した？ 前から何か才能ある気がしてた サインちょうだい｡ (川に何かが落ちる音) (女子生徒) ハハハ…！ (女子生徒) 大西！ (女子生徒) 背泳ぎ！ (女子生徒) 泳いで泳いで…！ (女子生徒) 行っちゃうよ…！ (女子生徒) 動画 撮ってるから！ (女子生徒) はい 背泳ぎ！ 撮ってるよ ほらほら！ かかわるの やめとこう｡ 行こう｡ こら！ 何 いじめてんの！ 警察 呼んだから！ 警察だって｡ ヤ～ダ 行こう｡ 警察… つまんないの｡ 大西さん…｡ (那帆) 大丈夫ですか？ はぁ…｡ ♬～ ♬～ お姉ちゃん 警察来てる｡ 警察？ 芳山未羽さん｡ は… はい｡ ７日の ぼや騒ぎについて 話を伺いたいんですが｡ (刑事) ここで 何をしてたんだ？ そろそろ ぼやの時間だな～って｡ (刑事) どうして 発生時刻を知ってるんだ？ それは… 言えないというか…｡ 放火したからだろ！ やってません！ 正直に話してごらんよ｡ 正直に話したら 信じてくれますか？ うん｡ 私 タイムリープできるんです｡ 大人をナメるな‼ (刑事) いいかげん 本当のことを話してくれない？ タイムリープできるんです｡ ねぇ 本当のこと話して…｡ タイムリープできるんです｡ あぁ…｡ (花火の破裂音) あっ 花火か｡ 七夕祭りだからな｡ あ～｡ やっぱり私は…｡ アイドルに向いてない｡ えっ？ (ｽﾀｯﾌ) それでは よろしくお願いします｡ ５秒前➡ ４･３･２…｡ [TV] まさか リュウグウノツカイとは｡ [TV] 何か大変なことが起こる 前兆かもしれないですね｡ すごいな 全国ニュースに出るなんて｡ 私は普通の高校生でいいや｡ あんまり騒ぎになることには 使っちゃダメね｡ (那帆) ごちそうさま｡ (香織) は～い｡ (那帆) お姉ちゃん 冷凍庫のアイス私の…｡ もう食べてる！ 大丈夫 後で戻してあげるから｡ もうヤダ！ お母さん この野郎に 針千本のまして！ 那帆 ｢この野郎｣はやめなさい｡ チッ いってきます｡ ほら 未羽も早く着替えなさい｡ もう少し寝てく｡ え～！ せっかく 幼稚園から皆勤賞なのに？ 心配しないで 皆勤賞は続けます｡ はい？ 悪ぃ｡ あっ｡ 何か 翔平 用事で来られなくなったって｡ え～！ 残念｡ 最後かもなのに 一緒に行けるの｡ その分 俺達２人で楽しもう｡ うん｡ てか 浴衣なんだけど リアクションなし？ うん すっげぇ➡ かわいい｡ へへっ 言わされてる～｡ あ～～｡ やっぱ花火は近くで見なきゃね｡ はい たこ｡ はい｡ いつになったら たこ食えるようになるの？ 焼きの部分が おいしいの｡ あっ！ はぁ…｡ 普通の女子高生として 祭りに行けるの 幸せだ｡ アイドルにでもなった人が言う セリフだな｡ なったんだもん 私｡ 世界で超有名なアイドルに｡ へぇ～ 夢の中で｡ 感謝しな こんな田舎の ちんけな祭りに私と参加できて｡ それは どうもありがとう｡ はい｡ ついでに…｡ ん？ 俺の お嫁さんに なってくれませんかね？ バカ…｡ いや マジで➡ 俺の彼女になるっていうのは ダメ？ え？ ダメですか？ ウフフフ… 吾朗ちゃんの 真面目な顔っておかしい！ 真面目に言ってんだ｡ 俺の彼女になってほしい｡ 熱っ！ んにょ｡ 悪ぃ｡ 何か 翔平 用事で来られなくなったって｡ あ～ そう｡ 浴衣 かわいいじゃん｡ じゃなくて 浴衣姿の未羽がね｡ どうも｡ 何だよ 何かおかしいよ｡ いや そんなことないけど｡ 昔は はぐれないように こうやって 手つないだ｡ あっ たこ焼き！ たこ 食えるようになってるなんて｡ 俺が食ってやんのに｡ もう１８歳だかんね～｡ 吾朗ちゃん たこ…｡ 付き合ってみないか？ 俺達｡ 何で たこの話から急に？ 今日 ずっと… ずっとタイミング うかがってた｡ 未羽のことが 好きだ｡ う～ん…｡ うぅ… うぅ…｡ 好きだ｡ あぁ… あぁ…｡ 好きだって｡ んにょ｡ 悪ぃ｡ 何か 翔平 用事で…｡ 恋人とか 今はいらない｡ 何だよ？ 急に｡ よし 花火 見に行こう｡ 俺は 未羽に恋人になってほしい｡ 好きだ｡ テイっ！ 痛っ！ えっ？ 何で 祭り来なかったわけ？ 来なかった？ いや 明日だよね？ 祭り｡ あっ そうだ 明日…｡ 明日 翔平は 用事があるって祭りに来ないの｡ それだと 吾朗ちゃん…｡ とにかく大変なの！ はい…｡ 祭り一緒に行こう お願い｡ いや 吾朗から 一緒に行くのは なしになったって聞いたけど…｡ え？ はぁ… そういうことか｡ え？ だから…➡ 吾朗ちゃんは 私に➡ 恋をしてる｡ 恋？ ずっと近くにいたし➡ 今の関係が大切だから｡ 恋…➡ って どんな感じなの？ その 恋って｡ は？ いや 昔はそういうのあったって➡ 聞いたことあったんだよ 聞いたことあったんだけど…｡ あっ ごめんごめん 昔っていうか あの… 今｡ で どんな感じなの？ 恋｡ はぁ～｡ う～ん… 相談する相手 間違えた～｡ とにかく 祭りは絶対に来てね！ 来てね！ 恋…｡ 恋｡ う～ん！ う～ん！ フフフ…！ う～ん うまっ！ フフフ…！ あ～ うまっ｡ あっ ねぇ 母さん 恋ってしたことある？ 何？ 突然｡ いや 僕にも 恋できんのかな～と思って｡ だってね 恋ができんのって 当然じゃないんだよ｡ 今から５００年前 戦国時代は 政略結婚が主流だったように➡ １００年後の未来にも 恋は存在しません｡ (奈緒子) フフフ…｡ 遺伝子の適性で配偶者が 割り当てられるからね｡ ハハハ… 恋ができない人なんていないわ｡ そういうもん？ (奈緒子) ええ｡ ゆっくりと恋を見つければいいの｡ そっか…｡ アハハハ…！ う～ん！ あ～！ どいつもこいつも｡ また 合コン ダメ？ いやね モテるんですよ｡ でも こう みんなシャイだから➡ もっと こう ガツガツっと来てくれれば➡ 私も すぐ落ちちゃうんですけどね｡ (由梨) いらっしゃい｡ どうも｡ あっ 前川先生？ あっ 矢野先生｡ こ… この店 来るんですか？ ええ たまに｡ えっ 何か遠くない？ 仲悪いの？ いや…｡ あぁ じゃあ お隣 いいですか？ あ… ど… どうぞ｡ (由梨) 飲み物 何にしますか？ ビールで｡ (由梨) は～い｡ (三浦) ビール １丁！ た… 食べてください｡ あ～ ありがとうございます｡ ピンチを助けて恋が始まる｡ ピンチを助けて… 恋｡ 悪ぃ｡ 何か 翔平 用事で来られなくなったって｡ 用事なくなったって！ え？ この｢かき こおり｣ってやつ 超うまくない？ ヤバっ！ 最後かもだし ３人で行けてよかったよね？ うん｡ マジ うまい｡ ＜タイムリープできるように なったからって➡ じゃあ 試しに付き合ってみよう って気持ちにはなれない＞ ＜初めての彼は 初めての恋は…＞ (花火の破裂音) ＜やり直しできないものに したいの 絶対＞ かぶってんだよ… かぶってる…｡ 行くよ 準備いい？ よし行け！ はい｡ はい｡ はい｡ 撮れてる？ 撮れたよ｡ 撮れた？ ホントに？ 絶対 撮れた 絶対 撮れた｡ 遅っそ｡ だから俺が買いに行くって 言ったのに｡ 冷やしパイン うまっ！ そんなに？ う～ん！ 怖い怖い…！ うま過ぎて 怖い！ フッフ～！ 冷やしパイン うんまっ！ ありがとうございます｡ はい どうも｡ 焼きそば｡ えっ？ ≪何？ 何？≫ ≪キャ～！≫ ≪キャ～！≫ ≪おい！ おい！≫ ≪誰か…！≫ ≪キャ～！≫ ≪おい！≫ ≪よし！≫ ≪せ～の！≫ ≪よいしょ！≫ ≪大丈夫か？≫ 翔平！ ≪おい 大丈夫か？≫ ≪せ～の！≫ 翔平！ 翔平！ イヤ～‼ んにょ あっ！ はっ はっ｡ あっ！ ハァ ハァ ハァ…｡ 翔平！ 翔平‼ 怖い怖い…！ うま過ぎて 怖い！ 危ない‼ あっ！ うっ！ ハァ ハァ ハァ…｡ 翔平！ 翔平！ 危ない！ 痛ぇ｡ 何してんだよ｡ あ～！ パイン…｡ はぁ よかった｡ よかった 無事で｡ いや 無事じゃねえよ パイン！ どうしたの？ これが崩れて来て 翔平が下敷きになってね➡ もう 大変だったんだから…｡ ホントなの｡ (男性) おぉ 危ねぇ 危ねぇ おい｡ 縄交換するから 新しいの持って来い｡ はい｡ もう 死んじゃったと思って｡ もうダメだと思って…｡ だから よかった 翔平が生きてて よかった｡ 何で泣いてんだよ｡ 心配したの！ バカ｡ ハハハ…｡ 笑うな｡ 泣き過ぎ｡ 笑うな｡ 泣いてるからじゃん｡ 泣いてない｡ フランクフルト うま過ぎじゃね？ っていうかさ 何がフランクなわけ？ ネットで調べろよ｡ いや フランクなフルトって何？ フランク… 分かんない｡ うま過ぎ｡ 家まで送るよ｡ あぁ…｡ 翔平に怒ることあるから 翔平と帰る｡ えっ？ ちょっと待ってよ まだ怒ってんの？ 知らないんだけど…｡ じゃあ 明日｡ あっ いや… 月曜｡ バイバイビ～｡ 吾朗ちゃん 僕を家に送って 吾朗ちゃん…｡ で 何で怒られなきゃ いけないんですか？ ウソ｡ えっ？ 今日は吾朗ちゃんと ２人になれないから｡ あ～ 告白されるから｡ ひどいよね～ 私｡ ＜確かじゃないけど きっと このコは時間を戻して➡ 僕の命を助けてくれた＞ ＜泣いた顔が変で➡ でも うれしかった＞ (犬の吠え声) わっ！ すいません｡ フフフ…｡ 昔 犬に追い掛けられた｡ ⦅吠え声⦆ ⦅あっち行って！⦆ ⦅吠え声⦆ ⦅あっちへ行って！⦆ (未羽の声) 私ばっかり狙われて➡ すごい怖くて…｡ ⦅大丈夫？ 未羽⦆ ⦅泣き声⦆ ⦅未羽 もう大丈夫だよ⦆ (未羽の声) あの時…｡ 吾朗ちゃんが必死に助けてくれた｡ 違う 僕だよ｡ 翔平が必死に助けてくれた｡ あの時 翔平が必死に助けてくれた｡ 懐かしいね｡ そうだね｡ (赤木) おい！ (女性) いいかげんにしてよ｡ 何なの？ このメールは｡ ひとのケータイ 勝手に見んじゃねえよ｡ (赤木) 痛っ！ (女性) 最低！ 痛った…｡ 恋が１つ 世界から消えた｡ 恋をすると ああやって終わりが来る｡ だから怖い｡ 吾朗のこと？ ずっと仲良しのままがいい｡ こんなに翔平と話したの いつぶり？ 思い出せない｡ うん でも いっぱい話せてよかった｡ うん｡ じゃあ｡ その浴衣 いいね｡ おやすみ｡ おやすみ｡ ♬～ ♬～ 未羽 あと５分｡ えっ？ ♬～ ５分！ ５分？ ♬～ ♬～ ♬～ おはよう おはよう おはよう｡ おはよう｡ おはよう｡ ＜帰れなくなった その時代には➡ 夏と 恋があった＞ (櫻井) さぁ 『時をかける少女』 始まりましたね‼ 相葉さん ﾋﾞｯｸﾘした？ あんな展開｡ (相葉) ビックリよ！ さぁ そんな『時かけ』から 今夜 こちらの おさん方➡ 来ていただいております！ 今夜 ドラマで盛り上がって➡ そこから 盛り上がって行きたいと 思います 『嵐にしやがれ』…｡

妖怪人間ベム＃07

1 （ベラ）　さぁ　行くよ！　あんた達。 （ベロ）　お～！ ちょいと　お前さん　早くおしよ！ （ベム）　ああ。 何　悩んでんの？ 早く悪い人の涙　集めに行こう！ 分かってる だが　まず先に夏目さんの所へ。 あぁ　そうだねぇ 刑事だし　まず相談に…。 いや　涙のことよりも　まず ちゃんと伝えたいんだ。 誠くんの事故のことを。 （東郷）((忘れろって　いったろ ５年も経つんだぞ？)) （大久保）((無理だよ　あの爆発は 僕のせいなんだ)) んじゃ　すぐさま 夏目　見つけてやろうかねぇ。 どう？　見えた？ ん？ （鷹山）　金なんてねえよ！ （男）　さっさと出せ！ 何だ？　てめぇ。 くそ～！ うっ…　あっ！ また　首　突っ込むんだから。 関係ねえだろう 引っ込んでろよ！ ♪♪～ （男）　何　こいつ…。 さすが　ベム！ あっ　あいつらの涙　集めてみる っていうのは　どうだい？ 今は　まず夏目さんに…。 あんたが寄り道したんだろう！ 超すげぇ…。 カッコよ過ぎっすよ！　アニキ！ アニキ？ 俺　鷹山っていいます。 ってか　今 もう　マジ感動してて…。 あの　仲良くさせてもらっても いいですか？ よろしくお願いします！ な～んか 面倒くさいの助けちまったねぇ。 この人　おとうとになるの？ いいから。 すまないが　これで…。 いやいや　ちょっちょっ…！ ちょっと！　待ってくださいよ！ あっ…。 えぇ～？ パパさ～ん！ （夏目章規）　ハハハ…。 誠くんの 事故のことなんですが…。 あぁ…。 大久保なら自供しました。 ベムさんの言葉通り→ 「５年前の爆発事故は 自分が起こした」と…。 そうかい。 偶然　耳にしたんです。 すぐにでも お伝えすべきだったんですが…。 気を使ってくれたんですよね ありがとうございます。 実際　戸惑ってます。 ((爆発音)) ((誠～～!!)) あいつさえいなければ 誠は　死なずに済んだ…。 正直　殺してやりたいほど 憎いです。 でも　まぁ　原因がどうであれ→ 誠が命を落としたことは 事故には変わりがない。 そう思うことにしましたから。 辛いけど　仕方ないです。 フフ…。 あぁ　ありがとうございました また事件解決してもらっちゃって。 いえ…。 かえって 迷惑かけてるんじゃないのかい？ えっ？ あたしら　散々　犯人に→ 正体　見られちまってるからねぇ。 それが妙なんですよ。 皆さんが　捕まえてくれた 容疑者なんですけど→ ベムさん達のことどころか→ 事件を起こしたことも 忘れてるんですよ。 いや…　訳分からないんですけど→ 何でも　帽子をかぶった男に 声をかけられて→ それから 記憶が曖昧になってるとか。 どうやら　悪い奴らの涙にも 関係してそうだねぇ。 え？ 実は　犯人の涙で　ベロの肩が 人間の皮膚に変化したんです。 あぁ…　えっ？ おいらの　ここが変わったの。 この街に来るまで そういうことは…。 その帽子さんが　人間になる ヒントを知ってるのかな？ けど　やみくもに 「帽子の男」っていわれても→ 捜しよう　ないじゃないか。 あっ…　実は　俺　あの→ そいつかもしれないって男に 会ってるんですよ。 えっ!? （夏目） あの顔　どこかで見た気が…。 どうだい？　思い出せそうかい？ どこで見た顔なんだい！ すいません。 はぁ…。 俺は　この辺で　もう…。 別に見送ってるわけじゃ　ないよ。 おいらは見送りだよ？ 俺もです。 こ～んな大人 送ってやる必要ないだろう！ （鷹山）　あっ　あぁ…！ あっ　と…　はぁ～！ やっと見つけましたよ　アニキ→ もう　急に いなくなっちゃうんだもんな。 あの　こちらは…。 鷹山です！　アニキには いつも　お世話になってます。 今日　初めて会ったんです。 うまく　まいたつもり だったのに…。 （鷹山）　そんなこと いわないでくださいよ→ アニキん家に 泊めてもらおうと思ってんのに。 冗談じゃ　ないよ！ かわいそうだよう…。 頼みますよ　アニキ！ （鷹山）　う～ん…　ドュ～！ （夏目優以）　おぉ　すご～い！ （夏目菜穂子）　すごいねぇ。 （鷹山）　じゃあ　もう一回　行くよ？ （菜穂子）　はい。 やはり　ご迷惑では…。 全然！　全然！ 悪かったねぇ 変なことに巻き込んじまって。 ほら　菜穂ちゃんも優以も 喜んでるみたいだし。 いいなぁ　おにいさん お泊まりできて。 おいら　朝から　遊びに来る！ （鷹山）　あれ？　あ～！ 優以ちゃん おにいちゃんいるんだ～。 まだ　帰って来てないんすか？ あぁ　いや…。 あっ　塾か何かですか？ あっ…。 （アラーム） あっ　鷹山君　お風呂へ　どうぞ。 あっ　マジすか!? じゃ　お先　失礼します。 フフ…　いろいろ ありがとうございました。 お先です。 あぁ　気にしないでくださいね。 どれどれ　俺にも教えて？　ん？ ホントに優しいなぁ　パパさん達。 おいら　人間になったら ああいうふうになりたい。 ああ。 そのためにも　「帽子の男」ってのを 捜さないとねぇ。 がってん　しょうちのすけ！ ったく…　言葉が古いんだよ あんたは。 ≪あっ　ねぇ　あれやって≫ （名前の無い男） もうすぐですよ　もうすぐ…。 ♪♪～ ♪♪～ せ～の　イチ　ニ　サ～ン！ ＜それは　いつ生まれたのか 誰も知らない＞ ＜暗い音のない世界で　１つの 細胞が分かれて増えて行き→ ３つの生き物が生まれた＞ ＜彼らは もちろん　人間ではない＞ ＜また　動物でもない＞ ＜だが　その醜い体の中には→ 正義の血が隠されているのだ＞ ＜その生き物　それは→ 人間になれなかった 妖怪人間である＞ ♪♪～ ♪♪～ あの男が　お金を？ （夏目） 起きたら　もう　いなくなってて→ 何か　このマフラーだけ 忘れてってて…。 優以ちゃんのも持ってったんだ。 許せないねぇ。 （優以）　そんなに怒らないで 大丈夫だから。 うん　お財布の中にも 大して入ってなかったし。 すいません　俺達のせいで…。 あっ　いや… 俺がマヌケだから悪いんですよ。 いや　刑事の家から盗むなんて やるなぁ！　鷹山　ハハハ…。 ベム！　おにいさん　捜して！ すぐに 「ごめんなさい」させなきゃ！ ♪♪～ （鷹山）　あ～　もう！ 届かねえじゃねぇかよ→ 何だよ　これ！ 手伝ってやろうかい？ どういうつもりだ？ チッ。 はいはい　返しゃいいんだろ？ はい。 何だい？　その態度。 ねぇ　優以ちゃん家 謝りに行こう。 はぁ？ それが　お前の本当の姿か？ そうだよ。 おめぇらが能天気そうだから 利用してやったの。 じゃ。 待ちな！ （鷹山）　何すんだよ！ ≪いたぞ！≫ 逃げんな　こら！ 懲りない奴らだねぇ。 邪魔すんなよ！ 俺らは　山田に盗まれた金→ 取り戻そうとしてる だけなんだよ！ えっ？　山田？ へっ？　鷹山じゃないの？ あれ～？ （夏目）　「山田」？　偽名だったのか。 （辻）　そいつ　何か やらかしたんですか？ いや　そういうわけじゃないけど ちょっとな。 （辻）　とんでもない奴ですね。 何ですか？　この逮捕歴。 ♪♪～ （玄関のチャイム） （山田）　はい。 よう。 えっ　何で？ 俺　刑事なんだよ。 最悪…。 ちょっと　いいか？ いやいや　ちょっと→ 何　勝手に　入ってんすか！ おぉ　はぁ～　なるほど！ （夏目）　おぉ！　野球好きなのか！ いや　関係ないでしょう。 あらら…　ニンジン残しちゃって ダメだぞ？　好き嫌いしちゃ。 マジ　何なんすか？ 用　ないなら もう　帰ってもらっていいすか？ ホントに金　困ってんなら 飯　食いに来いよ。 まぁ　こうやって知り合えたのも 何かの縁なわけだし。 （山田） そういう感じのなら結構です。 へっ？ 触れ合いとか そういうの　いいんで。 はい　じゃあ　俺のこと もう　忘れちゃってください。 （夏目）　いや　ちょっ　おい…。 ちょっ　おっ…！ どうも　どうも　じゃ。 （ドアが閉まる音） はぁ…。 夏目さん。 ベムさんも　山田が気になって…？ ええ。 あいつ　何度も補導されてて→ 署内じゃ　結構 有名らしいんですよ。 （夏目の声） 小さい頃に両親が離婚して→ ずっと母親と２人暮らしだった そうなんですけど。 ５年前　母親が爆発事故に 巻き込まれて亡くなって→ 特に荒れたそうで。 ５年前…。 誠と同じ事故です。 俺も驚きました。 でも　それ知ったら　何か ほっとけなくなっちゃって。 フフっ…。 まっ　大したことはできないけど ささやかでも…→ つまようじぐらいには 役に立てたら…　ハハっ。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ あの…！ （飯塚）　はい。 何か？ あっ　いや…。 ♪♪～ ただいま。 おかえり。 取られた　お金　ちゃんと 優以ちゃん家に返しといたよ。 ありがとう。 かぁ～！ どこに消えたかと思ったら→ また　首　突っ込んでたのかい？ もう　いいだろう。 これ以上　あいつと　かかわって やることなんかないよ。 そうだよ！ 優以ちゃん達　騙した→ 悪い奴なんだよ？ それに人間になる手掛かりも 増えてんだ。 そっちを探るほうが 先なんじゃないのかい？ だが　俺も　なりたいんだ。 つまようじに。 はっ？ あ…　いや。 [TEL]（菜穂子） 私も心配…　ちょくちょく のぞいてあげてね　山田君家。 ありがとう　菜穂ちゃんなら そういうと思った。 [TEL]　笑い方が似てるんだよね。 えっ？ 誠も　あんなふうに　口を大きく 開けて　笑ってたじゃない？ うん。 あっ　じゃあ　もう近くだから 待ってて。 ハァ　ハァ…。 ハァ～。 （名前の無い男） ((息子さんが亡くなった事故→ あれが　もし　誰かに 仕組まれたことだとしたら？)) ((大久保さん　確か→ 「システムにトラブルはあり得ない」と いってましたよね？)) ((ええ　試運転の時も完璧でした)) ((だとしたら　あの事故→ 第三者が起こしたって可能性は ありませんか？)) ((あり得ませんよ)) ((そんなことできるのは 開発者の僕以外)) ((はぁ…)) ((強いていうなら　東郷は…)) ((東郷？)) ♪♪～ （緒方浩靖）　お待たせ　お待たせ。 どうだい？　悪い奴と　いい奴の 涙の違いってのは。 それがねぇ いろいろ文献を探したんだが→ そのことについて調べた 記録がないんだ。 じゃあ　分からないの？ すまない　力になれなくて。 （日出美）　早くに　答えが 見つかるといいですね。 えっ？ もう　分かってるんです あなた達の正体。 （緒方） みんな　君達のことについて 不思議がってたんだよ。 （緒方小春） 昼も夜も動き回ってるし→ いつも　気ままって感じだし。 それで　話し合って 結論が出たんです。 君達…。 探偵でしょ？ はっ？ ん？ そうでなけりゃ こんなことを調べたりしない。 夏目君と親しいのも そういう理由だ。 違うよ。 またまた～。 でも　尾行してて 気づかれちゃいません？ その格好。 えっ？　あっ　いや…。 調べてるってことは　私達の先祖も 事件に関係してるの？ あ～　いい　いい！ やっぱ　秘密だよね。 （緒方）　そんな探偵さんに お知らせがあるんだ。 お知らせ？ このステッキについて 分析結果が出たんだ。 どうやら　それによると→ これは　人間の骨で 出来てるようだよ。 ♪♪～ （山田）　うっ！ うっ…。 （東郷）　大久保のことですよね？ あいつ　大丈夫ですか？ あまり　精神的に 強いほうじゃないから。 東郷さん ご存じなかったんですか？ あ～　事故のこと。 あの…　本人から 打ち明けられたりとか。 いえいえ…　ニュースで見て→ 驚きました。 あぁ…。 大久保さん　あなたのこと 優秀な開発者だといってました。 あぁ　そうですか。 「事故を起こした あのシステムも→ 自分の他に扱えるのは 東郷さんだけだ」って。 実は　あの事故→ 人為的なものじゃないかという 情報がありまして。 ♪♪～ 何なの？　お前 首　突っ込んで来んなよ。 うっ　うぅ…。 なぜ　あの男を刺そうとした？ うるせぇんだよ。 うっ…。 そんなことをしても→ 悲しみが深まるだけだ。 俺には　あいつを殺す権利がある。 あいつは…→ 俺の親父なんだ。 あいつが　俺達を裏切ったんだ。 （山田の母）((あぁ…　ねぇ！ やめてよ！　やめて！)) （飯塚）((うるせぇな！)) （山田）((お母さん！)) （山田）((ねぇ　お父さん 約束したよね？)) ((また野球　連れて行って くれるんでしょ？)) ((悪いな　幸平な)) ((行かないでよ！)) ((うるせぇ！)) ((うっ！　あぁ～!!)) （山田の母）((幸平　大丈夫!?)) （山田の母）((幸平！　幸平！)) ((山田の泣き声)) ((面倒くせぇな　チッ)) ((山田の泣き声)) （山田の母）((幸平…　あぁ…)) ((山田の泣き声)) 面倒くせぇんだって。 あいつ　俺　育てんの 面倒くさかったんだよ。 そのせいで　母さん 昼も夜も働きっ放しで→ どんどん　やつれてってさ。 揚げ句の果てに 事故に巻き込まれて…。 全部　親父のせいなんだよ。 母さんの人生も　俺の人生も あいつのせいで…。 はぁ…。 あんな奴と 関係ない人生　送りたいのに→ あいつの言葉が 頭から離れねえんだよ。 みんな　どっかで 俺のこと　「面倒くせぇ」って→ 思ってんじゃねえかって。 こいつも　いつか 裏切るんじゃねえかって。 こんなに苦しんでんのに…。 あいつ　息子の顔　忘れてたんだよ。 フッ…　フフフ…。 もう　これ　殺す権利あるだろ？ 離れて暮らしていたんだ すぐには　思い出せないことも…。 完全に忘れてんだよ！ こっちは　いつか 「このゴミ野郎　殺してやろう」って→ 見たくもねえ顔 忘れねえようにしてんのに…。 分かったろ？ ♪♪～ これを使えば その言葉は消えるのか？ うっ…　うぅ…。 もう　逃げるのをやめたらどうだ？ そうすれば 何かが変わるかもしれない。 頭の中の言葉も…→ 父親も。 分かったよ。 お前の言う通り 逃げずに　あいつと向き合って→ 俺のこと　思い出させてやる。 それから　じっくり… 苦しめて　殺してやるよ。 あの傷　おとうさんに？ ああ。 だからって　許せないねぇ。 自分の全てを 父親のせいにしてるだけだろう。 しかし…。 もう　おしまい　おしまい。 そんなことより　今は→ ステッキが骨だったことのほうが 重要だよ。 本当に 人間をつくろうとしてたんだね。 あたしらを　つくり出したのは こいつに間違いなさそうだねぇ。 じゃあ おいら達のおとうさんになるの？ そんなもんかねぇ。 会ってみたかったなぁ。 どんな人だったんだかねぇ。 優しい人だったら　いいなぁ。 山田は　こんな気持を 裏切られたのかもしれないな。 ♪♪～ ったく　これ終わったら 手掛かり捜しに行くよ。 あの…。 隣　いいっすか？ どうぞ。 あっ。 ♪♪～ あっ　俺　鷹山っていいます。 あの　友達の見舞いに来たんすけど 寝ちゃってて。 あぁ。 はい。 あの…　どこか悪いんですか？ いや　大したことないよ。 ちょっと胆石がね。 あ～。 家族の方は心配しません？ 家族いないから。 そうですか。 あぁ！　この４コマ 面白いですよね。 （飯塚）　≪そう？≫ な～にやってんだい。 [TV]　みぴょこぴょこ～　イエ～イ。 （山田）　アハハハ…！ [TV]　「みぴょこぴょこ」 いえてへんがな～。 （咳払い） 喋りもしなくなっちまったよ。 距離があるね。 （山田）　あっ！　角…。 あの　飯でも　どうですか？ （山田） あっ　食事って出ますもんね。 いや　いいよ。 えっ！　マジっすか？ 出場するんですかね？ あっ　ほら　来年の ワールドベースボール何とかって。 あぁ…　何　野球　好きなの？ はい　割と。 おぉ　俺もだよ。 昔はさ　球場まで 見に行ったりしてたんだよ。 あっ　じゃあ これ誰か分かります？ 鷹山じゃん。 はい。 へぇ～　いや　地味だけどね 好きだったんだよ　こいつ。 俺もです。 あれ？　君　名前　一緒じゃん 何　偶然？ はい。 あ～。 どうかしました？ ん～　いや　ちょっと息子のこと 思い出しちゃってさ。 俺さ　昔　女房と子供　捨てたんだ。 今　思うと　ひどいことしたなって 思うけどさ。 クズだよ　クズ。 今さら　わびたって→ どうしようもないのは 分かってんだけどさ。 すまなかったなって思ってさ…。 （泣き声） あっ　これ　ありがとう。 今さら　何いってんだろうな あいつ。 そのボールって　何なの？ う～ん。 唯一の思い出っつうか。 昔　一回だけ→ 野球　見に 連れてってもらったことあってさ。 そん時のホームランボール。 あん時だけは　俺のためだけに このボール取ってくれたんだよな。 フフっ。 あ～　何か バカらしくなって来たな。 はぁ…。 あっ　いや　俺の顔　覚えてない奴 殺したって仕方ねえっつうか。 うん。 じゃ　あたしらは 退散するとしようかねぇ。 でも…。 あとは「親子水入らず」ってやつさ。 そうだろう？ はぁ？ べっ　別に　そんなんじゃねえよ。 じゃ。 ほら。 ♪♪～ （飯塚）　でね　さっきまで 一緒にいたのよ。 （患者） 息子だって気づいてたわけ？ （飯塚）　まぁね。 （患者）　やっぱり→ 会ってなくても 息子の顔は忘れられないってか。 いや　それがさ さっぱり覚えてねえんだよ。 でもねぇ→ 傷だけは消えねえからな。 （患者）　じゃあ どうして知らないフリなんて…。 だって怖いじゃないの 今さら　ひょっこり現れてさ→ 何されるか 分かったもんじゃないよ？ （飯塚） ヘヘっ　だけどバカだよな→ こんな　すっからかんの 俺ん所に来たってさ。 （患者）　けど　どうすんの？ （飯塚）　いや　平気　平気→ 俺はね　迫真の演技を見せたからね もう来ないよ。 ♪♪～ ♪♪～ うわ～～!! （患者） ♪♪～ 誰か！　誰か来てくれ！ ♪♪～ うわ～～!! ♪♪～ うぅ…!! ♪♪～ ♪♪～ うぅ…！ ♪♪～ もう　そんなもんも ♪♪～ 必要ないだろうねぇ。 ♪♪～ （夏目）　≪ベムさん！≫ あの　山田 どこ行ったか知りませんか？ え？ 実は　あいつ　父親に暴行を。 えっ？ えっ？ ♪♪～ （名前の無い男） 裏切られるのは苦しいですね。 だから　裏切られる前に→ こちらが裏切る。 （名前の無い男） そうやって　あなたは 生きるしかなかった。 何なんだよ　お前 こっち来んじゃねえ！ あっ…。 もう逃げるのは　おやめなさい。 （山田）　あぁ…！ （名前の無い男） あなたの目　何だか渇いてますね。 （山田）　おかえり　父さん。 ♪♪～ 何だよ　それ…。 や…　やめろ！　幸平…。 ちゃんと覚えててくれたんだ 俺の名前。 あの　何を…。 シッ。 （山田） もう逃げないでよ　父さん。 （飯塚）　うっ！ ちゃんと受け取ってよ。 うわ～!! （山田の声）　ダメなんだよ。 どう　あがいても 逃げらんねえんだわ→ お前の言葉から。 （飯塚）　は？ （山田）　「面倒くせぇ」。 「面倒くせぇ」「面倒くせぇ」。 待ってくれよ…　俺が悪かったよ。 お前の頼みなんか聞かねえよ。 面倒くせぇ。 うぅ！　ひぃ～！ もう　やめるんだ。 ♪♪～ ほら　物騒なもん　渡しな。 バカなまね　やめろ！ どうして　俺が責められんだよ！ 悪いのは親父だろ!? 何で　あんな奴が親なんだよ。 関係ない奴だったら ここまで苦しまなくて済んだのに。 おにいさん。 もう　ほっとけよ！ いいじゃねえか 俺が　どうなろうと！ いいわけないだろ!! 俺も　５年前　あの爆発事故で→ 息子を失ったんだよ。 （夏目）　だから…。 だから　お前のことは ほっとけないんだよ。 ウソだ。 どうせ　お前も裏切るんだ。 なぜ…→ 人間に期待しない。 信じられる人間だって→ いるというのに。 うるせぇ。 邪魔すんなよ!! うわ～！ 山田！ （山田）　うわ～～！ ♪♪～ ♪♪～ （山田）　あっ…。 ♪♪～ ♪♪～ ハァ　ハァ…。 ♪♪～ あっ…　あ…。 ♪♪～ ♪♪～ うぅ…。 ♪♪～ うぅ…！ ♪♪～ ♪♪～ うわ～～!! ♪♪～ ♪♪～ （山田）　あっ　あっ…！ ♪♪～ ♪♪～ うわ～～!! ♪♪～ ♪♪～ 変わった。 ♪♪～ ♪♪～ （パトカーのサイレン） ん？ （パトカーのサイレン） ねぇ　これ。 （パトカーのサイレン） （パトカーのサイレン） チッ。 何だ　お前ら。 これを　お渡ししに。 あなたにとっても 大切なものだと思って。 いらねえよ。 思い出のボールなんでしょ？ 何が思い出だよ。 どこでもいいから 捨てといてくれよ。 本当に父親なのかい？ ひどいよ。 うっ　うぅ…。 一度　痛い目見なきゃ 分からないみたいだねぇ。 うっ…　ハァ　ハァ…。 待て！ このまま指くわえて 帰れっていうのかい？ 期待しよう。 いくら…→ 裏切られても。 ♪♪～ やっぱり 今までの犯人と同じですね。 なるほど。 ２人で ヒソヒソやってんじゃねえよ。 何だ？　その態度は。 やめろ　落ち着いて　落ち着いて→ まぁ　座れ。 もう　どうでもいいんだよ。 優以がな　練習してんだよ あの～　ペン回すやつ。 （夏目の声）　うまくなって お前に見せたいんだってさ。 あれ～？ あと　あのマフラー お前　忘れてったろ？ 穴の開いたやつ。 （夏目の声）　あれ　預かっとくから。 ♪♪～ だから　ちゃんと ♪♪～ 自分で取りに来い。 ♪♪～ ♪♪～ はぁ～　面倒くせぇ。 ♪♪～ ♪♪～ あっ！ ほら　遊んでないで さっさと手掛かり捜しな。 いろんな発見はあったけど→ 肝心なことは　何にも 分かっちゃいないんだからねぇ。 え？　じゃあ　まだ人間になれるか 分からないの？ そうさ　真実を知って苦しめられる ってこともあるだろうからねぇ。 ほら　ガラスに気をつけて ちゃっちゃと片しな。 は～い。 （名前の無い男）　≪こんばんは≫ ♪♪～ 悲観する必要は ♪♪～ ありませんよ。 ♪♪～ あなたは…。 もうすぐ ♪♪～ 人間になれますから。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ＜ハガキに必要事項と 番組の感想をご記入の上→ ご覧の宛先まで お送りください＞

受験のシンデレラ＃05

1 (五十嵐)いよいよ 全国模試だ｡ いいか？ 結果は気にするなよ｡ (試験官)始め！ (千枝子)私 娘のお金➡ 手つけてまで出てきたんだよ｡ このまま帰れる訳ないじゃない！ (宇佐美)俺たち５人全員 東門ｾﾞﾐﾅｰﾙの創設者なんだ｡ (小宮)病気の事 あの子 知ってるのか？ いや｡ …ってか言えねえよ｡ ずっと隠し通せるとは思えない｡ (裕太)本当に大切な人に 出会える確率 24億分の１｡ どうした？ 沖田｡ お前らしくない｡➡ 何か 悩みでもあるのか？ (真紀)せっかく 勉強 楽しいって 思えるようになったのに➡ ｢東大合格５％未満｣なんて｡ 大丈夫だ｡ 俺がついてるから｡ 見てろよ 東大！ (扉が閉まる音) あっ お帰り！ ちょっと 背伸びた？ …なんてね ﾊﾊﾊﾊ｡ どこ行ってたのよ？ うん 意外とね 近くにいたのよ｡ そんな事 聞いてない！ お金返して｡ 早く！ そんな わぁわぁ言わないで｡ すぐ返すから｡ ちょっと 今 いろいろあって スっちゃったけど…｡ は!? すぐ返すから｡ 前のお店 ママに頼んで もう一回 働ける事になったから｡ あっ ねえ 何か おなかすいちゃった｡ 焼きｶﾚｰ作って｡ どんな顔して そんな事 言えんのよ！ よく言えるよね｡ しかも焼きｶﾚｰ？ 何？ ｢焼き｣って｡ こないだｶﾌｪで食べたら おいしかったの｡ 知らないし！ あ これ 忘れもん｡ 合格率５％未満なんだね Ｅ判定って｡ 消費税が それくらいに戻ってくれると➡ うれしいんだけどね～｡ で 続けんの？ 大学って 結構 受験料かかるんでしょ？ 何で 受かったら しっかり学費取るくせに➡ 受験料まで取るんだろうね｡ やめるつもりないから｡ えっ!? ねえ 意地になったって 無理なもんは無理なのよ｡ あんた 私に似て 勉強とか向いてないんだから｡ ねえ 別に諦めたからって 落ち込む事ないのよ｡ ≪(千枝子)あっ ママ？ うん ちょっと 親戚に不幸があって➡ ﾊﾞﾀﾊﾞﾀして連絡できなくて｡ で もし空いてたら➡ また お店出たいんだけど…｡ 働ける事になったって 嘘かよ｡ <ｼﾝﾃﾞﾚﾗは きっと思ってた｡➡ もし お母さんが生きていたら｡➡ お父さんが 再婚なんかしなければ> <でも…➡ どれだけ ｢たら｣｢れば｣を言っても むなしいだけ> <現実の世界では ｢たられば｣を言えば➡ 魔法使いが出てきて 願いを かなえてくれるなんて事はない｡➡ だから 自分から戦って 勝ち取るしかない> これが入ったら あと１年 生きられる｡ これが入ったら あと１年｡ ♬～ 今の嘘｡ なしなし｡ 嘘 嘘｡ 嘘だ 今の！ あ～っ！ ♬～ 受験の極意｡ はい！ はい？ 昔 遠足 楽しみだったろ？ 忘れ物がないか 前の日の夜にﾁｪｯｸして➡ 次の日の朝 出発前には もう一度 ﾁｪｯｸしてたよな｡ うん｡ おやつ ちゃんと入ってるかなとかね！ 試験も同じだ｡ 解けたと思って油断して 見返さない｡ それが ｹｱﾚｽﾐｽを生む｡ 例えば この間の模試の この問題｡ ああ｡ 解けたと思って 確かめ算しなかったろ？ すいません！ それが油断だ｡ ｹｱﾚｽﾐｽをなくすには➡ 常にﾁｪｯｸする習慣をつけろ｡ たった数秒でミスは防げるんだ｡ その習慣を 体に染み込ませろ｡ 分かりました｡ ああ…｡ よし 今日からは 本格的に 世界史始めてくぞ｡ 世界史！ よし 来い！ よし ﾊﾞｯﾁ 来い！ どうした？ おい｡ え？ 明らかに お前のﾃﾝｼｮﾝ 今日 変だぞ｡ 何かあったか？ 何も｡ お前みたいに 嘘つくのが苦手なやつも珍しいな｡ 帰ってきた｡ そうか｡ で 何て言ってた？ ｢背伸びたんじゃない？｣って｡ え？ いやいや 伸びてないからね｡ ああ…｡ でも 何で急に？ さあ｡ お金無くなって どうしようも なくなったんじゃない？ また 同じ店で働きだした｡ まあ 別に どうでもいい｡ ほら 世界史やろう｡ 世界史は分量が多い｡ でも 歴史なんて単純だ｡ 基本 ｲｹｲｹのやつが出てきて 国を治め そのうち 力を失って➡ また新しいｲｹｲｹなやつが出てきて 国をつくる｡ その繰り返しだ｡ 皮肉だな｡ 塾追い出されちゃった事？ だったら また 新しいの つくればいいじゃん｡ 先生の新しい国｡ そうか｡ そうだな｡ でも 覚えるの 本当 多いね｡ 暗記は お前の武器だろ｡ でもさ…｡ ｢大河ﾄﾞﾗﾏ｣とか 歴史上の人物を 主人公にした映画とかあるだろ｡ あれは 誤った史実が 含まれてるから➡ 見るなと言うやつもいるが そんな事はない｡ 結局 その人物や出来事に 興味を持つ事ができれば➡ 自然と 頭に入ってくる｡ 人間 興味のある事は➡ 何でも すぐに 楽しんで覚えられるもんだ｡ ﾄﾞﾗﾏ見ないし 映画高いし｡ だったら ほかに➡ 何か 楽しめる方法を見つけろ｡ 例えば 日常にﾐｯｼｮﾝを入れ込むとか｡ ﾐｯｼｮﾝ？ ああ｡ ﾐｯｼｮﾝか｡ はいはいはい 豚そば お待ち｡ あ～ おなかすいた！ はい～｡ これだ！ あっ…｡ 六朝文化の六王朝を言え｡ そらで 全部言えるようになるまで お預けだ｡ え～っ!? 飯にありつくﾐｯｼｮﾝだ｡ 楽しんでやれ｡ う～ん…｡ 六朝文化か｡ 俺でも もう そんなの忘れたわ｡ じゃあ お前は 六王朝 言えるようになるまで➡ まばたきするな｡ いや 乾くわ！ 目 閉じなくなるわ！ 東大魂 見せてやれよ｡ そんな魂 ねえよ！ じゃあ 学校行ってきます｡ おう｡ 寝るんじゃねえぞ｡ 寝る訳ないし｡ (せきこみ) (せきこみ) あ～ ハァ～｡ ああ ﾆｭｰﾖｰｸ転勤の件 向こうも喜んでたよ｡ (塔子)ああ… ありがとうございます｡ 具体的に進めていいね？ はい｡ (小宮) もし 薬の副作用が出たら➡ 入院する可能性だって出てくる｡ ずっと隠し通せるとは思えない｡ あ… 私の担当案件は 早めに処理します｡ ♬～ (聖菜)ねえ 裕太と 最近 会って話したりした？ え？ あ いや…｡ どうしたの？ 何か すごい落ち込んでて…｡ 模試の結果のせいかなって 思うんだけど 聞けなくて｡ 模試の結果って？ いつもＡだったのに 今回 Ｃだったんだって｡ どうしたんだろ｡ 野球やめてまで頑張ってるのに｡ 恋の悩みとかじゃなきゃいいけど｡ 受験中に恋愛するとね 男子は 80％落ちるんだって｡ だから 私も 裕太の邪魔しちゃ いけないと思って➡ 我慢してるのに｡ 今は大事な時期だから｡ [ｽﾋﾟｰｶ] ｢ごめん 模試の結果が悪くて➡ 今日から 五十嵐先生に➡ 授業ｷﾞﾘｷﾞﾘまで 勉強みてもらうことになった｣｡ 嫌だ もう とらさんたら～｡ (ドアの開閉音) 結婚しよう｡ いらっしゃいませ｡ いらっしゃいませ…｡ お金あるから｡ あら いらっしゃい｡ お知り合い？ うん｡ いい？ こんな店 来るんですね｡ もっと高い 銀座とかで➡ 飲んでるのかと思ってた｡ 何飲みます？ ﾎﾞﾄﾙが お得ですよ｡ 半年までｷｰﾌﾟ ＯＫ｡ 緑茶ハイを｡ ママ 緑茶ハイ ２つ｡ は～い｡ 暗い顔｡ 何か 嫌な事でもありました？ どうして 急に出ていったんですか？ …と思ったら 突然 戻ってきた｡ え？ お客さんには 関係ないじゃないですか｡ 今 とても大事な時期なんです｡ 邪魔するなって事ですか？ お待たせしました｡ は～い 乾杯！ 私は ただ あの子の目を 覚ましてやろうとしてるんです｡ 子どもの背中を押してやるのが 親じゃないんですか？ あなた お子さんは？ やっぱり｡ じゃあ 分からないわね｡ 何がですか？ あなたの塾に➡ 子どもを通わせてる親が 全員➡ 子どものために 一生懸命になってると思います？ 見えのためですよ そんなの｡ みんな 東大生の子どもを持つ親に なりたいだけなんですよ｡ それで 自分の子育ては 間違ってなかった➡ 自分は偉いって 思いたいだけ｡ いや…｡ あなたたちも そうでしょ？ だから 通行人から よく見える 塾の窓に でかでかと➡ ｢東大合格者何名｣って貼り紙 するんでしょ？ 大学出たあとの人生なんて 何のケアもしないくせに➡ いい大学に入れただけで 自分たちが 生徒の人生➡ 変えてやったなんて思い上がって 悦に入って｡ それって 子どものためじゃない｡ 自己満足じゃないんですか？ ほら｡ 時間がないんだ｡ あなたに煩わされてる暇は…｡ それは 真紀の話ですか？ それとも あなた？ 本気で真紀を思うなら 何年かかったって➡ 東大に入れてやってくれたら いいじゃないですか｡ ﾌﾌｯ まあ どのみち反対ですけど｡ あの子の面倒は 私が見ます｡ 母親ですから｡ 彼女が言ったんだ｡ ｢早く家を出たい｣と｡ ｢東大に連れていってくれ｣と 心から叫んだ｡ 私は 彼女のために…｡ ごめん 虫がいたの～｡ 頂きます！ 375年｡ よし ﾏﾖﾈｰｽﾞ ｹﾞｯﾄ｡ うわ～ 何だっけ｡ あっ ﾋﾟﾋﾟﾝ｡ よし｡ 変な名前｡ う～ん！ ﾖｰﾛｯﾊﾟ解放戦争が 1813年｡ ≪(ドアの開閉音) ﾅﾎﾟﾚｵﾝ ﾗｲﾌﾟﾂｨﾋの…｡ ≪(千枝子)何？ これ｡ ≪(剥がす音) もう！ えっ こんな時間まで やってんの？ 部屋中に 変なの いっぱい 貼ってたでしょ｡ 剥がしといたから｡ 勝手な事しないでよ｡ あんたが 先に 勝手に貼ったんでしょ！ あ… ねえねえ 今日は もう 勉強は その辺にしてさ➡ 一緒にﾌﾟﾘﾝ食べない？ これ お客さんにもらったの｡ いらない｡ これね すっごいね➡ ﾌﾟﾙﾝﾌﾟﾙﾝなのよ｡ ほら ｶﾗﾒﾙがね 淡～い茶色…｡ 邪魔しないで！ ちょっと…｡ 2,000円…➡ 損した｡ (小宮)そっか おめでとう｡ ありがとう｡ いつ たつの？ 早ければ ９月｡ ﾆｭｰﾖｰｸに遊びに行ったら 案内してもらおう｡ 話って それだけ？ 五十嵐の病気 随分 重いみたいね｡ 悪いけど それは守秘義務で 家族以外には教えられないんだ｡ もう 本人から聞いてるから｡ 財産分与の事も 相談されてる｡ (ため息) そっか｡ そこまで聞いてるのか｡ 腫瘍が脳幹の近くにあって 手術は無理なんだ｡ 若いせいもあって 進行が速くてな｡ あいつから聞いてるんだろ？ おい やめてくれ そういうの｡ ごめんなさい｡ この間 あなたと五十嵐が➡ 話してるの聞いて 気になって｡ 助からないの？ あと どのくらい もつの？ それ聞いて どうする？ みとってやるつもりなのか？ ｱﾒﾘｶ行き どうする？ やめる訳ないでしょ｡ だったら➡ もう いいだろう｡ 違うぞ ｘの係数｡ あ～ また！ ちゃんと計算しろ｡ してるって！ 落ち着け｡ イラつけば 集中力は散漫になるだけだろ｡ 何で 同じミスばっか…｡ むかつく｡ 手ぇ出せ｡ ほら｡ 何？ 思いっきり かめ｡ すっきりする｡ 糖分で 脳みそも すっきりするぞ｡ いいか？ ｹｱﾚｽﾐｽは 誰もが通る道なんだ｡ 焦らず 自分を信じろ｡ それが難しいなら お前を信じてる俺を信じろ｡ え？ 俺は日本一の講師だ｡ その俺が お前を見初めたんだ｡ 俺は お前を見放したりはしない｡ 東大に入れる約束は 必ず守る｡ ♬～ 頑張るから｡ ごめんね イラつかせて｡ 何だよ 急に｡ ここ最近 何か 疲れてるから｡ 私のせいでしょ？ ハッ… 確かに お前を相手にするのは➡ 特進ｸﾗｽ25人を相手にするより 骨が折れるからな｡ だよね｡ ほら｡ [ｽﾋﾟｰｶ](留守電)｢ただいま 電話に出る事ができません｣｡ ♬～ 体 動かした方が 勉強も はかどるらしいよ｡ 確かに｡ いいｽﾄﾚｽ発散になるな｡ 受験勉強って 大会に向けて 練習するのと似てる？ えっ 何？ それ｡ いや 野球の練習と似てるなら➡ 私にも 何かできる事 あるんじゃないかと思って｡ まあ 服は汚れないな｡ じゃあ ｽｺｱつける｡ 点数 いちいち教えんの 何か あれだな｡ 何で？ 裸見せた事あるくせに！ おっ いてっ｡ そ… それは 着替えてる時 聖菜が入ってきたからだろ！ ごめん！ ケガしてない｡ よかった｡ おっ おお…｡ よし やるよ！ 早く！ ｢ﾜｼﾝﾄﾝ会議で結ばれた 条約の一つ｣…｡ 太平洋…｡ 遠藤！ (和也)おう｡ 村井！ 何で？ あ… 保釈で出てこれたんだ｡ だまされたっつうか… 脅されて 手ぇ貸しただけで｡ まあ バカには 変わりねえんだけど｡ そっか｡ いいの？ おごってもらっちゃって｡ 追試パスしたら おごるって 約束だったろ｡ 覚えててくれたんだ？ うん｡ ん？ さっき見てたの 何？ また 追試？ 違うし｡ 受験勉強｡ ん？ 受験勉強してんの 私｡ 明日 ｶｴﾙ降ってくんじゃねえの？ 降らねえわ！ マジで？ どこ受けんの？ 東大｡ は？ 東大｡ 嘘だろ？ マジ｡ 何かね いろいろあって 予備校の先生に…➡ あ 元先生に 勉強 見てもらってる｡ その人が 東大連れてってやるって｡ お前 だまされてね？ え？ だって いや お前がバカだとか 言うつもりないけど➡ 東大って…｡ 私も 最初は ｢は？｣って思った｡ けど ｢お前なら大丈夫だ｣って 言ってくれたの｡ そんな事 言われた事なかったからさ➡ 一応 やってみても いいかなっていうか➡ やってやろうって｡ 村井は？ (和也)え？ ﾀﾞﾝｽ｡ ｱﾒﾘｶ行くんでしょ？ あれは まあ…➡ もう 無理だろ｡ え？ 夢が でかすぎたっつうか…➡ まあ 自分に そこまでの才能 ないなって思ったし｡ 何つうか 夢みて潰されるの 疲れた｡ 遠藤さん？ もしかして｡ あっ お嬢さんね？ 何ですか？ お母さんがね うちで借りた金 返さずに➡ 逃げ回ってるんですよ｡ いくらですか？ 200万｡ 借りたものを返すのは 幼稚園でも習うよな｡ はい｡ 一応 その人が返せない借金は 家族が返すっていうのが➡ ﾙｰﾙなんですけどね｡ そんなお金… 持ってません｡ だったら 稼いでくれます？ やめとけ｡ お嬢さん 怖がってるだろ｡ すいません｡ (笑い声) (鍵を掛ける音) ≪(笑い声) ≪また来るからね～｡ (小声で)お帰り｡ 何で いんの!? ここ だって 私の家｡ 私が表で危ない目に遭ってたのに 居留守使ってたの？ えっ あいつらに 何かされたの？ されてないけど｡ よかった～｡ 全然 よくないでしょ！ 何なの？ 借金って｡ 私のお金 盗んだだけじゃなくて｡ しょうがなかったの｡ 何？ それ｡ しょうがないで 200万も借りる訳？ いつも言ってんじゃん 男利用しろって｡ なら 男利用して お金もらえばよかったじゃん｡ これは 私が 自分で なんとかしたいと思ったの｡ は？ あんたと２人で➡ 小料理屋でも開きたいなって 思って➡ だから 借金までして そしたら 何か だまされて➡ お金持ってかれて…｡ 私と一緒に？ 美人親子の小料理屋｡ きっと話題になるわよ｡ あっ お店の内装とかは➡ 真紀の好きな感じにしていいのよ｡ 何言ってんの？ え？ 店もない 借金しか残ってないのに 何言ってんの!? 何で そうやって邪魔すんの？ 邪魔って 何言ってんのよ｡ 私は 真紀のために…｡ 勝手に 私の未来まで決めないで！ 私は東大に行くの｡ ここを出てくの｡ お母さんと一緒に 店なんかしたくない｡ 私とお母さんは 違うの｡ そんな みじめな人生 送りたくないの！ 受かる訳ないでしょ｡ だから 決めつけないでよ！ お母さんは 私が お母さんより 上に行くのが嫌なんでしょ？ だから そうやって 邪魔するんでしょ？ お母さんこそ 何もできないから｡ 私だって 好きで こんな生活してんじゃないわよ｡ あんた食わせようと必死なの！ 私のせい？ だったら 何で産んだのよ｡ 産みたいと思ったからよ｡ うれしかったからよ｡ あんたのために生きたいと 思ったからよ｡ だから あんな事までして…｡ あんな事？ あの人には 何度も やめてって言ったのに➡ 競馬もﾊﾟﾁﾝｺも やめなかった｡ 借金まで作って…｡ あのままじゃ 私も真紀も 生きていけなかった｡ あんな事って 何？ お父さんが 別に女つくって 出ていったんじゃなかったの？ 死んでくれたらいいのにって 思ってた｡ 僅かでも生命保険が入れば➡ それで借金の利息くらい 返せるって…｡ え…？ 殺していいなら 殺してた｡ 何があったの？ お母さんに原因があったの？ 答えて！ 私が男つくったのよ｡ は？ しょうがなかったの｡ ♬～ ふざけんな｡ ｢しょうがない｣で 人の人生 めちゃくちゃにしないで！ ♬～ (せきこみ) (せきこみ) [ｽﾋﾟｰｶ](ﾏﾅｰﾓｰﾄﾞ) ♬～ あんま きれいじゃないけど｡ 世話になってる伯父さんの 会社の寮｡ 一応 連れ込み禁止｡ まあ 大丈夫だけど｡ ごめんね 突然｡ あ このﾃｰﾌﾞﾙ 借りてもいい？ うん｡ 暑くね？ 大丈夫か？ ｸｰﾗｰないの 慣れてるから｡ そっか｡ ごめんね 明日には出てくから｡ いや 別に いてもいいけどさ…｡ ♬～ ≪楽しいか？ 勉強｡ きつい｡ 覚える事 多すぎ｡ ≪じゃあ…｡ でも 新しい事 １個覚えると 一歩進んでるような感じがする｡ で 一歩一歩 進んでけば➡ また 違う景色が 見れるんじゃないかって➡ そう思うようになった｡ 今のは 先生の受け売りだけどね｡ すげえな｡ 洗脳されてんじゃん｡ 何か むかつく｡ 違うし｡ ≪おやすみ～｡ あのままじゃ 私も真紀も 生きていけなかった｡ 殺していいなら殺してた｡ 私が男つくったの｡ すいません！ ちょっと 事情があって あの… お手伝いするので➡ しばらく 置いて下さい｡ どうしたの？ うちは 全然 大丈夫だけど｡ うんうん｡ ありがとうございます｡ え～ じゃあ いろいろ 手伝ってもらっちゃおっかな｡ はい｡ 五十嵐は？ 知ってる？ 電話 出ないから｡ あいつ 何やってんだよ｡ もしもし 今 真紀ちゃんが うちの店来てんだけど➡ お前が電話に出ないって｡ 今 どこ？ えっ ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙ!? ちょっと…｡ もしもし 先生？ [ｽﾋﾟｰｶ]おお すまん｡ 電話 出れなくて｡ 今 ちょっと仕事で➡ ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙにいるんだ｡ 知り合いが こっちで➡ 駐在員の子ども向けの塾を 開く事になってな➡ どうしても 力を貸してくれって 泣きつかれた｡ そうなんだ…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]まあ 来週には そっちに戻る｡ 問題集 やっとけよ｡ 分かった｡ あ 先生｡ [ｽﾋﾟｰｶ]何だ？➡ おい 国際電話 高いからな｡ 切るぞ｡ [ｽﾋﾟｰｶ](不通音) (ため息) 肺炎を起こしてた｡ 病院に来たのは 賢明だったよ｡ 頭痛いだけで十分だっつうの｡ しかたない｡ 抗がん剤の副作用で 白血球が減少して➡ 免疫が下がってるからな｡ 安静にして 低下した免疫を回復させよう｡ １週間で出してくれよ｡ うん｡ [ｽﾋﾟｰｶ] はい｡ え？ えっ 入院… 五十嵐が？ ♬～ 電話 出てくれないから｡ ごめん ちょっと忙しくて｡ あ… 授業あるから行くね｡ ちょっと…｡ 俺を避けてるのは 模試の結果のせい？ それか 誰か つきあってるやつ いるとか？ そんなの いないよ｡ 私は ただ… 今は 裕太君 大事な時期だから…｡ そんなのは どうでもいい！ 何で？ 何が どうでもいいの？ 言ってたじゃん ｢東大行きたい｣って｡ ｢お互い頑張ろう｣って 言ったじゃん｡ だから 私…｡ 何か ダメなんだ 全然｡ 気になって 真紀の事｡ 俺…｡ やめて｡ ♬～ おう！ (戸の開閉音) ちぃ～っす｡ ち…｡ ちぃ～っす｡ ちっす…｡ ちっす… えっ➡ あの男の子 誰？ 真紀ちゃんの？ もう 誰でもいいじゃない｡ ほっといてあげてよ｡ これ 忘れもん｡ 布団の下に潜り込んでた｡ ありがとう｡ 何で 平和って続かないんだろう｡ えっ どした？ 急に でけえ話？ 世界史の話｡ 平和になったと思ったら 戦争して➡ また平和になったと思ったら 戦争して｡ みんな 静かに穏やかに暮らしたい と思ってるはずなのに➡ 何で うまくいかないんだろう？ なあ｡ ちょっと 気晴らし行かね？ ほら 早く！ こっち こっち！ よ～し 勝負だ｡ よ～し｡ うわっ！ やった～！ くっそ～！ よ～っしゃ！ あ～っ！ くっそ～ むかつく！ ｲｴ～ｲ やった！ ♬～ 裕太？ 何かあった？ つらそうな顔してる｡ 何か 自分が よく分かんなくなっちゃってさ｡ もう分かんなくって…｡ ♬～ 裕太のそんな顔 見たくない｡ 聖菜？ 私じゃダメ？ 好き｡ ♬～ は～ 楽しかった！ マジで？ うん！ そっか｡ よかった｡ あっ 村井のﾀﾞﾝｽ 見たい｡ えっ？ 世界一のﾀﾞﾝｽ 見せてよ｡ ♬～ すごい！ かっこいい！ (拍手) (ﾉｯｸ) はい｡ 何だよ｡ もう 面会時間 終わりだぞ｡ あと１年 もつかどうからしいわね｡ 小宮から聞いたのか？ あいつ 医者失格だな｡ それ聞いて 駆けつけてくれたのか｡ うれしいねえ｡ どうするつもりなの？ 何が？ もう 死ぬんでしょ？ 何やってんの？ あの子 東大に行かせるって… もっと ほかに あるでしょ？ 死ぬのが分かって 最後に何か いい事でもしようとした？ 違うわよね！ (笑い声) あれ？ あの子 かわいくね？ かわいい～｡ １人？ ねえ これから➡ ｶﾗｵｹでも行こうよ｡ いいです｡ そんな事 言わないで｡ ちょっと 離して！ いいじゃん １時間だけ｡ やめて やめて｡ お前ら 何やってんだよ！ は？ 村井！ 何 かっこつけてんだ おら！ あ？ ダメ 今 騒ぎ起こしちゃ！ やめて 離して！ やめろ おら！ いいじゃん 遊ぼうよ｡ 離せよ！ 何やってんだよ！ やめて！ あなたは いつでも そうだった｡ いつも 自分の事だけ｡ 私が出てった時も そう｡ 引き止める事も 理由を聞く事すらしなかった｡ 私の意思を尊重するみたいに かっこつけて｡ 結局は 自分の非を認めるのが 嫌だったからでしょう？ そうやって 自分は 核心を 何一つ言わないで➡ 人の事 振り回して｡ 卑怯なのよ あなたは いつでも！ あの時 何も言わなかったのは そういう事じゃない｡ 言い訳なんて 聞きたくない｡ 自分の事をよく見せようとする 言い訳なんて 特にね！ あなたは 木村さんへの 当てつけの道具として➡ あの子を選んだ｡ そうよね？ ああ｡ 俺の最後の意地だ｡ やっぱり｡ あなた 何にも変わってない｡ 自分勝手｡ そう｡ あなたは 最低のやつじゃないと ダメなのよ｡ あなたは最低の人間なの！ どういう意味だ？ [ｽﾋﾟｰｶ] はい 宇佐美さん？ [ｽﾋﾟｰｶ]塔子ちゃん？➡ ちょっと 助けてやってくんない？ この間の真紀ちゃん 覚えてる？ ああ 遠藤さん？ …が どうしたの？ 港東警察署ね 分かった｡ すぐ行く｡ 何があった？ あなたは ここで待ってて｡ あいつが何かしたのか？ 後で説明するから寝てて！ お願い｡ (足音) 遠藤さん｡ 塔子さん！ 友達が私のために… 村井は悪くないんです｡ 向こうが絡んできて…｡ 落ち着いてね｡ ちゃんと話してくるから｡ 村井 今 保釈中で… でも 私のために…｡ 分かった｡ 大丈夫だからね｡ お願いします｡ 話は ちゃんとしたから｡ 村井は？ 事情聴取で 今夜は帰れないそうだから➡ 今日のところは｡ 何で？ 何やってんだ!? こんな大事な時に 何してんだ！ 男と遊んで 問題起こして｡ 何のために 今まで頑張ってきた？ 頑張るって言ったの 嘘だったのか！ は？ 嘘？ 嘘ついたのは そっちでしょ？ 何で ここにいるの？ ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙにいるんじゃなかったの？ 何で？ 私をだましたの？ 違う｡ 見捨てないって言ったくせに｡ 見捨てた訳じゃない｡ だったら 何で 一番いてほしい時に➡ そばにいてくれなかったの!? だから こうなったんでしょ！ 先生が 俺を信じろって 言ってくれた事➡ そばにいてやるって言ってくれて うれしかった｡ 先生が いてくれるから➡ 大きな夢も見れるのかなって 思った｡ なのに…｡ 違うんだ｡ 言い訳なんか聞きたくない！ どうせ 先生も しょうがなかった って言うんでしょ？ 先生にとっては しょうがなくても➡ 私にとっては しょうがなくないの！ どうせ 先生も➡ 私の前から いなくなるんでしょ？ だったら…➡ だったら 最初から優しくすんな！ (せきこみ) 五十嵐？ ねえ…｡ ねえ… ねえ ちょっ…｡ 五十嵐 ねえ 大丈夫？ どうしよう… ねえ しっかりして 五十嵐！ ねえ！ ちょっと…｡ ♬～ どういう事？ 説明して｡ ♬～ 俺は…｡ 死ぬんだ｡ ♬～ ♬～ ここから 出るみたいですね｡ どうも… ﾉｻｯﾌﾟですか？ 一応 50分に こちらから来ます｡ ええ 50分ごろ｡ 分かりました｡ ありがとうございます｡ 来ましたね｡

アナイアレイション －全滅領域－.JA

1 食事はどうしてた？ 携行食糧は２週間分 中にいた期間は４ヵ月だ 覚えてない どれぐらい 中にいたと？ 数日間… 数週間かも ラデックに何が？ 知らない シェパードは？ アニャは？ 死んだ ヴェントレスは？ 知らない 何を知ってる？ 全ての細胞は― 既存の細胞から生まれる つまり― 全ては 一つの細胞から 始まった 地球上 あるいは宇宙に たった一つ― 生命体が生まれた 約40億年前のことよ それが２個に 次に４個になり それから８個になり 16個 32個と 分裂を続けて― 今 地球上に存在する 全ての微生物や 植物 海や陸の生き物 そして― 人間になった 生きて死ぬ 全ての存在を― かたち作っている あなた達が医師として 関わるのは― ここからよ 今 映っているのは― がん細胞 30代前半の女性患者のものよ 来学期は― がん細胞の自食作用を 観察しましょう 先生 ケイティ 宿題の論文 読みました 私ひとりだけ 遅れてて みんな優秀だし… 大丈夫よ レナ！ ダン 探したよ　どこにいた？ 書き物を 仕事ばかりじゃ― 体によくない よければ― 土曜日 家に来ないか？ 妻と友達を招いて― 食事するんだ 予定がある そう言わずに ペンキを塗りたいの 私達の… 寝室に １年になる 君が人生を楽しんでも 彼への裏切りにはならない やめておくわ ウソ こんな… 死んだかと ケイン？ 任務の情報はゼロ あちこちに連絡したわ 誰も何も知らないって 秘密任務？ かもな それ どういう意味？ そう　秘密任務だった パキスタン？ 俺には よくわからないんだ 場所も… 何も そんなわけない どんな気候だったの？ 雪は？ 現地の人が何語を話してたか 覚えてない？ いつ帰国を？ わからない どの基地に到着したの？ わからない 部隊の他の人たちは？ せめて 何か教えてよ １年間 消えてたのよ 少しぐらい説明して 何のために？ ケイン… どうやってここへ？ 外にいた 家の外？ 違う 部屋の外だ ベッドの部屋 扉が開いてて 君が見えた 君の顔に… 見覚えが 気分が悪い しっかり 私はここよ 31歳男性 痙攣(けいれん)あり 大丈夫よ　愛してるわ 私を見て 何とかして！ 警察に電話を？ 何だ！ 車を降りろ！ 何するの 降りろ！ 撃つな！ 降りろ！ 今すぐだ！ 何なんだ 患者を動かすな やめて！ 離して！ 夫を離して！ エリアＸ ひどい気分よね 鎮静剤の副作用よ さあ 座って あなたは？ 私はドクター･ヴェントレス 心理学者よ どういうことなの？ ここは精神科？ いいえ じゃあ何？ ここはどこ？ 夫はどこ？ あなた 軍隊にいたのね 今は 大学教授よ どういうことか説明して 専門は細胞周期に関する 遺伝プログラム 夫はどこ？ そうね ご主人のことだけど 戻ったのはいつ？ 弁護士を それはムリね 彼は何か言ってた？ 何も 任務期間中に接触は？ いいえ 任務のことは何と？ 何も 出発前は？ 行き先や内容を話した？ 何も聞いてない ご主人のことを 軍に何度も 問い合わせたわね でも６ヵ月前にやめた なぜ？ あきらめたの？ 忘れようと？ 簡単ではないわよね 忘れなかった 十分 答えたでしょう あなたの番よ 彼はここにいる 危険な状態よ どういう意味？ 多臓器不全に― 大量の内部出血 放射線に被爆したのか あるいは― ウィルスかも 彼の任務先を教えて 助けられるかも 超自然現象 地球外からの何か 多次元世界 仮説は様々よ でも情報はわずか 始まったのは 約３年前 ブラックウォーター 国立公園の灯台が― “光(シマー)”に包まれたと報告が 警備員が１人 調査に行って― 戻らなかった 事件は機密扱いに 陸からも 海からも ドローンや動物や 調査隊を送った 生還者はゼロ 境界は広がってる 今は まだ湿地だけで― 住民には化学汚染だと言って 避難させたけど 長くはもたないわ あと数ヵ月で この建物を 飲み込んで― その後は 都市や― 国を飲み込み 広がっていく 生還者は― ゼロじゃない そうね 危篤状態ね ええ あなたの今後についてだけど 帰さないつもり？ あなたは 帰りたいの？ いいえ 彼の側にいたい 無口なのね ごめん 考え事だ 次の任務のこと？ いや 月を見てた 昼間の月って ヘンだ 神様のミスみたい 空に穴を 神様はミスしない 何しろ 神様だからね するわよ 神様に聞こえるぞ 細胞分裂には 回数の限界があるの 楽しそうな話題だ その限界を解除できれば― 不死になる 加齢が起きるのは 遺伝子の欠陥のせいなの 先生ぽくて 興奮する おかげで この体も老いる 確かにそれは 神様のミスだな 行き先は内緒なのね 今回の任務は いつもと違う どうして？ いつもより沈黙を重く感じる ヒントもくれないの？ どう？ 行き先は北半球だ だから？ 外に出て空を見たら― 同じ星が見える 本気で言ってる？ 何だよ 冗談でしょ 何が？ 私が そんなことしてると？ 何を… 庭に出て― 寂しく星を見つめる？ 黙れ “おお 愛しのケイン様” わかったよ “同じ月を見ているの？” やめろって “おお 遥かな 愛しいあなた…” ダメよ　やめて “私の兵士 どうかご無事で” 失礼なやつだ 昔の戦友を冒とくしてる 大統領もだ 国旗もね そうだよ　国旗もだ “我が英雄…” くたばれ はいはい １人ぼっちだ　声かけようよ 好きにすれば 行ってくる どうも どうも お邪魔？ いいえ よかった １人で離れてるから… 気持ちが 落ち着かないんじゃない？ そうね 大丈夫だよ　すぐ慣れる 皆 ベッドでは小さくなって 震えてるよ 怖いもんね 私は アニャ レナよ はじめまして 皆に紹介する おいでよ みんな こちらレナ どうも キャシー･シェパードと ジョシー･ラデック はじめまして 座る？ ありがとう サザーン･リーチ初日ね ええ どうも いいえ 皆は長いの？ ええ 最初からよ 地形学者なの 境界付近の磁場を調査してる 全然 歯が立たないけど 私はちょうど 10ヵ月になる 10ヵ月か 救急隊員なんだ ＮＧＯに応募したけど 落ちてここへ 私は２ヵ月 物理学者よ ケンブリッジからここへ 賢いんだ レナは？ 生物学者よ 当たりね マジで？ さすがね 何だよ 賭けてたのよ ラデックが正解 私の予想は警察 私の予想は独身 すぐ口説くんだから この状況だもの 楽しんだっていいでしょ 状況って？ 信じられないと思うけど… まったくだよ あそこに行くの シマーに？ 出発は６日後 ３人で？ ４人よ ヴェントレスも 彼女が？ 隊長よ 全員 女性 そして科学者 前の調査隊は 軍隊だったの 彼らに何が？ それについては ２つの可能性が 殺されたか― 狂って 殺し合った １人だけ生還したって ええ 軍曹ね でも ひどい状態らしい ケイン… 私のせいね ごめんなさい 私も決めたわ 彼との関係を 話さなかったの？ 話が複雑になるかと 話？ 何のこと？ あなたは なぜシマーに？ この任務の目的は― シマーの源の灯台に到達し 情報を集めて 戻ってくること でも あなたの目的は違う そうね この現象をずっと見てきた 調査団の志願者を― 審査し 選んできた 彼らは あの中に 消えていき― 境界は 近づき続ける もう たくさんなの 真実が知りたい？ ええ　知りたいわ 私もよ なるほどね 行きたいのね ここじゃ何もできない 軍人で科学者 戦って― 学んで― 救いたいのね 参加を希望したと？ 生還者は１人しか― いないと知っていながら 勇敢な行為だ 夫に借りが 志願の理由を知りたい 借りがあるの それだけ シマー まともな食事は？ パスタ ラデックのクラッカーも コーンブレッドもある やっと起きた？ 待って　ちょっと混乱してる こっちもよ 昨夜の記憶がないよね 境界を越えたことしか 覚えてない 皆 そうよ 食料の減り具合からして― ４日はここにいるみたい ありえない でしょ 通信機器とナビ機器を チェックした 電源は問題なく入るし― カメラも動く でも 外界との通信は... 全てダウン 衛星は飛んでるのに これを見て コンパスも 通信手段も 座標もなし 目印もない わかってることもある 南に進んで― 海岸沿いに歩けば 反対側に抜ける どっちが南？ 知ってるでしょ 時計の短針を― 太陽に向けて 12との間が南 いいわ 大丈夫そうね 通信できないことは 想定内よ ３年間 通信は 一切できなかった すぐ出発しましょう 時間がないわ これ まだ使えるかも そうね 小屋を調べて 結婚式の会場みたい この花 ヘンだわ なぜ？ 色んな種類の花が― 混ざってるように 見えるけど 株はひとつしかない つまり これは全て― 同じ植物よ 変異し続けてるみたい 何かの病気？ そうね… これが人間なら そう呼ぶわね やった シェパード 移動手段だ そっちはどう？ 空っぽよ ずっと使われて… ラデック？ ラデック！ ラデック！ 何かいる！ ラデック！ 引っ張られる！ 助けて！ リュックを… 手を貸して！ どうしたの？ つかまって！ 引き上げて いいわ 立てる？ 大丈夫よ こっちへ 座って　荷物を下ろす 深呼吸して 大丈夫だから どうしたの？ 何かいる 立って　向こうへ クソ 下がって シェパード！ 逃げて！ クソ！ あの花と全く同じ 歯が― 同心円状に 遺伝子プールの大きな異変よ サメの歯みたい 異種交配種だと？ 属を越えた交配はできない レナ 重いよ 灯台に近づくにつれ― 変異は激しくなっていった 形態の変容に― 形態の模倣 模倣？ 反射よ 幻覚だった可能性は？ それも考えたわ でも皆 同じ物を見てた 夢のようだった 悪夢か そうね でも― 美しい物もあった ケガ？ ただのアザよ さっき ぶつけたのね そうね 銃の扱いはどこで？ 以前 軍隊にいたの 海兵隊？ 陸軍で７年 まるで前世みたい わかるわ 全部 遠い過去みたい 子供時代も 結婚生活も そのロケットの写真は誰？ 夫よ 彼も陸軍だった　そこで― 出会ったの 退役したの？ 戦死よ お気の毒に それが理由ね 何の？ これに志願した理由 全てうまくいってる人は ここには来ない 皆 ワケありよ アニャは― 中毒患者 ラデックは いつも長袖で 手首の傷を隠してる 自殺未遂？ 生きてる実感が欲しいのよ ヴェントレスは？ 彼女は 皆の知る限り― 友達も家族も 子供もいない 失うものがない あなたは？ あなたと同じ でも 夫じゃなく― 娘を亡くした　白血病よ 辛いわね あの時 死んだの あの子と一緒に かつての私も ちょっと 何かあるよ “アマヤ要塞” “立ち入り禁止” 以前はここが サザーン･リーチの― 本部棟だった 変異体ね そこら中にある 悪性の― 腫瘍みたい これが食堂？ ええ 今夜はここに泊まる ベッドと荷物がある 誰かいるの？ いたのよ 過去形ね 何これ すごい 重すぎて担(かつ)げない レナ それは？ これを見て ペイトン メイヤー ケイン　シェリー 前回の調査隊員よ ここを拠点にしてたのね 名前にバツ印が 結論を急がないで 急ぐべきかも ああ ここの平面図ね ええ これが食堂 私達はここね この数字は多分 見張りの順番 私達も見張りを 賛成よ 了解 こんなものが “次の調査隊へ” 私達のことね メモリーカードよ 再生できるはず いけるわ いくぞ いいな？ ああ よし オーケー　大丈夫だ いくぞ 大丈夫 大丈夫 何これ… 一体 何を… 止めろ　そこまでだ 押さえてろ これを こいつら 狂ってる 体の中に 何かいた 目の錯覚だ 何を… 人間の内臓は さんざん見てきた あれは目の錯覚だよ でも 動いてた ショック反応だよ もう一度 見て イヤだよ！ 内臓じゃない なら 自分で見ろよ！ どこへ？ 彼女は？ こっちよ これは？ 分からない ここはイヤ 選択肢はない お願い こっちへ もうすぐ暗くなる 外に行こう 優しいのね もう起きたの？ 出発が早まった え？ 今日 出発？ 今すぐだ そんな でも 今日はドライブに… ムリだ 行けない せめて… 今 行くのね ああ 何？ 君を… 愛してる レナ 私もよ ねえ 謎解き中？ そんな余裕ない あなたは大丈夫 ラデックは限界ね そうね 鎮静剤で寝てるわ あなたは？ 眠れた？ 少しね 本当は 私も限界よ 隠してるだけ 交代してくる ええ 交代は３時のはずよ 目が覚めたから そう これを見て 今はここ これが灯台 これは ヴィル･ペルデュ ２年前に避難させた村よ 明日はそこに向かう そして翌朝 海岸へ わかった 大丈夫？ ご主人のこと 皆に伝えるべきだと 思ってたけど あの映像を見て… 確かに 黙っていて 正解だったのかも 夫はなぜ 自殺行為を？ この任務は― 自殺行為だと？ 審査したんでしょう？ 彼は何と？ 私の見解が知りたい？ ええ 心理学的に言って― 自殺と 自己破壊は 別のものよ 自殺する人は一部 でも自己破壊は誰でもする 何らかの形でね お酒やタバコもそう キャリアを傷つけたり 結婚を破壊する 理性的な選択ではなく― 衝動よ 多分... あなたの方が詳しいでしょう どういうこと？ 生物学者でしょ 自己破壊は私達の細胞に― 組み込まれてる あれは？ 分からない ラデック 起きて　何か聞こえた 見える？ いいえ 何の音？ 何？ フェンスが… え？ 破られてる 何も見えない 私もよ シェパード！ シェパード！ どうしたの？ 何てこと シェパードが襲われた 何てことなの シェパード！ ウソよ シェパード！ シェパード！ 引き返そう 今すぐよ 賛成だ 根拠は？ ２度 攻撃され― １人 死んだ 前の隊は 狂って殺し合った これ以上 どんな根拠が？ 灯台はまだ先よ 何も解明できてない データはある　ビデオも でも 謎は深まっただけよ 灯台を目指す 私１人でもね 一緒に来るか来ないか 自分で決めて 仲間が死んだのに… あの女 狂ってる レナはどっちの味方だ？ そういう問題じゃ… いいや そういう問題だ 私も戻るべきだと思うわ じゃあ行こう　３人で… ちょっと待って 考えてみて ここまで６日かかった 海岸までは２日よ シェパードが言った通り 海岸に着けば― 反対側に出れる 先に進むの？ 提案よ 提案？ どうだか　信用できないね 灯台に連れて行く気だろ そうじゃないわ 早くここから出るためよ いい？ 彼らに嘘を？ 進んでも引き返しても― 危険は同じだと思った だから進むべきと 判断したと？ ヴェントレスがね 彼女は がんだった 気付いてただろ？ 薄々ね 君は進みたかった ええ そうよ 生きてるかも 可能性は低い ゼロじゃない 見てきて ええ 私も行く １人でいい 見つけた？ ええ 死んだわ 大丈夫？ いいから 放っておいて 今夜はここで 海岸まで あと２時間よ 自然に人型に ありえない ありえるわ シマーが電波を ブロックしてるから― 通信できないのかと 思っていたけど 光はブロックされずに 反射している　そして… 電波もそう 信号が― 絡(から)まってる その葉っぱを― 解析したら… 何？ ヒトのＨＯＸ遺伝子が 何それ？ 体の構造を決定する 遺伝子のことよ これはヒトの構造よ 肩に腕が２本ついてて― 腰から脚が 不可能だわ でも現実よ シマーは 全てを反射するプリズム 光や電波だけじゃない 動物や植物 全てのＤＮＡを― 反射する 全てのＤＮＡ？ 私達のＤＮＡも… 含むわけね ここで寝ましょう バリケードを 間違いだった そうか ケインは 任務で ほとんど不在だ 夫婦の間で 仕事の話もできない 私達の間には明らかに つながりがある 違うか？ 奥さんは？ 妻のことは愛してる 彼女は悪くない レナ 教えてくれ 一体 何があった？ 関係がバレた？ そうなんだな 彼が知っていると？ そうなのか？ ええ 帰って レナ… ダン 何も話したくないし 聞きたくない 出て行って 君が憎んでるのは 君自身だ あなたも憎いわ もう会わない 嘘つき女め！ 何？ 黙れ 質問するのは私だ 兄弟 彼氏 夫 夫か なぜ黙ってた？ あんたは― 知ってたよな ラデックは？ そうか 可能性は２パターン 誰かに殺された あるいは... 仲間同士で殺し合った ラデックはワニに襲われ シェパードはクマにやられた パターンその１だ でも… クマは見てない ラデックもだ 見たのは レナとヴェントレスだけ 証拠はない あの時― あの場にいた レナの証言だけが根拠だ そして― その肝心のレナは― 私達に嘘をついていた 静かにしろ！ レナは... 嘘つきだ 彼女を殺した？ 気が狂ったか？ それとも狂ったのは私で― ２つ目のパターンに？ 自分の手の― 指紋を見ると 動いてるんだ ムリだ 縄を解いたら― 今度は私が縛られて 腹を割かれて 内臓が動くのかも でも 縛られてるのは 私じゃない お前らだ 助けて！ 助けて！ 助けて！ シェパード？ 彼女は死んだと シェパード！　 今 行くよ！ シェパード？ たす… けて たす… じっとして …けて 助けて！ イヤだ！　イヤだ！ 何してるの？ 出発する 今？ まだ暗いわ 時間がない 体も心も― 崩壊し始めてる 認知症のよう 早くしないと― 着く頃には 自分を失ってる その前に着きたい 行きましょう 旦那さんは 何日ここに？ はっきりとは… 最長で１年ね そんなに長い間 無事でいたのね 無事かどうかは… 反射のこと あなたもそう思う？ ええ 自分の血を調べた シマーは私の中に 皆 そうなるのね すごく奇妙だった あの生き物から シェパードの声が… 彼女が死ぬ時 心の一部が― あいつの一部になったのね 恐怖と痛みの中で死んで― その感覚だけが この世に残る そんなのイヤ ヴェントレスは真実を あなたは戦いを求めてる でも私は どちらもいらない 待って ねえ ラデック 君を残し 次々と人が消えていった なぜだ？ 私に説明しろと？ そうだ 帰る理由が― 私にはあったの 灯台 「不死細胞ヒーラ」 ねえ うん 自分は人間だと… 思っていた ケインという名の 今は 分からない 俺は何だ？ 君か？ 君が俺？ 筋肉が動く 液体のように 精神は― バラバラだ もうムリだ ムリだ これ以上… 白リン弾の爆発は― 眩しい 目を覆って ここを出たら レナを探せ わかった ウソよ ５, ４… ３, ２… ダメ ウソよ そんな 最終段階に入った 混乱の中に消えた 深遠な精神 導きの灯(あかり) そして 海 ドクター･ヴェントレス？ レナ あの時― 話したわね 灯台の中に 何があるか 知りたいと 今は違う それは 私の中にある 何があるの？ 私達とは― 違うの 目的すら― ないのかも でも 膨張して― 全てを飲み込む 私達は皆― その一部になる 全てが飲み込まれる 全滅よ エイリアンか 形状は？ 分からない 体は炭素系か？ 分からない 目的は？ 目的は たぶんない でも 君を攻撃した 模倣したのよ 私を それだけのこと でも 目的はあるはずだ 環境を変異させ 破壊したのだから 破壊じゃないわ 全てを変えていた 新しく創り出していた 何を？ 分からない さっき部隊が灯台に着いた 全て灰だと 何であれ 君が出会った存在は― 死んだ 夫はどうなったの？ シマーが消え― 同時に血圧が安定し 脈も正常になって― すぐに目を覚ました 意識は明瞭だ まだ隔離されている 私もよ ケインじゃない そうね？ ああ 君はレナ？ NETFLIX オリジナル映画 日本語字幕　加藤 智子

花子とアン＃041

1 製糸工場から逃げてきた かよのおかげで➡ はなは 思いがけず➡ 親子水入らずで 一夜を過ごす事になりました｡ (ふじ)毎晩 こんなに遅くまで 勉強してるだけ｡ 偉えじゃんね｡ (はな)あ… 明るくて眠れねえけ？ おとうが言ってたとおりだ｡ えっ？ おまんは 家族の希望の光じゃって おとう いつも言ってたじゃんね｡ あっ たまに葉書が…｡ 名前は 書いちゃいんけど 字は おとうの字だ｡ 生きてただけ！ 何て書えてあるでえ｡ (かよ)｢はな ｸﾞｯﾄﾞ ﾓｰﾆﾝｸﾞ｡➡ 勉強頑張れし｡ こぴっと精進するだよ｣｡ 勉強の事ばっかじゃん！ やっぱし お姉やんは おとうに似ただね｡ ほういう かよだって➡ 製糸工場逃げ出して 東京まで逃げちもうなんて➡ そんな無鉄砲なの おとうに そっくりじゃんけ｡ ほうか｡ はなも かよも おとうの娘だね…｡ 甲府に連れて帰ろうなんて 無理な話じゃん｡ おまんらも おとうみてえに➡ 甲府にいちゃあ見られんもんを いっぺえ見て➡ いつか おらに話してくりょう｡ おかあ…｡ おかあ…｡ はな｡ かよの事 頼むね｡ あとは おまんに任せたじゃん｡ おかあ… いいだけ？ いいさ｡ 好きにしろし｡ ふんだから はなも帰ってこなんでいい｡➡ 東京で頑張れし！ 分かった｡ ♬｢これから はじまる｣ ♬｢あなたの 物語｣ ♬｢ずっと長く 道は続くよ｣ ♬｢虹色の雨 降り注げば｣ ♬｢空は 高鳴る｣ ♬｢眩しい笑顔の奥に｣ ♬｢悲しい音がする｣ ♬｢寄りそって 今があって｣ ♬｢こんなにも 愛おしい｣ ♬｢手を繋げば 温かいこと｣ ♬｢嫌いになれば 一人になってくこと｣ ♬｢ひとつひとつが あなたになる｣ ♬｢道は 続くよ｣ (茂木) はなさんが ここに来た頃は➡ 英語で話しかけられるのを 怖がって➡ 西洋人の先生たちから 逃げ回ってたんですよ｡ それが ある時から 猛勉強を始めて｡ 私も 大勢の生徒を見てきましたが➡ 修和女学校で はなさんは 一番の頑張り屋さんです｡ ≪はな先生！ 質問が！ ﾀｶﾉさん 何度言ったら分かるの？ はなではなく 花子先生でしょう｡ (笑い声) (一同)また言ってる！ 花子先生｡ ふじには 自分の娘とは思えないほど➡ はなが 立派に輝いて見えました｡ ♬～ I say my prayers. (生徒たち)I say my prayers. I go downstairs. ♬～ ふじは 本当の胸の内を はなには言わず➡ 一人 甲府へ帰っていきました｡ (朝市)ほうけ…｡ はなは 東京で働くだけ｡ (もも)おかあ 本当にいいだけ？ ああ…｡ おかあの気持ち お姉やんは 分かっちゃいん｡ 茂木先生のご厚意で かよは とりあえず➡ 学校のお仕事を 手伝う事になりました｡ おはようごいす｡ (生徒たち)ごきげんよう｡ おはようごいす｡ (梶原)向学館の梶原と申しますが｡ (富山) ご用件をおっしゃって下さい｡ 富山先生ですか｡ どうぞ ご用件をおっしゃって下さい｡ はい｡ 安東はなさんの事で｡ (畠山)はなさん よかったわね｡ 面接して下さるなんて 脈があるわよ その出版社｡ (醍醐)はなさんなら きっと選んで頂けるわ｡ ありがとう｡ かよ！ また ｽｺｯﾄ先生に ｸｯｷｰ ごちそうになりに来たの？ ｻﾝｷｭｰです｡ うめえ！ 安東さん｡ お手紙ですよ｡ あっ ありがとうございます｡ (ふじ)｢はな あと２か月で卒業ですね｡➡ はなの帰りを 楽しみに待っています｣｡ (もも)｢この葉書 おかあは出さなかったけんど➡ おらが代わりに送ります｡ もも｣｡ おらも お姉やんに言おうか どうしっか➡ ずっと迷ってただよ｡ えっ？ おかあ お姉やんが 帰ってくるもんだと思い込んでた｡ ほれでも おらは 東京にいてもらいてえ｡ そうよ！ はなさんは 東京で夢を追いかけるべきよ｡ せっかく ここまで来たんだから 面接頑張って｡ ありがとう｡ 頑張るわ｡ 君は この会社に入ったら どんな本を作りたいの？ それは…➡ 大人からも子どもからも 愛されて➡ 読んだ人が 思いっきり 想像の翼を広げられるような➡ そんな すてきな物語の本を 作りたいんです｡ 親御さんは あなたが働く事に賛成ですか？ …はい｡ 安東はなさん 卒業したら この編集部で働いて下さい｡ おめでとう｡ 君はついてたね｡ これからは 女性の意見を 積極的に取り入れるべきだと➡ 僕が提案して 編集部に 女性社員を入れる事になったんだ｡ 安東君なら ぴったりだと思うよ｡ 親御さんも お喜びになるでしょう｡ おうちは 山梨の甲府ですか｡ ええ｡ どんな所なの？ ﾌﾞﾄﾞｳ畑と田んぼしかない所ですが➡ うちの庭からは 富士山が見えます｡ へえ～ 富士山が｡ 盆地なので 冬は寒くて 空っ風が冷たくて➡ 母の手は いつも あかぎれだらけです｡ 母は いつも 私たちの心配ばっかりしてます｡ ｢風邪ひいてねえか｡ 腹すかしてねえか｡➡ こぴっと やってるか｣って｡ 母は 字の読み書きが できなかったのに➡ 私の知らない間に 一生懸命 字を練習して➡ 私に 初めて 葉書を書いてくれました｡ (ふじ)｢はなの帰りを 楽しみに待っています｣｡ 安東君 どうかしましたか？ ごめんなさい｡ 嘘なんです｡ 嘘？ 両親が賛成してくれてるなんて 嘘なんです｡ 母は ずっと 私の帰りを待ってます｡ この10年間 ずっと待っててくれたんです｡ なのに おかあの気持ち 全然分かってなくて…｡ ううん ほうじゃねえら｡ 本当は 心のどっかで 分かってたはずなのに➡ 自分の都合のいいように 気付かんふりしてただけずら｡ ごめんなさい！ 私 やっぱり ここで働けません｡ 甲府に帰ります｡ 何だって？ 君｡ 本当に申し訳ありません！ はなは どうするつもりでしょう？ 甲府に帰ったところで 仕事の当てもないのに｡ (英治)安東はなさん｡ あ… 村岡印刷さん｡ どうしたんですか？ まるで 木から落ちた ﾅﾏｹﾓﾉみたいな顔してますよ｡ 落ちたんです｡ えっ？ 今日 面接をして頂いたんですけど…｡ はあ… そうでしたか｡ それは お気の毒でしたね｡ あっ いつぞやは 英英辞典 ありがとうございました｡ あの辞書を持って 甲府に帰ります｡ えっ… 甲府に 帰ってしまわれるんですか？ じゃあ｡ ﾅﾏｹﾓﾉは…➡ 木にぶら下がりながら 夢をみてるんだと思います｡ はっ？ だから あなたも夢を忘れないで下さい｡ つくづく とんちんかんな人だと はなは思いました｡ でも どういう訳か 少しだけ はなの心は 明るくなりました｡ ごきげんよう｡ さようなら｡ ごきげんよう｡ さようなら｡ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒５月１６日金曜日の 「あさイチ」です。 こののりで、ごきげんよう さようなら、と言いそうになって しまいました。 今始まったばかりでございます。 お母さんの気持ちもね。 ちょっと最後救いというか

はぶらし／女友だち＃02

1 <そのころ 店には…> あっ 来た！ <あさの待っていた 手紙が届いていました> (鈴音)水絵？ (水絵)久しぶり…｡ 20年も会ってなかった人の ところにだよ➡ いきなり 夜中に 子ども連れて 来るかな？ お帰りなさい｡ あと２日だけ泊めて｡ (灘)あ… すいません｡ これ ありがとう｡ えっ？ こんばんは｡ (柳井)こんばんは…｡ (ﾉｯｸ) ≪鈴音！ 何？ ≪お客様がいらしたんだけど｡ えっ？ ≪柳井さん｡ ﾃﾚﾋﾞ局のﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰだって｡ 今 呼んでます｡ あ…｡ ﾋﾞｰﾙで よろしいですか？ いや… ｱﾙｺｰﾙは結構です｡ あっ そうですよね｡ やだ 私ったら… すいません｡ 真壁さんの ご親戚ですか？ いえ 高校の同級生です｡ 今 ちょっと 居候させてもらってて｡ 居候？ ええ｡ どういう事なの？ 近くまで来たんで 完パケを届けに｡ わざわざ ありがとうございました｡ どうぞ｡ どうも｡ 知らない人が出てくるから びっくりしたよ｡ 急に来ないでもらえるかな…｡ 一応 携帯に ﾒｯｾｰｼﾞは 入れといたけど｡ うそ…｡ 彼女 居候してるんだって？ うん｡ ﾘｽﾄﾗされて➡ 行く場所がないって言うから うちに泊めてるだけなの｡ なるほどね｡ うん｡ うん？ まだ 何か用あった？ ううん｡ 用って程じゃないけど…｡ 大丈夫か？ 何が？ 友達 泊めるなんて お前らしくないからさ｡ 仕事に影響なけりゃいいけど｡ 大丈夫｡ ほら 今日は ゆっくり話せる状況じゃないから｡ 分かった｡ 完パケ ありがとね｡ いいや｡ お疲れ｡ お疲れさま｡ ♬～ ﾃﾚﾋﾞ局の人って こんな遅くまで働いてるのね｡ 勝手に 人を部屋に入れないでくれる？ ごめんなさい｡ しょっちゅう 来てるのかと思ったから｡ えっ？ 昨日も あの人 見かけたの｡ 私が 昨日 ﾏﾝｼｮﾝに入る時➡ ちょうど出てくる あの人 見かけたの｡ ﾃﾚﾋﾞ局の人だったのね｡ 打ち合わせしてたのよ｡ だと思った｡ 大変ね｡ ♬～ (園子)ｶｽﾐ｡ ちょっと いい？ (ｶｽﾐ)うん…｡ まゆりは 私の事 嫌いなんだよ｡ そんな事ないと思うけど｡ (静香)うちらの前では 普通にしてても➡ ｶｽﾐには 悪口 言ってるんでしょ？ あいつ 本心では 何 考えてんのか分かんない｡ <水絵は 20年もたって どうして 私を訪ねてきたんだろう｡➡ どうして 私は 水絵を 家に入れてしまったんだろう｡➡ 心の中に えたいの知れない不安が 生まれ始めていた> ≪(ﾃﾚﾋﾞ) (ため息) (ﾃﾚﾋﾞ) ごめんなさい｡ 起こしちゃった？ うん｡ そろそろ 起きようと 思ってたから｡ 本当？ ごめんね｡ 耕太が これ見たいって言うから｡ 耕太君｡ ﾃﾚﾋﾞ 好きなのね｡ (耕太)うん｡ 朝ごはん すぐ出来るから｡ 朝は いつも ｺｰﾋｰだけだから｡ ﾌﾙｰﾂﾖｰｸﾞﾙﾄぐらいなら入るでしょ？ すぐ用意するから 座ってて｡ え～っと… ｽﾌﾟｰﾝ｡ あっ あった｡ はい｡ ありがとう｡ 今日は ﾊﾛｰﾜｰｸに行ってくる｡ 早く 仕事 見つけて なんとかしないとね｡ そうだね｡ ねえ 耕太君は どうすんの？ ﾏｻﾞｰｽﾞﾊﾛｰﾜｰｸっていうのが あってね➡ 子どもを遊ばせておくｽﾍﾟｰｽが あるから それは心配ないの｡ へえ～｡ そういうのがあるんだ｡ 鈴音は？ 今日は遅くなる？ あ… う～ん 分かんないけど｡ どうして？ 多分 私の方が 帰りが早いと思うの｡ 悪いんだけど もし 仕事場に行くんだったら➡ 鍵を貸してもらえないかなと 思って｡ ああ… そうだね｡ 確かに 鍵がないと不便よね｡ ごめんなさい｡ あ… 一応 合鍵 渡しておくわね｡ こっちが ｴﾝﾄﾗﾝｽの鍵で こっちが 部屋の鍵ね｡ はい｡ ありがとう｡ あと お願いばっかりで 申し訳ないんだけど…｡ うん？ 何？ 面接用のﾊﾞｯｸﾞ 借りてもいい？ 私 ﾎﾞｽﾄﾝﾊﾞｯｸﾞしか持ってなくて…｡ いいわよ｡ あと できれば 化粧品も…｡ うん…｡ ♬～ いいの？ こんなｼﾞｬｹｯﾄまで借りちゃって｡ 私 もう着てないから｡ もったいないわ～｡ 仕事 早く決まるといいね｡ ママ きれい！ ｱｯﾊﾊ！ ありがとう！ 鈴音おねえちゃんのおかげね｡ じゃあ 行ってきます｡ 行ってらっしゃい｡ これ ありがとう｡ (ドアの開閉音) (ため息) (ため息) でしたら こちらの求人なんかは どうでしょう？➡ お給料の面でも かなり優遇されてると思いますよ｡ あ… でも 子どもがいるので 土日が休みじゃないと｡ あっ あと できれば➡ 寮のある会社だと ありがたいんですけど｡ それは ちょっと 難しいかもしれませんね｡➡ ほとんどが独身寮ですし➡ おっしゃってる条件を 全て満たすところは なかなか…｡ (美穂子)鍵とか預けて 大丈夫なの？ だから 一応さ 貴重品とかは 全部 仕事場に移したの｡ ほら 万が一 何かあって もめんの 嫌だから｡ 正直 こうなるのは 見えてたけどね｡ えっ？ ２日延長とか言って その子 このまま➡ 居座るつもりなんじゃないの？ いやいやいや…｡ さすがにさ いくら何でも そこまで考えてないでしょ｡ 鈴音は 何だかんだ言って 甘いからな～｡ とにかくね ２日たったら どんな状況でも➡ 出てってもらうつもりなの｡ 仕事にも 影響 出てるからさ｡ そうなの？ うん｡ 何か ﾍﾟｰｽ崩されてるっていうかさ 気が散っちゃって集中できないの｡ まずいでしょ それ｡ 分かってるよ｡ ねえ 最近 あっちの方は どうなの？ あっち？ 柳井さん｡ 思ったより続いてるじゃん｡ まあね｡ まあ でも あんまり深入りしてないから｡ ５年も不倫してて 深入り してないって事は ないでしょ｡ だから 精神的にっていう意味で｡ 余計な期待はしてないし➡ 別れるつもりだったら いつでも別れられるから｡ ふ～ん｡ いや 柳井さんとはさ 何て言うの…➡ 男女っていうよりも 戦友とか 同志みたいな関係だから｡ 私は 何も言ってないわよ｡ 修羅場にならない程度なら 後腐れなく つきあえるだろうし➡ 好きになっちゃったら しょうがないじゃない｡ ♬～ あれ？ うわっ！ あ～！ それじゃ｡ あ… 昨日は すいませんでした｡ ここって 確か 年配の方がやってたと…｡ あ～ あの… 父なんですけど ちょっと 腰 痛めちゃったんで➡ しかたなく 僕が引き継いでるんですけど｡ そうなんですか｡ はい｡ あの…｡ 古い俳句の本って 入ってきたりしますか？ 作者は？ 鈴木しづ子っていうんですけど｡ 鈴木しづ子…｡ 仕事で使いたいんで できれば 資料とかも｡ ｢夏みかん酸っぱし いまさら純情など｣｡ よく知ってますね｡ 一応 本屋やってるんで｡ でも 純情じゃなくて 純潔ですけど…｡ あれ？ ｢夏みかん酸っぱし いまさら純潔など｣｡ 色っぽいな｡ 出回ってるかどうか 確認しますね｡ もし見つかったら 連絡しますけど｡ あ… じゃあ お願いしようかな｡ これ すずねさんって 読むんですか？ はい｡ じゃあ 確認して ご連絡します｡ じゃあ お願いします｡ はい｡ あっ よかったら これ！ あ～ ごめんなさい！ ごめんなさい！ これ どうぞ｡ 灘さん｡ はい｡ ありがとうございます｡ はい 差し入れ｡ これ 好きだったよな｡ 珍しいわね こっちに来るなんて｡ だって ﾏﾝｼｮﾝの方には ご学友が いらっしゃるじゃありませんか｡ 行きたいって言ってた店 ２か月先まで➡ 予約が入ってるって｡ さすがだな｡ そんな事 言いに来たの？ 冷たいね～｡ 何 いらだってんの？ やっと乗ってきたとこなの｡ 邪魔しないで｡ 何かあったか？ 何かって？ 何となく｡ ５年も不倫してて 深入り してないって事は ないでしょ｡ 男女っていうよりも 戦友とか 同志みたいな関係だから｡ もし 子どもができたら 産んでいい？ えっ？ 何 急に言ってんの？ 産んでいい？ うそです｡ 言ってみただけ～｡ お～い｡ あのね そういう試すようなｾﾘﾌは ﾄﾞﾗﾏの中だけで使うように｡ 分かってます｡ それとも もしかして そういう事 本気で考えてたりするのかな？ 本気で考えてる事なんて 柳井さんに言った事ないわ｡ そんな事 言いだしたら 切りがないし｡ 何だよ それ｡ あ… 遅くなって ごめんね｡ 夕食は？ 適当に食べたから 要らない｡ 耕太と２人で待ってたのよ｡ 遅くなるなら 私も やる事あったのに｡ やる事って？ 何でもない｡ お帰りなさい｡ ただいま｡ ごめんね 耕太君 遅くなって｡ (耕太)うん｡ 掃除してくれてたの？ うん｡ 今日は ｷｯﾁﾝとﾄｲﾚだけ｡ ありがとう｡ 置いてもらってるお礼よ｡ 家政婦のつもりで使ってって 言ったでしょ｡ そんなの 気にしないでいいよ｡ あっ 私の部屋は 掃除しないでいいから｡ あの… 散らかってるけど 掃除されると どこに何があるか➡ 分かんなくなっちゃうから｡ 分かった｡ あっ お風呂 沸かしてあるの｡ すぐ入る？ (ため息) 何？ 食材 こんなに買ったの？ うん｡ まとめて買った方が安いし ３人分だから｡ そう…｡ ねえ 水絵｡ うん？ ﾜｲﾝ 飲まない？ いいの？ 仕事は？ 書けなくなるまで飲まないもん｡ じゃあ もらおうかな｡ ﾜｲﾝなんて久しぶり｡ ﾊﾛｰﾜｰｸ どうだった？ やっぱり なかなか条件が合うのが 見つからなくて…｡ 条件うんぬん言ってたら 決まるもんも決まんないわよ｡ う～ん まあ そうなんだけど…｡ はい｡ 長く勤める事 思うとさ➡ どうしたって 条件を考えるじゃない？ まあ 気持ちは分かるけどね｡ 分からないわよ 鈴音には｡ どうぞ｡ 奥さんがいる家って こんな感じなのかな｡ えっ？ 帰ってきたら ごはんの用意がしてあって➡ お風呂が沸いてて…｡ 結婚してた時は ずっと そうしてたよ｡ 前の夫も お酒飲む人だったから｡ 昔さ 屋上で よく話したよね｡ 10年後は みんな 何やってるかとか➡ 子どもは何人欲しいとか｡ 私ね 水絵は 歌手になるんだと思ってたよ｡ すっごい きれいな声してるから もったいないね｡ でも 私も この年まで 独身でいるなんて➡ 想像もしなかったな｡ 二十歳で結婚するって言ってた 鈴音が独身で➡ 声楽家 目指してた私が 子ども叱って➡ 声 からしてるなんてね｡ 皮肉だよね｡ 知ってる？ 英葉女学院 来年 共学になるんだって｡ 聞いた｡ 何か 校舎も別の場所に 建て替えになるんでしょ？ そう｡ 何か さみしいな…｡ あそこには 楽しい思い出が いっぱいあるのに…｡ 永遠なんてものは ないんじゃないの？ 鈴音｡ もしかして 昨日来た人と つきあってるの？ 何？ 急に｡ ただの仕事仲間って感じじゃ なかったから｡ だったら 何？ あの人 結婚してるんでしょ？ 私たち もう若くないのよ｡ 不倫なんて 時間の無駄だと思う｡ 関係ないでしょ｡ でも もし 奥さんに勝てるって 思ってるなら…｡ 水絵に そんな事 言われる筋合い ないから！ 子連れで 離婚して ﾘｽﾄﾗまでされて➡ 人の事 頼るような人生より よっぽど ましでしょ？ 大体 何で 私なの？ ねえ 20年間 一度も会ってないのよ？ 高校の時の友達だったら ほかにも たくさんいるでしょ？ 鈴音は ﾗｯｷｰで恵まれてるよ｡ 仕事も うまくいってるし➡ 旦那や子どもに 時間とられる事もないし｡ 収入も 普通の人より多いんでしょ？ ほかの人とは違う｡ 私は 結婚も仕事も うまくいかなかった｡ だから 私を選んだの？ 華やかに見える世界で 独身で 子どももいない｡ だから 頼れるって考えたの？ そんな事 思ってないけど｡ 私だって いろいろ大変だったよ！ それなのに ﾗｯｷｰだったなんて 言わないでくれる？ 水絵の知らないところで 私だって 努力してるわよ！ 鈴音は…➡ 私が努力してこなかったって 言いたいの？ そうは言ってないでしょ｡ でも 結婚も子どもも 自分で決めたんでしょ？ じゃあ 結婚しなかったらよかったの？ 耕太 産まなかったらよかったの？ 今 私が困ってるのは 全部 私が悪いからなの？ そんな事 言ってないでしょ！ 全部 私が悪いから➡ 仕事も見つからないし➡ 夫に殴られるままでいれば よかったの？ 水絵？ ＤＶ 受けてたの？ ３時…｡ あ… 原稿…｡ 朝一で送るっていう話だったよな｡ すいません｡ 美術打ち合わせも ﾛｹﾊﾝも 全部 ｽｹｼﾞｭｰﾙが狂って➡ 現場に迷惑がかかった｡ とりあえず さっきの原稿で進めるから➡ 細かい部分 直して送って｡ はい｡ (ため息) 耕太 この中だったら どの おうちがいい？ 鈴音おねえちゃんのとこがいい｡ そうだよね｡ ♬～ (曽我)あっ！ えっ？ いえ｡ ただいま｡ (２人)お帰りなさい！ 外 寒かったでしょ｡ 今日は 野菜が安かったから 具だくさんの豚汁にしたの｡ あったまるよ～｡ あったかい…｡ ずっと 仕事場にいたの？ 締め切り 遅れちゃって…｡ 大丈夫？ そっちは？ 午前中 ずっと ﾊﾛｰﾜｰｸに行ってたんだけど➡ やっぱり なかなか いいのが見つからなかった｡ でも 明日が 出ていく約束の日だもんね｡ もう こうなったら ﾊﾞｲﾄでも 何でもやって 稼がなくっちゃ｡ ねえ 朝 何時に出てったの？ う～ん ８時くらいかな｡ 声 かけたんだけど よく眠ってたから｡ 鈴音 顔色悪いよ｡ 大丈夫？ 何か ちょっと 気分悪いの｡ 頭 痛くて…｡ 風邪？ 大丈夫｡ 私たちも ちょっと風邪気味なの｡ だから 今日 早く寝るね｡ お風呂 まだ沸かしてないんだけど…｡ いい｡ 自分でやるから｡ ♬～ (ﾁｬｲﾑ) (ﾉｯｸ) 鈴音！ 鈴音 大変！ 何で!? あ…｡ (ﾉｯｸ) あ… 私 出る｡ ごめん｡ はい｡ ちょっと 下の階 水 漏れてるんですけど！ あ… すみません｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～

東京DOGS～最悪で最高のパートナー～＃08

1 （奏）正直に　答えるんだ！ （由岐）信じられないよね。 神野の恋人なんだもん　わたし。 バイト先にいた　吉村という男 やつも　神野を追っている。 （マルオ）由岐ちゃん？ （由岐）ううっ！ 由岐ちゃん…。 （由岐）神野さん！ （銃声） 確かなのか？　由岐。 確かに　それは　神野なのか？ 目の前で　見たから。 （ゆり）恋人を　目の前で 殺されたという　ショックが→ 彼女に　記憶を失わせた。 だよな。　愛する恋人が 目の前で　死ぬんだもんな。 頭が　痛い。 （ゆり）最も　衝撃的なことだから→ 最後まで　思い出すことを 拒否したんだと思う。 体も　ショック状態だわ。 部屋で　休みましょう。 神野が　死んでるなんてな。 何か　肩透かしっつうか。 まあ　結果オーライだろ。 逮捕する手間が　省けたじゃん。 もちろん　あんた的には 親父さんの　敵だし→ 自分の手で　逮捕したかったってのも分かるけどさ。 あした　もう一度　診察するわ。 今夜は　ゆっくり　休ませてあげて。 ≪（ドアの開く音） （ため息） ♪♪～ 飲むか？ ありがと。 作り過ぎた。 ♪♪～ わたし　目の前で 殺されるの　見て→ 記憶　失うほど 好きだったのかな？ たぶん　そうだよね。 今は　どうなんだ？ 少しでも 戻りたい　気持ちはあるのか？ それは…。 戻りたくないよ。 何か　怖いじゃん。 でも　もう　関係ないよね。 死んだんだもん。 俺は　そうは思っていない。 安心しろ。 お前は　俺が守る。 えっ？ 警察を　信用しろ。 はい。 （舞島）神野が　死んでる？ （益子）どれだけ　追い掛けても 出てこないわけだな。 （堀川）じゃあ　室井組との 取引に　現れたのは…。 （益子）ダミーってことだろ。 （舞島）でも　例の　赤いバッジは→ 神野しか 持てないものなんでしょう？ （大友）まあ　組織のボスは たいてい→ 何人か　影武者が　いるもんだ。 だから　そいつが持っていても 不思議は　ないんだがな。 取引を防げたのも　神野が指揮を 取ってなかったからってこと？ （鈴江）ひょっとすると 今　組織は→ 骨抜きの 状態なのかもしれませんね。 だとすれば…。 （堀川）つぶす　チャンスってことっすね。 （益子）確かに　ここで 一気に　攻めれば…。 そうでしょうか？ 神野は　ホントに 死んでいるんでしょうか？ いや。 認めたくねえのは　分かるけどさ。 甲斐崎は　神野を裏切り　明らかに あいつを追って　日本に来ている。 だって　由岐ちゃんは　目の前で 見てるんだぜ。　殺されるとこ。 彼女の話が　もし　本当だったら なぜ　今まで　どっからも→ 死んだという情報が 上がってこなかったのかだ。 もしかして　行方を 言いたくないがための→ 大嘘なんじゃないの？ （大友）そこまで　考えるかなぁ？ 考えるわけない。 （益子）いや。 ゼロではないと思うな。 （舞島）マジで？ 益子さん　考え過ぎだって。 （大友）うん。 （由岐）ゆり先生んとこ 行くだけだよ。→ 来てくれなくて　よかったのに。 まあ　昼休みのついでだし→ マルオの優しさ 受け取っちゃいなよ。　ユー。 （堀川）相変わらず 抜け目ねえなぁ。 [TEL] もしもし。 えっ？ 分かりました。 すぐ　戻ります。 鈴江さんからだ。 神野の居場所を　知っているという男が　現れたらしい。 どういうことだよ？ 分からん。 とにかく　俺は　署に戻ってみる。 お前は　由岐を 病院まで　連れてってくれ。 分かった。 頼む。 行こうか。 （鈴江）神野の居場所 教えていただけるそうですね。 （男性）その前に　何か 食わせてくんねえかな。→ 腹　減っちゃってんだ。 （鈴江）これは　これは。→ すみません。 気が付くべきでした。→ カルボナーラなんか　どうですか？（男性）えっ？ カツ丼じゃねえの？ 取り調べって。 それは　ドラマの中の話です。 現実は　カルボナーラです。 （男性）じゃ　それで　いいや。 フッ。 わたしの　記憶違いかな。 （堀川）まあ　分かんないっすよ。→ その男だって　神野のダミーを 知ってるだけかもしれないですし。 でもさぁ　向こうから 情報を　提供してくるってのが→ 何か　引っ掛かんだよな。 うーん。　何か 分かんなくなってきちゃった。 ああ。　そんな　思い詰めなくて いいんだよ　由岐ちゃんは。 よく　考えてみる。 そう？ ねえ？　どっか　行かねえ？ （堀川）どっかって？ 何か　気晴らしにさ。 こう　ぱーっと　行こうぜ！ （堀川）飲みに行くってことっすか？ ううん。 お勧めが　あるんだけど。 俺の　昔からの　お気に入り。 どこ？　それ。 倉庫。 （堀川・由岐）倉庫！？ 高澄町に　あんだけどさ。 すっげえ静かで　マルオ的 癒やしスポットなわけよ。 癒やしスポットって。　倉庫なんて どこだって　一緒じゃないっすか？ そこでね　俺 族の総長　襲名したの。 なあ　よくね？　由岐ちゃんに 見せたいもんも　あるしさ。 じゃあ　診察　終わったら 行きますか！ うん？　どうした？ 甲斐崎！？ （銃声） （由岐）あっ。 （銃声） （男性）うん。　うん。 （鈴江）あなた　本当に 神野　知ってるんですか？ （男性）うん。 知ってるよ。 （銃声） 堀川。　由岐ちゃん　連れて　逃げろ。俺が　援護する。 はい。 行くぞ。　１・２・３！ （銃声） （下山）あっ。　女を　追ってください。 あの刑事は　俺が…。 （甲斐崎）お前には　無理だ。 俺が　引き留める。 （下山）分かりました。 （銃声） （銃声） チッ。 ♪♪～ （銃声） マジかよ！？ （銃声） ♪♪～ あっ。 チッ。　ううっ。 ああ！　くそ！ （銃声） （堀川）由岐ちゃん　こっち。 （銃声） （堀川）由岐ちゃん。 先　逃げてください。 （由岐）でも…。 （銃声） （堀川）早く　行ってください！ （銃声） 俺は　大丈夫ですから。 （銃声） （甲斐崎）女は？ （下山）あっちです。 （舌打ち） ♪♪～ （真紀）由岐さん？ 由岐さんなわけ　ないか。 ♪♪～ [TEL] どうした？ （由岐）甲斐崎に追われてる。 マルオは？ 堀川と一緒に　逃げてたんだけど 今は　１人で…。 ここ　場所が分か…。 落ち着け。 ＧＰＳで　すぐに確認できる。 うん。 すぐに　向かう。 このまま　携帯を切るな。 分かった。 お前　甲斐崎の部下か？ えっ？　ヘヘ…。 これは　俺を　署に 引き留めるための　わなです。 そのようですね。 （殴る音） （男性）うっ！ ♪♪～ ハァー。 あっ。→ 気を付けてください。 向こうに　甲斐崎の部下がいます。 由岐ちゃんは？ 先に　逃がしました。 由岐ちゃん　１人にしたのかよ！？ すいません。 逃がすだけで　精いっぱいで。 くそっ！　かがめ。 ≪（真紀）ケイちゃん！ あっ。　真紀の声がする。 俺　ここで　死ぬのかな？ 最後に　恋人の声 聞こえちゃったのかな？ （真紀）ケイちゃんってば！ ああー。 まるで　すぐ後ろに　いるような…。 ワオ！　どうしたの？　真紀。 （真紀）ランチ　しよう！ （堀川）うーん。 今　銃撃戦してるから→ ランチとか そういうのは難しいな。 せっかく　近くにいると思って ルンルンで来たのに。 （堀川）えっ！？　何で　分かったの！？ もう　いいだろ　それ。 （真紀）じゃあ　銃撃戦　終わったら ランチする？ （堀川）うーん。 まあ　いいけど。 駄目だろ！ すぐに　由岐ちゃん　捜さねえと！ （真紀）やっぱり　さっきの 由岐さんだったのかな？ えっ！？　由岐ちゃん　見たの？ どこで！？ この先　真っすぐ　行ったとこです。 サンキュー　真紀ちゃん。 ランチ　楽しんでね！ 益子さん　舞島さんは 堀川の方　お願いします！ （益子）ＯＫ！ 由岐か？　ＧＰＳでは 空きビルに　お前がいる。 間違いないか？ （由岐）うん。　隠れてる。 ♪♪～ 甲斐崎が来た。 今から　言うとおりにするんだ。 ♪♪～ [TEL]（奏）汐入町交差点に向かえ。 その道を　進行方向に　真っすぐだ。 分かった。 由岐。　いいか？　よく聞け。 最悪のときのために　言っておく。 うっ。 マルオ！　早く　乗れ！ おう！ おお　先生。　ヤベえよ！ 由岐ちゃんが→ 甲斐崎に狙われてるよ！ 分かってる。 由岐から　連絡があった。　これから汐入町交差点で　落ち合う。 今ごろ　舞島さんと　益子さんが 堀川と　連絡を取って→ 合流してるはずだ。 動き　早いねぇ。　頼もしいわ。 大丈夫かな？　由岐ちゃん。 ちゃんと　交差点まで来れるかな？ 病院への道だ。　来れるだろ。 そういうことじゃなくて！ 捕まらないで　来れるかなって 心配してんの！ ♪♪～ 早くしろよ！ 分かってる！　うるさい！ [TEL]（由岐）嫌ーっ！ ♪♪～ 何で　いねえんだよ！？ 先生！ やられた。 （甲斐崎）ずっと　だましてて すいませんね　由岐さん。 最愛の恋人に 会わせてあげますよ。→ 下山。　組織の女を 引き取りに来いと　連絡しろ。 （下山）分かりました。 ＧＰＳか。　でも すぐに　感づかれるんじゃねえ？ 最悪　連れ去られたときのために 指示をしておいた。 携帯を　通話中のまま どこかに　隠せと。 通話中のまま？ ああ。 そうすれば　甲斐崎たちの会話を 聞きながら　録音できる。 そのイヤホンで　聞いてんのか！？ やるじゃねえか！ さすが　先生！　信じてた！ くそ！ 駄目だ。 ＧＰＳは　さっき この場所で　切れたままだ。 （甲斐崎）「ずっと…。 由岐さん」 甲斐崎の　車内の会話は　どうだ？ 何か　分かったか？ 雑音が　ひどくて　聞き取りづらい。 しかし　解析して 雑音を取り除けば　分かるだろ。 一度　捜査課に戻ろう。 その間に　由岐ちゃんに 何か　あったりしないよな？ 由岐は　神野の組織と 取引する材料だ。　絶対に殺さない。 そんなの　分かんねえじゃねえかよ。ギャンギャン　騒ぐな！ ここで　じっとしてても しょうがないだろ！ そっちこそ　ギャンギャン 騒いでんじゃねえかよ。 ギャンギャン星人か！？ ギャンギャン星人って　何だ？ ギャンギャン　騒ぐ　星の人だよ。 女みてえによ。 俺の　どこが　女みたいなんだ？ 飯　食った後　ハンカチで→ 口の周り　ぽんぽん ふいてんじゃねえか。 エチケットだろ！　食後に　必ず アイスを食べる　お前の方が　女だ。 俺は　最後の　アイス　ペロリンコが楽しみで　生きてんだよ！ アイス　ペロリンコ そのものが　女だ！ アイス　ペロリンコは 女のものじゃねえ！ アイス　ペロリンコって　何だ？ お前　知らねえなら→ 言うんじゃねえよ！ しーっ！　静かにしろ。 あっ。 もめてる場合か！？ あっ！ 早く　車に乗れ！ あっ！ うるさい！ ギャンギャン星人は　お前だろ！ あーっ！ （舞島）もう　誰も いないんじゃないの？ （益子）ああ。　静か過ぎる。 お前　ちょっと出て　走ってみ。 （堀川）嫌ですよ！ 撃たれたら　どうするんすか！？ いや。　いないから　大丈夫だよ。 （堀川）嫌ですよ！→ あっ！　ちょっと！ あっ！　あっ！　ああ…。→ ちょっと…。 何てこと　してくれてるんですか！？ （益子）大丈夫だろ？ （舞島）行けって。 （堀川）ちょっと！ （舞島）高倉の言うとおり 甲斐崎は　由岐を餌に→ 神野を おびき出すつもりみたいね。 はい。 （鈴江）やはり→ 生きていることを　前提に 動いてるようですね。 由岐ちゃんの　居場所さえ分かれば神野も　現れるってことか。 高倉が録音した 甲斐崎の　車内音声データから→ 可能なかぎり 雑音を　抜き取りました。 聞かせてくれ。 （益子）はい。 （甲斐崎）「下山。　組織の女を 引き取りに来いと　連絡しろ」 （下山）「分かりました。→ 甲斐崎さん。 落ち合う　場所ですが→ エヒンと　環七のぶつかる…。 方面に…。　見える…。　です」 （益子）ハァー。　この音声からじゃ 場所の特定は　難しいですね。 もう一度　音声を 聞かせてください。 途切れる　寸前のところを。 （益子）おう！ （下山）「甲斐崎さん。 落ち合う　場所ですが→ エヒンと　環七のぶつかる…。 方面に…。　見える…」 環七と　京浜道路が　ぶつかるのは ここと　ここです。 （大友）一刻を争う。 手分けして　同時に行くぞ。 （一同）はい。 （大友）鈴さんと　舞島は→ やつらが　取引に使いそうな 場所を　洗いだしてくれ。 （鈴江・舞島）はい。 （大友）奏とマルオ　益子と堀川は→ 二手に分かれて　周辺捜索。 （堀川・益子・奏・マルオ）はい！ （奏）《安心しろ。 お前は　俺が守る》 《はい》 おい　先生！ そっちじゃねえよ！ 俺　運転すんのね？ あんた　大丈夫かよ？ 何がだ？ 何がって。 今みてえなこと 普段なら　絶対　ねえだろ！ 由岐ちゃん？　神野？ 気になってんの　どっち！？ うるさい！ （甲斐崎）降りろ。 （甲斐崎）レストランのバイト 楽しかったですね。→ おかげで　記憶も 戻ったみたいだし。 神野は　死んだわ。 ニューヨークの　取引があった日→ 組織にあった報告は やはり　本当だったんじゃ？ この女の　くだらねえ嘘を→ 信じんのかよ？ （由岐）嘘じゃない！ もう少しで　答えは出るよ。 あんたを　人質に取ったんだ。 やつは　必ず　現れる。→ やつを消せば 組織は　俺のもんだ。 ♪♪～ 舞島さん？ ３丁目の　廃工場っすね。　了解！ よっしゃ！　きたー！ 益子さんに　連絡だ。 ラジャー。 ♪♪～ すぐに　応援　来るってよ。 よし。　由岐を捜す。 行くぞ。 おう。 [TEL] ちょっと　待て。 どっちだよ？ [TEL] もしもし。 [TEL]（京子）奏ちゃん？→ ママですけど。 すまない。　１５分後に　かけ直す。 [TEL]（京子）ちょっと　待って。 悩んでるの。 どうしたの？ [TEL]（京子）ママね→ ティラミス 始めてみようと　思ってるの。 ティラミス？ それ　始めるとか　始めないとか そういうもんかな？ [TEL]（京子）何かねぇ　ダイエットにもなるらしいのよ。→ ヨガみたいなものなんだけど どう思う？ それは　ピラティスじゃない？ [TEL]（京子）あら？ ママ　何て言った？ ティラミス。 [TEL]（京子）あら！？→ それは　デザートじゃない。 ヤダ。　ハハハハハ。→ いやーん。　アハハハ。 アハハ。 行くぞ。 なあ？　誰なんだよ？ いいかげん　教えろよ。 教える必要は　ない。 （甲斐崎）さて 神野と　お宅の兄さん→ どっちが　先に来るのかな。 （甲斐崎）つうか　どっちと 会いてえ？　なあ？ ♪♪～ （益子）今　堀川と　中に侵入した。 人質は　殺さないはずです。 近づいて　確保するしかない。 合図をくれれば 俺と　堀川で　敵の気を引く。 後ろに回って　由岐を確保しろ。 了解。 今の俺　何げに カッコ良くなかった？ カッコ良さげだけど　何げに 安全な方　取ったでしょ？ 何が？　俺には　守るべき 家族が　いるんだよ。 お前らみたいに　いつ死んでもいい 独り者じゃねえんだよ。 いつ　死んでもいいって どういうことっすか！？ 俺にだって 愛する　彼女が　いるんだよ。 タメ口？ （堀川）うっかり。 ♪♪～ 配置に　就きました。 ゴー。 行くぞ。 はい。 待て。 ≪（足音） 何だよ？　あいつら。 神野の手下だ。 （真中）女を渡せ。　甲斐崎。 （甲斐崎）神野を出せ。→ 来てんだろ。 女が　死んでもいいのか？ （真中）渡さないなら 死んでくれ。 （銃声） 警察だ！　間もなく　応援が来る。 まとめて　全員　逮捕する！ 全員　手　上げてもらえると 幸いっす。 ここで　お兄さんたち　登場か。 （真中）裏切り者が さつに　救われるとはな。 ついてるな　甲斐崎。 やれ。 （銃声） （益子）堀川。　応援　呼べ。 （堀川）はい！ （真中）女は　本物ですが。 すいません　ボス。 一度　戻ります。 やっぱ　生きてんのかよ　神野。 じゃあ　あいつ　追えば　神野の 居場所が　分かるじゃねえかよ。 （由岐）嫌！ 放して！ 由岐。 （真中）逃げろ。 あっ。 あんたは　あいつを追え。 （由岐）痛い。 （由岐）ううっ！　奏！ おい！ あいつが　逃げちまうだろ！ 由岐ちゃん　俺に任しとけ。 早く！ ♪♪～ 《こんな　すてきな クリスマス　初めて》 （神野）《来年の クリスマスイブにも→ また　一緒に　この鐘を聞こう》 （由岐）《ホントに？》 《約束だよ》 （神野）《ああ。　約束だ》 ♪♪～ （甲斐崎）おい！ （銃声） （銃声） ♪♪～ （銃声） くそ！ （銃声） ♪♪～ 爆弾か。 くそ！ 大丈夫なんでしょうか？ 組織は　俺たちを撃ってきた。→ その女　殺しても構わない 感じでしたよ。→ 捨てられたんじゃないですか？ その女。 本気で　殺す気なら あの場で　やれただろ。 えっ？ （甲斐崎）逆に　はっきりした。→ 神野は　やっぱり あんたが　欲しいらしい。 お兄さんと　取り合いだ。 （舞島）都内全域で　車両ナンバーの監視と　検問を行っています。→ しかし　まだ　有力情報は 上がってきていません。 （堀川）どこかに 潜伏してるんでしょうか？ （益子）車を乗り換えてる 可能性　あるな。 （たたく音） 甲斐崎の野郎！ 甲斐崎は　神野を　おびき出して 消してしまいたい。 神野たちは　裏切り者の 甲斐崎を消して→ 由岐を　取り戻したい。→ まあ　いずれにしろ 次の動きは　早そうだ。 そうですね。 （鈴江）ナンバー照会が　終わりました。 神野の組織の車ですが→ 登録住所は 千代田区　神田２丁目　８番地です。 鈴さんと　舞島で ここを　洗ってくれ。 （舞島・鈴江）はい。 （大友）甲斐崎の方は　引き続き→ 奏と　マルオ　益子と　堀川だ。 （堀川・益子）はい。 （益子）堀川。　先　行ってるぞ。 （堀川）ああ。　はい！ 《奏！》 ♪♪～ うん。 あんた　朝から 何も　食ってねえんだろ。 ああ。 （大友）奏。　ちょっと　いいか？ あっ　はい。 おかしいな。 あんな　高倉さん　初めてっす。 あいつ　今　ビニールごと 食ったことにすら　気付いてねえよ。 （大友）うーん。　うまかったか？ えっ？ パンだよ　パン。 パン？ まあ　いいや。 いや。　何か　話が あるんじゃないかなぁと思ってさ。 ああ。　ないなら　いいっか。 悪かったな。 初めてです。 刑事になって　初めて→ 判断に　迷いました。 迷いは　ミスを生みます。 刑事失格ですね。 俺は　迷う刑事の方が 好きだけどなぁ。 （たたく音） [TEL] もしもし。 えっ！？ （京子）おにぎり　持ってきたの。 （カリン）わたしも　幾つか　作った。 何で　急に？ （京子）奏ちゃんが　好きなもの→ たっくさん　入れたわよ。 あら？　うれしくなかった？ いや。　うれしいです。 （京子）でしょう？ パパも　すっごく 喜んでくれてたの。 ママね　こうして　色々 差し入れしたのよ。 パパがね　電話して 元気なさそうだったとき。 （カリン）お兄ちゃん　今日 元気　なさそう　なさそうって→ ママが。 そんなことないよ。 じゃあ　奏ちゃん！ ガンバ！ （カリン）お兄ちゃん。　ガンバ！ ありがとう。 （堀川の泣き声） （京子）じゃっ　帰るね。 ≪（中谷）うおおおー！ お兄さん！　感動っす！→ 初　警視庁 超　興奮するっすっす！ 堪能した？　中谷君。 （中谷）ういっす。 （カリン）なかなか　入れないよ 警視庁。 つうか　お兄さん 刑事だったんすね。 すげえ。　どんな　あだ名っすか？ スーツって　あだ名っすか？→ ういっす。 （カリン）お兄ちゃん！ ちょっと　カリン。 （中谷）あ痛てて。 （下山）駄目です。 組織と　連絡が取れません。→ やつら　俺らと 取引しないつもりじゃ？ （甲斐崎）ここまで来て ビビってんじゃねえよ。　ねえ？→ ホントに 神野の居場所　知らないの？ 知らない。 （甲斐崎）あんたが→ 教えてくれないとさ　いつまでも モノホンが　出てこないのよ。 知らない。 （甲斐崎）いつまでも 甘くねえぞ。→ マジで　言わねえなら ぶっ殺す。　なあ？ お前みたいなのでも　死んだら 悲しむやつが　いるんだろ？→ 言ってくれよ。　なあ？ （奏）《安心しろ。 お前は　俺が守る》 分かった。　話す。 でも　一つだけ　条件がある。 （甲斐崎）条件？ [TEL] もしもし。 奏？ 由岐！ 由岐ちゃん！ [TEL]（由岐）マルオ。 どこに　いるんだ！？ マルオ。 総長就任　おめでとう。 バイバイ。 あっ。　由岐！ [TEL]（甲斐崎）やっと　神野の居場所を思い出してくれたよ。 甲斐崎。 神野は　どうやら 俺のものに　なりそうだな。→ お宅らとの　付き合いも これで　終わりだ。 [TEL]（通話の切れる音） [TEL]（不通音） マルオ。 総長就任　おめでとう？ どういうことだ？ 分かんねえ。 これは　由岐からの　サインだ。 サイン？ おそらく　由岐は 今から　行く場所を伝えている。 どこだ？　マルオ。 ええー？　サイン？ 早く！　思い出せ！ 早く　思い出すんだ！ 分かんねえ！　分かんねえ！ １発　パンチして！ うっ！ あざーっす！　思い出した！ 安心しろ。 由岐の命は　必ず　守る。 えっ？　俺に　言ってんの？ 自分に　言ってんの？ 何をだ？ 俺は　何も言ってない。 無意識かよ。　やっぱ　あんた さっきから　おかしいよ。 そうかもな。 別に　どっちでも　いいけどさ。 ♪♪～ おにぎり！　うまそう！ 勝手に　開けるな！ 俺も　朝から 何も　食ってないんだよねぇ。 開けるな！ 何で　そんな　むきになんだよ。 お一つ　いかが？ えっ？　何？　これ。 卵焼きだ。 何で　おにぎりに 卵焼き　入ってんの？ 高倉家伝統の　おにぎりだ。 あ…　あんたのは？ ナルトだ。 ナルト！？ 何だ？ おかしいのか　おかしくないのか 微妙なんですけど　どっちも。 （甲斐崎）どういうつもりだ？ （甲斐崎）こんな所に ホントに　神野が　いるのかよ？ いるよ。 （甲斐崎）どこだ？ 天国。 （撃鉄を起こす音） くだらねえ嘘　つきやがって。 てめえ　いいかげんにしろ！ （銃声） 奏！ （甲斐崎）下山！ （銃声） 悪いねぇ　吉村君。 マルオ！ （銃声） （甲斐崎）うっ。 大丈夫か？ 奏。 あっ。 （銃声） （銃声） ♪♪～ 奏！ 先生？ （銃声） （由岐）奏。 先生。 （由岐）奏！　嫌！ （下山）来い！ （由岐）い…　嫌！　嫌！ （銃声） （由岐）奏！ （銃声） ああっ！ おい！　おい。 しっかりしろよ　先生！ 嘘だろう！？　おーい！ （甲斐崎）真中か？　神野　出せ！ マジで　女　ぶっ殺すぞ！ [TEL]（真中）勝手にしろ。 （甲斐崎）何？ [TEL]（真中）女が　いようが　いまいが お前は死ぬ。 [TEL]（通話の切れる音） ちょっと　待て。 （甲斐崎）どうやら　組織は お前が　必要ないらしい。→ もう　用なしだ。 死ね。 （銃声） 奏。　マルオ。 まさか　三つは　持ってないよな。 （銃声） （銃声） 危ない！ 由岐ちゃん！ ほら。　早く来い。 （銃声） 駄目だ。 （甲斐崎）何で　助けた？ やつらは　俺を　殺しに来たんだよ。 お前とは　ゆっくり　話がある。 ♪♪～ （救急車のサイレン） （由岐）ありがとうね。 （由岐）何か　わたし 助けられてばっかりだね。 フフッ。　まあ　俺らは　これからも 命　懸けて→ 由岐ちゃん　守り続けっから。 そこんとこ　よろずや。 って　言いなさいよ　よろずや。 あっ。 ああっ。　あー。 痛っ。 すまん。 ありがとね　マルオ。 うん。 ♪♪～ ところで この場所に　何があるんだ？ そうだ。　マルオが　何か 見せたいもんが　あるって→ 言ってたよね。 もうちっと　待って。 そろそろ　来ると思うんだけど。 ≪（バイクのエンジン音） （エンジン音） おう。　悪いな　シゲ。 （シゲオ）総長に呼ばれたら→ 何してたって　飛んできますよ。 で　何の用っすか？ ああ。　バイク　貸してくんない？ （シゲオ）あっ。　いいっすよ。 バカ。 （シゲオ）あざーっす！ お前のだけじゃねえよ。　全員の。 （シゲオ）あっ　全員。　全員！？ （シゲオ）総長。 これで　いいっすか？ ＯＫ！ マルオが　見せたかったのって これ？ うん。　俺が　総長になったとき ここで　就任式　やったの。 そんときの　決意表明ってやつ？ （由岐）マルオらしい。 だろ？ なあ？　あんたも　何か言えよ。 コメントの　しようがない。 あえて言うなら　普通だ。 バッカじゃねえの？ 族の普通は　漢字で→ 「夜露死苦！」とか 「喧嘩上等！」なの。 そこを　「みんな　仲良く！」でいった俺を褒めろ！ 褒めようがない。 褒めんかい？　褒められたら→ 伸びる　タイプなんじゃい。 お前に伸びてもらう　必要がない。 褒められたら　チェ・ホンマンみたいに なるんじゃい。 誰だ？　それは。 背丈の話かいって　ツッコむとこ。 知らないとか　最悪。 うっ。 チェ・ホンマンって　誰だ？ もう　いいよ！ つうか　俺は　ずっと言いたかった。あんたとも　あろう者が→ 何で　簡単に 甲斐崎に　撃たれたんだよ？ えっ？　もう１丁 銃を　持ってることぐらい→ いつもの　あんたなら 警戒したはずだ。 由岐ちゃんしか 見えてなかったんじゃねえの？ バカな。　わざと撃たれて 油断を誘う戦法だ。 嘘つけ！ 防弾チョッキ　着てたからって→ 頭　やられたら　一発だぜ。 死んじゃったかと思った。 よかった。 すまなかった。　由岐。 何が？ 戻るぞ。 （由岐）ねえ？　奏。 うん？ 思い出した。 神野との約束。 約束？ [TEL] もしもし。 [TEL]（男性）高倉の息子か？ 誰だ？ [TEL]（男性）立派な デカに　なったなぁ。→ よく　由岐を助けてくれた。 礼を言うよ。 神野！ ♪♪～

パーフェクト・リポート＃03

1 （銃声） （政伸の　うめき声） （警備員）《うわっ》 （警備員）《大丈夫ですか？ しっかりしてください》 （警察官）《東蒲田２から警視庁→ 逃走中と思われるバイクを 発見》→ 《現在地 大田区大森南６丁目付近》→ 《バイクは路地に入り逃走中》 [無線]（警察官）《至急　至急 警視庁から各移動→ 東蒲田署管内　東都銀行大森支店で銀行強盗発生》 《犯人は４人組》 ♪♪～ ≪（パトカーのサイレン） ♪♪～ （黒井）これを 遊軍でやってくれないか？→ ３日後の藤光の誕生日に 記者会見が開かれる噂がある。→ 彼女の映像を できる限り集めておいてくれ。 （梅野）あと 藤光のマンションに張り付きも→ おね…。 （黒井）蒼山　聞いてるのか？ （蒼山）「死んだ男を訴える」 （蒼山）どういうこと？ ≪（パソコンを　たたく音） ≪（赤坂）何をやってるんですか？ えっ？　あっ　ああ。 東都銀行現金輸送車襲撃事件 知ってる？ ３日後に丸８年になるんだけど→ 当時　銃で脚を撃たれた警備員が 先月　亡くなって→ その息子が　死んだ犯人を 民事で訴えようとしたのよ。 詳しく調べたいんだけど。 （赤坂）たたいて直るという発想は やめてください。 じゃあ ちょっと　あんた　やってみてよ。 （赤坂）えっ？ 早く。 ちょっと　ちょっと　早く。 かな入力に なってるだけじゃないですか。 あっ？ んっ？ これ　呼び出して。 （舌打ち） 顔が近過ぎます。 （桃井）えらいもん見ちゃったよ。 おかしいわね　これ。 犯人４人組の１人→ バイクで逃走中に事故で死んだ 松田って男→ 劇団員で主役に抜てきされた 舞台の初日に　強盗なんて→ どういう思考回路してんのよ この人。 確かに妙だな。 臭い。 んっ？ （黄田）何があった この昼休みの１時間に。 何をやっているんだ？ （奥澤）そっちこそ　昼間っから～。 はっ？ （紫村）熱い→ 何か熱いなあ。 [TEL] はい。 ええ。 蒼山さん　黒井さんから 女優の藤光の件　頼まれたの→ 覚えてますか？ こっちで ちゃんと調べておきますから。 （赤坂）女優の　藤光　香奈子の 結婚記者会見に向けて→ 放送用の素材と　彼女のマンションの 張り付きを　やることに…。 ８年前の現金輸送車襲撃事件 詳しく調べてみるわ。 まずは　「死者を訴えた」という 現状を把握する。 出世虫と愛想笑いは 被害者遺族に話を聞いてきて。 わたしと眼鏡で 加害者遺族に話を聞きに行く。 子持ちと女好きは　死んだ犯人の 松田が所属していた劇団を…。 （赤坂）ちょっと待ってください。→ 上からは　今 藤光の件を頼まれているんですよ。 過去の事件なんて掘り下げて どうするんですか？ あんただって　さっき 「確かに妙だ」って言ったじゃない。 気になることを調べるのは 記者として当然でしょ。 （赤坂）今　視聴者が…。 （奥澤）痴話ゲンカ？ （紫村）赤坂さん→ 俺　藤光のマンションの張り付き 行ってきます。 （白石）１人じゃ大変だろ 俺も行こ。 （黄田）巻き込まれる前に逃げたな。 ほら　何　ぐずぐずしてんの 早くして！ 早く。 ねえ。　ところで→ フジミツって誰？ （赤坂）死亡した犯人に 訴えを起こすというのは→ 珍しいケースだと思いますが。 （小林）結局 受理はされませんでした。→ でも　父の無念を　少しでも 皆さんに知ってもらいたくて。 小林さんは 「事件を風化させたくない」→ そういう思いなんですね。 （小林）父は　車椅子生活で ふさぎがちになって→ やがて病気に。→ どうして うちの父が　あんな目に…。 ホント　どうして…。 ご遺族の「なぜ」という思いは 消えず→ 歳月とともに 深まってしまうんですね。→ 心中お察しします。 （小林）引き続き　松田の家族に 訴えを起こそうと思っています。 頑張ってください　応援してます。 おいしい。 息子さん お芝居されていたんですよね？ （公子）二十歳のころ　急に 演劇をやるって家を飛び出して。→ 就職して　結婚して→ 平凡でも　まっとうな人生を 歩んでほしかった。 （桃井）あっ→ うちの親も 同じこと　言ってます→ 人さまに迷惑を掛けない生き方を しなさいって。 あと　子供じゃないのに ちゃんと　１日３食　食べろとか→ うるさいんですよ。 （公子）そう。→ 親は　子供が元気でいるのが 何よりだから。 すてきですね。 （公子）えっ？ このカップ。 （公子）あっ 趣味で焼いた物なんです。→ 自分の手で作った物だと→ 少しでも真心を込められるかと 思って。 息子が家を出たときにも 渡したんですよ。 でも　恥ずかしがって 使わないって。 でも→ どうして　息子が あんな事件　起こしたのか。→ あの子のこと思うと　いつも そればかり考えてしまうんです。 （桃井）何か切ないですね。 あっ　あの　ちょっと　母ちゃんに 電話していいっすか？ 何か　無性に 「俺　元気」って言いたくなって。 早くしなさい。 （黄田）あっ お忙しいとこ　すいません。 （鮎川）あっ　いえ。 （黄田）へえ　こういうとこで 練習してるんですね。 （鮎川）当時の劇団も ここを使ってたんですよ。 （鮎川）松田は あの舞台の主役でした。→ なのに 公演の初日に事件を起こして。→ 彼には本当に裏切られました。 （役者）《立ち聞きは…。 「立ち聞きは　よくないな…」》 （松田）《おい いいかげんにしろよ　お前！》→ 《せりふぐらい ちゃんと覚えて来いよ！》 《お前らもさ　ぼ～っとしてないでせりふぐらい　ちゃんと覚えろ》→ 《やる気ねえなら　帰れ！》 （鮎川）主役を張ることが決まって いつも以上に傲慢な態度でした。→ 協調性がなく自己中心的で→ 彼がいると いつも必ずトラブルが起きました。 それで　彼は どうして　舞台を放り出して→ 強盗に行ったと思います？ （鮎川）さあ？ 普段から　何を考えてるのか→ 分からないようなところが ありましたから。 当時の劇団員の名簿とか 残ってませんか？ （桃井）死んだ男のバッグを奪って 逃げた？ （富樫）バイクの後ろに乗ってて 助かった　もう１人の犯人が→ 運転していたやつから 奪ってったんだ。 その中に　何か身元につながる物が入ってたのかしら？ ほかに　何か気が付いたこと ありませんか？ （富樫）ああ　そういや 毎年　事件の日になると→ 事故現場に妙な物が置いてあるな。妙な物？ うん　ティッシュに包まれた コーヒー豆だよ。 これに　どういう意味があるか 分からないけど→ お供えだとしたら ８年間　彼を思い続けてた人が→ いるってことかしら？ （桃井）松田のお母さんに 電話で聞いたんですけど→ 知らないみたいです。 （黄田）松田は→ 昔の劇団員に ぼろくそ　言われてましたよ。→ 死んだ人間のこと あそこまで悪く言うかね。 （奥澤）でも　犯罪者ですよ。 そもそも→ 犯罪者を慕ってる人間って どういう神経？ お前 思いっ切り　うがった見方だな。 とにかく　当時の劇団員 学生時代の友人　バイト先→ あと　松田と親しくしていた人を しらみつぶしに当たってみて。 （奥澤）まだ調べるんですか？→ 犯罪者のことなんて 正直　知りたくないんですけど。 この事件は謎が多い。　それは この事件にかかわった人が→ その謎を抱えたまま生きてる ってことよ。 調べてみる価値あるわ しらみつぶしに。 はい　動いて　はい しらみつぶし　はい。 （桃井）奥澤さん　しらみつぶしって見たことあります？ あるわけないでしょ！ 空気　読んで！ （黄田）俺 取材　行ったら直帰するから。 ああ。 （赤坂）理解できない。 あなたは　やみくもに 過去の事件を掘り起こす前に→ 報道マンとして優先すべきことが あるでしょ。 何よ？　それ。 視聴者に　１分１秒でも早く 最新の情報を提供することです。 ニュースとは→ 新しいものを集めてこそ ニュースなんです。 （ため息） 深く掘り下げないと 分からないことも　あるわ。 自分が好きなネタを 気が済むまで調べたいんなら→ フリーのルポライターにでも なったらどうですか。 １つ聞いていい？ いくらぐらい　もらえんの？ フリーのルポライターって。 ♪♪～ （白石）ポン太～。 （紫村の　ため息） （紫村）カナコ　フジミツ 来ないっすね。 （紫村の　ため息） （紫村）そういえば 白石さんって　昔は→ 社会部で　相当　ヤバかった らしいじゃないっすか。→ 何がどうして　こう なっちゃったんすか？　フフッ。 （白石）お前 興味ないのに聞いてんだろ？ （紫村）いや　それは　それなり… にっ！ あ～！　チクショー　あ～。 （白石）藤光の結婚相手の 野島　勝→ 彼のようなピッチャーには なりたくないんだよ。 毎回　全力投球して 揚げ句には故障だ。 それより 普段は抜くところは抜いて→ ここぞというときに備えておく。 まあ たまに肩慣らしも必要だけどな。 それって　どういうことっすか？ ≪（ざわめき） （紫村）白石さん　来ましたよ！ （白石）おっ。→ 例えば　こんな感じだ。　紫村！ （紫村）えっ？ （記者）野島選手から プロポーズは受けたんですか？ （記者）結婚するのは 事実なんですよね？ （白石）ねえ　藤光さん！　あの～→ マスコミに噂を仕掛けた張本人は あなたじゃないんですか？→ 主演女優賞　取ったのは　３年前。 野島選手は ケガで…　ねえ　長期欠場中。 そろそろ　明るい話題で　メディアに載りたいところじゃないですか？ （藤光）どちらの方？ （白石）キャピタルテレビの紫村です。 （紫村）えっ？ （藤光）野島さんとは→ 真剣に　お付き合いさせて いただいています。 紫村さんですよね？ （白石）はい。 （藤光）よく覚えときます。 （白石）すいませんね。　ちょっと 待ってください　藤光さん…。 最悪だ。　もう！ ≪（紫村）俺じゃないんですよ！ あっ？ （奥澤）さすがに まずいですよ　これ。 えっらいこと　やらかしたなあ。 （紫村）いや　だから これ　俺じゃなくって…。 ≪（白石）おはようっす。 （紫村）あっ 白石さん　これ　見てくださいよ。→ 藤光の結婚会見が あしたに決まったのに→ うちだけ 事務所から取材拒否ですよ。 そりゃ大変だ。 （紫村）えっ　ちょっと…。 （黒井）お前の部下は いったい何を考えてるんだ？→ こんなことが続けば 遊軍の存続自体が問われる。→ 今の部署がなくなったら お前は　どこに行く？ フリーのルポライターって手も あるみたいよ。 えっ？ まあ　とにかく→ あんた　うまくやっといてよ。 そういうの得意じゃない。　ほい。 （桃井）そうですか　２カ月。→ あと　ほかに何か知ってる情報ってありませんか？→ お名前は？→ はい。 （白石）何だ？　これ。 （黄田）毎年　松田の命日に→ 誰かが　コーヒー豆　包んで 事故現場に置いてるみたいっすよ。 おひねりじゃないのか？ （奥澤）おひねり？ （白石）うん。　松田って男は 演劇やってたんだろ？→ まあ　普通は　ひいきの役者に 金を包むもんだが。 おひねりだとしたら それを置いてった人は→ 役者としての彼を 応援していたってこと？ でも　何でコーヒー豆？ （桃井）ありがとうございます。→ 松田には 当時　付き合ってた彼女が→ いたみたいです。 バイト先で知り合ったみたいで→ 名前は　吉川　理恵子さん。 中年反抗期　ついてきなさい。 ほら　おっさん　早く。 （白石）何だよ　おっさんって。 （白石）説教なら　ごめんですよ。 １９９０年１２月→ 警察だと身分を偽って情報を得る。 １９９１年１月　ライバル局に 嘘の情報を流して　独占取材。 出るわ出るわで ざっとクレーム７２件。 何で　そんなものを。 あんただって　わたしの過去に 興味を持って調べたんでしょ？ （白石）あの…。 こっちも期待に応えないわけには→ いかないじゃないの。 （白石）あのね　クレ…。 あ～　もう　徹夜しちゃったわよ。 こんな問題児がいるなんて 心強いわ。 わたしなんか　まだまだね。 あの　クレーム件数は ７２件じゃなくて７３件。 見落とし　あったみたいですね。 ７４件目　おめでとう。 じゃあ　これで。 えっ？ ≪あの。 すいません→ 吉川　理恵子さんですか？ （理恵子）はい。 キャピタルテレビの蒼山です。 突然　申し訳ありません。 ８年前の事件のことで お話　聞かせていただけませんか？ ≪（真希）ママ。 （理恵子）おかえり。 （真希）ただいま。 （理恵子・真希の笑い声） （理恵子）お話しすることは 何もありませんから。 失礼します。　行こう。 （真希）うん。 （理恵子）学校どうだった？　今日。 （真希）楽しかったよ。 （理恵子）楽しかった？ （真希）うん。 （黄田）松田の子供？ １年生だったのよ。 事件のころ おなかの中にいたとしたら→ 計算が合う。 名字も旧姓のままだった。 （桃井）一人で産んで育ててる ってことですか？ あした もう一度　会いに行ってみるわ。 （黄田）そっとして あげられないのかね→ 今まで 静かに暮らしてきたんだろうに。 （白石）いや　彼女が 事件と無関係とは言い切れないぞ。 金や共犯者の行方→ 警察が見抜けなかった何かを 隠してるかもしれない。 でも　もし ホントに松田の子だとしたら→ 犯罪者の子供を産むって どういう気持ちなんだろう。 松田の交友関係 ほかに何か見つかった？ （桃井）今のところ 吉川さんのほかに　親しい人は→ 見つかってません。 じゃあ　引き続き→ しらみつぶしに　お願いね。 結局→ 言いだしたら 周りなんて　お構いなしだ。 振り回される　こっちは たまらないな。 （赤坂）藤光　香奈子の記者会見 出席のお許しが出た。 （紫村）マジっすか！？　よかった！ ちょっと待て。 藤光の映像素材　どうなってんだ？ それなら　もうすぐ終わります。 （一同）お～。 （白石）へ～　あの藤光が ひそかに料理学校に通ってんのか。 新情報　さすがだなあ。 蒼山さんが好き勝手動いてる分→ 赤坂さんが　やるべきことを ちゃんと　やってくれてんだよな。 調べるのが嫌なんだったら→ 手伝わなくていいわよ。 えっ？ 何よ　ここまで巻き込んどいて。 もう　帰る。 （黄田）どうした？ （桃井）あっ→ 何か こんなに早く帰るの久しぶりで。 事件のことが気になってんのか？ 松田は何で　お母さんや恋人に 悲しい思いまでさして→ 犯行に走ったのかなって。 僕なら　やりませんよ。 お前　彼女いたっけ？ いや　いませんけど。 （黄田）何だよ。 まあ　自分で何か気になることが あるんだったら→ 調べればいいんじゃないのか？→ じゃあな。 ≪（白石）あなたの報道姿勢は 相当　傲慢ですね。→ 真実が分かれば 誰かが救われるとでも→ 思ってんすか？→ 報道が誰かを傷つけることが あっても　その逆はない。 あなたが 一番　分かってることでしょ。 ごちゃごちゃ　うるさいなあ。 もちろん分かってるわよ。 でも　真実を伝えることで 何かが変わるかもしれない。 その希望は持ってる。 あなたは違うの？ 思った以上に青臭いんですね。 （桃井）いや 何か覚えてないですかね？→ 覚えてない。 ありがとうございます。 ええ　松田　浩二さんのことで→ 何か　ご存じのことがあればと 思って。 （紫村）白石さん 謹慎１週間らしいじゃないっすか。 （白石）予想どおりだ。 （紫村）何でパズルやってんすか？ （白石）謹慎になると いつも　これやるんだよ。 いつもって　反省ゼロだな。 さっきから何やってんの？ ああ　松田のお母さんに→ 彼の昔の郵便物とか手帳とか→ 手当たり次第 借りてきたんですよ。→ 何か手掛かりがあるかなと思って。 （黄田）ありがとうございます。 （受話器を置く音） 当時の劇団員が言うには 松田は　あの事件の直前→ 有名な演劇評論家と→ 必死に　コンタクトを取ろうと してたそうだ。 僕　話　聞きに行ってきます！ （黄田）うん。 （奥澤）するめ女の味方しちゃって。 お前 あの女を意識し過ぎじゃねえか？ えっ？ （黄田）それぞれが→ 気になることがあったら 勝手に調べりゃあいい。 お前だって 被害者遺族と会ったとき→ 何か感じることが あったんじゃないのか？ 別に　そんなもの…。 （赤坂）藤光の素材だ。 黒井さんに渡しておいてくれ。 （梅野）お疲れ。→ あっ　そういや→ 黒井さんが　お前に約束していた ワシントン支局の件→ 来年　空きができる予定は ないらしいぞ。→ 残念だな。 （赤坂）黒井さんの口癖 知ってるか？ 「お前は頼りになる」 気を付けた方がいいぞ。 えっ？ （赤坂）その後　どうですか？ 特捜部の動きは。 [TEL]（検察官）あなた　政治部から 異動になったそうじゃないですか。→ 丹波代議士の情報なんて 必要ないでしょ。 異動は一時的なもので すぐに政治部に戻ります。 引き続き 情報交換をお願いします。　では。 ≪（白石）やるべき仕事をやった後 独自のネタを追ってるってわけか。 （赤坂）白石さんに 聞きたかったことがあるんですが。 （白石）んっ？ （赤坂）ポン太は→ タヌキですか？ それとも　キツネですか？ えっ？ （赤坂）冗談ですよ。 それの　どこが　冗談なんだ？ 聞きたかったのは→ 「蒼山さんが→ いつから　ああいう記者に なったのか」ということです。 １１年前らしい。 （ため息） 藤光って女優　ご存じですか？ （理恵子）はっ？ 近々　結婚するそうですが→ こっそり 料理学校に通ってるみたいです。 わたしも よく分からないんですが→ 今までの彼女の言動からすれば 意外な一面だそうです。 （理恵子）いったい 何の話なんですか？ 松田さんのことを調べたら→ みんなは 彼のことを悪く言っていました。 でも　わたしは　きっと　違う側面があるんじゃないかと思ってます。 わたしたちが知らない 松田さんを→ 吉川さんなら 知ってるんじゃないかと思って。 知って→ どうするんです？ 彼が　どういう人間なのか。 それを知ることで→ 事件をひもとく　きっかけに なるかもしれない。 少しでいいんです→ お話　聞かせていただけませんか？ ♪♪～ （理恵子）結婚を考えていた相手が 犯罪者になった。→ わたし ホント　男運　ないんですよ。 あっ　それなら　わたしも一緒です。 （理恵子）えっ？ 初デートに 母親がついてきた男とか→ 自分探しをするって言って 隣町に引っ越した男とか。 （笑い声） あしたが→ 松田さんの命日ですね。 毎年　事故現場に これが置いてあるんですが→ ご存じないですか？ いえ。 何ですか？　これ。 コーヒー豆を包んだ→ おひねりみたいなもの なんですが→ どこを捜しても　これを置いた人が見つからないんです。 思い当たる人はいません。 そもそも　彼のことで わたしに答えられることなんて…。 あっ　正直に言うと　彼とは うまくいってなかったんです。 あの事件の前→ 彼は　毎晩　毎晩　遊び歩いて 帰ってこない日が続いてました。 わたしは　彼のことを忘れて→ 一人で娘を産んで育てる決心を したんです。 そのことを→ 娘さん　ご存じなんですか？ いいえ。 娘も何か感じるのか→ 父親のことは 何も聞こうとしません。 もし　いつか聞かれたら…。 嘘をつくしかないと思っています。 ♪♪～ でも→ 「なぜ」っていう気持ちは→ 消えないんじゃないんですか？ あっ　蒼山さん。 こんなとこで何やってんの？ あんた。 （桃井）松田は　演劇評論家に 舞台を見に来てほしいと→ 頼み込んでいました。→ 事件当日も 必ず見に来てくれって→ 念押しの電話まであったみたいで。当日も？ 毎日　夜通し稽古をしてると 言ってたそうです。 吉川さんは 松田は　毎晩　遊び歩いて→ 帰ってこなかったって言ってたわ。 えっ？ もしかして 彼女には　わざと　そう言ってた？ だとしたら→ 彼は 毎晩　どこで練習してたのかしら？ （鮎川）彼が こっそり　練習していたなんて→ 今まで 一度も聞いたことありません。 （鮎川）今野さん 松田のこと　覚えてませんか？ ほら　現金輸送車を襲撃した 松田　浩二です。 （今野）ああ。 （鮎川）事件を起こす前に→ 彼が １人で練習していたかどうか→ 記者さんが 知りたいそうなんですよ。 いや　知らんな。 （桃井）毎晩 夜通し稽古をしていたのに→ その姿を　誰も見たことないって どういうことなんでしょうか？ ≪（コーヒー豆をひく音） （桃井）蒼山さん？ ≪（コーヒー豆をひく音） ♪♪～ （桃井）ことしも おひねり　置きに来ますかね？ う～ん。 あ～　何か　小腹がすいちゃったわ。 あんた 何か　ちょっと　買ってきて。 早く。 はい。 ≪（足音） （桃井）えっ　ちょっと　来ましたよ。 来ました　来ました。 隠れてください。　ちょっと…。 ≪（ノック） （桃井）はっ。　あっ　どうします？ あの　恋人のふりします？ いや　きょうだい？ いや　親子？ はあ？ ≪（ドアの開く音） 何だ　奥澤さんかよ。 （奥澤）差し入れ。 わたしも張り込むから。 （桃井）えっ？ 言っとくけど　自分の中にある もやもやのためだから。 ちょっと あんた　するめがないじゃないよ！ ほら　もう１回　コンビニ　行って おでんとカップラーメン→ 買ってきて。 ≪（コーヒーを注ぐ音） 冷えますよね。 どうぞ。 温まりますよ。 ♪♪～ それは→ 松田さんのお母さんから お借りした→ 手作りの物です。 スタジオの管理人室にも→ 同じ物が置いてあるのを見ました。 （コーヒー豆をひく音） わたしの話を→ 聞いていただけませんか？ わたしたちは　取材の中で→ 松田　浩二という人物に 触れてきました。 この事件は→ やがて 世の中から忘れ去られていきます。 でも 関係者の「なぜ」という思いは→ 消えることはありません。 亡くなった警備員の息子さん→ 松田さんのご両親→ 恋人だった吉川さん→ そして→ ２人の間に生まれた子供。 今野さん→ 松田さんのことで→ 何か　思い当たることがあったら→ お話ししていただけませんか？ お待ちしてます。 ♪♪～ ≪（男性）黒井さん 藤光の会見　始まりました。 （黒井）中継回線　２番に出せ。→ 藤光　いい顔してるじゃないか。 ♪♪～ ♪♪～ 紫村　いくぞ。 （紫村）はい。 （黄田）カメラ　回りました。 （紫村）回りました。 では　お願いします。 （松田）《「分からない。 分からないけど→ もしかしたら　俺には 資格がないのかもしれない」》→ 《「そもそもが異常だったんだ。 ただの偶然の→ 異常だったのかもしれない。 もしくは→ 俺と　お前は 試されていたのかもしれない」》 （松田の　ため息） 《おい》 （今野）《はい》 （松田）《どうも》 （今野）《んっ？》 《台本の中のせりふしか 言えねえのか？》 （松田）《ありがとうございます》 《飲みな》 （松田）《いただきます》 （今野）それが　きっかけで 誰もいない深夜に→ こっそりと　スタジオを 貸してやることになったんです。 彼は→ 努力する姿を人に見られるのを→ 何より嫌ってました。→ だから→ 管理人だった　わたしと→ 個人的な付き合いが あったことを→ 誰も知りませんでした。 （今野）《お母さんの手作り？》→ 《そんなの　もらえないよ》 《俺　むちゃくちゃ 親不孝してるんです》 《だから それ　家で使うの　心苦しくて》 （今野）《じゃあ 預かっといてやるよ》→ 《あっ　それから→ これ》 《何ですか？》 （今野）《ひいきの役者への おひねりだ》 《お前　いい芝居してるからな》 《ホントですか？》 《今度の舞台 きっと　うまくいくよ》→ 《うん》 《ありがとうございます》 《あれ？　これ→ お金じゃないじゃないですか》 （今野）《ハハハハハ…》 《コーヒーですか？》 （今野）《おう》 《いただきます》 ♪♪～ ♪♪～ なのに　なぜ 彼は舞台に出ずに犯行現場に？ わたしが→ バカだったんです。 （今野）《はい》 [TEL]（操作音） （松田）《何ですか？　今の話》 （松田）《何ですか？　それ》 《まさか　前に　奥さんの病気→ 海外でしか治療できないって 言ってましたよね？》 《だから　そんなことを？》 （今野）《冗談だよ　冗談》→ 《ハハッ　本気にするなよ》 《まあ　金さえありゃ うちのやつも　元気になることは→ 確かなんだけどな》 《バカな気　起こすの→ やめてくださいよ》 《だから　冗談だって》 《心配すんな》→ 《稽古　頑張れよ もうすぐなんだろ？》 （今野）でも　彼は　事件当日 気になって　わたしを訪ねて来た。 わたしの姿がなくて→ 犯行に走ったことに 気付いたんです。 ♪♪～ ♪♪～ 「松田君は悪くない」 そのことを伝えてほしいんです。 ♪♪～ （赤坂）《視聴者に １分１秒でも早く→ 最新の情報を提供することです。 ニュースとは→ 新しいものを集めてこそ ニュースなんです》 （赤坂）お願いしますよ。 （黒井）無理だ！　各局　トップで→ 結婚会見を流すのに うちだけ外すわけにはいかない。 （赤坂）今　放送しないと 他局が警察の公式発表を受けて→ すぐに報道します。 目の前にある 伝えるべきニュースを→ いち早く届けるのが 俺たちの仕事じゃないんですか？ じゃあ　藤光の会見よりも 優先すべきニュースか→ 見せてみろよ。　話は　それからだ。 分かりました。 すぐ　編集に入ってください。 あと１５分しかありません。 （今野）《彼は　事件当日 気になって　わたしを訪ねて来た》 《今野さん》 ♪♪～ （銃声） （政伸の　うめき声） （政伸の　うめき声） （犯人）《おい！》 ≪（警備員）《危ない　下がってろ！下がってろ　危ないから！》 ≪（車のドアの閉まる音） （今野）《おい！》 （松田）《乗れ！》 （今野）《どうして？》 （松田）《いいから！》 （紫村）あっ　お願いします。 （黄田）先に　絵　つないでおく！ （紫村）はい。 テロップ　準備しときます！ （黄田）これから先に 取り込んでください。 （桃井）あっ これ　全部　いらないやつだ！ （奥澤）えっ　原稿は？ （桃井）どうしよう　どうしよう。 えっ！？ （桃井）あっ　僕　書きます。 どうすんのよ！ （桃井）えっと　何しよう…。 （奥澤）えっ？ 何やってんだ　俺は。 （桃井）奥澤さん 時間がありません。→ ミスしないで読みきってください。 「当時　犯人グループの中で→ 唯一　身元が分かっていた 松田　浩二さんは…」 （赤坂）無茶なお願いなのは 分かってます。　でもね　それだけ→ インパクトがあるネタなんですよ。 ♪♪～ （紫村）テロップできました。 （松田）「分からない」→ 「分からないけど→ 俺は 試されていたのかもしれない」→ 「そもそも 異常だったのかもしれない」 （今野）《松田君！》→ 《松田　しっかりしろ！》 （松田の　うめき声） （松田）《逃げろ→ 奥さんのために》 （松田）《これ…→ 理恵子に》 （松田の　せき） ♪♪～ （桃井）行ってきます。 （桃井）うわっ！ （男性）うわっ！ （桃井）ごめんなさい！ （男性）おい！ うちの独占で　確実に トップが張れるネタなんですよ。 ≪（桃井）赤坂さん！ （赤坂）黒井さん→ これが 今　伝えるべきニュースです。 [ﾃﾚﾋﾞ]今日　午後 国際派女優　藤光　香奈子さんが→ メジャーリーガーの 野島　勝さんとの→ 結婚会見を　開きました。→ こちらのニュースは　後ほど たっぷり　お伝えするとして→　 まずは　独占スクープからです。→ ２００２年　東京　大田区の 東都銀行で発生した→ 現金輸送車襲撃事件で→ 犯人の１人とみられる男性が→ キャピタルテレビの 独占インタビューに答え→ これまで　犯人とされてきた 松田　浩二さんが→ 無実の罪であったことを 明らかにしました。 [ﾃﾚﾋﾞ]（今野）「『松田君は悪くない』」→ 「そのことを伝えてほしいんです」 [ﾃﾚﾋﾞ]（奥澤）「当時　世間を騒がせた この事件→ 今回の男性への取材により→ 犯人とされてきた松田さんは 犯行に加わっておらず→ 男性の犯行を止めるために→ 現場に 向かっただけであったことが→ 分かりました」→ 「この男性は　先ほどの取材終了後 すぐに　四谷南署に出頭し→ 自らの犯行の動機や→ 現在　逃走中の犯人２人の 身元などについて→ 明らかにしていくものと みられます」→ 「また 強奪された２億円について→ この男性は　一切 受け取っていないと話しており→ 残る２人が持ち去ったものと 思われます」→ 「男性は　インタビューの最後に→ ８年もの間　真実を隠して→ 松田さんの名誉を 傷つけたことを→ 松田さん　および ご家族に対して→ 心から　おわびしたいと 話していました」 ≪（チャイム） [ﾃﾚﾋﾞ]（キャスター）松田　浩二さんの→ ご冥福を 心よりお祈りいたします。 （理恵子）はい。 あっ。 あの事件の日に→ 松田さんが持っていたバッグです。 吉川さん→ 全然　男運　悪くないですよ。 えっ？ ♪♪～ ♪♪～ 松田さんは→ 主役の舞台が成功したら→ プロポーズするつもり だったんじゃないんですか？ ≪（真希）ママ→ 松田さんって誰？ 松田→ 浩二。 彼は　真希のね…→ 真希の…。 パパだよ。 ♪♪～ ♪♪～ （白石）これか？　あ～。 （奥澤）えっ？ ２人がいい仲ってのは→ 誤解だったんですか？ （赤坂）当たり前だ。→ 俺には　ちゃんとした彼女がいる。 （奥澤）何だ→ 際物カップルで面白いと 思ったのに。 あ～ ちょっと　子持ち　聞きなさいよ。 わたしさ　こう見えても プロポーズされたことあんのよ。 （黄田）へ～　勇気ある男だね。 でもさ→ プロポーズの途中で 取材が入っちゃって→ そっち向かったのよ。 そしたら　怒っちゃってさ…。 ≪（紫村）黄田さん 帰んなくていいんすか？ 今夜は　近所のママ友んちで お泊まり会なんだよ…。 あっ ちょっと　子持ち　聞いてんの？ （黄田）聞いてますよ。 あっ　ちょっと　ト…　トイレ。 （白石）はい　はい　はい　はい。 痛っ。　痛たたたた。 蒼山さんの「深さ」っちゅう取材と 赤坂さんの「速さ」っちゅう取材。 これ　両方　合わさったら 何げに最強じゃねえ？ あいつ　あんな　酒癖　悪かったか？ たまってんじゃないすか？ 日ごろのストレス。 （桃井）紫村！ ビール買ってこいよ。 はあ？　てめえ　この野郎！ （桃井の　うめき声） （紫村）酔っぱらってっからってな 許さねえぞ　この野郎！ あっ　お疲れ。 あなたが　記者として→ １つの事件を　深く 掘り下げるようになったのは→ １１年前の事件が原因ですか？ ったく　１１年前　１１年前って どいつもこいつも。 わたしが　トラウマを抱えてる みたいに　言わないでくれる？ ったく。 （澤村）《あなたには 裏切られました　あなたを信じた→ わたしが　バカだった》 ♪♪～ ♪♪～

ぼんくら１st＃08

1 <八百富の太助殺しから始まった 鉄瓶長屋での一連の出来事｡➡ 太助の妹 お露が 長屋にいられなくなり➡ 父親と共に出ていった｡➡ 更に 桶職人 権吉の娘 お律が➡ 博打の借金のかたに 岡場所へ売られそうになり➡ 父親に愛想を尽かして出奔｡➡ その後 櫛の歯が欠けるように 次々と 店子が出ていった｡➡ それが 湊屋の企てである事までは 分かったが➡ 果たして その裏に 何が隠されているのかは➡ 謎のまま｡➡ だが 失踪した久兵衛が 長屋の心であるお徳に対して➡ 佐吉を嫌うようにしむけていた 事を知った平四郎は 怒り心頭｡➡ 岡っ引きの政五郎を 仲間に引き入れ➡ 事の発端となった お露の動きを探らせていた｡➡ さて 湊屋の思惑は いかに> (烏の鳴き声) (平四郎)ああ～！ (鳴き声) ああっ！ ああ あっ あっ！ ああ… おいおい おい…｡ ああ ああ…｡ (弓之助)叔父上…｡ あ～！ ああ～！ うわ～！ (志乃)弓之助！ 大丈夫ですか？ うん？ どうした？ ｢どうした？｣ではございません｡ あなたが うなされていたので➡ 心配した弓之助が 起こそうとしたのを➡ いきなり 突き飛ばしたのでございます｡ え～？ 夢でも 見ていたのでございますか？ すまん｡ 早く起きて お顔を洗って下さいまし｡ 弓之助｡ はい？ 来てたのか… ああ～｡ …で どのような夢を ご覧になっていたのですか？ ああ～ お徳のうちにな｡ はい｡ 血だらけの 太助の死骸があるんだよ｡ え…｡ まあ 夢だからな しかたねえんだが｡ まあ とにかく そんなこっちゃ お徳が仕事できねえ｡ でだ その死骸を片づけようとして 太助の腕を つかもうとしたら➡ 急に 太助が ふわ～っと起き上がってきて➡ 両手で 俺の体に つかみかかってきやがるんだ｡ もう 目は あさっての方向を向いて➡ こう 口は カ～ カ～ッと開いて 舌が はみ出ちまってる｡ バア～！ 払っても払っても 冷たくて ぶよぶよ ぶよぶよした➡ 太助の体が離れようとしねえ｡ ｢あ～ お前は もう死んでるんだ➡ 成仏してくれ｡ 動くんじゃねえ｣と言っても➡ もう ぶよぶよ ぶよぶよしたのが こう乗っかって…｡ ああ～！ ぶよぶよ ぶよぶよ…｡ ぶよぶよ攻めだ ぶよぶよ…｡ ああ～！ ぶよぶよ…｡ あっ！ な… 何ですか｡ 申し訳ありません｡ あっ ああ…｡ あっ！ 岡っ引きの政五郎親分の 手下という方が見えています｡ おでこか？ いいえ｡ うん？ 旦那様は 岡っ引きが お嫌いなはずでしょう？ 私は 存じません｡ うん？ 存じません｡ ありがとよ｡ へい｡ それじゃ ごめんなすって｡ 政五郎が気を利かして お律の様子を見に行ったら➡ 長屋から姿をくらましてたらしい｡ 瀬戸物屋も辞めちまってる｡ (弓之助)苦みばしった番頭さんに 因果を含められたんでしょうね｡ うん…｡ まあ いい｡ 父親の権吉は まだ鉄瓶長屋にいる事だし➡ お律も 政五郎に捜してもらう事にした｡ 叔父上｡ ああ？ 前から考えていた事なのですが➡ 少々 測ってみたい事がありまして｡ 測る？ 何を？ 八百富の太助殺しの時…｡ ≪(足音) (弓之助)お徳さんは 長屋の裏を走る足音で目覚め➡ 久兵衛 お露 ご両人の待ち受ける場に➡ 足を踏み入れた｡ (お徳)お露ちゃん 本当かい？ ですが 目覚めなくても➡ お徳さんは 大芝居に 巻き込まれる手はずだった｡ そうですよね？ そん時は 久兵衛が お徳を起こしに行っただろうよ｡ お徳は 長屋のツボだ｡ そのツボを押すためにも 巻き込まなきゃしょうがねえ｡ では お徳さんが聞いた足音は 一体 誰なのでしょうか？ 全てが 湊屋の筋書きで 動いてるとするならば➡ 太助さんを殺したのは➡ お露さんではなくて 湊屋の手の者である｡ つまり 第三の人物｡ そいつは 八百富から逃げるところだった｡ どこへ？ 久兵衛の所か｡ はい｡ 久兵衛さんが その男を かくまった｡ 夜明けとともに逃がすために｡ つまり その辺の事を確かめるためにも➡ 測りたいのです｡➡ お徳さんを目覚めさせた 足音の主の➡ 重さや歩幅も 分かるかもしれません｡➡ 更には 背丈だって｡ やめとけ｡ そんなもん測らなくても お前の言うとおり➡ 第三の人物が 太助を手にかけた｡ だがな そいつの背丈だの目方だの 歩幅だのなんて知っても➡ しょうがねえや｡ どのみち 江戸の男の背丈と歩幅を 測って歩く暇なんぞ ねえ｡ きっと 湊屋さんの 奉公人の中におります｡ お徳の耳に 入れたくねえんだ そんな話｡ お前の言うとおりにしたら お徳に事情を話さなきゃならねえ｡ だが できるなら あいつには 何も知らせたくねえ｡ そっとしておいてやりてえんだ｡ 分かるか？ …はい｡ 怒ってる訳じゃねえ｡ 妙な夢を見たせいだ｡ 勘弁しろ｡ あ～ びっくりした｡ うわあ｡ 朝餉の支度ができました｡ ♬～ どうかなさったのですか？ どだい 俺は 人殺しを捕まえるだの➡ 隠し事を暴くだのには 向いちゃいないと➡ そう思ってさ｡ 何のお話でございましょう？ 知らない事は 知らないまんま｡ 聞かない事は 聞かないまんま｡ 分からない事は 分からないまんま｡ そいつが一番なんだが➡ 世の中 ままならねえ｡ 何だ？ 何やら おつらそうです｡ そんな事はない｡ (友兵衛)お見回り ご苦労さんでございやす｡ 旦那 鉄瓶長屋は どうなるんでござんしょうかねえ｡ ﾋｯﾋｯﾋｯﾋｯﾋｯ！ 大変だ～ あの長屋も｡ なあ？ カッ｡ カッ｡ ｸﾜｯ｡ あっ あ～ 旦那｡ 豆腐屋のあとの店子が 決まったって訳じゃねえのに➡ ムキになって掃除してたぜ 佐吉のやつ｡ 気の毒にねえ 佐吉さんも｡ 全くだ｡ (臭いを嗅ぐ音) 何だ？ この臭い｡ あっ 臭うかい？ 旦那｡ いや お前かよ｡ ごめんなさいね｡ あ～ 臭い！ あっ 臭い！ まだ 治んねえのか あせも｡ そんな事より 近頃じゃ あっちこっちで言われますよ｡ 鉄瓶長屋は 人殺しと久兵衛さんの事で➡ あやがついて もう駄目なんじゃないかってね｡ 駄目って 人間じゃねえんだ｡ 長屋に寿命なんかあるまいよ｡ いんや あるんだよ 旦那｡ ≪ごめんよ！ (おくめ)あいよ！ お店や長屋は 人が集まって住む場所だろ？ 運が尽きる時があるんだよ｡ 夜逃げが続いて 店子が少なくなったり➡ 火事で みんな死んじまう事もある｡ はやり病で 店子が根こそぎやられて➡ それっきりって事だって, うん…｡ 久兵衛さんがいなくなって 急に寿命が来たんだよ｡ ここは もう終わりだよ｡ だがな ここは 火事にやられた訳じゃねえ｡ 疫病も出てねえ｡ 夜逃げしなくちゃならねえほど 困った店子だっていなかった｡ 第一 ここは出来て まだ10年だ｡ 寿命にしちゃあ 早すぎる｡ どうかね｡ もともと 験のよくない 土地だったかもしれないよ｡ 何でえ そりゃ？ だってさ 旦那➡ ここは もともと そこそこ大きな 提灯屋だったんだ｡ 結構 はやってて 細工場もある大きな家でね｡ それが あるじが おかしくなった途端➡ いっぺんに 傾いちまって｡ 聞いてる｡ 借金がかさんで 家と地所を 手放す事になったんで➡ 湊屋が買い取った そして ここを建てたんだよな｡ だからさ ここは はなから➡ そんな よくない思い出が 染みついたとこなんだ｡ 私たちが 愉快に暮らしていい 土地じゃなかったんだよ 旦那｡ お徳よう｡ 夢見るんだよ 太助さんの｡ ああ～！ お前もかい～！ 恨めしそうな顔で じ～っと 私の顔を見てんだよ｡ もう 私ゃ 拝んで 一生懸命 頼むんだ｡ (２人)成仏しておくれよ～！ あんたには 気の毒だったけど お露ちゃんだって➡ やむにやまれず…｡ あっ…｡ あっ！ だけどさ 私 もう この長屋には いたくないんだよ｡ 箕さんや お絹さんたちとも そんな話 しょっちゅうしてんだ｡ ねえ そうだよねえ 箕さん お絹さん｡ (箕吉) ああ こんなｽｶｽｶになった長屋➡ 誰も住んでたくないもんな｡ (お絹)旦那 どうしたらいいんですかねえ｡ どうしたらってよ…｡ 弓之助｡ 提灯屋…｡ おい 元の八百富の家に 何があるってんだ？ うん？ 何やってんだ？ 弓之助｡ おい どうした？ 叔父上は ここに 以前 建っていた➡ その… 提灯屋の素性をご存じですか？ 詳しくは知らねえが 何で？ 提灯屋は 湊屋ゆかりの者 だったのではないでしょうか｡ …へっ？ あるいは お内儀の おふじの実家と➡ 関わりがある者かもしれない｡ どちらにしろ 湊屋とは つながりがあったはずです｡ うん 熱はねえな｡ 叔父上 提灯屋の素性 なんとか調べられませんか？ けど 何だって そんな事…｡ 旦那～！ うわ～！ あ～ びっくりした｡ 大変です！ 何だ いきなり｡ また来ました｡ 誰が？ お嬢さん 押しかけ女房が板に着いてるぜ｡ (みすず)まあ おからかいになって 嫌ですわ 旦那ったら｡ こりゃあいい｡ いきなり 女っぽいぜ｡ (佐吉)旦那…｡ けなげなもんじゃねえか｡ やらせといてやりゃあいいんだ｡ 長坊だって あのおねえさんなら 怖くねえよな｡ (長助)ない｡ (佐吉)笑うな｡ それにしても お嬢さん よく湊屋さんで出してくれたね｡ 番頭を足蹴にしてやると 言ったんです｡ えっ？ ｢いい？ 私を引き止めたら ここで 大暴れしてやるんだから｡➡ ご近所さんに対して 湊屋の恥になったって➡ 知らないから！｣｡ そう脅したら➡ 許してもらえました｡ ﾊｯﾊｯﾊｯ そいつはいいや｡ みんな 気楽なもんだ｡ やじ馬だからな 俺は｡ ﾊｯﾊｯﾊｯ｡ 聞いたぜ 北町の差配の寄り合いで 嫌み言われたんだってな｡ これだけ 次々と店子をしくじりゃ➡ お小言 頂戴しても しかたありません｡ 昨日 会った 大番頭さんの話じゃあ➡ 湊屋の旦那は 長屋には ケチがついたから➡ いっその事 店子をみんな よそに移して➡ 湊屋の寮でも建てようかと おっしゃってるそうです｡ ケッ しらっと よく言いやがる｡ けど 長屋が 本当に無くなったら どうするんだ？ 元の植木職人にでも戻ります｡ 親方は 喜んで 使ってくれると思いますから｡ なら どうだ？ あの子と一緒になっちゃあ｡ いい娘だぜぇ｡ 飯を作る腕前は まだ分からねえけどな｡ 旦那 その話は もう…｡ あの娘は お前にほれてる｡ 間違いねえよ｡ いや 旦那…｡ いや 俺は…｡ いや 俺は…｡ (長助)官九郎～｡ (烏の鳴き声) おっ｡ (烏の鳴き声) おい 佐吉｡ (はじける音) (弓之助)うわ～！ (みすず)ごめんなさい！ (佐吉)坊ちゃん 坊ちゃん！ ごめんなさい！ 坊ちゃん｡ 大丈夫ですか？ はい ありがとうございます｡ ごめんなさい｡ 蒸し過ぎて 蓋を取ったら はぜちゃって｡ 弓之助 大丈夫か？ 平気です｡ お嬢さん 料理 残念だったな｡ ああ びっくりした｡ ああ 権吉｡ 下帯 洗いに来たのか｡ えっ？ 何だよ｡ え…｡ (権吉)旦那…｡ どうした？ (泣き声) おいおい…｡ (泣き声) えっ？ えっ？ いや お嬢さん… 権吉さん｡ 旦那…｡ 頑張れ 佐吉｡ (せきこみ) (虫の羽音) 汚えな それにしても おい｡ しかたねえでしょう 旦那｡ 俺も 伜が欲しかったよ 旦那｡ いやいや 甥っ子だよ｡ 娘なんぞは役立たずだ｡ 俺を ほったらかしにして もう ５日も音沙汰なしだ｡ 俺を捨てていったんだよ 旦那｡ まあまあ…｡ 娘なんて 薄情なもんだ｡ 色ができやがったら そっち夢中になりやがって…｡ ああ～！ 分かった 分かった｡ 泣くな 泣くな｡ 叔父上 やはり 例の渋い番頭さんに➡ 会うなと 言い含められてるんでしょうね➡ お律さんは｡ 俺たちの動きに 用心してんだろう｡ おい 権吉｡ お律に 男がいるってのは 本当か？ あっしは うそは言いません｡ あいつが そう言って 引き合わせたんだから…｡ どこで？ 瀬戸物町のお律の住まいでね｡ (はなをかむ音) あっちに 奉公先ができたもんで｡ お律の男ってのは どんな野郎だ？ お店者でさあ｡ 様子のいい男なんだろうな お律の これじゃあ｡ そうりゃあもう 金持ってますし｡ ところで お前を博打に誘った男は どんな野郎か 覚えてねえか？ 覚えてねえなあ｡ 博打で当たった事は 覚えてるんですけどね｡ 昔は 八王子まで足延ばしてね➡ もうけが うんとあった事があってさ｡ そうだ｡ 思い出したか？ 誰が誘った？ そうじゃなくてね｡ 何だよ…｡ ほら 何だっけ？ ええ？ 先の差配さんに 遺恨があったとかで➡ とどのつまり 八百富の太助をやっちまった男➡ ああ… 何ていいましたっけ？ 昔 勝元の板場で働いてた 正次郎だろう？ (権吉)そうそうそう その正次郎｡ あっしね あいつを 八王子の賭場で見かけましたよ｡ 何だと？ えっ いつの事ですか？ ついこの間｡ あっしがね 借金こさえて お律を…｡ 待て｡ 八王子に出張ったのは 昔の事じゃねえのか？ ﾍﾍﾍﾍｯ あっちは 本場ですからね｡ 夢よ もう一度ってな 具合でさあ｡ でも 何で あなたが➡ 正次郎さんの顔を 知ってるんです？ 何でって ほら おととしにさ➡ あいつが 久兵衛さんの所に 意趣返しにやって来て➡ 太助が助けに行った時… いや こいつは➡ 洒落じゃねえよ 旦那｡ いいから 先 急げ｡ だから あん時 あっしも 太助の助太刀をしたんだからさ｡ ﾍﾍﾍﾍｯ 最も 向こうは➡ あっしの顔なんぞ 覚えてないけどね｡ どんな様子だった？ 正次郎は｡ こぎれいでしたよ｡ 八王子で 働いてるらしくてね➡ 仲間と一緒に小博打打って 楽しんでましたよ｡ ﾍﾍﾍｯ｡ 何で こんな大事な事 今まで…｡ 大事だとは思ってねえんだろうよ｡ なあ 権吉？ へっ？ 何のお話で｡ なっ？ 太助を殺して 次は久兵衛だと いきまいていた正次郎が➡ 八王子で 結構 身持ちよく 暮らしていると来たもんだ｡ やはり 太助殺しは 第三の人物の仕業…｡ 弓之助｡ はい？ 人間 どんな事をやるんでも しくじりってもんが ついてくる｡ たくらみどおりにゃあ うまくはいかねえ｡ えっ？ おととしの 正次郎が 久兵衛を襲ったという一件｡ 実際は 太助という邪魔が入って 正次郎は捕まり➡ 俺に こんこんと説教を食らって 追い立てられ➡ 久兵衛は 逃げる口実を失った｡ そうでした 叔父上｡ みすずさんから 面白いお話を お聞きしたのです｡ 何だ？ 鉄瓶長屋の由来です｡ それは あれだろ？ 井戸替えをしたら➡ 真っ赤に さびた鉄瓶が２つ 出てきたっていうんだろう？ その鉄瓶ですが 勝元で使っていたものだそうです｡ 湊屋がやってる料理屋か｡ はい みすずさんは 女中頭から聞いたそうです｡ そりゃあ 初耳だ｡ となると…｡ やはり 提灯屋があった頃から➡ あの土地は 湊屋さんと➡ つながりがあった事になるのでは ありませんか？ (鈴の音) ここにいろ｡ えっ あ…｡ (小銭の音) 叔父上は 信心をなさらないのでは ありませんでしたか？ こいつは ちょいと違う信心でな｡ (弓之助)黒豆｡ まるで 親子のようですなあ 平四郎殿｡ <英之介の手紙によると➡ ５～６年前 湊屋の おふじが➡ 信心に凝った 時期があったという｡➡ どこからか 連れてきた➡ 唐渡りの算木を使う占い師を 湊屋に引き入れたり➡ 霊験あらたかな神社を あちこち渡り歩いたらしい｡➡ そのあげく…> 神通力を持つ巫女と出会って これも家に引き入れたそうだ｡ まあ 信心好きの おふじが➡ そういう輩にとっては ネギしょった鴨だからな｡ 自然に集まってくるんだろうよ｡ 信心は 大事です｡ しかしよう 神さんも 仏さんも➡ みんなの願いを かなえる訳にはいかねえ｡ 熱心に拝んでるのに 通じなくて➡ 悪いやつらに 味方する時だってある｡ だとしてもです｡ 心のよりどころなんです 信心は｡ うまくいったら 信心のおかげ｡ まずい時は 信心が 足りなかったんだとするんです｡ そうすりゃ 世渡りは うまくいきます｡ お前 信心の事になると 語るなあ｡ うへぇ～｡ ですが 今の問題は おふじが➡ そういう 拝み屋や巫女を家に入れて➡ 一体 何を拝んでもらっていたのか という事です｡ うん｡ どうやら 例の みすずに➡ 関わりがある事らしいと 書いてある｡ となると…➡ 顔ですね｡ …顔？ みすずさんが 誰かに似ているという｡ 葵か｡ おふじと葵の間に 何かがあった｡ ふぶきというんだそうだ｡ へっ？ その巫女の名前だ｡ (弓之助)ああ…｡ 金を盗んで 今は小伝馬町の女牢に つながれてるらしい｡ この巫女に会えば 当て推量を続けるまでもねえ｡ おふじが頼んだ事は すぐに分かる｡ …何だって？ 佐吉には 好いた女がいるらしい｡ 総右衛門も その縁組みには 乗り気だそうだ｡ なるほど そういう事か｡ えっ？ えっ えっ？ いや 実はな 佐吉んとこでな｡ [ 回想 ] (烏の鳴き声) 官九郎が まるで 伝書鳩ですね｡ みすずの佐吉への思い込みを 取り去るためにも➡ 総右衛門は その女と 所帯を持たせたいんだろうよ｡ でなきゃあ おふじが夜叉になり➡ 湊屋に 血の雨が 降るかもしれねえからな｡ ﾋｯﾋｯﾋｯﾋ！ あっ あ…｡ 夜叉～！ あっ！ ああっ あ～！ 小平次 子どもってのは いいもんだな｡ へい｡ (長助)カ～…｡ カ～…｡ ♬～ どうだい？ うん うまい｡ これ いけるよ｡ だろう？ 若い時にね ひいきにしてもらった 呉服屋の若旦那に➡ 食べさせてもらったの 思い出してさ｡ うん？ 何でもないよ｡ うん うまい｡ ♬～ (蝉の鳴き声) (弓之助)叔父上｡ うん？ ああ おでこ｡ 政五郎親分が 八百富のお露さんが➡ 意外な人物と会っている事を 突き止めたそうです｡ (おでこ)さようでござんす｡ さて 誰と会っていたでしょうか？ 当てたら ところてんを おごれ｡ 外したら 葛切りって 上方の菓子を ごちそうしてやる｡ 湊屋の苦みばしった番頭｡ いいえ！ えっ？ 元差配人の久兵衛さんです｡ あ～ そっちかい！ わ～い 葛切りでござんす！ よし！ (２人)葛切り 葛切り！ (政五郎)お露は 近所の一人所帯の男の所や➡ 小商いをしていて 忙しい家の 家事を何軒も引き受けて➡ 暮らしを立てているようですが➡ 富平の具合は この夏を境に➡ ひどく弱り果てているそうです｡ ２日に一度 お露は 日本橋の先にある薬種問屋まで➡ 医者に言われた薬を 買いに行くんですが➡ １度目は３日前｡ ２度目は昨日｡➡ 久兵衛と ひっそりと会い 何か包みを預かり 別れてます｡ 包み？ 包みの様子から見て➡ １度目は金｡ ２度目は 食べ物とか着物の類いだろうと｡ どうしましょう？ 久兵衛の居所を 突き止めましょうか？ それはいいだろう｡ いつだって分かる事だ｡ それより お前さん 牢屋敷に 何か つてはねえか？ <平四郎は ふぶきという➡ 小伝馬町の女牢に入っている 巫女の事を話した> という訳なんだ｡ 俺もな 何度か 牢屋敷の吟味に 立ち会った事はあるが➡ 鼻歌 歌いながら 弾んで 出かけるような場所じゃあねえ｡ あすこは 大勢の人間を➡ ひとっところに 閉じ込めていながら➡ 日当たりは悪いし 風通しも よくなきゃあ➡ 湿気もひどい｡ すえた臭いに吐き気はするしで➡ 病の巣みてえなとこですからね｡ うへぇ～｡ 盗みのとがで捕まったんなら➡ お調べは終わってると見込んで 間違いねえ｡ だが 引っ張り出すには 口実がいる｡ 同僚に 頭下げたり 吟味役人の顔色をうかがったり➡ あ～ 面倒くせえ事 この上ない｡ それよりも 旦那が顔を出すのは まずいと思います｡ ああ？ 牢屋敷には 仁平の目が光ってます｡ 仁平？ (政五郎)やつは 牢屋同心の旦那方に➡ すっかり 取り入ってましてね｡ いいように 牢屋敷に出入りして いい顔になってると➡ 専らの評判でして｡ じゃあ 俺どころか お前も｡ へえ｡ うかうかと そのふぶきって 女を呼び出したりすると➡ 一体 何やってんだと➡ やっこさんを その気に させるだけじゃござんせんかね｡ はあ… うへぇ～｡ う～｡ うう～｡ (小平次) 旦那 どうかなすったんですか？ えっ…｡ 戻ってきてから ずっと➡ 何か 考え事なすってるようですから｡ ああ～ 実は…｡ 本当かい？ へい 作次といいましてね➡ 昔なじみで 今でも つるんで 飲みに行く男なんですが➡ 牢屋敷の下男をしてるんです｡ そりゃあ助かる｡ おいおいおい なんとかなるか？ そりゃもう｡ 旦那 そんな事なら 岡っ引きなんかに相談せずに➡ はなから この私に言って下されば よかったんですよ｡ ん？ ん？ 狭い世間 大概の事は なんとかなるもんです｡ そうでなきゃ 町方のお役人の中間を➡ 代々 務めていく意味がありやせんや｡ ああ そりゃそうだ｡ 本当 悪かった｡ これから 一っ走り行って 作次に会ってまいりやす｡ 頼まぁ！ へい！ よっ 小平次！ 小平次！ <だが 事は そう簡単ではなかった> 何でえ？ 女ってのは 妬み そねみが強いんだそうで｡ 旦那が ふぶきを呼び出すと➡ 裁きに 何らかの手心を 加えるんじゃねえかと➡ ほかの囚人たちが 疑うに決まってると言うんです｡ ああ 面倒くせえなあ｡ じゃあ どうする？ 作次が言うには➡ 呼び出したい囚人を 病にかかってる事にして➡ １人にさせて こっそり会うのが一番だと｡ 牢屋敷には ２人の医者がいて 年寄りの方は➡ すっかり仁平に 丸め込まれてるそうですが➡ 若い先生の方は 気性もまっすぐで 頼りにはなるんだそうです｡ ふ～ん… いや だがな どちらにしろ➡ 俺も お前も のこのこ出かける訳にはいかん｡ どうしたもんかな～｡ 叔父上｡ 官九郎を使ってみては いかがでしょう？ うん？ あっ｡ 牢屋敷に手紙… ですか｡ 詳しい事は言えないが 頼まれちゃくれねえか｡ あすこは 仁平が にらみを利かしてる｡ 気付かれちゃならねえ｡ 仁平って あの…｡ ああ｡ 牢屋敷についちゃ 弓之助が絵図を描いてくれた｡ 頼む このとおりだ｡ まあ 御用の筋じゃ しかたありません｡ けど 旦那 官九郎に さあ行けと言って➡ おいそれとは行けないんですよ｡ 今まで行った事がない場所には➡ 何度か通って 俺が教え込まないといけません｡ そりゃそうだ｡ 今も言ったが 仁平の目が光ってる｡ やつに気付かれねえように 夜更けに行った方がいい｡ 旦那｡ 官九郎は烏です｡ 鳥目なので 夜は飛べませんよ｡ そりゃそうだ｡ 駄目じゃねえか｡ 何だよ おい｡ なんとかなんねえのかよ？ なんとかと言われましても…｡ 治んねえのか 鳥目は｡ 治らねえと思います｡ <平四郎たちは 若先生に届ける 手紙の文案を練った> いいか？ この場所を覚えるんだ｡ <その手紙を 官九郎が 牢屋敷に届け…> <ふぶきの答えを 若先生が聞き取り➡ 翌朝 官九郎を通して 平四郎に届ける｡➡ そういう手はずになった> ああ～！ う～！ ああ～！ <数日後の事> 頼むぜ 官九郎｡ ｲﾃﾃﾃ…｡ 官九郎｡ じゃあ 行きます｡ (烏の鳴き声) (長助)官九郎～｡ 何だ こりゃ？ 魚のすり身を固めたんだ｡ つなぎに卵使ってんだよ｡ 豪勢だろう？ うめえな こりゃ｡ おくめさんが 思いついたのさ｡ 私みたいな 根っからの貧乏じゃ➡ こういう 口のおごったものは 考えつかないよ｡ そのおくめは いねえのかい？ お医者だよ｡ ねえ 旦那｡ あせもってのは あんなに ひどくなるもんかねえ？ まだ 治らねえのかい？ 朝晩は めっきり 涼しくなってきたじゃねえか｡ 医者は 何て言ってるんだ？ あんな町医者 当てになんかなるもんか｡ 私たちみたいな 貧乏人の事なんか➡ もう目ぇつむって ちょっと触って いい加減に見立てるだけで➡ 目ぇ開けんのは おあしを数える時だけさ｡ 随分な言われようだな｡ 旦那 私 思うんだけどさ➡ あれ 悪い病じゃないかねえ｡ 何だい？ そりゃ｡ だからさ 春をひさいでた時に➡ 客に うつされたんじゃないのかねえ｡ けどよ おくめは つい この間まで しゃんとしてた｡ あの手の病は 何年かたってから ひょっこり 顔を出すもんだよ｡ はたからも それと 分かるようになった頃には➡ 手遅れなんだよ｡ そんなに ひどいのかい？ 腫れ物が崩れて 皮がむけた所なんて➡ 骨が見えそうなんだよ｡ あれは あせもなんかじゃないよ｡ もうねえ 旦那 どうしたら いいんだい？ お前 そんなに おくめを気に入ってたのか｡ やっ… 何 言ってんのさ！ お人よしなんだからさ 旦那は｡ 私が あの女の事なんか➡ 本気で心配なんかすると 思うのかい？ 私が心配なのは 商いの事なんだよ！ もし 本当に 悪い病だったら➡ この店で働かせる訳には いかないだろ！ 分かった 分かった｡ 御番所に その手の病に詳しい者がいる｡ ちょいと 聞いといてやる｡ 本当かい？ 頼むよね 旦那｡ ああ｡ 旦那！ ああ～ どうしたい？ どどど… 土左衛門が揚がりました｡ ああ 珍しいこっちゃねえだろう｡ ままままま…｡ まままま…➡ こういう時は落ち着け 何だ？ 正次郎なんですよ 簀巻きにされて 大川に放り込まれて➡ 開けてみたら 体中 火傷と打ち身だらけで｡ 誰？ だから 太助殺しの正次郎です！ それを早く言えよ！ そっちじゃねえです 一ツ目橋の方です｡ 旦那 旦那 おくめさんの事 頼んだよ～！ これは 親分 ご苦労さまでございます｡ おう｡ (烏の鳴き声) (鳴き声) あの烏は 確か…｡ ああ ごめんよ ごめんよ｡ ごめんよ｡ 旦那 こっち｡ 牢屋敷からの返事ですね｡ ｢くさればばあ｣｡ あいつが きっと 湊屋と懇ろになった➡ その女を殺めているんだ｡ 出ていけ～！ 床下の地べたを掘って 埋めちまった｡ 知っていたら 手ずから 長屋なんぞは建てねえってか？ 何がいけないんだろうねえ…！ 必ず ここにいるのです！ どうやら 17年の間 鉄瓶長屋の地べたの下で➡ ぐっすり眠ってる女を➡ 掘り起こさなきゃ ならねえらしい｡ ♬～

脳にスマホが埋められた！＃01

1 (鳥のさえずり) (携帯の操作音) (女子高生の声) ｢さっきから いなり めっちゃ食べてる｣｡ (女子高生の声) ｢あれ ４つ目じゃない？｣｡ ♬～ (女子高生の声) ｢他にいないっしょ｣｡ (女子高生の声) ｢よく見るとイケてない？ 塩顔で｣｡ (女子高生の声) ｢今日 コンタクトしてる？｣｡ ♬～ (女子高生の声) ｢全然 イケメンじゃないし！｣｡ (女子高生の声) ｢てか フツー 手で いなり持つ？｣｡ (女子高生の声) ｢いなり持っても良くない？｣｡ (女子高生の声) ｢いなりは箸っしょ？｣｡ (女子高生の声) ｢手持ちっしょ？｣｡ ♬～ (女子高生の声) ｢箸 使ってきた！｣｡ (女子高生の声)｢緑のって？｣｡ (女子高生の声)｢緑の！緑の！｣｡ (圭太)バランね｡バラン｡ え？ 恐っ！ 《僕は ヒトのスマホを 覗き見ることが出来る…》 《どうして こんな事に なってしまったのか…》 ♬～ (黒部) エグザルトンの服を着る 全ての人々を幸せにしたい｡➡ そんなパッションから 1991年➡ 小さな工房で 服づくりが始まりました｡➡ エグザルトングループは 現在８つのブランド➡ 全国におよそ100店舗を 展開するに至っています｡➡ 全てのブランドに 共通していることは➡ クリエイティビティーと クラフツマンシップを➡ パッションを持って お客様に提供するということ｡ (小堀)おはようございます｡ 折茂君｡ おはようございます…え？え？ 希望退職願？ 人事部からのお達しでね｡ 募ってるんですよ｡ 会社を辞めてもいいなって 思ってる人｡ 特に 会社への貢献度が 高くない人を対象に｡ 高くないですか？貢献度｡ いやいや 命令ではないよ これは｡ ただ 人事部からのお達しで…｡ 厳しい言い方をすると リストラ対象者…なのかな？ 会社… 辞めなきゃいけないんですか？ 今の僕に出来る全力は… これくらいです｡➡ キャラメルをなめると 滑らかな気持ちになるから｡ね？ ♬～ おはようございます｡ (竹ノ塚)おはよう｡ ≪おはようございま～す≫ ♬～ (蟹江) おはようございます 折茂さん｡ あ ちょっと…これ 何？ (蟹江) 白湯です｡コーヒー切れてて｡ ああ そう｡ ♬～ (臼田)小堀課長から 何か話 あったんでしょ？ え？なんで？ 気まずい話 するとき あの人 キャラメル持って行くから｡ ああ…｡ 希望退職願を出さないかと 言われました｡ (栗山)うわ それって ﾘｽﾄﾗ対象者って事でしょ｡ ええ｡ 落ち込まないで｡ 私たちは 折茂君の味方だから｡ ありがとうございます｡ あ 折茂君 倉庫の備品ﾘｽﾄの更新 お願いしてもい～い？ ええ｡ あと 健康診断のお知らせも…｡ やっておきます｡ (蜂谷)あ…あと 珈琲豆 買ってきていただけます？ ああ はい｡ (臼田)あ 竹ノ塚さん➡ 企画のテラダさんのアドレス 送信しときましたから｡ おお ありがとう｡ 折茂君…｡ いや 俺もおかしいと思うよ｡ 折茂君がリストラなんてさ｡ 総務でも 一番仕事してるの折茂君だし➡ ほら ブランド部門にいた時だってさ➡ すごい業績で 会社に貢献してたでしょ｡ ６年も前の話ですけどね｡ 本当なら 俺みたいな役立たずが➡ 真っ先にクビ切られると 思ったんだけどな～｡ そんな事はないですよ｡ ＭＤとか企画とか 戻る気ないの｡ いや 自信ないです｡ 最近のトレンドにも 疎くなっちゃいましたし｡ そっか｡ (携帯の着信音) いや いいよ｡奥さん？ あ…いえいえ｡ つ～かさあ 折茂君 まだガラケー？ ええ｡ 実は 俺も｡ 古くて もうダメなのかなあ 俺たち｡ そうなんでしょうか…｡ いやいやいや…！ そういう意味じゃないよ｡ いやいや 正当に評価してくれない こんな会社さ➡ いっそのこと 辞めちゃってもいいのかもね｡ 折茂君なら もっと必要と してくれる会社があると思う｡ でも 養育費払わなきゃいけなくて｡ 養育費？ はっ！そうか…ごめんね｡ あ…いえいえ｡ でも まだ別れて半年なんで｡ なんとかして 復縁したいんですけどね｡ できるよ｡きっと！ 愛花…スマホはまだ 早いんじゃないか？ (愛花)城崎さんが買ってくれたの｡ シロサキ…さん？ ママの彼氏｡ え…ママ 彼氏できたの？ うん もうすぐ結婚するかもって｡ ママから聞いてないんだ？ あ～！負けちゃった～｡ 残念｡ ♬～ (田西)あ 圭太君 圭太君 今月の家賃なんすけど｡ あれ？もう払ったよね｡ いや ３万追加でオネシャス｡ ３万？ ほら 新しい入居者決まるまでは ２人で割らないと｡ そっか… ちょっと待ってもらえる？ ま なるはやでオネシャス｡ ♬～ ｟厳しい言い方をすると リストラ対象者…なのかな？｠ ♬～ ♬～ ねぇ ケビン 僕は どこで間違えたんだろう｡ エグザルトンに就職できて➡ 結婚して 子供もできて｡でも…｡ それが全部なくなりそうだよ｡ あっ！ 願い事すら思いつかないな…｡ え!? は 林家ぺー…？ おお！普段からピンクなんだ｡ (ｼｬｯﾀｰ音) え｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ やばっ！ ♬～ ♬～ え？何？ あ…｡ すいません｡ どういうこと!?ああ…｡ 《ええ～!?いやいやいやいや なんで見えてるの!?》 (男性の声) ｢金曜の夜は焼肉 土曜の夜は｣｡ (女性の声) ｢今日 帰り 遅くなるから会えないかも｣｡ (女性の声) ｢おはようございます｣｡ (男性の声) ｢研究･教育って…｣｡ (男性の声) ｢今日も飲みに行きますか｣｡ (男性の声) ｢先輩 昨日は ごちそうさまでした｣｡ え～？ええ～!? 《落ち着け 落ち着け》 ≪おはようございます≫ ≪おはようございます≫ (楓の声)｢どうせ また 宣伝の一環でしょ？｣｡ ｢♪～｣｡ え？ (部々香)何すか｡ あ ああ いえ…｡ ええっ!? だから 何すか？ ああ いえ…すいません｡ ♬～ え!? (柳子)ん？ ああ いえ…｡ ♬～ (蟹江)あれ 折茂さん？ 大丈夫なんですか｡ え？何が!? (小堀)折茂君 ちょっと｡ あ はい｡ おはようございます｡ (一同)おはようございます｡ 何があったの？ あ ああ…｡ メッセージが見える件ですよね｡ は？何の話？ ３日間 何してたの？ まるまる連絡もなしに休むとか ありえないよ｡ え～ ぼ 僕が？ ショック過ぎたか？例の件｡ もう少し優しく言えば よかったかもな～｡ すまなかった｡しかしね あれは あくまで人事部からの…｡ いやいやいや あの 僕 本当に何も…｡ 今回は 有給休暇扱いにしておくけど➡ ちゃんと連絡してよ｡ すいません｡ ホントに 大丈夫なんですか？ みんな すっごい心配してたの｡ 何かあったんじゃないかって｡ まあ でも 無事でよかったです｡ 心配かけてしまって すいません｡あ もう大丈夫なんで｡ よかった｡ あ～コピー用紙 発注しなきゃ｡ (メッセージ音) (栗山の声) ｢リストラ候補なら 潔く 辞めればいいのにね｣｡ どうしたんですか？ ちょっと お手洗いに｡ ねえ ケビン… 僕は どうなっちゃったんだろう｡ 悪い夢でも見…｡ あれ？なんか 金色になってる！ ええ!? え？ あ…さっきの！ 脳内スマホ!? え…｡ はい！ やっぱり｡やっと会えた！ スマホ人間さん！ ス スマホ人間？ あなたのことですよ｡脳に スマートフォンが埋められて➡ 全身がスマホに なっちゃった人のことです｡ 全身がスマホ!? はい！ うわっ え!? どうかしました!? あ いえ…なんでもないです｡ 何か見えてます!? あ いえ 何も見えてないです｡ 私も 実際に会うのは初めてなんですよ｡ ネットの都市伝説板で知ってから 興味を持って➡ 追いかけ始めたんです｡ 人の多い場所で ｢覗いてんじゃねえよ｣という➡ メッセージを発信するんです｡ すると➡ スマホ人間だけが 過剰に反応するんです｡ まさに さっきの あなたみたいに｡ はじめまして｡ ああ…ちょうだいします｡ よろしくお願いします｡ パタンナーさん？ はい｡ (シャッター音) 契約ですけど…｡ オリモ？…オリモさん！ あなたを研究したいんです｡ 私がいれば 脳内スマホを最大限 活かすことができますから｡ ごめんなさい｡あなたの話が 入ってこない僕がいます｡ 脳内スマホって すごいんですよ｡ 使いようによっては天下とれます｡ いや 天下とか別にほしくないし｡ この会社 乗っ取っちゃいます？ そのくらいの事は 簡単だと思うんですよね｡ 何なら会社のメインコンピｭーター ハッキングしちゃうとか｡ そこまで できるかは わかりませんけど｡ あ～ ごめんなさい 僕 そろそろ戻らないと｡ あ あと…｡ この事は誰にも 言わないほうがいいですよ｡ 利用されちゃいますから｡ わかりました では｡ ♬～ ふふ…ふふ｡ (部々香) 何 笑ってんの｡ え？ (部々香)いい男でも見つけたの？ まあ そんな感じ｡ どんな奴？ 自信なさげで 常に おどおどしてる人｡ じゃあ イケメンなの？ 別に｡ そんな奴の どこがいいの？ ここかな｡ 頭いいんだ｡ 頭っていうか 脳みそ ふふ…｡ 言い方 気持ち悪りぃよ！ 頭でいいだろ｡ 一緒に飲むのなんて いつぶり？ 竹ノ塚さんが店長で 同じ店舗だった頃だから➡ １０年ぶりとかじゃないですか？ そんな経つか｡ あの時 竹ノ塚さんに 色々 教えてもらったから➡ 今の僕があると思ってます｡ ねえ 希望退職は どうすんの｡ まだ決めかねてます｡ 養育費の事とかもありますし｡ そっか…｡ あ なんか来てますよ｡ ん？ あああ いえ…｡ あれ？ニャイン 来てるわ｡ えっ よく分かったね｡ あれ？竹ノ塚さん スマホにしたんですか？ そうなの｡いや まだ全然 使いこなせてないんだけどね｡ ちょっと 返信しちゃっていい？ あ どうぞ｡ 竹ノ塚さん…｡ ん？ まっ ちょっと飲み物 頼んで｡ 今日は俺のおごりだからさ｡ ねっ！ はい…｡ (ため息) (ため息) うぉっ!!また!? え？え…何？ えっ!!こわい！ こわい こわい こわい！ え？あ…えっ？ え？え ちょ…｡ え～!?いや ちょっと…｡ (チャイム) は～い！ちょ…｡ はい えぇ!?なんで？ 会社の名簿で！ ちょっと これ どうにかしてください！これ｡ いやいや 私には見えてないんで！ え？ああ そうか…｡ ああ どうしよ？ え？何だ これ？ そこ 長押ししてみてください｡ あ はい…｡ それで 電源が落ちたことになります｡ どうです？ なんか僕の悪口 書いてません？ 書いてませんよ｡ 何も見えません｡ やっぱり｡ 電源落ちてる間は メッセージ見えないみたいですね｡ え ちょっと待って｡ そもそもスマホって 人のﾒｯｾｰｼﾞとか覗けませんよね？ もちろん｡それはスマホ人間だけの 特徴だと思います｡ まあ 他のスマホの気持ちが わかるようになったというか…➡ そんな感じじゃないですか？ ちょっと 見せてもらっていいですか？ いやっ うわ～ かっこいい～！ よっ！ あ～ ちょっと！え あの…｡ 僕は このまま 電源を入れなくていいです｡ 何でですか！ いや…もともと スマホなんて 頼らず生きてきましたし｡ 人のメッセージが見えるのって 結構つらいんですよ｡ 会社の人たちから 嫌われてたって事もわかったし➡ それに 僕…｡ ずっと信頼してた先輩に 裏切られてたんです｡ それに 僕…｡ ずっと信頼してた先輩に 裏切られてたんです｡ (臼田の声) ｟｢了解しましたー｡ 引き続き頑張りまっす！｣｠ ｟ど どうしたの？｠ ｟あ いえ…｠ (柳子の声)最悪ですね｡ ほんと最悪です｡ 脳内スマホがなければ こんな事を 知らなくてすんだんです｡ そこですか？ 脳内スマホがあったからこそ 人の本性がわかったんでしょ｡ 逆襲するチャンスが できたんですよ｡ 竹ノ塚が折茂さんを蹴落とした 証拠をおさえて➡ 会社に告発しちゃえばいいんです｡ 会社だって そんな人間の方を リストラするでしょう？ いや…そんな事できません｡ 竹ノ塚さんは 僕を育ててくれた 恩人でもあるので…｡ 牙をむいてきた時点で 恩人も何もないと思いますけど｡ 人を蹴落としてまで 幸せになりたくありませんし｡ なに あれ｡お人好しすぎる…｡ ｟あの…その後 どうなりましたか？｠ ｟この世界じゃ よくあることだ｡ 何度も言わせないでくれ｠ ｟でも これは…これだけは｠ ｟後のことは 弁護士と話してくれ｠ ｟お願いします 返してください｠ ｟お願いします お願いします！｠ ♬～ メッセージが見えなくなって 気持ちのいい朝だなぁ｡ みたいな顔するの やめてもらえます？ おはようございます｡ あ ちょっと…｡ 電源入れて！竹ノ塚に 逆襲する方法を考えてきました｡ だから 僕は逆襲なんて…｡ このまま クビになってもいいんですか｡ そもそも 僕が…｡ 僕がこの会社を クビになるか ならないかなんて➡ あなたには 関係ない話じゃないですか？ いいえ 私はあなたが クビになったら困るんです！ それに… ケビンは何て言いますかね？ 私 見ちゃったんです 屋上で｡ ｟ねえ ケビン…僕は どうなっちゃったんだろう｡➡ 悪い夢でも見…｠ ｟あれ？｠ まさか 金色のお毛毛と お話ししているだなんて｡ たまにいますよね こういう毛を 大事にとっておく人｡ でも 名前まで付けて 話相手に なってもらっているとは…｡ この事を会社中の人が知ったら どう思いますかね？ だ 誰にも言わないでください｡ この事は｡ なら 私の言う事を 聞いてください｡ なにより 折茂さん｡ 本当に悔しくないんですか？ 私…悔しいです！ ♬～ (柳子の声) まずは ご機嫌な雰囲気を 醸し出して｡➡ 鼻歌でも 何でもいいので…｡ ♪～(鼻歌) 折茂さん なんか良い事あったんですか？ 朝から歌っちゃったりして｡ (柳子の声) 誰かが食いついてきたら…｡ 実は今 また人事に呼ばれて 話してきたんだけど➡ 僕 リストラ対象から 外れたみたいなんだ｡ それ ホント？ じゃ じゃあ 誰が？ さぁ～ 総務の中で １人はクビを 切らないとって言ってたから➡ 蟹江さんも 気を付けたほうがいいですよ｡ ♪～(鼻歌) ♬～ (柳子の声) おそらく 竹ノ塚は 何らかの行動に出るはずです｡➡ その会話を証拠として カメラで押さえるんです｡ ♬～ ♬～ え!?…え？ ♬～ ♬～ ♬～ え!?…え？ え!?あ…｡ ♬～ ねえ見て コレ｡ かわいくね コレ？ あ コレすごいよね～｡ 石野さん 石野さん 石野さん！ ちょっと…｡ な な な 何!?何？ 充電 充電が…ちょっと…ココ｡ あ～っ！ごめん ぶぶちゃん｡ 充電器 借りていい？ へ？ ♬～ (圭太の声) あ あとさ 位置的に 撮影できそうにないんだけど｡ (柳子の声)えっと じゃあ…➡ せめて 声だけでも録って 録音アプリがあるから｡ ♬～ (臼田)何かごめんね｡ (蜂谷)もう ランチくらい ゆっくりさせてくださいよ｡ (竹ノ塚) こっちの身にもなってよ 食事 のど通んないんだって｡➡ うまくいったら おごってあげるから ねっ｡ 録音 録音…｡ で 話って何ですか？ (竹ノ塚) この際 もうなんでもいいからさ 思い出してよ 折茂君のミス｡ (栗山) 意外とないんですよね 折茂さん 仕事丁寧だから｡ (蜂谷) あの人 細かいから面倒だけど➡ 仕事はできちゃいますもん｡ (竹ノ塚) わかってんだけどさ ないなら ないで作ってもいいんだよ｡ (蜂谷)作る？ (PC)(栗山の声) そんなことしたんですか 竹ノ塚さん｡ (PC)(竹ノ塚の声)あっ いや…｡ (PC)(栗山の声) 正直 ちょっと引いてます｡ (PC)(竹ノ塚の声) じゃあもういいよ｡ 寿司も焼肉もなしな➡ 俺１人でやるから！ (PC)(臼田の声)あっ ありがとね｡ バッチリですね｡ で 次は何を｡ あとは このデータを 人事部に送りつけるだけ｡ これなら リストラどころか➡ 懲戒免職もあり得ますね｡ データは 僕が渡しにいきます｡ メールで送っても いいと思いますけど｡ あっ いえ 僕が｡ はい｡ ♬～ 竹ノ塚さん｡ ♬～ 竹ノ塚さんに 聴いてもらいたいものがあって｡ え？何？ 何で竹ノ塚と？ ♬～ (PC)(蜂谷の声) あの人 細かいから面倒だけど➡ 仕事はできちゃいますもん｡ (PC)(竹ノ塚の声) わかってんだけどさ ないなら ないで作ってもいいんだよ｡ (PC)(蜂谷の声)作る？ (PC)(竹ノ塚の声) いや 前みたいに 折茂君がミスしたように➡ 資料を偽造してさ 人事に送りつけるんだ｡➡ そうやってリストラ対象リストに 入ったんだから｡ (PC)(栗山の声) そんなことしたんですか 竹ノ塚さん｡➡ 正直 ちょっと引いて…｡ 申し訳ありません｡ こんな姑息なことをしてしまい…｡ それ 俺のセリフじゃん➡ 先に言うなよ｡ すいません｡ どうして こんなことを？ そんなの 会社に残りたいからに 決まってんだろ｡ 総務で クビを受け入れてくれそうなの➡ お前ぐらいしかいないからさ｡ 他に方法はなかったんですか｡ こんなことに力を注ぐぐらいなら 仕事で…｡ お前 何年会社いるんだよ➡ 自分の力とか限界なんて とっくに気付いてんだろ？ 今さら 俺がやる気出したところで たかがしれてんの｡ いや だからって｡ 弱いやつが生き残るためには 卑怯な手を使うしかないんだよ｡ そんなことはないと思います｡ 同じ店舗にいた頃➡ 竹ノ塚さんが 言ってくれたんですよ｡ ｢真面目にコツコツ 取り組んでいれば➡ 誰かが見てくれている｡➡ それだ仕事だ｣って｡ いや 覚えてない｡そんな ありきたりなこと言ったの？➡ はっ ベタだな 俺｡ ベタとか関係ありません｡ あの頃言われた あの言葉➡ 僕には刺さったんです｡ だから 僕は今 総務にいたとしても…➡ 何とか頑張れているんです｡ この音声 どうすんの？ あっ 別に どうもしません｡ それ 会社 出したら 俺 アウトだよ｡ こういうやり方をした自分も 褒められたもんじゃないですし｡ ただ 僕は➡ 竹ノ塚さんに 気づいてほしかっただけですから｡ ♬～ 俺 誰かに背中を 押されたかったのかもしれないな｡ え？ ありがとな｡➡ 先 戻ってて｡ 俺 もう１本吸ってくから｡ はい｡ ♬～ ♬～ 竹ノ塚さん｡ ♬～ ♬～ あの時 何であの音声聴かせちゃうかな…｡ あそこで 竹ノ塚が心変わりしなかったら➡ どうするつもりだったんですか？ その時は その時です｡ 僕が辞めるつもりでした｡ (栗山) でも 実際はさ 折茂っちに 辞められてたら困ったよね～｡ (蜂谷) 誰がコーヒー豆 買いに行くの？ って話ですしね｡ (栗山)そう｡あ 竹ノ塚さん➡ 退職金でラーメン屋 開きたくて 修業はじめたんだってね｡ ん？あの歳で？ うん｡ え それ本人から聞いたんですか？ ううん｡臼田さん｡ (蜂谷)ん～臼田さん！ いや 竹ノ塚さんに 何故か協力的でしたもんね｡ え？あんた 気づいてなかったの？ え？ ≪おい たけちゃん！ そっちいいから こっちこっち≫ (竹ノ塚) あっはい！はいはい はい！ お～｡ ≪３番４番あがってるよ≫ は～い すいません｡ ≪忙しいんだからさ≫ はい～お待たせいたしました｡ ≪あっ たけちゃん≫ ≪チャーシューは２枚 頼むよ≫ すいません｡ (臼田)お疲れさま｡ ビックリした～何？急に｡ 近くまで寄ったから｡ ええ？いただきます｡ (臼田)食～べよ｡う～ん｡ やっぱおいしい これ｡ こういうのが 一番おいしいんだよね｡ (竹ノ塚)粉ついてるよ 粉｡ あははっ ついてるよ｡ ええ？ そんなことになってたんですか｡ 協力者の中に竹ノ塚の恋人がね…｡ はい｡ まったく気づきませんでした｡ 折茂さんが 鈍いだけじゃないですか？ いや 人ってわからないもんですね…｡ ♬～ ペー･パー師匠 もう少々こちらでお待ち下さい｡ お願いします｡ ♬～ ♬～ (ﾃﾞｨﾚｸﾀｰ)黒部社長 では よろしいでしょうか？ もちろん｡ (ﾃﾞｨﾚｸﾀｰ) まいります ５秒前｡ ４ ３ ２…｡ (藤木) では ３階をご紹介します｡ 企画部…デザイナーや パタンナーがいる部署｡ 会社の心臓部がここにあります｡ ああ 田中君 田中君！お疲れさま～｡ そのカットソーとボトム｡ う～ん 俺は好き｡ 僕にとって 社員は家族｡ 全員の顔も名前も 頭に入ってます｡エグザルトン｡ はい いただきました！ ＯＫでございます…｡ はい お疲れさまでした｡ ただいま～｡ (田西)おかえり～｡ あれ もしかして 入居者さん決まったの？ そうなんすよ！ 紹介しちゃいますね｡ あ あの すいません ちょっといいすか～？ え…!? はあ？ あんた うちの会社の…｡ え あなたが!? いや 私は手伝いに来ただけ｡ こんばんは｡ 今日から こちらのシェアハウスで お世話になります➡ 石野柳子です｡ よろしくお願いします｡ え？ ＜どうして こんな事になったのか➡ お話は次回へ＞

リテイク～時をかける想い～＃01

1 (雷鳴) ♬～ ♬～ (薫)いますかね？ オバケ｡ (薫)あっ｡ (シャッター音) (薫)紛らわしいな｡ リアクションが 遅いだけか｡ 課長｡ どうします？ 二手に分かれて 捜しますか？ (新谷)いたぞ｡ ９番ゲート｡ 左上辺り｡ (シャッター音) ♬～ (新谷)予想してないな｡ ３連単の 一点買い｡➡ あの本 何だ？ ちゅうちょなく 大金 賭けてますね｡ 間違いない｡ こんにちは｡ (男性)えっ？ ちょっと お時間 よろしいですか？ (男性)何ですか？ (新谷)すいません｡ ちょっと｡ (男性)えっ？ 何ですか？ ずいぶん 気合の入った ファッションですね｡ 白｡ お好きなんですか？ (男性)ああ…｡➡ いや｡ まあ そうですね｡ 徹底してますね｡ もともとは 何色だったんですか？ 帽子は 青ですよね｡ ドラゴンズですから｡ (新谷)タイムトラベルを 行うとですね➡ どういう理屈か 分からないんですが➡ 服が 真っ白に 漂白されてしまうんですよ｡ それで 私たちは タイムトラベラーのことを➡ オバケと 呼ばせていただいています｡ (新谷)知らなかったですよね？ 服が 真っ白に なっちゃうなんて｡ (男性)あんたら 何者だ？ えっ…｡ えっ？ 法務省 民事局 戸籍監理課の 新谷と申します｡ 同じく 那須野です｡ (男性)戸籍監理課？ タイムトラベラーを 保護するのが 主な業務です｡ 保護？ 未来から やって来た方が➡ むやみに 現代の人と 接触されると 困るんです｡ こちらには 元の時代に 送り返す技術も ないので｡ それで 施設に➡ 入っていただくことに なっています｡ (男性)施設!? 私たちは 別荘と 呼んでいます｡ お名前 伺っても よろしいですか？ では 何年後から リテイクされたんですか？ リテイク？ タイムトラベルのことです｡ どうして 2016年に 来られたんです？ 2016年から 2017年にかけて➡ 高額配当のレースが 続出するんだよ｡ 今日の 最終レースなんて 100円で 235万だ｡ 一獲千金が 目的と いうことですね？ そうだよ｡ そんな大金 稼いでも➡ 元の時代には 帰れないんですよ？ (男性)そんなことは 分かってる｡ 未来から来た あなたには 戸籍も ないんですよ｡ ケガや 病気をしたときも 健康保険とか 様々な社会保障も➡ 受けられないし｡ (男性)そんなの…｡➡ そんなの 金さえあれば 何とでも なるだろ｡ お金が あったって 家も 車も 買えないし｡ パスポートが なければ 海外旅行にも 行けない｡ 結婚だって できません｡ この先 ずっと 孤独に 耐えられますか？ われわれと 一緒に…｡ (男性)行かないよ｡ 俺には これから起こることが 分かる｡ (男性)これは 未来の記憶だ｡➡ ここに来るまで どれだけ覚悟したと 思ってんだ｡ 施設になんて 入れられて たまるかよ｡ ♬～ ♬～ ♬～ [TV](ｱﾅｳﾝｻｰ)今月 22日｡ 品川で 都内の 有名進学校に通う➡ 中学生 出水 海斗君 14歳が ナイフで 刺された事件で➡ 警視庁は おとといの夜➡ 会社員 京塚 大輔 容疑者 34歳を➡ 傷害の疑いで 逮捕し➡ 現在も 取り調べが 続いています｡ ☎ [TV](ｱﾅｳﾝｻｰ)京塚容疑者は 容疑を 否認して…｡ (まさ子)はいはい はいはい｡ はーい｡ はい｡ [TV](ｱﾅｳﾝｻｰ)命に 別条はないものの 現在も 病院で 治療を受けて…｡ (まさ子)ああ｡ おかえりなさい｡ けさの 天気雨｡ やっぱり オバケ雨だったでしょう？ はい｡ そうだったんですけど…｡ うん？ えっ!? まさか？ 逃げられました｡ もうさ➡ 府中の オバケ雨って いったら 競馬場でしょ？ ちょろい相手じゃない｡ 課長が 遅いんですよ｡ 走るの｡ 足の速い 未来人だったんですよ｡ そうなの？ 普通ですよ｡ 見つけるのは 簡単だったんですけどね｡ ああー｡ もう どっかで 着替えちゃったね｡ 競馬場の オバケ｡ 薫ちゃん｡ ちょっと コーヒー 待っててね｡ ありがとうございます｡ あいつさ➡ 競馬の 結果だけじゃなくてさ 新聞記事が 載ってる➡ 本みたいなの 持ってた？ えーっ？ じゃあ これから起きる 事件 事故の情報➡ 全部 知ってるってこと？ もし あの本の内容が 公表されたら➡ パニックに なりますよね？ まあ その辺も➡ ついでに 報告しといたら？ ついで？ スマイリーが お呼びよ｡ (史子) パウエルさんでしたっけ？➡ 電話の対応 注意された方が いいんじゃないですか？➡ ｢はいはいはい｡ はーい｡ はいはいはい｡ はい｣みたいなの｡ あっ｡ まさ子さん｡ 人を見るから｡ (史子)えっ？ あっ｡ (史子)最近 よく 来られてますよね｡ うん｡ 政務官も 戸籍監理課の 課長なんかに➡ いったい 何の用が あるのかしら？ ≪(国東)はい｡ どうぞ｡ (史子)失礼します｡ 新谷課長｡ お連れしました｡ (国東)うん｡ (国東)けさの 天気雨は どっちだったんですか？ 未来人でした｡ (国東)そうでしたか｡ そうでしたか｡ (国東)確保できましたか｡ いえ｡ またですか｡ オバケに 遠慮しているんですか？ そのつもりは ないのですが｡ 分かってますよね？ これが いかに 重要な任務かって｡ もちろんです｡ だから もっと 人数を➡ 増やしていただくわけには…｡ 人員を 増やせば➡ それだけ 機密が漏れる 危険性が 高まります｡ なぜ 私なんですか？ この部署から 外されたら 引き取り手 ありませんよね？ 期待してるんですよ｡ だから 頑張ってください｡ あっ｡ もしかして 君も 2022年になったら➡ リテイクしようと 思ってるんじゃ ないでしょうね？ あの事件が 起きる前に｡ ♬～ (まさ子)おかえり｡ おそらく 年齢は 40前後ですかね｡ 元 いたとこが 50年後だったりしたら➡ まだ 生まれてない可能性も あるわよね｡ いや｡ 服装や 髪形を 見たかぎりでは➡ さほど 遠い未来から 来た感じじゃ なかったと思う｡ 現代の本人は 20代から 30代ってとこですかね｡ ♬～ 似てない？ この人｡ 蒲島 拓郎｡ 22歳｡ 現住所 品川区 戸越 ７丁目｡ これまでのケースを 踏まえると➡ 現代の自分に 接触するパターンは ありますよね｡ 行ってみるか｡ 全然 違ったじゃないですか｡ 写真だと 似てたんだけどな｡ ≪(佐和子)目撃した方を 捜してます｡➡ よろしく お願いします｡ お願いします｡➡ 22日の 事件なんですけれども｡ お願いします｡➡ 知りませんか？ すいません｡ あっ｡ あのう｡ すいません…｡ 大丈夫ですか？ (佐和子)あっ｡ すいません｡➡ すいません｡ ありがとうございます｡➡ すいません｡ あっ｡ すいません｡ ありがとうございます｡➡ あっ｡ あのう｡ (佐和子)22日の 火曜日｡ 私たちを この公園で 見てませんか？ えっ？ (佐和子)事件が あったとき 夫は 私たちと ３人で➡ この公園に いたんです｡ 夫は 無実なんです｡➡ 私たちを 見てませんか？ いえ｡ そうですか｡ (泣き声) ほら｡ 泣かないの｡ ねっ｡ 行こうか｡ すいません｡➡ すいません｡ ご協力 お願いします｡➡ 22日のことなんですけれども｡➡ 何か 知ってることがあれば ご協力 お願いします｡➡ よろしく お願いします｡ (京塚)ホントなんです｡ ホントに 身に覚えがないんです｡ (柳井)これは 被害者が 抵抗した際に つかんだ➡ 犯人の毛髪｡ ＤＮＡ鑑定の結果 あんたのもんと 判明した｡➡ それに 現場付近での 目撃情報｡➡ 防犯カメラにも あんたが 映ってる｡➡ これを どう 説明するんだ？ (京塚)分かりません｡ (柳井)あんた さっき 言ったじゃないか｡➡ 事件当日は 家族と 一緒に みずなみ公園に いたって｡➡ あれは 嘘だったのか？ 嘘じゃ ありません｡ 家族にも 聞いてください｡ (柳井)そんなこと とっくに やってるんだよ！➡ 家族の証言が 嘘じゃないって どうやって 証明するんだ？ ♬～ 遅い｡ (従業員)ごめんね｡ いやいやいや｡ うちの課長が 遅いんですよ｡ (従業員)ああ｡➡ はい｡ 鳥わさです｡ ありがとうございます｡ いただきます｡ ≪(戸の開く音) (従業員)いらっしゃい｡ もう 遅いですよ｡ 悪い 悪い｡ 車 置いてこれるように わざわざ 課長の家の近くに してるのに｡ 何で 遅れるんですか？ だから 悪かったって｡ 親父さん｡ ビール｡ (従業員)あいよ｡ まだ 電車 乗れないんですか？ 乗れないんじゃなくて 嫌いなの｡ で どこ 行ってたんです？ 捜査だよ｡ で 何か 進展 ありました？ いや｡ 相変わらず 渋いもん 食べてんな｡ 課長だって 好きですよね？ まあな｡ (従業員)へい｡ お待ち｡ どうも｡ 捜査って 競馬場ですか？ 場外馬券場？ まあ 色々｡ 雲を つかむような話ですよね｡ だいたい この仕事自体 無謀過ぎません？ ６年後に タイムマシンが できるなんて➡ 想像も つきませんよ｡ あと やっぱり 理解できないのは➡ 未来人が 現代に 影響を及ぼした後の 未来｡ 『ﾊﾞｯｸ･ﾄｩ･ｻﾞ･ﾌｭｰﾁｬｰ』だと 両親が 結婚しなかったら➡ 主人公の存在が 消えちゃうだろ？ そうですね｡ でも 現実は そうじゃない｡ だから オバケが 現代に 影響を及ぼした時点で➡ 別の時間軸が 生まれるんですよ｡ うん…｡ 本来は ここで 両親が 結婚する｡ その先で 主人公が生まれる｡ でも 主人公が 干渉したことで 両親の結婚が なくなるとしたら➡ ここから また 別の未来が 始まる｡ 分かります？ だから オバケが 未来から やって来て➡ 現代の自分を 殺しても➡ オバケは 消えたりしないってことです｡ 別の時間軸だから｡ 理解 できました？ 理解は できてないけど｡ ≪(戸の開く音) (従業員)いらっしゃい｡ (柳井)薫ちゃん｡ お待たせしました｡ 待ってないです｡ えっ？ またですか？ 俺が 呼んだ｡ 何で 私がいるときに限って｡ お前が いないと 来ないんだよ｡ (柳井)親父さん｡ 僕 ビール｡➡ 生じゃなくて 瓶の方ね！ (従業員)あいよ｡ 相変わらず 声 大きいですね｡ (柳井)だって 僕の声➡ たまに 薫ちゃんに 届いてないこと あるからね｡ 届いてるけど スルーしてるんです｡ (柳井)スルーからの ワンツーパス？ 本田と 香川みたいじゃない｡ 僕たち いいコンビ なれるんじゃない？ んっ｡➡ んっ｡ んっ｡ ほら｡ 早く｡ えっ？ 何？ 返事だよ｡ 波留からの｡ (柳井)ああ｡ 研二君｡ 渡してないの？ 渡しましたよ ちゃんと｡ 間に合わなくなるだろ？ クリスマス｡ 何が欲しいか 聞いてんだからさ｡ 元 お兄さんからの手紙って 言っただけで➡ 姉貴｡ すげえ 不機嫌に なるんですよ｡ 会うのも 電話も 駄目で➡ 手紙なら ＯＫって 約束だから 俺はさ｡ (柳井)そんなこと 言って｡ ホントは ちょいちょい➡ 見に行ってたりして？ ♬～ そんなこと いいからさ 返事だよ｡ 分かった 分かった｡ 分かりましたよ｡ もらってきますよ｡ 来週ね｡ じゃあ 追加で 手紙 書くよ｡ 毎回 よく そんな 書くこと ありますね？ あるよ｡ (柳井)あっ｡➡ これ 僕が担当してる 事件だよ｡ えっ？ ホントに？ えっ？ 見直した？ 柳井さんって ホントに 刑事なんですね？ そっち？ で 犯人なの？ この人｡ そりゃ もちろん｡ いまさら 無実ってわけにも いかないですもんね｡ 逮捕しちゃったんだし｡ (柳井)警察だって 間違ったときは ちゃんと 間違ったって 認めるよ｡ えっ？ それ 間違いだった前提で 答えてません？ いや｡ 本ボシで 間違いない｡ ＤＮＡも 一致してるし｡ じゃあ その奥さんと 娘さんが 嘘 ついてると？ それを 言われると つらいんだよね｡ あの奥さんが 嘘の証言を してるとも 思えないんだよ｡ 容疑者が 同時に 別の場所に いたのかね？➡ 分身の術みたいなの 使ってさ｡➡ となると 犯人は 忍者か？ 少年を刺した 真犯人は 未来人の 可能性がある｡ (まさ子)えっ？ それは つまり？ まず 事件当日｡ みずなみ公園に いたという➡ 奥さんと 娘の 証言は 嘘じゃないと 仮定する｡ もちろん 勾留中の 京塚さん 本人の 供述も｡ (まさ子)それで？ 未来から リテイクしてきた 京塚さんが➡ 何らかの理由で 海斗君を ナイフで刺した｡ 現場から 逃走したが 髪の毛が 残った｡ 付近の防犯カメラの 映像から➡ 警察は 現代の 京塚さんに 行き当たり➡ ＤＮＡ鑑定を 行った｡ 結果は 本人のものと 一致｡ ＤＮＡ鑑定って 年齢の差は 出ないんですか？ 今のところ 年齢までは 分かんないみたいよ｡ そっか｡ だったら 一致しちゃうか｡ 何年後の未来から 来たのか？ なぜ 2016年なのか？ なぜ 海斗君を 殺そうとしたのか？ やっぱり 殺すのが 目的ですよね？ わざわざ リテイクしたのに ケガさせるだけじゃ 済まない｡ ってことは 何？ オバケ京塚は➡ まだ 目的を 果たしてないってこと？ おそらく また 海斗君のところへ 現れるでしょうね｡ 俺と 那須野は 病院へ行きます｡ ああ｡ 競馬場の オバケ どうすんの？ そっちは まだ 手掛かりが 少な過ぎます｡ 警察が関わってる こっちを 優先させましょう｡ まさ子さんは 京塚さんと 海斗君｡ この２人が どう つながるのか 探ってみてください｡ イエッサー｡ I can do it. ♬～ 法務省の者ですが｡ 法務省が運営する 被害者ﾎｯﾄﾗｲﾝの ご案内に 参りました｡ お話 よろしいですか？ どうぞ｡ こんにちは｡ 法務省の 那須野です｡ (海斗)こんにちは｡ もう 大学受験の参考書 やってるんだ｡ 早いね｡ (海斗)みんな やってます｡ 中高一貫なんで｡ お医者さん 目指してるんだ｡ すごいなぁ｡ このたびは 本当に｡ いかがですか？ ケガの具合は｡ おかげさまで｡ １週間後には 退院できるそうです｡ お母さまも ずいぶん ご心配なさったのでは？ (岩本)私は 使用人でして｡ 岩本と 申します｡ あっ｡ そうでしたか｡ これは 失礼しました｡ (子供)お兄ちゃん｡ (海斗)おっ｡ 絵本 持ってきたの？➡ よし｡ おいで｡ 読んであげる｡ 『ぐりと ぐら』 (岩本)奥さまは １年半ほど前に 出ていかれたんです｡ 出ていったとは？ 失踪なさったんです｡ ある日 突然｡ 失踪？ それで 海斗君も➡ しばらくは ショックで ふさぎ込んでいたんです｡ 最近になって ようやく 元気を 取り戻していたんです｡ その矢先に こんなことに なってしまって｡ ちなみに 今回の事件の 原因について 心当たりは？ (岩本)ありません｡ ご主人も 病院のお仕事が お忙しくて➡ ほとんど 帰宅されないので 私が 大半の時間➡ 海斗君と 一緒に います｡ とっても いい子ですよ｡➡ 誰かに 恨まれるようなことは 絶対に ありません｡ 海斗君｡ お医者さんを 目指してるんですね｡ 小児科かな？ ずいぶん 懐かれてましたもんね｡ あんな 優しい中学生を 襲う動機って 何でしょう？ オバケ京塚は 今 どこで 何してるんですかね？ あの様子じゃ 病室には 近づけませんよね｡ 早いとこ 見つけて 保護しないと｡ これ以上 今を 変えさせちゃ いけない｡ あのう｡ (佐和子)よろしいですか？ ごめんなさい｡➡ すいません｡ 22日の…｡ こんにちは｡ (佐和子)昨日は どうも｡ ご主人とは 会ってます？ ええ｡ 面会なら｡ あのう｡ あっ｡ 申し遅れました｡ 法務省の 新谷と申します｡ 那須野です｡ 法務省？ ええ｡ 法務省では 今 事件の実態調査を…｡ (佐和子)主人は 無実です｡ お願いします｡ 主人を 助けてください｡ ご主人の職業は 会社員と 伺いましたが どのような？ (佐和子)製薬会社に 勤めてます｡ 営業職で｡ 最近 何か変わったことは ありませんでしたか？ 誰かが 訪ねてきたりとか｡ (佐和子)マスコミの人とか あと ネットで騒いでる人とか｡ 他には？ いえ｡ そうですか｡ (佐和子)あのう｡ 主人は 真面目だけが 取りえみたいな人なんです｡➡ 子供が 大好きで｡ そんな あの人が➡ 少年を 刺すなんて 絶対に あり得ないんです｡ どうか 主人を よろしく お願いします｡ あの様子だと 未来の 京塚さんとは 会ってないな｡ 自宅マンション 張り込んでみます？ そのうち 会いに 来るかもしれないしな｡ ですよね｡ オバケって 孤独ですから｡ うわ!? ああ…｡ 何やってんだよ？ もう｡ 間違えたんですよ｡ いいかげん 助手席 使えるように してください｡ そのうちな｡ あっ｡ 競馬場の未来人が 今ごろ ほくそ笑んでるかもな｡ ｢那須野 薫｡ 今ごろ 地面に 色々 ぶちまけてるぞ｣って｡ あの本には そんなことまで 書いてあるんですか｡ って そんなわけ ないでしょ｡ だよな｡ うーん｡ 思うんだけどさ➡ 競馬場の未来人は 一獲千金を 狙って➡ 準備をして リテイクしてきた｡ それに引き換え 京塚さんの行動は どうも ずさんっていうかさ｡ 衝動的に 思えるんだよな｡ 海斗君を 殺すことにも 失敗したし➡ 現代の 京塚さんが 逮捕されてしまった｡ オバケ京塚が 次に考えることって 何でしょう？ 現代の 京塚さんが 釈放されて➡ 家族の元に 戻ることだろうな｡ 警察に 出頭して リテイクのことも 含めて➡ 全てを 打ち明けるかも しれないですね｡ それは まずいな｡ 一応 スマイリーに 報告しとくか｡ オバケが 少年を刺し➡ しかも 現代人が 代わりに 逮捕されてしまった｡ と 思われます｡ 刺された少年は 医者を 目指していまして➡ 加害者である 未来人の 京塚さんは➡ 現代では 製薬会社に 勤務しています｡ この２人は 将来 病院で 出会う可能性…｡ 背景なんか どうでも いいんです｡ 速やかに オバケを 確保してください｡ ですが 保護した後も 京塚さんは➡ 現代で 生きていかなければ いけないわけで｡ それが どうしたと いうんですか？ オバケが 現代に 与える影響は 計り知れません｡ 業務命令です｡ もう これ以上 １mm たりとも➡ 今を 変えさせないでください｡ ≪２人は 未来の病院で 会っていたんでしょうか？ (まさ子)あらあら｡ 怒ってた？ 続けてください｡ あっ そう｡ 製薬会社の 営業って➡ 医者の ご機嫌取りが 大変なんだって｡ それで 恨みを 買ったんじゃ ないかって 話してたの｡ うーん｡ でも ただの 怨恨じゃないですよね｡ わざわざ リテイクしてきたんだもんな｡ やっぱり 2016年｡ 現代の 海斗君との間に 何か あるんだよ｡ あっ｡ それ それ｡ ２人の接点ってわけじゃ ないんだけどね｡ よいしょ｡ ｢死ね｣ ｢殺す｣ ひどいですね｡ でも カワイイ猫の画像も あったりするんですね｡ よく 分かんないな｡ このアカウント➡ どうも 海斗君っぽいのよね｡ まさか？ ホントに？ 確証は ないんだけど｡ 見て｡ この画像｡ これ 電柱が 写ってるでしょ｡ これを 拡大すると…｡ 三段町｡ 海斗君の自宅から 学校に行く 途中の道｡ まさ子さんの 特定能力 相変わらず すごいですね｡ あら あら｡ この猫が 写ってるのが 自宅近くの 公園で そして これ｡ この ちょこっとだけ 写ってる グレーの かばん｡ これ また 海斗君が通ってる 中学校の 指定かばん｡ 何より 毎日 何度も 書き込んでたのが➡ ある日を境に ぱたっと 途絶えてんの｡ 海斗君が 襲われた日？ ピンポン｡ えっ!? でも とても そんなふうには｡ まさ子さん｡ ちなみに そういう 書き込みって➡ いつごろから 始まってますか？ ちょっと待ってね｡ １年半前ね｡ それ以前は 塾がどうの 映画がどうの 普通の書き込み｡ １年半前って いったら➡ お母さんが いなくなった 時期ですね｡ 俺たちは 出水 海斗の 本当の姿を 見てないのかもしれない｡ あのう｡ ねっ｡ ちょっと これは 閲覧注意なんだけど➡ 最新の投稿を 見る？ はい｡ これ…｡ 出水 海斗と 関わるのは 京塚さん 本人じゃ なかったんだ｡ ☎ はい｡ 法務省 民事局 戸籍監理課で ございます｡ はい｡ 少々 お待ちください｡ 課長｡ 岩本さんって 女性の方から｡ はい｡ 新谷です｡ どうしました？ ☎(岩本)海斗君が 病院から いなくなってしまって｡ えっ!? ♬～ もし 課長の推理が 正しかった場合➡ これから みずなみ公園で➡ 殺人事件が 起こるってことですか？ そういうことになる｡ えっ？ でも ちょっと待ってください｡ 政務官の 言うとおり 今を 変えさせないとすると➡ 殺人も 傍観しなきゃ いけないってことですよね？ ♬～ ♬～ ≪(女性)危ないよ｡ 待って｡ ≪(佐和子)すいません｡ こちら ご協力 お願いします｡➡ 22日の 火曜日です｡ すいません｡➡ 22日の 火曜日なんですけど この辺りに…｡ ♬～ (海斗)お前…｡ (京塚)殺しておくべきだったんだ｡ あのとき｡ 変わらないんだ｡ ケガさせたぐらいじゃ 歴史は 変わらない｡ んっ！ やめろ！ 京塚さん｡ 法務省の 新谷と申します｡ 未来人を 保護しています｡ 未来人？ ちょっ｡ 何 言ってんの？ ウケる｡ お前は 黙ってろ！ 京塚さん｡ ナイフ 捨てましょう｡ 分かりますよ｡ 未来を 変えようと してるんですよね？ 樹里ちゃんが 殺される未来を｡ (京塚)そうだよ｡ 今日 ここで こいつは 樹里を｡ (京塚)あの日は 誕生日だった｡➡ 家族 ３人で ドングリ 拾って かくれんぼして｡ ほんの一瞬｡ ほんの一瞬 目を離した隙に 娘は…｡ (京塚)捜したよ｡ どんなに 捜しても 見つからなくて｡ ３日後に 樹里は…｡ 樹里は…｡ ごみ捨て場で ごみに 埋もれてた｡ (京塚)ずぶぬれで 目を 見開いたまま 冷たくなって｡ お気に入りの服…｡ (京塚)誕生日だったのに｡ こいつは 樹里を ごみのように…｡ だから 出水 海斗を殺そうとした｡ 樹里ちゃんを 守るために｡ だけど あなたには 彼を殺すことは できなかった｡ 元の時代には 戻れないのに｡ 全てを なげうって➡ 2016年に やって来たのに あなたには 殺せなかった｡ ただ 彼に ケガを負わせたことで 未来が変わると 信じた｡ でも 今日 ここに 彼が現れ 未来は 変わらなかったと知った｡ 結局 何も 変わらない｡ 何も 変わらないんだ｡ こいつを 殺さないかぎり｡ 樹里ちゃんを 殺人犯の娘に するつもりですか？ 私にも 娘が います｡ だったら 分かるだろ？ 分かります！ 娘の命を 救うためなら…｡ 自分の娘が 殺されると 分かっていて➡ それを防ぐ方法が あるなら どんなことだって やります｡ たとえ 法を犯したって｡ こいつは 樹里を殺し その後も 続けて 殺人を犯すんだ｡ 来年の １月に １人｡ 夏までに ２人 殺す｡➡ それでも 俺を止めるのか？ ♬～ 何でだ？ 何でだよ？ 京塚さん｡ 僕は あなたに 人殺しは させない｡ もし あのときに 戻れるなら｡ そう 思うことは 誰にでも あります｡ こんなこと 言うのは 立場上 よくないんですが｡ あなたが やって来たことで 海斗は 生き直す チャンスを得た｡ 海斗は まだ 誰も 殺してません｡ 京塚さん｡ 見てください｡ ≪(２人)よろしく お願いします｡ (佐和子)よろしく お願いします｡ ありがとうございます｡➡ ありがとうございます｡ 頑張ろう｡ 樹里｡ ねっ｡ (樹里)よろしく お願いします｡ (佐和子)よろしく お願いします｡ (佐和子)ありがとうございます｡ 何でも いいので➡ 知ってることが あれば…｡ カワイイ｡ お嬢さんは 元気です｡ 奥さんも あんなに 一生懸命です｡ (佐和子)火曜日に 私たちを 見た方を 捜してます｡➡ よろしく お願いします｡ よろしく お願いします｡ あなたの行動で 少し 形は 変わりましたが…｡ 家族を思う気持ちは 変わりません｡ かくれんぼをした あの日と｡ ありがとうございます｡ 何でも いいので…｡ あなたが 人生を懸けて 守った家族です｡ ♬～ ♬～ ♬～ (国東)これだけ 揃っていたら アリバイを 証明するのには➡ 十分でしょう｡ 京塚 大輔を 釈放するように➡ 警視庁に 伝えておきます｡➡ 君は 昔から 変わりませんね｡ いえいえ｡ 課長の指示ですから｡ 新谷君も 優秀な部下を持って 幸せだな｡ 変わらないわね｡ あなたも｡ ≪(ノック) (国東)はい｡ ≪(史子)失礼します｡ (まさ子)じゃあね｡ (国東)大西君｡ これを 高柳警視総監に➡ 渡しておいてくれたまえ｡ (史子)警視総監ですか｡ (国東)うん｡ (史子)あっ｡ はい｡ あのう｡ (国東)うん？ 戸籍監理課の パートさんが 何の用だったんですか？ 別に 君が そんなこと 知る必要は ありませんよ｡ (樹里)パパ！ (京塚)樹里！ 現代の 京塚さん｡ 先ほど ご家族の元へ 帰ることが できたそうです｡ (京塚)私は 娘を救うことが できたんでしょうか？ 出水 海斗は 今 入院して カウンセリングを 受けています｡ 母親と 一緒に｡ 彼の心の傷の 原因となっていた お母さんが➡ 海斗君の ニュースを見て 戻ってきたんです｡ それじゃ 彼も 変わりますかね｡ 現代を 変えてもらったら 困るんですけどね｡ 私の立場から すれば｡ また 課長が 怒られちゃいますね｡ すいません｡ どうして 見ず知らずの 私のために そこまで？ 私も あなたと 同じ人間だからです｡ 《ですから 誤解なんです｡ 私は 決して…》 (上司)《分かってる｡ しかし 周りの目も あるしな》 ♬～ (紗栄子)《あなたは やっぱり 分かってない》 ♬～ 先が見えない中 やり場のない思いを 抱えながら➡ 今を 懸命に 生きるっていうのも 悪くないですよ｡ 京塚さんも 一緒に 未来に向かって 生きましょう｡ ♬～ (電子音) ♬～ ♬～

ザット '70s ショー.S03E20.JA

1 今日の夕飯はどう？ うまいよ よかった みんなで教会の活動を 手伝ってくれない？ ストップ よろしい では… 教会の婦人会 “神の魔法陣”で 資金集めの催しをするの すばらしいよ すば…らしい 僕は会議があるので失礼 とても重要な会議なんだよね 了解 毎日が同じ生活で もう うんざりなのよ 家庭の外に出て新しいことに チャレンジしたいの でもママ… 私はあなたを いつも応援してるわよね ジャズギタリスト志望さん エリック “アーチーとジャグヘッド(まぬけ)” と一緒に手伝え いいな お前がジャグヘッドだ お前だよ お前で間違いない お前の方が… スティーブン ジャグヘッドをたたくな ほらな おい キティのために みんなで協力するんだ ３人で手伝え ありがとう あなたもよ 会議があるんだ 君と… 教会でね セーフだ 黙れ 仲間とつるんでる いつものストリートで いつもと同じように そう 先週と同じ 楽しみといえば おしゃべりくらい 僕らは元気さ 　　僕らは元気さ ハロー ウィスコンシン！ 〝アメリカの酪農地 ウィスコンシン １９７７年〞 時が速く過ぎるのは 〝タイムフライ〞ね だから時計(タイム)を 投げ飛ばした(フライ)のよ 時計は壊れた？ 知らない 言葉遊びだもの 時計のムダ遣いだ そうね　行かなきゃ またね あとで ２人はお似合いね あの子 好きよ いい子よね イカれてる割に 取り消せ イカれ女 上手だったよ でも ひどい キャロラインは普通よ 女の感情を左右するのは 月１回のアレよ それと洋服ね 仲間に入れてあげようよ 友達は 何人いてもいいって— チョコバーのＣＭも言ってる キャンプの話はした？ 顔にタオルを置いて 腹筋しろと指導員が言うんだ 腹筋すると… 指導員の尻に顔を突っ込むの ドナ オチを盗むな ８回も聞いたから… ごめん　もう一回 ウケるから でもウソだろ？ うん キャンプの話がある 大変だ ピーターソンが犬を飼った 行こうぜ 仕事の担当を教えるわ レッドは くじを売ってね 合点だ どならないで たぶん合点だ 愛想よくね 合点できない マイケルとスティーブンは ビンゴの担当よ エリックは ケーキウォークの係ね 何それ？ ケーキでウォーキングだ アホめ デイブ牧師 ご感想は？ 感動しています “神の魔法陣”の催しが 楽しいなんて珍しい やあ みんな どうも デイブ牧師 “神の魔法陣”って クラプトンの曲みたいだろ？ はい デイブ牧師 ロックだぜ ロックだぜ デイブ牧師 痩せっぽち レコードを止めて 準備ができたら止めるよ 言われたからじゃない おめでとう チョコレートケーキをどうぞ チョコアレルギーだ 何でケーキウォークを？ トイレに並んでると思った ケーキを取るのを 邪魔しないで よし 俺が話をつける あんたはヘマするから あっちに突っ立ってて わかった　ここに立ってる 神よ 妻にケーキを 神の御心(みこころ)次第です 楽しいケーキウォークを もう一回やろう 妻が高校一(いち)の美女だったと 信じるか？ もちろんです 忠告するよ 高校時代の恋人と結婚するな 何で？ 役立たずが突っ立ってるわ 聞いたろ？ やったぜ 全額 巻き上げたぞ サイコロばくちか？ 神のサイコロ投げですよ 賭けますか？ 教会では お祈りの次に サイコロ投げが好きだ 楽しんで 僕はお菓子のバザーへ 行きます 信じる者には 無料でお菓子を！ “ロックン･ソックン･ ロボット”がある 最先端のばね式 ボクシングロボットだぞ 当たるかな なあ ズルしようぜ 教会でインチキする気か？ いい考えだ ここは地下だから 厳密には教会じゃない 神は降臨しないと思う それに老人は ロボットなんか要らない はじけるキャンディーもな そんなの老人に食べさせたら 泡吹いて あの世行きだぞ 人助けだ そうさ （Ｂ７） Ｂの７だ ビンゴ！ ラッキーだな ドナです 赤毛のニンジン娘か 良さそうな子だ 俺も昔は君みたいに ひ弱で筋肉がなかったよ 言っとくけど 僕は細身の筋肉質なんです 学校のマドンナと付き合って 最高だった なのになぜ？ わからんよ ある日お互いの話は 聞き尽くしたと気がついた そして彼女は食べ始め 太った ヤバい　ドナもよく食べる 最初は嫌みを言う程度から 始まるんだ やがて友達の前でけなされる ドナ オチを盗むな ８回も聞いたから… 気がつくと死を望んでる どっちかが死ねば 静かになるからな 最悪の気分だ それが俺の目的なんだ あなたたちって最高ね そうなの 双子座の性格は何て？ ２つの性格を併せ持つ 二重人格者だって もう一回言ったら ぶっ殺す 冗談よ 私はイカれ女なんでしょ？ 迫真の演技だったわね 漏らしかけた ところで フェズって キスが上手なの？ 恥ずかしいわ ジャッキーも フェズとキスしたのよ フェズと？ 彼が私を好きだったことが… 黙れ！ もし あんたたちが フェズに触れたら始末する わかった？ 冗談だよね？ “冗談だよね？”だと？ あんたの目玉をくり抜くよ わかった？ マジで？ 彼女のネイル 最高 あなたの協力に 感謝しています 家庭の外で善き行いができて うれしいわ 家を出て 善き行いをした他の人は イエスです 出てくれてよかった 大丈夫？ 下着がなくて代わりに 水着を着たら… 暴露しすぎました 〝10分で戻る 20分で戻る くじは中止〞 エリック？ 俺は教会一の金持ちだ 今日は運がついてるぜ ビンゴになっちゃった また 君たちの負けだ 負け犬さん 最悪だわ 高校時代の恋人と結婚するな この話は… 聞いた 最後のドーナツは？ 食べた ふざけんなよ 11個も食べたろ うるせえ 黙らないぞ 僕の体重は36キロだ 君は何キロ？ ハゲたのは 空腹で髪を食べたからだ 大富豪さん 来て くじの仕事は？ めったに出ないゾロ目で 連勝してるんだ 神が運を不正に操作して 俺に味方してる ビンゴで大勝ちした 神がかり的な幸運だ ママ 悪い知らせがある ドーナツを 僕は１個でドナは11個 前途多難だ ケーキの人たちを 見捨てたわね 何か問題でも？ すべて順調よ くじは買った? ３等はジョン･デンバーの アルバムだぞ 「緑の風のアニー」さ たった１日で このザマ？ そうだね 信じられない “神の魔法陣”が “悪魔の四方形”になったわ あなたたちは悪魔なのに 何で教会に入れたの？ キティ 俺たち… いいから もう行って 不正に得た物は返して 俺の物だ ママ ごめん 悪かった お帰り 愛してるよ ２人ともやめて 怒ってないわ 本当に？ ええ 別の人と結婚して 子供を産む妄想をしたけどね 私が悪かったと気づいたの よかった ワナかもしれん 違うわ 自分がやりたいことを 人に強制すべきじゃなかった 俺も悪かったよ 今後は 君がやりたいことは 何でもやるといい 協力するよ 一緒にやらずに いいだろ？ いいわ　ありがとう どういたしまして ケンカしてたのに すぐ仲直りした 100万年も結婚してるのに 希望が湧いた よし 軍に入隊しろ 彼女は怖い マジで怖い 「エクソシスト」並みに怖い 別れるべきよ 彼女はイカれてるけど 害はない ハーイ やあ 僕のかわいい彼女 さっき警告したよな キャロライン フェズに触れたら殺す ２人は友達だ だから何？ 彼女たちも 万引きしたペンで あなたの名前を 部屋中に書いてる？ ねえ？ えっと… 書いてる？ いいえ だよね キャロライン 別れよう 何で？ 私はイカれてないわよ いや…　そうだね…　あの… 君はイカれてない 実は… ドナと愛し合ってる 何て？ やめて お互いにメロメロだ 君からも言ってよ 殺されるわ 君は巨人だから勝てる 本気で私と別れる気なのね いいかな？ フェズ 私といる時ほどの幸せは この先 二度とこない 絶対に それに気づくまで見てるわ いつもあなたを監視してる あなたは知らない でも今 話したから知ってる とにかく私たちは これで終わりじゃないわ やっと終わった １…２…３… 行け クソッ クソッ 俺のは壊れてる くだらねえ 〝アメリカの酪農地 ウィスコンシン １９７７年〞

幕末グルメ・ブシメシ！１st＃04

1 [ 回想 ] (栄輔)やっぱり あなたは…➡ 人の心が分からん人や｡ <時は幕末 所はお江戸｡➡ 参勤交代で江戸に来た 酒田伴四郎｡➡ 殿様のお召し物を支度する 衣紋方ではありますが➡ 仕事は少なく 暇ばかり｡➡ 今日は どんな事件に 巻き込まれるやら…> (お羽)ちょっと 熱いかもしれませんけど➡ 大丈夫ですか？ (五郎右衛門)え～？ (お羽)はい あ～ん｡ あ～ん｡ 熱い！ 熱い 熱いよ｡ う～ん うんうん｡ (お羽)あ～ん｡ あ～ん｡ ♬～ (平三)しょっぱい汁じゃのう｡ (伴四郎)全くです！ お主が作ったのじゃ｡ はい｡ 飯は やわいし 干物は焦げておるし｡ どうして こうなる？ 指南書どおりに 作っておらんのか？ 指南書など当てにしておりません｡ 当てにせい！ 嫌です！ 指南書の味は 我が妻 すずの味｡ 不用意に開けば 家族を思い出してしまう｡ しかし 見ろ｡ そのせいで 五郎右衛門は➡ 長屋に 寄り付かなくなってしまった｡ 飯のせいではありません！ 邪魔するぞ｡ おう 惨助｡ どうした？ 本日は 矢沢五郎右衛門殿に 会いに来ました｡ 五郎右衛門？ 五郎右衛門 邪魔するぞ｡ (五郎右衛門のふりで)おう 入れ｡ では 失礼して｡ これは…｡ うわ～…｡ お羽だ｡ はい あ～ん｡ お羽｡ はい あ～ん｡ お羽｡ お羽 お羽｡ はい あ～ん｡ お羽｡ ♬～ こんな所で 何をしておるのです？ 何をしておるのじゃ こんな所で｡ なんという｢あ～ん｣だ｡ いやはや 堂々たる ｢あ～ん｣でしたな｡ やめろ！ この｢あ～ん｣には 事情があるのだ｡ 五郎右衛門様 どうかされましたか？ ♬～ なぜ ここが分かったのです？ これじゃ！ やめろ！ 女子に うつつを 抜かしておる場合か 五郎右衛門｡ 説明せい｡ 確かに私は あのお羽に うつつを抜かしております｡ やはりか｡ かわいそうな娘なんです｡ 先代の店主だった父親を亡くし➡ 見よう見まねで しゃも鍋屋を 続けるも 評判は下がる一方｡ このままでは 番付も…｡ 番付？ 江戸の料理屋を格付けした 番付表です｡ 以前の｢きじや｣は 確か… 小結｡ このままでは 番付に名を残す事すら難しい｡ それで こうやって試作を…｡ ああ… これじゃ 番付入りは無理だろ｡ だからこそ努力しておるのだ｡ 先代が残した虎の巻に 味の調合は記してある｡ そのとおり作れれば 逃げてた客も戻ってくるはず｡ そんなにうまくいくかのう｡ 成功させてみせます｡ ｢きじや｣の再建は 私の腕にかかっております｡ しかし 矢沢殿は 藩に仕える武士でありましょう？ 悠長に しゃも鍋屋の手助けなど しておる場合でしょうか｡ この世は武士だけのものではない｡ 町民も農民も➡ おのおのが おのおのなりの 工夫をして生きておる｡ それを学べる機会だと思えば これもまた有意義よ｡ ほう なるほど｡ 物は言いようじゃの｡ (お菊)聞いたかい？ (与一)へい｡ 小娘と素人が切り盛りする ｢きじや｣なんて➡ もはや商売敵として 恐るるに足らないね｡ へい｡ うちの番付が脅かされる事も なさそうですね｡ ﾊﾊﾊﾊ｡ あら？ お菊さん｡ ｢きじや｣の偵察ですか？ そんな事するまでもなく ｢きじや｣の評判は➡ 地に落ちてんだろ？ では こちらの偵察ですかな？ ここへ来て お羽の番付が急上昇し お菊さんは降格｡ こんな くだらないもん 最初から気にしちゃいないよ！ ほう～ 美人番付まであるとは｡ 似てるんだよねぇ｡ 何か？ こっちの話さ｡ 行くよ 与一｡ へい｡ 殿 年貢を昨年より２割増徴し➡ その増徴分を 城の石垣の修繕に 充ててはどうかと｡ 敵襲などがある訳でもなし そのままでよい｡ ですが 殿…｡ もっとマシな案はないのか？ 財政に関しては この者の方が よほど学んでおる｡ 衣紋方は矢沢五郎右衛門｡ このまま 衣紋方に とどめておくのは惜しい人材｡ 勘定方として登用するよう 申しつけろ｡ 私が… 勘定方へ？ 極めて異例ではあるが 財政についてはもちろん➡ そのほかの どのような意見や 提案も歓迎するというのが➡ 殿の方針じゃ｡ 特に お主のような 優秀な男なら なおさら｡ 是非！ 藩のため 殿のため 全身全霊で…｡ ただし その建白書は このままではいかん｡ 一部 実情と かけ離れておった｡ 速やかに訂正し 改めてほしい｡ 修正が済み次第 改めて 殿に目を通して頂き➡ 了承を得た後 正式な役替えという段取りじゃ｡ な… 何じゃ？ 承知しました｡ 殿の期待に応えられるよう 直ちに修正致します！ (せきばらい) おお そうか｡ では 頼んだぞ｡ はっ｡ ♬～ 殿は見ていてくれたのだ｡ 五郎右衛門 出世は目前じゃ｡ 気を抜くなよ｡ さすが 殿だ｡ お主には わしこと宇治井平三の 持てる技 知性の全てを➡ 厳しくたたき込んだ｡ 今のお主があるのは➡ わしこと宇治井平三のおかげと 言っても…｡ 集中します｡ 一人にして下さい｡ ｱﾊﾊﾊ もちろんじゃ！ そうしていると 殿様には見えませんね｡ そうか？ あれから 矢沢は どうしておる？ 脇目も振らず 建白書の修正をしております｡ う～ん やる気を見せておるか｡ しかし やつの建白書など 文言が難しすぎて…｡ かみ砕いて言うと 何が優れていると言うのです？ 青いのだ｡ 矢沢は よく学んでおる｡ 藩の現状を踏まえ 他藩との比較や 幕府の今後にまで見識が及ぶ➡ 見事な建白書であった｡ しかし何より やつの持つ若さや 生意気や野望が➡ あの建白書には あふれておる｡ それが青いと？ 承知した｡ そういう事なら この矢沢五郎右衛門➡ 一肌脱ごうではないか｡ ｢きじや｣のために｡ 本当ですか？ ならん！ しかし ｢きじや｣には➡ 五郎右衛門様のお助けが 必要なんです｡ ならん ならん ならん！ 五郎右衛門は 今 大事な時なのじゃ｡➡ しゃも鍋屋になど構っていたら➡ 出世の話など たちまち立ち消えになる｡ それは 確かに｡ 五郎右衛門様！ 承知した！ 五郎右衛門！ いや あの… 参りましたな｡ ただいま｡ おお… お羽か｡ どうした？ 料理番付の評定日が決まり それまでに 五郎右衛門様に➡ しゃも鍋の仕上げを してほしいんです｡ その日は 建白書の 締め切り日ではないか！ それどころではない｡ 帰れ！ なんとかしよう！ 本当ですか!? この伴四郎が｡ えっ また？ おお なるほど｡ それはよい｡ お主 どうせ暇じゃろ｡ はぁ？ お主が承知してくれれば 私は 建白書の修正に専念できる｡ 頼む 伴四郎！ 五郎右衛門の出世が かかっておるのじゃぞ｡ え～？ お願いします！ …うん｡ これが 父の残してくれた 作り方です｡ これがあるなら 誰が作っても同じだと思うが…｡ そのはずなんですが➡ 調味の品を入れる順番が悪いのか 火を入れる加減が悪いのか➡ なかなか昔の味にはならなくて…｡ う～ん…｡ ♬～ 何です？ あっ いや…｡ 建白書の締め切りは明日｡ 間に合うよな？ どうした？ 厠か？ 気が散って しかたがありません｡ 少々 散歩に出てきます｡ おお そうか｡ そうじゃな｡ 根を詰め過ぎてもいかん｡ うんうん 行け行け｡ うん｡ うまい！ お羽も食うか？ 飲ませてあげようか？ 恥ずかしい｡ いいなぁ…｡ あら いい男｡ あら 恥ずかしい｡ あれ？ どこかで見たような…｡ 伴四郎様 すご～い！ 父の味に近いです｡ だいぶ近づいております｡ 火加減も何も 勘だったんだが…｡ おお… やっておるか ２人とも｡ 五郎右衛門 建白書の方はいいのか？ ん？ うん いや… ｢きじや｣が気になっての｡ では 私も手伝おうかの｡ ♬～ 私は独り身ゆえ 国元にいる頃から 料理はしておったから｡ 痛っ｡ 大丈夫ですか？ 心配はいらん｡ ｢きじや｣の再建は目前｡ 共に 成し遂げようではないか｡ 熱っ｡ あの～ お店の方は 伴四郎様の 助けで なんとかします｡ 建白書に集中して頂いた方が いいのではないでしょうか｡ そうじゃ 無理をするな｡ 役に立つ訳でもなし｡ 貴様… ちょっと うまくいったからと生意気な！ 貴様など 料理以外 からきしではないか！ からきし？ そうじゃ｡ 勤めでは いつも私の足手まとい｡ 勉学に励む気概もなし｡ 長屋では寝てばかりだろ この 鼻ちょうちんが！ 鼻ちょうちん…｡ 貴様 心の中では そうやって➡ バカにしておったのだな？ だとしたら 何なのだ？ 貴様など 鼻ちょうちんで 飛んでいけ！ 飛べるか！ 大体 お主は いつもそうだ｡ 何事も ひと事のようにさりげなく それでいて➡ よいところは いつも 持っていくではないか！ あの時だって…｡ あの時？ あの時とは何だ？ 何でもない！ こう見られていては 集中できんなぁ お羽｡ どうじゃ？ ２人とも｡ 順調に進んでおるか？ わしも手伝おうか？ (五郎右衛門 伴四郎)いりません｡ そうか？ ≪(戸が開く音) あら？ お客様？ 申し訳ありません｡ ｢きじや｣は しばらくお休みを…｡ ♬～ 何をしておる!? やめんか！ 奥へ 奥へ｡ どけ！ 何じゃ あいつら｡ ﾍﾍﾍ｡ ﾊﾊﾊﾊ｡ ♬～ (平三)待てい！ 待て待て！ 待て～い！ 待て～い！ 待て～い！ 待て 待て～い！ 待て！ 待て～！➡ 待て 待て～い！ お前ら 何者だ！ 名乗るほどのもんじゃねえよ！ ♬～ 気が付いたか 五郎右衛門｡ あいつらは？ 知らん｡ 好き勝手 暴れて さっさと出ていってしまった｡ お羽は？ (泣き声) (泣き声) あやつら 建白書まで…｡ 苦労が水の泡だ｡ もう一度 最初から やり直しだ！ やり直しなどきかん！ 締め切りは明日だぞ｡ 間に合うはずがない｡ 簡単に諦めるな｡ 五郎右衛門 お主ならできる…｡ お主こそ簡単に言うな！ お主に 私の気持ちが分かって たまるか！ 私は お主の事を思って…｡ だから➡ それが気に障ると 言っておるのだ！ 分かった｡ もう知らん｡ 勝手にしろ！ おお 無事じゃったか？ 心配しておったのじゃぞ｡ 心配するような人が 我先に逃げたりはせんでしょう｡ 逃げてなどおらん｡ 助けを呼びに出たのじゃ｡ 五郎右衛門は どうしておる？ ｢きじや｣は どうなった？ 調理具から調味の品 全て壊されてしまいました｡ もう 諦めるしかないでしょう｡ そもそも やつの恋路など 私には関係のない話です｡ またか｡ やつも哀れな男よ｡ 何年前じゃったか 五郎右衛門は嫁を取り損ねておる｡ 嫁を？ とある娘と見合いをした 五郎右衛門は➡ その娘に べた惚れよ｡ しかし 悪い事に➡ 娘の方には 心に決めた相手が ほかにおったのじゃ｡ 押し切ってしまえばいいものを➡ あやつは その相手が分かった途端➡ まとまりかけた縁談を 蹴りおった｡ その相手というのは？ お主じゃ｡ えっ？ では その縁談の相手というのは…｡ すずの事よ｡ 五郎右衛門は かつて すずに惚れておった｡ しかし お主のために 身を引いたのじゃ｡ お断りだよ！ ｢きじや｣は うちの商売敵じゃないか｡ 何で そんな店のために 大事な調理具やら調味の品を？ ほかに頼れる人がいないのです｡ また愛する妻の指南書にでも 頼ればいいだろ？ その指南書も 鍋や醤油がなければ 役に立たず…｡ そんな時 心に浮かんだのが お菊さんだったんです｡ 調子のいい嘘を お言いでないよ｡ 嘘ではありません！ 例の矢沢五郎右衛門の件は？ 穏便に ケリをつけました｡ 現実を知らぬ衣紋方があげた 建白書など しょせん 絵空事｡ ﾌﾌﾌ ｱﾊﾊﾊ｡ 五郎右衛門様 これでは もう 明日の評定には 間に合いません｡ 建白書の執筆に お戻り下さい｡ いや 建白書の締め切りも明朝｡ こちらも もう手遅れよ｡ お羽 料理を続けるぞ｡ 伴四郎様 お気持ちは ありがたいのですが 店は もう…｡ まだ諦めてはいかん｡ この店を立て直すのだろう？ しかし…｡ しゃも鍋は諦め➡ 新しい献立で勝負する｡ 恩返しがしたいのだ 五郎右衛門に｡ やつは 不器用な男だ｡ 何の面白みもなく➡ ガキの頃から一緒にいるが 冗談の一つも聞いた事がない｡ 生真面目なばかりか 時に えらく面倒くさい｡ そのくせ 本人は不器用で➡ 結局は 人の助けを 当てにするところがある｡ しかし それでも私は 五郎右衛門という男が好きだ｡ 本当は 出世などされては さみしくて しかたがない｡ 仲が よろしいのですね｡ 腐れ縁じゃ｡ この料理は ｢きじや｣だけではない｡ 五郎右衛門のために作る 料理なのだ｡ お羽は 売り場の方の準備を頼む｡ はい｡ ♬～ お羽 店は伴四郎に任せた｡ 私は帰って 建白書を書かねば ならん｡ 失礼する｡ はい｡ ♬～ よ～く 手で もみ込んで 衣を着させて下さいね｡ 優しく形を整えて下さいね｡ 空気に触れさせると ｶﾗｯと揚がります｡ たまには 浮世の風も 悪くないでしょ？ ♬～ 出来た｡ いい匂い｡ すず 一つ聞きたい事がある｡ どうしました？ 五郎右衛門と見合いをした話…➡ どうして 私に 黙っておったのだ？ ﾌﾌﾌ 妬いているのですか？ いや そういう訳では…｡ いい匂い｡ どうかなさいました？ いや 何も｡ 終わった｡ 矢沢五郎右衛門からの 建白書でありますが➡ まだ届かぬとの報告がありました｡ そうか｡ 矢沢の役替えは 見送った方がよいかと｡ 矢沢の建白書とは この事であろう？ 今朝ほど 勘定方ではなく➡ なぜか 賄方を通して わしのもとへ届けられた｡ 話によると 書きかけの建白書が➡ 一度 暴漢の手によって 奪われたという｡ それゆえ 信頼のおける賄方を通して➡ 確実に わしの手に届けたとの事｡ 暴漢とは物騒な話じゃ｡ のう｡ 原田よ｡ はっ｡ 何か聞いてはおらんか？ いえ… 私は何も｡ なら よい｡ もし 万が一にも➡ 矢沢のような若い芽を 摘もうとする力が働いたのなら➡ ゆゆしき事じゃのう｡ 役替え見送りとは なぜじゃ？ どうしてじゃ？ 力が及ばなかったのでしょう｡ 一度でも機会を頂けただけで ありがたい｡ そんな… 出世が…｡ 五郎右衛門 少し歩こう｡ うまいなぁ｡ おお…｡ おお 繁盛してるようじゃ｡ おお｡ お羽の腕で すずのｶﾋﾟﾀﾝが作れるか 心配だったが…｡ いらっしゃいませ｡ おお お羽｡ あれ？ お羽が ここに おるという事は 誰が ｶﾋﾟﾀﾝを…｡ あの男は…｡ 許婚です｡ しばらく修行に出てたのですが➡ 父が亡くなったのを機に 戻ってきてくれて｡ 何？ お羽 お前 許婚がおったのか？ はい｡ なぜ それをもっと早く 言わんのだ｡ お羽さん お幸せに｡ 五郎右衛門！ あっ…｡ 伴四郎…｡ 女子に うつつなど抜かすと ろくな事がないのう｡ もう一度 一から勉学のやり直しじゃ…｡ ♬～ 矢沢は どうしておる？ これまで以上に 勉学に励んでおります｡ しかし なぜ やつの建白書は 却下されたのでしょう｡ 五郎右衛門の何が 至らなかったのです？ 建白書は完璧なものだった｡ もちろん 矢沢の資質にも 不足はない｡ ただ… 情けない話だが➡ 我が藩には まだ矢沢を受け入れる 度量が足りてはおらんのじゃ｡ 度量？ 今 矢沢を藩の中枢に 迎え入れたとて➡ 一筋縄ではいかぬ重役衆にもまれ はじき出されて しまいよ｡ 若き才能を受け入れるのは 先の話になりそうじゃ｡ なるほど｡ 中間風情が➡ まるで殿様であるかのような 口ぶりですなぁ｡ やめい｡ (笑い声) ♬～ 号外です｡ はい 号外です｡ それは 歴史的な倒産劇だった｡ 巨大証券会社の 突然の破たん｡ 負債総額は 戦後最大となる 3兆5,000億円｡ ｸﾞﾙｰﾌﾟ社員１万人以上が職を失った｡

MOZU～百舌の叫ぶ夜～＃03

1 (倉木)俺達が見てるのは 真実の断片にしかすぎない 本当の真実とは ほど遠いものだ 俺は 本当の真実を 全て知りたいだけだ もう ゆがめられた真実は 見飽きた ≪(幸恵)あの子 一体何を見たんでしょう？ ≪(山吹)オバケを見たって 言ってるんです (東)公安はむちゃな 捜査をするから嫌いなんだよ 俺は (津城)亡くなった倉木警部の 奥さんは５年前 公安の ある特殊任務についていた➡ そのことと 今回の爆弾事件に 何か関係があるのか➡ 慎重に見極めなければならない 娘のケガは すっかりよくなったが 大雪が降ったｸﾘｽﾏｽの２日前に 事故で死んだ その傍らには 妻がいた (鳴宮)ダルマが組織なのか 個人なのかは分かっていない➡ でも 大きな未解決事件には 必ずといっていいほど➡ ダルマの名前が どっからともなく 聞こえてくるんだ この女の身元は？ (大杉)分かってない (葵美)私が絶対に あなたの 記憶を戻す手伝いをします ≪(新谷)どうして雇い主が 俺を狙ってる？ (赤井)口封じだよ お前は 爆弾事件の実行犯だよ (美希)あなたは犯人じゃない (新谷)だったら なぜ 俺は追われてる？ (チャイム) つけていたんですね 俺は 新谷和彦に 妹がいるなんて聞いてなかった 知ってる情報を 全て教えてもらおうか はい… もう１人 同席してもらいます (東)公安の倉木は目障りだな (中神)はい… まるで ハエだ しばらく 飛び回れないようにしておけ 分かりました 頼むぞ 中神 はい… ショータイム 信じがたい話だな アテナセキュリティの 役員が関わってるなんて… 役員の東に直接会ったが アイツは表の人間じゃない 会いに行ったのか 我々の捜査に影響が出るので 勝手な行動は控えてくださいと お伝えしましたよね 何を偉そうに お前のせいで こっちの捜査が進んでないんだよ 私達には 私達の狙いがあるんです そんなの知るか！ 俺の仕事は 爆弾事件を解決することだ もういいか 本当に 新谷は記憶喪失なんだな はい 反応を見る限り 嘘ではないと思います アイツの殺し方を教えろ 私達が把握してる被害者は みんな 首の後ろを刺されて 殺されてるんです 太さや形状から アイスピックかと アイスピックだと!? だが 新谷が殺したという証拠はない そのとおりです その新谷ってのが 筧のカバンに 爆弾を入れた可能性が高いな それは あり得ません 新谷が筧を追って 喫茶店に入ったときには すでに 筧の前には 謎の女がいました 新谷は 筧から５～６メートル 離れた席に座りました つまり新谷は 筧のカバンに 手が届く距離にはいなかった それから筧はトイレに向かい それを追うように 新谷も後を追って席を立ちました トイレで筧のカバンに 新谷が爆弾を入れた可能性もある ありません 筧は カバンを席の下に置いて トイレに向かったので つまり 新谷には 爆弾を入れるﾀｲﾐﾝｸﾞはなかった はい 筧と一緒にいた謎の女については 何か分かったのか？ いや まだ何にも分かってない 公安が俺達から 情報を 隠してるだけかもしれないがな 君は意図的に 俺に情報を小出しにしている 今回のことで 君が俺に話してきたこと全てが 真実かどうか分からなくなった 何がおっしゃりたいんですか 君が嘘をついていると考えれば 全く別の局面が現れる その謎の女が 君の変装だった ということもあり得る 確かにな では もう お話しすることはないので 私は失礼します うさんくさい女だ ちょっと聞いていいか？ 何だ？ アンタのことを少し 調べさせてもらったよ そんな暇があるなら 捜査をしろ グラークα作戦 亡くなった アンタの奥さんは ５年前に ある極秘作戦に 参加したことが原因で 公安を辞めたっていう噂がある 一体 何があったんだ？ 一度も その事件について 妻と話したことはない どうしてだ？ アイツも話さなかったし 俺も聞かなかった ダルマのことは知ってるな？ ああ その作戦は ダルマが何かしら 関係してるのか？ 分からない 夫として失格だな アンタ まあ 別居中の 俺が言うのも何だけどな (葵美)今日はホントに どうもありがとうございました 最後に写真だけ １枚撮らせてもらっていいですか 何枚でもいいよ いきますよ はい いいよ はい チーズ ありがとうございます (携帯着信) すいません 失礼いたします (新谷)もしもし 中島葵美さんですか？ ☎(葵美)はい もしかして 新谷さん？ はい その後 記憶の方はどうですか？ ☎(新谷)まだ戻ってません ☎あの ある仕事を お願いしたいんですが 仕事？ 実は あの… 僕のこと調べてほしいんです 新谷和彦はどうだった？ ものすごい身体能力で 彼が人殺しなんじゃないかと 疑うほどでした そうか 金串を首に 刺されそうになったんだって？ はい それは おかしな話だな そうなんです 大杉警部補は？ 新谷和彦の情報を 捜査本部にあげました そうか どう動くかな だが問題は 新谷だ はい ヤツを捕らえても 記憶喪失じゃ意味がない 一時的なものだと言ってましたが そう願おう (鳴宮)へえ～ あの時限爆弾 Ｃ４じゃなくてＲＤＸだったんだ 軍用爆弾がテロに使われるなんて 日本も いよいよ危ないね 自衛隊関係者から 入手したってことか？ う～ん そりゃ不可能だね 自衛隊だってＲＤＸなんて 持ってないよ じゃあ 海外からってことか いや それはどうだろう 日本の税関は優秀だからね まあ 何か特殊なルートを 使ったんなら話は別だけど 例えば 税関職員を使うとか そうなると組織的な犯行だな まあ 個人で手に入れるのは 至難の業だよね お待たせしました [ﾃﾚﾋﾞ](ｷｬｽﾀｰ)ｻﾙﾄﾞﾆｱ共和国の ﾀﾗｷｰ大統領が [ﾃﾚﾋﾞ]来月 日本を訪問する予定ですが [ﾃﾚﾋﾞ]心配されるのは テロの可能性です [ﾃﾚﾋﾞ](解説者)海外では すでに ﾀﾗｷｰ大統領を狙った爆弾ﾃﾛが [ﾃﾚﾋﾞ]この１ヵ月だけで ３件起きてます [ﾃﾚﾋﾞ]先月 東京 日比谷で爆発事件が 起きたことを受けて [ﾃﾚﾋﾞ]サルドニア国内では 大統領支持層を中心に [ﾃﾚﾋﾞ]大統領の日本訪問を 反対する声が起こっていますね [ﾃﾚﾋﾞ](ｷｬｽﾀｰ)来月に控えた 二国間会談は 日本にとって [ﾃﾚﾋﾞ]新たな石油供給ﾙｰﾄを 確保する大きなﾁｬﾝｽになります ≪(室井)はい 若松警視 (若松)倉木警部 (室井)どうしたんだ？ まだ休暇は終わってないだろ？ 二三 お話し したいことがあります 若松警視も一緒で 手間が省けました 爆弾事件の捜査状況について お聞きしたかったので もちろん 被害者の夫として 残念ながら あまり進展していないんだよ 問題の爆発物は 当然 調べてますよね ああ 小型の新型時限爆弾で 出どころは不明だ 入手経路も分かっていない 海外から 持ち込んだ可能性が高いが どこから持ち込まれたのか まだ 分からないそうだ だったら 中東の筋を 当たってみるべきですね 筧が その方面と 接触を持っていなかったかどうか どうして中東が出てくるんだ？ 来月 来日する サルドニアの大統領は 15回もテロリストに 命を狙われています サルドニアのテロリストが 大統領暗殺のために パラサイトネット もしくは 筧 個人に共闘を申し入れ 爆弾を送り込んだという 仮説は成り立ちます そんなバカな… 他に仮説があるなら 聞かせてください 何だ その言い方は！ ≪(室井)若松君 ≪(寺門)私にとっちゃ ここを卒業した生徒達は➡ 全部 孫のようなもんやけんね➡ 卒業アルバムは 私の宝だから 全部とっとるけんね すいません 一緒に捜していただいて (寺門)いや あッ あったあった これよ これ あ～ ホントだ あった！ ありがとうございます➡ 新谷さんだ お願いがあるんですけど 少しの間だけ お借りしてもいいですか これ よか目をしとるな アンタは ちゃんと返してよ はい！ ありがとうございます タバコ やめたんじゃないのか？ 娘が死んで また 吸い始めました そうか それより 俺の仮説について 意見をいただけますか？ サルドニア共和国の 大統領の来日が 日本政府にとって 国家的セレモニーであることは 君も承知だろ はい つまり 大統領の警備は 警視庁の威信をかけた 一大プロジェクトになるわけだ 来日を１ヵ月後に控えた今 サルドニアのテロリストが 日本で 大統領の暗殺を企てているとか そのような噂が マスコミに 流れたら どうなると思う？ それに万が一 それを理由に 大統領が来日を取りやめたら 新しい石油供給ルートの 開発計画が 大幅に遅れてしまう だったら むしろ 俺の仮説を徹底的に洗うべきです 来日の禍根を断つことが 最大の警備でしょう だが 今は 余計な噂を 抑えることの方が先だ 少なくとも 政治的判断は そのように要求してる 政治ですか… 今日は金曜日ですか そろそろ行くよ 待ってるからな 何か進展はあったか？ 特にない なあ 家に何が入ってるか 分からない引き出しはあるか？ 引き出し？ 例えば 奥さんの引き出しの 中身を知ってるか アンタは？ 自分の嫁のことも よく分かってないのに 嫁の引き出しの中身なんて 知ってるわけないだろ そうか… そうだ ダルマだが 妻の夢に ダルマが出てきて いたのかもしれない 《(千尋)キャーッ！》 《おい 大丈夫か？》 《どうした 悪い夢でも見たのか？》 それから妻は… 少しずつ 精神を病んでいった じゃあ やっぱり グラークα作戦には ダルマが絡んでたんじゃないのか それは分からない もしかしたら 娘の夢にも… 君にどうしても 直接聞きたいことがある 今から会えるか？ どちらに向かえばいいですか？ ☎今 君の家に向かってる えッ？ いや それは… じゃあ 急いでるんだ 飛ばしてくれ ≪(運転手)はい 右折レーンに入ってくれ 直進してくれ えッ!? その先の脇道に入ってくれ お客さん 何なんですか？ ∪ターンして 来た道を戻ってくれ はい おい おい 大丈夫か!? お お客さん！ お お おい！ ああ 事故 事故っていうか 当て逃げされたんですよ お客さん… あれ？ えッ… ああ 住所は… 失礼します (チャイム) 倉木だ 倉木警部！ ちょっとケガをしただけだ ちょっとって すぐに救急車を呼びます 待て 俺がここに来たのは 君に話があるからで 救急車を 呼んでもらうためじゃない ですが 私の自宅で 警部に死なれたら 私が困ります 大丈夫だ それより ヤツらが 本気になったということは 核心に近づいている証拠だ 東達に やられたんですね 警告のつもりだろう ああッ ああッ とにかく 君と話すことがある うッ ああッ (物音) こんなときに話って 何ですか？ 必要とあらば 君は嘘をつく そうです それは認めます ですが そうではない女がいると 警部が信じているとは 思えませんね 私の尾行の対象は 新谷であって 筧ではありません だが君は 新谷が何か テロを請け負ったという 見通しのもとに 新谷の尾行を始めたんだろ？ その新谷が 筧を尾行したということは 筧が そのテロの対象ではないかと 疑うのが普通だ 少なくとも 通常の能力を持った 公安警察官なら そうする つまり どんな悪条件のもとでも 新谷と筧の２人から 目を離すなんてことは あり得ない それは私も警戒していました でも まさか あんな喫茶店で 筧を殺すことは できないだろうと思いましたし 現に あの店では 何も起こりませんでした 言い忘れたが 今日 あの喫茶店に行って 爆弾事件当日 店に出ていた店員に 新谷の写真を見せた 店員は 新谷の顔に 見覚えはないと答えたよ それについて どう思う？ それは仕方ありませんよ あの喫茶店には 一日に何十人も 不特定多数の人間が 出入りするんですから 確かに そのとおりだ だが逆に 新谷が店に 入らなかったとも考えられる さらに 君と筧との間に そもそも新谷は 介在して いなかったかもしれない 違うか？ あッ！ (物音) 気のせいやったかね キャーッ！ ☎(葵美)実家に行ってきました ☎隣の家の方が いきなり現れて びっくりしましたけど… 何か分かりましたか？ 新谷さん達のことは 何も知りませんでした でも 妹さんの部屋に 絵本があったので持っていきます ☎(新谷)絵本？ はい 鳥のモズが モチーフになった絵本です モズ？ もしかしたら これを見たら 何か思い出すかもしれませんよ これから東京に向かいます ありがとうございました 警部は どうしても 私を謎の女に 仕立てたいようですね そんなつもりはない だが そう考えた方が筋が通る 私には筋が 通っているようには思えません なら 話を変える 君は 新谷和彦の妹について どの程度 知ってる？ 新谷の妹については あまり情報がありません そうか 信じてませんね もう１つ 質問がある 警察庁の 津城警視正を知ってるな？ 先日 君が津城警視正と 一緒にいるところを見かけた 見かけた？ 正直に 私を尾行していたと 言ったらどうですか？ 彼とは どういう付き合いだ？ 極めてプライベートな お付き合いです 恋人同士には見えなかった そうですか ですが 私も警視正も独身ですし ２人とも大人ですから デートぐらいはします そこまで主張するなら そうしておこう だが俺は 彼の役職に非常に興味がある 津城俊輔 警察庁警務局所属の警視正 特別監察官 間違いないな？ ええ 特別監察官の仕事は 警察内部の不正や犯罪を調査し 取り締まることだ そう聞いてます だが実際は 警察内部の不祥事を 外部 特にマスコミに もれないように もみ消し 闇から闇に葬り去るのが仕事だ 私は そこまでは知りません 俺は 彼が 何か餌に食いついたと思ってる どう思う？ 分かりません そうか ありがとう 礼を言うよ やはり話をしに来た甲斐があった 私の話を 全く信じてませんね？ 君が真実だけを語るとは 最初から思っていない 救急車を呼ばせてください 大丈夫だ ですが… １つ 頼みがある 大杉警部補に 必ず病院に 見舞いに来るように伝えてくれ 警部 大丈夫ですか？ 千尋… えッ？ あの引き出しには… 警部 しっかりしてください やっぱり私が 病院に連れていきます いや 大丈夫だ 次は新谷をやります お前は自分が何をしたか 分かってんのか!? 新谷さん ≪公安の刑事が爆弾事件で 行きすぎた捜査をしてるでしょ 私の父親も警察官だったの 人殺し 実は 私は倉木警部に１つだけ 嘘をついていました それも重大な嘘を 重大な嘘？ アンタが公安を嫌いになった訳が よく分かったよ 家族を失う つらさは分かってるつもりなんで 人が大勢死んでるんです 事件を 解決しなきゃいけないでしょうが 津城警視正は 大杉警部補を相手にはしません 妻がなぜ 爆弾事件に巻き 込まれたのか 知るためだったら 何だってするよ 俺は 警察官なんて大っ嫌い➡ お父さんなんて大っ嫌い！ 私が提案しているのは 同盟です 津城俊輔 警察庁特別監察官 今まで内部処理に成功した数は 過去最多だといわれている 誰かの圧力なんかに負けるな 絶対に負けるなよ (中神)お前もいかれてるな ああ 今頃 気づいたか

龍馬伝＃23

1 ♪♪～（三味線と歌） （岩崎弥太郎）＜文久３年９月２０日→ 近藤長次郎は　大和屋の娘　徳を→ 妻に　娶ったがじゃ＞ ♪♪「よい　よい　よいやさ」 ♪♪「持ち上げろ　持ち上げろ」 （龍馬）いや～　めでたい！ わしは おまんらが　夫婦になってくれて→ まっこと　うれしいぜよ！ （惣之丞）お徳さんは　長次郎に→ 一目ぼれしたゆうがは　本当かえ？ おお～？ そんなこと　言わさんといて！ やめてつかあさい 惣之丞さん！　もう！ 惣之丞は　酔うちゅうき～。 お～　やってるねえ！ 先生！ そんなに　かしこまらなくたって いいよ。　祝いの席だから。 おめでとな。　はい！ 先生　わざわざ 京から　来て下さったがですか！ 当たり前だよ　おめえ。 かわいい訓練生の祝言だ！　なあ！ ありがとうございます…！ ハハハハハハ！ おい！ もう一つ　うれしい知らせがある。 は？ 神戸村の海軍操練所が 出来上がった！ ええっ！ まっことですろうか！ ああ。 大坂での訓練を終えて 我ら　神戸村に向かう！ よっしゃ～！ 海軍操練所じゃ～！ ついに　この日が来たがぜよ！ （勝）静まれ！ おい　静まれ　静まれ。 静まれ。　静まれ。 え～　というわけで　長次郎→ しばし　嫁さんとは　お別れだ。 ええ～？！ ハハハハハハハ！ 長次郎！ やるぜよ！ ♪♪～（テーマ音楽） ♪♪～ ♪♪～ おお～！ 「海軍操練所」！ 書いてある！ 書いちゅう！ 見いや！ おおお～！ すごいき！ おい　長次郎　船ぜ！ 船ぜ　船ぜ！ 危ない　危ない！ 龍馬さん　危ないですきに！ 危ないき。 （長次郎）危ないですき！ 揺れるのぉ！　ハハハハ！ （勝）お～い！ さて　肝心要のものを 見物に行く。　来な。 ハハハハハ！ おお～！ 来たぜよ～！ 見いや　惣之丞！ あれぜ！　あれが　わしらの船ぜ！ （勝）お～い！　みんな聞け！ おめえさんたちは　ここで 操船術　航海術　砲撃術を→ 体に　たたき込むことになる！ はい！ そして　海へ！→ 日本の海軍が　ここから船出する！ おお～！ やるぞ～！ ＜海軍操練所に集まった　若者は→ 全国の各藩から送り出された ２００名近く。→ 中には　龍馬たちのような 脱藩者もおったけんど→ みんな　新しいことを学ぼうという 意欲に　あふれちょったがじゃ＞ Aを　９０度とすっど この式は　どげなる？ （長次郎）ｓｉｎAは　ｓｉｎLとなり→ Aは　Lとなるがです。 点火　用意！ ５番　よし！ ４番　よし！ ３番　よし！ 放て～！ （砲撃音） 行け！ ♪♪～ よっしゃ～！ よっしゃ！ ＜そして　この訓練生の中に→ 陸奥陽之助がおった＞ 薩摩藩士は　２１人もおるのに→ 長州藩士は 一人もおらんということが→ ご時世やなぁ。 先生の話を聞けや！ 攘夷派は 全部　蹴散らされたわけか。 ≪起立！　構え！ ＜京で起こった ８月１８日の政変以来→ 長州を中心とした　攘夷派は 薩摩　会津に　都を追い出され→ その権勢を すっかり　失うておったがじゃ＞ 久坂さん！　世の中を 攘夷に引き戻すんにゃ→ どうすりゃあええんですか？！ その手だてを探るために　今→ 京に　桂さんが 忍び込んどるんじゃ！ （桂）思い切った手を打たんにゃ→ 長州の再起も　攘夷の成就もない。 思い切った手を打つとは？ 薩摩の手から→ 力ずくで 帝を　お救い申し上げるのじゃ。 力ずく？！ 帝を…？！ 黙れ！ 誰じゃ？ ≪（女）お酒を　お持ち致しました。 入れ。 お前　今の話→ 聞いちょったんや ないろうの？ どげんな！ お客様の　お話を→ 盗み聞きするようなことは 致しません。 お前は　いつも　愛想がないのぉ。 この宿は　攘夷派の志士を ひいきにしとるんじゃないんか？ うちは　嫌いどす。 何て？！ お前は　幕府の犬か！ …ただ　怖いだけでございますよ。 女子どすさかい。 怯えちょるようには 見えんけどのぉ。 我らは　日本国のために 奔走しちょるんじゃ。 …どうぞ　ごゆっくり。 「日本を守る」言うて→ 大口をたたいて 土佐を飛び出したけんど…→ まだ　何ちゃあ　成し遂げちょらん。 大切な友達が…→ また　捕まってしもうた…！ （戸の開く音） 今朝は 衛吉の声が聞こえんけんど→ あいつは　死んでしもうたがか…？ 拷問は　取りやめになったがです。 取りやめ…？ そうかえ。 そうかえ…。 次は　わしの番じゃの。 それは　ないがです！ 武市様は 今は　もう　ご上士様じゃき→ 拷問を受けることら ないですろう。 何か　お望みのことがあったら 言うてつかあさい。 誰かに　言づてがあったら→ わしが伝えますきに。 どういて　そんなことを…？ わしは　下士です。 こういう　お役目やき 勤王党へは入れんかったけんど→ 身分の低い下士を率いて 土佐を動かした　武市様を→ わしは　尊敬しちょりますき。 けんど　武市様…→ 勤王党におった　岡田以蔵殿が→ このほど　土佐に戻されたがです。 以蔵が…　捕まった？！ （象二郎）吉田東洋様を 闇討ちにしたがは　おんしかえ？ 違うき…！ ほんなら 勤王党のほかの者かえ？　ええ？ 武市半平太が　指図したがじゃ。 わしゃ…　何ちゃあ　知らん！ 岡田！　正直に言わんと 命が　のうなるぜよ。 武市先生に会わせてくれ…。 お願いしますき！　武市先生に…！ 何で　拷問が　できんがですか！ （森下）大殿様。 後藤象二郎から　再三→ 取り調べを 厳しゅうさせてくれとの→ 願いが出ちょります。→ 岡田以蔵は　武市の言いなりに 動いちょっただけですき→ 痛めつけたら たやすう　口を割るがでは…。 不粋じゃのぉ　森下。 はっ…　はっ！ 一橋慶喜公より→ すばらしいものを もろうたがじゃぞ。→ 閉めや！ あ…　はっ！ ♪♪～ 極楽浄土は　えいのぉ…。 ＜極楽浄土ゆうところが ほんまに　あるとしたら→ それは このころの岩崎家のことじゃった＞ （弥之助）かわいいのぉ。 （美和）まっこと。 （弥太郎）春路　春路。 わしが　お父やぞ。　春路。 こいつに　似いなや。 （喜勢）春路が　泣いてしまうぞね。 かわいいにも　程があるのぉ！ 材木が　売れるようになって 娘も生まれて→ まっこと 運が向いてきたのぉ　弥太郎。 わしの人生は　ここからぜよ！ （泣き声） ああ　春路。　よしよし　よしよし。 春路…！ 兄やんが泣かせた！ 見いや　見いや　ほら！　ばあ～！ やめや。　怖がっちゅう。 れろ　れろ　れろ～！ やめや～！ （亀弥太）北極星から緯度を測る 算法を覚えるがは→ 誰やち　１０日は　かかるぜよ。 ほお～。 急いだらいかん。 ハハハハハハハ！ わしは　１日で覚えましたわ。 あんな　たやすいことに　１０日も かかるなんて　信じられんわ。 …おい。　おい　おんし！ わしに　喧嘩を売りゆうがか？ わしは ほんまのことを言うたまでや。 何じゃ　おんしは！ もういっぺん　言うてみいや！ 待ちや　待ちや！　待ちや！ えい加減にしい！ 喧嘩は　いかんき！ 放しや　偽侍が！ 侍になった言いながら　娶ったがは やっぱり　商人の娘やないかえ！ そんな奴に 指図されとうないぜよ！ 亀弥太！　長次郎は仲間ぜよ！ （惣之丞）言うてえいことと 悪いことがあるろう！ あああ…！　わしは こんなことをしよってえいがか？！ 武市先生も　以蔵も 牢に入れられちゅうがやき！ 収二郎さんは… 腹を切らされたがじゃ！ 一緒に　戦うた仲間が→ そんな目に遭いゆうというに…→ こんなことを　しよって…！ ああっ…！ 龍馬…。 …みんな　はよう　飯を食いや。 訓練に遅れるき！　ほれ　ほれ。 おい　長次郎。 おまんも　食いや　食いや。 わしゃ　もう　えいですき。 長次郎！ （陸奥）大変ですなあ。 あっちにも　こっちにも 気ぃ遣うて。 おんし…！ 惣之丞！ 陸奥。 おまんは　紀州藩の 家老格の家柄やそうじゃねや。 どういて　ここに来たがぜ？ おもろそうやと思うたからですわ 蒸気船を操るのが。 （惣之丞）それが　理由かえ。 よう　親が許したのぉ！ 許すわけないやろう。 わしは　脱藩してきたんや！ …え？ ごちそうさん。 あいつにも→ 何か 志すもんがあったがじゃのぉ。 ♪♪～ 亀弥太。 わしやち 武市さんらのことを考えたら→ やりきれん気持ちになるがぜよ。 けんどの　わしらは もう　新しい道を進みゆう。 日本の海軍を…→ 日本を守るための海軍を作るゆう 新しい道をの！ …おまんは 忘れてしもうたがか　龍馬。 え…。 わしら　下士は　土佐では 犬猫同然の扱いやったがぜよ。 わしを　救うて下さったがは 武市先生ぜよ。 「亀弥太。　土佐で 虐げられちゅうことら　忘れや。→ 今　日本は 異国の侵略を受けゆう。→ わしらは　帝の下に　一つになり→ 刀を抜いて 異人を追い払うがじゃ。→ 尊皇攘夷ぜよ！」。 あの時の志は 何ちゃあ変わらんと→ ここにあるがぜよ！ 目を覚ましや　亀弥太！ 時は　どんどん　どんどん 流れちゅうがじゃ！ 今更　攘夷じゃ　開国じゃ うちわもめしゆう場合かえ！ 日本を守るためには→ もっと　もっと 力を　つけんといかん！ そのために　海軍を 作ろうとしゆういうことは→ おまんじゃち よう分かっちゅうはずぜよ！ 違うかえ？！ うん？！ 龍馬…。 武市さんらに　申し訳ない気持ちが あるゆうことは→ わしにも　よう分かる！ けんどのぉ→ けんど　もう 後戻りしてはいかんちや　亀弥太。 後戻りしては　いかん…！ ♪♪～ ＜龍馬の言うとおり　日本には 後戻りは許されんかった。→ 西洋諸国は 日本を思いのままに操り→ 食い物にしようと しちょったがじゃ＞ チアーズ！ 武市さんは　いつ 戻ってこられるがやろうかのぉ。 少しは　休みや　お冨さん。 じっとしちょったら 不安になってくるき。 ≪なるほどのぉ。 うちとは　違うて 手入れが行き届いちゅう。 くそまじめな 武市さんらしい家ぜよ。 はあ～！ 弥太郎さん…？ おまん　どういて 勝手に　人の家の庭先に！ いや　けんど　どこかに→ 節穴の一つや二つは 開いちゅうろう。 材木　買わんか？ わしが　修繕しちゃるき。 えい加減にしいや！ 今　武市さんが→ どんな目に遭いゆうか 知らんがかえ！ お冨さんの気持ちを 少しは　考えや！ しかたないのぉ…。 ただにしちゃるきに。 人の話を…！　えっ？ 雨漏りしゆうところがあったら→ わしが 屋根に上って　直しちゃろう。 お冨さんを 心配してくれゆうがかえ？ 心配らしちゃあせん。 ここのところ 岩崎家は　えいこと続きでのぉ。 けんど…→ 幸運を　ため込んだら 次は　不幸が　やって来るき→ ちっくと　ここで 損をしちょこう思うただけぜよ。 どこが壊れちゅうがか はよう言いや。 おまさんにも まっとうな心があったがかえ。 ありがとうございます。 …心配しゆうわけじゃない 言うたろうが！ ≪ごめんください。 何じゃ　おまん！ 勝手に　人の家の庭先に！ 私は　奉行所で 牢番をしゆう者です。 こちらの奥様に→ 武市様からの お手紙を預かって参りました。 武市さんから…？！ 私が　武市の妻です。 見せてつかあさい。 （半平太）「冨。 長い間　ひとりにさせて　すまん。→ わしのことは心配せんでえいき。→ おまんは 風邪をひかんよう　気をつけや」。 （冨）おまさん…。 風邪をひかんようゆうて…→ 牢の方が　よっぽど寒いろうに…。 …大丈夫そうじゃないかえ 武市さんは。 気にかけることらないがぜよ。　な。 ♪♪～ （足音） やつれたのぉ　武市。 大丈夫かえ？ おんしに 客を連れてきちゃったぜよ。 …以蔵！ 以蔵！ 武市先生…。 （象二郎）開けちゃれ。 （象二郎）話をさせちゃるがは ほんの一時じゃ。　分かったの。 （以蔵）先生…！ 生きちょったかえ　以蔵…！ よかった…　よかった！ 先生まで　牢に入れられちゅう… どういて？！ 以蔵！ ≪どういて　先生まで　こんな目に 遭わされるがですろう！ 以蔵　大きい声を出しなや。 多分　聞き耳を立てられちゅう。 え…？ 奴らは 吉田東洋殺しの下手人を捜しゆう。 ほんまのことを言うたら→ 勤王党の者らは→ みんな　首を切られるき。 え…！ 黙っちょけよ　以蔵。→ 何ちゃあ　しゃべったらいかん。 分かったな！ 岡田を戻せ…　岡田を戻せ。 （以蔵）嫌じゃ…　嫌じゃ！ わしは　先生と一緒に…！ 以蔵！ 先生…　先生！ 先生！　くっ…！ 以蔵！ あああ…！ 武市先生…！ ＜この時 半平太は思い知ったはずぜよ。→ この牢におるかぎり→ 自分の手では　誰一人→ 救うことができんということを。→ そして　龍馬に→ とんでもない事件が 起こったがじゃ＞ ≪おい！　大変じゃ！ 亀弥太が…　亀弥太がおらん！→ 部屋にも どこっちゃあにも　おらんがじゃ！ どこに行ったか　分からんがかえ？ 分からん…。 …太郎！　太郎！ おまん 亀弥太と　同じ部屋じゃったの。 どこへ行ったがじゃ？ （陸奥）逃げ出したんと ちゃいますか？ 逃げ出した？！ 亀弥太は　逃げたりはせん！ ほんなら　どこへ行ったがじゃ？ どこへ行ったがじゃ！ …都へ　行ったがじゃ。 都？！ 長州藩士らが 何か　事を起こすらしいゆうて→ 夜中に出ていったき。 ええっ？！ 長州が　京都で何をするゆうがぜ！ 亀弥太も それに加わるつもりながかえ？！ ああ…。 …亀弥太を　連れ戻してくるき。 （惣之丞）龍馬！ 今から　都へ行くがですろうか？！ おまんらは 今日の訓練を　しっかり　やりよ！ （陸奥）何で　そこまでやるんですか 坂本さん！ 海軍よりも 攘夷派を選んだんやろ　あの人は。 そうだ！ わざわざ　坂本さんが 行かんでもよかろうもん。 いや…。 （長次郎）わしも　そう思いますき。 志の違う者を　無理に 引き止めることらないですろう。 そのとおりじゃ。 そうだ。 １人ぐらい　おらんでもよか。 なあ？ おう！ みんな　訓練の準備だ！ おう！ 亀弥太やち 考えた末のことやろう。 好きにさせちゃりや。 ≪今日は　外海に出るぞ！ お～！ （長次郎）出帆の準備は？ とうに　できてますわ。 …それは　違うぜよ！ わしらは…→ わしらは たった　２００人しかおらんがじゃ。 たったの２００人で→ この日本の海軍を 作ろうとしゆうがじゃ　わしらは！ アメリカ　フランス　エゲレス　オロシア。 異国は　日本が ばらばらになるがを　待ちゆう！ いつでも　日本を 乗っ取る準備ができちゅう！ けんど　そうはさせんと…→ そうはさせんと 心に決めた者らが→ この海軍操練所に 集まっちゅうがやろうが！ おらんでえいゆう仲間ら→ ここには　一人もおらん！ 蒸気船は　１人で動かすことは できんがじゃ！ 帆を張る者 索を引く者　かまを焚く者→ 風を見る者　海図を読む者→ 見張りをする者　旗を立てる者→ 飯を炊く者　壊れた所を直す者！ 誰一人…→ 誰一人　欠けたち 船を動かすことは　できんがぜよ！ わしらはの… わしらは　日本の海軍ゆう→ 大きい　大きい船を 動かそうとしゆうがじゃ！ 亀弥太はの まっすぐな　えい奴ぜよ。 あいつを 死なせるわけにはいかんき。 あいつを　連れ戻してくるき。 長州のお侍さんたちは　一体 何をしようとしたはるのやろ。 あんな　怖い顔して 出ていかはって…。 うちに来はる　お客さんは みんな　覚悟があるのや。 わしらは　黙って 宿を　お貸しするだけでええのや。 それは　分かってますけど…。 （足音） ごめんつかあさい！ ≪ごめんつかあさい！ お客さんや。 はい。　ごめんね　お龍ちゃん。 おいでやす。 土佐の　望月亀弥太はおらんかえ？ もしかしたら 名前を変えちゅうかもしれん。 背は　こればあで 顔は　いかつい顔をしちゅう。 おいでになりまへん。 この宿は　攘夷派の連中が 集まるがやろうが！ お客さんのことは 教えられしまへん！ 亀弥太を 死なせとうはないがじゃ！ 頼む！　亀弥太の… 亀弥太の居場所を教えてくれ！ 頼むき！ おやめやす　そんなこと…。 亀弥太は わしの大事な仲間ながやき！ 頼むき！　教えてくれや！ 頼む！　頼むき…！ そのお客さんなら→ 多分　三条小橋の池田屋さんに。 池田屋？ 今夜　攘夷派の人たちが そこに　お集まりやて→ 長州のお人が　言うたはりました。 三条小橋　池田屋…。 三条小橋…。 すまん！ ええか。　間もなく 桂　小五郎殿が　来られるけえ→ 詳しい話は　その時に。→ じゃけえ　今は 事のあらましだけ言うちょくぞ。 すまんの！　どいてくれや！ すまん！　すまん！ おいたちの使命は　この日本ば 異国の魔の手から守ることたい！ つまり　攘夷！ 幕府と薩摩に 取り込まれてしもうとる→ 帝を　お救いするんじゃ！ まず　この京の都に　火ば　つけ→ 御所にも　火ば　放ち 混乱の隙をついて→ 帝ば　救い出し奉る！ すまんの！　すまんの！ おいたちが　この日本国を あるべき姿に　戻すとたい！ わしらで…　わしらで お救いするんじゃ！ （足音） 桂さんじゃ！ （斬り合いの音） ♪♪～ あ…。 おまん　どういた？！ しっかりしいや！ おまん！　どういた？！ …亀弥太？！ 亀弥太…　何を…→ 何をしゆう？！ おまん…！ どういて…　おまん…！ なんちゅう…　なんちゅうこと…！ 逃げて…→ 逃げてきたがじゃ…。 しっかりしいや… しっかりしいや！ 今　医者を呼んでくるき！ 亀弥太…？！ わしは…　侍やき。 あんな奴らに→ とどめを刺されるがは→ 真っ平ぜよ…！ あんな奴ら…？ あんな奴ら…　あんな奴らち誰ぜ？！ 池田屋で…→ 池田屋で　何があったがじゃ？！ 龍馬…。 何ぜよ？ 何じゃ？　何じゃ　亀弥太！ おまんの…→ おまんの言うとおりに しちょったら…→ よかったかのぉ…。 えいき…　えいき…。 えいき…！ 目を開けや！ 目を開けや！　亀弥太！ いかん！　亀弥太！ 亀弥太！　目を閉じたらいかん！ 亀弥太！　目を開けや！ 後戻りは　いかんかったのぉ…。 亀弥太…。 亀弥太…！ おまん…！ どういて…　どういて…！ どういて…　どういて…。 ♪♪～ ♪♪～（小唄） ♪♪～ 誰が　こんな恐ろしいことを…！ 決まってますやろ！　新選組や！ 新選組…。 新選組…！ 新選組とは　何ぜ！ そいつらは… そいつらは　どこにおる？！ どこに　おるがぜ？！ 壬生村の八木邸で 屯所を構えております…。 どきや…　どいてくれ！ （龍）薩摩の人も　新選組も　大嫌い。 人の気持ちゆうがは→ 銭金とは　違うがぜよ。 以蔵が 死んでしもうてもえいがか！ 堂々と　ほんまのことを言いや 武市さん！ ほんまに　えい人やねぇ 弥太郎さんは。 気をつけておくれやす。 母上…！ （乙女）あの２人の絆は 途方ものう　強いがじゃき。 おまんの命を 無駄にはせんき。 ＜元治元年（１８６４年）→ 海軍操練所が設立され 龍馬たちも　神戸へ移ります。→ 勝　海舟が→ 神戸を選んだ　理由の一つは→ 当時　船たで場と呼ばれる 船を修復する施設が→ この地にあったからです＞ ＜昔は　回船問屋が数軒だけの 小さな港にすぎなかった　神戸＞ ＜海舟は 村の庄屋　生島四郎太夫に→ 「必ず にぎやかな場所になるから→ 土地を買っておいた方がいい」と 勧めたといいます。→ 海舟の予言どおり→ 神戸は　海外貿易が盛んになり 外国人居留地が造られ→ 大きな発展を 遂げることになります。→ 海舟や龍馬の尽力で設立された 海軍操練所が→ 現在の神戸の礎になったのです＞ ♪♪～

レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと.S01E03.JA

1 NETFLIX オリジナル作品 レモニー･スニケットの 世にも不幸なできごと レモニー･スニケットの 世にも不幸なできごと 見てはいけない 　　　　やめときな 見てはいけない 　　　　やめときな こんなの見るな 　　　　やめときな 見たら１日 　　気がめいるだけ どれも不幸な話ばかり だから見ちゃダメ 　　　やめときなって 今度の後見人は 　　　　爬虫(はちゅう)類学者 いい人だけど 　　　　謎だらけ 悪者の登場 　　恐怖と殺人 ここから先は 　　見ないほうがいい とにかく見ちゃダメ 　　　　　　やめときな ピンチと 　　恐怖しかありゃしない マジメな人なら 　　　　こう言うさ 見ないほうがいい 　　　　　やめときな 見てはダメだ 　　　やめときな 見たらおしまい 　　　　やめときな 見たらおしまい 　　　　やめときな 原作 レモニー･スニケット 見たらおしまい 　　　　やめときな 後悔するって 　　　やめときな 爬虫類の部屋にきた パート１ ベアトリスへ 君への愛は永遠だ でも君はもういない 悲しいよ　悲しいよ 今の声は “嘆きのクロコダイル” とても珍しいワニで 寂しい沼地に暮らしている 悲しいよ　悲しいよ 私はレモニー･スニケット ボードレール３姉弟妹(きょうだい)の 悲劇を調査している だが 諸君が 不幸につきあう必要はない 私が諸君の立場なら ３人に起こる恐怖の事件から 目を背けるだろう 不幸なできごとの始まりだ 新しい人生の始まりだ 君らを モンゴメリー博士に預ける ご両親の遺言に従って選んだ １番近い親戚だよ 例のコンサルタントを 信用したのは間違いだった 君たちの後見人に オラフ伯爵を勧めるなんて 私たちもそう思います 銀行員失格ね オラフ伯爵の追跡を 秘書は恐れてたが ここなら見つからないよ 見てごらん “ムカムカの道”の標識 ボードレール３姉弟妹は 思っていた オラフ伯爵との暮らしは “間違い”どころか “不幸”だったと しかもオラフ伯爵は 現在も逃走中 〝ムカムカの道〞 つまり まだ 警察に捕まっておらず その見込みもないということ 警察はオラフ伯爵など すぐに捕まえると言ってた そこだ そこだ 〝ムカムカの道〞 〝ムカムカの道〞 〝ムカムカの道〞 “ムカムカの道”は 世界一 不愉快な道だ 道沿いの果樹園には 強烈に すっぱいリンゴの木が植わり さらに西洋ワサビの 加工工場があるため ツンとするにおいが… 強烈だ　何のにおいです？ シ… ショウガだろう 着いた モンゴメリー博士は 僕らとどんな関係が？ 確か 博士は君らの父親の 従兄弟(いとこ)の奥さんの兄弟かな 会うのは初めてだろ なんで そんな人と暮らすの？ 行こう ヴァイオレット 何て呼べば？ おじでもないし… “モンゴメリー博士”でいい 姓も名もモンゴメリーだから つまりモンゴメリー･ モンゴメリー？ そうだ 気にしてるから嘲笑するなよ からかうなって意味 分かってます まだショウガのにおいが まともな人だといいけど これはこれは… ボードレール家の３姉弟妹だね いい時に来たな ココナツケーキが できたところだ フォークを取って さあ はじめまして モンティと呼んで 肩書で得するのは 映画の割引だけ 映画は好き？ はい あまり見たことないけど これからは たくさん見よう とても重要で すばらしい作品をね 好きな映画は？ 1938年の「突撃爆撃隊」 君のパパも好きだったな 立ってないで入って さあ 入りなさい 君が発明好きの ヴァイオレットだね 君は本が大好きなクラウス 好奇心が旺盛な子たちだと ママが自慢してた そして君が末っ子のサニー ケーキをどうぞ かたい食べ物が 妹は好きなんです 赤ん坊にしては珍しい そういうヘビならいるが それなら 生のニンジンはどうかな？ おいしそう ひと切れ ケーキが余ったぞ そうだ 私が食べよう 冗談ですよ ミスター･ポー どうぞ召し上がって 私は銀行に戻らないと ココナツの味は口に残る 困ったことがあれば私に… あなたの出番はないよ 私が引き取った以上 快適で幸せな暮らしをさせる ケーキを作るように 愛情を注いでね まだ財産は使えない 失礼だぞ でも事実です 財産になど興味はないよ 爬虫類学協会から 給料を得てる でも科学者として クラウスを褒めたい つらい経験で慎重になってる 嫌な事件でしたが オラフ伯爵なら心配ない 怖がらせてすまん “うるさいイグアナ時計”だ 本物のイグアナは怖いがね 失礼します そうしたまえ さよなら 消えて お元気で 困ったことがあれば 取り立て金の運用銀行に… 冷たい態度だったと 思うかい？ 何というか しゃくに障ってね そもそも彼が オラフ伯爵に預けたせいで 君たちがひどい目に だが もう心配ない 両親の望みどおり ここで安全に暮らせる そうですね 博士 モンティだ モンティ “モンティおじさん”と 呼んでくれ 両親は あなたのことを何も… 言ってない？ はい モンゴメリー博士だぞ 有名な科学者 知らない 爬虫類学者だ 驚いたな おいで 君らの両親とは一緒に育った なのに知らされてないとは 仲が良かったんだ 写真もある 誰も写ってない ピアノの中にいる 閉じ込められてね ちゃんと自己紹介しないとな “爬虫類学”は分かる？ “学”は“学問”だから… ヘビだよ 私はヘビの研究をしてる 世界中をめぐり あらゆるヘビを探してるんだ そこの皿は洗わんでいい 助手にやらせる おい グスタフ しまった どうしたの？ すっかり忘れてた グスタフは私の助手だが 昨日の朝 置き手紙を残し 出ていった ビックリだよ でも問題ない ボードレール家の かわいいバンビーニたちが 研究の手伝いを “バンビーニ”？ イタリア語で“子供たち”さ 君たちに会って興奮して つい口走った 見せたいものが 世界の歴史上 最も貴重な 科学コレクションの１つ 爬虫類学のスパイたちは― この部屋を見るためなら ヘビだって食うだろう ドアには 最新の防犯システムを施した 入るには 19のカギと３つのダイヤル錠 指紋と網膜認証が必要だ だが信頼できる仲間なら こうして… ドアノブを回すだけ こうだ ここが爬虫類の部屋だ 好きに見てくれ ほら トカゲの翼だ “翼が生えてるトカゲ”だよ 腹の黄色い しま模様が見えるか おびえると色が変わる 飛べるの？ 合図すればね 飛べ！ そしてこれ “不協和音ガメ”だ ソニック･ユースと スクリャービンがお気に入り 見てくれ 最近 発見したんだ まさにモンゴメリー･ 爬虫類コレクションの目玉 旅先で見つけて こっそり連れてきた 来月 爬虫類学協会の会議で 私の新発見として こいつを披露するつもりだ 私が発見したから 名前をつけてやった 何て名前？ “噛(か)まれたらオダブツ” 諸君にも勧めておこう ボードレール家の悲劇に 打ちのめされた時は― 休憩して落ち着くことだ １杯の紅茶や もっと強い飲み物でね 私は話の続きを知ってる サニーは無事であることも 一方でモンゴメリー博士が 死ぬことも とはいえ まだ先の話だ 乾杯 助けなきゃ ヘビをどけて 妹が噛まれて死んじゃう だから 信用しちゃダメだって… 本当にごめんよ みんな 許してくれ こいつは 毒ヘビなんかじゃない 人なつこくて 無害な生き物なんだ 君らを傷つけたりはしない 噛まれたらオダブツなのに？ いわゆる“誤称”さ 分かるか？ “誤った呼び名”？ そのとおりだよ なぜヘビに誤称を？ 協会の連中を からかってやるのさ あいつら ずっと 私の名前をネタにして さんざん笑ってきたんだ “どうも モンゴメリー･ モンゴメリーさん”と だから次の会議で 噛まれたらオダブツを紹介し 逃がしたフリをする 慌てる連中を見て笑うんだ この部屋には危険なヘビも？ もちろんいる 危険なヘビのことも 研究しなければね あっちの戸棚には 人を襲う猛毒のヘビがいるよ 男女問わず襲うヘビが さて 次は 作戦本部に案内しよう さあ バンビーニ ここが爬虫類の部屋で 最も重要な場所だ 科学図書室 ページをめくれば ヘビの秘密がすべて分かる 見つけてごらん 全部 読んでいいの？ いいも何も ぜひとも読んでくれ 私はいつか結婚して 家庭を持ちたかった だが あっという間に こんな年齢になってしまった いいかい 君たちは 一部の危険な毒ヘビを見て 爬虫類は全部 危ないと思ってる だが 深く研究してみれば… 爬虫類は ちっとも 危険じゃないと分かるはずだ この部屋で 君らを 危険にさらすことはない ボードレール家の物語には しばしば こうした “劇的皮肉”が登場する 発言した本人は 気づいていないが 聞く側は悲劇的な結末を 予感する 例えば 私が “クッキー食べたい”と言い それが毒入りだと 周囲が知っている状況を指す 同様に モンティが こう言ったなら… “君らを 危険にさらすことはない” 我々は悲劇的な結末を 覚悟すべきなのだ 悲しいよ 悲しいよ 大丈夫よ　博士はすぐ戻る 言葉は通じないよ それは嘆きのクロコダイルの 求愛の鳴き声なんだ 分かってるけど ついね ワニは外に戻ればいいのに 悲しいよ 悲しい？ 親を亡くした僕たちよりも？ 言葉は通じないんでしょ 分かってるさ ごめん 気持ちは分かる 私もパパとママが恋しいけど 博士はいい人だし 両親も安心してるかも そうかな パパたちから 博士の話を聞いたことはない 何でも話してくれてると 思ってたのに 何か事情があったのよ “塩からビーチ”に 行かされたのも？ 最悪の事情があるかも バンビーニ どこにいる？ ここか 何してた カメの甲羅磨きと餌やりを イグアナの爪切りも 散らかった それは助かった 出かけるから “ふた首コブラ”と遊んでて どこへ？ 町でいろいろ 買いだめしてくる ハチよけ 桃の缶詰 耐火性のカヌーも 夜には映画に行こう 楽しいぞ 何を見る？ 行くまで分からん 上映作品を告知しない 映画館が？ クラウス これから― 知らないことに たくさん出会うだろう 人生は “深遠なる難問”なのだ 行くぞ ディトマーズ おいで　お散歩に行こう さあ 出発だ じゃあな ほら 歩いて “深遠なる難問”って？ “深遠”は “奥深い”って意味で “難問”は “難しい謎”ってことだよ これを見て 博士の庭の設計図だ 生け垣が迷路に 見下ろすと… これって… オラフの足首にあった 入れ墨に似てる 悪人の証拠だ 博士がオラフの仲間だと？ ありえない 人は見かけによらない とにかく怪しいよ パパたちの思い出話の中に 博士が登場しないのはなぜ？ 出ちゃダメ おはよう 私はステファーノ 博士の新しい助手です もう午後だ オラフ伯爵だろ 荷物を部屋まで 運んでください ひどいにおいの道を 通ってきて― ステファーノはクタクタです あなたには “ムカムカの道”がお似合い 荷物は運ばないし 家にも入れない 相変わらずのようだな 姉は強情で意地っ張り 弟は本ばかり読んで ダサい眼鏡をかけてる そっちの赤ん坊は 足の指が９本しかない ヤバい！ 妹の指は10本ある みんなと同じだ 本当に？ おかしいな 事故で１本 失ったはず ステファーノって男が オラフ伯爵と呼ばれて混乱し うっかり ナイフを落としたんだ 赤ん坊の足の上にな そうはさせない 俺がやるかどうかの議論は さておき― お前たち３人の 不幸な両親の話をしよう 父親も母親も とても勇気があったが… 火事で燃えちまった ピアノの写真だ 中にいるんだよ なぜそれを？ 俺が撮ったから あいつらが死に 莫大(ばくだい)な財産が残された それはすべて俺のものになる 違う さっさとしないと お前らの マヌケな おじが帰って… 逃げろ 不気味なドアだな 子供たち いるんだろ プレゼントをやろう 切れ味 抜群だ なぜここが？ それより どうする？ 窓から逃げて町へ行き 列車に乗ろう 列車でどこへ？ どこでもいい どこへ逃げても見つかる 開けるんだ ここにいたら殺される 財産を横取りするまで 手は出せないはず 何をたくらんでるのかしら 入れなきゃよかった 後悔しても遅い オラフの侵入を許したことを ３人は後に激しく悔やんだ 家に入れなければ 博士を救えたのにと 帰ってきた おじさんも オラフの変装に気づくよね 非常識で長ったらしい 説明だったね 恐縮です つまり君は 助手として派遣されたと “ストレスすっきり ステキな住まい協会”から？ そうです 略して“スー協会”から “スー”？ 違います 違う　よく聞いて なるほど そうです 名前はステファーノ？ 何て？ そのとおりです ではＩＤを見せて はい 〝ステファーノ〞 〝ステファーノ〞 なるほど 〝オラフ伯爵 役者〞 〝オラフ伯爵 役者〞 問題ないね 本当？ ああ ようこそ さあ 中へ どうぞ入って 我が家へようこそ その… ステファーノだ ２階の部屋を使え 狭いけど うちには 子供が３人いるんでね じきに片づくし大丈夫です そうか ２階の部屋でくつろいだら？ 私は３人を捜すよ 君の話によると― 君がナイフで追い回したから 爬虫類の部屋に隠れてる 誤解があってね 説明して安心させておく そのカバンはワニ革？ ワニが大好きなんです 子供たち 本当にモンゴメリー博士？ そうだよ これから 厳重な防犯システムを解除し 爬虫類の部屋に入るからな 網膜認証 その１ 網膜認証 その２ すまなかったね 急に知らない男が現れて 驚いただろう しかもナイフを持って 追ってきたら 怖くなって逃げるのも当然だ でも安心しろ 新しい助手のステファーノだ ＩＤを確認したが 何も問題はなかった だから大丈夫 心配はいらないよ そう… 分かりました 僕ら バカみたいに 怖がっちゃって そうだとも ステファーノが言うには 訓練をしてたらしい ナイフを振り回し― 階段を上り下りするのが 彼の日課だそうだ これで納得できただろ？ 一緒に訓練すればよかった 笑わせるなよ 誤解も解けたことだし 庭に出て 荷物を降ろすのを 手伝ってくれ 〝モンティ〞 〝モンティ〞 必要なものは すべて買った 夕食も多めにある ステファーノの分もな 急いでカヌーを降ろそう 映画に遅れる いいぞ こんなに早く敵が現れるとは 思わなかった でも 今は 逃げるわけにいかん あいつの正体を？ すぐに気づいたさ 私はすぐにダマされる バカな銀行員や判事とは違う 白衣姿で偽造ＩＤを見せても 正体はバレバレさ ヤツが助手なら 私はブラジル脱毛ガメか？ どうします？ 警察を呼ぶ？ 今の笑えない？ ハハッ！ ヤギ食いコブラの探索で 山奥にいる時― 警察に連絡するか？ ミスター･ポーや消防に 連絡したところで― 到着する前に 我々はニセ助手に殺される 知ってのとおり ステファーノには仲間がいる ステファーノから目を離すな 夕食の席で ヤツを映画に誘うから タカのように しっかり見張るんだ それだけでいいの？ 今のところはな 用心が肝心 油断は禁物だ つまり “気をつけろ”って意味 意味は分かります よし いいか 決して敵に弱みを見せるな それから… モンゴメリー博士 これは失礼 手が滑って 読書ランプを 落としてしまったら― たまたま 下に博士が 大丈夫だ よくあることだから すみません ケガもないし 客間の家具の配置なら 完璧に把握してる 窓際に読書ランプはない わざとだわ 博士を殺そうとしたのよ 警察に通報したほうがいい 任せてくれ 私は爬虫類学だけでなく 犯罪学にも詳しいんだ ドジを踏んだりしない 映画に遅れないよう 急いで食べて 私は留守番して 「ヘビの毒」を読みたい ヤバい 一緒に来てくれ 君の歓迎会だ 映画よりテレビのほうが 好きなんです 家で楽しめるほうが 都合がいいし いいから来たまえ いいから家にいたまえ 先に言った者勝ちだ 大声で言った者勝ちだ 申し訳ないが よく知らない人に 私のヘビたちを預けたくない 分かりました では 行く前に 電話をさせてください いいとも 電話なら あっちに ギョーザを取って もうないよ ムカつく いいか 映画館に来い 映画を上映する場所だ 家にいたほうが好都合なのは 分かってるさ 助手席がいい どうも 急いで さあ 予告編が見たいんだ その前のＣＭも だっこして　そうだ 何をする気なの 僕たちに手を出せば 財産は奪えない お前らを始末するつもりなら 今頃 ここは血の海だ 髪の毛１本 傷つける気はないさ 故意にはな だが 事故は しょっちゅう起こるものだ そうだろ？ だから言ってやったんだ “史上最高の爬虫類は カエルだ”ってね カエルは両生類だ どこで爬虫類学を学んだ？ “ハチが虫類”なんて 知りませんよ この曲 大好き！ “上映中「雪山のゾンビ」” うちの主人が よく言ってたわ 映画は最高だって 私はもっと楽しみたいの きっと毎日 退屈してるせいね 楽しんでいってください モンゴメリー博士 やあ どうも 大人２枚と子供３枚だ 博士には 特別割引のチケットを うれしいね ポップコーンは 自分へのご褒美よ 退屈な毎日に 耐えてるんですもの ポップコーンを 食べたくなった 皆さんにも おごりますよ 先に行って 席を取って 行こう さっさと行って ７列目の真ん中が ベストな席だ ママもそう言ってた ママに教わったんだ 君らと映画を見られるなんて 本当にうれしい パパとママも 誇りに思うはずだ たかが映画で？ 映画は 見るだけのものじゃない 例えば 本には ヘビの秘密が書かれてるが 涼みたい時は 冷蔵庫の扉の押さえにもなる 何それ？ “あなたの話には ついていけない”って 教えてやらんとな だが今夜は あの男のせいで そんな暇はない 約束してくれ 私が映画の途中で 席を立っても 知らん顔を ただヤツを しっかり見張っていてくれ ポップコーンですよ これは私ので こっちを皆さんで分けて 君は気前がいいな ステファーノ 誰だって？ 俺の名前は… ステファーノですよ “駄作会社配給 制作 グスタフ” グスタフか あとで説明する 「雪山のゾンビ」 〝字幕〞 〝字幕〞 “字幕”だって？ つまんなそう “字幕”だって？ つまんなそう 〝字幕 ジャクリーン 規定２２６４〞 “２ ２ ６…” “４” 伝統は大事よ ロルフ 外国語じゃないのに なぜ字幕が？ 名作には字幕がつくものだ 説明になってない 静かに 気が散るでしょ ダメ！ 良心はどこへ？ クラウス あの女優 見たことある？ こんな映画自体が初めてだ 歌おう 足を食うぞ 頭を食うぞ 頭を食うぞ 〝やあ モンティ〞 〝やあ モンティ〞 〝やあ モンティ〞 お前はおやつ ゾンビのおやつ “やあ モンティ” 柵を壊して 入ってくるぞ 君は子供たちを 守るんだ 君は子供たちを 守るんだ 〝危険だ 子供たちを連れて…〞 “危険だ 子供たちを連れて…” 急いで隠れ家へ 泣かないで 愛する人 これで お別れじゃない 死なせるもんですか スカーフを 巻いてあげる スカーフを 巻いてあげる 〝プロスペロ号に乗れ〞 〝プロスペロ号に乗れ〞 また買ってこなきゃ お母様のチュチュも こっちかな いや あっちだ こっち？ あっちだよ こっちはダメ？ あっちだって こっちじゃなくて あっち あなたの肘(ひじ)があっちを… 座って 映画が見えないでしょ すみませんね 山場を見逃したかな 〈ポップコーンを〉 バター味？ 塩味？ すまんな 急に呼び出したのは ほかでもない 例の“ハチが虫類”学者が コレクションの盗難を恐れ 厳重に警戒してる そこでモンティ誘拐作戦の 場所を変更する ヤツの家ではなく この映画館にな 映画の最中に 例の男が例の件を伝えてた 聞いてる？ つまり… メッセージを送ってて… もういい 作戦を実行する 伝達事項は？ ヒゲがお似合いで 分かってる 俺はゾンビだ 何か見逃したかな まだ歌か 悪いが ちょっと失礼するよ トイレに すまんが 私が戻るまで 子供たちを頼む 待って 僕らを置いてくの？ 大人がついてなきゃ 座って 見えないったら 「雪山のゾンビ」 今日の映画は怖いね ママが言ってた 劇場で男を捕まえろと 楽しいお祭りが台なしに 許せないわ 雪だまりから ゾンビの大群が どういうこと？ お母様のチュチュも これ さっき見たわ これ さっき見たわ 〝ペルーへ〞 〝ペルーへ〞 雪だまりで眠って 雪の中に埋めるわ “ペルーへ” 頼みがある マズい状況でね ペルー行きのチケットが ４枚 必要なんだ チケット売り場へ 何だって発券できますよ “プロスペロ号 ペルー行き” 祈っててくれ 幸運を モンゴメリー博士 １･２… 　 チカチカ･ブンブン ３人はオラフ伯爵を 見張っており― 背後で起きた事件に 気づかなかった さらに大きな事件が 起きていることも知らない 狭くて 脱出するのに苦労したわね 歩ける？ もちろん 早く子供たちに会いたい どこに続いてるの？ 気圧や風から察するに カナダのウィニペグかな ペルーよ 言っただろ ウィニペグの南だ “終わり” ひどい終わり方だ みんな食われちまえば よかったのに 博士が戻ってこない モンティ 後見人がいなくなったのか？ 困ったもんだ ひどい話だ かわいそうな子供たち これからどうする？ 家に帰るのさ いたのね おかえり 疲れたかい 明日は忙しくなるぞ 映画は楽しめた？ 変な話でした あとでじっくり説明しよう 車に戻ってろ 私はステファーノと話をする 大丈夫？ もちろんだ 後見人である以上― 君たちの安全を守るのも 私の役目だからね さあ 行って アリヴェ… またね いきなり押しかけてきて でまかせを言って 私をダマせたとでも？ 恥知らずな男だ 三流役者め ステファーノだったよな 本名は知らんが 知らないって？ 名前など知る必要もない だってお前はスパイだから 爬虫類学協会が送ったな 何だって？ ２人の話 聞こえる？ 悪だくみを 暴いてくれるかな？ お前の負けだ ステファーノ 降参します モンゴメリー･モンゴメリー おっしゃるとおり 私はスパイです バレていたとは お見通しさ うせろ お前も 白塗りの２人もだ さっさと消えろ！ 恥ずかしくて 顔も上げられんか 強かった 女じゃ勝てない そうかい もうあいつに追い回される 心配はないぞ それって… 対決して追い払ってやった あとは警察に任せよう 駐車場に置き去りにして 平気かな？ 優秀なチケット係が 見張ってる それに たとえ逃げても… どうなる？ 心配は無用だ これから我々は 遠くへ行くんだから 研究室にこもって 過ごしはしない みんなでペルーに行くんだ ペルー？ 自然が豊かで ヘビもたくさんいる そこで“答え”を 教えてやろう あの映画について 質問があるだろ 私も子供の頃 親にいろいろ尋ねたものだ チンボテで船を降りたら 君らの疑問に答えよう どうする　一緒に行くか？ 行くよ 缶詰とカヌーを 買ってよかった すぐにでも出発できるからな 人生は “深遠なる難問”だから？ そうだよ クラウス よく言った そこからインカの遺跡へ 〝ペルー〞 足が５本あるヤモリを 探すんだ 足が５本あるヤモリを 探すんだ 発見すれば命名権が すごい そうだろ？ 両親を亡くして さぞ つらかったろう だが 君たちの人生は これからだ さあ もう寝る時間だぞ 明日は荷造りして 船に乗るんだ サニー マシュマロを 全部 食べたな おいしかった 妹は… 何を言ったか分かる やわらかい食べ物も 気に入ったんだな じゃあ 明日 おやすみ バンビーニ おやすみなさい 〈おやすみ〉 おやすみ モンティ いい夢を 明日はペルーだ イグアナ時計が鳴るのは これが最後 “劇的皮肉”が起きるからだ 博士は３人を 危険にさらさないと約束した だが 博士自身に 危険が迫っているようだ 日本語字幕　各務 くみ子

美丘～君がいた日々～＃10

1 （看護師）　救急カート入ります。 （峰岸佳織）　太一君！　美丘が…。 （橋本太一）　美丘！ 先生…。 （高梨）　大変　危険な状態です。 （高梨）　アンビュー。 （看護師）　アンビューです。 （看護師）　開始します。 （高梨）　５アンマ。 （心電計のアラーム） （足音） 先生　美丘は…？ 自律神経機能の障がいにより 心肺機能が抑制され→ 血圧と脈拍が急激に下がりました。 引き続き　予断を許さない状況が 続いています。 いつ呼吸状態が悪化するかも 分かりません。 最悪の事態も　覚悟してください。 ♪♪～ ♪♪～ 美丘。 ♪♪～ 美丘！ ♪♪～ 美丘？　分かる？ おかあさん　ここにいるわよ。 美丘？ （峰岸　始）　美丘。 ねぇ　美丘　おかあさんよ おかあさんのこと　分かんないの？ ねぇ　美丘！ 佳織→ まだ　目が覚めた ばかりだからだよ　きっと。 先生に知らせて来る。 ♪♪～ 恐らく　脳の血流障がいによって 意識が混濁しているんでしょう。 大脳萎縮による　認知機能の 低下も　あるかもしれません。 認知機能？ それは元に戻るんでしょうか？ 何とも　いえません。 じゃあ　美丘は 私達のことも分からないまま？ その可能性も　あると思います。 先生　私達　これから　夜も 付き添ってもいいでしょうか？ え？ いつ　美丘が 目覚めてもいいように→ ずっと　側にいてやりたいんです。 あっ　僕も　そうさせてください。 じゃあ　３人で 交代で付き添います。 分かりました　皆さんに 負担のない範囲で　お願いします。 太一君　ありがとう 今日は　疲れただろ。 いえ…。 そうね→ 今日は　もう帰って休んで。 美丘　太一君　また明日 来てくれるからな。 また明日。 ＜美丘…＞ ＜君の意識が 閉ざされてからの毎日は→ 出口のない迷路に 入り込んでしまったようだった＞ 気持いい？ おはようございます。 ＜来る日も来る日も 僕は病室に行き…＞ 美丘　おはよう。 ＜できる限り　君の側にいた＞ 邦彦は いつも　バカばっか　やってて…。 ＜君は目を覚ましていても→ 心は　どこかに 行ってしまったままだったね＞ ＜僕は思いつくままに いろいろな話をしたけど→ 君には　どんなふうに 聞こえたんだろう＞ 美丘　どうだ？ うん。 美丘。 ＜輝きを失った瞳の奥で→ 君は何を見ていたのだろう＞ おやすみ　美丘。 ＜君の眠る顔は 穏やかで美しかった＞ ＜でも　僕は その寝顔を見るのが怖かった＞ ＜君が二度と 目を開かないような気がして→ 怖かったんだ＞ ♪♪～ （邦彦） そっか…　じゃあ　美丘ちゃん→ 毎日　目が離せない感じなんだ？ ああ。 （洋次）　もう１週間か…　大変だな。 （麻理）　美丘さん そんなに悪くなってるんだ。 （直美）　かわいそう…。 じゃあさ また　みんなで見舞い行こうぜ。 パ～っと笑顔でさ　なっ。 そうしよう。 あっ　ダメなんだ。 その…→ 来てもらっても…→ 美丘　もう　みんなのこと 分からないんだ。 分からないって…。 もしかして 美丘さん　太一君のことも？ 今の美丘は→ もう　みんなの知ってる 美丘じゃないんだ。 そんな姿　見せるの辛いよ。 ♪♪～ 美丘　今日　おかあさん 果物　買って来たのよ。 ナシに　ブドウに　柿でしょ フフフっ。 美丘　子供の頃　おばあちゃん家で 柿　食べたら　渋柿で→ すっごい渋い顔してたね。 ん？ あっ　太一君。 ダメね　私。 美丘の前では　明るく 笑顔でいようって決めたのに…。 だって　私が泣いてたら あの子　自分の病気が→ すごく悪いんじゃないかって 思うでしょ？ だから　もう泣くのは　やめたの。 そうですよね。 僕も頑張ります。 美丘の前で いつも笑顔でいられるように。 太一君…→ ごめんなさいね。 えっ？ 私　あなたに 「美丘に会わないでほしい」とか→ 「あなたのせいで 病気が悪くなった」とか→ ひどいこと　たくさん　いって…。 ずっと謝りたかったの。 そんなこと　何でもありません。 だって　おかあさんに 許してもらえたから→ 僕は今　ここにいられるんです。 ありがとう。 美丘は　あんな病気に なってしまったけど→ 心から人を愛して　愛されて→ その気持を ちゃんと味わうことができた。 フフっ そんな幸せなことないと思うわ。 そう思えることが 今の私の唯一の救いなの。 ♪♪～ 美丘　今日も 気持いい日になりそうだよ。 よし。 ♪♪～ 美丘？ （峰岸美丘）　太一君…。 太一君。 美丘…　分かるの？ 俺が　分かるの？ 美丘　ホントに分かるんだね。 分かるよ。 当たり前じゃない。 美丘！ ♪♪～ 自分の名前は　分かる？ 峰岸美丘。 うん　ここは　どこかな？ 病院。 （高梨）　うん。 今日は　とっても 気分が　よさそうだね。 バイタルは　４時間置きにして 酸素は　外していいよ。 （原田）　はい　分かりました。 美丘さんは　意識が完全に戻った。 あの　美丘と話してもいいですか？ ああ いっぱい話してあげるといい。 はい。 美丘　よかったね。 俺　美丘に話したいことが いっぱいあってさ。 何から話そうかな。 あっ！ そうだ　ビッグニュースがある。 なんと 邦と直美が　付き合い始めた。 やっぱり。 分かってたんだ？ 相変わらず　美丘は勘がいいな。 まぁね。 美丘。 ん？ 俺　嬉しいよ。 もう　何ていっていいか 分かんないぐらい　嬉しいよ。 太一君。 ん？ ずっと側にいてくれて→ ありがとう。 美丘。 美丘！　ハァ　ハァ…。 美丘？ 美丘　分かるか？ お母さん。 わぁ！ お父さん。 うん　うん！ そうよ　美丘！ おとうさんと　おかあさんよ！ まぁ！ （峰岸）　ハハハ…！ （峰岸）　あっ　おとうさんさ→ ここに泊まり込んで 会社に行く時に　スーツ着て→ スリッパ履いて 行こうとしちゃったんだよ。 そうなの　おかあさんも 全然　気づかなくて→ 慌ててね　戻って来たのよ。 いやぁ　参ったよ　ハハハ…！ 飲み物　買って来ました。 あぁ　ありがとう。 今日は　にぎやかで楽しいわね 美丘。 うん。 太一君。 ん？ 空が見たいな。 屋上に行きたい。 うん。 何かあったら連絡ください。 はい。 美丘　着いたよ　屋上だよ。 （高梨の声）　現在の美丘さんは 意識も回復し→ 血圧や呼吸状態も 落ち着いています。 ですが…　今の状況は 一時的なものでしょう。 一時的なもの？ 画像では　著しい 大脳萎縮の進行が認められます。 医学的な意見ではありませんが→ 美丘さんの意識と記憶は 今にも消えそうな糸によって→ つながっているような 状態なのだと思います。 そうですか…。 本当に　美丘さんの強さには 驚かされます。 あの小さな体の…→ どこから　そんな生命力が わき上がって来るのか…。 考えてみたら　私も…→ 美丘の強さに 救われていたのかもしれないな。 あなた。 あの子の病気が分かってから→ 「何とか　自分が 家族を支えなければ」なんて→ 柄にもなく 気を張って来たんですが→ 恥ずかしながら 全然　余裕のない状態でした。 そんな　ギリギリの私を 支えてくれたのは→ 美丘の笑顔だったんです。 まったく　どうしようもない わがまま娘ですが→ あの子の明るさには 何度　救われたか分かりません。 そうね。 僕も正直 美丘さんには手を焼きました。 医師の　言うことは聞かない 検査の日には来ない。 誰が何といおうと 自分のしたいことはする。 こんな患者さん　初めてでした。 でも　そんな美丘さんだからこそ→ 僕は　あらためて 教わったのかもしれません。 「人が生きて行く」ということは 本当に素晴らしいことだと。 気持いい。 風…。 ん？ 風…　感じる。 ♪♪～ ホントだ。 風が吹いてる。 生きてるって…　感じする。 うん。 俺も　生きてるって感じする。 ♪♪～ ♪♪～ 太一君。 ♪♪～ ん？ ♪♪～ ♪♪～ キスしたい。 ♪♪～ 愛してる。 愛してるよ　美丘。 太一君に　会えて　よかった。 俺も　美丘に会えてよかった。 ずっと…　ずっと一緒だよ。 ありがとう。 ♪♪～ 美丘　とっても楽しかったみたい。 そんな時間が持てたのも→ あなたが　いてくれたからね。 僕も楽しかったです。 じゃあ　失礼します。 ♪♪～ 太一君！ 美丘が目を覚まして 太一君のこと呼んでるの。 はい。 美丘。 太一君。 あっ　それ…。 えっ？ それ。 これ？ 持って帰って。 どうして？ どうしても。 うん。 分かった。 太一君…。 ん？ また明日。 うん…　明日。 ♪♪～ よかった。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　あ～　あ～。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　これで ちゃんと　録れてるかな？ [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君　聞こえてますか？ [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君に　伝えたいこと いっぱいあるんだけど→ 私には　時間がないみたい。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　だから　太一君のことを→ 忘れてしまう前に→ 大切な思い出が 消えてしまう前に→ 今から　ここに吹き込むね。 あっ…　すいません。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君と初めて会ったのは→ 学校の屋上だったね。 ((ハァ…　ハァ…　ハァ…)) ((や…　やめろ！)) ((ダメだって！)) ((うわ～!!)) ((フフフ…　バッカみたい)) ((私が　自殺なんかするように 見える？)) ((死ぬ気もないんだったら→ どうして 手すりなんか越えたの？)) ((不思議だと思わない？)) ((手すりひとつ 越えちゃうだけで→ 世界が変わっちゃうんだよ)) ((世界が　変わる…)) [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君　ホントはね あの日　屋上で→ 私　このまま死んじゃおっかな って思ってたんだ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　どうせ短い自分の命なんて→ どうでもいいやって思ってた。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　でも　太一君が　あの手すりを 越えて来てくれたから→ その手で　つかまえてくれたから→ あの　空に一番近い場所で→ 太一君は 私の天使になったんだよ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　そして　いつの間にか 太一君という存在が→ 私の中で　大っきくなって→ 掛け替えのないものに なって行った。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　この人がいるなら→ 生きているのも 悪くないかなって思えた。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　だから　私は　あなたと→ 最後の恋をしようって決めたんだ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君が　初めて　私のこと→ 「好き」って いってくれた日のことは→ 今でも覚えてるよ。 ((私のことなんか ほっといてって)) ((ほっとけないよ ほっとけるわけないだろ！)) ((何でよ　太一君には 麻理ちゃんがいるでしょ？)) ((俺は…→ 美丘が好きなんだ)) [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君　ごめんね。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　「好きだ」って　いってくれて 嬉しくて嬉しくて→ どうにか なっちゃいそうだったんだ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　「私も太一君のことが好き」。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　そう　いいたかったけど できなかった。 ((私　死んじゃうんだ)) ((多分　もう　そんなに長くは 生きられないの)) ((ウソだろ？)) ((さよなら…　太一君)) [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君も　私も きっと辛い思いをする。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　やっぱり　恋なんて しちゃいけないんだって思った。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　私には　幸せな未来なんか 見えなかったんだ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　それから いくつもの壁を乗り越えて→ 太一君は　私を 迎えに来てくれたんだよね。 ((たった１つだけ 決めたことがあるんだ)) ((俺は　逃げない)) ((絶対　独りぼっちになんか しないから)) ((本当？)) ((私が　太一君を 置いてっちゃっても？)) ((俺は　美丘が　「もういい」って いっても　ずっと側にいる)) [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君　ありがとう。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　あの時　太一君の腕の強さを 全身で感じながら→ 私は　息が止まりそうなくらい→ 幸せだったんだよ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君と ２人で過ごした時間は→ ホントに楽しかったなぁ。 ((太一君！)) [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　私達　いつも笑ってたよね。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　でも　病気は 待ってくれなかった。 ((あれ？　学校どっちだっけ？)) ((助けて…)) ((美丘？)) ((太一君…)) ((どうした？)) ((また明日…　会えるよね？)) ((当たり前だよ　会えるよ)) [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　不安で 心が押しつぶされそうだった。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　だから　太一君が お父さんと　お母さんに→ 会いに来てくれた時は 本当に嬉しかったんだよ。 ((おとうさんと　おかあさんに 美丘さんと付き合うことを→ ちゃんと認めてほしいんです)) ((私からも　お願い！)) ((美丘！　おかあさん あなたのために　いってんの！)) ((こんなに　お願いしてんのに→ それでも許してくれないん だったら　私　この家　出る)) ((家　出るって　どういうこと？)) ((この家　出て 太一君と一緒に暮らすの)) [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　私は　自分のことばっかり 考えてた。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　それなのに　お母さんは そんな私の幸せを→ 一番に考えてくれたんだよね。 ((２人が一緒に暮らすことを→ 許してやるわけには いかないですか？)) ((お願いします)) [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　あの時ね　初めて思ったんだ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　私は　独りで 生まれて来たんじゃ　ない。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　家族や　たくさんの人に 支えられて→ 今　ここに 生かされているんだって。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君　短い間だったけど→ 私と一緒に暮らしてくれて ありがとう。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　こんな私を 全部　受け入れてくれて→ ありがとう。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君が　私にくれたのは→ どんな嵐にも揺らがないくらい→ 強い愛だったんだよね。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　私は　残された命を→ 最後まで　精いっぱい生きて行く。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君の隣で　笑顔で→ 胸を張って　生きて行くんだ。 （泣き声） 美丘…。 あっ　起こしちゃった？ フフフ…。 お母さん…。 ん？ お母さん　笑ってる。 大好き→ お母さんの笑った顔。 泣かないで。 お母さん…。 何？ ん？ 私が　いなくなっても→ 泣かないでね。 美丘　ダメ　そんなこといっちゃ。 フフ…　泣かないわよ　おかあさん。 だから　美丘は そんなこと考えなくていいの。 フフフ…。 お母さん…。 何？ 産んでくれて　ありがとう。 私ね→ 生まれて来て　よかったよ。 おかあさんも　同じ気持よ。 ありがとう　美丘。 生まれて来てくれて　ありがとう。 あっ　おかあさん　おとうさんに 電話するの忘れてた。 ちょっと行って来るね。 ♪♪～ ♪♪～ はぁ…。 ♪♪～ ♪♪～ ありがとう…。 ♪♪～ ♪♪～ （泣き声） （原田）　峰岸さん　美丘さんが！ [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君？ [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　私には 太一君の未来が見えるよ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　今より　ちょっと 大人っぽくなった　太一君が→ 自分のやりたいことを見つけて→ 生き生きと仕事をしてるの。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　それで　いつか 好きな人と出会って→ 結婚して→ 子供が生まれて→ 愛する家族と→ 幸せな家庭を築いて行くの。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　それが　太一君の未来。 [TEL]（着信音） [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君　ごめんね→ ずっと一緒にいられなくて。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　でも　太一君は　生きてね。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　私の分まで 生きて　生きて　生きて。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　行ったことのない場所に 行って→ 見たことのないものを いっぱい見て→ それを私に　全部　教えてね。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　ありがとう　太一君。 ハァ…　ハァ…。 ハァ…　ハァ…　ハァ…。 太一君。 （峰岸）　美丘は→ 苦しまずに逝ったよ。 美丘は…→ 僕に　いってくれたんです。 「生きろ」って。 美丘？ 俺　生きるよ。 生きる。 美丘の分まで…→ 精いっぱい生きるから。 ♪♪～ ♪♪～ ありがとう　美丘。 ♪♪～ ＜美丘　君が　この世界から いなくなってしまってから→ 半年が過ぎた＞ ＜僕達の生活は　すっかり 元通りのように見えるけど…＞ 転勤？ うん。 また　「大阪に行かないか」って 話があるんだけど　断るよ。 この家を離れるのは　辛いだろ？ 行きましょう。 え？ あの子だったら→ そう　いうんじゃないかと思って。 （峰岸）　うん　そうだな。 美丘は　きっと 応援してくれるだろう。 新しい生活を。 よし　行って来る。 いってらっしゃい。 ＜みんな少しずつ 前に向かって歩き始めたんだ＞ （橋本容子）　早く食べちゃって 結衣の入学式　遅れちゃうでしょ。 じゃあ　行って来るね。 あら→ 太一　見違えちゃったね。 （橋本一郎）　面接か？ ビシっとやれ！　ビシっと！ （橋本結衣）　お兄ちゃん頑張って！ ああ。 大丈夫　あんたには 美丘さんが　ついてるんだから。 いってきます。 （橋本）　おう。 ＜美丘　僕も何とか→ 新しい一歩を 踏みだそうとしている＞ 麻理は　いよいよ留学か。 うん。 今　行かないと きっと後悔すると思って。 俺は　卒業したら 福島　帰ってウチの酒蔵を継ぐよ。 やっと　決断できた。 偉い！ …って　何にも決まってないの 俺だけ!? もう～。 あぁ～　大丈夫　大丈夫→ 直美のために 就活　頑張るからさ。 大丈夫　大丈夫 私　もう内定もらったから。 ですよね。 もう～！ あっ！　『ＤＥ　ＮｉＲＯ』！ あっ！　『ＤＥ　ＮｉＲＯ』！ 俺　副店長　目指すわ！ みんな。 頑張ろうよ。 美丘さんに 恥ずかしくないように。 ♪♪～ ＜先に見えるのは 希望だけではないけれど→ 君の笑顔は　僕達の未来を 明るく照らしてくれている＞ この状態なら　少し遠出の 旅行をしても　構わないですよ。 （患者） 先生　ありがとうございます。 ＜君は　自分でも 気づかないうちに→ いろいろな人の心を 動かしていたんだね＞ ＜君を愛する人達は→ 大切なものを失った悲しみと 涙を乗り越えて→ 笑顔で自分の道を 歩き始めている＞ ♪♪～ [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　太一君は　生きてね。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　私の分まで 生きて　生きて　生きて。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　行ったことのない場所に 行って→ 見たことのないものを いっぱい見て→ それを私に　全部　教えてね。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　ありがとう　太一君。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　あっ　もう１つだけ 伝えたいことがあったんだ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　命には いつか終わりが来るって→ 誰だって知ってるけど→ 普段は　そんなこと忘れて→ 永遠に時間があるみたいに 過ごしてるよね。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　でも　私ね 病気になって分かったの。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　何げない毎日も全部→ 二度とない　特別な日なんだって。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　生きていれば 楽しいことだけじゃなくて→ 辛いことも 悲しいこともあるけど→ その一日をムダにしないで 生きようって思えたら→ そこらじゅうが 輝いて見えるんだよ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　ねぇ　太一君　もう気づいてる？ [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　私は　知ってるんだ。 [外:EA31E63853D42A03BE8609676259800D]　生きてるって→ それだけで　奇跡なんだよ。 ♪♪～ ♪♪～ 美丘。 ♪♪～

ひよっこ＃030

1 突然ですが 私 落合は 診療所を辞める事になりました｡➡ 理由は… 秘密｡➡ すると 診療所は 大ﾋﾟﾝﾁ｡➡ 優作は 働き過ぎで倒れそうになるし➡ おまけに 診療所の立ち退き騒ぎまで➡ 起きてしまうんです｡ すまん こころちゃん｡➡ 全ては 俺が悪いんだ｡ 許してくれ> 優作さんとは 一度でも 同じ夢を追った親友じゃない！ ♬｢Pon pon pon…｣ ♬｢愛の言葉をリル｣ ♬｢ｼｬｲなﾊｰﾄがﾄﾞｷﾄﾞｷ｣ ♬｢あの日観てた “ｻｳﾝﾄﾞ･ｵﾌﾞ･ﾐｭｰｼﾞｯｸ”｣ ♬｢瞼閉じれば蘇る｣ ♬｢幼い頃の大事な 宝物だけは｣ ♬｢ずっと この胸に 抱きしめて来たのさ… Ah ah｣ ♬｢夜の酒場で Lonely｣ ♬｢あの娘 今頃どうしてる？｣ ♬｢さなぎは今､ 蝶になって｣ ♬｢きっと誰かの腕の中｣ ♬｢肩寄せ合い 声合わせて｣ ♬｢希望に燃える 恋の歌｣ おはようございます｡ 突然ですが ここは 東京･日本橋｡ みね子 時子と一緒に 東京へやって来た➡ あの三男が 働いているところです｡ さぁ 三男は 今 どうしているかといいますと…｡ ♬～ 三男が働いているのは➡ 日本橋といっても かなり外れにある➡ 町の小さなお米屋さん｡ どうやら 三男が 想像していたのとは だいぶ違い➡ 従業員は 一人だけ｡ ♬～ 三男君！ (三男)あっ はい｡ ごはん｡ あっ はい ありがとうございます｡ (善三)三男！ メシ メシ メシ メシ 来い！ (三男)はい｡ (米を入れる音) いいから 来い！ 早く来い 早く！ (三男)あ… はい｡ はぁ… 頼むがら ２人だけで食べてくんねえがな…｡ (さおり)三男君！ (善三)三男！ はい ただいま！ すみません｡ 米？ パン？ 米に決まってんだろうが｡ 三男君に聞いてるの｡ あっ いや あの…｡ 米屋の娘が パンなんか食いやがって｡ なりたくて 米屋の娘になったわけじゃない｡ ねっ 三男君！ いや…｡ 俺だって なりたくて 米屋の せがれになったわけじゃねえ｡ なっ 三男！ いや あの…｡ 三男君 私の夢 何だか知ってる？ いやぁ 分がんないです｡ いつか ここの主がいなくなったら ここをパン屋にすること｡ え…？ いや…｡ 主って 誰のことだ？ しぶとそうだから その場合は 隣で パン屋やろうと思って｡➡ いいでしょ？ ね？ ｻﾝﾄﾞｲｯﾁなんか売るの｡ いやいや いやいや… あの…｡ (さおり)で どっち？➡ 米？ パン？ どっちだ？ いや あの… どっちも… あの いや…｡ はっきりしろ！ どっちの味方だ おめえは！ どっち？ どっちを支持するわけ!? いやいや…｡ ♬～ …と まぁ こんな状況です｡ 頑張れ 三男！ [ 心の声 ] 誰か 助けて！ さぁ 今日は みね子たちにとって 初めてのお休みの日｡ いい天気で よかったですね｡ 娘たちは どこへ行くんでしょうか？ ちなみに このころの工場は 休みは日曜日だけ｡ 週休１日制でした｡ (幸子)優子 大丈夫？ 調子悪い？ (みね子)大丈夫ですか？ 優子さん｡ (優子)うん 大丈夫 大丈夫｡ ちょっこし 疲れただけ｡➡ みんなが来てから楽しくて はしゃぎ過ぎてしまった｡ ﾌﾌﾌ…｡ 本当に大丈夫？ 私 出かけるのやめようか？ 大丈夫だよ｡ 今日 のんびりしてれば 元気になるから｡ それに ﾃﾞｰﾄでしょ？ 幸子｡ えっ!? (澄子)ﾃﾞｰﾄがよ｡ (時子)そうじゃないがなって さっきから思ってた｡➡ かわいい その服｡ ﾃﾞｰﾄかぁ｡ ﾃﾞｰﾄって ただ ２人で会うだけの話だよ｡ (豊子) それって ﾃﾞｰﾄでねえですかぁ｡ で？ で で で？ ﾃﾞｰﾄって どこ行ぐんですか？ どごって… 映画行って…｡ 映画？ 何を見るんですか？ 私は ｢ﾏｲ･ﾌｪｱ･ﾚﾃﾞｨ｣っていうのば 見だいなど思っでて｡ あ～ 私も見たいと思ってたんです～！ そんたの？ はい！ 何かね すてきなんだってよ｡ 貧しい花売り娘が お金持ちの紳士と出会って➡ すてきなﾚﾃﾞｨｰになっていく 話なんです｡ (優子)あんれぇ いいねぇ 何か｡ (幸子)でも あの人は➡ 何か 西部劇の何とかいうのが 見たいって言っで➡ 喧嘩になりそう｡ え～｡ 何か 恋人って感じがしますねえ｡ そう？ はい｡ (優子)時子は どこ行くの？ 今日｡ さっきから 何か書いてたけんど｡ 私は 今日は 敵情視察です｡ えっ？ 何それ？ ﾃﾚﾋﾞ局とか 映画会社とか そういうとご見て回ろうと思って｡ ふ～ん｡ へえ すごいなぁ｡ いよいよ 始まんだね 時子の闘い｡ おれのこと忘れねえでくれ… な？ 何 言ってんの？ (笑い声) あっ 澄子 どうするの？ 今日｡ おれは寝んだ｡ (時子)えっ？ あんた いづも寝てんじゃないの｡ いづもなんて 寝てませんよ｡ だげんども うちは百姓で 母ちゃん 死んで いねえから➡ ず～っと おれ 畑も家のこともやってで｡ 朝早くから 夜 寝るまで とにかく 何か ずっとやってで｡➡ で 休みもねえし 一年中…｡ そう思ったら… ﾊﾊﾊ 幸せでぇ…｡ 休みの日があって その日は一日中 何もしなくていいしよぉ…｡ ずっと 寝でられるなんて 夢っこのような話だべえ｡ 確かに 農業には 日曜とかないからね｡ そいは分がる｡ んだね 確かに｡ んだね｡ (幸子)確かにね｡➡ うちも んだっけな｡ (優子)うちも 秋田で 魚やってたんだけど｡➡ 漁業っていうの？ でも 似たようなもんであったな｡ (優子)でも 偉かったね 澄子｡ お母代わりだったの？ ﾍﾍﾍ…｡ (幸子)今は どうしてるの？ じゃあ 家は｡ 父ちゃん 新しいお母ちゃん もらったんです｡ だから おれは いらねぐなったっていうか｡➡ ヘヘ…｡ (幸子)そんな…｡ だから 帰るとこ ねえんだ おれ｡ でも ここ 大好きだ｡ ず～っと いてえな｡ (優子)そんだね｡ 澄子！ 好きなだけ 寝なさい｡ ﾍﾍﾍ！ はい！ うん！ 豊子は 勉強？ はい 通信でも高校出たいし➡ いろんな資格も取りたいと 思ってて｡ (幸子)そうか｡ んでも 通信だけど➡ 堂々と勉強できるのは うれしいんです｡➡ うちさ いだ時は➡ 女が学問なんかしても しかたがね って いっつも言われでて➡ んだから 私 隠れて勉強してたはんで｡ こったな明るい部屋で➡ ﾉｰﾄ広げて 勉強できるなんて 幸せなんです｡ おれの寝る幸せと 一緒だぁね｡ え…｡ 何で 嫌な顔してんだよ｡ まっ そういうこどにしておぎます｡ 何だべ それ｡ (ﾉｯｸ) (幸子)はい｡ (愛子)あら まだ みんないるのね｡ (一同)おはようございます｡ (愛子)おはよう｡➡ あっ みね子さん 荷物 届いてます｡ あっ ありがとうございます！ あっ お母ちゃんだ！ みんなは どうするの？ お休みは｡ (優子) 愛子さんは お出かけですか？ うん｡ 私は千葉の方へね お墓参りに｡ (澄子) 愛子さんのうちのお墓がよ？ ううん 私のうちのお墓は浅草なの すぐ近く｡ 今日 行くのは… うんとね…｡ 私の大切な人｡ 戦争でね 亡くなったの｡ 大切な人…｡ うん｡ 結婚のね 約束をしてて｡ いつか 一緒になろうねって…｡ 同じ工場で働いてた人｡ ﾌﾌﾌ！ ものすごくかっこよかったんだよ｡ ちょっと 俳優の 森 雅之っていうのに似ててね｡➡ ﾌﾌﾌ 分かるかな？ あっ ごめん ごめん｡ 何か しんみりしちゃったね｡ みね子さん 何 入ってたの？ あ… え～っと…｡ 茨城の匂いがする｡ 愛子さんも 食べよ！ ほら！ ありがとう｡ ほら みんなも どうぞ！ (幸子)ありがとう｡ ありがとうございます｡ どうぞ｡ いただきます｡ いただきます｡ (愛子) みね子さんは 出かけないの？ あ… えっと 私は 全然 手紙 書けでないがら➡ まずは みんなに 手紙 書いて➡ それがら 赤坂ってとごに 行ってみようと思ってんだ｡ 赤坂？ うん｡ (優子)何があるの？ 洋食屋さんなんだけどね…｡ ちょっと待って｡ こご｡ そっか！ まだ話してながったんだ 私｡ うん｡ (幸子)話してないって？ えっと 私…｡ 私のお父ちゃん 東京に 出稼ぎに来てたんだけどさ➡ 去年の秋に 何つうか 連絡が取れなぐなって…｡ 行方不明っつうの？ なんだよね｡ そんでね 本当は 高校出だら➡ うぢの農業やろうと 思ってたんだけど➡ 急に 東京に 働きに出るこどになったの｡ そしたら 偶然 同じ会社だったんだよね｡ うん｡ (優子)あんれぇ｡ そん時は 泣いて喜んだね うれしくて｡ うん｡ ｱﾊﾊ！ そうだったの…｡ それでだったのか｡ はい｡ ここの洋食屋さんは お父ちゃんが 何度か行ったことのあるお店で➡ すんごく親切で 優しい人たぢなんだ｡ お母ちゃんが東京に お父ちゃん 捜しに来たとぎも➡ 優しくしてくれた人たぢなの｡ だがら 東京さ 来たら➡ ｢娘です 東京にいます｣って 挨拶に行がなくちゃと思って｡ そう…｡ はい｡ (愛子)ん？ 何だろ？ どうしたの？ みね子 お客さんだよ！ 私？ 男の人よ！ 何か すてきな人！ 三男？ 三男？ …じゃ そんな騒ぎになんないよ｡ そっか｡ 急いで！ ほら 早く！ あっ うん｡ ♬～ あの 谷田部みね子は 私ですが…｡ 君が みね子ちゃん？ あ… そうですけど｡ 赤坂五丁目派出所の 綿引といいます｡ よろしく｡ 何だ これ！ んだろ？ 来週の｢ひよっこ｣は➡ 東京で みね子に新しい出会いが 生まれます｡ そして 父 実の情報が…｡ 見つかったんですか？ このまま 見つかんない方がいいなって｡ (宗男)みね子～！ 頑張れ～！ いや～ 落ち着きますね｡ 古都 京都にやってきました｡ お寺さんと風情のある通り｡ ぶらりするだけで ほっとします｡

ビター・ブラッド～最悪で最強の親子刑事～＃01

1 ♬～ (銃声) [TEL] (明村)もしもし｡ [TEL](修一)うっ!? (明村)撃たれたのか？ すぐ そっちへ向かう｡ (修一)俺 もう 駄目かもしんないっす｡ [TEL](明村)女房と 娘さん お前の帰り 待ってんだろ！ [TEL](修一)自分の家族 大切にしてくださいね｡ (明村)もういい｡ しゃべるな！ [TEL](明村)おい｡ 逃げろ！ (修一)先輩 いつも 言ってたじゃないっすか｡➡ 敵に 背を向けるなんて ナンセンスだって｡ (明村)無茶するな！ [TEL](修一)バディじゃないっすか｡➡ 島尾先輩に 恥 かかせらんないっすよ｡ (銃声) ♬～ (銃声) ♬～ (明村)おい 前田！ 前田！ [ﾃﾚﾋﾞ](音声) [TEL](アラーム) [ﾃﾚﾋﾞ](軽部)さあ 今日は ４月１日ですよね？ 加藤さん｡➡ 駅や電車で フレッシュマンに…｡ (夏輝)フレッシュマン？ [ﾃﾚﾋﾞ](軽部)われわれにも そんな時代 ありましたね？ [ﾃﾚﾋﾞ](加藤)入社式 懐かしいですね｡➡ 思い出すと 昨日のこと…｡ (夏輝)式？ [ﾃﾚﾋﾞ](軽部)昨日のこと？ 加藤さん 相当 前でしょ？ [ﾃﾚﾋﾞ](加藤)軽部さんとは 違いますから｡ [ﾃﾚﾋﾞ](軽部)ホントに？ [ﾃﾚﾋﾞ](加藤)そんな 新社会人が➡ 多く見られる ４月なんですが…｡ (夏輝)ヤバッ!? ヤバい…｡ あっ!? ♬～ ≪(物音) ≪(物音) ♬～ (悲鳴) (夏輝)うん？➡ 忍？ (忍)兄ちゃん！ (夏輝)すいません｡ (夏輝)何で 忍がいんだよ？ (忍)さっき➡ 夜行バスで 着いたんだもん｡ そうじゃなくて｡ 入学式 まだ 先だろ｡ (忍)しばらく➡ 東京観光しようと思って｡ 観光って｡ じゃあ ホテル 泊まるとかさ｡ (忍)そんな お金 おじいちゃんから もらえないでしょ｡➡ 年金暮らし 大変なんだって｡ そりゃまあ そうだけどさ｡ [ﾃﾚﾋﾞ](生野)最も悪い運勢なのは…｡➡ ごめんなさい｡ おうし座の あなたです｡➡ 様々なトラブルに遭い 大混乱｡ 嘘!? (忍)ってか もう ８時だよ｡ (忍)９時 間に合うの？ [ﾃﾚﾋﾞ](生野)キーポイントは 思いも寄らぬ再会です｡ やっぱ お兄ちゃんも スーツ 似合うよね｡ ｢も｣って 何よ？ お兄ちゃんも パパも｡ 勘弁してください｡ ｶｯｺｲｲじゃん｡ うれしくないの？ うれしいわけ ないだろ｡ あいつは 俺たちを捨てたんだぞ｡ もう お兄ちゃん いつまで…｡ いってきます｡ (女性)おはよう｡ おはようございます｡ ♬～ ♬～ すいません｡ すいません｡ すいません｡ すいません｡ すいません｡ ♬～ ≪(泣き声) (母)あゆむ｡ ≪(母)大丈夫？ 立てる？ 大丈夫か？ 大丈夫か？ 大丈夫？ おっ｡ 強い 強い｡ 行こっか？ よっ｡ (母)ありがとうございます｡ 大丈夫ですか？ (母)はい｡ よっ｡ よし｡ もう 大丈夫｡ (母)ありがとうございます｡ いえ｡ ほら｡ お友達 待ってるよ｡ では｡ ≪(母)うっ!? (母)生まれる！ えっ？ (サイレン) (隊員)お父さんも 一緒に｡ (母･隊員)ヒッ ヒッ フゥー｡ (一同)ﾋｯ ﾋｯ ﾌｩｰ｡ ﾋｯ ﾋｯ ﾌｩｰ｡ ﾋｯ ﾋｯ ﾌｩｰ｡ ♬～ もう 無理だ｡ (悲鳴) (犯人)んっ！ (悲鳴) おばあさん｡ 大丈夫ですか？ (万智)ひったくりよ｡ かばん｡ 大丈夫です｡ 落ち着いてください｡ ちょっと待っててくださいね｡ 待て！ 止まれ！ そこの人 ひったくりです！ 止まれ！ 止まりなさい！ (悲鳴) 止まれ！ 待て！ (クラクション) すみません｡ おい！ ちょっと待て！ 止まれ！ 止まりなさい！ (犯人)おりゃ！ 嘘？ (犯人)おりゃー！ 落ち着いてください｡ おお!? カッコイイ｡ (犯人)痛てて…｡ (瞳)９時２分｡ 逮捕です｡ 逮捕？ ご協力 ありがとうございました｡ 後は 私が｡ はい｡ 立って｡ あっ｡ いや｡ あのう｡ (瞳)では また｡➡ はい｡ おとなしくして｡ はい｡ ９時２分？ ヤバッ!? [ﾏｲｸ](署員)生活安全課 少年係担当➡ 梶原 武巡査｡ (梶原)はい｡ (署員)地域 第三係担当➡ 木田 義久巡査長｡ (木田)はい｡ [ﾏｲｸ](署員)交通課 交通執行 一係担当➡ 佐伯 智則巡査長｡ (佐伯)はい｡ [ﾏｲｸ](署員)刑事課 捜査 第一係担当➡ 佐原 夏輝巡査長｡ [ﾏｲｸ](署員)佐原 夏輝巡査長｡ はい？ (せきばらい) (署員)佐原 夏輝｡ ≪はーい！ はい｡ はい｡ (瞳)佐原 夏輝｡ 前田 瞳 両名 ひったくり犯 逮捕しておりました｡ 遅れて すいません｡ すいません｡ ナンセンス｡ 嘘だろ…｡ (古雅)はっ？ 親子？ (鷹野)十何年前だかに➡ 離婚して 離れ離れの家族が いるって｡ (古雅)ああ｡ 確か これが できて かみさんと 子供 置いて➡ 家を出たっていう｡ (鷹野)それ以来➡ 会ってないとしたら とんでもなく…｡ (富樫)皮肉な再会ってやつか｡ (富樫)どした！ (鷹野)いえ｡ まっ 息子だろうが 俺は 甘やかさないけどな｡ (鍵山)佐原｡ 前田｡ こっち 来い｡ はい｡ (瞳)はい｡ (鍵山)これを 支給する前に 言っておくことがある｡➡ お前たちは けさの時点で これを 持っていなかった｡ つまり…｡ (瞳)権利は 一般市民と同等｡ 正しくは 現行犯逮捕と 言うべきでした｡ (稲木)それが分かっていて なぜ 容疑者を 投げ飛ばしたりした？ (稲木)警察手帳を 携帯せずに➡ 暴行を働いたなどと 世間に騒がれれば➡ われわれの権威は失墜しかねない｡ (瞳)でも…｡ (稲木)でも？ (古雅)無理 無理｡ 彼と議論しても 勝てっこないよ｡ (富樫)反省してんなら まず 謝れ！➡ 何だと 思ってるか！ すいませんでした｡ ≪すいませんで 済んだら 警察は いらない｡ お前らが 逮捕した場所は 厳密には 日比谷署の管轄だった｡ 他人の縄張りを 荒らす権限は お前らにない｡ でも 目の前で 犯人…｡ 言い訳は いらない｡ この世界では ルールが 全てだ｡ 個人の判断で 勝手な行動を することは 許されない｡ でも…｡ ちょっと 課長｡ また 口答えですよ｡ あれですね｡ 警察学校で 上下関係から 学び直す必要が ありそうですね｡ (鍵山)そうだな｡ 確かに 教育が必要だな｡ ジェントル｡ うん？ ジェントル？ (鍵山)彼に 刑事のいろは➡ みっちり 教えこんでやってくれ｡ はっ？ (鍵山)佐原 夏輝｡ はい｡ 君の教育係は ジェントル｡ (夏輝･明村)えっ？ ちょっと!? (鍵山)今日から 君たちは➡ バディだ｡ こいつが バディ!? こいつが バディ!? ♬～ 最悪だ｡ 最悪だ｡ どちらへ行くのですか？ 島尾先輩｡ 敬語は やめろ｡ 気持ち悪い｡ 大先輩なので 一応 敬語です｡ ったく｡ で どちらへ？ 新富町まで 聞き込みに行く｡ 聞き込み｡ 誰に？ 殺人の容疑者の 近隣住民だ｡ 俺は 何をすれば？ ひよっこは 黙って 見てればよい｡ ひよっこ｡ うん？ 何すか？ 刑事にとって 一番 大切なのは 何だ？ 情熱？ 違う！ ジャケットだ｡ はっ？ 俺と バディを組むなら➡ ３つのルールを 厳守しろ｡ ルール？ 一つ｡ 上質なジャケットを 着ること｡ もう 俺が犯人なら こんな こんな チープなジャケット 着た刑事に➡ 自白なんか 絶対 絶対しないね｡ 関係ないでしょ それ｡ 二つ｡ 俺に対しては 敬語を使うこと｡ いや｡ さっき そっちが 敬語 気持ち悪いって 言った…｡ うるさい｡ この際 はっきりさせておくが➡ 親子とはいえ 俺は 先輩｡ お前は 後輩だ｡ ご心配なく｡ 別に 親子だなんて 思ってませんので｡ 三つ｡ これが 一番 重要だ｡ いいか？ よく聞け｡ ３つ目は…｡ あのう｡ 何だ？ 新富町は こっちですけど｡ 先輩｡ 生意気な ひよっこだぜ｡ (チャイム) (主婦)はーい｡ 警察です｡ (主婦)ひっ!? すいません｡ この人 ちょっと 変人なんです｡ お前は 邪魔すんな｡ おびえてるじゃないですか｡ おびえさせて どうする…｡ いいんだよ｡ お前 邪魔しに…｡ (主婦)あのう｡ 何か ご用でしょうか？ 失礼しました｡ あれ？ あれ？ 奥さん｡ お奇麗ですね｡ (主婦)フフフ｡ この人のこと 知りませんか？ (主婦)いいえ｡ この人は？ (主婦)いいえ｡ 分かりました｡ 貴重な お時間 ありがとうございました｡ 警察でした｡ あっ｡ すいません｡ (鷹野)ちょい ちょい ちょい ちょい｡ さっきの➡ ひったくり事件の調書は できた？ (瞳)あっ｡ できました｡ (鷹野)じゃあ 課長に チェックしてもらおっか｡ (瞳)はい｡ (鷹野)刑事っていっても➡ こういう デスクワークみたいな 仕事 結構 あるんだよね｡ (鷹野)あれ？ 課長 いないね｡ バチェラーさん｡ ちょっと いいっすか？ (古雅)今 忙しい｡ (瞳)バチェラー？ (鷹野)紹介しよう｡➡ 銃の腕は 銀座署一｡➡ 通称 バチェラー 古雅｡ (瞳)すいません｡ バチェラーって？ (鷹野)独身って 意味｡ そのくせ 結婚願望は 誰よりも 強い｡ (瞳)はあ｡➡ あっ｡ じゃあ あの人に｡ (鷹野)チェイサーは 駄目｡ (瞳)チェイサー？ (鷹野)そう｡➡ 人呼んで チェイサー 稲木｡➡ 尾行の天才で 全てを 理屈で捉える クールガイ｡➡ あの人に チェックなんか頼んだら 細かく 追及されて➡ 何分かかるか 分かんないよ｡ (瞳)はあ｡ ≪(富樫)全部 吐きました｡ (鷹野)あれが スカンク 富樫｡➡ 刑事課きっての 武闘派で 取り調べの達人だ｡ (瞳)スカンク？ (鷹野)とにかく 口が臭い｡➡ 臭いで ホシが 音を上げるって噂もある｡ (富樫)行くぞ ほら｡ 何だ この！ 来い ほら！ (鷹野)で 俺が 鷹野｡ あらためて よろしく｡ (瞳)あのう｡ まさか 皆さん➡ あだ名で 呼び合う感じですか？ (鍵山)いやいやいや｡➡ タカが 勝手に名付けて 呼んでるだけだ｡ (鷹野)課長｡ 調書チェック お願いできますか？ (鍵山)ああ｡ 手が空いたら 読む｡ (瞳)お願いします｡ (鷹野)で 鍵山課長｡ 誰よりも残業が多い｡ (瞳)仕事熱心なんですね｡ (鷹野)家に帰らないせいで➡ 家族から 無視されてるらしい｡ (瞳)切ないですね｡ (鍵山)何!? お前も飲むか？ 結構です｡ 苦いの 苦手なんです｡ 飲み会 どうすんだよ？ 鍵山班は 基本 ビールだぞ｡ それは 我慢して 飲みます｡ (子供)パパ 待って｡ パパ｡ っていうか 何ですか？ あの聞き込み｡ あんな 顔 近づけて｡ 人の表情は 手掛かりの宝庫だ｡ 特に 瞳孔の周りは 恐怖や動揺で わずかに 拡張する｡ １枚目の写真を 見たときと ２枚目の写真を 見たときで➡ 瞳孔に 変化はなかった｡ あれは 容疑者について 何にも 知らないってことさ｡ でも 驚かす必要はないと 思いますけど｡ お前 どうして 刑事になろうと思った？ そりゃ まあ 困ってる人を 助けたいからです｡ ふん｡ 優しくするだけで 人を助けられると 思ってんのか？ 事件解決のためにはな➡ 手段を選ばぬ厳しさも 必要だ｡ だからって➡ 人を傷つけるようなことは…｡ お前は 刑事に向いてない｡ 向いてない｡ うん｡ 向いてない｡ 人が傷つくのを 見るのは 嫌なんです｡ 泣いてる母さんを 毎日 見てきたから｡ おい｡ なあ｡ おい｡ ちょっと おい｡ お前｡ なあ｡ 言いたいこと あんなら➡ はっきり 言えよ｡ おい｡ なあ｡ [TEL] ちょっと！ [TEL] はい｡ 容疑者が？ 分かりました｡ すぐ 向かいます｡ 容疑者が 遺体で発見された｡ えっ？ (警察官)ご苦労さまです｡ (警察官)では 最後に お会いに…｡ おい｡ 死体 見ても 吐くなよ｡ 吐きません｡ ああー｡ だいぶ 傷んでんな｡ おい｡ おい｡ 吐くなら 外で吐けよ｡ (竹田)何だ あれ？ (滑川)ほら｡ ジェントルの｡ (竹田)ああ｡ 親の七光りで 刑事課に 配属されたっていう｡ (せきばらい) 井川 基彦本人に 間違いないんだな？ (竹田)はい｡ 間違いありません｡ 自筆の遺書も ありました｡ ≪(佐久間)島尾係長｡ 井川の娘さんで➡ 第１発見者の 順子さんです｡ はい｡ シッ シッ｡ シッ シッ シッ｡ おい｡ 事情聴取…｡ お前 いつまで 吐いてんだよ？ なあ｡ (従業員)ホットコーヒーと アイスココアです｡ だっせ｡ (順子)あのう｡ (順子)ホントに 父は 人殺しを？ 申し上げづらいのですが 間違いありません｡ (順子)そうですか｡ あのう｡ お父さまの 人となりなんかを 教えていただけないでしょうか？ ちょっと 失礼｡ そんなこと 聞く必要はない｡ 住所と 氏名と 生年月日だけ 聞けば それで いいんだよ｡ そういうわけには いかないですよ｡ ゆっくり 話とか｡ 刑事の使命は 迅速な事件解決だ｡ お前のやり方は スマートじゃない｡ (順子)あのう｡ (明村･夏輝)失礼しました｡ では お父さまについて お願いします｡ (順子)不器用な人でした｡ 不器用｡ (順子)職人かたぎな人間で｡ 無口な父が 私は苦手でした｡ 職人｡ 無口｡ 何でも 一人で 背負い込む人で➡ 借金が かさんだことも 私には 何も言わなくて｡ (順子)私も 同罪なんです｡➡ 口下手だって 知ってるなら 聞いてあげれば よかった｡➡ そしたら 父だって｡ 家族しか 弱さとか 苦しみを 分かってあげられないのに｡ いまさらになって こんな 後悔するなんて｡ おかしい…｡ (順子)あれ？ 私…｡ (順子)父は 人殺しの容疑者だから➡ 泣いたり 悲しんだりしちゃ いけないと 思ってたんですけど｡ そんなことないですよ｡ すいません｡ ちょっと はな かんできます｡ ♬～ (鷹野)泣いたんだって？ えっ？ (古雅)事情聴取中に 泣いたらしいね｡ (瞳)だっさ｡ すぐ 泣く男とか 最悪｡ (稲木)事情聴取で 泣くなんて 前代未聞だな｡ 俺は 人の気持ちに➡ 寄り添える 人間になれって 言われてきたんです｡ (富樫)ジェントルみたいにか？ どこがですか？ 正反対じゃないですか｡ おっ｡ だってよ ｼﾞｪﾝﾄﾙに憧れて➡ 刑事になったんじゃ…｡ 関係ないです あの人は｡ さあ 食べましょう｡ (古雅)あっ｡ (古雅)佐原も わさび 苦手なんだ｡ ｢も｣？ だって ジェントル…｡ (一同)うわー!? (鷹野)決まりました｡ 佐原の ニックネーム｡ はい？ (鷹野)せっかく➡ 刑事になったんだし 欲しいだろ？ いや 欲しくないです｡ 大丈夫です｡ (鷹野)今日から 君は➡ ジュニア｡ ジュニア!? (古雅)よし｡ じゃあ ジュニアの 命名を記念して 乾杯｡ (一同)乾杯｡ すいません｡ あのう｡ さお 落としちゃいました｡ (一同)ジュニア｡ ジュニア｡ (瞳)ごちそうさまでした｡ (古雅)いいの いいの｡➡ 歓迎会だから｡ ≪(従業員)おい おっさん｡ お前が 飲んだんだろうが｡ (男性)そんなに 飲み食いしてませんよ｡ (従業員)うちの女の子の おっぱい 触っただろ？ (富樫)ぼったくりだな｡ (鷹野)やつら➡ 限度 知らねえからな｡ ありゃ 100万コースだな｡ 100万？ (鷹野)風俗系でしょうね｡ (男性)そんな金額 出せるわけ ないじゃないですか｡ (従業員)だから 払えっつってんだよ｡ (古雅)ああ｡ ちょい待て 待て…｡ (稲木)風俗は 生活安全課の管轄だ｡ いや｡ でも｡ 潜伏捜査中だ｡ １カ月は 様子見｡ １カ月 じゃあ 被害者 出し続けるってことですか？ (富樫)まあ まあ…｡ 脅している 相手のリストがあれば➡ 一気に 締め上げられる｡ (稲木)ここで 首を突っ込んだら おじゃんだ｡ (古雅)酷だけど 我慢だ｡ (従業員)あれ？ これ 娘さんの待ち受けか｡➡ カワイイじゃねえか｡ 触んなよ｡➡ 職場にも言っちゃうよ｡ (男性)勘弁してください｡ 勘弁してください｡ (従業員)だから払えばいいんだよ｡ (男性)もう 許してくださいよ｡ (従業員)娘さんにも言っちゃうよ｡ (男性)勘弁してください｡ やっぱ すいません｡ (鷹野･古雅)おい｡ 大丈夫ですか？ (従業員)おい｡ 何やってんだよ？ 逃げて｡ (従業員)何やってんだよ！ (従業員)何 なめたこと してくれてんだよ？ 逃げて｡ (男性)ありがとうございます｡ (従業員)逃げんじゃねえよ！ (従業員)何してくれてんだよ！ (従業員)お前 誰なんだよ？ ♬～ (古雅)そこまでだ｡ (従業員)何だ？ てめえら｡ (鷹野)そいつは うちの ｼﾞｭﾆｱだ｡ (富樫)うちのを ずいぶん かわいがってくれたな？ (稲木)たっぷり 話 聞かしてもらいましょうか？ ≪(従業員)もしもし｡ ヤバいっす｡ 警察が来た｡➡ 間違いないっすよ！ どけ！ (従業員)いらっしゃいませ｡ (従業員)すいません｡ シャンパン お願いします｡ ちょっと ちょっと｡ ♬～ (悲鳴) ごめんね｡ (従業員)何ですか？ ごめんね｡ ストップ！ あっち!? (従業員)どうしたんすか？➡ おじさん｡ 厄介な 火遊びしてくれたな｡ 江渕課長｡ 本当に 申し訳ございませんでした｡ (江渕)いやぁ｡ お見事 お見事｡ さすが 刑事課の皆さん｡➡ おかげで ほら｡ うちが 慎重に 慎重に追っていた➡ 恐喝の 被害者リスト｡ 押収できました｡ 行こう｡ (江渕)君か？ 新米君｡ 親の顔が 見てみたいもんだね｡ 島尾さん｡ 行くぞ｡ (江渕)息子の しつけぐらい➡ ちゃんと やってもらわないと 困るなぁ｡➡ ハハハ｡ ハハハ｡ なぜ あんな 勝手なまねをした？ すいません｡ 理由を聞いてるんだ｡ 我慢できなくて｡ 個人の判断で 勝手に動くなと 言ったろ！ みんなに どれだけ 迷惑 掛けたのか 分かってんのか！ 来い｡ あしたまでに 書いてこい｡ できたら チェックしてやる｡ ≪(足音) (瞳)彼 さすがに 落ち込んでましたね｡ (瞳)ずいぶん 厳しいんですね｡➡ やっぱり 親子だからですか？ 関係ないね｡ (瞳)じゃあ バディだからですか？ あのう｡ 私 前田 修一の娘です｡ 知ってたんですか？ ずいぶん 大人になったな｡ 父は いつも 家で あなたの話を していました｡ 私が 憧れたのは➡ 父が うれしそうに話す 島尾刑事の姿です｡ 言っておくけど 俺は ヒーローなんかじゃない｡ 現に 君の お父さんを 救えなかった｡ (瞳)犯人 まだ 捕まってないんですよね？ ああ｡ 絶対に 捕まえたいです｡ 同感だな｡ ♬～ (鍵山)おい｡ 用がないなら もう 帰れ｡ あのう｡ 課長｡ すいませんでした｡ 今日は ご迷惑を お掛けして｡ (鍵山)いいじゃないか｡ 家族なんだから｡ 家族？ 警察ってのは➡ 普通の会社以上に 人と人との つながりが 深い｡ へましようが 何だろうが➡ 助け合わなけりゃ いけねえんだよ｡ なっ？ 家族みてえなもんだろ？ まあ 本当の家族だと➡ 言いづらいことも あるだろうけどな｡ 親父とじゃ やりづらいか？ うちは 色々 事情があって｡ 島尾先輩自身も やりづらいと 思うんです｡ 俺とじゃ｡ あいつは 変わったやつだが 学ぶことは たくさん あるぞ｡ はい｡ それに あいつも ホントは うれしいんじゃねえかな？ 息子と バディ 組めて｡ まさか｡ 素直に なれねえもんなんだよ｡ 本物の家族ってやつは｡ 今に 分かるさ｡ あっ｡ (瞳)バーカ｡ えっ？ あんた ホントに バカ｡ バカ？ 同期で 刑事課なんだから あんたが バカやると➡ 私まで そういう目で 見られるんだけど｡ ごめん｡ 私の信用まで 落ちたら どうすんのよ？ ごめん｡ まあ ちょっとは すかっとした…｡ (クラクション) えっ？ 何でもない｡ それじゃあ｡ うん？ (鍵山)いた いた いた｡ お疲れさまです｡ (鍵山)はい｡ (鍵山)どうだ？ 新入りは｡ 前田ですか？ 修一に似て 優秀だと思いますよ｡ 女を 武器にするっていう柄でも なさそうですし｡ (鍵山)フッ｡ 似てるのは お前らもだろ｡ どこが？ 俺は スマート｡ あいつは…｡ 不器用なとこは そっくりだよ｡ お前ら｡ (鍵山)冷たく 突き放すのは➡ 息子を 危険な目に 遭わせたくない 親心だ｡ 違うか？ (鍵山)まあ 俺が ジュニアの 親でも そりゃ 心配だ｡➡ あいつは 優し過ぎて 自分の 危険を 顧みないタイプだからな｡ (鍵山)ジュニアは 俺たち みんなの息子だ｡➡ 父親の役割を 一人で 背負おうとするな！ あ痛っ｡ ああー｡ のぼせた｡ 課長こそ たまには 早く 家に帰ったら どうですか？ 余計な お世話だ｡ ♬～ ♬～ 確認 お願いします｡ 俺は 辞表を書けと…｡ バディ 続けさせてください｡ お願いします｡ 俺と バディを組むなら ちゃんと ルールは守れ｡ ♬～ (従業員)何か お探しですか？ あっ｡ ♬～ 高っ｡ (従業員)ご試着なさいますか？ いえ｡ 大丈夫です｡ うっそ!? (行員)いらっしゃいませ｡ (万智)あっ!? どうすっかな？ ≪(銃声) ≪(強盗)動くな！ (強盗)壁に寄れ｡ 早くしろ！ (悲鳴) (銃声) (強盗) 動くんじゃねえっつってんだろ｡ (強盗)おい！ じっとしてろ！ (強盗)死にたくなけりゃ 動くな｡ おい｡ ♬～ ♬～ (警察官たち)下がってください｡ 下がって 下がって｡ ♬～ おい｡ 状況は どうだ？ (鷹野)犯人は３人組｡ 拳銃を所持｡ 何か 要求は？ (稲木)逃走用の車両を 要求してます｡ (古雅)金を奪い 人質を盾に逃走｡ まあ 定番のプランでしょ｡ (鍵山)長期戦に持ち込んで 犯人の 集中が切れんのを 待つか？ (富樫)いやいやいや｡ それが｡ (瞳)犯人は 30分ごとに 一人➡ 人質を殺すと 宣言しています｡ (鷹野)もう すでに➡ 15分 たってますね｡ おい ジェントル｡ ジュニアは？ 知りません｡ 連絡 取ってみろ｡ 俺？ (悲鳴) (強盗)うるせえ！ (銃声) (強盗)携帯 出せ｡ (強盗)携帯 どこだ？ おら！ (強盗)出せ！ (強盗)どこだ！ [TEL] (強盗)誰のだ？ おら｡ [TEL] (強盗)お前らじゃないのか？ [TEL] (強盗)トイレの方からです｡ (強盗)見てこい｡ (鍵山)どうだ？ 出ません｡ どこ ほっつき歩いてんのよ？ (強盗)おい！ (強盗)ここか！ (強盗)３つ目！ (強盗)はい｡ ここ｡ ♬～ (銃声) [TEL] ≪(強盗)携帯が 落ちてました｡ (鍵山)人員の配置は？ [TEL](バイブレーターの音) [TEL]もしもし｡ どこで 油 売ってんだよ！ [TEL]シーッ｡ みどり銀行 京橋支店｡ 強盗の 立てこもりだ｡ 大至急 来い｡ [TEL]もう います｡ はっ？ 今 みどり銀行 京橋支店の➡ トイレです｡ [TEL]嘘だろ？ 今 隠れて 様子を うかがってます｡ えー｡ えー｡ あのう｡ 佐原 夏輝 今 この銀行の トイレにいるそうです｡ (一同)何？ えっ？ トイレ？ しょんべんか？ (鷹野)あいつ 何やってんだよ？ 状況を 報告しろ｡ 強盗は ３名｡ 全員が マスクをしてるため 顔は見えません｡ そのうち ２人が 拳銃所持｡ 人質は 銀行員含め 20名ほど｡ 負傷者は いないと思います｡ よし 分かった｡ そこから動かず 逐一 状況を報告しろ｡ [TEL]分かりました｡ ≪(アラーム) (強盗)ジャスト 30分｡ (強盗)じゃあ １人目 殺します｡ (銃声) [TEL]どうした？ [TEL]佐原｡ おい！ 大丈夫です｡ [TEL]お前 勝手なこと するんじゃないぞ｡ (強盗)はい｡ 死にたい人 手 下げて｡➡ あっ｡ みんな 死にたい？ [TEL]指示があるまで そこを動くな｡ 分かったな？ あのう｡ 俺に 作戦があります｡ (隊員)盾 携行｡ 前進！ 急げ！ そんな作戦 無茶だ｡ [TEL]でも｡ でもじゃない｡ 絶対に そこを動くな｡ [TEL]おい｡ 聞いてんのか？ 佐原｡ (強盗)こっちかな？ ううー｡ こっちかな？ (強盗)指導！ (銃声) [TEL]どうした？ 佐原｡ 報告しろ｡ [TEL]おい｡ 報告しろと 言ってるんだ｡ 言うことを聞け｡ あんたの言うことを 聞いて➡ いいことなんて なかった｡ [TEL]何？ 言われたとおりにしてても➡ 帰ってこなかった ずっと｡ とにかく 出るな｡ ♬～ (強盗)殺してあげよっか？ (母)やめてください！ [TEL]勝手な行動は やめろ｡ 何度も言わせるな！ (母)やめてください｡ やめてください｡ やっぱり 人が傷つくのを 見るのは 嫌なんです｡ (母)やめて｡ やめて｡ やめて！ あのう｡ (強盗)誰だ！ (強盗)お前 どっから 出てきた？ すいません｡ トイレにいまして｡ あのバカ｡ (強盗)これ お前のか？ はい｡ (強盗)何してた？ あ… あのう｡ おなか 痛くて｡ (強盗)フフッ｡➡ うるせえ｡ (強盗)死ね｡ えっ？ (銃声) (強盗)ハハハ｡ (強盗)おい｡ 来い｡ はい｡ 大丈夫だ｡ (警察官)やじ馬の数は 50名程度｡ 《俺に 作戦があります》 《俺も 人質になって 強盗の視線を 引き付けます》 《隙ができたら 合図するので 突入を》 (古雅)ジェントル？ 俺が合図したら 突入だ｡ (強盗)座ってろ！ 皆さん｡ 落ち着いてください｡ 大丈夫ですから｡ (万智)彼の言うことを 聞きましょ｡➡ 彼は 優しくて 強い子よ｡ (子供の泣き声) 大丈夫だよ｡ 正義の味方が 助けてくれる｡ (子供)ホント？ うん｡ 絶対 助かる｡ だから 泣いちゃ 駄目だ｡ 分かった？ (子供)うん｡ よし 偉い｡ (銃声) (一同)うわ!? (強盗)何 しゃべってんだ？ フフフ｡ (富樫)ジェントル｡ (鷹野)防犯カメラ つながりました｡ よし｡ (稲木)警備会社からの 映像です｡ ♬～ (強盗)待たしたな｡ がき｡ (強盗)おい｡ 立て｡ 立て！ ♬～ ♬～ あのう｡ (強盗)あん？ 防犯カメラ｡ あのう 大丈夫ですかね？ ♬～ ♬～ (銃声) (富樫)あのバカ！ (瞳)ああー もう 何やってんの!? (強盗)お前 さっきから ごちゃごちゃ うるせえな｡➡ なめてんのか？ すいません｡ (強盗)お前から 殺す｡ (撃鉄を起こす音) あのう｡ 最後に 親に 電話だけしても いいですか？ (強盗)フッフッ｡ はあ？ 電話 貸してもらっても いいですか？ 今です｡ 突入してください｡ 突入！ (強盗)死ね！ ♬～ ああー｡ もう ６発 撃ちましたけど｡ ナンセンス｡ 弾数ぐらい 把握しとかないと｡ (強盗)うおー！ (銃声) ナンセンス｡ まねすんなよ｡ (鷹野)警察だ！ 動くな！ 動くなよ｡ (銃声) (富樫)うおー！ (富樫)確保！ (鷹野)伏せろ！ 動くな！ おい！ (稲木)課長｡ (鍵山)前田！ 逃がさないわよ｡ (強盗)どけ！ 確保しました｡ 優しい顔してんじゃん｡ はい｡ 立って｡ はい｡ (鍵山)よし｡ よくやった｡ (鷹野)行くぞ｡ (鷹野)早く歩け！ ♬～ 親父！ (銃声) はい 捕まえた｡ はい 捕まえた｡ 俺が捕まえた｡ (鷹野)ナイス コンビネーション｡ (古雅)さすが 親子｡ 関係ない！ 関係ない！ ♬～ (万智)ホント ありがとね｡ いえ｡ (万智)じゃあ どうも｡ お気を付けて｡ (万智)行こうか？ (子供)バイバイ｡ バイバイ｡ ♬～ おい ひよっこ｡ 状況報告は 正確にしろ｡ 拳銃 隠し持ってたじゃねえかよ｡ おかげで ほら｡ ほら｡ ジャケット ほら｡ こんな｡ 砂 砂｡ すいません｡ だから 苦いの 苦手だって｡ 言いそびれてたな｡ バディの条件 ３つ目｡ 絶対に 敵に 背を向けないことだ｡ まあ お前にも 多少 骨はあったみたいだな｡ あれ？ お前 さっき 俺のこと 親父って…｡ 言ってません｡ かわいくねえな｡ いや｡ ｢親父！｣とか｡ ホント それは 言ってません｡ 言ってない？ 言ってません｡ ♬～ 苦っ｡ ♬～ ♬～ (富樫)これは お前らんだな？ (強盗)はっ？ [外:2173BC364D7753FC7759E51871BD8378](ﾎﾞｲｽﾁｪﾝｼﾞｬｰの声) 警察諸君に告ぐ｡➡ 本当の事件は これからだ｡ (強盗)知らない｡ (富樫)とぼけるな！ [外:2173BC364D7753FC7759E51871BD8378](ﾎﾞｲｽﾁｪﾝｼﾞｬｰの声)本当の事件は➡ これからだ｡ 警察諸君に告ぐ｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (貝塚)血は 争えないものだね｡ ただいま｡ (忍)あっ｡ おかえり お兄ちゃん｡ ぱら｡ 何で いんだよ？ 俺だって こんな部屋 来たかねえよ｡ だったら 来んなよ｡ もう｡ 私が呼んだの｡ ねえ？ パパ｡ やっぱり 連絡 取り合ってたのかよ｡ パパね 入学祝いに 何か 買ってくれるんだって｡ そんなやつに 買ってもらうな｡ 何でよ？ お兄ちゃんだけ ずるい｡ はい？ あれ｡ パパから｡ 勝手なこと すんなよ｡ フフフ｡ 強がるな 貧乏人｡ トイレに落ちてたぞ｡ 勝手に見んな！ うわー｡ 貧乏｡ 無理しないで もらっときな｡ 着てみなよ｡ ねえ？ パパ｡ 見たいよね｡ かつお節 入ってますよ｡ 入ってますよ｡ あり得ないだろ これ｡ はっ？ 何だよ これ？ 裏地｡ いいだろ｡ 大人の男の柄だ｡ 何か 文句あんのか？ ナンセンスなんだよ｡ あっ｡ お前 一番 言っちゃいけないこと 言ったな｡ 何で この柄なんだよ？ いいじゃないの｡ よくねえ｡ カッコ良くねえ｡ 派手過ぎんだよ｡ えっ!? だいたいね 刑事は こういうの➡ 着ねえんだよ｡ ちょっと待て｡ お前 さっきから➡ 敬語じゃないな｡ ルール その２｡ 勤務外は 関係ありません｡ あるね｡ ある｡ ありません｡ ない｡ [TEL] (忍)いただきます｡ もしもし｡ もしもし｡ 容疑者が｡ 取調室で 爆死？ すぐ 行きます｡ すぐ 行きます｡ ♬～

ビブリア古書堂の事件手帖＃07

1 (大輔)篠川さんは 脅迫されてるんです｡➡ 『晩年』の初版本を狙った 異常な男から｡ それは➡ 笠井さん｡ あなたなんでしょ？ (大輔)うわっ｡ ああ｡ (メールの着信音) [TEL](メールの着信音) ♬～ ♬～ (大輔)ヤベッ｡ ♬～ (大輔)篠川さん！ (笠井)動かない方がいい｡ 君からも この女に 言ってくれないか？ おとなしく 『晩年』を渡すように｡ (笠井)長谷の文学館で その本と 対面したときは➡ 感動で 体が震えたよ｡➡ それから 毎日 毎日 再会できる日を 夢 見て➡ ここまで きたんだ｡ もう 二度と 離れる気はないよ｡ 何でだよ？ たかが 本で ここまですること ないだろ！ たかが？ この本は 他の本とは違う｡ 特別なんだ！ こんな 完璧な形で残ってるなんて 奇跡としか 言いようがない｡ その価値が 分からないなんて こっちの方が 理解に苦しむね｡ だからって 人から 無理やり 奪って いいっていうのか？ 別に いいんじゃないか？ この本にだって 書いてあるだろ｡ (笠井)｢自信モテ 生キヨ➡ 生キトシ 生クルモノ スベテ コレ 罪ノ子ナレバ｣ これは 僕のような人間を 祝福する言葉だ｡ 僕はね 本さえあれば 他には 何も いらない｡ 家族も 友人も 財産も｡ 名前だって いらない｡ だから たとえ どんな犠牲を払っても➡ 何年 何十年 かかったとしても➡ 絶対に この本が欲しいんだよ！ この女だって 僕と 似たようなもんさ｡ 同じ においがする｡ (栞子)私は あなたとは違います｡ (栞子)私には 古い本より 大切なことがあります｡➡ だから もう 終わりに するべきなんです｡ (栞子)たぶん 太宰は 誰かを励ますために➡ 本に メッセージを書いて 贈ったんです｡ なのに この本のせいで 私は ケガをしました｡ 70年の時を経て➡ この本は 太宰が 生きていたころとは 程遠い➡ 誰も幸せにならないものに なってしまった｡ この本が 全ての元凶なんです｡ だから…｡ 全てを 終わりにします｡ やめろ！ ♬～ ♬～ ああー！ (絶叫) んっ！ (笠井)あの 『晩年』 もともとは 僕の祖父の 持ち物だったんだ｡➡ 祖父は 熱心な 古書の コレクターだった｡➡ でも あるとき 会社の経営が 危うくなって➡ コレクションを 全て 売り払ってしまった｡ その中に あの 『晩年』も 入っていたんだ｡➡ あれだけは 命に代えても 手放すべきでは なかった｡ 気付いたら 祖父の代わりに あの 『晩年』を 取り戻すことが➡ 僕の使命だと 感じるように なっていったんだ｡➡ あの女は 僕と 同類だと思ってた｡ でも ただの 勘違いだった｡ あの女は 本に 愛情など 持ってなかったんだ｡ 篠川さんは 誰よりも 本を愛してる｡ 古書を愛する人間なら 絶対に 燃やしたりなんかしない！ たとえ どんな手を使っても➡ 自分の手元に 残そうとするはずだ｡ ≪(足音) どうぞ｡ さっき あの男に 面会してきました｡ 篠川さんは 本を愛していないって 言ってましたよ｡ どうしてでしょうか？ 『晩年』を燃やしたからだそうです｡ 篠川さん｡ はい｡ あのとき 燃やした本 あれ 偽物ですよね？ ♬～ ♬～ 篠川さん｡ 本物の『晩年』は 金庫の中に あるんじゃないんですか？ ♬～ ♬～ どうして 分かったんですか？ ふと 疑問に思ったんです｡ 僕が 危険を知らせる メールを 送ったのに➡ どうして 病院のスタッフに 助けを求めなかったんだろう？ どうして 人けのない屋上へ 逃げたりしたんだろうって｡ それで もしかしたら 全部 わざと やってたんじゃないかって｡ 篠川さんは 『晩年』を燃やすところを➡ あの男に 見せたかったんじゃないかって➡ そう思ったんです｡ でも ただ 呼びつけて 本を燃やしても➡ 不自然に 思われるだけです｡ だから あいつが 『晩年』の在りかを 突き止めて➡ 病院へ 奪いに来るように しむけた｡ 違いますか？ あなたは 『晩年』の復刻版を➡ 何冊か 持ってると 言ってましたよね？ 店に展示するものと ここで 燃やすものを➡ ２冊 用意していたんです｡ 店に出すものには➡ あえて いいかげんな偽装しか しなかった｡ 笠井さんや 志田さんに 偽物だと 見抜かせるためです｡ (志田)《復刻版じゃねえか》 本当の目的は｡ (笠井)《本物は➡ どこに 保管してあるんですか？》 あの男に➡ 本物の『晩年』の在りかを 質問させることだったんです｡ そして 読みどおり 僕は あいつに 情報を渡してしまった｡ 一方で あなたは 燃やす方の 復刻版には➡ 念入りな偽装を 施したんです｡ 紙を古びた感じに 加工して➡ 見返しに きちんと 太宰の直筆を まねて 書き込んで｡ あの男が いつ 来てもいいように 待ち伏せていた｡ でも そこへ 僕からの メールが 届いた｡ だから あなたは 屋上で あいつの到着を待ち➡ 何らかの方法で 屋上へと おびき寄せたんです｡ あのとき 僕らは 『晩年』が 本物だと➡ 完全に 信じこんでいました｡ 僕も あの男も あなたに すっかり だまされていたんです｡ だましたりして 申し訳ありません｡ いつから 分かってたんですか？ 笠井さんが 犯人だって｡ あの男から 送られてきた 脅迫メールです｡ ｢大庭 葉蔵｣？ 大庭 葉蔵というのは➡ 『晩年』の中に 収録されている 『道化の華』という 短編の➡ 主人公の名前です｡ えっ？ 犯人は 小説から取った 名前を➡ 偽名に 使っていたんです｡ まさか｡ (志田)《梶山 季之の➡ 『せどり男爵数奇譚』って 小説 知ってっか？》➡ 《主人公の名前が 笠井 菊哉ってんだよ》 そうなんです｡ 《あと これ 伝票類です》 あのとき 大庭 葉蔵と 笠井 菊哉が➡ 同一人物であることを 確信したんです｡ 何で？ 何で 一人で やろうとしたんですか？ 最初から 話してくれれば➡ 僕が 事情を 全部 分かっていれば➡ あんな 危険な目に遭わずに 済んだのに！ 何で 黙ってたんですか!? あなたは 本を読まないから➡ 私の気持ちが 分からないかもしれない｡ そう思ったんです｡ たかが 本のことだから｡ 《たかが 本のために 人を傷つけるなんて》 《たかが 本で ここまですること ないだろ！》 ♬～ あの｡ 本当に 申し訳ありま…｡ 謝らないでください｡ あなたの言うとおりです｡ 僕は 本を読まない｡ あなたの 本に対する思いも 何も分かっていない｡ 最低です｡ こんな男が 古書店で 働いてるだなんて｡ あっ｡ それは…｡ あなたの｡ あなたの 何よりも 大切にしているものを➡ ｢たかが｣だなんて 情けないです｡ ホントに 申し訳ありません｡ ♬～ ♬～ (志田)何か 空気が 妙に 張り詰めてんだよなぁ｡ (文也)そうかな？ (志田)お前➡ 何があったか 聞いてみろよ｡ (文也)えっ？ 嫌だよ｡ (志田)聞けって｡ なあ？ (文也)何で…｡ (志田)おう｡ おっとっとっとっと｡ 大丈夫か？ ああ｡ (志田)ねっ？ はい｡➡ ほら｡ チッ｡ ハァー｡ ハァー｡ ≪(戸の開閉音) いらっしゃいませ｡ (須崎)買い取り お願いしたいんですけど｡ こちらに ご記入ください｡ あの｡ (須崎)今日は 女性の店員さんは➡ いらっしゃらないんですか？ えっ？ (須崎)髪が短くて 物静かな｡ ≪いらっしゃいませ｡ 店主の 篠川です｡ (須崎)店主？ あなたが？ 何か？ いや｡ 別に｡ 一つ 聞いても よろしいでしょうか？ 何でしょう？ 足塚 不二雄の➡ 『UTOPIA 最後の世界大戦』は 幾らで 買っていただけますか？ 初版で 美本だとしたら？ 実物を拝見してみないと 分かりませんが➡ 100万単位の金額には なるかと思います｡ えっ？ そうですか｡ 『UTOPIA』を お持ちなんですか？ 駐車場 裏でしたよね？ あっ はい｡ ちょっと 移動してくるので その間に 本の査定 お願いします｡ それでは また 後で｡ で その後 ずっと 待ってたんですけど➡ 結局 戻ってこなかったんです｡ (藤波)確かに 持ち込んだ本を 置きっ放しで 帰っちゃうなんて➡ おかしいよね？ (亜弥)急に 気が変わったのかな？ (さやか)だったら 本を 持って帰るでしょう｡ (奈津実)単に いらない本を 処分したかっただけなんじゃない？ そのためだけに わざわざ うちまで 来たんでしょうか？ それに 篠川さんのことも 知ってるみたいだったんです｡ (志田)そうなのか？ いえ｡ お会いするのは 初めてです｡ (志田)どうも うさんくせえ野郎だなぁ｡ 本を置いていったのも 『UTOPIA』の話をしたのも➡ 何か 意味があるような気がします｡ (藤波)意味って どんな？ そこまでは 分かりませんけど｡ あの人は 私を待っているかもしれません｡ 私 本を届けに行ってきます｡ 届けるって 家まで？ はい｡ バカ 言うな｡ そんな簡単に➡ 見つかるわけねえだろ｡ そうですよ｡ そんなの 無理ですよ｡ 無理では ありません｡ でも 書きかけの住所以外 何も分かんないんですよ｡ それだけあれば 十分です｡ きっと 見つけられると思います｡ ♬～ そんなに 珍しいんですか？ 『UTOPIA』って｡ ３年前までは 現存するのは 10冊ほどと いわれていました｡ えっ？ たった 10冊!? マニアの間でも 幻の１冊とされていたそうです｡ じゃあ 作者は 有名な人なんですね？ 足塚 不二雄は 藤子･Ｆ･不二雄と 藤子 不二雄 Ａの➡ デビュー当時の ペンネームです｡ そうだったんですか｡ 足塚という名字は 手塚 治虫に ちなんで 付けられたそうです｡ 手より 足の方が➡ ずっと 下にあるという 意味だそうですよ｡ へえー｡ その後 ２人は➡ 藤子 不二雄という名義で 作品を 発表するようになりました｡ ここで 止めてください｡ 歩いて 回る気ですか？ その足じゃ 無理ですよ｡ ああ｡ 大丈夫です｡ いやいや｡ 大丈夫じゃ…｡ あっ｡ ちょっと｡ ちょっと 待ってください｡ ♬～ あのう｡ やっぱり 僕が捜しますから➡ 篠川さんは 車…｡ ここです｡ えっ？ この部屋の中に あの人が いるはずです｡ えっ？ えっ!? ♬～ 須崎さんですね｡ 先日 お預かりした 本のことで 伺いました｡ どうぞ｡ お入りください｡ ぜひ 聞いてほしい話が あるんです｡ 失礼ですが 何の話でしょうか？ もちろん…｡ 『UTOPIA』のことですよ｡ どうやって ここ 突き止めたんですか？ えっ？ 一軒一軒➡ 訪ね回ったわけじゃ ないですよね？ 須崎さんが 持ち込まれた 本ですが➡ どれも 背が焼けていて 天に ほこりが かぶっていました｡ おそらく 強い日差しを浴びる 本棚に➡ 長い間 並べられていたんでしょう｡ それに どの本にも 油のにおいが 染み付いていました｡ ということは 揚げ物や 炒め物の においが 届いてしまう場所｡ キッチンに 置かれていたんじゃないかと｡ 換気が行き届かないことを 考えると➡ 古い建物の可能性が 高いです｡ ですから➡ 西に向いた 大きな窓があって 薄いカーテンが かかっていて➡ 日差しが差し込む位置に 本棚が 置いてある家を 捜したんです｡ じゃあ あのときも きっと そうだったんだな｡ あのとき？ あなたに 見ていただきたいものが あります｡ うわー！ すっげえ！ 先日 他界した 父のコレクションです｡ 父は 藤子 不二雄の デビュー当時からの➡ 熱烈なファンで 作品を 収集するのが 生きがいでした｡ うわっ｡ 『コロコロコミック』だ｡ 昔は 他の雑誌や➡ 別冊付録なんかも たくさん ありました｡ [TEL] ちょっと 失礼します｡ はい｡ [TEL] ここにある 漫画を 全て ビブリア古書堂に➡ お売りしたいと思っています｡ えっ？ 値段は そちらの言い値で 構いません｡ どうして うちに？ これが 私の あなたの お母さんへの気持ちです｡ 見つかった？ ホントに 家 捜し当てたのか？ で 男の目的は 何だった？ やっぱり 栞子ちゃんを 待ってたわけ？ [TEL]いや｡ それが 全然 分かんないんですよ｡ (須崎)ただ １冊だけ お譲りできない本があります｡ ♬～ 本当に お持ちだったんですね？ この本だけは 父の形見として 持っておこうと思います｡ 中を 拝見させてもらっても よろしいでしょうか？ もちろんです｡ どうぞ｡ ♬～ これは…｡ うちの店で お売りしたものだったんですか？ はい｡ 私の父が 昔 ビブリア古書堂で 買ったものです｡ (須崎)父が ずっと 探し求めていた➡ 『UTOPIA』が 初めて 売りに出されたのは➡ 私が 10歳のときでした｡➡ とても 手の出せる 金額では なかったようですが➡ 父は 一目でいいから 本物を見てみたいと言って➡ 東京へ 出掛けていきました｡➡ ところが 店に着いてみると➡ 本は 何者かに 万引された後だったとかで➡ ひどく がっかりして 帰ってきました｡➡ 長年 恋い焦がれてきた本に あと 一歩のところで➡ 対面できなかったことが よほど ショックだったんでしょう｡➡ しばらく ふさぎ込んでしまって➡ 酒ばかり 飲んでいたのを 覚えています｡➡ それから ２週間ほど たったころでしょうか｡ 父が 気分転換に ドライブに 行こうと 言いだしました｡ それで いらなくなった 本を売って➡ 食事代の足しに することになったんです｡➡ 私は うれしくなって 押し入れから➡ 段ボール箱を 引っ張り出して 本を詰めるのを 手伝いました｡➡ 父は 私を 車の中で待たせ 一人で 店に入っていったんですが➡ すぐに 慌てた様子で 戻ってきました｡➡ その手に握られていた 本を見て 私は 言葉を失いました｡➡ なぜなら それが 『UTOPIA』だったからです｡ まさか 幻の１冊といわれた本が 2,000円で 売ってるなんて｡ 興奮した父は 持ち込んだ 本のことを すっかり 忘れて➡ 店を 飛び出してしまったんです｡ ビブリア古書堂の店主は この本の価値のことを➡ 知らなかったんでしょうね｡ 結局 父は 運転どころでは なくなってしまい➡ ドライブは 中止になりました｡ 借りた車を 返しに行ってる間➡ 私は ここで 留守番を していたんですが そのとき｡ ≪(チャイム) (須崎)誰かと思い ドアを開けると｡ (智恵子)《お忘れになった本を 届けに来ました》 《これ 書いたの あなたの お父さん？》 (須崎)父は 昨日の私と 同じように➡ 買い取り票に 住所を 途中まで 書いたところで➡ 本を置いて 帰ってしまったんです｡ それなのに あなたの お母さんは この部屋を 突き止めて➡ わざわざ 本を届けてくださった｡ なぜ そんなことが できたのか➡ いくら 考えても 分からなかったんです｡ そのことが どうしても 気になって➡ 本の買い取りを 口実に｡ (須崎)《今日は 女性の店員さんは いらっしゃらないですか？》 《髪が短くて 物静かな》 ≪《いらっしゃいませ》 (須崎)あなたが 出ていらしたとき 一瞬 お母さんかと思いました｡➡ よく 似ていらっしゃるから｡ ひょっとしたら あなたなら➡ あのときと 同じことが できるかもしれないと➡ つい 感傷じみた まねをしてしまったんです｡ 笑わないでくださいね｡ あなたの お母さんは 私の初恋の人なんです｡ ♬～ (須崎)程なく 帰宅した父に 彼女は 経緯を説明し｡ (智恵子)《買い取り票の 住所を 頼りに➡ どうにか ここまで たどりつくことができました》 《本を お返しできて よかったです》➡ 《さっき 息子さんに 見せていただいたんですが➡ 須崎さんは 素晴らしい ｺﾚｸｼｮﾝを お持ちなんですね》➡ 《私 『UTOPIA』のことで 分からないことがあるんです》➡ 《ぜひ 教えていただけませんか？》 (須崎) 藤子 不二雄マニアというのが➡ まだ 数少なかった 時代ですから➡ 父から 知識を 得ようとされたんでしょう｡➡ それから ２人は 長いこと 話をしていました｡➡ 大人同士の話だからと 私は 追い出されてしまいましたが｡➡ お母さんは 勉強熱心な方だったんですね｡ それで 父は コレクシｮンの一部を ビブリア古書堂に 売ったんですよ｡ 父が コレクションを手放すなんて めったに ないことなんです｡ きっと あなたの お母さんの 善意が うれしかったんでしょう｡ 善意？ はい｡ 後になって➡ ビブリア古書堂の店主は 善意の｡ ああ｡ 何とかだって｡ 善意の第三者｡ あっ｡ そうそう｡ そう言ってました｡ どうかしたんですか？ あっ｡ いえ｡ 見せていただいて ありがとうございました｡ それから お父さまの コレクション｡ 喜んで 買い取らせていただきます｡ ありがとうございます｡ ここまで 本を届けさせた おわびと➡ 父に 『UTOPIA』を 売ってくださったことへの➡ お礼です｡ どうぞ お持ちになってください｡ ♬～ すてきな人だったんですね｡ 篠川さんの お母さんって｡ それ 持ってきたんですか？ 許可は 頂きました｡ これは 回収しないと いけなかったんです｡ えっ？ こんな値札を 付けるなんて➡ 信じられない｡ もう 昔の話じゃないですか｡ 値付けに 失敗したからって｡ そうじゃありません｡ これは そういうことではないんです｡ どういうことですか？ 篠川さん？ 何か 変ですよ｡ お母さんのことで 何か あるなら…｡ やめてください！ 母のことは 話したくありません！ あっ｡ すいません｡ 余計なこと 言いました｡ じゃあ 帰りますね｡ それじゃ また あした｡ 待ってください！ 私の 古書に関する知識は 全て 母に教えこまれたものです｡ もちろん 古書漫画についても 同じです｡ その母が 『UTOPIA』を 2,000円で 売るなんて➡ 絶対に あり得ません｡ それに この値札 不自然なんです｡ えっ？ うちの店では 函のない本には➡ 値札を のり付けすることに なってますよね？ ああ｡ 確かに｡ でも これは ただ 挟んであっただけでした｡ 私には あの本が うちの棚に 並んでいたとは➡ どうしても 思えないんです｡ でも…｡ 須崎さんから 聞いた話によると あの人は➡ 父親が 『UTOPIA』を買ったところを 見たわけではありません｡ ただ 本を持って 店から 戻ってきた姿を 見ただけです｡ 状況から 考え合わせると 本の 出どころは 一つしか ありません｡ 須崎さんの父親が うちに持ち込んだ 本の中に➡ 『UTOPIA』が 紛れ込んでいたんです｡ もともと 持っていたってことですか？ おそらく 手に入れたのは その何週間か 前のことです｡ でも それを隠さなければならない 理由があったんです｡ 理由？ 須崎さんから 聞いたんですが｡ (須崎)《ところが 店に着いてみると➡ 本は 何者かに 万引された後とかで》 万引？ あっ！ これから 話すことは 全て 私の臆測です｡ 須崎さんの父親は 東京まで 『UTOPIA』を 見に行きました｡ 子供のころから 恋い焦がれていた 幻の１冊を 前にして➡ どうにも 衝動を抑えきれずに 手を出してしまったんでしょう｡ もちろん 彼は 強い罪の意識に さいなまれました｡ しばらくは ふさぎ込み➡ お酒を飲んでも 気が晴れませんでした｡ 盗んできた本は➡ 押し入れの 段ボール箱の底に 隠してあったんだと思います｡ おそらく その段ボール箱に➡ 須崎さんが 売りに行く本を 重ねて 入れてしまったんです｡ 彼は 母が 『UTOPIA』を 取り出すのを見て➡ きっと 心臓が止まるほど 驚いたはずです｡ 《足塚 不二雄さんの 『UTOPIA』ですね？》➡ 《初めて 見ました｡ あっ｡ でも この間➡ 古書店から 盗まれたって 新聞に載ってましたよ》 《ご存じですか？》 取り乱した 父親は 大事な本を抱えて➡ 慌てて 店から 逃げ出したんです｡ 買い取り票には 住所を 途中まで 書いただけだし➡ 身元が分かることはないと 高を くくっていたんでしょうね｡ ところが あっさり 居場所を 突き止められてしまった｡ ええ｡ 母の目的は 本を届けることでは ありませんでした｡ 《私 『UTOPIA』のことで 分からないことがあるんです》 《ぜひ 教えていただけませんか？》 教えてほしいというのは➡ 全てを 白状しろという 意味だったんでしょう｡ わざわざ 須崎さんを 外に出したのは➡ 子供に 聞かせられる話では なかったからです｡ きっと 父親に対して 厳しい要求を 突き付けたんだと思います｡ 『UTOPIA』を 渡せとか？ 盗品を売買するのは リスクが 高いので➡ それは 避けたでしょう｡ じゃあ…｡ 『UTOPIA』のことを 黙っている代わりに➡ 他のコレクションを渡せと 言ったんです｡ えっ？ あの部屋にあった コレクションには➡ あまり 古いものは ありませんでした｡ それに｡ (須崎)《昔は 他の雑誌や➡ 別冊付録なんかも たくさん ありました》 1960年代までは 月刊漫画誌の 付録として➡ 別冊の漫画が 付くのが 普通でした｡ それらは 当時でも 相当な高値が 付いていたはずです｡ まさか｡ はい｡ 母が 全て 引き取っていったんだと思います｡ もちろん 須崎さんの父親は 抵抗したはずです｡ だから 説得の切り札として➡ 母は その値札を 書くことにしたんです｡ どういうことですか？ 五浦さん｡ 善意の第三者の意味を 知っていますか？ (須崎)《ビブリア古書堂の店主は 善意の》 《善意の第三者》 いいえ｡ 例えば うちに➡ 盗品が 持ち込まれたとします｡ 私が そうとは知らずに 買い取って➡ 他の客に 売ったとしても 罪にはなりません｡ 事件のことは 何も知らない 第三者ですから｡ それを 民法上では 善意の第三者と 呼ぶんです｡ それで？ もし その値札が➡ 本物と見なされた場合 『UTOPIA』を うちに売った人間が➡ 他にいるということに なるんです｡ つまり 母は 架空の犯人を つくりあげたんです｡ 私の母は そういう人なんです｡ ♬～ いなくなったんです｡ 10年前に｡ えっ？ 理由は 分かりません｡ ホントに ある日 突然➡ 何も言わずに 消えてしまったんです｡ 最後に見た母は いつものように ここに座って➡ コーヒーを 飲みながら 本を読んでいました｡ 気が付くと カップと 本だけが 無造作に 残されていて➡ 何だか ふと 用事を思い立って ふらっと 出掛けただけみたいな➡ そんな感じでした｡ すいません｡ 言葉が出なくて｡ いいんです｡ もう 諦めましたから｡ ♬～ 五浦さん｡ この間は 傷つけてしまって ホントに ごめんなさい｡ これからは あなたのことを 信じます｡ だから｡ だから 許してもらえませんか？ 謝らないでください｡ ここで働かないかって 誘われて 一緒に 古書にまつわる➡ 謎を解いて それだけで 何となく➡ 分かり合えたと思ってた 僕の方が 悪いんですから｡ それは…｡ ああ｡ 今のは 皮肉でも 何でもなくて｡ 信用されなくて 当たり前なんですよ｡ だって 僕は あなたにとって 一番 大切な本のことを➡ 何も 分かろうとしなかったんだから｡ だから 僕も 努力します｡ そして いつか ちゃんと 本が 読めるようになりたいんです｡ 五浦さんが 本を 読めるようになったら➡ 私も うれしいです｡ ♬～ ♬～ ♬～ おっ｡ 今日は 早えな｡ ええ｡ 昨日 買い取った漫画を 早く 店頭に出したいんで｡ そうか｡ ウフフ｡ フッ｡ フフフ｡ フフフフ｡ 何ですか？ いや｡ 頑張れよ｡ いってらっしゃい｡ おう｡ おはようございます｡ おはようございます｡ どうですか？ 取りあえず ざっと 並べてみました｡ もう少し メジｬーなものを 中心に 置いた方がいいんでしょうか｡ 思い切って スペース 広げてみますか？ ああ｡ そうしましょう｡ はい｡ メジャーっていうと どの辺ですかね？ うーん｡ そうですね｡ 『怪物くん』なんか どうですか？ ああ｡ いいですね｡ ねえ｡ あっ｡ 『エスパー魔美』もある｡ ああ｡ 女の子に 受けそうです｡ はい｡ ♬～

花子とアン＃136

1 (蓮子)私は 時代の波に 平伏したりしない｡ 世の中が どこへ向かおうと➡ 言いたい事を言う｡ 書きたい事を書くわ｡ あなたのように ひきょうな生き方はしたくないの｡ (花子)私たち… 生きる道が違ってしまったわね｡ さようなら｡ お元気で｡ ♬｢これから はじまる｣ ♬｢あなたの 物語｣ ♬｢ずっと長く 道は続くよ｣ ♬｢虹色の雨 降り注げば｣ ♬｢空は 高鳴る｣ ♬｢眩しい笑顔の奥に｣ ♬｢悲しい音がする｣ ♬｢寄りそって 今があって｣ ♬｢こんなにも 愛おしい｣ ♬｢手を繋げば 温かいこと｣ ♬｢嫌いになれば 一人になってくこと｣ ♬｢ひとつひとつが あなたになる｣ ♬｢道は 続くよ｣ 蓮子と決別したまま➡ 花子は ﾗｼﾞｵのおばさんを 続けておりました｡ 全国のお小さい方々 ごきげんよう｡ ｢ｺﾄﾞﾓの新聞｣のお時間です｡ まず 初めのお話は 元気なお年寄りのお話です｡ ｢今年 84歳におなりの おばあさんが➡ 大阪から飛行機に乗って 東京においでになりました｡➡ 『飛行機は 怖い』というような 臆病な事は言わないで➡ 『東京見物には 飛行機で行きましょう』と➡ 息子さんに勧め…｣｡ (宇田川) 相変わらず なまぬるいわね｡ 大陸の戦場では 日本兵が 命懸けで戦ってるっていうのに｡ おばあさんが 飛行機に乗った話なんか➡ どうでもいいじゃないの｡ (漆原)全く同感です｡ 村岡先生は 戦争の話を殊更 避けるので➡ 我々としても困ってるんですよ｡ まあ ｢みみずの女王｣らしいっちゃ らしいけど｡ ｢みみずの女王｣？ いえ 何でもありません｡ 参りましょう｡ お年寄りでも こんなに お元気な事を伺いますと➡ 私たちも もっともっと 元気よく致したいと思いますね｡ 私は ペン部隊の一員として➡ 我が皇軍将兵の勇戦敢闘ぶりを➡ この目で しかと見てまいりました｡ 私は 心の中で叫びました｡ ｢遠き故国 日本の母よ！ 姉よ｡ はたまた 恋人よ｡➡ あなた方の慈しんだ人たちは 今➡ 破竹の勢いで 猛進撃を続けております！➡ これを あなた方がご覧になれば➡ きっと 涙にむせびつつ➡ 同時に 誇らしく思われる事で ありましょう｣と！ (宇田川) ｢不肖 この宇田川満代は➡ 一人でも多くの銃後の方々に このお話を➡ たとえ 年を取って 腰が曲がろうとも➡ 語り伝える事でありましょう｣｡ 宇田川先生…｡ ｢それこそが ペン部隊の一員たる 私の果たすべき➡ 究極の任務なのでございます！｣｡ 宇田川先生｡ 本日は 誠にすばらしい講演を ありがとうございました｡ 戦地での日本軍将兵の活躍が 目に浮かぶようでしたよ｡ 興奮しました｡ あら｡ 宇田川先生｡ 日本にご帰国なされてたんですね｡ ご無事で何よりです｡ 無事に決まってるでしょう｡ 兵隊さんが命を張って 私を守ってくれたんですもの｡ はあ…｡ ちょうどいいわ｡ これから 私の帰国を祝う会があるの｡ あなたも来るでしょ？ えっ…｡ (長谷部)乾杯！ (一同)乾杯！ (拍手) (醍醐)実際に戦場に立つと やっぱり違うんでしょうね｡ 当然でしょう？ 着いたそばから 砲撃の爆風で ぶっ飛ばされかけたわ｡ そのうち どこでも 原稿が書けるようになったわ｡ 戦闘地帯の真っただ中で 書いた事もあるわね｡ 銃撃戦の最中に…｡ (黒沢) 男でも 戦地のすさまじい状況を 目の当たりにすれば➡ ひるみそうなところを 女である先生が…｡ 感服致しました｡ 宇田川先生を推薦して よかったわ｡ やっぱり ご自身の目で 実際に見た方の言葉は➡ 説得力が違うわね｡ ますます 戦地へ行って 自分の目で確かめたくなったわ｡ 醍醐さん…｡ お嬢様のあなたに 耐えられるかしら？ 実際の戦地は 内地で聞いて想像するのとは➡ 悲惨さが全く違うわよ｡ そうなんですか…｡ 例えば におい｡ 爆薬や硝煙のにおい｡ それから… 人の命が燃え尽きるにおい｡➡ あの においには 最後まで慣れなかったわね｡ ところで 蓮子さんは 今日は いらっしゃらないんですか？ お誘いは したんですけれど…｡ しかたないでしょう｡ あの方は 私たちとは違うお考えを お持ちのようだから｡ はなさん｡ 蓮子様とは ずっと連絡を取ってないの？ ええ｡ (かよ)お姉やん｡ 手紙くらい書いたらいいのに｡ いいのよ｡ (梶原)実は うちも しばらく➡ 翻訳物の出版は やめる事にしたんだ｡ そうですか｡ 童話も近々 やめざるをえないかもしれない｡ 最近は 戦争漫画や戦記物 それに 実用書ばかりが売れていてね｡ 夢のある物語は ぜいたく品なんでしょうか…｡ これから ますます 世の中に夢を送り出す商売は➡ 成り立たなくなっていくのかも しれないね｡ (戸の開閉音) 富士子… どうしたの？ (富士子)お母様… お母様！ どうしたの？ 何があったの？ お母様… お父様は 悪い事してないわよね？ 国賊なんかじゃないわよね!? お父様が 憲兵さんに連れていかれたのは➡ 国賊だからだ 銃殺になれって 石を投げられたの…｡ けがは？ けがはない？ 憲兵隊で取り調べを受けた龍一は 釈放されましたが➡ 世間からは 白い目で見られたままでした｡ 富士子｡ お父様は お国を平和にするために 働いているのよ｡ 悪い事してる訳じゃないわ｡ 本当？ ええ｡ お父様のなさっている事は 勇気のある行動なのよ｡ だから もう泣かないで｡ ほら｡ (戸が開く音) ≪(龍一)ただいま｡ 富士子 どうした？ (純平)お父様｡ 富士子に謝って下さい｡ お父様のせいで 富士子が いじめられているんです！ 純平｡ 富士子だけじゃない｡ お母様やおばあ様だって➡ お父様のせいで 近所の人たちから 悪く言われているんです！ お母様とおばあ様にも 謝って下さい｡ 俺は 間違った事を 言っているつもりも➡ しているつもりも ない｡ 一日も早く 戦争は 終わらせるべきだ｡ それが お前たちのためでもあるんだ｡ 僕たちのため？ ああ｡ そうだ｡ 僕の将来の夢は あなたのせいで断たれたんです！ やめなさい 純平！ この人のせいで➡ 僕は 士官学校の受験を 諦めざるをえなかったんだ！ あなたが日本を裏切って➡ 敵と妙な取り引きを 企てたりするから｡ 人を殺すために…➡ 戦地で無駄死にさせるために お前を育ててきた訳じゃない！ お国のために命をささげる事は 無駄なんかじゃありません！ ２人とも やめて下さい！ 龍一さん｡ 純平｡ 純平！ (泣き声) (浪子)蓮子さん｡ 申し訳ないね…｡ 私には 龍一の考えてる事が さっぱり分からない｡ お義母様…｡ あんな息子に尽くしてくれて ありがとうね｡ 蓮子さん｡ あんたが このうちに来たばっかりの頃は➡ とても長続きなんか しないだろうって思ってたけど➡ あんな息子を支えて よく働いて…｡ ちゃんと 孫を立派に育ててくれて…｡ あなたは いい嫁だよ｡ 龍一の事を… 見捨てないでやって下さいね｡ お願いします｡ お義母様｡ ええ｡ この年の９月 ﾋﾄﾗｰ率いるﾄﾞｲﾂ軍の ﾎﾟｰﾗﾝﾄﾞ侵攻を契機に➡ ｲｷﾞﾘｽ ﾌﾗﾝｽなどの連合軍が ﾄﾞｲﾂに宣戦を布告｡ 第二次世界大戦が 始まっておりました｡ (ｽｺｯﾄ)Hana. ｢ANNE of GREEN GABLES｣｡ 花子は ついに あの本に出会いました｡ ごきげんよう｡ さようなら｡ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒９月４日木曜日の 「あさイチ」です。 もうこれは、きましたね。 「赤毛のアン」。 これからくるわけですね。 先生から、ああやって渡された んですね。

花燃ゆ＃20

1 (玄瑞)お選び下さい｡ 松浦亀太郎の死を➡ 過ちを犯した 一介の魚屋の死として 葬るんか｡ それとも この長州のために 命をなげうった志士の死と➡ 認められるんか｡ もしも お前たちを選んだら？ この久坂玄瑞が 長州を 背負って立つ覚悟にございます！ 今更 何を言われるか!? 藩是として掲げてきた公武合体を 廃し➡ 破約攘夷に転ぜよなどと 正気の沙汰にあらず！➡ ご公儀に刃を向け 方々は お家を潰すおつもりか！ 日本国がなくなれば➡ もとより ご公儀も毛利家もありませぬ｡ 今こそ 破約攘夷を掲げ 広く諸藩に呼びかけて➡ 決然と 異国を 払う時なのでございます！➡ ご決断を｡ 破約攘夷とは➡ 井伊大老が天皇の許しを得ずに 結んだ不平等条約を➡ 破棄するという事である｡ 長州藩は 公武合体から破約攘夷へ 大きく かじを切った｡ 久坂の謹慎も解かれた｡ そして この男が 上海から帰ってきた｡ (雅)わあ すごいですねえ！ お文｡ そんな隅におらんで｡ ほら｡ (文)いや あの…➡ こちらのお屋敷には 来るなと言われていて…｡ 私が招いたんです｡ 誰にも文句など言わせません｡ ねっ 見て｡ 手拭いに刺繍が入っちょる｡ (晋作)それは ｽﾜﾄｳっちゅう所の ﾊﾝｹﾁｰﾌじゃ｡ ﾊﾝｹﾁｰﾌ…？ お前には これじゃ｡ 晋様｡ 雅は こっちが ようございます｡ ﾋﾟｽﾄﾙか…｡ 西洋人は こねぇにちさい鉄砲を 持ち歩き➡ 身を守ったり 時には 果たし合いもする｡ こねなふうに｡ (小忠太)晋作！ お前 長崎で船を買うたというんは まことか!? (雅 文)船？ 届きましたか｡ たわけ！ 届いたんは勘定書じゃ！ 軍艦１隻 勝手に買いおって！ お前は 長州藩を潰す気か！ すまんかったのう｡ お文｡ 俺は このまま 京へ向かう｡ 京へ？ 殿に上海の報告をせにゃならん｡ 久坂に 何か伝えておく事はあるか？ あっ… ｢ご無事で｣と｡ それから ｢たまには 手紙を下さい｣と｡ 伝えておく｡ 雅を頼む｡ 急がんにゃ…｡ もはや 一刻の猶予もならん｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ ♬｢愚かなる 吾れのことをも｣ ♬｢友とめづ人は わがとも友と｣ ♬｢吾れをも 友とめづ人は｣ ♬｢わがとも友と めでよ人々｣ ♬～ ♬｢吾れをも 友とめづ人は｣ ♬｢わがとも友と｣ ♬｢めでよ人々｣ ♬｢燃ゆ｣ ♬～ ｽﾜﾄｳ ｽﾜﾄｳ…｡ 何かに書いてあったんやけど…｡ あっ あった｡ (物音) 誰？ (滝)稔麿さんが京へ｡ (ふさ)手紙が来たんです｡ 久坂さんたちと一緒におるから 心配するなって｡ (亀) それは ようございましたねえ！ それ 何でございますか？ ｽﾜﾄｳとかいう所の刺繍だそうです｡ こねな細工ができたら 高う売れるんじゃなかろうかって｡ ねっ｡ …で あれは 何ですか？ すみませんね｡ 内職の お手伝いなど させてしもうて｡ お気遣いなく｡ 旦那様が京にたち➡ 舅殿の愚痴が いささか うるそうなりましたので｡ (小声で)ここのところ ずっと入り浸りで｡ (寿)ごめんくださいませ｡ 寿｡ どねぇしたんです？ 血相変えて｡ 篤太郎が お邪魔しておりませんか？ あの…｡ 篤太郎｡ なぜ こねな所におるんです？ 聞けば 近頃➡ 明倫館にも行っとらんというでは ありませんか｡ 学問は 何のためにするんですか？ 何ですって？ ｢学を言うは 志を主とす｣｡ 伯父上の言葉を目にして以来 ずっと考えてきたんです｡ 答えも また 伯父上の 書かれたものにあるかもしれんと｡ この家は 退屈しないこと！ 寅兄様が ここで塾を始める時 記したものです｡ (篤太郎) ｢学は 人たる所以を学ぶなり｣｡ これは 貸してあげます｡ ほかに読みたいものがあれば それも｡ 明日になったら 母上のところに お戻りなさいね｡ はい｡ (敬親)いま一度 申してみよ｡ 清国が列強に食い荒らされる様は 想像を絶しております｡ その文明も 我々の思惑を はるかに超えております｡ 破約攘夷を掲げただけでは 足らんと申すか｡ 攘夷 まことに結構｡ しかしながら そのために 幕府を動かし➡ 国を一つになどと 悠長な事を言うておっては➡ とても間に合いませぬ｡ 悠長…｡ (晋作)一刻も早う 軍備を固め➡ 長州 ただ一藩なりとも 立ち上がり➡ 目の前の敵を打ち払わねば！ 殿の御前で 藩是に けちをつけるとはの｡ (晋作)お前らは 異国を知らん｡ はっ 早速 自慢話か｡ 俺も知らんかった｡ 清国は もう しまいじゃ｡ 居留地への橋を渡るのに 清国人は 金を払わされるんじゃ｡ 自分の国を歩くのにぞ？➡ ささいな事で殴られ蹴られ ただ 異人に従わされ…｡ お前が上海に行っとる間➡ 我らは同志を募り 決死の思いで長井を倒そうとした｡ そのために亀太郎は死んだ｡ (稔麿)私も 松陰先生が死に 亀太郎が死に➡ この死を 決して むだにしてはいけんと➡ それで戻ってきたんです！ (玄瑞)今は 足元を固める時じゃ｡ そのためには まず 朝廷に働きかけ 幕府を動かす｡ つまらん｡ 何じゃと？ お前の考えは つまらん｡➡ 何も狂うてはおらん！ そねな ありきたりなやり方で 攘夷がなると思うか？ 高杉！ 亀太郎を殺したんは お前じゃ｡➡ お前のつまらん やり方が 亀を追い詰めたんじゃ｡ [ 回想 ] (亀太郎)あんたは こねなところで 死んじゃいけん｡ ああ～！ 辰路さん｡ 旦那さん 待ってはりますえ｡ へえ じきに｡ おねえさん あれは どちらさんどす？ 長州のお人どすなあ｡ 確か… 久坂…｡ 長州の久坂さん…｡ わしには分からん｡ 破約攘夷を是と掲げて まことに それでよいものであろうか…｡ (伊之助)おそれながら｡ 異国の言うなりで結んだ 条約のために➡ 民は 苦しんでおります｡ 今 条約を破棄するは 民のため｡ 何より 天子様も それを望まれております｡ その方 わしのそばで働いてみぬか？ ありがたきお言葉｡ ですが その前に➡ 私を岩国 長府の支藩へ やっては下さいませぬか｡ 我ら 萩本藩だけでなく➡ すべての支藩に 破約攘夷を徹底させ➡ 強く助力を仰ぐ所存でございます｡ お主にできるか｡ 必ずや｡ そうせい｡ はっ！ 時々 寅の言葉が聞きとうなる｡ お殿様が寅兄の？ ええ｡ (百合之助)折に触れ 殿は➡ ｢寅次郎の言葉が聞きたい｣｡ そう 仰せだそうじゃ｡ ほら｡ それでね 思いつきましたの｡ お殿様に 松陰先生の本を 献上してはどうかと｡ 寅兄様の…｡ (梅太郎)早速 写本する事にした｡ 敏三郎 大役だぞ｡ それに もし この先 寅の本が 明倫館の公認ともなれば➡ 吉田家再興も夢ではない！ また思いつきました！ お殿様から じかに言うて頂くんです｡ 松陰先生の本を皆で学ぶようにと｡ 殿様の命とあらば 誰も 文句は申しますまい｡ いや さすがに それは…｡ 寅兄の事が世に広まるんは うれしいけど｡ でも お殿様の命令で 皆に読めというんは➡ 何か違うような…｡ (滝)そうですねえ｡ 寅兄の言葉は➡ 誰より それを求める人に 触れてほしいんです｡ 篤太郎のように｡ お父上のように｡ 父上？ 知ってますか？ 父上は 一日の終わりに➡ 必ず 寅の本を広げます｡ まことに？ 姿はなくとも 寅は子です｡ 子を知りとうて 父は 書をめくるんです｡ そうして 会うておられます｡ 兄上と…｡ お前の言うとる事は分かります｡ でも 雅様も きっと そねなふうに➡ もっと大勢の方たちに 寅と出会うてもらおうと➡ そう思うて下さってるんですよ｡ はい｡ 時々 しゃくに障るけど…｡ (笑い声) そのころ 京の久坂は 破約攘夷を遂行すべく➡ 朝廷側に掛け合っていた｡ 三条公におかれましては ぜひ 天子様のご意向を伺い➡ 幕府に 攘夷の実行を迫られたく…｡ おかしいじゃろう｡ 三条様は なぜ 料理に 手をつけようとなさらん？ それどころか ひと言の口も利かん｡ さあ…｡ うちとこの おもてなしに➡ なんぞ やぼな点でも ありましたんどっしゃろか？ (辰路)お で き｡ 三条さん 口の中に よう できもん こさえはるて聞いた事あります｡ 今日も それと違いますやろか｡ お前…｡ 女将｡ ナスと梅干しはあるか？ ♬～ (三条実美)おっ｡ 楽になった｡ ああ 楽になったわ｡ それは ようございました｡ 梅干しと ナスのへたの焼いたので こない楽になるとは｡ (前原)久坂は もともと医者です｡ 江戸で学んだ事もあります｡ 仲間内からは 医者坊主と呼ばれておりました｡ ﾎﾎﾎﾎﾎ…｡ ２日もすれば治りましょう｡ ほな ２日後 改めて 話 聞かしてもらいまひょか｡ 天子様のご書状を 江戸にお届けする話➡ やぶさかやない｡ まことでございますか！ ﾎﾎﾎﾎﾎﾎ｡ (辰路)やぼなお話は それくらいにして｡➡ よろしゅうおしたな｡ 高うつきますえ｡ えっ？ そっちは 江戸か｡ 長井様は…｡ 萩じゃ｡ 帰国し謹慎せよとのご下命じゃ｡ それは まことに…｡ 覚えておけ｡ お主らは お家ごと 破滅へ突き進む道を選んだんじゃ｡ 勝てるか？ 異国に｡ あの強大な文明に｡ 娘に土産を探さねば｡ 吉田松陰を江戸表へ突き出したと わしを恨むか？ 恨め｡ それでこそ➡ 惜しみなく お役を生きたかいが あろうというもの｡ 悔いはない｡ 一方 伊之助は➡ 久坂が通した破約攘夷の藩是を 徹底させるべく➡ 支藩の岩国を訪ねていた｡ 長州藩では 藩主 毛利家の一族に 領地が分け与えられ➡ 長府 徳山 清末 岩国という ４つの支藩が置かれていた｡ (吉川経幹)破約攘夷…｡ (吉川)残念じゃが｡ 我らは 萩の毛利家には 到底及ばぬ 弱小の家｡ ご公儀に盾つくような破約攘夷に 従うなど 考えられん｡ お待ち下され！ 椋梨様…｡ 岩国に親戚がおっての｡ お主が岩国侯をお訪ねしていると 聞いて立ち寄った｡ あまり 岩国侯を困らせてはならぬぞ｡ なれば 岩国侯にも よい話を｡ おそれながら 吉川家は代々➡ 毛利家の支藩の中で 一番下の 家格に甘んじておられます｡ (吉川)ぶ… 無礼な！ それを引き上げると 敬親様が仰せられたら？ 家格を上げると…？ (剛蔵)椋梨が？ 幸い 岩国侯は こちらの条件で 破約攘夷に同意した｡ じゃが 長府藩は ままならぬ｡ [ 回想 ] 我が殿は ご気分がすぐれぬという事で➡ 目通りは かなわん｡ 日を改められよ｡ あれも 椋梨殿の差し金やもしれぬ｡ ええか？ お前は 長府藩を説得し➡ 仲間を増やす事じゃ｡ 兄上は どうなさる？ これから 江戸じゃ｡ 少々暴れてみたいと思うとる｡ ｢久坂殿｡ 長府侯を動かす事 いささか難儀致し候｡➡ しかし 『黄霧四塞すと雖も 蒼天なきに非ず』｡➡ 寅次郎の この言葉を信じ 必ず 藩を一つにせんと候えば➡ 伏して 久坂弟にお願い致したき儀 これあり候｣｡ ｢蒼天なきに非ず｣…｡ いかに霧に覆われようと その上に青空はあり…｡ 同じ頃 篤太郎が友と塾を訪れていた｡ (栄之進)小田村｡ わしは このくだりが好きじゃ｡ ｢志士とは 志達ありて 節操を守る士なり｣｡ わしもじゃ｡ ｢節操を守る士は 困窮するは もとより 覚悟の前にて➡ 早晩も飢餓して➡ 溝谷へ轉死することを 念ひて忘れず｣｡ (３人)｢勇士は 戦場にて➡ 撃死するは もとより 望む所なれば➡ 早晩も首を取らるとも…｣｡ (子どもたち) ｢士と生まれたらん者は➡ 志士 勇士とならずんば 恥づべきの はなはだしき者なり｣｡ 皆さん ひと休みしましょう｡ わあ 握り飯じゃ！ うわ～！ 私がお手伝いを？ 兄上の本を読みたいという者が 近頃 写本に訪れるんです｡ 次から次｡ そのお世話に人手が足らんで｡ 無理です｡ 私 江戸に参りますから｡ 江戸？ (雅)晋様が 京から江戸へ向かわれました｡ これ以上の置いてきぼりは 嫌｡ 退屈は もっと嫌｡ ですから 江戸へ出て 晋様のそばにいようと｡ 江戸へ行っても あなたの退屈は 変わらんと思うけど｡ どういう意味でしょう？ だって それは 高杉さんのやりたい事で➡ あなたに関わりはないんやから｡ お手伝い お考え下さいませんか？ なぜ 私なんですか？ あなたが 高杉晋作様の妻だからです｡ 世の中に お金持ちや美しいお顔の人は➡ 大勢おるけれど…➡ 高杉晋作の妻は あなたしか おられません｡ 私だけ…｡ 兄上の塾を 旦那様がいない間 守るとしたら➡ 私たちしか おらんではありませんか｡ 高杉の妻と 久坂の妻しか｡ 力をお貸し下さい｡ 兄上様｡ ｽﾜﾄｳの刺繍です｡ 高杉さんからの上海土産です｡ ｽﾜﾄｳ… 清国の港町じゃな｡ 異人から伝わったものを ｽﾜﾄｳの女性たちは➡ 自分たちで工夫を加えて➡ その刺繍を 誰も まねできんもんに➡ 作り替えてしもうたんです｡ 今や 異人の方が 争って 手に入れようとするほど｡ 村の女たちが 異人に勝ったという事か｡ はい｡ 私たちにも できる事がある｡ 高杉さんのお土産が 教えてくれました｡ それで ああいう事に…｡ 私たち あの場所を守ります｡ 兄の言葉を求める人がいれば➡ いつか必ず 寅兄も赦されると思うから｡ 初めは １人でも２人でも｡ あっ ところで 兄上は？ ああ そうじゃ｡ 久坂からじゃ｡ これを届けに来た｡ おい｡ 一人になって ゆっくり読め｡ 構いません｡ ｢文どの｡ 無事｣｡ (笑い声) その日を境に 伊之助は 長府藩主への説得をやめた｡ 藩士一人一人と話し合う道を 選んだのである｡ これは 京の久坂玄瑞が 送ってきた書状じゃ｡ これによると 今 京では 三条実美公ら公卿の方々が➡ すでに 破約攘夷に動かれておると｡ じゃが…｡ すでに世は動きつつあるんじゃ｡ 主君が動かなければ お主らが動く時ではないんか！ (辰路)三条さんのお供で江戸へ？ はい｡ それは よろしゅうおしたなあ｡ 辰路さんのおかげです｡ それで その… お礼を｡ 先日 そのような事を…｡ ほな うちの旦那さんに なっとくれやす｡ (噴き出す音とせきこみ) 私は 国元に妻が｡ 妻｡ (笑い声) うちには 夢がおすねや｡ 勤王の志士の方たちの お力になって➡ 芸妓として名ぁを上げたいんどす｡ 名を？ うちも これぞと見込んだ方の お力になって➡ ｢さすが 辰路や｣｡ そないに言われてみたいんどす｡ それができたら 一世一代の誉れや｡ それが 君の志…｡ 志？ (笑い声) なあ｡ お座敷の事 知りとおへんか？ どの藩の どなたはんが 誰と親しいか➡ お公家さんと どないな話しはったか…｡ 辰路さんの申し出は ありがたいが➡ 俺に そねな甲斐性は…｡ 見たやろ？ あねな しょもない…｡ 涙は つまらんもんやおへん｡ 目ぇからあふれる思いが つまらんもんのはずがない｡ 辰路さん…｡ 京へ戻らはったら 必ず訪ねておくりやす｡ お力になりますよって｡ 辰路さん｡ いつものお座敷｡ ♬～ おいやしたんか｡ (男)ああ｡ 久坂は？ どげな男じゃったか？ さあ？ 長州の動きをば うまく聞き出せたか？ 男はんは ほんま 弱おすな｡ 夢という言葉に｡ (笑い声) 岩国 長府の両藩が 破約攘夷の藩是を受け入れた｡ こたびの働き まことに大儀であった｡ はっ！ 褒美をとらそう｡ 何が望みじゃ？ おそれながら｡ こたびの事 活路を開いてくれたんは➡ 義弟 久坂玄瑞からの手紙でした｡ 学ばんとする者たちによって 今なお➡ 寅次郎の言葉は 脈々と受け継がれております｡ おお 寅の言葉が｡ どうか 吉田寅次郎の復権➡ 吉田家再興のお許しを 賜りますよう｡ 何とぞ｡ 寅次郎を赦すと？ はい｡ 勅命により➡ 幕府が 大獄の処分者を 赦す事になり➡ 伊之助殿も 動いて下さったようです｡ 山鹿流兵学師範 吉田家も 再興されます｡ 叔父上… おめでとうございます｡ おめでとうございます！ (文之進) 死してなお 振り回しおって！ (泣き声) 泣くな 滝！ 皆も泣くなよ｡ これは 門出じゃぞ｡ 寅は これから 新しい者らに出会うんじゃ｡➡ 泣くな！ 祝え！ ほら めでたいぞ！ (笑い声) 寅兄｡ 罪が許されましたよ｡ 小田村の兄上と 塾生の方たちのおかげです｡ これから 程なくして➡ 吉田松陰の罪は 藩により 正式に許された｡ そのころ 久坂 高杉をはじめとする➡ 塾生たちの多くは 江戸にいた｡ 長州藩士 井上聞多｡ 後の明治政府で大臣を務める この男も➡ 塾生たちと行動を共にしていた｡ わしは あれこれ算段するんが 好きなんじゃ｡ ≪(物音) ≪(剛蔵)ええ加減にせえ！ 座れ！ 座らんか！ 久坂！ 高杉！ 藩是は 破約攘夷へと変わった！ 今こそ長州が➡ 大きゅう打って出らねば ならんちゅう時に➡ このざまは 何じゃ！ 策なら考えちょります｡ (剛蔵)何？ 我が藩が他藩に比べ いまひとつ ぬきんでていけんのは なぜか｡ (靖)他藩から いささか 信をなくしちょるからでは…｡ しかり｡ なれば まずは➡ 長州藩の掲げる攘夷を 高らかに宣言し➡ 広く知らしめる事が肝要かと｡ (剛蔵)どのように…｡ 異人を斬るか襲う｡ お前の考える事なんぞ そねな程度じゃ｡ そのとおり｡ (品川)それは 危険じゃ！ それを口実に 一斉に艦隊を 差し向けられたら どねぇする！ 望むところよ！ 日本が列強に➡ 分割されてもええというんか！ ２人とも！ (利助)では このようにしたら どうでしょうか？ 品川に普請中の 英国公使館があります｡ これに焼き打ちをかけるんです｡ (寺島)焼き打ち？ これ… ご覧下さい｡ (剛蔵) おっ… こねなものを どこで？ 伊藤のなじみの女が 大工と懇意やったんじゃ｡ お前は～…｡ 夜は 番卒しかおらず 守りは手薄です｡ しかも まだ 普請中ですから 異国人を殺す事はありません｡ 高杉の意気込みも分かるが➡ 今 異人を斬るんは いかにも損じゃと わしは思う｡ この焼き打ちは 長州藩の上げる のろしです｡ のろし…｡ 高らかに宣言するんです｡ 長州の攘夷 ここにありと｡ 気に入った｡ すぐに 手はずを整えます｡ (九一)俺と靖で藩の連中を見張る｡ 止める気配があれば➡ すぐに食い止める｡ 任してつかぁさい！ そうと決まりゃ 12日に決行じゃ｡➡ 異論はあるか？ (赤禰)久坂｡ 俺は やらん｡ いいや｡ お前もやるんじゃ｡ やらん｡ お前一人でやれ｡ みんなでやる｡ お前も来るんじゃ｡ 分からんやつやな｡ やらんと言うたら やらんのじゃ！ なぜ そこまで俺を誘う！ 分からんそか？ 分からん！ 日本をひっくり返すんぞ！ お前なしでできるか｡ 12日 夜じゃ｡ 来いよ｡ 頂きます｡ お文｡ 私 決めました｡ ずっと 萩におります｡ まことに？ 退屈せんものを見つけたんです｡ 子どもです｡➡ わがままで自分勝手で あまのじゃくで｡➡ 何一つ こちらの思うようにならない｡ 面白うございます｡ 雅様｡ 私 晋様の子どもを産んで 育てて そして 萩で暮らします｡ あなたも そうしませんこと？ ええですね｡ 高杉の妻と 久坂の妻が 手を組めば➡ 怖いもんなどありません！ ならば…➡ 兄上のご本を 明倫館に 持っていこうと思うんです｡ お取り上げ頂けるように｡ それは ええ考えですわ！ 手伝うて頂けますか？ (子どもたち) ｢志士とは 志達ありて➡ 節操を守る士なり｣｡ どうぞ｡ ありがとあんした｡ (子どもたち)｢困窮するは もとより 覚悟の前にて…｣｡ 松陰先生は ここで まだ 生きておられるんですね｡ 江戸の旦那様｡ 寅兄様の言葉は➡ 皆の心の中に しっかりと 受け継がれております｡ (戸が開く音) 久坂さん｡ 皆さんと ご一緒でなかったんですか？ 高杉さんたち 出かけられましたけど｡ 俺は…｡ ちょうどよかった｡ ならば 教えて頂けませんか？ これは…｡ 松陰先生の｢講孟余話｣です｡ 今 国元で 先生の言葉が広まっとるんです｡ それぞれ 心打たれた者が 自分から写本をして｡ 自分から…｡ 私も生きているうちに 先生に お目にかかりたかった｡➡ 松陰先生とは どのようなお方でしたか？ [ 回想 ] (寅次郎)君は 何を志しますか？ (晋作)柵があるのう｡ せわぁない｡ こんなものを 手に入れておきました｡ ≪相変わらず 用意がええのう｡ ♬～ 行くぞ！ (一同)おお！ ♬～ 戦う時じゃ！ 攘夷とは何か｡ どねぇしても知りたいんです！ 撃て！ 行け｡ 輝け｡ <江戸時代 品川は 東海道の宿場町として➡ にぎわいを見せていました｡➡ 中でも有数の規模を誇った旅籠 土蔵相模は➡ 攘夷を実行しようとする 志士たちの➡ 拠点となっていました｡➡ 高杉 久坂らは➡ ｢外国を排除し 国の盾となる 覚悟である｣という思いから➡ 御楯組を結成｡➡ およそ１か月後➡ 御殿山に建設中だった ｲｷﾞﾘｽ公使館に火を放ち➡ 事件は 犯人不明のまま 収束します> <伊藤利助は 後に当時の事を振り返り➡ ｢攘夷決行の端を啓こうとして 事件を起こした｡➡ 生命がけの大仕事だった｣と 語っています｡➡ 攘夷派の急先鋒として 世の中を動かしていく➡ 松陰の弟子たち｡➡ それは ここ 品川から 始まったのです> ♬～ (神谷)ああ～｡ ♬～

心がポキッとね＃02

1 (春太)怖いんですよ 人と関わるのは｡➡ 家でも荒れてましてねえ｡ めちゃくちゃですわ｡➡ 離婚して 仕事も失いました｡➡ 公園で 社長に 声を掛けられまして｡ (心)静 うちに来ることになったから｡➡ 今 付き合ってる彼女｡➡ もう 前の旦那は 相当 ひどいやつだったらしい｡ (みやこ) 私ね 誰かのこと好きになると➡ どうやら おかしくなっちゃうみたいで…｡➡ 誰かと恋愛するのが怖い 何するか分かんないから｡➡ でも 好きな人はいる｡ その人のこと➡ 私は ｢神｣と呼んでいます｡ (心)今日から ここに住めばいいと思って｡➡ どうかな？ (みやこ)はい｡ そうします｡ (チャイム) (静)いらっしゃ～い｡ (春太)えっ？ (静)あっ…｡ (春太)圭子…｡ (みやこ)お邪魔します！ (心)天才｡ ん～｡ あの… あの やめましょうか？ やっぱり 帰りましょう｡ 私は負けません｡ (静)笑えって｡ (みやこ)チッ｡ ハァ～｡ (静)あっ！ (心)乾杯～｡ (みやこ)乾杯｡ (静)あっ お座りになって｡➡ どうぞ どうぞ どうぞ どうぞ｡ (心)あっ 座って 座って｡ あ～ 自己紹介とかね｡ あっ 紹介といえば まずは お料理紹介から｡➡ 本日は 春野菜とﾌﾗﾝｽ産ｵﾚﾝｼﾞﾚﾝｽﾞ豆のﾃﾘｰﾇ➡ コンブとセロリのフォンで ポシェした ｱｽﾊﾟﾗと鮮やか根菜➡ ４種のペッパーを利かせた ソースでね｡➡ で 新鮮な瀬戸内産魚介を使った 薬膳鍋 ブイヤベース風｡➡ そして 子羊の桜チップスモークと➡ ラデｨｯキオ ビーツと ヴｨンテージバルサミコソースの➡ コラボってな感じで ご用意させていただいております｡ (心)すげえ｡ (春太)すげえ｡ (心)あっ 静は➡ カフェとかをプロデュースする 空間コーディネーターなんだ｡ (静)ええ｡ いや まだまだなんだけど➡ でも 他にも頼まれれば もう 色々 何でも｡ へ～｡ (心)今日から 一つ屋根の下➡ 楽しくやろう｡ よろしく｡ あっ… もう一回｡ 乾杯～｡ (みやこ)はい｡ 乾杯｡ (静)あっ この瞬間 撮りたいな｡ 撮影させていただきますね～｡ (心)は～い｡ (静)はい｡ (江里子)うっ！ どりゃ～！➡ うっ…｡➡ しゃあ！ しゃあ！ いってえな！ (江里子)誰？ (静)小島さん スマイル｡ [TEL](シャッター音) (静)うん｡ (心)白ワイン開けた｡ あっ これでよかった？ (静)うん うん｡ イスラエル… ＯＫ｡ あ～｡ あの！ (春太)んっ？ 何？ 何だろ？ (みやこ)お二人は どういう関係なんですか？ (心)俺たち？ いや どういう関係って…｡ (心･静)ねえ｡ [TEL](シャッター音) ｢ねえ｣じゃ分からないんですけど｡ (心)いや➡ もちろん 愛し合ってる関係だよ｡ (心･静)ね～｡ 付き合って どのくらいなんですか？ (心)あ～ １カ月？ (みやこ)ふ～ん｡ 何だ｡ じゃ まだ これからですね 色々あるのは｡ (静)えっ？ 色々… えっ？ (心)｢色々｣って？ 色々ですよ｡ お互いのことが だんだん分かってからの 色々｡ (静)あの それって だんだん幻滅していく的な➡ 色々？ (心)えっ？ そうなの？ いやいや これから楽しくなる っていう意味ですよね？ 色々 分かってくるって｡ ねっ？ (心)あっ そっちだよね｡➡ まあ 今でも じゅうぶん楽しいけどね｡ (静)にょん｡ (春太)ハハハ｡ うらやましいな～｡ (静)あっ おかげさまで｡ (みやこ)どうやって 知り合ったんですか？ (静)ん～ 飛行機が 一緒でね｡ (心)ああ｡ アメリカから帰ってくるとき？ (静)うん｡ そうそう そうそう｡ アメリカ？ (静)あっ 勉強しに➡ 行ってたものですから｡ (春太)勉強ですか？ (静)ええ…｡ 慰謝料など頂いたもので｡ (みやこ) えっ？ バツイチなんですか？ (静)ええ…｡ バツイチ｡ (みやこ)へ～ 一度 失敗してんだ｡ (春太)あの その話は もう…｡ (みやこ)原因は？ (静)原因？ (春太)あっ 牛乳 頂きます｡ (心)あっ 春太君 俺が つぐ｡ (春太)すいません｡ (心)あっ 原因はね 前の旦那｡➡ もう ひどい男だったんだよ｡ 最低なんだ｡ (みやこ)えっ そうなんですか？ 男 見る目 なかったのかな～｡ (静)えっ…｡ (心)もし 会うようなことがあったら➡ もう ぼっこぼこにしてやる｡ あれ？ 取りあえず １発 殴るだけじゃ…｡ えっ？ そう言ってた？ 俺｡ (春太)はい｡ ぼこぼこは➡ やめといた方が…｡ (静)ぼこぼこ賛成｡ 大賛成｡ 了解｡ ぼこぼこにしようね｡ でも それだけじゃ 付き合わないですよね？ (静)んっ？ それだけじゃ？ (みやこ)だから 帰りの飛行機が➡ 一緒だったってだけじゃ｡ あ～ 話 戻っちゃった｡ ハハハ…｡ (春太)ハハ｡ 戻った 戻った｡ 飛行機の中って退屈でしょ？ (みやこ)えっ？ そうなんですか？ (心)うん｡ だから 話すようになって… ねっ｡ ね～｡ (心)あっ 最初➡ 俺の聴いてた音楽の話からだっけ？ (静)あっ そうそう…｡ あっ ほら 趣味が合っちゃって…｡ (心･静)ね～｡ (静)｢何 聴いてんですか？ あっ それ 私も好きなんです｣って｡ あっ…｡ どっ どんな音楽なんですか？ ♬｢Oh, We're half way there｣ (心･静)♬｢Oh Oh｣ (静)♬｢ほにゃらら にゃ～ にゃ～｣ (心)あっ ボン･ジョヴィね｡ (春太)えっ ボン･ジョヴィ？ (みやこ)は～｡ えっ？ 意外｡ (心)そう？➡ いや 俺 中学のとき…｡ (春太)社長じゃないと思いますよ｡ そう｡ 静さんです｡ (静)えっ？ 私は好きよ｡ 昔っから ず～っと好き｡ ホントに？ (静)はっ？ すいません｡ えっ…｡ (みやこ)しっくりこないんだよな｡ だって ほら ここ｡➡ この辺り 静さんの趣味ですよね？ ええ｡ (春太)あっ すてきですね｡ ここだけ ボン･ジョヴィ感 ゼロなんだよね～｡ (心)あっ そう？ (みやこ)こっちと 全然 違う｡➡ だって ほら 静さんみたいな カフェ関係の人って➡ 音楽は 取りあえず ボッサみたいなとこ➡ あるじゃないですか｡ 何でも ボサノバにすりゃ いいのかよ｡➡ 癒やされると思ってんの？ みたいな｡ (静)えっ…｡ (みやこ)そういう➡ いんちきおしゃれ系？ そんな感じかと思ってました｡ 結構 毒 吐くのね｡ ねえ｡ はい｡ (みやこ)あっ 分かった｡ なるほど｡ (心)んっ？ 何が なるほどなの？ ずばり あれですか？ この お美しい お顔ですか？ (静)んっ？ んっ… あっ｡ それも あるかもしれないわね｡➡ でもね 単に イケメンだから っていうんじゃないのよ｡ ほら 好みの顔ってあるでしょ？ みやこちゃんも｡ はい｡ ばりばり あります｡ 心はねえ そういう顔だったのよ｡ (心)えっ？ (静)ほら 私 結婚してたじゃない｡ そんときね あんまりね 好みの顔じゃなかったのよ｡ だから 今回は 自分の美的感覚に 忠実に➡ あえて ストレートにいってみたわけ｡ (心)あ～ うれしいな｡ 俺も 静の顔 好き～｡ 一致してんの そこだけで 同棲スタートかよ｡ いや 大事ですよ 好きな顔｡ あの 静さんって…｡ (静)まだ何かあります？ 幾つですか？ (静)あっ 幾つに見えます？ あっ それ めんどくさいんで 教えてもらっていいですか？ どう見ても 40半ばだけど➡ 当てちゃって がっかりされるのも 面倒だし｡ ちょっと若めに言っとくか｡ いや でも やり過ぎるのも わざとらしいから➡ う～ん 40歳？ あっ 39歳？ (静)えっ…｡ とか やんなきゃいけないの 時間の無駄じゃないですか｡ 求めてるなら やりますけど｡ (静)求めてませんね｡ (心)でも そういうのが楽しいんじゃんね｡ (静)えっ？ そうなの？ (みやこ)そうですか｡ じゃあ 当てますね｡ (静)いやいや やめましょうよ｡ いやいや 絶対 当てます！ (静)もう いいんじゃない？ 45です｡ あっ… えっ？ あっ… ハハハ｡ 当ててみました｡ どうでしょう？ すごいね 春太君！ えっ？ ぴったり 正解｡ ねっ？ ねっ？ (静)うっ うん｡ そうなんですか｡ 当てた…｡ すごいな 私｡ (静)あっ すごいな すごいな｡ (みやこ)えっ？ えっ？ ホントに 45だったんですか？ (静)ええ｡ まあまあまあ…｡ (みやこ)え～ 見えない｡ (静)あっ そりゃ どうも｡ 大変ですよね｡ (静)そうね｡ 結構 たっ… 大変？ (みやこ)はい｡ ハハハ…｡ (静)フフフフ｡➡ そうね｡ みやこちゃんには 絶対 分からないくらい 大変｡➡ ていうか 必死？ うん｡ 普通だったら➡ 私くらいの年だったら もっと ゆった～り生きてるっていうか➡ あ～ あの 人生の結論 っていうのかな？ 出ててね➡ それをね ちゃんと守ったりしてるのよ｡ でも 私は 回り道 しちゃってるわけだからね➡ ここからね 幸せを手に入れようって➡ 思ってるわけ｡ 人としても 女としても｡ だからね ぜ～んぶが 必死よ｡ もうね 失敗したり 傷ついたりしてる時間なんて➡ もう ないのよ｡ ないない…｡➡ 結構きついわよ この年からの 再スタートっていうのはね｡ 選択肢なんてね もう どんどん どんどん どんどん➡ なくなってっちゃって もう これから どうしましょう➡ っていう感じなのよ｡ でもね 私 絶対 負けたくないって思ってんの｡ こんなことで負けてたまるか｡ 負けないんだ こんなことで｡➡ 負けてたまるか…｡ あ～！ フゥ～｡ フゥ～｡➡ あっ… この重い空気は 私のせいかしら？➡ ハハハハ｡ いやいや いやいや ごめんなさい 私としたことが｡ (心)開けるよ｡ (静)みやこちゃんは➡ どんな女の子なのかな？ あっ 私 自分のこと ぺらぺら話すの 嫌いなんで｡ すいません｡ (静)あっ そう来たか｡ アハハ｡ (心)カッコイイね みやこちゃん｡ (みやこ)ありがとうございます！ これ おいしいですねえ｡ ハハハ｡ (静)んっ？ どれ？ (春太)これっす｡ (心)何だか 楽しくなりそうだね この家｡ (みやこ)はい！ フフフフ｡ (春太)ですね｡ (心)静 もう大丈夫｡ 俺は 絶対 静のこと傷つけたりしないから｡ (静)ん～…｡ (心)絶対に｡ (静)ありがとう｡ (心)当たり前じゃん｡ 優しいですね 社長は｡ (心)当たり前じゃん｡ あっ そうだ｡ ねえ 俺の唯一の自慢話 していい？ いい？ いい？ いい？ あっ はい｡ テキサス系の話ですか？ (心)いや 違うよ｡ (静)何？ 知りたい｡ 聞きたいです｡ (心)あっ そう？ じゃあ 言っちゃうね｡ まあ 今までの人生で➡ いろんな女性と 付き合ってきたわけだけど…｡ (静)うん｡ そりゃ そうよ｡ ただの一度も➡ 自分から 女性を振ったことがないんだよ｡ (静･みやこ)はっ…｡ (春太)えっ？ てことは 全部 振られて 終わり？ (心)うん｡ すてき！ すてきです｡ (心)そう？ (みやこ)はい｡ (心)いや すごくない？ どんな闇があるのかな そこには｡ (みやこ)すっごい｡ さっすが神｡ (心)あっ そう？ ありが… えっ？ (静)みやこちゃん いい笑顔｡ (みやこ)神です｡ [TEL](シャッター音) つらい…｡ これが続くの つらい｡ ♬～ (春太)どうぞ｡ (みやこ)ハァ～｡ (春太)あっ 取りあえず これをベッドにしますか？ (みやこ)うん｡ (春太)あっ…｡ (みやこ)ハァ～｡ (春太)あっ… 大丈夫ですか？ 大丈夫なわけねえだろ｡ (春太)だよね｡➡ でも あの 今は 社長… あっ 神は 幸せそうなわけで…｡ そう？ (春太)えっ？ すっごい違和感ある あの２人｡ (春太)あっ いや…｡ (みやこ)あ～ 長くはなさそう｡ (春太)それは困るな｡ (みやこ)何で 春太が困るわけ？ いや だって… ていうか 呼び捨てですか？ (みやこ)私も 呼び捨てでいいよ｡ (春太)そういうことじゃなくて｡➡ 今は 邪魔しない方がいいですよ ２人は 幸せそうなわけだし｡ あのさ 神をさ 何て呼ぼうかな～と思ってて｡ (春太)えっ？ (みやこ)ん～…｡ ｢神様｣って言うわけには いかないでしょ？ いや それは そうですよ｡ (みやこ)そっか｡➡ 大竹 心｡ ｢心｣って書いて ｢しん｣ ｢神｣も ｢しん｣って読むわけだ｡ だから ｢しんさま｣って 呼べばいいんじゃない｡ そしたら 違和感ないし 私の気持ち的にも➡ 神へのリスペクトが 維持できるってわけで ＯＫ！ ｢しんさま｣って 韓流スターみたいで…｡ 何でよ｡ ｢しんさん｣じゃ➡ 時代劇みたいじゃない｡ どっちがいいわけ？ どっちがいいって言われても…｡ まあ いいですけど｡ (みやこ)あ～｡ チッ｡ いいなら いいじゃん｡ (春太)あっ はい｡ どうぞ｡ (みやこ) で 何で 春太が困るわけ？ (春太)あっ…｡ だって 静さんにも➡ 幸せになってほしいな～って 思うじゃないですか｡ 何で？ (春太)｢何で｣って…｡ 話 聞いたでしょ？ 静さんの｡ (みやこ)ごめん｡ あんま ちゃんと聞いてなかった｡ え～？ あっ それ… それ 触っちゃ 駄目…｡➡ 靴も脱いでほしいな｡ (みやこ)あっ… あっ！ あっ｡ ねえ あの静って人とさ 春太が➡ 付き合えばいいんじゃない？ (春太)はい？ (みやこ)何か そっちの方が似合わない？ ねっ！ ｢ねっ｣じゃなくて…｡ そういうわけには➡ いかないんですよ｡ (みやこ)何でよ｡ タイプじゃない？ (春太)そういうことじゃなくて｡ (みやこ)えっ？ えっ？➡ いや タイプなんだ｡ (春太)いや 違う違う…｡ あっ… チッ｡ 恋愛しないんだったね｡ めんどくせえな｡➡ 私と一緒なんだ｡➡ しんさまと私 相手を振ったことがない｡ (春太)それは意味が違うんじゃ…｡ (みやこ)あっ？➡ 神は 相手を振ったりしない｡ 私も そう｡ だから ２人が結ばれれば 永遠に続く｡ 私にとっても しんさまにとっても 絶対 そっちの方が いいと思うの｡ あの いんちきくそボサノバ野郎より➡ 私の方が 絶対いいと思うんだ｡ ハハハハ…｡ ていうふうになってく 自分が 怖い｡ えっ？ (みやこ)だって 神に嫌われたら➡ もう生きてけないでしょ？➡ ん～！ だから 私を ちゃんと見張ってて｡ 暴走しないように｡ ねっ？ ねっ？ (春太)いやいやいや｡➡ そんなこと できないです 私には｡ ホントに 無理ですから｡ ≪(物音) (みやこ)あっ｡ (春太)つらいんじゃないですか？ ここにいたら｡ (みやこ)うん｡ (春太)だったら…｡ でも うれしい｡ フフフフ｡ やっぱり うれしい｡ (春太)ちょっ…｡ (みやこ)よろしくね｡ (春太)いや… いやいや｡ (みやこ)よろしくね｡ (春太)ちょっ…｡➡ これ… いや…｡ えっ？ (静)普通 女だったら 片付け 手伝うでしょ？ ｢ごちそうさまでした｡ 私が洗います｣ ｢いいのよ｡ あなたは 向こうで くつろいでて｣ って流れでしょ？ ホント…｡ (心)手伝うよ｡ (静)えっ？ ううん 大丈夫よ｡ 片付けまでが料理だぜ｡ おっ すげえ 静｡ カッコイイ｡ ホント？ じゃあ ちょっと 記録して 記録して…｡ あっ… は～い｡ はい｡ I love 片付け｡ [TEL](シャッター音) (静)な～んてね｡ うちょ うちょ うちょ うちょ｡ (心)あっ コーヒー入れよ～っと｡ ねえ 心｡ (心)んっ？ みやこちゃんってさ 変わってるよね｡ そう？ あれなの？ あの 春太さんと お付き合い…｡ あっ 違う違う｡ でも 一緒なわけでしょ？ それって…｡ いや 春太君は 恋をしないんだ｡ えっ？ どうして？ 決めてるんだよ もう 絶対 恋はしないって｡ えっ どういうこと？ それって もしかすると…➡ また 誰かを傷つけるからとか？ よく分かるね｡ あっ そうなんだよ｡ バカじゃないの？ えっ？ (静)何を言ってんだか…｡ どうかした？ (静)んっ？ あっ…｡ やだ｡ しつこいな～｡ この… こびりついちゃった｡ そっか｡ でも 奇麗だよね みやこちゃん｡ (静)んっ？ んっ？ そうね｡ まあ 奇麗ね｡ どちらかといえばね～｡ 大丈夫なのかな？ (心)春太君？ まあ 男が決めたことだからね｡ そっか｡ (心)うん｡ 心はさ…｡ (心)んっ？ 女の人と付き合ってるとき 浮気したことある？ えっ？ あっ！ (静)あ～？ そっか｡ １つじゃなかったんだ 自慢できること｡ それもない｡ 一度もない｡ ２つあったね 自慢できること｡ あっ… ２つか｡ (心)うん｡ あっ 静 テレビ見ていい？ あの テキサスのチームの ゲームがあるんだ｡ (静)うん｡ もちろん もちろん｡ (心)ありがと｡ ん～｡ (静)もちろん もちろん｡➡ アメフト？ (心)ううん｡ バスケ｡ (静)ふ～ん バスケ…｡ うわ… 何だ 負けてるよ｡ ほら 頑張れ｡ じゃあ 何で 女たちは みんな 逃げてくわけ？ 何があるの？ その… あっつい！ ちょっ…｡ って 何で あんたが そこにいるの｡ ≪(みやこの泣き声) うわ… 参ったなあ｡ (みやこの泣き声) うわ…｡ (みやこの泣き声) ハァ… 寝る｡ 寝る｡ 絶対 寝る｡ 絶対 寝てやる｡ 寝られる｡ 私は 寝られる｡ 私は 寝られる｡ 寝られる｡ 私は 寝られる｡ (みやこの泣き声) (春太)私は 寝られる｡ (みやこの泣き声) あ～｡➡ ん～｡ う～｡ す～｡ [TEL](女性) ゆっくり おやすみなさい｡ うわ！ なっ 何ですか？ いや よく寝れるなと思って 女が泣いてるのに｡ (春太)えっ？ (みやこ)いいけど｡ (春太)いや…｡ うわ～｡ もう…｡ ≪(みやこの泣き声) あっ…｡ ハァ～｡ (みやこの泣き声) (春太)よかったら｡ (みやこ)ありがとう｡ (春太)いえ｡➡ えっ？ (みやこ)座って｡ (春太)あっ いやいや… いいです｡ (みやこ)早く！ (春太)いや いっ…｡ あっ 分かりました｡ はい｡ はい｡ (みやこ)あ～｡ (春太)失礼します｡ (みやこ)んっ？ 何で そっち？ (春太)あっ いや… これが 落ち着くんです｡➡ あの これ 今の仕事して 最初に直した椅子なんですね｡ そういうことじゃなくて こっち！ (春太)えっ？ ちょっ…｡ (みやこ)ん～！ (春太)いや…｡ 春太｡ (春太)はい｡ 何か しゃべって｡ えっ？ ｢何か｣って言われても…｡ (みやこ)初恋の話とかで いいや｡ ｢で いいや｣って｡ (みやこ)あ～｡ 何かいいね この状況｡ フフ｡ 久しぶり こんなの｡ 誰かがいるって いいね｡ いえ… 私は １人でいないと ちょっと…｡ どうぞ｡ (春太)えっ？ 初恋話｡ (春太)何で 初恋なんですか？ (みやこ)んっ？ だって 初恋話ってさ たいてい 片思いの失恋話でしょ？ だから 好きなんだよね｡ (春太)はあ…｡ あっ まあ 確かに｡ (春太)えっ？ (みやこ)んっ！➡ どうぞ｡ フフ｡ あ～…｡ えっとですね…｡ (みやこ)うん｡ (春太)う～ん… ５年生ですね｡ 小学校５年生の２学期に…｡ 外国のお金を見せびらかす子が いたんですよね｡ その子に 私 一目ぼれしましてね｡ ていうか 今 思えば 外国のお金に一目ぼれしてた…｡ あり得ないだろ これ｡➡ 続くんじゃないよな？ これが｡➡ これ… あっ ちょっ… ちょっ ちょちょっ ちょっ…｡➡ あっ あっ あっ…｡➡ あっ…｡ (みやこ)あ～｡ 無理です｡ これ…｡ 神様 助けてください｡ たっ…｡➡ いやいや あんたじゃなくて｡ あんたじゃないんだ｡ もう ややこしい｡➡ も～ 神頼みも できない｡➡ あ～｡ (春太)あっ…｡ えっ？ あっ そっか｡ あの… もう 悩みを話せばいいんですか？ ないんです｡ 悩みがないんです｡ いや 悩むってことが よく分からないんです｡ いや 悩みがないのが 悩みなのかな？ みんな 何を そんなに 悩んでるんだろうって➡ それが分からなくって｡ 母のせいなんですかね？ あっ 父を 幼いころに亡くしてて 全然 覚えてないんですよ｡ まあ 母は とにかく自由な人で… 自由そのものな人で➡ まあ 今も ボーイフレンドと➡ ヨーロッパのどっかに いるんですけど➡ 子供のころから 言われてたんですよ｡ ｢考えたら負けだ｣って｡ 考えた瞬間に 勝ち負けになっちゃう｡ だから 感じたままに生きるんだって｡ だからなのかな？ 難しく考えることがないし できないんですよ｡ 俺 おかしいですか？➡ あっ ほら あの…➡ 現代人の心の闇とか 言うじゃないですか そういうの｡ 何か そういうの 読んだり 聞いたりすると➡ 何か 自分だけ 取り残されたような気がして｡ 分かります？ 分かってくれます？➡ あっ！➡ えっ？ あっ…｡➡ あれ 捨てるんですか？ だったら もらっていいですか？ ハァ…｡ ハァ～｡ (扶美)おはようございます！ うわ…｡ はい｡ おはようございます｡ (扶美)どうしたんですか？ 顔色 悪いですよ｡ あっ いや…｡ (扶美)何かありましたね？ 絶対ありましたね その顔は｡ 救急車 呼びますね｡ いやいや いやいや…｡ 倒れたりしたわけじゃないんで｡ (扶美)何 言ってるんですか｡ 倒れてからじゃ遅いですよ｡ それは そうですけど➡ その理屈は ちょっと…｡ (扶美)お医者さん呼びますね｡ いやいや… だっ… 大丈夫です 大丈夫です 大丈夫です｡➡ ちょっと 眠れなかっただけですから｡ (扶美)何でですか？ 何で 眠れなかったんですか？ (春太)いや 大したことじゃないというか…｡ そうですか…｡ そうですよね｡ 私になんか 関係ないってことですよね｡➡ そうですよね…｡ (春太)いや➡ 関係ないというわけじゃ ないというか➡ 扶美さんも その あれだったりするし…｡ でも 言った方がいいような いずれ分かるような…｡ でも 言っても 絶対 分かってもらえないっていうか➡ 誤解するかっていうかだし あの 社長がしたことだ…｡ (扶美)もう しゃべんないで｡ (扶美)大丈夫 私がいます｡ (ドアの開閉音) (加代子)おっ こりゃ 面白い｡ (涼)いや 面白くないっすよ｡ はっ？ えっ 何？ そういうことなの？ (涼)えっ？ いや…｡➡ 好きですよ 扶美さんのことは ずっと｡ 無理じゃない？ (涼)何でですか？ だって かわいそうじゃないもん 君は｡ いや 俺だって かわいそうっすよ｡➡ あっ あっ… 扶美さん｡ (扶美)んっ？ いや あの 俺… 実は 相談したいことあって｡ あの うちの犬が…｡ (扶美)ごめん 後でいい？ いや 下痢で…｡ (加代子)フッ｡➡ その程度じゃ 無理だな｡ かわいそうになってやるよ｡ ハァ～ やだやだ｡ もう やだ｡➡ あっ 痛い…｡ い～やだ…｡ (みやこ)んっ… んっ｡ あっ… あ～ よく寝たし｡ (みやこ)んっ？ えっ？➡ えっ？ あっ… そっか｡ おはようございます しんさま｡ (みやこ)んっ？ (みやこ)何だ これ｡ (みやこ)ハァ～｡➡ ん～… おっ｡➡ あ～｡ 何だよ これ｡ あれ？ おっ？ (春太)あ～…｡➡ １人がいい｡ １人が落ち着く｡ (春太)あっ…｡ (静)｢あっ｣じゃない｡ ちょっと 付き合っていただけます？ はい｡ (江里子)うえ！ (静)何で？ (春太)｢何で｣って？ (静)何で あそこに あなたがいるのですか？ (春太)いや ｢何で｣って 私の方が 先にいたわけで…｡ (静)そんなこと どうでもいいの｡ (春太)ごめん｡ (春太)元気そうで よかった｡ (静)おかげさまで｡ そっちも｡ (春太)どうも｡ (静)どっかで 野垂れ死んでるかと思ってた｡ ごめん｡ (春太)いや とんでもない｡ あのときは ホントに…｡ やめてよ｡ (春太)いや でも…｡ ちゃんと 協議離婚したんだし あなたは 私に 何もかも渡した｡ 持ってるもの 全部 お金に換えて 慰謝料も払ってくれた｡ そうでしょ？ だったら もう 謝ることじゃない｡ その意思の表れでしょ？ 慰謝料は｡ 私は そう思って 受け取った｡ (春太)うん｡ だったら もう いいんじゃないの？ うん｡ ありがとう｡ (静)家具屋さんねえ…｡ 修理してるんだって？ (春太)うん｡ (静)手先 器用だったもんね｡ (春太)うん｡ (店員)お待たせしました｡➡ ホットコーヒーと プロヴァンス風スムージーです｡ ありがと～｡ ふ～ん｡➡ う～ん｡ うん うん うん｡ ヴェルヴェーヌね これ｡➡ んっ そうだ｡ 今度 まねしてみよう｡ 勉強熱心なんだね｡ ハンディあるし 遅いスタートだから｡ うん…｡ ごめん｡ まっ… そこで謝るなっつうの｡ 離婚してなかったら スタート切ってないわけだし｡ しなくてもいい スタートだったわけでしょ？ いや 私は よかったと思ってるよ｡ 50過ぎてからだったら きっついわ｡ いずれ 離婚はしたっていう 前提みたいな…｡ (静)うん…｡➡ いや だからね その➡ もう恋はしないっていうの それ やめてくれる？ 引きずってられると こっちも…➡ うっとうしい｡➡ 私と関係のない所で 会わずに生きてるなら➡ 別にいいよ 知らないんだから｡ どうでも｡ でも すぐ近くで そんな生き方されてたら➡ うっとうしいでしょ｡ 私は 幸せ～な恋愛してるわけだし｡ (春太) それは いいことだし うれしいよ｡ 奇麗事 言ってら｡ (春太)本気だよ｡ 驚いたけど… 驚いたけど うれしかった｡ 社長 本気で 圭子の…➡ あっ 静さんのこと好きだって 聞いてたから｡ ホントに いい人だし｡ 俺みたいに…｡ (静)突然キレて➡ 暴れたり 殴ったりしないし｡ そうだね｡ 絶対にしない あの人は｡ よかったね いい人と出会って｡ 私も そう思う｡➡ あの子と付き合っちゃえば？ だから…｡ (静)好みでしょ？ 背が高～くって 気が強～い女｡ えっ？ ♬(『ﾘｳﾞｨﾝ･ｵﾝ･ｱ･ﾌﾟﾚｲﾔｰ』の歌声) (みやこ)フフフ｡ これが 神の愛する音楽｡ アハハ｡ (春太)俺が 恋はしないって 決めてるのはさ…｡ (静) 誰かを また 私みたいな目に➡ 遭わせるかもしれないから とかでしょ？ (春太)それもあるけど そんな奇麗事だけじゃなくて➡ 自分のためなんだよ｡➡ また あんときみたいに➡ 自分が 訳 分かんなくなるの 嫌だから…｡ 怖いし｡➡ だから 女の人だけじゃなくて➡ できれば 誰とも関わらないで 生きていきたいって…｡ (静)何だ それ｡➡ 誰とも関わらないでなんて 生きてけるわけないでしょ｡ バカじゃないの？ 逃げてるだけじゃん そんなの｡ そんな言い方しなくたって いいだろ｡ 何 何？ その言い方｡ 忘れた？ 私に何したか｡ さっき ｢謝らなくていい｣って 言ったじゃん｡ (静)謝らなくていいけど ず～っと 申し訳ないと思って 生きろ｡ うっ… うっ｡ (静)で どうするの？ (春太)｢どうする｣って？ ホントのこと話すのか っていうこと｡ どうする？ 自分が ｢初めまして｣とか言うからだろ｡ しょうがないじゃん｡ しょうがない… じゃ どうすんだよ｡ (静)分かんないわよ｡ 私だって そんなの｡ でも…｡ (春太)でも？ 嘘ついちゃったんだから 突き通すしかないんじゃないの？ 分かった｡ (静の ため息) いない方が いいんじゃない？ 俺｡ 出てった方が…｡ 何？ つらい？ 上で 元女房が 恋人と いちゃいちゃ暮らしてんの｡ いや そういうことじゃなくてさ｡ もちろん 楽しくはないけど…｡ (静)けど 何？ けど… 自分が逆だったら どう思うの？ えっ 私？ あっ… 私 自分が幸せなら平気｡ だけど 寂しかったら ムカつくかな｡ 全力でつぶす｡ (春太)だよね｡ (静)うん｡ 何か これ 話が ずれてる気がするけど…｡ ホント？ (春太)うん｡ あっ 料理 うまかった｡ (静)えっ ホントに？ 特に あの 根菜のサラダ？ あれは いいね｡ (静)ああ｡ あれね➡ 今度コーディネートするカフェの メニューにしようと思ってんだ｡ あっ そうなんだ｡ 人気 出るんじゃない？ 俺だったら注文するもん｡ (静)ホント？ だよね だよね｡ あと テリーヌの あれ レンズ豆？ あれ もうちょっと 歯応え残した方が よかった｡ あっ やっぱり そうか｡ 私も 後で そう思ったんだ｡ 反省した｡ (春太)そうなんだ｡ 何かね 豆の ぷちぷちぷち っていう感じ 残し…｡ って 何 気が合ってんだ バカ！ そうじゃないっしょ｡ ごめん｡ (静の ため息) しょうがないよ｡ 元夫婦なんだし➡ 別に ずっと 仲 悪かったわけじゃ ないんだしさ｡ それに そういう 食い物とか 好きな映画とか 家具とか➡ そういうのは 合ってたわけだし｡ 顔は 好みじゃなかったみたいだけど｡ 好みじゃなかった｡➡ 栞 覚えてる？ (春太)えっ？ 波野 栞｡ 今ね こんなんなってんだよ｡ えっ マジで？ (静)超売れっ子｡ (春太)美大の同級生のでしょ？ (静)うん｡ (春太)あっ… マジ？ だって ひどかったじゃん 彼女｡ でしょ？ (春太)ほら あの 結婚式の｡ 俺たちのね｡ あんときのドレス…｡ 何か びよ～んって着けて…｡ (春太)何じゃそりゃみたいなやつ｡ 絶対に あんな びよよんに 負けてたまるかと思って｡ 絶対 負けないんだ｡ (春太)そうなんだ｡ 絶対 負けない｡ 取り戻してみせる 輝いてたはずの 私の未来｡ [TEL](バイブレーターの音) (静)あっ｡ あっ ごめん｡ (静)あっ… ちょっと｡➡ もしもし？➡ あっ お世話になっております｡ はい｡ あっ… えっ？ えっ？ ホントですか？ うわ うれしいな～｡ もう ぜひ やらせてください｡ はいはい｡ 頑張ります｡ えっ？ あしたですか？ あ～ なるほどね～｡ あ～ そういうイメージでね｡➡ ん～ うん｡ 分かりました｡ はい｡ 場所… 何とかします｡ はい｡ お任せください｡ えっ？ えっ？ えっ？ モデルもですか？ ＯＫで～す｡ 何とかしま～す｡ はい｡ 分かりました｡ では 詳細 後ほど｡ はい｡ ありがとうございました｡ 急な仕事？ (静)うん｡ 雑誌の仕事｡ 春の 大人のピクニック料理だってさ｡ 大したページでもないのに 恩着せがましく言いやがって｡ ｢鴨ちゃん チャンスでしょ｣ みたいな｡ あしただよ？ あした｡ 絶対 誰かが ドタキャンしてきたんでしょ｡ で 空いてそうな私に 電話してきたわけだよ｡ ふざけるなっつうの｡ 今に 見てろ｡ じゃあ 頑張らなくちゃ｡ (静)うん｡ 俺に 何かできることあったらさ…｡ (静)あっ 私 帰るね｡ (春太)うん｡ あっ いい いい いい…｡ (静)でも あなたに➡ おごっていただく筋合いは ないわね｡ じゃ 失礼いたします｡ 小島さん｡ (春太)はい｡ (春太)あっ… あっ これ｡ あ～ やっぱり あした 難しいですか｡ いやいや いやいや｡ いや… あっ 大丈夫です｡ あの また よろしくお願いしま～す｡ ハァ～ もう… どうしよっかな？ [TEL](バイブレーターの音) (静)あっ… あっ｡ あ～ もう 今かよ｡➡ ん～ んっ…｡ もしも～し｡ [TEL](心)こっち こっち｡ (静)えっ 何？ こっち？ えっ？ (心)後ろ見て 後ろ｡ えっ？ えっ 後ろ… 後ろって…｡ (心)ここだって こっち｡➡ 後ろ 後ろ｡ あ～ いたいたいた…｡ (静)あっ… あっ｡ アハハ｡ 今 行くね～｡ もう何だよ…｡ あ～ 出といて よかった｡ ヤッバい ヤッバい｡ (江里子)あっ！ (江里子)まっ… 待て｡ あ～ あっ…｡ (江里子)いっ… 痛っ｡➡ ちょっ…｡ ♬～ ♬～ えっ？ う～わ｡ あっ…｡ えっ？ どうなってんの？ ああ…｡ (春太の せき) あっ…｡ (江里子)痛い…｡ う～ う～…｡ つらいんでしょ？ あの女は？ 悪魔は？ 新しい恋をしてるから 彼女は｡ だから もう 君は 心配しなくていいから｡ 誰によ｡ 神様｡ 悪魔が神様に恋して かなうわけなんて ないでしょ！ とにかく➡ 彼女は もう君の好きな人のことは 忘れてるから｡ もう つけ回さないであげて｡ やだ… 絶対 やだ！ じゃあ｡ (江里子)やってしまったことは➡ なかったことには ならないんだよ 絶対！ (春太)そうかもね｡ 疲れた…｡ 昨日 あんまり寝てないし｡ [TEL] うわ…｡ 分かりました｡ 帰ります｡ [TEL] １人になりたい｡ １人になりたい…｡ (みやこ)うわ…｡ (みやこの せき) (心)ただいま みやこちゃん｡ (みやこ)あっ｡ ハハ｡ あっ…｡ (静)あっ｡ (心)何やってんの？ (みやこ)あっ 暇だったんで ちょっと倉庫を改装中なんです｡ (心)へ～｡ (みやこ)見てみます？ (心)うん｡ (みやこ)見てください しんさま｡ 見る見る｡ (静)んっ？ しんさま？ (みやこ)しんさま～｡ ジャ～ン！ (心)うわ すっげえ｡ 何 これ｡ (みやこ) ですよね？ すごいですよね？ (心)これ 入ってもいい？ (みやこ)もちろんです｡ (心)こっから？ (みやこ)はい｡ そうです｡ 心｡ 心｡ (心)うわ ふわふわ｡ (静)心～｡ (心)えっ？ 何？ (静)私 先 戻ってるね｡ (心)あっ 静 俺も…｡ (みやこ) あっ 大丈夫ですか？ あら？ はっ…｡ これだ｡ これだ｡ (心)えっ？ (静)これよ これ これ｡ この感じ｡ あ～ いけるんじゃないの？➡ うわ～｡ あっ これこれ これこれ こんな感じ｡➡ うわ これ いける｡ あ～ やっぱり 神は 私の味方だわ～｡ (みやこ)はっ？ うわ！ やめろよ！ そんなことないと思います！ (静)あっ いた｡ あ～ ちょっとイメージとは違うけど➡ もっとね 清楚な方が あれだけど まっ いっか｡ ｢まっ いっか｣って 何だよ｡ バイトしない？ 暇でしょ？ どうせ｡ 無職だし お金ないし｡ (みやこ)何か分かんないけど➡ 嫌だ｡ 断る｡ わがままね…｡ (心)ねえ みやこちゃん｡ (みやこ)はい｡ 何でしょう？ (心)よく分かんないんだけど➡ 静のこと 助けてあげてくれないかな？ もちろん 喜んで｡ (心)ありがとう｡ じゃあ よろしくね｡ (みやこ)チッ｡ こちらこそ｡ よろしくね｡ (みやこ)こちらこそ！ (心)仲良く…｡ 春太君 あっ おかえり｡ (春太)どうも｡ (心)おかえり｡ (春太)どうも｡ (心)仲良くね｡ あ～！ (心･みやこ)えっ？ (春太)何ですか？ これ｡ (みやこ)カワイイっしょ？ (春太)これじゃ➡ プライバシー ゼロじゃないですか｡ (みやこ)何だよ｡➡ いいじゃん｡ ねえ 早く入って｡ (春太)ここは 毎朝 私が 心を落ち着ける場所なんです｡ (静)ちょっと ちょっと 終わりました？ いいですか？➡ ちょっと 注目｡ (みやこ)んっ？ (静)皆さんに お願いがあります｡ は～い｡ (静)はい｡ いいお返事｡ いいですか？ 今から あしたの朝を目指して➡ この倉庫は生まれ変わります｡ 目指すのは 大人のおしゃれなピクニック｡➡ インテリアや食器は➡ あ～ そこまでは できないよ 買えないもんとは➡ 思わせない程度に すてきな感じに｡ そして 料理も➡ これくらいなら 作ってみてもいっか くらいの感じに 仕上げます｡ (心)すげえ｡ (春太)はあ…｡ あっ みやこちゃん モデルさんもね➡ まあ 確かに カワイイかもしれないけれど➡ まあ 似たような服は買えそうだし➡ 私も これぐらい なれるんじゃん って感じで 大丈夫だから｡ 何か うれしくない｡ あっ じゃあ 始めますよ｡ 皆さん よろしく～｡ (心)は～い｡ (みやこ)はあ？ (静)これ ちょっと運んで｡ これ…｡ (心)あっ 持つ持つ｡ あっ これも使えるな｡ あっ このタイヤも いいみたい｡ これも運んで｡ (心)タイヤ？ あっ ＯＫ｡ (静)うん｡ (心)春太君 そっち持って｡ (静)おっ これもいいね 心｡ (心)あっ これ？ これね アリにもらったやつ｡➡ アリって人の名前…｡ (静)お～ これもいいな～｡ あれっぽい｡ 波野 栞風？ (静)やめた｡ (心)えっ 誰？ (静)あ～ 心は知らなくていいの｡ あっ これにしよう｡ あっ 私も そっちの方が…｡ あっ みやこちゃん 服 見せて｡ (みやこ)えっ？ えっ？ (静)服｡ (みやこ)何？ えっ？ (静)えっ？ これしかないの？ (みやこ)文句ある？➡ 別に 必要ないし 服なんて そんなに｡ (静)じゃあ 私の服か？ (みやこ)はっ？ やだよ｡ おばさんみたいな服 嫌い｡ (静)そうね｡ あなたには ちょっと大人っぽいかしら｡➡ 着こなせないわよね～ まだ｡ (みやこ)チッ｡ はっ？ よし 行くよ｡ 行くよ｡ (みやこ)はっ？ どこ…｡ (心)どこへ？ (みやこ)えっ？ はっ？ (静)おっ｡ そこも行きますよ｡ (みやこ)どこに行くんだよ｡ (心)ほら 春太君 行くって 行くって｡➡ ほら 急いで 急いで｡ 行くよ｡ (春太)えっ？ えっ？ (心)あっ こっちだって｡ えっ？ こっちじゃないの？ こっち？ (みやこ)もう！ (心)どこだ？ (みやこ)あ～…｡ (心)ほら 春太君も｡ はい｡ (静)おっ これかな？ (心)うわ すげえ いっぱいあんな｡ (静)これ いいんじゃない？ どう？ (みやこ)うわ｡➡ 何 これ｡ あり得ない｡ (心)いいね｡ あの あの… 私 必要でしょうか？ (静)これも いいんじゃない？ (みやこ)う～わ だっさ｡ (心)いいね｡ (心)いいね！ (みやこ)えっ？ いいですか？ (心)うん｡ (静)いいわね！ 若いって｡ (みやこ)やった～｡ (心)似合う｡ ジャ～ン！ どうでしょう？ (心)これも いいねえ！ アハハ！ いいね 若いって｡ ジャ～ン！ (心)それも いいね｡ (静)お～…｡ ホント いいね 若いって｡ あの 若いってとこだけ 言わないでもらえます？ だって 若いって以外は➡ うらやましいとか 全然 思わないんだもん｡ 私も 昔 そういうの着てたな～｡ (春太)うん｡ (静)んっ？ (春太)へ～…｡ (心)次 これ どうかな？ (静)あれ？ この辺に 八百屋さんあったよね？ 心｡ あっ そこ曲がった所にね➡ 八百屋があるよ｡ (静)じゃ こっち～｡ (静)これにしよう｡ はい｡ (心)あ～ はい｡ 空間コーディネーターって 大変なんですね｡ 全部 １人でやってんですか？ いつも｡ (静)ええ｡ 売り出し中ですからね～｡➡ 今 もう 何でも やります｡ いつでも やります｡➡ おまけに安いってね｡ (春太)あっ そうなんですか｡ (みやこ)コンビニみたいなもんか｡ (静)でも 今回は 最大のピンチ｡ いきなりだもん｡➡ でも 最大のピンチは 最大のチャンスでもあるのよ｡ あっ そのとおりだよ｡ あのね テキサスのアメフトチームが➡ その年 最大のピンチだったとき…｡ (静)あっ あれも入れよう｡ あっ レモン｡ (静)うん｡ あっ 何か 腹 減ってこない？ 夜食 買っていこうか？ テキサスバーガーおごるよ｡ やった～！ (静)ホント？ うれしい｡➡ スタミナつけよ～｡ (心)あっ じゃあ そっち 先 帰ってて｡ (静)ＯＫ～｡ (心)ほら 春太君 行くよ｡ あっ はい｡ (心)テキサス テキサス｡ (みやこ)行きましょ～｡ (静)おっとっとっと…｡➡ あんた こっち｡ 帰って 料理の準備｡ (みやこ)何だよ｡ はっ？ (静)入れて 入れて｡ はい 行くよ｡ (心)ありがとう｡ はい 春太君｡ (春太)あっ…｡ ねえ 春太君｡ (春太)はい｡ 俺ってさ… センスない？ えっ？ (心)いや 静のために➡ もう少し センスとか磨いた方が いいのかなと思ってさ｡ そんなこと考えてたんですか？ 考えたいよ 俺だって｡ 考えないでいいです 社長は そんなこと｡ 考えないでください｡ それが 社長なんですから｡ 皮肉？ (春太)違います｡ あっ… そっか｡ (春太)あっ テキサスアｯプルパイも 買っていきませんか？ 社長｡ いいね｡ うまいよね あれね｡ (春太)はい｡ (心)頼もう｡ あっ 加奈ちゃん あのね➡ アップルパイをラージで｡ (加奈)ラージ｡ (心)静 喜ぶぞ～｡ (静)みやこちゃんはさ 心が お気に入りなわけ？ (みやこ)ノーコメントで お願いします｡ 分かりやすいけどね～｡ (みやこ)そうですか？ どこが好きなの？ 好きになるのに 理由なんて ないですよ｡ え～ そうなの？ 私は 理由なしには➡ 好きにはならないけどな｡ じゃ その理由が間違ってたら 嫌いになるんですか？ どうかな～？ 私は 好きになったら 嫌いにはならないんで 絶対｡ 変な子｡ あれだね みやこちゃんってさ 共感されにくいキャラだよね｡ 共感？ 別にいいです そんなの｡ 誰かに共感されるために 生きてるわけじゃないんで｡ (静)ふ～ん｡ 背が高くって 気が強いんだね｡ 危ないな｡ (みやこ)はっ？ あっ それ 面取りしてくれる？ (みやこ)面取り？ (ドアの開く音) (心)買ってきたよ！ (みやこ)あっ おかえりなさ～い！ (心)ただいま｡ (静)うわ すごい量だね～｡ (春太)ちょっと 買い過ぎちゃいましたかね？ (心)何 言ってるの｡ 足りなくなるより いいでしょ｡➡ 頑張るための夜食なんだから｡ おいしそ～｡ (春太)えっ？ (心)テキサスバーガーと テキサスバーガーダブル｡➡ テキサススパイシーバーガーに そのダブル｡ 私 スパイシーのダブル！ おっ いくね～｡ (みやこ)はい！ (心)あとは テキサスポテトと テキサスチキンの 骨付き 骨なし｡ あっ それから 静の大好物➡ テキサスアップルパ～イ｡ (静)やった～｡ バニラアイスとメープルシロップ た～っぷり｡ (静)うれしい｡ (心)あ～ あと これは おやつに➡ テキサスグミ～｡ お～！ (春太･静)お～｡ あっ あとね テキサスシェイクもあるからね｡ はっ… 最高！ (心)はい｡ シェイクやグミにも ｢テキサス｣って付くのね｡ たぶん ワイルドなんじゃない？ (静)ワイルドなシェイクか～｡ (みやこ)えっ？ 何？ 食欲 湧かない感じ？ まあ…｡ (みやこ)チッ｡ 弱っちいな｡ それでも 男かよ｡ (春太)はっ？ そんなんだから 駄目なんだよ｡ (春太)｢駄目｣って 何がですか？ 自分で考えろ｡ (春太)はっ？ (心)何やってんの？ 食べるよ｡ は～い！ (心)あっ 静 どれにする？ (静)んっ？ 私 レギュラー｡ (心)レギュラー｡ はい どうぞ｡ (静)ありがとう｡ (心)春太君は？ ダブルで お願いします｡ (心)おっ｡ チキンは骨なし…｡ (春太)男は 黙って 骨付きでしょ｡ (心)分かってるじゃ～ん｡ (春太)当然です｡ (心)はい どうぞ｡ (春太)ありがとうございます｡ よ～し｡ じゃあ…｡ (心･みやこ)いっただっきま～す｡ (静)いただきま～す｡ (心)あっ そうそう｡ 春太君 春太君｡ はい｡ (心)あっ あの 当たったやつ｡ あっ あ～…｡ (心)うわ うまそう｡ (春太)これ… どうなんですかね？ これ｡ (みやこ)カワイイ｡ (春太)えっ？ は～い｡ 静 どうぞ｡ (静)えっ？ カワイイ～ これ｡ え～！ いいな～！ ずるい｡ (静)ものすごい悔しいけど➡ 今日は みやこちゃんに 譲っちゃおっかな｡ いい？ 今日だけ いい？ いい？ (みやこ)えっ？ えっ えっ？ いいよ｡ (みやこ)ありがとうございます！ やった～！ (静)悔しいな～｡ ん～ あっ 悔しいな～｡ あ～｡ (春太)シェッ シェイク…｡ シェイク…｡ (心)あ～ シェイクしなきゃ｡ 大丈夫？ 春太君 春太君｡ そのシェイクじゃない｡ そのシェイクじゃないです｡ (静)ご苦労さま｡ 心 それ こっちね｡ (心)えっ？ こっち？ (静)こっち こっち こっち｡ (心)えっ どこ？ 静｡ (春太)おっ！ (静)もっと センス良くやって｡➡ さらさらさらさら～と 流れ～るように｡ (心)ねえ ねえ ねえ これさ➡ マサイ族からもらった 本物なんだよ｡ (みやこ)えっ？ すご～い｡ (春太)うわ！ あっ！ (心)あ～！ (静)ここも ちょきんとしようかな｡ (心)あっ ここも？ は～い｡ (みやこ)うお～！ わ～！ これ どうですか？ 使えそうですか？ (静)使わない 使わない｡ (心)懐かしいな｡➡ これ どこにあった？ (静)みやこちゃん それ ｢Ｆ｣じゃなくて ｢Ｔ｣だから｡ (みやこ)はっ？ だって ここに ｢Ｆ｣って書いてるじゃないですか｡ (静)えっ これ ｢Ｔ｣よ｡ これ ミントの…｡ (心)これ どう？ これ｡ (静)あ～ いいね～ これ｡➡ あと 心 上からさ 植物 ちょっと持ってきてくれる？ ＯＫ｡ いいよ｡ (みやこ)私も行きます｡ (春太)ちょちょっ… ちょっ あっ 痛い痛い…｡ あっ｡ (心)あっ みやこちゃん サボテンから選んで｡ (みやこ)は～い｡ ♬(みやこの鼻歌) (みやこ)んっ？➡ あ～｡➡ カワイイ～｡ ≪(心)みやこちゃん こっち こっち｡ (みやこ)はい｡ は～い｡ (静)うん｡ いい感じ｡ それでね ぐるぐるぐるって➡ 先っちょまでね｡ (心)了解｡ (静)あれ？ みやこちゃんは？ (春太)あれ？ さっき あっち行ったけど…｡➡ えっ？ あっ…｡ (静)寝てんの？ 起こして｡ (春太)みやこさん｡ (みやこ)んっ…｡ (静)ふさがない方が いいかもね｡ 上の高さ…｡ (心)静 これも？ (静)うん｡➡ それもね この間隔で だ～っと広げてね｡➡ よろしく｡ あ～｡➡ みやこちゃん｡ (みやこ)はい？ ちょっと｡ (みやこ)ハァ～｡ あ～ やだ もう…｡ (静)う～｡ ほら じっと う～…｡➡ ちょっと じっと我慢して う～｡ よしよしよし…｡ (静)うわ｡ ちょっと…｡ (みやこ)ハァ～｡ (心)よし｡ (静)構図 決まった？ 全体 入れてよ｡ みやこちゃ～ん そこ 真ん中 立ってみて｡ うわ すげえ｡ みやこちゃん 似合ってるよ｡ (静)照明｡ (春太)あっ はい｡➡ 明かり入りま～す｡ (静)うい～｡ (みやこ)うわ～｡ (心)うわ すっげえ｡ (みやこ)すご～い｡ (静)あっ みやこちゃん ちょっと ぶらんこ乗ってみてくれる？ あっ… は～い｡ (静)ぶ～らぶ～らしてみて｡➡ ぶ～らぶ～ら｡ はい 森の少女よ｡ はい いい感じ｡➡ うわ～｡ にっこりよ～｡➡ うわ～ 最高～｡ 皆さん 完璧～！ やった｡ 終わった｡ (静)うれしい｡ ありがとう｡ (心)お疲れ 静｡ (静)うれし～｡ 何か もう… ホントに好き！➡ みやこちゃん！ やっぱ 最高よ！ (みやこ)うわ！ うわ！ うわ！ (静)も～ ありがと ありがと｡ (心)みやこちゃんも ありがとね｡ (静)やるじゃ～ん｡➡ いい感じだよ｡ やれんじゃん｡➡ もう 最高…｡ (心)間に合ったね～｡ (静)いい笑顔 できるんじゃん｡ 完璧よ｡ [TEL] (心)あ～ 電話｡ (静)きっと…｡ お～｡➡ よし｡ はい もしもし｡ あっ どうも～｡ 準備万端ですよ～｡ はい｡ すぐに撮影できます｡ ええ｡ ええ｡➡ ｲﾝﾃﾘｱもﾃｰﾌﾞﾙｺｰﾃﾞｨﾈｰﾄもモデルも➡ イメージに ぴ～ったりかと…｡ ええ｡ えっ？ えっ？ えっ？ あっ あの もう一度…｡ えっ… えっ？ えっ？ いや あの… いや あっ…｡➡ あっ…｡➡ あ～｡ あっ あっ… いえ｡ どうも 失礼いたします｡ 分かりました｡ はい｡➡ は～い｡ どうも｡ 中止｡ (心)えっ？ (みやこ)えっ？ (静)撮影なくなりました｡ (心)そんな…｡ あの… あの ドタキャンしてきた先生が➡ 何か 急に やれることに…｡ (心)あっ… 静 大丈夫？ 大丈夫？ (静)うん｡ 大丈夫｡ 大丈夫 大丈夫｡ 大丈夫｡ ホント 皆さん すいませんでした｡➡ ホント ごめんなさい｡➡ ごめんなさい｡ (心)いいじゃん 最高に楽しかったんだからさ｡➡ ねっ？ (みやこ)えっ？ うん｡ 楽しかった｡ ねっ？ はい｡ (静)いや… いや でも➡ ホントに… ホント ごめんなさい｡ ホント ごめんなさい｡ ホント すいませんでした｡ (心)静のせいじゃないって｡ (静)ホント… いや… ホント ごめんなさい｡ (心)大丈夫｡ (静)悔しい… も～｡ (心)よく頑張った｡ (静)どうしよう… 悔しい…｡➡ ホントに悔しい｡ (静の泣き声) (心)すげえ楽しかったよ｡ (静)いや…｡ ♬～ ♬～ 楽しいと怖いんだ｡ ごめん｡ １人にしないで｡ お願い｡

ペテロの葬列＃11

1 そして競泳では萩野公介選手が なんと８種目に出場するという予 定なんですね｡ そして大会の後半になると吉田沙 保里選手がレスリングで｡ これからも応援しましょう｡ <(杉村)あれは ちょっとした ハプニングにすぎない> <バスジャックという非日常が 産み落とした> <偶然のようなものだ> <間野さんが我が社の元常務> <森氏を訪ねた帰りに乗ったバス> <同じバスに坂本君も乗ったのだ> (坂本)これから このバスを バスジャックする <彼の要求は 羽田光昭の相棒だった> <御厨尚憲を連れてきて 罰を与えること> <だが 御厨は すでに羽田に殺されていた> <このことで 僕ら人質が> <羽田からの慰謝料を 受け取っていたことは> <当然 警察の知るところとなった> <僕ら人質は警察に呼ばれ> <連日の事情聴取を受けた> <僕らは 犯罪を犯したわけではない> <だが ネットの世界では 事情が違った> <柴野運転手はバス会社に殺到した ひぼう中傷のメールに> <休職せざるをえなくなり> <若い前野さんは 盗撮された 動画までネット上にさらされた> <人質達は被害者面して> <裏では大金をせしめていた というわけだ> <迫田さん親子にいたっては 元日商ﾌﾛﾝﾃｨｱの会員までが> <自分達だけ損した金を 回収していたと攻撃に回った> お願いします (山藤)このお金が犯人の隠匿や 偽証の代償でないと分かれば あなた方の手元に戻る可能性は ないわけではありません はい しかし なぜあなたまで お立場上 困ることもあるでしょうに 会社なら すでに辞表を出しました なるほど だから今日は 広報の方が来てないんですね <橋本氏が来ないのは> <会長の病状が 予断を許さないからだった> じゃあ 聴取始めましょうか <羽田光昭のただ一人の友 早川多恵> <彼女の存在を何とか明かさずに すませたいと粘ったが> <そうはいかなかった> <御厨の殺害を 通報しなかった彼女が> <罪に問われないよう 祈るばかりだ> 間野さん (間野)杉村さん すいません ちょっといいですか では先に そこを曲がったところです あの… はい ちょうど 事件の日 あいつがグループ広報室に 来たそうですね 《(清田)間野京子は 真性の嘘つきですよ》 杉村さんも あいつの言うことを信じますか？ 僕もみんなも 間野さんを信じてます でも 一度ちゃんと 話したほうがいいと思います はい 失礼します 間野さん バスの中で なぜ菜穂子の名前を 《な ま え！》 《杉村菜穂子》 多分… 羨ましいって 思ってたからでしょうね (橋本)お話できましたか？ (菜穂子)いえ 眠ったまま 何だか 父がとても小さく見えて 橋本さん はい いつかは 父も死ぬのよね 大丈夫です 菜穂子さんは強い人ですから そう言ってくれるのは 橋本さんだけよ そうよね 母が死んだときだって 私… ちゃんと… そうです きっと乗り越えられるって 父に怒られちゃう 私 桃子を強く育てよう 女の子は強くなきゃ そのとおりです 父はね 私が困らないように あらゆることをしてくれたの でも 一人で生きていけるように してはくれなかった 橋本さん 私… 今までと違う自分に なりたいんです だから… 分かってます 最初 私には打算がありました 私は本来 そういう男なんですよ でもすぐに 足をすくわれました (手島)辞めちゃおっかな 会社 何か この先ここにいてもな (椎名)ﾄﾞｯｸﾞﾌﾞｯｸｶﾌｪですか？ お金戻るんですか？ ていうか ﾊﾞｽｼﾞｬｯｸのことで 色々考えさせられたな さすがの俺もな ≪(野本)人生を？ そう 人生を 事件後も色々ありましたもんね 私 間野さんのことがｼｮｯｸだったな このまま来なかったりしてな 間野さんもテッシーさんも いないなんて寂しすぎます ていうかな 会長にもしものことがあればだ このｸﾞﾙｰﾌﾟ広報室自体も どうなるか分からんぞ 誰？ (水田)秘書室の人だと思うよ (高野)そうなんです 高野と申します こんにちは～ こんにちは～ すごく苦手な人 珍しいですね 本社の方がこっちに来るなんて グループ広報室に 飛ばされるかもしれないので 見学に来ました (野本)飛ばされるって 感じ悪ッ てことは グループ広報室 まだ存続するのか… もしかして 編集長さんですか？ ちげえです ヒラでげす ヒラ でも確か 園田さんも杉村さんも 辞められるって聞きました はッ？ それホントですか？ ここだけの話ですよ 残るのはﾊﾞｲﾄの野本君と私だけ？ 編集長は？ 私だったりして 誰がすぐ辞めるって言った 自分でしょ いや このｸﾞﾙｰﾌﾟ広報室が 軌道に乗るまで 辞めるに辞められないよ ねえマスター ちょっと 伺いたいことがあるんです はい 以前 間野さんの身辺調査が 何もつかめなかったと その後 何か分かりましたか？ といいますと？ グループ広報室に 彼女の弁護士という人が来て 彼女のことを信用するな ということを言ったそうなんです その後 分かったのは 間野京子はＤＶで離婚し 夫にストーカーされていて➡ それで あの時点では 彼女の過去は全く不明だったと➡ そういうことなんです 彼女は その元夫が 亡くなっていると 言ってるようなんですが 《亡くなっておられませんよ》 はい 確かに亡くなっています じゃあ 嘘をついてるのは その弁護士のほうなんですね 明日 すぐにｸﾞﾙｰﾌﾟ広報室のみんなに 伝えます ありがとうございました 杉村さん 今は間野京子のことよりも 奥様のことを 申し訳ありません 私が申し上げるのはせん越でした いえ そんなことはありません 彼女にとって 父親は特別な存在ですから 支えるよう 努力します おはようございます おはようございます あの… 私事なんですけど ちゃんと説明させてもらっても いいですか？ (園田)じゃあ 睡蓮行こう いえ… よかったら 皆さんにも聞いてほしいです ５年前 離婚したあと 夫だった人が ｽﾄｰｶｰみたいになってしまって 弁護士に相談したんです すごく 親身になってくれたんですけど 何年たっても 嫌がらせはなくなりませんでした そしたら 知り合いから 元夫は とうに亡くなったって 聞いたんです でも ｽﾄｰｶｰ行為は続いてたの？ つい最近も うわッ… そのうち 清田弁護士が どんどんおかしなこと言い始めて 家族に会ってくれとか 結婚式は どこで挙げようかとか じゃあ あの弁護士が ｽﾄｰｶｰだったってことですか？ ≪(手島)警察に相談した？ はい でも 警察も 相手が弁護士だって知ったら まともに 話を聞いてくれませんでした 私にも悪いところがあったんで 悪いところって？ お金を借りたことがあるのは 本当です 最初は いい人だと思ってたし ホントにお金に困ってたんで だから私 今まで逃げてばっかりでした 引っ越し引っ越しで 職場も変えて でも それじゃいけないって 思うようになったんです 強くならないと 私 お母さんだから ねえ 警察でもどこでも 一緒に行こうよ 出るとこ出よう いえ 私一人でやります それがダメなんだって 間野さん あなたさ 他人のこと 信用できなくなってるでしょ 頼るときはさ 頼ったっていいのよ 早くしないと 私 いなくなっちゃうよ 辞めるんですか？ 本当に あッ 正確に言うと 辞めるんじゃなくて異動 今度のことで 責任も色々あるし まッ そろそろ潮時かなと思って 間野さん だから今のうちに 一緒に戦おう ありがとうございます (森)好きなもんから食べなさい ≪(森)彼女は今 12歳なんだ 私が来るのを心待ちにしていて おじいちゃんと 思ってんのかもしれないね 何だか羨ましい 奥様が (森)ホントか？ そう言ってもらえると 家内も喜ぶよ (｢テネシー･ワルツ｣がかかる) 覚えててくれたんだね 家内の好きな曲でね いつも来るとリクエストしてて ♬～ あッ テネシー･ワルツ 歌詞の意味 知ってるかね？ 恋人を親友に奪われてしまった 女性の歌なんだよ そうなんですか ワルツを１曲踊ってるうちに 恋人の心を盗まれてしまったって 実際 家内は大学のころ そういうことがあったらしい 絶望のあまり 一時は 修道院に入りたいと思ったそうだ なぜ 思いとどまられたんですか？ それは 私が現れたからだろう ♬～さりにし夢 あのテネシー･ワルツ ♬～なつかし愛の唄 ♬～面影しのんで 今宵もうたう ♬～うるわし テネシー･ワルツ ≪(田中)あんたも面倒見がいいね 坂本君 すっかり つきものが落ちたようでした 俺はまだ一度も 面会に行ってねえんだよ 忙しくて 活気がありますね そんなことねえよ 資金繰りが大変で 坂本が出てきたら うちの工場へ 来いって言っちまったし 潰すわけにはいかねえな そうだったんですか それに 息子が継ぐって言ってくれたんだ よかったじゃないですか 他にすることねえからだろ 体ばっかりムダに育ちやがって でも 男前なんだよ 俺に似て 結局 迫田さん お金を受け取られましたか？ あんたの言ったとおり 迫田の娘さんに断られた 僕達のお金 どうなるんですかね いっそのこと もういらんて 柴野さんは言ってたな➡ すっかり元気になって サバサバしたってさ よかった メイちゃん どうしてますかね ≪(田中)あの２人 結婚したりしてな➡ やめたほうがいいと思うけどな ≪(菜穂子) そう メイちゃんていい子ね 何かこのまま お金が 戻ってこないほうがよさそうね うん 僕もそう思うな 色々振り回されたけど かえって私達 前に進めるっていうか そうだね 会社辞めたらさ ちょっと旅行でも行こうか ダメよ 節約しなきゃ そうだね… (携帯着信) はい もしもし ☎井手だ すぐ来てくれ どうしたんですか？ 森さんの家だ 早く！ 何があったんですか？ 来りゃ分かる！ 電話じゃ言えない 亡くなっているんですか？ ああ 森さんは？ オヤジは 奥さんを連れてったんだ➡ 俺が社長室付になってから➡ ｵﾔｼﾞは俺がしゃんと立ち直るのを 見たいって言った➡ マメに電話して 様子聞かせろって 今日 何度電話しても出ないから 来てみたら オヤジの体 まだあったかかった 警察 呼んでないんですか？ ちょ… 何するんですか こんなの認められるかよ！ オヤジの最期が こんなザマであってたまるかよ！ 森閣下だぞ だからってどうするんですか！ 隠すんだよ 部屋も片付けて どっか行ってしまったように するんだ 無理ですよ！ いや できる！ オヤジは敵も多かった オヤジの足元にも 及ばないやつらだ あいつらが こんな死にざま知ったら さぞかし大喜びするだろう いや… かわいそうにって あわれむかもしれない そんなの俺は絶対許さん！ どんな最期であろうと 森さん自身が決断して 選んだ道です それを あなたが気に入らないからって… お前なんかに何が分かる つべこべ言わずに手伝え 遺体を車に乗せるんだ 嫌です！ 尊重すべきです 森さんのことを ホントに尊敬してたんなら 俺宛ての遺書は なかったんだ 立ち直るのが見たいっていう 言葉が 遺書ですよ あなたが見つけてくれるって 分かっていたと思います 警察に通報しますよ いいですね 俺がするよ あんた いつでもそうだな➡ きれいごとばっかりだ あれから 間野とはどうした 女房が怖いか あんたが今多ｺﾝﾂｪﾙﾝの中に いられるのは 会長の娘を たらしこんだおかげだもんな でも あんたも終わりだ 気づいてないだけだ 証拠があるんだよ 見たら あんた驚くだろうな さすがの俺も 腰抜かしそうになったよ 杉村！ 俺の上着のポケットに カメラがある➡ 持ってって中見ろよ！ (井手の高笑い) <僕は逃げた> <警察沙汰になる面倒から> <井手氏が突きつけようとする ある現実から> (携帯着信) 《≪(井手)証拠があるんだよ➡》 《見たら あんた驚くだろうな➡》 《さすがの俺も 腰抜かしそうになったよ》 あれは… ホントなの？ 本当です 私 橋本さんと罪を犯しました 帰ってこなかった日があったよね パーティーの… なぜ？ 分からない 愛してるの？ 彼を 分からない でも あなたと桃子ほどは… じゃあ 何？ 腹いせ？ 僕が桃子の発表会抜け出して 探偵気取りだったから 違う そうじゃないの 不安だった いつかあなたが この生活から逃げてって しまうんじゃないかって それが 君がしたことの理由？ 言ってること おかしいよ 彼も彼だよ 自分がやってること 分かってんのか あいつ 橋本さんが悪いんじゃないの 悪いのは私 ごめんなさい 私はね いつだって私は 何をするにも 心臓が 体がって 私だって夢があった 思いっきりスポーツしたり バリバリ働いたり 私が わがままを通したのは 桃子を産んだときだけ それとこれは 全然違う話だろ でも 私の中ではつながってるの 自分を変えたいというのと 犠牲を払ってるあなたを 解放したいっていうのと 全部つながってるの➡ あなた 私を許せる？ 私は あなたを裏切った そんな私を許せる？ 分からないよ！ 僕は君を一度も裏切ったこと… そうよね あなたは そんな人じゃない 私だけが罪を犯したの いや… 《寂しいですね 杉村さんいなくなっちゃうなんて》 違うの？ 間野さん？ あなたは踏みとどまれたのね 私には それができなかったの お互いの人生を 取り戻しましょ ごめんなさい あなたを傷つけて 私のこと 憎んで 恨んで 蔑んで でも 一つだけ言わせて あなたは教えてくれた 人は 自分で生きなきゃ いけないっていうこと 誰かにおんぶされたままじゃ どんなに恵まれても 幸せになれないってこと ごめんなさい ホントにごめんなさい マスター ちょっと寝かせて <何て勝手なんだ> <人の気持ちを 何だと思ってるんだ> <菜穂子を憎もうとしたが 完全にはできなかった> (水田)もう昼すぎだよ <目覚めたとき 僕は> <猛烈な怒りに満ちていた> <誰に対する怒りなんだろう> <菜穂子か 橋本氏か> <自分か…> マスター ごめん うん ここさ もうすぐ賃貸契約の 更新があるんだよね ず～っと同じところで 飽きちゃったし 杉村さんの次の勤め先に 近いところに 移っちゃおうかな うちの日替わりランチ 食いたいよね マスター ありがとう 落ち着いたら 連絡する ああ そういえば 言ったことあったかな～ 俺ね 水田っていうんだ 水田大造 よろしくね 食べて食べて <マスター 水田大造氏は> <さよならではなく よろしくと言った> <１週間後 僕は荷物を取りに戻った> <菜穂子と桃子には 家を空けてもらった> <本と服> <僕の荷物は驚くほど少量だった> (小夜子)杉村さん どうにかならないの？ 桃子ちゃんもいるのに もう 決めたことですから ≪(小夜子)ひどいわよね 菜穂子ちゃんも やっぱりあれね しょせん お妾の子だから 小夜子さん もう二度と 菜穂子をそんなふうに おとしめないでください 今ここで約束してください！ 私 あなたがかわいそうで… (桃子)パパ 帰ってくるのかな？ 引っ越ししたら 犬飼おっか パパの代わりに？ パパの代わりはママよ これから ママはパパにもなる ママのママもそうだったの 頑張るからね 失礼します 失礼します 体調のほうは いかがですか？ (嘉親)９分どおり戻った 100ﾊﾟｰｾﾝﾄじゃない こうやって少しずつ 失ってゆくんだな 橋本は 会社を辞めたよ➡ 橋本なりの けじめなんだろう 桃子を菜穂子に渡すのは 君の意思か？ はい まだ切実に 母親が必要な年齢です 今度の事態を桃子は 理解してるのか？ あの子なりにと 感じています あのぐらいの年の子でも 両親の離婚が 世界の終わりではないと 客観視できるんだな 我々の社会が そこまで成熟したのか… 退廃したのか… 一つ 君に詫びることがある いや お義父さん… まあ聞いてくれ 結婚のとき 私は交換条件を出した➡ 今多ｺﾝﾂｪﾙﾝの一社員になれと➡ 君を 監視しようと思ったんじゃない➡ 値踏みしようと 思ったわけでもない 私は 菜穂子を 今多ｺﾝﾂｪﾙﾝから切り離した すべてを考慮して それがいいと思ったんだ だが コンツェルンが生み出す富 財産からは 菜穂子を切り離さなかった 当然です だが 危険なことだ 富は天から贈られるものではない それを生み出すには 無数の労力が必要なんだ はい 私はあの子に それを実感させられなかった だから 君を通して 実感してほしかった やがて私という城壁が消えたとき ｺﾝﾂｪﾙﾝも変わってゆく 菜穂子を担ぎ 利用しようとする者が 現れるかもしれない だから 君に その城壁になってほしかったんだ ところが彼女は 城壁の外で 暮らしたいと言い始めた これは君にも私にも 予想外だったな ともあれ 私は君に 様々なものを捨てさせ 犠牲を強いたな 私のほうこそ 申し訳ありませんでした 愛情というのは 多少なりとも 犠牲を伴うもののような 気がします 森の遺書にも そうあった 愛は犠牲だと 森さんが… それを妻に教えられた そう書いてあった 杉村さん はい 寂しくなるな ♬～ ≪(椎名) 杉村さん お疲れさまでした ありがとう それでは 編集長より 一言お願いいたします 何仕切ってんのよ 次期編集長ですから 次期編とお呼びください グループ広報室も 変革のときを迎えますね いいことも悪いことも 何事も終わりが来るもので 私のような素人の編集長が 務まったのも ひとえに 副編のおかげだと思ってます 感謝してます ありがとう 身に余るお言葉です 編集長 次の部署 決まってるんですか？ うん 労連の事務局に あそこも広報誌出してるから 頼まれちゃったの 副編は？ 探偵になるんですよね？ えッ？ あれ 違うんですか？ ちょっと旅に出ようと思ってね 一人でですか？ やってみたかったんだ 行き先決めずにさ ローカル線に乗ってね 私としては 副編一人になって 大正解だと思うな 編集長 (園田)自由になれたんだから だから 元気でね しっかりやるのよ はい ねえ 私達ってさ いいコンビだったと思わない？ ええ ええ いいコンビでした うん いいチームじゃなくて？ いいコンビでした おい 俺達どうなるんだよ➡ いいチームだったよね➡ なあ ホスト君 何か言ってやれ 一言 <人が一番幸福なのは> <笑ってるときじゃない> <僕の好きな ｢青い鳥｣の一節だ> <僕は今 幸福か> <もちろん幸福だ> <多くを望んではいけない> <人生は 毒と苦渋と理不尽> <そして ほんの一さじの> <美しいもので 成り立っているのだから>

あすなろ三三七拍子＃02

1 (荒川)10年前 わがセタショーは 砧女子大学と合併をし➡ ｢翌檜大学｣と その名を変えました｡➡ わが応援団は 今や 存亡の危機にある！ (荒川)そこで ある男に➡ 団の命運を懸けたいと 思ってます｡ (荒川)君が 翌檜大に入学し➡ 応援団を 立て直してくれた暁には➡ 必ずや 社に戻すと約束する｡ (事務局長) 問題は指導部でございます｡ (原) ぶっつぶしちまえと？ この私に｡ (大介)翌檜～！ はい！ フレー フレー 翌檜！ 《金髪 こっちへ来い》 《本気で 美紀と付き合いたいなら➡ 恥を忍んだ 大人の酔狂を 真正面から受け止めてみ…》 (大介)翌檜～！ (健太)先ほどの応援に 感動し➡ 応援団に入団したく やってまいりました！ (沙耶)私も 入団を希望します｡ (山下)女子｡ (齊藤)女｡ 君ねえ…｡ 女性が 応援団指導部に入ることに 何か問題はありますか？ あっ いや それはですね…｡ (山下)ちょっと ちょっと｡ 団の内規に 女子の入団許可はあったか？ (齊藤)んっ？ (山下)今まで 指導部に➡ 女子は おったか？ (齊藤)あるわけないだろう｡ 齊藤 これは 先輩方に伺わなあかんで これ｡ わしら 勝手にな 独断で入れたら➡ えらいことなるで｡ (沙耶)こそこそしないで➡ さっさと決めてください！ あなた方は➡ 応援団を 再建させたいのでは ないのですか？ 何じゃと？ お前 この野郎！ ちょちょちょっ…｡ (沙耶)大声で どう喝すれば ひるむと思ったら 大間違いです｡ あの… 差し出がましいようですが➡ ここは 一つですね➡ 頭数を増やすっていうことを 考えてみては？ (齊藤･山下)えっ？ あの…｡ １人より２人 ２人より３人｡ 団の未来のためにも｡ (沙耶)これ お借りします｡ いや ちょっと…｡ 男装の麗人や｡ 齊藤先輩｡ (齊藤)ああ…｡ (健太)あの 自分の入団は…｡ 勝手に入ればええじゃろう｡ それでは 文理学部社会学専攻 ３年 松下 沙耶｡ 文理学部１年 野口 健太｡ ２名 入団決定ということで よろしくお願いします｡ おす｡ ♬｢翌檜 翌檜 わが母校｣ ♬｢翌檜 翌檜｣ (美紀)嘘…｡ 何 それ 応援団って｡ (翔) えっ 美紀ちゃんのお父さんが➡ ｢フレー フレー｣って…｡ えっ 聞いてなかったの？ 翔君 それ見たの？ ホントに お父さんなの？ だと思うよ｡ ていうか 絶対そうだよ｡ 俺 目 合ったし｡ それで？ あっ いや… 別に それだけだけど｡ 美紀ちゃん｡ どうしたの？ 美紀ちゃん｡ あれ？ 俺 変なこと言っちゃったかな～｡ 別に そんなことないけど｡ あっ いや ごめんね 美紀ちゃん｡ いや そんなにさ➡ ショック受けると思わなかっ…｡ (美紀)だから➡ 別に 翔君が謝ることじゃないし！ あらら 困ったな｡ ≪(翔)美紀ちゃん｡ ねえ➡ 美紀ちゃん 絶対 笑った顔の方が カワイイよ｡ ねっ？➡ そんな深刻に考えなくてさ➡ お父さんにも きっと 色々 考えるところが…｡ 考えるところ？ 何 考えるわけ？ 何で 考えると応援団になるの？ 意味 分かんないし｡ (翔)そんな怒んないで…｡ 美紀ちゃん こっち向いて｡ 機嫌 直して｡ ん～…｡ 美紀ちゃんのお父さん！ ち～っす｡ お疲れっす｡ (広子)は～い｡ ハーブティーが入ったわよ｡ (広子)あれ～ みんな どうしちゃったのかな？ あっ いや 俺は ただ 新歓のステージで お父さんが➡ ｢フレー フレー｣って踊ってた っていう話 したら➡ 美紀ちゃんが…｡ 踊ってるんじゃない｡ あれは エールだ｡ そうそう｡ エッ… エール｡ エールっす｡ (広子)何？ ｢踊ってた｣って｡ 何？ ｢エール｣って｡ 傷ついた娘に 君は キッ… キッ…｡ 何？ キスぐらいで怒っちゃって｡➡ キスなんて 今どき 幼稚園児でもするから｡➡ お父さん 翌檜の応援団に入ったんだって｡ 何？ ｢応援団｣って｡ マジか～｡ 応援団に入ったこと 誰にも言ってなかったんすか｡ (広子)ねえ どうして パパが 応援団に入らなきゃいけないの？ まさか 入りたかったの？ そんなわけないだろう｡ 信じらんない 応援団なんて｡ 私 おんなじ高校なんだよ？ 一緒の学校っていうだけでも 嫌なのに｡ いい笑いものだよ！ (翔)あっ 美紀ちゃん｡ おい お前➡ 美紀に 俺のこと何て言ったんだ？ あっ いや 俺は ただ ｢カッコ良かった｣って話を…｡ バカにすんな｡ バカにしてないっすよ｡ あっ でも お父さん 確かに 新歓のステージで➡ ｢フレー フレー｣って ぶっ倒れちゃいましたけど｡ 倒れたの？ あっ… マジすごかったんですよ｡ ｢えいえい おう！｣って感じで｡➡ 昭和！って感じで｡ やだ 大丈夫？ ただでさえ 血圧 高いのに｡ 俺が言いたいのは！ こいつと美紀のことだ｡ お前も お前だ｡ 娘のことが気にならないのか？ こいつはな 美紀に キッ…｡ (翔)あっ キスっていっても➡ ほっぺに チュッて やっただけですよ｡ あっ… あっ じゃあ キスっていうより挨拶？ お前 金髪～！ はい？ 美紀と付き合いたければ 条件がある｡ 何でしょうか？ 応援団に入れ｡ 美紀との交際を 認めてほしければ まず 応援団に入れ｡ あっ いいっすよ 面白そうだし｡ いいの？ 翔君 そんなこと言って｡ (翔)あっ いいんす いいんす｡ 俺 入ります｡ 美紀ちゃんのためだったら 応援団 俺 入りま～す｡ ♬～ 《まったく どいつも こいつも…》 《何で あんなに あっさり➡ ｢入団する｣なんて言うんだ あいつは｡ 軽薄なんだよ》 《ポリシーってもんが ないんだよ》 《美紀も美紀だ》 《どこが いいんだ あんな男の》 すしに コーラ？ ≪(紫乃)何 これ ウケる！ ≪(笑い声) (玲奈)あ～ 団長｡ おはようございます｡ おす｡ (玲奈)おす｡ ハハ… 新入部員 入ったって ホントですか？ ああ いや まあ…｡ (一同)おめでとうございます｡ 何 盛り上がってたの？ (紫乃)えっ？ いえ 別に｡ おっ？ 別に いいんじゃない？ ネットだし｡ (紫乃)えっ いいんですか？ (玲奈)はい｡ (玲奈)ハハ… 大丈夫｡ マジ カッコイイですから 全然 気にすることないです｡ (部員)はい｡ ねえ？ あっ それじゃあ お疲れさまです｡ (一同)お疲れさまです｡ 誰だ？ こんなことすんのは｡ ソーシャルネットワークの 弊害だな｡ ちょっ… 団長 違いますって｡ ゼンちゃん そこまで暇じゃないですから｡ 絶対 違います｡ ≪(チャイム) あっ １限目 始まりますね｡ 何 取ってるんですか？ うん…｡ (玲奈)団長って…｡ 何？ 結構 ミーハーだったりして｡ ヘヘヘヘ…｡ (原)今日から１年間 現代ﾌｪﾐﾆｽﾞﾑ論を 担当いたします➡ 原 智子です｡ よろしく｡ 授業を始める前に 言っておきたいことがあります｡ まず 私が テレビに出ているからとか➡ ベストセラー本を出しているから という興味本位な理由で➡ この講義を取った人➡ すぐに この教室から出てってください｡➡ 私は そういう ミーハー根性な人間が 大嫌い｡➡ 常に 真剣に学びたいと思っている 生徒しか➡ 相手にしたくありません｡ 去る者は 追いませんので ど～ぞ ご退出ください｡ (原)よろしい｡ では ことし１年 よろしくお願いいたします｡ あっ… そこの へんてこな学生服の あなた➡ 授業が終わったら 私の研究室に来てください｡ おす｡ いや はい｡ いや おす｡ (笑い声) (原)それでは 講義を始めます｡ (真由美)そこ メロンパンですよ｡ えっ？➡ やだ 私ったら｡ お～ これ あんパンだもんね｡ ハァ～｡ 悩み事ですか？ うん まあ… 何ていうか 色々とね｡ えっ まさか ご主人 女子大生と？ えっ もう？ そっちの方が まだ ましかも｡ ねえ どう思う？ ｢フレー フレー｣って｡ (真由美)はっ？ どう思う？ ｢おす！｣って｡ (真由美)えっ？ (主人)そういえばさ この間 例の学ラン親父➡ 生ごみ捨ててるの 見ちゃったよ｡ (真由美)ホントですか？ ああ｡ それもさ 大袋２つ｡ あの ごみ置き場 藤巻さんちの近くじゃない？ 見たことない？ 学ラン親父｡ さあ 全然｡ (深呼吸) (ノック) ≪(原)はい どうぞ｡ 失礼します｡ あれ？ (原)彼女は 私のゼミの 優秀な生徒なんです｡ 彼女には フィールドワークとして➡ 応援団に 入ってもらうことにしました｡ ああ…｡ では 行きましょうか｡ はい｡ どちらへ？ 団室に決まってるでしょう｡ 勘の悪い男ね｡ (沙耶)本年度から 原先生が 応援団の顧問になられたんです｡ あっ そうでしたか｡ おす｡ よろしくお願いいたします｡ 言っておきますけど➡ 私は 応援団のような➡ 古色蒼然たる封建的団体に 対しては 否定的立場です｡ そのおつもりで｡ おす｡ ≪(齊藤)何じゃ この髪は！➡ こんな きらきらしたもん➡ 耳に ぶら下げとって！ 団をなめてんのか！ お前 この野郎！ あっ!? (健太)団長！ あっ おす｡ 齊藤先輩 何事でしょうか？ おう 藤巻｡ (翔)お父さ～ん｡ お父さん？ 何だ お前の息子か？ いえ 違います｡ 気安く呼ぶな ｢お父さん｣なんて｡ あっ いや でも 俺 お父さんと➡ 美紀ちゃんのお父さんと 約束したんすよ｡➡ 美紀ちゃんと付き合うために 団に入れって｡ いや… 美紀ちゃんっていうの 俺の彼女なんですけど｡ 俺は まだ認めてない！ だいたい お前な…｡ 内輪もめは やめなさい！ みっともない！ 誰だ？ この おばさん｡ (原)あなたですか｡ セタショー時代の あしき風習を➡ 後輩に 押し付けているという ＯＢは｡ 人聞きの悪いこと 言わんといてくれや！ わしは 押し付けてるんじゃのうて➡ 教えてやってんじゃ！ (沙耶)齊藤さんです｡ 出版社の三つ葉社 勤務の｡ (原)は～｡ あの 下品 極まりない ヘアヌード満載の➡ 『週刊エブリモーニング』を 出している 三つ葉社の｡ なるほど｡ この時間に 会社を抜け出せる ということは➡ よっぽど暇か 能なし ということね｡ 人の仕事に ケチつけよって｡ 週刊誌は 男のオアシスじゃ！ 毛 見せて 何ぼじゃ！ そういうところが 最低だと言っているんです｡ とにかく 私が顧問になったかぎり➡ この 前近代的な応援団指導部を 徹底的に 改革いたします｡ (齊藤)何じゃと？ この おばさん… この野郎！ 私は 髪形や 性別➡ それから 身長や 体重 年齢などで➡ 学生の入部を 規制するようなことは許しません｡ これ以上 ＯＢの越権行為が 続くようであれば➡ 学長に直訴し➡ ＯＢの出入り禁止 もしくは 廃部を要請いたしますので➡ そのつもりで｡ ≪(山下)お～す！ どや みんな やっとるか？ あっ？➡ 今日から わしと齊藤で まっ びしびし鍛えたるさかい➡ そのつもりで 覚悟せいよ｡ 何や？ この おばちゃん｡ えらい 化粧 濃いな～｡ 新しい入部希望者か？ なるほど｡ 松下さんの予想どおりね｡ ここは宝庫ね セクハラ地雷の｡ ☎ 藤巻 電話だ｡ おす｡ 挨拶 忘れんなよ？ おす｡ おす｡ ☎(江本)お～…｡ (山下)藤巻 ｢お～す！｣や｡ 負けんなよ！ ☎お～…｡ ☎お～…｡ お～…｡ す…｡ ☎…す！ (齊藤)負けた｡ 最低や｡ おす｡ こちら 翌檜大学 応援指導部ですが➡ どちらさまでしょうか？ ☎おす｡ 自分 京浜学院大学 応援指導部で➡ 副団長を 務めさせていただいてます➡ 江本 慎也と 申します｡ あっ… 京浜学院大学さまで いらっしゃいますか？ ケイガクじゃと!? ☎失礼ですが…｡ はっ｡ あの 私 翌檜大の…｡ アホ｡ 自分や 自分｡ 気合負けすんな｡ 自分➡ 翌檜大団長 藤巻 大介と 申します｡ その調子じゃ｡ それで ご用件は？ それで ご用件は？ ☎おす｡ (江本)はなはだ ぶしつけながら➡ そろそろ 翌檜さんには➡ 挨拶に来ていただいては どうかと 存じまして｡ 挨拶ですか？ (江本)おす｡ 毎年恒例になっております➡ ６月の定期戦の 打ち合わせもございますし➡ こういうことは けじめですので➡ なるべく早く 来ていただきたく存じます｡ 出向けだと!? 何を ふざけたことを 抜かしとるんじゃ！ ケイガクとの顔合わせは ６月の第３日曜日➡ 多摩川 けんか橋の 真ん中って 決まっとるんや！ (江本)セタショー時代のことは 存じ上げませんが➡ どうするかは お任せいたしますが けじめは けじめですので➡ 何とぞ よろしくお願いいたします｡ では｡ (齊藤)くそっ ふざけやがって！ ケイガクっていうのは？ (山下) わしらの 永遠のライバル校や｡ (翔)それ 知ってる～｡ ケイガクって➡ 昔 セタショーと同じくらい 頭 悪くて➡ 卒論に 新聞の社説の切り抜き １年分 貼っただけで➡ 通ったって｡ ホントですか？ (沙耶)つまり 目くそ鼻くその争い ってことですね｡ (齊藤)何じゃと!?➡ よし… 今から ケイガクとの顔合わせに向けて➡ 特訓じゃ～！ (山下)それでは 点呼を始める！ 全員 姿勢を正して！ 団長 藤巻 大介！ おす！ １年 野口 健太！ (健太)おす！ お前 わしと どっかで 会ったことないか？ いえ ありません！ (齊藤)いや➡ どっかで見たことあるような 顔だな～｡ (山下)２年 保阪 翔！ (翔)お～す｡ おいおいおい… おい｡ もっと 気合 入れんか｡ これが限界で～す｡ おす！ (翔)すいませ～ん｡ お～す！ (翔)頑張りま～す｡ (山下)３年 松下 沙耶！ おす！ お前 団の魂 何か 言うてみ｡ 団旗 太鼓 学ランです｡ すげえ｡ かっけえ｡ 当然です｡ ちび 団旗の準備だ｡ (健太)はっ 自分ですか？ (齊藤)そうだ！ (齊藤)いいか？ 団旗いうんは 団の命じゃ｡➡ セタショー 元い 翌檜大応援団は➡ この団旗に始まり 団旗に終わる｡➡ つまり 団の象徴｡ よく覚えとけ！ おす！ (健太)おす！ (翔)おす｡ (沙耶)おす！ (齊藤) それでは～ 練習～ 始め～！ まずは～ 手始め～ 拍手～ 300回～！ (一同の掛け声) 最低｡ (荒川)そうか｡ ３人も 新人が入ったのか｡ ハハ…｡ なかなか やるじゃねえか 藤巻も｡ ふ～ん｡ おい 遠慮なく食え｡ (山下･齊藤)おす｡ (荒川)うん｡ (山下)いただきます｡ (荒川)おす｡ で どうなんだ？ その３人っちゅうのは｡➡ 使えんのか？ もちろん｡ 全員 有望な新人たちです｡ (荒川)おす｡ 有望か｡ おす｡ １人は 野口 健太といいまして➡ やや小粒でありますが 気合十分な 有望株です｡ 《アホ！》 《気合 入れんかい！》 《すいません！》 (齊藤)もう１人は 保阪 翔といいまして…｡ (荒川)うん｡ (山下)おす！ こちらは え～ 藤巻が勧誘してきたんですが➡ 非常に おしゃれ感覚に秀でて…｡ (荒川)あっ？ あっ？ おしゃれ感覚に秀でて…｡ (荒川)おう｡ (山下)非常に バランスの取れた 若者であり➡ 音感が良さそうなので 太鼓を担当させようと➡ 思っております！ (荒川)おう！ (翔)《無理ですよ 旗なんて》 《俺 こっちの方が楽そうだから こっちで いいですか？》 《楽なこと あらへんで》 《えっ？》 で もう１人は どうなんだ？ お～す！ (荒川)どうした!? (齊藤)いえ｡ 資質からいえば➡ おそらく 他の２人よりも 気合も 根性も➡ 勝ってると思われます｡ (荒川)お～｡ (齊藤)気の強さは 天下一品｡ (荒川)おう｡ ですが➡ 実は 名前が 松下…｡ んっ？ (齊藤)沙耶といいます…｡ んっ？ んっ？ (山下)松下サヤオ！ 松下サヤオです！ (山下)サヤオといいます はい！ サヤオ！ サヤオが どうかしたか!? いただきます！ (山下)いただきます！ はい！ (荒川)質問に答えろ！ (山下)しかし 相変わらず ごっつ怖いな～ 荒川先輩｡➡ ま～ 最悪 サヤオのことバレても➡ 団員２人は 確保してんねんから ええんちゃうか？ (齊藤) 金髪と中坊じゃ 先行き暗いのう｡ まあ でもやで？ 最悪の最悪➡ 藤巻が大学におったら ええんちゃうんかい？ おっ… それも そうだのう｡ (山下)そやろ？ ２年でも３年でも おらしたら ええがな｡ えっ 留年って何年やった？ 古川先輩 結局 ８年おったな｡ あ～ そや そや そや｡ それで わしら苦労したんや｡ お～ もう１軒 行くか｡ (山下)いや ええけど➡ おい お前 ええんか？ サッちゃんは？ 早う帰らな 怒られんのちゃうんか？ (齊藤)いいんだ｡ (山下)何で？ もう いいんだ｡ (山下)何でや？ あいつ 出ていきよった｡ 子供２人 連れて さよならや｡ わし➡ 藤巻が 音を上げたら➡ 代わりに セタショー… いや 翌檜応援団 もう１回 入って➡ 団長やったろうかな｡ あの土手 走ってたら 何だか そんな気になるから➡ フフ… 不思議なもんじゃ｡ (山下)アホ！ 今 団 入ったら あの おばはんが 顧問やぞ｡ えらいこっちゃ！ (齊藤)それも そうだな｡ むちゃくちゃなんぞ！ (齊藤)お～ これも ご時世だ｡ (齊藤･山下の笑い声) (山下･齊藤) ♬｢多摩川の水面に光る｣ ハッ｡ フッ｡ ハッ｡ 先 寝るぞ｡ うん｡ あっ ねえ パパ｡ んっ？ 悪いんだけど➡ あの学生服 着てるとき➡ 道で会っても 話し掛けないでくれる？ 何で？ 噂になってるんだ ｢学ランおじさん｣って｡ ねえ ホントで 本気で 応援団やるの？ しょうがないだろう｡ 辞めたら 会社 これだ｡ このまま 会社に戻れないとか そんなこと ないわよね？ 大丈夫だよ｡ 社長と じかに約束したんだ｡ うん｡ それなら いいんだけど｡ ハ～｡ ハッ｡ それなら いいのかよ｡ ハッ｡ ハ～｡ それだけかよ｡ ハ～｡ 端 持てや｡ (健太)はい｡ 雨天中止とか ないんすかね？ (齊藤)しゃれたこと 言うもんじゃのう 金髪｡ 晴れた日しか 応援しないような団が➡ どこに あるんじゃい！ (翔)ああ…｡➡ でも 齊藤先輩に借りた この学ラン➡ ぬれちゃ まずいかなって｡ だって 青春の思い出とか 染み込んでるんでしょ？ お前が いつまでたっても 学ラン買わねえからだろう｡ ほら 襟のホックが外れてる｡ (翔)えっ？ ったく もう 貸してみ ほら｡ あっ ちょっと 先輩？ 先輩 先輩 先輩… 会社とか➡ 会社とか大丈夫なんですか？ 人生には 会社よりも大事なもんがあるんだ｡ そうやって 勝手な都合で 団だの友情だのを 優先した結果➡ 家族に見放され 妻子に出ていかれる｡ 自分勝手な男の 典型的なパターンですよね｡ お前 何で？ (翔)あっ みんな 知ってますよ｡ あっ この間の練習の後に➡ 山下先輩が ｢嫌です｣って言ってんのに➡ みんなのこと 飲みに連れてってくれて➡ ｢もう プライベートな話とか 聞きたくない｣って言ってんのに➡ 泣きながら 齊藤先輩の家庭事情 全部 語ってくれましたもん｡ ねっ？ 健太君｡ おす｡ (舌打ち) あれ？ 藤巻 どこ行った？ 段取り覚えるのに １人の方が 集中できるって➡ どっか行きました｡ ったく どいつも こいつも こんな大事な日に｡ (山下) お～す｡ みんな やっとるか？➡ やっと抜け出せたわ｡➡ おう 齊藤 ちょっとは元気になったか？ フン｡ おす｡ 自分➡ 翌檜大学 応援指導部団長の 藤巻 大介と申します｡ 本日は…｡ (翔)あっ 団長｡ みんな 揃いましたよ｡ せっかくだから 記念写真 撮っちゃいましょうか｡ ねっ？ (紫乃)ねえ 沙耶さん マジでカッコ良くないですか？ (一同)カッコイイ！ (紫乃)沙耶さん！ (一同) キャ～！ ヤバい！ カッコイイ！ (齊藤)おっ サヤオに ファンクラブできとるな｡ おう 信じられへん｡ 何ちゅう世の中や｡ 何でいるんだ？ おばさんが｡ (山下)さあ｡ 顧問としての責任です｡ それに 作家の 森田 幸作は➡ ケイガクで 授業を 持っているそうじゃありませんか｡ しかも 今日の顔合わせにも 立ち会うと｡ えっ 森田 幸作先生が？ ですから 私が行かないわけにはいきません｡ 誰や？ 森田って｡ (齊藤)お前 知らんのか｡ うちの会社の ドル箱作家先生じゃ｡ (山下)へ～｡ (沙耶)そして 原先生のライバル｡ 古色蒼然たる男尊女卑思想の本を 出しまくっている 男性作家です｡ 火 付けちゃいましたね 原先生の負けず嫌いに｡ (翔)はい 皆さん いいですか？ こっちに向かって にこって笑ってくださいね｡ はい｡ (齊藤)おい 何で 団が笑わなきゃいけねえんだ！ しゃあない これも ご時世や｡ スマイルでいこう｡ (シャッター音) (一同)お～す！ (原)森田 幸作は？ 森田 幸作 どこにいるの？ お姿が見えないようだがな｡ は～｡ 敵前逃亡とは ひきょうな男ね｡ (山下)おい 齊藤｡ (齊藤)んっ？ (山下)こら ちと ヤバいで｡ 風下や｡ (齊藤)えっ？ (山下)この風が強なったら…｡ お～ 健太じゃ まずいな こりゃ｡ (齊藤)いいか？ 健太｡ 団旗 持つときは➡ 前からの重みに釣られて 背中 反らしたら あかん｡ 背中 反らしたら 足の踏ん張りが 利かん｡ 腰も 一発で わやになる｡ 背中に 鉄板 入れたつもりで➡ 背中の筋を 真っすぐ伸ばして 耐えるんじゃ｡➡ 背中に鉄板｡ 背中の筋いうたら根性や｡ おす！ (齊藤)団旗は 団の命！ 分かったな！ (健太)おす！ お前 どっかで見たことあるんだよな～｡ また 根性論｡ (齊藤)よっしゃ～｡ (翔)これ 旗 持ちながらだと 結びづらいんだけど｡ (沙耶) ちゃんと 気合 入れて 結べよ｡ 何？ 今 ｢気合｣って言った？ サヤオ君｡ お～す！ 自分 京浜学院大学 応援指導部➡ 副団長を 務めさせてもらっております➡ 江本 慎也と 申します｡ はなはだ せんえつではありますが➡ 進行役を 務めさせていただきます｡ あいつか 電話してきたんは｡ すかした きざ野郎だな｡ おす！ 自分 翌檜大学 応援指導部団長 藤巻 大介であります！ 本日は よろしくお願いいたします！ (江本)お見受けしたところ かなりの ご年配と思われますが➡ なぜ このような方が 団長を務められることに？ おす！ ｢このような方｣とは 人聞きの悪い！ 学生に 身長 体重 性別 服装 髪形に 制限はありません！ そのようなことは置いといて➡ 速やかに 進行していただきたく存じます！ 藤巻も なかなか やるやないけ｡ (齊藤)おう｡ (原)全部 私の受け売りじゃない｡ (江本)おす！ ああ言えば こう言うのは 年の功｡ 面倒なので 話を続けさせていただきます｡ こちらは わが応援指導部で➡ 団長を務めさせていただいてます 渡辺 啓治と 申します｡ (渡辺)お～す！ 何なの？ あの 無駄に でかい はげは｡ 負けんなよ｡ (山下)踏ん張れよ｡ 本来ならば 渡辺が➡ 藤巻団長との話の お相手を➡ 務めさせていただく ところですが➡ 渡辺は 極端に無口｡➡ かえって 失礼があっては ならないので➡ 自分 江本の方から➡ いくつか 申し上げさせて いただきたく存じます｡ おす！ どうぞ｡ ｢どうぞ｣は ないやろ ｢どうぞ｣は｡ (江本)定期戦ですが ことしは ６月15日といたしましょう｡➡ 場所は 溝ノ口球場｡➡ うちが 一塁側 翌檜さんが 三塁側｡➡ 試合開始は 午後１時｡➡ 従って 12時半には 三塁側に ご足労いただきたく存じます｡➡ うちは おのおの 手続きなどもあり➡ 遅れるかもしれませんが➡ 12時半には来ていただき➡ 待っていただくという形に いたしましょう｡ おす｡ 相手の言い分 うのみすな アホ！ ｢先に来て 待ってろ｣と 言われてんのが 分かんねえのか！ 異議あり！ よっしゃ｡ いけ サヤオ！ 今の言い分 まったく 理屈が通っていません｡ ケイガクと翌檜は 同等の立場のはず｡ なぜ われわれが 三塁側に行かねばならないのか｡ バックネット裏で 会えばいいだけのこと｡ 最初から 遅れるのが 分かっているのであれば➡ 時間を 12時45分にしましょう｡ お～ いいぞ いいぞ いいぞ！ 使えるのう サヤオは｡ (原)当たり前です｡ どこのゼミ生だと 思ってるんですか？ (江本)おす！ はなはだ 失礼かと存じますが➡ そちらの２人は 正式な 団員でいらっしゃいますか？ おす！ もちろんです！ そちらの方は 髪が金色のようですが➡ 留学生でしょうか？ (翔)おっ 超ウケる！ ないない！ そんなことない！ 超日本人！ それで もう一方は ひょっとして女性ですか？ はい｡ 女性ですが それが何か？ いえ｡ まあ 翌檜さんには➡ 翌檜さんの お考えがある ということでしょうが｡ (沙耶)お宅は どうなんですか？ ケイガクさんは 女性の入団を 認めていないんですか？ なぜですか？ その理由を聞かせてください｡ ええぞ サヤオ！ (齊藤)もっと押したれ！ フェロモン 全開や！ (原)フェミニズムです｡ 松下｡ (渡辺の うなり声) はげが うなってるぞ｡ (山下)何をしとんのや｡ (渡辺の うなり声) はっ？ では 当日の段取りに関しましては おいおい詰めていくということで｡ おす！ (健太)あ～… くっ！ 背中に鉄板｡ 背中に鉄板｡ (山下)ヤバい… 早う終わらせな｡ お～す！ 今日のところは 滞りなく 顔合わせが終了したということで｡ おす｡ 了解いたしました｡ あっ｡ マジ？ (沙耶)えっ？ (山下･齊藤)あ～！ おい！ (齊藤)何やっとんじゃ！ 団旗は 団の命！ 魂 言うたろう！ (翔)おっ… 俺っすか？ (山下)切腹もんじゃ！ お前が結んだんだろう！ いや 旗 持ってたから➡ 結びづらかった そのせいっすよ！ お前だろう！ 責任の なすり付け合いは やめてください！ あ～ 落ちる！ あっ！ ラッキー｡ って また飛んでっちゃいます！ ♬～ (山下)齊藤 お前は ここまでや！ わしが行く！ (齊藤)大丈夫だ 俺が行く！ (山下) 何 言ってん！ お前 金づちやろ！ 土左衛門になったら どないすんねん！ ドラえもんでも 土左衛門でも なったる！ 団旗と共に沈めんやったら それが本望じゃ！ アホんだら｡ わしが行く！ (齊藤)俺が行く！ 団旗は 俺の… 俺の魂じゃ！ 分かった！ 齊藤 頼むぞ！ 翌檜大応援団の～！ 団旗の無事を 祈り～！ それ～！ おら！ (一同)フレー フレー 翌檜！ フレー フレー 翌檜！➡ フレー フレー 翌檜！➡ フレー フレー 翌檜！ フレー フレー 翌檜！➡ フレー フレー 翌檜！ フレー フレー 翌檜！ (原)ちょっと 何 ぼんやりしてんの！➡ 敵に塩を送られて どうするんです！ おす！ こっちも エールだ｡ (健太)おす！ いや でも あんな遠くに届きますかね？ そういう問題じゃない！ 気合だ！ (山下)《声は届かんでもええ》 《気合を届けたれ》 《それが 応援の基本や》 気合を届けるんだ！ いや ｢気合｣って…｡ 気合は信じませんが 人として エールを送ります｡ 太鼓！ おす！ 世田谷商科大学 元い 翌檜大学 ＯＢ 齊藤先輩 山下先輩に～！ 敬意を表して～！ フレー！ フレー！ 齊藤～！ それ～！ はい！ (一同)フレー フレー 齊藤！ フレー フレー 山下～！ 団旗！ 声が小さ～い！ おす！ (健太)お～す！ はい！ (一同)フレー フレー 齊藤！➡ フレー フレー 山下～！ (一同)フレー フレー 齊藤！➡ フレー フレー 山下～！ はい！ (一同)フレー フレー 齊藤！ フレー フレー 齊藤！ フレー フレー 齊藤～！ 団旗！ 団旗！ はい！ (一同)フレー フレー 齊藤！➡ フレー フレー 山下～！ (齊藤)団旗！ (齊藤)う～！ やった｡ (齊藤)お～！ すげえ｡ (齊藤)ほんでもって こっから どうすんじゃ～！ そのまま 団旗 ぬらさんと 戻ってくるんやで！ 世田商応援団 第三十八代団長 齊藤 裕一！ (山下)あ～ うまいな！ (広子) まあ… ホントに大変でしたね｡ (齊藤)おす｡ 恐縮です 奥さん｡ (山下) あ～ お構いなく 奥さん｡ はい｡ (広子)あの パン焼いたんですけど もう おなか いっぱいかしら？ (山下)いえいえ｡ あ～… うまいわ｡ はい｡ おす｡ (齊藤)お前 何ちゅう美人の嫁さん…｡➡ しかも 優しい｡ おす｡ 天使や｡ まさに ヤマトナデシコ｡ 飲め ほら｡ (山下)おう｡ もう 嫌ですわ 山下先輩ったら｡ それに引き換え 若い者ときたら➡ 思いやりとか ねぎらいの心が ねえのか あいつらには｡ なっ？ 藤巻｡ おす｡ (齊藤)金髪はバイト 女子はﾚﾎﾟｰﾄ｡ ほんでもって 健太は➡ 腰が痛いから 病院へ行くなんぞ 抜かしやがって｡ ったく…｡ しゃあないわ 齊藤｡ これも ご時世や｡ でもやな 団旗が無事やったから よかったんちゃうか？ おっ それも そうだな｡ (山下)そやろ｡ なっ？ 奥さん ビール｡ (山下)うん｡ (広子)はい お待ちください｡ (山下)はい｡ [TEL] (翔)｢ミキちゃんへ｣➡ ｢応援団 少し続けてみるかも｣ 嘘… 何で？ (翔)｢ここで やめたら ミキちゃんと つきあえないし｣➡ ｢それに 今日 俺 ちょっとだけ 団のこと｣ んっ？ (男性)この野郎！ 仕事中に メールしてるやつがあるか！ さーせん｡ バレちゃいました？ バレちゃいました｡ (翔)フフ…｡ (沙耶)《団旗… ただの布》➡ 《それを 命懸けで追い掛ける 中年男たちの 意味不明の行動》➡ 《ある種の感動と カタルシスは➡ およそ 自分たちで つくり上げた➡ 自己満足に すぎないのではないか》➡ 《そして 見た目の熱さ》➡ 《その場の勢いに 気おされ エールを送る 中年男》➡ 《男は なぜ こんなに➡ その場の感情に 流されやすいのか》 《たかが 旗》➡ 《そこに 意味を 見いだそうとするのは なぜか》➡ 《その先に 果たして 何が》 サヤオか…｡ (山下･齊藤)♬｢世田商 わが母校｣ 藤巻～ ビールまだか～？ (山下)あ～ 奥さんも こっち来て 歌いましょう！ (広子)はい｡ もう いいかげんにして｡ 嫌だから こういうの｡ あの人たち いつ帰るの？ にこにこしてたじゃん ｢楽しい 楽しい｣って｡ にこにこは得意なの｡ 何年 女やってると思ってんだ｡ あ～ 奥さんも 一緒に歌いましょう！ (広子)は～い｡ 藤巻～！ おす！ 来～い！ (山下･齊藤)♬｢友らの絆｣ 座って｡ (広子)はい｡ おう 藤巻｡ おす｡ 次は 楽しい合宿が待っとるぞ～｡ (齊藤)おっ｡ 合宿ですか？ おう！ 楽しい楽しい合宿や｡ おっ そりゃ楽しみだぞ～｡ (山下)ハハハハ…｡ おす｡ (山下)は～ 乾杯！ ♬～ ♬～

HERO２nd＃06

1 ♬～ (遠藤)よろしこ｡ ヘイヘイ｡ (一同)乾杯｡ (遠藤)今期 26回目の合コン 最高でございます｡ (美波)乾杯 もう ７回目｡ (遠藤)７回も やっちゃった？➡ ７回も やっちゃった？ じゃあ 立て続けに ８回目➡ いっちゃいます｡ イェーイ｡ (一同)イェーイ｡ (遠藤)一口も 飲んでないのに…｡ ♬～ (美波)検事って？ (真衣)あの検事ですか？ (遠藤)あのケンジ？ どのケンジ？ 俺 ケンジ｡ 遠藤ケンジでございマヒマヒ｡ (早田)ああ！ ♬～ (早田)ああ｡ うわー｡ ああ｡ ♬～ 365回目の 乾杯です｡ １年分 乾杯しちゃった｡ (一同)イェイ｡ すごい｡ (遠藤)よしよし｡ 二次会 行くでしょ？ 行くでしょ？ (一同)行く｡ (遠藤)行く？ 行く？ 行くね｡ よっしゃ｡ よっしゃ｡➡ よし｡ じゃあ じゃあ 写真も｡ 写真も いっちゃおう？➡ 写真も いっちゃおう｡ 僕のね 僕の｡➡ はい｡ 集まって 集まって 集まって｡ はい｡ いくよ？➡ かしゃりんこ｡ [TEL](シャッター音) (一同)アハハ｡ (遠藤)いいね｡ いいね いいね｡ (美波)ホントに 検事さんなの？ 遠藤さん｡ (遠藤)えっ？ (真衣)もう いいよ｡ (遠藤)もう いいよ｡ (男性)一生 ついていきます｡➡ 遠藤さん｡ (遠藤)ついてまいれ｡ だけど おしっこには ついてまいるな｡ アハハ｡ (遠藤)きてるね これ これ｡ きて…｡ おうおう｡➡ そうそう そうそう そうそう｡ ｢今夜は モテモテ！｣➡ ｢二次会へ ＧＯ！｣っと｡ よし｡ フフフ｡ きてるね｡ (遠藤)トイレで 騒ぐな｡ おい｡ ヘヘッ｡ えっ？ えっ!? ああっ！➡ 痛っ！ あっ｡ えっ？➡ えっ？ えっ？ 眼鏡｡ 眼鏡｡ (従業員)どうしました？ えっ？ えっ？➡ ああっ！ うわー！ うわー！ えええー!? (久利生)ああ｡ (千佳)おはようございます｡➡ 久利生検事｡ (久利生)おはよう｡ (千佳)寝不足ですか？ ネットだ｡ 通販だ｡ (久利生)決め付けんなよ｡ (千佳)違うんですか？ (久利生)そうだよ｡ (千佳)おはようございます｡ (久利生)おはようございます｡ (一同)おはようございます｡ (久利生)すごくね？➡ バーベキューで 肉 焼きながら たき火で スマホ 充電できんだぞ｡ (千佳)すっげえ 働き者っすね｡ (久利生)マジで すごいんだって｡➡ コンセント いらねえんだぞ？ (井戸)ああ｡ とっとっとっと｡ (千佳)使いますか？ (井戸)あっ｡ おはようございます｡ (一同)おはようございます｡ (久利生)あっ｡ (末次)また つまんないもん 買っちゃったの？ 久利生さん｡ (久利生)だから つまんなくないって｡ (田村)ゆうべ うちに帰ったら トイ･プードルと➡ ポメラニアンがいてさ｡ (宇野)犬？ (川尻)君んとこの ペットは 確か｡ (井戸)ヨークシャー･テリアと➡ ミニチュア･ダックスフント｡ ラッキーと ロッキーでしたっけ？ (田村)増えてたんだよ｡ 俺に 相談もなしに あいつ｡ (千佳)あら 奥さまですか？ (田村)ﾍﾟｯﾄｼｮｯﾌﾟで 買ってきたんだ｡ (礼子)ホントに 犬好きで いらっしゃるのね｡ 奥さま｡ (川尻)しかし ４匹は 多過ぎないか？ (田村)しかも 名前が リッキーと ポッキーですよ｡ (宇野)リッキーと ポッキー？ (小杉･末次)おはようございます｡ ☎ (一同)おはようございます｡ (小杉)部長｡ 電話が 鳴ってます｡ (末次)じゃあ 今➡ 田村検事の家には ラッキーと ロッキーと➡ ﾘｯｷｰと ﾎﾟｯｷｰが いるんですね｡ (礼子)にぎやかで いいわね｡ (千佳)どうして １匹だけ ポッキーなの？ ラッキー ロッキー リッキーって きたら｡ (井戸)ﾚｯｷｰか ﾙｯｷｰですよね？ ねえ？ ☎ (宇野)開けてよ｡ (宇野)確かに ポッキーだけ 仲間外れだな｡ (田村)どうでもいいよ もう｡ (礼子)いっそのこと➡ ベッキーとか ビッキーも 飼ってあげれば？ いや｡ ジャッキー いた方が いいんじゃないっすか？ しゅっ｡ はい はい はい｡ (田村)あれ？ 遠藤は？ (川尻)ええっ!? どうしたの？ (川尻)遠藤が!? (牛丸)昨日の夜 逮捕された｡ (川尻)逮捕!? (一同)逮捕!? 人を 刺した!? (一同)刺した!? 遠藤が？ 嘘だよ｡ マジ？ ♬～ (遠藤)えっ？ えっ？ 殺人未遂!? (大木)それが お前の 逮捕容疑だ｡ (遠藤)いや｡ だって…｡ 痛っ｡ あっ｡ 僕は 検察事務官ですよ？ (大木)だからこそ 大問題なんだろ！ えっ？ [TV](ﾘﾎﾟｰﾀｰ)殺人未遂の疑いで➡ 現行犯逮捕されたのは 東京地検の 検察事務官 38歳で➡ 刺された 早田さんは 都内の病院に 運ばれましたが➡ 命に 別条はないということです｡ (川尻)何てことだ｡ (田村)遠藤が 人なんか 刺すかよ｡ (小杉)あり得ませんよね！ うん｡ (千佳)だいたい ナイフなんて 持ち歩いてるわけ ないですよね？ (宇野)そう 言い切れるかなぁ？ (礼子)虫も 殺さないような顔して 人 殺しちゃってる人間➡ 散々 見てるじゃない？ 私たちは｡ (田村)おい｡ (川尻)やめてくれよ｡ 馬場君｡ (末次)人は ちょっとした 弾みで➡ 間違いを 犯しちゃいますからね｡ (千佳)ちょっと 末次さん｡ (田村)遠藤は 俺の事務官ですよ｡ (井戸)でも 僕ら 遠藤さんの 全てを 知ってるわけじゃないし｡ (川尻)井戸君まで｡ (田村)遠藤の不祥事は➡ 俺の評価を 下げるんだ｡ (千佳)ねえ？ 何とか ならないんですか？ 久利生検事｡ 何とかって いわれても こればっかりはな｡ (宇野)無理だよなぁ｡ (千佳)遠藤さんは われわれの 同僚ですよ｡ 宇野検事｡ (宇野)何とか してあげたいよね｡ おいおい｡ おい｡ 同僚だからって 助けるとか そういう話じゃねえだろ｡ (礼子)特別扱いは できないわ｡ (末次)そういう ルールですもんね｡ (宇野)そうなんだよなぁ｡ (千佳)ルールって｡ (小杉)あっ｡ お待ちください｡ (井戸)えっ？ 何？ 何？ (首藤)特捜部だ｡ (田村)特捜部!? (首藤)遠藤事務官の 殺人未遂容疑に関し➡ 城西支部の 捜索差し押さえを 行う｡ (川尻)捜索差し押さえ!? (首藤)遠藤のデスクは？ (田村)こちらです｡ (田村)どうぞ｡ (神田川)デスクの中のものは 全て 押収｡ (一同)はい｡ (川尻)特捜部が 捜査を？ (首藤)検察職員が 起こした 事件ですから｡ (千佳)本当に 遠藤さんが やったと 思ってらっしゃるんですか？ (首藤)特捜部が 捜査内容を 明かすと 思っているのか？➡ 遠藤の取り調べは この部屋で 行います｡➡ 身内だからといって 一切 手加減はしない｡➡ 皆さんも そのつもりで｡ (田村)もちろんです｡ どうぞ｡ 悪夢だ｡ ♬～ [TV](ﾘﾎﾟｰﾀｰ)殺人未遂容疑で 逮捕された➡ 東京地検の 検察事務官が 先ほど 送検されました｡➡ これまでの 調べに対し 男は 容疑を➡ 否認しているということです｡ 現場からは 以上です｡ [TV](女性)肉 大好き｡ [TV](女性)ギブ ミー｡ [TV](男性)ヘイ｡ 今日も テンション マックスだね｡➡ 今回 紹介するのは これ｡➡ Barbecue Chargerだ｡ [TV](女性たち)ワオ！ [TV](男性)おいしい グリル料理を➡ アウトドアで 楽しめる コンパクトな➡ そして パワフルな Barbecue…｡ (小杉)遠藤さん｡ (遠藤)小杉君！ 痛っ｡ もう｡➡ 小杉君｡ えっ？ みんなは？ (小杉)皆さん 仕事されてます｡ (遠藤)仕事？ (警察官)歩け｡ (遠藤)ちょっ｡ みんな！ (末次)遠藤君｡ (宇野)ハァー｡ (女性)私の話 聞いてる？ 検事さん｡ (宇野)何でしたっけ？ ≪(遠藤)みんな！ ああ｡➡ あ痛っ｡ ごめんなさい｡ ちょっ｡ ああ｡ (末次･宇野)ハァー｡ (女性)ちょっと！ (井戸)遠藤さん｡ (礼子)特捜部の➡ 取り調べは 厳しいわよ｡ (男性)検事さんの➡ 取り調べも きついっすよ｡ (井戸)はい｡ ティッシュ｡ (千佳)遠藤さん どうなっちゃうのかな？ えー｡ あなたは ペットショップにおいて｡ 何だ？ これ｡ もみじブリストルと➡ ジャンボオランダを 盗んだものであるって これ｡ もみじブリストルって 何だ？ これ｡ (男性)金魚です｡ カワイイんです｡ あっ｡ そうなの？ (田村)あいつが➡ ホントに やってたら｡ (川尻)しゃれにならん｡ (田村)俺は 特捜部に 戻れませんよね？ (川尻)気持ちがいいほどの 俗物だね 君は｡ (首藤)遠藤 賢司｡ (遠藤)はい｡ (首藤)君は 平成 26年 ８月18日 21時半ごろ｡ (遠藤)ええ｡ (首藤)港区の カフェレストラン➡ マヒマヒの トイレで｡ (遠藤)はい｡ (首藤)早田 稔さんの 右太ももを｡ (遠藤)刺してませんよ｡ 刃渡り 13cmの ナイフで刺した｡ 間違いないか？ いや｡ だから 間違ってます｡ 僕が おしっこに 行ったら➡ すでに あの人が 倒れてて｡ そしたら 個室から➡ 誰か ばーん 出てきて 眼鏡 ぽーん なって｡ それで ばーっと➡ 逃げてっちゃったんですよ｡ (首藤)このナイフは➡ どこで 手に入れたんだ？ (遠藤)いや だから｡ あの｡➡ うん｡ うん｡ あのう｡ 僕は 刺してませんよ｡➡ だって 動機もないし そもそも 僕は…｡ (首藤)検察事務官だから｡ (遠藤)そう！➡ 同じ 同じ！ 身内 身内！ ねっ？ ごめんなさい｡ しかし 君は 身分を偽っていた｡ (遠藤)はあ？ (首藤)合コンで 自分は 検事だと 言っていたんだって？ あっ｡ いや いや いや｡ あの｡ あの｡ それは 僕の名前が 遠藤 賢司だから➡ ケンジ やってますみたいな 冗談で｡ あの｡ 持ちネタです｡ いや｡ 分かるでしょ？ 合コンの 鉄板ネタ｡ (神田川)あなたの 引き出しから この名刺が 押収されました｡ (神田川)東京地方検察庁 城西支部 遠藤 検事｡ おっと｡ (首藤)はっきり➡ 検事だと 名乗ってるじゃないか｡ (遠藤)いや｡ だから それは｡ (神田川)これは 冗談の域を 出ています｡ (首藤)有印私文書偽造だ｡ (遠藤)それは 本当に➡ よくないと 思っています｡ ごめんなさい｡ 反省してます｡ 信用できない｡ (遠藤)えっ？ (川尻)検事の名刺!? (末次)駄目だよ 遠藤君｡ (田村)何て バカなんだ｡ (礼子)日ごろの 軽薄さが 裏目に 出たわね｡ (宇野)いよいよ しゃれに ならなくなってきた｡ (千佳)ホントに 刺しちゃったのかな？ 遠藤さん｡ まだ 分かんねえだろ｡ (井戸)実は あの夜➡ 遠藤さんから メール もらったんです 僕｡ (礼子)えっ？ (末次)あの夜って？ (千佳)事件の夜？ (井戸)｢合コン なう！｣➡ ｢今夜は モテモテ！ 二次会へ ＧＯ！｣ (礼子)何と まあ 幸せそうな顔｡ (千佳)よっぽど➡ うれしかったんでしょうね｡ (川尻)この後 遠藤君は➡ 天国から 地獄へ｡ (田村)哀れなやつだ｡ (宇野)南無阿弥陀仏｡ 遠藤さんって 合コンで いつも➡ こんな モテモテなんですか？ そんなわけ ないでしょう｡ (末次)若者の中に 一人 おじさんが 交じって➡ はしゃいでんですよ｡ (礼子)痛い おじさんよ｡ (川尻)痛くて 小さな おじさんだ｡ (宇野)あっ｡ 小さいって 余計でしょ？ 今の｡ でもさ めったにない モテモテナイトだったわけでしょ？ この後 二次会にも 行くんだし｡ そんな人が 人 刺す？ (末次)僕は 刺さないな｡ (田村)刺せないこともない｡ (礼子)いや｡ 刺さないわよ｡ 麻木｡ 行くぞ｡ (千佳)えっ？ 恵比寿の ペットショップだよ｡ もみじ何とかって 言われたって➡ どんな金魚か 分かんねえ｡ (千佳)ちょっと 待って｡➡ こんなときに 金魚 見に行きます？ (宇野)また お出掛け捜査？ (井戸)遠藤さんの事件➡ 調べるつもりじゃないですか？ 久利生さん｡ (川尻)何？ (末次)そうかも｡ (千佳)あっ｡ いってきます｡ (川尻)麻木君｡ (千佳)はい｡ (川尻)これは 特捜部の事件だ｡➡ 手を出すなと 久利生に 言っとけ｡ (千佳)はい｡ 分かりました｡➡ では いってきます｡ (一同)いってらっしゃい｡ (千佳)いってきます｡ (小杉)いってらっしゃい｡ (川尻)君たちも 関わっちゃいかん｡➡ それが ルールだからな｡ (田村)はい｡ 特捜部の機嫌を➡ 損ねるようなことは 絶対に いたしません｡ (礼子)あなたは そうよね｡ (小杉)うーん｡ 分かりました｡ (遠藤)うん？ うん？ 何？ 遠藤君｡ (遠藤)はい｡ これは 僕の想像なんだけどね｡ (遠藤)はい｡ (首藤)被害者の 早田さんと 君は➡ 実は 前から 面識が あったんじゃないのかなぁ？ (遠藤)ありません｡ あるわけない！ これが もみじブリストル？ (千佳)高級感 あるなぁ｡ 普通だよ これ｡ あれ？ これ｡ あっ｡ これが ジャンボオランダ？ うわっ｡ これも 高そう｡ お前 もっとさ 他の感想 ねえの？ えっ？ 奇麗とか カワイイとかさ｡ うわっ｡ これ ヤバい｡ ちょっ ちょっ ちょっ ちょっ｡ 何だ？ これ｡ 半端なくないですか？ これ 何？ ７万!? えっ？ 戻りましょう｡ その前に 飯 食わねえ？ 腹 減っちった｡ えっ？ まだ 10時ですよ｡ いい店 知ってんだよ｡ ちょっ｡ ちょっと｡ いい店って｡ 病院の食堂？ いただきます｡ なあなあ｡ これ 食ったらさ 早田さん 会いに行こうぜ｡ はっ？ 刺された 早田さん｡ ここに 入院してんだよ｡ マジっすか？ 取りあえず 被害者に 話 聴くのが 一番 手っ取り早いだろ｡ やっぱり 遠藤さん 助けたいんじゃないですか｡ いや｡ 俺は ただ ホントの…｡ ホントのことが➡ 知りたいだけなんで｡ 早く 食えよ｡ ４２６？ あっち？ ４１３｡ ４…｡ ちょっ ちょっ ちょっ｡ 何ですか？ うっせえ｡ 歩け 歩け｡ ジャケット 脱げよ｡ ４２３｡ ４２５｡ (東山)どちらへ？ (井上)お見舞いですか？ はい｡ あっ｡ 稔｡ 早田 稔の｡ あっ｡ 友達なんですよ 私たち｡ (井上)申し訳ありませんが 面会 できません｡ (東山)どうぞ お引き取りを｡ すっげえ 人｡ はい｡ ♬～ ≪(ドアの開く音) (井戸)うーん｡ ≪(ノック) (井戸)失礼します｡ うーん｡➡ まだ 続いてますね｡ ≪(ドアの開く音) ≪(ノック) ≪(礼子)失礼します｡ (礼子)長いわねぇ｡ ≪(ドアの開く音) ≪(ノック) (宇野)刺したの 認めちゃったのかなぁ？ ≪(ドアの開く音) ≪(ノック) (末次)あっ｡ (末次)まさか 遠藤君｡ ホントに？ (田村)みんな 腹 減んない？ 昼飯にするか｡ 何か 食った方がいい｡ 分かりました｡ (遠藤)何？ 何ですか？ 遠藤君｡ (遠藤)はい｡ これは 僕の想像なんだけどね｡ (遠藤)想像で しゃべるの やめてもらっていいですか？ 今日は ここまで｡ (遠藤)はあ？ (首藤)続きは あしただ｡ えっ？ ええー？ (宇野)うん｡ おいしい これ｡ (末次)あっ｡➡ 伸びる 伸びる 伸びる 伸びる｡ (井戸)くるくる するんですよ｡➡ くるくる くるくる｡ (小杉)僕も クリスピー➡ もらっていいですか？ (宇野)どうぞ どうぞ｡ (礼子)こっち 食べちゃおう｡ (田村)えっとね｡➡ ハワイアン バーベキュー｡ ≪(ノック) (川尻)俺も もう１枚 もらっちゃおう｡ ≪(警察官)失礼します｡ 信じられない｡ 僕が…｡ 僕が ひどい目に 遭ってるのに 何やってんですか!? (警察官)失礼します｡ (田村)違う 違う｡➡ いや｡ これは 遠藤｡ (礼子)私たち ずっと➡ 心配してたのよ｡ (井戸)そう｡ ずーっと｡ (川尻)たまたま 今な｡ (宇野)そう｡ 今 届いたの ピザが｡ (末次)いや｡ ホント たまたまなんだよ｡ 遠藤君｡ お前ら 最低だ｡ それでも 人間か！ (末次)遠藤君！ (田村)遠藤！ ≪(ドアの開く音) (神田川)仲間が 逮捕されたっていうのに｡ (首藤)何て 緩い連中だ｡ あっ｡ 遠藤さん｡ (遠藤)ピザ きてるよ｡ 早く 行かないと｡ あっ？ もう 誰も 信じねえよ！ ああ｡ そうだ｡ 何か 差し入れとか？ (遠藤)パンツだよ！ 何で あんな 怒ってんの？ このまま 続けるんすか？ 遠藤さんの 取り調べ｡ いやいや｡ 普通に考えたら あり得ない…｡ (首藤)特捜部の捜査に 口出し するな｡ 警備？ 半端なかったんすよ 病院の警備｡ 早田さんの病室に 近づくことすら できないんですよ｡ いや｡ 廊下の入り口に 特捜部の人が｡ (宇野)特捜部？ (川尻)麻木君｡➡ この件に 久利生を 関わらせるなって｡ (末次)特捜部が 病院で 何やってんですか？ 刺された被害者の 事情聴取でしょ｡ (礼子)でも 物々し過ぎるわよ｡ (川尻)みんなも 乗るな｡ 俺たち 関係ないから｡ 看護師さんに 聞いたら 入院している 早田さんは➡ 代議士の 私設秘書だって｡ 代議士？ はい｡ 国会議員｡ (牛丸)川尻君｡ (川尻)おはようございます｡ 次席｡ (牛丸)ああ ああ｡ それはね あれだ｡➡ 私も 聞いたよ｡ 刺されたのは 確か➡ 神崎 重郎代議士の 個人事務所の 人間だったかな？ (川尻)神崎 重郎｡ 民政党の 大物ですね｡ (牛丸)大物かなぁ？ (川尻)黒い噂も 聞きますが｡ (牛丸)私は 知らないなぁ｡ (川尻)今回 特捜部が➡ 出てきたのは 検察事務官が 疑われてる 事件だからですか？ (牛丸)もちろん それが 理由だよ｡ あーあ｡ 胃が痛いわ｡ (川尻)被害者が 政治家の 秘書だというのは？ (牛丸)それは たまたまさ｡ (川尻)たまたま？ (牛丸)たまたま たまたま｡ (川尻)牛丸次席｡ (牛丸)駄目だよ｡ 川尻君｡ これは 特捜部の事件だ｡➡ 久利生に 妙な動きなんか させるなよ｡ (川尻)それは 重々 承知しておりますが｡ (牛丸)ああ｡ 会議に 遅れちゃう｡ (川尻)みんなは？ (小杉)皆さん 出掛けましたよ｡ みんな？ (従業員)マジで びっくりしましたよ｡➡ パニクるっていうのは ああいうことを いうんですね｡ 人が刺されて 血だらけに なってたんだもんな｡ (従業員)犯人は 腰 抜かして おしっこ 漏らしてるし｡ (田村)でも ホントに そいつが やったのかなぁ？ (従業員)どうしてですか？ いや｡ 本人は 否認してるそうだからさ｡ (従業員)詳しいんですね｡ お客さん｡ いやいや｡ 新聞で 読んだだけ｡ 新聞 大好きなんだよ 俺｡ (田村)聞き込みって どうやって やるんだ？ 常連だったの？ その人｡ (従業員)いえ｡ あの日が 初めてだったと 思います｡ (礼子) どの席に 座ってたのかしら？ (従業員)どうして そんなことを？ (礼子)だって➡ 刺されちゃったんでしょ？ その人｡ 私さ 好きなのよ｡ 血が どばって出る 映画とか｡ あの｡ ゾンビが うわーって…｡ (従業員)いらっしゃいませ｡ (礼子)うわーって なって｡ ほら｡ 死んじゃう…｡➡ ハァー｡ どうやんのよ？ 聞き込みって｡ 何で？ (田村)何で いるんだ!? (宇野)誰が 警察に 通報したの？ 君？ (従業員)僕は 犯人を押さえてて 警察には 店長が｡ ホントに そいつが 犯人だったの？ ねえ？ 他に 誰か 怪しいやつは いなかった？ (従業員)そういう人が いたかどうか｡ (宇野)いや｡ もう ほら｡ いい｡ いいよ いいよ｡➡ もう ほら｡ あっち 行きなよ｡ でも➡ 自分は やってないって 言ってたんでしょ？ (従業員)でも めちゃめちゃ 暴れて 逃げようとしたんですよ｡➡ すいません｡ 失礼します｡ あの｡ そりゃ 誰だって いきなり 犯人扱いされたら…｡ 何で？ モーニングセット｡ (末次)２つね｡ (井戸)宇野検事!? (田村)特捜部の事件に 首を 突っ込んでんのか!? お前らは！ 田村検事!? 馬場検事!? 麻木ちゃんも｡ (礼子)あなたも そうでしょ？ (宇野)部長に 駄目って➡ 言われたじゃん｡ 麻木さん｡ 宇野検事だって｡ (井戸)僕らは 散歩の途中で 寄っただけですから｡ 事件の捜査だとか そんなつもりは｡ (末次)真犯人が 逃げたとしたら こっからですよ｡ 海だぞ｡ (井戸)でも 入り口から➡ 堂々ととは 考えづらいですねぇ｡ 絶対に 誰かに 見られるはずだわ｡ どうやって？ 泳いで 逃げた｡ (宇野)ここから 飛び込んで？ (田村)まさか｡ (大木)フゥー｡ あっ｡ そうですか｡ 何ですか？ 今日も にらめっこですか？ 負けるもんか｡ (大木)被疑者の供述？ 調書に 書いてあるでしょう｡ だから その調書も 全部 持ってっちゃったんすよ｡ 特捜部が｡ 刑事さんの 取り調べんときに➡ 遠藤さん 何て 言ってたんですか？ (大木)おかしくないですか？ 検事さん｡ えっ？ (大木)俺たちは➡ もっと しっかり 捜査するつもりだったんですよ｡➡ そりゃ そうでしょう｡ 被疑者は 検察事務官なんだから➡ 慎重にも なりますよ｡ はい｡ (大木)でも いいから 早く 送検しろと 言ってきたのは➡ お宅らの 仲間でしょ？ 特捜部ですよ｡ えっ？ 早く 送検しろ？ (大木)捜査は 自分たちで やるからと 言っておきながら➡ やっている気配 なし｡ どうなってんのかと 思ったら➡ お宅が来て 取り調べの内容を 教えろ？➡ ハッ｡ 訳が分かりませんよ｡ はい｡ (大木)俺たちは 怪しいやつ 捕まえりゃ➡ それで いいなんて 思ってませんからね｡➡ あんたたちが もっと 粘って➡ 真犯人を捜せって 言えば 俺たちは やるんだよ｡ うちらだって ちゃんと 捜査してもらいたいですよ｡ ホントのこと 知りたいですし｡ (大木)えっ？ 何でかな？ 早く 送検しろって｡ 同じ検察なのに 何にも 情報 入ってこないのか？ はい｡ 仲間が 疑われてるのに？ 全然｡ おかしな話だなぁ｡ でしょ？ 俺らに 何が聞きたいんだよ？ (田村)赤い服？ 遠藤さん 警察の取り調べで 言ってるんすよね｡ トイレで 倒れてる 早田さんを 見つけたときに➡ 個室に隠れてた 誰かに 突き飛ばされたって｡ (井戸)そいつが 赤い服を 着てたんですか？ 眼鏡 飛ばされちゃって よく 分かんなかったらしいんだけど｡ 赤いっていうのは 間違いないって｡ (川尻)赤い服？ (宇野)当然 特捜部の➡ 取り調べでも そのことは 言ってるはずですよね？ 遠藤さん｡ そりゃ そうだろう｡ (礼子)でも 特捜部が➡ そんな男を 追ってる様子はないわ｡ (末次)犯人とは 言い切れないからじゃないっすか？ そいつが 刺したところを 見たわけじゃないんでしょ？ 遠藤君は｡ でも 重要な証言です｡ 無視するのは おかしい｡ (井戸)遠藤さんが➡ 犯人だって 決め付けてんのかなぁ？ うーん｡ いや｡ 特捜部的には➡ 犯人捜しなんか もう どうでも いいんじゃねえかな？ どういうことですか？ 入院してる 早田さん｡ 見てんじゃねえの？ 自分のこと 刺したやつを｡ だから 病院に あんなに 特捜部が？ 早田さんを 尋問してんの？ (宇野)被害者は 知ってるんだ｡ 犯人も 刺された理由も｡ その理由っていうのが 神崎 重郎代議士の 黒い噂？ じゃあ どうして 遠藤さんは 釈放されないんですか？ (礼子)今は 大きなヤマを 挙げることに➡ 全力を 注ぎたいから？ (末次)小さいことは➡ 後回しってこと？ (小杉)そんな｡ (川尻)駄目だ 駄目だ 駄目だ｡ これは 特捜部の事件だ｡➡ いくら 仲間が 窮地に 陥っているとはいえ➡ 君たちが 首を突っ込んではいかん｡ でも…｡ (川尻)赤い服の男なんか 捜しに行くんじゃないぞ｡➡ いいな？ 君たち｡ 私が ドアを閉めた途端に➡ 出掛けちゃったりなんか したら 絶対に 許さんからねぇ｡ ♬～ (小杉)行っちゃいました｡ (川尻)何て やつらだ｡ ♬～ (早田)僕は 被害者ですよ？ (早田)刺された 理由なんて 犯人に 聞いてくださいよ｡ (東山)犯人 誰なんですかねぇ？ (早田)だから 捕まってるんでしょ？ 検察事務官が｡ (東山)事務官が どうして あなたを？ そいつに 聞いてくださいよ｡ 僕は 被害者なんです｡ (井上)チッ｡ 被害者ねぇ｡ (従業員)赤い服の男？ (田村)見なかったかい？ 事件があった夜だ｡ (従業員)犯人は もう 捕まってるんでしょ？ (田村)ここから 逃げて 海に 飛び込んだ 可能性があるんだよ｡ (従業員)お客さん 誰？ (田村)だから➡ 新聞 大好き おじさん｡ (従業員)何 言ってんの？ (男性)毎晩 漁に出るよ 俺は｡ (礼子)おとといの 夜なんですけど｡➡ 赤い服を着た男が こう 泳いでくのを 見ませんでしたか？ (男性)海を？ (井戸)夜 ９時半すぎです｡ (男性)あっ｡ 何 言ってんだ？ あんたら｡➡ ハハッ｡ (礼子)ねえ｡ (男性)赤い服の男？ はい｡ (男性)見てないね｡ じゃあ 赤い服だけでも 見てませんか？ (男性)赤い服？ 泳ぐのに 邪魔じゃないっすか｡ で 途中で 脱ぎ捨てたんだけど｡ この辺に 流れ着いちゃったぞみたいな｡ (男性)えっ？ 何？ しかも 返り血が 付いてるぞみたいな｡ (男性)何 言ってんの？ あんたたち｡ すいません｡ (真衣)遠藤さん 私たちと むちゃくちゃ➡ 盛り上がってたんですよ｡ 次は 二次会だって｡ (美波)でも その前に トイレって｡➡ そしたら ｢ぶすっ｣でしょ｡ 怖過ぎる｡ そのときに 赤い服を着た男 見なかった？ (末次)そいつが 真犯人かもしれないんだよ｡ (真衣)犯人は 遠藤さんなんでしょ｡ (美波)逮捕されちゃったんだもん｡ (末次)遠藤君は 悪い人に 見えた？ (宇野)合コン好きの 愉快な おじさんだったでしょ？ (真衣)でも そこで すでに キモいじゃないですか｡ (美波)二次会 行くぞ｡ ぶすー｡ (真衣)怖い 怖い 怖い 怖い｡ 若いって いいなぁ｡ (宇野)ねえ｡ うん｡ このハンバーガー うめえ｡ おいしいけど 寝不足で 食欲が｡ ほとんど 徹夜だもんね｡ (田村)食べとかなきゃ➡ 持たないぞ｡ 今日も 捜すんだから｡ 見つかりっこ ありませんよ｡ 赤い服の男なんて｡ (井戸)雲を つかむような 話ですもんね｡ しかも 僕たち 聞き込み 下手くそだし｡ (礼子)そもそも 遠藤君の供述が 正しいかどうかも➡ 分かんないしね｡ (川尻)眼鏡が 吹っ飛んで よく 見えなかったって➡ 言ってんだもんなぁ｡ (小杉)おはようございます｡ (首藤)職場で 朝食ですか？ (神田川)仲間が 取り調べを 受けてるっていうのに➡ のんきなもんですね｡ (神田川)あいつら 事件のこと 話してましたね｡ (首藤)こそこそ 動いてやがるなぁ｡ 警戒されちゃってんすかね？ 俺たち｡ 勝手に 動き回ってるって 知れたら➡ 圧力 かけてきますかね？ 特捜部は｡ (宇野)そりゃ そうだよ｡ (川尻)さっさと 食って➡ 仕事してるふりしろ｡ (一同)はい｡ (小杉)おはようございます｡ (遠藤)みんなで 朝から ハンバーガー!? 違う｡ あのね｡ これ 違うの｡ (遠藤)分かんないよ｡ 俺らは…｡ (末次)違うんだよ｡ 遠藤君｡ (井戸)僕たち 作戦会議を｡ (遠藤)仲間が 捕まったっつうのに➡ みんなで ハンバーガー 食ってんだ!? (警察官)歩け｡ (遠藤)うん｡ (田村)違う｡ 遠藤｡ (遠藤)フッ｡ バカ野郎｡ (田村)お前が タイミング 悪過ぎるんだろうが｡➡ 人が 心配してやってるっていうのに｡ バカ野郎って｡ (礼子)本はといえば あんたが いい年して➡ 合コンに 狂ってるから いけないんでしょうが！ 人が 心配してんのに！ そうだけど｡ シッ｡ (礼子)もう｡ (宇野)何だよ？ バカ野郎って｡ (末次)もう やってられない｡ 私も｡ (井戸)やってられませんね｡ (川尻)バカ野郎って｡ なぁ？ じゃあ もう１回 捜しますか？ 赤い服の男を｡ そうっすね｡ しょうがねえな｡ ホントに もう｡ 何で 僕が 遠藤さんのために？ こんな 軽薄な男ですよ｡ 遠藤 賢司 38歳｡ 見せないで｡ 赤い服の男 捜す気 なえちゃう｡ でも 行かないと｡ あっ｡ ごめん ごめん｡ (井戸)えっ？ 何？ もう１回 見せて｡ はい｡ (井戸)うん？ うん？ あーっ！ ちょっと｡ (井戸)あ痛っ｡ もう｡ 見っけ｡ (井戸)あっ！ 赤い服！ 行ってこい｡ ♬～ あっ｡ あっ｡ おはようございます｡ (大木)な… 何事ですか？ この男 捜してもらっていいっすか？ (大木)うん？ (大木)橋爪？ (井戸)橋爪？ 誰？ (大木)暴力団員だよ｡ 前に 恐喝で 挙げたことがある｡ (宇野)暴力団員!? 暴力団？ (礼子)黒い噂｡ それだ｡ (大木)赤い服の男か｡ 人捜しは うちらじゃ 手に負えないんで お願いします｡ 最初から そう 言ってくれりゃいいんだよ｡ 何？ 真犯人が 捕まった!? ≪ええ｡ さっき 城西署から 連絡が ありました｡ (末次)元 水泳選手の 暴力団員だそうです｡ (一同)うーん｡ へえー｡ (田村)事件の夜に➡ 着ていたっていう 赤いパーカは 泳ぎながら➡ 脱ぎ捨てたって 言ってるらしいですよ｡ (礼子)でも ズボンに付着していた 血液のＤＮＡを 調べれば➡ 刺された 早田さんのものと 一致するだろうって｡ 警察が そう 言ってたそうですよ｡ (宇野)よく 見つけたな 真犯人｡ (井戸)ねっ？ 警察って すげえな｡ (宇野)ああ｡ すごい｡ (末次)すごいね｡ じゃあ 遠藤は 無罪放免か｡ そういうことに なりますよね｡ 検事｡ (首藤)こいつら｡ (東山)井上さん｡ (井上)真犯人を 確保した!? (東山)ええ｡ 早田を 刺したことも 認めてるそうです｡ (井上)チッ｡ 誰が そんな 勝手なことを？ (東山)でも これで 早田は 落ちますよ｡ [ﾏｲｸ](牛丸)早田 稔さんを 刺したのは➡ 小山内会系 組員 橋爪 浩一 32歳｡➡ 動機は 先の衆議院選挙における➡ 選挙妨害の 示談金を巡る トラブルと 供述しております｡ (記者)神崎議員が 反社会的勢力に➡ 金銭を 渡していたと いうことでしょうか？ (記者)その金額を巡って トラブルが あったんでしょうか？ (牛丸)詳しいことは まだ 分かっておりません｡➡ しかし 今回のことは 政治家の 金と モラルの問題を 追及する➡ きっかけに なるのではないかと 期待しております｡ 分かりました｡ (遠藤)何？ もう 何すか？ 不起訴｡ 釈放だ｡ (遠藤)釈放？ 何？ 何？ 何？ えっ？ えっ？ ≪(ドアの開く音) (末次)おかえり｡ 遠藤君｡ (井戸)おかえりなさい｡ (遠藤)えっ？ えっ？ いったい これは？ (川尻)真犯人が 見つかったんだ｡ (田村)遠藤が 言ってた 赤い服を 着た男だよ｡ (礼子)今 城西署で 取り調べを 受けてるわ｡ よかったですね｡ 遠藤さん｡ (宇野)もう 自由ですよ｡ えっ？ まだ 状況が のみ込めないっすか？ はい｡ (首藤)もう 使っていいぞ｡ 待ってください｡ ホントは 分かってたんですよね？ 遠藤さんが 犯人じゃないって｡ まさか 真剣に 疑ってたわけ…｡ (首藤)何度も 言わせるな｡ 特捜部は 捜査内容を 一切 明かさない｡ (礼子)かねてから 黒い噂のあった 代議士の秘書が 刺された｡ 悪いやつらと トラブったに 違いないって 皆さんは 考えた｡ 特捜部にすれば ｢やってくれたよ｡ 待ってました｣ですよね？ これで 代議士を 追及できると 思ったんでしょ？ 俺たちに ケンカを 売る気か？ いえ｡ 特捜部さんの目的は 最初っから➡ 代議士の スキャンダルで 早田さんを 刺したのが➡ 誰かなんて どうでも よかったんじゃないっすか？ えっ!? (末次)でも 真犯人が➡ 他にいると 思ってるんなら 遠藤君を➡ すぐに 釈放すべきでしょう｡ そういうのを➡ 誤認逮捕って いうんじゃないんですか？ (首藤)われわれ 検察は 社会正義の とりでだ｡➡ だからこそ 身内には 厳しく あらねばならない｡➡ ど真ん中の捜査が 進展するのを➡ 待たなければならない 状況だった｡➡ だから 遠藤君には 我慢してもらうしかなかった｡➡ 検事だったら 分かるだろう｡ 行くぞ｡ 分かんねえなぁ｡ 全然 分かんねえ｡ そういうの 身内に 厳しいって いうんですか？ むしろ 身内に 甘えてるって いうんじゃないんですか？ (田村)久利生｡ いくら 事務官だって➡ 何の説明も なしに 被疑者扱いされたら➡ 納得できないっすよね？ 遠藤さん｡ (遠藤)はい｡ われわれに どうしろと 言うんですか？ 取りあえず 謝った方がいいんじゃ ないっすか？ 遠藤さんに｡ (神田川)それは できません｡ はっ？ (川尻)なぜです？ (神田川)なぜ？➡ 首藤検事は 法に触れたことを やったわけじゃないからです｡➡ 検事は 特捜部の 捜査方針に沿って➡ 遠藤さんの取り調べを 進行した｡ そして ある時点をもって➡ 無実と判断し 釈放した｡ それだけのことです｡ (宇野)その判断基準が｡ ここでは 担当検事の 判断基準に 第三者が 口を挟むんですか？ (田村)挟みません｡ 検事は 独任官庁です｡➡ 被疑者の処分は 全て 担当検事の判断です｡ (川尻)田村君｡ 行きましょう｡ 検事｡ (田村)ああ｡ でも…｡ (田村)いや｡ 久利生が 言ってるのは➡ そういうことじゃないと 思うんですよ｡➡ 法には 触れてないかもしれないけど｡➡ やっぱり 無実の人間を 拘束しちゃってたんです｡➡ 謝るのが 当たり前だろうってことですよ｡ (遠藤)田村さん｡ だから 遠藤に 謝るのが 当たり前っていう｡ こういうときは ｢ごめんなさい｣じゃないっすか？ ですよね｡ (礼子)間違っちゃったんだもん｡ 子供でも 謝りますよ｡ 謝っちゃいけないなんて 法律 ないですし｡ 法律は 関係ない｡ これは 人としての 在り方の問題だ｡ いいこと 言うなぁ｡ 部長｡ (神田川)いや｡ しかし…｡ 検事｡ われわれは 少々 傲慢だったかもしれないな｡ 申し訳なかった｡ 遠藤君｡ このとおりだ｡ (首藤)おい｡ (神田川)すいませんでした｡ (遠藤)あの｡ 僕は これ 怒っていいんですかね？ (礼子)いいわよ｡ 私だったら｡ (遠藤)いや｡ もう いいっす｡ フフッ｡➡ 真犯人 捕まって よかったですね｡ ♬～ 行くぞ｡ ありがとうございました｡ (首藤)それは➡ こっちが 言うべき 言葉なんだろうな｡ ♬～ (一同)ああ｡ ああ｡ ああ｡ ああ｡ (遠藤)あれ？ いや｡ いや｡ 何か｡ 何か うわーみたいな｡ えっ？ ハグ｡ ハグは？ えっ？ (牛丸)私も つらかったんだ｡ 川尻君｡ ホントだよ｡ やっぱり 次席は 全て ご存じだった｡ (牛丸)しかし 神崎代議士の➡ スキャンダルを 暴くことが できたのは 君たちの おかげだ｡ 分かってて 黙ってた｡ (牛丸)ゴールを 決めたのは 特捜部でも➡ スルーパスを 出したのは 城西支部だよなぁ｡ 素晴らしい｡ 次席｡ (牛丸)ごめんなさい｡ しかし よく 考えたよな｡ バーベキューしながら 充電｡ (末次)ところで マッキーは 元気ですか？ マッキーじゃなくて ポッキー｡ (末次)あっ｡ ポッキーか｡ (小杉)おはようございます｡ (一同)おはようございます｡ (小杉)皆さま宛てに お届け物が 届いてますよ｡ (一同)うん？ えっ？ お届け物って 何？➡ 何？ 何？ 何？ えっ？ 何？ これ｡ (一同)おっ｡ えっ？ うん？ 何？ これ｡ (一同)うわー！ ハハハ｡ えっ？ 松阪牛｡ (宇野)霜降りだ｡ すげえな｡ (井戸)｢城西支部の 皆様｡ 特捜部一同｣ 謙虚なところ あるじゃない｡ あの人たち｡ 特捜部は 懐が深いな｡ おわびの スケールも でかいですよ｡ 松阪牛だもん｡ やっぱ これ あれかなぁ？ 俺に 謝ってんのかなぁ？ (川尻)そりゃ そうだよ｡ 城西支部の 皆さまへと➡ なってるけど この肉は 全部 遠藤君のものだ｡ マジで？ マジで？ マジで？ エヘヘ｡ [TV](男性)夏を 乗り切るには やっぱり 肉だよな｡ [TV](女性)お肉 大好き｡ [TV](女性･男性)ギブ ミー｡ イェイ｡ (遠藤)おいしく 食べさせてください｡ マスター｡ よろしく お願いします｡ (礼子)何が食べたいの？ 遠藤君｡ (川尻)君が 好きな料理を リクエストしろ｡ (末次)でも みんなで 食べるんだからね｡ (宇野)ああ｡ すっごい おなか 減ってきた｡ 私も｡ [TV](男性)さあ お待たせ｡➡ 肉を載せるぜ｡ [TV](女性たち)おおー｡ うわー｡ [TV](男性)食いしん坊だなぁ｡ きっと 最高の肉が できるよ｡ (遠藤)やっぱ すき焼きかなぁ｡ 最高級の 松阪牛だから｡ (田村)ありきたりだな｡ (井戸)すき焼きは まあ➡ いつでも 食べられますもんねぇ｡ (遠藤)じゃあ しゃぶしゃぶ｡ (末次)だから ありきたりなものは やめてって｡ 普通じゃないですか｡ しゃぶしゃぶは｡ (遠藤)分かったよ｡ じゃあ サイコロステーキ｡ (礼子)あっ｡ がっかり｡ (川尻)芸がないな 君は｡ (遠藤)じゃあ ビーフストロガノフ｡ (田村)うわー｡➡ そっち いっちゃったよ｡ もう 凝り過ぎ｡ (遠藤)じゃあ 牛丼！ (一同)はあ!? [TV](女性)オー｡ マイ ゴッド｡ (遠藤)僕が 好きなものを 何でも リクエストしていいって➡ 言ってんのに 何で 全部 却下なんだよ!? (川尻)バカ野郎｡ 最高級の 松阪牛なんだぞ｡ 他にも あるでしょ？ ぴったりの料理が｡ (遠藤)ない ない｡ もう ないよ！ (ﾏｽﾀｰ)あるよ｡ (遠藤)えっ？ ああー｡ [TV](女性)ロッキー｡ これって？ [TV](男性)僕に 任せて｡ そんなときは➡ Barbecue Charger｡ あっ｡ [TV](女性)ワオ｡ [TV](女性たち)嘘みたい｡ (一同)ああー！ もう あるんだ？ (ﾏｽﾀｰ)あるよ｡ (遠藤)では｡ (一同)よろしく お願いします｡➡ おお｡ すげえ｡ あっ｡ 充電｡ (遠藤)あっ そうだ｡ それが ないと 駄目なんでしょ？ これ｡

嘘なんてひとつもないの＃04

1 どういう事や？ これ… これ 何や！ どうしました？ 朝から 大きな声 出して…｡ あ…｡ (紀夫)何で こないな事を…｡ 君たち！ 出演者が ﾌﾟﾗｲﾍﾞｰﾄで会うのは ﾙｰﾙ違反だろ！ (真)勝手に撮ったの そっちでしょ！ このままで済むと思うなよ｡ ２人とも 覚悟しとけよ｡ (真琴)ありえないよね｡ ﾙｰﾙなんて聞いてないし｡ また会ってくれますか？ 駄目｡ 試験が全部終わるまでは 絶対 連絡しちゃ駄目だよ｡ 試験が終わったあとは？ ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ よし！ しゃあ！ よし！ 開かない｡ どちら様ですか？ キャ～！ 痛い！ 痛い痛い痛い！ 痛い痛い！ 痛い痛い痛い痛い痛い！ かあさん 警察呼んで！ (ﾊﾟﾄｶｰのｻｲﾚﾝ) 何だよ…｡ 何だよ これ！ (ﾊﾟﾄｶｰのｻｲﾚﾝ) ♬～ ♬｢何時間分も 時差ボケがあるような｣ ♬｢なんか ちょっと 取り残された気分で｣ ♬｢捨てきれない愛は 飛行機雲のように｣ ♬｢尾を引いて引きずったまま｣ ♬｢Ａｈ～｣ ♬～ (荒い息遣い) 東京 23時51分｡ ﾒﾝﾌｨｽ 9時51分｡ ｺﾛﾝﾎﾞ 20時21分…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]｢おかけになった電話番号は 現在 使われておりません｡➡ 番号をお確かめになって おかけ直し下さい｣｡ ｸﾗﾌﾞ ｶﾂｺ… ｸﾗﾌﾞ ｶﾂｺ… ｸﾗﾌﾞ ｶﾂｺ…｡ ♬～ えっ…｡ (ドアをたたく音) ｸﾗﾌﾞ ｶﾂｺ…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]｢おかけになった電話は 電波の届かない場所にあるか➡ 電源が入っていないため かかりません｣｡ (ｱﾗｰﾑ音) 受験票ない…｡ す… すいません… 受験票 忘れてしまったんですけど｡ はあ？ あ… あの 本人確認ができれば➡ 試験 受けられますよね？ お願いします！ 仮受験票 発行しますね｡ はい｡ はい｡ ありがとうございます｡ [ｽﾋﾟｰｶ] あっ… もしもし｡ [ｽﾋﾟｰｶ](警官)山崎真琴さんの ご友人ですか？ あっ… はい｡ [ｽﾋﾟｰｶ](警官) 私 警察のものなんですが➡ 山崎さんを 不法侵入の疑いで 拘留してまして｡ えっ…｡ [ｽﾋﾟｰｶ](警官)他人の家を 自分の家だと 言い張って 聞かないんですよ｡➡ このままだと 立場上 逮捕せざるをえないので➡ 今すぐ署で 事情をお聞かせ願えませんかね？ あっ…｡ 何で来たの？ 警察から連絡があって｡ それより試験は？ もう いいんです｡ よくないでしょ｡ そのために どんだけ準備してきたのよ｡ でも… こうなったっていう事は➡ やっぱり 僕には 向いてなかったっていう事です｡ あっ… 大丈夫ですか？ うん 大丈夫｡ よかった｡ ２人とも帰る場所がないって ありえないね｡ ようやく 実感 湧いてきました｡ 何の？ もう 空飛べないんだな～って｡ 一緒に 家探そっか｡ ﾙｰﾑｼｪｱすれば安上がりだし｡ えっ… それって 同せいですか？ 同居ね｡ 同居｡ 同居…｡ 仕事も探せるし… そうしようよ｡ うん そうしよ！ はい｡ うん｡ <あれから１か月が過ぎた｡➡ 今は 古い２ＤＫのｱﾊﾟｰﾄで 暮らしている> <給料は安いけど ちゃんとした 仕事にも就く事ができた> 頂きます｡ 頂きます｡ <真琴さんは 僕を ただのﾙｰﾑﾒｰﾄとしか➡ 見てくれてないけど それでも…｡➡ ７年間 部屋に閉じこもっていた 僕にとって 夢のような毎日だ> <ﾊﾟｲﾛｯﾄには なれなかったけど これで よかったのかもしれない> まず ｺﾍﾟﾝﾊｰｹﾞﾝに飛んで頂くのが ｵｽｽﾒです｡ はい｡ 到着は 朝８時の便も ございますので➡ 一日 ゆっくり 観光もして頂けます｡ そこから…｡ (ﾃﾚﾋﾞの音) ｱﾊﾊ…｡ どうしたの？ いや 別に｡ (ﾃﾚﾋﾞの音) ﾌﾌｯ…｡ おやすみ｡ おやすみなさい｡ (飛行機が飛び去るｴﾝｼﾞﾝ音) (泣き声) あっ すいません｡ 今日はもう閉店の時間なんです｡ (ｺﾂｶ)席に戻って 接客のふりをしろ｡ 俺は味方だ｡ えっ… ちょ… すいません｡ ご用件は何でしょうか？ んだよ｡ 気付けよ｡ ｺﾂｶだよｺﾂｶ｡ 忘れてんじゃねえよ｡ ほら 接客｡ とりあえず言っとくけどな ﾄﾞｯｷﾘの撮影は まだ続いてる｡ この店は大丈夫だけど…➡ 外は撮られてるかもしんねえ｡ 家ん中は確実だな｡ あ～ 面倒くせえ｡ てか 簡単に騙され過ぎなんだよ お前｡ あのさ… 本当にｺﾂｶ？ えっ えっ… 何これ｡ 局にコネがあんだよ｡ 入試前の電話 あれ 警官じゃねえし｡ 真琴って女とﾙｰﾑｼｪｱしてんのも 全部 台本｡ 仕込みだから｡ あっ あと ﾄﾞｯｷﾘの依頼人 お前のおふくろさんね｡ はあ？ 社会人にはなってほしいけど➡ ﾘｽｸのある仕事には 就いてほしくねえんだと｡ はあ？ おい｡ 本題は ここからだ｡ お前さ ｱﾒﾘｶでﾊﾟｲﾛｯﾄになれよ｡ このまま やられっ放しじゃ ムカつくだろ｡ いや… それはそう…｡ バカ親と嘘つき女に ﾘﾍﾞﾝｼﾞしてやろうぜ！ あいつらのバカ面見たら すっげえｽｯｷﾘするぜ｡ いや でも…｡ 何で ｺﾂｶが そこまでしてくれる訳？ 俺を利用しようとしたからだよ｡ あっ ﾁｹｯﾄ代と当面の生活費 当然 貸しだぞ｡ いや でも…｡ ﾄﾞｯｷﾘは まだ続いてんだよ｡ 自分で確かめてみりゃ分かるよ｡ ♬～ [ 回想 ] 家ん中 探ってみろ｡ ﾀﾞｲﾆﾝｸﾞには ｶﾒﾗがあるみてえだから➡ 電気は ぜってえ つけんなよ｡ ♬～ (階段を上がる音) (ドアの開閉音) ≪うん 分かった｡ お願い｡ 奨学金は 一部の優秀…｡ (ドアが開く音) ﾗｽﾄの台本｡ 撮影は 初の給料日だってよ｡ 金曜日だ｡ で？ どうすんだよ｡ やんのか？ 考え中｡ (舌打ち) ♬～ 今日 給料日だね｡ 何時頃 帰ってくる？ ９時くらいには なっちゃうと思います｡ どうだった？ この１か月｡ 大変だったけど楽しかったです｡ よかった｡ じゃあ 今日も 仕事 頑張ってね｡ はい｡ じゃあ よろしく｡ ありがとうございました｡ 今夜の便｡ これも ﾄﾞｯｷﾘじゃないっていう 証拠がない｡ いいか｡ 要はお前が ﾊﾟｲﾛｯﾄになりたいかどうかだ｡ 空港で待ってるぞ｡ ♬～ 今日は お先に失礼します｡ おい！ おい！ ♬～ ♬～ 世直しﾄﾞｯｷﾘ 大成功～！ (香津子)ちょ ちょ… 違う｡ 違う｡ 誰？ いや あの 皆さんに｡ (ﾁｬｲﾑ) いや…｡ あっ… シ～｡ いや それは ちょっと…｡ 中にいる人に 渡してもらえるだけでいいんで｡ あの 鍵は 郵便箱に入れてもらえれば｡ お願いします｡ 分かりました｡ ９時ですね｡ ありがとうございます｡ えっ？ (監督)ﾘﾍﾞﾝｼﾞ大…｡ (香津子)えっ？ えっ えっ？ えっ えっ えっ？ ｺﾂｶ… ありがとう｡ ああ｡ あのさ ｢ｺﾂｶ｣って本名？ うん｡ じゃあ 身分証見してよ｡ ﾊﾊﾊ｡ 本当は誰？ まあ もう いいんだけどね｡ やっぱ ﾄﾞｯｷﾘかよ｡ 違えよ｡ これは番組とは別｡ 協力してくれって頼まれたんだよ｡ 本物のｺﾂｶに｡ 本物の ｺﾂｶ？ 山崎真琴｡ 女のな｡ えっ…｡ あの子 番組のためにｺﾂｶになって➡ お前の情報 集めてたんだよ｡ 最初はな｡ いや… じゃあ 何… 何で最後に 番組 裏切んだよ｡ 知らねえよ｡ いや… ないない｡ だって あの女 嘘つきだもん｡ お前 何言ってんの？ あの子な お前を ここまで連れてくるために➡ すげえ頑張ったんだぞ｡ 番組にバレないように➡ 自分を悪役にして｡ 何が本当で 何が嘘か 分かんねえけど➡ おめえが夢を追えるのは あの子のおかげだよ｡ ♬～ どこ行くの？ 今夜は ごちそうでお祝いだよ｡ 嘘つかないで下さい｡ また ﾄﾞｯｷﾘなんですよね｡ バレた？ 何ですか？ 嘘つかれても 全然 平気になったね｡ よかった よかった｡ ありがとうは？ はっ？ 嘘ｺﾝﾌﾟﾚｯｸｽ なおったじゃん｡ 私のおかげで｡ もう行きます｡ あっ… そう｡ 引き止めても無駄なんで｡ 分かってるよ｡ ♬～ 嘘ついた事 怒ってる？ どうでもいいです｡ もう二度と会わないんで｡ ♬～ 協力してくれって頼まれたんだよ｡ 本物のｺﾂｶに｡ 山崎真琴｡ 女のな｡ お前を ここまで連れてくるために すげえ頑張ったんだぞ｡ 番組にバレないように 自分を悪役にして｡ ♬～ (録音された真の声)｢ありがとう ありがとう ありがとう｣｡ ありがとう｡ 真君が ﾊﾟｲﾛｯﾄになったら 乗せてもらおう｡ ﾌｧｰｽﾄｸﾗｽに｡ それは 嘘じゃないよ｡ ♬～

あさが来た＃101

1 ♬～ (泣き声) ♬～ (渋沢)それでは 早速 銀行の話ですが➡ あなた方２人に 問題です｡ 第一問｡ 銀行を経営する者が 一番欲しくて 一番大切なものは➡ 何だと思いますか？ (あさ)一番欲しいて➡ 一番大切なもの…？ それは やっぱり お金だすやろか？ 違いますな｡ 本当は お金は要らないんですよ｡ 何でだす？ お金は要らんて そないなはず…!? ♬｢朝の空を見上げて｣ ♬｢今日という一日が｣ ♬｢笑顔でいられるように｣ ♬｢そっと お願いした｣ ♬｢時には雨も降って｣ ♬｢涙も溢れるけど｣ ♬｢思い通りにならない日は｣ ♬｢明日 頑張ろう｣ ♬｢ずっと見てる夢は｣ ♬｢私が もう一人いて｣ ♬｢やりたいこと 好きなように｣ ♬｢自由にできる夢｣ ♬｢人生は紙飛行機｣ ♬｢願い乗せて飛んで行くよ｣ ♬｢風の中を力の限り｣ ♬｢さあ 心のままに｣ それでは 第二問です｡ 両替屋にはなくて 銀行にはある 仕組みが 何だと思いますか？ あ… それやったら分かります｡ 預金いう お客さんのお金 預かる仕組みだす｡ そうです｡ ご名答です｡ [ 回想 ] (正吉)両替屋というのは 信用が第一｡ お金という大切なもんを 扱うてますのやさかいなぁ｡ (雁助)両替屋は 信用を お金に換えますのや｡ あっ…！ うち 分かってしまいました｡ お金より何より大切なものが！ そうですか｡ では 答えを｡ 信用… だすな？ ご名答です｡ 銀行にとって 最も必要なのは 信用がおけるかどうか｡ 信用される存在に なれるかどうかなんです｡ お客が 大事なお金を預けるのに➡ 少しの不安があっても ならないんです｡ 信用される事…｡ この相手に この銀行に任せれば➡ 自分で持つより よほど安心だ そう思われる事が大事なんです｡ 信用さえあれば あとは自然に 人が金を運んできます｡ そないゆうたら そのとおりだすなぁ｡ 銀行を経営するには まず うちが 信用つけな あきまへんのや｡ 真面目に商いして 自分の器を大きゅうして｡ そう｡ そういう事になりましょう｡ お金は不思議なもので 扱う人の器の大きさに従って動く｡ それでは 最後の問題です｡ 私や五代さんが 大きな見地から国益を考え➡ 常々 一番やらねばならぬと 思っていた事は➡ 何だと思いますか？ 銀行の神様と鉱山王の五代様が➡ 一番やりたいと思てはった事…？ はぁ… これまた さっぱり 分からしまへん｡ 答えは 人間をつくる事｡ つまり 教育です｡ 教育？ なにも 自分の子の事だけでは ありません｡ 日本のために働いてくれる 誠実な人材をつくるという事です｡ なるほど｡ それも ほんま そのとおりだすなぁ｡ 学ぶ事ができたら 正しい知識を持って➡ 日本のため 大事な誰かのために 働く事がでけます｡ こない大事な事はあらしまへん！ そうです｡ 商いと教育 どちらも 大いに頭を悩ますべき➡ 大切な問題なのですよ｡ はぁ｡ びっくりぽん…｡ (新次郎)びっくりぽんや！ へ？ ぽん!? いや～｡ わてな お金や商いいうもんが 初めて➡ 人間味のあるもんに 思えてきましたわ｡ ﾊﾊﾊﾊ！ (弥七)そやけど わてらみたいな若い者が➡ 今更 ｢通いは どないや？｣て 言われてもなぁ｡ (佑作)弥七さんの どこが若おますのや｡ そやけど 一人で暮らすやなんて そない寂しい事…｡ (平十郎) しかし 通いになると番頭や 女子衆の目を気にする事なく➡ お給金で 好きなだけ 好きな事ができます｡ (２人)へ？ それだけやありません｡ 例えば… 好きな おなごはんと 一緒に暮らす事も！ まあ 何でも勝手気まま いう事ですわ｡ 何でも勝手気ままに…｡ 好きな おなご…｡ <…が ほとんどの働き手は➡ そのまま 家付きで働く事を望みました> (かの)私ら女子衆は そのまま この白岡の家で➡ 女中奉公いう事になります｡ 若い者は 大奥様が自ら➡ 嫁入り先を お探し下さる いう事だすさかい｡ (クマ)はぁ｡ それやったら 何も変われへんいう事だすなぁ｡ よかった…｡ [ 回想 ] わてと一緒に この家 出ぇへんか？ もし 雁助さんに 一緒に出ていこ言われて➡ うめも そないしたい 思うんやったら➡ そないしてほしいんだす｡ ♬～ ≪(榮三郎)雁助｡ 頼む…➡ どこにも行かんといてくれ！ …てな事は 決して言うたあかんて➡ お兄ちゃんに くぎ刺されてしもた｡ せやけど どこ行くつもりだすのや？ まさかや思うけど どっかの商売敵のとこにでもて…｡ わて 伊予に行こ思てます｡ 伊予だすか？ まあ 今は伊予も 愛媛いうように なったみたいだすけど｡ 出戻ってた嫁から 20年ぶりに文が届きましてな➡ どうやら娘が 重い病に かかったみたいなんだす｡ 娘さんが…｡ そうだしたんか｡ ほんで お金に困ってるさかい➡ 助けてほしい言うてきまして… 勝手に出ていったくせに➡ 今更 何 言うてんのや 思たんだすけどなぁ➡ ほんでも わて 20年前に 娘には 何にもしてやられへんかった｡ せやさかい こないな時に 便りが来たのも何かの縁や｡ 伊予に行って 向こうで働き口でも探して➡ 娘の面倒 見られたらて思てます｡ 何だす… そないな事やったら わて➡ もう止める事も できしまへんやないか…！ へぇ｡ 泣いたら あきまへん｡ 榮三郎さん｡ あなたは これから 新次郎さんと奥さんと➡ 立派に のれんを守っていかな あかんのだす｡ 分かった｡ お父ちゃんとの約束どおり➡ 払えるだけのお金は 払わしてもらいますさかいな｡ おおきに ありがとうございます｡ (うめ)何や… よかった｡ うめ｡ 番頭さん｡ すんまへん｡ 掃除してたら➡ 話 聞こえてしまいましたんや｡ お嬢さん 心配な事だすなぁ｡ そやけど 番頭さんが そばにいてあげはったら➡ 奥様かて どれだけ心丈夫な事か｡ う… うめ｡ 堪忍な｡ 何でだすか？ これで よかったんだすがな！ お礼 言いたいぐらいだす｡ 礼？ 番頭さんが 冗談でも いっぺんでも うちに➡ 一緒に行けへんかて 言うてくれはった…｡ その思い出があったら うちは もう一生 一人で生きていけます｡ 今まで ほんま おおきに｡ どうか お元気で｡ わては…➡ 最後まで この家に ご奉公する事がでけへんかった｡ あんたは どうか➡ ずっと おあさ様のそばで 頑張っとくれやすな｡ へぇ 任しとくなはれ｡ ♬～ うめ｡ あ… おあさ様｡ すんまへん｡ 掃除の途中やったのに➡ ぼ～っとしてしまいました｡ うめ 何やったら 久しぶりに取りまひょか？ 何だすか？ 取りまひょて…｡ もちろん…｡ これだす！ あれま… 勘弁しとくなはれ！ もう うち➡ 年 なんぼや思てはりますのや｡ おあさ様かて もう若ない…｡ ひょっとしたら もう ええ年に なってしもたさかい➡ うちには勝たれへんて 思てますのやな？ 何を言うてますのや｡ うちは なんぼになったかて➡ おあさ様になんか 負ける気なんかあらしまへん｡ せやないと おあさ様の お付きなんか務まりますかいな！ そら よかった｡ ほな 頼むさかい 勝負しとくれやす｡ うち ずっと前に うめに負けたままの事➡ ずっと気になってたんだす｡ 分かりました｡ しょうがありまへんなぁ｡ ♬～ よっしゃ｡ はっけよ～い…➡ のこった！ ♬～ あっ… ｲｯﾀ！ あ～ すんまへん！ すんまへん おあさ様！ あかん…｡ 負けるやて あかんなぁ｡ うめの事 泣かしたげよと 思てたのに｡ おあさ様…！ (泣き声) ♬～ <そして…> (２人)よしっ｡ <いよいよ 明治21年 加野屋は…> おっ！ (千代)嫌や！ 何してますの!? お母ちゃん！ 関口知宏さんが ﾍﾞﾙｷﾞｰを列車で巡ります｡ 10日間の旅を １日ごとに 日めくりで お伝えします｡ 今日は 10日目｡ いよいよ最終日です｡ ﾚｰﾌﾞﾝを出発して 港町 ｱﾝﾄﾜｰﾌﾟへ｡ そのあと ｺﾞｰﾙのﾌﾞﾙｰｼﾞｭを目指します｡ さあ どんな出会いと発見が 待っているでしょうか｡

検事・鬼島平八郎＃03

1 そして勝負のフリーでは ４回転、期待 してしまうんですが。 ショートプログラム以上に ４回転を含む要素が 多くなってきますので 点数を重ねるチャンスも 増えてくるんです。 なので総合力がある選手は さらに点数を 伸ばすチャンスですね。 （鬼島平八郎）何してるんすか？ シッ！ 「シッ！」って　何？　何？ 犯人… 犯人!? おい…　あっ！ （武藤）おい！　おい！　おい… よしっ　よーし　よしよし 捕まえたぞ！　自転車泥棒！ 何　何…　ちょっと　何してんの… おい　警察　呼んでくれ！ はっ？ 警察ってあんた　アホちゃうの？ あっ　あかん　俺 晩飯　作らなあかんから　ごめんね （武藤）確保ー！　確保ー！ ≪（警笛）≫ よいしょ…　えぇ？ えぇ～　何これ～!? すいません　遅れました！ （越中）遅い！　会議始まってんだよ いや　自転車がパンクしまして… （藤波）言い訳するな！ どんな理由があろうと 検事１年目が遅刻なんぞ言語道断 すいません 俺が若いころはな… （森本）支部長 そうだな　じゃあ　頼んだよ はい 鬼島検事 ちょっとよろしいですか？ はい 何ですか？ あなたはもう 大橋はじめの事件には かかわらなくて結構です えっ？ 支部長の許可を得て　今後は私が あなたの教育担当を 引き受けました 僕のですか？　おっ…！ 過去の判例集です すべて頭に　たたき込んでください これ全部ですか？ これから　みんな忙しくなるから 土方さんと分担して 事務手続きや 簡単な事件の聴取をお任せします はい… じゃあ　お願い えぇ～… どうして　何度も繰り返すんですか やめられないんです 見ると　つい手が出て つい　手が出て これですか？ せっかく集めたのになぁ （森本）私たちは今 国会議員・大橋はじめへの 裏金献金ルートを解明することが 使命です まず　地元の大手建設会社 樋村建設の社長・樋村が 裏金を作って 大橋はじめに献金していたと自供 更に　警察に取り押さえられた 現金の運び屋・梶井によると… 現金は大橋はじめの 第二私設秘書である九条誠に いつも渡していたと 証言しています で　その見返りに樋村建設への 公共工事の斡旋… そうなるわね 弱ったなぁ… なんで私の在任中に　こんなこと （木戸）少なくとも　今 事件のキーを握っているのは 九条ってことですね？ ええ　九条に 事実関係を認めさせれば 大橋はじめも言い逃れできない 今が攻め込むチャンスです じゃあ　任意で 九条を引っ張りましょう！ 参ったなぁ… 何回読んでも　これは よう分からんなぁ えぇ…？ ≫（ドアの開く音） ♪♪～ ♪♪～ 何してるんすか？ 俺は　明日・あさって　釣りに行く （ため息） 自信がない… 何やねん　あの人 うわ　これは…　何日… 本日の聴取分です ほんまですか！　いよいよ１人で… 私は認めませんよ はい？ あなたのやり方 ((やめろ…)) ((あんた　鬼か!?)) ((守りたいのは どっちなんですか…)) ((会社ですか？　家族ですか？)) ((はっきり言えよ！)) ((あんたの心の針 どっちに振れたんや!?)) ((証拠は樋村社長の 心の中にあります)) ((こんな昔の功績 いつまでも　たたえてたって しゃあないですよ？)) あなたの行動は 検事の仕事ではありません 今後は勝手な行動は 慎んでください やっぱ似てるな～ 似てますわ 小学校の時の秋津美保ちゃんに あぁ　やっぱ　その顔 よう似てるわ～ 学級委員でね 成績は優秀やったんですけど 何考えてるか分からん子でね うわ～ いっつも さみしそうな顔してました そんな顔してました 何の話ですか!? いや…　美保ちゃんに 似てたっていう…　すいません ≫（勢いよくドアを閉める音） ああいうとこも似てんねんな～ よし…　うんうん　なるほど これ　ゆうべの自転車泥棒や えっ!?　あいつ １００台も自転車パクッてんの!? ♪♪～ あなた　すごいっすね 自転車　盗む盗む　盗み倒し　ねぇ？ １人で　よう １００台以上も盗みましたね それ　まとめて 海外へ売り払ってたんでしょ？ いや　警察の調書に書いてますよ？ 見ます？　ほら　ねっ？ すんごいな～　ちなみにですけど… １台　どれぐらいで売れるんすか？ 僕の自転車ボロいんですけどね 売れますかね？　アハハハハ ねぇ？ なんで　早く起訴しないの まだ　よう分かりませんから 警察の取り調べでも 犯人　罪　認めてんだからさ 起訴しちゃえばいいの！ はぁ… 地検のみんな　今　忙しいんだから お待たせしました～ から揚げうどんと　緑オムライスでーす （土方）ありがとうございまーす すごいっすね… オニさん　オニさん… でもさ　いいよね　越中くんは 事務官で （越中）なんで？ 大橋はじめの事件 手伝えるでしょう？ 私だって国会議員の汚職事件とか やりたかったのに ちっちゃい事件　任されてさ まぁ　ええやないですか　一緒に ちっちゃい事件　頑張りましょうよ あ～ぁ　私も捜査チーム 入りたかったな～ はじめまして　大橋はじめの 第一私設秘書をしております 坂下保といいます お掛けになってください 実は　お尋ねの九条なんですが ３日前から連絡がとれず 行方不明です （森本）行方不明？ はい　もちろん無断欠勤ですから 自宅へ行ったんですが　不在で 携帯電話も　つながりません （木戸）そんな　うまい話… 逃がしたんじゃありませんよね？ ご冗談はやめてください！ 報道で聞くかぎり　大橋先生が お金を受け取ったとなってますが 全く身に覚えのないことで 私たちは憤慨しています では　そのお金は どこへ消えたとお考えですか？ それは… （越中）九条が全部使った!? 大橋サイドは 九条が３億もの裏金を 私的に流用したんじゃないかって 言っています （越中）そんなの　九条１人に 罪をなすりつけてるに 決まってるじゃないですか （森本）うーん　最終的に ３億の裏金が見つからない以上 まだ　いくらでも 言い逃れができるってことね （越中）３億の行方か… えっ　じゃあ　どうします？ しかたない 九条の自宅に家宅捜索に入るか… それと同時に 大橋はじめの事務所にも 家宅捜索に入る必要があります いやいやいや　それはいかん うちみたいな地方の検察が 調子に乗っちゃダメだ いや　森本検事の考えは 正しいと思います 九条の自宅に家宅捜索に 入ったことが 大橋サイドに知られれば 証拠を隠される可能性が 支部長　ここは手分けをして 伊智地検総動員で 一斉捜査に乗り出しましょう いやいや　そもそも　政治絡みの 事件は　うちには不向きだ 経験がないんだよ 失敗したら東京に顔向け… やらせてください！ 私たちができるところまで 頑張りたいんです お願いします まあ　森本くんが そこまで言うなら… ありがとうございます ウソ!?　じゃあ　私も ガサ入れ行けんの!? うん　地検メンバー全員で 行くってよ マジっすか!? ほな　僕も行っていいんですか!? いや　いいんじゃない？ やった…　やった　初ガサ入れや やった！ ♪♪～ （リポーター） 今　大橋はじめ代議士の事務所前に 地検の車が姿を現しました 大橋はじめ代議士に対し 政治資金… 家宅捜索に入りますので 立ち会いお願いします なんで１個なんですか もうちょっと持ってくださいよ （越中）えっ？ さあ行きますよ　オニさん 行きますよ… お時間は取らせませんので ご協力をお願いします いえ　大橋先生の 身の潔白が証明されるよう 徹底的にお願いします はい 始めるぞ！ （木戸）失礼します （木戸）おい　ダンボール１つ （男性）はい ３・４… いや～　独身男性にしては いい部屋ですよね～ だって　ほら これとか　すげぇ高そうだもん （森本）無駄口たたかないで （越中）すみません… 全部～？ ≫（森本）鬼島くん はい ≫（森本）こっち手伝ってくれる？ はい… あの　上の紙袋 私じゃ無理なんだけど あっ　じゃあ　僕やります お願い （越中）オニさん　オニさん！ イス　あるよ？ （ため息） よいしょ… うわ　重いな　これ 重いな　これ… ああっ！　うあっ！ ♪♪～ おいおいおい…　えぇ… これは… ９９９８… ９９９９！ １億 （土方）行方が分からなかった ３億円の一部が　ついに姿を見せた じゃあ　九条が… その可能性　高いですね あ～　なんてこった　まずいな… 待ってください　大橋はじめ側が 金庫代わりに九条の自宅を 利用していた可能性もあります そうだ　押収したものの中に 何か証拠になるものがないか 徹底的に調べるんだ！ （一同）はい （土方）でもさぁ　このまま九条の 私的流用ってことになったら 森本検事は　まずいよね なんでですか？ 大橋はじめの事務所にまで 手ぇ突っ込んだのよ？ これで　何も見つからなかったら 検察のメンツは丸潰れ 大橋側からは 何か見つかってないんですか？ （越中） あー　まだ何も出てないみたい （土方）森本検事　大丈夫なの…？ あっ！　越中事務官 取り調べの時間です えぇ～　また　あの事件？ 早く早く！ ふーん　朝も昼も夜も コンビニ弁当ばっかりじゃないですか まぁ　盗みやってたわりには 金使い荒くないしなぁ さみしい独身男の 金の使い方ですね まぁ　僕も前はそうやったから 分かるんですけどね～ はぁ～… これ何ですか？ どうしたんすか？ これ　何ですか？　あなた 子供用のマウンテンバイク ５台も購入してるやないですか えっ？ おかしいでしょ １００台以上も自転車盗んでた男が なんで子供用の自転車だけ 購入してるんですか？ あなた何か隠してますね？ 藤波さん！　藤波さん！ はいはい　どうした!? ねぇ　これ！　これ！ （藤波）俺のじゃないぞ これ　桜葉町にある 会員制のクラブじゃない えっ　失礼 「クラブ　ラフレシア」って 地元の財界人なんかが　よく使う あの高級クラブですか？ どこから見つけたんだ？ いや　九条の押収品の　この中から この店に　九条が 出入りしてたってことね 越中くん　一緒に聞き込み　お願い はい （森本）この男性 ここへ来ていませんでしたか？ はい　いらっしゃってました 羽振りが良く　当クラブの中でも 特別なお客様だったのですが… 何か問題が？ 店のホステスに手を出していて 随分とお金を使っていました お金を…　あの　今日　その方は いらっしゃいますか？ いいえ　それが… そのホステスも 突然　辞めたそうなんです そうか… しかも　ホステスが辞めた日は 九条がいなくなった日と 同日でした 捜査の手が自分に及ぶ前に 女と逃げたということか… 恐らくは… だとすると　九条の私的流用は 間違いないなぁ （坂下）そうですか　予定どおり お見えになりましたか 打ち合わせどおり 返答しておきました [TEL]（坂下）ご面倒をおかけして 申し訳ありません いいえ　先生には　こちらも お世話になっておりますので いいえ　とんでもありません こちらこそ… （大橋）この度は　私の秘書を しておりました九条誠が 大変ご迷惑を おかけしておりますことを 深くおわび申し上げます 九条に関しましては 既に　解雇しております しかしながら　私が不正献金を 受け取ったとする 検察の捜査には　断固 抗議をしていく所存でございます （木戸）まずいですね～ （越中）うまいことやられましたよ すっかり　こっち悪もんじゃん （土方）うーん…　九条は どこ行っちゃったんだろう 分かった　分かった分かった！ これこれこれ！ （越中）何？　何？ このレシート持って 自転車屋に聞き込みに行ったら 川口　購入した５台の マウンテンバイク どっかへ送ってたんですよ～！ えっ… （越中）オニさんね　今　みんな 不正献金事件っていうのを やってんの だから　すごい いっぱいいっぱいなんだ でも　こっちも全容解明せんと 起訴できないですし… （越中）ああ　なんか　話のレベルが 違うっていうのかな～ だからね　今　真剣だからさ ちょっと… すいません… ≪（救急車のサイレン）≫ 不正献金の捜査は打ち切りだ 打ち切りって　なんでですか？ お前は黙ってろ！ たった今　東京の敷島検事正から お呼びがかかった 経験も実績もない地方の我々が 独自の捜査を進めた責任が 問われている　東京は大激怒だよ！ 責任って　それは　ここのトップである 藤波さんが取るんじゃ？ そう　私も強く主張したんだが 実質　捜査を指揮したとされる 森本くんを 東京に寄こすようにとのことだ えっ　森本検事が 処罰　受けるんすか？ いや　分からん　しかし… 明日　査問委員会を開かれるそうだ 査問委員会って　それ開かれたら どうなるんですか？ 左遷だ… 森本くんの異動は避けられない （土方）そんな… 何ですか　それ… すまんね　森本くん 守りきれなかった この捜査を進めたのは私です 私が責任を持って行ってきます 森本くん　すまないね いえ… 森本検事が 査問委員会にかけられるなんて… まぁ　東京地検にケンカを 売ったようなもんですからね 藤波さんもな～ 部下１人守れないで ほんと　最低だよね はぁ…　どうしても１つ 納得がいかないんですよね 何がですか？ いや　この九条が 私的流用したとすると この線が説明できないんですよ ん～　何　どういうことですか？ いや　樋村は　大橋はじめに 裏金を渡した見返りに ８００憶もの大中谷大橋の建設工事や 日之出バイパスの公共事業を 受注したと言ってましたよねぇ あっ　公共工事を 実際に発注するのは 県の職員よね？　つまり… こことここが 実際につながってる可能性が まだ残ってる… ってことじゃない？ ああ　なるほど いや　ちょっと　ねぇ　待って待って どこ行くの？　ねぇ！ ありがとうございましたー！ 森本検事　ほんまに１人で行かして いいんですか？ 自分らの捜査 間違うてへんいうて 東京の人にバシッと言うたったら ええやないですか 分かったようなこと言うな すいません… ただ　伊智のメンバー 藤波さんのそれに 期待してると思いますけど ほな　すいません ♪♪～ あっ　土方さん 樋村建設の日之出バイパス工事の 入札担当者名　分かりました 名前は山岸治　え～　住所は 日之出市　一ヶ丘… おかしいと思わない？ おかしい…？ 山岸は県の土木課長よ 年収は８００万がいいとこでしょ そのわりに　家が豪華すぎる 車も高級車だし うん…　じゃあやっぱ給料のほかに 何か収入があるってことかなぁ？ 例えば　公共工事斡旋の謝礼とかね うん 今夜は一緒にお泊まりか えっ　いや　あの… したくないかっつったら… バカ！ ここで山岸の帰りを張るのよ いや～　張ろうぜ　張ろうぜ （園長）養護施設っていうと 暗いイメージを持たれますが 両親がいない分　共同生活を通して 子供たちが学ぶことは とっても多いんですよ 確かに　先月　川口さんから 自転車の寄付をもらいました そうですか 寄付した川口さん あの子の父親なんです ああ… 川口さん　奥さんに 暴力をふるってましてね 奥さん　あの子を残して 家を出てしまったそうです それからは　仕事もせず あの子を放置して １年前に　児童相談所から あの子を　うちで預かったんです ああ… あっ　あの～　その自転車 いつ届けられたか 確認できるもん　ありますか？ こちらで　ちょっとお待ちください はい　すいません ♪♪～ あの～　この伝票でいいかしら？ あっ　すいません この写真に写ってる この男の人は… 九条くんのことでしょうか？ ただいま～ 異議あり！ はっ？ おとうさんもやってるんでしょ？ 「異議あり！」って なんや　それ 刑事さんから教わったんです 刑事さん？ おう はい… もう　来てはったんですね ２人とも　随分大きくなったよな ええ あれからもう　８年か すいません　忙しいとこ うん？　あっ　いいよ おお　それより　話って何だ？ あの　失踪中の 九条のことなんですけど… まだ居場所分かりませんか？ まだだ そうですか… だがな　もうダメかもな ダメ？ うん 大橋の力を九条は　そばにいて よーく知ってるはずだよ ヤツに逃げる所なんか　ないよ ていうことは… 九条を待ってるのは 死人に口なしっていうやつだよ うーん　そっか　良かった… あっ？ いや　僕ね　知ってるんですよ 九条が来る場所 ♪♪～ （大橋）逃げた？ （坂下）はい… （大橋）どういうことだ？ （坂下） 九条の様子を見に行かせたところ 姿がなかったようです 何をやってるんだ！ 申し訳ありません ただいま　各方面で捜索中です 警察より先に見つけ出せ はい 九条は罪をかぶって自殺 その手配は調っています おはようございます 土木課長の山岸さんですよね？ （藤波）土方くん！ おいおい　何やってんだよ 越中！ （越中）あっ　おはようございます これ以上の捜査は 上から止められてんだぞ 査問委員会が始まる前に 山岸から大橋はじめ側と つながっていたという 自供を引き出せば 森本検事の左遷は防げます そうは言ってもだな… 森本検事１人に 責任を負わせるなんてできません 捜査　続行させてください しかし… 時間がないんです　藤波さん！ ♪♪～ （木戸） ２月２１日　この日　樋村建設が 日之出バイパスの公共工事を 入札していますよね 樋村社長は　この工事は 大橋はじめ代議士への 献金した見返りとして 受注したと話しています 工事の入札担当者は山岸さん あなたです 受注の経緯をご説明ください あっちの方だったけどなぁ… あっ　そうですか　すいません ちょっと行ってみます ≪[TEL] はい　もしもし 鬼島くん？　今どこにいるの？ あっ　いや　ちょっと… [TEL]（土方）今　こっちは大変なの 山岸の自供がとれれば 森本検事も助かるのよ 早く戻ってきて あっ　すいません 今　ちょっと忙しいんで　はい （敷島）では　これより 査問委員会を開催します 森本検事には　今回の捜査の 経緯を説明してもらおう はい 私たち伊智地検は… あなたは　大橋はじめ側から 個人的に口利きを 受けていたんじゃありませんか？ 越中事務官 はい 被害者の家を見たんですよね？ はい　とても立派なお宅でした あんなすごい豪邸を　キャッシュで 購入したと聞いていますが そんな大金 どこから出したんですか？ （敷島） 君たちが独断で行った捜査は 現職の国会議員の収賄疑惑だ 経験もノウハウもない地方の支部が なんで捜査を行った？ （森本）申し訳ありません （敷島）大橋はじめの収賄事件は 東京の特捜も狙ってる山なんだ これで大橋はじめに 誰も手が出せなくなった 捜査方針の立案者は誰だ？ 誰が責任をとるんだ？ それは… ≪（ドアが開く音） 森本くん 支部長!? ああ良かった　見つかって ここ広いから （敷島）藤波… （藤波）ああ　どうも ごぶさたしております （敷島）君まで呼んだ覚えはないが そうなんです 呼ばれてないんですけどね… なんだ？ ええ　手土産をお持ち致しまして 今　お配りします お茶にしましょうか　ハハハ… 疲れた頭にゃ甘いもの… 完全黙秘ですか これ　おいしいんですよ 私も大好物でございましてね ただの　まんじゅうだと思ったら 大間違いでござい… ≪[TEL] あっ　皆さん　どうぞ お食べください このまま食べても おいしいんですけれども あの　ラップでチンしても また風味が変わっておいしい… 座れ…　座りなさい！ はい ≪あきませんよー≫ ♪♪～ ほんまにもう～　困るんですよね こんなとこへ　ゴミ捨てられたら （九条）ああ　いや… はい 暇やったら　ちょっと手伝うて もうていいですか？　九条さん ３０年前の今日　船舶事故で ご両親　亡くなりはったんですよね 今日は　命日やから 絶対ここへ来ると思いました 誰なんだ？ あっ　一応　検事やってます １年目の新人　鬼島平八郎です ちょちょちょちょちょ… 逃げんでいいですよ ボランティアのついでに 忘れもん届けに来たんです え…？ 「将来の自分　九条誠」 「僕の将来の夢は…」 （九条）≪日本一の政治家になって 親のいない子供たちを 笑顔にすることです≫ ≪やまぶき学園みたいに 一人ぼっちになった子供たちが これる　お家を作れるよう みんなに貢献できる　尊敬される 政治家になりたいです≫ ≪僕みたいに 一人ぼっちになった子供が 帰れる場所を　たくさん作って…≫ 「泣いている子供がどこにもいない それが夢です」 ちっちゃいのに立派やなぁ 思いました そやから その夢　実現させるために 大橋はじめに 福祉施設の予算　増やすよう 働きかけてたんでしょう？ ((先生　児童虐待が全国的な 関心事になっています)) ((うん)) ((今度の後援会では 支援者の期待に応えるためにも 児童福祉に力を入れてる姿勢を アピールすべきだと思われます)) ((先生の児童福祉に対する姿勢が 支援者から好評を得ています)) ((今度の予算会議では 是非とも福祉予算の増額を 提案すべきです)) これ　忘れんと 持ってってください ほな　逃亡生活　頑張って お～　足場悪いな　ここ ♪♪～ （嗚咽） 何をしに来たと言っているんだ ここに来たということは 君が全責任を取る そういうことだな？ いや　それは　どうでしょうか… そもそも　大きな事件を扱えない 田舎検事どもが 特捜のまね事なんかするから こんな間違いを犯すんだ それは　はい…　いや… 違います 何？ 間違ってません （敷島）何だと？ 確かに　我々は今まで大きな事件を 担当したことがありません しかし…　今回の我々の捜査は… 間違っていません それを　お伝えしに… ちょっと待ってください 私が無理に捜査を進めたんです 責任は私にあります 森本くん… 支部長　ありがとうございます でも　私は大丈夫ですから 藤波くん　君は東京地検の判断に 意見しにきたのかね いや…　その… ≪[TEL] あ…　ちょっ　ちょっと　失礼 もしもし？ はっ…　ちょっと待ってくれ 九条が出頭してきました！ それは間違いありませんね？ 受け取った金は 大橋先生に手渡しました 今まで　どこにいたんですか？ （九条）大橋先生の罪を 私が　かぶるつもりでした… 怖くなって逃げ出したんです だけど… 夢を見失う寸前のところで 救われました 逃げません　闘います 九条が大橋はじめに 現金を手渡したと供述しています やったぞ　森本くん 良かった　良かったな！ はい… たった今 九条がすべてを自供したそうです あ～　まずいな～ 九条があなたとの関係 全部　言っちゃうかもな… 自分の口からお話しした方が いいと思いますよ 私はただ　大橋先生に頼まれて 樋村建設が 工事を受注できるように しただけなんです 私は悪くないんです 私はただ　先生に頼まれたこと だけをやってただけなんです （シャッター音と報道陣の声） あなたのお子さんね 元気に遊んでましたよ 園長先生もね　いつでも子供に 会いに来てええって おっしゃってました 検事さん… はい？ この子… うん うちの子じゃありません （藤波）乾杯！ （一同）乾杯！ （藤波）イェイ！ いや～　伊智地検始まって以来の 快挙だ　これも　みんなが最後まで あきらめなかったから できたことだ いや　藤波さんも 森本検事をかばいに東京に 当たり前ですよ　部下を守るのが 上司の仕事ですからね もう　調子いいんですから ほんまですよ　もう ということで このお祭りムードの中 ただ１人　何もしてないのがいる 鬼島！　お前だよ へっ？ 自転車の窃盗犯はどうしたのよ まだ起訴してないんだよ いやいや　もう１回 話しようかなと思いまして もういいって 何度も言ってんじゃん ダメですよ　あの被疑者ね 自分が悪いことしたっていう 自覚ないんですよ そんな汚い金でプレゼントされたって 子供ら　喜びませんよ　そんな 鬼島！ はい… 検事面するな すいません… まだまだ　お前は新人１年目の ダメダメ検事なんだよ 森本くんの指導のもと　１日も早く この優秀なチームの仲間入りが できるよう努力すること 分かったな！ はい… （藤波）返事が小さい！ はい！ （藤波）よし　はい続けよう 伊智の連中　とうとう 大橋につながる重要証言を 引き出したそうだ 東京の我々にできなかったことを 彼ら　やってのけるかもしれん… ヘヘッ　相変わらず　ぬるいなぁ それでよく　検事総長になんか なれたもんだ ヘヘッ　鬼だか悪魔だか 知らねえけどよ 何もできるわけねえじゃねぇか 分かってんだろう!? お前さんと違ってな 俺は　物分かりが悪いんだ 笑わせんじゃねぇよ てめえの足もとだって 見えてねえじゃねぇか フッ… また　鬼島か… それはまだ　はっきりとは 分かりませんが　恐らく 君が作ったシナリオどおりに 事が運んでいたはずだが 大橋議員にまで手が伸びた これは緊急事態だ 今すぐこっちに ≪（ノック） すいません　後でまた はい お疲れさまです 何？ 判例集　すべて目を通しました 勉強になりました そう　そこ置いといて はい… 何？　まだ何か？ 森本検事… 何がしたいんですか？ １億円見つかった現場で　クラブの 領収書を入れてんの見たんですよ ((重いな　これ…)) ((ああっ！)) なんで 捜査の邪魔してるんですか？ あなた　何者なんですか？ ♪♪～（『Ｏｎ　Ｙｏｕｒ　Ｍａｒｋ ～ヒカリのキセキ～』）

ひよっこ＃015

1 ごめんなさい｡ あ～ いい いい｡ 俺 食べる｡ (倖)お父さん やめなよ！ 大丈夫｡ 食べる｡ せっかくの優太のお誕生日なのに めちゃくちゃにして…！ 帰ってよ！ 早く帰って！ <料理の出来 不出来は 愛情次第といいますが➡ 愛情だけでは どうにもならない事があります> ♬｢Pon pon pon…｣ ♬｢愛の言葉をリル｣ ♬｢ｼｬｲなﾊｰﾄがﾄﾞｷﾄﾞｷ｣ ♬｢あの日観てた “ｻｳﾝﾄﾞ･ｵﾌﾞ･ﾐｭｰｼﾞｯｸ”｣ ♬｢瞼閉じれば蘇る｣ ♬｢幼い頃の大事な 宝物だけは｣ ♬｢ずっと この胸に 抱きしめて来たのさ… Ah ah｣ ♬｢夜の酒場で Lonely｣ ♬｢あの娘 今頃どうしてる？｣ ♬｢さなぎは今､ 蝶になって｣ ♬｢きっと誰かの腕の中｣ ♬｢肩寄せ合い 声合わせて｣ ♬｢希望に燃える 恋の歌｣ 奥茨城村で 聖火ﾘﾚｰが行われることになり➡ 大忙しの日々が始まりました｡ (ちよ子)お姉ちゃん これ どう？ (みね子)お～ うまいね｡ (ちよ子)よかった～！ ねえ お母ちゃん 何それ？ (美代子)どう？ すてきでしょ？ これ 見たらね 人が たっくさん集まるよ｡ ほんとげ～？ (君子)助川時子さん！ 頑張れ～ 頑張れ～！ いいね～！ (時子)こう？ そうだよ 後ろと前だよ これね｡ (三男)兄ちゃん 楽しみだなあ｡➡ 兄ちゃんも楽しみだっぺ？ (太郎)んだな｡ (三男)やっぱしな～！ ♬～ これで よし！ よし 次 行くよ！ うん 急げ～！ ちょっと待てよ｡ ばあちゃん！ 聖火ﾘﾚｰすっから 見に来て｡ 何？ だからね ばあちゃん 聖火ﾘﾚｰ！ 何？ あの… 村の人たちで…｡ (太郎)みんな これが今 予定してるﾒﾝﾊﾞｰだ｡ みんな 抜けてる人いねえか 見てくれや｡ いいんでねえか？ (豊作)鈴木家の平治さんが 入ってねえべ｡ そごは外せねえよ 寄付もらってっから｡ あと 消防の藤咲さんも｡ あっ！ あ～！ 村長 忘れてっぺ！ (太郎)村長は走れねえよ｡ 死んじまうど｡ 走る気満々だ｡ (太郎)しょうがねえな｡➡ んじゃ ちょっとだけ 走らせっか！ そのかわり…｡ (豊作)寄付は ぶんどる｡ (青年団員たちの笑い声) お前ら！ お前ら！ これが 政治ってもんだ｡ 分がったが？ あまり分かりたくは… ないですね｡ はい｡ (ﾁｬｲﾑ) で… で… うまくいきそうなのが？ はい！ 藤井先生が ﾄｰﾁを 一緒につくって下さるそうです｡ これが 藤井先生のつくった ﾄｰﾁです！ (藤井)皆さん 注目して下さい｡ 試作品 点火してみます！ (一同)おぉ～！ (拍手) 木脇先生も 走者の指導を して下さると言ってくれました｡ いいですか？ 思ったより重いですから ﾄｰﾁは｡➡ 姿勢が悪いと つらくなります｡ ﾄｰﾁは まっすぐ こう持つ！➡ いいですね！ いいね！➡ 村長！ (村長)はい？ 違う！ まっすぐ！ 村長！ 政治だ｡ んだ｡ んだ｡ ｱｼﾞｬﾊﾟｰ！ 聞いてねえぞ 俺は｡ えっ？ で 俺は？ あっ 特には 大丈夫です｡ あっ お呼びでない｡ (一同)せ～の！ ♬～ (時子)何か すごいね～｡ うん｡ あっ！ そうだ みね子｡ これ 見て｡ じゃ～ん！ マイ鉢巻き～！ あら～ 目立つね これ｡ んだよ 目立たないとね｡ あっ ほら 映画会社 映画会社！ フン まぁね｡ (２人)ﾌﾌﾌﾌ！ はあ～ 緊張してきたぁ｡ 大丈夫け？ うん…｡ (茂)いざとなったら 俺が代わってやっと｡ 若え頃は➡ 村中で一番の健脚と いわれたもんだ｡ やだよ 走るよ｡ んだな 頑張れ｡ うん 分がった｡ ♬～ これで よしと｡ (ちよ子)晴れますように｡ (進)晴れますように｡ 晴れますように！ そして 本物の聖火ﾘﾚｰが 茨城県内を通る日｡ ここ 奥茨城村でも 聖火ﾘﾚｰ大会が 始まろうとしていました｡ ♬～ (太郎)皆様 本日は お忙しい中 お集まり頂き➡ まことに ありがとうございます！ (拍手) 間もなく 奥茨城村聖火ﾘﾚｰを 始めたいと思います｡ 何か ひと言 お願いします｡ 三男！ しっかり！ おう｡ みね子… みね子！ 頑張って！ お姉ちゃん 頑張って！ 頑張って｡ うん 頑張る！ 時子！ 豊作！ 頑張れ！ (きよ)三男！ 太郎！ しっかりやれ～！ (豊作)では 出発致します！ (拍手と歓声) (豊作)よ～い！ (号砲) ♬～ 三男 大丈夫か？ 腹 減ってねえか？ うん｡ 頑張んだぞ！ しっかりやれ！ ありがとう！ 三男 頑張れ～！ (征雄)三男～！ 三男～！ 三男…｡ 三男～！ おう ありがとう！ ♬～ [ 心の声 ] (三男)ありがとう 奥茨城村…｡➡ 俺を忘れねえでくれ｡ 俺を忘れねえでくれ！ 奥茨城村！ ありがとう！ ありがとう！➡ 頼みます！ おう 任せとけ！ 行け～！ ♬～ ありがとう…｡ ♬～ 元気出して 行くぞ～！ ♬～ (一同)万歳！ 万歳！ ♬～ (君子)時子！ 映画会社！ ﾃﾚﾋﾞ！ ﾃﾚﾋﾞ来てっと！ しっかり映れ！ な？ ≪豊作さんが来たぞ～！ (君子)あっ 来た！ 豊作だ！ (正二)豊作！ (声援) 時子 頼んだど！ 待ってろよ！ 奥茨城からのｽﾀｰに なってみせっと！ 時子～！ 時子～！ 絶対なってやる！ ♬～ 大好きだ 奥茨城村！ ♬～ (声援) (時子)みね子！ 時子！ ♬～ 渡すよ みね子｡ うん｡ 奥茨城村を…➡ うちの父ちゃんや母ちゃんを よろしくね！ うん 分がった！ (時子)みね子 頑張れ！➡ 頑張れ！ (声援) ♬～ [ 回想 ] (実)うりゃ～！ 何よ！ 別に いがっぺよ！ 行ってきます！ 行ってらっしゃい！ (実)おう｡ ♬～ お母ちゃんね➡ お父ちゃんのこと 信じて待ってようと思う｡ ♬～ 分がったよ｡ <お父さん…｡ みね子は走ってます｡➡ お父さんのこと…➡ お父ちゃんのこと 考えながら 走ってます｡➡ 気持ちは届きますか？➡ お父ちゃん…｡➡ みね子は ここにいます> ♬～ (宗男)おう 間に合った｡ 何だ これ！ すげえな 奥茨城村！ (美代子)だっぺ！ すげえな みね子ら｡ かっこいいな～！ 日本の新しい世代の 幕開けだっぺや これ！ なぁ！ んだね｡ すげえ｡ お姉ちゃんだ｡ 見えてきた｡ 来た 来た？ お姉ちゃん！ 見えねえ！ みね子～！ 頑張って～！ よいしょ！ ♬～ (ちよ子)お姉ちゃ～ん！ (宗男)みね子～！ (ちよ子)あと少しだ！ (宗男)転ぶなよ 転ぶなよ！ (美代子)気を付けて｡ (宗男)転ぶなよ！ みね子！ 行け！ みね子 行け！➡ 行け 行け！ ♬～ みね子！ みね子 頑張れ！ みね子～！ みね子！ ♬～ (拍手) みね子～！ ♬～ (一同)わぁ～！ (ちよ子)お姉ちゃん かっこいい！ みね子～！ みね子～！ ♬～

パパドル！＃04

1 　　　　　　　　　　　　　　　 ≪（高野）錦戸さん 前の方にお越しください ＜俺の名前は安田章大＞ （高野）次に出てくる食材を 当ててもらいます 題しまして 「箱の中身は　なんじゃらほい！？」 （西尾）イエーイ （錦戸）章ちゃん　やれよ いや　やりい ＜関ジャニ∞というグループの一員である＞ （西尾） いきましょう　ババン　うわ～ えッ　何？ ＜今をときめくアイドル …のはずだが＞ ＜でも　あの時＞ 《（元子）離婚か引退か 答えは出たの？》 《３ヵ月間　必ず隠し通します》 《家族　守りたいんで》 《結婚？》 《引退？》 ＜もし　あれ　ホンマやったら＞ ＜関ジャニ∞＞ ＜どうなんねやろ＞ 下　下　下 下？ （さがね）うわッ タコ タコ 正解～ ＜タコ　タコ焼き＞ ＜タコ焼き好き…　はるちゃん＞ 《俺は　どこにも行けへん》 《（遥）ホント？》 《ずっと はるちゃんのそばにおる　一生》 （脇坂）ああ　また始まった （間宮）何が？ 長芋を使用した特製酢豚を 試食していただきましょう ≪（西尾）待ってました→ 超いいニオイ ＜長芋　とろろ＞ ＜とろろご飯好き…＞ ＜はるちゃん＞ 最近　何を見ても何を聞いても 奥さん思い出すっていう いわゆる奥さん欠乏症だそうです スケジュール　いい感じに真っ黒やからな なかなか家にも帰れまい ラブラブすることもできまい （安田）これ　うまッ ＜ヤス　ナス＞ ＜ナスの肉味噌炒め好き…＞ ＜はるちゃん＞ 僕　独身でよく分かりませんが どうなんですか 父親って　なかなか帰れないと そりゃもう立場なしよ 完全に居候　空気空気 ただいま （芽衣）まだいたんだ　うちに （えいとがほえる） 存在　忘れてた 全く姿　見ないから （笑い声） 何　何の話？　めっちゃ笑てるけど 亮君　お帰り ただいま 面白いの　佳奈が今日　学校でね 話してあげてよ （佳奈） 二度話すと面白くなくなる→ なのに　また頭から？ 錦戸のために？ いや　ええよ　別に （奈津）お久しぶりね 食べる　豆大福？ あッ　うまそう　いただきます 待って　五つしかないよ 一人　足りなくなっちゃう 遠慮しなさい　錦戸 いいよ　亮君　食べて あッ　ありがとう ところで悠斗は？ えッ？ （悠斗）何か用ですか 忙しいんですけど ごめんな　これ　おばあちゃんから 勉強中？　試験前とか これ　プライバシー保護のための 人よけです 邪魔しないでください じゃあ　勉強　頑張りや　なッ どう　悠斗　相変わらず　これ？ うん　めっちゃ熱心やな 何してんねやろ 心配なの　特に最近 何考えてるんだか　サッパリ 俺も気にして見とくようにするね うん　私じゃ全然ダメ 何聞いても　うるさがられて せっかくさ 今はこう　男親がおるわけやん だから　はるちゃんも 俺のこと　頼ってくれてええねんで ありがと　亮君 ＜これ　この笑顔のために 頑張ります　錦戸亮＞ ＜夫として　パパとして＞ （村上）はッ　結婚？ 内緒で結婚　亮が？ はあ～ もうスッキリした～ 言えてよかった それ聞いてから　ずっと 小骨みたいに喉に突っかかってて 亮が結婚 嘘や　ありえへんて ありえへん　ヤス　勘違いやで えッ？ 亮やで　ああ見えても なかなかヤンチャなやつやんか こないだも　なゆみちゃんと コレやられたとこやろ→ 簡単に年貢納めるタイプちゃうて 大体　女にのぼせて デレデレするやつでもないやろ ＜旅行　お土産＞ ＜チョコ　チョコアイス好き…＞ ＜はるちゃん＞ ごめん　亮　お待たせ ああ　章ちゃん 「ふたりのＨａｐｐｙハネムーン」 「ふたりの休日　ロマンチックローマ」 何でもありませんから 錦戸さん　ロケ行きましょう 早く早く 痛い痛い… 旅行？ そう 行けへん？　俺がドラマ終わったら 初めての家族旅行　イン海外 結婚式も兼ねて うわ～　ゴージャスそうね　賛成！ 最近　存在感　薄かったから 巻き返そうってわけね その心意気は買うわ 楽しそうだけど　どこに？ 思いっ切り　人目につくと思うけど 悠斗　どこ行きたい？ 別に興味ない アウトドアは？ カヌーで川とか下って キャンプとか 虫出そう　嫌い　却下 じゃ　南国　サーフィンとか 波乗って ビーチでココナッツジュース飲んで　のんびり 錦戸　日焼けはお肌の大敵よ　却下 いっそのことヨーロッパ 悠斗　サッカーで行ってる 日本人選手　全員　見て回んねん イギリス　イタリア　スペイン　ドイツ　ロシア そんなに学校　休めない 却下 いつまでたっても行けないじゃん 行きたい人だけ　どうぞ 全く興味なし あれ～ お兄ちゃん　またこれ？ カチャカチャカチャカチャさ→ 見てごらん　これ　いいよ ≪（元子）情報流出？ はい 錦戸情報が流出しているという 情報が　流出していた… 回りくどいんだよ 私が発見しました 「錦戸亮　好きな人　みんな集まれ」 このＹＵＰＰＹなる人物です 「当方　情報通 錦戸亮の秘密　教えます」 ≪（間宮）「錦戸　岡本なゆみとの噂 ガセネタ」 内部の人間の仕業ね 内部って　僕じゃありませんよ 決まってるじゃない！ 家族よ 間宮さん？　ワッキーも 揃って　どうしたんですか？ ドッ君よ　いや　錦戸よ まさか　こんな どっからどう見ても普通の家で 地味な庶民生活してるとはな エースのお前がな 何かこの人　嫌な感じ シッ で　あなたが花村遥さん あッ　今は錦戸遥さんです 分かっとるわ イテッ ８周年ですよ　関ジャニ∞８周年 エイトで８　分かりますよね この記念すべきイヤーに こんなことになるとはな うちとしても大変 ご迷惑を被っとるわけですよ たくさんの戦略を用意してたのに 戦略って何かしら 聞かせていただける？ 何かな　このオチビちゃんは 確かに関ジャニ∞ 最近　そこそこ　きてるけど まだまだ嵐には及ばないわよね そうなんですよね　なかなか… 一つだけ嵐にあって 関ジャニ∞にないもの分かる？ 何ですか？ 櫻井翔君よ 佳奈ちゃん　よく言った！ ううんッ 翔君の魅力　探ってきてあげる 関ジャニ∞の未来のために直接 会えるよう手配していただける？ うん　手配していただけない はい　学校の準備して そして 情報流出禁止でございましたよね 情報流出？ さっきから そこで　しれっと黙っている悠斗君 いや　ＹＵＰＰＹ君だ 最初に申し上げたはずですよ うかつな錦戸に関するブログ ツイッター等の禁止 悠斗　あんた　まさか 勝手に何か書いちゃったの？ まさか　この家のこと？→ 何書いたの？→ 何とか言いなさいよ！ 「もし良かったら 直接メール下さい」 「僕は萩原中１年 花村悠斗と言います」 「以下　連絡先貼っておきます」 邪魔なんだよ　キモオタ　どけよ！ （レイ）好きなの　ダンス？ あれッ　あんた　確か隣のクラス… 花村だっけ？ （キョウコ）やってみる？ 僕がダンス？ （シンノスケ）気が向いたら いつでも来なよ　大歓迎だからさ ごめんね　悠斗のこと迷惑かけて 安心して コメントは全部　削除させたから で　悠斗は何て？ よく言って聞かせたけど だんまりで それにしても何よ あの眼鏡のマネージャー　感じ悪い 佳奈　早くお風呂 今日　トリートメントお願い 髪にハリとツヤが欲しいから 前は違ったの うん？ 悠斗 もっと何にでも興味があって 友達だっていたし 運動も得意じゃないけど キャッチボールだけは　よく キャッチボール その前の…　その人と？ 離婚した時 一番ショック受けてたのは悠斗 ひどかったの 借金たくさんつくって 女の人と消えて 私も精神的に　いっぱいいっぱいで その人の悪口　言っちゃったりして その頃からよ 一人の世界 こもるようになっちゃって じゃ　俺　ちょっと話してみるよ もしかしたら何か悩んでることも あるかもしらんしさ お願いします　パパ はい　ママ 行けるといいね うん？ 旅行　いつか二人で えッ　二人で？ 私だって　たまに思うのよ 亮君と　もっと 二人っきりでいれたらなって やっぱり？ 思っとったん？ もう　はるちゃん 以心伝心やん やっぱさ　いつか二人で行こうや 秘密の一泊旅行 うん　もうちょっと おうちの中　落ち着いたらね うん それまで頑張ります　パパとして はい　悠斗 さっき聞いたで 書き込み全部　消したって？ お説教ですか すいませんでした お前　モテたかっただけやろ はッ？ ネットとか分からんけど 女の子　いっぱいおんのやろ だから　そこで出会ってデートして 手つないだりチュッチュしたり そんなことばっか考えて 頭の中パンパン　俺もそうやった なあ　何か悩みあるんやったらさ ちゃんと俺にも言ってよ どうやったらなれるんですかね 芸能人 芸能人に？ 　　　　　　　　　　　　　　　 （充）芸能人？ いきなり言いだして　長男の悠斗が 嬉しいような あんまオススメできひんようなね うちの大輔もえらい憧れてるけど ええことばかりやないからな 人に評価されてるようで されてなくて　賞味期限　気にして 自分 スーパーの特売品みたいに思うたり 売り切れんのも嫌やし 売れ残んのも嫌ですしね でもな　よかったって思うで えッ？ 俺なんか芸能生活　短かったけども 銀河隊でデビューして 息子が　その時の姿見て 「すごい 父ちゃんみたいになりたい」って 嬉しかった 苦労や後悔あったけど 息子に「すごい」言われたら ああ これでよかったんや　人生成功 素直にそう思える 俺も思いたいっす　そんなふうに そやから俺も　まだまだ親父の背中 息子に見せたいからな 曲　書いてん えッ　曲？ 作詞もな　ゆうべも一曲 そんなん　いつの間に 聴かせてくださいよ まだそんな… 聴きたい　マジで しばらく歌ってへんから ええやん お願いします　大丈夫です ほな　ちょっとだけな はい ワン　ツー ♪♪～理由… （大輔）いた　錦戸さん！ 何や　大輔　人がせっかく ちょっと小耳に挟んだんですけど 僕にも紹介してくださいよ 明日の芸能界　目指す仲間 うちの長男の悠斗ね イトコ 亮のイトコ　悠斗君いうねんな 悠斗君ですか 何か持ってそうな名前ですね でも　芸能界っていいな　歌とか 踊りできたらいいな程度やし トーシロか でも僕　色々と教えますよ まず業界の挨拶ね どうもどうもどうもって どうもどうもどうも… 錦戸さん 家族みんなで見てます 「ファイヤーレスキュー１１９」 ありがとうございます ≪いきましょう 笑顔で　いい感じですね 出ました　レモン ♪♪～ザテレビジョン おはようございます ドーナツの差し入れ そして　ここにも… 差し入れかぶるとは　ふざけんな 相変わらずの　うっかり君だな 錦戸さんのジャーマネ あの　何で俺ら　ここに？ なりたいんでしょ　芸能人 見せてもらおうよ　裏側全部 （那須口）錦戸ちゃんの イトコちゃんとハトコちゃん？ どう　元気　最近どう？ いいっすかね　見学させても どうぞ 今日はもう　てっぺんまで 撮りだからね　じゃあね てっぺん？ てっぺんって 時計のてっぺん 深夜１２時まで撮影ってこと あッ　勉強になるな あッ　来ましたよ　錦戸さん　彼女 （なゆみ）何よ！ 彼女　ちゃうし （タク）いいから来いよ！ （悠斗）もめてるみたい 分かった 芝居の稽古だ　見に行こう アカンて　おい　待って 何なのよ　もう 何だよ　さっきの取材 もう　ええから行こうや 何で　わざわざ熱愛ネタ 自分から振ってんだよ そんなに話題になりたいか 私は　あのアイドルの女ですって 何でタクが怒んのよ 関係ないでしょ　私達 俺は　お前が心配で言ってんだろ （典子）何やってんの　タク！ ちょっと　なゆみと話 （典子）今　そういう時期？ 主演の錦戸　取って食うんでしょ→ この手のゴタゴタは 億　稼いでから　やって 戻んなさい　なゆみも　早く 鬼気迫る面白いシーンでしたね いや　こんな裏側　見せられても こんなん　ちゃうねん　ホンマは もっと　ええとこ行こか　なッ ここが… ありとあらゆる 役の衣装が… （大輔）へえ～ ファイヤーレスキュー 何で　こんな… ハロー　大輔です！ 悠斗です 錦戸です！ 新生　銀河隊 ♪♪～グンナイ　グンナイ ミルキーウェイ ♪♪～星屑　白夜のランナウェイ ♪♪～１千１秒　離さない　離さない やっぱダメだ できっこない　ダンスなんて 一緒に練習しようよ 俺　いいとこ紹介するよ カラオケ？ （ひかる）行く行く ちょうど　うちら暇してたとこ （矢崎）じゃあ 先に店探して後で呼ぶわ 花村　携帯 えッ　何で？ 連絡係　赤外線送信 あッ　うん （矢崎）じゃあ　すぐ連絡するわ （美緒）ちょっと何　今の （ひかる）絶対 さりげなく連絡先　交換したよね いいなあ　芽衣 学年一のアイドルに狙われて やめてよ　アイドルなんて　大嫌い （大輔）やった 錦戸さん　ありがとう あッ　ねえ　おなかすいた おなか？ うん ≪（刈谷）甘やかし？ どう思います　先生 悠斗がもし息子だったら （刈谷）悠斗君が息子に　僕の 血圧　もう私 大丈夫だって言ってんのに 父親にはビシッてしてほしい 勝手に物　買い与えたり 甘やかしたりしてほしくない ＯＫＯＫ　了解了解 いよいよ　そんな話 ちょっと先生 けど　知らない世界　見したり 外に出したりしてくれるのは 悠斗のためにもなる ＯＫＯＫ　了解了解 けど心配 大丈夫　心配いらない イタタ… 無理よ　あの男に父親だなんて 大丈夫…　あの男？ あいつは　ただ　ママの夫ってだけ あいつ？ えッ あの男って　もしかして遥さん そう　再婚したの　あ～イタタ… 来たのよ　春が　あの子にも 再婚 戸籍上はね　私は認めてないけど 相手の野郎は　どんな野郎だ チャラかったり　若造だったり 将来性なかったり 無駄にイケメンだったりしたら 全部　ちょっと当てはまるかも 俺　今後　どういう行動に出るか 分かんないぜ さすがです　錦戸さん （ＴＥＴＳＵ）まあまあ　及第点かな 昔からお世話になってる 振付師のＴＥＴＳＵさん 二人も　ここで教わったらええ いいな　お前ら 新品のシューズ 服もキマってるぞ 錦戸さんに買ってもらいました あの　やっぱり僕　ダンスなんて 自信つくぞ　踊って拍手もらったら その空間　全部　自分のものや 何も隠さんと全て　さらけ出す 怖いっちゃ怖いけど めっちゃ気持ちいいぞ ステージ上では命かけろよ かけてます　教えどおりに 悠斗　お前にも味わってほしいねん なあッ なッ やってみようか　よし 中で声がしました 「助けて」って でも それ以上　前には進めなくて 今でも耳に 「助けて」って あの時　救えなかった命 どうしたら　許してもらえるのか 今でも… これです　この泣きのシーン 私も好きよ　いい芝居だったわ 想像したんすよ　もし　はるちゃん 奥さんが被害者ならって ちょっと　その呼び方 二度と外ではしないで バレたら即 関ジャニ∞　辞めてもらうわ 嫌なら離婚しなさい 自分の中で　まだ答えは… 出るかもしれんぞ　これで えッ？ ハリウッドからの招待状や えッ　ハリウッド　何で？ ≪（元子）といってもオーディション段階 「ＳＩＬＥＮＣＥ」　遠藤周作の「沈黙」 これの映画化が進められてるの 監督は　あの世界の巨匠 あの「タクシードライバー」の？ 俺が張ったアンテナに引っかかって 日本人の俳優　探してるというから 資料　送ったらオーディション決定 えッ　俺が？ ダメで元々の思い出づくりですよ あッ　目が… 見えるぞ お前がレッドカーペット さっそうと歩く姿が 追いつけ　追い越せ　打倒二宮！ 夢の都は　すぐそこや このチャンス 生かすも殺すも　あなた次第 どうしたい　これから？ できてんじゃん　花村 （トオル）すっげえ上達ぶりだよ やるな　お前　イエイ すごいよ　ホント イエーイ ≪すごい　すごい 最近　あの子　明るくなった 昨日なんて「ちょっと見て」って ステップ踏んでくれて　楽しそうに 亮君のおかげだね 《このチャンス 生かすも殺すも　あなた次第》 どうしたの　仕事で何かあった？ ううん　悠斗って笑たら 結構　カワイイ顔してんね （携帯着信） あッ　ごめん はいはい　ワッキー えッ　「はなまる」って あの「はなまる」？ はッ　明日！？ ≪（薬丸）本日のお客様 錦戸亮さんをお迎えしました おはようございます　お願いします （薬丸）色んな写真を 撮っていただきました 題して「はなまるアルバム」→ [TV]自炊してます [TV]（杉浦）おいしそう [TV]えッ 一人暮らしだよね [TV]（岡江）ニンジンも星形に？ [TV]自分で？ ≪（安田）なあ　ワッキー 亮さ おるよな　女 知りませんよ　僕　そんなこと 神に誓ってホントに [TV]一人でしょ [TV]はい [TV]（薬丸）ＣＭの後 残りのお写真　ご紹介します （スタッフ）はい　ＣＭ入りました このカレー　彼女　作ったでしょ ちゃいますよ　自分で… こんな星形なんか作んないよ モテるからいるでしょ　彼女 アイドルの恋愛は ヤックンに相談した方がいい お子さん　いらっしゃいますよね うん　５人　太陽君もいるよね うち　２人 色々　教えてください 尊敬してます　パパドルとして パパドル？ ≪（杉浦）何でパパなん？ （岸）ダンス　悠斗君が？ そうなの　急に お友達も増えたみたい へえ～ もしかして新しいパパの影響？ 今度　会わせてよ　彼 仕事　忙しいんだっけ？ うん　今は でも　もしかしたら　この先… えッ？ ううん ≪（トオル）どうでもええけど ダンス下手すぎだよな 花村？ 褒めてたじゃん　この前 仕方ねえだろ 業界に知り合いいるって ≪（シンノスケ） 本当にあんのか　コネ ≪（キョウコ） そう言ってたよね　まりりん （シンノスケ）まりりん？ 私の友達 どっかのサイトで知り合って 芸能界の超レア情報　知ってた→ キモいけど　使えそうだからって 利用価値なかったら 切りゃいいよ でも　あいつのダンス 見てると何かイラってすんだよね 消えろよ ダサ男って蹴り飛ばしたくなる 悠斗　ご飯だよ （声を殺して泣く悠斗） おなかすいたら下りてきてね 待ってるから 悠斗が？ ≪（奈津） 帰るなり運動靴　投げつけて→ それきり　こもったままだって どう　悠斗？ 泣いてるみたい あら　ヤダ 何かあったのかね　ダンス仲間と よう　ありますよ ケンカとか言い合いとか 俺　後で行って話… そんなことで泣いたりしない 心配したとおり　下手な夢見させて 下手な夢？ 歌やダンス？ 悠斗が？　できっこない そう決めつけんと… 現に傷ついてるじゃない 誰もが才能持ってるわけじゃない 夢かなえるわけじゃないの 引きずり込まないで やめて 無神経よ　自分の世界　押しつけて やめてって そんなに成功　見せつけたい？ 単なる自己満足… やめるかもしれないのよ　仕事！ えッ？ はるちゃん あなた　彼を誤解してる ホントは亮君　悩んでる 言われたのよ　事務所に えッ　何を？ ええよ　別に これから３ヵ月 アイドル続けるか　引退するか 選んで決めなきゃいけないの アイドル　続けるか引退するか？ 嘘… じゃ　錦戸 錦戸をやめるってこと？ 錦戸亮のままだけど お仕事辞めて　普通の人になるの （佳奈） 普通の人になって　どうするの？ 今は　まだ何も （佳奈）何もしない錦戸？→ つまらなそう でも　みんなは心配せんとさ… 何よ　それ　ママ パパん時　懲りなかったの？ やめてよ　今はそんな… 何の将来性もない 口から出任せばっかりで→ 私達みんな 周りでオロオロ　心配するだけ→ あんな生活 それとこれとは… 同じじゃない！ 最悪 芽衣！ 偉いね　大丈夫か 錦戸亮君　ごめんね えッ？ 私　よかれと思ってさ 二人　幸せになればって 「えい！」って 婚姻届　出しちゃったけど かえって悩み深くしちゃったね いや　どうしたんすか　いきなり まだまだ夢見たいよね 夢？ 錦戸亮として　やりたいこと たくさんあるはずよ なのに　それ　やめて このうち来てくれてもさ あの子達　ちゃんとパパとして 迎えてあげられるかな そうなるよう　努力は 努力で何とかなればいいんだけど ねッ どうにもならないことも　あるのよ 浮世には 人生って あなたが思ってるより長いから 何かちょっと 心配になっちゃったよ なあ　悠斗 また一緒にダンスしに行こな 行ってきま～す 急いでくださいよ 遅れてんですから 早く下りてください 急げっつってんの 歌番組の打ち合わせが 何の？ 「ＳＯＮＧ　ＦＲＯＭ　ＧＥＮＥＲＡＴＩＯＮ」　特番です 本番は来週　生で そこでね　新曲　初出しです 歌番… （悠斗）見学？ （ファン達）キャーッ やった～　夢の世界に一歩前進 何でまた歌番組見学なんて もう別に 悠斗にな 背中　見てもらいたいだけやねん 親父の背中 はッ？ いや　冗談　ただ単に見てもらって 感想　聞きたいだけ うちの父ちゃんの 背中はね→ そりゃ大っきいよ　ベリーラージ ♪♪～心から… 興味ないね 《≪（レイ）芸能界の超レア情報 知ってたって》 《利用価値なかったら 切りゃいいよ》 でもまあ　せっかくだから 色々　見せてもらおうかな ほんじゃさ　俺　案内するよ 全然　まだ時間あるし 間宮　あちら うん？ （元子） もしかして錦戸の？ あの家族　またもう いや　ちょっちょっ…→ 行っちゃったよ　おい　知らねえぞ 初めまして 私　関ジャニ∞のチーフマネージャー 朝比奈元子といいます えッ　この人　ゲンコ？ シッ どうも　申し訳ありません ホントにその　勝手しまして… 支えてあげてくださいね 近い将来　彼とは 縁が切れるかもしれませんが 彼の決断は支持するつもりです たとえ彼の夢が 半ばで終わったとしても はい　支えます では　石川さゆりさんに 歌っていただきます 新曲で「浜唄」 ♪♪～朝だ船出だ ♪♪～錨を上げろ ♪♪～沖じゃ秋刀魚が　待っている。 ほら　あそこの上に見えんのが バトンとか　あれが幕や それを全部 制御しているスイッチがこれ ほら　すごいやろ 悠斗　これこれ… お前　触んなよ ♪♪～二千年 ♪♪～二万年 ♪♪～浜じゃこうして 機材　触ったらアカンねんで ここが じゃ　僕　これで帰ります えッ　何で？ 俺らの出番　これからやん もう十分　撮れたんで 芸能界っぽい写真 えッ？ これさえあれば まだまだ　みんな釣れる 仲間に入るには 僕に利用価値　もっとないと 何か言われたんか？ しょせん　ダサ男なんで こうでもしないと 一緒につるむ仲間できない 何やねん　その仲間 （大輔）どういうこと？ さあ　続いては 皆さんご存じ「天城越え」 ♪♪～隠しきれない　移り香が （大輔）僕らの夢は？ いつかステージに上がるっていう お前　本気で憧れてんの？ 芸能人なんかに 僕は父ちゃんみたいに… 引退したアイドル みじめなだけだろ そんなことない！ なあ　悠斗 気づけよ　無駄だって どっからくんだよ　そのうぬぼれ 鏡　見ろよ→ 外見ダメ　歌もダンスも並以下 低レベルのダメ男子 しょせん負け組なんだよ　俺らは 何て？ ハッキリ言った方が こいつのためだろ 少なくとも俺は気づいてる バカじゃないだけマシ お前　ええ加減にせえよ うっさいな　行けよ　アイドル→ 行って キラキラした歌　歌ってこいよ 安っぽいアイドルソング 歌って踊って　芸能人やってこいよ 早く！ ちょっと 何やねん　お前　さっきから　ああ？ 人の悪口ばっか ぐだぐだ抜かしやがって 自分は何やねん　おい！ 夢見て否定されんの怖いだけやろ プライド 傷つけられんのが怖いだけやろ 錦戸さん お前　大ちゃん バカにしたら許さんからな やめろよ うぬぼれて何が悪い キラキラして何が悪いねん 本気で自分にうぬぼれな 自信　持たれへんやろ そりゃね 何とでも言えますよね　自分はね 俺？　うん　自分　大好きやん 錦戸亮　最高やん お前も男やったらさ 悠斗　最高って 自分　もっと好きになってさ もっと　うぬぼれろよ もっと自信持てよ！ うっせえんだよ！ 悠斗 何を偉そうに 何で　お前なんかに？ ふざけんな ふざけんな　ふざけんなよッ ♪♪～くらくら燃える　火をくぐり ♪♪～あなたと越えたい ♪♪～天城越え 錦戸さん それで何とかごまかして はッ？ ゴー ♪♪～口を開けば　別れると ♪♪～刺さったまんまの… 《≪（充）まだまだ親父の背中 息子に見せたいからな》 《悠斗にな 背中　見てもらいたいだけやねん》 《ステージ上では命かけろよ》 ≪（大輔）錦戸さんの背中 ベリーラージ ステージ上では命かけろ おい　錦戸！ ♪♪～寒天橋 ♪♪～恨んでも 何で踊ってんの？ ♪♪～からだうらはら　あなた…… あッ　振りがズレた ♪♪～山が燃える ♪♪～戻れなくても　もういいの ≪（大輔）合わせてきた すごい　ついてってる リードしてる むしろ　全体を引っ張ってる ♪♪～越えたい ♪♪～天城越え すご～い 間宮　どういうこと？ とりあえずはウケてますね 何で？ えッ？ ≪（悠斗）さっき　あいつ→ あんなに　みっともなくて ダメダメで　恥ずかしかったのに 何で　あっという間にキラキラに だって　彼は アイドルですから 悠斗だって キラキラになれるんだよ 自分　好きならね 《自分　もっと好きになってさ》 《もっと　うぬぼれろよ》 《もっと自信持てよ！》 （多田）やっぱり　あいつ いいニオイがするな ホンマにもう　自分でも何が何だか 申し訳ありませんでした 錦戸亮君 はい 一緒に踊ってくれて 嬉しかったわ　ありがとう （レイ）花村 どうしたの？ 最近　顔見せないね 練習してる　ダンス？ もういいんです 気づいたんで　自分　歌やダンスの 才能ないダサ男だって はッ？ 何言ってんの　そんなこと… でも　そんな自分　好きです ねえ　悠斗 ママね 世界で一番 悠斗のこと 誰よりもカッコイイって思ってる ママの理想の男の子 分かってる やっぱ　難しいな 力になれたらなって思てんけどさ あんなふうに 叩いたりしてしまって　ごめんな パパ　ありがとう えッ？ 秘密の一泊旅行　楽しみだね はい　ママ ありがとう （元子）この仕事　時々　嫌になるわ 届かないわね　親心 はッ？ あれ　お断りして 例のオーディション オーディションって錦戸のですか？ せっかくのチャンスなのに 今のあいつには無理 断りなさい おはようございます おいっす うわッ　安田さん 章ちゃん 亮　何ここ？ 何　この家？ 何なん　これ 何やってんの？ いや　章ちゃんこそ何してんの？ なあ　亮 何やってんねんて

べっぴんさん＃140

1 みっちゃん｡ ん～… まっ｡ ほな ごゆっくり｡ はい｡ ≪(静)さっ こちらです｡ いらっしゃいませ｡ ♬～ (すみれ) 私たちには 夢があります｡ (潔)東京の銀座にある ３階建てのビルや｡➡ どや？ ここに ｷｱﾘｽのﾜﾝﾀﾞｰﾗﾝﾄﾞを 作ったら？ ﾜﾝﾀﾞｰﾗﾝﾄﾞ？ (潔)おとぎの国や｡ お母さんと 子どもたちのための｡ できた？ (君枝)まだ…｡ ﾜﾝﾀﾞｰﾗﾝﾄﾞ… 私たちの夢よ｡ (良子)考えるだけで 心が躍るねぇ｡ (明美)１階は 正面に 子ども服 奥に ﾍﾞﾋﾞｰ｡ (良子)２階は 雑貨売り場と…｡ (君枝) ここに 相談員が常駐してるの｡ (明美)｢育児の事は 何でも聞いて下さい｣って➡ 札をつけたら どうかな？ それやったら 聞きやすいねぇ｡ (君枝)３階は 遊びの広場｡ おもちゃも たくさん置きたいね｡ (明美)ここは お弁当や 離乳食を食べさせるｽﾍﾟｰｽ｡ (君枝)ﾍﾞﾋﾞｰﾁｪｱも たくさん置いて…｡ (良子)お母さん同士が お話も できるねぇ｡ ここで 一日 過ごせるの｡ ｷｱﾘｽに来れば お買い物もできる｡ 子どもも遊べる｡ 相談もできる｡ お友達もできる｡ (明美) みんなで 子育てを共有できる｡ (良子)楽しいねぇ！ ほんまのﾜﾝﾀﾞｰﾗﾝﾄﾞやわ｡ ♬～ ♬｢『雨上がりの空に 七色の虹が架かる』｣ ♬｢って そんなに単純じゃない｣ ♬｢この夢想家でも それくらい理解ってる｣ ♬｢大量の防腐剤 心の中に忍ばせる｣ ♬｢晴れた時ばっかじゃない｣ ♬｢湿った日が続いても 腐らぬように｣ ♬｢たとえば 100万回のうち たった一度ある奇跡｣ ♬｢下を向いてばかりいたら 見逃してしまうだろう｣ ♬｢さぁ 空に架かる虹を今日も信じ｣ ♬｢歩き続けよう｣ ♬｢優しすぎる嘘で涙を拭いたら｣ ♬｢虹は もうそこにある｣ ♬｢きっと 虹は もうここにある｣ (小山)どうですか？ 復帰されて｡ (ゆり)あ… やる事が たくさんあって➡ 一日が あっという間ですけど 楽しいです｡ とっても充実してます｡ 日本人男性は てれ屋さんも多いです｡ ｢てれる必要はありませんよ｣➡ …と ひと言 伝える事も 大事な仕事ですよ｡ (小山) まあ なんとか この不景気に➡ 風穴を開けていきたい｡ 我々としても賭けです｡ ﾒﾝｽﾞｵﾗｲｵﾝ 期待してますよ｡ はい！ (せきばらい) この間の岩佐さんの ｢男の着こなし講座｣➡ あれは 大盛況でしたねぇ｡ (潔)おかげさまで➡ あの直後から 栄輔には 講演依頼が殺到してます｡ (秋山)雑誌の連載やら 取材やら 電話が 一日 鳴りっ放しでした｡ (小山)そうですか｡ それは よかったですねぇ｡ 君ちゃん ご苦労さまね～｡ (君枝)いいえ～｡ ああ 着いたねぇ｡ 藍ちゃん｡ おばあちゃん 来たよ～｡ (健太郎)どうでした？ 銀座のビルは｡ それはそれは すてきなビルやったわぁ｡ 少し古いけど趣があってね｡ これ さくら お土産｡ (さくら)ありがとう｡ ほら あれよ あれ｡ あの～ ｴﾚﾍﾞｰﾀｰも ２台あってね｡ (君枝)あれやったら➡ お客さんが 乳母車で来ても 安心やわ｡ ねえ？ 藍ちゃん｡ (紀夫)何か おいしいものでも➡ 食べてきたか？ みんなで 天ぷらを食べたのよ～｡ (君枝)おいしかったねぇ｡ キスも やわらかくて➡ かき揚げも 大きくて ふんわり… ねえ？ 藍ちゃん｡ エビなんて 尻尾まで ピンとしててねぇ～｡ ｱﾅｺﾞも ふんわり… ねえ？ 藍ちゃん｡ (君枝)何もかもが おいしくて 最高やったわぁ｡ おなかも 夢も膨らむわぁ｡ ねえ？ 藍ちゃ～ん｡ 藍ちゃん｡ (勝二) かなり盛り上がってるらしいが➡ 資金の方は どない考えてるんやろか？ (紀夫)いやぁ…｡ (勝二)そやろなぁ｡ (昭一)先の景気が読めん中 どこまで突っ込んでいいものやら｡ (足立)じゃけんが ｷｱﾘｽを創設した ４人がですよ➡ そりゃあ もう ｷﾗｯｷﾗと輝く目で 夢を語りよるんです｡ そら なんとかならんじゃろうかち 思いまして…｡ (中西)思いますねぇ｡ 夢か…｡ 分かりました｡ わしの銀行で 借り入れできるかどうか➡ 相談してみます｡ (紀夫)ほんまですか？ (はな)<そして 後日…> 銀座店出店に関する見積もりを 作りました｡ あ…｡ (昭一)ｷｱﾘｽの資産をもとに➡ 売り上げ予測とも鑑みて 行内でも さんざん 検討しました｡➡ その結果…➡ うちからの貸し付けは 厳しいと➡ 許可を得る事が できませんでした｡➡ この不景気故 なかなか 判断も厳しくて➡ わしも粘ったんやが…｡ 力になれず 申し訳ない｡ あっ いや 昭一さん やめて下さい｡ そうですよ｡ 奔走しち下さったこつは➡ 分かっちょります｡ まあ しゃあないな こればっかりは｡ ええ｡ (さくら)お父さん｡ ああ ありがとう｡ (勝二)２人とも ｺｰﾋｰでも飲んで… なっ｡ (良子)ありがとう｡ (明美)ありがとう｡ ♬～ おいしい？ ﾌﾌｯ…｡ あ…｡ これ… 一度 外そうかなぁ｡ (紀夫)そうか｡ 大事に取って置こう｡ うん｡ ☎ はい ｷｱﾘｽでございます｡ ☎(西城)昔 お世話になりました➡ KADOSHOの西城です｡ お～ 西城君｡ 突然のお電話で 驚かせてしまって 申し訳ありません｡ 実は… 社長の古門が➡ 前々から 一度 改めて ご挨拶申し上げたいと…｡ えっ？ ああ…｡ ♬～ KADOSHOの社長が来るなんて…｡ 緊張するね｡ 何やろな ご挨拶って｡ 何なんでしょうねぇ｡ 今 何時や？ (足立) 10時 ５分前です｡ (ﾉｯｸ) (紀夫)はい｡ (中西) 失礼します｡ お連れしました｡ お忙しいところ ありがとうございます｡ KADOSHOの西城です｡ (古門)ああ どうも どうも｡ (紀夫)ご無沙汰しております｡➡ わざわざ ご足労頂きまして ありがとうございます｡ いや いや いや…｡ (紀夫)どうぞ お掛け下さい｡ おう！ 元気にやってるかね？ (健太郎)はい｡ お茶 いれます｡ (古門)いやいや 結構です｡➡ お気遣いなく｡ あまり 時間がありませんので➡ 単刀直入に よろしいかな？ はい｡ 銀座への 総合店出店の件なんだがね｡ 資金繰りが難しく 諦めたと伺ってますが…｡ え…？ そんな事…｡ いや～ 風のうわさでね…｡ その資金 うちが提供しますよ｡ えっ？ えっ？ (古門)立派な志を持つ➡ あなた方の夢をかなえるために KADOSHOが➡ 全額 資金を提供しましょう｡ あの～ どうしてですか？ 条件をお聞かせ下さい｡ 条件は…｡ (古門)ない｡ 私は 昔から ｷｱﾘｽさんには 注目してきました｡ 何よりも魅力的なのは ｷｱﾘｽさんの企業理念だ｡ それが あなた方全員の信念に 基づいてるという事だ｡ それが 資金提供の理由です｡ (龍一)はい これ 店から ｻｰﾋﾞｽな｡ どう思う？ 昔から注目してた 言うてたねぇ｡ 言うてたなぁ｡ でも こないだ➡ 雑誌の記事を読んだのよ｡ ｴｲｽ倒産の原因は KADOSHOの古門社長が➡ 自分が のぼらせた梯子を 外したからだって｡ (君枝) ｴｲｽを助けたのも KADOSHOなら➡ 潰したのも KADOSHO…｡ でも 詐欺じゃないのよね｡ うん｡ 何やかんや言うて ちゃんとした商社やしね…｡ そう ちゃんとした商社よ｡ それも 日本で➡ 五本の指に入る商社や｡ そうよね｡ でも…｡ やっぱり ｢でも｣やな｡ ｢でも｣なんやけど…｡ う～ん 何かな…｡ ああ ここに おったか｡ (勝二)いらっしゃい｡ あっ 潔さん｡ (良子)こんにちは｡ 会社の方に来てくれてな｡ 銀座の件で➡ みんなに話があってな｡ 銀座？ 何かあったんですか？ (潔)実は➡ ほかにも 借りたいいう人が 出てきてしもてなぁ｡ KADOSHOから資金提供の申し出を 受けたんです｡ 栄輔さんの事もあって… まあ 正直 悩んでます｡ 諦めきれないのよね…｡ そう 諦めきれない｡ (君枝)私も｡ (明美)私もや｡ ♬～ あっ｡ 君ちゃん 白髪あるで｡ えっ どこ？ ここ｡ えっ 嘘？ ちゃう ちゃう｡ え… どこ？ えっ １本だけ？ うん｡ 抜いて｡ えっ？ いい いい… いいよ｡ あんまり 動かんといて｡ (君枝)うん…｡ ああ ある ある｡ (君枝)え～｡ 関口知宏さんが列車に乗って ｲｷﾞﾘｽを巡る20日間の旅｡ 今日は その16日目｡ さあ どんな出会いと発見が➡ 待っているのでしょうか｡

マッサン＃119

1 ♬～ ♬｢大好きな人々 大好きな明け暮れ｣ ♬｢新しい『大好き』を あなたと探したい｣ ♬｢私たちは出会い 私たちは惑い｣ ♬｢いつか信じる日を経て １本の麦になる｣ ♬｢空よ風よ聞かせてよ 私は誰に似てるだろう｣ ♬｢生まれた国 育つ国 愛する人の国｣ ♬｢麦は泣き 麦は咲き 明日へ育ってゆく｣ (政春)死んだらいけん…｡ ｴﾘｰ…➡ 死んだらいけんのじゃ｡ ≪(ｴﾘｰ)ﾏｯｻﾝ！ 帰ってたの？ どうした？ これ 何？ 離婚届じゃ｡ わしゃ 精いっぱい考えた｡ どうすりゃ ｴﾘｰを守れるのか｡ 一番大事なんは…➡ ｴﾘｰの命なんじゃ｡ 種子さんの言うとおり こりゃ 一時の…➡ 一時の形だけのもんで…｡ ﾏｯｻﾝ…｡ ﾏｯｻﾝは… 本当に それでいいの？ ≪(足音) 何ですか？ これは 一体 何事ですか？ 軍機保護法 および 軍用資源秘密保護法違反｡ 亀山ｴﾘｰのｽﾊﾟｲ容疑で 家宅捜索する｡ ｽﾊﾟｲ？ どういう事？ あのｱﾝﾃﾅは何だ？ あれで 我が国の機密通信を 傍受してるんじゃないのか｡ あれは ただ ﾗｼﾞｵの雑音が ひどいんで➡ ｱﾝﾃﾅを…｡ 先日➡ 大阪の住吉聖ｱﾝﾃﾞﾚ教会の女と 何を話した？ 質問に答えろ｡ あの人は…➡ 大阪の古い友人で 久しぶりに再会して…｡ 何を話したかと聞いとるんだ｡ 何だ その目は…｡ 貴様！ 国家に刃向かうのか？ 国家？ これが お国のやる事ですか？ わしら 善良なる市民の家に 土足で上がり込んで｡ こがぁな事が許されるんですか？ 会話の内容については 黙秘するんだな｡ 来月の交換船に乗るから 一緒に英国に渡らないかと➡ 妻に…｡ で？ 妻は…➡ 私と別れ…➡ 英国に帰ります｡ 帰りません｡ 私は 帰りません｡ どっちだ？ 敵国人は おとなしく 国に帰ればいい｡ それとも まだ この国で やる事でもあるのか？ 捜索開始！ (一同)はっ！ ♬～ やめて！ 何で… 何で こんなひどい事ができるの!? ｴﾘｰ！ やめて下さい！ 日本が憎いか？ 抵抗するなら連行するぞ！ ﾏｯｻﾝ！ こいつらは正気じゃなぁ｡ 絶対 抵抗すな！ どうして ﾏｯｻﾝ… 我慢できない！ ｴﾘｰ 死んだらいかんのじゃ！ ｴﾘｰが死んだら…｡ 何だ… 内輪もめか？➡ 見苦しいぞ｡ 徹底的に調べ上げろ！ (一同)はっ！ (ハナ)お父ちゃん｡ (熊虎)ひでえ事しやがる｡ (一馬)助けに行かなきゃ｡ 抵抗すりゃするほど 向こうの思うつぼだ｡ じゃ どうすんの？ うん…｡ こんなものが｡ それは 娘の辞書です｡ 娘に何を教育している？ 疑わしきものは全て押収しろ｡ 待って 返して下さい！ 返して下さい！ ｴﾘｰ やめぇ！ ますます 怪しいのう｡ 敵国と ひそかに 手紙のやり取りもしとるそうだな｡ 開戦前に 母親や妹と 文通しとっただけです｡ 持ってこい｡ 寝室の引き出し ２段目の引き出しだ｡ はっ！ 何で そがな事 知っとるんじゃ！ (エマ)すいません… すいません｡ エマ｡ 何？ 何があったの？ 発見しました！ やめて！ 返して下さい！ お願いします！ ご苦労！ 押収する｡ ｴﾘｰ！ ｴﾘｰ！ ﾌﾌﾌ… ﾊﾊﾊ… みんな 聞いたな？ その女 連行しろ！ (一同)はっ！ 触るな！ ｴﾘｰを連れていくんなら➡ わしも連行してつかぁさい！ 貴様！ あっ！ ﾏｯｻﾝ…｡ 貴様… この国家の一大事に 敵国人の女に惑わされて➡ 皇国臣民として 恥ずかしいと思わんのか！ 何だ その目は｡ ｴﾘｰに どがな罪があるんですか？ ｴﾘｰは この国で➡ 誰よりも 日本人になろうとした｡ 日本国籍を持った 正真正銘の日本人です！ 何の問題があるんじゃ！ こんな髪の色の こんな目をした➡ こんな服を着た日本人が どこにおる！➡ 富士の山から 望遠鏡で見渡しても 見当たらんわ！ お父さん！ エマ！ 下がっていろ！ 来るな！ 抵抗する者は みんな連行だ！ 亀山ｴﾘｰは わしの妻です！ 貴様 国家に盾つく気か？ ﾏｯｻﾝ…｡ 妻は… この国で生きとります！ わしと… 生きとります！ わしら夫婦は 生涯…➡ この国で生きていきます！ 死ぬ時も…➡ わしとｴﾘｰは一緒です！ ﾏｯｻﾝ… ﾏｯｻﾝ ﾏｯｻﾝ｡ ｴﾘｰを連れていくんなら わしも連れていけ！ やめて！ ﾏｯｻﾝ 大丈夫！ 鬼畜が 本性 現したな｡ どうぞ… 私を連行して下さい｡ ｴﾘｰ！ それが あなたの望みなら➡ 何でも調べて下さい｡ 私は 悪い事は何もしてません｡ だから あなたの事を怖いと思いません｡ ﾌﾌﾌ…｡ じゃ 何が望みですか？ 私が この国を出ていけば いいのですか？ 私は ここにいては いけないのですか？ それは どうしてですか？ 教えて下さい｡ どうして ここにいてはいけないのか➡ 私に分かるように教えて下さい！ 私が日本人ではないからですか？ この鼻ですか？ この髪の毛ですか？ この瞳ですか？ 私は 亀山ｴﾘｰです｡ あなたと同じ人間です｡ 私は 亀山ｴﾘｰです！ 私には この国に 愛する夫がいます｡ 愛する娘がいます｡ ここには 私の家族がいます！ ここは 私のふるさとです！ ♬～ 連れ帰って 徹底的に取り調べる｡ 連行しろ！ 離せ！ ﾏｯｻﾝ｡ おい ｴﾘｰ！ ｴﾘｰ！ 大丈夫！ (エマ)お母さん！ エマ｡ お母さん！ ｱｲ ﾗﾌﾞ ﾕｰ ﾃﾞｨｱ｡ 早く連れていけ！ お母さん！ 大丈夫 大丈夫！ お母さん！ ｴﾘｰ！ (エマ)お母さ～ん！ ｴﾘｰ！ ｴﾘｰ！ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒２月２０日 金曜日の「あさイチ」です。 あれだけ言ったのに何で連行され てしまうのよ。 本当にエリーさんって ああいう方だったんでしょうね。 実話ですからね。

妖怪人間ベム＃05

1 （ベロ）　う～　ドキドキする！ どんな人が来るのかな？ （ベラ）　「会わせたい」ってことは あたしらを知ってる奴かねぇ？ 人間なら　方法も知ってたりして！ フッフッフ…。 （緒方浩靖）　お待たせ　お待たせ～。 あれ？　じいさんの　いってた奴は どこだい？ で～ん！　ここ。 えっ　写真？ 君達　この人について 調べてただろ？ （ベム）　確かに　この男です。 でかしたよ　じいさん！ で　こいつは　一体　何者なんだい？ 分からない。 あ？ それが分かったから 呼んだんだろ？ いや　片付けてたら　偶然…。 なぜ　この写真が　この家に？ それも分からない。 はぁ…。 あ…　何だか　ごめんね。 いえ。 とりあえず　家じゅう　あさって 調べてみるよ！ ねぇ　写真の人が分かれば→ おいら達　人間になれるの？ どうだかねぇ。 （日出美）　どうぞ　どうぞ。 （夏目章規）　あっ　どうも。 あっ　パパさん。 こんにちは。 （夏目）　こんにっ…。 （咳払い） こんにちは。 パパさんも 教授さんに会いに来たの？ あっ…　アハハ　ベロくん達も？ あたし達は　寄り道しただけさ。 あっ　そうですか　じゃあ…。 夏目さん　何だか様子が…。 （日出美）　多分　あれだ！ 警官が襲われた昨日の事件。 それで ナーバスになってるんですわね。 （日出美）　あっ　ごめんあそばせ。 ♪♪～ （緒方の声）　また会ったのかい→ 例の生物に。 （夏目）　ええ。 （緒方）　ズルいなぁ　君ばかり。 彼らの目的は 一体　何なんでしょう？ 目的？ どうして　いつも 事件現場にいるのか気になって…。 これ　何だと思う？ ヒラメですか？ ミミックオクトパスという　タコ。 タコ？ （緒方）　擬態さ！ 変身して 他の生物のように見せてるの。 自分が生きて行くためにね。 他にも　ウミヘビや シャコにも見えるでしょ？ 目に見えてるものだけが 全てとは限らないよ。 （本部長）　パトロール中の 高杉巡査が何者かに襲われ→ 暴行を受けた。 （本部長）　住民の安全を 守っておる　警察に対する→ 重大な挑戦である。 犯人の手掛かりは　現場に 残っていた　このサイコロのみ。 一日も早い確保に 諸君の奮闘を期待する。 （辻）　先輩？ ん…　ん？ いや　お疲れですか？ いやいや…　ちょっとな。 お願いしますよ。 はぁ…。 おいら　人間になったら→ 「ボロネーゼ」っていうのが 食べてみたい。 う～ん！ 「ネーゼ」って響きがいいよね！ いいねぇ！　あたしゃ断然→ 「ピータン」っていうのが 気になるねぇ。 ねぇ　ベムは　何が食べたい？ 何　暗い顔してんだい。 警官が襲われているとしたら→ 夏目さんにも 危害が及ぶかもしれない。 また　そんなこと…。 あんたは　ホントに お人よしだねぇ。 ベムは　お人よしじゃ　ないよ？ えっ？ だって　「お人よし」って 「いい人間」ってことでしょ？ ベムは　まだ人間じゃないもん。 だったら 何ていえば　いいんだい？ う～ん…。 おベムよし？ バカいってんじゃ　ないよ。 早く　お人よしになれるといいね！ ＜それは　いつ生まれたのか 誰も知らない＞ ＜暗い音のない世界で　１つの 細胞が分かれて増えて行き→ ３つの生き物が生まれた＞ ＜彼らは もちろん　人間ではない＞ ＜また　動物でもない＞ ＜だが　その醜い体の中には→ 正義の血が隠されているのだ＞ ＜その生き物　それは→ 人間になれなかった 妖怪人間である＞ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ねぇ　これは？ ダメだ　食べられない。 チェ～。 いいかげん覚えな。 何年　草　摘んでると 思ってんだい？ あっ…。 優以ちゃ～ん！ 今　帰りかい？ （夏目優以）　はい。 どうしたの？　元気ないよ。 遊んでる時に　これ…。 随分　派手に壊したねぇ。 直らないの？ うん…。 いっぱい捜したんだけど １個だけ石が見つからなくて。 あちゃ～！ せっかく　お父さんが 買ってくれたのに…。 （夏目菜穂子）　ほら　優以。 お父さん　ごめんなさい！ （夏目）　あ…。 （優以）　プレゼントしてくれたのに→ こんなにして。 （菜穂子）　優以　最初は→ 黙ってようと思ってたんだって でもね？ ちゃんと謝りたかったから。 フフ…　気にしなくていいよ。 よ～し 今度　一緒に買いに行こっか。 ホントに？ うん。 よかった！ フフフ…。 ねっ？　正直に 思っていることをいったら→ スッキリしたでしょ。 （優以）　うん。 今度　ベロくん達にも　話さなきゃ さっき　相談したんだ。 だったら　晩ごはん 誘えばよかったのに…　ねぇ？ あぁ…　でも　ほら この前　食べたばっかりだし。 ちょっと　散歩して来る。 ♪♪～ 夏目さん？ 何を見ていたんですか？ あぁ　あの… 仕事のことをちょっと。 すいません。 あぁ　いえ　あの…。 あっ　ベムさんこそ　何を？ いや　ちょっと…。 ああ　そうですか。 あの…！ はい。 あっ　いや　あの…　いいです すいません。 そう…　ですか。 夏目さん　気をつけてくださいね。 えっ？ 最近　警官が襲われた事件が あったって…。 あぁ！　いやいや　平気です 危険　慣れっ子なんで。 ベム　こんなとこにいたのかい？ 捜したんだよ。 あっ　パパさん　今日２回目だね。 ハハ…　そうだね。 じゃあ　俺は　これで。 もう帰るのかい？ 何か妙だねぇ　昼間っから。 ねぇ　ベム　早く帰ろう お腹すいた。 あんたがいないと 「いただきます」できないだろう。 すまない ちょっと石を捜していて。 あっ　もしかして 優以ちゃんが落としたやつ？ ああ。 か～！　水くさい。 だったら　あたしらにも いえばいいだろう。 そうだよ！　また一人で おベムよししようとして　ズルい！ （篠山）　すいません。 （巡査）　はい。 道に迷っちゃったんですけど…。 あぁ　はいはい。 で　どこ行こうとしてんの？ 分かりません。 えっ？ どう進めばいいか 分かんないんです→ 僕の人生。 はっ？ （巡査）　うっ　うぁ～…。 お前らのせいだ。 （篠山）　お前らのせいだ！ （巡査）　うっ！　うっ！ どうだい？ 優以のにおい　しないかい？ う～ん…。 （においを嗅ぐ音） んっ？ （においを嗅ぐ音） 見つかったのか？ 何か　嫌なにおい。 お前も運が悪かったな。 ≪こっち　こっち！≫ 一体　何だっていうんだい。 おじさん！ 大丈夫かい？ 早く病院に！ 犯行の手口や　現場に 残されていたサイコロから→ 同一犯とみて…。 先輩　聞きました？ 中岡巡査を搬送した第一発見者。 あの人ですよ　畑山さんの事件の時 第一発見者だった→ あの妙な格好の。 ベムさん？ そうです。 あるんですねぇ ２回も事件に出くわすなんてこと。 ♪♪～ まだ気にしてんのかい？ 一体　誰が警官を…。 分かんないんだから しょうがないだろう。 ほら　早く食べな 優以の石　捜しに行くんだろ？ あっ　それなら　もう　平気かも。 え？ なくしたのって　これじゃない？ たまたま見つけたんだ。 それじゃ　ないよ。 えっ？ これは　ただのサイコロ 優以のはねぇ　ここに→ 英語の「Ｉ」っていう文字が 入るんだよ。 何だ…。 何だい　２人して！ ほら　顔上げな！ あんたもだよ！ もっと！ うぅ～。 はい　ほら　食べるよ。 ほら　干し芋も食べるかい？ 早く早く！ もう…。 ったく　せわしない子だねぇ。 おいら　絶対　見つけるからね！ すいません どなたか　いらっしゃいますか…。 （優以）((ベラさん かわいそうだから　これあげる)) ((いらないよ　こんなの)) はぁ…。 やっぱり　ここに…。 ♪♪～ （緒方小春の声）　≪キャ～！≫ どうしました　小春さん!? （小春）　もう！　放し飼いに しないでって　いったよね!? かわいそうにねぇ ちょっと人間と違うだけで。 本当は優しいのにねぇ。 違う。 ♪♪～ ♪♪～ （篠山）　ハハハ…！　かわいそうに。 ♪♪～ ♪♪～ （篠山の父）((運じゃなく 実力で正解しないと→ おとうさんのようには なれないぞ)) （篠山の父）((黙れ～！)) （篠山の母）((あぁ～！)) ((会社が　つぶれたのは 俺の責任じゃ　ない！)) ((運が悪かったんだ！)) （篠山）((親父　やめろ！)) （篠山の父）((離せ！)) （篠山）((お願いします　母は 暴力をふるわれてるんです)) ((家族の問題に　我々は 首　突っ込めないんだよね)) ((ちゃんと説得したの？)) ((してもダメだから　こうやって 頼んでるんじゃないですか！)) ((そういわれても…)) ((そんな　おとうさんの元に 生まれちゃったんだから→ 運が悪かったと思って　ねっ)) しょせん　世の中　運が全て。 （名前の無い男） おっしゃる通りです。 あんた　何だよ？ （名前の無い男） 「どうして俺だけ？」。 「何で　あいつが…」。 運悪く 理不尽な不幸を味わう苦しみ→ 同情します。 はっ？ あなたの目　何だか渇いてますね。 あっ…。 違う場所を捜してみるか？ でも　見落としてる可能性も 否めないし…。 ま～た　そんな言葉遣いして。 あっ　これ！ ま～た 木の実じゃないだろうねぇ？ これさ　間違いないよ。 お手柄だな　ベロ。 ヘヘヘ！ （日出美）　あっ　皆様 ごきげんようでございます。 あぁ…。 悪いね　お呼び立てして。 いえ　それで　お話というのは？ 分かったんだよ 写真の男の素性が。 で　どういう奴なんだい？ まぁ　そう焦らずに。 まずは　これを見て。 これは？ （緒方）　わが　緒方家の家系図だよ。 はっ？ 何で　また　そんなもん。 いいかい？ この「浩靖」というのが　私。 こうやって　さかのぼって行くと→ ここが　晋作さん。 それが　何だっていうんだい？ （緒方）　だから この写真の男が　緒方晋作さん。 えっ？ （ベロ：ベム）　えっ？ 彼は　私のご先祖様だったんだ！ 驚いたろ？ もう一つ　いうと　彼は 生物の研究もしていたらしい。 晋作さんが家族に宛てた手紙も 出て来てね→ これによると　表舞台に 名前が残っていないのは→ 学者達の間でも有名な 変わり者だったかららしいんだ。 手紙には　他に何か？ あとは　１人で研究所にこもって 実験ばかりしていたとか。 彼の研究所というのは　どこに？ （緒方）　恐らく　この住所だが→ 今の地図でいうと…。 この辺りかな。 （ドアが開く音） すごいね　すごいね！ 今度こそ 人間になれるかもしれないよ。 ああ。 この辺のはずなんだが…。 やっぱり　もう→ なくなっちまったんじゃ ないのかい？ もう　いっつも悪いほうに 考えるんだから。 あっ　おっ…　うお～！ あっ　あっ　あっ…！ 痛ててて…。 ったく　あんたは　いっつも おっちょこちょいだねぇ。 大丈夫か？　ベロ。 へっちゃら　へっちゃら！ あっ!! 何だい？　騒々しいね。 あぁ～！ うん？ 行こう。 ボロボロだね。 ああ。 だが　残っていて　よかった。 ねぇ　本当に　おいら達→ ここで生まれたの？ 分からない。 だが　そうなんだろう。 意外と　ちっぽけな所なんだねぇ。 こんな所で　つくり出されて→ あたしらは　長いこと 苦しめられて来たのかい？ せめて　あの男さえ生きていれば→ 文句のひとつでも いってやったのに。 （ドアが開く音） 夏目さん…。 ここで　何をしてるんですか？ それは…。 あっ　おいら達 ちょっと　道に迷っちゃって。 そう…　そうなんだよ ちょうど　あたしらも困ってた…。 （夏目）　俺は！ 見たんです。 あなた達の→ もう一つの姿を。 あなた達は　一体　何者ですか？ どうして　いつも 事件の現場にいるんです？ 答えてください！ じゃないと 俺は　どうしたらいいのか…。 俺は　あなた達を信じたいんです！ でも　もしかしたら→ 人間に危害を加えてるかも しれないと思う自分がいて…。 いや　ベムさん達が→ そんなことするはずないって いうのは分かってます　だけど→ どうしても…。 そうかい。 やっぱり　あんたでも→ あたしらを そんなふうに思うんだね。 ♪♪～ ♪♪～ 俺達は　人の手から 生み出されたんです。 え？ 全ては　恐らく この場所から始まりました。 「恐らく」？ 生まれた時の記憶がないんです。 （ベムの声）　気がついた時には→ 森の中に倒れていて。 その時　そばにあったのは→ ステッキと手帳　それに→ この新聞記事でした。 手帳には　それまで自分達が→ さまざまな街を移動し…→ この男を捜していることが 書かれていました。 新聞によると　この男は→ 人工的に人間をつくり出そうと していたらしいです。 きっと　俺達は…。 人間として生み出される はずだった存在なんです。 でも…。 失敗作だった。 感情が高ぶると→ 本当の姿に戻ってしまう。 あの醜い姿に。 それだけじゃ　ありません。 俺達は　年もとらなきゃ 死ぬこともできない。 ず～っと　さまよいながら 生きて来ました。 ただ→ 人間になるための方法を探して。 おいら達は 人間になりたいだけなんだ。 だけど人間達は　いつもあたしらを 散々な目に遭わせて来た。 街を追い出したり→ 罠に　はめたりさ。 俺達は→ ただ普通に 暮らしたいだけなんです。 だったら どうして事件現場なんかに？ こんな俺達でも→ 人間の役に立てるならと。 たとえ　正体を知られたとしても→ 助けを必要とする人間を 見過ごすことはできない。 そんなことをしたら→ 俺達は ただの妖怪になってしまう。 それが→ 俺達の生きている意味だと信じて。 ♪♪～ もう　お別れですね。 感謝しています。 あなた達家族は→ 日陰でしか生きることの できなかった俺達を→ 温かく迎え入れてくれた。 あなた達のおかげで→ この街で過ごして来た時間が→ とても幸せに思えた。 あなたのおかげで→ 俺は…。 もっと人間になりたいと思えた。 ♪♪～ ありがとうございました。 ベムさん…。 ハァ　ハァ…　うぅ！ えっ　えっ…!? ハァ　ハァ　ハァ…！ うわっ！ うわ～～～!! うわっ!! ♪♪～ うっ！ うぅ～　フン！ 怖いかい？ 仕方ないよ それが人間ってやつさ。 ♪♪～ ♪♪～ さようなら。 ♪♪～ はぁ…　せっかく これからって時だったのに。 きっと　また何か見つかるさ。 ♪♪～ 優以ちゃんと もう一回　遊びたかったな。 みんなで食べたごはん おいしかったね。 教授さん達も　いい人だったなぁ。 行こう。 （篠山）　どれにしようかな～。 （辻）　いや～ 何の動きもありませんね。 犯人ですよ。 （辻）　急に警察が怖くなったとか→ でも　何で犯人は警官を？ さぁな どうせ　ちっぽけな理由だろ。 人間の悩みなんて ちっぽけなもんだ。 （辻）　はぁ？ （夏目）　お疲れ。 ♪♪～ あの～ ♪♪～ どういった　ご用で？ 道を聞く相手を ♪♪～ 探してたんですが→ ♪♪～ もう　見つけました。 ♪♪～ すいません。 ちょっと　よろしいでしょうか？ うっ！ （篠山）　運が悪いねぇ。 ラッキー。 ただいま。 ねぇ　ベロくん達と すれ違わなかった？ へっ？ 今さっき　届けてくれたんだ　これ。 （菜穂子）　ほら　優以が なくしたっていってた…。 （夏目）　あぁ。 （菜穂子）　ベムさん達→ 公園で捜してくれたんですって。 ((間違いないよ)) ((お手柄だな　ベロ)) ((ヘヘヘ！)) （菜穂子） ホントに　いい方よね　あの人達。 （優以）　うん。 ((こんな俺達でも 人間の役に立てるならと)) ((たとえ 正体を知られたとしても→ 助けを必要とする人間を 見過ごすことはできない)) そうだよな…。 そうだよ　なのに　俺…　あっ。 ♪♪～ （夏目）　ベムさん！ ハァ　ハァ　ハァ…。 ハァ　ハァ…。 さぁ　次は　どこへ行こうか。 北か　それとも南かい？ おいら…。 暖かいとこが　いいな！ ベム？ キレイな街だな。 ああ　そうだね。 ハァ　ハァ　ハァ…。 こんばんは。 （辻の声）　被害者の証言により→ 犯人の身元が割れました。 篠山　豊　３５歳　無職。 母親に対する 家庭内暴力を止めるために→ 父親を包丁で刺殺 １年前に出所しています。 （夏目）　うっ　あぁ…！ （銃声） 何だい!? （夏目）　何だよ!?　ちょっと待て！ （篠山） あんまり動くなよ　刑事さん。 （夏目）　うわっ　あぁ…。 夏目さんが襲われている。 チッ　ったく… 世話の焼ける男だねぇ。 どうせ　正体　バレてんだ。 いっちょう 派手に暴れてやろうかね。 行こう！　ベム。 ああ。 （銃声） あぁ！ ♪♪～ （篠山の声）　誰のせいで こんな目に遭ったと思ってんの？ あんたら警察のせいだよ。 （篠山）　俺　親父　刺す前さぁ→ 何度も何度も「助けてくれ」って あんた達に頼んだんだよ。 なのに　あんた達 何にもしてくれなかった。 揚げ句の果てに→ 「運が悪かったと思って」だって。 ふざけんな!! （篠山）　だから　あんた達にも 教えてやってんだよ。 ホントに運が悪いってのは どういうことか。 逃げてるだけじゃないか。 はぁ？ 確かに　世の中→ 運で左右されることも あるかもしれない。 でも どんな不運に見舞われたって→ 投げ出さず→ 受け入れて 生きて行くしかないだろ！ うるせぇ～!! お前には→ お前には想像つかないほどの 宿命を背負って→ それでも　必死で→ 必死で生きてる奴だって いるんだぞ！ あんたさ 自分の立場　分かってんの？ （撃鉄を起こす音） アァ～！ なぜ　気づけない？ 人間に生まれた幸運を！ ♪♪～ 大丈夫？　パパさん。 何　ボケっとしてんだい。 腰でも抜けたかい？ 俺を助けに…？ どうして？　だって　俺…。 この化け物が～!! （夏目）　やめろ!! （銃声） ウワァ！ ウアァ～！ フッ　ハッ！ ウゥ～！ （篠山）　うぅ！ あぁ…。 ♪♪～ ♪♪～ 大丈夫？ （夏目）　あ…。 あんたもバカな男だよ。 あんなもん食らっても　あたしらは 何ともないっていうのにさ。 でも…。 辛そうだったから。 俺が発砲してしまった　あの時→ すごく苦しそうでした。 あの日だって 俺を助けてくれたんですよね？ それなのに…。 すいませんでした。 ベム。 ベムさん！　待って…。 待ってください。 苦しめたくないんです！ 俺達は何をしたって→ 人間に恐怖を与え苦しめてしまう。 これ以上　夏目さんに 迷惑をかけられない。 苦しめて来たのは俺のほうです。 あなた達は　いつも→ 困ってる人達を助けて来た。 それなのに　俺 何にも気づかないで…。 この先　あなた達を 傷つける奴が現れたら→ その時は必ず 俺が守ってみせます。 だから　お願いです。 行かないでください。 こんな俺なんかより→ 誰よりも　あなた達は人間ですよ！ ♪♪～ ベムさん。 ベラさん。 ベロくん。 あなた達は 誰より人間じゃないですか。 ♪♪～ ♪♪～ うわ～～!! うわ～～!! ♪♪～ うわ～～!! ♪♪～ ♪♪～ フッ!? あっ…　ん？ んん…　あっ。 あっ…　あ…。 フフっ。 フフっ　ハハ…。 ♪♪～ おいら達→ 本当に　お引っ越し しなくていいんだよね？ ああ。 また　優以ちゃんと 遊べるんだよね？ ああ。 やった～！ よいしょ。 フッ…。 よいしょ　うん。 仕方ないじゃないか。 あんなに頼まれたら 残ってやるしかないだろ。 ありがとう。 フン。 おベラよしだね。 えっ？ ベラも　お人よしだから おベラよし。 そうだな。 おベラよしだ。 あんたまで　何なんだい！ おベラよし～。 あんたねぇ あんまりふざけてると→ ベラのムチは痛いよ！　こら！ 堪忍したかい？ ううん。 ♪♪～ ♪♪～ いいかい？　何か見つけたら すぐに報告するんだよ。 アイアイサ～！ ホントに分かってんのかねぇ。 まぁ　いいじゃないか ゆっくり調べれば。 まぁね 時間も　たんまりあることだし。 ん？ どうした？ ズルい！　おいらには すぐ報告って　いったくせに。 ステッキが３本？ 何？　どういうこと？ ベムと おじいさんのステッキの他に→ もう１本あるってことかい？ えぇ!? ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～

忠臣蔵の恋～四十八人目の忠臣～＃18

1 この 驚きの大地から 湧き出た水が➡ 世界一の大河を潤しているのです｡ ♬～ (喜世)<我らの悲願は お家再興> お殿様に お聞き頂きたき事がございます｡ 何じゃ｡ 喜世は…｡ 喜世は…｡ 一度下した沙汰を覆すは 容易ではない｡ 皆を納得させる… 大義がなくてはならぬ｡ 時機を待て｡ <お殿様は 私が浅野家に仕えていた事を➡ ご存じだったのでしょうか> ♬～ <今 ここ 西の丸では➡ 側室の誰が 一番に お腹様となるか➡ つまり 殿様の子を 宿す事となるか➡ 女たちの争いが 始まろうとしていた> 月のもの？ かような事まで 江島様に お知らせせねばならぬのですか｡ 懐妊するには 己の体を知らねばなりませぬ｡ 奥医師の上岡法印様に 教えを請うてまいりました｡ こちらを よ～くお読み下さいませ｡ それにしても 大典侍様の お召しの日数が多すぎます｡ ご側室は ３人だというのに｡ ≪(しな)失礼つかまつります｡ (しな) 唐澤様が お呼びにございます｡ 何用じゃ｡ それが… どうやら➡ 一位様が お亡くなり あそばされたとの知らせが｡ 桂昌院様が… 亡くなられた｡ <宝永２年６月｡➡ 将軍 綱吉の生母 桂昌院が 79歳の生涯を閉じた｡➡ 江戸城大奥で 絶大な権力を振るい➡ 従一位まで上り詰めた女人の 死であった> <喜世が その男と 初めて言葉を交わしたのは➡ その数日後の事> いや 何 格別の用と 申すほどもございませぬが➡ 間部様が 一度 左京の方様と お話し致すのも 一興であろうと｡ なるほど｡ 間部様のおっしゃるとおり➡ いや～ それを上回るお美しさ｡ 殿様が お気に召すのも 無理はない｡ 左京の方様｡ これで 天下の形勢は がらりと変わりますぞ｡ 桂昌院様ご逝去の事に ございますか｡ 御年79のご長寿を 全うされたとはいえ➡ 公方様のお悲しみは いかばかりの事でございましょう｡ これは 本丸をも揺るがす一大事と お察し致しまする｡ さよう｡ 左京の方様の仰せのとおり➡ 公方様は お母君のご意向を 何より大切にしてこられた｡ ｢生類憐みの令｣は その最たるもの｡ 一つ 面白い話を…｡ 遡る事４年 かの松の廊下刃傷の一件では➡ くしくも 桂昌院様が 従一位を頂けるか否かという➡ まさに その大事な日の出来事｡ それゆえ 公方様は激怒され➡ 内匠頭様は 即日 切腹の沙汰と相なった｡ 左京の方様➡ 事が起こるとは そういう事なのです｡➡ 全ては 巡り合わせ｡➡ もしも その日でなければ➡ ご公儀の 内匠頭様 吉良様への沙汰も➡ 別のものになっていたやもしれぬ｡ となれば 赤穂四十七士の討ち入りも…｡ なかったと｡ ともあれ かように 世の流れをも 左右されるお方が 逝去された｡➡ これは 一つの時代の終えん｡ そして 変化の前触れ｡ 前触れ…｡ <そして １年後の秋｡➡ うれしい知らせが 飛び込んできました｡➡ 桂昌院様の一周忌に行われた 大恩赦｡➡ その中には 流刑となっていた 村松政右衛門殿も➡ 含まれていたのです｡➡ これで 一つ 悲願がかないました> <木屋のおじ様の計らいで 皆 親族として会いに来たのです> (きん) 左京の方様 お越しにござります｡ おじ様 おほり様｡ お元気そうで 何よりでございます｡ 久方ぶりにございます｡ 政右衛門殿も よくぞ ご無事で｡ 江戸へは いつ？ 先月 戻ってまいりました｡ 我らのため 多大なご尽力を賜り まことに ありがとう存じます｡ いいえ｡ ご尽力されたのは 仙桂尼様｡ そして 木屋のおじ様｡ 私など 何もできませんでした｡ されど 兄上様とのお約束➡ ようやく 果たせた思いでございます｡ 兄上様は 最後まで➡ 政右衛門殿の身を 案じておいででした｡ (孫三郎)政右衛門は この後 出家の身となります｡➡ 全て 赤坂の奥様が 取り計ろうて下さいました｡ さようでございますか｡ はい｡ <瑶泉院様が…> おほり様も お元気そうで｡ それが…｡ まあ いろいろ ございました｡ あのあと お仕えしていた 丹羽家の冷台院様が➡ お亡くなりになり 暇を出されてしまったのです｡ まあ…｡ 今は 仕立物などしながら➡ わびしいながらも 一人 気ままに暮らしております｡ 條右衛門殿が 用もないのに やって来ては➡ あれこれ 世話をしてくれるのですが➡ まあ いいのだか 悪いのだか｡ 後妻の話をお勧めしても➡ なかなか 首を縦に振っては 下さらぬのです｡ 私はもう どなたとも 所帯を持つ気はありませぬ｡ 一人で十分｡ お一人で…｡ それもまた 羨ましゅうございます｡ かようなお暮らしをしながら➡ そんな事 おっしゃるものではありません｡ 罰が当たります｡ おほり様に叱られたのは いつ以来か…｡ お懐かしゅうございます｡ また さような事を…｡ いいえ｡ このように 気心知れた方と➡ 何の気兼ねもなく お話しするなどという事は➡ 今はもう…｡ このようなご出世 なそうと思うて できる事ではありませぬ｡ おきよ殿は 我らの光｡ 闇夜を照らす 一筋の光なのです｡ おほり様…｡ お世継ぎを 是非｡ 左京の方様なら おできになります｡ ああ もう できる事なら 私がおそばにいて➡ お世話して さしあげたいくらいですわ｡ 負けてはなりませぬよ｡ ええ 負けませぬ｡ (笑い声) ≪(赤ちゃんの泣き声) <お腹様の一番乗りは 右近の方様でした｡➡ 右近の方様は 玉のような男の子を お産みになられたのです> <そして お七夜> 家千代様と…｡ 末永く 丈夫に育つよう 付けた名じゃ｡ (熙子)ほんに 男児とは ようやってくれました｡ ご苦労さんでした｡ なあ みんな｡ (３人)おめでとう存じます｡ 無事に育つよう 大事に育てな｡ なあ 家千代｡ ≪(猫の鳴き声) まあまあ そなたのお猫さんまで喜んで｡ 野良は えろう たくましいこと｡ (大典侍)はあ？ (熙子)初産というのに あのように けろっとしたお顔で｡ そやから 野良なのでございましょう｡ この分では 次々 ぽこぽこと お子をお産みあそばしますわな｡ 申し訳あらしゃいません｡ 私が 至らぬばっかりに｡ こればっかりは 御仏のおぼし召しや｡ けど 典侍さん｡ いずれは 公方様の世継ぎとなるお子｡ 毛並みの悪い野良では ならんのです｡ それゆえ そなたに託している事 忘れんように｡ 心得ております｡ 方々のお寺社に 祈祷を頼んどきましたえ｡ ご祈祷を？ ああ｡ そなたに 早う 世継ぎが授かるよう｡ そして 右近のお子が 無事 育つよう…｡ <だが 家千代は育たなかった｡➡ 生後二月余りで その短い命を終えたのである> (右近の泣き声) 嫌！ 嫌～！ 家千代様… 家千代様…｡ お願いです｡ 連れていかないで下さい｡ (唐澤) 右近の方様 ご辛抱下さいませ｡ (右近の泣き声) (右近)嫌～｡ ♬～ (大典侍)さあ｡ ♬～ さあ お行き｡ さいなら｡ 帰ってきたらあかしまへん｡ 右近の方様の様子が おかしい？ はい｡ どうやら 夜な夜な 猫を捜して➡ お廊下を歩き回って おられるようなのです｡ 猫を…｡ 猫のみいが 急に 姿をくらましてしまったのです｡➡ お子を亡くされて以来➡ お昼間は 具合が悪いと 寝込んでおられるのに➡ 夜になると起き出して｡ みいや…｡ みいや…｡➡ ﾆｬ～ｵ｡ 部屋方のセツなどは 夜中に その姿を見て➡ 幽霊かと思い 腰を抜かしたそうでございます｡ まあ｡ あんなに かわいがっていらっしゃったのに｡ なぜ 急に いなくなってしまったのでしょう｡ 奥方様は 猫がお嫌い｡ 誰ぞが 追い払ったのやもしれませぬ｡ 今宵も おしとねは 大典侍の方様のようにございます｡ さようですか｡ (江島)何やら 奥方様が➡ 大典侍の方様に お子を授かるよう ご祈祷も始められたとの事｡ ご祈祷を…｡ それにしても なんと あからさま｡ 左京様を閨に一歩も近づけぬとは｡ (祈祷) (祈祷) お子ができた｡ 確かか？ はい｡ 医師の上岡法印様が 間違いのう みごもっていると｡ (岩倉)おめでとう存じます｡ そうか｡ ああ…｡ ようよう 私の願いが 御仏に通じたのじゃな｡ 奥方様のおかげさんでございます｡ これが男児であったら 世継ぎは その子で決まり｡ ああ ようやった｡ ようやりましたなあ｡ もったいのうございます｡ (熙子)すぐに 男児出産の ご祈祷をお願いせんと｡ そうじゃ 典侍さんに お守りを頂いてるのやった｡ 岩倉 そこの小引き出しの３段目に｡ はっ｡ 典侍さんが 逃がしてくれたんやろう｡ はい｡ お猫も ここにいるより➡ お外の方が 気楽でございましょう｡ さようでございますか｡ ≪(右近)離せ！ 離してくれ！ 離すのじゃ！ ≪(なお)いけませぬ｡ ≪(こう)おやめ下さい｡ ≪(しな)右近の方様｡ ≪(右近)離せ｡ 離してくれ｡➡ 離すのじゃ！ ≪(なお)右近の方様｡ ≪(こう)おやめ下さい｡ 嫌じゃ！ 確かに聞こえたのじゃ｡ 私の赤子の声が 大典侍様のお部屋から｡ (なお)そんなはずはございません｡ このお屋敷に 赤子は おりませぬ｡ ならば あの声は みい｡ みいを隠しているのか！ 右近の方様｡ そのような事を 考えてはなりませぬ｡ さあ お部屋に戻り お休み下さい｡ 左京の方様｡ 涼しい顔をして よくも そのような事を｡➡ 子も宿した事のないそなたに 私の思いが分かるものか！ 十月もの間 この腹に命を抱え➡ ようやく生まれたお子を…｡➡ 私には もう何もない｡ 赤子も みいも 皆 いなくなってしまった｡ 右近の方様 諦めてはなりませぬ｡ きっと また お子は｡ なれば そなたが 子を宿せばよいではないか！➡ お殿様のお気に入りのそなたが！ 子を宿してから言え！ (こう)右近の方様！ ♬～ (岩倉) お殿様 お方様には 本日も…｡ <翌朝の総触れに➡ 右近の方様の姿は ありませんでした> (泣き声) 右近の方様を養生所へ…｡ あの日以来 右近の方様は➡ 床にふし 泣いてばかりおられる｡ あの様子では お殿様の子をなすのも無理と➡ 奥方様が｡ お里で療養する訳には まいらぬのですか｡ お殿様のご側室となり お手つきとなられたからには➡ 二度と里に帰る事は許されませぬ｡ 左京の方様 今が好機にございます｡ 好機？ 右近の方様は あのご様子｡ 大典侍の方様は ご懐妊で お部屋に籠もりきり｡ 今こそ お殿様を独り占めできる時｡ この機に 何としてでも お世継ぎを宿さねば｡ 大典侍の方様のおなかには 既に 赤子がおられる｡ その子が男児であれば お世継ぎとなられるはず｡ なれば 私が 子など なさなくとも それでよいではないですか｡ ハッ ﾌｯﾌｯﾌｯﾌｯﾌ｡ 何を言うておられるのやら｡ 左京の方様｡ 大典侍様のお子が 必ず男児であるとは限りませぬ｡ 無事 お生まれになるか否か それとて 分からぬ事｡ 家千代様のように 生まれてすぐに 死んでしまう赤子は➡ いくらでも います｡ 私は➡ 人の死を心待ちにするような事を したくはありませぬ｡ 大事な命を失い 残された者の悲しみを➡ 江島様は…｡ されど それが あなた様のお役目｡ あなた様は きっと 世継ぎとなる男児をお産みになる｡ いえ 産まねばならぬのです｡ なぜ そこまでして…｡ 私は 左京の方様と共に➡ いずれ 江戸城本丸大奥の頂上まで 上り詰めとうございます｡ それが この城で生きていく 女子の我らにできる最大の出世｡ それでも 私は➡ 人の心を失うような生き方を したくはありませぬ｡ ♬～ お伝えするのを忘れておりました｡ お殿様が 今宵 左京の方様を お召しでございます｡ さようですか｡ 構えて 粗相なきよう おつとめなさいませ｡ ♬～ 右近は どうしておる？ はい いまだ お部屋から出てはこられず➡ 悲しみに暮れておいでです｡ そうか…｡ かわいそうな事をした｡ 余の子は育たぬ｡ お殿様…｡ 熙子しかり 右近しかり｡➡ 熙子の産んだ子は ２人とも 幼くして亡うなった｡ 全て 余が病弱ゆえ｡ さような事は…｡ いや｡ されど 左京… それでも 余は 子をなさねばならぬ｡➡ いずれは 征夷大将軍となる身｡ 血筋を絶やす訳にはいかぬのだ｡ よいか｡ それが 我らの進むべき道｡ ♬～ 承知致しました｡ 左京は 必ず お殿様のお子を｡ お命をつないでみせます｡ ♬～ <これは 恋ではない> ♬～ <十郎左様への 燃えたぎるような思いとは違う➡ 何か…> ﾊｯﾊﾊ！ さような事を 左京の方様が…｡ されど きっと あのお方は 成し遂げる｡ 江島は そう信じておりまする｡ <翌年７月｡➡ 家宣の子を出産したのは 大典侍であった｡➡ 待望の男児は 大五郎と名付けられる> <その年の瀬｡➡ おすす払いも無事済み ねぎらいの宴が開かれました> ♬～ 今年は よい年｡ 大典侍は ほんに お手柄でした｡ これで お公家さんの血筋の跡取りが｡ ああ｡ ♬～ ちと 飲み過ぎた｡ ﾊﾊｯ｡ お風邪を召されます｡ いや｡ 夜風が心地よい｡ 大五郎様も お健やかにお育ちで➡ 改めて お喜び申し上げまする｡ うむ｡ お殿様｡ 左京にも うれしい知らせがございます｡ 恐らく ここに お殿様のお子が｡ 左京｡ ♬～ ＞＞こんばんは。 ニュースシブ５時です。 ＞＞きょうも初めは中継から。 きょうは、 東京・銀座のお店から、佐伯さん がお伝えします。 あれ？佐伯さん。

ブスと野獣＃07

1 ＜ブスと野獣の心は 大いに 乱れていた＞ (健太)僕は あなたが 好きなんです！ (梓)私も｡ ＜念願かなって 輝かんばかりに➡ 美しい彼女を 手に入れたはずなのに＞ (颯佑)あーっ！ 幸恵ちゃん｡ (颯佑)俺と 付き合ってください｡ (幸恵)こんな私で よければ ぜひ｡ ＜理想そのもの 360度 どこから見ても➡ イケメンの彼氏を 手に入れたはずなのに＞ 違うんだよね 幸恵ちゃん 健太と話してるときだけ 全然｡ ＜楽しいのは ブスの隣であることに気付き＞ (幸恵)うわーっ！ ＜イケメンの隣にいる野獣に 胸が ざわつき始める＞ ＜しかし ブスと野獣は 固く誓っていた＞ ＜こんな奇跡は 二度と起こるまい＞ ＜この幸福を逃さぬよう しっかり 身と心を引き締め➡ 彼らの期待に応える 最高の恋人になるのだと＞ ≪(鶏の鳴き声) (幸恵)うーん…｡➡ うーん…｡ (幸恵)ウエッ！ うわっ!? ちょっ… 大きい声 やめて…｡ なっ… 何で あんたが!? キャーッ！ 何で そっちが先に叫ぶのよ｡ なっ… 何てやつだ！ お前 僕を犯したのか!? はあ!? 普通 逆でしょ！ 僕が お前を襲えるわけないだろ！ やるわけないでしょ！ やるとか言うな！ ≪(鶏の鳴き声) どうして…｡ こうなった…｡ こっち向いたら 殺す｡ 誰が見るか｡ うわぁ！ 何で ぬれてるんだよ!? プッ｡ いってえ｡ ああ!? 痛ててて…｡ 痛ててて…｡ 何じゃ こりゃ｡ えっ？ これって キスマークってやつじゃないのか!? えっ？ やっぱり 僕を辱めたのか!? そっ… それを言うなら 私だって 何よ!? これ！ 知るか！ 僕のじゃ…｡ 僕のだ｡ じゃあ 早く 外しなさいよ！ あっ｡ 鍵がない｡ ちょっと あんた ふざけてんの？ まっ 待て｡ いったん 状況を整理しよう｡ 何もなかったよね？ ＜やましい気持ちに心当たる ブスと野獣＞ [TEL] 颯佑だぞ｡ [TEL] 分かってるわよ｡ 出なくていいのか？ だって 何て言えばいいのか…｡ [TEL] 取りあえず 思い出せるところから 順に記憶をたどろう｡ うん｡ 《そろそろ 始めますか》 《それでは…》 (梓･幸恵)《優勝おめでとう！》 (一同)《乾杯！》 よし ここまでの記憶は 一致してる｡ で 途中で 私と颯佑君が 買い出しに 出たんだけど…｡ (颯佑)《子供のころさ➡ スイカの種 食べると 盲腸になるって よく言ってたよね》 《言ってた！ で あの駄じゃれ 盛り上がったよね》 《えっ？》 《いや だから…》 話が盛り上がっちゃって ちょっと 帰るのが遅くなったのよね｡ 僕と梓さんは 部室で おしゃべりを楽しんでて…｡ (梓)《もう こんな時間か》 (梓)《結構 遅くなっちゃったね》 《あっ》 《梓さん 見てください》 《ブ サ イ ク｡ ハハハ》 《えっ？》 《あっ ですから ｢２３１９｣で…》 ≪(ドアの開く音) ≪(颯佑･幸恵)《ただいま～》 (梓･健太)《おかえり》 《こっち来て》 《うん？ 何？》 《これ あげる》 《ブ サ イ ク》 《ハハハ｡ お前に ぴったりの値段だな》 《よし》 ちなみに…｡ いつ １匹 増えたんだ？ 正確には １羽だ｡ チッ｡ (健太･幸恵)《生まれた～！》 《♬｢生～まれた 生～まれた｣》 ＜当然 良い子は まねしないでください＞ 《よーし できた～！》 《食うか｡ よし》 《嘘でしょ？》 《何がだ？》 《それ 何？》 《豚カツソース》 《あり得ない！ 日本人なら しょうゆでしょ！》 《野菜ソースは 日本の文化だ｡ そんなことも知らないのか？》 ＜突如として 目玉焼き論争 勃発！＞ 《それに しょうゆを掛けるなんて➡ ｱﾒﾘｶ人が すしにソースを掛けて 食ってるようなもんだぞ》 《野菜ソースが 日本の文化 って言ったの あんたじゃん》 《とにかく 僕は 物心 付いたときから➡ ソース派なんだ｡ いまさら 変える気はない》 《私だって しょうゆ以外で 食べたことない》 《食ったことないなら 文句を言うな！》 《あんたこそ！》 (颯佑)《お互いの➡ 食べたらいいじゃん》 (幸恵･健太)《えっ？》 (梓･颯佑)《はい》 《ありがとうございます》 (颯佑)《どう？》 《うまい》 《意外に》 (梓･颯佑の笑い声) (健太･幸恵)ごちそうさまでした｡ で いつ あんたと ２人になったんだ？ それは…｡ 僕が まず 梓さんを送っていって…｡ 颯佑とお前が まだ 飲むって言うから➡ 部室に戻ってきたら…｡ 《あれ？ 颯佑は？》 《…って 何やってんだ？》 《生まれた～！》 《♬｢生～まれた 生～まれた｣》 ＜はいはい 気に入っちゃったのね＞ 《颯佑君 お姉ちゃんに 赤ちゃん 産まれたから 先に帰るって》 《そうか》 《うん》 《じゃあ 僕も そろそろ…》 《ちょっと》 《こんな めでたい夜に 飲まないなんてある？》 《でも お前 だいぶ…》 《お互い 理想の相手を ゲットできた➡ 自分たちの祝勝会も やらないと》 《おりゃ｡ ねえ？ おりゃ おりゃ》 (健太･幸恵)《乾杯！》 《くぅ～！》 《よく頑張りました！》 《今夜の酒は うまい》 《よし！ いくぞ！》 《いくね～》 ＜…が しかし＞ そこからの記憶が…｡ ない！ [TEL] あーっ！ あっ… 梓さんだ！ [TEL] [TEL] 僕は もう顔向けできない｡ [TEL] いやいやいや…｡ 諦めないでよ｡ [TEL] ハァー｡ ハァ…｡ あっ｡ あっ？ あっ｡ あっ？ 《残念な見た目ではありながら➡ 梓さんをゲットした健太さんに コメントを頂きます》 《え～ 私が 梓さんと…》 (幸恵･健太)あーっ！ いっ… いいな？ 何が映ってても…｡ 恨みっこなし｡ ＜いざ 恐ろしい 記憶のふたが 開かれる！＞ [ｽﾋﾟｰｶ]え～ 私が 梓さんと お付き合いできたのは➡ 私の諦めない努力が あったからでしょう｡ [ｽﾋﾟｰｶ]よーし｡ おい 代われ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]えっ？ もう？ [ｽﾋﾟｰｶ]代われ｡ [ｽﾋﾟｰｶ](健太･幸恵)うん｡ [ｽﾋﾟｰｶ]では イケメン颯佑君を ゲットした いきさつを はい！ [ｽﾋﾟｰｶ]え～ わ… しゃべれない｡ いい いい｡ 飛ばそう｡ [ｽﾋﾟｰｶ]私と 颯佑君…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]あんたに 梓の相手が務まんの？ [ｽﾋﾟｰｶ]どうだ？ ツーショット写真だぞ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]アハハハ｡ ひきつって 全然 笑えてないじゃん｡ [ｽﾋﾟｰｶ]えっ？ そっちこそ どうなんだよ？ [ｽﾋﾟｰｶ]ラブラブよ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]あんただけじゃないのよ｡ ツーショット写真 撮ってんのは｡ [ｽﾋﾟｰｶ]フハハハ｡ 遠近法 使ってる｡ [ｽﾋﾟｰｶ]顔でかいから 後ろ下がって…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]ああ？ 飛ばすか…｡ 見てると ムカつくしね｡ うん｡ スト スト スト… ストップ！ 再生だ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]うりゃー！ [ｽﾋﾟｰｶ]ああっ！ あっ…｡ やっぱり お前から襲ったのか…｡ いやいやいや やってない たぶん｡ [ｽﾋﾟｰｶ]脱げ おらぁ！ 脱げよ！ [ｽﾋﾟｰｶ]おい！ [ｽﾋﾟｰｶ]脱げ！ [ｽﾋﾟｰｶ]脱げ 脱げ！ おらぁ！ おらぁ！ 洗濯したら 落ちるからさ｡ ＜洗濯？＞ あんたが お酒 こぼしたんじゃない｡ ＜そんなことは 今は どうでもいい＞ おっ… 送るぞ｡ あっ チャリ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]脱水しま～す！ [ｽﾋﾟｰｶ]あっ？ ＜脱水？＞ [ｽﾋﾟｰｶ]あっ！ ちょっと…｡ ハハハ｡ ハハハ｡ ＜完全に 話が脱線している＞ だから ズボン びちゃびちゃだったのか｡ もっと早送りして 見てみようよ｡ あっ！ やっ… やっぱり お前から襲ったんだな！ うっ… 嘘だ｡ やっぱり お前から襲ったんだな！ うっ… 嘘だ｡ うわぁ けだもの｡ そっ… そんな…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]あっ あっ…｡ あれ？ 他に 誰かいるのか？ [ｽﾋﾟｰｶ]違う 違う！ もう 腕の角度が 全然 違うよ｡ どういうこと？ 誰だ？ [ｽﾋﾟｰｶ]痛ててて… ギブ ギブ ギブ…｡ [ｽﾋﾟｰｶ](せき) [ｽﾋﾟｰｶ](シズカ)ごめん｡ あざになっちゃった？ ＜キスマークの犯人は 別の野獣＞ [ｽﾋﾟｰｶ](マサル)ねえねえ ワインないの？ ねえねえ｡ 何で こいつらが？ [ｽﾋﾟｰｶ](シズカ) 早く ２人になれるとこ 行こう｡ [ｽﾋﾟｰｶ]♬｢どれだけキミを 愛せるだろう｣ [ｽﾋﾟｰｶ]♬｢キミの傷に 寄り添えるだろう｣ [ｽﾋﾟｰｶ](健太･幸恵) ♬｢鳴り響け 鳴り響け｣➡ ♬｢時間もとめちまうほど ラブソング｣➡ ♬｢恐れないこと誓えたなら｣➡ ♬｢キミを強く守れるだろか｣➡ ♬｢鳴り響け 時も超えて 時間も止めちまうほどﾗﾌﾞｿﾝｸﾞ｣➡ ♬｢さびしさの種を 植えつけられてから…｣ ♬～ [ｽﾋﾟｰｶ]《ツーショット写真だぞ》 [ｽﾋﾟｰｶ]《ひきつって 全然 笑えてないじゃん》 [ｽﾋﾟｰｶ]《えっ？》 [ｽﾋﾟｰｶ]《遠近法 使ってる》 [ｽﾋﾟｰｶ]《ちゃんと笑えよ》 ＜誰といると➡ 本当の自分でいられるかに 気付いてしまった ブスと野獣＞ [ｽﾋﾟｰｶ]ハハハ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]あ～！ 笑い過ぎて 腹 痛え！ [ｽﾋﾟｰｶ]そりゃ 盲腸だ！ [ｽﾋﾟｰｶ]もうちょう最悪！ [ｽﾋﾟｰｶ]長男は 盲腸なんですが 次男は 痔なんです｡ [ｽﾋﾟｰｶ]三男は 顔が悲惨なんです｡ [ｽﾋﾟｰｶ]やるね～｡ 三男なんだ？ [ｽﾋﾟｰｶ]一人っ子なんです｡ [ｽﾋﾟｰｶ](健太･幸恵)ハハハ｡ もう… もういいかな｡ そうだね｡ あっ｡ あっ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]どうだ？ 光ってるし 金に見えなくもないだろ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]見える｡ 金メダル｡ [ｽﾋﾟｰｶ]よし｡ [ｽﾋﾟｰｶ]♬｢ニャー ニャー ニャニャー ニャー｣ [ｽﾋﾟｰｶ]頭 でけえなぁ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]何だと？ [ｽﾋﾟｰｶ]わ～ おとなしくしろ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]よし｡ [ｽﾋﾟｰｶ]お前には やっぱり その色だな｡ [ｽﾋﾟｰｶ]そっすか？ [ｽﾋﾟｰｶ]ずっと 言いそびれてたことがあるんだ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]何？ 何？ [ｽﾋﾟｰｶ]あっ あっ あっ…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]ありがとう｡ [ｽﾋﾟｰｶ](泣き声) [ｽﾋﾟｰｶ]おっ… お前の 協力のおかげだよ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]僕は 口ばっかりで 勇気がなくて…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]１人じゃ 絶対 途中で諦めてた｡ [ｽﾋﾟｰｶ](泣き声) [ｽﾋﾟｰｶ]私も あんたが 計画 立ててくれなかったら➡ すぐに 玉砕してたよ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]お前みたいなやつ 初めてだ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]うん うん｡ [ｽﾋﾟｰｶ]もしかして…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]僕には お前みたいな女の方が 合ってるのかもしれない｡ [ｽﾋﾟｰｶ]私もね 実はね…｡ [ｽﾋﾟｰｶ]えっ？ [ｽﾋﾟｰｶ](いびき) [ｽﾋﾟｰｶ]えっ？ ちょっ… ちょっと？ [ｽﾋﾟｰｶ](いびき) [ｽﾋﾟｰｶ]ちょっと！ [ｽﾋﾟｰｶ]仕方ねえなぁ｡ [ｽﾋﾟｰｶ]電気どこだ？ 電気｡ 電気｡ [ｽﾋﾟｰｶ]ハァー｡ あっちい｡ [ｽﾋﾟｰｶ]あっちい｡ ハァー｡ あっちいな｡ はっ｡ 私 暑いと脱ぐ人だから｡ あっ そう｡ 取りあえず 何もなかったってことで｡ そっ… そうだな｡ いやぁ よかったな｡ あっ 鍵｡ あれ？ やろっか？ うん｡ お願い｡ [TEL] 出なよ｡ [TEL] [TEL] 出ろよ｡ [TEL] [TEL] 僕が…｡ [TEL] 僕が 外で出るから｡ [TEL] うん｡ [TEL] ≪(ドアの開閉音) [TEL] ≪もしもし ごめんなさい｡ 爆睡してました｡ ≪はい｡ 今ですか？ [TEL] ≪家です｡ はい｡ [TEL] ≪はい｡ 何も 問題ないですよ｡ [TEL] ≪あっ あの後 真っすぐ 帰りました｡ ≪はい｡ はい？ あっ はい｡ やっぱり ４人が 盛り上がりますね｡ はい｡ はい｡ ≪もしもし ごめん｡ 電話 全然 気付かなかった｡ ≪うん｡ 無事 帰れたよ｡ ≪うん｡ うん｡ えっ？ ＜最高と最悪は 表裏一体＞ わかった｡ ＜ささいなことが きっかけで 見えないものが見えてくる＞ 大丈夫｡ ＜壁の向こうの優しい嘘＞ ＜ブスと野獣は 互いへの恋心を自覚した＞ ＜彼らは にわかには信じ難い 自分の気持ちと向き合うのか＞ ＜それとも 二度とは手に入らない 奇跡にすがるのか＞ ＜あらためて言うが これは 『月９』ではない＞ ＜『土ドラ』である＞ ｢たーまやー！｣ ＜とうとう互いへの恋心に 気付いてしまった ブスと野獣＞ ＜イケメン 美女と別れるなんて➡ そんなもったいなこと できるのか!?＞ ｢好きだったんだ！ 理屈なんてない 根拠も へったくれもあるか！｣ ＜最終回まで突っ走れ 不細工ども ナレーシｮン 次で最終回か…＞

フレンズ.S01E24.JA

1 ベンの寝顔だ ベンの寝顔だ “セントラルパーク” かわいい甥(おい)っ子 ロスと同じ髪形よ 見せて 本当に愛らしいわ キスしたくなる？ したいね 何か？ 空気を吐いただけ 金 貸して　必ず返すから 先週のワッフル代を入れて 全部で— 17兆ドルの貸し 今度こそ返すよ 金の当てが？ 医学部でリサーチの バイトしてる どんなリサーチ？ 科学実験だ 科学？ 具体的だこと 受精率の実験だ ジョーイ まさか身を削って提供を？ 大したことないよ １日おきに 実験材料を採取して渡す バイト代は２週間で700ドルだ 手を酷使するお仕事ね コールスローも用意ＯＫ 元は牛と 七面鳥だった物よ 男が参上 火を起こす 肉も焼く そのあと火は 小便で消す よろしく メラニーが遅れるって 彼女とはもう 特別な関係ってわけ？ 彼女はいいコだよ 科学実験の話はした？ 紙コップとの関係は秘密だ 正しいわ 彼女がエッチを迫って 困ってる スケベ女め 実験はあと１週間ある その間 個人的な実験は 一切禁止だ　意味 分かる？ ま(･)る(･)分かりよ 長時間 耐久バーベキュー？ 中国へ行く ウソはダメよ 中国へ？ 向こうで骨が発見された うちの博物館に 欲しいから— 交渉するんだけど とにかく骨絡みだ １週間は出張になる 連絡は取れないけど 一応 予定表を 僕の写真も 見せて 時々ベンに見せてよ 僕を忘れないように “ベン　お前のパパだ” “頭しかない” 小道具になるわ レイチェルに 誕生日のお祝いを カールとデートよ カールって？ お店のお客よ 知らない 知り合った人… 店でだろ？ 知ってるじゃん 男性陣に話を 骨絡みの話もして 中国へ行く 国のこと？ 文脈でよく考えてみて カールに面識は？ アルビン　サイモン セオドア… ない レイチェルがデートを ロスには なびかないのに？ もう忘れろよ 中国で中国料理を食べて 忘れろ 現地じゃ“ただの料理”だ 努力するよ これを彼女に渡して お前のためを 思ってるんだぞ まだビール２本だけど 愛してる 俺は１本目で… 好きって程度 カゴ入りの果物を 売ってるの 友達と共同の会社で “三果実士” “三銃士”のもじりだ それより— 料理にする？ プレゼントが先よ 待って　色男 彼女との展開は？ ヤバいね 彼女は今夜 奪う気だ 意味 分かる？ 分かるね 心を満たしてあげれば？ それ何？ 心のつながりを持つの 分かんない 考えて まずは これね くれたのは もちろん… メラニー　ありがと これは俺から 軽いわ ガサガサいう “スクラブル”ね ありがと ジョーイからね　本みたい 本だわ “ドクター･スース”だ！ 俺の人生読本だ 彼の中には少年が その子を摘出すると死ぬよ 誰から？ ロスだ ウソ… 覚えてたのね 何を？ 以前アンティーク店で これを見て— おばあさまのブローチに 似てるって言ったの 覚えてたのよ でもこれは遊べるよ きれいね それに高そう なぜ兄さんが？ キャロルに夢中だったときも クリスタルのアヒルを贈った 今なんて？ クリスタルのアヒル それじゃないわ 夢中って言った？ 信じられない もう どうしよう 念じてろ 時間は戻るぞ そんなの信じられない 超ビッグな事件よね いや　ささいで チンケで小さい 私たちの関係まで 変化するわよ 消音ボタンない？ でも最高よ だって相手は兄さんよ 考えたことは？ ないわ １度デートに誘うって 言われたきりで… ロスは誘うって言ってた？ やつは本気だから お茶ぐらい誘いたいだろうね ロスがずっと前から？ 話さなきゃ 中国だ それも国の でもフライトまで45分ある 時差は？ 空港との時差？ 間に合わない 行ってみる 何て言う気？ さあね じゃ行くな 振るんなら帰国後でいいよ 好きなら行って 顔見て決めるわ じゃ これで決まる？ 無理よ でも帰国まで待てない 大問題よ だから話してくるわ じゃ あとでね 愛してるよ！ 俺の立場 考えて どうぞ ロス すみません 搭乗券は？ ないわ　友達に話が 申し訳ありませんが 通せません でも友達は 行ったばかりなの 規則ですから じゃ お願いだから 彼に伝言して 大事な話なの 何とお伝えを？ 分かんない 失礼　お客様 ご伝言がございます レイチェル様が “プレゼント うれしかった”と トビー　レイチェルなんて 知らないよ その目やめて ジョーイったら最高 一瞬 気を失ったわ 何のあれしき じゃ あなたが楽しむ番よ やめよう 俺のことはいい 次も君の番だ また私？ そうさ　いいだろ？ 明日 豪華フルーツの 詰め合わせが届くわよ あなたって ほかの男と全然 違う どう違う？ 皆 “俺が俺が”って 自分だけ満足したがる でもあなたは尽くす人ね こんな優しい男の人 初めて 女みたい 兄さんの贈り物の紙だけど— 大事だから 取っておこうか？ まだよ 分かんないの 空港の行き帰りに よく考えてみたけどね だってロスよ あのロスよ そうね でも彼との相性を 考えてみると— 直感では— 合うと思う よかった これで義･理･の･友･達･ね 気心が知れてて最高よ 15回目のデートから始める感じ 15回目から始める感じよね 同じじゃん 違うわ 15回ともなると もう深い関係でしょ 結婚話も出たり 別れるのも大変よ 別れる？ ありうることよ 兄は魅力不足？ 財力がない？ 違うわ ほかに男が？ 本当？　ほかにいるの？ いえ　誰もいないわ じゃ なぜ兄を捨てるの？ おはよう… 禁欲男 まだ寝てる ゆうべは？ 驚いたよ お前 寝技は得意？ 友達なら聞かないで 実験のことがあるから ゆうべは技を封じて— ほかの手を使ったら 彼女 大歓迎だ パレードしそうなくらい パレードの音は 壁越しに聞こえた 最高だ 俺まで感激したよ 視界が消えて ほかの感覚が ハイになった感じ 新たな喜びに目覚めたよ 一段上のレベルで お前に一段上が？ 俺も驚いた スカートも贈り物？ 誰から？ モニカのを交換したの 頭いいわね 帰国は２時間後ね 27Ｂゲートだっけ？ 考えたけどロスとのことは やっぱりやめにしたわ 何で？ 付き合ったら— みんなとの関係も変わる プレッシャーが… そんなことない でもモニカは先走って… もう何も言わない 舞い上がってたけど— もうやめるわ どなた？ カールだ 上がって 兄を裏切る気？ そういう たわ言は もう言わないわ 700ドル入った やったな 果物 食う？ 大変な２週間だったけど 勉強になったよ 今後も彼女にご奉仕を？ アホか 視界が戻っても こんなことする？ エド･ベグリーが電気自動車に 乗ってる写真を見ると— 自殺したくなる 環境にいいってことは 分かるが— やつは嫌いだ 僕より彼がいいの？ 消えて　デート中よ なら 僕のこと忘れて できないの？ だからって何よ こいつのどこがいい？ 彼はいい人だと思うわ 本物の車に乗れよ！ レイチェル 勇気を出して 難しいわ 仲間との関係のせい？ 大切なのは僕らだ 高校時代から君を想ってた あなたは親友よ 失敗すれば友情も… なぜ失敗を？ 別れず続いてる恋がある？ ない でも別れたりしないよ 僕らは絶対に合うもの 問題は１つだ 僕は恋愛対象じゃない？ 分からない 意識してなかった してみて ワーオ そのとおり！ 電気自動車は 渋滞の原因になる そうね 聞いて 友達を迎えに行かなきゃ ごめんね　ホント ここで飲んでって 悪いけど行かなきゃ でも… 通して すみません もう忘れてよ レイチェルなんか知らない 落ちたよ ありがと 早く紹介したいよ 友達は私を品定めしない？ するだろうけど— 会わせたい 仲良くなれるよ

Death_Note_Rewrite_1_Visions_Of_A_God_(2007.08.31)

1 何だって？あいつに会いたい？ ああ 一体　何の用があるっていうんだ 会ったって面白い事なんて 何もねえぞ そうだ　そうだ　無駄だ いいから教えろ ここらにいるって聞いてんだ 人間界に降りて　おもしれえ事を してきた死神がいるってよ 誰だ あんたに会いに来た者だ 話を聞かせてもらいたい 話？ タダとは言わない できれば　もう少しジューシーな やつが欲しかったがな 俺は下界に降りてえんだ こんなダルい世界は　もう飽きた 人間の世界は おもしれえって聞いたぜ 面白くねえ世界に愚痴る奴を 見ててもつまんねえ 世界を変えようなんてバカな事を 考えてる奴なら　おもしれえなあ まあいい　退屈してたところだ 話してやるよ 美味くねえリンゴの礼だ そう　世界を変えようとした 神になろうとした人間の話だ 誰かが　やらなくてはいけないんだ このままじゃ　いけないんだ 毎日　毎日　同じ事の繰り返し どいつも　こいつも 死んだ方が 世の中のために なるような奴ばかりだ そうだ　世の中腐っている 腐ってる奴は　死んだ方がいい やろう　デスノートで 世の中を変えてやる 罪を受けて当然の悪人は 僕が消す そう　これは地球の掃除だ 凶悪犯罪を犯した者が 次々と心臓マヒで死ぬ どんなバカでも悪人が誰かに 消されていると気付くだろう 世の中に知らしめるんだ 僕の存在を 悪に報いる力を この　正義の裁きを そうすれば　確実に世界は いい方向に進んでいく そして　僕が認めた 真面目で心の優しい人間だけの 世界を造り上げていく そして　僕は 新世界の神となる マジで　あんなの見に行ったの？ すっげー時間の無駄 ホント金返せって感じ 「デスノート」 直訳で死のノート 使い方 このノートに名前を 書かれた人間は死ぬ くだらない まったく病んでるな 不幸の手紙から全然 進歩しちゃいない 何が名前を書かれた人間は死ぬだ まったく　どうかしてるな　僕も お帰り 早かったわね　月 ああ　ただいま　母さん ああ　全国模試の結果ね 早く はい あら　また１位 頑張ったわね　月 まあね じゃあ　勉強するから 邪魔しないでね はいはい　ああ　月 何か欲しいものはないの？ 何でも言って 別にないよ　母さん 欲しい物は手に入った 気に入ってるようだな うわー！ なぜ　そんなに驚く そのノートの落とし主 死神のリュークだ さっきの様子だと もう　それがただのノートじゃ ないって分かってるんだろ 死神か 驚いてないよ　リューク いや 待ってたよ　リューク ほう 僕は　すでに死神のノートを 現実だと疑ってなかったが こうして　いろんな事を 直視する事で ますます　確信を持って行動できる なるほどな　お前には驚かされるぜ 過去にデスノートが 人間界に出回った話は 俺も何度か聞いた事があったが たった５日でここまでやったのは お前が初めてだ 並みじゃビビって ここまで書けない 覚悟は出来てるよ　リューク 僕は死神のノートを 分かっていて使った そして　死神が来た 僕はどうなる？魂を取られるのか ああ？何だそれ 人間の作った勝手なイメージか 俺は　お前に何もしない 人間界の地についた時点で ノートは人間界の物になる つまり　そいつはもう お前の物だ 僕の…　物 要らなきゃ他の人間に回せ その時は　お前のデスノートに 関する記憶だけ消させてもらう じゃあ　本当にデスノートを 使った代償って何もないんだな 強いて言えば そのノートを使った人間にしか 訪れない苦悩や恐怖 そして　お前が死んだ時 俺がお前の名前を 俺のノートに書く事になるが デスノートを使った人間が 天国や地獄に行けると思うな それだけだ 死んでからのお楽しみだ この１週間で 分かっているだけで５２人 その　すべてが心臓マヒだ 死んだ事が確認されていない 犯罪者たちもいるでしょうな もう始まってますよ　局長 しかし　いずれも死刑になっても しかたのない犯罪者ばかりだ ああ　ちょっと本部から連絡がな 別に構わないのでは？ バカな 大犯罪者だろうと 死刑囚だろうと殺せば殺人です 殺人と決まったわけでは ないでしょう １００人以上が心臓マヒなんて 偶然があるか 心臓マヒって死因から 洗ったのでは何も出ませんからね まったくだ　ナイフでも刺さって いれば　洗いようもあるが こうなったら　また　Ｌに 解決してもらうしかありませんな 局長　何です？Ｌって ああ　君は この会議初めてだったな Ｌというのは　名前も 居場所も顔すら誰も知らない しかし　どんな難事件でも 必ず解決してしまう 世界の迷宮入り事件の数々を 解いてきた　この世界の影のトップ 最後の切り札 そんなところだ しかしＬは自分が興味を 持った事件にしか動かない 傲慢な人物というじゃないか その通りだ　それに われわれからは コンタクトも取れない Ｌは　もう動いています Ｌはすでに　この事件の 捜査を始めています ワ　ワタリ え　ワタリ？ Ｌとコンタクトを取れる 唯一の男だ もっともワタリの正体も 誰も知らない お静かに願います Ｌの声を今　お聞かせします ＩＣＰＯの皆様　Ｌです 救世主キラ伝説 かっこいいじゃないか これ　お前の事か ああ 殺し屋という意味の キラーから来ているらしい それは　少し気に入らないが 僕はもう世界的に このキラになっている キラと検索するだけですでに この手のページが ごまんとあるんだ まだ新聞やテレビでは 凶悪犯罪者の相次ぐ変死 くらいにしか公表されていない しかし　世界中の人間が もう感じているんだ 正義の裁きをする者の存在を ほう これでいいんだ まさに計画通りに事は進んでいる 番組の途中ですが ＩＣＰＯインターポールからの 全世界同時特別生中継を 行います 何だ？ インターポール？ それでは始めます 私は全世界の警察を 動かせる唯一の人間 リンド・Ｌ・テイラー 通称Ｌです な…　何だこいつ ついに始まったな 相次ぐ犯罪者を狙った連続殺人 これは絶対に許してはならない 史上最大の凶悪犯罪です よって私は　この犯罪の首謀者 俗に言われるキラを 必ず捕まえる 必ず捕まえるってよ バカめ　捕まるわけがない デスノートなんだよ このノートを押さえない限り 証拠なんて何も残らないんだ 捕まえるなんて絶対不可能だ 警察が動くのも　こんなのが 出てくるのも計画の内さ キラ　お前がどのような考えで このような事をしているのか 大体　想像はつく しかし　お前のしている事は悪だ 僕が悪だと？ 僕は正義だ 悪に怯える弱い者を救い 誰もが理想とする新世界の 神となる男だ そして　その神に逆らう者 それこそが悪だ 間抜けすぎるぜ　Ｌ もう少し賢ければ 面白くなったかもしれないのに 僕に逆らうと　どうなるか 世界中が注目しているよ　Ｌ あと５秒 ４　３　２　１ どうした　何とか言ってみろ 信じられない もしやと思って試してみたが まさか　こんな事が キラ　お前は直接手を下さずに 人を殺せるのか この目で見るまでは とても信じられなかった よく聞け　キラ もし　お前がテレビに映っていた リンド・Ｌ・テイラーを 殺したのなら それは今日この時間に 死刑になる予定だった男だ 私ではない 何？ テレビやネットでは 報道されていない 警察が極秘に捕まえた 犯罪者だ さすがのお前も　こんな犯罪者の 情報は手に入れてないようだな やられたな だが　Ｌという私は実在する さあ　私を殺してみろ こ…　こいつ… さあ　どうした 何だこれは　凄い事になってるぞ 早くやってみろ　さあ早く 死ぬ気か　Ｌ 殺してみろ どうした　何をしている 今　殺すんだ さあ来い　キラ　私を殺してみろ どうした　出来ないのか どうやら　私は殺せないようだな 殺せない人間もいる いいヒントをもらった お返しといっては何だが もう１つ　いい事を教えてやろう この中継は 全世界同時中継と銘打ったが 実は日本の関東地区にしか 放送されていない 時間差で各地区に流す 予定だったが もう　その必要もなくなった お前は　今　関東にいる やるな　Ｌの奴 ここまで自分の思惑通りに 行くとは正直思っていなかった キラ　お前を死刑台に送るのも そう遠くないかもしれない やっぱり　さすがですね　Ｌって うむ　キラの存在　殺人 そして日本にいる事までも 証明した キラ　お前がどんな手段で 殺人を行なっているのか とても興味がある しかし　そんな事は お前を捕まえれば分かる事だ では　また会おう　キラ 月　ちょっといいか 極力　外では話しかけるなって 言っただろ 何度言えば分かる じゃ　一方的に話すぞ 聞きたくなかったら耳でも塞げ ずっとお前をつけている 人間がいる Ｌです この男が… 何かイメージが 警察庁の夜神です 松田です 相沢です 模木です 宇生田です 遅くなってすまない この５人が現在の… バーン 何のマネだ もし私がキラだったら 死んでますよ　夜神総一郎さん キラが殺人に必要なのは顔と名前 そんな事はもう分かって いるはずでしょう 不用意に名前は出さないで下さい それと　私を呼ぶ時は Ｌではなく 竜崎でお願いします これも念のため では　お入り下さい さて　テレビを使った 公開捜査から１ヵ月 これまでに起こった事を 整理しましょう まず　１２月１０日 全国の刑務所の犯罪者２３名が きっかり１時間おきに死亡 学生が行動できない昼間に あえて殺人をしてみせる事で 学生の線を消しにかかった しかし　私にとっては　これは 大きく２つの発見を生む きっかけになりました １つはキラが死の時間を 自由に操れるという事 もう１つは　キラは幼稚で 負けず嫌いだという事です あれ　今日は デスノートじゃないんだな 例の受験てやつか そんな勉強 今頃してるようじゃダメだよ ほう　じゃ何？ 問題は　ここからです １２月１４日 キラ捜査のため １２人のＦＢＩが日本に入国 そして　先日２７日 全員が死亡 この時　僕は大きく動いた レイ・ペンバーさん　キラです あなたの事は調べました 少しでも私の指示と 異なる行動を取ったら あなたの家族も含め　皆　殺します もちろん　あなたも 何だ　これは もうすぐ　あなたの上司から ファイルが送られてきます 日本に入ったＦＢＩ全員の 顔と名前の入ったファイルです 捜査官１人１人の名前を よく顔を見ながら封筒に 記入して下さい さようなら　レイ・ペンバー あの時　彼に渡したのは あらかじめ死因を記入した デスノート レイ・ペンバー 仲間を死に追いやったのは あなた自身だ ああ　私だ すまんが頼まれてくれるか はいはい　分かったわ すぐに行かせるわね 粧裕　ちょっとお願い えー　今から？ お父さん　着替えもなしに 徹夜してるのよ　届けてあげなきゃ 友だちと初詣の約束してるの 僕が行くよ　気分転換に ラッキー お兄ちゃん　サンキュー なあ　君は確かに 優秀なＦＢＩ捜査官だった しかし　今は 僕のフィアンセでしかない キラ事件には口を出さない 危険な行動は取らない そういう約束で 日本にいる君の両親に あいさつするために 一緒に連れてきたんだ 分かったわ　レイ　つい癖で ごめんなさい ああ　ごめん そんなに気にするなよ 家族が出来れば 自分が捜査官だった事を 忘れるくらい忙しくなって 癖なんて出る暇も なくなってしまうさ レイが… 死んだ　いいえ キラに殺された おかけになった電話は現在 電波の届かないところにあるか… 珍しいな　父さん 重要な会議でもしてるのか お願いします　どうしても 捜査本部の方に 直接お話ししたいんです キラ事件に関する 重要な事なんです キラ事件の… 刑事局　夜神総一郎の息子 月です 父の着替えなんですが いないようですし 預かってもらえますか ああ　月君　久しぶり やっぱり本部には 誰もいませんね 少しは信用して下さいよ ちゃんと私から伝えますので ダメなんです　直接でなければ あの　僕の父はキラ事件の 本部長ですから もし良ければ　取次ぎましょうか 携帯切ってるみたいなので 今すぐとはいきませんが ＦＢＩの人が殺されて ここの本部でもキラを恐れ 辞める者が続出し ごたごたしてるんだと思います 月君　そういう事は一般の人には もう　世間では 噂になってる事ですよ それに　この人は信用できる 目を見れば分かります 賢明で慎重な人です それにしても あなたは勇気がありますね キラ事件に関わろうとするなんて いえ あの　一応 お名前を聞かせてもらえますか 僕は夜神月 夜の神に月と書いて ライトと読ませるんです 間木照子です 間　樹木の木に 照らすに子供の子です 間木さんですね 間木さん　僕が考えている キラの力というのは キラが人を殺す前に その行動を操れるって事です ええ　そして殺しに必要なのは 恐らく顔と名前 ええ ＦＢＩも恐らく何らかの方法で 顔と名前を知られ 殺された はい 私のフィアンセが そのうちの１人でした え？ 彼の死んだ日の 監視カメラ映像を確認すると 改札とホームで 手にしていた封筒を 電車の中に置いていっています たぶん　キラはＦＢＩ捜査官の ファイルを　そこで受け取り 殺した 死の瞬間　彼は電車の中を 必死に見ていました 恐らく　キラが そこにいたんです つまり　あの時 レイが見ていた者 その人物こそキラ 皆様　お疲れ様です こ…　この方がワタリ？ あの　いつもの服装は？ あの格好だとワタリですと 言わんばかりですし このホテルに竜崎がいると バレてしまいますので なるほど 推理の過程がどうあろうと この女が握っている事は真実 始末するしかない どうしました？ いえ あなたの話を　もう一度 よく検証してみたんですが 早くその線で 調べてみるべきだと思えてきて 本当ですか はい この話はまだ誰にも？ はい　あなたに初めて 良かったな しかし　どうやって消すんだ？ ここで　すぐにはヤバイだろ そんな事リュークに 言われなくても　もう考えてあるさ おっ　堂々と フィアンセが電車に乗っていた 日時を教えてもらえますか １２月２７日　１５時１３分 新宿発　山手線渋谷方面行きです １２月２７日 山手線渋谷方面ですね はい あと　１０秒で１時１５分 さあ　死に急げ どうした もう時間は過ぎているぞ おかしい なぜ　この女は動かない？ 偽名！ 偽名だ　それしかない リュークの目には 女の本当の名前が見えている まずい 一度　偽名を使った相手から 本名を聞き出すのは より難しい 月　いつでも目の取引は できるからな そう　相手の名前と寿命が見える 死神の目の取引だ コンタクトを入れるのと 変わらない　数秒で済む こんな女ごときのために 残りの寿命を半分にしてたまるか 邪魔するな 黙ってろ　死神 あの はい？ 実は　まだ言ってなかった 事があって はい あなたが本部の人に 直接　話をする事は 不可能なんです え？ キラ事件の捜査本部は今 担当する人間が分からない システムを取っているんです さすが上手い事を言うな　月 なぜ　そんなに詳しく 知ってらっしゃるんですか 仕方ない　話しましょう 僕も捜査本部の一員だからです あなたが捜査本部の一員？ Ｌは本部の人員不足に困っていた キラを恐れ 皆辞めていったからです 僕はまだ高校生ですが 過去に２件の事件を警察に助言し 解決に導きました じゃあ　それを買われて はい そうですか　どうりで 実は私も２年前に アメリカのある事件で Ｌの下で働いた事があるんです Ｌの下で働いた… つい　３ヵ月前まで 私も　ＦＢＩの捜査官でしたから これだ　これを利用するんだ そうだったんですか どうりでキラを追う 姿勢や行動が 素人とは違うと思っていました この事件は私なりに 警察も捜査本部の人すらも 疑ってかかるべきだと 判断しました でも　Ｌなら信じられる あなたには　Ｌに似たもの 近いものを感じたんです 一緒に捜査しませんか え？ あなたも捜査本部の 一員になりませんか もちろん　誰でもいいわけじゃない そう　あなたのような人が 必要なんです あなたは一般情報提供者に 留まる存在じゃない ここであなたに会えたのも 何かの運命だ 僕があなたを推薦します すみません つい興奮してしまって しかし　まだお若くて お綺麗な方だ こんな危険な捜査には… いえ 私には捨てるものは 何もありません キラを捕まえたい その気持ち以外は何もないんです 一緒に捜査させて下さい よかった では　身分証明になるものだけ 見せてもらえますか 日本の免許証でよろしいですか はい 間に合った あの　なぜ　そんなに時計を 気になさってるんですか ああ　これ？ これはですね キラだから どうしました？ しなくてはいけない事が さようなら　南空ナオミさん はい　はい　少々お待ちください 竜崎　警察庁の宇生田さんが 気になる一般情報の電話を 今　受けているとの事ですが レイ・ペンバーの婚約者？ 南空ナオミ… どこかで聞いた名だな 彼女か ロサンゼルスＢＢ殺人事件の フィアンセの死の翌日から 彼女も消息が分からないそうです フィアンセが死んだら 誰だって落ち込む まさか… 自殺？ いや　私の知っている南空ナオミは 芯の強い優秀なＦＢＩ捜査官です むしろ　キラを捕まえる事を 考えるはず 彼女はペンバーと 一緒にいたそうです 何かを掴んだのかもしれない だとしたら キラに先を越されたのか 皆さん　これより レイ・ペンバーが 日本で調べていたものだけに 限って捜査します 捜査対象は ２人の警察関係者とその周辺 誰なんです　その２人というのは 北村次長とその家族 そして　夜神局長とその家族です そして　その２つの家に 盗聴器と監視カメラを 付けさせて頂きたい じゃあな　月 ああ　また明日な なんだ　誰もいないのか ただいま なあ　月　家に誰も いないようだし 久しぶりに２人でゲームしない？ 聞いてる？ まさか　あんな事をしてるなんて 部屋に何か 見られたくない物でもあるのか １７歳という事を考えたら そんなに怪しむ事ではありません 私も意味なくやった事があります おい　月　さっきから 無視しやがって　怒るぞ この服に盗聴器は 仕込まれていない 月 リューク 家に監視カメラか盗聴器 いや　多分両方だろう 仕掛けられている可能性がある 僕はいつもドアを閉めた後 わざと一番上まで上がった 位置から　また５ミリ程下げている つまり　ドアを開ける時 ノブが上がりきっていたら 誰かが部屋に 入った可能性がある 親じゃないのか 親や妹なら紙にすら気付かない 紙をわざわざ元に 戻しているからこそ怪しいんだ ところで　リューク リンゴはどうなる リンゴ？ 死神は死なないから餓死はしない つまりリンゴをあげなくても 問題はない ちょっと待ってくれ　月 俺にとってのリンゴっていうのは そうだな　人間で言う 酒やタバコみたいなもので ずっとないと禁断症状が どうしても　リンゴが 食べたかったら まず　すべての カメラの位置を把握する もしかしたら　リンゴを食べる 死角くらいあるかもしれない ああ？ じゃあ行くよ　リューク カメラ探し？ これもまた　おもしろっ 君を愛してる イヤー 素敵すぎるよ　流河旱樹 クラスにはいないよね　絶対 粧裕　ご飯食べちゃいなさい 後で 相沢さん　北村家は今 テレビ見てますか はい　次長を除く４人で 食事をしながら見てます ４チャンネルです ワタリ　各テレビ局に 例のテロップを流すように 指示してくれ 分かりました えー　何？ ＩＣＰＯは キラ事件に対し　先進各国から 総勢１５００人の 捜査員を日本に派遣する事に決定 １５００人だって　すごっ Ｌ　最初の時と手口が同じだ バカだな　ＩＣＰＯも え？ こんな発表をしたら意味がない 送り込むなら　こっそり入れ こっそり捜査させるべきだ 極秘で捜査してたＦＢＩでさえ あんな目に遭ったのに これじゃ　その二の舞になる だから　これは大げさに報道して キラを動揺させようという 警察の作戦さ でも　これじゃキラにも バレバレじゃないのかな 賢いですね　息子さん えっ　まあ 月　カメラ全部探し出したぜ 死神も頑張ると疲れるんだな 今から説明するぞ ちょっと大変だから よく頭に入れてくれ もの凄いカメラの数だ 付けた奴は見つかるの覚悟で 付けてるとしか思えない 全部で６４個だ で　この状態で 俺　どこでリンゴ食うの？ 無理に決まってるだろ　リューク ああ　家の中じゃ 喋れないんだったな 明日　外に出た時　教えてくれ オッケー　この問題も正解 カメラの数と付け方から考えて 短期間で見極めるつもりらしいな 普通の人間なら これでボロを出すだろうが そうはいかないよ　Ｌ そこまでだ ３週間先まで犯罪者は 死んでいくように デスノートには記してあるが キラは死の時間を操れる という事もＬには示している だから　この場合 僕が何の情報も得ていない時に 新しく報道される犯罪者が 死んでいけばいい まずい　禁断症状が やってやる　Ｌ リュークの情報と 前もっての仕込みで どう見ても勉強している 受験生を装いながら 僕はデスノートで 今　報道されている犯罪者を 殺す事ができる 右手で方程式を解き続け 左手で名前を書き ポテチを取り　食べる 夕飯の後　息子さんは テレビもパソコンもつけず ずっと勉強ですね センター試験まで １０日切りましたから これで　僕の知り得なかった 犯罪者が４０秒後には心臓マヒ 僕のアリバイの目撃者は Ｌ本人だ 先程　今日９時のニュースで 初めて報道された 横領容疑の銀行員が 取り調べ中に 心臓マヒで亡くなりました キラだ 今日のキラは　随分罪の軽い者を 報道されてすぐに殺しましたね そして　カメラを付けて 初日だというのに 夜神家は 面白い程すんなりシロだ 次に南空ナオミの件ですが もう公開捜査に 踏み切るべきでは？ やるならキラ事件とは無関係とし 写真は避け 似顔絵にするべきでしょうね 竜崎　さくらＴＶを 大変な事に つまり　私たちは キラの人質であるとともに 報道人の使命として この報道をする者であり 決して嘘や興味本位で このテープを放映する者ではない という事を　ご理解いただき キラの人質？ 何だ　これは ４日前　当番組ディレクターに 送られてきた４本のテープ これは間違いなくキラから 視聴率６０パー　いや 送られてきたものです ７０パーはいくぞ　こりゃ 自分が本物のキラであると 証明する予告殺人 そして　世界の人々に向けての メッセージが 入っているとの事です また　やらせじゃないのか まさか　いくら何でも こんな悪質なやらせは では　ご覧下さい 私はキラです このビデオが４月１８日 午後５時５９分 ちょうどに流されれば 今は５時５９分　４７　４８　４９ チャンネルを太陽テレビに 変えて下さい メインキャスターの 日比野和彦氏が ６時ちょうどに 心臓マヒで死にます 変えて おい　ちょっと！ まさか… この放送　やめさせないと まずい事になる さくらＴＶへ電話を ダメだ　局内の知り合いの携帯は 電源が入っていない 局のどこにかけても通話中 クソッ 宇生田さん 俺が直接　局に行って やめさせてやる 皆さん　よく聞いて下さい 私は罪のない人を 殺したくありません 私の願いは悪のない世界を 作ることです 皆さんもその気になれば 簡単に出来る事です クソッ 私を捕まえようとしなければ 罪のない人間は死にません そして　少しの間 待って下さい 私は　この汚れた世界を 心の優しい人間を主とした 新しい世界に変えてみせます クソッ　閉まってる 警察だ　開けろ バカヤロー 突然ですが　番組を変更し もしもし くそ　つながらない さくらＴＶ前からの生中継を お送りします 相沢さん ご覧ください 誰かが倒れています　これは 今のさくらＴＶ前の映像です 宇生田さん… 相沢さん どこへ行く気ですか 宇生田の所に決まってるだろ ダメです 冷静になって下さい キラは名前が分からなければ 殺せないはずだ まさか　われわれの名前は すでにキラにバレているのでは あるいは　そうかもしれません 私の推理では 顔と名前が必要でしたが これを見ている限り 顔だけでも殺せる可能性も ゼロではないとしか 今　言えるのはキラは あのＴＶ局内 もしくは局に入る者を監視できる 所にいるという事です キラがあの周辺にいると思うなら なおさら行くべきじゃないのか 監視カメラを設置しているだけ という事もありえます あっ　竜崎！ うわあー！ 何なんだよ　一体 キラのビデオを流してる スタジオはどこだ 突入です　さくらＴＶに 車が突入しました あれなら姿を見られずに 局内に入れますね しかし　一体誰が 警察だ　番組を中止しろ 何だ すぐにキラのテープを 止めるんだ いや　ちょっと待ってくださいよ 刑事さん これやめちゃうと私たち キラに殺されちゃうんですから 出せ！出せば少なくとも 今　死ぬ事は免れるぞ 夜神局長からです 折り返しかけて電話を私に 至急　竜崎を頼む 私です　夜神さん やはり　あなたが護送車で そうだ　我慢できなかった テープは　すべて押収した そっちへ持っていく やはり神は僕の味方をしている 神と言っても今回は 死神だけどね みたいだな 恐らくこいつは 死神の目を持っている つまり殺傷能力は 遥かに僕より勝るキラ 第２のキラ？ ええ　このキラは キラの偽物の可能性が高い つまり 第２のキラと言うべき存在です 偽がヘマをして捕まり デスノートの存在を 知られてもまずい あまり長く 野放しにしてはおけない 今　僕が一番理想とするのは 捜査本部に協力し Ｌの動きと偽キラの動きを 把握する事 夜神さん　息子さんに 捜査協力を願っても よろしいでしょうか それは　息子の疑いが完全に 晴れたと受け取っていいのか 片方のキラが捕まれば もう片方のキラを 捕まえるヒントは 少なからず 生まれると思うんです なあ　海砂　せっかく デスノートをあげたのに もっと自分のために 利用しなくていいのか 自分のために使ってるよ だってキラに賛成だし キラがどんな人か知りたいの 会ってお話　したいとも思ってるよ 危ない遊びだね 殺されるかもしれない 分かってる？ 大丈夫だよ　キラはきっと 純粋な子には優しいし いざとなったら目を持ってる 海砂の方が強いもん 父さんに　ここに来るように 言われて来たが　早すぎたか 非通知？ はい 夜神月君ですか そうですが Ｌです 今日はキラ事件について 相談に乗って頂きたく お父様に無理を言って 来て頂きました すいませんね　お忙しいところ いえ それではご案内します Ｌです　今日はようこそ おいで下さいました いえ　Ｌ　あなたの手腕には 日頃から尊敬の念を 抱いていました そうですか それは光栄です ここでは竜崎と呼んで下さい では　早速ですが １本のビデオを見て頂きます かけてください ええ　竜崎 よいしょっと 始まりませんね あ　忘れてました 始めて下さい これは　この間の いえ　それとは別です 私たちは　このキラを 第２のキラと考え 先日　本物のキラを模した メッセージを流しました 私は真のキラです 私の名を名乗った者 これ以上　世の混乱を招くなら まず　そちらから裁きます ご覧になりましたか ええ あれはやはり警察が 作ったものだったんですね それに対しての返事が これなんですが ちょっと　不可解でしてね キラさん　お返事 ありがとうございます 私はキラさんの 言うとおりにします 私はキラさんに会いたい 何だ　こいつは 何を考えている キラさんは目を持ってないと 思いますが 私はキラさんを 殺したりはしません 安心して下さい バカか　こいつ こんなところで死神の目の事を 何か警察の人には分からない… 会う　いい方法を考えて下さい ダメだ　動揺するな 会った時は　お互いの死神を 見せ合えば確認できます ダメだ　こいつ 早く　何とかしないと どう思います？ 驚いたな まず　このキラは思想よりも キラに会いたいという気持ちで 動いているという事 そして何と言っても 死神という言葉を そうです いいね うん　そうそう いいよ　いいよ　いいよ 海砂ちゃん 最高 ああ　疲れた モデルの仕事も 体力勝負なんだよね ねえ　レム ん？ １つ聞いていい？ 何だ 死神はデスノートを 持ってないとダメ 人間にデスノートを持たせて 遊ぶには２冊必要 キラにノートを持たせた リュークは 死神大王を騙して２冊目を 手に入れたって事ね そう じゃあ　レムも？ 違うよ　死神大王なんて そう簡単に騙せる相手じゃない じゃあ　どうやって 私は死神界でも数少ない 死神を殺す方法を知っている 死神だから とでも言っておこう 死神界からずっと １人の少女を眺めていた ジェラスと言う死神がいた 僕は世界の誰よりも君を愛してる いつも君を見てる 守りたいんだ　君を お　おい　やめないか ジェラスは死神として やってはならない事をした ジェラスはその娘を助けるために ノートを使ってしまった でも　ダメなんだよ 死神は人間の寿命を短くする 頂くためだけに存在している その瞬間　ジェラスは 砂とも錆とも 分からぬものに変わり 死んだ 後にはデスノートだけが 残された その娘に恋してなければ 死神は死ななかったって事？ その通りだ じゃあ　あの時 あたしを助けてくれたのは ジェラスって死神だったんだ そうかあ 死神殺すには　人間に恋させて 助けさせないとダメなんだ でも　これでキラに教えて あげられる話がまたできたよ 知ってるのかなあ　死神の こ　ろ　し　か　た はじめまして 弥海砂です テレビ見てたら 心配してるんじゃないかと思って どうしても我慢できなくなって このノートを デスノート… 死神　偽キラだ 座って ありがとう なぜ　分かった やっぱり　目の取引は してないんですね 死神の目を持つと 人間の寿命と名前を 見る事ができる でもノートを持っている 人間の寿命は見えないんです みーっけ 夜神ツキ君…　かな １人だけ寿命見えてないよ キラ決定 こんな簡単に会えるなんて 思ってなかったよ まあ　それは分かったが 君がもし 警察に捕まっていたら キラの秘密がバレていた 大丈夫　私は捕まってないし これからは　あなたの言う通りに 動けば捕まらない そうでしょ？ そして私がＬの名前を見る 私はあなたの目になる だから… だから？ 彼女にして下さい 彼女？ はい こいつを下手に扱うと 殺される可能性がある　しかし… 無理だ 君がテレビ局に送ったものには すべて同じ指紋が付いている あれは私の指紋じゃない 私だって少しは考えて 行動してます どうしても信じられないなら このノート　あなたが 預かって下さい これなら　私は あなたを殺せないし 私が不要になったら あなたが私を殺せばいい 何で　こいつ　ここまで しかし　もうノートから 何ページか切り取って 隠し持っているかも しれないじゃないか なんで　そこまで疑うの 私はあなたに利用されるだけでも いいの　信じて なぜ　そこまで言えるんだ 私の両親はちょうど１年前 私の目の前で強盗に殺された 絶対に許せなかった でも　裁判は長引き そのうち冤罪の見方まで そんな時 その犯人を裁いてくれたのはキラ 私にとってキラは　絶対的な存在 どうしても どうしても あなたに会いたかった お礼を言いたかった 分かった　彼氏にはなれないが ふりはしてあげられる 僕に会うため 僕の力になるために 残りの寿命を半分にした 君の目は武器になる ありがとう 好きになってもらえるよう 頑張る そんなことないよ ちょっと要領がいいだけさ あ　夜神君　こんにちは どうしたんだ　竜崎 こんな人前に顔を出していいのか 夜神君が　キラでなければ 大丈夫です 言い忘れていましたが 私は　月君がキラじゃないかと 疑っています まあ　と言っても ５パーセントくらいですが で　現在　外で私をＬだと 知っているのは月君だけですから もし　私が近日　殺されたら 夜神月が　キラだと 本部の皆さんに言っておきました こいつ　殺そうと思ったところに のこのこ出てきて 僕の決心を鈍らせている これじゃ　こいつの 思うつぼじゃないか 月　いたー この近くで撮影やってるから 来ちゃった 海砂　バカ 月のお友だち？ 個性的で素敵ね いや　勝った 海砂には 竜崎の本名が見えている あたし　月の彼女の弥海砂 よろしくね 流河旱樹です え　流河旱樹？ ああ　こいつ　あのアイドルと 同姓同名なんだ　面白いだろ でも　見えてる名前と違う 竜崎　今回は出てきた事が裏目に なんだ　その笑いは まさか　こいつ　気付いたのか しかし　第２のキラの可能性を 考えたら 笑っていられるはずが… 夜神君 羨ましいです エイティーン８月号からの 海砂さんファンです えー　本当？嬉しい あっ　あの娘 ミサミサじゃない？ 本当だ　ミサミサだ えっ　ミサミサ？本物？ やっぱり若い人多いと バレちゃうんだ 毎月　見てます 頑張って下さい うん　ありがとう　頑張るよ 何なんだ 海砂 もう時間よ また遅刻する気？ ああ　ゴメン　ヨッシー 行くわよ うん いいぞ　海砂が ここから出ていけば 後は　電話一本で 名前を聞き出せる じゃあね　月 仕事終わったらね さて　行きましょうか　夜神君 ああ 僕は　もうすぐ講義があるんで 話は後でもいいかな そうですか　では後ほど 終わりだ いろいろ楽しかったよ　Ｌ はい　はい　そうですか やりましたね 分かりました 夜神君にとっては　嬉しかったり 悲しかったりだと思いますが 弥海砂を　第２のキラ容疑で 確保しました うひょ 一体いつから海砂の事を 弥の部屋から第２のキラが ビデオテープを送った時 封をしていたガムテープに 付着していた毛や洋服の繊維など 多数の証拠が出ました 第２のキラ容疑という事では 世間の混乱が予想されるので マネージャーの麻薬所持容疑への 任意同行にしていますが 世間に出る事はないでしょう 竜崎　これは一体 第２のキラとして捕まえたんです これくらい当たり前です それと　夜神さん 月君をキラとしての重要参考人で 呼ぶ事になると思うので 覚悟しておいて下さい おっ　レム 夜神月 海砂には　デスノートの 記憶を放棄させた これで　ノートに関する 記憶は一切消え 秘密が　海砂から漏れる事は なくなった 海砂は　私が逃がしてやる と言っても拒絶した 自分に特別な力が 備わっていると思われて お前に迷惑がかかると 思ったからだろう すべて お前に愛されたいがためだ 夜神月 海砂を助け出さなければ お前を殺す こうして　弥と夜神月を 監禁して１週間 キラの犯罪者への裁きは ぴたりと止まった ２人がキラなのは　ほぼ決まりだ しかし　ならば なぜ監禁に素直に応じた 自分がキラであったとしても 自覚がなかったと押し通しさえ すれば済むと考えているのか 夜神月らしくない　いや キラらしくない 月君　まだ１週間ですが さすがに　やつれてきてます 大丈夫ですか そろそろ　いいだろう ここまで来れば ああ　自分でも格好のいい状態とはとても思えないが そんな　くだらないプライドは 捨てる ん？ よいしょ はいよ じゃあな 何で僕は こんな事をしているんだ 竜崎　確かに　僕は 監禁される事を承諾し こうする事を選んだ しかし　今はっきりと気付いた こんな事をしていても無駄だ なぜなら　僕はキラじゃない 早くここから出してくれ どうしたんだ　夜神月 言っている事が　滅茶苦茶だ しかし　なぜか真に迫る感じだ 早く出してくれ　時間の無駄だ ダメです　出す事はできません お前は間違っている 今までの捜査状況から 僕をキラだと 推理するのは分かるが これは罠だ 僕はキラじゃない ズームにでも何でもして 僕の目を見てくれ これが　嘘をついている 人間の目か 弥海砂 ストーカーさん　何 帰す気になった？ 君は今　なぜそこに 縛られている？ なぜって 海砂がアイドルだから？ でも　ここまでしてくれた ストーカーさんは あなたが初めてだわ 本当にキラが誰なのか 知らないんだな え？またそれ？海砂が知りたいよ どうなってるんですか 昨日１日で ２週間以上　裁かれていなかった 犯罪者が一気に ああ　キラ復活だ 何がなんだか分からない 月君もミサミサも監視付とはいえ 日常に戻れてよかったですね しかし　松田 ミサミサと呼ぶのはやめろ ねえ　これ　デートって気に なれないんだけど 捜査協力をお願いしたとはいえ あなた方は未だ容疑者です 我慢して下さい そんな事より　せっかく一緒に 捜査する事にしたのに 竜崎　お前 全然やる気ないよな やる気ですか？ありません 実は落ち込んでます 落ち込んでる？ はい 私は　ずっと月君がキラじゃ ないのかと考えていましたから その推理が外れたとしたら もうショックで 竜崎 キャー！ うえー 痛いですよ ふざけるな 僕がキラじゃなかったから 自分の推理が外れたから やる気がなくなっただと？ 言い方が悪かったかも しれませんね こっちから動いても損かも しれないのでやめましょうと こっちから追いつめないで 捕まえられるはずがないだろ すでに罪のない人を 何人巻き込んだと思ってる それに　海砂や僕を 監禁したのはお前だろ 分かってます しかし　どんな理由があろうとも １回は１回です 推理が外れたと言うより 夜神月イコール　キラ 弥海砂イコール　第２のキラでは 事件は解決しない だから　ちょっとがっくり来た 人間として それくらいダメですか ダメだね　大体お前の言い方は 僕が　キラでないと 気が済まないって言い方だ 月君が　キラでないと 気が済まない 確かに　そうかもしれません 今　気付きました 月君が　キラであってほしかった １回は１回ですよ 私　けっこう強いですよ 部屋に連絡して止めましょう はい 竜崎　聞いて下さい ミサミサが　エイティーンの 読者人気投票で１位になりました はい　そうですか つまり　西中監督の次回作の ヒロインに決まったって事ですよ どうした 松田のいつものボケです まあ　松田さんは天然だからな 聞こえてますよ 竜崎　やる気ないのに悪いが ちょっと来てくれ これを　よく見てみろよ 偏ってるだろ ３人とも日本を代表する企業に 重要な位置で関わっていた人物 その３人が 心臓マヒで死んでいる その結果　ヨツバの株価は上がり その他の企業は下落 つまり　ヨツバにとって 都合のいい死 どう思う？僕には キラがヨツバに 肩入れしているとしか思えないが そろったようだな では　定例会議を始めよう わがヨツバグループの更なる飛躍 世界最大の企業にするために 誰を殺すか 竜崎 どうした　ワタリ 探偵のエラルド・コイルの所に Ｌの正体を明かしてほしい という依頼が エラルド・コイルと言えば Ｌに次ぐ名探偵と言われている 男じゃないか 一体誰がそんな依頼を 依頼主はヨツバグループ 東京本社 ライツ企画部長 樹多正彦と突き止めました やはり　ヨツバか まずいな　人手がないのに コイルの方にも 気を配る必要があるわけか 大丈夫ですよ エラルド・コイルという探偵も 私ですから 今　世界の三大探偵と言われている Ｌ　コイル　ドヌーヴ 皆　私です イチゴあげますから 秘密にしておいて下さい さすがだな　竜崎 見ていろ　僕だって オーケー　彼に近づけば いいんだな　任せてくれ で　私はこいつのいる ヨツバ東京本社の 監視カメラや防犯システムを 破れるようにしとけばいいのね はい　キラとヨツバは間違いなく 関係していると 考えていいでしょう まず　ヨツバを洗って 誰が力を持っているのか 何人持っているのか 完璧に把握する必要があります クソッ　はっきり聞こえないな 何か一言でも 確信的な事が聞ければ 邪魔だろ 殺して株　分けちまおう 今　殺すって聞こえた まったく　キラ様様だな キラ？出た　キラ　出た え？キラに殺してもらう？ 聞こえたぞ こいつら　やっぱりキラと やったぞ　お手柄だ 何だ　お前 くれぐれも焦った行動や 先走った行動など １人の判断で動かないように 竜崎 どうした　ワタリ 松田さんがベルトで 緊急サインを送ってきました どこから？ それが どうやら　ヨツバの 東京本社内からのようで 私　吉田プロダクションで マネジメントをしております 松井太郎と申します 今　うちで一押しの マルチタレント　弥海砂を 御社のイメージキャラとして ＣＭに　いかがでしょうか 松田のバカ 月　今日デート オーケーの日だっけ 竜崎さん付の 海砂さん あなたは　月君を愛していますか はい では 月君とキラだったら どっちを取りますか ハア？そんなの 月に決まってるじゃん では　月君の役に立ち 月君と一緒に捜査できるなら 協力したいですね 竜崎 うん　月のためになるなら 海砂は何でもします ちょっと待て　何をする気だ 現在　松田さんはヨツバに 捕らわれています いっそ　その状況を 利用しましょう 海砂さんは　これから ヨツバに乗り込み ＣＭなどで使ってくれと 自分を売り込む われわれは　海砂さんから ヨツバの情報を得る つまり　スパイですね うんうん それはダメだ 何で？ 海砂が危険な目に 遭うからに 決まってるからだろう あたしの身を案じてくれるの？ 月君 われわれが勝てば 海砂さんは死にません　それに 手錠がある以上 運命を共にするんですよね では　早速ですが　松田さんには 死んでもらいましょう 海砂さん　行ってらっしゃい はーい ミサミサでーす ヌードにはなりませんが 水着や下着までなら オーケーです よろしくお願いしまーす うむ　本物はもの凄く可愛いな 今は　そういう問題じゃ ないんじゃないか はーい　飲んで　飲んで これは天国だな 海砂さん　けっこうやりますね キャー！ 何だ？ いやー　酔った　酔った さあ　皆さん　お待ちかね 松井太郎ショーターイム おい　何するつもりだ キャー　松井さん　ガンバ よっと やめろって 危ない　バカ！ 大丈夫ですよ うわー！ 落ちた ヤバイぞ オー　ノー！ ドンと音がしたから 来てみたら大変 １１９　１１９！ まったく嫌な役だな 皆さん　ここは私たちに任せて 早くお帰りを えっ　そんな 大丈夫です ＣＭだけ　お願いしますね 人手がないとはいえ私まで こんなの嫌ですよ 松田のバカ 会議が終わっても 家に帰れば犯罪者裁き キラは忙しいな しかし　面白くなってきた 私は　弥海砂を妻に迎える 金　地位　そして美しい妻 はたから見れば 羨ましい限りだろう 結婚したら　保険金を たんまり掛けてやる まさか　こんな卑劣な奴に 神経使う でも　上手く行ってるし 頑張らなきゃ な…　何これ　お化け？ 海砂　今お前はヨツバの者に いつ殺されてもおかしくない 危険な状況にいる それを伝えに来た 落ち着いて聞いてくれ 落ち着けったって　このお化けの 方が海砂を殺しそうじゃない 私は海砂の味方だ 私の味方… あなた何？ ストーカーじゃないのは 分かるけど 全然　人間に見えない 当たり前だ　私は死神だ お前は一度 私と行動を共にした 言ってる事　全然分からない デスノート 人の名前を　そこに書き込むと 名前を書かれた人間は　必ず死ぬ そのノートで夜神月は 犯罪者を裁いていき キラと呼ばれる存在になった そして　海砂もキラと同じ いや　それ以上の力を持っていた 月がキラで 海砂が第２のキラ？ 竜崎　当たってんじゃん これから面接に戻れば 海砂には誰がキラなのか 分かるはずだ こいつは特に信用するな トイレ長くなっちゃって すみませーん お化粧もバッチリ直してきました いいな　海砂が戻った時 私の前に座っている男がキラだ レム　レムの前の人がキラね 火口がキラ…　最悪 火口卿介 この間　接待した時以来 一番しつこく誘いのメールを 送ってきたスケベオヤジ こんな奴がキラだったなんて ホント最悪 海砂ちゃん そろそろ食事に行かないか ん？とか言って 変な所に連れ込まないですよね まあ　変な事されそうになっても 海砂　人を殺せるから 大丈夫だけど 何を考えているんだ　海砂 これは　夜神月の 言う通りの行動なのか？ ハハハハ　面白い事言うなあ 海砂ちゃんは　人を殺せる？ 本当だもん　だって海砂は 第２のキラだから 海砂　キラのお嫁さんに なるのが夢なの キラも絶対　海砂を 必要としてるわ 第２のキラなら さくらＴＶの事件から 死神の目を 持っているのは明らかだ もし　これが本当なら この娘は何としても 俺の側に置いておきたい 試してみるか 金欲銀造　大手サラ金会社の社長 ひどい取り立てで有名で 場合によっては 保険金で払わせる悪党だ どうだ？ 死んだかどうか すぐ確かめられる？ 電話すれば分かる じゃあ ちょっと　あっち向いてて 海砂　私が金欲銀造を 殺すんだな それで火口を信用させる いいだろう はい　もう死んでるよ ヨツバの火口だ クソッ 今　社長が倒れて息が 後にしてくれ ねっ 私が指名した人間を 今　この場で これは力を持っていなければ 絶対にできない 決まりだ で　俺がキラなら結婚するんだな じゃあ　証拠 俺は　家に帰らないと殺せない 分かるだろ ああ　それじゃダメね 海砂を火口さんの家に 連れ込む魂胆かもしれないし あっ　分かった じゃ　逆に犯罪者 裁くの止めてみてよ キラなら止められるはずでしょ？ で　海砂が裁き始めてって言ったら裁くの　それなら信じるよ 犯罪者裁きだけは　キラの 意志でしか動かないはずだもん なるほど　名案だな 分かった 俺はキラだから　海砂ちゃんに 信用してもらうために 今から犯罪者裁きを止める そして　俺がキラだと 分かってもらえたら結婚だ と　いうわけで 火口がキラです 犯罪者の裁きを止めて３日 そろそろ　いいだろう これで第２のキラ 弥と結婚すれば 死神の目も手に入る そして　この俺が ヨツバのすべてを支配するのだ ん？ 火口　まずい　テレビを見ろ さくらＴＶだ では　その中の１人が キラなんですね？ はい　証拠も沢山あるんです 何だ　これは　どうせデマだろ さくらＴＶだぞ それが１番最初に ８人で会議していた所に 遭遇したと言ったんだ あいつだ 海砂のマネージャーだった 確か松井　なぜ生きている 大丈夫ですか もうやめますか いえ　もともと危険は承知です 正義のために殺されようと 最後まで頑張ります いいぞ　いいぞ あくまでもキラの発表は番組の 最後まで言うんじゃないぞ まずいな　いつ暴露されるか その発表は間もなくです チャンネルはそのまま コスメ　ミサ 小悪魔の艶　天使の輝き… 三堂　俺だ　さくらＴＶがまずい 参院にいるお前の親父から また　総務省に手を回して 番組を止めさせよう 私も見てるが　それは無理だ 誰も　この番組を信用してないし 逆に疑われる それに　もう何も 心配ないじゃないか さっき顔がテレビに映り あの松井太郎と確認できた 奈南川からテレビを見ろとの 連絡は皆に回っている ７人のうちの誰かがキラだから 松井太郎は　間もなく死ぬ そうか 松井太郎が本名でないと 分かっているのは キラである俺だけ それを言えば　キラだという事を バラす事になる 皆さん　もうすぐキラの正体が そうだな　じゃあな 明らかになります どうか　お付き合い下さい 番組の最後に言うのであれば まだ２時間ある 火口確認　所持品はバッグのみ 追います ここまでは　思惑通りだな はい さあ　どうやって殺すんだ 見せてみろ ダメだ　名前をメモしただけで 出るぞ ここでは殺さないのか 竜崎　押さえますか まだ　殺し方が判明していません もしかしたら　社内で 何かをするのかもしれません モニター１を火口の車内へ １秒でも早く松田さんを 殺したいはずなのに 冷静だな　火口は ３６　３７　３８　３９ ４０秒 キラは　殺人犯ですから 私は絶対に許しません クソー　死なない！ どういう事だ 死なないって言ったぞ もう殺しの作業をしたのか 名前を書く事が 殺しの行動なのか レム　取引だ 取引？本当にキラの力は 天からか何かの物なのか とにかく　様子を見た方が いいですね これで俺は最強だ これなら　いくらでも手はある 追います そこのポルシェ　止まりなさい 道路脇に寄せ　止まりなさい まずいわね 火口が白バイに捕まった スピード違反だ　免許証 ああ　分かったよ 全画面　火口の車内に 免許証　どこに入れたかな こんなのに 付き合ってる暇はない こら！ 火口が　白バイを振り切って逃走 こちら　交通機動隊 白バイがトラックに追突　大破 大破？事故死 まずいですね いや　それより 白バイ隊員の 名前をどうやって得たのかだ もしかすると 第２のキラのように顔だけで レム　取引… 違う　顔だけで 殺せるようになったのなら 顔を知っている松田も すぐに殺せるはず どうなっている　しかし 皆さん　火口をこれ以上動かすのは危険だと考え　確保に移ります しかし　火口は第２のキラ同様 顔だけで殺せるキラになった その考えの下での確保です Ｌです　キラをある個人に 断定しました 現在　国道１号線　日比谷から 渋谷方面に向かっている 赤のポルシェ　９１１ 確保は　こちらでしますので そのポルシェに近づかぬよう 全警察官に通達願います 父さん　次のＣＭから第７対応だ 分かった では　夜神君 私たちも行きますか ああ 父さん　いよいよ火口は さくらＴＶに向かうようだ １５分足らずで着く　大丈夫か 息子に大丈夫かなどと 言われたくない 大丈夫だ　月 今　まさにキラの正体を 明かさんとする 勇気ある証言者である　あなたに 応援の電話　ＦＡＸが どんどん入っています 誠に申しわけありませんが 何？ 都合により　この番組は ここで終了させて頂きます 人形？まさか！ そこまでだ　火口 動くな 観念するのね 何か勘違いをしてませんか 私は　出目川さんと 打ち合わせたい事があって 今　名刺を 局長！ 火口は拳銃を所持 局長が撃たれました 火口　逃走 大丈夫だ 仕方ありません 私たちも直接確保に移ります ワタリ　用意はいいですか はい そこまでだ 来るな！誰も来るな 終わったな はい　そうですね 火口　どうやって殺人をしてきた 言うんだ ノートだ ノート？ 信じられないだろうが 顔を知っている人間の 名前を書くと 書かれた人間が死ぬノートだ ノート… 夜神さん ああ 火口のバッグの中にあった 確かに人の名前は書いてあるが 格別変わったノートでは どうしたんだ　父さん ああ　これは… どうやらノートを触った者にしか 見えないらしい 化け物が… 死神…　ですね 本当に…　いたんですね ノート… 青山でノートを見せる 竜崎　僕にもノートを 殺人の手段　キラ　第２… ２冊 ノートは２冊以上　存在している まだ終わってない うわあー！ 大丈夫ですか 誰だって　あんな化け物には驚く 竜崎 はい まずは　ここに書かれている 人たちと 犠牲者の名前を照合してみるよ え？はい まあ　そうですね 勝った 計画通り 火口 竜崎　火口が 何だ　どうしたんだ おい　火口 何をやっているんだ　父さん もし　ここで 火口に死なれでもしたら ま　まさか…　いや　しかし これはもう ああ　死んでるさ 次は竜崎 お前だ 月　思い出したよ このノートを使っていた時の事 海砂　君がこの手紙を読む頃には すべて思い出しているはずだ 月からの手紙 東応大学で流河旱樹と名乗った 僕の友人を覚えているか 彼の本名をノートに書き 葬ってほしい そして　この手紙はすぐに燃やし ノートも　数ページだけを隠し持ち ノート自体は埋めておくように それと　次に僕に会った時 ノートの切れ端を 自然に触れさせてくれ これに従ってくれたら 僕は弥海砂を 一生愛する やったー そうか　これが月の計画 海砂に　このノートを持たせ 記憶を戻し 流河旱樹 竜崎を殺す これで月の障害が１つ消え 海砂は月の力になれて… ダメだよ　月 名前なんて覚えてないよ １日　何十人 何百人の名前と寿命が 見えてたんだもん あー　どうやっても思い出せない 海砂のバカー！ あっ ああー やっと　こっちに戻って来れた リューク　久しぶり 元気だった？ 悪いが 一応　俺もオス　照れる どうやら上手く行ったようだな ノートの所有権を　一度放棄し 記憶をなくし やがて　再びノートに触れて 記憶を戻す作戦 レムはその間　別の奴について 月がたどり着くのを じっと待った そして今頃　警察の奴らは ノートを見て 俺が月に書かされた 嘘のルールに 困ってるってわけか それでは　レムさん ノートに一度 名前を書き込んだ者は １３日以内に次の名前を 書き込まないと 死ぬというわけですか えっ　て事は　これで 月君もミサミサも 完全にシロって事ですね ああ　確かに ５０日以上　監禁され 今も監視下にある月君と弥 ２人がキラなら 今　生きているはずがない まったく　上手くやったもんだぜ 月の奴 あっ　そうだ　はい うわっ 月が持ってけって そんなに美味しい？ ああ 人間界のリンゴは　ジューシー って言うの？とにかくウマい 海砂も食ってみる？ 死神界のリンゴだ 美味しくなさそう まま　ひと口 あと　そうだ　リューク 私と目の取引して 砂！ 取引か？ 分かってるのか お前　一度レムと 取引してるんだぞ 半分にした残りの寿命を また半分にしていいんだな ああ　まあ　それは仕方ないよ あたし　覚えてなくちゃいけない 名前すっかりど忘れちゃってさ もう１回　見てこないと 月に怒られちゃうもん まあ　俺はいいけど あっ　ミサミサだ リューク なぜ海砂についている 海砂の寿命が さらに半分に減っている まさか　リュークと目の取引を 月 久しぶりだな　リューク 海砂　今の僕は 君と長く理想の世界で生きたい そういう気持ちなんだ 月　嬉しい 海砂　２人で犯罪のない 優しい人間だけの 新しい世界を創っていこう うん どうしました　竜崎 ん？ どうしたんだ きをつけて かみさまはみてる くらいよみちは てをつないでください ひとりでとおくにいても いつもみつけだしてくれる しってることは ぜんぶおしえてくれる わたしがおぼえてなくても なんどでもおしえてくれる でもぜんぶ わかってしまったら どうすればいいの？ どういう事だ また犯罪者殺しが 昨日だけで１６人 火口が死んでから 報道されたもの 片っ端っすね やはり火口がキラという わけではなかったって事か いや　火口が捕まるまでは 火口が　犯罪者を 裁いていたのは確かだ じゃ　また他のキラが 現れたって事に ああー　何で？ クソッ　キラめ ここでキラ　どうなってる 何て事だ 海砂しかいない 弥が自由になった途端ですね 竜崎　まだそんな事を 海砂は関係ないだろ 途端と言うなら 火口が死んだ途端だ そうですね まあ　もう１冊ノートがあって 誰かが使っているのなら その人間は　必ず捕まえます 死神は分からないと言ったが もし　ノートの切れた方に 名前を書いても殺せるなら 不可能ではない しかし　このノートに１度 名前を書き込んだ者は １３日以内に次の名前を 書き込まないと死ぬ 夜神月と弥海砂は生きている １３日　これだけが しかし　竜崎　ノートに名前を 書き入れた者を捕まえたとして ちゃんと大量殺人犯として 罪に問い　罰せられるのか？ いやあ 決まってるじゃないですか 人が死ぬのを分かっていて 何人もの名前書いたって事ですよ ノートの存在を公にすべきで ないのなら　抹殺するべきだ 抹殺とは穏やかじゃないが 上の方は　それに近い措置を 取るだろうな ノートによる殺人を認めれば極刑 少なくとも終身刑 そんなところですかね 何を考えている　夜神月 海砂が捕まれば　お前の身だって そういう事か 何て奴だ 夜神月は　私が海砂の命を 助けると確信してるんだ この状況で海砂を助けるには 竜崎の本名を 私が　私のノートに書くしかない そして　私が竜崎を殺せば 確実に海砂の寿命に 関わった事になり　私も死ぬ 夜神月の都合のいいように すべて出来上がっている どうする　レム 死神のくせに お前が海砂に入れ込んでる事は 十分　分かっている お前は　さらに寿命の減った海砂を見殺しにする事はできない 海砂の幸せを考えてやれ そんな所で何をしてるんだ　竜崎 そんな所で何をしてるんだ　竜崎 何してるんだ　竜崎 いえ　何ってほどの事じゃ ないんですが 鐘の音が 鐘？ ええ　鐘の音が　今日 凄くうるさいんですよね 何も聞こえない そうですか 今日はもう　ひっきりなしで 気になって仕方がないんですよ 教会ですかね　結婚式？ それとも… 何を言ってるんだ　竜崎 くだらない事　言ってないで 戻るぞ すみません 私の言う事は 皆デタラメですので 一言も信じないで下さい そうだな　竜崎 お前の言う事は　大概デタラメだ いちいち真面目に 取り合っていたら切りがない それは　僕が一番よく知っている ええ　その通りです　月君 しかし　それはお互い様でしょう どういう意味だ 生まれてから１度でも本当の事を 言った事があるんですか 何を言ってるんだ　竜崎 確かに　僕もたまには嘘をつく しかし　真実のみを口にして 一生を終える人間もまた いないんじゃないか 人間は　そんなに完璧に 出来上がってはいない 誰しも嘘はつく それでも僕は 故意に人を傷つける嘘だけは 言わないよう心がけてきた それが答えだ そう言うと思ってました あっ　竜崎　どういう事です ノートを死刑に使う承認を 某国から得たって ワタリ　よくやってくれました いえ 早速ですがノートを運ぶ手はずを 整えて下さい はい おい　竜崎　どういう事だ ノートを実際に 試してみるという事です 無理だ 今更　そんな事しなくても このノートの力は本当だろう 大体　誰が名前を書くんですか １度書いたら １３日以内の周期で 永遠に書き続けなくちゃ ならなくなる ノートに名前を書き込むのは そこから１３日以内に死刑と 決まっている者とし １３日経って生きていれば 死刑を免除させるという 司法取引をします しかし　人の命を… もう少しなんです これさえクリアできれば 一気に解決に結び付きます 何だ　停電？ ワタリ？ ワタリ！ データ消去　どういう事だ ワタリには　自分の身に もしもの事があった場合 全データが残らないように しておけと言ってあります もしもの事って… まさか 死神は？ そういえば　姿が… どこにもいない どういう事だ 皆さん　死神… 竜崎　どうしたんですか おい　竜崎 どうしたんだ しっかりしろ 何だ　どうなってる 落ち着け　月 殺される ワタリ　竜崎 後は僕たち クソッ！ 死神　どこだ　出てこい 月… お前は　何か知っているはずだ 出てこい！ 竜崎 葬儀は誰にも知らせる事なく われわれだけで執り行った そして　君を生きてるように見せ これまでと変わりなく 世界の警察を動かし続ける 必ずキラを捕まえてみせる 約束しよう 安心して眠ってくれ そうだ 必ず竜崎の敵は打つ この事件を解決する事が はなむけなんだ ワタリや他の犠牲者 すべての人のためにも 絶対に　僕が キラを死刑台に送ってやる 月君 松田 あーあ… ついに逝っちまったんだな　Ｌも じゃあもう　あまり 面白いものは期待できないな フフフ…　アハハハハ これで邪魔者はすべて消えた 他の者は僕を信じきっている 警察を支配するのも 時間の問題だ どうだ　Ｌ 完全に僕の勝ちだ 僕の勝ちだ！ 面白いものは もう期待できないだって？ リューク　そんな事はないよ これからは 新世界の創世を見せてやるよ 僕は新世界の 神だ あの時のお前は 神なんかじゃなかった あれは　むしろ… 行ったか… 行ってみるがいいさ 運がよきゃ　とんでもねえ奴が ノートを拾って 一生忘れられねえ おもしれえもんを見れるだろうよ そうだろう なあ　月

片想い＃01

1 ♬～ ≪(車の走行音) ♬～ ♬～ ♬～ (西脇哲朗)なあ やっぱり 無理なのか (西脇理沙子)えっ？ 終わってから 顔出すとか みんな 理沙子に会えるの➡ 楽しみにしてんだから 無理 仕事だもん 今日 空けといてって言ったじゃん ♬～ (ﾄﾞｱの音) みんなに よろしく 何？ いや… じゃ 今夜 遅くなるから ♬～ ♬～ (ｽｲｯﾁ音) ♬～ (ﾊﾟﾄｶｰのｻｲﾚﾝ) (警官)現場は どちらですか (従業員)こちらです ♬～ (従業員)この中です ♬～ ♬～ (クロ)えっとね ええ～っと…➡ いやらしい気持ち (男性たち)アハハッ！ (安西)へイヘイヘイ ヘーイ やっと ＱＢの登場だ～ (須貝)おい 哲朗！ 遅ぇよ～ 何飲む 何飲む？ 生 (須貝)生？ すみません➡ テキーラ下さい！ (安西)アハハッ！ バカ野郎 (松崎)あれ 哲朗… 哲朗 高倉は？ アッ 仕事 みんなに よろしくって (安西)また 今年も 野郎ばっかかよ (ゲンキ)お前が言うなよ (ユージ)お前もな (須貝)あれ？ 早田 がっかり？ (早田)なんでだよ (須貝)いや 別に… フフフッ (松崎)ちょっ… 何 それ？ 高倉？ ちょっと マジで？ (須貝)まあ いいから いいから… おい 乾杯し直そうぜ 乾杯 (一同)よし！ (須貝)エエー では➡ 我が部の元マドンナ 高倉理沙子に 乾杯！ (安西)そうじゃねぇだろ みんなの再会を祝って！ エンペラーズ オンスリー １ ２ ３！ (一同)エンペラーズ！ ♬～ (警官)お疲れさまです ♬～ (刑事)お疲れさまです (角田)アッ どうも 望月警部補 小松川東署 強行犯 角田です 現場は あちらです (鑑識係)ご苦労さまです ♬～ (ｼｬｯﾀｰ音) ♬～ (松崎)エエー 今年は 動画を持ってきました (一同)オオー！ (須貝)フゥー！ (松崎)はいはい はいはいはい… (一同)オオー！ (須貝)ウワッ 理沙子 若ぇ～！ (安西)かわいい！ (ユージ)かわいいな (本田)安西 お前 痩せてんじゃん (安西)うるせぇよ (ゲンキ)大したことねぇよ (安西)お前と比べんなって (ゲンキ)分かった 分かった… (早田)それ 美月？ (安西)ん？ (一同)ああ～ (松崎)そういや しばらく 美月とも会ってないよな (一同)うん (早田)あいつ 結婚したんだよな 何年前の話 してんだよ もう 子供もいるよ (安西) 結婚式の二次会やったじゃん (早田)ん？ (安西)お前 いなかったっけ？ (本田)早田 あれだよ アメリカいたとき あの～➡ ワシントン支局 (一同)ああ～ (安西)ワシントンな！ (須貝)結婚っていやぁさ 中尾の結婚式も すごかったよな すごかった (クロ)もうね 中尾じゃねぇし (本田)高城でしょ 高城功輔 (猪谷)まさかまさかの逆タマ婚 (安西) ｢品川セントラル｣で ２００人 ローストビーフ めっちゃうまかったよな～ (ゲンキ)うまかったよな！ (松崎)何 そこ？ (クロ)そこかよ！ (安西)そこだよ ってか 中尾は？ 今日 (クロ)だから 高城だし しつけぇな (松崎)連絡なし (安西)なあ あいつ 病気したって聞いてる？ ああ ちらっと (須貝)あのｴｰｽﾗﾝﾆﾝｸﾞﾊﾞｯｸがなぁ (松崎)うん (須貝)時は流れるねぇ (鑑識係)死後１２時間内外ですね 死因は 頸部圧迫による窒息死の疑いです ♬～ (猪谷) アアー このあとだよ このあと！ (松崎)アアー きた～！ 魔のラスト８秒！ (一同)アァ… (安西) ここで決めてりゃ 間違いなく➡ 西脇マジックって言われてたな また それかよ 俺 死ぬまでに 何千回 聞かされるんだよ (安西)いやいやいや 間違いなく お前は レンタルだったよ (２人)レンタル？ (ｹﾞﾝｷ)ﾚｼﾞｪﾝﾄﾞとか そういうこと？ (早田) 帝都大の西脇っていやぁさ➡ 学生リーグの３本指に入る ｸｫｰﾀｰﾊﾞｯｸっていわれてたのになぁ (本田)あのとき こいつじゃなくて 早田に パスしてりゃな… めでたく タッチダウンで 優勝だったのに (安西)ンンー (猪谷)ここ ここ➡ このあと このあと (松崎)アア… (電源を切る音) (一同)おい！ もういいって 見なくて！ (猪谷)なんで 消すんだよ (ﾎｲｯｽﾙの音) ｟ｴﾝﾍﾟﾗｰｽﾞ ﾋﾞｸﾄﾘｰ ｵﾝﾜﾝﾚﾃﾞｨ｠ (一同)｟よし！｠ ♬～ ｟レディー セット ゴー！｠ ♬～ (歓声) (須貝)｟バックだ！｠ (部員) ｟出せ！ ボール出せ！｠ (ﾎｲｯｽﾙの音) ♬～ ♬～ こんなに酔ってねぇだろ これ 絶対 (須貝)うるせぇ 早く帰れ帰れ➡ 帰れ帰れ もう (本田)じゃあな！ (須貝)じゃあな はいはいはい はい はい はい また来年な！ 気をつけて帰れよ (安西)麺は？ 麺は 麺は？ みんな 帰るの早くなったよなぁ まあ そんなもんだろ この年になったら なあ 行く？ えっ？ 締めは やっぱり あそこだろ １２番 西脇 かわして 前に出る！ 走った！ 走った 自分で行った！ 西脇 速い！ 追いつけない！ かわした かわした 抜けていく～ 速い 速い！ タッチダウン！ ウワァー 走れねぇ～ ハァ ハァ… アアー… (２人)ハァ ハァ ハァ ハァ… こんなことしてたら しまいには➡ 心筋梗塞で倒れたりして ハハッ ハハハッ！ ハハハッ！ いやいや いやいや 笑えねぇし フフフッ アアー… しかし しつこいねぇ 安西も えっ？ 酔うと いっつも あの話 最後の試合の ああ… ハァー… なあ なんで あんとき➡ 早田に パスしなかったんだ 早田 完全にフリーだったのに エンドゾーンの 左コーナーいっぱいの所 あそこで 早田にパスしてれば… なあ ん？ しつこいの お前じゃね ハハッ それもそうだな ンー… アァーア… 魔が差したのかな そういうことってあるだろ あのとき こうしてれば➡ もっと うまくいったのに なんで よりによってって… (ﾏﾅｰﾓｰﾄﾞ) 中尾だ もしもし？ なんだよ さっきまで お前の噂してたんだぞ いや もう解散した うん… 今？ グラウンド 須貝と一緒 うん 男は ほとんど来たよ みんな 相変わらず 美月と理沙子は来なかった うん… ってか お前 どうなんだよ？ 体調 なあ… 誰だ あれ ああ？ ♬～ (須貝)美月じゃねぇか？ 美月？ ごめん 中尾 ちょっと また掛けるわ (須貝)アッ やっぱり そうだ なんだよ 久しぶりだなぁ なんで 店に来なかったんだよ 美月 ちょうど 今 中尾と お前の話… ♬～ (日浦美月)こ… ここに来れば➡ ＱＢたちに 会えるような気がして… 話があるんだ 話？ うん どうした 美月 ひ… 人を殺した ♬～ エッ なんだよ それ なんかのネタ？ ちゃんと説明してくれ そうだよ 訳分かんねぇよ なあ なんかの冗談なんだろ 俺たちを驚かせようとして ＱＢの家へ行かせてくれないか ♬～ ♬～ ♬～ ハァ… (足音) ♬～ (ﾄﾞｱの音) ただいま ねえ 誰か来てるの？ 誰？ 美月？ 今 俺は…➡ 男として生きてる 男として？ １年前から… いや➡ それより ずっと前➡ 物心付いた頃から➡ 俺は自分のこと 男だと思ってた いや ちょ… ちょっと待てよ だって お前 あんとき 普通に女だったじゃん そりゃ ちょっと 男っぽいとこもあったけど そうだよ あれは違う 本当の俺じゃない ずっと みんなに うそをついてた 体は 女だけど…➡ 心の中は ずっと 男だった おととし 母親が がんで死んだんだ そのとき 俺は 男として生きようって決めた それまでは 母親を悲しませたくない➡ その一心で 娘として生活してた 子供の頃から ずっと 男だったっていうのか… そんな… 何十年も でも 美月 結婚して 旦那さんも… そうだよ 美月 結婚してんじゃないか 男の子がいるって なあ いくつになるの？ ８歳 けど これ以上 自分の気持ちに うそをつくことができなくなった 女として生きようとして 結婚もしたし 子供も産んだ でも… 無理だった 限界だったんだ １年前 離婚届を置いて 家を出た 最近 ホルモン治療も始めて… ホルモン治療？ 男性ホルモンを打ってる 男として 銀座の｢猫目｣ってクラブで➡ バーテンの仕事を そのクラブの客に ストーカーみたいなヤツがいて… 付きまとわれたの？ 俺にじゃない ホステスの香里って子に 付きまとって あいつは狂ってた… 日に 何十回も 電話を掛けてきて 香里を追いかけ回し 香里は 夜中に 一人で 家に帰るのが怖いって 警察には届けなかったのか？ 警察は そんなことぐらいじゃ 動いちゃくれない ゆうべも 俺は 香里を送って… ♬～ ≪(車の走行音) (美月の声)あいつは 変えたばかりの香里の携帯にまで (香里)｟どうしよう…｠ ｟あいつだ｠ 俺は 頭に血が上って ♬～ それで もみ合ううちに… ♬～ 殺したのか？ そんな気はなかった 気づいたら 俺の手の中で…➡ あいつは ぐったりして 息が止まってた ♬～ 自首するつもりだったんだ けど 急に➡ 今夜が 七夕会だってこと思い出して… 急に みんなの顔が見たくなった ♬～ 本当は どうしたらいいか分からない 考えると恐ろしくなって 震えが止まらないんだ… 抑えても 抑えても➡ 思い出す度 この手が… 俺は… 俺は なんてことを ♬～ 美月… 大丈夫 大丈夫よ… とにかく 今日は ここに泊まれよ そうよ そうしよう すまない… なんだか 何もかも信じらんねぇな… ああ 美月が男で➡ しかも 人を… けど もしも 美月の話が 本当だとしたら… 早めに 自首させた方がいいと思う そうだよ 正当防衛ってことだって あるだろうし 下の娘さ 今年 お受験なんだ 家のローンもあるし 冷たいかもしれないけど➡ 俺 これ以上 関われねぇわ 分かってる… お前の言うとおりだよ お前も あんまり 深入りしない方がいいぞ じゃあな こっちで 美月と寝ればいいのに しかたないじゃない 一人で寝るっていうんだから いいの？ じゃあ ソファで寝る？ それも おかしな話でしょ 私たち 一応 まだ 夫婦なんだし 美月には 哲朗のいびきが うるさいから➡ 別々に寝てるって言っといた (ｽｲｯﾁ音) なあ… どうする どうしたらいいと思う 答えが出るような問題だと思う？ 私にだって分からないわよ ただ… えっ？ 美月が男だってことは 驚いたけど➡ ｢やっぱり｣って気もした やっぱり？ 昔から 美月は➡ 私たちとは 何かが違ってるって思ってたから やっと その謎が解けたって感じかな (雨音) ｟ワアッ｠ (雷鳴) ｟クソ～｠ ｟アアッ｠ ｟なんだ これ ありえねぇ！｠ ｟ちょっと待って～｠ ｟マジか｠ ｟ビビった｠ ｟アｯ プレイブック びちょびちょ どうしよう どうしよう…｠ ｟美月｠ ｟アッ ありがとう｠ ｟ウワー びっちゃびちゃ…｠ ♬～ ｟はい これ着とけよ｠ ｟どうした？｠ ｟ねえ｠ ｟ん？｠ ｟しようよ｠ ≪(雷鳴) ♬～ ｟ＱＢは… 理想の男なんだ｠ ｟美月｠ ≪(雷鳴) ♬～ ♬～ ♬～ ≪(雨音) ≪(雷鳴) ♬～ ♬～ (ｽｲｯﾁ音) (ﾄﾞｱの音) ≪(ﾄﾞｱの音) ≪(ｽｲｯﾁ音) ≪(ﾉｯｸ) ≪ 美月？ ≪(ﾄﾞｱの音) ≪(ﾄﾞｱの音) ≪(ﾄﾞｱの音) 美月 アッ… ＱＢ お前 何やってんだよ これ以上 ＱＢや理沙子に 迷惑かけられないと思って… おい ちょっと待てって 放せ！ どこ行くんだよ 放してくれ 痛っ… 放せ ごめん ここに来た俺が悪かったんだ 美月 ≪ 勝手なことしないで 理沙子… とにかく 家に戻って 美月が 私たちのところへ来たのは➡ ｢ただ会いたかった｣から… それだけじゃないでしょう？ 美月のことは 私が守る 必ず守るから 美月を 一人になんかしないから 一人で苦しまないで 理沙子… ♬～ (ｱﾅｳﾝｻｰ)昨夜 午後７時ごろ➡ 東京 江戸川区 篠崎の廃品工場で➡ 身元不明の男性の遺体が 発見されました 発見したのは 同じ工場の従業員で➡ 遺体は スクラップボックスの中に➡ 隠すように 遺棄されていたということです 死亡した男性の年齢は ３０代から５０代 服装は 青いポロシャツに 黒のズボン 首には 絞められたような痕があり… この男か (ｱﾅｳﾝｻｰ)次のニュースです 昨日は ７月７日➡ 七夕の日… (ﾘﾓｺﾝの操作音) 香里って子のマンションは➡ 錦糸町だって言ってたよな ああ そこから 篠崎まで どうやって運んだんだ あいつの車で… 会社用のバンだ 香里さんとか いや… 彼女は 何も知らない じゃあ 美月 一人で… 車はどうした 乗り捨てた どこに？ 覚えてない 覚えてないって… どこで何をしたのか ほんとに覚えてないんだ 夢中で 遺体を 工場の空き地に運んで➡ それから 車に戻って➡ でたらめに走って どこかの路上に乗り捨てた 大体の場所も分からないの？ そのあとは？ 大きな通りへ出て➡ タクシー拾って 家へ戻った ハァ… 乗り捨てた車が見つかれば➡ 警察は すぐに 持ち主の身元を 突き止めるだろうな で その男が殺されて➡ 遺棄されていたと分かれば 香里さんが ストーカーに遭っていたことは➡ お店の人は知ってたの？ ママだけは ♬～ 抜いてきたのか!? ♬～ ほかには？ 携帯とか 捨てた どこへ？ 川… ♬～ 大丈夫よ 触ったって… ♬～ 戸倉明雄… 鉄工所の専務？ 親族でやってる 小さな会社だ 名前だけで ろくに働いてなかったらしい けど 遅かれ早かれ➡ 俺のところにも 警察が来ると思う 美月 あなた 悪くない 見てよ これ ひどい… ひどすぎる ♬～ 美月 あなた こんな卑劣な男のために➡ 人生台なしにすることない 美月 今 そのお店で なんていう名前なの 神崎ミツル あなたは今 男として生きてる そして これからも そうよね そして あなたを➡ 日浦美月 いえ 広川美月という➡ 主婦だってことを知ってる人は 誰もいない だったら どちらでもなくなってしまえば➡ 逃げきることだって 理沙子 お前… 何… 自首なんかすることない やっと 本来の自分の姿を 取り戻そうって決めたんでしょう 警察に捕まったら 女として扱われちゃうんだよ 捨ててきた家族にも 全部 ばれちゃうんだよ いいの？ それで だったら いっそ 別人になって… 何 バカなこと言ってんだよ！ 私は真剣よ けど お前 それとこれとは違うだろう！ 美月が男だってことと 罪を犯したことは ｢お前｣って言わないで！ そう呼ばれるのが いちばん嫌 私は 美月を守りたい それだけなの ずっと そう言ってるのに なんで分かってくれないの あなた 美月が どうなってもいいの そうは言ってないよ そんなこと言ってないだろ！ 俺だって 美月を どうにかしてやりたいよ っていうか➡ 美月が 人を殺したなんて思いたくないよ でも 罪を犯したことと➡ 美月の体のことは別だろう あなた いつだって そうね そうやって きれい事 言って でも ほんとは 自分を守りたいだけ 真実から 目をそらしたいだけなのよ うるさい 黙れ もういいよ やめてくれ 二人とも ケンカしないでくれよ… (ｲﾝﾀｰﾎﾝ) 誰？ どうしたの？ 中尾… どうして 中尾君が 美月 中尾君と会える？ (ｲﾝﾀｰﾎﾝ) ちょっと 行ってくる ♬～ オオ… 久しぶりだな どうした 急に (中尾)会いに来たんだ エッ… いるんだろう？ 昨日の夜 あのあと 気になって➡ 須貝に 朝 また電話したんだ そしたら ここで 遅くまで飲んだって あいつ なんか言ったのか 相変わらず フェイクの下手なヤツだよな ハハハッ… ハハッ… あいつ 美月には会わない方がいいって➡ 妙に言い張って 入れよ ただ 美月の姿を見て➡ 驚かないでくれ あいつは… まあ いいや 会えば分かる ♬～ 悪いけど ＱＢ 功輔と 二人きりにしてくれないか 二人で話したいんだ ああ 分かった 中尾君 痩せたね うん… 一瞬 誰か分からなかった 病気したって聞いてたけど そうだな 何 話してるんだろ… どんな気持ちなんだろ 元カノが 男だったなんて (ﾏﾅｰﾓｰﾄﾞ) 誰？ 須貝… はい (須貝)なあ➡ 中尾 そっち行った？ 来てるよ (須貝)悪い 言うつもりなかったんだけど➡ なんか 中尾がしつこくてさ つい それより お前 今朝のニュース見た？ ああ 驚いたよ あれだろ？ 篠崎の身元不明の… アッ どうも (小声で)篠崎の 身元不明の男の遺体ってやつ… うん (須貝)やっぱり そうか いや ああは言ったけど やっぱり 美月のことが気になってさ➡ 早田に電話して聞いたんだよ 警察の動きはどうなってるのか➡ 調べてほしいって 早田？ お前 早田に連絡したのか いや もちろん 美月のことは言ってないよ 現場の近所に 知り合いがいて 事件のことを怖がってて➡ 詳しいことを知りたいからって そしたら あいつ 調べてくれるって 細かい動きがあったら すぐ教えるって (ﾏｳｽのｸﾘｯｸ音) ♬～ (須貝)もしもし… もしも～し 哲朗 聞いてる？ 聞いてるよ お前 ほんとに… チッ… 気の利いたことしてくれるよな エッ そう？ フフッ とにかく 二度と 早田とは接触するな お前 あいつ 新聞記者だぞ (須貝の妻) ちょっと 何やってんのよ (須貝)フフフッ… (須貝の妻)もう～ (須貝)いや 分かってるよ だから 情報が入ると思って 約束しろ 二度と連絡するな どうしたの あのバカ…➡ 早田に 事件のこと問い合わせたらしい エッ… 早田の勘のよさは 半端じゃないからな 何かあったって気づかれるかもな ♬～ 美月から 話は聞いた 俺は 美月を刑務所に入れるなんて…➡ できない なんとかしてやりたい 中尾… ♬～ 美月… あなた しばらく この家にいて 中尾君 美月は預かる 美月➡ これからのこと考えよう 一緒に考えよう ♬～ ＱＢに 功輔 理沙子 何もなきゃ 最高の顔ぶれなのにな ♬～ (ｷﾞｱを入れる音) (ﾏﾅｰﾓｰﾄﾞ) アッ！ アァ… クッ… (急ﾌﾞﾚｰｷ音) アアッ… ハァ ハァ… ハァ ハァ… ♬～ (陸上部員) オンユアマーク セット… どうも 本日 取材に伺いました スポーツライターの西脇です よろしくお願いします (有坂)１２ １３… はい ラスト！ いいよ！ 頼み？ 俺に 写真を撮らせてほしいの えっ？ 今の美月を 私 撮っておきたいの ♬～ すごい選手 見つけましたねぇ 高校女子の新記録 出したそうじゃないですか (有坂)末永睦美のことですか はい (有坂)実は あの子➡ 試合に出られなくなるかも しれないんですよ えっ？ (有坂)体に… ちょっと 問題がありましてね なんと説明していいのか… 女ではあるんですが 男でもあるんです 男？ ♬～ (ｼｬｯﾀｰ音) (ｼｬｯﾀｰ音) うん いい感じ ♬～ (ｼｬｯﾀｰ音) 足 変えてみよっか ♬～ うん そのままで (ｼｬｯﾀｰ音) そんな感じで 目線だけ カメラの方に (ｼｬｯﾀｰ音) いい感じ ♬～ シャツ 脱げる？ ♬～ (真希子)ああ～ 戸倉さんの お知り合いなんですの？ (望月)ええ いい店だって聞いてね 一度 来てみたくて でも ちょっと早かったかな (真希子)いえいえ ありがとうございます さあ どうぞ ♬～ (真希子)何 召し上がる？ (望月)いや 下戸なんでね じゃあ ビールを (真希子)あら？ アハハッ じゃあ おビール 下戸なんで (望月)ノンアルコールで (望月･真希子)アハハッ！ (ﾎﾞｰｲ)かしこまりました (真希子) 戸倉さんとは お古いんですの？ (望月)いや そうでもなくてね… ごく最近 知り合ったばかりなんだ アッ… ああ そうなんですの ひいきにしてる女の子がいるって 聞いたんだけど… アアー 名前 なんていったかな… アア… 香里ちゃんかしら そうそう 香里ちゃん… ♬～ (香里)いらっしゃいませ 香里です (望月)アッ… 失礼します ♬～ (ｼｬｯﾀｰ音) 右手で 頭を抱え込むように うん そう (ｼｬｯﾀｰ音) そんな感じで (ｼｬｯﾀｰ音) 背中 見せて そう (ｼｬｯﾀｰ音) 顔だけ 少し右方向に (ｼｬｯﾀｰ音) その感じで (ｼｬｯﾀｰ音) ♬～ ラスト (ｼｬｯﾀｰ音) ♬～ ♬～ 女に戻って 女として振る舞う方が➡ 安全だと思わない 理沙子！ 俺は もともと男なんだ (中尾)お前 誰かに 本気で 助けを求められたことあるか？ 本気で 助けを求められたら なんとかするしかないだろ 戸倉の家で 美月の戸籍謄本が見つかったって (佳枝)どうして そんなもん持っていたのか… (泰子) でも 私 関係ありませんから 俺は記者だ 事件を知ったからには どんなことをしてでも➡ 真実を突き止めなきゃならない 俺たちは 別に… (早田) 俺は お前らの味方にはならない そのかわり➡ お前らのしていることを 詮索もしない 俺を男だと思うなら殴ってくれよ！ ＱＢ！ やめろ 美月 怒れよ！ ♬～ ♬～ ♬～

無痛～診える眼～＃06

1 [TEL](朋美)殺害現場の帽子から 採取した 毛髪と➡ 早瀬さんからもらった毛髪➡ 同一人物のものに ほぼ間違いありません｡ (早瀬)ホントに あの子が…｡ ≪(物音) (佐田)やった…｡➡ やってやったぞ！ ♬～ (為頼)高島さん！ 高島さん｡ 高島さん！ (太田)早瀬さん｡➡ 高島 菜見子が…｡ (男性)高島さん 聞こえますか？ (女性)高島さん 大丈夫ですか？ (男性)着きましたからね｡ もう少しですよ｡ 側頭部に挫創｡ 腹腔内出血を起こしてる｡ 脾臓を損傷してるんです｡ (白神)為頼先生 診えています｡ 落ち着いて｡ あっ…｡ すぐにオペの準備を｡ (一同)はい｡ (男性)移します｡ (一同)１ ２ ３｡ ≪(ドアの開閉音) それでは 始めます｡ メス｡ (女性)はい｡ コーピン｡ (女性)はい｡ 電気メス｡ (女性)はい｡ (太田)発見時➡ 被害者は これを 頭から かぶせられていたそうです｡➡ これ あの事件と同じですよ｡ ♬～ ♬～ くそったれが｡ (太田)発見したのは 為頼 英介… あの医者です｡ えっ…｡ ≪(橋本)ちょっと 困ります｡ まだ手術中なんです｡ ≪どいてくれ｡ (橋本)まったく…｡ 為頼先生➡ 被疑者の佐田とは 面識があったんですか？ どうして 放っておいた？ 先生なら見えてたはずだ｡ そいつの正体が… 犯因症が！ どうして 止めなかったんだ！ 診えなかったんだ｡ 佐田に犯因症は｡ えっ？ また あなたですか｡ 終わりました｡ 彼女は無事です｡ ですが しばらく安静にさせる必要がある｡ お引き取りを｡ 佐田は まだ逃走中だ｡ また あらためて お話 聞かせてもらいますよ｡ 南サトミの件も含めて｡ 今回の事件 現場の状況が まるで同じなんですよ｡ 半年前の石川一家殺害事件と｡ 佐田と南サトミ この２人には 何らかの つながりがある｡ 俺は そう にらんでます｡ らしくないですね 為頼先生｡ えっ？ 確かに 高島さんの傷は 軽くはなかったが➡ 助かる状況ではあった｡ 先生なら 診えていたはずだ｡ それにしても どうして 彼女が あんな目に｡ 私のせいです｡ えっ？ ♬～ 高島さん｡ 病院です｡ もう大丈夫です｡ (菜見子)私…｡ あっ… あの男は？ 今 警察が捜索中です｡ 面目ない｡ 俺のせいで 高島さんは…｡ 私 大丈夫ですから｡ 高島さん…｡ ごめんなさい｡ 怖かった…｡ (泣き声) ≪(菜見子の泣き声) (和枝)え～｡➡ ひどい目に遭ったのね 高島さん｡➡ はい｡ (和枝)英介君 ゆうべから寝てないんでしょ？ これ食べたら 少し休んだら？ 診えなかったんだ｡ 佐田に犯因症なんて｡ 診えなかった｡ なのに どうして…｡ もう そんな辛気くさい顔しないの｡ 高島さん 無事だったんだから｡ もう 英介君の方が 病人みたいじゃない｡ いや そんなことないよ｡ うつむいてたって しょうがないでしょ｡ やれること やるしかないのよ｡ んっ… これ 食べないんだったら 私がもらうわよ｡ いや 食べる 食べ…｡ うん｡ いただきます｡ [ｽﾋﾟｰｶ](男性)南区 金橋４丁目にて 巡回中の警官が➡ 被疑者 佐田 要造のものと 思われる車を 発見｡ (太田)どうやら 乗り捨てて 逃走した様子で｡ (太田)ホント くそったれっすね｡ ♬～ ♬～ (捜査員)佐田 要造は 元恋人の 高島 菜見子さんに➡ 悪質なストーキング行為を 続けていたようです｡ (涌井) 被害者から 話は聞けないのか？ (捜査員)それが➡ 院長の白神先生から 止められています｡➡ まだ 精神的なショックが大きく 安静にさせるべきだと｡ (涌井の舌打ち) (涌井)まあいい｡ 別の線から追う｡ (捜査員)はい｡ ≪(ドアの開く音) (捜査員)涌井係長 鑑識から報告が上がりました｡ (涌井) 現場に残っていた 佐田の靴跡｡ 半年前の石川一家殺害事件の靴と 同型のものであると判明した！ (涌井)今後は 石川事件とも併せて 佐田 要造の 行方を追う｡➡ 徹底的に洗え！ 以上！ (一同)はい！ (涌井)早瀬 どうして お前が ここにいる？ はっ？ 俺は 佐田 要造の 捜査…｡ そのヤマも うちが預かる｡➡ それにな➡ 問題のある刑事は うちには必要ない｡ どういうことですか？ (涌井)早く出てけ！ すいません｡ 課長が呼んでます｡ はっ？ おい｡ お前…｡ すいません｡ あっ…｡ 何だよ｡ (仁川)白神院長から うちに抗議が来たわ｡ えっ？➡ お前 あちらさんに 多大なご迷惑 掛けたそうやな！ 俺は 捜査をしてたんです｡ (仁川)ええかげんにせい！➡ お前は 別件の取り調べしとけ｡ 別件？ (仁川)お前に ぴったりのな｡ (女性)それがさあ➡ もう 超しつこい客だったわけ｡ だから 引っかいてやったの｡➡ おかげで爪が台無し｡➡ もう 見てよ これ｡ ヤバくない？ あっ あっ… うん｡ ヤバい ヤバい｡ ヤバい｡ (女性)でしょ？ あっ こっちの刑事さん ノリ悪い｡➡ つんつん｡ ぷんぷん｡ 怒っちゃや～だ｡ 後遺症の心配はありません｡ まあ 無理は禁物ですが➡ １週間ほどで 仕事に戻れるでしょう｡ (菜見子)ありがとうございます｡ しばらくは この部屋で 寝泊まりして構いません｡ 自由に使ってください｡ えっ？ (横井)院長｡ あんなことがあったんだ｡ 自宅には帰れないでしょう｡ 犯人も まだ 捕まっていませんしね｡ 横井君 すぐに手続きを｡ では そのように｡ (菜見子)あの こんな立派な部屋じゃなくても…｡ んっ？ 立派でない部屋が この病院にあると？ (菜見子) あっ… あっ いえ そんな…｡ 何も気にしなくていいんですよ｡ それから 南サトミさん… 彼女の件も➡ しばらくの間 主治医と私の方で 見ておきますから｡ 高島さん あなたは患者なんです｡ 体を治すこと それが 今のあなたの仕事です｡ ≪(菜見子)はい｡ 分かりました｡ (看護師)橋本さん｡ (橋本)んっ？ (看護師)高島先生 殺されるかも しれなかったんですよね？ (橋本) 痴情のもつれってやつでしょ｡➡ 男にだらしないから そうなるんです｡ ♬～ ♬～ (ゲンさん)それじゃ 先生 どうも｡ お大事に どうぞ｡ (ゲンさん)ありがとうございます｡ (和枝)よかったわね ゲンさん｡➡ お大事にね｡ (ゲンさん)はいよ｡ (和枝)あっ お酒は まだ駄目よ｡ (ゲンさん)うっ ホホホ…｡➡ ハハハハ はいよ｡ (ドアの開閉音) (和枝)はい｡ 午前の診察は終わりっと｡➡ 聞いてんの？ 俺 ちょっと 出てきます｡ んっ？ あっ…｡ はいはい はいはい はいはい｡ お水 お水｡➡ はい お待ち遠さん｡ 怖い｡ まるで 刑事さんの方が 犯罪者みたい｡ はっ？ 何 言ってんだ お前！ 先輩！ 先輩 落ち着いてください｡ 課長 今 県警本部に行ってて 今日は もう戻ってきません｡ 行ってください｡ ここは 俺が見ますから｡ 太田…｡ (女性)それ 私の水｡➡ ちょっと！ (太田)座ってろ！ 先生…｡ 事件のこと 教えてくれ｡ ♬～ 佐田の車から 石川一家殺害事件の 新聞記事が発見されました｡ それに そこにある佐田の靴跡も➡ 石川家にあったものと 一致したんです｡ 他にも類似点が多くあり➡ やはり 佐田は➡ 石川一家殺害事件と 関わりがあると➡ 警察は みています｡ それだけじゃない｡ これは まだ 俺しか知らないことですけど➡ 南サトミの毛髪… ＤＮＡ鑑定の結果➡ 石川家に残っていたものと 一致したんです｡ まさか…｡ あの日 南サトミは現場にいた｡ それだけは間違いないんです｡ しかし…｡ 彼女から犯因症は見えなかった｡ けど 今回のことだってあるでしょう｡ 先生は その目に見えるもので判断をする｡ けど 俺は刑事です｡ 科学捜査に基づく物証で 判断をする｡ 先生の その目は 絶対と言い切れますか？ 俺も それを確かめに来たんだ｡ えっ？ 高島さんの傷は ２つ｡ おそらく 最初に殴られ➡ そして 倒れたときに ここで 背部を強く打った｡ 傷が深かったのは むしろ 倒れて 偶然ぶつけたときの方だ｡ 例えば 佐田には 最初から➡ 高島さんを殺す気なんて なかったとしたら？ どういうことですか？ いや ただの 俺の言い訳かもしれない｡ 佐田から 犯因症が診えなかったことの｡ (イバラ)捜し物ですか？ (菜見子)えっ？➡ あっ はい｡ 携帯を｡ (イバラ)痛みますか？ 大丈夫｡ 心配してくれて ありがとう｡ (イバラ) 痛み なくなるといいですね｡ [TEL](バイブレーターの音) [TEL](バイブレーターの音) 《先生の その目は 絶対と言い切れますか？》 [TEL] カズさん？ [TEL](和枝)あっ 英介君？ 久留米さんの容体が…｡ (久留米の せき) 苦しいですね｡ ゆっくりと 呼吸しましょうね｡ ≪為頼です！ 久留米先生！ (久留米の うめき声) 骨転移による痛みだ｡ (大)じいちゃん！ じいちゃん！ (真理子)お父さん｡ 先生 鎮痛剤 投与します｡ はい｡ (久留米)必要ない｡ しかし…｡ (大)何やってんだよ やぶ医者！ 早く治せよ！ (真理子)大｡ (久留米の うめき声) 先生！ このままで… いいんだ｡ うっ…｡ (大)助けてよ！ 何で 何もしないんだよ！➡ 先生！ (真理子)大｡ (大) じいちゃん苦しんでんだろ！➡ 助けてよ！ 以前 お話しした 開発中の新薬です｡ この薬が認可されれば➡ 痛みに苦しむ 多くの患者を 救うことができるんです｡ (岡部)この薬の完成が 君の長年の夢だったな｡ はい｡ 先生に懸かっています｡ あとは 治験に入れればと｡ (岡部)任しときなさい｡ 厚労省には顔が利く｡ 私が話を通しておくよ｡ ありがとうございます 岡部先生｡ (岡部)うん｡ どうぞ｡ [TEL](バイブレーターの音) [TEL](バイブレーターの音) はい｡ [TEL](佐田) あっ… あっ 俺だけどよ｡➡ なあ 菜見子 どうしてる？ (佐田)何が どうなってんだよ｡➡ 何で 俺が 警察なんかに追われてんだ？ 申し訳ありませんが どちらさまでしょう？ (佐田)おい ふざけんなよ｡ なあ あんたがアドバイスくれたんだろ｡ 女は 押しとサプライズに弱いって｡ [TEL]だから あんな 手の込んだことしたんじゃねえか｡ けど 菜見子のやつ 倒れて 気 失ってよ｡ いや それだけなんだよ｡ なあ あんたの方から 警察に説明してくれよ｡ あそこまで事を大きくしろなんて 言ってないわよ｡ 全て そっちの責任でしょ｡ おい 何 言ってんだよ｡ ちょっと おい…｡ たす…｡ (横井)失礼します｡ おい！ ☎(不通音) ☎(不通音) [TEL](バイブレーターの音) ♬～ ♬～ ♬～ [TEL](バイブレーターの音) ≪(捜査員)現在 販売店の 特定をすべく 調査中です｡ ≪(涌井)分かった｡ (捜査員)どけ！➡ 係長 佐田の携帯ですが➡ 電源が切られているため 発信源は突き止められません｡ (涌井の舌打ち) (涌井)聞き込みを続けろ｡ (一同)はい｡ (せき) (久留米) 《このままで… いいんだ》 《倫子》 (倫子)《う～！》 ♬～ ♬～ ≪(ノック) どうぞ｡ 為頼先生｡ 少し お話が｡ ステージ４で モルヒネ投与も拒否ですか｡ ええ｡ 相当な痛みのはずなのに｡ その痛み 取り除いてあげたいですね｡ 私にとって 大事な人なんです｡ この薬が認可されれば 対症療法に 役に立つかもしれません｡ 開発中の新薬です｡ 痛みを取り除き 意識も明瞭に保つ｡ この薬は 私が目指す 無痛治療の 完成形といえるものなんです｡ よければ 詳しいデータを ご覧になりますか？ あっ はい｡ ☎ 白神だ｡ イバラ君｡ 何をしてるんだ｡ 輸血？ (イバラ) 僕は 痛みを感じないんですよね？ 君の血を輸血しても➡ 高島さんの痛みが 消えるわけじゃない｡ イバラ君 高島さんは大丈夫だよ｡ 安静にしてれば じきに 傷の痛みは消える｡ 問題は 心の方なんだ｡ 心…｡ あれが イバラという男です｡ あのとおり 痛みを感じない｡ 知らないんです｡ ええ｡ しかし 初めてですよ 彼が あんな感情を見せたのは｡ 心配してるのは 為頼先生も同じでしたね｡ 高島さんのことを ご自分の責任だと｡ 私は…｡ そして その久留米先生のことも｡ あなたは 本当に いろんなことを 背負ってしまう人だ｡ 診えるが故に｡ 時折 思うんです｡ 自分とは… この目とは いったい 何なのかと｡ われわれは 患者の症状が診える｡ いうなれば 本人以上に｡ だからこそ 絶望も見ることになる｡ われわれは 神じゃない｡ 治せないものは どうしても 治せないんです｡ はい｡ むしろ 見るたびに 突き付けられるんです｡ 自分が いかに無力な人間かを｡ しかし 患者にとっては➡ 自分の苦しみを 理解してもらえるだけでも➡ 救いになるのかもしれません｡ 救い？ あなたの存在を知ったとき 私は うれしかったんですよ｡ 優秀な医師としては もちろん➡ 同じ診察眼を持つ者として 初めて 分かり合える友人ができたと｡ 私は １人じゃないんだと｡ どこか 救われたような思いが｡ それと同じです｡ われわれは 治すことはできなくても➡ 救うことはできる｡ この目には 意味がある｡ 私は そう思うのです｡ 白神先生は どうして そこまで 思えるようになったんですか？ 先生は…｡ 為頼先生｡ その話は また ゆっくり話しましょう｡ あっ… はい｡ ♬～ ♬～ ♬～ [TEL](バイブレーターの音) ♬～ ♬～ お加減 いかがですか？ (菜見子)大丈夫です｡➡ サトミちゃんのことも➡ しばらくは 白神院長に 見ていただくことになって｡ そうですか｡ 前に 為頼先生が サトミちゃんに 言ってくれたじゃないですか｡ 心じゃなくて 体の不調なんだよ きっと良くなるよって｡ ええ｡ そのとき 私 うれしかったけど➡ 正直 ちょっと落ち込んだんです｡ サトミちゃんのこと ずっと見てきたはずなのに➡ 結局 私は 何も見てなかったんだなって｡ そんなことないですよ｡ えっ？ サトミちゃんにとっては➡ 菜見子先生が そばにいてくれたことが…｡ でも やっぱり 申し訳ないです｡ サトミちゃんに ずっと連絡できずにいて｡ 私 携帯 なくしちゃって｡ サトミちゃん さみしがってるかも｡ [TEL](バイブレーターの音) 彼女 誰と…｡ (仁川)早瀬！ お前 俺 言うたよな？ 言うたよ｡ 言うたわ！ お前 まだ 佐田 追ってんのか？ あっ… いえ 先輩は 僕と ずっと取り調べを｡ 嘘つけ！ 捜査本部から言われとんねん｡ お前が ちょろちょろ ちょろちょろ ちょろちょろ 動くから➡ 迷惑やいうてな！ 俺は…｡ ｢俺は｣やないねん｡ 太田！ お前も お前や！ (太田)はい｡ [TEL] (仁川)ちゃんと見とかんかい➡ 言うたやろが！ (太田)いやいや いやいや 僕は…｡ (仁川)｢僕は｣やないねや｡ 聞いてんのか 早瀬！ (太田)まあまあ まあまあ…｡ 先生？ [TEL]高島さんの携帯は 警察に保管されてるのか？ 携帯？ 現場に 彼女の携帯は？ [TEL]いえ そんな報告は 何も｡ だとしたら 佐田が持っているのかもしれない｡ [TEL](ｱﾅｳﾝｻｰ)警察は 被害者の元交際相手の男を➡ 傷害容疑の重要参考人として 捜索しており➡ 現在 放置された車や…｡ (佐田)チクショー…｡ [TEL](ｱﾅｳﾝｻｰ)逃走経路の割り出しを 急いでいます｡ チクショー…｡ [TEL](ｱﾅｳﾝｻｰ)逃走中の男の特徴は➡ 身長 約170cm｡ 黒色のジャンパー…｡ いったい どういうことだ 早瀬！ 高島 菜見子の 携帯から 佐田の 居場所が 分かるかもしれません｡ 佐田は 彼女の携帯を 持ってる可能性があります｡ 何？ (ノック) サトミちゃん 入るよ｡ サトミちゃん｡ 為頼です｡ 君の携帯を 見せてもらえないかな？ 大事なことなんだ｡ 君は 昨日から 高島さんと➡ メールで やりとりしてるかもしれない｡ でも その相手は 高島さんじゃない｡ 高島さんを襲った男が 彼女の携帯を奪ったんだ｡ それで 君とメールを｡ そこで 何を言われたのか 俺には分からない｡ でも それは 絶対に 高島さんの言葉なんかじゃない｡ サトミちゃん そこに 菜見子先生はいない｡ ≪(物音) やっぱり これは 高島さんじゃない｡ サトミちゃん ありがとう｡ (捜査員)係長！ 携帯の発信源が分かりました｡➡ 中区 港東４丁目16の２｡ (涌井)ここは…｡ 石川家だ｡ 出動！ (一同)はい！ (サイレン) ♬～ (刑事)配置 就きました｡ 突入｡ (男性)突入！ (男性)突入！ 佐田！ (涌井)２階も捜せ！ (一同)はい！ [TEL](バイブレーターの音) [TEL]早瀬です｡ サトミちゃんの携帯を確認した｡ やはり 佐田だ｡ [TEL]いないんです｡ えっ？ 高島さんの携帯はありました｡ けど 現場に佐田の姿がない！ じゃあ どこに…｡ ♬～ ♬～ サトミちゃん？ (菜見子)うっ…｡ ≪(エレベーターの到着音) ≪(ドアの開く音) ♬～ 高島さん！ 高島さん｡ サトミちゃん｡ (菜見子)うっ…｡➡ キャッ…｡ あっ あっ…｡➡ あっ…｡ (佐田)菜見子➡ ちゃんと説明しなきゃ 駄目じゃないか｡ みんな 勘違いしてるよ 俺たちのこと｡➡ あれは ただの 恋人同士の じゃれ合いなんだ｡ (佐田)そうだよね？ ☎ はい｡ 何？ (佐田)何で そんな目で見るんだよ 菜見子…｡ もう 私に近づかないで｡ ≪(足音) 佐田！ (菜見子)為頼先生…｡ (佐田)来るんじゃねえ！ サトミちゃん！ 何だ このがき…｡ 放せよ！ さっ サトミちゃん｡ やめろ！ (佐田)うるさい！➡ どいつも こいつも 邪魔ばっかりしやがって！➡ どけよ！ ぶっ殺してやる｡ 来るんじゃねえよ！ 先生… 駄目！ 殺してやる…｡ やってみろ｡ (佐田)何？ お前は口だけだ｡ 何もできやしない｡ 為頼先生！ てめえ！ やってみろ｡ (佐田)くそ…｡ ♬～ (佐田)チキショー！ ♬～ ♬～ (パトカーのサイレン) 周囲一帯を緊急封鎖！ 徹底的に捜せ！ (一同)はい｡ ≪(ドアの開く音) あっ…｡ 為頼先生 大丈夫ですか？ ああ｡ (菜見子)為頼先生➡ どうして あんな危険なこと…｡ 殺されるかも しれなかったんですよ｡ 出ていなかったんでしょう？ はい｡ やはり 佐田に 犯因症は出ていなかった｡ だから 刺さないはずだと｡ いや だとしても…｡ だとしても➡ 実際に刃物を持った人間に 向かっていくだなんて…｡ あなたは 自分の目を 信じることにしたんですね｡ ♬～ (佐田)これは…？ (イバラ)オペです｡ (佐田)お前…？ (イバラ)痛みとは 身体の組織の損傷による➡ 不快な 感覚的 情動的な経験…｡ (イバラ)他の刺激は 繰り返せば 慣れが生じる｡ だが 痛みだけは➡ 反復によって むしろ 増幅される｡➡ よって 痛みを経験したものは➡ 痛みの予感を恐れる｡ 記憶が 痛みを倍加させるのだ｡ (佐田)おっ おっ… お～…｡➡ 何を…？ ♬～ (イバラ)それでは 始めます｡ (佐田)やめろ…｡ ♬～ 捜索範囲を広げていますが 佐田の行方は まだ分かりません｡ いったい どこへ逃げたのか…｡ あっ ちょうどよかった｡ あの えっと…｡ 早瀬です｡ そうそう そうそう｡ あなたも食べていきなさい｡ はっ？ 朝ご飯ね 作り過ぎちゃったのよ｡ いや…｡ ほら 英介君も｡ はいはい 食べましょ 食べましょ｡ カズさん 悪いけど…｡ 今 そんな場合じゃないんですよ｡ ハァ～ 情けないわね 大の大人が｡ ご飯 食べる余裕もないわけ？ それじゃ 仕事できなくても 当然ね｡ じゃ 食べないのね？ ２人とも｡ (為頼･早瀬)食べますよ｡ ♬～ ♬～ ♬～ (菜見子)あっ… キャ～！ ＜このドラマの原作本『無痛』を 続編とセットにして➡ 抽選で 30人にプレゼントいたします＞ ＜奮って ご応募ください＞

屋根裏の恋人＃01

1 ♬(音楽) ♬～ ♬～ ♬～ (衣香)お願いします｡ ありがとうございます｡➡ こんにちは｡ (衣香)ようこそ｡ (杏子)見たわよ｡ 鎌倉マダム｡ (衣香)ちょっと 杏子｡ こんなの 持ってこないで｡ (杏子)お言葉に甘えて 彼氏も 連れてきちゃった｡ (衣香)初めまして｡ (晃)初めまして｡➡ 杏子さんから お噂は 伺っています｡➡ 高校時代から 一番 仲のいい 友達だって｡ (杏子)お互いの いいことも 悪いことも 知り尽くしてるの｡➡ 恋の遍歴とか｡ すねの傷とか｡ (衣香)私は 恋の遍歴は ないけどね｡ 杏子と違って｡ (杏子)悪うござんしたわね｡ 私は 傷だらけで｡ (晃)ちょっと 失礼します｡ (杏子)うん｡ (衣香)よく あんな若い子と 付き合えるよね｡ (杏子)仕事仲間とは➡ 付き合う主義じゃ なかったんだけど 向こうが➡ ｢好きになっちゃった｣って 言うんだもん｡ (衣香)杏子｡ モテるもんね｡ ＜女という生き物の 世界では 言いたくないことでも➡ 相手が 言ってほしいことを 瞬時に 察知し➡ 投げることが できて 初めて 交友関係が 成立する＞ それより これ｡ ｢西條 衣香さん｡ 鎌倉の 二世帯邸宅に➡ 証券会社 トップアナリストの 夫｣➡ ｢推定年収 2, 000万｣➡ ｢高校２年の 娘｣➡ ｢中学３年の 息子と暮らす 44歳 主婦｣ (杏子)ああー｡ こんな洋館に 住めるなんて 憧れちゃう｡ 何 言ってるのよ｡ 杏子こそ 仕事 ばりばりして 恋も 謳歌して➡ 楽しんでるじゃない｡ そんなこと 言っときながら➡ 若い男を アクセサリー代わりに してるなんて➡ ひどいって 思ってるんでしょ｡ 私には できないだけよ｡ (杏子)お利口さんの 衣香にはね｡ あっ｡ ねえ｡ できてんじゃん｡ おうちサロンの チラシ｡ 駄目？ うん｡ 駄目だね｡ あっ｡ 足が痛いの｡ えっ？ (杏子)新品の靴って➡ 新しい恋人との セックスと 同じで➡ なじむまでに 時間が かかるの｡ (女性)千鶴子先生｡ すてき！ (千鶴子)皆さんも すてき！ (杏子)千鶴子先生の挨拶 始まる｡ ドレス すてきね｡ ＜どこに いても 自分が 主役でいないと➡ 気が済まない女が 私は 嫌いだ＞ ＜そういう種類の 女たちは➡ まるで 自分が ドラマの 主人公のように 振る舞い➡ 当然のように 注目を 要求する＞ (誠)ありがとうございます｡ ありがとうございます｡ (千鶴子)わが家の 新しい当主 誠さんです｡ ３カ月前 主人が 突然 逝ったときには➡ この広い屋敷で どうやって 暮らしていこうかと➡ もう 暗たんたる 気持ちでしたが➡ 息子が 家族を連れて 引っ越してきてくれました｡ (誠)どうも｡ 誠です｡ (誠)生まれ育った家に 戻ってこれて 最高です｡ これから よろしく お願いします｡➡ ありがとうございます｡ (指を鳴らす音) ♬(音楽) (誠)えっ…｡ ♬～ (千鶴子)みんなも｡ みんなも｡ (千鶴子)すてき すてき｡ (誠)えーっ｡➡ 行っちゃうんですか？ (千鶴子)すてきよ｡ (千鶴子)衣香さん｡ うちで ベリーダンス 習わない？ 私は そんな衣装 とても とても｡ (千鶴子)そんなこと 言ってると ヤバいわよ｡ 更年期｡➡ 代謝 悪くなって おなか ぽっこり｡ お母さん｡ お若い｡ 誠さんは 私が この うちに 来たとき➡ まだ 難しい年ごろだったのに➡ 私を 母として 受け入れてくれたの｡ はい｡ だから どんなことがあっても 幸せになってほしい｡ 誠さんが あなたを 連れてきたとき➡ 私も お父さんも 気に掛かる点は あったんだけど➡ 反対しなかったのは あなたが 物欲しげだったからよ｡ えっ？ あなたは 何にも 持っていなかった｡ 空っぽだった｡➡ 自分で成し遂げた 仕事も｡ 温かな家庭も｡ そして 自信も 皆無｡ だから 気に入ったの｡➡ 誠さんが 好きに 染めていけばいい｡ (誠)すいません｡ すいません｡ (誠)ママ｡ ママも 踊ろうよ｡ えっ？ (千鶴子)衣香さんじゃ 無理よ｡ ＜世の中には 人の心など お構いなしの➡ 高慢な女も 存在する＞ ＜思ったことを 理性の検閲を通さず 口にする＞ ＜そういう女たちも 私の嫌いな部類に 分類される＞ (千鶴子)どうぞ 皆さんも 楽しみましょう｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ≪(誠)ママ｡ うん？ (誠)ありがとな｡ うちの社からも 大勢 押し掛けて 大変だろ｡ いいのよ｡ こんなときじゃないと 日ごろの お礼も言えないし｡ (誠)でも ホントに いいのか？➡ 千鶴子さんと 別棟とはいえ 同じ敷地に 同居なんて｡➡ あの人 俺には 優しいけど 鬼の姑タイプだぞ｡ パパが 分かってくれてたら いいのよ｡ 私たちに 母屋を譲って 離れに 移ってくださったんだもの｡ ありがたいわ｡ よっ｡ よいしょ｡ (悲鳴) ≪久しぶり｡ 樹君？ (瀬野)衣香｡ どうして？ ごめん｡ 驚かして｡ 借金の保証人になって 追われてる｡ ヤバいところから 借りてたみたいで➡ 捕まったら 殺される｡ えっ!? 人生 終わりだと思ったら➡ 衣香の顔が どうしても 見たくなって 来てしまった｡ 衣香｡ 俺 どこにも 行くところが ないんだ｡ かくまってくれないか？ そんなこと できるわけ ないじゃない｡ 家族が いるの｡ 分かってる｡ 出ていって｡ 衣香｡ 早く｡ お願いだ｡ 衣香｡ 君には 迷惑を掛けないから｡ 迷惑を掛けないって こんなとこ 見られたら…｡ ずっと 衣香のことは 忘れたことは ないんだ｡ 忘れられなかった｡ 何 言ってるの？ 突然 姿を消したのは あなたよ？ 本当に 後悔してる｡ やめてよ｡ ≪(千鶴子)衣香さん！ (千鶴子)あっ｡ ここに いたの？➡ 誠さんの会社の皆さん お帰りよ｡ (千鶴子)どうしたの？ 変な顔して｡ いえ｡ ご挨拶 行ってきます｡ (千鶴子)うん｡ ♬～ ♬～ ＜世の中には 妻に 挑戦状を 送りつける➡ 浅はかな女も 存在する＞ ＜自分の方が この男に 愛されているのだという 誇示だ＞ 参ったなぁ｡ 仕事で 女の子のいる店に 行ったんだ｡ 最近の子は いたずらが 過ぎる｡ 気にしてない｡ お仕事でしょ？ 分かってくれて 助かるよ｡ 会社のやつらも 言ってた｡ ママは 美人で 優しくて 理想の奥さんだって｡ ♬～ どうした？ うん｡ 最後は 去年の お花見の日だった｡ 寝よう 寝よう｡ あしたも 都心まで 通勤列車だ｡ ＜世の中には 夫も 子供も いるのに➡ 胸に ぽっかり 穴のあいた➡ さみしい病に かかっている女がいる＞ ＜そんな女が 私は 世界で 一番 嫌いだ＞ あしたは 勇人の進路相談｡ 推薦 もらえるよう ママも 頑張らなきゃ｡ どうした？ えっ？ 何 これ？ 血じゃないか｡ (滴り落ちる音) えっ？ パパ!? ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ 結構 広いのね｡ キャー!? (誠)どうした？ ♬～ この釘で 死んだんだな｡ あっ｡ はい｡ パパ｡ (誠)ああ｡ はい｡ (誠)懐かしいなぁ｡ 親父と ケンカしたら➡ よく ここに 隠れたもんだ｡ ふーん｡ (誠)ネズミで よかった｡ もしかして➡ 千鶴子さんが 人でも殺して 隠してるんじゃないかと➡ ビビった｡ まさか｡ やめてよ｡ 変な冗談｡ (誠)気を付けろよ｡ うん｡ (誠)よいしょ｡ ≪(きしむ音) あっ｡ ≪(誠)どうした？ ♬～ しーっ｡ ママ？ あっ｡ 何でもない｡ ♬～ ♬～ ≪(開く音) ♬～ どうして？ 奇麗だ｡ 衣香は 変わらず 奇麗だ｡ やめてよ｡ みっともないよな 俺｡ こんな ざまで 衣香に会うなんて｡ 勝手に 忍び込むなんて どういうつもり？ 犯罪よ｡ ホントに 行くところが ないんだ｡ 事が 落ち着くまで ここに いさせてもらえないか？ そんなこと できるわけ ないでしょ｡ ここなら 誰にも 見つからない｡ 僕の存在を 知るのは この世で 衣香だけ｡ 何 言ってるの？ 警察 呼ぶわよ｡ いいよ それで｡ 衣香の手で 葬られるなら それで いい｡ 葬るだなんて｡ やつらに 見つかったら どうせ 殺される｡ お願いだ 衣香｡ こよい 一晩だけでいい｡ 君のそばに いさせてほしい｡ 朝になったら 出ていくから｡ ≪(閉まる音) パパ｡ コーヒー お代わりは？ (誠)うん｡ あっ｡ おはよう｡ (勇人)姉ちゃん｡ 俺のハンバーガー 食べただろ？ (帆花)はっ？ (勇人)塾の帰りに 買っといたのが 消えたんだ｡ (帆花)何で 私が？ いつ？ (勇人)えっ？ そのハンバーガー なくなったの｡ (勇人)寝てる間に｡ (帆花)何 言ってんの？ そんなの 取るはず ないでしょ｡ 勘違いじゃない｡ ほら｡ 帰り道に 落としちゃったとか｡ (勇人)いいよ｡ 信じてくれないなら｡➡ どうせ 幽霊でも いるんだ｡ この家｡ いってきます｡ (帆花)あっ｡ ヤバい｡ いってきます｡ いってらっしゃい｡ (誠)ああ｡ 俺もだ｡ パパ｡ 今日｡ (誠)分かってる｡ 早く 帰る｡ (誠)じゃあ いってきます｡ いってらっしゃい｡ ≪(ドアの開閉音) ♬～ ≪(チャイム) ああ｡ はい｡ (杏子)私｡ 入って｡ (杏子)サンキュー｡ (杏子)広い お庭｡ お待たせ｡ お母さんの資産運用で 来たって？ そう｡ この前 聞かれちゃって｡ ｢フｧイナンシｬル プランナーって もうかるのか？｣って｡ で 答えたの｡ ｢私の仕事は➡ お客さまに もうけさせるのが 仕事です｣って｡ そしたら ｢一度 来て 話を聞かせてくれ｣って｡ 杏子に お世話になれるような お金なんか ないよ｡ お父さんが 亡くなって 残ったのは この家だけ｡ 衣香｡ まさか 知らないの？ 何を？ 他に 何か あるの？ 駄目｡ 千鶴子先生に 叱られる｡ やだ｡ 教えて｡ 誰にも言わないから｡ 女の ｢誰にも言わない｣は➡ 誰かに言う可能性が あることだって➡ 教えてくれたのは 衣香よ｡ よく そんなこと 覚えてるわね｡ 覚えてるわよ｡ 衣香のことなら｡ 衣香の前カレ 樹君のこととか｡ 何で そんなことが 出てくるのよ？ 急に｡ もう 何年も 話したこと ないじゃない｡ 樹君から 乗り換えて よかったと 思って｡ 乗り換えてなんか…｡ こんな すてきな家に 住めて その上…｡ もし 千鶴子先生が 亡くなったら ３億よ｡ ３億？ 保険 掛けてたんだって｡ それで 受取人 千鶴子先生 指定してたらしい｡ 嘘？ ホントよ｡ 面白いわね｡ 家族が 一番 知ってなきゃならない 秘密➡ 知らないんだから｡ 大丈夫よ｡ 千鶴子先生が 亡くなるまでに➡ 私が しっかり アドバイスして もっと 増やしといてあげるから｡ もしもし｡ (谷崎)幸せな出会いを 届ける カｯプリングチｬｯトの 谷崎です｡➡ リサさん｡ 最近 登場率 悪いですよ｡ すいません｡ 今から 始めるところです｡ (谷崎)そぶりだけして うまいこと 言って➡ 会わないんで いいんだから 頑張ってよ｡➡ 借金 あるんでしょ？ はい｡ (悲鳴) 《久しぶり》 ♬～ ♬～ ｢パパへ｡ 17回目の 結婚記念日です｣ ｢いつも 家族のために➡ 一生懸命 お仕事してくれて ありがとう｡ 衣香｣ (誠)もしもし｡ 今日は 駄目だって 言ったろ｡ そこまで 分かってて｡ わがままだ｡ 分かったよ｡ (メールの着信音) えっ？ ｢今日は ママの誕生日よ｡ 結婚記念日でも あるのよ｣ ｢パパも 早く 帰ってくる…｣ (メールの着信音) えっ？ ♬～ ≪♬(『Ｇ線上のアリア』の演奏) ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ 好きって 言ってたよね？ この曲｡ ♬(『Happy Birthday to You』の 演奏) やめて！ どうして？ どうして こんなことするの？ 誰かに 気が付かれたら｡ 誰も 気付きはしない｡ えっ？ 世の中に 忘れ去られた者が 集う｡ それが 屋根裏だから｡ あなたに おめでとうを 言いたかったんだ｡ 何を いまさら｡ あの日 18年前 言えなかったから｡ あれから ずっと 俺の時間は 止まってる｡ そう｡ 18年前の 今日だったよね？ 誕生日 お祝いしてくれるって レストラン 予約してくれて｡ でも あなた 来なくて｡ 突然 いなくなったよね？ 何が起こったのか 全然 分からなかった｡ 行くとこないからって➡ 人のうちの 屋根裏に 忍び込むなんて あり得ない｡ 出ていって！ 衣香｡ ごめんよ｡ ≪(誠)おーい｡ どこに いるんだ？ ママ？ やめて｡ 出ていって｡ ≪(閉まる音) 今夜は ごめん｡ 会食が入って➡ 社長が どうしても 同行してくれって言うもんだから｡ 大丈夫よ｡ パパが 一生懸命 お仕事してくれてるのは➡ 私たち 家族のためだって 分かってるから｡ よかった｡ この埋め合わせは 必ず するから｡ また 行ったの？ えっ？ この間と 同じ香水だから｡ ああ｡ そうなんだよ｡ 最近の接待は キャバクラばっかりで 疲れる｡ ♬～ ＜世の中には さみしさを 感じないよう➡ 心に 鍵を掛ける 女がいる＞ ＜家庭という おりの中で 臆病になってしまった 女は…＞ ＜そうすることでしか わが身を 守れない＞ ＜侵入者の抱擁に➡ 罪深く 甘美な においを 嗅ぎ取ったことさえ 恐怖になる＞ ≪(開く音) 出ていってって 言ったはずよ｡ 出ていこうと 思った｡ そして 出ていった｡ いるじゃない ここに｡ 衣香のことが 頭から 離れなくなって➡ 気が付いたら 戻ってきてた｡ 嘘｡ 嘘つきは 衣香の方だ｡ 何が 言いたいの？ 俺が知ってた 衣香は➡ 臆病で 不器用だったけど 真っすぐだった｡ 今の 衣香は 嘘だらけだ｡ ここは 嘘の上に 成り立っている 氷の おうち｡ 何 それ？ 見た目は うっとりするほど 奇麗だけれど➡ あっさり とける｡ そんなに 嘘を ついてまで 守る価値が あるもの？ 何 言ってるんだか 分からない｡ 杏子だっけ？ 何で あんな人と 付き合ってるの？ 杏子は 長い 付き合いだし 口が悪いだけで…｡ 心の中で 衣香のことを バカにしてる｡ 意地悪 言われて 楽しいの？ 別に 楽しくは ないわ｡ だけど あなたに そんなこと 言われる 筋合いもない｡ バイト｡ えっ？ バイトしてるよね？ 出会い系の サクラ｡ お金が 必要なんだよね？ 何のため？ 家族に隠れて バイトして➡ 世間には おうちサロン 開業する セレブ妻のふり｡ そして 愛され妻のふり｡ 何 言ってるの？ 旦那の心が➡ もう 自分には ないんじゃないかと 思ってるんだろ？ そんなこと｡ 興味が ないんじゃないかって｡ そんなことないわ｡ 浮気してるんじゃないかとさえ➡ 疑ってる｡ なのに 何にも聞かないで 作った笑顔 張り付かせて｡ 俺は そんな あなたを 見ていられない｡ 何 バカなこと｡ 昔の あなたは➡ そりゃ つらいことも あったけど 心から 笑ってた｡ どうして そんなに 心 閉じ込めてるの？ 悲しいのに 泣かないで 怒ってるのに 平気なふりして｡ 何を守ろうと しているの？ 世間体？ プライド？ 衣香に 笑っていてほしいんだ｡ 俺の願いは ただ それだけ｡ いまさら あなたに 何が できるの？ 出ていって｡ 出ていってよ！ 今の 衣香には 俺が必要だ｡ やめてよ｡ 私には…｡ 衣香の心は 助けを求めてるんだ｡ 俺には 聞こえる｡ あなたの悲鳴が｡ やめてよ｡ 俺が守る｡ 壊れそうになっている あなたの心を｡ ＜世の中には 嘘を つくことでしか➡ 生き延びられない さみしい女がいる＞ ＜家族への嘘｡ 世間への嘘＞ ＜しかし それは 許される嘘だ＞ ＜最も許されないのは 自分への嘘＞ ＜自分の心に 嘘を ついた途端➡ 何が 本当に 欲しいものなのかさえ➡ 分からなくなってしまう＞ ＜それは 愛なのか？ 欲望なのか？＞ ＜嘘を つき過ぎた女には 分からない＞ ≪(チャイム) ≪(閉まる音) ♬～ はい｡ (和田)すいません｡➡ 東京の 葛西中央署の 和田と 申します｡ (岡崎)岡崎です｡ 警察の方が 何か？ この人 ご存じないでしょうか？ ♬～ ♬～ (和田)ご存じないですか？ はい｡ この人が 何か？ (和田)３週間前 江戸川の河原で 遺体で 発見されました｡➡ 検視の結果 殺害の可能性が 高いんですが➡ この方の部屋から これが 発見されまして｡ (和田)被害者の方は 東京の 中央区に 居住｡➡ 投資で 生計を 立てていました｡➡ 鎌倉に住む あなたとの 接点が 分からないんです｡➡ なぜ 井沢さんは｡ ああ｡ この方の 名前です｡ 井沢 良雄さん｡ 彼は なぜ これを 切り抜いていたんでしょう？ まったく 分かりません｡ 本当です｡ 全然 知らない人です｡ そうですか｡ お邪魔しました｡ 《やめて！》 ≪《やめろ！》 《大丈夫ですか？》 (叫び声) 《うわ!?》 ♬～ ♬～

龍馬伝＃41

1 （英四郎） ここが　兄が→ 使うてよかと言うてくれた 離れですたい。 みんな　集まりや～！ （龍馬）仲間が増えたのぉ。 みんな　自分の藩を 脱藩した者ばっかりや。 脱藩した者が集まることにより→ 誰の命令にも縛られることのう 自由に　活動ができるがじゃき。 （太郎）わしらは　これから 何をするがですろうか？ 運輸　射利　投機　開拓。 つまり エゲレス語で言うところの　ビジネスぜよ。 （惣之丞）これからは 土佐藩の後ろ盾があるき→ 亀山社中の時以上に　大商いをし→ 自分らの食い扶持は 自分らで稼いでいくがじゃ。 けんど　それは　表向きのこと。 わしらが目指すがは 土佐と薩長を結び付け→ 大政奉還を成し遂げることじゃ。 おう！ はい！ これから　わしらは 亀山社中の名を捨て→ 海援隊と名乗るがじゃ！ 海から日本を守る　海援隊じゃ！ おお～！ えいのぉ！ 馬之助！ おお～！ これが　海援隊の旗じゃ！ おお…！ 立派じゃなぁ！ 陽之助！ ほんで　これが　海援隊約規じゃ。 ここにおる仲間は 助け合うていかんといかん。 仲間同士　足を引っ張ったり わがまま勝手は許さん。 もちろん　勝手に腹を切ることは 断じて　許さん。 えいのぉ！ はい！ 惣之丞。 おう！ 海援隊の旗揚げじゃ！ お～！ ♪♪～（テーマ音楽） ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ お～！ やるぞ～！ （弥太郎）やかましいのぉ！ やかましい！ やかましいわ　おまんら！ （惣之丞）おお　弥太郎かえ。 みんな！ 土佐商会の岩崎弥太郎じゃ。 呼び捨てにすな！ わしゃ　土佐商会主任じゃぞ！ （陸奥）何や　偉そうに。 海援隊とは　また格好つけよって！ おお　弥太郎。　えい名前じゃろう。 わしゃの　後藤様の命で→ おまんらの銭勘定を 任されたがじゃき。 何じゃと？ 金の出し入れ　もうけの計算→ 土佐藩から　おまんらに渡す給金も 一切　わしが仕切っちゃるがじゃ！ おお～！ 給金も出してくれるがか？ ああ！ （惣之丞）こりゃ　有り難いのぉ！ 後藤様に　感謝しいや！ ほんなら　陽之助 あれを　弥太郎に渡しや。 おお！　そうや！ あれじゃ　あれじゃ！ おう　おう　おう わしに　菓子折でも出すがかえ。 そうじゃのぉ 世話になる者には礼をせんとのぉ。 これ　頼んますわ。 うん。 …何ぜ　これは。 亀山社中のころからの付けが ようけ　たまっちゅうがじゃ。 よろしゅう頼むき。 付け？！ よろしくお願いします。 ああ　それとの　弥太郎。 いや　いや　ちょっと待ちや！ 船が欲しいがじゃ。 …船？！ わしら　海援隊の船じゃ。 ぼろ船は　いかんぞ。 みんな！　この岩崎弥太郎様が わしら　海援隊のために→ 日本を駆け巡る蒸気船を 用意してくれるがぜよ！ 待ちや　待ちや！ おお～！ 待ちや！ 頼むき！ なんちゅう　ぜいたくなことを！ 待ちや　おまんら！ 何じゃ　これ　大体！ 土佐藩の後藤象二郎殿が お見えになりました。 土佐藩の脱藩浪士 坂本龍馬なる者について尋ねたい。 伏見奉行所の知らせでは→ 寺田屋にて 奉行所の捕り方２名を射殺し→ 長州藩士と思われる男と共に逃亡。 更に　朝敵である長州と 薩摩の同盟を手引きした→ 不届き者である。 私の知っちゅう　坂本龍馬は→ 我が土佐藩の　れっきとした 藩士でございますきに→ 万が一にも　そのような大罪を 犯す者とは思えませんきに。 ならば　伏見におった 脱藩浪士の坂本龍馬とは→ 何者ですか？ 坂本の名を騙る 別人でございますろう。 まあ　後藤様 お一つ　いかがじゃ。 長崎名物　カステイラ…。 土佐藩参政　後藤の言葉を お疑いとは→ 無礼千万では ございませんろうか！ お奉行とて許せませんぞ。→ 今後は　坂本の詮議は無用に願う。 ならば　この龍馬の逃亡を 手助けしたという→ 龍という女子については 後藤様は何か…。 知らん。 お龍という女子も 長崎におるという噂が。 もう一つ　いかがじゃ　後藤様。 そんな女についても　知らん。 痛っ…！ ♪♪～ 大豆は要らん。　綿花も要らん！ 綿花も？！ 摂津の綿は上質なんですよ！ 今　買い占めておけば 後で必ず　値が上がりますばい！ アメリカも内乱が終わったきのぉ また　綿花を作り始めるがじゃ。 値が上がるどころか　暴落ぜよ！ これからは石炭じゃ　大浦屋。 石炭？ 実はのぉ　ある所で 石炭が見つかったがじゃ。 相当な石炭が埋まっちゅうらしい。 ええ…？！ いつまでも　外国に頼っちょっては 日本の金が出ていくばっかりぜよ。 自前の石炭で賄うことができたら 大もうけできるろう。 どきや　どきや。 どこで　石炭が見つかったと？！ （溝渕）才谷梅太郎が来たき！ こんにちは。 才谷梅太郎が来たき！ こんにちは。 ほう…。　ここが 土佐商会の主任の部屋かえ。 おう！　弥太郎。 何じゃ！ おお！　お慶さんではないかえ。 こんにちは　坂本さん。 こんにちは。 龍馬が　後藤様と 手を握ってくれた　お陰で→ 長崎の商人と　取り引き できるようになったがじゃ！ わしはのぉ　おまんらの付けまで 全部　払うて→ 船まで探しちゃったがじゃぞ！ おっ！ 見つけてくれたがかえ！ それはの　大洲藩が持っちゅう いろは丸ゆう船ぜよ。 大洲藩はの 船を譲るわけにはいかんけんど→ 貸すならえいと言いゆう。 （慶）新型船ね。 （溝渕）なかなかのもんじゃのぉ。 溝渕さんも　船に詳しかと？ わしか？ 全然　分からん！　アハハハハハハ！ まあ！　アハハハハハハ！ えい… これは　えい船じゃ　弥太郎！ この船にするき！ 交渉するがは　これからじゃ！ みんな！ わしらの船が見つかったぜよ！ おお～！ 船じゃ！ いろは丸　１６０トン　蒸気帆船じゃ！ おお～！ こりゃ　すごい！ 坂本さん　坂本さん！ おう　どういた　英四郎。 後藤様から　連絡のありまして。 後藤様？　どういた？ お龍殿のことで…。 お龍の？ はい…。 どうして　黙ったはるのどすか？ …おまんを　ここで 留守番させちゅうわけにはいかん。 後藤様が 奉行所を押さえたというたち→ わしが 許されたわけではないがやき。 いつ　何が起こるか　分からん。 おまんの身にものぉ。 …え？ お龍。 下関へ行ってみんかえ。 下関…？ そうじゃ。 長州におったら幕府は手を出せん。 それに　下関には→ おまんも　よう知っちゅう 三吉慎蔵殿がおるがじゃき。 嫌どす。 おまんのことが心配ながじゃ！ もう　寺田屋の時のように→ おまんを巻き込みとうは ないがじゃ。 頼む　お龍。 わしの頼みを　聞いてくれや。 頼む。 分かりました。 すまんの。 （弥太郎）＜龍馬と　お龍が 下関に着いたがは→ 慶応３年の季節が 冬から春へと変わるころじゃった＞ この部屋でございます。 おお　ここかえ。 有り難いのぉ。 こんな部屋まで用意してもろうて。 はい。 のぉ。 坂本さん！　坂本さん！ 坂本さん！ 三吉さん！ お元気そうで　何よりじゃ！ 三吉さんの方こそ！ 寺田屋では　命を助けてもろうて→ まっこと ありがとうございました。 いや　坂本さんは 長州の大恩人じゃありませんか！ お龍殿も　坂本さんの 女房らしゅうなってきましたね。 おちょくらんといて下さい。 ハハハハハハハ！ 三吉さん　木戸さんは どこに　おられるがですろうか？ 高杉さんにも はよう　会いたいぜよ。 …木戸様は 見舞いに行っておられます。 …ん？ 高杉様の具合が　もう…。 ♪♪～ こちらでございます。 高杉さん…！ よお　坂本さん　待っちょりました。 寝えちゃあせんで えいがですろうか？ 坂本君が来ると聞いて 床を上げさせたんじゃ。→ 医者からは 養生せえと言われちょるのに。 （高杉）養生しようがしまいが 長生きはできんのです。 好きにさせてつかあさい。 おうの　茶を出して差し上げえ。 はい。 ほんなら わしも　遠慮は　やめちょきます。 ハハハハハハハ！ それで　ええ。 高杉さん。 わしはの　長崎で 海援隊ゆうもんを作ったがじゃ。 海援隊？ 表向きは　土佐藩のために 働く隊じゃけんど→ ほんまの目的は…→ 異国や他藩と交易しながら 大政奉還を目指すがじゃ。 ほう… 土佐藩とは仲直りしたんですか？ 土佐の後藤象二郎ゆう参政がの→ わしが　大政奉還を目指すゆう話に 乗ってくれたがじゃき。 そりゃ　まことか！ うん！　ハハハハハハハ！ 木戸さん。 改めて　お願いがありますき。 長州も　土佐藩と共に→ 大政奉還を 目指してはもらえませんろうか。 容堂公は　何と？ 容堂公には まだ　この話は伝えちょりません。 （木戸）そうじゃろうと思うた。 容堂公を動かすには　長州藩 薩摩藩など　力のある藩を→ 土佐の味方にするゆうことを 示さんといけません。 そのためには　まずは長州が…。 （木戸）無理じゃ。 僕たちは　朝敵のままなんじゃ。 何を言うても　相手にされん。 ならば　力ずくで 幕府を倒すしかないんじゃ。 薩摩は　今→ 朝廷に　訴えかけちゅうがです。 長州を朝敵とした勅命を 撤回して頂くよう。 もう　同じことを 何度も言いとうない。 木戸さん！ 木戸さん！ 高杉さん…！ 僕の…　遺言と思うて　聞いてくれ。 何じゃ。 坂本さんは 奇跡を起こしてくれた。 馬関の戦いは　奇跡じゃった。→ 土佐藩の参政が　大政奉還を 目指しちょるというのが→ まことじゃとすりゃ→ それは　奇跡のような話じゃ。 容堂公も 賢君といわれる方であれば→ 時勢を見る目を　お持ちのはず。→ 大政奉還建白へと 動き出すかもしれん。 木戸さん…。 坂本さんの起こす奇跡に→ 我ら長州も 懸けてみてはどうじゃろうか。 いや！ いま一度→ 懸けてみてほしいんじゃ…！ 高杉さん！　大丈夫ですろうか？！ 高杉さん！　高杉さん…！ 大丈夫じゃ…。 あなた…。 （激しいせきこみ） 木戸さん！ 木戸さん！ （激しいせきこみ） 木戸さん…。 高杉さんは…→ あと　どればあ 生きられますろうか？ 医者は…→ 桜を見せてやりたいと言うちょる。 高杉さんは　桜らあ見たいと…→ 桜らあ見たいと思うちゃあせん。 高杉さんが見たいがは…→ 新しい時代に　ふさわしゅう 生まれ変わった→ そういう日本の姿ぜよ…！ そげなことは　僕も分かっちょる！ この国を　一刻も早く 生まれ変わらせるためには→ 武力で 幕府を倒すしかないんじゃ…！ 木戸さん…。 けんど…→ けんど　高杉さんは…！ どうか…！ どうか　お通し下さい！ お通し下さい！ お通し下さい！ この家には近づいてはならんと お触れが出ちょるはずじゃ！ 隣村の者でございます！ 高杉様のお姿を　一目見とうて…！ 高杉様に　これを…！ おまんら…→ 奇兵隊の者かえ？ はい！ みんな　高杉様の病が治るよう→ 毎日　お百度を踏んじょります！ どうか　お願いします！ お願いします…！ 高杉様！　高杉様…！ 高杉は もう　奇兵隊の隊長やない！ お前たちのことは　伝えちょく。 帰れ。 せめて　これだけでも…！ よろしゅう頼んます…！ よろしゅう…。 よろしゅうお願いします！ よろしゅうお願いします！ よろしゅう頼んます…！ ♪♪～ 木戸さん…。 ＜そのころ　わしは 大洲藩の重役を接待して→ いろは丸を貸してくれと 談判しよったがじゃ＞ いろは丸が　大洲藩の 大事な船じゃゆうことは→ よう分かっちょります。 けんど　せっかく 蒸気船を持っちゅうのに→ 運航させゆうがは　年に数回。 はっきり言うて 宝の持ち腐れですろう。 それは　わしらの勝手やけん！ 他藩に　とやかく言われる…。 えいですろうか　皆様！ つぎや　つぎや　つぎや。 いろは丸を 土佐藩に貸してもらえたら→ そこに書いちゅうとおり→ 航海のたんびに 賃料を　貴藩に払うがです。 その上　賃料に加えて→ いろは丸を使うて　商売をし もうかった分の何割かも→ 貴藩に渡すとまで 言いゆうがですよ　わしは。 こんな　えい話が どこにありますろう！ つぎや　つぎや。 ほやけど…。 いや　分かっちょります！ 大洲藩にとって いろは丸は　大事な　大事な船じゃ。 人に貸して 万が一　傷でもつけられたら→ それは　えらいことぜよ！ よう　分かっちゅう！ けんど　けんど　けんど！ 心配ご無用！ どうか　どうか　いろは丸を→ 土佐に　貸してつかあさい！ ♪♪～（三味線） どうか　いろは丸を 土佐藩に貸してつかあさ～い！ ハハハハハハ！ おお　きれいじゃのぉ！　ハハハハ！ …大丈夫かえ？！ …ハハハハハハ！ 高杉さん　大丈夫かえ？ いやいや　病人のわがままに つきあわせてしまって→ すいません。 何を言いゆう。 高杉さんと こうして　散歩できるら→ こりゃ　下関に来たかいが あったゆうもんぜよ！ （２人の笑い声） （龍）坂本さんと高杉さんは→ ほんまに　よう似てはりますね。 そうですね。 いつ　命を絶たれても 惜しゅうない…。 お二方とも　そげな覚悟をした目を していらっしゃいます。 海援隊か…。 いい響きだ。 海から日本を助ける　海援隊じゃ。 わしは　この海援隊で 新しい世を切り開くがじゃき。 新しい世…。 戦に勝った者ではのうて→ 日本を　日本人を 幸せにしようゆう志の高い者が→ 国の政を担う。 そういう世の中をのぉ。 そりゃあ　ええ…。 そりゃあ　ええ！ わしは　必ず 成し遂げられると思うちゅう。 高杉さんのお陰での。 …僕の？ うん。 高杉さんが作った 長州の奇兵隊には→ 身分の差らあ　なかったがじゃ。 侍も　商人も　百姓も一緒になって 自分の国を守ろうとしちょった。 これこそが→ これこそが…→ 新しい日本の形じゃと わしは　確信したがぜよ。 いや～…　うれしいのぉ。 わしは…→ 希望を託せるお人に出会えた。 ♪♪～ 日本を頼みます　坂本さん…！ …うん。 うん…。 …ハハハハハハ！ ハハハハハ！ 僕の出番は　もう終わりです。 あとは 酒を飲んで　三味線を弾いて→ おもしろおかしく暮らしたい。 あの世でね。 高杉晋作は→ そういう男ですけえ。 そうかえ。 …そうじゃのぉ！　ハハハハ！ ハハハハハハハハ！ ハハハハハハハ！ 今日は　ええ日じゃ！ まっこと　えい日じゃ…！ ♪♪～ お龍。 はい。 人は　どういて 死んでしまうがじゃろうか…。 天が　「おまんの役目は もう終わった」と→ 思われちゅうきじゃろうか…。 そうかもしれませんね。 そやかて…→ 人の死というものは 終わりだけではないと思います。 その人の役目を… 志を受け継ぐ者にとっては→ 始まりどすさかい。 ♪♪～ そうじゃのぉ…。 そのとおりじゃ。 どんな時も→ 前に向かわんと いかんがじゃき。 ♪♪～ ≪坂本様。 坂本様に お客様がいらしております。 わしに？ 龍馬！ …中岡！ おまんも　下関におったがかえ！ ああ。　木戸さんに 会いに来ちょったがじゃ。 ハハハハハハ！ ハハハハハハ！ ああ　お龍。 おまんも　会うたことはあるろう。 わしの土佐の友達の 中岡慎太郎じゃ。 ああ…　すまんけんど　お龍殿→ ちっくと 龍馬と　２人にしてくれんかのぉ。 あ…　はい。 すまんちや。 …どういた？　何ぜ　中岡。 龍馬…　聞いたぜよ。 海援隊ゆうもんを 始めたそうじゃのぉ。 大政奉還を目指して。 そうじゃ。 中岡　おまんも 海援隊に加わらんかえ？ いや　わしは　えい。 坂本龍馬が 海援隊を作るやったら→ わしは　陸援隊を作ることにする。 陸援隊？ 目指すは　力による　討幕じゃ。 徳川を　討つ。 わしの考えは　龍馬 おまんも分かっちょったはずじゃ。 わしらの願いは 徳川幕府の世を終わらせ→ 日本の新しい仕組みを作る。 そうじゃろう。 ほうじゃ。 そのためには…→ わしは　大政奉還が 一番えい手だてじゃと思うちゅう。 わしは　違う。 戦しかないと思う。 ♪♪～ …分かった。 おまんは　おまんの やりたいように　やったらえい。 わしらは　道は違うても 目指すところは　おんなじじゃき。 わしは　やるぜよ。 わしも　おまんには負けんぜよ。 わしに礼を言いや　龍馬！ 積み荷も　わしが苦労して 集めてきたがじゃぞ！ 分かっちゅう。 大洲藩には→ 船の借り賃を 払わんといかんがじゃきにのぉ。 おまんらには　稼げるだけ 稼いでもらわんといかん！ おまんの苦労には 必ず　報いちゃるき。 みんな！　集まりや。 海援隊の初仕事じゃ！ 初仕事…！ いよいよじゃ！ 岩崎殿　お願いしますき。 大洲藩船　いろは丸の操船じゃ！ ４月の１９日に　長崎の港を出て ５日後の４月の２４日→ 大坂の大洲藩の蔵屋敷まで 積み荷と人を運ぶ！ おお！ 積み荷はの 米　砂糖　乾物らあじゃ。 大坂からは　生糸と酒を載せて 長崎に戻ってくるがぜよ。 上手う　いったら　大もうけじゃ！ お～！ ＜慶応３年４月 大洲藩との契約が成立し→ いろは丸は　ついに　海援隊が 動かすことになったがぜよ＞ （汽笛） ♪♪～ 「高杉さん…→ わしは 高杉さんに感謝しちゅう。→ 高杉さんばあ 太う生きちゅう人間を→ わしは　ほかに知らんがぜよ。→ わしも　高杉さんのように→ 己の命を燃やして 志を成し遂げようと思うちゅう」。 ≪高杉様！ 高杉様！ 高杉様…！ 高杉様…！ わしらは　みんな 高杉様が御大将の下→ 奇兵隊で働かせて頂いた者で そうじゃ…！ ございます！ ここには近づくなと 言われちょったんですが→ この庭の桜が咲いたんを見て→ みんな 高杉様と花見がしたいと…！ そうじゃ…！ どうしても　お顔が見たいと…！ そうじゃ！ 言いつけを破ってしまいました！ ハハハハ！ 高杉様！ …ハハハハハハ！ ♪♪「ヤットセー」 ♪♪「そろたそろたよ 踊り子がそろたよネーマ」 ♪♪「稲の出穂より　よくそろた」 ♪♪「ハ　ヤンソレ　ドッコイドッコイ」 ♪♪「ヤットセー」 ♪♪「そろたそろたよ 踊り子がそろたよネーマ」 ♪♪「稲の出穂より　よくそろた」 ♪♪「ハ　ヤンソレ　ドッコイドッコイ」 ♪♪「ヤットセー」 坂本さん！ 高杉さんから　これが届きました！ 奇兵隊の旗じゃ…！ ♪♪～ みんな…　用意はえいか。 はい！ はい…！ 出港準備　よろし！ 碇　よろし！ 舵　よろし！ 碇　上げい！ 碇　上げい！ 碇　上げい！ 碇を上げい！ ♪♪～ （泣き声） 高杉さん…→ ありがとうございました…！ 坂本さん…！ 頼みましたよ…。 ♪♪～（三味線） ＜慶応３年４月　高杉晋作　死す。→ けんど　その魂は→ 既に　龍馬の中にあったがじゃ＞ ＜龍馬暗殺まで→ あと７か月＞ いろは丸が 沈没したがです…！ 金は全額　紀州に 払うてもらいますきに。 勝てるわけはないろうが！ お前は　何者や。 これは　単なる事故の談判では ありませんき。 土佐と幕府の衝突じゃ。 おまん… 何を　企んじゅう。 ＜高杉晋作は　志半ば　２９歳の若さで この世を去りました。→ 遺言により　遺骸は→ 奇兵隊ゆかりの地 下関市吉田に運ばれます。→ 死してなお 奇兵隊と共に戦いたいという→ 高杉の思いが伝わってきます。→ 高杉の墓がある　東行庵。→ この建物は　明治になり→ 高杉を慕った 長州藩士たちの手により→ 建てられました＞ ＜その中の一人　伊藤博文は→ 高杉を　こう評しています＞ ＜奇兵隊を結成し 長州藩を　倒幕へと導いた→ 高杉晋作。→ その魂は　受け継がれ→ 新しい時代が　築かれるのです＞

SUMMER_NUDE＃03

1 (朝日)＜彼女がいなくなってから 三度目の夏＞ (香澄)消えるわけないでしょ｡ だって まだ➡ 『48時間』のＤＶＤ 一緒に見てないんだし｡ (夏希)約束 守んない男なんか 大っ嫌い｡➡ もう うんざりなの！ (波奈江)ホント 偉いよ｡ 夏希｡ (朝日)やっぱ お前の写真 撮るよ｡ 約束は 約束だから｡ (夏希)これで もう ＤＶＤ 返せるんじゃないの？ 今 返しに行こうと 思ってたところ｡ 彼女は 戻ってくるの｡ ごめん｡ [TEL](夏希)えっ？ やっぱ 無理だ｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (香澄)《ねえ？ まだ？ ねえねえ｡ ウフフ｡ まだ？》 《いい？》 《いいよ》 《うわっ！ でかっ！ こんなに おっきいの？》 《うん》 《ウフフ｡ うわー》 《ウフッ｡ 何か 恥ずかしいね》 《うれしくないの？》 《何 言ってんの？ うれしいに 決まってんでしょ》 《だって 私 この写真 すっごい 気に入ってるし》 《これを撮ってくれた あなたのことを➡ 誇らしく 思います》 《それは 褒め過ぎじゃない？》 《ううん》 《こんなに 大きいと 通るとき 無視できないでしょ？》 《でも 看板は 看板だからね》 《これからは あの子のことも 私だと思って➡ ちゃんと 挨拶するように》 《はっ？》 《無視して 通り過ぎたら➡ あの看板から 笑顔が どんどん 消えてくからね》 《何 バカなこと 言ってんの？》 (香澄･朝日)《アハハ》 《エヘヘ》 おはようございます｡ ≪(ベルの音) ハァー｡ (夏希)今さ➡ 看板に 挨拶してたよね？ してないから｡ (夏希)いや いや いや｡ してたよ｡ 私 頭 下げてるの 見たもん｡ 知り合いの 海女さんが 手 振ってたから 挨拶しただけ｡ (夏希)へえー｡ そんなんまで 見えるんだ｡ 伊勢エビと サザエが とれたっつって➡ すげえ ご機嫌だったね｡ (夏希)何 言ってんの？ じゃあ 俺 急ぐんで｡ (夏希)ねえ？ 無理って どういうこと？ (夏希)まさか ＤＶＤ 返却しない気じゃないでしょうね？ どうやって 返せばいいんすかね？ (夏希)はっ？ 普通に レンタルビデオ屋に行って 返すだけです｡ ハァー｡ よく そんな 簡単に言えますよね？ だって 簡単だもん｡ そんな 簡単に返せてたら➡ ３年間も 借りっ放しにしてると 思う？ よく 指輪 捨てられましたよね｡ えっ？ ホント そこだけは 尊敬します｡ ちょっと｡ 何？ そこだけはって｡ ねえ！ ちょっと！ 何？ そこだけはって｡ (波奈江)ヤバい｡ (賢二)うん？ (波奈江)私 忙し過ぎて しばらく ここに来れなくなるかも｡ (賢二)何が そんなに 忙しいの？ お前｡ (波奈江)朝日がさ｡ (賢二)うん｡ どうした？ (波奈江)私の写真 撮ってくれるって 約束してくれたの！ (賢二)ホントかよ？ (波奈江)ホント！ (賢二)そりゃ よかったな｡ おい｡ 赤飯 炊くか？ 赤飯｡ (波奈江)いや｡ だから 赤飯なんて 食ってる暇 ないんだってよ｡ (賢二)何が そんなに 忙しいんだってよ？ (波奈江)いや｡ まずね 美容院でしょ｡ ネイルに➡ エステに 岩盤浴にも 行きたいし｡ (賢二)老廃物 出してな｡ (波奈江)あと 笑顔と ポーズの 練習もしなくちゃいけないでしょ｡ (賢二)やんなきゃな｡ お前 それ 全盛期の ﾊﾟﾘｽ･ﾋﾙﾄﾝじゃねえかよ｡ (波奈江)一つ ネックなのが 撮影場所なんだよな｡ 撮影場所？ 市内限定って➡ 言われちゃってるからさ｡ (賢二)うん｡ いい ロケーションって 限られてくるじゃん？ じゃあな 俺が 誰にも教えてない 取って置きの➡ ｵｰｼｬﾝﾋﾞｭｰｽﾎﾟｯﾄ 教えてやる｡ えー？ それって ホントに ナイス オーシャンビュー？ (賢二)イエス｡ ベリー ナイス オーシャンビュー｡ オー｡ (賢二･波奈江)イェー！ ハハハ｡ サンキュー ベリー マッチ｡ (駿)姉ちゃん 超はしゃいでて｡➡ 家じゅうの洋服 引っ張り出しては もう 大騒ぎでさ｡ ウフフ｡ 私も 着てく洋服 一緒に選んでって 頼まれたわ｡ (駿)まあ でも これで やっと 俺も 肩の荷が下ろせるよ｡ 何で？ (駿)いや｡ まあ➡ 一応さ 弟として 心配だったからさ｡ ≪(孝至)いやー｡ 今日の波は 最高だわ｡ いらっしゃいませ｡ (駿)そこの シャワーで➡ 髪 ぬらしただけじゃねえかよ｡ (孝至)何で お前が いるんだよ？ (駿)ねえねえ｡ 夏休みの宿題 10円で やってくんない？ (孝至)20円 やるから 今すぐ 帰れ！ 孝至さん 今日 仕事 ないんですか？ (孝至)あっ｡ 今 昼休み｡ ちょっとでも 時間 あったら➡ こいつと 戯れてたいから｡ (駿)泳げないくせに 始めたらしいじゃん？ (孝至)100円 やるから さっさと 帰れ｡ (駿)ごちそうさま｡ また 来るね｡ はい｡ 120円 貸しな｡ (孝至)20円と 100円は➡ 足さねえんだよ｡ おい｡ お前 お会計は？ (駿)払っといて｡ (孝至)10代の特権？➡ チッ｡ あ～あ やれやれ｡➡ 駿君の相手 してやんのも 大変でさ｡ フフッ｡➡ あっ｡ 生 １丁｡ へい｡ そういえば 孝至さんって あいつと 高校の同級生でしたよね？ (孝至)うん？ 朝日？ うん｡ (孝至)そうそう｡ 部活も 一緒だったし クラスも 一緒｡➡ まあ 勉強も 野球も 俺の才能の前に➡ 完全に ひれ伏してた…｡ でも 何で あいつって➡ ＤＶＤ あんなに 返せないんですかね？ 彼女 もう 戻ってこないしね｡ でも あいつは そうは思ってないんだよ｡ えっ？ 厄介なところは➡ 香澄が 何も言い残さずに➡ 荷物ともども いなくなっちゃったってこと｡ でも それって ただ 単純に➡ 別れたかったってことじゃ ないんですか？ (孝至)いや｡ 俺も ９割９分９厘 そう思ってるよ｡ でも 朝日はさ 戻ってくるつもりがなかったら➡ いなくなる直前に ＤＶＤを見る 約束なんか しないって➡ 言い張るんだよね｡ でも そんなんで➡ ３年も 待てますか？ それは 朝日にとって 香澄が 特別な存在だからだよ｡ 俺にとっての 夏希ちゃんのように｡ いくら 好きでも ３年 待つとか 全然 普通じゃないしね｡ (孝至)うん｡ ちょっと 待って｡ あの｡ 俺の直球 そんな 簡単に➡ 見逃さないでくれる？ あっ｡ ごめんなさい｡ 私➡ 野球のこと 全然 知らなくて｡ すんません｡ (孝至)野球 分かんなくても 直球の意味は 分かるよね？ うん？ よし｡ じゃあ 分かった！➡ 俺が 朝日に ＤＶＤを 返却させてみせようじゃないの？ ホントですか!? お願いします｡ もうね あいつ 見てると いらいらするんですよ｡ その代わりに このミッション 成功したら➡ 俺と デートしてくれない？ はっ？ デート？ ♬～ いらっしゃいませ｡ (光)こんなに 借りるなんて 珍しいじゃん｡ 世界の名女優から カワイイ 表情とか ポーズとか➡ 学んじゃおっかなって 思ってさ｡ (光)そんなの 学んで どうすんの？ だって 朝日が 写真 撮ってくれるって 言うんだもん｡ (光)えっ？ お前の？ 当たり前じゃん｡ ヘヘヘ｡ まあ せっかく 写真 撮ってくれるって 言うからさ➡ 一生の思い出に 残るものに したいなって思ってさ｡ 最後に もう一度だけ 勝負させてください！ よろしく お願いします！ どうせ 勝てないと 思ってんでしょ？ (光)いや｡ そんなこと 思ってないよ｡ どう？ 今日は 何点差で 負けてますか？ えっ？ 何？ えっ？ 言えないぐらい ひどい点数で 負けてるってこと？ 勝ってるよ｡ えっ？ どういう意味？ 俺ん中では ずっと お前が勝ってる｡ ハハハ｡ 何？ それ｡ もう いいから そんな慰め｡ お前 何 勝手なこと してんだよ！ こんなもんに 縛られてっからな いつまで たっても お前の人生➡ うだつが 上がらねえんだよ！ お前にだけは➡ 言われたくねえんだよ｡ ほいー｡ ああ｡ ひい｡ あれ？ 香澄｡ えっ？ バカ お前｡ そんな 子供だましに 引っ掛かると思うか？ 一瞬 引っ掛かってたじゃねえかよ｡ いいから お前 返せよ｡ ねえ？ 頼むよ｡ 何も聞かずに 俺のこと 見逃してくれ｡ バカ 言ってんじゃねえ｡ それ 俺が借りてんの｡ いや｡ これを返せば 夏希ちゃんと デートが できるんだよ！ 知らねえよ｡ お前 人の力に 頼んないで 自分で 何とかしろよ｡ 一生の お願い｡ 何回 一生の お願い 使えば➡ 気が済むんだよ？ うっ｡ ♬｢どちらにしようかな？｣ どうしたの？ あのさ｡ うん｡ 波奈江の気持ちに 水を差すようで 申し訳ないんですけど｡ 何？ あいつ ＤＶＤ 返すとか言って まだ 返してないんだよね｡ うん｡ 知ってるよ｡ えっ？ 今日も 返されてないの 確認してきたからさ｡ ふーん｡ まあ それと➡ 写真 撮ってもらうことは 関係ないと思ってるし｡ おっ｡ 頼もしいじゃん｡ ウフフ｡ だって 朝日を追い掛けてきて➡ こんな強い 追い風 吹いてんの 初めてだからさ｡ 覚悟を決めて 全力で 飛び込むしかないでしょ｡ そっか｡ うん｡ まあ 駄目だったときは 大物 助っ人外国人が➡ 何とかしてくれるでしょ｡ 何？ 助っ人外国人って｡ えっ？ 夏希のことに 決まってんじゃん｡ えっ？ 何で 私が 助っ人外国人なわけ？ そんだけ 頼りに してるってことじゃん｡ えっ？ すっごい 分かりづらいんだけど｡ それって 野球のことですか？ うん｡ そうだよ｡ っていうか 何で この町の人はさ みんな 例えが 野球なわけ？ ああー｡ ゲームセットの後の ビールは 格別だわ｡ お前 今度 やったら 友達の縁 切るから｡ 腕力じゃ 朝日に負けないと 思ってたけどさ➡ 香澄が絡むと 普段の ３倍のパワー 出るんだな｡ うるせえよ｡ どうでもいいけどさ そのＤＶＤは 面白いわけ？ だから 見てねえから｡ えっ？ ３年も借りてて 中身 気になんねえの？ しかも タイトル 『48時間 PART ２ 帰って来た ふたり』だぞ｡ 『帰って来た ふたり』って｡ おい｡ フフッ｡ もう 分かったよ｡ 一生 返さないつもりなんだね｡ そうじゃねえけど｡ じゃあ いつ 返すんだよ？ 返すにしたって 自分の タイミングってもんが あんじゃん｡ 何だよ？ タイミングって｡ この３年間で➡ 一度も そのタイミングは 来なかったんだろ？ 来たよ｡ いつ？ 昨日｡ 今 マジな話 してんだけど｡ いや｡ マジで 昨日 来たんだって｡ えっ？ いや｡ ホントに｡ 昨日 本気で 返そうと思ったんだよ｡ んで？ 思ったんだけど｡ 香澄と よく 一緒に聴いてた曲が 流れてきただけで➡ 簡単に その気持ちが 吹っ飛んだ｡ 俺さ 昨日から ずっと 考えてたんだけど｡ やっぱ 香澄じゃなきゃ 無理だわ｡ 香澄は もう 戻ってこないんだって｡ そんなの 分かんねえじゃん｡ ３年だぞ？ ３年も待って 戻ってこなかったら アウトだろ｡ スリーアウト チェンジですよ｡ 何で お前が 勝手に 判断すんだよ？ 俺だけじゃねえよ｡ お前の周りにいる 全員が｡ 全員が 同じこと 思ってんだぞ？ だとしても 俺が 終わりだと思ってねえんだから➡ しょうがねえじゃん｡ チッ｡ ハァー｡ もう 好きにしろよ｡ 俺の手には 負えないってこと はっきりしたから｡ お邪魔しました｡ ♬～ ＜香澄と 僕を つなぐものは➡ もはや このＤＶＤしか なかった＞ 《消えるわけないでしょ｡ だって まだ➡ 『48時間』のＤＶＤ 一緒に見てないんだし》 ＜ちっぽけな 可能性に すがりついていることは➡ 重々 分かっていた＞ ＜ただ 心のどこかで➡ どうしても 諦めきれない 自分がいるのも 事実だった＞ ＜それは この先の人生で➡ 香澄以上の存在が 決して 現れないという➡ 確信のようなものが あったからだった＞ ♬～ ああー｡ すごーい｡ ハハハ｡ ナイス オーシャンビュー｡ (あおい)ねえ？ 社長｡ モデルの事務所 全然 決まらないんですけど｡ (小南)東京の連中って 見る目が ないんだねぇ まったく｡ (あおい)何か いい仕事 ないんですか？ (小南)朝日君｡ あおいちゃんに うってつけの仕事って➡ 何か ないのかね？ 前にも 言いましたけど｡ モデルが必要な 撮影なんて めったに ないですから｡ (小南)ああ｡ じゃあ そろそろ うちの証明写真 取り換えるか？ (麻美)えっ？ あの ショーウインドーの 写真ですか？ (小南)そろそろ 替えようとは 思ってたんだ｡ ホテルの ＰＲ素材の撮影 いってきます｡ (小南)はい｡ (麻美)いってらっしゃい｡ (あおい)えっ？ もう 行っちゃうの？➡ あの人 全然 私に 協力的じゃないんですけど｡ (小南)それには まず 朝日君を その気にさせないと 駄目だよ｡ (あおい)その気にさせると 仕事 くれるんですか？ (小南)ほら｡ あの地ビールの 看板の子 いるでしょ？ あの子の写真を 撮るために 朝日君が どれだけ 営業して➡ 仕事を取ってきたか｡ (あおい)いいこと 聞いちゃった｡ ああー｡ [TEL](メールの着信音) ♬～ フフフ｡ (賢二)いらっしゃい｡ (あおい)こんばんは｡ どうも｡ 生ビール 下さい｡ (賢二)あいよ｡ (あおい)社長が ここに来たら➡ 会えるって 教えてくれたんで 来ちゃいました｡ (賢二)何か 駅で ナンパしたんだって？ するわけないじゃないですか｡ (賢二)ハハハ｡ そっちから 声 掛けてきたくせに ほったらかしにするって➡ かなりの 高等技術ですよね？ だから 誤解だって｡ (賢二)やっぱ 向こうの男は みんな 真っ向勝負って感じ？ うん｡ 駆け引きとかは あんまり してこないんですよね｡ (賢二)やっぱり 日本と アメリカ｡ まさに 野球と ベースボールの 違いって 感じだな｡ どういうこと？ (賢二)はっ？➡ 分かんねえか？ お前｡ 分かんないよ｡ (賢二)ほい｡ ってか 今日 波奈江は？ (賢二)夜は エステ 行くって 言ってたわ｡ エステ？ (賢二)いや｡ お前が➡ 写真 撮るって 言ったからだろ｡ 奇麗に 撮ってもらうんだって➡ お前 浮かれまくってたぞ｡ 実は そのことなんだけどさ｡ (あおい)その人って 彼女ですか？ 違いますけど｡ じゃあ 今 彼女 いるんですか？ 何で そんなこと 言わなきゃいけないの？ ≪お疲れさまです｡ (賢二)おう｡ お疲れさん｡ よいしょ｡ ああ｡ あっ｡ どうも｡ よいしょっと｡ (賢二)おう｡ あっ｡ 律義な人だ｡ (賢二)律義な人？ 賢二さん｡ 知ってます？ この人 偉いからね➡ 看板の人にまで ちゃんと 挨拶するんです｡ 看板？ そう｡ 知ってます？ あの 海にある こんな でっかい 看板｡ あの ビールの 女の人ですか？ そう そう そう｡ その人に向かって ｢おはようございます｣とか➡ 言うんですよ｡ (賢二のせきばらい) (あおい)私には まともに 挨拶してくれないのに 看板って｡ ぶえー｡ この人 変なんです｡ (あおい)気付かなかったなぁ｡ 初対面で 挨拶もなしに いきなり 意気投合してる お前らの方が➡ よっぽど 気持ち悪いと思い…｡ ねえねえ ねえねえ ねえねえ｡ 何か この人に 期待しちゃったわけ？ まあ 多少は｡ もう 絶対 やめた方がいいよ｡ あなたが思ってるほど この人はね 立派な人じゃないから｡ ねっ？ (あおい)誰か 他に いい人 いませんか？ (賢二)切り替え 早いねぇ｡ ごめんね｡ 私 こっちの人間じゃないからさ｡ (あおい)私も 全然 知り合い いなくて 困ってるんです｡➡ どっかに 手ごろな男と 手ごろな仕事 落ちてませんかね？ だったら なおさら やめときな｡ この人はね 手ごろさの かけらも ないから｡ あのさ｡ うん？ 孝至 たきつけて 余計なこと すんの やめてくんない？ 何の話ですか？ 何 とぼけてんだよ？ あいつ 使って ＤＶＤ 返却させようとしたろ？ 知らないよ｡ あの人が 勝手に やったことでしょ？ ＤＶＤ 返したら 夏希さんと デート できるとか言って➡ 超 張り切ってたけど｡ あのね｡ 私はね もう 返すとか 返さないとか どうでもいいわけ｡ 波奈江との 約束さえ 守ってくれればね｡ 賢二さん｡ ビール｡ (賢二)はいよ｡ 早めで｡ (賢二･夏希)はいよ｡ (賢二)じゃ 生で｡ はい｡ [TEL](バイブレーターの音) もしもし？ ああ｡ もしもし？ 今 仕事中？ [TEL]ええ｡ そうですけど｡ あのさ｡ 私の撮影 いつにする？ ですから 今 仕事中でして｡ [TEL]私の方は いつでも 平気だからさ｡ 今 ちょっと 手が離せないんで｡ あの｡ こちらから ご連絡させていただきます｡ 失礼しまーす｡ [TEL]あっ｡ ちょっと 待って…｡ まだ 話がある｡ まだ…｡ ちょっと｡ 今の電話 どう思います？ オードリー姉さん｡ フッ｡ 私には そんな笑顔 できまへん｡ ♬～ (清子)春夫さん｡ これは いったい どういうことなんですか？ (春夫)ぼ… 僕だって 自分の目を 疑ってるよ｡ (清子)この方とは いったい どういう関係なんですか？ (春夫)いやいや いやいや｡ 関係も何も 僕の知らない人だ｡ (清子)こんな やり方 ひきょうじゃありませんか？ (春夫)何を言ってるんだ？ (清子)別れたいなら➡ はっきりと そう言ってくれたら よかったです｡ (春夫)待っ…｡ あっ｡ 清子さん？ 清子さん！ お待たせしました｡ ねえ？ 小学校んときまでさ こっちに いたんだったら➡ 友達とか 残ってんじゃないの？ (あおい)うーん｡➡ 小３のときに 向こう 行ったんで もう 全然ですね｡ ふーん｡ んで 家族は？ 一緒に住んでんの？ (あおい)ううん｡➡ 家族 いないんで｡ えっ？ もう だいぶ 一人も 慣れましたけどね｡ あっ｡ 何か ごめん｡ (孝至)いやー｡➡ 今日の波も 最高だったわ｡ いらっしゃいませ｡ (あおい)また 遊びに来ても いいですか？ もちろん｡ いつでも おいでよ｡ (孝至)えっ？ えっ？ ちょっ｡ えっ？ (あおい)サーフボードの ビニール 剥がした方がいいですよ｡ あっ｡ 剥がす｡ はい｡ ご注文は 何でしょうか？ 夏希ちゃん｡ あれ 誰？ どこの人？ 指輪のサイズは？ うーん｡ 右利き？ あの｡ うん｡ うん｡ あっ ごめん｡ その前に ビニール 剥がしちゃうわ｡ あの｡ あっ あっ｡ えっ？ はい？ 例の ＤＶＤの件 どうなりました？ ああ｡ ごめん｡ あれ やっぱり 無理だったわ｡ やっぱ この町の人は 口ばっかりなんですね｡ まっ あなたの お友達の カメラマンよりは➡ 孝至さんの方が カワイイ方だと思いますけど｡ こういうこと 言うの あれなんだけどさ｡ うん？ 夏希ちゃん 朝日の この３年間 見てないから 分かんないよね？ えっ？ だからさ 何ていうか｡ もう あいつのことは ほっといてやってほしいんだよ｡ あっ｡ ごめん｡ 急に マジになっちゃって｡ 別に｡ (孝至)いや｡ うん｡➡ あれ？ これ 剥がしちゃいけないやつ？ 朝日｡ ねえねえ｡ 私の撮影 いつにする？ あした？ あさって？ 私の方は いつでも 平気だからさ｡ ロケハンも 済んでるから そんなに 時間を取らせません｡ 丸１日で 終わらせるからさ｡ ねえ？ これ ちゃんと 見て｡ ほら｡ 波奈江｡ ごめん｡ うん？ やっぱ お前の写真 撮るの 無理だわ｡ えっ？ 何で？ そこ ほとんど➡ 香澄と 行ったことあるし｡ あいつのこと 思いながら➡ お前の写真 撮るわけには いかないでしょ？ ごめんな｡ ねえ？ どうして？ どうして 香澄の写真は あんなに 喜んで 撮ってたのにさ➡ 私の写真は １枚も 撮ってくんないの？ そんなに 私のこと 嫌い？ そんなこと 言ってないだろ？ あの子は 何も しゃべんないよ？ 挨拶だって 返してくんないんだよ？ 手だって つなげないし➡ 寂しいときに 隣にも いてくれないんだよ？ なのに まだ 香澄のことが 忘れられない？ 私といるより 看板の 香澄といる方が 幸せなの？ もう どうしていいか 分かんないや｡ はあ!? あいつ また 撮らないって 言ったの？ まだ 香澄のことがあって 難しいってさ｡ 何だ？ それ｡ うーわ うーわ｡ もう あったま きた｡ ちょっと 行ってくるわ｡ (賢二)おう｡ 夏希ちゃん｡➡ １回 落ち着こうか｡ だって 許せないじゃないですか｡ (賢二)いや｡ 朝日も 悪気があって 言ってるわけじゃないんだよ｡ 撮るって 約束したんすよ？ なのに 前の女を理由に 断るとか 最低じゃないっすか｡ 私 間違ってます？ えっ？ (賢二)いや｡ 間違ってないよ｡ えっ？ 私が 悪いんすか？ 待ってても しょうがねえのにな｡ ごちそうさま｡ 駿君｡ あのさ｡ 駿君 何か 知ってるでしょ？ やっぱり あの子には 勝てないんだね｡ (賢二)まあ 今は 勝てなくてもさ 最後に 勝ってりゃいいんだよ｡ ウフッ｡ 賢二さんが言うと 説得力 あるね｡ だろ？ ウフフ｡ この俺でさえ 勢津子と 結婚できたんだから➡ 全世界の人間に 希望が あるってことなのよ｡ フフッ｡ でも 私さ 香澄のこと➡ ちょっと いい女だなぁって 思っちゃったこと あるんだよね｡ そんなこと あったのか？ ほら｡ 朝日が このお店に 初めて 連れてきたとき あったでしょ？ うん？ ああ｡ 思い出した｡ あの 千葉の バリー･ボンズな｡ そうそう そうそう｡ 絶対に届かないって いわれてた グラウンドから➡ ホームランボールが 飛んできたとき｡ (香澄)《すごい すてきな お店だね》 《でしょ？ 後ね 下にもね 海の家があって 最高なのよ》 (香澄)《へえー｡ いいな｡ 行きたい》 《今度 連れてくから》 (香澄)《うんうん》➡ 《へえー》 《そう そう そう》 (割れる音) (香澄)《キャッ！》 《ちょっと｡ 大丈夫？ 危ね》 (香澄)《あっ｡ ああ》 《大丈夫？ 手とか》 (香澄)《あっ｡ うん｡ 平気 平気》 (香澄)《ねえ？ 朝日｡ いいって》 《いや｡ ちっと》 《あっ｡ 血 出てるよ》 《マジで？ 大丈夫？》 《ちょっ｡ 救急箱 取ってくんね》 ≪(源三)《すいませんでした！》 《お前 何してくれてんだよ？ ケガしてんだぞ？》 (源三)《た… 大変 申し訳ございませんでした！》 《謝って済む 問題じゃねえだろ？》 (香澄)《すごいよね｡ ここまで 飛ばすなんて》➡ 《フフッ｡ やっぱり 打った瞬間 手応え あった？》 (源三)《あの｡ ケガの治療費は 全額 払わせていただきますので》 (香澄)《ああ｡ そんなことは いいからさ》➡ 《代わりに このボール もらってもいい？》➡ 《あっ｡ ホームランボールって もらえるんでしょ？》 (源三)《ええ｡ そうですけど》 《サイン 書いてよ》 (源三)《サインですか!?》 《未来の ホームランバッター 誕生の記念に》 私 朝日の あんな表情 見たの 初めてだったなぁ｡ 本当は あの時点で 勝負は 決まってたんだよね｡ (賢二)うん？ フッ｡ 私も バカだなぁ｡ こんな負け試合 ずるずる 続けてさ｡ フフフ｡ そんなことは ねえよ｡ 波奈江にしか してやれないことが きっと あるはずなんだから｡ そんななぁ➡ 香澄と 比べたりすることなんか ないんだよ｡ ありがと｡ でも もう いいんだ｡ ♬～ (ラジオ)《打った！ 大きい 大きい 大きい》➡ 《入った》 《うわっ!?》 (ラジオ)《みさき東高校 １点 先制》 《浦野 すげえな》 《ねっ？ 私が 目をかけた バッターだけ あるでしょ？》 《参りました》 (香澄)《ウフフ｡ すごい》 ≪(ノック) 何で 来てんの？ ねえ｡ もう➡ いいかげんに してくんないかな？ はっ？ 何で 波奈江との約束 守ってくんないの？ 何で あんたが そこまで 出しゃばってこれんのか➡ 理解できない｡ あんたが ずっと 待ってる人は もう 戻ってこないんだよ｡ いや｡ 何も知らない あんたに 何が分かんだよ？ 聞いたの｡ 何を？ 彼女が 出てったときの話を｡ (駿)《この町から 出てった日に あの人 うちに来たんだよ》 《何しに？》 《うちの親父にさ 看板 外してくれって 頼みに》 (駿)《ちょっと 待って！》 (駿)《どうして 看板 外してなんて 言いに来たの？》 (香澄)《フッ｡ だって あの看板があると➡ 朝日が 私のことを 忘れられないでしょ？》 《それって もう 戻ってこないってこと？》 (香澄)《フッ｡ じゃあね》 最初から 戻ってくる気なんか なかったんだよ｡ 彼女が この町を出てった ３年前から 今日まで➡ 戻ってくる 可能性は １％も なかったってこと｡ これで 分かったでしょ？ 教えてくれて ありがとうございます｡ 大丈夫？ 大丈夫なわけ ないでしょ｡ ≪(ドアの開閉音) (勢津子)こんばんは｡ (勢津子)遅くまで お疲れさま｡ いえ｡ 賢二からさ 波奈江が まだ 店にいるって 聞いてね➡ ちょっと 心配になっちゃって｡ わざわざ すいません｡ ううん｡ 朝日から 約束 断られて 落ち込んでるんだって？ 相当 楽しみにしてましたからね｡ うん｡ で 私 もう あったま きて➡ 許せなくて あいつんとこ 行ったんすよ｡ そうなの？ でも➡ ちょっと 反省してます｡ どうして？ あまりにも 無神経過ぎたかなって｡ フフッ｡ 朝日もね 香澄ちゃんが いなくなった 最初のころは➡ 今とは 比べ物にならないぐらい ひどかったのよ｡ えっ？ あの看板の前から➡ まったく 動かなかったの｡ (孝至)《行くぞ》 《ちょっと やめろって》 (孝至)《朝日》 《朝日｡ ほら｡ 行こう》 《ほっといてくれって》 《朝日｡ ほら ほら ほら》 (勢津子)誰が どれだけ 説得しても➡ 絶対に 動こうとしなかったの｡➡ そんなことが しばらく 続いてね｡➡ 看板の前で 見掛けなくなったと 思ったら｡ 《ごめん｡ 俺 こっちから行くわ》 《えっ？》 (勢津子)今度は 看板の前だけは 絶対に 通らなくなってね｡➡ どんなに 遠回りしてでも➡ あそこだけは 避け始めたんだけど｡➡ 見かねた 波奈江がね➡ 看板 外すように お父さんに お願いするって 言ったの｡➡ そしたら ｢それだけは やめてくれ｣って➡ 朝日に 懇願されたらしくてね｡ (勢津子)それから また あの看板の前に 戻ってきたの｡ この子 香澄ちゃんが いなくなってから➡ さらに 朝日のこと 好きになってる気がする｡ えっ？ どうしてですか？ うん？ だって ずっと そばで 見ちゃってるからね｡ 香澄ちゃんが いなくなってからの 朝日のこと｡ ♬～ (勢津子)あんな いちずな姿 間近で見てるとさ➡ 女だったら ｢ああ｡ こんな人に 愛されたら 幸せだろうな｣って➡ 思うんじゃないかな｡ 私もね 気持ちは よく分かるんだよね｡ 賢二も 似たようなところ あったから｡ ♬～ ♬～ [TEL](操作音) [TEL](呼び出し音) もしもし？ [TEL]ハロー｡ ハロー｡ えっ？ あっ｡ 私だけど｡ [TEL]ああ｡ あんたか｡ また 何か 文句でも あるんですか？ えっ？ 何？ 酔っぱらってんの？ あっ｡ ごめん｡ 酔っぱらってた｡ [TEL]酔っぱらってちゃいけませんか？ [TEL]酔ってるのは そっちのせいですけどね｡ はっ？ っていうか 今 どこにいるわけ？ もしもし？ こんばんは｡ お二人とも お揃いで｡ 僕ね 律義な男なんで➡ 看板以外にも ちゃんと 挨拶できるんです｡ 飲み過ぎだって｡ 俺だってな！ 俺だって➡ 香澄が戻ってくるなんて 最初っから 思ってなかったよ｡ そんなことは 分かってたよ｡ でも 香澄が戻ってくる わずかな 可能性を 信じたかったの｡ その可能性を 信じるしか なかったんだよ｡ ずーっと 忘れたくて しょうがなかったよ｡ 何度も 忘れようとした｡ でも 無理だった｡ 忘れることなんか できなかったよ｡ だって 俺にとっては 間違いなく この世で 最高の女だったから｡ だから！ 香澄が出てったときから 戻ってくる 可能性は➡ なかったって 聞いても 全然 諦める気になれねえんだよ｡ 私さ あんたのこと ずっと 誤解してた｡ そこまで いちずに なれるのって ホント すごいと思うよ｡ だから あんたには ちゃんと 幸せになってほしいと思うわけ｡ これ ホントに｡ 私だってさ 油断してたら➡ 前の くそ婚約者のこと すぐ思い出しちゃうよ｡ 今日だって あしただって 目の前に現れたら➡ 自分だって どうなっちゃうか 分かんないもん｡ 俺だって そうだよ｡ でも もう 目の前に 現れないって 分かったから➡ 私は 指輪を捨てたの｡ だから あんたを 幸せにすんのだって➡ この看板の 彼女じゃないんだって｡ あんたには 分かんないだろ？ この写真を撮ったときの 幸福感は 俺にしか 分かんないだろ？ この看板を見て 笑ってくれた 香澄の笑顔は➡ 俺しか 知らないんだよ｡ この看板が立ったときの 満足感を超える 瞬間なんてさ➡ この先の人生で 二度と 起こらないって 分かるんだよ｡ でもさ…｡ 周りは 勝手なこと 言うんだよ｡ 他に 女なんて いくらでも いるって｡ 他に いないんだよ！ 香澄しか いないんだよ！ こいつと 一緒にいたときが 一番 幸せだった｡ もう二度と こんな気持ちに ならないって 確信がある｡ だから 諦めたくないんだよ｡ 諦めらんねえんだよ！ ♬～ ♬～ 無理に 諦めなくていいよ｡ 飲もう｡ ハァー｡ ウフフ｡ こうやって 飲むの 久しぶりだねぇ｡ ♬～ ♬～ ♬～ お前さ｡ うん？ いっつも 隣にいるよな？ フフッ｡ うん｡ そんくらいしか できないからさ｡ 夏希も 一緒に飲もうよ｡ うん｡ ハハハ｡ ハハハ｡ よいしょ｡ ああー｡ はい｡ (波奈江･夏希)乾杯｡ ほら｡ (波奈江･夏希)乾杯｡ ああー｡ ♬～ ♬～ これ 全然 参考になんなかったな｡ そうなんだ｡ ウフッ｡ っていうか そもそも 写真 撮ってもらうっていう➡ 約束が なくなった｡ ウフッ｡ じゃあね｡ 嘘!? 今日の昼➡ 返しに来たよ｡ ♬～ ♬～ そっか｡ あいつも やっと ＤＶＤ 返したのか｡ うん｡ これで 私も ２人のこと 心から➡ 応援できんじゃん｡ アハハ｡ あっ｡ 来た｡ うっす｡ これは 閉店ですか？ はい｡ 本日の営業は 終了いたしました｡ マジか｡ はい｡ じゃあ 賢二さんとこでも 行くか｡ うん｡ 波奈江も 行くっしょ？ うん｡ ああ｡ じゃあさ ２人で 先 行ってて｡ 私 片付けとか 色々 あるからさ｡ うん｡ よろしくね｡ ♬～ 今度の月曜 暇？ 何？ それ｡ 嫌み？ 暇に決まってんじゃん｡ 俺 休みだから 撮るよ｡ えっ？ 写真｡ 約束してたやつ｡ ♬～ 何すんだよ？ 何でもないよ｡ ♬～ 何してんの？ えっ？ 拭いてんの！ 早く 行こうよ｡ うん｡ すぐ 行く｡

亜人.S01E01.JA

1 （発射音） （銃撃音） （ティト） くそったれ！ どうなってやがる （少年兵） さっさとぶっ殺せ！ （少年兵） 殺しても死なねぇんだよ！ （少年兵） 敵は１人だろうが！ （少年兵） やつは例のバケモンだ！ （少年兵） 政府のクソどもが バケモンよこしやがった！ （少年兵） ふざけんな！ （少年兵） 頭狙え！　頭！ （銃声） うあああ！ 行け！　ぶっ殺せ！ （ティト） やってやる！ （少年兵たちの叫び声） （少年兵） はっ はっ… がっ！ うわっ！ ひっ ひいっ… はぁ はぁ はぁ… （下士官） おい 下がるな ひっ！ やつは神の兵だ！　神の… （銃声） （少年兵）ああっ… ひっ （下士官） 下がるな！ ひっ… くっ… うっ ううっ… はぁっ はぁっ はぁっ… （叫び声） （銃声） 何が神の兵だ！ ざまあみろ！　ざまあみろ！ ざまあみろ！ 神をぶっ殺してやったぜ！ はぁっ… え… あ… あ… あ… ああっ… （銃声） （ティト）うわあっ！ （戦闘機の音） （指揮官） 急げ！　急げ！　急げ！　急げ！ （刺さる音） ♪深く眠れるかい？ 　　　傷は癒せたかい？♪ ♪夜が寂しいからって♪ ♪無理して 　　　誰かを愛さないで♪ ♪夢を見る事だって 　　　咽び泣く事だって♪ ♪知りもしないまま 　　　　死んでみたって♪ ♪上手に隠れたかい？ 　　　　息は潜めたかい？♪ ♪今が苦しいからって♪ ♪無理して自分を変えないで♪ ♪勇敢な蛮人だって 　　　悩める子羊だって♪ ♪回り道して生きているって♪ ♪目立たないように♪ ♪堪えられるように♪ ♪思考回路はまだ 　　　　止めないように♪ ♪今宵 RUN AWAY RUN A WAY♪ ♪嘘みたいだ♪ ♪誰かこの手 　　　掴んでくれよ♪ ♪見えない明日は来なくていい♪ ♪今はただ 眠りたい♪ （アラーム音） （ドアの開閉音） （圭(けい)の母） 土曜日は統一模試よね？ 調子はどう？ （永井圭(ながいけい)） うん　大丈夫 今度も期待していいのよね？ （圭） うん　大丈夫 ごちそうさま 行ってきます （ドアの開閉音） （ため息） （渡辺(わたなべ)） 永井君 朝から勉強漬け？ まあ 時間がもったいないからね （中島(なかじま)） さすがは お医者様志望 （渡辺） 医学部模試で１桁順位は違うね〜 ったく なんで皮肉を 言われなきゃならないんだ 立派な人間になるため 努力してるだけなのに カイ （渡辺） 知り合い？ まさか　変な人だね （中島） “変な人”ねえ （渡辺） もしかして あれ“亜人(あじん)”だったりして （太田(おおた)） 同じ人間とは思えないしね （圭） 僕らには関係ない話だよ （教師） では 教科書247ページ 亜人の発見について この辺りは受験とは関係なく… （圭）スルーしてよし （教師）一般教養として— 知っておくべき部分だ みんなも知っているように 亜人は不死身の存在 死ぬことがないと言われている 絶対かどうかは 分かっていないがね 他にも“独特の声を発する” という報告もあるが— 我々民間に公開されている… （渡辺） これ 亜人の実験だって （中島） 実験？　どうせニセモノだろ 亜人が初めて確認されたのは 17年前のアフリカ ちょうど君たちが生まれた年だな それは 現地で“神の兵”と 呼ばれた不死身の軍人だった 米軍が拿捕(だほ)したことで 真実と証明されたんだ 隠蔽(いんぺい)しようとする動きも あったようだが— 事が重大すぎて すぐに露見した 現在 世界で46体 日本では２体の亜人が 確認されているが— 恐らく発見されていない亜人も いるだろう なにせ 死ななければ 分からないわけだから— 今 この場に亜人が存在する 可能性もゼロとは言えん 渡辺君 （渡辺） 亜人を捕獲すると— ばく大な賞金が手に入るって 聞きましたけど （教師） 賞金はうわさかも知れんが 何らかの報酬はあるだろうね 例えば 狩猟のように獲物の… 獲物？ あっ （教師） 永井君 何か？ え いや 何でもありません （教師） 何か質問があるんだろ？ あの… 亜人って 人間じゃないんですか？ は？ 当たり前だろう …ですよね ハハハハ… （教師） では次に 亜人の利用価値についてだが… ハハハ… 交友関係も ある程度は 大事にしておかないとな （渡辺） 亜人の実験だって （圭） うわっ 最悪 これって… （泣き声） （永井慧理子(ながいえりこ)） お兄ちゃん なんで この子死んじゃったの？ （泣き声） お母さんは“不良品だった”って 不良品だと死んじゃうの？ （圭） しかたないよ　病気だったんだ そういえば なんで死ぬんだろう？ 別に死ななくても… 誰？ （ＩＢＭ） 別… に… 死… はっ… （ＩＢＭ） だ… れ… あっ （降車ベルの音） （圭） 調子 いいみたいだな （慧理子） 悪くないだけ 調子よかったら こんなとこ いない （圭） あ… そっか で 何なの？ この時間は 予備校なんじゃないの？ （圭） 小さいころ 犬の墓 作ったことあったろ？ あの時のこと覚えてる？ もし何か覚えてるなら… フフッ やっぱりね 目的がなきゃ来るわけないもんね 最近 カイさんに会った？ （圭） え？　いや会ってないけど カイさんに会いたい どう？　カイ （海斗(かいと)） 捕ったぞ！ （圭） すごい！ ノコギリクワガタだよ これ！ （笑い声） 圭ちゃん お母さんに携帯 渡しなさい えっ なんで？ （圭の母） 海斗君のアドレス 消すわ 立派な人間になりたいなら 付き合う人間も選びなさい （慧理子） 昔はあんなに仲良かったのに まあ 今はいろいろと忙しいし… 立派になるんだもんね 兄さんは あのさ 慧理子 ホントに覚えてない？ 犬の墓作った時の… そんな昔のこと覚えてない もう帰ったら？ 忙しいんでしょ？ あ ああ… （看護師） 永井さん 採血の時間ですよ あら きれいね （慧理子） 捨ててください （圭） “立派な人間になる” そのためには 必要なことだけをして— 必要なものだけを選んで… （渡辺） それでさぁ… あっ 永井君！ 必要じゃないものは… （渡辺） あれ？　永井君？ （圭） 切り捨てなきゃいけないんだ あれって… （衝突音） あ… ああ… （運転手） ああ… し… 信号 赤だったよな？ 飛び出したガキが 悪いんだよな！？ （通行人） 事故か？ え… （圭） うっ うう… あ… ああ… あ… ち… 違う… 違う！ （通行人） 亜人？ （通行人） あ… 亜人だよ （渡辺） 本当にいたなんて… ち… 違う 違う！ これは… 僕は… 違うって！ 人間… 僕は！ （渡辺） あ… ああ 信じるよ… 友達… だもんね はっ （渡辺） ばく大な賞金が… 人間じゃないんですか？ 当たり前だろう （叫び声） （中島） 体が… （渡辺） 動か… ない… 違う… 違う 違う！ （サイレン） （女性） それが ただの事故じゃないのよ！ （女性） 亜人よ 亜人！ （警官） ああ 君　ちょっといいかな？ 永井圭という人物を 知ってるかな？ うん？ 全然 知らねぇ 何かしたの？　そいつ その子ねぇ 亜人らしいわよ （女性）あ･じ･ん！ （警官）ちょっと… （女性） ホントよ！ 生き返るのを見たもの　ねぇ？ ふーん 興味ねぇわ いや 知らないならいい 圭！ はぁっ はぁっ はぁっ… はぁっ はぁっ はぁっ… はぁっ はぁ… そんな…　もう 家の方まで どこに… どこに逃げればいい？ 誰か　誰か… 駄目だ！　くっ… あっ… （海斗） 圭　ほら！ あっ… カイ… あっ （携帯の振動音） 圭 待ってたぞ カイ！ あ あの… どうしよう？ 僕 どうしたら？ 落ち着け　今 どこだ？ 今？ 今は… ああ 信じるよ… あ あの… その… 圭 俺は大丈夫だ カイ… （幼い圭と海斗の笑い声） 昔 クワガタを捕まえた木の下 すぐ行く カイ？ はっ ううっ！ あっ 亜人を発見　応援を要請する おい 待て！　止まれ！ 追いつかれてたまるか！ 追いつかれてたまるか！ はぁっ はぁっ… （警官） 手荒なまねはしない おとなしく出てきなさい はぁっ… うっ あっ！ がっ… ああっ！ 動くな！　動くなよ ツキ神社付近にて 亜人を確保　亜人確保 亜人… くっ… （海斗）おりゃ！ （警官）がはっ （圭）カイ！ （海斗）おっと！ 名前は言うな 立てるか？ あっ… うん 走るぞ あ… 亜人が逃走！ 繰り返す　亜人が逃走！ 仲間が１人いるもよう 検問を要請する！ いいか？ ああ （キャスター） こちら 亜人の自宅前です 国内３件目の亜人発見 そして 逃亡 小さな町は 大きな 騒ぎとなっています 前から思ってたんですよ 人間っぽくない やつだって （荒木(あらき)） 亜人といっても ただのガキだ！ どうせ遠くまで行けやしない さっさと確保しろ！ （電話の呼び出し音） （せきばらい） 大変お待たせしました 埼玉県警の荒木ですが… （戸崎優(とさきゆう)） あなた方は 事態を甘く見すぎている そう言われましても 捜索には十分な人員を… （戸崎） これは国家レベルの案件です はあ… （戸崎） 亜人の解明が 進んでいないのは どの国も同じ もし あなた方の不手際で— 他国に永井圭を 奪われるようなことになれば— 結果はお分かりでしょう？ あっ… （ため息） 人員を倍… いや ３倍に増員しろ！ 何が何でも とっ捕まえろ！ （戸崎） 新しい亜人 永井圭 逃がすわけにはいかんよ 追いつかれてたまるか ♪願い叶(かな)うなら 　　　　　もう一度♪ ♪君の心に 　　　触れていたい♪ ♪どんな闇でも 　　　探してるんだ♪ ♪たったひとつの 　　　　　　　光を♪ ♪As I look up to the stars♪ ♪遠いけど♪ ♪同じ星空　見上げてる♪ ♪心の空には 　　　雫(こぼ)れ落ちそうな♪ ♪君の笑顔と 　　　　ぬくもり♪ ♪Hear me♪ ♪Until I went away and 　　　Faced the lonely days♪ ♪愛することの意味なんて♪ ♪分かってたつもりだった♪ ♪Feeling everything that 　　　Was right in front of me♪ ♪大切なもの失って♪ ♪本当の愛に気付いて♪ ♪I'll tell you now, 　　　Just how close you are♪

花燃ゆ＃03

1 (鈴の音) (文)小田村様と寿姉様の婚礼が うまくいきますように｡ それと…➡ 祝言で さわまんじゅうが たくさん食べられますように｡ ♬～ 嘉永６年７月｡ 江戸での勤めを終え 萩に戻った 小田村伊之助と➡ 寿の婚礼が行われた｡ 寅次郎はというと➡ 脱藩の罪を問われ 武士の身分を剥奪され➡ その身柄は 父 百合之助の育➡ つまり 保護観察下に置かれる事となった｡ 長州藩主 敬親は 百合之助の願いを聞き入れ➡ 寅次郎の10年間遊学を許した｡ (汽笛) 嘉永６年 ﾍﾟﾘｰの船が 江戸湾沖へと その姿を現した｡ ♬～ 殿に建白書ですと？ とんだ不届き者が おったもんです｡ 匿名で出されたそうです｡ 名を伏せて 殿様に意見を申すとは➡ 誰が そねな無礼極まりない事を｡ (梅太郎)伊之助殿！ 周布様には？ (伊之助)書状を出しておきました｡ 近々 萩に戻られるらしいので その時にお会いしたいと｡ もし その建白書が 寅次郎のもんじゃったら…｡ 藩士でない者が お殿様の政に 口出ししたという事は…｡ 最悪の場合…｡ 死罪｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ ♬｢愚かなる 吾れのことをも｣ ♬｢友とめづ人は わがとも友と｣ ♬｢吾れをも 友とめづ人は｣ ♬｢わがとも友と めでよ人々｣ ♬～ ♬｢吾れをも 友とめづ人は｣ ♬｢わがとも友と めでよ人々｣ ♬｢燃ゆ｣ ♬～ 嘉永6年10月 寅次郎は 長崎にいた｡ ﾌﾟﾁｬｰﾁﾝ率いるﾛｼｱ艦隊が 長崎に来ているとの情報を➡ 得たためである｡ しかし 一足遅く ﾛｼｱ艦隊は すでに長崎から去っていた｡ ううん…｡ はあ… はあ…｡ (荒い息遣い) 旦那様に叱られますけ どうか 奥様は➡ お休みになってつかぁさい！ (寿)食事は 全て私が作ります｡ あなたは 小田村家の味を 私に教えて下さい｡ ああ！ だから それも私がやります｡ あの… 旦那様｡ 旦那様｡ 周布様に 急ぎ書状を送らねばならぬ｡ 頼れるのは 周布様しかおらんからの｡ でも 冷めてしまいますから お汁だけでも｡ そうか｡ ごちそうさま｡ 姉上｡ これ 母上から｡ 鯨の煮つけ｡ 自分でやるから ええって 言うてるのに｡ 小田村様は？ 朝から どこかに出かけました｡ 丸髷 似合うね｡ 何か 大人の女の人みたい｡ (ため息) 気楽でええね あんたは｡ えっ？ お子様だって事！ (入江すみ)文！ 文！ ちょっと ちょっと ちょっと！ どねぇしたん？ すみ｡ あっ ふさも｡ ええから ちょっと ちょっと！ えっ 何？ (すみ)いいから いいから いいから！➡ 早う 早う｡ 何？ えっ？ あっ ちょっと…｡ し～っ｡ ≪ﾛｼｱ艦隊は 長崎で何を…｡ ≪提督 ﾌﾟﾁｬｰﾁﾝが 通商を求めに来たと｡ 戦になる日は 近い｡ 長州も もはや 安閑とはしておられん｡ 菊ヶ浜から攻められたら 今の防備で守れるんか？ (すみ･小声で)うちの兄たち｡ 俺が調べたところによると 敵の大筒は➡ ５貫の鉄玉を 40町先まで撃ち込めるらしい｡ (ふさ･小声で)うちの兄も｡ (久坂玄瑞)やられる前にやらねば｡ 異人を倒すんじゃ！ あっ｡ (物音) 誰じゃ？ (ふさ)兄上たちは？ 大丈夫｡ 見つかっとらんみたい｡ 見つかったら また殴られる｡ ｢女が 戦の話に 首突っ込むやない｣って｡ ねえ… さっきの話 本当かね？ えっ？ 異国が攻めてくるって｡ これ 兄が隠しとったんやけど｡ 瓦版｡ ﾍﾟﾙﾘの似顔絵だって｡ (すみ)キャ～！ [ 回想 ] (久坂玄機)武士として生きたい？ 新しい時代が来ます｡ 俺は 国をつくりたい｡ 未来をつくりたい｡ そのために 武士として戦いたい｡ よし｡ 医者の仕事は 兄の俺が引き受けた｡ お前は 好きに生きろ｡ 行ってまいる｡ あ… あの！ あの！ どうした？ あの… お宮で勧進相撲があるそうです｡ 見に行きませんか？ ああ… そうか｡ いいんですか？ ああ｡ 今すぐ 支度を｡ トメ！ 勧進相撲を見に行きたいそうじゃ｡ 寿を連れていってやってくれ｡ もし？ もし お待ち下さい｡ そんなに… そんなに 私に つれなくするんなら➡ どうして 私を妻にしたんですか？ ｢つれない｣？ 夫婦になってから➡ 一度だって 私の顔を 見てくれないじゃないですか｡ いや… そんな事は…｡ あります｡ それは おかしい｡ 現に こうして 顔を見て話しとるじゃないか｡ そういう意味じゃありません｡ どういう意味じゃ？ よう分からんのじゃが｡ もう 結構です！ ｢結構｣？ さっさと出かけて下さい！ (周布)おお 来たか｡ ならば 望みのものを｡ お主らなら 誰の字か 分かるであろう？ 死罪…｡ (文之進)建白書とは 殿に対する意見書｡ ご法度じゃ｡ 殿への建白書 やはり 寅次郎が…｡ いえ！ 違います｡ みんなが うわさしてるから 気になっただけです｡ どうか！ どうか このとおり お願い致します！ 私が しっかり言って 聞かせますから➡ どうか… どうか 弟の命だけは！ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ 建白書を匿名にしたんは この私だ｡ えっ？ 寅次郎が出した建白書だと 知っておられたのですね？ 何せ 寅次郎の名前で届いた｡➡ ｢もとより 罪である事は 分かっとる｣と｡ ｢心の内を 殿様に ご理解頂けるなら➡ 死罪でも構わん｣と｡ 黒船から この国を いかにして守るか➡ 兵学者 寅次郎の 優れた考えが書かれておる｡➡ じゃが 次に何かをしでかしたら もう かばい立てはできんぞ｡ 死罪…｡ (寅次郎)おっ｡ 今日は たくさん とれたのう｡ 寅兄！ 長崎に？ (寅次郎)ああ｡ 一足違いで ﾌﾟﾁｬｰﾁﾝには会えずじまいじゃ｡ ﾌﾟﾁｬｰﾁﾝ？ ﾛｼｱの大将じゃ｡ ﾛｼｱ…｡ 会って どうなさる おつもりだったんですか？ ああ やっぱり 萩の風に当たると落ち着くのう！ 兄上！ 殿様への建白書 兄上が書いたんですか？ ああ 俺が書いた｡ 死罪になるかもしれないのに？ どうして そんな事！ どうして また 皆を心配させるような事！ ｢どうして｣か…｡ のう 文｡ お前は どう生きる？ 自分の人生を 自分の命を 何のために使う？ 兄は いつも その事を考えておる｡ 死など 構わん｡ 思いが届くなら｡ 知行合一という言葉がある｡ 知行合一？ 知識だけじゃ意味がない｡ 行いを伴ってこそ その知識には 意味がある｡➡ 俺は 日本国の危機を 知ってしもうた｡ 皆 その危機に気付かん｡ 気付いても動かん！ じゃから 俺が動く｡ この国を 守らんにゃならん｡ ひと言 相談してくれりゃよいものを｡ どうしました？ 時々 こんな事を考える｡ 寅の中には ５歳のままの寅次郎が 眠っとるんじゃなかろうかと｡ いや…｡ 寅を捕まえて しっかり 話をせねば｡ お久しぶりにございます！ (梅太郎)少し痩せたか？ ちゃんと食べとるか？ ええ｡ 建白書の事じゃ｡ 何で あんなむちゃを…｡ 藩のご重役方は 慌てておられましたか？ 周布様が うまくさばかれ 事なきを得ておる｡ もう 兄上たちに ご心配は おかけしません｡ どういう事じゃ？ 殿に遊学を許された この10年の間は➡ 二度と 天下国家を語らず 英雄のまね事は致しません｡ 富士山が崩落しようと 利根川がかれようと➡ 学問の習得に専念致します｡ 寅兄…｡ (せきばらい) (寅次郎)のう 文｡ えっ？ そう決めました｡ (梅太郎)そうか… そうか｡ よう 決意してくれた｡ では 私は これで｡ 寅次郎｡ お前が どねな天才でも➡ 物事を進めるには やり方っちゅうもんがあるんじゃ｡ 今度は 俺を頼ってくれんか｡ 二度と勝手はせん｡ 俺も すぐに江戸に行く｡ 俺が着くまで 少しだけ待っててくれ｡ 心遣い 感謝する｡ 寅次郎！ ♬～ では 方々 お達者で｡ ♬～ 兄上！ ♬～ お出かけですか？ 江戸へ行く｡ 江戸へ？ 江戸藩邸の有備館で 儒学を教えよとの命を受けた｡ 寅兄様がお好きなんですね｡ この家の事よりも｡ 留守を頼む｡ 馬関に黒船が？ いよいよ 萩にも現れるっちゅう事か？ 逃げた方がええんじゃないかね？ むやみに出歩かんで 用のない者は 家におれ！ ♬～ ≪(稔麿) 俺が調べたところによると➡ 明日の朝には 異国船が相島沖に現れるらしい｡ 異国船…｡ ≪(九一)俺も聞いた｡ 馬関辺りで 異国船を見た者がおると｡ こっちに向こうておったと｡ とうとう 異人が攻めてくるっちゅう事か｡ おじけづくな｡ 攻めてきよったら 片っ端から斬っちゃる｡ 陸の上の戦やったら こっちに分があるんじゃ｡ 見に行くか｡ 何？ どねんした？ さっきの威勢は｡ おじけづいたか｡ 黙っちょってつかぁさい｡ 医者坊主が｡ 何じゃと!? まあまあ まあまあ！ わしらが仲間割れして どねぇする！ よし お前ら｡ 今夜 子の刻 ここに集まれ｡ 親には悟られんように｡ 分かった｡ お医者坊主さんも お逃げなさんな｡ 何じゃと!? 梅太郎も 相模の警固に就いたようじゃ｡ 江戸も大騒ぎであろう｡➡ いつ 異国の船が 現れるかも分からん｡ 当分は 決して 海辺に近寄ってはならん｡➡ よいな？ (金子重輔)はい｡ ああ｡ ほう…｡ (重輔)今は 品川近くに 停泊しとると｡ 我々は ここから入れるのか？ この辺りです｡ そうか…｡ (障子が開く音) 学問に専念するんじゃ なかったんか？ どうして ここに…｡ 相模の防備を命じられたんで 立ち寄ったんじゃ｡ どういう事じゃ 寅｡ これは どういう事じゃ!? 兄上｡ 黒船を討つつもりか？ ﾍﾟﾙﾘを斬るつもりか!? すまんが 弟と２人にしてくれ｡ うそをついた事は 申し訳ありません｡ ですが 私には やらねばならん事が…｡ 寅｡ これをしたいと思うたら もう 歯止めがきかん｡➡ それでは 子どもと一緒じゃ｡ 日本国を守りたいという お前の気持ちは よう分かる｡ じゃが そのためなら 世間のしきたりも➡ お家のおきても 主君への忠義も➡ お構いなしに 踏み越えようとする｡ その事で 一家が後ろ指をさされ 路頭に迷おうとも お前は➡ ｢公のため｣ ｢天下万民のためや｣と 言うんじゃろう｡ じゃが それは 詭弁じゃ｡ 勝手を許されんかった ５歳の子どものわがままと➡ 変わらん｡➡ 俺は 一生忘れるつもりはない｡ あのころ…｡ [ 回想 ] (文之進)バカ者！ (たたく音) (梅太郎)叔父上に殴られ続ける お前に 俺は➡ 何もしてやれんかった｡ じゃから お前の助けになる事は 何でもしてやりたい｡ 心の底から そう思うとる｡➡ じゃが これは いけんぞ 寅｡ こりゃあ いけん｡➡ 寅次郎｡ どうか 大人になってくれ｡ 一家を構え 守るべきもんを持ち➡ 正しい筋道で 正しいやり方で 世の中を変えればええ｡ お前なら それができる｡ (梅太郎)その時こそ あのころ できんかった事を➡ お前にしてやりたい｡ この命に代えても お前の助けになりたい！ どうか 兄の思いを分かってくれ！ ♬～ [ 回想 ] (寅次郎) 皆 その危機に気付かん｡➡ 気付いても 動かん！ じゃから 俺が動く｡ 死など 構わん｡ 思いが届くんなら｡ のう 文｡ お前は どう生きる？ 腰抜けどもが！ 誰じゃ？ お前｡ 異国船を見に行くんでしょう？ はっ？ うちも行きます｡ はっ？ ちいと待て！ ちいと待て！ ついてくんな！ 何か？ ダメか｡ くそ…！ なら 山 越えていこう｡ なに？ (武士) おい！ ちょっと待て そこの者！ 逃げよう！ (玄瑞)はっ？ こっち！ (武士)お前たち 何者じゃ!? 待て！ わっ！ うわっ 蛇！ これの事？ 本当に こっちでええんか？ 任せり｡ どうして 来た？ えっ？ 女が黒船を見て どうする？ 見ちゃ いけんの？ 知りたいんです｡ 今 何が起こっとるのか｡ 女が そんな事知って どうする？ 確かめたいんです｡ 兄がやろうとしてる事を｡ 自分の目で｡ そういう あんたは？ 皆 分かっとらんからじゃ｡ この国は 危うい｡ 危機が迫っとるっちゅうのに 皆 分かっとらん｡ 誰かがやらにゃいけんのじゃ｡ 俺は どねぇしても 今日 船を見んにゃいけん｡ ♬～ あっ… もう日が昇ってしまう｡ 急げ！ ♬～ 何だ… 異国船が来るなんて ただの うわさやったんやない｡ くそ…！ くそ！ どうしたん？ 願かけしとった｡ 願かけ？ 今日 もし 船を見られたら 何か変わるって｡➡ じゃが やっぱり ダメじゃった｡ 呪われとる｡ 呪われとる？ 神社のおみくじ いつ引いても 凶が出る｡ 神様に 愛想尽かされとるんじゃ 俺は｡ [ 回想 ] 兄上の病が ようなりますように｡ 母上の病が ようなりますように｡ 父上の病が…｡ ご病気で？ この１年で３人も？ その年で 天涯孤独は 気の毒じゃが…｡ 私が 藩医を継ぐという事ですか｡ 医者として生きろと？ 家督を継ぐとは そういう事じゃ｡ 大丈夫？ 願いは いっつも かなわん｡ [ 回想 ] 俺は 国をつくりたい！ 未来をつくりたい｡ そのために 武士として戦いたい｡ 思いとは別に 四方から壁が迫ってくる｡ こう生きろと｡ それを受け入れるっちゅう事が…｡ 諦めるっちゅう事が…｡ どうせ こねなもんじゃ！ 俺の人生なんて｡ ♬～ 何する…!? おい！ ♬～ 引いてみよう｡ はっ？ 愛想尽かされとるかどうかなんか 分からんじゃろ｡ もう一遍 引いてみようや｡ 余計なおせっかいすんな！ 引こう！ 引かん！ みくじは 生涯引かんと決めたんじゃ｡ 弱虫｡ 何じゃと!? 人の気も知らんと｡ 何があったか知らんけど➡ 勝手に決めんでよ 自分の人生 こねなもんだとか｡ やかましい！ お前に何が分かる？ 引いてみよう！ あ～ もう しつこい！ だって悔しい！ はっ!? あんた 偉い人なのに！ えっ？ みんな 口だけ｡ 異人を倒すとか 黒船を見に行くとか…｡ でも あんたは違う｡ 本当に行動する人｡ 自分の人生を どう使うか 本気で考えとる人｡ 言うだけの人より ぶつかって こけて 膝すりむいて➡ 人から 悪口言われるかもしれんけど➡ うちは そういう人が好き｡ す… す… 好き？ うん｡ 兄上みたいな人｡ 兄上？ 引いてみよう｡ 私も願かけするから｡ 悪い事ばっかりあったんなら きっと もう 悪い運を使い切った｡ やから これからは きっと いい事ばかりある｡ せわぁない！ ♬～ ≪こら！ さい銭泥棒！➡ お前ら 何やっちょる!? ♬～ またね！ またな！ ≪(汽笛) ≪(汽笛) ♬～ この久坂玄瑞が 再び出会う運命の人である事を➡ 文は まだ知らない｡ ♬～ 寅次郎！ まさか…｡ 子どもの頃は 兄と いっつも一緒の布団で寝とった｡ 兄が こんなにも 私を思うていてくれたとは…｡ うれしかった｡ そうですか｡ そして さみしゅうなった｡ いつの間にか 生き方が違ってしもうた｡ もう 戻れんのじゃな｡ 姉上！ 気ぃ付けて｡ はい｡ お漬物を持ってきました｡ 小田村家の味ですから➡ 杉家には 少し 上品すぎるかもしれませんが｡ どうぞ｡ 小田村の兄上は まだ江戸？ 寂しいですね｡ 寂しいもんですか｡ 子ができました｡ えっ？ 守るもんができたんです｡ 夫など 留守でも平気です｡ 母上！ 姉上が…！ あっ… 父上？ えっ？ あっ ちょっ… 父…｡ どうされたんです!? 寅次郎が… 寅次郎が…｡ 寅兄が また何か？ 寅が どねぇしたんです？ 寅次郎が国禁を破り…➡ ﾍﾟﾙﾘの黒船に乗り込んだ！ 黒船に？ 寅兄様が…｡ ♬～ (寅次郎)ﾒﾘｹﾝに連れてゆけ！ ﾎｰﾌﾟ！ 寅次郎の密航｡ その時 家族は…｡ (椋梨)関わった者は すべて厳罰に処す｡ わしが お前なら 己の腹をかき切った！ (寿)父上は お腹を 召されるんやろか｡ 父上！ 父上！ 力をお貸し下さい！ 寅兄！ <嘉永６年 1853年｡➡ 浦賀沖で起きた ﾍﾟﾘｰ率いる黒船の来航は➡ 日本の人々を驚かす大事件でした> <圧倒的な軍事力で 幕府に開国を迫ったﾍﾟﾘｰ｡➡ 騒動を聞き 浦賀に駆けつけた寅次郎は➡ その様子を目の当たりにし➡ 長州藩主へ 意見書を 提出します｡➡ 来る日本の危機に 備えるよう➡ 藩に 対策を促しました> <ﾍﾟﾘｰ来航から数か月後➡ 長州藩は 三浦半島沿岸の警備を➡ 命じられます｡➡ その中には 文の兄 梅太郎のほか➡ 小田村伊之助 後の 男爵 楫取素彦も➡ 名を連ねていました> <幕末に巻き起こった この大事件が➡ 日本にとって 大きな転機となったのです> (仁左衛門)使い鳩は 飼い主のところに戻るという｡ 安部式部が 気付くやもしれぬな｡ <盗賊 雲霧一党を追う 火付盗賊改方は➡ 名古屋に その足跡を認めたものの➡ なかなか 手がかりを つかめずにいた> あとは 盗賊改が どんな手を打ってくるかだ｡ ♬～

ごちそうさん＃075

1 (め以子)う～ん あと一つ…｡ (トラ)<ああ 悠太郎さんの分ね｡➡ これは 考えちゃうよね> (悠太郎)料理って ええですね｡ 料理は 人を傷つけへんやないですか｡ <最近 元気ないしね｡➡ お仕事 大変なのかね> (希子)ちい姉ちゃん｡ うん？ (希子) 皆さんがお泊まりになるのって➡ お姉ちゃんの部屋で ええんですよね？ うん｡ …うん？ 今日ですよね？ 卯野家の皆さん来はるの｡ あっ！ 桜子｡ 今日 お父ちゃんと お母ちゃん 来るんだけど…｡ (桜子)め以子！ 師匠っていうか お父さんの事➡ 黙っといてもらえるかな？ ねえ…｡ (戸が開く音) (大五)何 黙っとくんだよ｡ あっ！ お父ちゃん！ えっ 何で？ ♬～ ♬｢突然 偶然 それとも必然？｣ ♬｢始まりは 気付かぬうちに｣ ♬｢予報通り いかない模様｣ ♬｢そんな時こそ 微笑みを｣ ♬｢ﾎﾟﾂﾘﾎﾟﾂﾘと町の色 変わってゆけば｣ ♬｢傘はなくとも雨空に唄うよ｣ ♬｢どんな君でも ｱｲｼﾃｲﾙ｣ ♬｢顔を上げてごらん 光が照らす｣ ♬｢涙の河も海へと帰る｣ ♬｢誰の心も 雨のち晴ﾚﾙﾔ｣ (イク)すぐに おうちに行こうって 言ったんだけどね｡➡ この人 焼氷が食べたいって言って 聞かなくって｡ (大五)そう 焼氷｡ すいません｡ 焼氷 冬場はやってないんです｡ えっ？ (照生)だから 言っただろう もう｡ (大五)え～？ (桜子) でも ｶｽﾀｰﾄﾞ巻きも いけますよ｡ (大五)そう？➡ ｱﾊﾊﾊﾊｯ｡ (室井)どうも大将 その節は｡ どうした おい？ 汚ねえな｡ (桜子)震災のあと ず～っと こうやって 書いてて｡ よう｡ 何 書いてんだよ｡ (室井)おでんを通じて 世界のあるべき姿を表現してます｡ 今 こんにゃくが➡ その不確かな存在意義について 皆に理解されたところです｡ うん… お前も 頑張ってんだな｡ うまい これ！ ありがとうございます｡ それ 食べたら 行くからね｡ えっ 俺 まだ 行きたい店がよ｡ 西門の皆さん 待ってらっしゃるんだよ？ ♬～ えっと～…｡ (静)悠太郎の母の静でございます｡ これが 娘の希子です｡ ちい姉ちゃんには いつも ようしてもろてます｡ ああ いや こちらこそ 姉が…｡ あ…｡ ちょっと 何 鼻の下 伸ばしてんのよ｡ あの～ もう一方 その…｡ 今日 お姉様の方は…｡ あ～…｡ あ～ あ～ 言ってなかったわよね｡ ごめん お嫁に行かれたの｡ はっ？ そうなの？ うん いろいろあって 震災の前にね｡ 聞いてねえぞ 俺は｡ いや そっちだって それどころじゃなかったでしょ｡ あのな そういうのは ﾁｮﾛﾁｮﾛって 書いて よこしゃ 済む事だろ｡ いや あの大事に 電報一つ よこさなかった人に➡ 言われたくないです｡ バカ野郎 それどころじゃなかったんだよ｡ こっちだって それどころじゃなかったの｡ どっちも どっちだよ｡ やめなさい もう 恥ずかしい｡ こんなんなんやね ちい姉ちゃんの家って｡ なっ｡ ﾎﾝﾄ すいませんね がさつな娘で｡ いいえ 明るうて 助かってます｡ いつでも のしつけて 返してもらって構わないですから｡ 何て事 言うの｡ えっ どこ行くの？ おう ちょっと 市場でも のぞきに行ってくらあ｡ テル 行くぞ｡ えっ？ すみません 来た早々 騒がしくて｡ ああ いいよ お母ちゃん 座っててよ｡ じっとしてるのも 性に合わないからね｡ う～ん…｡ けど 安心したよ 仲良さそうで｡ どうなってる事かって 思ってたから｡ お父ちゃんも心配してたんだよ｡ あんた もうちょっと まめに手紙 よこしなさい｡ ごめんなさい｡ いらっしゃいませ｡ (源太)毎度 こんにちは｡ 随分 違うんだな 食いもん｡ ああ｡ こっちは牛が中心なんだよ｡ カツったら 牛カツでよ｡ おじさん？ やっぱり そうや！ 源太や 源太｡ め以子の同級生やった｡ ああ～！ ああ～ 源ちゃんか！ おお～ おっきくなったな｡ なあ お前 こっち住んでんのか｡ あれ？ あいつから 聞いてなかったんですか｡ あいつ そういう大事な事 何にも言わねえんだよ｡ ああ… まあ 忙しいですからね｡ まあ よう｡ (染丸)なあなあ 源ちゃん お知り合い？ ああ まあな｡ どうも 染丸いいます｡ どうも｡ ああ こちらは め以子の おやじさんと弟｡ あっ そうなんだすか？ え～ もう 私 師匠には ずっと お世話になってて｡ 師匠って？ あっ あの… め以子さんの お父さん｡ …の いとこ！ 亡くなったお父さんの いとこで➡ わしらも お世話になってたんや｡ なあ！ それも聞いてねえけどな｡ (竹元)何も見せるものがない というのは➡ どういう事だ！ 僕の力不足です｡ 力不足だと？ ｺﾝｸﾘｰﾄ造は お前の専門だろう｡ 大学で 一体 何を習ってきたんだ！ 習ってきた事に 自信が持てないんです｡ 震災で ｺﾝｸﾘｰﾄが 必ずしも 安全ではないという事が分かって｡ これをやっていれば 大丈夫なはずだという確信が➡ 自分の中に持てないんです｡ 申し訳ありません！ 責任感はあるが➡ 責任を全うする覚悟はなかった という事か｡ …えっ？ もういい｡ この案件は 別の人間に任せる｡ お前には 荷が重すぎた｡ お前には… 失望した｡ 待って下さい 竹元さん｡ ちょうどいい機会だ 教えてやろう｡ この世で 私が 一番 嫌いな言葉は➡ ｢がっかり｣｡ がっかりだ｡ (藤井)まあ 明日から休みやし➡ ゆっくりして 気持ち 切り替えてな｡ …はい｡ よいお年を｡ (大村)はいな｡ ♬～ あんな 棟梁｡ どんだけやったかて 完璧なんかあらへんで｡ しゃあない｡ どっかで 腹くくらんと｡ よいお年を｡ ♬～ ≪(大五)め以子 お前 何やってんだよ！ こっちは 薄味なの｡ まだ これ 濃いから｡ え～？ これでも まだ濃いぐらいかな｡ うん｡ (大五)これ 今の入れ過ぎだよ｡ お父さん｡ あっ お帰りなさい｡ おい 悠さん お邪魔してるよ｡ すいません 遅なりまして｡ 忙しいんだろ？ 分かってるよ んな事は｡➡ 分かってるよ｡ おいしいの作ってやっから｡ (大五) こっちは 酒と しょうゆで焼く｡➡ 東京は 割り下で煮るって具合かね｡ あら おいしい｡ どうも｡ まずいって言われちゃ 立つ瀬がないですからね｡ ほら 薄めて ちょうど よかったじゃない｡ 黙ってろ お前は｡ 味 合わせて頂いて 物足りない事ないですか？ もともと 味が濃いもんだから 平気だよ｡ ありがとう｡ 大丈夫 大丈夫｡ (大五) 悠さん 元気ねえじゃねえか｡ いえ… 仕事でちょっと｡ 何 困ってんだよ｡ 言ってみな｡ 飯 まずなりますよ｡ いいから いいから 言えよ｡ 親子じゃねえかよ なっ｡ そうですね｡ あの… ｺﾝｸﾘｰﾄ造の小学校の設計を 任されたんですけど…｡ おお～ すごいじゃねえか｡ 子どもが生活する所ですから➡ できるだけ頑丈なものをとは 思うてるんですけど➡ これが 実に判断が難しくて｡ はあ～｡ 今回の震災で ｺﾝｸﾘｰﾄ造の建築物でも➡ 被害が出たものと 出なかったものがあるんですね｡ その被害の差を もたらした技術が 一体 何やったのか➡ まだ結論には至っていない 状態なんです｡ へえ～｡ もう そんな難しい事➡ こっちのお父さんに言ったって 駄目よ｡ そういう事は➡ 向こうのお父さんにでも 相談しないと｡ ねえ？ まあ あの人やったらなあ｡ 何だったら私 向こうのお父さんに 相談しましょうか？ (イク)向こうのお父さんって？ (照生)ここのお父さんって 亡くなってるんだよね？ まさか 新しいお父さんって事じゃ ないでしょうね？ えっ？ えっ ひょっとして…➡ 生きてる… とか？ はい 生きてます｡ 聞いてねえぞ 俺は｡ 何だ これは？ どういう事だ？ 死んだって言ったよな？ そう言ったよな 悠さん｡ ゆ… 行き方知れずだったんです｡ 10年前に 家 出てってしもて｡ せやから もう死んだも同じ言いますか｡ そ… そうなんです｡ 生きてるって分かったんも➡ 今年に入ってからで｡ 何月だ？ え～…｡ ６月の終わりです｡ ６月…｡ 半年も前じゃねえか お前｡ どうして そんな大事な事を 言わねえんだよ！ いろいろ事情が複雑なの｡ 複雑もクソもあ…｡ ああ もう！ おい！ お父ちゃんが見つかったとか そんな大事な事をよ➡ 俺に何の報告も相談もなしか｡ おい 悠さん！ すいません｡ お父ちゃんに言ったって しかたないでしょ｡ 言いたかねえけどな 祝言も挙げてもらえねえ｡ こいつが女中扱いされてる ってのも 俺は我慢してきたよ｡ それはな 悠さんの事 信じてきたからだよ！➡ 悠さんだったら 絶対 悪いようにはしねえってよ！ それと これとは 関係ないでしょ｡ けどよ➡ こんなに 隠し事 多いんじゃ お前➡ 悠さんの事 信用できねえじゃねえかよ！ だって それはよ 悠さん 俺の事 信用してねえって事だろ？ 当てにもしてねえって事だろ？ そんなつもりは…｡ じゃあ 何で 何にも言わねえんだよ！ お前 今日だって 言うつもりはなかっただろ!? …はい｡ ちょっと…｡ ♬～ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒１２月２５日水曜日の 「あさイチ」です。 お父さんの気持ちもね 分かるから。 分かりますけど、確かにそうだ けど。何がいけないんだろうって

独身貴族＃07

1 (守)現王園 玲子さんと 結婚します｡ (進)何 無理して 芝居してさ｡ 自己犠牲 アピールしてんだよ？ (ゆき)社長 何か ちょっと 変ですよね？➡ 脚本に 興味が なくなっちゃったってことですか？ (進)『８月のボレロ』の製作を 検討してほしいと➡ お願いしたところ 製作しても いいという答えを 頂きました｡ (守)このままの脚本で 映画化するということは➡ 彼女の才能を つぶす可能性が あるということです｡ (進)ゆきちゃんに 喜んで もらいたかった だけだったんだ｡ (ゆき)こんな うれしいこと してもらったの 初めてです｡ (進)あー｡ ハァー｡ (守)おはよう｡ (進)ああ｡ おはよう｡ あれ？ 兄貴 寝てないの？ コーヒー 飲む？ ああ｡ そんな 急ぎの仕事 あったっけ？ 仕事したい気分なんだよ｡ そういうときって あるだろ？ いや｡ ない｡ ああ そう｡ ねえ 兄貴｡ 俺 ゆきちゃんと 正式に 付き合うことにしたよ｡ ゆきちゃんから ＯＫ もらったよ｡ そうか｡ よかったな｡ ≪(ドアの開く音) ≪(玲子)おはようございます｡ おはよう｡ おはようございます｡ (玲子)あら まあ｡ お二人 揃って 今日は お早いですのね｡ 兄貴 全然 寝てないんだって｡ まあ｡ 守さん｡ 大丈夫ですか？ 全然 大丈夫ですよ｡ 今 お食事のご用意 いたしますね｡ すいません｡ んっ｡ ありがとう｡ 朝から 重いかしら テリｭーヌは？ やだ｡ テリーヌよ｡ もう｡ 言えてないじゃないの｡ テリーヌ｡ (川越)整理整頓｡ もう｡ 早く やれよ｡ (社員)はい｡ すいません｡ (社員)川越さん｡➡ これ どうします？ (川越)それは あっちの奥かな｡ (社員)これは どっちですかね？ (川越)これ カッコイイね｡➡ これ あっち｡ 川越君｡ 細井さん｡ (川越)はい｡ これの原作権 取れるか➡ 確認しといてくれますか？ (細井)あっ｡ はい｡ (川越)あれ？ これって 最近 出た 本ですよね？ 新刊では この10冊が 映像化に向いてると 思ってね｡ (川越)ってことは 新刊 全部 読んだんですか？ じゃあ よろしくね｡ (細井)何冊 読んでんの？ あの人 いつ 寝てんだろう？ すげえな｡ (進･ゆき)申し訳ありません｡ (水島)うん？ あのう｡ こちらから 映画化の お願いをしておいて➡ 本当に 申し訳ないんですが➡ 脚本 直すのに もっと 時間が かかりそうで｡ 前回 頂いた スケジュールでは 間に合いそうにないんですよ｡ (水島)えっ？ あのう｡ この 『８月のボレロ』は➡ 完成本じゃないんですか？ はい｡ すみません｡ (水島)えっ？ ホントに 完成本じゃないんですか？ 本当です｡ (水島)いやいや いやいや｡➡ じゅうぶん 書けてると思…｡ あっ｡ 大丈夫です 大丈夫です｡➡ 書けてると思いますけどね｡ 困ったな｡ (水島)いや｡ 実はですね｡➡ 先日 たまたま 会う機会が ありましてね｡ はい？ (水島)この脚本を 山下さんに➡ 読んでいただいたんですよ｡ 山下さん？ (水島)したら 出演を検討しても 構わないって➡ 言ってくださったんですよ｡ 山下 智久さん｡ えっ？ 本当ですか？ (水島)ええ｡ どうしますかね｡ 山下 智久さん｡ どうもこうも ありませんよ｡ やっていただけるのであれば➡ うれしいです｡ ならば こちらも➡ 本腰 入れなきゃなって いうことですね｡ 撮影の スケジュールなんですが 年内は まあ もう 無理なんで➡ 来年 早々 撮影開始っていうことで➡ 話を 進めてるんですけど どうですかね？ じゃあ まだ 本を直す時間が あるってことですね？ これ以上 この本 どこ 直すっていうんですか？ ああ…｡ まあ 色々 あるんですけど｡ あのう｡ まだ 一応 ぎりぎりまで 粘りたいんですが｡ まあまあまあ｡ そう おっしゃるんであれば➡ もちろん 構わないですけどね｡ ええ｡ すみません｡ うわ｡ おっきい 革のかばんですね｡ わに革ですか？ いやぁ｡ よかったよ｡ 山下 智久さんが 来るなら➡ 映画化 確実だよ｡ 日本映画も 真剣に動くし｡ よかった｡ ホントに 映画になるんだ｡ おめでとう｡ ありがとうございます｡ 専務が お願いしてくれた おかげですよ｡ いや｡ 運だな｡ この映画 ついてるよ｡ ゆきちゃん｡ 俺も 思うんだけど➡ 水島部長の言うとおり 脚本 このままで いいんじゃないのかな｡ いや｡ 全然 まだまだです｡ 社長も そう言ってましたし｡ 山下 智久さん 主演で？ 彼が 候補になったので➡ 日本映画が がぜん 本気を 出し始めましたよ｡ あっ そうだ｡ 仕切り直しになったので➡ 本 直す時間は たっぷり ありますよ｡ 分かりました｡ では この 『８月のボレロ』は➡ 専務の仕切りで お願いします｡ 分かりました｡ えっ？ あのう｡ 社長は？ 本打ちは どうなるんですか？ 映画化が 具体的になったのは 専務のおかげです｡ それに 別の企画も 動いてますから➡ 僕は そちらを 進めなくてはいけません｡ 今回 脚本の直しに関しては 専務に任せます｡ いいですか？ もちろんです｡ 頑張ろうね｡ ゆきちゃん｡ はい｡ あのう…｡ では 話は 以上です｡ じゃあ 失礼します｡ ♬～ ≪(ドアの開閉音) (川越)あっ｡ 春野｡ ほら｡ これ 整理 お願いしていい？ あっ｡ はい｡ (須美花)ちょっ ちょっ…｡ 川越君｡➡ ちょっと｡ ねえねえ ねえねえ｡ (川越)おっ？ (須美花)何か 専務から 発表が あるんだって｡➡ 婚約発表とかじゃなきゃ いいんだけど｡ ヤベえ｡ ついに きたな｡ (細井)何が？ それ 俺の プロデューサー 独り立ちの件だな｡ (須美花･細井)えっ？ (川越)絶対 そうだ｡ (須美花)違うと思うよ｡ みんな｡ そのままで いいから 聞いて｡ そのままで いいからね｡ (川越)みんな｡ そのままで いいから 聞いて｡➡ そのままで いいから｡ 春野｡ あっ｡ はい｡ えー｡ このたび 春野ゆき 脚本 『８月のボレロ』が➡ 日本映画と キネマ･エトワールの 共同製作 山下 智久さん 主演で➡ 映画化されることが 濃厚になってきました｡ (一同)おお｡ そこで 脚本を書いてる 春野ですが➡ 通常業務から外れて 脚本に 専念してもらいたいと 思います｡ 以後 このプロジェクトは 僕の担当になります｡ (須美花)社長は 入らないんですか？ はい｡ 入りません｡ えー｡ 春野｡ あっ｡ 皆さん｡ どうぞ よろしく お願いします｡ えー｡ そこで 川越君｡ はい｡ 人手不足になって 申し訳ないけど➡ 春野のフォロー よろしく｡ (川越)えっ？ 君にしか 頼れないんだよね｡ 君だけが 頼りなんだよ｡ 川越君｡ 俺だけですか？ うん｡ お前ら 聞いたかよ｡ みんな｡ 頑張ろうな！ (一同)ああ…｡ はい｡ 以上｡ (一同)はい｡ (川越)以上？ あっ｡ 専務｡ すいません｡ あのう｡ それだけですか？ 他にも あのう｡ 出世とか…｡ あっ｡ 川越君｡ (川越)はい｡ 帽子 取った方が いいね｡ 花があるよ｡ 花がある｡ ♬～ ｢ハルカ 振り向きざまに 言う｣ ｢ハルカ 振り向きざまに 言う｣ (川越)じゃあ 次 ここと あと あっちの壁 整理すっか｡ (一同)はい｡ (川越)ああ｡ そういえば 俺さ➡ 帽子 やめたんだよ｡ 振り向きざまでしょ…｡ ☎ (川越)よし｡ やるか｡ (細井)はい｡ キネマ･エトワールです｡ あっ｡ いつも お世話になっております｡ 今 ちょっと 書きます｡ ああ｡ ごめん ごめん…｡ ごめんね｡ (細井)はい｡ ええ｡ どうぞ｡ 須美花ちゃん｡ ｺｰﾋｰ ちょうだい｡ (須美花)はい｡ (細井)ハハハ…｡ (川越)春野｡ どう？➡ 進んでる？ これ｡ 順調？ ああ…｡ あー｡ ええ｡ そういえばさ 俺さ 帽子 やめたんだよ｡ ああ｡ 凝ってんね｡ あのう｡ すごい 気持ちいいんですけど➡ 今は 集中したいんで｡ ありがとうございます｡ あっ そう？ はい｡ じゃあ 何か 凝ってるとき呼んでよ｡ はい｡ 俺 マッサージ 来るから｡ 分かりました｡ あと 俺 帽子 やめた｡ ですよね｡ (須美花)春野さん｡ ｺｰﾋｰ どうぞ｡ ああ｡ ありがとうございます｡ そこに 置いといてください｡ そこ？ ああ！ すみません｡ ありがとうございます｡ (須美花)ああ…｡ ありがとうございます｡ フゥー｡ ゆきちゃん どう？ 進んでる？ ああ…｡ 専務｡ うん？ あのう｡ 場所って 変えても いいですか？ 場所？ はい｡ (話し声) 今 どこ 直してんの？ ああ｡ ハチのところです｡ ふーん｡ (女性)あっ｡ すいません｡ 大丈夫です｡ 大丈夫です｡ 大丈夫です｡ (女性)こら｡ ヒナ！ 静かにしなさい｡ どっか 移ろっか？ うち 来る？ あっ｡ 駄目だ｡ 図書館とか？ 受験勉強みたいになっちゃうけど｡ でも 私語 厳禁ですよね？ そっか…｡ あっ｡ (女性)あっ｡ もう｡➡ 二度も すいません｡ いえいえ｡ 大丈夫です｡ 大丈夫です｡ 元気ですね｡ (女性)こら！ いいかげんにしなさい｡ ああ…｡ ちょっと 待っててください｡ うん｡ どうぞ｡ あっ｡ 座っちゃっても いいかな｡ はい｡ じゃあ やろうか｡ 専務も 水島さんと同じように➡ ホントに これで 決定稿にしていいと 思いますか？ いやいやいや｡ そんなこと ないよ｡ ゆきちゃんの気持ちも 分かるしね｡ うん｡ じゃあ よくするとしたら どこが 一番のポイントですかね？ ポイント？ うん｡ そうだね｡ まあ ポイントだらけといえば ポイントだらけだし｡ うーん｡ 例えばさ…｡ 例えば？ うん｡ 例えば…｡ あっ｡ ハチがさ➡ 中盤で 死にそうなところ あるじゃん｡ あれはさ もっと こう 普通の人間だったら➡ 恐怖を感じても いいと思うんだよね｡ そのう｡ ハチのさ こう…｡ あのう｡ 専務｡ ハチは 金魚です｡ 冗談だよ｡ じゃあ｡ うん？ このシーンは どうですか？ 48？ 48｡ いやいや いやいや｡ さすが ゆきちゃん｡ やっぱり 直した後の方が いいよね｡ うん｡ 専務｡ うん？ それは 直す前のものです｡ 直したのは こっちです｡ (せきばらい) ≪(ノック) どうぞ｡ (須美花)失礼します｡➡ 『ささやかな暴言』 準備稿 上がりました｡ うん｡ ありがとう｡ じゃあ いつものように➡ ナンバリングして スタッフに 渡しといてください｡ はい｡ 社長｡ 大丈夫ですか？ 何がですか？ 全然 大丈夫ですが｡ ああ…｡ これは どうですか？ うーん｡ あんまり…｡ 面白くない気がする｡ 面白くないですよね｡ ≪(ドアの開く音) ≪(沙織)ただいま｡ あっ｡ おかえり｡ すいません｡ (沙織)今 入っても 大丈夫？ 駄目だったら➡ 喫茶店でも 行ってるから｡ えっ？ ううん｡ 大丈夫｡ 入って 入って｡ (沙織)うん｡➡ あっ｡ お邪魔でした？ いえ｡ 今日は もう これで｡ (沙織)あっ…｡ ゆきちゃん｡ はい｡ また あしたね｡ お疲れさまでした｡ (沙織)お疲れさまでした｡ お邪魔しました｡ (沙織)また いらしてくださいね｡ 頑張ってね｡ ありがとうございました｡ あんまり 無理しないように｡ はい｡ じゃあ お気を付けて｡ お邪魔しました｡ (沙織)はい｡ (沙織)ちょっと ちょっと ちょっと｡ どこまで いったの？ (沙織)何しちゃったの？ えっ？ 待った 待った 待った｡ 想像してるようなことは 何にも ないからね｡ ないの？ ないよ｡ 仕事してただけ｡ キスくらいは あったでしょ？ いや｡ キスも ないよ｡ 一日 ずっと 一緒にいて？ あんた 幾つよ？ ってか あんたたち セットで 幾つよ？ 今どき 小学生ですら もうちょっと やってるわ｡ ごめん｡ うん｡ 今日の ビーフシチューも とっても おいしいです｡ そちらも 現王園家 秘伝の ビーフシチューですのよ｡ ≪(ドアの開く音) ≪ただいま｡ あっ｡ おかえりなさい｡ おかえり｡ お風呂になさいますか？ お食事になさいますか？ ああ｡ そうだ｡ 今日 何も食べてないや｡ まあ びっくり｡ では お食事ですね｡ 進｡ 玲子さん特製の ビーフシチューだ｡ 格別だぞ｡ ふーん｡ おばあちゃまから お母さまに 伝わって➡ 私で 三代目のレシピですのよ｡ へえー｡ 江戸時代の食べ物？ フフッ｡ 進は 面白いな｡ 今 お持ちしますからね｡ あー｡ 腹 減った｡ しばし ご歓談を｡ フフフ｡ おー｡ うまそう｡ はーい｡ どうぞ｡ ありがとうございます｡ はい｡ いただきます｡ うまっ｡ すげえ おいしい｡ そうですか？ いい奥さんになりますよ｡ やだ｡ 進さんったら｡ あっ…｡ 急に そんなこと おっしゃるから 私 もう 胸が ドキドキ…｡ あっ｡ お代わりございますからね｡ ありがとうございます｡ ごちそうさまでした｡ じゃあ 僕は そろそろ 戻ります｡ どこ行くの？ 会社に 戻るんだよ｡ 夕食 食べに 帰ってきただけだから｡ また 残業ですって｡ 無理なさらないでくださいね｡ じゃあ いってきます｡ いってらっしゃい｡ やだ｡ かばん｡ もう 守さんったら➡ 何しに 会社 行くのかしら｡ もう｡ フフフ｡ 進｡ 進さん｡ はい｡ ちょっと｡ うん？ 脚本 どう？ うまくいってる？ ああ｡ もちろん｡ 全然 問題ない｡ 安心して｡ そうか｡ じゃあ よかった｡ うん｡ えっ？ 週末までにですか？ そうなんですよ｡ 先日 読んでいただいた脚本は 完成本じゃない｡ まだまだ この先 ちょっとずつ➡ 直していきますよって 当人に 伝えたら➡ どういう方向性で 直すのか➡ 本人が 早めに読みたいって 言ってるんですよ｡ うーん｡ 週末って あと ２日ですよね？ うん｡ 方向性 示すだけでいいんだ｡ 決定稿じゃないから｡ 分かりました｡ でも 間に合うかな？ 間に合わせようよ｡ 大丈夫だよ｡ 今 どこまで やってる？ あっ｡ 今は ちょうど ラストシーンです｡ あっ｡ 専務｡ ラストシーンについて どう思います？ そこは 社長も 気にしていたところなんですけど｡ ラストシーンの クライマックスに 何か 別のアイデアがないかって｡ ゆきちゃんは どう思うの？ 私も そう思ってるんですけど｡ (須美花)何か 増えてない？ (川越)増えてる｡ よし｡➡ はい｡ (社員)あっ｡ はい｡ (川越)ほら これ｡ 分けるぞ｡ はい｡ 川越君｡ (川越)はい｡ これも 登場人物表 作って➡ あらすじも 書いてもらえるかな？ 章ごとに➡ 簡単に まとめてもらえると いいんだけど｡ (川越)はい｡ (細井)全然 終わんないね｡ (川越)俺らが 全員で 処理すること➡ 社長一人で やってんだもんな｡ よく 倒れないよな｡ やるか｡ (川越)じゃあ これ…｡ おい｡ おい！➡ 何だよ おい｡ (須美花)お疲れさまです｡ (一同)お疲れさまです｡ (須美花)オーナー｡ すいません｡ 専務 まだ 外出中なんですけど｡ (亜希子)あっ｡ 今日は 社長に 会いに来たんです｡ 社長に｡ どうしたんですか？ 亜希子叔母さん｡ どうぞ｡ (亜希子)守｡ 玲子さんから 伺ったんですけれど➡ あなた 毎日毎日 残業なんですって？ ええ｡ 仕事が 立て込んでいるもので｡ (亜希子)あなた 体 大丈夫？ この前 伺ったとき 疲れ果てて➡ ソファで 眠ってらっしゃいましたよ｡ 全然 問題ありません｡ 若返ったみたいに 疲れないんですよ｡ (亜希子)で 玲子さんとは どう？ 順調です｡ 玲子さんが作ってくれる 料理は 最高ですし➡ 毎日 楽しく過ごしてますよ｡ 本当に 大丈夫なのね？ ええ｡ 話は それだけですか？ ええ｡ それだけよ｡ 分かりました｡ 僕は 仕事に戻ります｡ どうですか？ うん｡ これも ありといえば ありなんだけど…｡ 84シーンなんだけど 何となくなんだけど➡ ３行ぐらい 増やせるかな？ ３行ぐらい？ どうですか？ うん｡ うーん｡ 主人公がさ…｡ 主人公ですか？ もうちょっと 明るい感じの方が いいんだよね｡ えっ？ でも 前に 専務➡ 暗い感じが いいって 言ってましたよね？ それじゃ 二重人格みたいに なっちゃいませんか？ いやいや｡ ほら｡ 人間ってさ 何か 複雑じゃん？ こう 何か｡ うん｡ はい｡ ハァー｡ すいません｡ 私 どうしていいか 分からないんですけど｡ ♬～ (川越)お疲れ｡ (一同)お疲れさまです｡ (川越)これ 買ってきたから食べて｡ (社員)マジですか？ 何 何？ (社員)おにぎりだ｡ みんな おにぎり おにぎり｡➡ みんな おにぎりだよ｡ (細井)持ってきて｡ これ よろしく｡ 俺 行っちゃうね｡ (川越)あっ｡ 今日 どちらですか？ ハァー｡ 本打ち｡ (須美花)いってらっしゃい｡ いってきます｡ (川越)ハァー｡ こういう仕事はな 春野が 向いてんだけどな｡ あー｡ もう 圧倒的に 人手が 足んねえよ｡ (細井)今日で ３日目だっけ？ (須美花)４日目｡ 仕事中に 専務とデート｡ 楽しそうで いいわね｡ (川越)そうかな？ 何か 専務ね➡ 楽しそうなとこに 行くっていう 感じじゃなかったけどね｡ (一同)川越さん！ あざーっす！ (川越)ああ いいよ｡ 早く 食って 食って｡ すいません｡ これ｡ (須美花)えっ｡ ちょっ｡ よろしく お願いします｡ あっ｡ (須美花)ちょっと｡ ちょっと｡ どうですか？ うーん｡ そろそろさ｡ そろそろ？ いや｡ あしたの午前中には➡ 山下さん側には 持ってかなきゃ いけないんだろ？ ええ｡ それは 分かってます｡ だから そろそろ まとめに 入んないとさ｡ じゃあ 中途半端なものでも➡ とにかく 出しときゃいいって そういうことですか？ いや｡ そういうわけじゃ ないけどさ｡ これは 仕事だから 締め切りは 守らないと｡ それは 分かってます｡ でも もっと 駄目なら駄目で どういうとこが 駄目なのか➡ 言ってください｡ もう いらいら すんなよ｡ そうじゃなきゃ 直せませんよ｡ もう 何がよくて 何が悪いんだか 分かんないんです｡ 社長は どういう理由で 駄目なのか いつも 明確に…｡ 俺は 社長じゃないし｡ すみません｡ ごめん｡ 今日は 帰ろう｡ あのう｡ ホントに すみませんでした｡ とにかく 締め切りは あしただから｡ それじゃ また あした｡ ≪(ドアの開閉音) ハァー｡ いかん いかん｡ ≪(沙織)ただいま｡ ねえねえ ねえねえ…｡ 専務 帰っちゃったよ｡ 何で？ 今日 早くない？ せっかく 一緒に 鍋 しようと思ったのに｡ 何か あった？ 恋愛と仕事が 一緒の関係って 最悪なのかも｡ えっ？ この世にさ 恋愛のパートナーとしても➡ 仕事のパートナーとしても うまくいってる カップルって➡ いるんだろうか？ あっ ほら｡ 例の変人社長とは➡ うまくいってたんでしょ？ そのパートナーって いうのがさ｡ えっ？ 何 言ってんの？ だって 社長とは 恋愛 ゼロだよ｡ ゼロ｡ だから 比べらんないよ｡ それに うまくいってるって いうかさ➡ ケンカばっかりでさ｡ あー｡ でも 今の本打ちよりは ずっと 前に 進んでたのかな｡ よし｡ じゃあ 今から 鍋 作るから｡ おいしい鍋だよーん｡ ありがとう｡ ごめんね｡ いいよ｡ ♬～ ♬～ 《｢前略｣》 《｢今日は ご相談があって メールしています｣》 《｢毎日 本打ちをしていますが➡ このままですと 納得のいかない脚本を➡ 山下さんに 渡すことに なってしまいそうです｣》 ♬～ (水島)ぜひ 持ってきて…｡ あっ｡ 来られたみたいだ｡➡ 来られたみたいです｡ いいですか？ (一同)おはようございます｡ (水島)どうぞ こちらに｡➡ どうぞ こちらに お座りください｡ じゃあ ゆきちゃん｡ あっ｡ はい｡ (水島)それでは ご紹介いたしましょうかね｡➡ えー｡ こちらは 脚本家の…｡ 春野です｡ (水島)ゆきさんです｡ 春野ゆきさんです｡➡ で こちらは プロデューサーの…｡ 星野です｡ お願いします｡ (水島)はい｡ で こちらは もう ご存じかもしれませんが➡ 今回の映画に 出演していただける かもしれない 山下 智久さんです｡ (山下)初めまして｡ 山下です｡ お願いします｡ (山下)お願いします｡ よろしく お願いします｡ (水島)じゃあ どうぞ お座りください｡➡ いやぁ｡ どうですか？ 直した脚本 読んでいただいて｡ (山下)あのう｡ 正直に言っても いいですか？ もう｡ どうぞ どうぞ｡ ぴゃーっと 言ってください｡ ぴゃーっと｡ ええ｡ (山下)僕は 前回の本の方が 好きです｡ あっ｡ そりゃ あのう｡ 出演していただけないって ことですか？ 春野さん｡ すいませんでした｡➡ 僕が 途中でもいいから とにかく 見せてほしいって 言ったのが➡ いけなかったんです｡ 変に せかしちゃいましたよね？ あっ｡ いえ｡ (山下)春野さんの 納得いくまで 直してください｡➡ 僕は 春野さんが 面白いと思ったものが➡ 大丈夫だって 信じてますし｡➡ 前回の稿は ホントに 面白かったし｡ ただ この本の中には➡ もっともっと 面白くなる可能性が まだ 残ってると思うんです｡ じっくり 焦らず 直してください｡ この本のためなら スケジュール 空けときますから｡ (水島)いやぁ｡ よかったですね｡ 星野専務｡ ええ｡ ありがとうございます｡ 水島部長｡ (水島)びっくりしましたよ｡ ハハハ｡ よし｡ じゃあ 帰って 早速 打ち合わせしよう｡ 場所 どうする？ 会社がいい？ それとも ゆきちゃんち？ あっ｡ ご飯 まだだったよな｡ 打ち合わせの前にする？ 後にする？ すみません｡ このまま 本打ちを続けていても➡ いい方向に いくとは 思えないんです｡ ちょっと 一人で 考えたいんです｡ いいですか？ 今日は｡ うん｡ そうだね｡ 分かった｡ お疲れさまでした｡ お疲れさま｡ ♬～ ｢改めて 社長に 助けて頂いていた事が➡ どれだけ 大切だったか 身にしみています｣ ｢喧嘩ばかり していたようにも 思いますが 今 思うと➡ 社長との 本打ちの時間は 充実していて 楽しかったです｣ ｢どうか もう一度 一緒に 本打ちをさせてください｣ ♬～ ≪(ドアの開く音) ≪ただいま｡ どうしたんですか？ 春野さんとの 打ち合わせは｡ いや｡ あまりにも うまくいったんでね➡ 今日は お休みです｡ っていうかさ➡ 兄貴 大丈夫なの？ 全然 寝てないみたいだけど｡ 全然 大丈夫だよ｡ そう｡ フゥー｡ ごめん｡ 嘘ついた｡ 実は 全然 うまくいってないんだ｡ 今日も 俺は いらないって 言われた｡ 一人で考えたいって｡ 正直 分かんなくなっちゃってさ｡ そりゃ 兄貴はいいよ｡ もともと クリエーティブな才能が あるんだから｡ ハァ｡ ゆきちゃんもさ 兄貴に 頼りたいんじゃないのかな？ でも しょうがないんだよ｡ どう直していいか 分かんないんだからさ｡ 進｡ うん？ 作品にとって 一番 大切なものは 何か分かるか？ それは その作品を作った人間が その作品を好きか どうかだよな？ うん｡ じゃあ 今回➡ この作品を 一番 好きなのは 誰だ？ それは ゆきちゃんじゃない？ 自分のオリジナル作品なんだから｡ じゃあ 彼女にとって 一番いい環境を 整えるのが➡ お前の仕事だよな？ 環境｡ 環境って どんな？ プロデューサーが 100人いれば 100とおりの やり方があるんだ｡ ここまで悩みながら 一生懸命 やってきたんだろ？ お前は お前の 一番 やりやすい やり方で➡ 彼女にとっての環境を つくってやれば いいんだよ｡ まっ ありがと｡ ≪ちょっと いってきます｡ ≪(社員たち)いってらっしゃい｡ 環境づくりか｡ (男性)それも｡ あっ｡ [TEL] もしもし｡ [TEL]もしもし？➡ すぐ来て｡ えっと｡ 三丁目の公園にいるから｡ 早くね｡ えっ!? ちょっと｡ [TEL](不通音) ゆきちゃん｡ 早く 早く｡ 冷めちゃうから｡ 何ですか？ 座って｡ 知ってる？ 銀座の 柊屋っていう おでん屋｡ いえ｡ 親父の代からさ ひいきに してる店でさ｡ だまされたと思って 食べてみてよ｡ うまいから｡ これ 食べたら 絶対 仕事 はかどるから｡ はい｡ あのう｡ 食べて｡ はい｡ うん｡ おいしい｡ でしょ｡ 前に 言われたことが あるんだ｡ その作品のことを 好きな人のために➡ 環境づくりをしてあげるのが ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰである 俺の仕事だって｡ だけど 環境づくりって言われても 分かんないじゃん｡ で 思い付いたのが これ｡ 結局 食い物になっちゃったけど｡ あのう｡ やっぱり ラストシーンって 地味ですかね？ うーん｡ 俺は いいと思うんだけどな｡ 何かさ 情景が浮かんだもん｡ ユウヤと ハルカが 何もない草原を➡ 手をつないで あしたに向かって 歩いてくとこ｡ 俺 ちょっと 泣いちゃったし｡ うん｡ 何か 草原の風を 感じたよね｡ ハハハ｡ 何？ 何よ？ ごめんなさい｡ あれ 違うんです｡ えっ？ 私 海辺のつもりで 書いたんです｡ えっ？ そうなの？ やっぱり うまく 言えねえな｡ だけどね 俺 ホントに いいと思ったんだよ｡ ホントに｡ ありがとうございます｡ やっと これで いいんだって そう思えました｡ 俺も いい？ はい｡ うん｡ やっぱ うまい｡ うん｡ ゆきちゃん｡ はい｡ 頑張ろうね｡ はい｡ うーん｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ うっ!? うっ…｡ 兄貴！ (医師)過労ですね｡ えっ？ (医師)点滴を打っておいたので 少し休めば 大丈夫でしょう｡➡ お兄さんに 伺ったんですが この４日間 ほとんど➡ 寝ていらっしゃらなかった ようですね｡ そうですか｡ ♬～ ≪(ドアの開く音) 大したことないみたい｡ 疲れと 寝不足と あと ストレス性のものだろうって｡ そうですか｡ (玲子)守さん！ 大丈夫｡ 寝てるだけですから｡ (玲子)よかった｡ 守さん｡ 私 本当に心配しました｡ 守さん！ 守さん！ 大丈夫ですよ｡ 眠ってるだけですから｡ あっ｡ ゆきちゃん｡ そういえば 紹介してなかったね｡ こちら 現王園 玲子さん｡ 兄貴の婚約者｡ …で いいんですよね？ (玲子)はい｡ こちらは キネマ･エトワールの スタッフで 春野ゆきさん｡ (玲子)守さんが いつも お世話になっております｡ こちらこそ お世話になっております｡ 兄貴｡ 目 覚めたよ｡ 会ってあげて｡ 私 会わない方が いいですよ｡ どうして？ 会うと いつも ケンカになってしまうんです｡ (玲子)お話し中 すみません｡➡ 私 必要なものを うちに 取りに行ってまいります｡ ありがとうございました｡ 俺もさ 入院手続き あるからさ｡ 行ってて｡ あっ｡ ねっ｡ 玲子さん｡ お送りします｡ (玲子)恐れ入ります｡ 社長｡ 大丈夫ですか？ 心配かけて すいません｡ ただの 寝不足ですよ｡ よかった｡ ホント どうなるかと 思いましたよ｡ メール 拝見しました｡ ちょっと 大変そうですが 大丈夫ですか？ あっ｡ あの後 専務が おでんを 買ってきてくれたんですよ｡ おでん？ ああ｡ 柊屋の？ はい｡ ああ どうぞ｡ 座ってください｡ あっ｡ 私が 仕事をしやすい環境をって➡ 思い付いたのが おでんだったんですって｡ 専務は 純粋なんです｡ 純粋に いいって 言ってくれた その一言で➡ 色々あった迷いも 吹っ切れました｡ これで いいんだって 本当に そう思えたんです｡ 社長のように 具体的な ｱﾄﾞﾊﾞｲｽが あるわけじゃないけど➡ 一人で 戦ってるんじゃないんだって｡ 専務と一緒に 作ってるんだって｡ あのとき そう思えたんです｡ だから 頑張って 専務と二人で 最後まで 書き上げます｡ そうですか｡ それは よかったです｡ 進を 信じてあげてください｡ はい｡ ♬～ ♬～ ごめん｡ 寝ちゃってた｡ あのう｡ もし まだ 体力が残ってたら➡ 本 直すの 手伝ってもらえませんか？ 体力は 大丈夫だけど 俺 いる意味 あんのかな？ また ゆきちゃんに 迷惑 掛けちゃうでしょ？ いてくれれば それで いいんです｡ 玲子さん｡ 僕は あなたに 話さなければ いけないことが あります｡ 春野ゆきさんのことですね｡ あの方 こう おっしゃってました｡ あなたに会うと ケンカになっちゃうから➡ 今日は 会わない方がいいと｡ 私は 心から うらやましいと 思いました｡ 私は あなたと 一度も ケンカしたことが ないんです｡ 僕は ずっと 自分には 結婚なんて 必要ないと 思ってました｡ 誰かが 隣にいる人生より➡ 一人で生きる人生の方が 充実している｡ そう思ってました｡ だって そうでしょ？ 趣味 嗜好が 違う｡ 考えてることが 違う｡ 一緒にいても 楽しいと思える 保証がない｡ そんな誰かと 人生の 貴重な時間を 共有するなんて➡ 何て もったいないことだと 考えていました｡ でも 彼女と会って 変わりました｡ 考えてることが違うから 知りたい｡ 知ってほしい｡ 違うから 面白い｡ でも 仕事をする上で 基本的な価値観が 一緒で➡ お互いが 面白いと思えるものを 探していく感覚｡ 頭を悩ませる時間は この上なく 楽しかった｡ でも 彼女に 僕は 必要ありません｡ 僕も これ以上 彼女に 何かを 求めたりする気は ありません｡ 大切なことを 気付かせてくれただけで➡ 僕は 彼女に 感謝しています｡ ♬～ 正直 僕と あなたは➡ 世間のカップルとは 違うかもしれないけれど➡ 僕らの やり方で 僕らの関係を 築けませんか？ 僕は…｡ あなたにとって 必要な人間になりたい｡ そして これから ２人で➡ 穏やかな人生を 歩いていきたいと 思ってます｡ ♬～ ♬～

よろず占い処～陰陽屋へようこそ～＃10

1 (槙原)こいつは 由緒ある 安倍家の正当な後継者です｡➡ 安倍晴明の 末えいだってことですよ｡ (只野路子)尻尾｡ (安倍祥明)見てしまった以上は 受け入れるしかない｡ こいつは 化けぎつねだ｡ あなたは瞬太君を退治しに？ 俺は雨宮咲月という人間を 捜しにきただけだ｡ 狐火で働いていたことは わかってるんだけど｡ 咲月って人の位はいなら うちにありましたけど｡ 咲月さん 亡くなってたのか｡ (沢崎瞬太)その 雨宮咲月さんって 何者なんだよ｡ 昔 俺を助けてくれた恩人だ｡ 何で その人を捜してたんですか？ 咲月さんが 安倍家の大切なものを 持ってたはずなんだ｡ その人が お前んちから 何か盗んだってこと？ 違う｡ 咲月さんは そんな人じゃない｡ その 大切なものって？ そんなことより いいのか？ 急がないと学校始まるぞ｡ あっ！ヤバッ！あの…➡ あの 話 学校のあとに聞きますからね！ 置いてくよ もう 先生｡ あっ 待って！ (春代)もうすぐ 大はらえですね 柊一郎さん｡ それまでには ちゃんと決めないと｡ ♬～ 妖狐っていうのは 昔から 割と普通にいる妖怪なんだ｡ あっ 妖怪っていっても 悪いやつばかりじゃなくて➡ 俺みたいに善狐っていわれる いいきつねも いるんだよ｡ ｢安倍晴明の母親である葛の葉も 妖狐だった｣って言い伝えがある｡ どう？ わかってくれた？ もしかして あの 瞬太君が 耳が良かったり➡ 鼻が良かったりするのも…｡ 多分 きつねだから｡ 信じられない｡ えっ 科学では… ううん あの 人類の常識では考えられない｡ でも 俺 きつねだからな｡ ちょっと もう…｡ とにかく このこと 絶対に秘密だからね｡ 世界中の研究者の注目の的よ！ 瞬太君 大変な目に遭うからね｡ うん…｡ でも どうやって ここから 耳が生えてくるのかしらね｡ ていうか 先生 研究したがってるよね｡ そんなことないよ｡ (回想 咲月) ⦅また こんな所に閉じ籠もって｡⦆ ⦅いいんだよ｡ ヨシアキは➡ 安倍家のしきたりになんか 縛られなくたって｡⦆ (乗鞍)きつねの街ね｡ どうした？ きつね君｡ あぁ 祥明｡ そこ すげぇ怪しいやつ いんだけど｡ あの 陰陽屋に何か ご用でしょうか？ (只野)あなたは 陰陽師の安倍祥明さんですね？ ええ そうですが｡ とりあえず 中へ｡ 何？ 痛てて…｡ いきなり何だよ おじさん｡ ごめんなさい｡ ちょっと訳がありまして｡ 祥明さんに ご相談が｡ 相談というのは？ ええ あの その…｡ 何だよ はっきりしろよ｡ でも どこから話せばいいのか…｡ いいから 結論から言いなって｡ あの ぼ… 僕を➡ 正式な夫にしてください｡ それって 祥明と結婚したいってこと？ 違います｡ そういうことじゃなくて｡ 妻の夫として お義父さんに 認めてもらいたいんです｡ 意味が よくわかんないんだけど｡ 順を追って 説明していただけますか？ きつね君 中で お茶を｡ おう｡ 妻とは ２５年前に結婚しました｡ いわゆる 出来ちゃった結婚 ってやつだったんですけど➡ 当時 僕は まだ学生で➡ 妻のお父さんに 認めてもらえなかったんです｡ あぁ じゃあ その義理のお父さんに➡ きちんと 結婚を認めてほしいってことか｡ ええ｡ それで祥明さんに｡ あぁ 残念ですが➡ それは 占いやおはらいでは どうすることも できませんね｡ お引き取りを｡ いや ちょっと待ってください｡ 妻の父は あなたも よくご存じの方です｡ ほら｡ えっ？ (内藤)へっくしゅん！ (２人)源次郎さん？ 陰陽屋さん 今朝の話の続きを…｡ お父さん！ (瞬太･安倍)お父さん!? ♬～ (只野) 僕は 只野寛和と申します｡➡ これが 妻の照子で こっちが娘の路子｡ あっ あぁ… 知ってますね｡ 何で来たのよ～｡ それは もちろん➡ お義父さんに 結婚を認めてほしくて｡ はぁ～｡ まずは お母さんとおじいちゃんを 仲直りさして➡ それからでしょ？ お父さんが出てくるのは｡ もう～｡ ねえ 私が どれだけ 苦労してきたか わかってんの？ 時間をかけて ちょっとずつ おじいちゃんを説得してきたのに➡ それが お父さんが いきなり現れたら➡ もう台なしでしょ？ ごめんよ｡ はぁ～｡ しかし なぜ➡ 結婚から２５年もたった今 改めて来たのですか？ これです｡ これって あのときの変な手紙？ 変な手紙って？ あぁ 私が小学生のときに お母さん宛てに届いたの｡ ｢ゲンジロウ キトク｣？ でも お母さんは 頑固だから➡ 自分から会いにいくのは 絶対に嫌だって言い張って｡ お父さんも おじいちゃんに嫌われてるから➡ どうしようかってなったの｡ で 私が…｡ ⦅だったら 私が行ってくる｡⦆ それで 源次郎さんは？ ぴんぴんしてたわ｡ この手紙 うそだったの｡ 誰が そんなこと｡ さあ？ まあ でも それがきっかけで➡ 私とおじいちゃんは仲良くなって ここに頻繁に来るようになったの｡ (只野) すっかり忘れてたんですけど➡ 妻が これを 引き出しに しまっていたのを➡ 最近 見つけちゃったんです｡ それで やっぱり お義父さんのことを➡ 気にしてるんだなって思って｡ こんなもの まだ持ってたんだ｡ それに 路子から 祥明さんという➡ いろんな悩みごとを 解決してくれる➡ す～ごい頼りになる人がいると そう聞きまして➡ こんな方がいるなら これは もう 今しかないだろう…｡ やめてよ！ そんな言い方してないでしょ 私｡ 随分 乱れた文字ですね｡ 消印は… １６年前の１２月｡ 王子の郵便局か｡ 筆跡を隠すために わざとやったんですかね｡ くん くん！ これ 何かパンジーの匂いがする｡ パンジー？ うん｡ この匂い 何か 小さい頃から好きなんだ｡ なるほど そういうことか｡ ん？ [TEL](着信音) [TEL] あっ お母さん？ メール見た？ そう｡ お父さんが勝手に｡ うん わかった｡ すぐ帰すから｡ は～い じゃあね｡ すぐ帰ってこいって｡ おぉ… お願いします｡ 一緒に来てくれませんか？ 路子から聞いて 妻は 祥明さんのことを知っています｡ あなたが来てくれれば➡ 妻の怒りも ちょっとは和らぐと思うんです｡ 何言ってんの お父さん！ 子供じゃないんだから｡ それに こいつは めんどくさがりで➡ お金にならない仕事は…｡ わかりました！ お伺いしましょう｡ (路子･瞬太)えっ？ 源次郎さんと照子さんの 関係修復のため➡ 最善の努力をさせていただきます｡ 本当ですか？ ありがとうございます！ どうしたんだよ 祥明｡ あの おじいちゃんのためですか？ いいです いいです｡ うちの問題なんで｡ ただ 俺が解決したいだけだ｡ では 行きましょう 寛和さん｡ はい｡ ♬～ ほう ここが｡ さあ さあ どうぞ どうぞ｡ 足元 気を付けてくださいね｡ さあ どうぞ｡ ただいま～｡ はっ｡ (照子)おかえりなさい｡ 照ちゃん この人が 路子が言ってた祥明さんだよ｡ はじめまして 安倍祥明と申します｡ えっ？ あら やだ｡ あっ こんばんは｡ どうぞ どうぞ｡ 散らかってますけど｡ (只野)さっ どうぞ どうぞ｡ (照子)ははっ ふふっ｡ (只野)いつも 路子が お世話になってるみたいでさ➡ 照ちゃんも会ってみたいって 言ってた…｡➡ あっ…｡ お客さん 連れてくるなら➡ 先に連絡してよ｡ あぁ…｡ 良かったら 座ってください｡ ご迷惑をおかけしました｡ うちの人が無理言ったみたいで｡ いえ｡ (只野) こんなものしか ありませんけど➡ どうぞ｡ あっ ありがとうございます｡ おぉ～｡ あっ ありがとうございます｡ さっ どうぞ｡ いただきます｡ ♬～ うん うまい！ これが 大根の葉っぱじゃこ炒め｡➡ これが にんじんの皮のきんぴら｡ これが パンの耳に ガーリックバター…｡ もう いいって｡ こんな貧乏くさいもの出して➡ 恥ずかしい｡ これ 全部 寛和さんが？ ええ… まあ｡ はぁ～｡ こんなんで お父さんとこに挨拶に行っても➡ そら見たことかって 言われるのがオチよ｡ 昔は もっと違ったんですけどね｡ 違った？ ええ｡ この人 結婚するときは 小説家を目指してたんです｡ たまたま小さな出版社の 新人賞を取っちゃって｡➡ それで調子に乗って➡ お父さんに 結婚の挨拶に行ったときも➡ 大口たたいちゃったんです｡➡ 僕は必ず一流の小説家になって➡ 照子さんと おなかの子供を 幸せにしてみせます！って｡➡ ２人共 自信満々で 夢ばっかり見てて｡ ⦅お前たちはな 結婚を何だと思ってるんだ｡⦆ ⦅そんなんじゃ おなかの子供だって➡ ちゃんと育てられるわけ ねぇじゃねぇか｡⦆ (照子) ⦅何 古くさいこと言ってんのよ｡➡⦆ ⦅そりゃあ ちょっと 順番が違っちゃったけど➡ 大丈夫よ そんなこと｡➡⦆ ⦅あっ わかった｡➡⦆ ⦅寛和さんが インテリで才能あるから➡ ひがんでるんでしょ｡⦆ ⦅何だと？⦆ ⦅照ちゃん｡⦆ ⦅ともかくだ｡⦆ ⦅俺は この結婚は認めねぇ｡⦆ ⦅待ってください｡ 僕➡ 必ず 娘さんを 幸せにしてみせます｡⦆ ⦅照子 お前 ほんとに➡ 男を見る目ねぇな～｡➡⦆ ⦅はっきり言っとくぞ｡➡⦆ ⦅このまんま一緒になってもな➡ お前は絶対 幸せになれねぇからな｡⦆ ⦅何よ それ｡➡⦆ ⦅それが結婚する娘に言う言葉？⦆ (照子)⦅もういい お父さんが認めてくれなくても➡ 私 結婚するから｡⦆ ⦅勝手にしろ｡⦆ ⦅ただしだ➡ この家の敷居は 二度と またがさねぇ｡➡⦆ ⦅それぐらいの覚悟は できてるだろうな？⦆ (照子) ⦅言われなくたって こんな家➡ 二度と帰ってこないわよ！➡⦆ ⦅もう お父さんなんて 知らないから！⦆ (照子)まあ そのときは すぐに成功した姿を➡ 見せつけてやろうと 思ってたんですけど➡ この人 そのあと全然だめで｡ 大して才能が なかったんでしょうね｡ 路子が生まれてからは それこそ 小説どころじゃなくなっちゃって➡ バイトして 家族を養うのが やっとでした｡ (照子) 売れっ子作家の奥さんになって➡ 優雅に暮らすはずが➡ 結局 すぐに私も 保険の営業の仕事を始めて➡ 共働きですよ｡ 今じゃ 妻のほうが 稼ぎが良くなってしまって➡ 僕は家事とバイトをやりながら➡ 細々と小説を書いてるんですけど やっぱりだめで｡➡ 今思うと お義父さんの 言ったとおりだったんだな｡ 本当に情けない もう｡ それで２５年も｡ (照子)だって➡ こんな状態じゃ恥ずかしくって➡ お父さんに見せる顔なんて ないじゃないですか｡➡ だから 何で 今更 この人が王子に行ったのか➡ もう 頭 きちゃって｡ ごめん｡ ほうほう ほう｡ ていうか ヤバいな これ｡ えっ？ あっ 失礼｡ 思った以上に ひどいことに なっていたので つい｡ (照子)ひどいって？ ここに着いたときから 感じていたのですが… うん➡ とにかく暗い！ お２人のお話も 家の雰囲気も 全て しみったれてますね｡ しみっ…｡ たれ？ ただし それは お２人のせいではありません｡ 全て土公神の たたりのせいなんですから｡ 土公神は 土地の精霊のようなものです｡ 土公神がすむ土地を掘り返すと➡ たたりが発生し 災厄を引き起こします｡ ちょうど この家の下に すんでいたようですね｡ それが ここを建てるときに 土を掘ってしまって➡ このありさまですよ｡ (照子)ちょっと 何ですか？ いきなり｡ しかも最悪なことに その土公神のたたり➡ この家ではなく 寛和さん➡ あなたに取りついてしまってます｡ えぇ～？ だから あなたは小説も書けず 家は暗くなり➡ 料理まで しみったれてくるわけです｡ 照子さん 寛和さんと一緒にいるかぎり➡ あなたに幸せが訪れることは ありません｡ えぇ？ いやいや そんなこと言われても｡ しかし 助かる方法が １つだけあります｡ (珠希)何だ マッキーの勘違いだったの？ (槙原)ごめん！ でも結果 良かったよな➡ ヨシアキが瞬太君のこと 退治しようなんて思ってなくて｡ ていうか そもそも 瞬太君って ほんとに化けぎつねなの？ しぃ～｡ そのことは誰にも言うなって 言われてるから｡ (乗鞍)ちょっと よろしいですか？ (乗鞍)フリーで記者やってる 乗鞍と申します｡ 今の話 詳しく聞かしてもらえませんか？ (槙原)えっ 何ですか？ 急に｡ (乗鞍)実はネット上で今 話題になってるんですよ｡➡ 王子に化けぎつねの子供がいる って｡ まあ 眉唾もんなんですけどね｡ 面白いなぁと思って 取材してまして｡ いや～ 僕は よく わからないですけど｡ なぁ？ うん｡ (槙原)じゃ 僕らは これで｡➡ ほら｡ はははっ… シュンタ君か｡ ちょっといい？ 何だよ？ 改まって｡ あの そこにある位はい➡ 雨宮咲月さんって人と おじいちゃんて➡ どういう関係なの？ ふふっ｡ 陰陽屋に聞いてこいって 言われたのか？ いや そうじゃないけど…｡ その 咲月さんっていう人が 陰陽屋さんの恩人なんだって｡ ずっと咲月さんのこと 捜してたって｡ そうか｡ (内藤)これが咲月だ｡ この人が｡ (内藤)１６年前 商店街に ふらっと やって来てな➡ 何か仕事がないかと言ってきて➡ 訳ありみてぇだから うちで引き取って➡ 住み込みでバイトしてたんだ｡➡ でもな その冬に体調を崩して そのまま…｡ 身内の人とか いなかったの？ 聞いたんだが 咲月は答えなかったんだ｡ それで無縁仏になっちまったんで 俺が引き取ったってわけだ｡ 家族の人と けんかでもしたのかな｡ 何だか寂しいね｡ おじいちゃんもさ このままでいいの？ 何が？ お母さんのこと｡ もう いいかげん 仲直りしたら？ そんなやつのことは もう忘れたよ ほい どいて よいしょ｡ もう 何で そう 意地っ張りなのかな｡ ねえ もう２５年もたつんでしょ いいでしょ？ おじいちゃんが結婚を 許してくれれば済む問題でしょ？ そんな問題じゃねぇんだよな｡ ん～？ ≪ガタ！ すいません…｡ あっ！ どうした？ 何でもない｡ ちょっと散歩してくる｡ あぁ～ もう お父さん 何で戻ってきたのよ｡ 祥明さんのすすめで しばらく ここで➡ 寝泊まりさせてもらうことに なったから｡ えっ？ どういうことですか？ 物忌みだよ｡ えっ ものいみ？ 物忌みとは 平安時代から行なわれていた➡ 呪いや たたりから 身を守るための防御策の１つだ｡ しばらくの間 部屋に籠もって 災いをやり過ごすのさ｡ 寛和さんは土公神のたたりに すっかり やられている｡ しかし ここなら間違いなく安心です｡ しばらくいれば 体に染みついた たたりを➡ はらうこともできる｡ またそんな ありもしないうそを｡ 信じるか信じないかは任せる｡ でも 源次郎さんに 結婚を認めてもらうためには➡ これしか方法はない｡ はぁ？ たたりがなくなったら➡ 結婚を認めてくれるとでも 思ってるんですか？ まさか｡ 寛和さんに ここで小説を書いてもらって➡ 源次郎さんに認めてもらうのさ｡ えっ？ (只野)これに応募するんだ｡ 来週 締め切り｡ 今更 書けるわけないじゃん｡ 寛和さんは たたりで筆が 止まっていただけなんです｡ ここでなら 本来の力を発揮できます｡ 自分を信じてください｡ そんなわけないでしょ｡ いや 路子｡ 父さんが信じたいんだ｡ えっ？ 最後に もう一度 本気でやってみたい｡ それでも書けなかったら 父さん➡ 本当に才能なかったんだって 諦めるから｡ お父さん｡ 寛和さんが 一人前の小説家になれば➡ 源次郎さんも 結婚を認めてくれるはずです｡ ２５年分の才能を解き放ち 思う存分 お書きになってください｡ う～ん！ 何だか書けそうな気がします｡ (岡島)あぁ～ サンタさん… 恋人下さい！ (史尋)あっ 路子先生のお父さん どう？➡ 陰陽屋に居候してんでしょ？ えっ 何で知ってんの？ (史尋) 商店街で うわさになってるって➡ うちの父さんが言ってたんだよ｡ まあ 源次郎さんとこの親子問題は➡ うちの商店街の 最大の課題の１つだからね｡ えっ 何で 先生のお父さんが来てるんだ？ ちょっと 話すと長くなるんだけど…｡ くん！くん くん！くん！ おっ？ おっ？ ♬～ (一同)三井さん｡ ♬～ (岡島)あっ そういえば シｭンタ君って子を知らないかって➡ 変なおっさんが 聞いて回ってるらしいぞ｡ はぁ？ 何だよ それ｡ (乗鞍)すいません！➡ あぁ～ すいません すいません！ この辺りに住んでる シュンタ君って子 知らないかな？ ガン！ しぃ～｡ お父さん 差し入れ持ってきたよ… えっ？ (江美子)はい どうも お待たせしましたよ～｡➡ よいしょ～ 特製ラーメン｡➡ 温かいうちに食べてね｡ (只野)あぁ～ どうも｡ (高坂)頑張ってくださいよ｡ (千鶴)もう１回➡ 主人公の感情線から 練り直したほうがいいな これ｡ あぁ～ は… はい｡ (千鶴)まずさ➡ タイトルが良くないな これ｡ (只野)そうっすか？ 先生？ (千鶴)もっとさ…｡ 何で こうなっちゃったの？ みんな 寛和さんのこと 応援してくれて｡ (只野)すいません｡ (江美子) はっ！路子先生 聞いたよ～｡ お父さんのことは私らに任せな｡ (高坂) 源次郎さんの娘さんの問題は➡ 長年 この商店街の 最大の課題の１つでしたからね～｡ 寛和さん｡ 全ては あんたの小説にかかってるからね｡ ありがとうございます 皆さん｡ いっ！ あれ？ 陰陽屋さんは？ あぁ 先生の実家に行ったよ おはらいしてくるって｡ えっ また行ったの？ うん｡ あいつ 今回は妙に熱心なんだよな｡ どういうつもりなのかしら｡ 謹啓土公神 災禍此去➡ 急々如律令｡ 終わりました｡ ありがとうございます｡ しかし 長い時間をかけて 染みついた たたりは➡ なかなか完全に 払拭できないものです｡ そういうものですか？ ここは ひとつ➡ 散供をいたしましょう｡ さんぐ？ 古来より行なわれてきた 供え物をまき散らす儀式です｡ 食べ物やお金を まき散らすことにより➡ 霊的な存在に供え物を渡し➡ それをもって はらいとするのです｡ 家を新築する際 棟上げ式で 餅やお金をまいたり➡ 現代でも 広く行なわれていることですよ｡ はあ｡ で どうすれば？ 財布のひもを緩め➡ ちょっと贅沢をすればいいのです｡ それが しみったれた たたりをはらう➡ 最も効果的な手段です｡ でも 何に使えばいいのか…｡ ご自分へのご褒美ですよ｡ これまで苦労してきたんです｡ 照子さんには その権利がありますって｡ そういえば 私 結婚して以来➡ 自分にご褒美なんて したことなかったなぁ｡ これは寛和さんのためでも あるんですよ｡ 何しろ あなたが幸せになることが➡ 源次郎さんを認めさせる 第一歩なんですから｡ (源次郎)みんな こそこそしてやがると思ったら➡ こんなことに なってやがったのか｡ お… お義父さん！ ご ご… ご無沙汰しております！ (只野)すみませんでした！➡ ２５年前 僕は小説家になって 家族を幸せにすると言いました｡➡ でも結局 小説家にはなれず 主夫のような毎日を送ってます｡ 僕は あなたの言ってたとおり➡ 家族に何もできない だめな男でした｡➡ でも 最後にもう一度だけ チャンスをもらえませんか？➡ 今 久しぶりに 真剣に小説を書いてるんです｡ これが出来れば 改めて ご挨拶をさせてください｡ お願いします！ そういう問題じゃねぇんだよな｡ ≫(ﾄﾞｱの開閉音) (みどり)うん｡ おぉ～！ 今年も咲いたんだ パンジー｡ うん 強いよね～ 毎年 冬に咲くなんて｡ 俺さ 何か この花の匂い嗅ぐと➡ すごく懐かしい気持ちが するんだよね｡ あぁ そう？ どうされたのですか？ (照子)いえ こういう所 あまり慣れてなくて｡ もともと 寛和さんと結婚するときは➡ こういう毎日を 夢見てたんですよね？ ええ まあ｡ 取り戻しましょうよ 夢を｡ でも 私なんかが…｡ 何をおっしゃいます｡ 照子さんは すばらしい輝きを秘めています｡ 本来 こういう生活を するべきお方ですよ｡ そんな…｡ ♬～ (只野)うっ！ぐぅ～｡➡ うぅ～！ ♬～ うぅ～ あぁ～｡ これ どうですか？ 大胆｡ うん 大丈夫です 大丈夫です｡ う～ん… あっ｡ ♬～ おぉ～ まるで 照子さんのために 作られたような服ですね｡ ♬～ ♬～ 陰陽屋さ～ん こんにちは｡ また占いに…｡ きゃ～！ お母さんとデート!? あっ…｡ ふふふっ｡ 陰陽屋さん そんなことやってたの？ うん｡ 照子さんと しょっちゅうデートしてるみたい｡ 今日は 自分がいたホストクラブに 連れてくって｡ ホ… ホストクラブ!? 何やってんだか｡ あの 私 ちょっと出かけてくるね｡ 陰陽屋のやつ ちっ…➡ 何 たくらんでんだか｡ 夢を取り戻した照子さんに 乾杯｡ ♬～(店内のBGM) ♬～ どうされたのですか？ 浮かない表情で｡ あぁ… いえ べつに｡ ご自身を美しく磨き 華やかな毎日を送る➡ すばらしいことじゃないですか｡ これが お望みだったんですよね？ ええ｡ ご安心ください｡ 寛和さんが 小説家として復活すれば➡ このような日々が ずっと続くのですよ｡ ≪お母さん!? 路子 どうしたの？ それは こっちのせりふでしょ｡ そんな格好して 何してんのよ？ 散供よ 散供｡ しみったれた生活に お別れしているの｡ お父さんが必死で頑張ってんのに 何してんのよ？ ♬～ (照子)⦅いいじゃない 私だって たまには遊んだって｡⦆ ⦅私は おとうさんの分も 働いてきたの｡➡⦆ ⦅あの人の代わりに ずっと頑張ってきたの｡⦆ ⦅たまには 私だって贅沢したいし 遊びたいわよ｡⦆ ♬～ ♬～ こんばんは｡ あれ？ もう終わっちゃいました？ 路子のやつ 何かあったのか？ 帰ってきたら 何にも言わねぇで ２階 上がっちまったぞ｡ あぁ… 明日 寛和さんの小説の 締め切りなんですよ｡ もう気付いてらっしゃいますよね？ 寛和さんが この下にいること｡ 明日は きっと 照子さんも来ます｡ 源次郎さんも 来てくれませんか？ はぁ～ おめぇさんにしちゃ 今回は➡ 随分 面倒なおせっかいを 焼いてくれているみてぇじゃねぇか｡ 何が狙いか知らねぇがな➡ いくら おめぇさんでも 俺は動かねぇよ｡ もちろん 俺には源次郎さんの心を 動かすなんて無理です｡ でも この人のために お願いします｡ ≫(戸の開閉音) ≪(ﾄﾞｱの開閉音) お母さん｡ こんにちは｡ どうも｡ どうしたの？ おとうさんの２５年ぶりの新作よ｡ 私が１番に見る権利があるでしょ｡ ≫(ﾄﾞｱの開閉音) お父さん…｡ 皆さん おそろいですね｡ 寛和さん 源次郎さんも照子さんも 来てくれました｡ どうぞ 物忌みを解き➡ すばらしい新作を 発表してください｡ ♬～ お父さん…｡ あなた？ すみませんでした｡ えっ？ 僕は 今回も結局 書けませんでした…｡ (只野)ううっ…｡ お父さん｡ これは もう お手上げですね｡ この状況で書けないとは｡ ちょっと待ってください！ お父さんは頑張ったんだから そんな言い方…｡ 照子さん 残念ながら➡ ご主人は あなたの思ってたような 人物では なかったようです｡ 源次郎さんが言ってたとおりに もう 別れたほうが よろしいかと｡ (只野)ごめん 照ちゃん｡ やっぱし僕は 救いようのない だめ人間だった｡➡ ２５年前 お義父さんの前で たんか切っちゃったから➡ 何とか幸せな生活 築こうと 頑張ってくれてたんでしょ？➡ 期待に応えられなくて 苦労ばかりかけて ごめんね｡ こんな僕に今までつきあってくれて 本当に ありがとう｡➡ 祥明さんの言ったとおり➡ もう十分だよ｡ お父さん…｡ (内藤)何だ…｡ 結局➡ 俺が言ったとおりに なっただけじゃねぇか｡ 全て僕の責任です｡ 申し訳ありませんでした｡ やっぱり おめぇは➡ 男を見る目がなかったってことだ 照子｡ そんなことない｡ この人は… 寛和さんは とても立派な夫でした｡➡ 確かに 小説は１冊も書けなかったけど➡ ここには 彼の最高の作品があります｡ ♬～ ２５年分の家計簿｡ 寛和さんが付けてくれてました｡ ♬～ (照子) 寛和さんは 小説家の夢を諦めて➡ 必死に家計を支えてくれました｡➡ 私のために 家事や育児を 手伝ってくれました｡➡ 今も 誰よりも 家族を思ってくれています｡ ♬～ (照子) お父さんが認めてくれなくても➡ かまいません｡ この人は 誰が何と言おうと 私にとって 最高の夫です｡ この２５年間 私は 本当に幸せでした｡ ♬～ 照子 おめぇ ちゃんと男を見る目 あるじゃねぇか｡ えっ？ (内藤) 路子から聞いて 知っていたよ｡ おめぇの旦那が家族のために 汗水 垂らしているってな｡ (内藤)残念だったのは➡ おめぇは 旦那が小説家に なれなかったことを恥じて➡ 俺に会おうとしなかった｡ ただ 俺は おめぇが自信を持って 旦那を紹介してくれるのを➡ 待っていただけだ｡ お父さん｡ ♬～ ２５年間 娘や孫を守ってもらって➡ ありがとう｡ いえ…｡ これからも 娘のこと…➡ お願いします｡ はい｡ ♬～ ありがとうございました｡ 俺は 何もしてない 源次郎さんのおかげだよ｡ でも 何で お父さんを陰陽屋に連れてきて➡ 小説を書かしたりしたんですか？ あの２人を離れ離れにすれば➡ 照子さんが 寛和さんの 本当の魅力に気付くと思ったんだ｡ お父さんの ほんとの魅力？ 家族にとって 尊敬できる父親は どんな人物だと思う？ う～ん…｡ 一流の小説家でも 大金持ちでもない｡ 誰よりも 家族のことを思ってくれている➡ それだけで十分なんだよ｡ そうですね｡ あっ あぁ でも➡ どうやって おじいちゃん 連れてきたんですか？ あんな頑固だったのに｡ １６年前の うその手紙を渡したんだよ｡ 咲月さんが書いた あの手紙をな｡ えっ じゃあ あの手紙 咲月さんが書いたんですか？ 何で あんなうそ｡ 自分が いなくなったあと➡ 源次郎さんが また１人になってしまうのが➡ 心配だったからだ｡ だから 死の直前 咲月さんは震える手で➡ 懸命に あの手紙を書いた｡ そうすれば➡ 娘の照子さんが 源次郎さんに 連絡すると思ったからだ｡ ♬～ 実際 それをきっかけに➡ お前が源次郎さんのところに 遊びにくるようになり➡ 親子をつなぐことになった｡ 源次郎さんは そんな咲月さんの 思いをくみ取ったから➡ 陰陽屋に来てくれたんだ｡ あっ もしかして 陰陽屋さんが 一生懸命だったのも➡ 咲月さんの思いを 遂げるためだったんですか？ ほら これ｡ えっ？ 今回の相談料｡ 経費 交通費 もろもろ込みで １０万な｡ えっ!? 私が？ ホストクラブ代は サービスしといた｡ 親孝行しろよ｡ えっ… ちょっと｡ ♬｢ココロ空モヨウ｣ えぇ～｡ おぉ～ おいしそう｡ (照子)お父さんのお赤飯 食べるのなんて➡ ほんと 久しぶりだわ～｡ 後 これも｡ (照子) また こんな貧乏くさいもの｡ まっ これは これで けっこう いけるんだけどね｡ あのさ 今度こそ 父さん 小説が書けそうな気がする｡ いい題材が見つかったんだ｡ また そんなこと言って｡ 何？ 題材って｡ いんちき陰陽師が➡ 人々の心の謎を解決する｡➡ どう？ 面白そうでしょ？ ふふっ…｡ うん｡ (内藤)はいよ｡ おぉ うまそう いただきます｡ ふふふっ うめぇ｡ あっ そうだ これ｡ 後で お供えしといてくださいますか？ 咲月さんが好きだった花です｡ この匂いが残ってたから 手紙の送り主がわかったんです｡ きっと 源次郎さんには➡ 咲月さんの姿が 照子さんと 重なって見えたんでしょうね｡ だから 住み込みで 働かせたんじゃないんですか？ 何で重なるんだよ｡ 咲月さんが➡ 出てった照子さんと同じように 妊娠していたからです｡ おめぇさん➡ 咲月が妊娠していたのを どうして知ってるんだ？ 私の祖父と けんかして出てったとき➡ 咲月さんは妊娠していました｡ 彼女は 私の叔母に当たる人物です｡ それじゃあ…｡ 私は➡ 咲月さんと そのおなかにいた 子供を捜すために➡ 安倍家を出ました｡ 咲月さんの子供は 瞬太なんですよね？ ♬～ (乗鞍)あれが 化けぎつねか｡ 秀行さん 案内してくれるかしら？ ヨシアキさんの所へ｡ えっ？ もう あまり 時間がないの｡ この商店街 化けぎつねに たたられております｡ (千鶴･江美子･高坂)たたり!? (春代)跡継ぎの件も➡ お願いしますよ｡ 正体がバレれば➡ あいつが安倍家を継ぐことになる｡ (内藤)瞬太をどうするつもりだ？ 私が 化けぎつねを 退治してみせましょう｡

ラブ.S02E08.JA

1 NETFLIX オリジナル作品 ラブ クソッ まったく！ やあ 待って　そこを掃くから ごめん 昨夜 寝てる時 僕が君を抱いてたら― 君はグランパを抱いてた 信じられない バーティがヨーグルトを 半分食べて戻してる 小柄だからかな なぜ掃除してる？ パパが来るって言うの お父さんが？ ニュージャージーから 飛行機で向かってる 知らなかったな 私も昨日 聞いた 気まぐれなの 会えるのは うれしいけどね それは よかった きっと楽しいよ 滞在中の予定は？ そうね ランチした後で連れてくる 来て それは… 楽しめるわ ランチはパパのおごりだし 予定はないでしょ 親子の時間を 邪魔したくないし― 顔合わせは大ごとだ 大したことないって ママなら大変だけど パパなら楽勝 パパは あんたを 気に入ると思う 猫用の鎮静剤で ラリってた男よりマシ 猫用？ 人間にも効くのよ 一緒に来る？ そうだね　分かった よし　パパに会おう シャワーを浴びたら 出発よ そうしよう おはよう バーティ 部屋の様子が違う ミッキーが掃除したんだ 父親が来る そうなの？ それで僕も会うんだ 本当？ すごい 早すぎる？ どうかな　いい質問ね ヨーグルトは？ いい質問だ どこなの？ 知らない ステキだよ シャワーのお陰 僕も浴びた セックスのにおいがしたら 印象が悪い 父親は そういうのを 本能で見抜くかも 僕が事前に 知っておくべきことは？ 特にない お父さんの職業は？ 歯科医だったけど― 鎮痛剤の処方箋(せん)を乱発して 免許を取り消された そうか 今はコンサルタント業を 大金を稼ぐ方法を考えて いつも失敗してるの なるほど 最後に会ったのは？ ２～３年前 今回の再会は 結構大ごと？ 騒ぐほどのことじゃない もしかして 不仲だったりする？ ただ お互いに忙しいだけよ めんどくさいってだけで 不仲とは違う そうか 心配しないで 僕は父親受けがいいんだ 恋人より父親に 気に入られることもある それは残念 自慢できることじゃないよね 女はワルに 魅力を感じるだろ？ 私は もう違う “タラのヒマラヤ料理” 飛行機は着いてるのに 心配しなくても大丈夫だよ きっと空港で 荷物を待ったりして― 手間取ってるんだ 来たかも よかった やっとか パパ ミッキー 元気か？ また細くなったようだな パパは元気そうね そうだろ？ こんにちは ガスよ　付き合ってるの はじめまして 失礼　習慣で ガスか ガス･グリーンウォルドって 男を知ってた 去年の“ガスの集会”で 会ったと思いますよ 彼は死んだ すみません いいさ 我々は生きてるからな 確かに 預かっても？ 構わんが ありがとう　いや… 気負ってる そうね この店のサモサは ＬＡで一番おいしい パパはサモサには うるさいんだぞ 空の旅は どうでした？ 参ったよ “セラピー犬”を連れた女が 隣だったんだ どこにでも小型犬を 持ち込む口実だ “本当にセラピー用？”と 言いたい 離陸直後に乱気流になり― その犬が大騒ぎして 床にフンをした 最悪 ひどいにおいだった 掃除後も５時間 悪臭に悩まされたよ 私の犬だと思われた 災難ね 小型犬の飼い主に 見えるかって話だ いいえ 見えません そうだろ お前の猫の名前は？ “グランパ”よ おじいちゃんの生まれ変わり そうか　ミッキーらしいよ そうだ　昇進したのよ ラジオ局で 番組責任者になった 本当か それは おめでとう 前から有能だった ありがとう 我々は やり手だ 私のいいところを 受け継いだんだ そうね ガス 君の姓は？ クルックシャンク クルックシャンク？ 祖先の出身地は？ スコットランドとドイツです そうなのか 私は てっきり君が… ユダヤ人だと？ 時々 言われますよ うちはカトリックです 意外だ よかった サウスダコタ出身で 子役の指導員を 本当か？ 「ウィッチタ」を知ってる？ 魔女のドラマだろ そこで雇われてた それに脚本も書いたのよ それは すごいじゃないか 大したものだ 働き者のいい男を見つけたな タトゥーもピアスもない パパとも気が合いそう 前の男は 食事の席で眠ってたな ご注文は？ 君は太陽のように輝いてるね 名前は？ ペイマ 美しいペイマ 今日の調子は？ 順調です それは よかった まずはサモサを ２品 もらおう それから― タンドリーエビと蒸し餃子 子羊の炭火焼きカレーと― チキンヴィンダルー 絶品です 多すぎない？ 私が払うから心配するな ごちそうさまです 今回 いらした目的は？ サンフランシスコへの 乗り継ぎついでだ パロアルトに行く 考案したアプリの件で 投資家と話す どんなアプリですか？ ウーバーに似てるが もっと いいサービスだ 金やアイデアを 盗まれたりしたが― 今回は心配ない とにかく お会いできて うれしいです 彼女の子供時代の話を 聞きたいですね 笑い話は？ 何から話そうか やめて やっぱり やめましょう 笑気ガスは？ やめてよ 母親が学校に呼ばれた 午前11時に駐車場で 笑気ガスを吸ってたんだ いたずらっ子だな 大昔のことよ 私もやってたから 怒れなくて そうですよね 夜中に車を降りた話は？ 話さなくてもいいですよ 夜 家に送り届ける途中で 疲れてたんだ 13歳の時か？ 11歳よ ずっと文句を言ってた 原因は忘れたが うるさかったから― “車を止めるぞ”と 言ってやった 当然だ 信号で止まったら― 降りていった 私の記憶とは違うけど… ジャージーシティの夜は 酔っ払いなど― 危険な連中ばかりだ 私は“戻れ”と叫んだが― 娘は聞かない だから一晩中 捜し回ったよ 誘拐されたのかと思った ようやく見つけた時は― バーガーキングで フライドポテトを食べてた 大事件ですね いつも問題を起こした 言いつけを守らず 逆のことをする そこが かわいい 私も迷惑をかけただろうしな 美しいペイマ 何かな？ サモサです いいね すごく うまそうだ 手を洗って 飛行機の汚れを取ってくる 本当にムカつく くだらないことを 話すんだから その話題を持ち出して 悪かった あの夜 親友の誕生会に 行けなかったのよ パパが怪しい商談を進める間 一日中 ロビーで待たされた 車を止めて 降りろと怒鳴られた時は― 11歳だったから 真に受けたのよ 私が降りたら パパは走り去った “一回りして戻ってきた” と言うけど― 置き去りには違いない 私は暗い中 独りぼっちで座って― その時間がすごく長く感じた だから― バーガーキングに入って 隅っこで泣いたわ あの時が一番怖かった ひどい話だね そうよ こう言うと慰めになるかな 子供の頃って往々にして― 実際よりも 深刻に受け止めるよね パパの肩を持つの？ そうじゃないよ こういう問題は すごく複雑だろ 親は 我が子を 怒らせるツボを知ってるんだ 仲を取り持とうなんて 思わないで 私が望んでたのは… もういい それじゃあ 食べるとするか 味が薄い おいしかった ああ 残りは？ 持って帰らん　カードで払う ありがとう どうも もっと うまい店が あるけどな これから家に来て ゆっくりする？ 私のメールは？ 来てない 予定が変わったんだ 今夜 サンフランシスコに飛び― 明朝の会合に備えたい 分かったけど― せっかくだから 私の家を見てみない？ お前に会えたら十分だ 残りの３時間を 移動に使うより― 別の店に行って ゆっくり話そう 家は次回だ そうね　分かった どこに行く？ ミッキー どこがいい？ 飲もう　お祝いだ 何を祝う？ 我々だ 人生 私の新しい事業 いいことに理由は要らん だけど… おいしいドーナツ店は どうですか？ マシュマロや バジル味があるんですよ 斬新ですけどね 食べたばかりだ そうですね　それじゃあ… 博物館で中世の拷問器具を 展示してます 楽しめるかも 君も飲むべきだ　行こう どうも 席を取っといてくれ イヤなにおいがする 名前は？ キャロルよ 美しいキャロル マーティ･ドブスだ 何を飲んでる？ イヤになる 全部 嫌いよ なぜ私はバーにいるの？ 大丈夫？ 飲みたくなったりしてる？ 違うけど… 分からない ジャージーの美女に乾杯 パパも依存症なのよ 本当に？ 飲酒運転で免停になったの 断酒会にも行ってた この店はイヤだと言おう ダメよ パパを怒らせない方がいい 僕が ついてるよ いいね カウンターにいる キャロルって女性は― うちの近くの町で 育ったらしい ＬＡで会うとは 奇遇ね そうだな ガス 飲んでくれ これはミッキー そしてパパの分だ 美しい娘に乾杯 そしてガスに 大事な娘 乾杯しないのは不吉だ よし それでいい ビールの気分じゃない タバコを あの子は気分が コロコロ変わる 君も苦労するだろ 彼女の話を聞いて― 気持ちを理解すれば うまくいくかも ここに来たら いきなり無口になった 親と酒も飲まずに それは あなたとは 別の問題なんです 我慢が… 何だ？ 実は― 断酒中です 断酒？ 指導も受けてるんです 断酒会か？ はい またか せいぜい頑張れ いいことです タバコ くれる？ いいわよ　どうぞ ここのハッピーアワーは最高 そうなの 安酒なら３ドル でも開始は２時間後よ キャロルは早く来すぎた 私がキャロル いいお父さんね 本当に いい人よ あなたに会いに はるばる来た 私は幸せ者ね キャロル あなたの… 乳首が見える 失礼！ ジュークボックスがあるから 曲を選んできてくれ 曲が流れるまで 時間がかかりますよ 私は せっかちじゃない 了解 行ってきます ミッキー ガスから聞いたぞ 何のことかな 断酒会のことだ ガスが言った？ なぜ また通う？ 問題だからよ 断酒会は役立たずだ 自分で考えられない連中が 頼る所だよ 福音主義者の奴らが 始めた会だ 何も問題ないのに― 我々に問題があるように 思わせるんだ アルコール依存症だから 助けが必要なの 想像がつくよ 断酒会で父親のせいだと 言ってるんだな 冗談じゃないぞ 娘がカルトに入るとは あの… １つ 言わせてください 素晴らしい娘さんを 誇りに思うべきです １時間前に知った男から そう言われると感無量だ それじゃあ ちょっと落ち着いて ガス 黙っててくれない？ 断酒会だと？ 笑わせるな ふざけやがって アプリの話をして そうだな このサービスは “Ｒ･カー”と呼ぶんだ 高級配車サービスで 客を迎えに行く ウーバーと同じね こっちは 事前に予約ができる 予約(リザーブ)の“Ｒ”だ ウーバーは できないだろ 町中を走ってるから 必要ない スポーツ観戦や 空港にいる時は？ ４分以上 待ったことはない 高級車をそろえてる 水やミントのサービスや 携帯の充電 音楽も聴けるぞ ウーバーにもある それから好きな車種を 客の方で指定できるんだ フェラーリにも乗れるわけ？ それは無理だが… 結局 ウーバーと同じね そろそろ私は― 空港に行くよ 向こうに早めに着いて 明日に備えたい でも出発まで数時間ある 行きなよ　明日に備えて 送ろうか？ いいよ ウーバーでなくタクシーは？ 言うね 支払いを済ます ティムおじさんは？ 相変わらずバカだ タクシーが来ましたね 荷物をどうぞ それじゃ 頑張って ありがとう じゃあな　また会おう 大好きよ パパもだ またな なぜ断酒の話をしたの？ 勝手に秘密を しかも父親に話すなんて 助けようとしてた 助けは要らない ただの緩衝(かんしょう)材でよかったの そのつもりだった 成長して 変わったと分かれば― もっと違う態度で 接してくれるかと でも いつまで経っても 変わらない 物事も人も変わるもんだ 争わずに 済みそうだったのに 断酒会の話をするから パパが怒った あんたが台無しにしたのよ 一緒にいたくない ミッキー 待てよ やめてくれ ミッキー 待つんだ そんなに人に好かれたい？ 私 そっちのけで パパにゴマすっちゃって 私の味方は？ 味方しようとしたら 君が… どうすれば？ 黙って 僕が嫌われた方が よかった？ 黙りなさいよ ごめん　悪かった 僕のせいだ 本当に ごめん 私の方こそ ごめん 悪いのはパパなのに 君が怒るのも当然だ 家まで送っていく 離れたくない いいだろ？ パパが乗ってる飛行機かも クソったれ マーティのクソったれ 日本語字幕　香月 縁

アスコー・マーチ～明日香工業高校物語～＃02

1 （吉野　直） 〈工業高校に入学して１か月〉 〈授業や実習に取り組む中で 感じるのは→ 物づくりに対するやりがい〉 〈作業によって流す汗の尊さ というより…〉 （岡野）あー！　折っちゃダメだよ。 すいません。 〈ここが　女子向けに 作られていないという事です〉 〈女子更衣室は 学校の外れに１つだけ〉 〈女子トイレは 広い校内で　たった２つ〉 〈どちらも 入り口に鍵がついています〉 （大向　徹） 基板も十分に熱するんだぞ。 〈そして　作業着に レディースサイズがないように→ 当然　工具や機材にも→ 軽めのレディース用は ありません〉 〈はっきり言って　女子には とても生きづらい場所です〉 横浜永鈴高校…　転入ね。 うちと　何が違うの？ まず　共学なんですよ。 うちもそうだよ。 普通科ですし あの…　大学進学率も高いんです。 吉野は　進学希望か。 なんか　やりたい事あんだっけ？ 特には　決まってませんけど。 転入って　条件厳しいよなあ。 転居した場合とかにしか 認められないはずだぞ。 ここ　見てください。 「いじめ等特段の理由を 現在の学校が認めた場合」 特段の理由　十分ありますよね。 クラスに女子１人なんですよ。 教室では　上半身裸になって→ 関節技のかけ合いする男子が いるんですよ。 私を盗み撮りして 変な画像と合成する人もいます。 これ　理由になりますよね？ わかったよ。 ただ　１つ条件出してもいいか？ 条件？ 俺はいいんだけどさ…。 校長や教頭を説得する材料として→ ある程度の成績が必要なんだよ。 それは　実習も？ 実習も。 （輪島　豪）よいしょー！！ （輪島）うっすっ…！ （輪島）よいしょ！ よっし　よっし…。 玉木君　今　ちょっといい？ （玉木　誠）んっ…　何？ ちょっと話が…。 あ…　太陽が隠れるまで 待ってくれる？ （玉木）悪い　お待たせ。 今の何？ ん？　ああ… 俺らなりの日焼けサロン。 で　話って？ ああ…　実習の事で相談があって。 相談？ ほら　女子だと→ どうしても 他の男子に負けちゃうでしょ。 だから　いい成績を取れるように 力を貸してほしいなぁ…　なんて。 お前　もしかして→ 実習の魅力　わかっちゃった？ いや…　そういう…。 偉い　吉野！！ 工業入ったからにはね→ もう　実習で　ガシガシ汗かいて ガシガシ資格取るべきなんだよ！ いや　そういう…。 任せろ。 お前を 一流の工業女子に鍛え上げてやる。 ガシガシ！ 鍛えてほしくもないんだけど…。 手伝ってくれないの？ （玉木）甘えんな。 すべては　３年間 工業高校で生き抜くためだ！ ３年間いるつもりないんだけど。 （玉木）遅い！！ まだ　運ぶもん　たっぷりあるぞ！ 頼る人間　間違えたかもな。 （横山有人）手伝うよ。 ああ。　ありがとう。 余計な事すんなよ。 そうやって鍛えられてくんだから。 中学の時　習わなかった？ 女性は　か弱い生き物だって。 滅多に実習来ない奴が カッコつけてんじゃねえぞ　おい。 優しさと出席率って関係ある？ なんだ　お前…！ （竹内和也） そこ…　邪魔なんだけど。 あ…　ごめんなさい。 始めるぞ！　準備出来てるか？ 今日の実習は　２人１組で行うので 各自ペアを組んでくれ。 （村井　一）はい！ （玉木）吉野　こっちな。 うん。 俺と組もう。 え？ 吉野は　俺に 教えてもらいたいっつってんの。 え？ （玉木）行くぞ。 教えてもらうんだったら 紳士的な男がいいよね。 お前　教えるほど 実習出てねえだろがよ。 こっちがいいよね。 こっちだっつってんの！ （村井）何？　何　何　何？ その取り合い。 熱き男のバトル　勃発？ フォ～！ は！？　別にそんなんじゃ…。 よかったね。　俺でいいって。 うん…。 （杉崎加奈子）青春よねぇ。 ２人に取り合われる　その感じ。 そんなんじゃないですから。 んー　わかんないわよ。 工業の女子って 基本的にモテるんだから。 そうなんですか？ どんなに大人しい子でも→ まあ　入学して半年で １０人には告白されるわよ。 ふーん。 直ちゃんは　今　何人？ まだ１人も…。 んー　さえないわねぇ。 せっかく　誰でもモテるんだから。 誰でも？ うまく立ち回らないと→ 居心地悪くなるわよー。 立ち回る…？ （相沢桃）広瀬君って　鍛えてるの？ （広瀬里美）ん？ 腕　触ってもいい？ おお…。 うわっ　すごーい！ おめぇ　耳 真っ赤っかになってんじゃねえぞ。 もともと…！ そういう…　色なんだよ。 桃ちゃん　俺の腹筋だって 結構…。 このパーカー　新しいよね？ かわいい！ （岸　哲郎）赤　好きなのか？ （村井）俺の腹筋だって たたくと赤くなるぜ！ ああいう事。 ♪♪～ バカらし…。 別に アスコーでモテる必要ないし。 …はっ！！　おじいちゃん。 静かに現れると 完全にホラーなんだけど。 （吉野冨士男） 誰がガイコツなんだよ。 そこまでは言ってないけどさ。 こないだ言ってた… 転入の話　どうなった？ ああ…。 あ…　いや…。 やめたんだろ？ 好きな男でも出来て。 はあ！？ 鏡なんか見つめちゃって。 ヒュー！ わかる。 確かに　工業男子はいいぞ。 え？ 男気があって→ 硬派で…　男気もあって。 男気ばっかりじゃん。 おい　おめぇ！ 赤　カブせて着てんじゃねえよ！ ああ！？ お前こそ　ほめられたからって→ ２日連続　赤　着てきてんだろ！ くだらねえな。 あ…。 ワンポイントきかせてんじゃねえか。 全然硬派じゃないし。 （村井）てめぇ！　その 赤いハンカチーフ　俺に貸せよ。 全然男気もない。 （輪島）桃ちゃん！　どうしたの？ （桃）おはよ。　みんなもおはよう。 （４人）おはよう。 おはよう。 わかりやす。 ねえ　ねえ　有人。 （２人）有人！？ （桃）あとで　ちょっといい？ ん？ ああ。 「あとで　ちょっといい」だ！？ ああ！？ 呼び捨てにされてんじゃねえぞ！ はいはい…。 ≪（桃）キャー！　やめてー！！ どうした？ どうしたの？ 急に襲われて…。 あの野郎…！ 桃ちゃんに何してくれてんだ オラッ！！ （輪島）ＣＤ貸してやるとか言って 呼び出して　いきなり→ 男に変身したらしいじゃねえか！ ああ！？ おめぇには 吉野がいるじゃねえか！！ （村井）２人しかいない女子 ２人も取るなんて…！ 泣いてたのか？ コラッ。 何があったか ちゃんと説明しろよ。 （ため息） お前ら　桃ちゃんのなんなの？ 何って…。 お…　お友達だよ。 お友達に　いちいち俺らの事を 報告しなきゃいけないの？ （ため息） ひがんでるだけだろ。　カッコ悪ぃ。 眠りづれぇな　ここ。 いってぇ…。 （マドカ）どうしたの？　その傷。 （龍聖） プロ意識が足りないんですよ。 ホストは顔が命なのに。 （マドカ） まあ　説教はそのへんにして→ 新入り君は　何　飲む？ ウーロン茶頂きます。 いやいや　ここは飲むとこでしょ。 すいません。 まだ１９なんで。 この世界に そんなの関係ねえから。 （長沼京子） 私も…　ウーロン茶にします。 はい。 ただいま。 母さん…。 （横山祥子）大変だよ　有人…。 全部…　砂みたいなんだ…。 （祥子）ザラ…　ザラッて。 砂の味しかしないんだよ…。 おっ　彼氏休みか？ 彼氏じゃないから。 ヒュー。 昨日の一件で 破局しちゃったって事？ 俺と組んでりゃ　よかったのに。 それはそれで　こき使ったでしょ！ （平川光司）うっ…　うわうわ… うわーっ！ （渡辺信一郎）ああ…　悲劇…。 こいつやりよった。 ごめん。 （平川）うわ　最悪。 ♪♪～ 転入するんだ。 あ…　うん…。 誰にも言わないでもらえると…。 言わないよ。 ってか　話す相手いないし。 竹内君も もしかして　アスコーやめたいの？ いや。　一緒にしないでくれる？ でも　うまくいくといいね。 ありがとう。 君がいると クラスが荒れてウザいからさ。 （医者）多弁になったり 早口にまくしたてたりする事も…。 何回かありました。 まあ…　１年前に来た時よりも 症状は悪いですね。 しばらくは　仕事は無理でしょう。 ほんとはねえ　入院してもらうのが 一番なんですが→ お金の面もね…。 あ…　それは… なんとかしようと思ってますけど。 今　配ってんのが　積立金の封筒な。 ５０００円入れて　提出するように。 おい！　そこ寝てんな。　起きろ。 はい。 （輪島）払えない奴は どうなるんっすか？ 払えない奴は まず　先生がなぐさめます。 はあ！？ はあ！？ で　最終的に 修学旅行に行けなくなります。 なんだよそれ！ （竹内）行きたくなかったら→ じゃあ　払わなくていいんですか？ そんな寂しい事言うなよ　竹内。 なんで私に　横山君の…。 え？　だって付き合ってるのでは？ 横山のは 吉野が持ってってくれるのか？ いえ　そんな事は言ってません。 持ってってやれよ。 いい仲なんだからよっ。 わっしょい！ 家とか知りませんし。 そっか　そっか。 じゃあ　先生に任せろ。 あとで住所教えてやるから。 はい　決定。 （輪島）先生　グッジョブ！ ごめんね…　有人…。 なんで　私が…。 横山君！ 横山君！ あ…。 ♪♪～ ♪♪～ 何してんの？ あ…。 ずっと　そこいたの？ あ　いや…。 あ… 聞こえないみたいだったからさ。 あっ　何聴いてたの？ ああ。　ジミー・クリフ。 へえ～　海外の人？ うん。 日本の　あんま聴かないから。 ふーん。 つぅか　なんか用？ あ…！ これ　届けるように言われて。 ああ。　サンキュー。 あの…　この前の事なんだけど…。 この前って？ あ…　俺が桃ちゃんを襲った話？ あれって　本当なの？ まあ　どうだったいいんじゃない？ 俺　学校やめるしさ。 え？　なんで？ なじめてないから。 ほら　学校行っても 怖いヤンキーに殴られちゃうし。 これ　ありがとう。 払う必要なくなりそうだけど。 ♪♪～ はい　席つけ！ ホームルーム始めるぞ！ 大事なお知らせがあります。 今日から 食堂のパンが２０円引きになります。 （生徒たちの歓声） はいはい。　今日の昼を→ パンにしようと思ってた奴は 気をつけろよ。 そっか…。 （桃）入らないの？ 横山君の事なんだけど…。 ああ。　直ちゃんも 気をつけたほうがいいよ。 ＣＤ貸すとか言って呼び出すのが 手口だから。 そのＣＤって誰の？ 確か　スピッツだったかな？ 横山君 日本の曲　ほとんど聴かないって。 襲われたのって本当？ は？　疑ってんの！？ 被害者　私だよ。 横山有人に 何か吹き込まれたわけ？ 別に　そういうわけじゃ…。 じゃあ　ほれてんだ。 やめといたほうが いいと思うけどね。 待って！ 正直に話してくれない？ ウソつき。 ウソつき女！ ウソつき！ 正直に言いなよ！ ウソつき女！ ウソなんかついてない…。 私　ウソなんかついてないから！ うわっ！ ああ　ありがとう。 俺のほうが紳士的だろ？ っつうか　横山の奴 全然来ねぇよな。 そうだね。 ほら　お前らも 余裕あんなら手伝ってやれよ。 え！？ これ　単管パイプ　切る。 ♪♪～ また来たの？ 女子更衣室の鍵って 女子しか借りれないの。 ふーん。 桃ちゃんが開けないと あそこには入れない。 悪いけど…　俺　その気ないから。 なんで？　いいじゃん！ ごめん。 （鍵を開ける音） おい！ キャー！　やめてー！！ どうして あの時否定しなかったの？ 俺が否定したら　桃ちゃんが ウソついた事になるだろ。 あの子　ウソって言葉に やたら敏感でさあ。 私が　ちゃんと説明する。 え？ 疑惑が晴れれば→ 前より 学校に来やすくなると思うし。 もう　いいんだよ。　あんな場所。 横山君が言ってくれたんじゃない。 ここは そんなに悪い場所じゃあない。 だから　私だって。 ≪（祥子）有人ー。 有人。 なんで私を閉じ込めるの？ 母さん…　どうやって…。 帰ってくれ。 え？ そちらは？ あ…　あの…→ 有人君と同じ学校の 吉野と言います。 横山有人の母です。　はじめまして。 かわいい子ね　有人。 お二人は　どういうご関係？ 別に　クラスが一緒なだけだよ。 行こう。 どうして そんな　帰らせようとするのよぉ。 安静にしてろって言われただろ。 朝から晩まで安静にしてるわよ。 わかった…　邪魔なんだろ…。 ２人の邪魔だから 私をないがしろにしてるんだろ。 そんな事ないから。 （祥子）あの子と会うために→ あんな狭い部屋に 閉じ込めてるんだろ…！ やめろって。　もう帰れ！ 待ちな　あんた！！ 有人は私のもんだよ！　有人は！！ 母さん　やめろって！ 私のもんだよ！！ とりあえず寝たよ。 うん。 わかったろ？ 学校なんか 行ってる場合じゃねえって。 県立高校なら 授業料もタダだし…。 工業で資格でも取れば もっと安定して…。 今よりマシな毎日がくるなんて 思ってた。 でも　違ったみたいだな。 そんな事…。 なめてんのか？　この仕事。 飲まなくたって　満足させてるから いいじゃないですか。 思い上がってんじゃねえぞ！ お前の接客じゃ 誰一人　満足させられねえよ！ ≫（京子）やめません？ ホストは顔が命とか 言ってませんでした？ 今日は　もう帰れ。 （ドアの開閉音） ホスト　向いてないんじゃない？ あんたに何がわかんだよ。 高校生でしょ？ は？　…違うよ。 倒れた時　学生証　落ちたけど？ えっ？ ♪♪～ （男子生徒）来たよ。 ちょっと　聞いてもらいたい話が あるんだけど。 別に　お前から聞きたい話なんか ねえよ。 あっち。 （輪島）転入するために 点数稼ぎしてたんだろ？ ざけんじゃねえよ！ （村井）理解出来るように 説明してくれよ！ （竹内）大向に 条件でも出されたんだろ。 実習でも　いい成績取れば 転入　認めるってさ。 ち…　違う…。 え？ 勉強してたよね こそこそ　図書室でさ。 （生徒たちのざわめき） （玉木）俺に頼ってきたのも このためか？ 玉木君…。 そうだよな　女が溶接やら旋盤に 興味持つわけねえもんな。 （竹内）利用してたって事でしょ？ 玉木君とか横山君の事をさ。 女の武器ってやつだろ？ なんだ　そういう事か。 違う…。 待って！ 確かに　最初は転入のためだった。 でも　今は違って…。 横山君　ずっと実習来ないから→ このままだと 進級とか難しくなりそうだし。 そしたら　ほんとに 学校に来られなくなる気がして。 いいんだよ。 でも　今日来たの…。 お前に出来る事なんか 一つもない！ 学校やめようとしてる奴に 心配されたくないんだよ。 失礼しまーす。 あら　直ちゃん。 ここでランチって事は…？ ええ…　うまく立ち回るどころか クラス全員　敵に回してます。 あら…。　まあ　座って。 ねえ　先生。 うん？　何？ 学校をやめようとしてる人を どうやったら止められますか？ うーん…　まあ　うちの学校は 結構多いんだけど→ 例えば　それが経済的事情とか→ 家庭の事情だったら 私は止めないわ。 本人に 学校に来たい意思があっても？ うーん　どうする事も出来ない。 希望と事情は違うから。 でも　ほんとに もったいないと思うんです。 シルバーアクセサリー 作ってる時の横山君→ 真剣で 本当に楽しそうだったから。 シルバーか…。 なかなかロマンチックねぇ。 はい。 私もさ　高校時代は 記念日のたんびに→ ３つずつもらってたわよ。 また自慢ですか？ ねえ　あれってさ→ それぞれのモチーフに 全部意味があるの知ってた？ じゃあ…　鳥の羽根は？ 確かねぇ…　上昇。 上昇？ 今いる場所よりも 高みにいきたーいって意味。 もう　空は見ない事にしたんだ。 ♪♪～ ♪♪～ 必死だな。 そこまでして この学校やめたいかね。 ♪♪～ （チャイム） いてててて…。 吉野。 はい。 機械科の岡野先生に聞いたぞ。 旋盤実習　だいぶ遅れてるって。 あ…　はい。 横山が欠席してるからだろ？ 他の班に入って作業出来るように 言ってやろうか？ 完成しないと 実習の成績に響くだろ。 大丈夫です　今のままで。 そうか。 あ　先生…　あの…。 先生！ おお　玉木　まだいたのか？ いや　あの… 例の件　頼んでいいっすか？ やっぱり　苦しいのか？ 来月末には　なんとかしますから。 そうか。 （玉木）おっ…？ なんで　あいつが…。 ああ　遅れ取り戻したいから 作業時間　延長させてくれって。 そこまでして アスコーやめたいのかよ。 違うと思うぞ。 ♪♪～ おう。 お前　ホストやってんだ？ ああ…。 なあ　お前って もう学校来ねえの？ ああ。 そっか…。 じゃあ　吉野が待ってても 意味ねえな。 ああ　機械科の実習の ペアの話だよ。 君が組んであげればいいじゃん。 彼女の事　好きみたいだし。 はぁ！？　好きじゃねえよ！ あっと…。 あたたた…。 何言い出すんだよ　お前。 意味ねえみたいだぞ→ お前とのペアで 作業を完成させないと。 ♪♪～ ≫（ノック） はーい。 遅くまで　ご苦労さん。 おじいちゃん　先に寝るぞ。 うん。 受験以来か？ こんな遅くまで頑張ってんの。 そうかもね。 お前も　ようやく 工業の魅力に気づいたか。 ≫（冨士男）夜食　置いとくから 温かいうちに食べてくれ。 元気が出るよ～。 男気スペシャル。 おじいちゃん　ありがとね！ 夜食にしては…　重い。 いててて…。 いったー…。 そっち…。　もっともっと…。 ほら　いけ！ いっ…　いたたたたた…。 おい。　突っ立ってるだけなら どけよ。 ごめん…。 サンキュー。 ♪♪～ あれ見てみ。 （岸の声）なんなの？ あの吉野のマジな感じ。 横山が戻ってくるのを 待ち続けてるって話だぜ。 マジで！？ だとしたら　愛の力…　みたいな？ （輪島）みたいな？ （村井）フゥ～！ どこ行くの？ あ　いや…　ちょっと…。 正直に　話してくれない？ ウソつき！ ウソつき女！ 正直に言えよ！ 言えよ！ どうした？ ごめん…。 私…　やっぱり　まだ 横山君の事　許せなくて…。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （岡野）これが最後の工程です。 現在　こういう形に なってると思うけど→ 今日は面取り加工をして これ　仕上げていきます。 （岡野）それが出来たら 最終計測を行います。 だいぶ追いついてんじゃん。 あ…　うん。 どうした？ 別に。 （岡野）はい　じゃあ　始めて。 《今月　特にきつい…》 《苦しい…》 どうした？　吉野。 このままじゃ追いつかないぞ。 すいません。 ♪♪～ 《言えない…。 生理だってバレたくない》 《また女の武器を使ったって 言われる》 《悔しい…》 《ここまでやったのに…》 《あとちょっとなのに…》 《しかも…　トイレ遠い…》 もう…。 ほんっと　アスコーって…。 女子が生きづらい。 何…　これ…。 先生…。 起きた？ いつも　こんな重いの？ いえ…　こんなの初めてです。 うーん 無理しちゃってたからかなぁ。 でもさ　なかなか うまく立ち回ったんじゃない？ えっ？ ≫（機械の作動音） ♪♪～ あ　起きた？ どうして…？ 中学の時　習ったんだよ。 女性は　か弱い生き物だって。 だとしたら　遅いよ。 休んでろよ。 仕上げだけ１人でやるなんて→ おいしいところ 持ってきすぎでしょ。 じゃあ　頼むわ。 ♪♪～ ０．３　削ろっか。 わかった。 出来た～。 結局　何に使うものなんだろうね？ これ。 さあ。 でも　いいな　これ。 吉野が頑張った形だ。 ありがと。 いや… 礼を言うのは俺のほうだよ。 ありがとな。 あんな事しといて よく平気な顔で学校来れたな。 広瀬君　違うの！ 横山君は何もしてない。 黙ってろ！ 信用出来ねえんだよ。 デキてんだろ？　お前ら。 違う！ 桃ちゃんの事　傷つけといて→ 他の女と イチャイチャしてんじゃねえよ！ 顔ばっか勘弁してくれる？ 俺はなぁ　おめぇみてえな軽い男が 一番嫌いなんだよ！ 結局　これだってそうだろ。 自分じゃ何もしねえで 吉野にやらせて。 図々しいんだよ。 成績だけ残そうとしやがって。 そんなんだったらなぁ とっとと　やめちまえ！ やめて！ お前も困るよな。 転入のために必死で作ったのに。 それもあるけど…。 広瀬君には壊してほしくない。 はぁ？　どういう意味だよ。 それ　私一人で 作ったものじゃないから。 だから　そいつと…。 みんなに助けられてたの。 実習に取り組むようになって 気づいたんだ。 みんな　普段は 怖くてキレやすくて→ 普通の授業は ちゃんと聞いてないけど→ 実習の時だけは すごく真面目で　丁寧で…。 （直の声）私が頑張っても なかなか追いつけないのは→ たぶん　そのせいで…。 でも　そんなふうに 作ってるのを見て→ すごい勉強になったし→ 作る楽しみを 少しだけ　わかった気がして。 よーし！ いけ！ （直の声）すごい励みになってたの。 実は　感謝してるんだ。 だから… そんな人に壊してほしくない。 ≫（岸）お待たせ。 （輪島）つーか　広瀬君 何　抜け駆けしてんの？ （村井）そいつに苛立ってんのは 俺らも一緒だぜ。 帰るぞ。 （輪島）はぁ？ そいつなら　もう　ぶん殴った。 なんでだよ！　これだって ぶっ壊すんじゃねえの？ 壊したら　後悔する気がすんだよ。 工業の人間としてよ。 なんだよ…。 はぁ…。 俺も…　バイトがあるから行くわ。 あ　うん。 転入…　俺は　いいと思うよ。 えっ？ それが 吉野の進みたい方向なんだろ？ じゃあ。 あっ　これ…。 横山君のじゃない？ いらなくなったから捨てといて。 うん。 また明日。 また　明日。 ♪♪～ （桃）ここの連中　バカばっかで 絡みづらくてさ。 俺からしたら 君も十分　絡みづらいんだけど。 そっかぁ…。 邪魔だから消えてくれる？ ああ　そうだ。 お兄さんの話　聞いたよ。 ♪♪～ 〈今でも　やはり→ ここは女子にとって 生きづらい場所だと感じます〉 〈でも　その一方で→ 普通の女子では　あまり味わえない 成果を得る事が出来ました〉 〈ただ…〉 〈これが３年間続くとなると 話は別で…〉 退学！？ しーっ！ （輪島）誰かさんが チクったに決まってんだろ！ （竹内）予想以上に腐ってる。 （桃）早く消えてくんないかな。 （祥子） 変な気つかうんじゃないよ！ （京子）一緒にここから抜け出そう。 壊れたのは私のせいでもあるから。

遅咲きのヒマワリ～ボクの人生、リニューアル～＃03

1 （丈太郎）お～　終わった～！！ （欣治）ハハハ　うるせえな。→ ずいぶん板についてきたじゃいか。 （丈太郎）ありがとうございます。 （かほり）あっ　森下さん→ 三島　達郎さんのカルテを お願いします。 （彩花）何か。 （かほり）毎週　薬　取りに→ 来てたんですけど　今日 いらっしゃらなかったみたいで。 （彩花）お薬の予備なら 持ってらっしゃいますけど→ あしたもいらっしゃらなかったら 連絡してみましょう。 （かほり）あっ　はい。→ あっ　あと　太田　可南子さんと 池内　多恵さんのも。→ んっ　何ですか？ （彩花）いや　この町の ドクターっぽいなと思って。 （かほり）なっ　何　言ってんすか。 あ～　うんめえ。 （欣治）誰が育てた米やと 思うちょる。 いや　欣治さん　すごいな。 こんな大変な米作り 続けてたなんて。 （欣治）昔は この辺　全部　田んぼやった。→ しかし　みんな　辞めちもうた。 ≪（女性）そうやね→ 子供らは　みんな 田んぼ継がずに町へ出ていくしね。 そりゃ　きついっすもん。 （欣治）収穫のお祭りを やりよったころは→ みんなで協力して お祭りを盛り上げ→ 故郷への愛着を深めたんやけどな。 へえ。 （男の子）ねえ　お祭りやるが？ （女性）ううん 前はやりよったゆう話。 （男の子）ほんなら　また　やろうよ。（男の子）やりたい！ やろう　言うても やれるもんやないの。 （男の子たち）祭り！　祭り！→ 祭り！　祭り！ （女性）うるさ～い！ （男の子たち）祭り！　祭り！ お祭りか。 ≪（ノック） はい。 ≪（春菜）春菜です。 （春菜）来ちゃった。 どうしたの？ お部屋に不具合ないか→ チェックさせてください。 あっ　いや　特に問題ないと思…。 （春菜）台風のシーズンですし。→ お邪魔しま～す。 （春菜）水道の調子　どうですか？ まあ　普通だけど。 （春菜）丈太郎さんが来る前に 調子　悪くて　修理したから。 ああ。　じゃあ　あの…。 持ってきちゃった。 えっ。 私とじゃ飲めませんか？ あっ　いや。 乾杯。 あ～　おいしい。 おいしくないですか？ んっ？　あっ→ おいしい　おいしい　おいしい。 フフフ。 丈太郎さんが　ここに来たのは→ やっぱり　田舎の暮らしが 体験してみたかったからですか？ あっ そういうわけでもないんだけど→ まあ　成り行きかな。 ここで暮らしてると→ 東京の良さが あらためて分かったりしません？ そりゃね。 いや　でも　もちろん　ここだって→ すごい　いいとこだなって 思ってるけど。 地域おこし協力隊の仕事って ３年の契約じゃないですか。 うん。 終わったら→ 東京に戻るんですよね？ いや～。 いや　まあ 先のことは　まだ考えてないな。 ふ～ん。 あっ　いやいやいや　俺　もう。 今日は とことん飲みましょうね～。 とっ　とっ　とことん？ ≪（ノック） はい。 （とき子）おいしい　ようかん 頂いたの。→ お茶　入れるから。 あっ　いいや。 （とき子）せっかく頂いたがやけん いらっしゃいよ。 （ため息） 春菜ちゃん？ 春菜ちゃん。 [TEL]（呼び出し音） （順一）はい。 あっ　もしもし　順一？ あのさ　今から来られない？ （順一）商店街の会合やけん。 あっ　いや　あの 終わってからでいいから→ 来てくんないかな。 あの　春菜ちゃんがさ→ うちで飲んでて 寝ちゃったんだよね。 はっ？　いつの間に そういうことになったがよ。 いやいや なっ　なってない　なってないよ。 いや　ほら　春菜ちゃんの目立つ車 朝まで止められたらさ→ あっという間に　噂　広がるじゃん。だから→ 藤井金物店の車　止めに 今から来てくんないかなと思って。 [TEL]丈太郎も　田舎ってもんが よう分かってきたみたいやね。 まあ　そっちに 行ってやりたいがやけど→ 今　ちょっとな。 （男性）おい　順一→ 何　やりようがぞ。 （順一）悪い。→ とにかく　地元の女に　手　出したらどうなるか分かっちょるよな。→ 特に　春菜の親父は市会議員で むちゃくちゃ…。 （男性）早うせえ。 順一？ [TEL]（不通音） あっ　切れちった。 う～ん。 （とき子）ねえ　今度の日曜 高知市に行く時間あるかね？ 高知？　往復５時間もかけて 何しに行くの。 （とき子）開業医の息子さんで ええ人がおるっていうがよ。 お見合い？ （とき子）会ってみるだけでも→ 会ってみんかね？ お見合いって言うと 抵抗があるかもしれんけど→ さよりも　お見合いで ええ人と結婚できたがやし。 いや　でも　私 お見合いとか　全然　興味ないもん。 （とき子）じゃあ　どうするが？→ ねえ。 （隆三）んっ？　ああ→ ええ話やないか→ かほりも　そっちで→ 医者を続けられるし。 （とき子）そうよ。 [TEL] あっ　ごめん。 はい。 あっ　俺　俺。 俺　俺って　誰？ ねえ　今からさ来てくんねえかな。 どこに？ 俺んち。 はっ？ いや　何か　春菜ちゃんがさ→ うちで飲んでて 寝ちゃったんだよね。 ２人で飲んでたの？ うん。 まあ　部屋の点検しに来てくれて それで。 何で　私が？ いや　ほら　春菜ちゃんの車 朝まで止められたらさ→ 噂になっちゃったり めんどくせえじゃん。 だから→ もう１台　車　止めに 誰か来てくんねえかなと思って。 はあ？ あ～　もう　頼むよ。 だって 森下さんに頼めばいいじゃん。 はっ？　そんなこと 彩花さんに頼めませんから。 [TEL]だからって　私に頼まれても。 お前 俺っ　俺が　こんな　頼んでんのに？ 何で　私が　あなたの頼みを 聞かなきゃならないわけ？ （とき子）ええ人そうやろ？ 悪い。 何で　代行　頼まないの？ 代行？ こういうときは　代行　頼むの。 何　それ。 飲み会の帰りとかに→ 運転　代わりにやってくれる人。 ああ。　あっ　まあ　上がれよ。 うん。 ≪（ドアの閉まる音） ふ～ん。 何だよ　ふ～んって。 いや　別に。 あっ　私　ビールね。 あっ？ 何？ はい　ただ今。 あっ　やっぱ　これがいいや。 グラスね。 はい　グラスですね～。 はい　お待たせしました～。 うん　いい香りだ。 あ～　寝ちゃった。 あっ　かほりちゃん　どうしたが？ あっ　何か　こいつ すげえ暇だったっつうから。 このワイン　ホント　おいしかった。 丈太郎さんのために 持ってきたがやのに。 あいつには　もったいない。 今度は邪魔しないでね。 あいつのことが好きなの？ 好きっていうか→ 必要なが。 必要？ うん。 私には丈太郎さんが必要やけん。 どういう意味？ おやすみなさい。 うわ～！ （クラクション） （純子）あ～　あ～。→ 何だ　丈太郎君かい？ （山下）不審者かと思うたちゃ。 あっ　すいません。 （順一）お祭り？ うん。　子供たちのためにも ぜひ復活させたいんです。 やらせてください。 お祭りは 故郷への愛着を深めますし。 （日下）そうなんですけど 祭りをやるとなると→ それなりの人手とお金が 必要になります。 集められたら やってもいいですか？ （日下）はいと 言いたいところなんですが→ 祭りを復活させたら 毎年やってほしいとか→ 他の地域でやってほしいという 声も→ 上がると思うんですよね。→ そういったことに 対応していくがは→ なかなか難しいんですよ。 （順一）確かに。 １回やると　色々　大変やけん。 いいじゃないですか。 先のこと考えてたら→ 何も　できないですよ。 １回でも復活させましょう。 やった方がいいに 決まってますって。 しょうがねえな。 （順一）日下課長 俺も手伝うけん。 （日下）お祭りは　地域の人が主役でつくっていくものです。 負担もかかりますし→ 必ず　皆さんの同意を得てから やってください。 （順一）はい。 ありがとうございます。 ＜どことなく分かっていた＞ ＜目の前に頑張ることがあれば→ 先の見えない不安から→ 目をそらせることを＞ （春菜の　くしゃみ） （順一）あ～→ 修理が必要やね。 ねえ　子供みこしは？ （順一）子供みこし？ うん。 （順一）ここになかったら ないやろ。 えっ　どうすんの？ 子供のための　お祭りなのに。 （順一）俺に言うなよ。 （春菜）注文する？ （順一）３０～４０万するぞ。 （春菜）えっ？　そんなに？ 作ろうぜ。 はっ？ 子供みこし　作っちゃおうぜ。 ♪♪～ （幸子）お祭り？ はい。　ぜひ　みんなで→ お祭りを復活させませんか？ （女性）祭りねえ。 あっ。 （幸子）いまさら→ お祭りって言われてもねえ。 （芳子）準備も大変やけんね。 （純子）私ら年寄りには きついちゃ。 （山下）みこしは誰が担ぐがぜ？ あっ　あっ　あっ　はい。 え～と　準備は→ 皆さんの 負担にならないように→ 地域おこし課が 中心となって　やります。 みこしは　子供たちに 担いでもらおうと思ってます。 （幸子）そういうことやったらねえ。 あの　それで→ お祭りには資金が必要なん…。 まあ　そんな感じで 同意を得られたような→ 得られなかったような。 （欣治）フフ まあ　そんなもんやろう。 いや　欣治さんが お祭りの話なんかするから→ 思い付いたんじゃないですか。 おはようございます。 （弘樹）おはようございます。 （欣治）よろしくな→ ４番　ピッチャー　松本　弘樹。 （弘樹）はい。 あっ　そうだ。 今度 欣治さんが住んでる山の方で→ １５年ぶりに　お祭りをやる計画が あるんだ。 それで　人手が足んなくて みんなに声を掛けてるんだけど→ もし　よかったら 手伝ってくんないかな。 （弘樹）いや　俺は　そういうがは。 あっ　無理にとは言わないから。 （弘樹）じゃあ。 （さより）ありがとうございました。 （順一）おう。 （さより）いらっしゃいませ。 （順一）あっ　子供　幾つやったかね。 （さより）８歳と５歳。 （順一）おう。　今度　蘇我野で お祭りやる計画があってよ。 （さより）お祭り？ （順一）おう。 ずっと　やってなかったがやけど→ 俺ら中学のときは やりよったやいか。→ 覚えちょる？ あっ　一緒に行こうって→ いろんな男子から 誘われよったがやない？ （さより）９８０円です。 やることになったら来んかなと 思って。 （さより）子供に聞いてみる。 ホント？　あっ　じゃあ→ そんときは 祭りの人手も足りんし→ 手伝うてくれたら すごく　ありがたいがやけど。→ あっ　これ　俺の連絡先。 （さより）結構　忙しいがやけど　私。 （順一）あっ。 （さより）無理はせんからね。 おう。 ≪（車のクラクション） いや　あの 市役所からの帰りなんすけど→ たまたま 彩花さんの姿　見えたんで。 （彩花）そう。 ホホ。 あっ　あの 俺　今　蘇我野地区のお祭りを→ １５年ぶりに復活させようと してるんです。 準備とか 結構　何か　色々　大変なんすけど。 （彩花）頑張ってね。 はい。 あっ　いや 何か　元気　出てきました。 （彩花）そう？ 私にできることがあったら→ 何でも言って。 はい。 あっ。 （彩花）何？ 言って。 あっ　その→ もし　お祭りを復活させることが できたら→ 彩花さんに　ご褒美 もらえたらなあと思って。 （彩花）ご褒美？ あっ　いやいや　あの　何でもない→ 何でもないです。 あっ　あの　ホント忘れてください。 いいんじゃない？　ご褒美。→ 何がいいか考えといてね。 はい。 （彩花）じゃあね。 あっ　はい。 いいんじゃない？　ご褒美。 でれでれしちゃって。 何だよ　お前かよ。 《一緒に暮らしてる人 いるんですよね？》 （彩花）《彼氏ってわけじゃ ないから》 順調なの？　森下さんと。 ああ　めちゃめちゃ。 いや　何かさ お祭り実現できたら→ ご褒美くれるっつって。 お祭り？ うん。　あっ　蘇我野地区でさ→ お祭りやる計画　立ててんだけど お前も手伝ってよ。 そんな暇ありませんから。 ケチ。 （春菜）この計画で お祭りをやろうとしたら→ これだけ掛かります。 えっ　こっ　こんなに？ （順一）削れるもんは削らんと 全然　はまらん。 （春菜）ちょっと削ったくらいじゃ 全然　足りないと思う。 ≪（幸子）丈太郎君。 あっ　どうしました？ （幸子）はい　これ。→ お祭り資金→ 声　掛けた　２３人分。 いいんですか？ （純子）欣治さんに言われたちゃ。 （欣治）《子供たちが お祭りやりたいって言うがぞ》→ 《そのくらいの夢 かなえてやらんで　どうすりゃよ》 （純子）《そうやね》 （山下）この町の子供たちのために 使うちゃってくれや。 大切に使わせていただきます。 ありがとうございます。 ありがとうございます。 （春菜）ありがとうございます。 （順一）よいしょ～！→ よし。 （春菜）そこを何とか お願いします。→ 子供たちのための お祭りなんです。→ もう少しだけ　お安くして もらえないでしょうか？ （順一）丈太郎　丁寧にな。 ああ。 ちょっと曲がってるよ　向こう。 （順一）曲がってね～よ。 （男の子）何　作りようが？ あっ　子供みこしだよ お前らが担ぐ。 （男の子）僕も　やりたい。 （子供たち）私も。 ホント？　じゃあ じゃあ　ここ押さえて　こうやって。 （順一）おっ　こっちも頼もうかね。 いくよ～。 （順一）よっ　おいしょ。→ ほい　わっしょい。 （子供たち）わっしょい。 （順一）わっしょい。 （子供たち）わっしょい。 おっしゃ。　イェイ。 （男の子）イェイ。 イェイ　ハハ。 （クラクション） 欣治さん　お祭り　できそうです。 ありがとうございます。 （欣治）おう。 ご褒美　何にすっかな～。 「沈下橋」だって　変な名前。 いや　やっぱ　この橋の眺め　最高。 （岡島）《アメリカの研究所なんて 狭き門なんだよ》→ 《君レベルの能力の先生なんて いくらだっているんだから》 [TEL] はい。 [TEL]あっ　俺　俺。 俺　俺って　誰？ ねえ　ご褒美　どこまで お願いしてもいいと思う？ はっ？ あの　彩花さんの→ 手料理っつうのは　どうかな？ あっ　やっぱ　ずうずうしいかな？ いや　何かな　やっぱ　２人きりで いきなり家っつうのもな～。 やっぱ　デートしてください。 あ～　いや いきなり　無難　過ぎんのもな～。 バカじゃないの？ 仕事中なんだけど。 はっ？　仕事中に何で出んだよ。 今は大丈夫なの。 あっそ。　何か　悪かったな。 じゃあな。 切るの？ えっ　何？　切ってほしくないの？ いや 何か　バカ話に付き合ってると→ ちょっとは気が紛れるし。 [TEL]ふ～ん。 何かあった？ 色々あるの　誰かさんと違って。 だったらさ 息抜きに祭りの手伝い来いよ。 楽しいぞ　子供たちと一緒に みこし　作ってさ。 あっ ついでにさ　寄付してくんね？ 寄付？ うん　お祭りの運営資金。 いや　ヨーヨー釣り やりたいんだけどさ→ ちょっと足んなくて。 いいよ。 えっ　いいの？ [TEL]何で　私が寄付しなきゃ いけないのって→ 言うかと思ったのに。 うらやましい。 えっ？ ううん。 じゃあね。 うん　じゃあね。 あっ　ご褒美…。 [TEL]（不通音） （芽衣・結衣）こんにちは。 （丈太郎・順一）こんにちは。 あれ？　２人は　きょうだい？ （結衣・芽衣）はい。 （結衣）お母さん　見て見て。 （順一）おう。 （さより）子供たちが 来たいって言うから。 （順一）おう　おう。→ あっ　かほりの姉ちゃん。 ああ。 （順一）東京から来た 地域おこし協力隊の丈太郎。 こんにちは。 （さより）こんにちは。 （春菜）さよりちゃん…　あっ→ さよりちゃん　手伝って～。 （さより）うん。 （春菜）さよりちゃん　これ切って。 （さより）あっ　うん。　これ？ （春菜）そう。 えっ　ファンクラブ？ （順一）おう→ ホントにあったがやぞ 二階堂さよりファンクラブ。 （さより）昔の話よ。 （順一）確か会員数５６名？ ５８やけん。 （順一）そっか　５８。→ 俺なんか　ファンクラブさえ 恐れ多くて入れんかったがやけん。 モテモテですね。 （さより）昔の話だって。 （順一）謙虚やね～。 （春菜）あっ かほりちゃん　迎えに来たよ。 お姉ちゃん　どうしたの？ （さより）たまには　私だって→ いいでしょ。 芽衣と結衣は？ お母さん。　じゃあ 私　そろそろ　帰ろっかな。　お金…。 ええちゃ　ええちゃええちゃ。 今日　何か　色々　手伝って もらっちゃったんで　大丈夫です。 ありがとう。 （順一）ありがとな。 じゃあ　また。 （順一）またな。 あっ　そうだ　これ　言ってた　寄付。 おっ　お～　サンキュー。 （順一）ありがとう　かほり　助かる。 （春菜）さすが　太っ腹。 あっ　いや　そんな→ ちょっとだよ　ホント。 （順一）やるねえ。 お～　やるねえ。 いや　見んなよ。 （さより）幾ら渡したの？ んっ？ （さより）さっきの。 ああ　５，０００円。 （さより）５，０００円？→ 私の１日分のパート代より たくさん。→ かほりにとっては 何でもない金額やけん→ ぽんと渡せるわよね。 簡単に稼いでるわけじゃないよ。 まあ　それだけの大変な思いは してるつもりだよ。 誰にでもできる私のパートとは 違うもんね。 ねえ　いつから そんな　ひがみっぽくなったの？ 何で　私が　ひがむのよ。 ううん　別にいい。 かほりから言いだしたんでしょ。 ≪（ノック） （順一）丈太郎！ ≪（ノック） 何　どうしたの？ 台風が来るってよ。 お～。 （順一）お～じゃねえよ→ さっさと　顔　洗って しゃきっとせえよ。→ ここじゃ　台風に備えてやること たくさんあるがやけん。→ 早う行け。 （彩花・かほり） おはようございます。 （彩花）台風前なので　患者さんが いつも以上にいらっしゃると→ 思います。 あっ　はい。 （芳子）どうかね？ もうちょっとで終わりますから。 （順一）サンキュー　ありがとう。 （さより）うん　気を付けて。 （順一）じゃあ。 （利男）ろうそく これで全部やけん。 おっしゃ。　じゃあ行ってくるけん。（利男）おう。 欣治さん。 これ　欣治さんの分ね。 すまんな。 俺　これから→ 幸子さんのとこ 行かなきゃいけないから。 （欣治）気い付けてな。 うん。 （弘樹）よいしょ。 ちょっと失礼しますね。 （弘樹）動かしますね～。 生食１００にアミノフィリン２５０ｍｇ 落としてください。 （涼子）はい。 （男性）ありがとうございました。 お大事に。 （彩花）あっ　分かりました。→ 先生 病棟の川上さんのレートが→ １６０台だそうです。 ≪（薫）間もなく 先生いらっしゃるので。 （涼子）川上さん　大丈夫ですか？→ 川上さん！ （薫）先生　藤田に 点滴の指示をされましたよね？ はい　生食１００に アミノフィリン２５０ｍｇって。 （涼子）そのとおり点滴しました。 （薫）ちょっと。 （涼子）川上さん！ （薫）それって アミノフィリン２５０ｍｇじゃなくて→ １２５ｍｇなんじゃ。 すいません。 （薫）藤田は新人なんで→ 先生の指示どおりにしか 動けないんです。 すいません。 （薫）モニター準備して。 （涼子）はい。 ≪（薫）いくら医師不足だからって あれはないですよね。 （弘美）二階堂先生？ （薫）はい。 ５年目ぐらいのはずやのに→ 研修医みたい。 （弘美）使えないし→ やりづらいわよね。 （薫）どうせ　教授の指示で 嫌々　来てるんじゃないですか？ （弘美）そのうち 東京に帰るんがやろうけど→ 一番　中途半端で迷惑よね。 （薫）はい。 ごめんなさい。 どうしたが？ 何でもない。 そうは見えないけど。 放して。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （弘樹）台風　来ても あした出掛けるの？ （彩花）んっ？ （弘樹）あっ→ 毎月１６日は どこかに行ってるみたいやけん。 （弘樹）あっ　いや 言いたくなければいいけどね。 [TV]大型で強い台風１９号が 四国に接近しています。→ 高知県西部には 台風の上陸が見込まれ…。 あっ。 ごめん　ごめん。 （薫）二階堂先生→ 今日は　救急の患者さんしか いらっしゃらないと思うので→ 回診後はお帰りになった方が。 院長以外は　皆　そうするので。 はい。 ♪♪～ ≪（明彦）おい！→ 酒！→ 酒　持ってこい　おら！ ≪（割れる音） ≪（明彦）おい！ ♪♪～ ♪♪～ 異常なしです。 （薫）はい。 [TV]大型で強い台風１９号が 先ほど四国の西南部に上陸し→ 高知県は ほぼ全域が暴風域に入りました。→ 現在までの主な地点での雨量は→ 四万十市　中村　四万十町…。 閉めたっけな？ [TV]（アナウンサー）台風の中心を取り巻く 発達した雨雲の影響…。 （弘美）二階堂先生→ 市川さんから電話で→ 熱が３８度５分あり 嘔吐を繰り返しちょうそうです。→ 往診していただけますか？ あっ　でも　私より院長の方が…。 （弘美）院長は 急患を診ていらっしゃるので。 うわ。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （消防団員）この先 土砂崩れで　車　通れんけん→ 戻って戻って。 ♪♪～ ♪♪～ （薫）《どうせ　教授の指示で 嫌々　来てるんじゃないですか？》 （弘美）《一番　中途半端で 迷惑よね》 ♪♪～ ♪♪～ 失礼します。 中央市民病院の二階堂です。 市川さん　市川さん。 （芳子の　うめき声） 市川さん？ 市川さん。 市川さん　しっかりしてください。 市川さん！ （芳子）先生。 大丈夫ですか？　呼吸できますか？ うわ。 あれ？ 橋ないじゃん。 [TEL] はい。 [TEL]橋　沈んだね。 えっ？ [TEL]後ろ。 後ろ？ いや　どうすんだよ。 何で　橋　沈むんだよ。 [TEL]だから 「沈下橋」っていうんじゃない。 いや　意味ないじゃん。 お祭り　来られそう？ 病院から呼び出しがなければね。 じゃあ　来いよ。 楽しそうだね。 そりゃ　楽しいよ。　だって　俺が やろうって言いだしたんだし→ 子供たち すげえ楽しみにしてるしさ。 あっ　そっか。 あっ　いや　この感じさ 何だったっけなと思ったら→ あれだ　文化祭だ　高校のときの。 いや　俺　子供のときから→ 得意なこと 何にもなかったんだけどさ→ 文化祭のときだけは 俺も活躍してた気がするわ。 お前は？ やっぱ　あれ？　賢かった？ まあ　そりゃそっか　医者だもんな。 ここには何をしたくて来たの？ ああ→ いや　採用試験の面接のときは→ 「この町のために貢献したいです」 とか→ 「田舎暮らしを 経験してみたいです」とかって→ 言ったけど　ホントは嘘。 別にしたいことあって 来たわけじゃないから。 何も考えずに来たの？ それに近い。 なのに　すっかり ここに　なじんでて　うらやましい。 はあ？ 俺は　お前のが　うらやましいよ。 医者なんて 仕事に困ることないだろうし。 誰にでもなれるわけじゃないしさ。 ホントすげえよな。 何にもしない人に限って そういうこと言うよね。 私　簡単に医者になったわけじゃ ないから。 そんなふうになんか 思ってねえよ。 俺が うらやましいって思ったのは→ ちゃんと　自分のやりたいことが あるってことで。 俺にはさ そういうの見つかんなかったから。 なりたいものになれて ホントいいなあって。 なってないから。 なりたいようになってないから。 そういや　前→ こんな田舎の病院になんか 来たくなかったって→ 言ってたっけ？ いや　そりゃさ　みんな　それぞれ 不満はあるだろうけどさ→ そんなの　俺からしたら ぜいたくな悩みにしか思えねえよ。 どこにいても落ち着かないの。 実家も病院も すごく居心地が悪い。 でも 東京に戻ることなんかできない。 何で戻れないんだよ？ 教授に　呼び戻して もらわないかぎり　無理だから。 じゃあ呼び戻してもらえればいい。そんなこと　もうないから。 ないって分かってるけど→ 毎日 教授からメールが来ないかって→ チェックしてる。 バカみたい。 ♪♪～ あっ　停電。 ≪（ドアの開閉音） （彩花）ただいま。 （弘樹）おかえり。→ あっ　これ。 （彩花）ありがとう。 私→ ずっと　がんの免疫治療の研究を やってたから→ 患者さんの診察するのは 新人みたいなもんなの。 医者は医者だろ？ ナースに助けてもらわないと 何にもできない。 「私は医者です」なんて言えない。 おい。 朝だぞ。 今日は顔色もいいですね。 （芳子）昨日は　台風の中 ご迷惑をお掛けしました。 あっ　いえ。 （芳子）台風は来るし 気分は悪うなるし→ もう　不安で不安で。→ ほやけど 先生の顔　見たら　ほっとして。 先生がおってくれて ありがたいです。 ありがとうございます 二階堂先生。→ ありがとうございます。 （芳子）ありがとうございます。 ♪♪～ （芳子）せっ　先生？ （芳子）せっ　先生？→ どうしたが？ （芳子）先生？ すいません。 （芳子）どうしたが？ ごめんなさい。 ＜自分が望む場所にいられるとは 限らない＞ 踏ん張ったか。 ヒマワリ？ おう。 ＜でも→ 誰だって その場所で頑張っている＞ （一同）わっしょい　わっしょい わっしょい　わっしょい→ わっしょい　わっしょい わっしょい　わっしょい→ わっしょい　わっしょい わっしょい→ わっしょい わっしょい　わっしょい→ わっしょい　わっしょい わっしょい…。 春菜　秋やぞ。→ 浴衣　寒うないがか？ （春菜）おしゃれは我慢なの。 （日下）あ～　焦げてますよ。 （春菜）あ～！ （順一）あ～　何しようがぞ。 （春菜）しゃべり掛けるからやろ。 （さより）貸して　貸して　貸して。 さすがやねえ。 （さより）主婦やけんね。 ＜誰かに認めてもらいたくて＞ （一同）わっしょい わっしょい　わっしょい。 小平さん　地元の人みたいですね。 ですね。 ＜誰かに必要とされたくて＞ （順一）よっしゃ。　もっと　声　出せ。 （一同）わっしょい　わっしょい わっしょい　わっしょい。 ＜誰かに愛されたくて＞ あっ　来てた？ 私も患者さんに呼ばれて。 （弘樹）もう大丈夫？ ああ この前のは　もう何でもないから。 昔から　そうだよな。 えっ？ 俺には相談しない。 何でも自分１人で決めて。 そうだっけ？ あっ　今日さ 蘇我野でお祭りあるの知ってる？ （弘樹）ああ。 ねえ　よかったら行かない？ 何か　１５年ぶりの復活とかで→ みんな 張り切ってるみたいだから。 [TEL]（メールの着信音） あっ　やってる　やってる。 （弘樹）お祭り 行ったことあったよな　２人で。 ああ　あったね。 （弘樹）あのころに戻れたらな。 ♪♪～ よし。 あっ　彩花さん。 あっ　ちょっと手伝ってもらってもいいですか？ あの　水　補充し…。 ご褒美。