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V19N04-02
本稿では,文章に対する評点と国語教育上扱われる言語的要素についての特徴量から,個々の評価者の文章評価モデルを学習する手法について述べる.また,学習した文章評価モデルにおける素性毎の配分を明示する手法について述べる.評価モデルの学習にはSVRを用いる.SVRの教師データには,「表層」「語」「文体」「係り受け」「文章のまとまり」「モダリティ」「内容」というカテゴリに分けられる様々な素性を用意する.これらには日本の国語科教育において扱われる作文の良悪基準に関わる素性が多く含まれる.なおかつ,全ての素性が評価対象文章に設定される論題のトピックに依存しない汎用的なものである.本手法により,文章の総合的な自動評価,個々の評価者が着目する言語的要素の明示,さらに評点決定に寄与する各要素の重みの定量化が実現された.
V12N04-03
本論文では,構造化された言語資料の検索・閲覧を指向した全文検索システムである『ひまわり』の設計,および,その実現方法を示す。ここで言う「構造化された言語資料」とは,コーパスや辞書のように,言語に関する調査,研究などに利用することを目的として,一定の構造で記述された資料一般を指す。『ひまわり』は,言語資料の構造化形式の多様性と利用目的の多様性に対応した設計がなされている。構造化形式の多様性については,言語資料がXMLで構造化されていることを想定して,XML文書に対する全文検索機能を実現した。全文検索に付け加えて,マークアップされている情報の抽出や抽出された情報に基づく検索結果の制約を行うことも可能である。また,SuffixArrayなどの索引を用いて,検索の高速化を図っている。一方,言語資料に適した検索式と閲覧形式を柔軟に定義できるようにすることにより,利用目的の多様性に対処した。閲覧形式は,KWIC表示機能を備えた表形式での閲覧を基本とし,ルビなどの通常のテキストでは表現できない表示形式や音声,画像に対しては,XSL変換などを介して外部閲覧システムにデータを受け渡す方法を用いる。多様性に対する『ひまわり』の有効性を検証するために,『分類語彙表』,および,『日本語話し言葉コーパス』に『ひまわり』を適用し,定性的な評価を行うとともに,検索速度測定による定量的な評価を行った。
V24N05-01
本稿では,将棋の解説文に対する固有表現を題材として,テキスト情報に加えて実世界情報を参照する固有表現認識を提案する.この題材での実世界情報は,固有表現認識の対象となる解説文が言及している将棋の局面である.局面は,盤面上の駒の配置と持ち駒であり,すべての可能な盤面状態がこれによって記述できる.提案手法では,まず各局面の情報をディープニューラルネットワークの学習方法の1つであるstackedauto-encoderを用いて事前学習を行う.次に,事前学習の結果をテキスト情報と組み合わせて固有表現認識モデルを学習する.提案手法を評価するために,条件付き確率場による方法等との比較実験を行った.実験の結果,提案手法は他の手法よりも高い精度を示し,実世界情報を用いることにより固有表現認識の精度向上が可能であることが示された.
V21N01-01
一般に,項は述語に近いところにあるという特性がある.そのため,従来の述語項構造解析の研究では,候補を述語との位置関係でグループ分けし,あらかじめ求めておいたグループ間の優先順序に従って正解項を探索してきた.しかしながら,その方法には異なるグループに属する候補同士の比較ができないという問題がある.そこで我々は,異なるグループごとに最尤候補を選出し,それらの中から最終的な出力を決めるモデルを提案する.このモデルは優先度の高いグループに属する候補以外も参照することによって最終的な決定を行うことができ,全体的な最適化が可能である.実験では,提案手法は優先順序に従う解析よりも精度が向上することを確認した.